説明

酸素富化溶液を用いる、眼および他のヒト組織の治療処置の方法

本明細書中に開示される特定の実施の形態は、ガス富化流体組成物、ガス富化流体組成物の生成方法、ガス富化流体を生成するためのシステム、ならびに/または、眼に関連する状態および/または疾病のためのガス富化流体を利用する処置方法に関する。特定の実施の形態では、ガス富化流体は、酸素富化水である。特定の実施の形態は、眼の状態および/もしくは疾病に関連する美容上および/もしくは治療上の症状を処置するための、美容用および/もしくは治療用の流体、ならびに/または、この流体を利用する処置方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
ガス富化流体組成物、ガス富化流体組成物の生成方法、ならびに、一般に眼のケアおよび処置のためにガス富化流体組成物を用いる方法が本明細書中に開示される。特定の実施の形態では、ガス富化流体は、酸素富化流体を含む。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
動物、特にヒトの眼は、動物が対象物を視覚化するプロセスにおける最初の段階として光線を反射する、角膜と呼ばれる外被を有する。角膜および眼の他の部分は、外傷、疾病、自然な加齢、環境因子(例えば、汚染物質およびアレルゲン)またはコンタクトレンズを装着することによって、乾燥したり、ひりひりしたり、損傷を受けたりし得る。
【0003】
赤みを帯びた眼、ひりひりする眼、むずがゆい眼は、毎年百万人のアメリカ人を冒す一般的な眼科的事象である。いくつかの場合、個体は、焼灼感、乾燥感、むずがゆさ、かゆみ、または、しばしば眼瞼と眼表面との間に入った粒子によって引き起こされるような、持続性の刺激もしくは炎症を経験し得る。この刺激は、適切に処置されないと、感染および/または視覚障害につながり得る。
【0004】
ひりひりする眼および/または乾燥した眼の処置のための最も一般的なアプローチは、いわゆる、日中を通して点眼される人工涙を用いて、自然な眼の涙液を補うことであった。他のアプローチとしては、涙液代替物を提供する眼用インサートの使用、または、内因性の涙液産生の刺激が挙げられる。
【0005】
このようなアプローチは、限られた成果を招き、そして、単に一過性でかつ最小限の症状の軽減をもたらす。したがって、眼の刺激の軽減を可能にし、さらに/または、眼の湿潤性(wetting)を高める、眼科ケア処置に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本開示の特定の実施の形態は、被験体の眼の状態を処置する方法に関し、この方法は、処置を必要とする被験体の眼を、大気圧で約15パーツ・パー・ミリオンを超えるレベルの拡散ガスまたは溶存ガスを含んでおり、かつ溶媒和電子をさらに含んでいる有効量のガス富化流体に、充分な時間にわたって接触させることを含んでいる。特定の実施の形態では、ガス富化流体は、生理食塩水を含む。特定の実施の形態では、ガス富化流体は、コンタクトレンズ溶液を含む。他の実施の形態では、コンタクトレンズ溶液は、複数回使用用のコンタクトレンズ溶液を含む。なお他の実施の形態では、コンタクトレンズ溶液は、保存液を含む。特定の他の実施の形態では、コンタクトレンズ溶液は、湿潤溶液(wetting solution)を含む。なお他の実施の形態では、コンタクトレンズ溶液は、洗浄液を含む。さらに、本明細書中に開示される特定の実施の形態によれば、ガス富化流体は、シュードモナス細菌の増殖を阻害する。
【0007】
さらなる実施の形態では、眼の状態は、ドライアイ、角膜刺激、細菌感染、アレルギー性の刺激、および細胞の損傷からなる群より選択される。特定の実施の形態によれば、細胞の損傷は、傷の結果である。特定の他の実施の形態では、傷は、裂傷、擦り傷、破れ、刺し傷、化学、熱、または放射線に起因するやけど、切り傷、引っかき傷、切開、水膨れ、潰瘍および外科創傷からなる群より選択される。なお他の実施の形態では、外科創傷は、レーザー角膜切開術、白内障除去、レンズの移植または取り出し、角膜の変質(alteration)、レーザー支援角膜切削形成術(LASIK)、イントラLASIK(intraLASIK)、嚢外外科手術、水晶体超音波吸引術、硝子体網膜外科手術、緑内障処置、神経眼科外科手術、斜視外科手術、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される外科手術の結果である。
【0008】
特定の実施の形態について、ガス富化流体は、さらに抗菌剤、抗炎症剤、疼痛緩和剤、麻酔薬、ビタミン、サイトカイン、アジュバント、保存料、塩、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される治療剤を含む。
【0009】
他の実施の形態は、ポリマー化合物と、溶媒和電子を含むガス富化流体とからレンズを形成することを含む、コンタクトレンズの形成に関する。特定の実施の形態では、コンタクトレンズを形成するステップは、スピンキャスティングプロセスにより行われる。他の実施の形態では、コンタクトレンズを形成するステップは、キャストモールディングプロセスにより行われる。なお他の実施の形態では、コンタクトレンズを形成するステップは、旋盤切断プロセスにより行われる。
【0010】
特定の他の実施の形態は、眼の処置のためのガス富化流体組成物に関し、この組成物は、溶媒和電子を含むガス富化流体を含み、ここで、この流体は、シュードモナスの増殖を阻害する。
【0011】
特定の態様は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を含んでおり、該流体または溶液中の酸素が、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素の量で存在している組成物を提供する。特定の実施形態において、前記動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液は、動電学的に修飾または帯電させられた酸素の種を含んでいる。特定の態様において、前記動電学的に修飾または帯電させられた酸素の種は、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在している。特定の実施形態においては、前記動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液が、酸素分子によって安定化された溶媒和電子を含んでいる。特定の態様において、前記溶媒和電子は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在している。特定の実施形態においては、前記流体または溶液が、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でのピロガロールのプルプロガリンへの酸化を促進し、そのような促進が、圧力ポットまたは微細気泡で生成されて同等の溶存酸素レベルを有しているコントロールの水性流体または溶液によって可能にされる量を超える量であり、前記動電学的な酸素富化された水性流体または溶液には、過酸化水素が全く存在していないか、あるいは0.1ppm未満の過酸化水素しか存在していない。特定の態様において、ピロガロールのプルプロガリンへの酸化の促進は、開放容器において少なくとも3時間にわたって持続し、あるいは閉じられた気密容器において少なくとも2ヵ月にわたって持続する。
【0012】
さらなる態様は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を含んでいる組成物であって、前記流体または溶液が、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素を含んでおり、前記流体または溶液が、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でのピロガロールのプルプロガリンへの酸化を促進し、そのような促進が、圧力ポットまたは微細気泡で生成されて同等の溶存酸素レベルを有しているコントロールの水性流体または溶液によって可能にされる量を超える量であり、前記動電学的な酸素富化された水性流体または溶液に、過酸化水素が全く存在していないか、あるいは0.1ppm未満の過酸化水素しか存在していない組成物を提供する。特定の実施形態においては、ピロガロールのプルプロガリンへの酸化の促進が、開放容器において少なくとも3時間にわたって持続し、あるいは閉じられた気密容器において少なくとも2ヵ月にわたって持続する。特定の態様において、前記酸素化済みの水性流体または溶液は、酸素分子によって安定化された溶媒和電子を含んでいる。特定の実施形態においては、前記溶媒和電子が、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在している。
【0013】
さらなる態様は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、間に混合容積を画定する互いに運動する2つの離間した表面の間に、流体材料の流れを、前記混合容積において該混合容積を通過して流れる前記流体材料の1回の通過の滞留時間が0.06秒超、または0.1秒超であるように供給するステップ、および前記混合容積内を流れている流体材料に、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素を該材料に溶解させるために適した条件のもとで、酸素(O)を導入し、該流体または溶液を動電学的に変化させるステップ、を含んでいる方法を提供する。特定の態様においては、前記酸素が、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、あるいは400ミリ秒未満で前記材料に注入される。特定の実施形態においては、前記容積に対する表面積の比が、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
【0014】
またさらなる態様は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、間に混合容積を画定する2つの離間した表面の間に、流体材料の流れを供給するステップ、および前記混合容積内を流れている材料に、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、あるいは400ミリ秒未満で、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、あるいは少なくとも60ppmの酸素を該材料に注入するために適した条件のもとで、酸素を導入するステップ、を含んでいる方法を提供する。特定の態様においては、前記混合容積内を流れる前記材料の滞留時間が、0.06秒超、または0.1秒超である。特定の実施形態においては、前記容積に対する表面積の比が、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
【0015】
さらなる実施形態は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、第1の材料と第2の材料とを混合することによって出力混合物を生成するための混合装置を使用することを含んでおり、該装置は、第1の材料の供給源から第1の材料を受け取るように構成されている第1のチャンバ;ステータ;回転軸を有しており、前記ステータの内側に配置され、前記ステータの内側で前記回転軸の周りを回転するように構成されているロータ;前記ロータと前記ステータとの間に画定され、前記第1のチャンバと連通しており、前記第1のチャンバから前記第1の材料を受け取るように構成されている混合チャンバ;前記混合チャンバと連通し、該混合チャンバから出力材料を受け取るように構成されている第2のチャンバ;および前記第1のチャンバの内部に収容され、前記第1の材料を前記第1のチャンバから前記混合チャンバへと送るように構成されている第1の内部ポンプ;を備えており、前記ロータおよびステータの少なくとも一方が、複数の貫通孔を有しており、第2の材料が、前記ロータおよびステータの前記一方に形成された前記複数の貫通孔を介して前記混合チャンバへと供給される方法を提供する。特定の態様においては、前記第1の内部ポンプが、前記第1の材料が前記混合チャンバへと進入する前に、該第1の材料に周方向の速度を付与するように構成される。
【0016】
さらなる実施形態は、動電学的に変化させられた酸素化済みの水性流体または溶液を生成する方法であって、第1の材料と第2の材料とを混合することによって出力混合物を生成するための混合装置を使用することを含んでおり、該装置が、ステータ;回転軸を有しており、前記ステータの内側に配置されており、前記ステータの内側で前記回転軸の周りを回転するように構成されているロータ;前記ロータと前記ステータとの間に画定され、第1の材料が通過して進入する開いた第1の端部と、出力材料が通過して出る開いた第2の端部とを有している混合チャンバ;前記混合チャンバの前記開いた第1の端部の少なくとも大部分と連通している第1のチャンバ;および前記混合チャンバの前記開いた第2の端部と連通している第2のチャンバ;を備えており、第2の材料が、前記ロータおよび前記ステータの少なくとも一方を通過して前記混合チャンバに進入する方法を提供する。
【0017】
さらなる態様は、上述の方法のいずれかに従って製造された動電学的に変化させた酸素化済みの水性流体または溶液を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、従来技術の混合装置の部分断面部分ブロック図である。
【図2】図2は、混合装置の典型的な実施形態のブロック図である。
【図3】図3は、第1の材料を図2の混合装置へと届けるための典型的なシステムの図である。
【図4】図4は、図2の混合装置の上部の一部分の部分断面図である。
【図5】図5は、図2の混合装置の第1の側部の一部分の断面図である。
【図6】図6は、図2の混合装置の第2の側部の一部分の断面図である。
【図7】図7は、図5の第1の側部と図6の第2の側部との間に位置する図2の混合装置の側部の一部分の断面図である。
【図8】図8は、図2の混合装置のロータおよびステータの斜視図である。
【図9】図9は、図2の混合装置の第1のチャンバの内側の斜視図である。
【図10】図10は、ポンプ410の別の実施形態を備えている図2の混合装置の第1のチャンバの内側の一部分の断面図である。
【図11】図11は、図2の混合装置の第2のチャンバの内側の斜視図である。
【図12】図12は、混合装置の別の実施形態の側部の一部分の断面図である。
【図13】図13は、混合装置の別の実施形態において使用するための筐体の中央部の別の実施形態の斜視図である。
【図14】図14は、混合装置の別の実施形態において使用するための軸受筐体の別の実施形態の一部分の断面図である。
【図15】図15は、回転軸に直角な平面によって得た図2の混合装置の混合チャンバの断面図であり、ロータの貫通孔がステータの開口に接近(しかしながら、整列はしていない)するときにキャビテーション気泡によって引き起こされる回転の流れのパターンを示している。
【図16】図16は、回転軸に直角な平面によって得た図2の混合装置の混合チャンバの断面図であり、ロータの貫通孔がステータの開口に整列するときにキャビテーション気泡によって引き起こされる回転の流れのパターンを示している。
【図17】図17は、回転軸に直角な平面によって得た図2の混合装置の混合チャンバの断面図であり、それまでステータの開口に整列していたロータの貫通孔がもはやステータの開口に整列しないときにキャビテーション気泡によって引き起こされる回転の流れのパターンを示している。
【図18】図18は、ロータの別の実施形態の側面図である。
【図19】図19は、ロータの回転軸に直角な平面によって得た一部分の拡大断面図であり、ロータに形成される貫通孔およびステータに形成される貫通孔の別の形態を示している。
【図20】図20は、ロータの回転軸を通過しかつロータの回転軸に沿って広がる平面によって得た一部分の拡大断面図であり、ロータに形成される貫通孔およびステータに形成される貫通孔の形態を示している。
【図21】図21は、ロータの回転軸を通過しかつロータの回転軸に沿って広がる平面によって得た一部分の拡大断面図であり、ロータに形成される貫通孔およびステータに形成される貫通孔の別のずらされた形態を示している。
【図22】図22は、ロータの貫通孔および/またはステータの開口を構成するために使用することができる形状を示している。
【図23】図23は、ロータの貫通孔および/またはステータの開口を構成するために使用することができる形状を示している。
【図24】図24は、ロータの貫通孔および/またはステータの開口を構成するために使用することができる形状を示している。
【図25】図25は、ロータの貫通孔および/またはステータの開口を構成するために使用することができる形状を示している。
【図26】図26は、表面の付近に形成される電気二重層(「EDL」)の図である。
【図27】図27は、混合チャンバの内部のモデルの斜視図である。
【図28】図28は、図27のモデルの断面図である。
【図29】図29は、実験設備の図である。
【図30】図30は、図2の混合装置において酸素で処理され、それぞれ華氏65°でキャップされた500mlの薄肉プラスチック瓶および1000mlのガラス瓶に保存された水の溶存酸素レベルを示している。
【図31】図31は、図2の混合装置において酸素で処理され、どちらも華氏39°で冷蔵された500mlの薄肉プラスチック瓶および1000mlのガラス瓶に保存された水の溶存酸素レベルを示している。
【図32】図32は、図2の混合装置において酸素で処理され、華氏55°の平均温度を有する32オンスのGATORADE(登録商標)瓶に保存されたGATORADE(登録商標)の溶存酸素レベルを示している。
【図33】図33は、図2の混合装置において酸素で処理された500mlのブラウン平衡塩溶液の溶存酸素の保持を示している。
【図34】図34は、図2の混合装置を使用したさらなる実験を示しており、図2の混合装置において窒素で水を処理することによって水から酸素がスパージされる。
【図35】図35標準温度および圧力での図2の混合装置による水からの酸素のスパージを示している。
【図36】図36は、ナノケージの図である。
【図37A】図37AおよびBは、酸素富化流体のレイリー散乱効果を示している。
【図37B】図37AおよびBは、酸素富化流体のレイリー散乱効果を示している。
【図38】図38は、本発明の流体の一実施形態のDNA耐熱性を示している。
【図39A】図39Aは、室温かつ流体生成の初期の時点でのピロガロール/西洋わさびペルオキシダーゼ反応性試験を示している。
【図39B】図39Bは、室温かつ30分の時点でのピロガロール/西洋わさびペルオキシダーゼ反応性試験を示している。
【図39C】図39Cは、室温かつ2時間の時点でのピロガロール/西洋わさびペルオキシダーゼ反応性試験を示している。
【図39D】図39Dは、室温かつ3時間の時点でのピロガロール/西洋わさびペルオキシダーゼ反応性試験を示している。
【図39E】図39Eは、特定の実施の形態による種々のガス富化流体によるピロガロール/西洋わさびペルオキシダーゼ反応性試験を示している。
【図40】図40は、過酸化水素の不在を確認するグルタチオンペルオキシダーゼ試験の結果を示している。
【図41】図41は、本発明の酸素富化流体、脱イオン水(−)コントロール、および過酸化水素(+)コントロールによるピロガロール/西洋わさびペルオキシダーゼ反応性アッセイの結果を示している。
【図42】図42は、ガス富化流体および脱イオンコントロール流体の存在下での細胞分裂アッセイのサイトカイン像を示している。
【図43】図43は、種々の溶存酸素飽和度におけるシュードモナス細菌の増殖速度の相違を示している。
【図44A】図44aおよび44bは、酸素富化細胞培地およびガス富化を行っていない培地を使用するインビトロでの傷の治癒を示している。
【図44B】図44aおよび44bは、酸素富化細胞培地およびガス富化を行っていない培地を使用するインビトロでの傷の治癒を示している。
【図45A】図45a〜45fは、体内での傷の治癒における真皮および表皮の組織学的断面を示している。
【図45B】図45a〜45fは、体内での傷の治癒における真皮および表皮の組織学的断面を示している。
【図45C】図45a〜45fは、体内での傷の治癒における真皮および表皮の組織学的断面を示している。
【図45D】図45a〜45fは、体内での傷の治癒における真皮および表皮の組織学的断面を示している。
【図45E】図45a〜45fは、体内での傷の治癒における真皮および表皮の組織学的断面を示している。
【図45F】図45a〜45fは、体内での傷の治癒における真皮および表皮の組織学的断面を示している。
【図46】図46は、処置済みおよびコントロールの治癒中の傷について、ヒアルロン酸などの酸性ムコ多糖類の検出に使用されるHale染色の発現を示している。
【図47】図47は、処置済みおよびコントロールの治癒中の傷について、血管形成の検出に使用されるvon Willebrand’s Factor染色の発現を示している。
【図48】図48は、処置済みおよびコントロールの治癒中の傷について、エラスチンの検出に使用されるLuna染色の発現を示している。
【図49】図49は、処置済みおよびコントロールの治癒中の傷について、視野あたりの肥満細胞の数を示している。
【図50】図50は、本発明のガス富化培地およびコントロール培地を使用する角膜線維芽細胞アッセイの別々の時点における死細胞の割合を示している。
【図51】図51は、本発明のガス富化流体のポリマー袋での保管寿命を示している。
【図52】図52は、加圧ポット酸素化流体(1)、本発明のガス富化流体(2)、またはコントロールの脱イオン流体(3)の存在下で脾細胞をMOGに接触させた結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
動物の眼、特にヒトの眼の表面は、通常、眼の周りの小さな腺により分泌される涙液層(tear film)によってまとめられる(batch)。涙液層は、主として、3つの層:粘膜、水および油から構成される。粘膜層は、眼の器官最も近く、そして、涙液層が眼に付着するためのアンカーとして機能する。中間層は水層であり、そして、外側の油層が涙液層を封じ、蒸発を防ぐ。涙液層はまた、種々の養分、ならびに保護性のタンパク質およびペプチドを含む。涙液層は、いくつかの目的を果たす:涙液層は、眼を湿った状態に保ち、光が眼を通過するための滑らかな表面を生じ、眼の前部に養分を与え、そして、損傷および感染からの保護を提供する。
【0020】
眼、特に角膜は、外傷、疾病、自然な加齢、環境因子(例えば、汚染物質およびアレルゲン)またはコンタクトレンズを装着することによって、乾燥したり、ひりひりしたり、損傷を受けたりし得る。いくつかの場合、個体は、焼灼感、乾燥感、むずがゆさ、かゆみ、または、しばしば眼瞼と眼表面との間に入った粒子によって引き起こされるような、持続性の刺激もしくは炎症を経験し得る。この刺激は、適切に処置されないと、感染および/または視覚障害につながり得る。
【0021】
ひりひりする眼および/または乾燥した眼の処置のための最も一般的なアプローチは、いわゆる、日中を通して点眼される人工涙を用いて、自然な眼の涙液を補うことであった。他のアプローチとしては、涙液代替物を提供する眼用インサートの使用、または、内因性の涙液産生の刺激が挙げられる。
【0022】
人工涙の例としては、緩衝化された等張の生理食塩水、および/または、溶液をより粘性にし、したがって、眼によってあまり簡単には流されないようにする水溶性ポリマーを含む水性溶液、が挙げられる。リン脂質および油のような、涙液層の1以上の構成要素を提供することによって、涙を再構成することもまた企図される。リン脂質組成物は、ドライアイの処置において有用であることが示されている;例えば、McCulley and Shine,Tear film structure and dry eye,Contactologia,volume 20(4),pages 145−49(1998);およびShine and McCulley,Keratoconjunctivitis sicca associated with meibomian secretion polar lipid abnormality,Archives of Ophth.,volume 116(7),pages 849−52(1998)を参照のこと。ドライアイの処置のためのリン脂質組成物の例は、米国特許第4,131,651号(Shah et al.)、米国特許第4,370,325号(Packman)、米国特許第4,409,205号(Shively)、米国特許第4,744,980号および同第4,883,658号(Holly)、米国特許第4,914,088号(Glonek)、米国特許第5,075,104号(Gressel et al.)、米国特許第5,278,151号(Korb et al.)、米国特許第5,294,607号(Glonek et al.)、米国特許第5,371,108号(Korb et al.)ならびに米国特許第5,578,586号(Glonek et al.)に開示される。
【0023】
別のアプローチは、人工涙の代わりに潤滑性の物質を提供することを伴う。例えば、米国特許第4,818,537号(Guo)は、潤滑性のリポソームベースの組成物の使用を開示し、そして、米国特許第5,800,807号(Hu et al.)は、眼の刺激を処置するためのグリセリンおよびプロピレングリコールを含む組成物を開示する。
【0024】
本明細書中に開示される特定の実施の形態は、ガス富化流体を含む治療用および/または美容用の組成物を、部位に接触させるか、または、被験体に投与することにより、眼(例えば、角膜)の状態または障害の少なくとも1つの症状または徴候を処置する組成物および方法を提供することに関する。特定の実施の形態では、ガス富化流体は酸素富化水を含む。
【0025】
図21および実施例13に示されるとおり、本発明の進歩的なガス富化流体は、動物を前もってプライムした抗原に対するリンパ球応答を増幅する。図21に示されるとおり、リンパ球の増殖が、MOGのチャレンジに対する応答において、溶媒和電子を含んでいる本発明のガス富化流体で再構成した流体で培養したとき、加圧酸素化流体(圧力ポット)またはコントロールの脱イオン流体と比べて大きかった。
【0026】
(本発明のガス富化流体および溶液)
流体に別の流体を拡散させ、あるいは流体を別の流体で富化することで、2つの流体の溶液または懸濁液をもたらすことができる。とくには、液体をガス(例えば、酸素)で富化することは、治療処置を含む特定の用途において有益であろう。本明細書において使用されるとき、「流体」は、本明細書に開示の任意の特定の実施の形態のための液体、ガス、蒸気、液体および/またはガスの混合物、あるいはこれらの任意の組み合わせを広く指すことができる。さらに、特定の実施の形態において、「液体」は、純粋な液体を広く指すことができ、あるいはゲル、ゾル、乳濁液、流動体、コロイド、分散液、または混合物、ならびにこれらの任意の組み合わせを指すことができ、これらはいずれも、さまざまな粘度であってよい。
【0027】
特定の実施の形態においては、溶存ガスが、酸素を含んでいる。他の特定の実施の形態においては、溶存ガスが、一酸化窒素を含んでいる。なお他の実施の形態においては、溶存ガスが、外気を含んでいる。
【0028】
流体をガス富化する(水の酸素富化など)いくつかの方法が、この技術分野において知られている。例えば、タービン曝気システムは、空気または酸素を水と混ぜ合わせるインペラーの1式の回転羽根の付近に空気を放出することができ、あるいは水の酸素含有量を増やすために、水を空気中へと噴霧することができる。さらに、市場に存在する他のシステムは、空気または酸素を水へと注入し、水/ガスを大規模な渦へと曝す。水中に自然に生じる酸素のレベルは、典型的には10ppm(パーツ・パー・ミリオン)以下であり、これが100ppmの溶存酸素レベルであると考えられる。特定の装置についての試験が、理想的な条件下で装置が約20ppm以上の溶存酸素、すなわち自然の水の酸素レベルの2倍を達成できることを示している。しかしながら、水は、この高レベルの溶存酸素をきわめて急激に失い、数分で約10ppmという溶存酸素のベースラインへと戻ってしまう。
【0029】
本明細書に開示される特定の実施の形態においては、本発明のガス富化流体が、美容的および/または治療的な眼のケアの利益を提供する。本明細書に開示される特定の実施の形態は、本発明のガス富化流体と、随意による少なくとも1種の追加の治療剤(薬物、金属、ペプチド、ポリペプチド、たんぱく質、ヌクレオチド、炭水化物または糖化たんぱく質、脂肪(油またはろうを含む)、あるいは眼の刺激に関する状態または疾病の少なくとも1種の症状を防止または軽減する他の物質、など)とを含んでいる美容および/または治療の組成物に関する。
【0030】
処置を必要とする眼または他の器官および/または組織を、ガス富化流体を含んでいる有効量の組成物を局所適用することによって処置するための組成物および方法が開示される。本明細書において使用されるとき、「処置」、「処置する」、「治療」、ならびにこれらの任意かつすべての派生語は、本発明の組成物を、眼の状態もしくは疾病の徴候を防止するために予防的に使用することや、既存の状態または疾病を改善するために、美容的または治療的に使用することを指す。一特定の実施の形態においては、本発明のガス富化流体が、微生物の増殖を抑制する。別の特定の実施の形態においては、本発明のガス富化流体が、アポトーシスを促進する。
【0031】
微生物感染、とくにはブドウ球菌、連鎖球菌、酵母菌、セラチア、大腸菌、緑膿菌、および他の微生物の感染が、未処置のままだと眼に重篤な感染を引き起こす可能性がある。したがって、特定の実施の形態において、本発明のガス富化流体組成物および/または方法は、抗真菌剤、抗生剤、または他の抗菌剤などの抗菌剤を含む。ガス富化流体組成物および/または方法において使用することができる抗菌剤のいくつかの例として、これらに限られるわけではないが、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、ゲルダナマイシン、ヘリマイシン、ロラカルベフ、エンタペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン/セファロシン、セファレキシン、セファクロール、セファマンドール、セフォキシチン、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェプライム、テイコプラニン、バンコマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、アズトレオナム、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、ペニシリン、ペペラシリン、チカルシリン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、マフェナイド、プロトシル、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルアミド、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン(lincoamycin)、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン・ダルホプリスチン、リファンピン/リファンピシン、チニダゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ビフォナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、イサブコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、テロナゾール、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、ブテナフィン、アニデュラファンギン、カスポファンギン、ミカファンギン、シクロピロクス、フルシトシン、グリセオフルビン、ゲンチアナ・バイオレット、ハロプロジン、トルナフテート、ウンデシレン酸、などが挙げられる。
【0032】
本明細書中に提供されるガス富化流体の組成物および/または方法は、局所適用に適した任意の形態(気体、液体またはオイルベースの液体、クリーム、ローション、バーム、油および流体の混合物、ゲル、ゾル、乳濁液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液を含む)を含み得るか、あるいは、リポソーム、マイクロスポンジ、ポリマー・マトリクス中に封入され得るか、あるいは、ガス富化流体を必要とする眼の領域へのガス富化流体の送達を助けるため、または、組成物の安定性もしくは用いられる方法の有効性を高めるために適合された他の封入技術であり得る。なお他の実施の形態では、ガス富化流体組成物は、超音波のような機器によって、眼の冒された領域へと送達するために調合される。なお他の実施の形態では、組成物が、不活性であって生理学的に容認できるキャリアまたは希釈剤、酵素、抗菌剤(抗細菌剤、抗真菌剤など)、血管収縮剤(エピネフリン、塩酸ナファゾリン、テトラヒドロゾリンなど)、酸(ホウ酸、塩酸など)、塩基(水酸化ナトリウムなど)、塩(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)、ポリマー、アルコール(ポリビニルアルコールなど)、セルロースまたはでんぷん、デキストロース、マンノース、サッカロース、または他の炭水化物、糖たんぱく、たんぱく質、ポリペプチド、またはペプチド、着色料、香料、保存料(エデト酸二ナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジンなど)、あるいはこれらの混合物を、さらに含んでいる。他の関連の実施の形態においては、組成物が、有効な薬物または治療薬物質、あるいは有効な美容物質をさらに含んでいる。一特定の実施の形態においては、薬物または治療薬が、マレイン酸フェニラミンなどの抗ヒスタミン剤を含んでいる。
【0033】
さらに、本発明に従って製造されるガス富化流体は、無傷および/または生体外で、組織から汚染物質を除去し、あるいは洗い去るためにも使用することができる。汚染物質は、ガス富化流体によって洗い流され、他の治療上の利益をもたらすことができる。
【0034】
本明細書において提示される特定の実施の形態は、本明細書において定められるとおりの拡散装置によって処理されたガス富化流体であって、流体ホストマテリアルと、ホストマテリアルへと拡散させた注入マテリアルと、ホストマテリアルへと分散させた随意による少なくとも1種の美容および/または治療剤とを含んでいるガス富化流体に関する。特定の実施の形態においては、注入マテリアルが、ホスト流体中の酸素の微細気泡を含んでおり、微細気泡の大部分が、0.2ミクロン未満、好ましくは0.1ミクロン未満のサイズである。
【0035】
特定の実施の形態においては、注入後の流体ホストマテリアルの溶存酸素レベルを、少なくとも約13時間にわたって大気圧で約30ppm超に保つことができる。他の特定の実施の形態においては、注入後の流体ホストマテリアルの溶存酸素レベルを、少なくとも約3時間にわたって大気圧で約40ppm超に保つことができる。さらなる実施の形態においては、注入後の流体ホストマテリアルを、大気圧の密封容器内で、少なくとも約100日の期間にわたって少なくとも約20ppmの溶存酸素レベルに保つことができる。特定の実施の形態においては、注入後の流体ホストマテリアルが、大気圧において少なくとも約10ppm、少なくとも約15ppm、少なくとも約20ppm、少なくとも約25ppm、少なくとも約30ppm、少なくとも約35ppm、少なくとも約40ppm、少なくとも約45ppm、少なくとも約50ppm、少なくとも約55ppm、少なくとも約60ppm、少なくとも約65ppm、少なくとも約70ppm、少なくとも約75ppm、少なくとも約77ppm、少なくとも約80ppm、少なくとも約85ppm、少なくとも約85ppm、少なくとも約90ppm、少なくとも約95ppm、少なくとも約100ppm、もしくは、これより大きいか、または、これらの間の任意の値の溶存酸素レベルを有することができる。
【0036】
特定の実施の形態においては、注入後の流体ホストマテリアルが、当該流体ホストマテリアルへと酸素を拡散させた後の所定の時間期間にわたり、当該流体ホストマテリアルを通過して光るレーザービームについてレイリー散乱を呈する。特定の実施の形態では、注入後の流体ホストマテリアルは、当該流体ホストマテリアルへと酸素を拡散させるためのプロセスにより、当該流体ホストマテリアル中に生成された溶媒和電子を含む。なおさらなる実施の形態では、内部に拡散された酸素を含む注入後の流体ホストマテリアルは、制限されないフロースルーの様式で生成される。
【0037】
本明細書において該当の図に示される典型的な実施の形態に関して説明される拡散装置を使用することによって、ガスが拡散されてなる出力流体であって、いくつかの特徴を有しており、治療用組成物としての使用のためのいくつかの利点を提供する出力流体を得ることができる。溶液を、真水、生理食塩水、酸素、窒素、ならびに他の成分を使用して生成した。実験により、生理食塩水中に生成された酸素気泡のサイズが、一般に約0.1ミクロン以下であることが示されている。
【0038】
(気泡サイズの測定)
混合装置100によって流体内に拡散させたガスの気泡のサイズを割り出すために、実験を行った。実験を、気泡のサイズを直接的に測定するように実行したのではなく、流体内のガスの気泡の大部分の気泡サイズが0.1ミクロンよりも小さいことを確認する実験を行った。換言すると、気泡の大部分のサイズが包含される上側のサイズ閾値を、実験によって割り出した。
【0039】
このサイズ閾値またはサイズ限界を、混合装置100にて流体およびガスを処理することによって形成した出力材料102を、0.22のフィルタおよび0.1ミクロンのフィルタに通すことによって明らかにした。これらの試験の実行において、この場合には流体である或る量の第1の材料110およびこの場合にはガスである或る量の第2の材料120を、混合装置100に通し、或る量の出力材料102(すなわち、ガスを拡散させてなる流体)を生成した。60ミリリットルの出力材料102を、60mlのシリンジに流し込んだ。その後、シリンジ内の流体のDOレベルを、Orion 862aを用いて測定した。Orion 862aは、流体内のDOレベルを測定できる。シリンジ内の流体を、0.22ミクロンのフィルタを通して50mlのビーカーへと注入した。フィルタは、MiliporのMillex GP50フィルタからなっていた。次いで、50mlのビーカー内の材料のDOレベルを測定した。実験を3回実行し、下記の表2に示す結果を得た。
【0040】
【数1】

見て取ることができるとおり、シリンジ内で測定したDOレベルと50mlのビーカー内で測定したDOレベルとが、出力材料102を0.22ミクロンのフィルタに通したにもかかわらず、大きくは変化していない。この実験は、出力材料102内の溶存ガスの気泡が、0.22ミクロン以下であるということを意味している。そのようでないならば、0.22ミクロンのフィルタに通された出力材料102のDOレベルに、はるかに大きな減少が存在するはずである。
【0041】
0.22ミクロンのフィルタを0.1ミクロンのフィルタで置き換えて、第2の試験を実行した。この実験においては、混合装置100において生理食塩水を酸素で処理し、出力材料102のサンプルを、フィルタ処理なしの状態で収集した。フィルタ処理なしのサンプルのDOレベルは、44.7ppmであった。出力材料102を、0.1ミクロンのフィルタを使用してフィルタ処理し、2つのさらなるサンプルを収集した。第1のサンプルのDOレベルは、43.4ppmであった。第2のサンプルのDOレベルは、41.4ppmであった。次いで、フィルタを取り除き、最後のサンプルをフィルタ処理なしの出力材料102から得た。最後のサンプルは、45.4ppmのDOレベルを有していた。これらの結果は、Milliporeの0.22ミクロンのフィルタを使用して観察された結果に一致している。これらの結果から、0.1ミクロンのフィルタに通した出力材料102のDOレベルが、わずかにしか減少しておらず、処理後の生理食塩水中の気泡の大部分が0.1ミクロン以下のサイズであるということを示しているという結論が導かれる。上記のDOレベル試験の結果は、Winkler滴定を用いて達成された。
【0042】
この技術分野において理解されるとおり、(界面の)二重層(DL)は、液体内に配置された物体の表面に現れる。この物体は、例えば、固体表面(例えば、ロータおよびステータの表面)、固体粒子、気泡、液滴、または多孔質体の物体であってよい。混合装置100において、気泡の表面が、界面動電二重層効果のために利用することができる混合チャンバ内に存在する全表面積のうちの大きな割合を呈する。したがって、本明細書のどこかで説明される表面積および保持時間の態様に加えて、ミキサ100において生成される気泡のサイズが従来技術の装置10に比べて小さいことも、本明細書に開示の全体的な界面動電効果および出力流体の特性に、少なくとも或る程度は貢献できる。具体的には、好ましい実施形態において、ミキサ100によって示されるとおり、ガスのすべてが、ロータの開口を介して導入される(ステータの開口を通って導入されるガスがない)。ロータは、高速(例えば、3,400rpm)で回転しており、ロータの表面またはその付近に大きなせん断力を生成しているため、回転しているロータの表面の開口を介して導入され、それらに隣接している気泡の気泡サイズは、静止しているステータを介して導入され、静止しているステータの付近にある気泡の気泡サイズに比べ、大幅に小さく(2〜3倍小さく)なると予想される。このように、従来技術の装置10の平均気泡サイズは、ガスの少なくとも半分が静止しているステータの開口から混合チャンバへと導入されるため、大幅に大きくなる可能性がある。球表面の表面積はrによって変化するため、混合装置100の界面動電効果の表面積のうちのそのような気泡の寄与分は、従来技術の拡散装置10のそれに比べて大幅に大きくなりうる。
【0043】
したがって、理論に拘束されるわけではないが、混合装置100の混合チャンバが、(i)従来技術の装置10に比べて大幅に大きい表面−容積の比(従来技術の装置10が、10.9という表面−容積の比を有する一方で、本ミキサ100は、39.4という表面−容積の比を有する)を、(ii)7倍も長い滞留時間とともに有するだけでなく、(iii)電流出力溶液の独自の特性が、混合装置100における大幅に大きな気泡の表面積からの寄与を反映することができる。これらの際立つ態様は、本発明の混合装置100の際立った特徴を反映しており、それぞれ本発明の出力材料/流体の独自の界面動電特性に寄与すると考えられる。
【0044】
次に、図30を参照すると、混合装置100において酸素富化されて、500mlの薄肉プラスチック瓶および1000mlのガラス瓶に少なくとも365日にわたって保存された水中のDOレベルが示されている。それぞれの瓶にキャップをし、華氏65度で保存した。図に見ることができるとおり、酸素富化した流体のDOレベルが、少なくとも365日にわたってかなり一定のままである。
【0045】
図31を参照すると、混合装置100において酸素富化されて、500mlのプラスチック薄肉瓶および1000mlのガラス瓶に保存された水中のDOレベルが示されている。どちらの瓶も、華氏39度で冷蔵した。やはり、酸素富化した流体のDOレベルが、少なくとも365日にわたって安定に保たれ、わずかしか低下していない。
【0046】
次に、図32を参照すると、混合装置100において酸素富化されて、32オンスのGATORADE(登録商標)瓶に保存されたGATORADE(登録商標)中の溶存酸素レベルが示されており、キャップ付けにおける平均温度は華氏55度である。その後に、GATORADE(登録商標)瓶を、キャップ付けと開封との間、華氏38度で冷蔵した。実験の際に、別々のボトルをそれぞれ20、60、および90日で開封し、内部に保存されているGATORADE(登録商標)のDOレベルを測定した。線8102は、華氏38度における通常の(すなわち、未処理の)GATORADE(登録商標)のDOレベルを表し、これは、10ppmをわずかに下回っている。
【0047】
第1のグループのGATORADE(登録商標)瓶のGATORADE(登録商標)は、華氏約56度で、混合装置100において酸素で処理されている。瓶詰め時のGATORADE(登録商標)のDOレベルは、点8104によって示されるとおり、約50ppmであった。第1のボトルをおよそ20日で開き、GATORADE(登録商標)のDOレベルを割り出したところ、点8106によって示されるとおり約47ppmであった。その後に、第2のボトルを60日で開き、GATORADE(登録商標)のDOレベルを測定したところ、点8108によって示されるとおり約44ppmであった。最後に、第3のボトルを90日で開き、GATORADE(登録商標)のDOレベルを割り出したところ、点8110によって示されるとおり40ppmをわずかに下回っていた。
【0048】
第2のグループのGATORADE(登録商標)瓶のGATORADE(登録商標)は、華氏約52度で、混合装置100において酸素で処理されている。このグループの瓶に保存されたGATORADE(登録商標)の初期のDOレベルは、点8112によって示されるとおり45ppmであった。20日目に開かれたボトルのGATORADE(登録商標)は、点8114によって示されるとおり、45ppmよりも少しだけ低いDOレベルを有していた。GATORADE(登録商標)の第2の瓶を60日目に開いたところ、内部のGATORADE(登録商標)は、41ppmをわずかに超えるDOレベルを有していた。最後に、GATORADE(登録商標)の第3の瓶を90日目に開いたところ、内部のGATORADE(登録商標)は、点8116によって示されるとおり約39ppmのDOレベルを有していた。上述のように、プラスチックおよびガラス瓶での水の試験(図31を参照)に関して、DOレベルが90日の期間にわたって比較的高いレベルを維持し、32オンスのGATORADE(登録商標)瓶に保存された通常の(処理なしの)GATORADE(登録商標)中に存在するレベルよりも大幅に高いままであることを、見て取ることができる。点8010が、蓋付きPETボトル内の本発明の出力流体に対応するレベルである。
【0049】
(本発明のプロセスによって本発明の組成物に付与される水和(溶媒和)電子を含んでいる組成物)
本明細書に記載のとおりの特定の実施形態(「二重層」の項目を参照)においては、酸素分子が流体に拡散または混合され、流体に付与された電荷(例えば、水和(溶媒和)電子)を安定させるべく機能することができる本明細書に開示の電気機械プロセスによって、ガス富化流体が生成される。理論または機構に拘束されるわけではないが、本発明の特定の実施形態は、第1の材料が本発明のミキサ装置において酸素と混合させられて一体となった出力材料をもたらすときに材料に加えられる電荷(例えば、水和(溶媒和)電子)を含んでいる酸素富化流体(出力材料)に関する。特定の態様によれば、これらの水和(溶媒和)電子(本明細書において、「溶媒和電子」とも称する)は、これらの水和(溶媒和)電子によって仲立ちされる検定可能な効果の持続によって証明されるとおり、本発明の溶液において安定化される。特定の実施形態は、水和(溶媒和)電子および/または水−電子構造、クラスタ、などに関係することができる(例えば、Lee and Lee、Bull.Kor.Chem.Soc.2003、v.24,6;802−804;2003を参照)。
【0050】
新規なHRPベースのアッセイ:西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)は、西洋わさびの根(Amoracia rusticana)から分離され、ペルオキシダーゼのフェロプロトポルフィリン基(ヘム基)に属する。HRPは、過酸化水素または他の水素供与体と容易に結合し、ピロガロール基質を酸化させる。さらに、この技術分野において理解されているとおり、HRPは、過酸化水素の不在においてインドール−3−酢酸の自動酸化分解を促進する(例えば、ここでの言及によって全体が本明細書に援用されるHeme Peroxidases、H.Brian Dunford、Wiley−VCH、1999、Chapter 6、pages 112−123(自動酸化が高効率な分岐鎖機構を含む旨を記載している)を参照)。HRP反応を、比活性度がピロガロール単位に関して表現される酵素活性単位にて測定することができる。1ピロガロール単位は、pH6.0で20℃において20秒でピロガロールから1.0mgのプルプロガリンを形成する。このプルプロガリン(20秒)単位が、25℃において毎分約18μM単位に相当する。
【0051】
【化1】

本発明の特定の態様によれば、酸素富化した本発明の流体(出力材料)が、西洋わさびペルオキシダーゼの存在下でピロガロールと反応するために、本明細書において説明および開示されている。反応は、過酸化水素、超酸化物、または他の反応性の酸素の種が酸素富化した本発明の流体において検出されていないため、ピロガロールの自動酸化に起因している可能性が最も高い。この反応の程度は、加圧酸素溶液(圧力ポット酸素溶液)のそれよりも高く、過酸化水素のそれよりも低い。
【0052】
具体的には、本出願の出願人が、過酸化水素が存在しない(0.1ppmの感度で何も検出されない)一方で、本発明のガス富化流体が、一貫して西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でのピロガロールのプルプロガリンへの明らかな自動酸化の促進を特徴とすることができることを明らかにした。すなわち、出願人は、過酸化水素の非存在下でのインドール−3−酢酸の自動酸化分解のHRPによる促進の場合と同様に、過酸化水素の非存在下でのピロガロールの自動酸化分解のHRPによる促進を発見した。特定の態様によれば、この活性の存在およびレベルが、本発明の組成物を従来技術に照らして区別する特徴である。
【0053】
特定の実施形態において、本発明のガス富化流体は、HRPの存在および過酸化水素の不在のもとで、約0.5ppmの過酸化水素、約0.8ppmの過酸化水素、約1ppmの過酸化水素、約2ppmの過酸化水素、約3ppmの過酸化水素、約4ppmの過酸化水素、約5ppmの過酸化水素、約6ppmの過酸化水素、約7ppmの過酸化水素、約8ppmの過酸化水素、約9ppmの過酸化水素、約10ppmの過酸化水素、約11ppmの過酸化水素、約12ppmの過酸化水素、約20ppmの過酸化水素、約40ppmの過酸化水素、約50ppmの過酸化水素、あるいはこれらの間の任意の値、またはそれ以上と同等なピロガロール自動酸化速度を(本明細書において「定義」の項で画定される標準条件のもとで)促進する。
【0054】
西洋わさびペルオキシダーゼ酵素が、流体内の分子酸素との反応を促進することによって、ピロガロールの自動酸化を触媒することが知られている(Khajehpourら、PROTEINS:Struct,Funct,Genet.53:656−666(2003))。また、酸素が、その構造がおそらくは内部への酸素のアクセス性を決定する西洋わさびペルオキシダーゼ酵素の疎水ポア領域(Phe68とPhe142との間)を介して、酵素のヘムポケットに結合することも、知られている。機構に拘束されるわけではないが、たんぱく質の表面電荷が、たんぱく質の構造を左右することがたんぱく質の技術分野において知られているため、本発明によるガス富化流体に存在する溶媒和電子が、西洋わさびペルオキシダーゼの構造を酸素のアクセス性がより大になるように変えるべく機能することがありうる。その結果、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素の人工のヘムポケットへと酸素のアクセス性が高くなることで、従来技術の酸素富化流体(圧力ポット、微細気泡)に比べて、ピロガロールとの反応性の向上が可能になると考えられる。あるいは、本発明の出力組成物の追加の電子または溶媒和電子は、西洋わさびペルオキシダーゼ酵素(HRP)の存在下でのピロガロールのプルプロガリンへの明らかな自動酸化の促進を可能にするために、他の態様で機能することができる。
【0055】
いずれにせよ、特定の態様によれば、本発明の方法および装置を使用した出力材料の生成は、電荷の勾配をもたらす界面二重層、摩擦電気効果によって表面から離れるように電荷(例えば、電子)を引張る表面に対する材料の移動(材料の流れが、溶媒和電子の流れを生み出す)を伴うプロセスを含んでいる。さらに、機構に拘束されるわけではないが、さらなる態様によれば、二原子酸素の軌道構造が、流体材料(水)内の水素結合の構成に電荷のアンバランスを生み出し(例えば、2つの対ではない電子が水の水素結合に影響を及ぼす)、電子がアンバランスな状態で溶媒和および安定化される。
【0056】
本発明の富化された酸素および二重層効果によって付与される溶媒和電子の組み合わせ、ならびに請求項に記載される装置の構成が、HRPの存在下でのピロガロールの自動酸化を促進し、これは、光学密度によって容易に監視および定量化できる本発明の出力材料組成物の特筆すべき特徴である。典型的には、本発明の酸素富化した組成物は、同等の溶存酸素濃度を有する加圧(圧力ポット)または微細気泡のコントロール流体に比べ、標準的なアッセイにおいて約20%も高い光学密度の読み取りをもたらすことを特徴とする。
【0057】
(ピロガロール反応性試験)
一定の分量の本発明の酸素富化した出力材料を、市販の西洋わさびペルオキシダーゼおよびピロガロール・アッセイ(Sigma)を使用することによって、ペルオキシダーゼ活性について試験した。要約すると、ピロガロール原液を、脱イオン水で準備した。ピロガロールは、基質(過酸化水素など)と反応してプルプロガリンおよび水をもたらすため、流体についての西洋わさびペルオキシダーゼ酵素のペルオキシダーゼ活性の指標である。西洋わさびペルオキシダーゼ、ピロガロール、および適切なリン酸カリウム緩衝液を含む試験流体を、他の流体と比較した。過酸化水素を、ポジティブコントロールとして使用した。試験した他の流体が、所望の溶存酸素レベルに達するように100psiまで圧力ポットにおいて酸素化し、かつ加圧した水である(圧力ポット)一方で、別の流体を、開放ビーカーでエアーストーンによって酸素化した(微細気泡)。試験被験体のすべての流体を室温に維持し、約55ppmの溶存酸素レベルを(FOXYプローブで)測定した。水サンプルを、酵素試薬を加えることによって試験した。連続的な分光光度法による速度の測定を、A420nmおよび室温(摂氏25度)において行った。
【0058】
図8A〜8Eに示されるとおり、本発明の酸素富化流体が、ピロガロールによって西洋わさびペルオキシダーゼとの反応性について陽性の試験結果を示したのに対し、圧力ポットおよび微細気泡の水サンプルは、はるかに少ない反応性であった。図37Eに示されるとおり、他のガスを富化した本発明の流体が、同じ態様では反応していないことから、酸素が、西洋わさびペルオキシダーゼの存在下でのピロガロールとの反応に必要である。
【0059】
本明細書に記載のとおり、過酸化水素の存在について本発明の酸素富化流体のいくつかの化学試験を実行したが、それらの試験のいずれも、(0.1ppmという過酸化水素の感度で)陽性ではなかった。したがって、本出願の新規な酸素富化流体は、過酸化水素の非存在下で、ペルオキシダーゼによって促進される自動酸化活性をもたらしている。
【0060】
したがって、本出願の新規な酸素富化流体は、過酸化水素の非存在下でペルオキシダーゼによって促進される自動酸化活性をもたらしている。特定の実施形態において、本出願の出願人は、西洋わさびペルオキシダーゼ効果が、それを保存してなる瓶を開けた後も少なくとも7時間まで残ることを確認した。他の実施形態において、本出願の出願人は、西洋わさびペルオキシダーゼ効果が、閉鎖容器での105日間の保存後に、閉鎖容器を開けた後も残っていることを確認した。対照的に、他の実施形態において、本出願の出願人は、単に流体を加圧することによって作り出した同等の溶存酸素レベルを試験したときに、バックグラウンドのHRP効果の低下がすぐに生じ、4時間足らずで劇的に低下することを確認した。
【0061】
(グルタチオンペルオキシダーゼの検討)
本発明の酸素富化した出力流体材料を、標準的なアッセイ(Sigma)を使用してグルタチオンペルオキシダーゼとの反応性を試験することによって、過酸化水素の存在について試験した。水サンプルを、酵素試薬を加えることによって試験した。連続的な分光光度法による速度の測定を、A340nmおよび室温(摂氏25度)において行った。試験したサンプルは、1.脱イオン水(ネガティブコントロール)、2.低濃度の本発明の酸素富化流体、3.高濃度の本発明の酸素富化流体、4.過酸化水素(ポジティブコントロール)である。図38に示されるとおり、過酸化水素(ポジティブコントロール)が、強力な反応性を示した一方において、試験した他の流体はいずれも、グルタチオンと反応することはなかった。
【0062】
(特異なDNA耐熱性)
本発明の特定の実施形態は、本発明の組成物のもう1つの特筆すべき特徴を提供する。具体的には、本出願の出願人は、コントロール流体と比べ、本発明の出力流体に関して核酸の特異な耐熱性が存在することを発見した。例えば、富化されていない脱イオン水に比べて本発明の酸素富化出力材料において測定されるときのT7プロモータープライマー5’−d(TAATACGACTCACTATAGGG)−3’(配列番号:1)である。水の温度が上昇するとき、DNAオリゴマー構造が、構造変化を実行する。図44に示されているように、このオリゴについてこの技術分野において認識されている約48℃の溶融温度に一致して、T7 DNAが、コントロール(脱イオン水)においては摂氏約50度で変性し始めるのに対し、酸素富化した本発明の流体中のDNAは、摂氏約60度まで変わらないままである。このように、溶媒和電子を含んでいる本発明の酸素富化流体は、コントロール流体と比べたときに、DNAにより高い耐熱性を与え、光学密度の測定によって容易に監視および定量化できる本発明の出力材料組成物のさらなる特筆すべき特徴を提供する。
【0063】
(ガス富化した流体または溶液を生成するための装置)
(関連技術の記述)
図1は、1つ以上のガス状または液状の材料(「注入材料」)を別のガス状または液状の材料(「ホスト材料」)へと拡散させ、あるいは乳化させるための従来技術の装置10について、参照によってその全体が本明細書に援用される特許文献1から再現した一部分のブロック図および部分断面図を提示している。装置10は、ステータ30およびロータ12を収容するように構成された筐体を備えている。ステータ30が、ロータ12を取り囲んでいる。筒状のチャネル32が、ロータ12とステータ30との間に画定されている。概して円筒形のロータ12が、約7.500インチの直径および約6.000インチの長さを有しており、約0.8という直径に対する長さの比をもたらしている。
【0064】
ロータ12は、両端において概して閉じられている中空円筒を含んでいる。ロータ12の第1および第2の端部のそれぞれと、筐体34の一部分との間に、ギャップが存在している。モータ18によって駆動される回転シャフト14が、ロータ12の第2の端部に接続されている。ロータ12の第1の端部は、導入口16に接続されている。第1の注入材料が、導入口16を通り、ロータ12の内部へと通過する。第1の注入材料は、ロータ12の内部から、ロータ12に形成された複数の開口22を通って、チャネル32へと通過する。
【0065】
ステータ30も、外周の周りに形成された開口22を有している。導入口36が、第2の注入材料を、ステータ30と筐体34との間の領域35に通す。第2の注入材料は、領域35を出て、開口22を通ってチャネル32へと通過する。
【0066】
外部のポンプ(図示されていない)が、ホスト材料をただ1つの導入ポート37に送るために使用される。ホスト材料は、ただ1つの導入ポート37を通ってチャネル32を通過し、チャネル32において、開口22を通ってチャネル32に入る第1および第2の注入材料に出会う。ホスト材料が開口22を通過することがないように、注入材料を、それらの供給源において加圧してもよい。
【0067】
導入ポート37は、環状の導入チャネル32のうちの比較的小さな部分(<約5%)にのみ沿って位置するように構成および配置されており、チャネル32の一部分へと向かう軸方向の流れをホスト材料に付与するために、ロータ12の回転軸に実質的に平行である。
【0068】
あいにく、筒状のチャネル32に進入する前に、ホスト材料は、軸方向の流れの方向以外の屈曲した方向(例えば、軸方向の流れに実質的に直交する方向など)に移動し、そして、ロータ12の第1の端部と筐体34との間に形成されるギャップへと移動して、このギャップの間を移動しなければならない(すなわち、ロータ12の端部と筐体34との間の、導入口16に隣接するロータの第1の端部の一部分を移動する)。この軸方向でなくて直角な流れ、ならびにロータ12の第1の端部と筐体34との間のギャップにおけるホスト材料の存在が、望ましくない不必要な摩擦を引き起こす。さらに、ホスト材料の一部が、ロータの第1の端部と筐体との間で渦を巻く渦流に捕らえられる可能性がある。さらには、装置10において、ホスト材料は、筒状のチャネル32の環状の導入口の任意の態様へと進入するために、少なくとも2つの直角を通り抜けなければならない。
【0069】
ただ1つの排出口40が、筐体34に形成されている。組み合わされたホスト材料および注入材料が、排出口40を経由してチャネル32を出る。排出口40は、やはり筒状のチャネル32の環状の出口のうちの限られた部分(<約5%)のみに沿って位置しており、この筒状のチャネル32の環状の出口のうちの限られた部分から離れて排出口40へと入る組み合わされた材料の軸方向の流れをもたらし、あるいはそのような流れを可能にするために、ロータ12の回転軸に実質的に平行である。流体を排出口40を通して汲み出すために、外部のポンプ42が使用される。
【0070】
あいにく、チャネル32を出る前に、流出する材料のかなりの部分が、軸方向の流れの方向以外の屈曲した方向(例えば、軸方向の流れに実質的に直交する方向など)に移動しなければならず、そして、ロータ12の第2の端部と筐体34との間に形成されるギャップへと移動し、このギャップの間を移動しなければならない(すなわち、ロータ12の端部と筐体34との間で、シャフト14に隣接するロータの第2の端部の一部分を移動する)。上述のように、この軸方向でない直角な流れ、ならびにロータ12の端部(この場合には、第2の端部)と筐体34との間の別のギャップにおけるホスト材料の存在が、望ましくない不必要なさらなる摩擦を引き起こす。さらに、ホスト材料の一部が、ロータの第2の端部と筐体との間で渦を巻く渦流に捕らえられる可能性がある。さらには、装置10において、流出する組み合わせ後の材料のかなりの部分が、筒状のチャネル32の環状の出口から排出口40に出て行くために、少なくとも2つの直角を通り抜けなければならない。
【0071】
当業者にとって明らかであるとおり、導入ポート37は、ホスト材料に軸方向の流れのみを付与する。ロータ21のみが、ホスト材料に周方向の流れを付与する。さらに、排出口40は、流出する材料に軸方向の流れのみを付与または提供する。さらに、周方向の流れの速度ベクトルは、筒状のチャネル32の環状の導入口37に進入後においてのみ、材料に付与され、その後、材料が排出口40へと進入するときに、周方向の流れのベクトルを低下させ、あるいは除去するはずである。したがって、材料がチャネル32を軸方向に通過するときに、材料に対して漸進的な周方向の加速度が必要であり、材料がチャネル32から出るとき、周方向の減速度が必要である。これらの態様が、導入ポート37から排出口40へと材料がとる屈曲した経路と相俟って、経路に実体摩擦および流体抵抗を引き起こし、これに付随して、導入ポート37と排出口40との間の圧力差が大きくなり(例えば、60ガロン/分の流量において、26psi)、これらの要因が複合して、とりわけシステムの全体としての効率を低下させる。
【0072】
(動電学的に酸素富化された水性の流体および溶液)
図2は、混合装置100の構成要素のうちのいくつか、ならびにこの装置への/この装置内の/この装置からの流れを示すブロック図を提示している。混合装置100は、2つ以上の入力材料を組み合わせて出力材料102を形成し、出力材料102を、混合装置100から貯蔵容器104へと受け取ることができる。混合装置100は、2つ以上の入力材料を新規な方法で攪拌して、新規な特性を有する出力材料102を生成する。出力材料102として、入力材料のうちの1つの残りの入力材料のうちの少なくとも1つへの懸濁液(例えば、乳濁液)だけでなく、入力材料の新規な組み合わせ(例えば、静電的な組み合わせ)、入力材料間の化学反応からもたらされる化合物、新規な静電特性を有する組み合わせ、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0073】
入力材料は、第1の材料の供給源112によって提供される第1の材料110、第2の材料の供給源122によって提供される第2の材料120、および選択的に第3の材料の供給源132によって提供される第3の材料130を含むことができる。第1の材料110として、水、生理食塩水、化学懸濁液、極性液体、無極性液体、コロイド懸濁液、細胞生育培地、などといった液体を挙げることができる。いくつかの実施形態においては、第1の材料110が、混合装置100へと戻される出力材料102を含んでもよい。第2の材料120は、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、オゾン、硫黄ガス、亜酸化窒素、一酸化窒素、アルゴン、ヘリウム、臭素、およびこれらの組み合わせ、などのガスで構成でき、あるいはこれらのガスを含むことができる。好ましい実施形態においては、ガスが酸素であり、あるいは酸素を含んでいる。選択的な第3の材料130は、液体またはガスを含むことができる。いくつかの実施形態においては、第3の材料130が、混合装置100へと戻される(例えば、ポンプ210、220、または230のうちの1つ以上へと戻され、さらに/またはチャンバ310および/または330へと戻される)出力材料102であっても、あるいはそのような出力材料102を含んでもよい。
【0074】
選択的に、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130を、それぞれ外部のポンプ210、外部のポンプ220、および外部のポンプ230によって混合装置100へと送り込むことができる。あるいは、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130のうちの1つ以上を、それぞれ圧力下で供給源112、供給源122、および供給源132に貯蔵し、圧力によって混合装置100へと押し出してもよい。本発明は、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130をそれぞれの供給源112、供給源122、および供給源132から混合装置100に移動させるために使用される方法によって限定されるわけではない。
【0075】
混合装置100は、混合チャンバ330の側方に位置する第1のチャンバ310および第2のチャンバ320を備えている。3つのチャンバ310、320、および330は、互いに接続されて連続的な容積を形成している。
【0076】
第1の材料110が、第1のチャンバ310へと運ばれ、第1のチャンバ310から混合チャンバ330へと流入する。第1のチャンバ310内の第1の材料110を、内部のポンプ410によって第1のチャンバ310へと送ることができる。第2の材料120が、混合チャンバ330へと運ばれる。選択的に、第3の材料130を、混合チャンバ330へと運ぶことができる。混合チャンバ330内の材料が、混合チャンバ330内で混合され、出力材料102が形成される。次いで、出力材料102は、第2のチャンバ320へと流れ、第2のチャンバ320から混合装置100を出る。混合チャンバ330内の出力材料102を、内部のポンプ420によって第2のチャンバ320へと送ることができる。選択的に、第2のチャンバ320内の出力材料102を、外部のポンプ430(例えば、単独あるいは内部のポンプ410および/または420との組み合わせ)によって第2のチャンバ320から貯蔵容器104へと送ることができる。
【0077】
特定の態様においては、共通の駆動シャフト500が、内部のポンプ410および内部のポンプ420の両方を駆動する。駆動シャフト500は、混合チャンバ330を通過し、混合チャンバ330に第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130を混合するために使用される回転力を提供する。駆動シャフト500は、駆動シャフト500に接続されたモータ510によって駆動される。
【0078】
図3は、第1の材料110を混合装置100へと供給し、出力材料102を混合装置100から取り出すためのシステム512を提示している。システム512においては、出力材料102の貯蔵容器104および第1の材料110の供給源112が、結合されている。外部のポンプ210が、ホースおよびパイプなどといった流体管514によって、一体の貯蔵容器104/供給源112に接続されている。外部のポンプ210が、一体の貯蔵容器104/供給源112から一体の第1の材料110/出力材料102を、流体管514を通って、外部のポンプ210を混合装置100に接続している流体管516へと送る。出力材料102は、流体管518を通って混合装置100を出る。流体管518は、一体の貯蔵容器104/供給源112に接続されており、混合装置100を出る出力材料102を一体の貯蔵容器104/供給源112へと運ぶ。流体管518は、混合装置100内の動作圧力または背圧を確立するバルブ519を含んでいる。
【0079】
図2および11を参照し、混合装置100の実施形態の種々の構成要素のさらに詳しい説明を提示する。混合装置100は、規模の拡大縮小が可能である。したがって、種々の構成要素に関して提示される寸法は、装置の一実施形態を構築するために使用することが可能であり、あるいは選択されるサイズの混合装置を構築するために拡大縮小が可能である。
【0080】
図4に目を向けると、混合装置100は、第1のチャンバ310、混合チャンバ330、および第2のチャンバ320のそれぞれを収容する筐体520を備えている。上述のように、混合装置100は、装置の動作時に回転する駆動シャフト500を備えている。したがって、混合装置100は、振動その他の運動を呈する可能性がある。選択的に、混合装置100を、混合装置100を実質的に静止した位置に保つために、床などの表面へと取り付けることができるベース106に接続することができる。
【0081】
筐体520を、2つ以上の筐体部分から組み立てることができる。例として、筐体520は、第1の機械式密閉筐体524および第2の機械式密閉筐体526が側方に位置する中央部522を含むことができる。軸受筐体530を、第1の機械式密閉筐体524に中央部522の反対側で接続することができる。軸受筐体532を、第2の機械式密閉筐体526に中央部522の反対側で接続することができる。選択的に、筐体部分550を、軸受筐体530に接続することができる。
【0082】
軸受筐体530および532のそれぞれは、軸受アセンブリ540を収容することができる(図5および6を参照)。軸受アセンブリ540は、ペンシルベニア州KulpsvilleのSKF USA Inc,(ウェブサイトは、www.skf.com)が製造している型番「202SZZST」など、この技術分野において知られている任意の適切な軸受アセンブリを備えることができる。
【0083】
隣接する筐体部分の間に、シールを設けることができる。例えば、Oリング560(図5を参照)を、筐体部分550と軸受筐体530との間に配置することができ、Oリング562(図5を参照)を、第1の機械式密閉筐体524と中央部522との間に配置することができ、Oリング564(図6を参照)を、第2の機械式密閉筐体526と中央部522との間に配置することができる。
【0084】
(混合チャンバ330)
次に図7を参照すると、混合チャンバ330が、第1の機械式密閉筐体524と第2の機械式密閉筐体526との間の筐体520の中央部522の内側に配置されている。混合チャンバ330は、混合装置100の2つの構成要素、すなわちロータ600とステータ700との間に形成されている。ロータ600は、概して中空の内側部分610を画定する内表面605と、外表面606とを備えている側壁604を有することができる。側壁604は、約0.20インチ〜約0.75インチの厚さであってよい。いくつかの実施形態においては、側壁604が、約0.25インチの厚さである。しかしながら、混合装置100は、特定の用途に適するように拡大縮小が可能であるため、上記提示の値よりも厚い側壁604または薄い側壁604を有する装置の実施形態も、本発明の教示の範囲に包含される。側壁604は、第1の端部612および第2の端部614、ならびに第1の端部612と第2の端部614との間に形成された複数の貫通孔608を含んでいる。選択的に、側壁604の外表面606が、開口、突起、肌理、などといった別の特徴を備えてもよい。第1の端部612は、カラー618を収容するように構成された軽減部616を有しており、第2の端部614は、カラー622を収容するように構成された軽減部620を有している。
【0085】
ロータ600は、ステータ700の内側に配置されている。ステータ700は、ロータ600が配置される概して中空の内側部分710を画定する内表面705を備えている側壁704を有している。側壁704は、約0.1インチ〜約0.3インチの厚さであってよい。いくつかの実施形態においては、側壁604が、約1.5インチの厚さである。ステータ700は、実質的に静止した位置において、筐体520に回転せぬように接続されることができる。あるいは、ステータ700を、筐体520と一体に形成してもよい。側壁704が、第1の端部712および第2の端部714を有している。選択的に、複数の開口708が、第1の端部712と第2の端部714との間においてステータ700の側壁704に形成される。選択的に、側壁704の内表面705が、貫通孔、突起、肌理、などといった他の特徴を備えてもよい。
【0086】
ロータ600が、回転軸「α」を中心にして、図9の矢印「C3」によって示されている方向に、静止のステータ700に対して回転する。ロータ600およびステータ700のそれぞれは、概して円筒形の形状であってよく、長手軸を有することができる。ロータ600は、外径「D1」を有しており、ステータ700は、内径「D2」を有することができる。直径「D1」は、例えば約0.5インチ〜約24インチの範囲であってよい。いくつかの実施形態においては、直径「D1」は、約3.04インチである。いくつかの実施形態においては、直径「D1」は、約1.7インチである。直径「D2」は、直径「D1」よりも大きいが、約0.56インチ〜約24.25インチの範囲であってよい。いくつかの実施形態においては、直径「D2」は、約4インチである。したがって、混合チャンバ330は、約0.02インチから約0.125インチの厚さ(すなわち、直径「D2」と直径「D1」との間の差)のリング状の断面形状を有することができる。特定の実施形態においては、混合チャンバ330は、約0.025インチの厚さである。従来技術の装置10(図1を参照)のロータ12とステータ34との間のチャネル32は、約0.09インチの厚さのリング状の断面形状を有している。したがって、特定の実施形態において、混合チャンバ330の厚さは、従来技術の装置10のチャネル32の約3分の1よりも小さい。
【0087】
ロータ600の長手軸を、ロータ600の回転軸「α」に整列させることができる。ロータ600の長手軸を、ステータ700の長手軸に整列させることができる。ロータ600は、回転軸「α」に沿って約3インチ〜約6インチの長さを有することができる。いくつかの実施形態においては、ロータ600が、回転軸「α」に沿って約5インチの長さを有することができる。ステータ700は、回転軸「α」に沿って約3インチ〜約6インチの長さを有することができる。いくつかの実施形態においては、ステータ700が、回転軸「α」に沿って約5インチの長さを有することができる。
【0088】
ロータ600およびステータ700が、概して円筒形の形状の有するものとして描かれているが、別の形状も使用可能であることを、当業者であれば理解できるであろう。例えば、ロータ600およびステータ700が、円錐形、球形、任意の形状、などであってよい。さらに、ロータ600およびステータ700が、同一の形状である必要はない。例えば、ロータ600が円筒形であって、ステータ700が角胴形であっても、あるいはこの反対であってもよい。
【0089】
図4〜7に示されているステータ700の開口708および貫通孔608は、概して円柱形の形状である。貫通孔608の直径は、約0.1インチ〜約0.625インチの範囲であってよい。開口708の直径は、約0.1インチ〜約0.625インチの範囲であってよい。ステータ700の開口708の1つ以上が、他の開口708の直径とは異なる直径を有してもよい。例えば、開口708の直径が、ステータ700の第1の端部712からステータ700の第2の端部714へと大きくなっていてもよく、開口708の直径が、ステータ700の第1の端部712からステータ700の第2の端部714へと小さくなっていてもよく、あるいは開口708の直径が、ステータ700において別の態様で様々であってよい。ロータ600の貫通孔608の1つ以上が、残りの貫通孔608の直径と異なる直径を有してもよい。例えば、貫通孔608の直径が、ロータ600の第1の端部612からロータ600の第2の端部614へと大きくなっていてもよく、貫通孔608の直径が、ロータ600の第1の端部612からロータ600の第2の端部614へと小さくなっていてもよく、あるいは貫通孔608の直径が、ロータ600において別の態様で様々であってよい。
【0090】
別の実施形態を参照して後述されるとおり、開口708および貫通孔608は、概して円柱形以外の形状を有してもよく、そのような実施形態も、本発明の技術的範囲に包含される。例えば、貫通孔608が、狭い部位、円弧状の部位、先細りの部位、などを含んでもよい。図7を参照すると、貫通孔608のそれぞれが、外側部分608A、より狭い部分608B、および外側部分608Aとより狭い部分608Bとの間の移行をもたらしている先細りの部分608Cを含んでいる。同様に、開口708も、狭い部位、円弧状の部位、先細りの部位、などを含むことができる。
【0091】
図8が、ステータ700の開口708およびロータ600の貫通孔608の適切な配置について、これに限定されるわけではない一例を提示している。ステータ700の開口708を、回転軸「α」に実質的に直角である、実質的に平行な横列「SLAT−1」〜「SLAT−6」に配置することができる。また、ステータ700の開口708を、回転軸「α」に実質的に平行である、実質的に平行な縦列「SLONG−1」〜「SLONG−7」に配置することができる。換言すると、ステータ700の開口708を、直交する列からなる格子状のパターン(すなわち、横列が縦列に対して実質的に直角)であって、縦列「SLONG−1」〜「SLONG−7」を回転軸「α」に実質的に平行に有している格子状のパターンに配置することができる。
【0092】
ステータ700の開口708と同様に、ロータ600の貫通孔608を、回転軸「α」に実質的に直角である、実質的に平行な横列「RLAT−1」〜「RLAT−6」に配置することができる。しかしながら、ロータ600の貫通孔608を、直交する列からなる格子状のパターンに配置する代わりに、螺旋状の経路に沿って長手方向に延びる実質的に平行な列「RLONG−1」〜「RLONG−7」に配置することができる。あるいは、ロータ600の貫通孔608を、回転軸「α」に関して平行以外の或る角度で長手方向に延びる実質的に平行な列「RLONG−1」〜「RLONG−7」に配置してもよい。
【0093】
ステータ700の開口708およびロータ600の貫通孔608を、ロータ600がステータ700の内側に配置されたときに、横列「SLAT−1」〜「SLAT−6」がそれぞれ横列「RLAT−1」〜「RLAT−6」に少なくとも部分的に整列するように、構成することができる。この態様で、ロータ600がステータ700の内側で回転するときに、貫通孔608が開口708のそばを通過する。
【0094】
それぞれの横列「RLAT−1」〜「RLAT−6」における貫通孔608の横方向の間隔は、その横列のすべての貫通孔608が同時に、ステータ700の横列「SLAT−1」〜「SLAT−6」のうちの対応する1つの開口708に、少なくとも部分的に整列するような間隔である。縦方向に延びる列「RLONG−1」〜「RLONG−6」を、縦方向に延びるそれぞれの列の最初の横列「RLAT−1」の貫通孔608が、最後の横列「RLAT−6」の貫通孔608がステータ700の対応する最後の横列「SLAT−6」の開口708に部分的に整列し始めるよりも前に、対応する横列「SLAT−1」の開口708を完全に通過するように構成することができる。
【0095】
図8では、6つの横列および6つの縦方向に延びる列がロータ600に関して図示され、6つの横列および7つの縦方向に延びる列がステータ700に関して図示されているが、本発明の教示から離れることなく、ロータ600および/またはステータ700に関して、別の数の横列および/または縦列を使用できることは、当業者にとって明らかである。
【0096】
対応する横列の間で、一度に一致するのが1組の開口だけであることを保証するために、ステータ700のそれぞれの横列「SLAT−1」〜「SLAT−6」の開口708の数を、所定の数(例えば、1つ、2つ、など)だけ、ロータ600の対応するそれぞれの横列「RLAT−1」〜「RLAT−6」の貫通孔608の数と相違させることができる。したがって、例えば、横列「RLAT−1」が、ロータ600の外周の周りに等間隔で配置された20個の貫通孔608を有する場合に、横列「SLAT−1」が、ステータ700の外周の周りに等間隔で配置された20個の開口708を有することができる。
【0097】
図7に戻ると、混合チャンバ330が、開いた第1の端部332および開いた第2の端部334を有している。ロータ600の側壁604に形成された貫通孔608が、ロータ600の内側部分610を混合チャンバ330に接続している。
【0098】
ロータ600は、ロータ600の回転軸「α」に整列した駆動シャフト500によって、ステータ700の内側で回転させられる。駆動シャフト500を、ロータ600の第1の端部612および第2の端部614に接続でき、ロータ600の中空の内側部分610を貫いて延ばすことができる。換言すると、駆動シャフト500の一部分720が、ロータ600の中空の内側部分610に配置される。
【0099】
カラー618が、中空の内側部分610に配置される駆動シャフト500の一部分721を受け入れるように構成され、カラー622が、中空の内側部分610に配置される駆動シャフト500の一部分722を受け入れるように構成される。
【0100】
部分721は、約0.5インチ〜約2.5インチの範囲であってよい外径「D3」を有している。いくつかの実施形態においては、外径「D3」が、約0.625インチである。部分722は、直径「D3」と実質的に同様であってよい外径「D4」を有しているが、これは必須ではない。直径「D4」は、約0.375インチ〜約2.5インチの範囲であってよい。
【0101】
ロータ600を、カラー618およびカラー622のそれぞれによって、駆動シャフト500の部分721および部分722に回転しないように取り付けることができる。例として、カラー618および622のそれぞれを、それぞれ軽減部616および620の内側に設置することができる。次いで、一体となったロータ600/カラー618および622を、加熱して膨脹させることができる。次に、駆動シャフト500が、カラー618および622を貫いて挿入され、このアセンブリが冷却される。冷却時の収縮によって、カラー618および622が、それぞれ駆動シャフト500の部位722Aおよび722Bの周囲に締まり、駆動シャフト500がロータ600に対して回転することがないように充分にきつく駆動シャフト500を把持する。カラー618が、部分721および軽減部616のどちらに対しても回転せずに、駆動シャフト500の回転をロータ600の第1の端部612に伝える。カラー622が、部分722および軽減部620のどちらに対しても回転せずに、駆動シャフト500の回転をロータ600の第2の端部614に伝える。駆動シャフト500とロータ600とが、単一のユニットとして共に回転する。
【0102】
駆動シャフト500は、第1の端部724(図5を参照)および第2の端部726(図6を参照)を有することができる。第1の端部724は、約0.5インチ〜約1.75インチの直径「D5」を有することができる。特定の実施形態においては、直径「D5」は、約1.25インチであってよい。第2の端部726は、実質的に直径「D5」と同様の直径「D6」を有することができる。
【0103】
第2の材料120を、回転する駆動シャフト500の第1の端部724および第2の端部726の一方を通って混合チャンバ330へと運ぶことができる。駆動シャフト500の第1の端部724および第2の端部726の他方を、モータ510に接続することができる。図5および6に示した実施形態においては、第2の材料120が、駆動シャフト500の第1の端部724を通って混合チャンバ330へと運ばれ、駆動シャフト500の第2の端部726は、モータ510に接続されている。
【0104】
図5に目を向けると、駆動シャフト500に、第1の端部724からロータ600の内側部分610に位置する部分720へと延びるチャネル728を形成することができる。チャネル728は、第1の端部724に形成された開口730を有している。混合装置100が動作しているとき、第2の材料120が、開口730を通ってチャネル728へと導入される。
【0105】
バルブ732を、駆動シャフト500の第1の端部724に位置するチャネル728の部位の内側に配置することができる。バルブ732は、チャネル728を通っての中空の内側部分610の内部からの第2の材料120の逆方向の流れ、および/またはチャネル728へと入る第2の材料120の順方向の流れを、制限または制御することができる。バルブ732は、逆止弁など、この技術分野において知られている任意のバルブを含むことができる。適切な逆止弁として、ワシントン州Bothellに事務所を有するLee Company USA(ウェブサイトは、www.theleeco.com)が製造している部品番号「CKFA1876205A」のフリー・フロー・フォワード逆止弁が挙げられる。
【0106】
駆動シャフト500は、チャネル728をロータ600の内側部分610に接続する開口740を、ロータ600の内側部分610に位置させて備えることができる。図5にはただ1つの開口740が示されているが、チャネル728をロータ600の内側部分610に接続するために、複数の開口を使用してもよいことは、当業者にとって明らかである。
【0107】
図2を参照すると、選択的に、外部のポンプ220が、第2の材料120を混合装置100に送ることができる。ポンプ220として、この技術分野において知られている任意の適切なポンプを挙げることができる。これらに限定されるわけではないが、ポンプ220として、ダイアフラムポンプ、化学ポンプ、蠕動ポンプ、重力送りポンプ、ピストンポンプ、歯車ポンプ、および上述の任意のポンプの組み合わせ、など、この技術分野において知られている任意の適切なポンプを挙げることができる。第2の材料120がガスである場合には、このガスを加圧し、供給源122からガスを放出することによって、駆動シャフト500の第1の端部724に形成された開口730へと押し込むことができる。
【0108】
ポンプ220および供給源122は、バルブ732によってチャネル728に接続される。チャネル728内へと運ばれた第2の材料120は、開口740を通ってロータ600の内側部分610へとチャネル728を出る。次いで、第2の材料120は、ロータ600の側壁608に形成された貫通孔608を通って、ロータ600の内側部分610を出る。
【0109】
図5を参照すると、混合装置100は、駆動シャフト500の第1の端部724に接続されたシールアセンブリ750を備えることができる。シールアセンブリ750は、筐体520に画定されたチャンバ752内に保持されている。チャンバ752は、第1の端部754を、第2の端部756からチャンバの向こう側に離れた状態で有している。さらにチャンバ752は、チャンバ752へのアクセスを提供する導入ポート758および排出口759を備えている。チャンバ752は、筐体部分550および軸受筐体530によって画定されることができる。第1の端部754を、筐体部分550に形成でき、第2の端部756を、軸受筐体530に隣接させることができる。導入ポート758を、軸受筐体530に形成でき、排出口759を、筐体部分550に形成することができる。
【0110】
シールアセンブリ750は、第1の固定シール760を、筐体部分550および軸受筐体530内のチャンバ752の第1の端部754に設置して備えている。第1の固定シール760は、駆動シャフト500の第1の端部724の部位762の周囲に広がっている。さらに、シールアセンブリ750は、第2の固定シール766を、軸受筐体530内のチャンバ752の第2の端部756に設置して備えている。第2の固定シール766は、駆動シャフト500の第1の端部724の部位768の周囲に広がっている。
【0111】
シールアセンブリ750は、部位762と部位768との間の駆動シャフト500の第1の端部724に、回転しないように接続された回転アセンブリ770を含んでいる。回転アセンブリ770は、駆動シャフトと共に1つのユニットとして回転する。回転アセンブリ770は、第1のシール772を第2のシール774の反対側に備えている。付勢部材776(例えば、ばね)が、第1のシール772と第2のシール774との間に位置している。付勢部材776が、第1のシール772を第1の固定シール760に向かって付勢し、第2のシール774を第2の固定シール766に向かって付勢する。
【0112】
冷却潤滑剤が、チャンバ752および回転アセンブリ770の周囲に供給される。潤滑剤は、導入ポート758を通ってチャンバ752に進入し、排出口759を通ってチャンバ752から出る。潤滑剤は、軸受筐体530に収容された軸受アセンブリ540を潤滑することができる。チャンバ570を、軸受筐体530と機械式密閉筐体524との間に配置することができる。さらに、軸受筐体530は、潤滑剤を送ることができるチャンバ570に接続された第2の導入ポート759を備えることができる。チャンバ570に送り込まれる潤滑剤は、軸受アセンブリ540を潤滑することができる。シールアセンブリ750は、ロータ600の回転によって引き起こされる、装置のこの部分における摩擦力を、著しくではないかも知れないが、有意に減少させることができ、シール770の寿命を伸ばすことができる。シールは、炭化ケイ素を使用して構成された表面を含むことができる。
【0113】
図9を参照すると、ロータ600が回転軸「α」を中心にして矢印「C1」によって示されている方向に回転するとき、ロータ600は、第2の材料120を混合チャンバ330へと排出する。排出される第2の材料120の泡、液滴、粒子、などが、ロータ600から出るが、この排出される第2の材料120の泡、液滴、粒子、などに、ロータ600によって周方向の速度(矢印「C3」によって示されている方向)が付与される。第2の材料120を、ポンプ220(図2を参照)、回転するロータ600の遠心力、第1の材料110に対する第2の材料120の浮力、およびこれらの組み合わせによって、混合チャンバ330から押し出すことができる。
【0114】
(モータ510)
図6に戻ると、駆動シャフト500の第2の端部726を、継手900によってモータ510の回転スピンドル780に接続することができる。スピンドル780は、約0.25インチ〜約2.5インチの直径「D7」を有するほぼ円形の断面形状を有することができる。特定の実施形態においては、直径「D7」が、約0.25インチ〜約1.5インチであってよい。図6に示した実施形態においては、駆動シャフト500の第1の端部724の直径「D5」は、直径「D7」およびスピンドル780に実質的に等しいが、直径「D5」および直径「D7」の一方が他方よりも大きい実施形態も、本発明の範囲に包含される。
【0115】
図4も参照すると、継手900を覆い、あるいは遮蔽することが望ましいかも知れない。図4および6に示した実施形態においては、駆動部ガード910が、継手900を覆っている。駆動部ガード910は、湾曲部914の側方に1対の実質的に直線状の部位915および916を位置させてなる概してU字形であってよい。駆動部ガード910の実質的に直線状の部位915および916のそれぞれの遠位端が、フランジ918および919をそれぞれ有することができる。駆動部ガード910を、フランジ918および919のそれぞれによって、ベース106に固定することができる。
【0116】
モータ510を、支持部材920によってベース106上に支持することができる。支持部材920を、スピンドル780の付近においてモータ510に接続することができる。図示の実施形態において、支持部材920は、スピンドル780が通過する貫通孔を備えている。支持部材920を、支持部材920を1本以上のボルト940によってモータ510に固定するなど、この技術分野において知られている任意の方法を使用して、モータ510に接続することができる。
【0117】
継手900は、ステータ700の内側でロータ600を回転させるために充分な量のトルクをスピンドル780から駆動シャフト500へと伝達することに適した任意の継手を含むことができる。図4および6に示した実施形態においては、継手900は、ベローズ継手である。ベローズ継手は、スピンドル780と駆動シャフト500との整列がずれている場合に、有益でありうる。さらに、ベローズ継手は、駆動シャフト500に加わる軸方向の力を吸収して、スピンドル780に伝わることがないようにする上で、役立つことができる。適切なベローズ継手として、マサチューセッツ州MarlboroughのRuland Manufacturing Company,Inc.(ウェブサイトは、www.ruland.com)が製造する「BC32−8−8−A」型が挙げられる。
【0118】
モータ510は、毎分約0.1回転(「rpm」)から約7200rpmまででロータ600を回転させることができる。モータ510として、本発明の教示に従ってステータ700の内側においてロータ600を回転させるために適した任意のモータを挙げることができる。これに限定されるわけではないが、適切なモータとして、230/460ボルトおよび毎分3450(「rpm」)で動作する半馬力の電動モータを挙げることができる。適切なモータとして、ウィスコンシン州GraftonのLEESON Electric Corporation(ウェブサイトは、www.leeson.com)が製造する「C4T34NC4C」型が挙げられる。
【0119】
(第1のチャンバ310)
図4および7に目を向けると、第1のチャンバ320が、第1の機械式密閉筐体524とロータ600、およびステータ700のそれぞれの第1の端部612および712との間で、筐体520の中央部522の内側に配置されている。第1のチャンバ310は、環状であってよく、実質的に円形の断面形状を有することができる。第1のチャンバ310および混合チャンバ330が、連続的な容積を形成している。駆動シャフト500の一部分1020が、第1のチャンバ310を貫いて延びている。
【0120】
図4から最もよく見て取ることができるように、第1のチャンバ310は、第1の材料110が混合装置100に通過して入る導入ポート1010を有している。第1の材料110を、外部のポンプ210(図2を参照)によって第1のチャンバ310の中へと送ることができる。外部のポンプ210は、第1のチャンバ310への供給のために充分な速度で第1の材料110を送るために、この技術分野において知られている任意のポンプを含むことができる。
【0121】
導入ポート1010は、回転軸「α」に対して実質的に直角に向けられている。したがって、第1の材料110は、第1のチャンバ310を貫いて延びている駆動シャフト500の部分1020の接線方向の速度を有しつつ、第1のチャンバ310に進入する。この第1のチャンバ310へと進入する第1の材料110の流れの接線方向が、矢印「T1」によって示されている。図4および7に示した実施形態においては、導入ポート1010を、回転軸「α」からずらすことができる。当業者にとって明らかであるとおり、駆動シャフト500の回転の方向(図9において矢印「C1」によって示されている)は、接線方向の成分を有している。導入ポート1010は、第1の材料110が、駆動シャフト500の回転の方向の接線方向の成分と実質的に同じ方向に移動しつつ、第1のチャンバ310へと進入するように、配置されている。
【0122】
第1の材料110は、第1のチャンバ310に入り、駆動シャフト500の部分1020の周囲で、第1のチャンバ310の内面によって向きを変える。第1のチャンバ310が実質的に円形の断面形状を有している実施形態においては、第1のチャンバ310の内面が、駆動シャフト500の部分1020を中心とする実質的に円形の経路(図9において、矢印「C2」によって示されている)へと第1の材料110を偏向させることができる。そのような実施形態においては、第1の材料110の接線方向の速度が、第1の材料110を、この接線方向の速度によって少なくとも部分的に決定される周方向の速度にて回転軸「α」を中心にして移動させる。
【0123】
ひとたび第1のチャンバ310に入ると、第1の材料110を、第1のチャンバ310の内部に位置するポンプ410によって、第1のチャンバ310から混合チャンバ330へと送ることができる。外部のポンプ210(図2を参照)を備える実施形態においては、この外部のポンプ210を、ポンプ410が第1の材料110を第1のチャンバ310から送り出す速度に比べ、少なくとも同じ速さで第1の材料110を第1のチャンバ310へと送り込むように構成することができる。
【0124】
第1のチャンバ310は、混合チャンバ330の開いた第1の端部332と連通しており、第1のチャンバ310内の第1の材料110が、混合チャンバ330の開いた第1の端部332へと自由に流入できる。この態様で、第1の材料110が、混合チャンバ330と第1のチャンバ310との間で、いかなる角またはカーブも通過することがない。図示の実施形態においては、第1のチャンバ310が、混合チャンバ330の開いた第1の端部332の全体と連通している。第1のチャンバ310を、第1の材料110によって完全に満たすことができる。
【0125】
ポンプ410は、第1のチャンバ310を貫いて延びている駆動シャフト500の部分1020によって駆動される。ポンプ410は、静止の筐体(すなわち、筐体520)によって画定されるチャンバ(すなわち、第1のチャンバ310)の内側に回転するポンプ部材2022を収容して有しているこの技術分野において知られている任意のポンプを含むことができる。適切なポンプの例として、これらに限られるわけではないが、プログレッシブ・キャビティ・ポンプなどの容積形ポンプ、シングル・スクリュ・ポンプ(例えば、アルキメデスのスクリュ・ポンプ)、などが挙げられる。
【0126】
図7および9に示されているポンプ410は、一般にシングル・スクリュ・ポンプと称される。この実施形態において、ポンプ部材2022は、駆動シャフト500の部分1020の周囲に配置されたカラー部2030を含んでいる。カラー部2030は、駆動シャフト500の部分1020と一緒に1つのユニットとして回転する。カラー部2030は、1つ以上の流体移動部材2040を含んでいる。図7および9に示した実施形態においては、カラー部2030が、螺旋の経路に沿ってカラー部2030に外接する螺旋形を有するただ1つの流体移動部材2040を含んでいる。
【0127】
図9を参照すると、第1のチャンバ310の内側が図示されている。ポンプ410が、第1のチャンバ310内の第1の材料110に、混合チャンバ330の開いた第1の端部332へと向かう軸方向の流れ(矢印「A1」および矢印「A2」によって示されている)を付与する。ポンプ410によって付与される第1の材料110の軸方向の流れは、従来技術の装置10(図1を参照)の外部のポンプによって得ることができる圧力を超えることができる圧力を有している。
【0128】
さらに、ポンプ410を、混合チャンバ330の開いた第1の端部332に向かって移動する第1の材料110に周方向の流れ(矢印「C2」によって示されている)を付与するように構成することができる。混合チャンバ330への進入前の第1の材料110に付与される周方向の流れは、第1の材料110を、すでに初期の周方向の速度で所望の方向に移動している状態で、混合チャンバ330に進入させる。図1に示した従来技術の装置10では、第1の材料110は、周方向の速度を持たずに従来技術の装置10のチャネル32に進入する。したがって、従来技術の装置10のロータ12は、自身単独で第1の材料110へと周方向の流れを付与しなければならない。第1の材料110が軸方向に移動しているため、従来技術の装置10においては、第1の材料110が、第1の材料110が混合装置100の混合チャンバ330を横切る場合よりも遅い周方向の速度で、ロータ12およびステータ30の間に形成されるチャネル32の少なくとも一部分を横切る。換言すると、第1の材料110の軸方向の速度が従来技術の装置10および混合装置100の両者において同じである場合、第1の材料110が混合チャンバ330の軸方向の長さを横切り終えるまでに完了させることができる回転軸「α」を中心にする回転が、チャネル32の軸方向の長さを横切り終えるまでに完了させることができる回転よりも多い。この追加の回転により、第1の材料110(および、一体となった第1の材料110および第2の材料)が、ステータ700の有効内表面706(図7を参照)の大幅に広い部分へと曝される。
【0129】
外部のポンプ210(図2を参照)を含んでいる実施形態においては、外部のポンプ210が本発明の教示による導入ポート1010の向きとの組み合わせにおいて付与する周方向の速度が、それだけで、回転軸「α」を中心とする第1の材料110(および、一体となった第1の材料110および第2の材料120)の回転を増加させるために充分であるかも知れない。さらに、いくつかの実施形態においては、ポンプ210によって付与される周方向の速度およびポンプ410によって付与される周方向の速度が組み合わさって、回転軸「α」を中心とする第1の材料110(および、一体となった第1の材料110および第2の材料120)の充分な回転数を達成する。当業者であれば理解できるとおり、第1のチャンバ310の断面形状など、他の構造的要素も、ポンプ210、ポンプ410、およびこれらの組み合わせによって付与される周方向の速度に貢献できる。
【0130】
図10に示した別の実施形態においては、ポンプ410が、混合チャンバ330の開いた第1の端部332に向かって移動する第1の材料110に周方向の流れを付与するように構成された1枚以上の羽根2042を備えることができる。
【0131】
(第2のチャンバ320)
次に、図4および7に目を向けると、第2のチャンバ320が、第2の機械式密閉筐体526とロータ600およびステータ700のそれぞれの第2の端部614および714との間で、筐体520の中央部522の内側に配置されている。第2のチャンバ320は、実質的に第1のチャンバ310と同様であってよい。しかしながら、第2のチャンバ320は、導入ポート1010の代わりに、排出口3010を備えることができる。駆動シャフト500の一部分3020が、第2のチャンバ320を貫いて延びている。
【0132】
第2のチャンバ320および混合チャンバ330が、連続的な容積を形成している。さらに、第1のチャンバ310、混合チャンバ330、および第2のチャンバ320が、連続的な容積を形成している。第1の材料110が、混合装置100を通って、第1のチャンバ310から混合チャンバ330へと流れ、最終的に第2のチャンバ320へと流れる。混合チャンバ330にあるとき、第1の材料110が第2の材料120に混ぜ合わせられ、出力材料102が形成される。出力材料102は、排出口3010を通って混合装置100から出る。選択的に、出力材料102を導入ポート1010へと戻し、追加の量の第2の材料120、第3の材料130、およびこれらの組み合わせと混合してもよい。
【0133】
排出口3010は、回転軸「α」に対して実質的に直角に向けられ、第1のチャンバ310に形成される導入ポート1010と反対に位置することができる。出力材料102は、ロータ600によって付与された周方向の速度(図9において矢印「C3」によって示されている方向)を有して混合チャンバ330から第2のチャンバ320へと進入する。周方向の速度は、第2のチャンバ320を貫いて延びている駆動シャフト500の部分3020の接線方向である。図4、6、および7に示した実施形態においては、排出口3010を、回転軸「α」からずらすことができる。排出口3010は、駆動シャフト500の回転と実質的に同じ方向(図9において矢印「C1」によって示されている)に移動しつつ第2のチャンバ320に進入する出力材料102が、排出口3010に向かって移動しているように配置される。
【0134】
出力材料102は、第2のチャンバ320に進入し、駆動シャフト500の部分3020の周囲で、第2のチャンバ320の内面によって向きを変える。第2のチャンバ320が実質的に円形の断面形状を有している実施形態においては、第2のチャンバ320の内面が、駆動シャフト500の部分3020を中心とする実質的に円形の経路へと出力材料102を偏向させることができる。
【0135】
図2を参照すると、選択的に、出力材料102を、外部のポンプ430によって第2のチャンバ320の内部から送り出すことができる。外部のポンプ430は、混合装置100の処理能力を制限することがない充分な速度で出力材料102を送るために、この技術分野において知られている任意のポンプを含むことができる。そのような実施形態においては、外部のポンプ430が、出力材料102を第2のチャンバ320から出すときに、出力材料102の少なくとも一部へと接線方向(図4および11において矢印「T2」によって示されている方向)の速度を導入することができる。出力材料102の一部の接線方向の速度が、出力材料102を、この接線方向の速度によって少なくとも部分的に決定される周方向の速度において、回転軸「α」の周りを移動させる。
【0136】
(ポンプ420)
図6および7に目を向けると、第2のチャンバ320の内部に位置するポンプ420が、出力材料102を、第2のチャンバ320から排出口3010へと送ることができ、さらには/あるいは混合チャンバ330から第2のチャンバ320へと送ることができる。外部のポンプ430を備える実施形態においては、この外部のポンプ430を、ポンプ420が出力材料102を排出口3010へと送る速度に比べ、少なくとも同じ速さで出力材料102を第2のチャンバ320から送るように構成することができる。
【0137】
第2のチャンバ320は、混合チャンバ330の開いた第2の端部334と連通しており、混合チャンバ330内の出力材料102が、開いた第2の端部334から第2のチャンバ320へと自由に流入できる。この態様で、出力材料102が、混合チャンバ330と第2のチャンバ320との間で、いかなる角またはカーブも通過することがない。図示の実施形態においては、第2のチャンバ320が、混合チャンバ330の開いた第2の端部334の全体と連通している。第2のチャンバ320を、出力材料102によって完全に満たすことができる。
【0138】
ポンプ420は、第2のチャンバ320を貫いて延びている駆動シャフト500の部分3020によって駆動される。ポンプ420は、ポンプ410と実質的に同一であってよい。ポンプ410としての使用に適するとして上述した任意のポンプを、ポンプ420に使用することができる。ポンプ410が、第1の材料110を混合チャンバ330へと送る一方で、ポンプ420は、出力材料102を混合チャンバ330から送り出す。したがって、ポンプ410およびポンプ420の両者を、同じ方向に作動するように向けることができる。
【0139】
図6および7に示されているポンプ420は、一般にシングル・スクリュ・ポンプと称される。この実施形態において、ポンプ部材4022は、駆動シャフト500の部分3020の周囲に配置されたカラー部4030を含んでいる。カラー部4030は、駆動シャフト500の部分3020と一緒に1つのユニットとして回転する。カラー部4030は、1つ以上の流体移動部材4040を含んでいる。カラー部4030が、螺旋の経路に沿ってカラー部4030に外接する螺旋形を有するただ1つの流体移動部材4040を含んでいる。
【0140】
図11を参照すると、第2のチャンバ320の内側が図示されている。ポンプ420が、第2のチャンバ320内の出力材料102に、混合チャンバ330の開いた第2の端部334から離れる軸方向の流れ(矢印「A3」および矢印「A4」によって示されている)を付与する。
【0141】
ポンプ420を、混合チャンバ330の開いた第2の端部334から離れるように移動する出力材料102に周方向の流れ(矢印「C4」によって示されている)を付与するように構成することができる。出力材料102に付与される周方向の流れは、ロータ600によって必要とされる仕事の量を少なくするうえで役立つことができる。さらに、周方向の流れは、出力材料102を排出口3010に向かって導く。
【0142】
別の実施形態においては、ポンプ420が、図10に示したポンプ410と実質的に同じ構成を有することができる。そのような実施形態においては、1枚以上の羽根2042が、混合チャンバ330の開いた第2の端部334から遠ざかるように移動する出力材料102に、周方向の流れを付与するように構成される。
【0143】
当業者にとって明らかであるとおり、混合装置100の種々のパラメータを、種々の混合特性を得るために変更することができる。変更可能なパラメータの例として、貫通孔608のサイズ、貫通孔608の形状、貫通孔608の配置、貫通孔608の数、開口708のサイズ、開口708の形状、開口708の配置、開口708の数、ロータ600の形状、ステータ700の形状、混合チャンバ330の幅、混合チャンバ330の長さ、駆動シャフト500の回転速度、内部のポンプ410によって付与される軸方向の速度、内部のポンプ410によって付与される周方向の速度、内部のポンプ420によって付与される軸方向の速度、内部のポンプ420によって付与される周方向の速度、ロータ600の外表面606に形成される乱れ(例えば、肌理、突起、凹所、開口、など)の形態、ステータ700の内表面706に形成される乱れ(例えば、肌理、突起、凹所、開口、など)の形態、などが挙げられる。
【0144】
(別の実施形態)
図12を参照すると、混合装置5000が図示されている。混合装置5000は、混合装置100の別の実施形態である。ここで、混合装置5000の構成要素であって、混合装置100の対応する構成要素に実質的に類似する構成要素を指すために、同一の参照番号が使用されている。混合装置100の構成要素と相違している混合装置5000の構成要素のみを、説明することにする。
【0145】
混合装置5000は、ロータ600およびステータ5700を収容するための筐体5500を備えている。ステータ5700を、その第1の端部5712および第2の端部5714によって、筐体5500へと回転せぬように接続することができる。チャンバ5800が、筐体5500と、第1の端部5712および第2の端部5714が側方に位置しているステータ5700の一部分5820との間に画定されている。筐体5500が、チャンバ5800へのアクセスを提供する導入ポート5830を備えている。導入ポート5830を、回転軸「α」に対して実質的に直角に向けることができるが、これは必須ではない。
【0146】
ステータ5700は、チャンバ5800と混合チャンバ330(ロータ600とステータ5700との間に画定される)とを接続する複数の貫通孔5708を備えている。外部のポンプ230を、第3の材料130(第2の材料120と同一であってよい)を導入ポート5830を介してチャンバ5800へと送り込むために使用することができる。チャンバ5800へと送り込まれた第3の材料130は、ステータ5700に形成された貫通孔5708を介して混合チャンバ330に進入できる。第3の材料130を、ポンプ230、第1の材料110に対する第3の材料130の浮力、およびこれらの組み合わせによって、チャネル5800から押し出すことができる。ロータ600が回転するとき、第3の材料130も、チャネル5800から混合チャンバ330へと引き込まれる。第3の材料130は、ロータ600によって周方向の速度が付与された泡、液滴、粒子、などとして、混合チャンバ330に進入することができる。
【0147】
(別の実施形態)
混合装置100の別の実施形態を、図13に示した中央部5900および図14に示した軸受筐体5920を使用して構築することができる。図13は、内側にステータ700(図7を参照)を有している中央部5900を示している。ここで、中央部5900に関する構成要素であって、混合装置100の対応する構成要素に実質的に類似する構成要素を示すために、同一の参照番号が使用されている。中央部522の構成要素と相違する中央部5900の構成要素のみを、説明することにする。中央部5900およびステータ700は、どちらも金属(例えば、ステンレス鋼)などの導電性材料から作られている。導入ポート1010および排出口3010は、どちらもプラスチック(例えば、PET、テフロン(登録商標)、ナイロン、PVC、ポリカーボネート、ABS、デルリン、ポリサルフォン、など)などの非導電性材料から作られている。
【0148】
電気接点5910が、中央部5900へと組み合わせられ、中央部5900へと電荷を届けるように構成されている。中央部5900は、電気接点5910へと加えられた電荷をステータ700へと導く。さらなる実施形態においては、中央部5900を、非導電性材料から構成することができる。そのような実施形態においては、電気接点5910が、中央部5900を通過してステータ700へとつながることができる。電気接点5910によってステータ700へと加えられる電荷が、混合チャンバ330内の酸化還元または他の化学反応の促進に役立つことができる。
【0149】
選択的に、絶縁(図示されていない)を、中央部5900を周囲から電気的に絶縁すべく中央部5900の周囲に配置することができる。さらに、絶縁を、中央部5900と中央部5900の側方に位置する第1および第2のメカニカルシール524および526との間に使用して、中央部5900を混合装置の他の構成要素から電気的に絶縁することができる。
【0150】
次に、図14に目を向け、軸受筐体5920を説明する。軸受筐体5920は、駆動シャフト500の部分726の周囲に周状に配置されている。電気接点5922が、軸受筐体5920に接続されている。回転ブラシ接点5924が、駆動シャフト500と電気接点5922との間の電気的な接続をもたらしている。
【0151】
この実施形態において、駆動シャフト500およびロータ600は、どちらも金属(例えば、ステンレス鋼)などの導電性材料から作られている。軸受筐体5920を、導電性または非導電性の材料から構成することができる。電気接点5922および回転ブラシ接点5924によって、駆動シャフト500へと電荷が加えられる。電荷は、駆動シャフト500によってロータ600へと導かれる。
【0152】
図13に示した中央部5900および図14に示した軸受筐体5920を使用して構成された混合装置100のこの別の実施形態を、少なくとも2つの態様で動作させることができる。第1に、電気接点5910および5922を、ステータ700およびロータ600のそれぞれに電荷を供給しないように設定することができる。換言すると、電気接点5910および5922のいずれも、電流源、電圧源などに接続されない。
【0153】
あるいは、電気接点5910および5922を、ステータ700およびロータ600のそれぞれに電荷を供給するように設定することができる。例えば、電気接点5910および5922を、電気接点5910と5922との間に安定または一定の電圧を供給するDC電圧源(図示されていない)に接続することができる。DC電圧源の負の端子を、電気接点5910および5922のどちらかに接続でき、DC電圧源の正の端子を、電気接点5910および5922の他方に接続できる。電気接点5910と5922との間に供給される電圧は、約0.0001ボルト〜約1000ボルトの範囲であってよい。特定の実施形態においては、この電圧が、約1.8ボルト〜約2.7ボルトの範囲であってよい。別の例として、約1%〜約99%のデューティサイクルを有するパルス状のDC電圧を、使用してもよい。
【0154】
混合装置の運転方法の上述の例は、電気接点5910と5922との間にDC電圧を印加しているが、当業者にとって明らかであるとおり、様々な形状および大きさを有する対称なAC電圧または非対称なAC電圧を、電気接点5910と5922との間に印加することができ、そのような実施形態も、本発明の範囲に包含される。
【0155】
(混合チャンバ330内での混合)
上述のように、従来技術の装置10(図1に示されている)においては、第1の材料110が、ロータ12とステータ30との間のチャネル32へと、チャネル32の開いた第2の端部の一部分にのみ沿って位置しているただ1つの限られた入力ポート37を介して進入している。同様に、出力材料102は、チャネル32の開いた第1の端部の一部分にのみ沿って位置しているただ1つの限られた出力ポート40を介して、チャネル32から出ている。この構成が、望ましくない不必要な摩擦を生じさせている。これらただ1つの限られた入力ポート37およびただ1つの限られた出力ポート40を、チャンバ310および320でそれぞれ置き換えることによって、摩擦を低減した。さらに、第1の材料110が、混合チャンバ330に入る前に角を通過することがなく、混合チャンバ330を出る前に角を通過することがない。さらに、チャンバ310および320が、チャネル32に入る前およびチャネル32を出た後の材料の周方向の速度をもたらす。
【0156】
したがって、混合装置100における圧力低下が、大幅に低減されている。図2、4〜9、および11に示した実施形態においては、入力ポート1010と出力ポート3010との間の圧力低下は、混合装置100を毎分約60ガロンの出力材料102を生み出すように構成した場合に、わずかに約12psiである。これは、毎分約60ガロンの出力材料を生み出す場合に、少なくとも26psiであった図1に示した従来技術の装置10に対する改善である。換言すると、混合装置100における圧力低下は、従来技術の装置10が直面する圧力低下の半分よりも少ない。
【0157】
さらなる態様によれば、駆動シャフト500によって駆動されるポンプ410および420を備えることで、従来技術において用いられている外部のポンプに比べて、材料の混合において大幅に効率的であって、必要とするエネルギーが少ない構成がもたらされる。
【0158】
(マイクロキャビテーション)
混合装置100の動作時に、入力材料は、第1の材料110(例えば、流体)および第2の材料120(例えば、ガス)を含むことができる。第1の材料110および第2の材料120が、ロータ600とステータ700との間に形成される混合チャンバ330内で混合される。ステータ700の内側でロータ600が回転することで、混合チャンバ330内で第1の材料110および第2の材料120が攪拌される。ロータ600に形成された貫通孔608および/またはステータ700に形成された開口708が、混合チャンバ330内の第1の材料110および第2の材料120の流れに乱流を付与する。
【0159】
理論に拘束されるわけではないが、第2の材料120の第1の材料110への拡散の効率および持続は、一部にはマイクロキャビテーションによって生じると考えられ、これを図15〜17に関して説明する。材料が滑らかな表面上を流れるときは、常に、移動する流体と静止している表面との間の表面張力ゆえに、かなりの層流が、静止またはきわめてゆっくりと移動する薄い境界層を伴って確立される。貫通孔608および選択的に開口708が、この層流を乱し、第1の材料110の局所的な圧縮および減圧を生じさせ得る。減圧サイクルにおける圧力が充分に低い場合、ボイド(キャビテーション気泡)が材料に形成される。キャビテーション気泡は、局所的な低圧の領域が図15に示されるようにホスト材料および注入材料を引き寄せるため、竜巻のような環流パターン5990を生み出す。キャビテーション気泡が崩壊するときに、きわめて高い圧力が生じる。2つの整列した開口(例えば、開口708のうちの1つと、貫通孔608のうちの1つ)が互いを通り過ぎるとき、振動(衝撃波)が生じ、大きなエネルギーを生成する。キャビテーションおよび振動に関連するエネルギーが、第1の材料110および第2の材料120を、おそらくは分子レベルできわめて高い程度にまで混合させる。
【0160】
ロータ600の接線方向の速度、および1回転につき互いを通過する開口の数が、混合装置100の周波数を決定付けることができる。混合装置100を超音波の周波数範囲において動作させると、多くの用途において有益であり得ることが、明らかになっている。混合装置100を超音波領域の周波数で動作させることで、流体分子の結合角をシフトさせるべく最大の振動衝撃波がもたらされ、結合角のシフトによって、流体分子が、通常であれば保持することができないさらなる量の第2の材料120を運ぶことができるようになると考えられる。混合装置100が拡散装置として使用される場合、混合装置100の動作周波数が、拡散の度合いを左右し、第2の材料120(注入材料)の第1の材料110(ホスト材料)中でのはるかに長い持続をもたらすようにみえる。
【0161】
次に、図15を参照すると、ロータ600の別の実施形態であるロータ6000が提示されている。混合チャンバ330内で第1の材料110に生じるキャビテーションを、混合チャンバ330の長さに沿って異なる周波数で生じるように構成することができる。キャビテーションの周波数を、ロータ600の長さに沿った貫通孔6608の数および/または配置を変えることによって、変化させることができる。貫通孔6608のそれぞれは、貫通孔608(上述)と実質的に同様であってよい。
【0162】
これに限定されるわけではない例として、ロータ6000を、3つの別個の典型的なセクション6100、6200、および6300に分割することができる。貫通孔6608の密度が、セクション6100からセクション6200へと増加しており、セクション6100の穴の数は、セクション6200の穴の数よりも多い。さらに、貫通孔6608の密度は、セクション6200からセクション6300へと増加しており、セクション6200の穴の数は、セクション6300の穴の数よりも多い。セクション6100、6200、および6300のそれぞれが、形成されている貫通孔6608の数の相違のために、それらの特定の領域において異なる周波数で振動を生じさせる。
【0163】
ロータ6000を、所望の数の貫通孔6608を特定の領域に適切に配置して製造することで、混合チャンバ330における振動について、所望の周波数を定めることができる。同様に、キャビテーションの所望の周波数を、所望の数の開口708を内側でロータ600が回転するステータ700上の特定の領域に適切に配置することによって、定めることができる。さらに、混合チャンバ330における振動の所望の(1つ以上の)周波数を、ステータ700に形成される開口708の特定の数および配置ならびにロータ600に形成される貫通孔608の特定の数および配置の両者を、選択することによって達成することができる。
【0164】
図19〜21は、ステータ700に形成される開口708およびロータ600に形成される貫通孔608について、生成されるキャビテーションに関して様々な結果を達成するように構成された種々の構成配置の選択肢を示している。図16は、ロータ600の回転軸「α」を通って引かれるいかなる線(例えば、線7010)とも平行でない軸7000に沿って、開口708および貫通孔608が整列している構成を示している。換言すると、ロータ600が円筒形である場合、軸7000が、ロータ600の中心を通過しない。その結果、混合チャンバ330内の第1の材料110が、開口708および貫通孔608によって生成される圧縮および減圧に対して直角を向かない。代わりに、圧縮および減圧が、混合チャンバ330内の第1の材料110の周方向の流れ(図9の矢印「C3」の方向)に平行な成分を少なくとも有する力のベクトルを有する。
【0165】
開口708および貫通孔608の互いの整列も、混合チャンバ330におけるキャビテーションの生成に影響を及ぼすことができる。図17が、開口708が混合チャンバ330の全体にわたって貫通孔608に一致している実施形態を示している。この実施形態において、ロータ600が回転すると、ロータの貫通孔608がステータ700の開口708に真っ直ぐに整列する。互いに真っ直ぐに整列しているとき、開口708および貫通孔608によって生成される圧縮および減圧の力は、互いに真っ直ぐに整列する。
【0166】
図18に示した実施形態においては、開口708および貫通孔608が、回転軸「α」に沿って或るオフセット量「X」だけずらされている。これに限定されるわけではないが、例として、オフセット量「X」を、開口708のサイズの関数として決定することができる。例えば、オフセット量「X」は、開口708の直径の半分にほぼ等しくてよい。あるいは、オフセット量「X」を、貫通孔608のサイズの関数として決定することができる。例えば、オフセット量「X」は、貫通孔608の直径の半分にほぼ等しくてよい。特徴(例えば、凹所、突起、など)が、貫通孔608および開口708に代え、あるいは貫通孔608および開口708に加えて、ロータ600またはステータ700に備えられる場合には、オフセット量「X」を、そのような特徴のサイズの関数として決定することができる。この態様で、ステータ700の開口708およびロータ600の貫通孔608によって引き起こされる圧縮および減圧の力が、わずかにずれて衝突し、混合チャンバ330内に追加の回転およびねじりの力を生じさせる。これらの追加の力が、混合チャンバ330における第2の材料120の第1の材料110への混合(例えば、拡散作用)を増大させる。
【0167】
次に、図22〜25を参照すると、開口708および貫通孔608の適切な断面形状について、これらに限定されるわけではない例が提示されている。開口708および/または貫通孔608の断面形状は、図19に示されるような四角、図20に示されるような円、などであってよい。
【0168】
開口708および/または貫通孔608の様々な断面形状を、ロータ600がステータ700の内側で回転するときの第1の材料110の流れを変えるために、使用することができる。例えば、図21は、狭い部分7020を広い部分7022の反対側に有している涙滴形の断面形状を示している。貫通孔608がこの涙滴形状を有する場合、ロータ600の回転時(概して矢印「F」によって示されている方向)に、混合チャンバ330内の第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130に加わる力が、材料が涙滴の広い部分7022から狭い部分7020へと通過するにつれて増加する。
【0169】
追加の回転力を、開口708および/または貫通孔608を図22に示されるような渦巻き形態を備えて形成することによって、混合チャンバ330へと導入することができる。渦巻き形態を有する開口708および/または貫通孔608へと流入および流出する材料は、渦巻き形態によって引き起こされる回転力に直面する。図22〜25に示した例は、混合装置100において使用することができるいくつかの実施形態について、これらに限られるわけではない例示を提供している。当業者であれば、開口708および/または貫通孔608を、混合チャンバ330内の材料の混合に適した様々な振動および攪拌力を達成するために、多数の態様に構成できるであろう。
【0170】
(二重層効果)
混合装置100を、界面動電効果(後述)をさらに助ける複合混合をもたらす複合の動的乱流を伴う第1の材料110および第2の材料120の複合かつ非線形な流体力学的相互作用によって、出力材料102を生成するように構成することができる。これらの界面動電効果の結果を、出力材料102において、出力材料内で安定化された溶媒和電子の形態など、電荷の再分配および酸化還元反応として観察することができる。
【0171】
表面基のイオン化または解離ならびに/あるいは液体からのイオンの吸着は、液体に接触しているほとんどの固体表面を帯電させる。図23を参照すると、電気二重層(「EDL」)7100が、液体7120に接触している典型的な表面7110の周囲に形成されている。EDL7100において、或る帯電のイオン7122(この場合には、負に帯電したイオン)が、表面7120へと吸着し、典型的にはStern層と称される表面層7124を形成する。表面層7124が、逆の帯電かつ等しい大きさの対イオン7126(この場合には、正に帯電したイオン)を引き付け、これが表面層7124の下方に対イオン層7128を形成し、典型的には拡散層と称される。対イオン層7128は、表面層7124よりもより拡散して分布し、下方の多量の材料7130における両方のイオンの一様かつ等しい分布の上方に位置する。中性水のOHおよびHイオンについて、Gouy−Chapmanモデルが、拡散対イオン層が水へと約1ミクロンにわたって広がることを示唆している。
【0172】
特定の態様によれば、上述の界面動電効果が、帯電した表面7110に隣接する液体7120の移動によって引き起こされる。液体7120(例えば、水、生理食塩水、など)において、表面層7124を形成している吸着イオン7122は、たとえ液体7120が移動している(例えば、矢印「G」によって示される方向に流れている)ときでも表面7120へと固定されているが、せん断面7132が、表面7120から離れて拡散対イオン層7128に存在している。したがって、液体7120が移動するとき、拡散対イオン7126の一部が、表面7120から運び去られる一方で、吸着したイオン7122は、表面7120にとどまる。これが、いわゆる「荷電電流」を生む。
【0173】
混合チャンバ330において、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130に、ステータ700の内表面705および/またはロータ600の外表面606によって生成される電磁界、内表面705と外表面606との間の電圧、ならびに/あるいは第1の材料110に形成された少なくとも1つのEDLによって引き起こされる界面動電効果(例えば、荷電電流)が加わる。少なくとも1つのEDLは、ステータ700の内表面705およびロータ600の外表面606の少なくとも一方によって第1の材料110へと導入することができる。
【0174】
第1の材料110が混合チャンバ330を通って表面の乱れ(例えば、貫通孔608および開口708)に対して移動することで、混合チャンバ330内の第1の材料110にキャビテーションが生じ、これが第2の材料120を第1の材料110へと拡散させることができる。これらのキャビテーションが、第1の材料110および/または第2の材料120のステータ700の内表面705に形成された電気二重層および/またはロータ600の外表面606に形成された電気二重層との接触を増進できる。混合チャンバについて体積に対する表面の比が大きいこと、および混合チャンバにおける全材料の滞留時間が増すことに、平均の気泡サイズがより小さい(したがって、気泡の表面積が大幅に大きい)ことが組み合わさって、EDLの介在による効果が本発明の出力材料へと効果的に付与される。
【0175】
内表面705および外表面606が、ステンレス鋼などの金属材料から作られる実施形態においては、液体7120の移動および/または荷電電流が、内表面705および外表面606においてHO、OH、H、およびOが関係する酸化還元反応を促進する。
【0176】
図24を参照すると、理論に拘束されるわけではないが、内表面705と外表面606との間の混合チャンバ330の部位7140を、1対の平行なプレート7142および7144としてモデル化できると考えられる。第1の材料110が液体である場合、第1の材料110は、導入口「IN」を通って部位7140に進入し、排出口「OUT」を通って部位7140を出る。導入口「IN」および排出口「OUT」が、部位7140への流れおよび部位7140からの流れを制限する。
【0177】
図25を参照すると、平行なプレート7142と7144との間の領域は、大きな表面積−体積の比を有している。したがって、対イオン層7128(および、対イオン7126)のかなりの部分が、第1の材料110がプレート7142と7144との間を移動するときに、移動することができる。移動する対イオン7126の数が、導入口「IN」によって部位7140への進入が許される数、および排出口「OUT」によって部位7140からの流出が許される数を、超える可能性がある。部位7140への第1の材料110の供給および部位7140からの第1の材料110の除去をそれぞれ行う導入口「IN」および排出口「OUT」は、平行なプレート7142および7144よりもはるかに小さい表面積(および、より小さな表面積−体積の比)を有しており、したがって部位7140へと進入する第1の材料110および部位7140を出る第1の材料110において移動している対イオン7126の割合を少なくする。したがって、部位7140への進入および流出は、荷電電流を局所的に増加させる。いずれかの表面上を流れる第1の材料110によって引き起こされるバックグラウンド荷電電流(矢印「BSC」によって示されている)が、混合装置100内に常に存在する一方で、プレート7142および7144が、部位7140において増加の「余分な」荷電電流(矢印「ESC」によって示されている)を導入する。
【0178】
プレート7142および7144に第1の材料110の流れの方向と反対の導電性の戻り電流(矢印「RC」によって示されている)がないと、吸着しているイオン7122と同じ符号を有する余分な電荷7146が、導入口「IN」の付近に蓄積し、対イオン7126と同じ符号を有する余分な電荷7148が、排出口「OUT」の付近に蓄積すると考えられる。このようにして蓄積される電荷7146および7148は、反対であって互いに引き合い、無制限に蓄積することはできないため、蓄積した電荷は、導電手段によって結合しようとする。プレート7142および7144が完璧に電気絶縁性である場合、蓄積した電荷7146および7148は、第1の材料110そのものを通ってのみ移動することができる。導電性の戻り電流(矢印「RC」によって示されている)が、部位7140における余分な荷電電流(矢印「ESC」によって示されている)に実質的に等しい場合、正味の余分な荷電電流がゼロである定常状態が達成され、導入口「IN」の付近の余分な電荷7146と排出口「OUT」の付近の余分な電荷7148との間の静電電位の差が、両者の間に定常状態の電荷の分離を生じさせる。
【0179】
電荷の分離の量、したがって導入口「IN」の付近の余分な電荷7146と排出口「OUT」の付近の余分な電荷7148との間の静電電位の差は、イオン(すなわち、イオン7122および7126)の無い液体によって得ることができる流量に近似する液体の流量を生み出すべく対向する電界(電荷の分離によって生成される)に逆らって電荷を「押す」ためにポンプ(例えば、ロータ600、内部のポンプ410、および/または外部のポンプ210)によって供給される単位電荷当たりの追加のエネルギーに依存する。プレート7142および7144が絶縁体である場合、静電電位の差は、ポンプ(例えば、ロータ600、内部のポンプ410、および/または外部のポンプ210)が生成できるEMFの直接の指標である。この場合、1対のリードを有する電圧計を使用し、一方のリードを導入口「IN」の付近の第1の材料110に配置し、他方のリードを排出口「OUT」の付近の第1の材料110に配置することによって、静電電位の差を測定することができる。
【0180】
絶縁プレート7142および7144では、戻り電流は、第1の材料110を通過するイオンの伝導のみを含む点で、純粋にイオン電流(または、イオンの流れ)である。より導電性である経路を通過する他の導電機構が、導入口「IN」の付近の余分な電荷7146と排出口「OUT」の付近の余分な電荷7148との間に存在する場合には、戻りの電流は、それらのより導電性である経路を使用することができる。例えば、導電性の金属プレート7142および7144が、より導電性である経路を提供できるが、それらのより導電性である経路は、電子電流のみを伝えて、イオン電流を伝えない。
【0181】
当業者であれば理解できるとおり、イオンが保持している電荷を金属中の1つ以上の電子に移し、あるいはこの反対を行うためには、1つ以上の酸化還元反応が、金属の表面において生じなければならず、反応生成物が生じる。第1の材料110が水(HO)であって、第2の材料120が酸素(O)であると仮定すると、負の電荷を導電プレート7142および7144に注入するであろう酸化還元反応の例として、これに限定されるわけではないが、以下の公知の半電池反応が挙げられる:
+HO→O+2H+2e
やはり、第1の材料110が水(HO)であって、第2の材料120が酸素(O)であると仮定すると、負の電荷を導電プレート7142および7144から取り出すであろう酸化還元反応の例として、これに限定されるわけではないが、以下の公知の半電池反応が挙げられる:
2H+e→H
【0182】
導電性の金属プレート7142および7144の場合には、戻りの電流の大部分が、電子電流であると考えられる。なぜならば、(酸化還元反応が充分に高速であって、制約要因にならないならば)導電性のプレート7142および7144が、第1の材料110よりも導電性であるからである。導電性の金属プレート7142および7144においては、導入口「IN」と排出口「OUT」との間に蓄積する電荷の分離がより小さく、両者の間に存在する静電電位がはるかに小さい。しかしながら、このことは、EMFがより小さいことを意味しない。
【0183】
上述のように、EMFは、電荷の分離によって生成される反対向きの電界に逆らって第1の材料110の流れを促進するために、ポンプがもたらす単位電荷当たりのエネルギーに関係する。静電電位がより小さいため、ポンプが第1の材料110を流すべく供給する単位電荷当たりのエネルギーが、より少なくてよい。しかしながら、上述の例の酸化還元反応は、必ずしも自然に生じるわけではなく、したがって、ポンプによってもたらすことができる仕事の入力を必要とするかも知れない。したがって、(より小さい静電電位の差に反映されない)EMFの一部を、酸化還元反応を駆動するために必要なエネルギーをもたらすために使用することができる。
【0184】
換言すると、絶縁性のプレート7142および7144において電荷の分離によって生成される反対向きの電界に逆らって押すために、ポンプによってもたらされる圧力差と同じ圧力差を、導電性のプレート7142および7144を通って電荷を「押す」目的ならびに酸化還元反応を駆動する目的の両者に使用することができる。
【0185】
図26を参照すると、本発明の発明者が行った実験のための実験装置が提示されている。実験装置は、それぞれが脱イオン水7153を含んでいる1対の実質的に同一な500mlの標準的な三角フラスコ7150および7152を、間隔を空けて配置して備えている。ゴム栓7154を、それぞれのフラスコ7150および7152の開いた端部に挿入した。栓7154は、それぞれ中空チューブ7156、正電極7158、および負電極7160用である3つの通路を備えている。それぞれのフラスコ7150および7152に関して、空チューブ7156、正電極7158、および負電極7160のそれぞれは、すべてフラスコの外部から栓7154を貫き、フラスコ内の脱イオン水7153へと延びている。正電極7158および負電極7160は、ステンレス鋼から作られている。両方のフラスコ7150および7152の中空チューブ7156は、開いた端部7162を共通の酸素源7164に接続して有している。フラスコ7152に挿入された正電極7158および負電極7160は、それぞれDC電源7168の正の端子および負の端子に接続されている。それぞれのフラスコにおいて、正確に同じスパージャーを使用した。
【0186】
酸素を、約1SCFH〜約1.3SCFH(組み合わせの流量)の流量(Feed)で中空チューブ7156を通って両方のフラスコ7150および7152へと流した。フラスコ7152へと挿入した正電極7158と負電極7160との間に約2.55ボルトの電圧を印加した。この値は、すべての酸素の種に影響を及ぼすために充分な電気化学的電圧の値であると考えられるため、選択された。この電圧を、3〜4時間にわたって連続的に印加し、その間、供給源7164からの酸素を、それぞれのフラスコ7150および7152の脱イオン水7153へとバブリングした。
【0187】
HRPおよびピロガロールでのフラスコ7150内の脱イオン水7153の試験が、本明細書に記載の種々のロータ/ステータの実施形態にて生成される流体の特性に一致するHRP媒介のピロガロール反応活性を与えた。HRPの光学密度は、同等の酸素含有量の圧力ポットまたは微細気泡溶液に比べて約20%高かった。この実験の結果は、混合チャンバ330内での混合が、酸化還元反応を含んでいることを示している。特定の態様によれば、本発明の混合チャンバは、本発明の出力溶液内の酸素富化した水構造によって安定にされ、あるいはプロセスにおける電気的効果ゆえに存在する何らかの形態の酸素種によって安定にされた追加の電子を含んでいる出力材料をもたらす。
【0188】
さらに、両方のフラスコ7150および7152の脱イオン水7153を、オゾンおよび過酸化水素の両者について、過酸化水素について0.1ppmの感度を有し、オゾンについて0.6ppmの感度を有している業界標準の比色試験アンプルを使用して試験した。どちらの種についても、それらのアンプルの検出限界まで、陽性の徴候は存在しなかった。
【0189】
(滞留時間)
滞留時間は、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130が、混合チャンバ330において費やす時間の長さである。混合チャンバ330の長さの混合チャンバ330の直径に対する比が、滞留時間に大きく影響しうる。この比が大きいほど、滞留時間は長くなる。背景技術のくだりで述べたように、従来技術の装置10(図1を参照)のロータ12は、約7.500インチの直径および約6.000インチの長さを有しており、約0.8という直径に対する長さの比をもたらしている。対照的に、特定の実施形態において、混合装置100の混合チャンバ330の長さは、約5インチであり、ロータ600の直径「D1」は、約1.69インチであり、約2.95という直径に対する長さの比をもたらしている。
【0190】
滞留時間は、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130が、本明細書において説明した界面動電現象と相互作用できる時間の長さを表わしている。従来技術の装置10が、毎分約60ガロンの出力材料102を生成するように構成され、混合装置100が、毎分約0.5ガロンの出力材料102を生成するように構成され、従来技術の装置10(図1を参照)が、約0.05秒という流体滞留時間を有する一方で、混合装置100の実施形態は、約0.35秒という大幅に長い(約7倍長い)滞留時間を有している。このより長い滞留時間が、第1の材料110、第2の材料120、および選択的な第3の材料130について、従来技術の装置10において可能であるよりも約7倍も長く、互いの相互作用および混合チャンバ330内の表面606および705(図7を参照)との相互作用を可能にする。
【0191】
下記の表1を参照すると、上述の滞留時間が、最初に各装置について流量(単位は、ガロン/秒)を決定することによって計算されている。この場合、従来技術の装置10が、毎分約60ガロンの出力材料において動作するように構成されている一方で、混合装置100は、毎分約0.5ガロンの出力材料という最適範囲を含むより広い範囲の流量にわたって動作するように構成されている。次いで、流量が、「ガロン/秒」の流量を1ガロンの立方インチ数(すなわち、231立方インチ)で乗算することによって、「立方インチ/秒」へと変換される。次いで、従来技術の装置10のチャネル32の容積(12.876立方インチ)を、装置の流量(231立方インチ/秒)によって除算して、滞留時間(単位は、秒)が得られ、混合装置100の混合チャンバ330の容積(0.673立方インチ)を、装置の流量(1.925立方インチ/秒)によって除算することによって、滞留時間(単位は、秒)が得られる。
【0192】
【数2】

(注入の速度)
混合装置100の特定の態様は、従来技術の装置10(図1を参照)などの従来技術よりも向上した酸素注入速度を提供する。第1の材料110が水であって、第2の材料120が酸素である場合、この両者が、20℃またはその付近で、ただ1回の通過(すなわち、図2の戻りブロックが「いいえ」に設定される)にて混合装置100によって処理され、出力材料102が、約43.8パーツ・パー・ミリオンという溶存酸素レベルを有する。特定の態様において、約43.8ppmの溶存酸素を有する出力材料が、本発明の非加圧(非圧力ポット)法により、本発明の流れによって、約350ミリ秒で生成される。対照的に、第1の材料110(水)および第2の材料120(酸素)の両者が、従来技術の装置10によって、20℃またはその付近で、ただ1回の通過にて処理される場合、出力材料の溶存酸素レベルは、56ミリ秒のただ1回の通過にてわずかに35パーツ・パー・ミリオンにすぎない。
【0193】
(出力材料102)
第1の材料110が液体(例えば、真水、生理食塩水、GATORADE(登録商標)、など)であって、第2の材料120がガス(例えば、酸素、窒素、など)である場合、混合装置100が、第2の材料120を第1の材料110に拡散させることができる。以下において、混合装置100によって処理されることによってもたらされる出力材料102の1つ以上の特性を明らかにするために、出力材料102について行った分析の結果を検討する。
【0194】
第1の材料110が生理食塩水であって、第2の材料120が酸素ガスである場合、実験結果から、生理食塩水中に生成された酸素の泡の大部分が、0.1ミクロン以下のサイズであることが示されている。
【0195】
(溶存酸素レベルの低下)
次に、図27を参照すると、混合装置100において酸素処理されて、500mlの薄肉プラスチック瓶および1000mlのガラス瓶に保存された水中のDOレベルが示されている。それぞれの瓶にキャップをし、華氏65度で保存した。点7900は、瓶詰めにおけるDOレベルである。線7902は、ヘンリーの法則による平衡状態(すなわち、華氏65度において水中に存在するはずの溶存酸素の量)を示し、これは、10ppmをわずかに下回るDOレベルである。点7904および7906は、それぞれ、65日目および95日目におけるプラスチック瓶内の水中のDOレベルを表す。点7904に見て取られるように、瓶詰め後およそ65日目でプラスチック瓶が開かれたとき、水中のDOレベルは、およそ27.5ppmである。瓶詰め後およそ95日で瓶が開かれたとき、点7906に示されるように、DOレベルは、およそ25ppmである。同様に、ガラス瓶についても、DOレベルは、点7908に示されるように、65日ではおよそ40ppmであり、そして、点7910に示されるように、95日ではおよそ41ppmである。したがって、図27は、プラスチック瓶およびガラス瓶の両方におけるDOレベルが、華氏65度で比較的高いままであることを示す。
【0196】
図28を参照すると、混合装置100において酸素処理されて、500mlのプラスチック薄肉瓶および1000mlのガラス瓶に保存された水中のDOレベルが示されている。どちらの瓶も、華氏39度で冷蔵した。線8002として示される華氏39度の水についてのヘンリーの法則による平衡状態は、およそ14ppmである。瓶詰め時点に水中で観察されたDOレベルは、一般に点8004によって示される40ppmをわずかに下回った。瓶詰めと開封との間がおよそ30日であるとき、プラスチック瓶中の水のDOレベルは、点8006によって示されるように、およそ38ppmへとわずかに落ちた。ガラス瓶中の水のDOレベルは、一般に点8012によって示されるように、わずかに下降した。瓶詰めと開封との間がおよそ65日であるとき、プラスチック瓶中のDOレベルは、点8008によって示されるように、ほぼ35ppmへと落ち、そして、ガラス瓶内のDOレベルは、一般に点8014によって示されるように、40ppmをわずかに下回る比較的一定の値を維持した。瓶詰めと開封との間がちょうど90日過ぎのとき、プラスチック瓶中のDOレベルは、およそ38ppmに留まるのに対し、ガラス瓶中のDOレベルは、点8016によって示されるように、およそ42ppmへと上昇している。したがって、図28は、低い温度レベルにおいて、DOレベルが、ガラス瓶およびプラスチック瓶の両方において、長期間にわたり、高い一定レベルに維持され得ることを示す。点8010は、PETボトル内の本発明の出力流体に対応するレベルである。
【0197】
次に、図32を参照すると、混合装置100において酸素処理されて、32オンスのGATORADE(登録商標)瓶に保存されたGATORADE(登録商標)中の溶存酸素レベルが示されており、キャップ付けにおける平均温度は華氏55度である。その後に、GATORADE(登録商標)瓶を、キャップ付けと開封との間、華氏38度で冷蔵した。実験の際に、別々のボトルをそれぞれ20、60、および90日で開封し、内部に保存されているGATORADE(登録商標)のDOレベルを測定した。
【0198】
第1のグループのGATORADE(登録商標)瓶のGATORADE(登録商標)は、華氏約56度で、混合装置100において酸素で処理されている。瓶詰め時のGATORADE(登録商標)のDOレベルは、点8104によって示されるとおり、約50ppmであった。第1のボトルをおよそ20日で開き、GATORADE(登録商標)のDOレベルを割り出したところ、点8106によって示されるとおり約47ppmであった。その後に、第2のボトルを60日で開き、GATORADE(登録商標)のDOレベルを測定したところ、点8108によって示されるとおり約44ppmであった。最後に、第3のボトルを90日で開き、GATORADE(登録商標)のDOレベルを割り出したところ、点8110によって示されるとおり40ppmをわずかに下回っていた。
【0199】
第2のグループのGATORADE(登録商標)瓶のGATORADE(登録商標)は、華氏約52度で、混合装置100において酸素で処理されている。このグループの瓶に保存されたGATORADE(登録商標)の初期のDOレベルは、点8112によって示されるとおり45ppmであった。20日目に開かれたボトルのGATORADE(登録商標)は、点8114によって示されるとおり、45ppmよりも少しだけ低いDOレベルを有していた。GATORADE(登録商標)の第2の瓶を60日目に開いたところ、内部のGATORADE(登録商標)は、41ppmをわずかに超えるDOレベルを有していた。最後に、GATORADE(登録商標)の第3の瓶を90日目に開いたところ、内部のGATORADE(登録商標)は、点8116によって示されるとおり約39ppmのDOレベルを有していた。上述のように、プラスチックおよびガラス瓶での水の試験(図28を参照)に関して、DOレベルが90日の期間にわたって比較的高いレベルを維持し、32オンスのGATORADE(登録商標)瓶に保存された通常の(処理なしの)GATORADE(登録商標)中に存在するレベルよりも大幅に高いままであることを、見て取ることができる。点8010が、蓋付きPETボトル内の本発明の出力流体に対応するレベルである。
【0200】
図29は、混合装置100において酸素によって処理され、琥珀ガラス瓶において標準温度および圧力に保たれた500mlの平衡塩溶液のDO保持を示している。処理前の溶液のDOレベルは、5ppmである。混合装置100での処理後に、DOレベルは、約41ppmへと上昇した(点8202として示されている)。処理の1時間後に、DOレベルは、点8204によって示されるとおり約40ppmへと低下した。処理の2時間後に、DOレベルは、点8206によって示されるとおり約36ppmへと低下した。処理の3時間後に、DOレベルは、点8208によって示されるとおり約34ppmへと低下した。処理のおよそ4時間半後に、塩溶液のDOレベルは、30ppmをわずかに超える値へと低下した。最後の測定を、処理の6時間後のわずかに前に行ったところ、DOレベルは約28ppmへと低下していた。このように、図30〜33に示した実験のそれぞれが、DOレベルが長い期間にわたって比較的高いレベルに保たれることを示している。
【0201】
出力材料102を、人間が消費する可能性があるため、混合装置100を構成するために使用される材料は、食品および/または薬品の製造に適していなければならない。これらに限定されるわけではない例として、筐体520、筐体5520、ロータ600、ステータ700、およびステータ5700を、すべてステンレス鋼から製作することができる。
【0202】
(分子の相互作用)
何人かの物理学者が、水の量子的性質を説明し始めている。これまでは、量子的性質は、10−10メートル未満の素粒子に属すると考えられる一方で、我々の日常生活の巨視的世界は、ニュートンの運動の法則に従って挙動する点で、古典的と称されている。巨視的な古典的世界と微視的な量子世界との間が、巨視と微視との間の区別がますます曖昧になっているメゾスコピック領域である。実際、物理学者らは、量子的性質を、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の原子および分子の大きな集まりに発見しており、とくには分子が液相中に密に詰め込まれた場合に発見している。
【0203】
最近では、化学者らが、クラスタからの分子が希釈につれてサイズを増大させるという驚くべき発見を行っている。これらのクラスタは、数マイクロメートルの直径である。サイズの増大は、希釈につれて非線形に生じ、履歴に依存し、古典化学を無視した振る舞いである。実際、この現象について、未だ説明はない。量子的性質に依存する水の不思議さのさらに別の反映も、存在するであろう。
【0204】
1990年代の中頃に、量子物理学者であるdel Giudice and PreparataおよびイタリアのUniversity of Milanの他の同僚が、直径100ナノメートルの量子コヒーレントドメインが、純水において生じうると論じた。彼らは、コヒーレントドメインの水分子の集団振動が、いかにして最終的に大域的な電磁界の変動に対して位相ロックされた状態になるかを示した。この態様で、長く続く安定な振動を、水中に維持することができる。
【0205】
メモリを水に保存できる1つの態様は、水中に溶存する1つ以上の物質(治療薬など)に特有の長く続くコヒーレントな振動を励起することによる。水分子と水中に溶存する物質の分子との間の相互作用が、水の集合構造を変化させ、これが発生する特有のコヒーレント振動を決定すると考えられる。これらの振動が、大域的な場と励起された分子との間の位相結合によって安定化されて維持される場合、たとえ溶存物質が希釈されたときでも、水は、希釈時の他の水に結実することができるコヒーレント振動を、依然として保持することができる。
【0206】
溶存物質がますます大きなクラスタを形成するという発見は、振動が同位相であるときに分子間の引き付けの共鳴を伝達でき、希釈液における凝集につながる水中のコヒーレントな場の存在と両立しうる。分子のクラスタのサイズが大きくなるにつれ、その電磁気的特徴も相応に増幅され、水によって保持されるコヒーレント振動を補強する。
【0207】
検出可能な水の何らかの物理的特性の変化を予想すべきである。残念ながら、そのようなコヒーレント振動を通常の分光法および核磁気共鳴法によって検出しようとするすべての試みは、あいまいな結果しかもたらしていない。これは、溶存分子のクラスタサイズが、分子の濃度にではなく、希釈の正確な履歴に依存するという発見に照らせば、驚くことではない。
【0208】
溶存分子のクラスタサイズの変動および水の詳細な微視的構造にもかかわらず、コヒーレント振動の特異性が依然として存在しうる。通常の検出法は、個々の分子または小さな集合体の微視的粒子の使用に依存するため、成功していない。代わりに、多数の分子におよぶ集合的な全体特性を検出する方法が必要である。いくつかの自明な自薦の可能性は、凝固点および沸点、粘度、密度、拡散性、および磁性の測定である。水の集合的な全体特性の変化を検出するための1つの可能性は、結晶化によるものである。結晶は、分子の巨視的集合から形成される。大域的特性に依存する他の測定と同様に、結晶は、他の方法では検出不能であった個々の分子の微妙な変化を簡単にする。
【0209】
図36を参照すると、ナノスケールのケージ8700を形成している簡単化されたプロトン化水クラスタを示している。プロトン化水クラスタは、典型的には、H(HO)の形態をとる。いくつかのプロトン化水クラスタは、イオン圏などにおいて自然に生じる。特定の理論に拘束されるわけではないが、特定の態様によれば、本発明の出力材料へと付与された酸素および安定化電子を含む構造など、他の種類の水クラスタまたは構造(クラスタ、ナノケージ、など)が可能である。酸素原子8704を、得られる構造8700に捕まえることができる。半拘束ナノケージの化学が、酸素8704および/または安定化電子が長い時間期間にわたって溶存し続けることを可能にする。薬用化合物などの他の原子または分子を、徐放の目的のためにケージに入れることができる。溶液材料および溶存化合物の具体的な化学は、それらの材料の相互作用に依存して決まる。
【0210】
混合装置100でによって処理された流体は、クラスタ構造の点での流体の解析と一致した、異なる構造特性を呈することが実験により示されている。
【0211】
混合装置100によって処理された水は、通常の未処理の水と比べたときに、検出可能な構造的相違を有することが実証されている。例えば、処理済みの水が、未処理の水において見られるよりも大きなレイリー散乱を有することが示されている。行った実験において、処理済みおよび未処理の水のサンプルを(それぞれを別個の瓶に封じることによって)用意し、(後に処理済みのサンプルおよび未処理のサンプルを識別するために)符号を付け、分析のために独立の試験所へと送った。試験後の完了後に初めて、符号を読解して、どちらのサンプルが混合装置100によって処理されたものであるかを明らかにした。
【0212】
試験所においては、これら2つのサンプルを、633ナノメートルの波長を有するレーザービームに配置した。流体を、試験前に約1週間にわたってガラス瓶に封じておいた。処理済みのサンプルに関して、サンプルBが、レーザー源に対する位置にかかわらず光を散乱させた。しかしながら、「サンプルA」は、そのようでなかった。瓶を開封してから2〜3時間後に、サンプルBの散乱効果はなくなった。これらの結果は、水が、水に自身の特性を保持させ、時間とともに消滅するメモリを呈することを示唆している。また、これらの結果は、処理済みの水の構造が、未処理の流体の構造と光学的に相違することを示唆している。最後に、これらの結果は、この光学的効果が、DOレベルに直接には関係していないことを示唆している。なぜならば、開始時のDOレベルは45ppmであり、実験の終了時には、約32ppmであったと推定されるからである。
【0213】
(ガス富化流体を生成するためのシステム)
ここに開示したシステムおよび方法によれば、ガス(例えば、酸素)を、最小の受動的な損失とともに、高い濃度で、安定的に富化させることができる。このシステムおよび方法を、幅広く様々なガスを高い比率で幅広く様々な流体中に富化させるために、効果的に使用することができる。例えば、あくまでも例として、一般的には約2〜3ppm(パーツ・パー・ミリオン)の溶存酸素レベルを有する室温における脱イオン水が、ここに開示したシステムおよび/または方法を使用して、少なくとも約5ppm、少なくとも約10ppm、少なくとも約15ppm、少なくとも約20ppm、少なくとも約25ppm、少なくとも約30ppm、少なくとも約35ppm、少なくとも約40ppm、少なくとも約45ppm、少なくとも約50ppm、少なくとも約55ppm、少なくとも約60ppm、少なくとも約65ppm、少なくとも約70ppm、少なくとも約75ppm、少なくとも約80ppm、少なくとも約85ppm、少なくとも約90ppm、少なくとも約95ppm、少なくとも約100ppm、または、任意のこれより大きいか、もしくは、これらの間の値の範囲の溶存酸素レベルを達成できる。特に、典型的な実施形態によれば、酸素富化水を、約30〜60ppmの溶存酸素レベルにおいて生成することができる。
【0214】
表1が、酸素富化生理食塩水(表1)で処置された治癒中の傷および本発明のガス富化酸素富化生理食塩水のサンプルにおいて得た種々の分圧測定を示している。
【0215】
【表1】

(美容および/または治療目的での塗布および投与)
特定の典型的な実施の形態において、本発明のガス富化流体は、単独または他の美容および/または治療用の薬剤との組み合わせにおいて、美容および/または治療用の組成物として、眼に関連する疾病または状態の少なくとも1種の症状を防止または軽減するように機能できる。本発明の治療用組成物は、必要に応じて被験体へと投与することができる組成物を含む。本明細書において使用されるとき、「被験体」は、あらゆる生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳類、さらにより好ましくはヒトを指すことができる。
【0216】
特定の実施の形態においては、この組成調合物が、キャリア、補助剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、調味料、香料、および結合剤からなる群より選択される少なくとも1種の追加の物質をさらに含むことができる。
【0217】
本明細書において使用されるとき、「薬学的に容認できるキャリア」および「キャリア」は、毒性のない不活性な固体、半固体、または液体のフィラー、希釈剤、封入材料、または任意の種類の調合補助物を広く指す。薬学的に容認できるキャリアとして機能することができる材料のいくつかの例は、これらに限られるわけではないが、ラクトース、グルコース、サッカロースなどの糖、トウモロコシでんぷんおよびジャガイモでんぷんなどのでんぷん、カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロース、トラガント末、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオ脂および坐薬ワックスなどの賦形剤、ピーナツ油、綿実油、ベニバナ油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張生理食塩水、Ringer液、エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒の適合性の滑剤、ならびに着色剤、解除剤、コーティング剤、甘味料、調味料、および香料であり、保存料および酸化防止剤も、調合者の判断に従い、組成物中に存在することができる。特定の態様において、このようなキャリアおよび賦形剤が、本発明のガス富化流体または溶液であってよい。
【0218】
例えばビヒクル、アジュバント、賦形剤、または希釈剤など、本明細書に記載の薬学的に容認できるキャリアは、当業者にとって周知である。典型的には、薬学的に容認できるキャリアは、治療剤に対して化学的に不活性であり、使用の条件下で有害な副作用または毒性を有していない。薬学的に容認できるキャリアは、ポリマーまたはポリマー・マトリクス、ナノ粒子、微細気泡などを含むことができる。
【0219】
本発明の治療用ガス富化流体に加えて、治療用組成物は、ガス富化をしていない追加の水または他の溶媒などの不活性な希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(とくには、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤、ならびにこれらの混合物をさらに含むことができる。当業者であれば理解できるとおり、特定の治療用組成物の新規かつ改良された調合、新規なガス富化治療用流体、および新規なガス富化治療用流体を送達する新規な方法を、1つ以上の不活性な希釈剤を同一、同様、または異なる組成のガス富化流体で置き換えることによって得ることができる。例えば、従来からの水を、ガス富化流体をもたらすべく水または脱イオン水へと酸素を注入することによって生成されたガス富化流体で置き換え、あるいは補うことができる。
【0220】
特定の実施の形態は、本発明のガス富化流体と、医薬組成物または他の治療剤あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物と、少なくとも1種の医薬用キャリアまたは希釈剤と、を有する治療用組成物を提供する。これらの医薬組成物を、上述の疾病または状態の予防および処置に使用することができ、上述のとおりの治療に使用することができる。好ましくは、キャリアは、薬学的に許容されるものでなければならず、組成物中の他の成分に互換でなければならず、すなわち組成物中の他の成分に対して有害な影響を有してはならない。キャリアは、固体または液体であってよく、好ましくは、例えば0.05〜95重量%の有効成分を含むことができる錠剤など、単位用量の調合物として調製される。
【0221】
本明細書に開示の組成物および/または方法は、おおむね局所適用に関係しているが、個々の被験体にとって最も適する投与の手段は、処置すべき疾病または状態の性状および重篤さ、使用される治療の性質、ならびに治療用組成物または追加の治療剤の性質に応じて決まる。
【0222】
局所適用に適した製剤として、液体(水性または油性)、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル(ヒドロゲルなど)、スプレー、分散可能な粉末および顆粒、乳濁液、流れる推進剤を使用するスプレーまたはエアゾール(リポソームスプレー、点鼻薬、鼻内スプレー、など)、およびオイルが挙げられる。そのような製剤に適したキャリアとして、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール(PEG3000、PEG5000、その他など)、アルコール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0223】
本発明の製剤は、任意の適切な方法で作成可能であり、典型的には、ガス富化流体を随意により液体または微細に分割された固体キャリアあるいは両方を有する有効化合物と必要な割合にて一様かつ密に混ぜ合わせ、次いで、必要であれば、得られた混合物を所望の形状へと成形することによって作成可能である。
【0224】
軟膏、ペースト、発泡体、吸蔵、クリーム、ゲル、ゾル、懸濁液、およびパッチも、でんぷん、トラガカント、セルロース誘導体、シリコーン、ベントナイト、シリカ酸、およびタルク、あるいはこれらの混合物など、賦形剤を含むことができる。粉末およびスプレーも、ラクトース、タルク、シリカ酸、水酸化アルミニウム、およびケイ酸カルシウム、あるいはこれらの物質の混合物など、賦形剤を含むことができる。ナノ結晶の抗菌性金属の溶液を、エアゾール薬剤を製作するために一般に使用されている公知の手段のいずれかによって、エアゾールまたはスプレーへと変換することができる。一般に、そのような方法は、通常は不活性のキャリアガスによって流体の容器を加圧すること、または加圧するための手段を提供することを含んでおり、加圧されたガスを小さなオリフィスに通すことを含んでいる。スプレーは、窒素、二酸化炭素、または他の不活性ガスなど、一般的な推進剤をさらに含むことができる。さらに、マイクロスフェアまたはナノ粒子を、本発明のガス富化治療用組成物または流体とともに、化合物を被験体へと投与するために必要とされる経路のいずれかにて使用することが可能である。
【0225】
局所製剤を、アンプルおよびバイアルなど、単位用量または複数用量の密封容器にて提供することができ、使用の直前に無菌の液体賦形剤またはガス富化流体を加えるだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)の状態で保存することができる。その場での流体および/または懸濁液を、無菌の粉末、顆粒、および錠剤から作成してもよい。
【0226】
本発明の文脈において被験体、とくには動物、殊にはヒトへと投与される用量は、妥当な時間枠にわたって動物に美容および/または治療反応をもたらすために充分でなければならない。用量が、動物の状態、動物の体重、所望される結果、ならびに処置すべき状態など、種々の因子に依存して決まることを、当業者であれば理解できるであろう。適切な用量は、所望の反応を及ぼすことが知られている美容および/または治療用組成物の濃度を、被験体にもたらす用量である。
【0227】
また、用量のサイズは、投与の経路、タイミング、および頻度、ならびに治療用組成物の投与および所望の生理学的効果に付随しうる不利な副作用の存在、性質、および程度によっても決定される。
【0228】
本発明のガス富化流体を、既存の薬物送達用組成物または方法を改良するために使用することができる。拡散装置によって処理された流体を、単独または1つ以上の治療剤と一緒に、適切な用量単位の製剤へと製剤することができる。種々の実施の形態において、これらの製剤は、従来からの無毒な薬学的に許容されるキャリア、アジュバント、乳化または懸濁剤、甘味料、調味料、芳香剤、および患者の体内への特定の取り込み経路に適したビヒクルを含むことができる。
【0229】
特定の実施の形態においては、本明細書に開示のガス富化流体が、眼などの器官へと適用され、あるいは器官および/または組織を中に配置することができる湿潤、洗浄、または浸漬の流体を含むことができる。1つ以上の治療剤を、ガス富化流体に溶存させることができ、あるいは組織のガス富化流体における湿潤、洗浄、または浸漬に先立って、組織に配置することができる。また、ガス富化流体を、事前の薬物との組み合わせにおいて眼あるいは他の器官または組織へと適用して、薬物の効能を増すためのガス富化治療用流体を生成してもよい。さらに、ガス富化流体を、粉末を溶解させるために使用して、ガス富化治療用流体および薬物送達方法を生み出すこともできる。あるいは、本発明のガス富化流体は、これらのパッチ、ゲル、クリーム、ローション、軟膏、ペースト、溶液、スプレー、水性または油性懸濁液、乳濁液などからなる注入物を含むことができる。
【0230】
眼または眼の表面への投与による薬物の送達など、局所的な薬物送達も、本発明の技術的範囲に包含される。特定の態様は、眼または眼の一部分への送達のための治療用眼ケア生成物を提供する。例えば、拡散装置によって処理されたガス富化流体が、眼軟膏、点眼剤(eye drop)、治療溶液、洗浄用流体、調合薬(処方薬および市販薬ならびに他の点眼剤、ステロイドドロップ、カルテオロール、非選択性β遮断薬、ドライアイのための軟膏、眼科用ビタミン)、などを含むことができる。例えば、ガス富化流体が、眼軟膏、点眼剤、治療溶液、洗浄溶液などにおいて使用される生理食塩水または水などの一般的なキャリアを置き換えることができる。あるいは、本発明のガス富化拡散器は、眼軟膏、点眼剤、治療溶液、洗浄溶液などの1以上の成分を流体に注入し、それにより、新規のガス富化流体を生成するために使用され得る。
【0231】
人々は、近視、遠視および乱視のような眼の屈折障害を矯正するためにコンタクトレンズを使用する。コンタクトレンズに覆われていることにより、角膜に利用可能な酸素が足りなくなると、コンタクトレンズの装着者において細菌感染が増加する結果となる。したがって、本明細書中の特定の実施の形態は、本発明のガス富化流体を利用したコンタクトレンズの製造に関する。
【0232】
Pseudomonas aeruginosaおよび他の細菌感染は、ヒトの眼において破壊的な感染を引き起こし得、そして、新生児眼炎に関係している。シュードモナスは、線毛がシアル酸レセプターに付着することによって、眼の上皮に集落形成し得る。環境が促進性である場合、そして特に、宿主の免疫系が弱まっている場合、細菌は、エラスターゼ、アルカリホスファターゼおよび外毒素Aのような酵素の産生により、急速に増殖し得る。シュードモナス感染は、眼使用の損失、または、眼全体の損失をもたらし得る。
【0233】
酸素富化流体は、点眼剤を調合するために使用され得、この点眼剤は、コンタクトレンズの装着を最適にするために患者が毎日使用し、それにより、酸素に乏しいコンタクトレンズで覆われた角膜3508へと増大されたレベルの酸素を提供し得る。開示されるシステムおよび/または方法に従って生成されるガス富化流体は、コンタクトレンズの製造、保存またはケアにおいて使用され得る。増大したレベルの溶存ガスが、コンタクトレンズの保存、洗浄または湿潤に使用される溶液のような流体の強度または安全性を高め得る。
【0234】
本発明の種々の実施形態によれば、開示されるガス富化された本発明の流体は、コンタクトレンズの製造、保存またはケアにおいて使用され得る(例えば、生理食塩水、および他のコンタクトレンズ保存液および湿潤溶液)。コンタクトレンズへのガス(例えば、酸素)の導入および保持は、コンタクトレンズの製造および使用の間に提供され得る。さらに、生理食塩水および他のコンタクトレンズの保存液および湿潤溶液は、本明細書中に記載されるガス富化流体を用いて生成され得る。
【0235】
コンタクトレンズは代表的に、軟らかいポリマー物質から形成され、そして、一般に、親水性レンズおよび疎水性レンズのカテゴリーに分けられ得る。親水性コンタクトレンズは、10%を超える水分含量を有するが、疎水性のレンズは、10%未満の水分含量を有する。コンタクトレンズの酸素透過性は、レンズを形成するために使用される特定のポリマーに大きく依存する。酸素透過性は、レンズが生成されるときに、ポリマーを水和するためにガス富化流体を用いることによって増加され得る。コンタクトレンズは、親水性ポリマー(例えば、ヒドロゲル)またはポリ(メチルメタクリレート)のような種々の市販の物質から生成され得る。代表的なヒドロゲルポリマー組成物は、水保持能を改善するために、スルホベタイン(例えば、N−(3−スルホプロピル)−Nメタクリルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン(SPE))のような双性イオンモノマーを含み得る、親水性のメタクリルアミドならびにアクリルモノマーの反応生成物から構成され得る。
【0236】
種々の酸素富化液体が、点眼剤またはコンタクトレンズ溶液として使用され得る。代表的なコンタクトレンズ溶液は、コンタクトレンズをリンス、洗浄および消毒するために作製され、これらとしては、生理食塩水ならびに他のコンタクトレンズの保存液および湿潤溶液が挙げられるがこれらに限定されない。
【0237】
ガス富化(すなわち、酸素化)溶液は、種々の眼科用途において使用するために、瓶中、または、ピペットまたは点眼器と共に提供される他の密封容器中に包装され得る。1つのこのような用途は、点眼剤または人工涙として使用するためのガス富化(すなわち、酸素化)生理食塩水の用途である。湿潤性の点眼剤は、点眼器を用いて眼へと直接適用され得、1回の適用につき2〜3滴を眼に直接適用して、ドライアイ、赤み、アレルギー性反応を軽減し、そして、眼の角膜領域へとさらなる水分を提供する。
【0238】
ガス(例えば、酸素)を角膜領域にさらに供給するためのガス富化人工涙に加えて、眼の表面に直接適用され得る医薬のような他の流体をガス富化することも可能である。これは、視力を改善するため(例えば、レーザー角膜切開術、LASIK、あらゆるタイプの白内障外科手術、嚢外外科手術、水晶体超音波吸引術、硝子体網膜外科手術、眼内レンズおよび送達システム、医薬品、処方薬、および一般市販薬の点眼剤、眼用ビタミンなど)、または、緑内障の影響を軽減もしくは小さくするために、最近角膜または眼の他の領域への外科手術を受けた患者に特に有用であり得る。
【0239】
これらおよび他の外科処置の後に、自身の眼に直接、溶液状態の滴として適用される種々の抗生物質、抗炎症剤および疼痛緩和剤を処方することは一般的である。眼の表面への酸素の拡散を増加させるためにガス富化(すなわち、酸素化)水溶液を用いることによって、より速い治癒が起こり得、そして、回復時間が短くなり得ると考えられる。
【0240】
加齢した眼は、しばしば、涙管に関する問題に起因する涙液産生の低下の結果として乾燥状態となる。この問題は、特に、閉経後の女性で顕著である。これらの患者において涙液量が少ないことにより生じる最も即時的な病理生理学的問題は、空気からの溶存酸素(このうち、より少量のみが拡散して眼に達する)の欠乏である。ガス富化流体(例えば、酸素富化生理食塩水)の使用は、有効な涙液補充物であり得る。人工涙またはガス富化医薬の形態の用途の可能性に加えて、ガス富化プロセスはまた、生理食塩水のようなコンタクトレンズ溶液にも適用され得る。コンタクトレンズは、通常、湿潤かつ可撓性の半透明のポリマー膜を維持するために溶液中に保存される。本明細書中に示されるように、レンズ溶液中に保存されているコンタクトレンズは、通常、眼の角膜の直ぐ上に配置される。コンタクトレンズは通常、レンズが保存されていたガス富化(すなわち、酸素化)生理食塩水を含み得る溶液の層の上で、角膜表面の直ぐ上に浮く。ガス富化(すなわち、酸素化)生理食塩水は、眼の角膜付近のガス(すなわち、溶存酸素)の量を増やし、そして、通常コンタクトレンズが適所にあるときに可能であるよりも多い量の酸素を眼が吸収することを可能にするはずである。
【0241】
外科手術:
特定の実施の形態は、組織(例えば、眼の組織)の洗浄を伴う、改善された外科手術(眼の外科処置を含む)のための方法を提供し、これらとしては、レーザー角膜切開術(laser keratomay)、LASIK、イントラLASIK、白内障外科手術、嚢外外科手術、水晶体超音波吸引術、嚢内外科手術、硝子体網膜外科手術、眼内レンズなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0242】
毎年、100万件を超す白内障外科手術が米国で行われる。代表的には、白内障外科手術は、レンズの取り出し、そしておそらくは、人工レンズの受容を伴う。白内障を有するレンズを取り出すための外科手術には3つのタイプがある。嚢外外科手術では、レンズは取り出されるが、レンズの外被はその場に残される;水晶体超音波吸引術では、レンズは、超音波振動により粉々にされ、同時に、洗浄および吸引され、レンズの嚢の後ろ半分がその場に残される。
【0243】
眼の外科手術の合併症が生じ得、これには、眼内の高圧;眼内部の血液堆積;眼内部の感染;人工レンズの損傷もしくは転置;垂れ下がった瞼;網膜剥離;眼内部の重篤な出血;角膜の膨潤または混濁;盲目;および視力の喪失または眼全体そのものの喪失が挙げられる。感染および一般的な組織の健康状態は、引き続き、眼の外科手術における課題である。本明細書中に提供される特定の実施の形態は、眼の組織の洗浄および/または湿潤などを伴う改善された眼の外科処置のための組成物および/または方法に関する。
【0244】
本明細書中に記載される特定の実施形態によれば、眼の組織の洗浄、湿潤などを伴う眼の外科処置を含む、改善された外科手術のための組成物および/または方法が提供される。本発明のガス富化流体または溶液は、外科処置の前、外科処置の間および/または外科手術の後に、例えば、組織の表面(例えば、眼の表面)を湿った状態および/または、無菌状態に維持するために使用され得る。
【0245】
生物学的組織の成長の促進:
他の関連の実施形態においては、本明細書に開示されるガス富化流体組成物および/または方法を、天然または遺伝子操作された細胞(幹細胞を含む)、組織、および器官の培養の生物学的細胞および/または組織の成長に関連して使用することができる。さらに、本明細書に開示されるガス富化流体組成物および/または方法を、人工血液または人工血液を必要とする外科的処置(冠動脈バイパス形成手術およびショック−外傷処置など)のために使用することができる。同様に、酸素富化溶液を、肝臓、腎臓、心臓、眼、手、足、脳、などといった1つ以上の固形臓器について、摘出後ならびに移植前(例えば、運搬中)または移植中の灌流に使用することができる。本明細書に開示の実施の形態によるガス富化(とくには、酸素化)流体の使用は、より長い保存時間およびより成功した移植率をもたらすことができる。
【0246】
特定の実施の形態では、本発明の流体は、本明細書中に開示されるガス富化流体および/もしくは方法を必要とするか、または、これらから利益を受け得る、器官、器官サンプル、試験対象および/または他の生体組織を輸送または保存するために使用され得る。ガス富化(酸素化)流体は、器官または他の生体組織を含み得る。特定の実施の形態では、容器は、断熱され得るか、または、持ち運び可能な冷蔵ユニット(図示されず)を備え付けられ得、そしてさらに、保存されるかもしくは移植のために輸送されている生体組織の表面全体またはその付近でガス富化溶液を動かすために、種々の渦巻きポンプまたは他の循環装置を備え得る。この様式では、生体組織は、器官もしくは組織の移植の前および間に、生体組織が細胞の損傷を少ない状態で良好に保存されるものと考えられる。
【0247】
さらなる実施の形態は、循環ポンプをさらに備えるシステムを含み得、このシステムは、流体を引き、そして、本発明に従って構築された拡散器を用いて、供給源からのガス(例えば、酸素)と流体とを合わせる。この輸送および保存のシステムのポンプ、拡散器および他の構成要素には、1以上の電池または水素燃料電池の形態の持ち運び可能な電源が備え付けられ得る。
【0248】
ガス富化保存媒体中で器官および他の生体組織を保存および輸送することによって、身体の外側での細胞および生体組織への損傷を減らし、そして、これらの組織をより健康な状態で移植候補者に供給することが可能である。保存および輸送の媒体としてガス富化流体を用いることで、より高いレベルの溶存ガス(例えば、酸素)を導入し、保存および輸送の間の細胞の分解を遅め、そしてさらに、首尾よい臓器移植の可能性を高めることによって、移植の受け手の生活および健康を増進する可能性がある。
【0249】
開示される実施形態にしたがって生成されるガス富化流体(例えば、水)はまた、ヒトまたは動物のような被験体の眼から汚染物質を除くまたは洗い流すために使用され得る。本明細書中に開示されるガス富化流体組成物および/または方法は、高いレベルのガス(例えば、酸素)を清浄にされた表面(例えば、眼)に提供し、これは、特に治療的であり得る。
【実施例】
【0250】
実施例1
平衡塩類溶液における酸素含有量の減衰
図30が、最初に5ppmの溶存酸素レベルを有していた500mlのブラウン平衡塩溶液の溶存酸素の保持を示している。本発明の拡散装置における標準温度および圧力での溶液の富化の後で、溶存酸素レベルは、約41ppmであった。この溶液を、琥珀ガラス瓶に保持した。溶存酸素レベルは、1時間後には40ppmであり、2時間後に36ppmであり、3時間後に34ppmであり、およそ4時間半後には、30ppmをわずかに超える程度であった。最後の測定を、6時間のわずかに前に行ったところ、その時点での溶存酸素レベルは、約28ppmであった。
【0251】
実施例2
微小気泡のサイズ
ガス微細気泡のサイズの限界を割り出すために、本発明の拡散装置を使用することによってガス富化流体における実験を実行した。微細気泡のサイズの限界を、ガス富化流体を0.22ミクロンおよび0.1ミクロンのフィルタに通すことによって明らかにした。これらの試験においては、或る量の流体を本発明の拡散装置に通して、ガス富化流体を生成した。この流体60ミリリットルを、60mlのシリンジへと抜き取った。次いで、シリンジ内の流体の溶存酸素の程度を、Orion 862a溶存酸素計によって測定した。シリンジ内の流体を、0.22ミクロンのMillipore Millex GP50フィルタを通して50mlのビーカーへと注入した。次いで、50mlのビーカー内のマテリアルの溶存酸素の程度を測定した。実験を3回実行し、下記の表3に示す結果を得た。
【0252】
【表3】

見て取ることができるとおり、シリンジ内で測定した溶存酸素レベルと50mlのビーカー内の溶存酸素レベルとが、拡散後のマテリアルを0.22ミクロンのフィルタに通したにもかかわらず、大きくは変化していない。このことは、流体内の溶存ガスの微細気泡が、0.22ミクロン以下であるということを意味している。
【0253】
生理食塩水のバッチを本発明の拡散装置で富化処理し、出力された溶液のサンプルをフィルタ処理を加えない状態で集めることで、第2の試験を行った。このフィルタ処理なしのサンプルの溶存酸素レベルは、44.7ppmであった。本発明の拡散装置からの酸素富化溶液を0.1ミクロンのフィルタを使用してフィルタ処理し、2つのさらなるサンプルを採取した。第1のサンプルにおいて、溶存酸素レベルは43.4ppmであった。第2のサンプルにおいては、溶存酸素レベルが41.4ppmであった。最後に、フィルタを取り除き、最後のサンプルをフィルタ処理なしの溶液から得た。この場合に、最後のサンプルは、45.4ppmという溶存酸素レベルを有していた。これらの結果は、Milliporeの0.2ミクロンのフィルタを使用した結果に一致している。すなわち、生理食塩水中のガス気泡または微細気泡の大部分は、サイズがおおむね0.1ミクロン未満である。
【0254】
実施例3
スパージング効果
図31および32は、本発明の拡散装置を通過する流体への本発明の拡散装置のスパージング作用を示している。図34は、標準温度および圧力の8ガロンのタンクの酸素富化水へのスパージング作用を示す。図示のとおり、最初に酸素富化水は、約42ppmという溶存酸素レベルを有していた。拡散装置を2分間動作させた後で、溶存酸素レベルが20ppmをわずかに超える程度まで、窒素が酸素富化水をスパージしていた。6分間で、溶存酸素レベルは約6ppmとなった。酸素富化水の溶存酸素レベルは、処理の開始から約14分で、ゼロ(0)をわずかに上回る最小値に達した。これらの数字は、窒素が水へと拡散して水から酸素をスパージできる様相を示している。しかしながら、任意のガスを任意の流体において使用して、或るガスを他方からスパージして、他方のガスを流体へと拡散させることができる。同じ実験が、任意のホスト流体マテリアルおよび任意の流体注入マテリアルを利用することができる。
【0255】
実施例4
レイリー効果
本明細書に開示の拡散装置によって処理された流体は、通常の未処理の水と比べたときに、水の構造に相違を呈する。本明細書に開示の実施の形態によって生成されたガス富化水が未処理の水と比べて、より大きなレイリー散乱を有することが示されている。
【0256】
行った実験では、ガス富化水および富化なしの水のサンプルを作成し、光学的分析へと送った。これらの試験の目的は、通常の(処理なしの)脱イオン水と本発明の拡散装置によって富化した水との間に巨視的な光学的相違が存在するか否かを判断することにある。
【0257】
2つのサンプルの身元を秘密に保つため、2つのサンプルに符号を付け、試験の完了後に初めて、サンプルの身元を明らかにした。2つのサンプルを、図6に示した図に従って、633ナノメートルのレーザービーム中に配置した。本明細書に開示の特定の実施の形態によるガス富化流体であるサンプルBが、レーザー源に対する位置にかかわらず、散乱光を呈した。サンプルBの流体を、約1週間にわたってガラス瓶に封じた。瓶を開けてから2〜3時間後に、散乱効果は消失した。このように、ガス富化流体の構造は、処理なしの流体の構造から光学的に相違している。開始時の溶存酸素レベルが約45ppmであり、実験の終了時には約32ppmであったと推定されることから、この光学的効果は、溶存酸素レベルに直接関係しているわけではない。
【0258】
実施例5
溶媒和電子の生成
さらなる証拠も、本発明の拡散装置によって生み出される拡散プロセスが、ガス富化溶液に溶媒和電子をもたらすことを示唆している。ポーラログラフ溶存酸素プローブの結果ゆえ、拡散後の流体が電子捕捉効果を呈し、したがって流体が、ガス富化マテリアル内に溶媒和電子を含むことができると考えられる。
【0259】
溶存酸素のレベルを電気的に測定するために、2つの基本的な技法が存在する。ガルバニック測定法およびポーラログラフ測定である。どちらのプロセスも、試験対象の溶液中の溶存酸素レベルがプローブのカソードと反応して電流を生み出す電極システムを使用する。溶存酸素レベルセンサは、どちらもセンサ本体内の電解質に浸漬される2つの電極、すなわち陽極および陰極で構成されている。酸素透過膜が、陽極および陰極を試験対象の溶液から隔てている。酸素が膜を横切って拡散し、プローブの内部の成分と相互作用して、電流を生じさせる。陰極が、水素電極であって、陽極に対して負の電位を持つ。電解質溶液が、電極ペアを囲み、膜によって包まれている。酸素が存在しないとき、陰極は、水素によって分極され、電流の流れに抵抗する。酸素が膜を通過するとき、陰極が消極され、電子が消費される。陰極が、以下の式に従って、酸素を水酸基イオンへと電気化学的に還元する:
+2HO+4E=4OH
本発明のシステムによるガス富化溶液の溶存酸素レベルの測定を実行するとき、溶存酸素メータが、メータが読み取ることができるよりも大きい読み取り値を表示するオーバーフロー状態が、繰り返し直面される。しかしながら、Winkler滴定によるガス富化溶液の評価が、溶液について、プローブが示すよりも低い溶存酸素(DO)レベルを示す。典型的には、DOプローブ(これらの実験で使用したOrion 862など)は、60ppmという最大の読み取り値を有している。しかしながら、メータが本発明のガス富化水に残された場合、メータはオーバーフローする。
【0260】
特定の動作の機構に拘束されるつもりはないが、メータの機構が、酸素が反応する電子に応答する。したがって、膜を通るガス富化流体に付随する溶媒和電子(おそらく、流体中でかたまりとして捕捉されている)が存在するにちがいない。
【0261】
実施例6
優れた傷の治癒
本明細書に開示の実施の形態に従って処理された酸素富化生理食塩水に曝された傷の治癒特性の向上を判断するために、研究を行った。この実験においては、ブタの皮膚を除去した生検創に、包帯を配置した。包帯を、酸素富化生理食塩水に浸し、コントロール群の包帯を、酸素化していない生理食塩水に浸した。巨視的に、1)表皮化、2)脈管新生、3)表皮分化、4)肥満細胞の移動、および5)有糸分裂を含むいくつかの要因を、この研究によって評価した。
【0262】
外部からは、傷がさまざまな速度で治癒したように見受けられた。酸素富化生理食塩水で処置した傷は、4〜11日目において、傷の治癒の増進を見せた。しかしながら、どちらの傷も、ほぼ同時に治癒を完了したように見受けられた。この研究によれば、3〜11日目の間、酸素富化生理食塩水で処置した傷の新表皮は、生理食塩水で処置した傷の表皮の2〜4倍の速さで移動することが示された。また、この研究によれば、15〜22日目の間、酸素富化生理食塩水で処置した傷が、より成熟した表皮層のより早期の形成によって証拠付けられるとおり、より迅速な速度で分化することが示された。すべての段階において、通常の治癒に関して表皮に生じる厚肉化が、酸素富化生理食塩水で処理した傷においては生じなかった。
【0263】
特定の理論に拘束されるつもりはないが、酸素富化生理食塩水が、傷において一酸化窒素のレベルを高めることができると考えられる。一酸化窒素が、傷の治癒において成長因子、コラーゲン沈着、炎症、肥満細胞の移動、表皮肥厚、および脈管新生を調節する。さらに、一酸化窒素は、酸素によって調節される誘導酵素によって生成される。したがって、特定の理論に拘束され続けるつもりはないが、一酸化窒素は、これらの実験において見られるとおり傷治癒において役割を担うことができる。
【0264】
治癒中のブタの表皮は、15〜22日目に、酸素富化生理食塩水の群において、より早期の分化に直面した。肥満細胞の移動の場合にも、分化が、酸素富化溶液における早期および後期の移動において生じた。有糸分裂のレベルについての最終的な結果は、染色の困難ゆえに確認できなかった。
【0265】
ここで、図43a〜43hを参照すると、種々の図が、酸素富化した生理食塩水を使用し、あるいは使用しない場合のブタの表皮組織の傷の治癒結果を比較している。すなわち、コントロールの傷の治癒および酸素富化生理食塩水を使用した傷の治癒を、1、4、および16日目について追った。図43aが、1日目のコントロールの傷について傷の治癒を示している。見て取ることができるとおり、傷が、表皮/真皮の厚肉化および輪郭の喪失を示している。図43bは、酸素富化生理食塩水を使用して処置した傷について、1日目の傷の治癒を示している。傷が、通常の表皮/真皮の厚さを示しており、通常の輪郭は、新たな傷における典型である。
【0266】
次に、図14cおよび14dを参照すると、4日目のコントロールの傷の治癒、および4日目の酸素富化生理食塩水で処置された傷の治癒が示されている。図43cに示したコントロールの傷においては、傷が、600ミクロンの表皮の突起を示している。図43dの酸素富化生理食塩水で処置された傷では、1200ミクロンの表皮の突起が示されている。このように、実験の最初の4日において、酸素富化生理食塩水を用いて処置された傷において生成される表皮の突起は、酸素富化生理食塩水での処置を行わなかった傷と比べ、2倍の表皮成長速度を示している。
【0267】
次に、図43eを参照すると、16日目のコントロールの傷が示されている。傷が、図43fに示した酸素富化生理食塩水で処置した傷に比べ、表皮/真皮の輪郭の喪失を伴うより分化していない表皮を示している。図43fは、傷において、より分化した表皮およびより正常な表皮/真皮の輪郭を示している。
【0268】
このように、図14a〜14fに関して示されるとおり、酸素富化生理食塩水で処置した傷は、処理なしの傷に比べてはるかに大きな治癒特性を示しており、より通常な表皮/真皮の輪郭を有するより大きく分化した表皮を示している。
【0269】
実施例7
サイトカイン像
混合リンパ球を、1人の健康なドナー志願者から得た。軟膜サンプルを、血小板を取り除くために標準的な手順に従って洗浄した。リンパ球を、本発明のガス富化流体または蒸留水(コントロール)のいずれかで希釈したRPMI培地(+50mm HEPES)中に、プレート1枚につき2×10の濃度でプレーティングした。細胞を、1マイクログラム/mLのT3抗原または1マイクログラム/mLのフィトヘムアグルチニン(PHA)レクチン(pan−T細胞アクチベータ)で刺激し、あるいは刺激しなかった(ネガティブコントロール)。24時間の培養の後で、細胞を生存性についてチェックし、上清を抽出して冷凍した。
【0270】
上清を解凍し、遠心分離し、XMAP(登録商標)(Luminex)ビーズ・ライト・プロトコルおよびプラットフォームを使用してサイトカインの発現について試験した。結果が、図11に示されている。明らかに、INF−γのレベルが、T3抗原を有する本発明のガス富化培地において、T3抗原を有するコントロールの培地と比べてより高い一方で、IL−8は、T3抗原を有する本発明のガス富化培地において、T3抗原を有するコントロールの培地よりも低かった。さらに、IL−6、IL−8、およびTNF−アルファのレベルが、PHAを有する本発明のガス富化培地においては、PHAを有するコントロール培地よりも低い一方で、IL−1bのレベルは、PHAを有するコントロール培地と比べたときに、PHAを有する本発明のガス富化流体においてより低かった。本発明のガス培地のみでは、IFN−γのレベルが、コントロール培地よりも高かった。
【0271】
200万個の細胞を、本発明の酸素富化流体(水)(ウェル1、3、および5)または蒸留水(ウェル2、4、および6)のいずれかを有するフルRPMI+50mm Hepes中で、24ウェルのプレートの6つのウェルにプレーティングした(10×のRPMIを水中で希釈し1×を生成)。細胞を、1μg/mlのT3抗原(ウェル1および2)またはPHA(ウェル3および4)で刺激した。コントロールのウェル5および6については、刺激を行わなかった。24時間後に、細胞を生存性についてチェックし、上清を回収して冷凍した。次に、上清を解凍し、8,000gで回転させて小球にした。この浄化した上清を、列挙のサイトカインについてLUMINEX BEAD LITEプロトコルおよびプラットフォームを使用してアッセイした。数値データが、表1に示されており、対応する棒グラフが、図11に示されている。
【0272】
【表4】

実施例8
シュードモナスの阻害、プレート
本発明のガス富化生理食塩水を適用することで、シュードモナスの成長が抑えられる。これらの試験は、本発明の酸素富化生理食塩水を使用して実行した。
【0273】
シュードモナスの2つの試験株(ATCC登録番号10145およびATCC登録番号27853)を、新鮮な24時間の培養からMcFarland 1の濃度(1mLにつき約3×10個の微生物)へと調製した。一定量(1mL)の細菌のそれぞれを、TSB培養液1部および生理食塩水9部から作成した9mlの培養液−生理食塩水における10倍希釈へと連続的に希釈した。試験した細菌濃度は、10、10、10、10、10、および10であった。ネガティブコントロールチューブ(細菌も、本発明のガス富化流体もなし)を作成した。ポジティブコントロールチューブ(ガス富化流体を含まず、生理食塩水および上記6つの細菌濃度のそれぞれを含んでいる)を、それぞれの細菌株の試験のためのチューブの各セットに含めた。
【0274】
それぞれの細菌株の10倍希釈物を使用して、36本のチューブからなるセットを以下のように接種した:
1. 6本のチューブに、希釈物のそれぞれを1mLずつ入れ、次いでそれぞれのチューブへと、試験用のそれぞれのガス富化流体を4mLだけ加えた(総量は5mLになる)。ガス富化流体を、50ppm、40ppm、30ppm、20ppm、10ppm、および生理食塩水と標記した。ポジティブコントロールが、生理食塩水であり、これを基準に、残りのすべてのチューブの増殖を測定した。
【0275】
それぞれのシュードモナス種についての36本のチューブからなるそれぞれの実験セットのすべてのチューブを、35℃での初期の培養後の24時間の期間において2時間間隔で連続的に測定した。各セットの読み取りの間、チューブを培養を続けるべく35℃に戻した。読み取りは、OD540に設定した較正済みの分光光度計を使用して実行した。
【0276】
これらの試験の結果は、本発明のガス富化流体が、試験対象の両方の株に関して、35℃での培養の開始後の4〜12時間の間およびさらに後(16〜24時間)で、いくつかの細菌希釈物においてシュードモナス株を積極的に阻害することを示している。
【0277】
具体的には、最高の陽性の阻害が、30または50の濃度において、両方の株について、16〜24時間の間に観察された。陽性の阻害は、試験溶液の濃度および試験対象の細菌サンプルの濃度に応じてわずかに変化している。
【0278】
【表5】

実施例9
シュードモナスの阻害についてのMICの検討、チューブ
2倍希釈物における最小阻止濃度(MIC)試験溶液を、TSB培養液1部およびCFU−NS4部から作成された培養液−生理食塩水混合物のベースにおいて作成した。ネガティブコントロールチューブ(細菌もガス富化流体も含んでいない)およびポジティブコントロールチューブ(ガス富化流体を含んでおらず、細菌を含んでいる)を、試験対象チューブの各組に含めた。流体希釈物は、それぞれ、50、25、12.5、6.25、3.12、1.55、および0.7ppmとした。それぞれの細菌株についてのチューブの作成後に、2つの溶液からのサンプルについてpHを測定した。CFUガス富化流体のpHが、約6.8〜7.2である一方で、CFU−NSは、約pH6.2であった。
【0279】
18時間にわたる35℃でのカバーされたチューブの2組の作成の後で、すべてのチューブを視覚的に検査したところ、それぞれのセットにおいて50と標記された第1のチューブが増殖を見せておらず、他のすべてのチューブ(ネガティブコントロールチューブは除く)が、控えめな増殖を示していることが明らかになった。
【0280】
50と標記され、上記MIC研究からの視覚的検査において増殖を見せていなかったチューブを、さらに最小殺菌濃度(MBC)について試験した。サンプルを、容量0.1mLの無菌の較正済みの使い捨てループを使用してこれら2つのチューブのそれぞれから採取し、問題の細菌の増殖または増殖の阻害を検出するために、BAプレート上に速やかに画線接種した。35℃での18時間の培養の後で、視覚的には増殖が見られないそれぞれのチューブ(ATCC 10145からのチューブ50およびATCC 27853からのチューブ50)から採取した試料が、どちらもBAプレート上に画線接種およびプレーティングしたときにきわめて高いレベルの増殖を示した。コロニーの数は、多すぎてカウントできなかった。すなわち、チューブ50のガス富化流体において、増殖のわずかな遅延が経験された。
【0281】
実施例10
シュードモナスの阻害、包帯
アクアセルの包帯を、シュードモナス株ATCC受託番号10145およびATCC受託番号27853に対して、乾燥ならびに試験流体52(pH7.2〜7.8)、50(pH6.0〜6.2)、42(pH7.2)、34(pH7.2)、25(pH6.8)、および10(pH6.2)、あるいは生理食塩水(pH6.2)のいずれかで濡らして試験した。最初に包帯へとガス富化試験流体または生理食塩水を適用(0.4mL)した後で、12時間後に2度目の適用(0.25mL)を行った。
【0282】
結果から、シュードモナスATCC登録番号10145を播種した3つのプレートへと適用された無菌25流体で処理した3つの包帯片(1cm角)のうちの1つの周囲に、3〜4mmの明確な阻害領域が見られ、シュードモナスATCC登録番号27853を播種した3つのプレートのうちの1つへと適用された無菌25流体で処理した3つの包帯片(1cm角)のうちの1つの周囲に、3〜4mmの明確な阻害領域が見られた。両方の株上の乾燥包帯の2辺に、明確な1〜2mm未満の阻害領域が存在した。他の試験包帯およびコントロール包帯の周囲では、阻害領域が検出されなかった。
【0283】
実施例11
微生物阻害、包帯
血液寒天プレートを使用し、創傷包帯として、Promogram Prismaのマトリクス包帯(A)およびハイドロファイバー包帯(B)を使用した。無菌の包帯を、3.0×10/mLというMcFarland等価の濁度基準の細胞密度の24時間の培養からの微生物によって試験した。
【0284】
試験微生物は、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌、大腸菌、およびカンジダ・アルビカンスとした。
【0285】
それぞれの種類の包帯を、約0.8mLのガス富化流体または生理食塩水で濡らし、約30分にわたって放置した。乾燥包帯を、コントロールとして使用した。次いで、プレートを24時間にわたって増殖させ、結果を記録した。
【0286】
細胞プレートにおいて見たとき、ハイドロファイバー包帯(B)は、乾燥か、あるいはいずれかの流体で濡らしたかにかかわらず、試験微生物の増殖に対して効果を有していなかった。ガス富化流体で濡らしたPrismaの包帯(A)は、黄色ブドウ球菌のコロニーにおいて部分的な阻害の領域を示し、表皮ブドウ球菌について1mmの阻害領域を示し、シュードモナスについて、2〜3mmの阻害領域と、さらに外へと2〜3mm広がる追加のハロー効果を示し、カンジダについて2mmの阻害領域を示し、大腸菌については効果を示さなかった。
【0287】
乾燥のコントロールハイドロファイバー包帯(A)は、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、およびシュードモナスについて、2〜3mmの阻害領域を有し、大腸菌およびカンジダについて、突破コロニーが観察される約1〜2mmの部分的な阻害を有していた。
【0288】
生理食塩水のコントロールハイドロファイバー包帯(A)は、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、およびシュードモナスについて、2mmの部分的な阻害領域を示した。コロニーの大腸菌およびカンジダ試験株への増殖が観察された。
【0289】
実施例12
トブラマイシンによるMIC/MBC試験
本発明のガス富化流体を、3つのシュードモナス株PA01、PA14、およびPA Kに対して無作為に試験した。それぞれの細菌培養物を、McFarland 1の濃度(1mLにつき約3×10個の微生物)への新鮮な24時間の培養物から作成した。次いで、それぞれの細菌サンプル(1mL)を、MH培養液1部および無菌の生理食塩水9部から作成した9mlの培養液−生理食塩水混合物への10倍希釈物に連続的に希釈した。試験した細菌濃度は、10、10、10、および10である。ネガティブコントロールチューブ(細菌も、ガス富化生理食塩水も、トブラマイシンも含まない)、ならびにポジティブコントロールチューブ(試験細菌濃度および生理食塩水を含むが、トブラマイシンおよびガス富化流体を含まない)を、試験溶液と横並びで試験した。細胞を35℃で培養した。結果が、下記の表5に示されている。せん断生理食塩水は、本発明のガス富化拡散装置に通されているが、ガスは加えられていない。
【0290】
【表6】

図41に示される試験結果は、脱イオン水、本発明の酸素富化流体、ならびに生理食塩水を用いた、シュードモナス増殖阻害の試験結果を示す。
【0291】
実施例13
角膜線維芽細胞の増殖
無菌のガス富化水(約50ppmの酸素含有量を有している)または標準的な無菌の脱イオン水を、細胞培養液の作成に使用した。ヒト角膜実質線維芽細胞株を、1cmにつき1×10個の細胞という密度で24ウェルの組織培養プレートにプレーティングし、細胞を、Molecular Probes,Inc.製の標準的な生/死アッセイを使用して生存能力について試験した。生存能力試験を、培養液を1日に2回交換しつつ連続的な培養の1または3日目に行った。生きている細胞および生きていない細胞を、各ウェルの10の無作為な20倍視野(0.2mm面積/視野)において数えた。次いで、死細胞の割合を計算した。本発明のガス富化培養液中の細胞においては、標準的な培地に比べて死細胞がより少なかった。結果が、図48に示されている。
【0292】
実施例14
DNAの耐熱性
本発明の酸素富化水の一実施の形態におけるT7 DNAオリゴヌクレオチドの耐熱性を、富化なしの脱イオン水と比較した。水の温度が上昇するにつれ、DNAが、構造変化を受け、「溶解」する。図7に示されているように、DNAオリゴヌクレオチドが、コントロール(脱イオン水)においては摂氏約50°で変性し始めるのに対し、酸素富化した本発明の流体内のDNAオリゴヌクレオチドは、摂氏約60°まで変わらないままである。実際、公知の熱力学原理およびオリゴのG−C/A−T含有量にもとづくと、T7プライマーの「溶解」温度は、約47.7℃になると推定される。このように、本発明の酸素富化流体は、DNAにより高い耐熱性を付与し、コントロールの流体と比べて異なる構造変化および変性の温度をもたらす。
【0293】
実施例15
ピロガロール反応性試験
一定の分量の本発明の酸素富化水を、市販の西洋わさびペルオキシダーゼおよびピロガロール・アッセイ(Sigma)を使用することによって、ペルオキシダーゼ活性について試験した。要約すると、ピロガロール原液を、脱イオン水で作成した。ピロガロールは、基質(過酸化水素または他の電子受容体など)と反応してプルプロガリンおよび水をもたらすため、流体についての西洋わさびペルオキシダーゼ酵素のペルオキシダーゼ活性の指標である。西洋わさびペルオキシダーゼ、ピロガロール、および適切なリン酸カリウム緩衝液を含む試験流体を、他の流体と比較した。過酸化水素を、ポジティブコントロールとして使用した。試験した他の流体が、所望の溶存酸素レベルに達するように100psiまで圧力ポットにおいて酸素化および加圧した水である(圧力ポット)一方で、別の流体を、開放ビーカーでエアーストーンによって酸素化した(微細気泡)。試験対象のすべての流体を室温に維持し、約55ppmの溶存酸素レベルを(FOXYプローブで)測定した。
【0294】
反応を、連続的な分光光度法によるレートの測定にて、摂氏20度、pH6.0、1cmの光路、A420nmにて、実行した。
【0295】
試薬は、以下のとおりであった:
・100mMのリン酸カリウム緩衝液、pH6.0、摂氏20度
・5%(w/v)のピロガロール溶液
・低温緩衝液内の0.4〜0.7単位/mLのペルオキシダーゼ酵素(新たに作製)。
【0296】
試験サンプルは、2.10mLの本発明の流体、0.32mLの緩衝液、および0.32mLのピロガロール、ならびに0.10mLの酵素溶液を含んでいた。コントロールサンプルは、2.10mLの本発明の流体、0.32mLの緩衝液、0.32mLのピロガロール、および試験サンプルと同等の量にするために加えられた追加の0.10の緩衝液を含んでいた。反応物を、反転によって速やかに混ぜ、約6分間にわたってA420nmにおける増加を記録した。試験溶液が0.50%(w/v)の過酸化水素である場合、1単位が、摂氏20度のpH6.0において20秒でピロガロールから1.0mgのプルプロガロンを形成するであろう。プルプロガロン単位は、摂氏25度において1分につき約18μM単位に等しい。したがって、3.00mLの反応混合物において、最終的な濃度は、14μMのリン酸カリウム、0.27%(w/w)の過酸化水素、0.5%(w/v)のピロガロール、および0.04〜0.07単位のペルオキシダーゼである。
【0297】
図8A〜8Eに示されるとおり、本発明の酸素富化流体が、ピロガロールによる西洋わさびペルオキシダーゼとの反応性について陽性の試験結果を示し、電子受容体の存在を示しているのに対し、圧力ポットおよび微細気泡の水サンプルは、はるかに低い反応性であった。さらに、窒素またはアルゴンを含むガス富化流体は反応しなかったので、図37Eに示されるように、酸素は、西洋わさびペルオキシダーゼの存在下でのピロガロールとの反応に必要とされる。
【0298】
本明細書に記載のとおり、過酸化水素の存在についていくつかの化学試験を実行したが、それらの試験のいずれも、陽性ではなかった。したがって、本出願の進歩的な酸素富化流体は、過酸化水素の非存在下で、ペルオキシダーゼ活性をもたらしている。
【0299】
さらに、結果は、パーツ・パー・ミリオンまでの感度の試験ストリップ、または、比色定量アンプル(ChemMetrics、0.1ppmまでの感度)のいずれかによる、過酸化水素の存在についての試験が、過酸化水素の検出可能な存在はないことを明らかにしたことを示した。
【0300】
したがって、本発明のガス富化流体には検出可能な過酸化水素は存在しない一方で、ガス富化流体は、西洋わさびペルオキシダーゼの存在下でピロガロールと反応する。
【0301】
実施例16
グルタチオンペルオキシダーゼの検討
本発明の酸素富化流体を、標準的なアッセイ(Sigma)を使用してグルタチオンペルオキシダーゼとの反応性を試験することによって、過酸化水素の存在について試験した。要約すると、グルタチオンペルオキシダーゼ酵素のカクテルを、脱イオン水および適切な緩衝液で構成した。水サンプルを、酵素試薬を加えることによって試験した。連続的な分光光度法によるレートの測定を、A340nmおよび室温(摂氏25度)において行った。試験したサンプルは、1.脱イオン水(ネガティブコントロール)、2.低濃度の本発明の酸素富化流体、3.高濃度の本発明の酸素富化流体、4.過酸化水素(ポジティブコントロール)である。図38に示されるとおり、過酸化水素(ポジティブコントロール)が、強力な反応性を示した一方で、試験した他の流体はいずれも、グルタチオンペルオキシダーゼと反応することはなかった。
【0302】
実施例17
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)
図50に示されているように、MOG抗原ペプチドに応答してのリンパ球の増殖は、本発明のガス富化流体の存在下で培養されたとき、加圧による酸素化流体(圧力ポット)または脱イオンコントロール流体と比べて向上した。すなわち、本発明のガス富化流体は、細胞を前もってプライムした抗原に対するリンパ球増殖反応を増幅する。
【0303】
公知のマウス配列に相当するミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35−55(MOG 35−55)(M−E−V−G−W−Y−R−S−P−F−S−R−O−V−H−L−Y−R−N−G−K)(配列番号2)を合成した。次に、5×10の脾臓細胞を、前もってMOGを接種したMOG T細胞受容体遺伝子組み換えマウスから取り出し、本発明のガス富化流体、加圧酸素化水(圧力ポット水)、またはコントロール脱イオン水で再構成した0.2mlのTCM流体で培養した。脾細胞を、それぞれ48または72時間にわたってMOG p35−55で培養した。培養物を、1Ciの[3H]−チミジンでパルスし、16時間後に回収した。[3H]チミジンの取り込みの平均のcpmを、3つの培養物において計算した。結果が、図50に示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の眼の状態を処置する方法であって、
処置を必要とする被験体の眼を、大気圧で約15パーツ・パー・ミリオンを超えるレベルの拡散ガスまたは溶存ガスを含んでおり、かつ溶媒和電子をさらに含んでいる有効量のガス富化流体に、充分な時間にわたって接触させること
を含んでいる、方法。
【請求項2】
前記ガス富化流体が生理食塩水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス富化流体がコンタクトレンズ溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コンタクトレンズ溶液が複数回使用用のコンタクトレンズ溶液を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コンタクトレンズ溶液が保存液を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記コンタクトレンズ溶液が湿潤溶液を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記コンタクトレンズ溶液が洗浄液を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記ガス富化流体は、シュードモナス細菌の増殖を阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記状態は、ドライアイ、角膜刺激、細菌感染、アレルギー性の刺激、および細胞の損傷からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞の損傷は、傷の結果である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記傷は、裂傷、擦り傷、破れ、刺し傷、化学、熱、または放射線に起因するやけど、切り傷、引っかき傷、切開、水膨れ、潰瘍および外科創傷からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記外科創傷は、レーザー角膜切開術、白内障除去、レンズの移植または取り出し、角膜の変質、レーザー支援角膜切削形成術(LASIK)、イントラLASIK、嚢外外科手術、水晶体超音波吸引術、硝子体網膜外科手術、緑内障処置、神経眼科外科手術、斜視外科手術、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される外科手術の結果である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガス富化流体が、さらに抗菌剤、抗炎症剤、疼痛緩和剤、麻酔薬、ビタミン、サイトカイン、アジュバント、保存料、塩、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される治療剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ポリマー化合物と、溶媒和電子を含むガス富化流体とからレンズを形成することを含む、コンタクトレンズを形成する方法。
【請求項15】
前記コンタクトレンズを形成するステップは、スピンキャスティングプロセスにより行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記コンタクトレンズを形成するステップは、キャストモールディングプロセスにより行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記コンタクトレンズを形成するステップは、旋盤切断プロセスにより行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
眼の処置のためのガス富化流体組成物であって、該組成物は溶媒和電子を含むガス富化流体を含み、該流体は、シュードモナスの増殖を阻害する、組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37A】
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【図37B】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【図39D】
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【図39E】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44A】
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【図44B】
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【図45A】
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【図45B】
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【図45C】
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【図45D】
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【図45E】
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【図45F】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公表番号】特表2010−508087(P2010−508087A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534876(P2009−534876)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/082580
【国際公開番号】WO2008/052145
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509118444)リバルシオ コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】