説明

重合性歯科用材料

本発明は、少なくとも2種の成分を含有するラジカル重合性歯科用材料に関する。該歯科用材料の第1成分は、CH−酸性化合物の塩を含有し、第2成分は、第1成分のCH−酸性化合物の酸強度よりも大きな酸強度を有する酸を含有する。両方の成分はラジカル重合性モノマーを含有する。これらの2成分を混合すると、第2成分の酸は、第1成分のCH−酸性化合物の塩をCH−酸性分子へ変換させ、該CH−酸性分子は該モノマーのラジカル重合を誘発させる。反応性樹脂を基材とする歯科用材料中のCH−酸性化合物の利点の外に、本発明においては、重合性歯科用材料中の反応性樹脂マトリックスの割合の増加に起因して、長期間の貯蔵安定性が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性歯科用材料及びCH−酸性化合物の塩の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的に硬化する重合性歯科用材料(文献中においては、該材料は自己硬化性歯科用材料又は自触媒歯科用材料として記載されていることもある)は重合性モノマーを含有しており、該モノマーの重合は、反応の出発時点において形成されるラジカルによって開始される。このようなラジカルは、適当な開始剤分子(該開始剤分子は、周囲温度において満足すべき安定性を示す)と補助開始剤との反応によって形成される。この反応は、開始剤と補助開始剤を混合すると直ちに開始するので、該開始剤系の両方の成分は、歯科用材料を保存するためには別々に貯蔵されなければならない。このため、この種の材料は多成分系として調製される。このような多成分系は、可視光の青色成分を照射することによってのみラジカルが発生する光硬化性材料とは対照的である。両方の成分は、歯科用材料を加工する直前に接触させ、相互に十分に混合させる。この混合操作は、混合用スパチュラを用いて手動で行うか、又は自己混合系(静的又は動的混合カニューレを具備する二重カートリッジ)を用いて行われている。
【0003】
当該分野の現状において、化学的に硬化する歯科用材料と共に最も頻繁に使用されている開始剤系は、例えば、特許文献1等に記載されているような有機過酸化物と大部分を占める芳香族アミンから成る。この系においては、必要なラジカルは、アミンと過酸化物との間のレドックス反応によって形成される。
【0004】
アミン/過酸化物系における主要な欠点は、色安定性が一般に乏しいことである。この原因は、平行して連続的に行われる副反応によって形成される開始剤成分の生成物にあり、該生成物は、その構造に起因して、着色している場合が多い。このような着色化合物はラジカル形成反応中において生成する化合物であって、ペーストの保存中に生成するか、又は例えば可視光若しくはUV光の作用による硬化材料中にみられる。この点に関しては、例えば非特許文献1を参照されたい。アミン/過酸化物系に付随するこの欠点は、特殊な光安定剤やUV安定剤を常套法に従って十分に添加することによっても除去することはできない。高い美容的な治療目的の観点からは、このような変色は、患者にとっては困惑させるか、又は容認できないことである。従って、スマイル(smile)領域の治療目的のためには、多量の高価なセラミックが、特にベニア、クラウン及びブリッジにおいて無駄に使用される場合が多い。
【0005】
アミン/過酸化物系の別の欠点は、開始剤系の成分及び反応成分とその分解生成物が毒性であって、アレルギーを惹起する作用を示すことである。硬化過程中において、これらの成分は直接的な毒性作用を発揮する。さらに、硬化後、関連する非共重合化分子が酸性の唾液によって洗い出される。多数の患者に対してもたらされるアレルギー反応は、プラスチックの使用を制限するか、又は排除する。隔離された患者においては、このような毒性作用はアナフィラキシー(アレルギー性)ショックを誘発し、該ショックは確実に生命を脅かすような症状をもたらす。
【0006】
発熱反応過程に起因する重合反応における温度増加も問題となる。アミン/過酸化物によって開始された反応系は比較的迅速に重合し、ゲル化点において既に二重結合における反応に起因して非常に高い架橋度に達し、これにより、該発熱反応に起因して比較的多量の熱が放出され、系の温度は最高温度に達する。しかしながら、過度に高い温度は歯髄の損傷や歯の破壊をもたらす。
【0007】
より好ましい昇温挙動と著しく良好な色安定性をもたらす別の開始剤系においては、CH−酸性化合物が2価の遷移金属イオン/塩化物イオンと併用される。関連するCH−酸性化合物は、H.ブレデリックとその共同研究者によって徹底的に研究されている。この点に関しては、非特許文献2及び3を参照されたい。CH−酸性化合物の中でも、歯科の分野においてはバルビツル酸誘導体が簡便であることが実証されている。この種の誘導体は、高純度で高い収率で調製することができ、工業的に入手可能であり[ヘミッシェ・ファブリーク・ベルク社(独国、ビターフェルト、D−06749、マインタールシュトラーセ、3番)の製品]、また、該誘導体の反応速度に起因して、該誘導体の有利な特性を得ることができる。
【0008】
バルビツル酸誘導体の合成法は既知である。この点に関しては非特許文献4を参照されたい。該文献には、ジエチルマロネート誘導体とN−置換尿素をナトリウムアルコキシド中でアルカリ縮合させる方法が記載されている。この方法によって得られるバルビツル酸誘導体のナトリウム塩は、酸(例えば、塩酸等)の添加によってバルビツル酸誘導体へ変換される。
【0009】
バルビツル酸又はその誘導体に基づく開始剤系を使用する場合、バルビツル酸誘導体は、重合性モノマーとは別々に保存されなければならない。この理由は、バルビツル酸誘導体のようなCH−酸性化合物は、Cu(II)と塩化物イオンが関与しない条件下においても、大気中の酸素による自動酸化によって、既にヒドロペルオキシドを形成しているからである。この種のヒドロペルオキシドは分解してラジカルを生成し、該ラジカルは反応性モノマーの重合を開始させるので、自発的な重合が短時間で行われる。この自発的な重合反応は、安定剤の添加によって短時間の間(数時間の間)は遅延させるか又は抑制することはできるが、当該系を安定に保存するために望ましい長時間にわたって自発的重合反応を遅延又は抑制することはできない。
【0010】
当該分野の現状においては、開始剤ペースト中の反応性樹脂を、歯科条件下においてCH−酸性化合物又は二重結合を含まない化合物(例えば、ポリエチレングリコール等)によって重合しない樹脂によって置き換えることが行われている。
【0011】
重合性モノマーと必要なCH−酸性バルビツル酸誘導体を空間的に分離させることによって、歯科材料中の重合性モノマーの割合が制限される。常套の二重カートリッジ系から主として塗布される流動性材料に対しては、非反応性モノマーの添加量を、このペースト成分の添加量を減少させることによって、少なくとも減少させることができる(混合比は2:1、4:1及び10:1である)。これらの理由により、現段階においては、バルビツル酸誘導体とCu2+/Clとの混合物は、自動的に計量されて混合される流動性の仮のクラウン/ブリッジ材料と共に専ら使用されている。広く認められているように、開始剤ペーストを介して添加させる比較的少量の非重合性モノマーは滑剤(lubricant)としても作用し、この結果、機械的特性(圧縮強度、曲げ強さ及び硬度等)の悪化と滑性膜の増加がもたらされる。
【0012】
高粘性材料、例えば、化学的硬化性示す充填用塑性複合材料等はカートリッジ系から塗布することができないので、自動的に混合することはできない。この種の材料は複合型のシリンジ又はパックの内部に収納され、手動で混合される。この種の材料の計量は、専ら歯科医の目測に従っておこなわれる。これまでのところ、計量用補助具を用いる計量は成功していない。等量の材料の混合は、例えば、10:1の混合の場合よりも正確に評価することができるので、この種の材料は専ら1:1の混合比で適用される。この混合比は、非等量比の場合よりも、歯科医によってより正確に評価されるので、計量誤差は実質上より小さくなり、より正確な量の材料が計量される。CH−酸性バルビツル酸誘導体は、アミン/過酸化物系よりもかなり優れた色安定性をもたらすが、これまでのところ、これらの系は充填用材料や表面仕上げ用材料への用途に対しては閉ざされていた。この理由は、非重合性モノマーの多量の添加とこれに伴う機械的特性の悪化である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許公報DE−C−975072
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】A.シュミット、「低温重合体:該重合体の特性、可能な用途及び利点に関する報告」、デンタルラボール、第11巻(1970年)、第17頁〜第22頁
【非特許文献2】H.ブレデリックら、「CH−活性重合開始剤(第13報);重合と重合開始剤」、マクロモレキュラーレ・ヘミー、第92巻(1966年)、第70頁〜第90頁
【非特許文献3】H.ブレデレックら、「重合と重合開始剤(第16報);メチルメタクリレートの重合開始に対するバルビツル酸誘導体のチオ基の影響」、マクロモレキュラーレ・ヘミー、第176巻(1975年)、第1713頁〜第1723頁
【非特許文献4】E.フィッシャー及びA.ヂルテイ、「C−ジアルキルバルビツル酸及びジアルキル酢酸のウレイド」、Ann.、第335巻(1904年)、第335頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようと課題は、重合性歯科用材料用開始剤系であって、従来技術において知られていた欠点を回避すると共に、1:1の混合比で計量される材料においても充填用/表面仕上げ用プラスチックとして使用可能な該開始剤系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、この課題は、少なくとも2種の成分を含む重合性歯科用材料であって、下記の成分1と成分2を含有し、これらの成分がラジカル条件下で重合可能なモノマーを含有し、成分1が下記の成分a)を含有すると共に、成分2が下記の成分b)を含有することを特徴とする該重合性歯科用材料によって解決された:
a)ラジカル重合を開始させることができるCH−酸性化合物の塩、
b)成分1中において塩として存在するCH−酸性化合物の酸強度よりも大きな酸強度を有する酸。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の特徴は、従来技術によるCH−酸性化合物に基づく開始剤系とは対照的に、活性開始剤分子の前駆体、即ち、CH−酸性化合物の塩を使用する点にある。CH−酸性化合物は、酸を添加した後でのみ放出され、その酸強度は、「弱酸の塩+強酸は、強酸の塩+弱酸をもたらす」という規則に従って塩として存在するCH−酸性化合物の酸強度よりも大きく、また、該化合物は、モノマーの重合過程に対する開始剤分子として実質的に機能する。
【0018】
本発明によれば、CH−化合物、例えば、従来技術による開始剤系において使用されているCH−化合物等とは対照的に、CH−酸性化合物の塩は、比較的長期間に亘って貯蔵安定性も示すことが判明した。従って、重合性モノマーの重合反応に対する開始剤の活性も、重合性歯科用材料の配合成分の比較的長い貯蔵においても保証される。本発明の好ましい実施態様によれば、重合性の歯科用材料が混合されたペースト、及び特に、CH−酸性化合物の塩を含有するペーストは、色及び/又は保存寿命の点で、3ヶ月よりも長期間、好ましくは6ヶ月よりも長期間、特に好ましくは24ヶ月よりも長期間に亘って安定である。
【0019】
さらに、本発明においては、本発明による開始剤系を出発原料とする場合、本発明の好ましい実施態様によれば、重合性モノマーは、歯科用材料の両方の成分中へ配合できることが判明した。従って、重合性歯科用材料中の重合性モノマーの量に関する説明の最初の部分において説明したような望ましくない制約、即ち、歯科用材料中のポリマーマトリックスの割合に関する制約をなくすことができる。これによって、重合化歯科用材料の有利な機械的特性がもたらされる。何故ならば、通常は開始剤ペーストの取扱適正の観点(例えば、該ペーストをカートリッジ系において使用できるようにするためにペースト特性を調整する観点)から添加される非反応性モノマー(例えば、非反応性二重結合を有するモノマー又は二重結合を含まない化合物)の量を低減させるか、又は該モノマーを全く不要にすることができるからである。次のことが知られている。即ち、基材中の非共重合性樹脂若しくはフィラー及び開始剤ペーストは滑剤として作用し、また、これらの含有量に応じて、機械的特性に対して不都合な影響をもたらす。このような効果は、本発明による開始剤系を使用することによって最大限可能な程度まで回避することができる。本発明の好ましい実施態様によれば、該開始剤系においては、2成分中のモノマーは、これらの成分を混合したときのラジカル条件下において重合する。
【0020】
本発明によれば好ましいラジカル条件下で重合するモノマーは、アクリレートエステル及びメタクリレートエステルから成る群から選択される。
【0021】
好ましくは、本発明による重合性歯科用材料は、ラジカル条件下で重合するモノマーを、全体で、>50重量%、好ましくは>60重量%、より好ましくは>70重量%、さらに好ましくは>80重量%、さらに好ましくは>90重量%、さらにまた好ましくは>95重量%、就中>98重量%含有する。本発明の好ましい実施態様によれば、重合性歯科用材料の成分1は、ラジカル条件下で重合するモノマーを、>50重量%、好ましくは>60重量%、より好ましくは>70重量%、さらに好ましくは>80重量%、さらに好ましくは>90重量%、さらにまた好ましくは>95重量%、就中>98重量%含有する。本発明の好ましい実施態様によれば、成分1及び/又は成分2あるいは重合性歯科用材料は、全体で、ラジカル条件下で重合しないモノマーを含有しない。
【0022】
本発明による重合性歯科用材料は、第1ペースト中及び第2ペースト中に成分1及び成分2をそれぞれ含有し、これらの2種のペーストは1:10以上、好ましくは1:4以上、より好ましくは1:2以上、就中1:1の所定の混合比で混合することができる。
【0023】
成分1のCH−酸性化合物の塩として適当なものは、特に以下に例示する化合物の塩である:
α−ベンゾイルプロピオニトリル、α−シアノカルボン酸エステル、α−シアノカルボキサミド、環状β−オキソニトリル、β−ジケトン、環状β−ジケトン、環状β−オキソカルボン酸エステル、環状β−オキソラクトン、マロン酸、マロン酸誘導体、ピラゾール誘導体、バルビツル酸及びバルビツル酸誘導体。
【0024】
好ましくは、CH−酸性化合物の塩は、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの1価塩及び2価塩から成る群から選択される塩である。CH−酸性化合物の塩は、例えば、ナトリウム塩である。
【0025】
本発明の範囲内においては、成分2の酸として、有機酸又は無機酸を使用してもよい。但し、該酸の酸強度が、成分1中に塩として存在するCH−酸性化合物の酸強度よりも大きいことを条件とする。
【0026】
非酸化性酸、例えば、塩酸又はリン酸等は無機酸として適当なものである。
【0027】
特に適当な有機酸を以下に例示する:
1)ギ酸、酢酸、安息香酸及びこれらの酸の誘導体から成る群から選択されるモノカルボン酸、2)シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸、フタル酸、テレフタル酸及びこれらの酸の誘導体から成る群から選択されるジカルボン酸、3)ヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸、アガリシン酸、クエン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸及びこれらの酸の誘導体から成る群から選択されるトリカルボン酸、4)ピロメリト酸、メリト酸及びこれらの酸の誘導体から成る群から選択されるマルチカルボン酸、及び5)ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びこれらの酸の誘導体から成る群から選択されるポリカルボン酸。
【0028】
水性媒体中での解離平衡に関係するpKa値は、これに関連して、他のファクターの外に、CH−酸性度の尺度にもなる。本発明の範囲内において選択される有機酸であって、バルビツル酸のpKa値(4.01)よりも小さなpKa値を有する有機酸としては、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2.97)、フマル酸(3.03)、マレイン酸(1.83)、フタル酸(2.89)、サリチル酸(2.97)、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸(1.68)及び桂皮酸(3.89)等が例示される(括弧内の数値はpKa値を示す)。
【0029】
本発明による重合性歯科用材料は、該重合性歯科用材料の成分の少なくとも一方の成分中に、遷移金属カチオン(好ましくはCu2+イオン)、及びラジカル形成に適したアニオンであって、重合過程の開始、調整及び促進をもたらすアニオン(好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくは塩化物イオン)を含有する。ラジカル形成に適したアニオン(好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくは塩化物イオン)、及び遷移金属カチオンであって、所望により開始剤系に帰属させることができるカチオン(好ましくはCu(II)イオン)は、本願発明に係る重合性歯科用材料の基材ペースト(成分1)中に存在させる態様が好ましいが、必要に応じて、開始剤ペースト(成分2)へも添加することができる。
【0030】
本発明による歯科用材料においては、両方の成分の少なくとも一方の成分中にフィラーを含有させることができる。好ましくは、本発明において使用するフィラーはナノスケール及び/又はマイクロスケールのフィラーであって、場合によって放射線不透過性のフィラーである。好ましいフィラーを以下に例示する:
ガラス粉末、ガラスセラミック粉末、金属、半金属、混合金属酸化物、ケイ酸塩、窒化物、硫酸塩、チタン酸塩、ジルコン酸塩、スズ酸塩、タングステン酸塩、二酸化ケイ素化合物又はこれらの化合物の混合物、球状フィラー、石英粉末、又はこれらの粉末の混合物、フィラー含有破砕ポリマー又はフィラー不含破砕ポリマー及び/又は粒状ポリマー。
【0031】
本発明において使用するナノスケールのフィラーとして特に好ましいものを以下に例示する:
二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化スズ、酸化セリウム、アルミニウム/ケイ素酸化物、ケイ素/亜鉛酸化物、ケイ素/ジルコニウム酸化物、鉄酸化物及びこれらと二酸化ケイ素との混合物、インジウム酸化物及びこれらと二酸化ケイ素及び/又は二酸化スズとの混合物、窒化ホウ素、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム、ジルコン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸バリウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸マグネシウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸ストロンチウム及び/又はタングステン酸バリウム。
【0032】
本発明の好ましい実施態様によれば、フィラーは表面改質フィラー(好ましくは有機化合物で表面改質したフィラー)にすることができる。フィラーの表面改質(例えば、シラン化)に応じて、フィラーはその表面上に官能基(例えば、反応性メタクリレート基)を有する。このような官能基は、好ましくはラジカル条件下において、モノマーと化学的に反応するか、又はモノマーから形成されるポリマーマトリックスに対して高い親和性を示す。
【0033】
特定の性状を調整するために、本発明による歯科用材料に「添加剤」又は「改質剤」を付加的に含有させることができる。一般的な性状を制限しないこの種の添加剤又は改質剤を以下に例示する:
無機及び/又は有機の有色顔料若しくは染料、安定剤(例えば、置換又は非置換ヒドロキシ芳香族化合物、チヌビン、テルピネン、フェノチアジン、「HALS」(ヒンダードアミン光安定剤)及び/又はEDTAのような重金属補足剤)、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、不飽和ポリエステル、フタレート、アジペート、セバケート、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、及び/又はクエン酸エステル)、イオン放出性物質、特にフッ化物(例えば、フッ化ナトリウム、フッカカリウム、フッ化イットリウム、フッ化イッテリビウム及び/又はフッ化第四アンモニム)イオン放出性物質、殺菌的又は抗生的に有効な物質(例えば、クロルヘキシジン、ピリジニウム塩、ペニシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、抗菌性マクロライド及び/又はポリペプチド抗生物質)及び/又は溶剤(例えば、水、アセトン、エタノール、イソプロパノール、ブタノン及び/又はエチルアセテート)。
【0034】
本発明による歯科用材料は、補てつ歯科、保存歯科及び予防歯科において使用することができる。一部の代表的な用途について以下に例示するが、これらによって完全な権利範囲が限定されるものではない:充填材料、断端構築材料、固定材料、一時的及び永続的なクラウン/ブリッジ用材料、結合材料、インレー、オンレー、ベニア及び人工歯を調製するための歯科技工用材料、注型材料、裂溝封止材料、及び根管封止材料。
【実施例】
【0035】
本発明を以下の例示的な実施態様によって説明するが、本発明の一般的な特徴はこれらによって限定されるものではない。
実施例1:1,3,5−トリメチルバルビツル酸のナトリウム塩の合成
この合成法は次の文献に記載されている:A.C.コープら、「1,3−ジメチル−5−アルキルバルビツル酸」、J. Amer. Chem. Soc. 、第63巻、第365頁(1941年)。ジエチルメチルマロネート0.1モル(17.420g)をナトリウムアルコキシドの20%エタノール溶液97.214g(ナトリウムアルコキシド:0.3モル)へ添加し、これらの2成分を相互に均質に混合した。この操作によって、ジエチルメチルマロネートのナトリウム塩とエタノールが生成する。次いで、得られた溶液中へ、N,N−ジメチル尿素0.1モル(8.811g)をエタノール15mlに溶解させた溶液をゆっくりと滴下することによって、1,3,5−トリメチルバルビツル酸のナトリウム塩を生成させた。次いで、このバッチを11.5時間加熱還流させた。
【0036】
上記の反応スキームを以下に示す(該スキーム中において、「1」はジエチルメチルマロネートを示し、「2」はナトリウムアルコキシドを示し、「3」はジエチルメチルマロネートのナトリウム塩を示し、「4」はエタノールを示し、「5」はN,N−ジメチル尿素を示し、「6」は1,3,5−トリメチルバルビツル酸のナトリウム塩を示す):
【化1】

【0037】
得られた溶液を回転式蒸発器で濃縮乾燥させ、残渣を蒸留水100mlで処理した。得られた溶液を、エーテル20mlを用いる振とう抽出処理に5回付した。水性相を回転式蒸発器で濃縮乾燥させ、残渣をブフナー漏斗内へ移した後、イソプロパノールを用いて洗浄した。この洗浄処理は、吸収されるイソプロパノールが呈色しなくなるまでおこなった。得られた固体は幾分茶色がかっていたので、少量のエタノール(分析用グレード)を用いて洗浄した。この洗浄は、洗浄後のエタノールが呈色しなくなるまでおこなった。生成物の純度をHPLCを用いて測定したところ99.59%であった。なお、生成物の収率は65.30%であった。
【0038】
実施例2:開始剤ペーストの調製と貯蔵安定性
以下の3種類の開始剤ペーストを調製し、これらの貯蔵安定性を周囲温度と40℃において測定した。
1)ペースト1:フィラーとして、非反応性樹脂成分としてのポリエチレングリコール(平均分子量:400g/モル)(PEG400)及び歯科用ガラス(メタクリレート基を含まないシランで表面処理した製品)を含有し、また、開始剤分子として1,3,5−トリメチルバルビツル酸を含有する。
2)ペースト2:フィラーとして、メタクリレート及び歯科用ガラス(メタクリレート基を含むシランで表面処理した製品)を含有し、また、開始剤分子として1,3,5−トリメチルバルビツル酸を含有する。
3)ペースト3:フィラーとして、メタクリレート及び歯科用ガラス(メタクリレート基を含むシランで表面処理した製品)を含有し、また、開始剤分子として1,3,5−トリメチルバルビツル酸のナトリウム塩を含有する。
【0039】
上記のペーストの配合処方を以下の表1に示す。この場合、開始剤分子の添加量は、3種類のペーストに含まれる開始剤分子のモル数が同じ値になるように計算して調整した。
【表1】

【0040】
上記のペーストの貯蔵安定性に関する証拠を得るために、これらのペーストを周囲温度と40℃において貯蔵し、定期的に重合した成分を調べた。ペースト2は90分後に完全に重合したが、ペースト1と3は、6ヶ月よりも長期間経過後においても、重合の徴候を全く示さなかった。このことは、活性開始剤分子としての1,3,5−トリメチルバルビツル酸及び反応性モノマーを含有するペーストは貯蔵安定性を示さないが、活性開始剤分子である1,3,5−トリメチルバルビツル酸の前駆体として、1,3,5−トリメチルバルビツル酸のナトリウム塩を使用する場合には、貯蔵安定性を示すペーストが得られるということを裏付けるものである。
【0041】
実施例3:実施例2で調製された開始剤ペーストの反応性の検討
実施例2において調製された開始剤ペーストの反応性を調べるために、これらのペーストを、手作業によって、DMGハンブルグ社の製品「ルクサテンプ・オートミックスA2」の基剤ペーストと10:1の混合比で混合し(基剤ペースト10部+開始剤ペースト1部)、硬化時間を測定した。
【0042】
ポリエチレングリコールを含有する開始剤ペースト1を使用した場合、硬化(setting)は1:40分後に開始し、3:20分後には完結した。このことは、該ペーストが貯蔵安定性を示すと共に、反応性であることを意味する。
【0043】
開始剤ペースト2を使用した場合、硬化は1:50分後に開始し、この場合も同様に、約3:20分後には完結した。即ち、該ペーストは満足すべき反応性を示す。しかしながら、該ペーストは、実施例2に記載のように、貯蔵安定性を示さない。従って、このペーストは、開始剤ペーストとして使用することはできない。
【0044】
反応性メタクリレート基及び1,3,5−トリメチルバルビツル酸のナトリウム塩を含む開始剤ペースト3は、予測されたように、前述の基剤ペーストと混合した後において、硬化しなかった。このため、基剤ペースト0.6gと開始剤ペースト0.06gから成る混合系へ32%塩酸1滴を添加したところ、該混合系は55分後に重合した。
【0045】
実施例4:実施例2で調製された開始剤ペースト3と塩酸又は塩酸含有基剤ペーストとの反応
実施例2で調製された開始剤ペースト3(1,3,5−トリメチルバルビツル酸のナトリウム塩及び反応性メタクリレートモノマーを含有するペースト)を1滴の塩酸と混合したところ、該ペーストは約90分後に硬化した。
【0046】
第2の実験においては、DMGハンブルグ社の製品「ルクサテンプ・オートミックスA2」の反応性基剤ペースト(反応性メタクリレートモノマーと共開始剤を含有する)を、1滴の塩酸の他に、実施例2で調製された開始剤ペースト3と1:1の混合比で混合した。得られたペーストは20分後に重合した。
【0047】
上記の実験は次のことを立証する。即ち、バルビツル酸誘導体のナトリウム塩は、塩酸の添加後は反応系中において遊離酸へ変換され、CH−酸性度の増大後、ペーストは、その後の自動酸化の結果として、短時間後に重合する。さらに、これらの実験は次のことを示す。即ち、重合時間は、基剤ペースト中に存在する共開始剤、例えば、「ルクサテンプ・オートミックスA2」の基剤ペースト中に配合されているようなアルキルアンモニウムクロリド及びCu(II)化合物等によってかなり短縮させることができる。
【0048】
実施例5:実施例2で調製された開始剤ペースト3と有機酸との反応
バルビツル酸のpKa値よりも小さなpKa値を有する有機酸の選択は、実施例2で調製されたペースト3のナトリウム塩の遊離酸(1,3,5−トリメチルバルビツル酸)への変換能を検討することによっておこなった。ペースト混合物の硬化時間は、該変換能の尺度として用いた。使用した有機酸の濃度は、10:1の混合比において、開始剤ペースト中に配合した開始剤分子のモル数に対して等モルになるように計算して調整した。開始剤ペーストを次の有機酸と混合したところ、ゲル化(即ち、重合)は30分以内に観測された:2,5−ジヒドロキシ安息香酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、サリチル酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、及び桂皮酸。
【0049】
この点に関しては、フマル酸又は2,5−ジヒドロキシ安息香酸の添加後における実施例2記載の開始剤ペースト3の反応性に関する実施例によって以下に説明する。
【0050】
前述の基剤ペースト0.5gを実施例2記載の開始剤ペースト3(0.05g)と混合した後、ヒドロキシエチルメタクリレート10mlにフマル酸0.1gを溶解させた溶液1滴を添加したところ、混合物は6分後に重合した。
【0051】
付加的な実験においては、上記のフマル酸溶液を基剤ペーストに配合した。この場合、フマル酸と1,3,5−トリメチルバルビツル酸のナトリウム塩とのモル比は1:1(ペーストを10:1の割合で混合した後)に調整した。得られた混合物は19分後に重合した。
【0052】
さらに別の実験においては、ヒドロキシエチルメタクリレート中においてより良い溶解度を示す2,5−ジヒドロキシ安息香酸を使用した。この場合、2,5−ジヒドロキシ安息香酸0.1gをヒドロキシエチルメタクリレート1mlに溶解させた。この溶液1滴(0.0248g)を前記の基剤ペースト0.5gに加えた。次いで、実施例2で調製された開始剤ペースト3(0.05g)を添加し、十分に混合した。得られたペースト混合物は9分後に硬化した。
【0053】
実施例6(本発明に係る実施例)
本発明による歯科用材料の機械的強度の尺度としての曲げ強さ及び反応性を評価するために、以下の表2に示す配合処方によって調製した開始剤ペースト4を実施例3に記載の基剤ペーストと1:1の割合で混合した。この場合、1.53重量%の2,5−ジヒドロキシ安息香酸が配合された。
【0054】
【表2】

【0055】
得られたペースト混合物は2:30分後に硬化を開始し、5:30分後に完結した。10回測定した曲げ強さの平均値は72.11MPa(±6.00)であった。最大曲げ強さは81.97MPaであった。
【0056】
実施例7(比較の実施例)
本発明によらない歯科用材料の曲げ強さを評価するために、以下の表3に示す配合処方によって調製した開始剤ペースト5を実施例3記載の基剤ペーストと1:1の割合で混合した。
【0057】
【表3】

【0058】
硬化した歯科用材料の曲げ強さを10回測定した。平均曲げ強さは16.89MPa(±2.25)であった。最大曲げ強さは19.03MPaであった。
【0059】
これに対して、前述のように、本発明による実施例6に記載の歯科用材料の曲げ強さの平均値は72.11MPaであり、最大値は81.97MPaであった。即ち、これらの値は、比較の実施例である実施例7に記載の対応する値よりも明らかに高い値であり、このことは、本発明による歯科用材料が極めて高い耐力を示すということを例証するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の成分を含有する重合性歯科用材料であって、下記の成分1と成分2を含有し、これらの成分がラジカル条件下で重合可能なモノマーを含有し、成分1が下記の成分a)を含有すると共に、成分2が下記の成分b)を含有することを特徴とする該重合性歯科用材料:
a)ラジカル重合を開始させることができるCH−酸性化合物の塩、
b)成分1中において塩として存在するCH−酸性化合物の酸強度よりも大きな酸強度を有する酸。
【請求項2】
重合性歯科用材料が、ラジカル条件下で重合可能なモノマーを全体で50重量%よりも多く、好ましくは60重量%よりも多く、より好ましくは70重量%よりも多く、より好ましくは80重量%よりも多く、より好ましくは90重量%よりも多く、より好ましくは95重量%よりも多く、より好ましくは98重量%よりも多く含有する請求項1記載の重合性歯科用材料。
【請求項3】
成分1が、ラジカル条件下で重合可能なモノマーを50重量%よりも多く、好ましくは60重量%よりも多く、より好ましくは70重量%よりも多く、より好ましくは80重量%よりも多く、より好ましくは90重量%よりも多く、より好ましくは95重量%よりも多く、より好ましくは98重量%よりも多く含有する請求項1又は2記載の重合性歯科用材料。
【請求項4】
成分1及び/又は成分2あるいは全重合性歯科用材料は、ラジカル条件下で重合しないモノマーを含有しない請求項1から3いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項5】
成分1と成分2を混合したときに、成分1中のモノマーが成分2中のモノマーとラジカル条件下で重合する請求項1から4いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項6】
成分1が第1ペースト中に存在し、成分2が第2ペースト中に存在し、両者の所定の混合比が1:10以上、より好ましくは1:4以上、より好ましくは1:2以上、特に好ましくは1:1である請求項1から5いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項7】
両方のペーストが色及び/又は保存寿命の観点から、3ヶ月よりも長期間、好ましくは6ヶ月よりも長期間、特に好ましくは24ヶ月よりも長期間にわたって安定である請求項6記載の重合性歯科用材料。
【請求項8】
成分1に含まれるCH−酸性化合物の塩が下記の化合物の塩である請求項1から7いずれかに記載の重合性歯科用材料:α−ベンゾイルプロピオニトリル、α−シアノカルボン酸エステル、α−シアノカルボキサミド、環状β−オキソニトリル、β−ジケトン、環状βジケトン、環状β−オキソカルボン酸エステル、環状β−オキソラクトン、マロン酸、マロン酸誘導体、ピラゾール誘導体、バルビツル酸又はバルビツル酸誘導体。
【請求項9】
CH−酸性化合物の塩が、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの1価塩及び2価塩から成る群から選択される塩、好ましくはナトリウム塩である請求項1から8いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項10】
成分2に含まれる酸が無機酸、好ましくは燐酸及び/又は塩酸である請求項1から9いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項11】
酸が有機酸である請求項1から9いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項12】
有機酸が下記のモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、マルチカルボン酸又はポリカルボン酸である請求項11記載の重合性歯科用材料:
1)蟻酸、酢酸、安息香酸およびこれらの酸誘導体から成る群から選択されるモノカルボン酸、
2)シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸、フタル酸、テレフタル酸及びこれらの酸の誘導体から成る群から選択されるジカルボン酸、
3)ヘミメリト酸、トリメリット酸、トリメシン酸、アガリシン酸、クエン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸及びこれらの酸の誘導体から成る群から選択されるトリカルボン酸、
4)ピロメリット酸、メリット酸及びこれらの酸の誘導体から成る群から選択されるマルチカルボン酸、
5)ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びこれらの酸の誘導体から成る群から選択されるポリカルボン酸。
【請求項13】
ラジカル条件下で重合可能なモノマーが、アクリレートエステル及びメタクリレートエステルから成る群から選択されるモノマーである請求項1から12いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項14】
重合性歯科用材料の成分の少なくとも1種が遷移金属カチオン(好ましくはCu2+)、及びラジカル生成に適したアニオン(好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくは塩化物イオン)を含有する請求項1から13いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項15】
成分1が遷移金属カチオン(好ましくはCu2+)、及びラジカル生成に適したアニオン(好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくは塩化物イオン)を含有する請求項1から13いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項16】
重合性歯科用材料の成分の少なくとも1種が、マイクロメータースケール及び/又はナノメータースケールの充填剤、好ましくは金属、半金属又は混合金属酸化物、ケイ酸塩、窒化物、硫酸塩、チタン酸塩、ジルコン酸塩、錫酸塩、タングステン酸塩、二酸化ケイ素又はこれらの化合物の混合物、球状充填剤、石英粉末、ガラス粉末、ガラスセラミック粉末又はこれらの粉末の混合物から成る群から選択される充填剤、又は充填剤を含有するか若しくは充填剤を含有しない破砕ポリマー及び/又は粒状ポリマーである請求項1から15いずれかに記載の重合性歯科用材料。
【請求項17】
充填剤が、表面改質充填剤、好ましくは有機化学的に表面改質された充填剤である請求項16記載の重合性歯科用材料。
【請求項18】
表面改質充填剤が、その表面上に、モノマーと、好ましくはラジカル条件下で化学的に反応する官能基又はモノマーから形成されるポリマーマトリックスに対して高い親和性を示す官能基を有する請求項17記載の重合性歯科用材料。
【請求項19】
充填剤が、シラン含有反応性アクリレート基又はメタクリレート基によって表面改質された充填剤である請求項18記載の重合性歯科用材料。
【請求項20】
請求項1から19いずれかに記載の重合性歯科用材料の使用であって、充填材料、断端形成材料、固定材料、結合材料、一時的又は永続的なクラウン用又はブリッジ用材料、インレー、オンレー、ベニア又は人工歯を調製するための歯科技工用材料、注型材料、裂溝封止材料、及び根管封止材料としての該使用。
【請求項21】
請求項1から19いずれかに記載の重合性歯科用材料から得られる硬化歯科用材料。

【公表番号】特表2009−541375(P2009−541375A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516919(P2009−516919)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004207
【国際公開番号】WO2008/000313
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(503011251)エルンスト・ミュールバウアー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】Ernst Muehlbauer GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】