説明

酸性染毛料

【課題】ぱさつきやごわつきが無く保湿感があり、且つざらつきが無く柔軟感のある毛髪に仕上げることができ、しかも十分な染色性を有する酸性染毛料を提供することを目的とする。
【解決手段】乳酸エステル及び糖類を含有することを特徴とする酸性染毛料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、酸性染毛料に関する。
【背景技術】
【0002】
酸性染毛料は、酸化染毛剤に比し、染毛処理条件(特に使用薬剤)がマイルドなので、毛髪や地肌を傷めることが少ないという利点がある。
しかし、従来の酸性染毛料(特許文献1等)で染毛処理した場合、染色性が十分でないといった問題があった。更に、施術処理毛は、ぱさつきやごわつきがあり保湿感に欠け、ざらつきが強く柔らかさが感じられないといった問題があった。
【特許文献1】特開平8−225435号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記事情に鑑み、本願発明は、ぱさつきやごわつきが無く保湿感があり、且つざらつきが無く柔軟感のある毛髪に仕上げることができ、しかも十分な染色性を有する酸性染毛料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本願発明者が鋭意、検討した結果、下記本願発明を成すに到った。
【0005】
即ち、本願第1発明は、乳酸エステル及び糖類を含有することを特徴とする酸性染毛料を提供する。
【0006】
本願第2発明は、乳酸エステルが乳酸エチルであることを特徴とする本願第1発明の酸性染毛料を提供する。
【0007】
本願第3発明は、糖類がブドウ糖であることを特徴とする本願第1又は第2発明の酸性染毛料を提供する。
【0008】
本願第4発明は、更に、芳香族アルコール及び/又は水溶性高分子を含有することを特徴とする本願第1〜第3発明の酸性染毛料を提供する。
【0009】
本願第5発明は、芳香族アルコールがベンジルアルコールであることを特徴とする本願第4発明の酸性染毛料を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本願発明により、ぱさつきやごわつきが無く保湿感があり、且つざらつきが無く柔軟感のある毛髪に仕上げることができ、しかも十分な染色性を有する酸性染毛料を提供することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願発明を、その最良の実施形態について、詳述する。
本願の酸性染毛料には、乳酸エステルを含有する。乳酸エステルとしては、乳酸のC1〜C3アルキルエステル(乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等)等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。好ましくは、乳酸エチルである。
【0012】
本願の酸性染毛料には、糖類を含有する。糖類としては、単糖類及び多糖類等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。具体的には、糖類としては、ブドウ糖が好ましい。
【0013】
本願の酸性染毛料に配合される酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色201号、赤色203号、赤色214号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、褐色201号、紫色401号、黒色401号等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0014】
本願の酸性染毛料には、更に、芳香族アルコール及び水溶性高分子の少なくとも何れかを含有するのが好ましく、両方を含有するのが特に好ましい。芳香族アルコールを配合することにより、染色性を強めることができる。水溶性高分子を配合することにより、剤形を安定化することができ、施術時に垂れ落ちるのを防ぐことができる。
【0015】
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコール、フェニルプロパノール、α−メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、p−アニシルアルコール等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。好ましくは、ベンジルアルコールである。
【0016】
水溶性高分子としては、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(アクリル酸/メタクリル酸アルキル)コポリマー、ポリアクリルアミド、(ポリアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、グアーガム等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。好ましくは、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、ヒドロキシエチルセルロースである。
【0017】
本願の酸性染毛料には、その他、添加剤として、油剤、シリコーン類、高級アルコール、酸、pH調整剤、界面活性剤、多価アルコール等を配合することができる。
【0018】
油剤としては、アボカド油、シア脂、マカデミアナッツ油、ラノリン、液状ラノリン、ホホバ油、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジカプリリルエーテル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0019】
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0020】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0021】
酸としては、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸、リン酸、塩酸等の無機酸等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0022】
pH調整剤としては、グリコール酸ナトリウム、グリコール酸アンモニウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0023】
界面活性剤としてはノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0024】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEトリデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(POP)セチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、カプリル酸デカグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0025】
アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸塩(ナトリウム、アンモニウム等)、POEラウリル硫酸ナトリウム、N−アシルタウリン塩類、N−ラウロイルグルタミン酸塩類等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0026】
カチオン界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ジナタネ種子油脂肪酸エチルヒドロキシエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0027】
多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、エトキシジグリコール、ソルビトール、マルチトール等が挙げられ、これらの1種類以上配合することができる。
【0028】
本願の酸性染毛料の配合組成において、乳酸エステルは1〜20(特に5〜15)重量%、糖類は0.1〜15(特に0.5〜10)重量%、芳香族アルコールは1〜20(特に5〜15)重量%、及び水溶性高分子は0.5〜10(特に1〜6)重量%が、それぞれ好ましい。
【0029】
乳酸エステルが少な過ぎると染色性、施術後の毛髪の風合い(特に保湿感、柔らかさ)が損なわれる虞があり、逆に多過ぎると剤形の安定性が悪くなる虞がある。糖類が少な過ぎると染色性、施術後の毛髪の風合い(特に保湿感、柔らかさ)が損なわれる虞があり、逆に多過ぎると染色性や剤形の安定性が低下する虞がある。芳香族アルコールが多過ぎると、剤形の安定性が悪くなる虞がある。水溶性高分子が多過ぎると、染毛施術操作性や、施術後の毛髪の風合い(特に保湿感、柔らかさ)が低下する虞がある。
【0030】
本願の酸性染毛料は、通常、pH1〜5(好ましくはpH2〜4)である。
【0031】
本願の酸性染毛料は、通常、剤形としてジェル状を有する。
【実施例】
【0032】
以下、本願発明を、実施例にて、具体的に説明する。
<酸性染毛料の調製>
・実施例1〜6及び比較例1〜5
表1に示す配合組成に従って、各配合成分を均一に撹拌混合して、酸性染毛料(各実施例1〜6及び比較例1〜5)を調製した。
【0033】
<酸性染毛料の評価試験>
上記にて調製された酸性染毛料(各実施例1〜6及び比較例1〜5)について、下記のとおり、評価試験を行った。評価結果を、表1に示す。
・染色性の評価試験
1g、10cmの30%人毛白髪MIX2本に対して、酸性染毛料を2g塗布し、45℃で15分加温後、室温で5分放置した。その後、すすぎ、シャンプーによる洗浄を行い、乾燥後、毛束を目視観察により染色性評価をした。
表1中、「○」は「染まりが良い」、「△」は「染まりが弱い」、「×」は「ほとんど染まっていない」を示す。
【0034】
・施術毛の風合い(保湿感、柔らかさ)の評価
10g、20cmの人毛黒髪をパウダーブリーチにてダメージを与えた毛束を、評価用毛束とした。
【0035】
上記評価用毛束の半分に酸性染毛料4gを塗布し、45℃、15分加温後、室温にて5分間、放置し、その後、すすぎ、シャンプー、タオルドライ、及びドライを行った後、風合いを官能評価した。
【0036】
表1中、「保湿感」の欄において、「○」は「保湿感がある」、「△」は「保湿感が弱く、パサツキを感じる」、「×」は「ごわつきが有り、保湿感を感じられない」を示す。
【0037】
また、表1中、「柔らかさ」の欄において、「○」は「滑りも良く、柔らかさに優れている」、「△」は「やや柔らかさが弱い」、「×」は「ザラツキが強く、柔らかさが感じられない」を示す。
【0038】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸エステル及び糖類を含有することを特徴とする酸性染毛料。
【請求項2】
乳酸エステルが乳酸エチルであることを特徴とする請求項1に記載の酸性染毛料。
【請求項3】
糖類がブドウ糖であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸性染毛料。
【請求項4】
更に、芳香族アルコール及び/又は水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の酸性染毛料。
【請求項5】
芳香族アルコールがベンジルアルコールであることを特徴とする請求項4に記載の酸性染毛料。

【公開番号】特開2010−77105(P2010−77105A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272503(P2008−272503)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(591028980)山栄化学株式会社 (45)
【Fターム(参考)】