説明

重合可能アクリル酸シクロプロピル

【課題】メタクリレートに匹敵するラジカル重合反応性を示し重合中に殆ど収縮しないモノマーを提供すること。
【解決手段】本発明は、アクリル酸シクロプロピル、およびアクリル酸シクロプロピルを含有する組成物に関する。本発明に従うアクリル酸シクロプロピルは、歯科用材料、特に、歯科用途のための重合体および共重合体、成形物、接着剤、セメント、充填材料、被覆材料および複合材料を製造するのに、特に適切である。このために、これらのアクリル酸シクロプロピルは、ラジカル重合用の開始剤、好ましくは、また、さらなるモノマー、充填剤および必要に応じて、さらなる助剤と混合される。そのように得られた組成物は、ラジカル重合で硬化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用材料を調製するのに特に適切な重合可能アクリル酸シクロプロピルに関する。
【0002】
ラジカル重合可能な環状モノマーは、直鎖モノマーと比較して、著しく低い重合収縮を示すので、特に重要である(非特許文献1)。
【0003】
他の公知の開環モノマー(例えば、メチレン基含有スピロオルトカーボネート(SOC)、スピロオルトエステル(SOE)または二環式オルトエステル(BOE))とは異なり、ビニルシクロプロパンは、水分に敏感ではなく、それらのラジカル重合はまた、比較的に高いモル質量を有する重合体が得られるという特徴がある(非特許文献2)。SOCまたはSOEのラジカル重合の場合、その主鎖にカーボネート−エーテル基またはエーテル−エーテル基を有する重合体が形成され、これらは、従って、加水分解的または酵素的に開裂し易い。他方、1,1−二置換2−ビニルシクロプロパンの開環重合により、主鎖に加水分解的に安定なC−C結合のみを含有する重合体が生じる。
【0004】
特許文献1は、いくつかのビニルシクロプロピル基を有するモノマーを開示しており、これらは、不溶性重合体ネットワークを生じる。
【0005】
非特許文献3は、1,1−ビス(エトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパンとメタクリル酸メチル(MMA)とのラジカル共重合を一例として、メタクリレートと比較して、ビニルシクロプロパンは、ラジカル重合能力が小さいことで特徴付けられ、このことは、明らかに、それらの実用用途を制限していることを明らかにできた(非特許文献3)。
【0006】
このラジカル重合における反応性の向上は、二環式アクリル酸シクロプロピル(例えば、2−[ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル]−アクリル酸メチルエステルにより、示され(非特許文献4)、歯科用材料でのそれらの使用は、特許文献2で提唱されている。しかしながら、提唱された構造は、アクセスするのが困難であり、そのアクリル酸エステル基を介してのみ、官能化できる。
【特許文献1】欧州特許第0798286号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10249342号明細書
【非特許文献1】R.K.Sadhir,R.M.Luck,Expanding Monomers,CRC Press,Boca Raton etc.1992
【非特許文献2】N.Moszner,F.Zeuner,T.Voelkel,V.Rheinberger,Macromol.Chem.Phys.200(1999)2173
【非特許文献3】F.Sanda,T.Takata,T.Endo,Macromolecules,27(1994)3982
【非特許文献4】N.Moszner,F.Zeuner,U.K.Fischer,V.Rheinberger,A.de Meijere,V.Bagutski,Macromol.Rapid.Commun.24(2003)269
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、メタクリレートに匹敵するラジカル重合反応性を示し重合中に殆ど収縮しないモノマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下を提供する:
(項目1) 一般式(1)のアクリル酸シクロプロピル:
【0009】
【化3】

それらの構造異性体および立体異性体ならびにそれらの混合物であって、ここで、Aは、以下から選択される:
【0010】
【化4】

そして残りの可変物は、互いに別個の以下の意味を有する:
Yは、A=Aのとき、存在しないか、CHまたはOであり、A=Aのとき、CHまたはOであり、
nは、Yが存在しないとき、0、1、2または3であり、Y=CHまたはOのとき、1であり、
mは、Yが存在しないとき、0、1、2または3であり、Y=CHまたはOのとき1であり、
rは、1、2、3または4であり、
は、H、C〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アリールアルキルまたは二環式C〜C12基または−R10−X−であり、
は、脂肪族C〜C20炭化水素基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリールまたはC〜C20アルキルアリール基であり、この脂肪族C〜C20炭化水素基は、括弧内の式でr回置換されており、この脂肪族C〜C20炭化水素基は、OまたはSで中断でき、
は、−CO−OR、−CO−R、−S(O)R、SO、−SO(OR)、−PO(OR、−CN、−H、−Rであり、
は、−CO−OR、−CO−R、−S(O)R、SO、−SO(OR)、−PO(OR、−CNまたは−R11−R10−X−であり、
〜Rは、互いに別個に、H、−CO−OR、−CO−NHR、−CO−NR、−CO−R、−CN、C〜C20アルキル基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリール、C〜C20アルキルアリール基であるか、またはこれらの基の少なくとも2個が、それらが結合する炭素原子と一緒になって5〜8員環系を形成し、このC〜C20アルキル基は、OまたはSで中断でき、
は、C〜C20アルキル基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリールまたはC〜C20アルキルアリール基であり、このC〜C20アルキル基は、OまたはSで中断でき、
10は、存在しないか、またはC〜C20アルキレン基、脂環式または二環式C〜C12基、C〜C14アリーレンまたはC〜C20アルキレンアリーレン基であり、このC〜C20アルキレン基は、OまたはSで中断でき、
11は、−COO−、−CO−、−SO−、−SO−、−SO(O−)、−PO(OR)(O−)であり、
Xは、存在しないか、−O−CO−、−CO−O−、−NH−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−O−または−O−CO−NH−であり、ここで、Xは、もしR10が存在しないなら、「存在しない」という意味を有し、
ここで、これらの基RおよびR〜Rは、置換され得るかまたは非置換であり得、いずれかのRは、−R11−R10−X−であるか、またはRは、−R10−X−であり、括弧内の式は、Xを介して、Rに結合されており、ここで、1形式の数個の基は、同一または異なり得る、
アクリル酸シクロプロピル。
(項目2) 上記基RおよびR〜Rの上記置換基が、アルキル、ハロゲン、OCH、OC、ビニル、(メタ)アクリル、COOR12、SiCl、Si(OR13およびメソゲン基から選択され、ここで、
12が、H、またはC〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アリールアルキルまたは二環式C〜C12基であり、そして
13が、H、またはC〜C10アルキル基である、項目1に記載のアクリル酸シクロプロピル。
(項目3) Aが、Aであり、Rが、−R10−X−であり、そしてYが、存在しない、項目1または2に記載のアクリル酸シクロプロピル。
(項目4) Aが、Aであり、Rが、−R11−R10−X−であり、そしてYが、存在しない、項目1または2に記載のアクリル酸シクロプロピル。
(項目5) Aが、Aであり、Rが、−R10−X−であり、そしてYが、CHまたはOである、項目1または2に記載のアクリル酸シクロプロピル。
(項目6) 式(1)の少なくとも1個の可変物が、以下の意味:
Yは、A=Aのとき、存在せず、A=Aのとき、CHまたはOであり、
nは、1であり、
mは、1であり、
rは、1または2であり、
は、H、C〜Cアルキルまたは二環式C〜C12基であるか、特に、−R10−X−であり、
は、脂肪族C〜C炭化水素基、脂環式C〜C基、二環式C〜C基、C〜C10アリールまたはC〜C10アルキルアリール基であり、この脂肪族C〜C炭化水素基は、Oで中断でき、
は、−CO−OR、−CO−R、SO、CN、Hまたは−Rであり、
は、−CO−OR、−CO−R、SO、CNまたは−R11−R10−X−であり、
〜Rは、互いに別個に、H、−CO−OR、−CO−R、−CN、C〜Cアルキル基、脂環式C〜C基、二環式C〜C基、C〜C10アリールまたはC〜C10アルキルアリール基であり、このC〜Cアルキル基は、Oで中断でき、
は、C〜Cアルキル基、脂環式C〜C基、二環式C〜C基、C〜C10アリールまたはC〜C10アルキルアリール基、特に、C〜Cアルキルであり、このC〜Cアルキル基は、Oで中断でき、
10は、存在しないか、またはC〜C10アルキレン基、二環式C〜C基またはC〜C10アルキレンアリーレン基、特に、存在しないかまたはC〜Cアルキレンであり、このC〜C10アルキレン基は、Oで中断でき、
11は、−CO−O−、−CO−または−SO−、特に、−CO−O−であり、
Xは、存在しないか、−O−CO−または−CO−O−である、
の1つを有する、項目1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル。
(項目7) 項目1〜6の1項に記載のアクリル酸シクロプロピルを含有する、組成物。
(項目8) さらに、ラジカル重合用の開始剤を含有する、項目7に記載の組成物。
(項目9) さらに、少なくとも1種のさらなるラジカル重合可能モノマーを含有する、項目7または8に記載の組成物。
(項目10) ラジカル重合可能モノマーとして、さらに、多官能性モノマーを含有する、項目9に記載の組成物。
(項目11) 多官能性ラジカル重合可能モノマーとして、二官能性または多官能性のアクリレートまたはメタクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(メタクリル酸とビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルとの付加生成物)、UDMA(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの付加生成物)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートまたは1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸とジイソシアネート(例えば、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネート)とのウレタン、架橋ピロリドン(例えば、1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリドニル)−ヘキサン)、ビスアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドまたはエチレンビスアクリルアミド、ビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)−プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)−ブタン、N,N’−ビス−(アクリロイル)−ピペラジン、またはこれらのモノマーの2種またはそれ以上の混合物を含有する、項目10に記載の組成物。
(項目12) さらに、充填剤を含有する、項目7〜11の1項に記載の組成物。
(項目13) 項目7〜12の1項に記載の組成物であって:
a)1重量%〜80重量%の項目1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜60重量%のラジカル重合可能モノマー;
d)0重量%〜40重量%の溶媒;および
e)0重量%〜20重量%の充填剤、
を含有する、組成物。
(項目14) 項目7〜12の1項に記載の組成物であって:
a)1重量%〜60重量%の項目1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜60重量%のラジカル重合可能モノマー;および
d)20重量%〜60重量%の充填剤、
を含有する、組成物。
(項目15) 項目7〜12の1項に記載の組成物であって:
a)1重量%〜45重量%の項目1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜50重量%のラジカル重合可能モノマー;および
d)30重量%〜85重量%の充填剤、
を含有する、組成物。
(項目16) 項目7〜12の1項に記載の組成物であって:
a)1重量%〜95重量%の項目1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜60重量%のラジカル重合可能モノマー;および
d)0重量%〜20重量%の充填剤、
を含有する、組成物。
(項目17) さらに、少なくとも1種のさらなる成分を含有し、このさらなる成分が、安定化剤、UV吸収剤、着色剤、顔料および潤滑剤からなる群から選択される、項目7〜16の1項に記載の組成物。
(項目18) 歯科用材料を調製するための、項目1〜6の1項に記載のアクリル酸シクロプロピルの使用。
(項目19) 歯科用材料としての、項目7〜17の1項に記載の組成物の使用。
(項目20) 歯科用材料の製造における、請求項1〜6の1項に記載のアクリル酸シクロプロピルの使用。
(項目21) 歯科用材料の製造における、請求項7〜17の1項に記載の組成物の使用。
(項目22) 上記歯科用材料が、接着剤である、アクリル酸シクロプロピルあるいは項目18〜21のいずれか1項に記載の組成物の使用。
(項目23) 上記歯科用材料が、セメントである、アクリル酸シクロプロピルあるいは項目18〜21のいずれか1項に記載の組成物の使用。
(項目24) 上記歯科用材料が、充填材料である、アクリル酸シクロプロピルあるいは項目18〜21のいずれか1項に記載の組成物の使用。
(項目25) 上記歯科用材料が、被覆材料である、アクリル酸シクロプロピルあるいは項目18〜21のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【0011】
一般式(1)のアクリル酸シクロプロピル:
【0012】
【化5】

、それらの構造異性体および立体異性体ならびにそれらの混合物であって、ここで、Aは、以下から選択される:
【0013】
【化6】

Yは、A=Aのとき、存在しないか、CHまたはOであり、A=Aのとき、CHまたはOである;nは、Yが存在しないとき、0、1、2または3であり、Y=CHまたはOのとき、1である;mは、Yが存在しないとき、0、1、2または3であり、Y=CHまたはOのとき1である;rは、1、2、3または4である;Rは、H、C〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アリールアルキルまたは二環式C〜C12基または−R10−X−である;Rは、脂肪族C〜C20炭化水素基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリールまたはC〜C20アルキルアリール基であり、該脂肪族C〜C20炭化水素基は、括弧内の式でr回置換されており、該脂肪族C〜C20炭化水素基は、OまたはSで中断できる;Rは、−CO−OR、−CO−R、−S(O)R、−SO、−SO(OR)、−PO(OR、−CN、−H、−Rである;Rは、−CO−OR、−CO−R、−S(O)R、SO、−SO(OR)、−PO(OR、−CNまたは−R11−R10−X−である;R〜Rは、互いに別個に、H、−CO−OR、−CO−NHR、−CO−NR、−CO−R、−CN、C〜C20アルキル基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリール、C〜C20アルキルアリール基であるか、または該基の少なくとも2個が、それらが結合する炭素原子と一緒になって5〜8員環系を形成し、該C〜C20アルキル基は、OまたはSで中断できる;Rは、C〜C20アルキル基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリールまたはC〜C20アルキルアリール基であり、該C〜C20アルキル基は、OまたはSで中断できる;R10は、存在しないか、またはC〜C20アルキレン基、脂環式または二環式C〜C12基、C〜C14アリーレンまたはC〜C20アルキレンアリーレン基であり、該C〜C20アルキレン基は、OまたはSで中断できる;R11は、−COO−、−CO−、−SO−、−SO−、−SO(O−)、−PO(OR)(O−)である;Xは、存在しないか、−O−CO−、−CO−O−、−NH−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−O−または−O−CO−NH−であり、ここで、Xは、もしR10が存在しないなら、「存在しない」という意味を有し、ここで、該基RおよびR〜Rは、置換され得るかまたは非置換であり得、いずれかのRは、−R11−R10−X−であるか、またはRは、−R10−X−であり、括弧内の式は、Xを介して、Rに結合されており、ここで、1形式の数個の基は、同一または異なり得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、メタクリレートに匹敵するラジカル重合反応性を示し重合中に殆ど収縮しないモノマーが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記目的は、以下の一般式(1)のアクリル酸シクロプロピルにより、達成される:
【0016】
【化7】

ここで、Aは、以下から選択される:
【0017】
【化8】

そして残りの可変物は、互いに別個の以下の意味を有する:
Yは、A=Aのとき、存在しないか、CHまたはOであり、A=Aのとき、CHまたはOであり、
nは、Yが存在しないとき、0、1、2または3であり、Y=CHまたはOのとき、1であり、
mは、Yが存在しないとき、0、1、2または3であり、Y=CHまたはOのとき1であり、
rは、1、2、3または4であり、
は、H、C〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アリールアルキルまたは二環式C〜C12基または−R10−X−であり、
は、脂肪族C〜C20炭化水素基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリールまたはC〜C20アルキルアリール基であり、該脂肪族C〜C20炭化水素基は、括弧内の式でr回置換されており、該脂肪族C〜C20炭化水素基は、OまたはSで中断でき、
は、−CO−OR、−CO−R、−S(O)R、SO、−SO(OR)、−PO(OR、−CN、−H、−Rであり、
は、−CO−OR、−CO−R、−S(O)R、SO、−SO(OR)、−PO(OR、−CNまたは−R13−R10−X−であり、
〜Rは、互いに別個に、H、−CO−OR、−CO−NHR、−CO−NR、−CO−R、−CN、C〜C20アルキル基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリール、C〜C20アルキルアリール基であるか、または該基の少なくとも2個が、それらが結合する炭素原子と一緒になって5〜8員環系を形成し、該C〜C20アルキル基は、OまたはSで中断でき、
は、C〜C20アルキル基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリールまたはC〜C20アルキルアリール基であり、該C〜C20アルキル基は、OまたはSで中断でき、
10は、存在しないか、またはC〜C20アルキレン基、脂環式または二環式C〜C12基、C〜C14アリーレンまたはC〜C20アルキレンアリーレン基であり、該C〜C20アルキレン基は、OまたはSで中断でき、
11は、−COO−、−CO−、−SO−、−SO−、−SO(O−)、−PO(OR)(O−)であり、
Xは、存在しないか、−O−CO−、−CO−O−、−NH−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−O−または−O−CO−NH−であり、ここで、Xは、もしR10が存在しないなら、「存在しない」という意味を有し、
ここで、該基RおよびR〜Rは、置換され得るかまたは非置換であり得、いずれかのRは、−R11−R10−X−であるか、またはRは、−R10−X−であり、括弧内の式は、Xを介して、Rに結合されている。
【0018】
もし、一般式(1)のアクリル酸シクロプロピルが、1形式のいくつかの基(例えば、いくつかのR基)を含有するなら、これらの基は、同一または異なり得る。
【0019】
基RおよびR〜Rの置換基として、アルキル、ハロゲン、OCH、OC、ビニル、(メタ)アクリル、COOR12、SiCl、Si(OR13および/またはメソゲン基が好ましく、ここで、
12は、H、またはC〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アリールアルキルまたは二環式C〜C12基であり、そして
13は、H、またはC〜C10アルキル基である。
【0020】
特に好ましい置換基には、C〜Cアルキル、OCH、(メタ)アクリルまたはSi(OR13があり、R13は、メチルまたはエチルである。
【0021】
式(1)は、全ての構造異性形態および立体異性形態、および異なる構造異性形態と立体異性形態との混合物(例えば、ラセミ化合物)を含む。式(1)から分かるように、基−C(=CH)−C(=O)−O−Rは、橋原子(好ましくは、橋頭原子)を介して、そのシクロプロパン環に結合できる。この式は、化学原子価理論と矛盾しない化合物だけを含む。
【0022】
アリールアルキル基とは、1個またはそれ以上のアリール基で置換されたアルキル基を意味し、従って、アルキルアリール基は、1個またはそれ以上のアルキル基で置換されたアリール基を意味する。アルキレンアリーレン基とは、少なくとも1個のアルキレン基および少なくとも1個のアリーレン基から構成され、そのアルキレン部分およびアリーレン部分の両方で不飽和である基(例えば、−CH−Ph−)である。
【0023】
基が異種原子(例えば、酸素またはイオウ)で中断できるという特徴は、これらの異種原子の1個またはそれ以上が炭素鎖に統合されていることを意味すると理解できる。その結果として当然、これらの異種原子は、末端であり得ず、すなわち、炭素原子を介して、隣の原子への結合が常に起こり、異種原子の数は、必ず、炭素原子の数より少なくなければならない。
【0024】
もし、Yが存在しないなら、それらの環原子の結合部位は、水素で飽和される。
【0025】
式(1)の好ましいアクリル酸シクロプロピルには、AがAであり、Rが−R10−X−であり、そしてYが存在しない化合物(式2)、AがAであり、Rが−R11−R10−X−であり、そしてYが存在しない化合物(式3)およびAがAであり、Rが−R10−X−であり、そしてYがCHまたはOである化合物(式4)がある。
【0026】
【化9】

残りの可変物は、式(1)の場合に上で言及した意味を有する。式(2)および(3)の化合物は、特に好ましく、式(2)の化合物は、極めて好ましい。
【0027】
式(1)、(2)、(3)および(4)の可変物について、以下の定義が存在し、これらは、互いに別個に、選択できる:
Yは、A=Aのとき、存在せず、A=Aのとき、CHまたはOであり、
nは、1であり、
mは、1であり、
rは、1または2であり、
は、H、C〜Cアルキルまたは二環式C〜C12基であるか、特に、−R10−X−であり、
は、脂肪族C〜C炭化水素基、脂環式C〜C基、二環式C〜C基、C〜C10アリールまたはC〜C10アルキルアリール基であり、該脂肪族C〜C炭化水素基は、Oで中断でき、
は、−CO−OR、−CO−R、SO、CN、Hまたは−Rであり、
は、−CO−OR、−CO−R、SO、CNまたは−R11−R10−X−であり、
〜Rは、互いに別個に、H、−CO−OR、−CO−R、CN、C〜Cアルキル基、脂環式C〜C基、二環式C〜C基、C〜C10アリールまたはC〜C10アルキルアリール基であり、該C〜Cアルキル基は、Oで中断でき、
は、C〜Cアルキル基、脂環式C〜C基、二環式C〜C基、C〜C10アリールまたはC〜C10アルキルアリール基、特に、C〜Cアルキルであり、該C〜Cアルキル基は、Oで中断でき、
10は、存在しないか、またはC〜C10アルキレン基、二環式C〜C基またはC〜C10アルキレンアリーレン基、特に、存在しないかまたはC〜Cアルキレンであり、該C〜C10アルキレン基は、Oで中断でき、
11は、−CO−O−、−CO−または−SO−、特に、−CO−O−であり、
Xは、存在しないか、−O−CO−または−CO−O−である。
【0028】
全ての可変物が好ましい意味の1つを有するアクリル酸シクロプロピルは、特に好ましい。
【0029】
本発明に従う一般式(2)のアクリル酸シクロプロピル(R10、Xは、存在せず、m=1、n=1、x=1である)は、O−アルキル−O’−(4−クロロ−ブタ−2−イニル)カーボネート:
【0030】
【化10】

から出発して、得ることができる。
【0031】
これらは、塩化チオニルによるブタ−2−イン−1,4−ジオールの一塩化物への変換により、そしてクロロギ酸エステルとの引き続いた反応により、容易に生成できる(A.G.Steinig,Dissertation,University of Goettingen,1997)。5,5−二置換O−アルキルO’−(オクタ−7−エン−2−イニル)カーボネートは、適切な4,4−二置換ブタ−1−エンとの反応により、得られる(A.G.Steinig,Dissertation,University of Goettingen,1997)
【0032】
【化11】

あるいは、本発明に従う一般式(2)(R10、Xは、存在せず、m=1、
n=1、r=1である)のアクリル酸シクロプロピルは、市販の4−クロロ−2−ブチン−1−オールから出発して、3段階で生成できる。これにより、適切な4,4−二置換ブタ−1−エンとの反応により、そしてクロロギ酸メチルエステルでの引き続いたエステル化により、対応する5,5−二置換O−アルキル−O’−(オクタ−7−エン−2−イニル)カーボネートが生成する。
【0033】
【化12】

次の段階は、パラジウム触媒4段階カスケード反応であり、ここで、最初に、5員環、次に、3員環が形成され、最後に、形成されたビニルパラジウム錯体は、一酸化炭素と反応し、次いで、アルコールと反応して、一般式(2)の3,3−二置換2−(ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)−アクリル酸エステルを生成する(R.Grigg,R.Rasul,J.Redpath,D.Wilson,Tetrahedron Lett.37(1996)4609;W.Oppolzer,A.Pimm,B.Stammen,E.Hume,Helv.Chim.Acta,80(1997)623):
【0034】
【化13】

具体的な例:
【0035】
【化14】

一般式(2)のアクリル酸シクロプロピル(r>1)は、シクロプロピルアクリル酸メチルエステル(r=1であり、そしてR10、Xは、存在しない)の加水分解により、そして多官能性アルコール[(HO−R10−X−)]での引き続いたエステル化により、得ることができる。
【0036】
【化15】

具体的な例:
【0037】
【化16】

一般式(3)のアクリル酸シクロプロピル(r>1、R11は、CO−Oである)は、アクリル酸シクロプロピル(r=1であり、そしてR10、Xは、存在せず、R11は、CO−Oである)の加水分解により、そしてオリゴ官能性アルコール[(HO−R10−X−)]での引き続いたエステル化により、得ることができる。
【0038】
【化17】

具体的な例:
【0039】
【化18】

一般式(4)のアクリル酸シクロプロピル(r=1、R10、Xは、存在しない)は、5,6−置換ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンをジアゾピルベートでシクロプロパン化し、そして引き続いたウィッティヒオレフィン化により、得ることができる(L.G.,Mueller,R.G.Lawton,J.Org.Chem.44(1979)4714;E.Wenkert,Helv.Chim.Acta 70(1987)2159):
【0040】
【化19】

具体的な例:
【0041】
【化20】

本発明に従う式(1)のアクリル酸シクロプロピルの好ましい例には、以下がある:
【0042】
【化21】

【0043】
【化22】

【0044】
【化23】

本発明はまた、本発明に従うアクリル酸シクロプロピルを含有する組成物に関する。
【0045】
本発明に従うアクリル酸シクロプロピルは、歯科用材料、特に、歯科用途のための重合体および共重合体、成形物、接着剤、セメント、充填材料、被覆材料および複合材料を製造するのに、特に適切である。
【0046】
この目的のために、これらのアクリル酸シクロプロピルは、ラジカル重合用の開始剤、好ましくは、また、さらなるモノマー、充填剤および必要に応じて、さらなる助剤と混合される。そのように得られた組成物は、ラジカル重合で硬化できる。硬化した製品(例えば、重合体および成形物)と硬化可能組成物との両方もまた、本発明の課題である。
【0047】
従って、本発明の組成物は、このアクリル酸シクロプロピルに加えて、ラジカル重合用開始剤を含有できる。本発明に従うアクリル酸シクロプロピルは、開環重合を伴って、公知のラジカル開始剤を用いて重合できる(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第13巻,Wiley−Intersci.Pub.,New York etc.1988,754ff.を参照)。このラジカル重合の開始剤としては、好ましくは、アゾ化合物(例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)またはアゾビス−(4−シアノ吉草酸))または過酸化物(例えば、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウロイル、過オクトン酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチルまたは過酸化ジ−(第三級ブチル))が適切である。
【0048】
その熱硬化用の開始剤としては、ベンズピナコールおよび2,2’−ジアルキルベンズピナコールが特に適切である。
【0049】
さらに、光開始剤(J.P.Fouassier,J.F.Rabek(Publ.),Radiation Curing in Polymer Science and Technology,Vol.II,Elsevier Applied Science,London and New York 1993を参照)もまた、UVまたは可視領域に使用でき、例えば、ベンゾインエーテル、ジアルキルベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、アシルホスフィニックオキシドまたはビスアシルホスフィニックオキシド、α−ジケトン(例えば、9,10−フェナントレンキノン)、ジアセチル、フリル、アニシル、4,4’−ジクロロベンジル、4,4’−ジアルコキシベンジルおよびショウノウキノンがある。ショウノウキノンおよび2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノンは、好ましく使用され、還元剤としてのアミン(例えば、4−(N,N−ジメチルアミノ)−安息香酸エステル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチル−sym−キシリジンまたはトリエタノールアミン)と組み合わせたα−ジケトン(例えば、ショウノウキノン)は、特に好ましく使用される。さらに、アシルホスフィン(例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドまたはビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−n−プロピルフェニルホスフィンオキシド)もまた、特に適切である。
【0050】
室温で実施される重合用開始剤としては、レドックス開始剤の組み合わせ(例えば、過酸化ベンゾイルまたは過酸化ラウロイルとN,N−ジ−メチル−sym−キシリジンまたはN,N−ジメチル−p−トルイジンとの組み合わせ)が使用される。それに加えて、過酸化物および還元剤(例えば、アスコルビン酸、バルビツレートまたはスルフィン酸)からなるレドックス系が適切である。
【0051】
本発明に従うアクリル酸シクロプロピルは、単独で、または通常のラジカル重合可能モノマー(特に、二官能性または多官能性の架橋モノマー)との混合物中にて、重合できる。架橋モノマーとは、2個またはそれ以上のラジカル重合可能基を有する化合物である。2個〜3個の重合可能基を有するモノマーが好ましい。
【0052】
それゆえ、本発明に従う組成物は、さらに、少なくとも1種のさらなるラジカル重合可能モノマー(好ましくは、多官能性モノマー)を含有できる。
【0053】
接着剤、被覆材料または歯科用材料の製造には、1種またはそれ以上のアクリル酸シクロプロピルと少なくとも1種の二官能性または多官能性のアクリレートまたはメタクリレートとの混合物を含有する組成物が、好ましくは、適切であり、例えば、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(メタクリル酸とビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルとの付加生成物)、UDMA(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの付加生成物)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレートおよびブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートおよび1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートがある。
【0054】
本発明の組成物に含有できるさらに他の多官能性のラジカル重合可能モノマーには、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸およびジイソシアネート(例えば、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネート)から生成されるウレタン、架橋ピロリドン(例えば、1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリドニル)−ヘキサン)、または市販のビスアクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミドもしくはエチレンビスアクリルアミド、および/またはビス(メタ)アクリルアミド(例えば、N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)−プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)−ブタンまたはN,N’−ビス−(アクリロイル)−ピペラジン))があり、これらは、対応するジアミンと(メタ)アクリル酸塩化物との反応により、合成できる。
【0055】
さらに、本発明に従って使用される組成物は、充填剤(好ましくは、機械的特性を向上させるか粘度を設定する有機粒子または無機粒子)を含有できる。好ましい無機粒子充填剤には、酸化物(例えば、ZrOおよびTiO、あるいはSiO、ZrOおよび/またはTiOの混合酸化物)に基づいた非晶質球形物質、ナノ粒子充填剤およびミニ充填剤がある。ナノ粒子充填剤とは、約5nm〜100nmの一次粒径を有する充填剤(例えば、12nmの一次粒径を有するAerosil 200)を意味する。同様に、ミニ充填剤(すなわち、0.1μmと1.5μmとの間の粒径を有する充填剤、例えば、細かく粉砕した石英、ガラスセラミックまたはガラス粉)、およびX線不透明充填剤(例えば、三フッ化イッテルビウム、ナノ粒子酸化タンタル(V)または硫酸バリウム)は、無機粒子充填剤として、好ましく使用される。さらに、ガラス繊維、ポリアミドまたは炭素繊維もまた、使用できる。
【0056】
さらに、本発明に従う組成物は、もし必要なら、安定化剤、UV吸収剤、着色剤または顔料および潤滑剤のようなさらなる成分を含有できる。
【0057】
本発明による組成物は、歯科用材料(特に、歯科用接着剤、固定セメントまたは充填材料、およびインレー/アンレー用の材料、クラウンおよびブリッジ用の歯または上塗り材料)として、特に適切である。このような材料は、硬化後の小さい重合収縮および非常に良好な機械的特性により、特徴付けられる。
【0058】
以下を含有する組成物は、接着剤として使用するために、特に適切である:
a)1重量%〜80重量%、特に好ましくは、10重量%〜60重量%の本発明のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜2.0重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜60重量%、特に好ましくは、0重量%〜40重量%のさらなるラジカル重合可能モノマー;
d)0重量%〜40重量%、特に好ましくは、0重量%〜30重量%の溶媒;および
e)0重量%〜20重量%の充填剤。
【0059】
以下を含有する組成物は、セメントとして使用するために、特に適切である:
a)1重量%〜60重量%、特に好ましくは、20重量%〜50重量%の本発明のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜2.0重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜60重量%、特に好ましくは、0重量%〜20重量%のさらなるラジカル重合可能モノマー;および
d)20重量%〜60重量%、特に好ましくは、30重量%〜60重量%の充填剤。
【0060】
以下を含有する組成物は、充填材料として使用するために、特に適切である:
a)1重量%〜45重量%、特に好ましくは、10重量%〜30重量%の本発明のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜2.0重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜50重量%、特に好ましくは、0重量%〜10重量%のさらなるラジカル重合可能モノマー;および
d)30重量%〜85重量%、特に好ましくは、40重量%〜80重量%の充填剤。
【0061】
以下を含有する組成物は、被覆材料として使用するために、特に適切である:
a)1重量%〜95重量%、特に好ましくは、10重量%〜60重量%の本発明のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜2.0重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜60重量%、特に好ましくは、0重量%〜40重量%のさらなるラジカル重合可能モノマー;および
d)0重量%〜20重量%の充填剤。
【0062】
本発明は、実施例を参照して、以下でさらに詳細に説明される。
【実施例】
【0063】
(実施例1:アクリル酸{3,3−ビス(エトキシカルボニル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル}メチル)
【0064】
【化24】

第一段階:2−アリル−2−(4−ヒドロキシブタ−2−イニル)マロン酸
ジエチルエステル
【0065】
【化25】

LiOH(2.51g、105mmol)およびLiI(2.68g、20mmol)の無水テトラヒドロフラン(THF、50ml)中の撹拌懸濁液に、窒素下にて、2−アリル−マロン酸エチルエステル(20g、100mmol)を一度に加え、その反応混合物を、還流下にて、均一になるまで(約30分間)、加熱した。室温まで冷却した後、4−クロロ−2−ブチン−1−オール(11.5g、110mmol)を加え、この混合物を、撹拌および還流を行いながら、さらに3時間加熱した。この混合物を再度室温まで冷却し、水25mlを加え、続いて、酢酸エチル50mlずつで3回抽出した。合わせた抽出物を飽和食塩溶液50mlで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥した。その溶液を減圧下にて蒸発させた後、27gの粗生成物を得、これを、0.001mbarで分留した。140℃と145℃の間で沸騰する画分は、純粋な生成物であった。収量:17.5g(63%、僅かに黄色がかった粘稠油状物)。
【0066】
【化26】

【0067】
【化27】

第二段階:炭酸−O−[5,5−ビス(エトキシカルボニル)オクタ−7−エン−2−イニル]−O’−メチルエステル
【0068】
【化28】

2−アリル−2−(4−ヒドロキシブタ−2−イニル)マロン酸ジエチルエステル(18.9g、70mmol)、NEt(10.3ml、74mmol)およびDMAP(0.43g、3.5mmol)の無水ジクロロメタン70ml中の撹拌溶液に、−10℃で、窒素下にて、クロロギ酸メチルエステル(6.2ml、80mmol、ジクロロメタン10mlに溶解した)を1時間以内で滴下し、その反応混合物の温度を、−5℃未満で保持した。次いで、この温度で、撹拌をさらに30分間継続し、冷却浴を取り除き、そして溶媒の殆どを、減圧下にて、ほぼ室温で除去し、その残渣に、水35mlおよびジエチルエーテル70mlを加え、その有機相を分離して除き、その水相を、ジエチルエーテル30mlで2回、再度抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を流し出した後、23.5gの粗生成物を得、これを、フラッシュクロマトグラフィー(250mlのフラッシュシリカゲル、溶離液:ペンタン/ジエチルエーテル:10:1〜3:1)で精製した。収量:19.8g(87%、無色油状物)。
【0069】
【化29】

【0070】
【化30】

第三段階:アクリル酸{3,3−ビス(エトキシカルボニル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル}メチル
【0071】
【化31】

トリス(2−フリル)ホスフェート(505mg、2.2mmol)および臭化テトラメチルアンモニウム(167mg、1.1mmol)の脱気メタノール(300ml)中の溶液にPD(OAc)(224mg、1.0mmol)を加え、その混合物を、室温で、1時間撹拌した。次いで、炭酸−O−[5,5−ビス(エトキシカルボニル)オクタ−7−エン−2−イニル]−O’−メチルエステル(7.35g、22.5ml)を加え、そして一酸化炭素を導入した。この混合物を、1barの一酸化炭素圧下にて、室温で、2日間撹拌し、次いで、減圧下にて溶媒を除去した。その粗生成物を、ペンタン/エーテル(10:1〜5:1)を使って、フラッシュシリカゲル100mlで、クロマトグラフィー精製した。収量:6.03g(86%)、無色油状物。
【0072】
【化32】

【0073】
【化33】

(実施例2:アクリル酸2−(3−アセチル−3−エトキシカルボニル−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)メチル(ABHCE))
【0074】
【化34】

第一段階:2−アセチル−2−アリル−6−ヒドロキシ−ヘキサ−4−イン酸エチルエステル
【0075】
【化35】

LiOH(5.03g、210mmol)およびLiI(5.35g、40mmol)の無水THF(100ml)中の撹拌懸濁液に、窒素下にて、アセト酢酸2−アリルエチル(34.2g、200mmol)を一度に加え、その反応混合物を、還流下にて、均一になるまで(約30分間)、加熱した。室温まで冷却した後、4−クロロ−2−ブチン−1−オール(23g、220mmol)を加え、この混合物を、撹拌および還流を行いながら、さらに3時間加熱した。この混合物を再度室温まで冷却し、水50mlを加え、続いて、酢酸エチル100mlずつで3回抽出した。合わせた抽出物を飽和食塩溶液100mlで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥した。その溶液を減圧下にて蒸発させた後、47.6gの粗生成物を得、これを、0.002mbarで分留した。120℃と130℃の間で沸騰する画分は、純粋な生成物であった。収量:38.3g(78%、僅かに黄色がかった粘稠油状物)。
【0076】
【化36】

【0077】
【化37】

第二段階:炭酸−O−[5−アセチル−5−エトキシカルボニル−オクタ−7−エン−2−イニル]−O’−メチルエステル
【0078】
【化38】

2−アセチル−2−アリル−6−ヒドロキシ−ヘキサ−4−イン酸エチルエステル(38.1g、160mmol)、NEt(23.3ml、167mmol)およびDMAP(0.98g、3mmol)の無水ジクロロメタン160ml中の撹拌溶液に、−10℃で、窒素下にて、クロロギ酸メチルエステル(17ml、170mmol、ジクロロメタン10mlに溶解した)を1時間以内で滴下し、その反応混合物の温度を、−5℃未満で保持した。次いで、その混合物をさらに30分間、この温度で撹拌し、冷却浴を取り除き、そして溶媒の殆どを、減圧下にて、ほぼ室温で除去し、その残渣に、水80mlおよびジエチルエーテル200mlを加え、その有機相を分離して除き、その水相を、ジエチルエーテル50mlずつでさらに2回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を流し出した後、47gの粗生成物を得、これを、フラッシュクロマトグラフィー(450mlのフラッシュシリカゲル、溶離液:ペンタン/ジエチルエーテル:10:1〜3:1)で精製した。収量:45g(95%、無色油状物)。
【0079】
【化39】

【0080】
【化40】

第三段階:アクリル酸2−(3−アセチル−3−エトキシカルボニル−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル)メチル
【0081】
【化41】

トリス(2−フリル)ホスファン(1.581g、6.8mmol)および臭化テトラメチルアンモニウム(527mg、3.4mmol)の脱気メタノール800ml中の溶液に、PD(OAc)(694.4mg、3.1mmol)を加え、その混合物を、室温で、1時間撹拌した。次いで、炭酸−O−(5−アセチル−5−エトキシカルボニル−オクタ−7−エン−2−イニル)−O’−メチルエステル(45g、152mmol)を加え、そして一酸化炭素を導入した。この混合物を、一酸化炭素雰囲気下にて、25℃で、出発物質が完全に反応するまで(63時間、GCモニタリング)、激しく撹拌した。このメタノールを減圧下にて留去し、そして45gの粗生成物を得、これを、フラッシュクロマトグラフィー(450mlのフラッシュシリカゲル、ペンタン/ジエチルエーテル、8:1〜4:1)でさらに精製した。収量:第一画分:4g(純度約90%)および35.3g(83%、GC:98%、僅かに黄色がかった油状物)。最後に、ボールチューブ蒸留を実施した(140℃;0.001mbar)。収量:30.6g(72%;GC:98.5%、無色油状物)。
【0082】
【化42】

【0083】
【化43】

(実施例3:実施例2から得た官能化アクリル酸シクロプロピルABHCEのラジカル溶媒重合)
Schlenk容器にて、実施例2から得たアクリル酸シクロプロピル(ABHCE)(2.0mol/1)のクロロベンゼン溶液に、2.0mol%(そのモノマーに対して)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。このモノマー溶液を脱気し、このSchlenk容器をアルゴン下にて閉じた後、65℃で温度制御した水浴中にて、重合を実施した。1〜15時間後、その重合物を10倍量のヘキサンで沈殿させることにより、この重合を中断した。形成された重合体を濾過により除き、その重量が一定になるまで乾燥した。その収率は、殆ど58%または95%の白色単独重合体であり、これは、296.000g/molまたは434.400g/molの数平均モル質量および90℃または97℃のガラス転移温度を有していた。形成された重合体のH−NMRおよび13C−NMRスペクトルにより、ABHCEの重合は、そのシクロプロパン環の開環を伴って進行したことが判明した。
【0084】
(実施例4:実施例2から得た官能化アクリル酸シクロプロピル(ABHCE)とメタクリル酸メチル(MMA)とのラジカル共重合)
溶液単独重合(実施例3)と同様に、クロロベンゼン中にて、実施例2から得たアクリル酸シクロプロピル(ABHCE)(1.0mol/l)、メタクリル酸メチル(MMA、1.0mol/l)およびAIBN(2.5mol%)のモノマー混合物を調製し、そして重合させた。共重合体の収率は、15分後、5.4%であった。H−NMR分光法により、ABHCE:MMA=1.00:1.13のモル共重合体組成が確認された。この結果により、メタクリル酸メチルMMAに匹敵するアクリル酸シクロプロピルABHCEの反応性が証明された。
【0085】
(実施例5:実施例2から得た官能化アクリル酸シクロプロピル(ABHCE)とUDMAとのラジカル共重合)
重合収縮を測定するために、実施例2から得たアクリル酸シクロプロピル(ABHCE)50重量%とUDMA(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2molと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート1molとから得たウレタンジメタクリレート)50重量%との混合物を調製し、(この混合物全体に対して)ショウノウキノン(光開始剤)0.3重量%および安息香酸4−(ジメチルアミノ)エチル(アミノ促進剤)0.5重量%を加え、次いで、その混合物を歯科用光源(Spectramat,Ivoclar Vivadent AG)で照射した。このモノマー混合物または形成された重合物の測定密度の差から、純粋なUDMAの重合収縮(ΔV=6.1%)を考慮して、僅かに5.1%の重合収縮を算出した。MMAとUDMAとの類似混合物(50:50)の重合の結果から、MMAについて知られている20.7%の重合収縮を算出した。
【0086】
実施例4および5は、本発明による官能化アクリル酸シクロプロピルがメタクリレートと類似の反応性により特徴付けられるが、メタクリレートとは異なり、非常に小さい重合収縮を生じることを示している。
【0087】
(実施例6:実施例2から得たアクリル酸シクロプロピル(ABHCE)に基づいた歯科用セメントの調製)
以下の表1に対応して、「Exakt」ロールミル(Exakt Apparatebau,Norderstedt)によって、(A)メタクリレート混合物(対照)および(B)実施例2から得たモノマーABHCEに基づいた複合材料固定セメントを調製した。2×2×25mmであると計測した材料の対応する試験片を作製し、これを、歯科用光源(Spectramat,Ivoclar Vivadent AG)でそれぞれ3分間にわたって2回照射することにより、硬化した。次いで、ISO Standard 4049に従って、硬化した試験片の機械的特性を確認した。
【0088】
表2は、本発明に従う硬化材料Bが、その機械的特性において、全ての観点で、対照材料Aに相当していることを示す。
【0089】
この実施例は、官能性アクリル酸シクロプロピル(例えば、本発明に従うABHCE)に基づく歯科用材料が、類似の反応性および非常に低下した重合収縮にもかかわらず、機械的特性の観点で不利ではないことを示す。
【0090】
【表1】

1)比較例
2)ショウノウキノンと安息香酸p−N,N−ジメチルアミノ−エチルとの1:1混合物。
【0091】
【表2】

1)比較例
2)WS=37℃で水中に保存した試験片。
【0092】
(実施例7:実施例2から得たアクリル酸シクロプロピル(ABHCE)に基づいた充填複合材料の作製)
以下の表3に対応して、LPM 0.1実験室用ニーダー(Linden,Marienheide)によって、メタクリレート混合物および実施例2から得たモノマーABHCEに基づいた充填複合材料Dを調製した。2×2×25mmであると計測した材料の試験片を作製し、これを、歯科用光源(Spectramat,Ivoclar Vivadent AG)でそれぞれ3分間にわたって2回照射することにより、硬化した。次いで、ISO Standard 4049に従って、硬化した試験片の機械的特性を確認した。
【0093】
膨張計により確認した重合収縮は、2.2%にすぎないのに対して、対照複合材料C(ここで、本発明によるモノマーABHCEを通常のジメタクリレート希釈剤である1,10−デカンジオール−ジメタクリレート(DMA)で置き換えた)については、3.2%の重合収縮が測定された。
【0094】
この実施例は、ABHCEのような本発明に従うアクリル酸シクロプロピルに基づいた充填材料が良好な機械的特性を有することを示している。
【0095】
【表3】

1)比較例
2)全体で3個のエチレンオキシド単位を有するエトキシ化ビスフェノール−
A−ジメタクリレート
3)シラン処理したケイ酸バリウム−アルミニウムガラス(Schott)(平均粒径1.2μm)
4)SiO−ZrO混合酸化物(これは、約200nmの一次粒径を有する)(Tokoyama Soda)
5)ショウノウキノン(0.05%)と、安息香酸p−N,N−ジメチルアミノエチル(0.08%)と、Lucirin TPO(0.07%、BASF)との混合物。
【0096】
【表4】

1)比較例
2)WS=37℃で水中に保存した試験片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)のアクリル酸シクロプロピル:
【化1】

それらの構造異性体および立体異性体ならびにそれらの混合物であって、ここで、Aは、以下から選択される:
【化2】

そして残りの可変物は、互いに別個の以下の意味を有する:
Yは、A=Aのとき、存在しないか、CHまたはOであり、A=Aのとき、CHまたはOであり、
nは、Yが存在しないとき、0、1、2または3であり、Y=CHまたはOのとき、1であり、
mは、Yが存在しないとき、0、1、2または3であり、Y=CHまたはOのとき1であり、
rは、1、2、3または4であり、
は、H、C〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アリールアルキルまたは二環式C〜C12基または−R10−X−であり、
は、脂肪族C〜C20炭化水素基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリールまたはC〜C20アルキルアリール基であり、該脂肪族C〜C20炭化水素基は、括弧内の式でr回置換されており、該脂肪族C〜C20炭化水素基は、OまたはSで中断でき、
は、−CO−OR、−CO−R、−S(O)R、SO、−SO(OR)、−PO(OR、−CN、−H、−Rであり、
は、−CO−OR、−CO−R、−S(O)R、SO、−SO(OR)、−PO(OR、−CNまたは−R11−R10−X−であり、
〜Rは、互いに別個に、H、−CO−OR、−CO−NHR、−CO−NR、−CO−R、−CN、C〜C20アルキル基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリール、C〜C20アルキルアリール基であるか、または該基の少なくとも2個が、それらが結合する炭素原子と一緒になって5〜8員環系を形成し、該C〜C20アルキル基は、OまたはSで中断でき、
は、C〜C20アルキル基、脂環式C〜C12基、二環式C〜C12基、C〜C14アリールまたはC〜C20アルキルアリール基であり、該C〜C20アルキル基は、OまたはSで中断でき、
10は、存在しないか、またはC〜C20アルキレン基、脂環式または二環式C〜C12基、C〜C14アリーレンまたはC〜C20アルキレンアリーレン基であり、該C〜C20アルキレン基は、OまたはSで中断でき、
11は、−COO−、−CO−、−SO−、−SO−、−SO(O−)、−PO(OR)(O−)であり、
Xは、存在しないか、−O−CO−、−CO−O−、−NH−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−O−または−O−CO−NH−であり、ここで、Xは、もしR10が存在しないなら、「存在しない」という意味を有し、
ここで、該基RおよびR〜Rは、置換され得るかまたは非置換であり得、いずれかのRは、−R11−R10−X−であるか、またはRは、−R10−X−であり、括弧内の式は、Xを介して、Rに結合されており、ここで、1形式の数個の基は、同一または異なり得る、
アクリル酸シクロプロピル。
【請求項2】
前記基RおよびR〜Rの前記置換基が、アルキル、ハロゲン、OCH、OC、ビニル、(メタ)アクリル、COOR12、SiCl、Si(OR13およびメソゲン基から選択され、ここで、
12が、H、またはC〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アリールアルキルまたは二環式C〜C12基であり、そして
13が、H、またはC〜C10アルキル基である、請求項1に記載のアクリル酸シクロプロピル。
【請求項3】
Aが、Aであり、Rが、−R10−X−であり、そしてYが、存在しない、請求項1または2に記載のアクリル酸シクロプロピル。
【請求項4】
Aが、Aであり、Rが、−R11−R10−X−であり、そしてYが、存在しない、請求項1または2に記載のアクリル酸シクロプロピル。
【請求項5】
Aが、Aであり、Rが、−R10−X−であり、そしてYが、CHまたはOである、請求項1または2に記載のアクリル酸シクロプロピル。
【請求項6】
式(1)の少なくとも1個の可変物が、以下の意味:
Yは、A=Aのとき、存在せず、A=Aのとき、CHまたはOであり、
nは、1であり、
mは、1であり、
rは、1または2であり、
は、H、C〜Cアルキルまたは二環式C〜C12基であるか、特に、−R10−X−であり、
は、脂肪族C〜C炭化水素基、脂環式C〜C基、二環式C〜C基、C〜C10アリールまたはC〜C10アルキルアリール基であり、該脂肪族C〜C炭化水素基は、Oで中断でき、
は、−CO−OR、−CO−R、SO、CN、Hまたは−Rであり、
は、−CO−OR、−CO−R、SO、CNまたは−R11−R10−X−であり、
〜Rは、互いに別個に、H、−CO−OR、−CO−R、−CN、C〜Cアルキル基、脂環式C〜C基、二環式C〜C基、C〜C10アリールまたはC〜C10アルキルアリール基であり、該C〜Cアルキル基は、Oで中断でき、
は、C〜Cアルキル基、脂環式C〜C基、二環式C〜C基、C〜C10アリールまたはC〜C10アルキルアリール基、特に、C〜Cアルキルであり、該C〜Cアルキル基は、Oで中断でき、
10は、存在しないか、またはC〜C10アルキレン基、二環式C〜C基またはC〜C10アルキレンアリーレン基、特に、存在しないかまたはC〜Cアルキレンであり、該C〜C10アルキレン基は、Oで中断でき、
11は、−CO−O−、−CO−または−SO−、特に、−CO−O−であり、
Xは、存在しないか、−O−CO−または−CO−O−である、
の1つを有する、請求項1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル。
【請求項7】
請求項1〜6の1項に記載のアクリル酸シクロプロピルを含有する、組成物。
【請求項8】
さらに、ラジカル重合用の開始剤を含有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
さらに、少なくとも1種のさらなるラジカル重合可能モノマーを含有する、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
ラジカル重合可能モノマーとして、さらに、多官能性モノマーを含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
多官能性ラジカル重合可能モノマーとして、二官能性または多官能性のアクリレートまたはメタクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(メタクリル酸とビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルとの付加生成物)、UDMA(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの付加生成物)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートまたは1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸とジイソシアネート(例えば、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネート)とのウレタン、架橋ピロリドン(例えば、1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリドニル)−ヘキサン)、ビスアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドまたはエチレンビスアクリルアミド、ビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)−プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)−ブタン、N,N’−ビス−(アクリロイル)−ピペラジン、またはこれらのモノマーの2種またはそれ以上の混合物を含有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
さらに、充填剤を含有する、請求項7〜11の1項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項7〜12の1項に記載の組成物であって:
a)1重量%〜80重量%の請求項1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜60重量%のラジカル重合可能モノマー;
d)0重量%〜40重量%の溶媒;および
e)0重量%〜20重量%の充填剤、
を含有する、組成物。
【請求項14】
請求項7〜12の1項に記載の組成物であって:
a)1重量%〜60重量%の請求項1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜60重量%のラジカル重合可能モノマー;および
d)20重量%〜60重量%の充填剤、
を含有する、組成物。
【請求項15】
請求項7〜12の1項に記載の組成物であって:
a)1重量%〜45重量%の請求項1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜50重量%のラジカル重合可能モノマー;および
d)30重量%〜85重量%の充填剤、
を含有する、組成物。
【請求項16】
請求項7〜12の1項に記載の組成物であって:
a)1重量%〜95重量%の請求項1〜5の1項に記載のアクリル酸シクロプロピル;
b)0.01重量%〜5重量%のラジカル重合用の開始剤;
c)0重量%〜60重量%のラジカル重合可能モノマー;および
d)0重量%〜20重量%の充填剤、
を含有する、組成物。
【請求項17】
さらに、少なくとも1種のさらなる成分を含有し、該さらなる成分が、安定化剤、UV吸収剤、着色剤、顔料および潤滑剤からなる群から選択される、請求項7〜16の1項に記載の組成物。
【請求項18】
歯科用材料の製造における、請求項1〜6の1項に記載のアクリル酸シクロプロピルの使用。
【請求項19】
歯科用材料の製造における、請求項7〜17の1項に記載の組成物の使用。
【請求項20】
前記歯科用材料が、接着剤である、アクリル酸シクロプロピルあるいは請求項18または19に記載の組成物の使用。
【請求項21】
前記歯科用材料が、セメントである、アクリル酸シクロプロピルあるいは請求項18または19に記載の組成物の使用。
【請求項22】
前記歯科用材料が、充填材料である、アクリル酸シクロプロピルあるいは請求項18または19に記載の組成物の使用。
【請求項23】
前記歯科用材料が、被覆材料である、アクリル酸シクロプロピルあるいは請求項18または19に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2006−219671(P2006−219671A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21484(P2006−21484)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(501151539)イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト (54)
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL−9494 Schaan Liechtenstein
【Fターム(参考)】