説明

酸素捕捉混合物

(I)金属の平均粒径が1〜1000nmであり、金属が担持されていないか、または担体材料に担持されているナノサイズの酸化性金属成分、(II)電解質成分および(III)非電解質酸性化成分を含む酸素捕捉混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素捕捉混合物、ポリマー樹脂および前記酸素捕捉混合物を含む組成物、前記組成物を含む製品、前記酸素捕捉混合物を含むマスターバッチおよび食品包装における前記酸素捕捉混合物の使用に関する。
【0002】
酸素捕捉混合物は、例えば、US−A−5,744,056、US−A−5,885,481、US−A−6,369,148、US−A−6,586,514およびWO−A−96/40412に記載されている。
【0003】
本発明は、特に、
(I)金属の平均粒径が1〜1000nm、好ましくは1〜900nm、特に1〜500nm、例えば1〜300nmであり、金属が担持されていないか、または担体材料に担持されているナノサイズの酸化性金属成分、
(II)電解質成分、および
(III)非電解質酸性化成分
を含む酸素捕捉混合物に関する。
【0004】
特に、金属に担持されたナノ粒子またはポリマーマトリックス内のナノ粒子の場合は、平均粒径を本明細書の実施例1に記載されている動的光散乱法またはSEM(走査型電子顕微鏡法)もしくはTEM(透過型電子顕微鏡法)などの電子顕微鏡技法によって測定することができる。
【0005】
ナノサイズの酸化性金属と担体材料との質量比は、例えば1/100〜50/100、特に1/100〜30/100、例えば1/100〜15/100であり得る。
【0006】
効果的な酸素捕捉をもたらすための当該成分(II)と当該成分(III)との質量比は、10/90〜90/10であり得る。好ましくは、非電解質酸性化成分100質量部当たり少なくとも1質量部の電解質成分が使用され、好ましくは2つの非電解質酸性化成分を1/1〜10/1の質量比で使用することができる。
【0007】
酸化効率と低コストと処理および取り扱いの容易さとの有利な組合せを達成するために、当該成分(II)および(III)の合計が、例えば、当該成分(I)10部当たり20〜500質量部、特に30〜130質量部であり得る。例えば、当該成分(I)10部当たり20〜100質量部が最も好適である。
【0008】
担体材料は、例えば、ポリオレフィンなどのポリマー樹脂である。
【0009】
ナノサイズの金属が担持されていないか、または微孔質材料と異なる担体材料によって担持されている場合、ナノサイズの金属の粒径は、例えば、50〜1000nm、好ましくは100〜900nm、特に100〜500nm、例えば100〜300nmである。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、担体材料は、微孔質材料、例えば、ゼオライト、ナノクレイ、有機金属構造体およびアルミノ珪酸塩からなる群から選択されるものである。ナノサイズの金属粒子を微孔内および/または微孔上に配置することができる。それらは、好ましくは、微孔の表面に付着される。したがって、酸化性金属粒子の寸法が極めて小さく、これらの活性粒子の反応性が極めて高い、酸素捕捉特性を示す生成物が得られる。
【0011】
微孔は、例えば、溝、層またはセルの形であり得る。
【0012】
微孔(好ましくはゼオライトの微孔)内および/または上に存在する酸化性金属粒子の寸法は、極めて小さく、例えば1〜150nm、例えば1〜100nm、1〜50nm、1〜30nmまたは50〜150nmの範囲であり得る。
【0013】
本発明のナノサイズの酸化性金属は、例えばAl、Mg、Zn、Cu、Fe、Sn、CoまたはMn、特にFeであり得る。当該金属、または当該金属と他の成分との合金またはブレンドも好適である。微孔内に存在する金属粒子は、球、八面体および立方体、棒または小板の形等の任意の形状であり得る。
【0014】
ナノサイズの酸化性金属粒子を使用して、例えば、ゼオライト、ナノクレイ、有機金属構造体またはアルミノ珪酸塩などの異なる微孔質材料の表面または内部のアルカル金属イオンを交換することができる。変性酸素雰囲気と接触させ、酸素分子を吸収・捕捉するのに使用される系として、いくつかの異なるマトリックスのなかでもゼオライトが好適である。
【0015】
本発明は、例えば、選択的酸素捕捉剤を得るために、交換可能カチオンを酸化性金属と部分的に交換させた、珪素および場合によってアルミニウムを構造体に含むゼオライトを使用することができる。
【0016】
以下の式(I)のゼオライトが一般に興味深い。
x/n[(AlO2x(SiO2y*wH2O (I)
[式中、nは、好ましくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるカチオンMの電荷であり;
Mは、例えば、第1または第2主族の元素(Li、Na、K、Mg、Ca、SrもしくはBa)またはZnであり;
y:xは、0.8〜15、特に0.8〜1.2の数であり;
wは、0〜300、特に0.5〜30の数である]。
【0017】
好適な構造を、例えば、W.M.Meierによる"Atlas of Zeolite"およびD.H.Olson,Butterworth−Heinemann,3rded.1992に見いだすことができる。
【0018】
ゼオライトの好適な例は、以下の式のアルミノ珪酸ナトリウムである。
1)Na12Al12Si1248*27H2O[ゼオライトA];
2)Na6Al6Si624*2NaX*7.5H2O[X、例えば、OH、ハロゲンまたはClO4[ソーダライト];
3)Na6Al6Si3072*24H2O;
4)Na8Al8Si4096*24H2O;
5)Na16Al16Si2480*16H2O;
6)Na16Al16Si3296*16H2O;
7)Na56Al56Si136384*250H2O[ゼオライトY];
8)Na86Al86Si106384*264H2O[ゼオライトX]。
【0019】
Na原子を、例えば、Li、K、Mg、Ca、SrまたはZn原子によって部分的または完全に交換することができる。したがって、さらなる好適な例は、
9)(Na,K)10Al10Si2264*20H2O;
10)Ca4.5Na3[(AlO212(SiO212*30H2O;
11)K9Na3[(AlO212(SiO212*27H2O。
【0020】
好適なゼオライトは、粒径が例えば2〜4μmのNaYゼオライトNa56Si136Al56384(Si/Al=2.43)(例えばUnion Carbide(RTM)から入手可能)である。
【0021】
本発明の特に好適な実施形態によれば、酸素捕捉混合物の成分(I)は、微孔の表面上および/または微孔の内部に、酸化性金属粒子、特に鉄粒子を有する、微孔を含むゼオライトである。
【0022】
成分(I)を、例えば本実施例に記載されているように、当業者に周知の方法に従って製造することができる。
【0023】
電解質成分(成分(II))は、水分の存在下で陽イオンおよび陰イオンに実質的に解離し、酸化性金属成分と酸素との反応を促進させる少なくとも1つの材料を含む。それは、また、顆粒または粉末の形で提供され、包装に使用される組成物の場合は、包装される製品に悪影響を与えることなく使用することが可能でなければならない。好適な電解質成分としては、様々な電解アルカリ、アルカリ土類金属および遷移金属ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸鉛、炭酸塩、亜硫酸塩およびリン酸塩、例えば、塩化ナトリウム、臭化カリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウムおよび硝酸銅が挙げられる。当該材料の組合せを使用することもできる。
【0024】
特に好適な電解質成分は、塩化ナトリウムである。
【0025】
非電解質酸性化成分(成分(III))は、様々な非電解質有機および無機酸ならびにそれらの塩を含む。特定の化合物の例としては、無水クエン酸、クエン酸一ナトリウム塩、硫酸アンモニウム、ピロリン酸ナトリウムとしても既知のピロリン酸二水素二ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム塩、リン酸アンモニウム、硫酸アルミニウム、ニコチン酸、硫酸アルミニウムアンモニウム、一塩基性リン酸ナトリウムおよび硫酸アルミニウムカリウムが挙げられる。当該材料の組合せを使用することもできる。
【0026】
特に好適な非電解質酸性化成分は、ピロリン酸ナトリウムおよび場合によってリン酸ナトリウム(例えばNaH2PO4)を、酸素捕捉を確保するのに有効な質量比で含む。好ましくは、ピロリン酸ナトリウム100部当たり少なくとも1質量部、特に1〜10質量部のリン酸ナトリウムが使用される。
【0027】
当該酸素捕捉混合物の成分は、酸素捕捉効果を確保するのに有効な割合で存在する。好ましくは、当該成分(I)100質量部当たり少なくとも1質量部の電解質成分+酸性化成分が、電解質成分と非電解質酸性化成分との質量比、例えば99:1〜1:99、特に10:90〜90:10として存在する。より好ましくは、当該成分(I)100部当たり少なくとも約10部の電解質+非電解質酸性化成分が、酸素との反応のための後者の効率的利用を促進させるために存在する。酸化効率と低コストと処理および取り扱いの容易さとの有利な組合せを達成するために、当該成分(I)10部当たり20〜500、特に30〜130部の電解質+非電解質酸性化成分が最も好適である。
【0028】
好適な実施形態によれば、酸素捕捉混合物は、酸化性金属の酸化効率をさらに向上させるために(IV)吸水性結着剤をさらに含むことができる。結着剤は、促進剤化合物の存在下で金属の酸化を向上させるさらなる水分を供給する役割を果たすことができる。使用に好適な吸水性結着剤は、一般に、それ自体の質量の少なくとも約5パーセントの水を吸収し、化学的に不活性な材料を含む。好適な結着剤の例としては、珪藻土、ベーム石、カオリンクレイ、ベントナイトクレイ、酸クレイ、活性化クレイ、ゼオライト、分子篩、タルク、焼成バーミキュレート、活性化炭素、グラファイトおよびカーボンブラック等が挙げられる。有機結着剤を利用することも考えられ、例としては、EP−A−428,736に開示されている様々な吸収性ポリマーが挙げられる。当該結着剤の混合物を使用することもできる。好適な結着剤は、ベントナイトクレイ、カオリンクレイおよびシリカゲルである。
【0029】
吸収性結着剤は、存在すれば、好ましくは、当該成分(I)100部当たり例えば5〜100部の量で使用される。結着剤成分がプラスチックに配合される組成物に使用される場合、結着剤は、処理の容易さを向上させるのに十分に小さい充填量で酸化効率を向上させるために、最も好ましくは、当該成分(I)100部当たり10〜50部の量で存在する。
【0030】
本発明による特に好適な酸素捕捉混合物は、担持されていないか、またはゼオライト、塩化ナトリウムおよびピロリン酸ナトリウムに担持されたナノサイズの鉄を含み、ナノサイズの鉄100質量部当たり約10〜約150質量部の塩化ナトリウム+ピロリン酸ナトリウムが存在し、塩化ナトリウムとピロリン酸ナトリウムとの質量比が10:90〜90:10である。場合によって、ナノサイズの鉄100質量部当たり約100質量部までの吸水性結着剤が存在してよい。最も好ましくは、該組成物は、ナノサイズの鉄、ナノサイズの鉄100部当たり5〜100部の塩化ナトリウムおよび5〜70部のピロリン酸ナトリウムならびにナノサイズの鉄100部当たり0〜50部の結着剤を含む。
【0031】
本発明の別の実施形態は、
(A)ポリマー樹脂、および
(B)以上に定義されている酸素捕捉混合物および場合によって従来の添加剤
を含む組成物に関する。
【0032】
酸素捕捉混合物は、好ましくは、ポリマー樹脂100部当たり約1〜50部の量、好ましくは1〜30部の量、特に1〜15部の量または2〜5部の量で存在してよく、従来の添加剤は、ポリマー樹脂100部当たり例えば0.001〜10部の量、好ましくは0.01〜5部の量、特に0.05〜2部の量で存在してよい。
【0033】
ポリマー材料の例を以下に示す。
【0034】
1.モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブト−1−エン、ポリ−4−メチルペント−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレンもしくはポリブタジエンならびにシクロオレフィン、例えばシクロペンテンもしくはノルボルネンのポリマー、(場合によって架橋され得る)ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度および高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度および超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)および(ULDPE)。
【0035】
ポリオレフィン、すなわち先のパラグラフに例示されているモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレンおよびポリプロピレンを、異なる方法、特に以下の方法によって製造することができる。
a)(通常は高圧および高温下での)ラジカル重合
b)通常、周期律表の第IVb族、Vb族、VIb族またはVIII族の1つ以上の金属を含む触媒を使用する触媒重合。これらの金属は、通常、1つ以上の配位子、典型的には、πもしくはσ配位結合された酸化物、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニルおよび/またはアリールを有する。これらの金属錯体は、遊離した形であっても、基質、典型的には活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナまたは酸化珪素に固定されていてもよい。これらの触媒は、重合媒体に可溶または不溶であってよい。それらの触媒を重合にそのまま使用することができ、またはさらなる活性化剤、典型的には金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハロゲン化物、金属アルキル酸化物または金属アルキルオキサンを使用することができ、前記金属は、周期律表の第Ia族、IIa族および/またはIIIa族の元素である。活性化剤を便利にはさらなるエステル、エーテル、アミンまたはシリルエーテル基で変性することができる。これらの触媒系は、通常、Phillips、Standard Oil(Indiana)、ジーグラー(ナッタ)、TNZ(DuPont)、メタロセンまたはシングルサイト触媒(SSC)と呼ばれる。
【0036】
2.1)に記載されているポリマーの混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)および異なる種類のポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0037】
3.モノオレフィンおよびジオレフィン同士または他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびそれらの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブト−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブト−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、COCのようなエチレン/ノルボルネン)、エチレン/1−オレフィンコポリマー(1−オレフィンがin−situ生成される);プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アクリル酸アルキルコポリマー、エチレン/メタクリル酸アクリルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーまたはエチレン/アクリル酸コポリマーおよびそれらの塩(アイオノマー)ならびにエチレンとプロピレンと、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン−ノルボルネンなどのジエンとのターポリマー;当該コポリマーの混合物、ならびに上記1)に記載のポリマーとの混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAAおよび交互またはランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマーおよびそれらの他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0038】
4.それらの水素化変性物(例えば粘着剤)を含む炭化水素樹脂(例えばC5〜C9)およびポリアルキレンとデンプンの混合物。
【0039】
1.)〜4.)のホモポリマーおよびコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチックまたはアタクチックを含む任意の立体構造を有することができ、アタクチックポリマーが好適である。立体ブロックポリマーも含まれる。
【0040】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0041】
6.スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンのすべての異性体、特にp−ビニルトルエン、エチルスチレンのすべての異性体、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンおよびビニルアントラセンならびにそれらの混合物を含むビニル芳香族モノマーから誘導された芳香族ホモポリマーおよびコポリマー。ホモポリマーおよびコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチックまたはアタクチックを含む任意の立体構造を有することができ、アタクチックポリマーが好適である。立体ブロックポリマーも含まれる。
【0042】
6a.エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、無水マレイン酸、マレイミド、酢酸ビニルおよび塩化ビニルまたはアクリル酸誘導体ならびにそれらの混合物、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/メタクリル酸アルキル、スチレン/ブタジエン/アクリル酸アルキル、スチレン/ブタジエン/メタクリル酸アルキル、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸メチル;高衝撃強度のスチレンコポリマーと別のポリマー、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーとの混合物;スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプロピレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンまたはスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンなどのスチレンブロックポリマーから選択される前記ビニル芳香族モノマーおよびコモノマーを含むコポリマー。
【0043】
6b.特に、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)と称する、アタクチックポリスチレンを水素化することによって製造されたポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含む、6.)に記載のポリマーの水素化により誘導された水素化芳香族ポリマー。
【0044】
6c.6a.)に記載のポリマーの水素化により誘導された水素化芳香族ポリマー。
【0045】
ホモポリマーおよびコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチックまたはアタクチックを含む任意の立体構造を有することができ、アタクチックポリマーが好適である。立体ブロックポリマーも含まれる。
【0046】
7.スチレンまたはα−メチルスチレンなどのビニル芳香族モノマーのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上スチレン、ポリブタジエン−スチレンまたはポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー上スチレン;ポリブタジエン上スチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル);ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリルおよびメタクリル酸メチル;ポリブタジエン上スチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイミド;ポリブタジエン上スチレンおよびマレイミド;ポリブタジエンスチレンおよびアクリル酸またはメタクリル酸アルキル;エチレン/ポリレン/ジエンターポリマー上スチレンおよびアクリロニトリル;ポリアクリル酸アルキルまたはポリメタクリル酸アルキル上スチレンおよびアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上スチレンおよびアクリロニトリル、ならびにそれらと6)に記載のコポリマーとの混合物、例えば、ABS、MBS、ASAまたはAESポリマーとして既知のコポリマー混合物。
【0047】
8.ポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレン(ハロブチルゴム)の塩素化および臭素化コポリマー、塩素化またはスルホ塩素化ポリエチレン、エチレンおよび塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモおよびコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ならびに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニルまたは塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーなどのそれらのコポリマーなどのハロゲン含有ポリマー。
【0048】
9.ポリアクリレートおよびポリメタクリレート;アクリル酸ブチルで耐衝撃性が改質されたポリメタクリル酸メチル、ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリルなどの、α,β−不飽和酸およびそれらの誘導体から誘導されたポリマー。
【0049】
10.9)に記載のモノマー同士または他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えば、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸アルキルコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸アルコキシアルキルもしくはアクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマーまたはアクリロニトリル/メタクリル酸アルキル/ブタジエンターポリマー。
【0050】
11.不飽和アルコールおよびアミンもしくはアシル誘導体またはそれらのアセタールから誘導されたポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリ酪酸ビニル、ポリフタル酸アリルまたはポリアリルメラミン、ならびに上記1)に記載のオレフィンとのそれらのコポリマー。
【0051】
12.ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマーなどの環式エーテルのホモポリマーおよびコポリマー。
【0052】
13.ポリオキシメチレン、およびエチレンオキシドをコモノマーとして含むポリオキシメチレンなどのポリアセタール;熱可塑性ポリウレタン、アクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタール。
【0053】
14.ポリフェニレンオキシドおよびスルフィド、ならびにポリフェニレンオキシドとスチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物。
【0054】
15.一方ではヒドロキシル末端ポリエーテル、ポリエステルまたはポリブタジエンから誘導され、他方では脂肪族または芳香族ポリイソシアネートから誘導されたポリウレタン、ならびにそれらの前駆体。
【0055】
16.ジアミンおよびジカルボン酸、および/またはアミノカルボン酸もしくは対応するラクタムから誘導されたポリアミドおよびコポリアミド、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミンおよびアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンおよびイソフタル酸または/およびテレフタル酸から製造され、改質剤としてエラストマーを含む、または含まないポリアミド、例えば、ポリー2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド;ならびに前記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマーまたは化学結合もしくはグラフトエラストマー;あるいはポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー;ならびにEPDMもしくはABSで変性されたポリアミドまたはコポリアミド;ならびに処理時に縮合されたポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0056】
17.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントインおよびポリベンズイミダゾール。
【0057】
18.ジカルボン酸およびジオールおよび/またはヒドロキシカルボン酸または対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)およびポリヒドロキシベンゾエート、ならびにヒドロキシ末端ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;ならびにポリカーボネートまたはMBSで変性されたポリエステル。
【0058】
19.ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネート。
【0059】
20.ポリケトン。
【0060】
21.ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトン。
【0061】
22.一方ではアルデヒドから誘導され、他方ではフェノール、尿素およびメラミンから誘導された架橋ポリマー、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
【0062】
23.乾燥および非乾燥アルキド樹脂。
【0063】
24.飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールおよび架橋剤としてのビニル化合物とのコポリエステルから誘導された不飽和ポリエステル樹脂、ならびにその低可燃性のハロゲン含有変性体。
【0064】
25.置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
【0065】
26.メラミン樹脂で架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリレート樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネートまたはエポキシ樹脂。
【0066】
27.脂肪族、脂環式、複素環式または芳香族グリシジル化合物から誘導された架橋エポキシ樹脂、例えば、促進剤を含む、または含まない無水物またはアミンなどの従来の硬化剤で架橋されたビスフェノールAおよびビスフェノールFのジグリシジルエーテルの生成物。
【0067】
28.セルロース、ゴム、ゼラチンおよびそれらの化学変性同族誘導体などの天然ポリマー、例えば、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースおよび酪酸セルロース、またはメチルセルロースなどのセルロースエーテル;ならびにロジンおよびそれらの誘導体。
【0068】
29.前記ポリマーのブレンド(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM、ポリアミド/EPDMまたはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6およびコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABSまたはPBT/PET/PC。
【0069】
30.純粋のモノマー化合物または当該化合物の混合物である天然および合成有機材料、例えば、鉱油、動物および植物脂、油および蝋、または合成エステル(フタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステルまたはトリメリット酸エステル)に基づく油、脂および蝋、ならびにあらゆる質量比の合成エステルと鉱油との混合物、典型的には紡糸組成物として使用されるもの、ならびに当該材料の水性エマルジョン。
【0070】
31.天然または合成ゴムの水性エマルジョン、例えば、カルボキシ化スチレン/ブタジエンコポリマーの1つまたは複数の天然ラテックスまたはラテックス。
【0071】
本発明の有効量の酸素捕捉混合物を含めることができ、フィルム、シートまたは壁などの層状構造に形成することができる上記リストの任意の好適なポリマー樹脂を本発明の本態様に従って組成物にプラスチック樹脂として使用することができる。好ましくは、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を使用することができる。熱可塑性ポリマーの例としては、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン612などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどの直鎖状ポリエステル、分枝鎖状ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、無置換、置換または官能化オレフィンのポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニリデン、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリル酸メチルコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)、ポリ(3−メチル−1−ブテン)、ポリ(3−フェニル−1−プロペン)およびポリ(ビニルシクロヘキサン)が挙げられる。ホモポリマーおよびコポリマーが、当該材料の1種または複数種を含むポリマーブレンドと同様に好適である。エポキシ、オレオ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびフェノールなどの熱硬化性樹脂も好適である。
【0072】
好適なポリマーは、特に、比較的安価であり、包装構造体に容易に形成され、発明の酸素捕捉混合物と使用されると、酸素に敏感な生成物に高度な活性遮断保護を提供することができるという理由により、20℃および0%の相対湿度で測定すると、酸素透過率が2×10-12cm3cmcm-2sec-1cm-1Hgを超える熱可塑性樹脂である。これらの例としては、ポリエチレンテレフタレート、ならびに高密度、低密度および直鎖状低密度ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリα−オレフィン樹脂が挙げられる。酸素捕捉混合物は、比較的低量、例えば樹脂100部当たり5〜15部であっても当該樹脂に高度な酸素遮断保護を提供することができる。これらの好適な樹脂のなかでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの順で酸素透過率が大きく、他の物は同程度である。よって、当該ポリマー樹脂では、所定のレベルの酸素遮断効果を達成するための酸素捕捉量は同様の順序で大きく、他の物は同程度である。
【0073】
本発明の酸素捕捉混合物に使用または配合するための熱可塑性樹脂を選択する上で、樹脂における残留抗酸化化合物の存在は、酸素吸収効果にとって有害であり得る。フェノール型抗酸化剤およびホスフィット型抗酸化剤は、樹脂およびそれにより得られた加工生成物の熱安定性を向上させる目的で、ポリマー製造者に広く使用されている。これらの残留抗酸化化合物の具体例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シナメート)メタンおよび亜リン酸トリイソオクチルなどの物質が挙げられる。当該抗酸化剤は、本発明に利用される酸素捕捉成分と混同されるべきでない。一般に、本発明の捕捉組成物の酸素吸収力は、残留抗酸化化合物の量が減少するに従って向上する。したがって、少量、好ましくは樹脂に対して約1600質量ppm未満、最も好ましくは約800質量ppm未満のフェノール型またはホスフィット型抗酸化剤を含有する商業的に入手可能な樹脂が、本発明における使用に好適である(ただし、必須でない)。例は、Dow Chemical Dowlex 2032(RTM)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);Union Carbide GRSN 7047(RTM)LLDPE;Goodyear PET"Traytuf"9506m(RTM);およびEastman PETG 6763(RTM)である。残留抗酸化剤の量の測定を、高圧液体クロマトグラフィーを使用して実施することができる。
【0074】
望まれる場合は、加えて、以下の従来の添加剤の1種または複数種を酸素捕捉配合物と併用することができる。そのリストには、例えば、抗酸化剤、UV吸収剤および/または例えば以下のようなさらなる光安定剤が含まれる。
【0075】
1.アルキル化モノフェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジ−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、側鎖が直鎖状または分枝鎖状であるノニルフェノール、例えば、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノールおよびそれらの混合物。
【0076】
2.アルキルチオメチルフェノール、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
【0077】
3.ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート。
【0078】
4.トコフェロール、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールおよびそれらの混合物(ビタミンE)。
【0079】
5.ヒドロキシ化チオフェニルエーテル、例えば、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−ジスルフィド。
【0080】
6.アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)−フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン。
【0081】
7.O−、N−およびS−ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート。
【0082】
8.ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジ−オクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジ−ドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート。
【0083】
9.芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
【0084】
10.トリアジン化合物、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−アニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。
【0085】
11.ベンジルホスホネート、例えば、ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩。
【0086】
12.アシルアミノフェノール、例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニド、オクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート。
【0087】
13.β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0088】
14.β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]−ウンデカンとのエステル。
【0089】
15.β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0090】
16.3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0091】
17.β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N’−ビス[2−(3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(UniroyalのNaugard(登録商標)XL−1)。
【0092】
18.アスコルビン酸(ビタミンC)。
【0093】
19.アミン系抗酸化剤、例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−tert−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えば、p,p’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチル−アミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノおよびジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化tert−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノおよびジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルフェノチアジンの混合物、モノおよびジアルキル化tert−オクチル−フェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブト−2−エン。
【0094】
20.2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];2−[3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;[R−CH2CH2−COO−CH2CH2−]2(式中、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル)、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル]−ベンゾトリアゾール;2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)−フェニル]ベンゾトリアゾール。
【0095】
21.2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば、4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’、4’−トリヒドロキシおよび2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体。
【0096】
22.置換および無置換安息香酸のエステル、例えば、サリチル酸4−tert−ブチル−フェニル、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸オクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル。
【0097】
23.アクリレート、例えば、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチル、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸イソオクチル、α−カルボメトキシ桂皮酸メチル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ桂皮酸メチル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ桂皮酸ブチル、α−カルボメトキシ−p−メトキシ桂皮酸メチル、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、テトラ(α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸ネオペンチル。
【0098】
24.立体障害アミン、例えば、炭酸ビス(1−ウンデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合体、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖状または環状縮合物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラザジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖状または環状縮合物、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合体、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合体、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−および4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合体、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンならびに4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合体(CAS登録番号[136504−96−6]);1,6−ヘキサンジアミンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンならびにN,N−ジブチルアミンおよび4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合体(CAS登録番号[19226864−7]);N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ−[4,5]デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ−[4,5]デカンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテン、N,N’−ビス−ホルミル−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、4−メトキシメチレンマロン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンとのジエステル、ポリ[メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)]シロキサン、無水マレイン酸−α−オレフィンコポリマーと2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジンまたは1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとの反応生成物、2,4−ビス[N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N−ブチルアミノ]−6−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−1,3,5−トリアジン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、5−(2−エチルヘキサノイル)オキシメチル−3,3,5−トリメチル−2−モルホリノン、Sanduvor(Clariant;CAS登録番号106917−31−1]、5−(2−エチルヘキサノイル)オキシメチル−3,3,5−トリメチル−2−モルホリノン、2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−6−クロロ−s−トリアジンとN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン)との反応生成物、1,3,5−トリス(N−シクロヘキシル−N−(2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−3−オン−4−イル)アミノ)−s−トリアジン、1,3,5−トリス(N−シクロヘキシル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−3−オン−4−イル)−アミノ)−s−トリアジン。
【0099】
25.オキサミド、例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エトキサニリドおよびその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−tert−ブトキサニリドとの混合物、o−およびp−メトキシ二置換オキサニリドの混合物ならびにo−およびp−エトキシ二置換オキサニリドの混合物。
【0100】
26.2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピル−オキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−[2−エチルヘキシルオキシ]−2−ヒドロキシフェニル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0101】
発明の酸素捕捉混合物の電解質および非電解質酸性化成分、ならびに使用できる任意の吸水性結着剤は、樹脂と併用されるときは、微粒子または粉末の形で使用される。酸素捕捉剤熱可塑性樹脂配合物の溶融処理を容易にするために少なくとも290μm以下の粒径が好適である。被膜を形成するための熱硬化性樹脂に使用される場合は、最終被膜の厚さより小さい粒径が使用される。酸素捕捉混合物を粉末または微粒子の形でそのまま使用するか、あるいはさらなる取扱いおよび使用を容易にするために、例えば溶融混練または圧縮焼結によってペレットに成形することができる。当該成分(I)と電解質成分と非電解質酸性化成分と任意の吸水性結着剤との混合物を熱可塑性ポリマー混練または溶融加工処理の例えば押出部にそのまま加えることができ、その後、溶融混合物をそのままフィルムまたはシート押出または共押出ラインに送って、該混合物と樹脂が押出加工ラインの樹脂供給部で混合される割合によって酸素捕捉混合物の量が決定づけられる単層または多層フィルムまたはシートを得ることができる。あるいは、当該成分(I)と電解質成分と非電解質酸性化成分と任意の結着剤との混合物をマスターバッチ濃縮ペレットに混練することができ、それを、押出フィルムもしくはシート、またはタブ、ボトル、カップおよびトレー等の射出成形品にさらに加工するために、さらに包装用樹脂に細分化することができる。
【0102】
当該成分(I)と電解質成分と非電解質酸性化成分と、使用される場合は任意の吸着剤成分との混合の程度は、酸素捕捉混合物の酸素吸収性能を左右し、混合が良好であるほど性能が良好になることが判明した。混合効果は、電解質+非電解質酸性化成分の当該成分(I)に対する比が小さいとき、ならびに非電解質酸性化成分の電解成分に対する比が非常に小さいときおよび非常に大きいときに最も顕著である。電解質+非電解質酸性化成分が、例えば、当該成分(I)100質量部当たり10質量部未満のとき、または電解質または非電解質酸性化成分の他に対する質量比が約10:90未満であるときは、酸素捕捉成分は、好ましくは、水性スラリー混合によって混合された後、オーブン乾燥され、微粒子に粉砕される。これらの比を下回るときは、ヘンシェルミキサーまたはワーリング粉末ブレンダーなどでの高強度混合などのより大きな比において好適な技術による混合、あるいは容器またはローラーもしくはタンブラーのなどでのより低強度の混合技術による混合は、特に該混合物が熱可塑性樹脂に含められ、溶融加工処理に使用される場合に、酸素捕捉量の変動をもたらし得る。
【0103】
発明の酸素捕捉混合物の酸素吸収性能を左右し得る他の要因としては、該組成物を含む製品の表面積が上げられ、通常は、表面積が大きいほど酸素吸収性能が良好である。吸水性結着剤が使用される場合は、その残留水分の量も性能を左右し、結着剤の水分が多いほど酸素吸収性能が良好である。しかし、結着剤に存在すべき水分の量が多すぎると、酸素捕捉混合物を早発的に活性化させるとともに、加工を困難にし、加工生成物の美観を損ね得るため、水分の量には実用的な制限がある。熱可塑性樹脂に含められ、溶融加工技術による製品の加工に使用される場合、樹脂の性質も有意な影響を有し得る。したがって、本発明の酸素捕捉混合物がポリオレフィンまたは非晶質ポリエチレンテレフタレートなどの非晶質および/または酸素透過性ポリマーに使用される場合、該組成物が結晶性ポリエチレンテレフタレートおよびEVOHなどの結晶性および/または酸素遮断性ポリマーに使用される場合より酸素吸収が大きい。
【0104】
熱可塑性樹脂に使用される場合は、酸素捕捉混合物を、所望のレベルの酸素捕捉能力を確保するのに有効な量で樹脂にそのまま含めることができる。そのように使用される場合、好適な酸素捕捉量は、樹脂の選択、樹脂から加工される製品の構成および製品に必要な酸素捕捉能力に応じて変わることになる。内部粘度が小さい樹脂、例えば低分子量の樹脂を使用すると、通常、加工性を低下させることなく捕捉組成物の充填量をより大きくすることが可能になる。逆に、より少量の酸素捕捉混合物は、より高粘度のポリマー材料の使用を容易にすることができる。好ましくは、樹脂100質量部当たり少なくとも0.1質量部の酸素捕捉混合物が使用される。樹脂100部当たり200部を超える充填量は、一般に、酸素吸収を増大させず、加工を妨害し、他の生成物特性に悪影響を及ぼし得る。加工性を維持しながら良好な捕捉性能を得るために、より好ましくは、樹脂100部当たり例えば0.2〜150部、特に0.3〜50部の充填量が使用される。薄いフィルムおよびシートを成形するために、樹脂100部当たり0.3〜20部の充填量が特に好適である。
【0105】
包装品の成形のための好適な酸素捕捉樹脂組成物は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂、および樹脂100質量部当たり2〜50質量部、好ましくは5〜50質量部の酸素捕捉混合物を含み、酸素捕捉混合物は、担持されていない、またはゼオライトに担持されたナノサイズの鉄、塩化ナトリウムおよびピロリン酸ナトリウムを含む。より好ましくは、ナノサイズの鉄10質量部当たり例えば30〜130質量部の塩化ナトリウムおよびピロリン酸ナトリウムが捕捉混合物に存在し、塩化ナトリウムとピロリン酸ナトリウムとの質量比は、例えば10:90〜90:10である。樹脂および酸素捕捉剤100質量部当たり例えば50質量部までの吸水性結着剤を含むこともできる。この種の特に好適な組成物は、ポリプロピレン、樹脂としてのポリプロピレン、高密度、低密度もしくは直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレート、例えば樹脂100質量部当たり5〜30質量部の酸素捕捉剤を含む。例えばナノサイズの鉄10質量部当たり5〜100質量部の塩化ナトリウムおよび5〜70質量部のピロリン酸ナトリウム、ならびに例えばナノサイズの鉄+塩化ナトリウム+ピロリン酸ナトリウム100質量部当たり0〜50質量部の結着剤が好適である。
【0106】
酸素捕捉混合物および樹脂を、濃縮しない形で(すなわち、さらなる樹脂希釈剤を用いずに)捕捉シートまたはフィルムの直接的な成形に使用することができるが、酸素捕捉組成物および樹脂を濃縮物またはマスターバッチの形で使用することも有益である。そのように使用される場合は、低い材料コストで濃縮物を製造できれば、比較的高充填量の捕捉剤でも押出造粒などによる成功裡の溶融混練を可能にするのに有利に働く。したがって、本発明による濃縮物組成物は、好ましくは、樹脂100質量部当たり少なくとも例えば10質量部、より好ましくは樹脂100部当たり30〜150部の酸素捕捉混合物を含む。当該酸素捕捉濃縮物組成物のための好適な樹脂は、本明細書に記載の熱可塑性ポリマー樹脂のいずれかを含む。低溶融粘度樹脂は、高捕捉剤充填量の使用を容易にし、典型的には、加工品の溶融成形に十分に少量で使用されるため、典型的には低分子量の濃縮物樹脂が最終製品特性に悪影響を与えない。好適な担体樹脂は、ポリプロピレン、高密度、低密度および直鎖状低密度ポリエチレンおよびポリエチレンテレフタレートである。それらのなかでは、例えば1〜40g/10分の溶融流量を有するポリプロピレン、例えば1〜20g/10分のメルトインデックスを有するポリエチレン、およびフェノール/トリクロロエタン中例えば0.6〜例えば1の内部粘度を有するポリエチレンテレフタレートが好適である。
【0107】
酸素捕捉混合物の様々な成分または当該成分の組合せを利用して、熱可塑性樹脂と組み合わせ、酸素捕捉生成物に成形することができる2つ以上の濃縮物を形成することができる。2つ以上の濃縮物を使用する利点は、電解質および非電解質酸性化成分を加工品の製造まで当該成分(I)から隔離することによって、実際の使用まで十分または実質的に十分な酸素捕捉能力を保存し、そうでなければ必要とされる量より少ない捕捉剤充填量を可能にすることができる。加えて、個別の濃縮物は、当該成分(I)に対する異なる濃度の電解質および非電解質酸性化成分および/または吸水性結着剤のより容易な製造を可能にするとともに、製造者が、酸素捕捉能力を具体的な最終用途要件に合わせて調整することができる広範な溶融加工可能樹脂組成物を便利に配合することを可能にする。個別の濃縮物における使用のための好適な成分または成分の組合せは、(1)酸性化成分;(2)当該成分(I)と吸水性結着剤成分との組合せおよび(3)電解質成分と非電解質酸性化成分との組合せである。
【0108】
特に好適な成分濃縮物は、ピロリン酸ナトリウムおよび熱可塑性樹脂を含む組成物である。他の捕捉成分を既に含むか、またはそれが添加されることになる熱可塑性樹脂を利用する溶融成形処理に当該濃縮物を所望の量で添加することができる。樹脂100質量部当たり例えば10〜150質量部のピロリン酸ナトリウムを含む濃縮物が特に好適であり、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリエチレンテレフタレートが最も好適な樹脂である。
【0109】
したがって、本発明のさらなる実施形態は、
(A)ポリマー樹脂、および
(B)ポリマー樹脂に対して30〜150質量%の本明細書に記載の酸素捕捉混合物
を含むマスターバッチである。
【0110】
酸素捕捉混合物を吹付け塗装等を介して缶の内部被膜に組み込むために使用できるポリマー樹脂は、典型的には、エポキシ、オレオ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはフェノール系材料などの熱硬化性樹脂である。
【0111】
本発明の別の実施形態は、上記の組成物を含む製品である。該製品は、フィルム、積層体(例えば共押出多層フィルム)、シートまたは硬質もしくは軟質包装材(例えば食品包装材)であってよい。
【0112】
より詳細には、これらの製造品は、上記の酸素捕捉混合物を含む少なくとも1つの溶融成形層を含む。発明の酸素捕捉混合物によって付与された酸化効率の向上のため、捕捉剤含有層は、比較的低量の捕捉剤を含有することができる。本発明の製品は、軟質または硬質包装構造体における使用に十分に適する。本発明による硬質シート包装材の場合は、酸素捕捉層の厚さは、好ましくは例えば2500μm以下であり、最も好ましくは50〜1300μmの範囲である。本発明による軟質フィルム包装材の場合は、酸素捕捉層の厚さは、好ましくは例えば250μm以下であり、最も好ましくは10〜200μmである。本発明による包装構造体は、硬質および軟質のフィルムまたはシート、ならびにトレー、カップ、ボウル、ボトル、バッグ、パウチ、箱、フィルム、カップライナー、缶被覆物および他の包装構造体などの容器または器の壁およびライナーの形であり得る。単層構造体および多層構造体の両方が考えられる。
【0113】
本発明の酸素捕捉混合物および樹脂は、それから成形された製品に活性遮断特性を付与し、任意の好適な成形技術によって、優れた酸素遮断特性を有する包装壁および製品に溶融加工され得るため、EVOH、PVDC、金属蒸着ポリオレフィンまたはポリエステル、アルミニウム箔、シリカ被覆ポリオレフィンおよびポリエステル等に基づくフィルムなどの高コストのガス遮断フィルムの層を含むことを避けることができる。本発明の酸素捕捉製品は、リサイクル性の向上というさらなる利点をももたらす。酸素捕捉樹脂からのスクラップまたは再生材料を、悪影響をもたらすことなくプラスチック製品に容易にリサイクルすることができる。対照的に、EVOHまたはPVDCガス遮断フィルムのリサイクルは、ガス遮断樹脂と、生成物を構成する他の樹脂との間で生じるポリマー相分離およびゲル化により、生成物の品質の劣化を引き起こし得る。しかしながら、本発明による1つ以上の活性遮断層を含む製品における1つ以上の不動態ガス遮断層の使用を通じて、活性および不動態酸素遮断特性を有する特に包装用途の製品を提供することも考えられる。したがって、施設での使用および長期間の保存寿命を必要とする使用に向けた食品用包装などのいくつかの用途では、本発明による酸素捕捉層をEVOH、PVDC、金属蒸着ポリオレフィンまたはアルミニウム箔に基づくものなどの不動態ガス遮断層またはフィルムと併用することができる。
【0114】
本発明は、また、好ましくは、上記の酸素捕捉混合物および樹脂を含む少なくとも1つの層を含む包装壁に関する。生成物を完全に封入することを目的とする任意の包装製品または構造体は、包装製品が壁もしくはその一部を含み、または包装された生成物と包装物の外側の雰囲気との間に介在されることを意図し、当該壁またはその一部が、本発明の酸素捕捉混合物を含む少なくとも1つの層を含む場合に、その用語が本明細書に使用される「包装壁」を有すると考えられるものと理解されるべきである。したがって、ボウル、バッグ、ライナー、トレー、カップ、カートン、パウチ、箱、ボトル、および所定の生成物が充填された後に密封されることを意図する他の器または容器は、本発明の酸素捕捉組成物が、容器を密閉または密封したときに包装された生成物と外部環境との間に介在される当該器の任意の壁(または当該壁の一部)に存在する場合に、「包装壁」という用語に包含される。一例は、本発明の酸素捕捉組成物が、生成物を封入または実質的に封入する1つ以上の連続的な熱可塑性の層に、またはそれらの間に成形される場合である。本発明による包装壁の別の例は、飲料ボトル(すなわちビール用、ワイン用、フルーツジュース用等)におけるキャップライナーまたはラッピング材料として使用される当該酸素捕捉混合物を含む単層または多層フィルムである。
【0115】
魅力的な活性遮断層は、一般に、酸化反応速度が十分に速く、層が十分に厚いため、層に浸透する酸素のほとんどが、実質的な量の酸素に層を透過させることなく反応するものであると理解される。さらに、この「定常状態」は、捕捉層が消費される前の最終用途要件に適する時間にわたって存在することが重要である。本発明は、この定常状態に加えて、経済的に魅力的な層厚、例えば、硬質包装のためのシートの場合は例えば2500μm未満、および軟質フィルムの場合は例えば250μm未満の層厚で優れた捕捉剤寿命をもたらす。本発明による硬質シート包装では、魅力的な捕捉層を250〜750μmの範囲で設けることができ、軟質フィルム包装では、20〜200μmの層厚が魅力的である。当該層は、捕捉層の質量に対してわずか例えば2〜10質量%の酸素捕捉混合物で効率的に機能することができる。
【0116】
本発明による包装構造体の成形において、本発明の酸素捕捉樹脂組成物は、組成物の水活性が十分でなければ、酸素との化学反応に対して実質的に不活性であることに留意するべきである。対照的に、該組成物は、水活性が特定のレベルに達したときに酸素を捕捉するために活性になる。水活性は、使用前に、発明の包装製品は、低水分量を維持する特殊な工程を用いずに比較的乾燥した環境で実質的に不活性を維持することができるものである。しかし、包装材が使用されると、たいていの生成物は、包装製品の壁に含まれる捕捉組成物を活性化させる十分な水分を有することになる。
【0117】
本発明による包装壁を製造するために、酸素捕捉樹脂配合物が使用され、あるいは酸素捕捉混合物またはその成分もしくはその濃縮物が好適な包装樹脂に混練され、あるいは当該樹脂と組み合わされて、得られた樹脂配合物がシート、フィルムまたは他の成形構造体に成形される。押出、共押出、ブロー成形、射出成形および任意の他のシート、フィルムまたは一般的なポリマー溶融成形技術を使用することができる。酸素捕捉組成物から得られたシートおよびフィルムを、例えば塗布または積層によってさらに加工して多層シートまたはフィルムを形成し、次いで、熱成形または他の成形処理によって、少なくとも1つの層が酸素捕捉剤を含む所望の包装壁に成形することができる。望まれる場合または必要な場合は、当該包装壁にさらなる加工または成形を施して、様々な活性遮断最終用途包装製品を得ることができる。本発明は、不動態遮断フィルムを使用して遮断特性を与える従来の製品と比較して、当該遮断製品のコストを低減する。
【0118】
好適な製造品として、本発明は、壁または相互接続壁の組合せを含む包装製品であって、壁または壁の組合せが封入可能生成物受容スペースを定め、壁または壁の組合せが、(i)ポリマー樹脂、好ましくは熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂、最も好ましくは、ポリオレフィン、ポリスチレンおよびポリエステルからなる群から選択される熱可塑性樹脂;(ii)好ましくは、Al、Mg、Zn、Cu、Fe、Sn、CoまたはMnからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を含む、担持されていない、またはゼオライトに担持されているナノサイズの酸化性金属、最も好ましくは樹脂100質量部0.1〜100部のナノサイズの鉄;(iii)電解質成分、および水の存在下で7未満のpHを有する固体の非電解質酸性化成分(ナノサイズの鉄10質量部当たり例えば5〜約150質量部の当該成分が存在するのが好ましく、非電解質酸性化成分と電解質成分の質量比が約5/95〜約95/5であるのが好ましい);ならびに場合によって吸水性結着剤を含む酸素捕捉層を含む少なくとも1つの壁部を含む包装製品を提供する。当該製品において、塩化ナトリウムは、最も好適な電解質成分であり、ピロリン酸ナトリウムは、非電解質酸性化成分として最も好適である、ピロリン酸ナトリウムと塩化ナトリウムとの質量比は、好ましくは10/90〜90/10の範囲である。
【0119】
本発明による特に魅力的な包装構造体は、接着層状接触の形で互いに接着された複数の熱可塑性の層を含む包装壁であり、少なくとも1つの酸素捕捉層は、酸素捕捉組成物を含んでも含まなくてもよい1つ以上の他の層に接着されている。包装壁の各々の層の主な成分を構成する熱可塑性樹脂は、「擬似単層」を達成するように同一であることが特に好適であるが、必須でない。当該構造体は、容易にリサイクル可能である。
【0120】
上記包装壁を使用した包装製品の例は、即席単一食を包装するのに好適な結晶性ポリエチレンテレフタレート(「C−PET」)で構成された二層または三層二重オーブン用トレーである。三層構造体において、250〜500μmの厚さの酸素捕捉層が、70〜250μmの厚さの2つの非捕捉C−PET層の間に狭持される。得られたトレーは、リサイクルの実用的な目的で、トレーが単一の熱可塑性樹脂、すなわちC−PETを含むため、「擬似単層」と見なされる。この擬似単層トレーのスクラップは、中央の層における捕捉剤がリサイクル性により損なわれることがないため、容易にリサイクルされ得る。C−PETトレーにおいて、外側の非捕捉層は、進入する酸素のほとんどをそこに透過させずに中央層によって吸収することができる程十分に低速で中央層に酸素が到達するように、酸素を減速させることによって、酸素透過に対するさらなる保護を提供する。任意の内部非捕捉層は、酸素に対するさらなる遮断壁として作用するが、同時に、トレーの内側の酸素が中央捕捉層内に移動できるほどの透過性を有する。三層構造体を使用する必要はない。例えば、上記構造体において、内部C−PET層を省略することができる。単一の酸素捕捉層から形成されたトレーも魅力的な構造である。
【0121】
擬似単層の概念を広範なポリマー包装材料に使用して、擬似単層C−PETトレーの場合に観察されるのと同じリサイクル上の利点を達成することができる。例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンから成形される包装材を、本発明の酸素捕捉組成物を含む多層包装壁(例えばフィルム)から製造することができる。二層構造体において、捕捉層を内層とし、ポリマーの非捕捉層を外側として、さらなる遮断特性を与えることができる。ポリエチレンなどの捕捉層含有樹脂の層が非捕捉ポリエチレンの2つの層に狭持されたサンドウィッチ構造も可能である。あるいは、ポリプロピレン、ポリスチレンまたは別の好適な樹脂をすべての層に使用することができる。
【0122】
リサイクルの様々な形態を本発明による包装シートおよびフィルムの成形に使用できる。例えば、捕捉および非捕捉層を有する多層シートまたはフィルムを製造する場合は、多層シート全体の再生材料スクラップをシートまたはフィルムの酸素捕捉層にリサイクルすることができる。多層シートをシートのすべての層にリサイクルすることも可能である。
【0123】
本発明による包装壁および包装製品は、発泡する1つ以上の層を含むことができる。ビーズ発泡または押出発泡などの任意の好適なポリマー発泡技術を利用することができる。例えば、発泡ポリスチレン、発泡ポリエステル、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレンまたはそれらの混合物などを含む発泡樹脂層を、本発明の酸素捕捉組成物を含む固体の樹脂層に接着することができる包装製品を得ることができる。あるいは、発泡層は、酸素捕捉組成物を含むことができ、発泡および非発泡層の両方が捕捉組成物を含むことができる。当該発泡層の厚さは、通常、酸素捕捉要件より、発泡体層の機械特性要件、例えば剛性および衝撃強度によって規定される。
【0124】
上記のような包装構造体は、高コストの不動態遮断フィルムを省くことが可能であることの恩恵に浴することができる。しかしながら、極端に長い保存寿命または付加された酸素保護が要求または所望される場合は、本発明による包装壁を、EVOH、ナイロンもしくはPVDC、またはさらに金属蒸着ポリオレフィン、金属蒸着ポリエステルもしくはアルミニウム箔の1つ以上の層を含むように成形することができる。本発明による酸素捕捉樹脂層によって強化することができる別の種類の不動態層は、シリカ被覆ポリエステルまたはシリカ被覆ポリオレフィンである。本発明による多層包装壁が異なるポリマー組成物の層を含む場合は、エチレン酢酸ビニルコポリマーまたはマレイン化ポリエチレンもしくはポリプロピレンに基づくものなどの接着層を使用するのが好ましく、所望の場合は、本発明の酸素捕捉剤を当該接着層に含めることができる。活性および不動態遮断特性を有するフィルムを得るために、EVOH、ナイロンまたはPVDCポリマーなどのガス遮断樹脂を使用して、本発明の酸素捕捉組成物を製造することも可能である。
【0125】
本発明の一実施形態の焦点は、酸素捕捉混合物を容器の壁にそのまま導入することによるものであるが、目的が単にヘッドスペース酸素を吸収することである包装製品内の個別の封入体としてパックに酸素捕捉混合物を使用することもできる。
【0126】
本発明の酸素捕捉樹脂、包装壁および包装製品の主たる用途は、腐敗性食品の包装である。例えば、本発明を利用する包装製品を使用して、ミルク、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズ;シチューおよびスープ;ホットドッグ、冷肉盛り合わせ、チキン、ビーフジャッキーなどの肉製品;単一即席食および添え料理;家庭調理用パスタおよびスパゲッティーソース;バーベキューソース、ケチャップ、マスタードおよびマヨネーズなどの調味料;フルーツジュース、ワインおよびビールなどの飲料;乾燥果物および野菜;朝食用シリアル;パン、クラッカー、練粉菓子、クッキーおよびマフィンなどの焼成品;キャンディー、ポテトチップ、チーズ充填スナックなどのスナック菓子;ピーナツバターまたはピーナツバターとゼリーの組合せ、ジャムおよびゼリー;乾燥または生鮮調味料;ならびにペットおよび家畜の食品等を包装することができる。先述のものは、本発明の見込まれる用途を制限することを意図するものではない。概して、酸素の存在下で劣化し得る任意の種類の生成物に向けられる包装材料の遮断特性を向上させるために本発明を使用することができる。
【0127】
本発明の酸素捕捉組成物のさらに他の用途としては、特に、トマト系材料およびベビーフード等の酸素感受性食品のための金属缶の内部被膜が挙げられる。典型的には、酸素捕捉組成物をエポキシの熱硬化性樹脂、オレオ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはフェノール系材料などのポリマー樹脂ならびにローラー塗装またはスプレー塗装などの方法によって金属缶に塗布される材料と組み合わせることができる。
【0128】
したがって、本発明のさらなる実施形態は、食品包装における酸素捕捉剤として以上に定義されている成分(I)〜(III)を含む混合物の使用である。
【0129】
好ましくは、本発明による酸素捕捉混合物を使用して、プラスチックフィルム、シート、バッグ、ボトル、発泡スチロールのカップ、板、調理具、ブリスタ包装材、箱、包装ラッピング材、プラスチック繊維、テープ、撚り農業フィルム、使い捨ておむつ、使い捨て衣料、買物袋、ゴミ袋、ボール箱および(冷蔵庫用)濾過デバイス等を製造することができる。押出、押出吹込成形、フィルムキャスティング、フィルムブロー成形、圧延、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、熱成形、紡糸、インフレーションおよび回転注型を含むが、それらに限定されない当業者にとって利用可能な任意の方法によって、それらの製品を製造することができる。特に、これは、フィルム、箱、フィルタ、ラベル、バッグおよびサシェなどの包装の分野において興味深い。単に酸化添加剤の濃度を変えることによって、ガス分解速度を調整することができる。
【0130】
当該酸素捕捉混合物について可能な様々な用途の概要が、例えば、参考として本明細書で援用されるUS−A−5,744,056、US−A−5,885,481、US−A−6,369,148およびUS−A−6,586,514に記載されている。
【0131】
以下の実施例は、本明細書をより詳細に例示するものである。本出願に記載されるすべての百分率および部は、特記しない限り質量%および質量部である。
【0132】
実施例1:
12.27gのFeCl3を1.5LのH2Oに溶解させ、N2雰囲気下で室温にて400rpmで撹拌する。1.5LのH2Oに溶解させた37.83gのNaBH4を30分間にわたって黄色溶液に添加する。添加中に、Fe(0)粒子の形成により、溶液が黒色になった。すべてのNaBH4溶液を添加した後にさらに30分間撹拌を続ける。最後に、凝集するFe(0)粒子を濾別し、H2Oで洗浄し、EtOH溶液(5%)で希釈する。
【0133】
上記のように得られたFe(0)ナノ粒子を動的光散乱法(DLS;ZetaSizer−Malvern Instruments(RTM))によって分析する。0.6nm〜10μmの粒径をこの方法によって測定することができる。Fe(0)ナノ粒子をEtOH(MeOHなどの有機溶媒、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)またはCH2Cl2も好適である)で希釈する。最終サンプル濃度は約2%である(一般に、濃度は、10.0%〜0.01%の範囲であってよい)。ナノ粒子分散体をDLS(動的光散乱法)測定の前に10分間超音波処理し、各記録値は、15の測定値の平均値である。Fe(0)ナノ粒子は、300nmの平均粒径を有することがわかる。
【0134】
そのようにして製造されたFeナノ粒子を実施例2および3に記載の手順に使用する。
【0135】
実施例2:
実施例1に記載されているように製造した4.5gのFe粒子を500mlのトルエンに懸濁させる。懸濁液をN2下にて110℃で加熱し、50gのポリエチレンを少しずつ添加する。懸濁液を1時間にわたってN2下で撹拌し、次いで減圧下で蒸発して乾燥させて、54gの最終鉄官能化(ICP−OESによって測定された8.2質量%のFe(誘導結合プラズマ−発光分光計、Perkin Elmer Optima Series 4200DV(RTM))ポリエチレン生成物を得る。
【0136】
実施例3:
NaCl、Na2227およびNaH2PO4とRiblene GP20(RTM)低密度ポリエチレンとを、NaCl/Na2227/NaH2PO4の比が質量比で1/0.92/0.08であり、NaClの最終濃度が1.2質量%になるように混合する。ICPで測定するとFeが0.25質量%になる実施例2の3.0%のFe官能化ポリエチレン生成物を添加する。混合物をOMCパイロット二軸押出機(型式EBV19/25、軸径19mmおよび比1:25)で押し出す。Formac Blow Extruder(RTM)(型式Lab25、軸径22mmおよび比1:25)を使用して50ミクロンの厚さのフィルムを製造する。次いで、フラスコ内部のバイアルに含まれた15mlの水の存在下で、シリンジを使用して数回の間隔で分析するために内部雰囲気部分の抜き取りを可能にする隔壁を備えた500mlの密閉フラスコ内の空気(20.7%O2)にフィルムのいくつかのアリコットを曝露する。Mocon Pac Check 450ヘッドスペース分析装置(RTM)を使用して酸素濃度測定を28日間にわたって実施する。試験するサンプルに実際の鉄濃度をICPによって最終的に測定する。ccO2/gのFeに関する結果を第1表に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
試験サンプルに吸着された酸素の量を密閉ガラス容器のヘッドスペースにおける酸素濃度の変化から測定する。試験容器は、約100mlの酸素が鉄ナノ粒子との反応に利用できるように、約500mlのヘッドスペース容量を有し、大気を含む。約3.0%のFe官能化ポリエチレン含有量を有する試験サンプルを試験する。本例において、酸素捕捉成分の百分率は、フィルム組成物の全質量に対する質量パーセントである。
【0139】
酸素吸収方法の詳細な説明:
押出フィルムから、縁の1〜2cmを縁取りし、破棄する。フィルム厚さを測定し、4.00グラムのフィルム(±0.01g)を秤量する。フィルムを蛇腹式に折り重ね、清潔な500mlの密閉ガラス容器に入れる。15mlの脱イオン水を含むバイアルを加えて、ガラス容器内部の相対湿度を100%にする。
【0140】
0日目の雰囲気内の酸素含有量(すなわち、密閉ガラス容器における初期酸素含有量に等しい)を試験・記録する。
【0141】
試験フィルムおよび水バイアルを含むガラス容器を22℃(一般には室温)で28日間保存する。
【0142】
28日目にMocon酸素分析装置を使用して密閉ガラス容器における酸素含有量を試験・記録する。
【0143】
密閉ガラス容器内に残留する実測酸素濃度に基づいて、以下の式を使用して酸素捕捉剤1グラム当たり吸収された酸素の容量を計算することが可能である。
【0144】
吸収された酸素(cc/g)={(%O2i−(%O2f*0.01*j/(WF*S/WB
式中、
(%O2iは、密閉ガラス容器における初期酸素濃度(%)であり、
(%O2fは、試験日における密閉ガラス容器内の酸素濃度(%)であり、
0.01は、換算係数であり、
jは、密閉ガラス容器の自由空気容量(cc)(密閉ガラス容器の全容量は、バイアルおよびフィルムが占めるスペースより小さく、典型的には440ccである)であり、
Fは、ガラス容器に入れられたフィルムの質量(g)(典型的には4g)であり、
Sは、ブレンドを製造するのに使用される酸素捕捉剤の質量(g)であり、
Bは、ブレンドの全質量(g)である。
【0145】
実施例4:
100gのFeSO4*7H2Oを2.0LのH2Oに溶解させ、N2雰囲気下で室温にて撹拌する。100.0gのゼオライト(Na Y−CBV100またはHSZ320)を緑色の鉄溶液を添加する。懸濁液を40℃で48時間撹拌し、次いでわずかに褐色の粉末を濾別し、H2OおよびEtOHで洗浄する。ゼオライト内の所望の鉄充填量が達成されるまでその手順を繰り返す。製造したFe(2+)官能化ゼオライトを実施例5に記載の手順に使用する。
【0146】
実施例5:
実施例4に記載されているように製造した75.0gのFe(2+)官能化ゼオライトを500mlのH2Oに懸濁させ、N2雰囲気下で室温にて撹拌する。5.07gのNaBH4を少しずつ添加する。添加中に、ゼオライト微小孔上および/または内におけるFe(0)ナノ粒子の形成により、溶液が灰色になった。懸濁液をN2下で2時間撹拌し、濾過し、H2Oおよびアセトンで洗浄する。粉末を減圧下で90℃にて16時間乾燥させて、67gのFe(0)官能化ゼオライトを得る(ICP−OESによって測定された6.9質量%のFe(誘導結合プラズマ−発光分光計、Perkin Elmer Optima Series 4200DV(RTM))。Fe(0)ナノ粒子は、走査型電子顕微鏡法によって測定された100nmの平均粒径を有する。
【0147】
実施例6:
実施例5の572mgのFe(0)ゼオライト(Feが6.9質量%)と40mgのNaClおよび20mgのNa2227とを1mlのH2O中で混合する。次いで、シリンジを使用して、数回の間隔で分析するために内部雰囲気部分の抜き取りを可能にする隔壁を備えた100mlの密閉フラスコ中で、該混合物を空気(O2濃度20.7%)に曝露する。Mocon Pac Check 450(RTM)ヘッドスペース分析装置を使用して酸素濃度測定を実施する。実験の過程においてサンプルを撹拌または振盪しない。密閉フラスコ内のシリコン隔壁を介して1.0mlの脱イオンH2Oをシリンジで添加し、反応の48時間後に(水を系に添加した瞬間から測定する)ccO2/g Feとしての酸素捕捉剤活性を測定する。結果を第2表に示す。
【0148】
【表2】

【0149】
実施例7:
実施例5の729mgのFe(0)ゼオライト(Feが6.9質量%)と25mgのNaClおよび22mgのNa2227と2mgのNaH2PO4を1mlのH2O中で混合する。次いで、シリンジを使用して、数回の間隔で分析するために内部雰囲気部分の抜き取りを可能にする隔壁を備えた100mlの密閉フラスコ中で、該混合物を空気(O2濃度20.7%)に曝露する。Mocon Pac Check 450(RTM)ヘッドスペース分析装置を使用して酸素濃度測定を実施する。実験の過程においてサンプルを撹拌または振盪しない。密閉フラスコ内のシリコン隔壁を介して1.0mlの脱イオンH2Oをシリンジで添加し、反応の48時間後に(水を系に添加した瞬間から測定する)ccO2/g Feとしての酸素捕捉剤活性を測定する。結果を第3表に示す。
【0150】
【表3】

【0151】
実施例8:
NaCl、Na2227およびNaH2PO4とRiblene GP20(RTM)低密度ポリエチレンとを、NaCl/Na2227/NaH2PO4の比が質量比で1/0.92/0.08であり、NaClの最終濃度が1.2質量%になるように混合する。フィルムにおけるICPによって測定したFeが0.25質量%になる4.0%のFe(0)−ゼオライト(Y−CBV100)を添加する。混合物をOMCパイロット二軸押出機(型式EBV19/25、軸径19mmおよび比1:25)で押し出す。Formac Blow Extruder(RTM)(型式Lab25、軸径22mmおよび比1:25)を使用して50ミクロンの厚さのフィルムを製造する。次いで、フラスコの内部のバイアルに含まれた15mlの水の存在下で、シリンジを使用して数回の間隔で分析するために内部雰囲気部分の抜き取りを可能にする隔壁を備えた500mlの密閉フラスコ内の空気(20.7%O2)に、サンプル毎のフィルムのいくつかのアリコットを曝露する。Mocon Pac Check 450ヘッドスペース分析装置を使用して酸素濃度測定を28日間にわたって実施する。試験するサンプルに実際の鉄濃度をもICPによって最終的に測定する。ccO2/gのFeに関する結果を第4表に示す。
【0152】
【表4】

【0153】
実施例9:
NaCl、Na2227およびNaH2PO4とRiblene GP20(RTM)低密度ポリエチレンとを、NaCl/Na2227/NaH2PO4の比が質量比で1/0.92/0.08であり、NaClの最終濃度が1.2質量%になるように混合する。フィルム中でICPで測定するとFeが0.27質量%になる実施例2の4.0%のFe(0)−ゼオライト(HSZ320)を添加する。混合物をOMCパイロット二軸押出機(型式EBV19/25、軸径19mmおよび比1:25)で押し出す。Formac Blow Extruder(RTM)(型式Lab25、軸径22mmおよび比1:25)を使用して50ミクロンの厚さのフィルムを製造する。次いで、フラスコ内部のバイアルに含まれた15mlの水の存在下で、シリンジを使用して数回の間隔で分析するために内部雰囲気部分の抜き取りを可能にする隔壁を備えた500mlの密閉フラスコ内の空気(20.7%O2)に各サンプル毎にフィルムのいくつかのアリコットを曝露する。Mocon Pac Check 450ヘッドスペース分析装置(RTM)を使用して酸素濃度測定を28日間にわたって実施する。試験するサンプルに実際の鉄濃度をICPによって最終的に測定する。ccO2/gのFeに関する結果を第5表に示す。
【0154】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)金属の平均粒径が1〜1000nmであり、且つ金属が担持されていないか、または担体材料に担持されているナノサイズの酸化性金属成分、
(II)電解質成分、および
(III)非電解質酸性化成分
を含む酸素捕捉混合物。
【請求項2】
前記金属の平均粒径が1〜100nmであり、且つ前記金属が、微孔質材料に担持されている、請求項1に記載の酸素捕捉混合物。
【請求項3】
前記金属の平均粒径が100〜900nmである、請求項1に記載の酸素捕捉混合物。
【請求項4】
前記金属が、Al、Mg、Zn、Cu、Fe、Sn、CoおよびMnからなる群から選択される、請求項1に記載の酸素捕捉混合物。
【請求項5】
前記金属が鉄である、請求項1に記載の酸素捕捉混合物。
【請求項6】
前記電解質成分が、塩化ナトリウムを含む、請求項1に記載の酸素捕捉混合物。
【請求項7】
前記非電解質酸性化成分が、ピロリン酸ナトリウム且つ場合によりNaH2PO4を含む、請求項1に記載の酸素捕捉混合物。
【請求項8】
(IV)吸水性結着剤
をさらに含む、請求項1に記載の酸素捕捉混合物。
【請求項9】
(A)ポリマー樹脂、および
(B)請求項1に記載の酸素捕捉混合物、ならびに場合により
(C−1)UV吸収剤、
(C−2)抗酸化剤、および
(C−3)さらなる光安定剤
からなる群から選択されるさらなる添加剤
を含む組成物。
【請求項10】
前記ポリマー樹脂が、オレフィンホモまたはコポリマー、熱可塑性樹脂、ポリアミドホモまたはコポリマー、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、ナフタレン酸残基およびそれらの混合物からなる群から選択される反復単位を有するポリエステルである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項9に記載の組成物を含む製品。
【請求項12】
フィルム、シートまたは積層体である、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
食品包装材である、請求項11に記載の製品。
【請求項14】
(A)ポリマー樹脂、および
(B)該ポリマー樹脂に対して30〜150質量%の請求項1に記載の酸素捕捉混合物を含むマスターバッチ。
【請求項15】
請求項1に定義された成分(I)〜(III)を含む混合物の、食品包装材における酸素捕捉剤としての使用。

【公表番号】特表2011−509166(P2011−509166A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538628(P2010−538628)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067538
【国際公開番号】WO2009/080586
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】