説明

重合触媒およびオリゴマー化触媒

(1)式Aの遷移金属化合物と、任意の(2)活性化量のルイス酸活性剤とからなる重合触媒であって、式(A)、式中、Zは少なくとも1個の炭素原子と、少なくとも1個の窒素原子と、窒素、硫黄、および酸素から選択される少なくとももう1個のヘテロ原子とを含有する複素五員環化合物であり、環のうちの残りの原子は窒素または炭素であり、Mは周期表の第3〜11族の金属、またはランタニド金属であり、EとEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)基(i)から(v)までの複素環置換誘導体からの二価基であり、DとDはドナー基であり、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、ゼロまたは整数であることを特徴とする重合触媒。該触媒は、1−オレフィンの重合またはオリゴマー化に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、遷移金属基重合触媒およびオリゴマー化触媒、ならびにオレフィンの重合、共重合、およびオリゴマー化におけるそれらの使用に関するものである。
【0002】
特定の遷移金属化合物を1−オレフィン、例えば、エチレンまたはプロピレンを重合するために使用することは、先行技術において根を下ろしている。チーグラーナッタ触媒、例えば、ハロゲン化チタンをトリエチルアルミニウムのような有機金属化合物で活性化することによって生成される触媒を使用することは、ポリオレフィンを製造する多くの工業プロセスの基本となるものである。この30年程の間に、テクノロジーの進歩により、非常に高い活性を有し、極低濃度の残留触媒を含有するオレフィンポリマーやコポリマーを工業用重合プロセスにおいて直接製造することが可能となったチーグラーナッタ触媒が開発されるようになった。生成されたポリマーに残留する残留触媒の量は、ほとんどの商業的な利用に対してそれらの分離や除去を不要とするほど極く僅かである。このようなプロセスを行うには、モノマーを気相、あるいは液化炭化水素希釈剤または大量のプロピレンの場合における溶液または懸濁液で重合する。
【0003】
ポリエチレン製品は、多種多様な種類や等級のものが工業生産されている。遷移金属基触媒を用いたエチレンの単独重合が、いわゆる「高密度」クラスのポリエチレン生産につながっている。これらのポリマーは比較的剛性が高く、固有の剛性を必要とする製品の製造に有用である。高1−オレフィン(例えば、ブテン、ヘキセン、またはオクテン)とのエチレンの共重合は、密度その他の重要な物理的特性が異なる広範囲のコポリマーを提供するために市販されている。特に、遷移金属基触媒を用いて、エチレンと高1−オレフィンとを共重合させることにより製造される重要なコポリマーは、0.91〜0.93の範囲の密度を有するコポリマーである。これらのコポリマーは、一般に先行技術では「線状低密度ポリエチレン」と呼ばれ、多くの点で、エチレンの高圧ラジカル触媒重合により生成されたいわゆる「低密度」ポリエチレンと類似している。こうしたポリマーやコポリマーは、軟質インフレートフィルムの製造に幅広く用いられている。
【0004】
ポリプロピレンもまた、多種多様な種類と等級で工業生産されている。遷移金属基触媒によるプロピレンの単独重合が、広範囲の用途を持つ等級の生産をもたらしている。プロピレンとエチレン、またはターポリマーとエチレンおよび高1−オレフィンとのコポリマーもまた、フィルム用途に多用される有用な材料である。
【0005】
近年、特定のメタロセン触媒(例えば、アルモキサンで活性化したビスシクロペンタジエンイルジルコニウムジクロリド)を用いることで、潜在的に高活性の触媒が得られるようになった。メタロセンの他の誘導体も、活性、分子量、立体規則性制御が良好なポリプロピレンの生産に潜在的に有用であることがわかってきた。しかしながら、この種のメタロセン触媒は、例えば、市販のモノマーや希釈剤、プロセスガス流と併用すると、不純物に対して感度が高くなったり、高い活性を得るためには大量の高価なアルモキサンを用いなければならなかったり、触媒を適切な担体に担持させることの難しさや、立体規則性の形でプロペンを重合するのに適したより複雑な触媒構造の製造には合成面で難しさがあるなど、多くの不利益を被る。
【0006】
オレフィンオリゴマー化もまた、例えば、線状低密度ポリエチレン用コモノマーやポリ(1−オレフィン)用モノマー、界面剤の出発材料として、広範囲の用途に使用されている1−オレフィンの生産につながる工業上重要なプロセスである。広範囲の金属錯体をベースとする触媒は、このプロセスに使用可能であり、一般的にいわゆる1−オレフィンの「Schulz−Flory」分布を形成する。つい最近、特異な三量体形成機構により1−ヘキサンだけを選択的に生成する触媒が登場した。一般に、生成された1−オレフィンの最終分布は商業上重要である。
【0007】
本発明の目的は、例えば、オレフィン、シクロオレフィン、またはジオレフィンなどのモノマーを重合、またはオリゴマー化するのに適した触媒、特に、エチレンだけ、またはプロピレンだけを重合またはオリゴマー化するのに適した触媒、あるいはエチレンと高活性の高1−オレフィンとを共重合するのに適した触媒を提供することである。更に、本発明の目的は、オレフィンを重合する改良プロセスを提供することである。更に、本発明の目的は、特定の遷移金属をベースとする新規錯体を提供することである。ここに記載した触媒は、工業プロセスにおける触媒負荷を低減するとともに、最終生成物における触媒残留を低減するといった多くの利点をもたらす重合およびオリゴマー化に対して、極高活性を示す。
【0008】
本発明は、
(1)以下の式Aを有する遷移金属化合物と、
(2)任意の活性化量の好適な活性剤とからなる新規重合触媒において、
【0009】
【化1】

【0010】
式中、Zは複素五員環基からなり、該複素五員環基は少なくとも1個の炭素原子と、少なくとも1個の窒素原子と、窒素、硫黄、および酸素から選択される少なくとももう1個のヘテロ原子とを含有し、前記環のうちの残りの原子は窒素と炭素から選択され、Mは周期表の第3〜11族の金属、またはランタニド金属であり、EとEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、DとDは、ドナー原子、またはドナー基であり、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であることを特徴とする新規重合触媒を提供する。
【0011】
二価基EとEは、ドナー原子またはドナー基Dが介する以外は結合しないのが好ましい。
【0012】
複素五員環基Zの環に存在する原子の少なくとも1個は、直接Eに結合するのが好ましく、環に存在する第二の原子は直接Mに結合するのが好ましい。最も好ましいのは、直接Eに結合している五員環に存在する原子が前記環の第二の原子に隣接することである。
【0013】
複素五員環基Zは、好ましくはその環に少なくとも2個の炭素原子を含有し、更に好ましくはその環に少なくとも3個の炭素原子を含有していることである。好適な複素五員環基の例は以下の通りである(但し、これらに限定するものではない)。
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
本発明の好ましい実施形態において、式A、式中、Zは具体的にはイミダゾール含有基である。
【0017】
したがって、本発明は更に、
(1)以下の式Aを有する遷移金属化合物と、
(2)任意の活性化量の好適な活性剤とからなる新規重合触媒において、
【0018】
【化4】

【0019】
式中、Zは具体的にはイミダゾール含有基であり、Mは周期表の第3〜11族の金属、またはランタニド金属であり、EとEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、DとDは、ドナー基であり、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であることを特徴とする新規重合触媒を提供する。
【0020】
および/またはDは、少なくとも1個のドナー原子を含有するドナー原子、またはドナー基である。Dおよび/またはDは、例えば、基Zについて列挙したものと同じ式を有する基であってもよい。例えば、Dおよび/またはDは、その環に少なくとも2個の炭素原子を含有する複素五員環基からなる基であってもよく、より好ましくは、その環に少なくとも3個の炭素原子を含有することである。Dおよび/またはDは、必要に応じてイミダゾール含有基であってもよい。Dおよび/またはDがイミダゾール含有基である場合、これまたはこれらはZと同一であってもよい。好ましい実施形態では、DとZは同じイミダゾール含有基である。
【0021】
イミダゾール含有基Zは、式I、II、またはIIIの基であるのが好ましい。
【0022】
【化5】

【0023】
〜R11は、独立して水素、または一価の(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、および(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基である。式I、II、およびIIIの左側に結合している「自由」原子価は、Eの結合の少なくとも1個を式Aの残りに結合させる。その他の結合は、イミダゾール含有基中の窒素原子の少なくとも1個によって行われるのが好ましい。こうして定義した基R〜R11は、好ましくは1〜30個、より好ましくは2〜20個、最も好ましくは2〜12個の炭素原子を含有している。好適な脂肪族炭化水素基の例としては、メチル、エチル、エチレニル、ブチル、へキシル、イソプロピル、およびt−ブチルが挙げられる。好適な脂環式炭化水素基の例としては、アダマンチル、ノルボルニル、シクロペンチル、およびシクロへキシルが挙げられる。好適な芳香族炭化水素基の例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナンスリル、およびアンスリルが挙げられる。好適なアルキル置換芳香族炭化水素基の例としては、ベンジル、トリル、メシチル、2,6−ジイソプロピルフェニル、および2,4,6−トリイソプロピルが挙げられる。好適な複素環基の例としては、2−ピリジニル、3−ピリジニル、2−チオフェニル、2−フラニル、2−ピロリル、2−キノリニルが挙げられる。前記基R〜R11の複素環置換誘導体を形成するのに好適な置換基としては、例えば、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、ニトロ、アミノ、シアノ、エーテル、ヒドロキシル、およびシリル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ(つまり、OC)、トリルオキシ(つまり、OC(CH)、キシリルオキシ、メシチルオキシ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、チオメチル、チオフェニル、およびトリメチルシリルが挙げられる。前記基(i)から(v)までの好適な複素環置換誘導体の例としては、2−クロロエチル、2−ブロモシクロへキシル、2−ニトロフェニル、4−エトキシフェニル、4−クロロ−2−ピリジニル、4−ジメチルアミノフェニル、および4−メチルアミノフェニルが挙げられる。好適なヒドロカルビル置換異種原子基の例としては、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、ニトロ、アミノ、シアノ、エーテル、ヒドロキシル、およびシリル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ(つまり、−OC)、トリルオキシ(つまり、−OC(CH))、キシリルオキシ、メシチルオキシ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、チオメチル、チオフェニル、およびトリメチルシリルが挙げられる。置換基R〜R11はいずれも結合して環状構造を形成することができる。置換基R〜R11もまた、適宜、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、アミノ、シアノ、およびヒドロキシルのような無機基としてもよい。
【0024】
更に好適なイミダゾール含有基は、置換基Rを除去、例えば、Rが水素の場合には、脱プロトン化して形式のモノアニオン性イミダゾール含有基を生成させることにより得られる。
【0025】
イミダゾール含有基は、式III(ベンズイミダゾール)に記載した構造を有するのが好ましい。Rは、水素、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基であるか、またはRを除去して、形式のモノアニオン性ベンズイミダゾール基を生成するのが好ましい。R〜R11は、水素、脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であるのが好ましい。
【0026】
とE(以下、“E”と呼ぶ)は同一であっても、相異なっていてもよい。Eは二価の(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、および(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基から独立して選択される。好適な二価基Eの例としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、1,2−フェニレン、トランス−1,2−シクロペンタン、トランス−1,2−シクロへキサン、2,3−ブタン、1,1’−ビフェニル、1,1’−ビナフチル、および−Si(Me)2−である。Eは、脂肪族炭化水素基か、または芳香族炭化水素基であるのが好ましい。二価基Eは−CH−であるのがより好ましい。
【0027】
とDは同一、または相異なるドナー基、例えば、酸素、硫黄、アミン、イミン、またはホスフィンであってもよい。DとDは式−N(R12)−の酸素、硫黄、アミン、または式−P(R13)−のホスフィンから選択されるのが好ましく、式中、R12とR13は、水素、または(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基、および(viii)更なるイミダゾール含有基である。代替として、R12またはR13は、例えば、それらが水素の場合には、脱プロトン化して形式モノアニオン成分を生成させて除去することも可能であり、またはR12またはR13はどちらも除去すると、形式ジアニオン成分が生成される。Dは上記に定義した式−N(R12)−のアミンであるのがより好ましい。R12は水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、または更なるイミダゾール含有基であるのが好ましい。Dは、イミダゾール含有基であるのが好ましい。
【0028】
Mは、好ましくは周期表の第3〜11族から選択される金属であり、好ましくは、第3〜7族、より好ましくはSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mnから選択され、最も好ましくはV、Cr、Ti、Zr、およびHfから選択される金属である。
【0029】
アニオン基Xは、例えば、ハロゲン化物、好ましくは塩化物または臭化物、あるいはヒドロカルビル基、例えば、メチル、ベンジル、またはフェニル、あるいはカルボン酸塩、例えば、酢酸塩またはアセチルアセトン、酸素、アミド、例えば、ジエチルアミド、アルコキシド、例えば、メトキシド、エトキシド、またはフェノキシド、あるいはヒドロキシルであってもよい。代替として、Xは、例えば、フッ化アリールボレート、またはトリフレートなど、非配位アニオンであっても、弱配位アニオンであってもよい。アニオン基は同一であっても相異なっていてもよく、独立してモノアニオン性であっても、ジアニオン性であっても、またはトリアニオン性であってもよい。
【0030】
中性のドナー基Lは、例えば、溶媒和分子、例えば、ジエチルエーテルまたはTHFであっても、アミン、例えば、ジエチルアミン、トリメチルアミン、またピリジンであっても、ホスフィン、例えば、トリメチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンであっても、あるいは水、あるいはオレフィン、あるいは中性の共役または非共役ジエンであってもよく、任意でヒドロカルビル基またはトリメチルシリル基から選択される1個以上の基と置換され、前記基は最大40個の炭素原子を有し、Mとのπ錯体を形成する。Lがジエン配位子の場合には、例えば、s−トランス−η−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−トランス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−トランス−η−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−トランス−η−2,4−ヘキサジエン、s−トランス−η−1,3−ペンタジエン、s−トランス−η−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−トランス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン、s−トランス−η−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−η−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−η−2,4−ヘキサジエン、s−シス−η−1,3−ペンタジエン、s−シス−η−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、またはs−シス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンのいずれであってもよく、前記s−シス異性体はπ結合ジエン錯体を形成する。
【0031】
yの値は、ZとDの各基の形式電荷、アニオン基Xの電荷、および金属Mの酸化状態によって異なる。例えば、Mが酸化状態+3のクロムである場合、Zは中性基であり、両方のD基は中性基であり、また、Xがモノアニオン基(例えば、塩化物)である場合、yは3であり、Mが酸化状態+3のクロムである場合は、Zは中性であり、1個のD基はモノアニオンであり、もう1個のDは中性であり、すべてのX基がモノアニオン基(例えば、塩化物)である場合、yは2である。
【0032】
本発明の触媒の任意の活性剤(2)は、有機アルミニウム化合物および有機ホウ素化合物、またはその混合物から適宜選択される。有機アルミニウム化合物の例としては、トリアルキルアルミニウム化合物、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、およびアルモキサンが挙げられる。アルモキサンは、先行技術においてオリゴマー化合物の代表として周知であり、例えば、水をコントロールしながらトリメチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム化合物に加えることにより調製することができる。このような化合物は線状、環状、またはその混合物とすることができる。市販のアルモキサンは一般に、線状、環状、およびかご形化合物であると考えられている。環状アルモキサンは、式[R16AlO]で、また線状アルモキサンは、式R17(R18AlO)で表され、式中、sは約2〜50個の数であり、R16、R17、およびR18はヒドロカルビル基、好ましくはC〜Cアルキル基、例えば、メチル、エチル、またはブチル基を表す。
【0033】
好適な有機ホウ素の例としては、ジメチルフェニルアンモ二ウムテトラ(フェニル)ホウ酸、トリチルテトラ(フェニル)ホウ酸、トリフェニルホウ素、ジメチルフェニルアンモ二ウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、テトラキス[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、H+(OEt)[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、およびトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素が挙げられる。有機アルミニウム化合物と有機ホウ素化合物との混合物を用いてもよい。
【0034】
本発明の触媒の調製時に、使用する有機アルミニウム化合物および有機ホウ素から選択される活性化化合物の量は、簡単なテスト、例えば、少量のモノマーを重合し、生成された触媒の活性を測定するときに用いられる小さな試験サンプルを調製することで容易に決められる。一般に、使用する量は、式Aの化合物中に存在するMの1原子当たりアルミニウムまたはホウ素の原子が0.1〜20,000個、好ましくは1〜2000個があれば十分であると考えられている。異なる活性化化合物の混合物を用いてもよい。
【0035】
欧州特許第1238989号には、以下から選択された活性剤(ルイス酸)の使用法が開示されている。
【0036】
(b−1)層状結晶構造のCdCl型またはCdI型を有するイオン結合化合物
(b−2)粘土、粘土鉱物、またはイオン交換層状化合物
(b−3)ヘテロポリ化合物、および
(b−4)ハロゲン化ランタノイド化合物
【0037】
本発明で使用した活性剤は、必要に応じて欧州特許第1238989号に開示されている型のものでよい。このようなルイス酸は、少なくとも1電子対を受け取り、遷移金属錯体と反応してイオン対を形成することができる化合物である。ルイス酸には、(b−1)CdCl型またはCdI型を有する前記のイオン結合化合物、(b−2)粘土、粘土鉱物、またはイオン交換層状化合物、(b−3)ヘテロポリ化合物、および(b−4)ハロゲン化ランタノイド化合物などがある。更に、ルイス酸には、加熱または類似の処理によって形成されたルイス酸点を有するSiO、Al、天然および合成ゼオライト、ならびにそれらの錯体および混合物などがある。
【0038】
米国特許第6399535号には、以下からなるオレフィンを重合することができる配位触媒が開示されている。
(I)予備触媒として、少なくとも1個の非メタロセン、幾何非拘束型、遷移金属化合物を含有する二座配位子、または(A)(II)の担体活性剤凝集物と接触すると活性化されるか、あるいは(B)有機金属化合物と接触すると、(II)の担体活性剤凝集物と接触すると活性化される中間体に変換できる遷移金属化合物を含有する三座配位子において、該遷移金属は少なくとも周期表の第3〜10族から選択される少なくとも1員であり、また
(II)(A)SiO、Al、MgO、AlPO、TiO、ZrO、およびCrから選択される少なくとも1個の無機酸化成分の複合物からなる担体活性剤凝集物と、(B)担体活性剤凝集物内に存在するとき、層と十分なルイス酸性度との間にすき間を有する層状材料を含有する少なくとも1個のイオンとが密接に接触し、該予備触媒が担体活性剤凝集物と接触すると該予備触媒を活性化し、前記層状材料はカチオン成分と陰イオン成分とを有するものであり、前記カチオン成分は層状材料のすき間内に存在し、前記層状材料は、同じ予備触媒を用いる、対応する触媒系の活性に対して毎時触媒系の1グラムにつきポリエチレンのKgで表されるエチレンモノマーを重合するための配位触媒系の活性を向上させるのに十分な量の凝集物中に含まれる前記無機酸化成分と密接に関連しているが、担体活性剤凝集物の組成物AまたはBのいずれかが存在しない場合には、密接に接触している予備触媒と担体活性剤凝集物との量は、約5:1乃至約500:1の範囲の予備触媒のミクロモルと担体活性剤凝集物のグラムの割合で十分である。層状材料は、例えば、スメクタイトでもよい。本発明の触媒系は、必要に応じて、米国特許第6399535号に記載されている担体活性剤凝集物と併用することも可能である。
【0039】
活性剤化合物の他に、触媒活性を促進できる触媒量の特定ハロゲン化合物を用いるのが得策なこともある。この種の助触媒は、錯体中の遷移金属がバナジウムである場合に特に有用である。米国特許第5191042号には、有機アルミニウム化合物で活性化されたバナジウム基触媒は、さまざまなハロゲン化有機化合物、例えば、四塩化炭素、ヘキサクロロエチレン、臭化ベンジル、塩化ベンジル、および2,3−または1,3−ジクロロプロピレンを用いて促進できることが開示されている。この方法で使用可能なハロゲン化有機化合物のその他の例としては、トリクロロ酢酸エチル、クロロホルム(CHCl)、および塩化n−ブチルが挙げられる。また、米国特許第5191042号では、標準条件下で特定のバナジウム化合物を酸化するために、ハロゲンの能力を基準とする有機ハロゲン活性指数を表1で定義しているクーパー(T.A Cooper,アメリカ化学会誌4158(1973))の開示についても言及している。例えば、四塩化炭素には、20℃でテトラヒドロフラン1の反応性を割り当て、表に記載したその他のハロゲン化有機化合物は、四塩化炭素に対して約0.02〜200を超える反応性を有する。ハロゲン化助触媒を必要とする場合は、クーパー指数が約0.01〜約30までの範囲のものを用いるのが好ましい。このような助触媒を使用すること、特にバナジウム基触媒と併用することは、先行技術においては一般に周知のことであり、この助触媒の使用に関する詳細は、米国特許第5191042号、およびこの分野における他の先行技術を参照するとよい。本発明では、助触媒として、どのようなハロゲン化有機化合物を用いてもよいが、上述した化合物が好ましい。
【0040】
本発明の好適な実施形態は、
(1)式BまたはCを有する遷移金属化合物と、
(2)任意の活性化量の好適な活性剤とからなる触媒において、
【0041】
【化6】

【0042】
式中、点線の円内に示したイミダゾール核は、式Ia、IIa、IIIa、IVa、Va、およびVIaで表される二価基から選択され、
【0043】
【化7】

【0044】
Mは、周期表の第3〜11族の金属、またはランタニド金属であり、E1とEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、D1とDはドナー基であり、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であり、基R〜R11は、独立して水素または一価の(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、および(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基であることを特徴とする触媒を提供する。
【0045】
Mは、周期表の第3〜7族より選択されるのが好ましい。
【0046】
基R〜R11は、式I、II、III、IV、V、およびVI基に対して、上記で定義した基から選択されるのが好ましい。
【0047】
本発明のこの好ましい実施形態においては、D1とDは同一または相異なるドナー基、例えば、酸素、硫黄、アミン、イミン、またはホスフィンであってもよい。好ましくは、D1とDは、式−N(R12)−の酸素、硫黄、アミン、または式−P(R13)−のホフィンから選択され、式中、R12とR13は、水素または(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基、および(viii)更なるイミダゾール含有基である。
【0048】
好ましくは、D1は窒素、例えば、−NR−または=N−、あるいは窒素含有基、例えば、−N(R)−R20−であり、式中、Rは一価基を表し、R20は、例えば、メチル、エチル、エチレニル、ブチル、ヘキシル、イソプロピル、およびt-ブチルのような脂肪族炭化水素基から誘導された二価基を表す。好適な脂環式炭化水素基の例としては、アダマンチル、ノルボルニル、シクロペンチル、およびシクロへキシルが挙げられる。好適な芳香族炭化水素基の例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナンスリル、およびアンスリルが挙げられる。好適なアルキル置換芳香族炭化水素基の例としては、ベンジル、トリル、メシチル、2,6−ジイソプロピルフェニル、および2,4,6−トリイソプロピルが挙げられる。好適な複素環基の例としては、2−ピリジニル、3−ピリジニル、2−チオフェニル、2−フラニル、2−ピロリル、2−キノリニルが挙げられる。前記基R〜R11の複素環置換誘導体を形成するのに好適な置換基としては、例えば、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、アミノ、シアノ、エーテル、ヒドロキシルおよびシリル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ(つまり、−OC)、トリルオキシ(つまり、−OC(CH)、キシリルオキシ、メシチルオキシ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、チオメチル、チオフェニル、およびトリメチルシリルが挙げられる。前記基(i)〜(v)の好適な複素環置換誘導体の例としては、2−クロロエチル、2−ブロモシクロヘキシル、2−ニトロフェニル、4−エトキシフェニル、4−クロロ−2−ピリジニル、4−ジメチルアミノフェニル、および4−メチルアミノフェニルが挙げられる。好適なヒドロカルビル置換異種原子基の例としては、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、ニトロ、アミノ、シアノ、エーテル、ヒドロキシルおよびシリル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ(つまり、−OC)、トリルオキシ(つまり、−OC(CH))、キシリルオキシ、メシチルオキシ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、チオメチル、およびトリメチルシリルが挙げられる。置換基R〜R11はいずれも結合して環状構造を形成することができる。また、置換基R〜R11は、適宜フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、アミノ、シアノ、およびヒドロキシルのような無機基であってもよい。
【0049】
好ましくは、Dは上記の式Ia、IIa、およびIIIaの群から選択されるイミダゾール基である。
【0050】
前述の通り、本発明におけるmおよびnは、m=n=ゼロまたは1というような具合である。わかりやすく言えば、所定の錯体では、mはゼロであり、nもゼロである。また、mが1のときは、nも1である。
【0051】
式Aにおいて、mとnがゼロのとき、この式は式Dとなり、好ましくは、式Eまたは式Fとなり、この場合、
【0052】
【化8】

【0053】
式中、D1、E1、Z、M、X、L、y、およびzは上記の定義通りであり、点線で示した円内のイミダゾール核は、式Ia、IIa、IIIa、IVa、Va、およびVIaで表される二価基から選択される。
【0054】
【化9】

【0055】
以下の配位子は、本発明による式CとDの錯体を作成するのに好適ないくつかの例を表す。
【0056】
【化10】

【0057】
【化11】

【0058】
【化12】

【0059】
【化13】

【0060】
【化14】

【0061】
【化15】

【0062】
【化16】

【0063】
【化17】

【0064】
【化18】

【0065】
【化19】

【0066】
【化20】

【0067】
【化21】

【0068】
【化22】

【0069】
【化23】

【0070】
【化24】

【0071】
【化25】

【0072】
【化26】

【0073】
【化27】

【0074】
これらの配位子を用いて本発明による錯体および触媒を作製することができるが、式中、遷移金属は好ましくは、チタン、ジルコ二ウム、ハフニウム、バナジウム、またはクロムである。
【0075】
以下は、本発明の触媒で使用可能な遷移金属複合体の例である。
【0076】
【化28】

【0077】
【化29】

【0078】
【化30】

【0079】
【化31】

【0080】
以下の式は、本発明による遷移金属化合物を示し、式中、Lはジエンである。
【0081】
【化32】

【0082】
本発明の触媒は、必要に応じて支持材に利用することができる。好適な支持材としては、例えば、シリカ、アルミナ、またはジルコニア、マグネシア、塩化マグネシウム、またはポリマー、またはプレポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、またはポリ(アミノスチレン)が挙げられる。
【0083】
本発明の触媒は、必要に応じて、定義された遷移金属化合物のうちの1個以上とすることができる。
【0084】
前記1個以上の定義された遷移金属化合物に加えて、本発明の触媒は、1−オレフィンを重合する他の1個以上の触媒とすることもできる。このような触媒は、他の種類の遷移金属化合物、または触媒、例えば、従来のチーグラーナッタ触媒系で用いられる種類の遷移金属化合物、メタロセン基触媒、あるいは加熱活性化支持体酸化クロム触媒(例えば、フィリップス触媒)が好ましい。本発明の触媒は、重合反応器の内外で1−オレフィンのみを生成する他の触媒と併用することも、このように、エチレンまたはプロピレン、およびこれらの1−オレフィンのコポリマーを作製することも可能である。1−オレフィンの生成に好適な触媒は、1−ブテンのみ、1−ヘキサンのみ、または1−オレフィンの分布(例えば、Schulz−Flory分布)を生成することが可能である。
【0085】
該触媒は、必要に応じて、支持材の存在下で現場生成することも、支持材を1個以上の触媒成分と同時または順次に予備含浸することも、予混合することもできる。本発明の触媒は、必要に応じて、異種触媒、例えば、ハロゲン化マグネシウム担持チーグラーナッタ触媒、フィリップタイプ(酸化クロム)担持触媒、またはメタロセン担持触媒に担持することができる。担持触媒を生成するには、例えば、本発明の遷移金属化合物を好適な不活性希釈剤、例えば、揮発性炭化水素に溶かしたアルモキサンで処理し、微粒子支持材を生成物でスラリーにし、揮発性希釈剤を蒸発させて行う。生成された担持触媒は、自由流動性粉末状であるのが好ましい。使用した支持材の量は、例えば、遷移金属化合物中に存在する金属の1グラム当たり100,000〜1グラムとばらつきのある場合がある。
【0086】
更に、本発明は、重合条件下でモノマーと本発明の重合触媒とを接触させてなる1−オレフィン、シクロオレフィン、またはジエンの重合および共重合を行うプロセスを提供する。
【0087】
本発明の重合プロセスを用いて、単独重合を行う際に使用する好適なモノマーは、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、スチレン、あるいは共役または非共役ジエンである。好ましいモノマーはエチレンとプロピレンである。
【0088】
本発明の重合プロセスを用いて、単独重合を行う際に使用する好適なモノマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、ノルボルネン、置換ノルボルネン、ジエン、例えば、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、およびスチレンである。
【0089】
特に、本発明による好ましいプロセスは、エチレンおよびまたはプロピレンと、1−オレフィン、アクリル酸エステル、ビニルエステル、およびビニル芳香族化合物から選択されるコモノマーとの共重合である。好適なコモノマーの例としては、1−ブテン、1-ヘキセン、4−メチルペンテン−1、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、およびスチレンが挙げられる。
【0090】
好ましい重合プロセスは、エチレンの単独重合またはプロピレンの単独重合、あるいはエチレンとプロピレン、ブテン、ヘキセン−1、および4−メチルペンテン−1のうちの1種以上との共重合、あるいはプロピレンとエチレンまたはブテンのうちの1種以上との共重合が挙げられる。
【0091】
重合条件は、例えば、バルク相、液相、スラリー相、または気相としてもよい。高分子材料が超臨界エチレンの溶融物となる高温処理条件下でエチレンを高圧/重合する際には、必要に応じて触媒を用いることができる。重合は気相流動層または攪拌層条件下で行うのが好ましい。
【0092】
スラリー相重合条件または気相重合条件は、特に高密度のポリエチレンの製造に有用である。これらのプロセスでは、重合条件をバッチ、連続、または半連続としてもよい。スラリー相プロセスおよび気相プロセスでは、一般に触媒はバルク固体の形で重合ゾーンに送られる。この固体は、例えば、錯体Aと活性剤から生成された希釈されていない固体触媒系、または固体錯体A単独としてもよい。後者の状態では、活性剤は重合ゾーンに、例えば、固体錯体とは別個でも、一緒にでも溶液として送ることが可能である。触媒系、またはスラリー重合および気相重合において用いられる触媒系の遷移金属錯体成分が支持材に担持されるのが好ましい。最も好ましいのは、触媒系が重合ゾーンに入る前に支持材に担持されることである。好適な支持材としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、珪藻土、マグネシア、塩化マグネシウム、およびポリマーが挙げられる。支持材の浸水は、従来の技術により、例えば、好適な希釈剤または溶媒に溶かした触媒成分の溶液または懸濁液を作製し、それと支持材とをスラリーにすることにより行うことができる。このように支持材を含浸担持させると、例えば、濾過または蒸発技術により希釈剤から分離することが可能となる。
【0093】
スラリー相重合プロセスでは、触媒の固体粒子、または担持触媒は、乾燥粉末または重合希釈剤に溶かしたスラリーとして重合ゾーンに送られる。粒子は、重合希釈剤に溶かした懸濁液として重合ゾーンに送られるのが好ましい。重合ゾーンは、例えば、オートクレーブ、または類似の反応槽、あるいは、例えば、フィリップス法によるポリエチレンの製造で周知のタイプの、連続ループ反応器としてもよい。本発明の重合プロセスをスラリー条件下で行う場合は、重合プロセスは好ましくは0℃以上、最も好ましくは15℃以上の温度である。重合温度は、ポリマーが重合希釈剤の存在下で軟化または焼成し始める温度より低い状態に保たれるのが好ましい。温度を後者の温度より高く上昇させると、反応器に付着物が生じることがある。これらの定義された温度範囲内で重合を調整すると、生成されたポリマーの分子量を制御する有用な手段となり得る。更なる分子量を制御する有用な手段は、連鎖移動剤としての機能を果たす水素ガスの存在下で重合を行うことである。一般に、使用する水素の濃度が高ければ高いほど、生成される平均分子量の濃度は低くなる。
【0094】
水素ガスは、通常ポリマーまたはコポリマーの平均分子量を制御する手段として本発明の重合プロセスに用いることが可能である。例えば、水素を用いると、気相、スラリー相、または液相重合条件で調整されたポリマーまたはコポリマーの平均分子量を減らすことができる。所望の平均分子量を得るために使用する水素ガスの量は、簡単な「トライアルアンドエラー」重合試験により決定することができる。
【0095】
気相重合プロセスを行う方法は、先行技術において周知のことである。このような方法は、一般に触媒の床、または触媒を含有するターゲットポリマー(つまり、重合プロセスで作製したいものと同一または類似の物理的特性を有するポリマー)の床をかき混ぜ(例えば、攪拌、振動、または流動化することにより)、モノマーの少なくとも一部を床内の触媒と接触させて重合するというような条件下で、そこに気相内の少なくとも一部のモノマーの流れを送ることが必要となる。この床は一般に、冷却ガス(例えば、リサイクルガス状モノマー)および/または揮発性液体(例えば、揮発性不活性炭化水素、または液体を生成するために濃縮したガス状モノマー)を加えて冷却される。気相プロセスにおいて生成され、分離されたポリマーは、重合ゾーンにおいてそのまま固形物となり、液体をほとんど含まない。当該技術における技術者に周知であるように、液体が気相重合プロセスの重合ゾーンに入った場合でも、液体の量は重合ゾーン中に存在するポリマーの量に対しては少量である。これは、ポリマーが溶媒に溶解して形成される「液相」プロセスや、ポリマーが液体希釈剤に溶けて懸濁液となる「スラリー相」プロセスとは著しく異なっている。
【0096】
気相プロセスは、バッチ、セミバッチ、またはいわゆる「連続」のいずれの条件下においても行うことが可能である。重合触媒を含有する、攪拌した重合ゾーンに、モノマーが連続的にリサイクルされ、重合モノマーに代わって補給モノマーが供され、ポリマーの形成速度に匹敵しうる速度で、生成されたポリマーが重合ゾーンから連続または間歇的に回収され、新しい触媒が重合ゾーンに加えられ、重合ゾーンから回収された触媒が生成されたポリマーに置き換えられるというような条件下で行うのが好ましい。
【0097】
気相重合条件下で本発明の触媒を用いると、触媒、または触媒の形成に用いる成分のうちの1種以上を、例えば、不活性液体希釈剤の溶液として、例えば、重合反応ゾーン内に液状で導入することが可能となる。したがって、例えば、遷移金属成分、または活性剤成分、またはこれら成分の両方を、液体希釈剤に溶解するか、またはスラリーにして、重合ゾーンに送ることができる。このような状況下では、該成分を含有する液体は微細な滴で重合ゾーンにスプレーするのが好ましい。この滴の直径は、1〜1000ミクロンの範囲内であるのが好ましい。本明細書に教示が組み込まれている欧州特許出願公開第0593083号には、重合触媒を気相重合に導入するプロセスが開示されている。欧州特許出願公開第0593083号に開示されている方法は、必要に応じて適宜、本発明の重合プロセスに使用することが可能である。
【0098】
また、本発明は、オリゴマー化条件下でモノマーのオレフィンと本発明の触媒を接触させてなる1−オレフィンのオリゴマー化およびコオリゴマー化を行うプロセスを提供する。
【0099】
本発明のオリゴマー化プロセスを用いて、ホモオリゴマーの作製に使用する好適なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、およびスチレンが挙げられる。好ましいモノマーはエチレンである。
【0100】
本発明のオリゴマー化プロセスを用いて、コオリゴマーの作製に使用する好適なモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、およびさらにnが整数である系列C(n)H(2n)の1−オレフィンが挙げられる。
【0101】
バッチ、セミバッチ、連続作業など、オリゴマー化反応器用オプションが多数存在する。本発明のオリゴマー化およびコオリゴマー化反応は、当該技術における技術者にとって自明であるプロセス条件の範囲下で、すなわち、トルエンまたはヘプタンのような不活性炭化水素希釈剤の存在または非存在下において均質な液相反応として、2相液体/液体反応として、触媒がほとんど溶解性を示さない形状のスラリーとして、基本的に純反応物質および/または生成物オレフィンが主媒質として働くバルクプロセスとして、反応物質および/または生成物オレフィンの少なくとも一部が、気相状態を経て触媒の担持形態との移入、移出を行う気相プロセスとして、行うことが可能である。1種以上のモノマーまたは不活性の揮発性液体からの気化冷却は、反応物から熱を取り除くために使用する1つの方法に過ぎない。(コ)オリゴマー化反応は、循環層、縦型または横型攪拌層、固定層、あるいは流動層反応器のような周知のタイプの気相反応器や、ピストン流れ、連続攪拌槽、またはループ反応器のような液相反応器、あるいはこれらを組み合わせたもので行うことが可能である。生成物、反応物質、および触媒分離および/または精製を生じさせるさまざまな方法、例えば、蒸留、濾過、液液分離、スラリー沈降、抽出などは、当該技術における技術者にとって周知であり、使用可能なものである。これらの方法のうちの1つ以上は、(コ)オリゴマー化反応とは別個に実行することも可能であるが、少なくともいくつかを(コ)オリゴマー化反応と統合したほうが得策な場合もある。これの限定されない例は、触媒(または反応)蒸留を用いるプロセスであろう。また、2個以上の反応器、反応器間または最終反応器の後の触媒破壊システム、あるいは統合反応器/分離器/清浄器を含むプロセスも有利であろう。触媒成分、反応物質、不活性成分、および生成物はすべて、本発明において還流基準で使用可能なものであるが、これらの材料のうちの1種以上をリサイクルすれば経済的に得策なことが多い。例えば、触媒系の場合、触媒成分のうちの1種以上を再構成して活性触媒系を得る必要があるだろう。(コ)オリゴマー化生成物もまた反応物質(例えば、エチレンのオリゴマー化によって生成される1−ヘキセンを、その後のもう2つのエチレン単位とのコオリゴマー化反応によってデセン性生物に変換可能)として働くことができることも本発明の範囲内である。
【0102】
本発明の触媒系は、先行技術系のものよりさまざまな効果を提示することができる。一般に、触媒は、従来の工業用重合条件下で用いると合成しやすく、高活性で寿命も良好である。一般に、触媒は、均一の性質を有する狭分子量分布ポリマーの製造に有利な傾向のある単一サイト動作を示す。通常、本発明のバナジウム基触媒は超高分子量ポリマー製造能力を有する。
【0103】
更に、本発明の側面は、式Aを有する新規遷移金属化合物において、
【0104】
【化33】

【0105】
式中、Zは複素五員環基からなり、該複素五員環基は少なくとも1個の炭素原子と、少なくとも1個の窒素原子と、窒素、硫黄、および酸素から選択される少なくとももう1個のヘテロ原子とを含有し、前記環のうちの残りの原子は窒素と炭素から選択され、Mは周期表の第3〜11族の金属、またはランタニド金属であり、EとEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、DとDは、ドナー原子またはドナー基であり、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であることを特徴とする遷移金属化合物を提供する。
【0106】
Mは周期表の第3〜7族から選択されるのが好ましい。
【0107】
本発明の触媒の遷移金属錯体成分に対する上述の選好は、本発明の新規遷移金属化合物それ自体に等しく適用される。
【0108】
本発明による好ましい新規遷移金属化合物は式を有し、
【0109】
【化34】

【0110】
Zは具体的には式のイミダゾール含有基であり
【0111】
【化35】

【0112】
式中、R、R、R、R10、およびR11は独立して水素、または一価の(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、および(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基である。これらの定義された基は、好ましくは1〜30個、より好ましくは2〜20個、最も好ましくは2〜12個の炭素原子を含有している。好適な脂肪族炭化水素基の例としては、メチル、エチル、エチレニル、ブチル、へキシル、イソプロピル、およびt−ブチルが挙げられる。好適な脂環式炭化水素の例としては、アダマンチル、ノルボルニル、シクロペンチル、およびシクロへキシルが挙げられる。好適な芳香族炭化水素の例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナンスリル、およびアンスリルが挙げられる。好適なアルキル置換芳香族炭化水素の例としては、ベンジル、トリル、メシチル、2,6−ジイソプロピルフェニル、および2,4,6−トリイソプロピルが挙げられる。好適な複素環基の例としては、2−ピリジニル、3−ピリジニル、2−チオフェニル、2−フラニル、2−ピロリル、2−キノリニルが挙げられる。前記基R〜R11の複素環置換誘導体を形成する好適な置換基としては、例えば、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、ニトロ、アミノ、シアノ、エーテル、ヒドロキシルおよびシリル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ(つまり、−OC)、トリルオキシ(つまり、−OC(CH)、キシリルオキシ、メシチルオキシ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、チオメチル、チオフェニル、ならびにトリメチルシリルが挙げられる。前記基(i)〜(v)までの好適な複素環置換誘導体の例としては、2−クロロエチル、2−ブロモシクロヘキシル、2−ニトロフェニル、4−エトキシフェニル、4−クロロ−2−ピリジニル、4−ジメチルアミノフェニル、および4−メチルアミノフェニルが挙げられる。好適なヒドロカルビル置換異種原子基の例としては、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、ニトロ、アミノ、シアノ、エーテル、ヒドロキシルおよびシリル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ(つまり、−OC)、トリルオキシ(つまり、−OC(CH))、キシリルオキシ、メシチルオキシ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、チオメチル、チオフェニル、ならびにトリメチルシリルが挙げられる。置換基R〜R11はいずれも結合して環状構造を形成することができる。また、好適なR〜R11も、適宜フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、アミノ、シアノ、およびヒドロキシルのような無機基であってもよい。
【0113】
更に好適なイミダゾール含有基は、置換基Rを除去、例えば、Rが水素の場合には、脱プロトン化して形式モノアニオン性イミダゾール含有基を生成させることにより得られる。
【0114】
は、水素、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基であるか、または、Rを除去して形式モノアニオン性ベンズイミダゾール基を得るのが好ましい。R〜R11は、水素、脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であるのが好ましい。
【0115】
Mは、好ましくは周期表の第3〜11族から選択され、より好ましくはSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mnから選択され、最も好ましくはVおよびCrから選択される金属である。
【0116】
Eは二価の(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、および(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基から独立して選択される。好適な二価基Rの例としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、1,2−フェニレン、トランス−1,2−シクロペンタン、トランス−1,2−シクロへキサン、2,3−ブタン、1,1’−ビフェニル、1,1’−ビナフチル、および−Si(Me)−が挙げられる。Eは、脂肪族または芳香族炭化水素基であるのが好ましい。Eは、−CH−であるのがより好ましい。
【0117】
Dはドナー基、例えば、酸素、硫黄、アミン、イミン、またはホスフィンである。好ましくは、Dは酸素、硫黄、式−N(R12)−のアミン、または式−P(R13)−のホスフィンであり、式中、R12とR13は水素、または(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基、および(viii)更なるイミダゾール含有基である。代替として、R12またはR13は、例えば、それらが水素の場合には、脱プロトン化して形式モノアニオン成分を生成させて除去することも可能である。より好ましくは、上記で定義したように、Dは式−N(R12)−のアミンである。R12は、水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、または更なるイミダゾール含有基であるのが好ましい。
【0118】
Xはアニオン基であり、例えば、ハロゲン化物、好ましくは塩化物または臭化物であっても、あるいはヒドロカルビル基、例えば、メチル、ベンジル、またはフェニルであっても、あるいはカルボン酸塩、例えば、酢酸塩またはアセチルアセテートであっても、酸素であっても、アミド、例えば、ジエチルアミドであっても、アルコキシド、例えば、メトキシド、エトキシド、またはフェノキシドであってもよい。代替として、Xは、非配位アニオンであっても、弱配位アニオンであってもよく、例えば、テトラフルオロホウ酸塩、フッ化アリールボレート、またはトリフレートであってもよい。アニオン基Xは同一であっても相異なっていてもよく、独立してモノアニオン性であっても、ジアニオン性であっても、またはトリアニオン性であってもよい。
【0119】
Lは中性ドナー基であり、例えば、溶媒和分子、例えば、ジエチルエーテルまたはTHFであっても、アミン、例えば、ジエチルアミン、トリメチルアミン、またはピリジンであっても、ホスフィン、例えば、トリメチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンであっても、あるいはオレフィン、あるいは中性の共役または非共役ジエンであってもよく、任意でヒドロカルビル基またはトリメチルシリル基から選択される1個またはそれ以上の基と置換することが可能であり、また、前記L基は最大40個の炭素原子を有し、Mとのπ錯体を形成する。
【0120】
値yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数である。yの値は、ZとDの各基の形式電荷、アニオン基Xの電荷、そして金属の酸化状態によって異なる。例えば、Mが酸化状態+3のクロムである場合、Zは中性基となり、D基はどちらも中性基となる。また、Xがモノアニオン基(例えば、塩化物)である場合、yは3となり、Mが酸化状態+3のクロムである場合は、Zは中性基となり、1個のD基がモノアニオンとなり、もう1個のDが中性となり、すべてのX基がモノアニオン基(例えば、塩化物)である場合、yは2となる。
【0121】
以下の実施例を参照して、本発明を更に説明する。これらの実施例において、空気/湿分の影響を受けやすい材料のすべての取り扱いについては、標準のSchlenkライン技術、または不活性雰囲気グローブボックスを用いて、従来の真空/不活性雰囲気(窒素)ラインで行った。
【0122】
実施例1
N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン(L−1)の製造方法。
【0123】
【化36】

【0124】
30mlのエチレングリコールに4.00g(27.2nmol)のN−メチルイミノアセト酢酸と、5.99g(54.4nmol)のo−フェニレンジアミンとを溶かした混合物を190℃で4時間攪拌した。その間に生成された水を絶えず蒸留させておいた。反応の最後に、反応混合物を室温に冷却させ、150mlの水に注ぎ込んだ。得られたスラリーを30分間微細化し、濾過し、水(3x30ml)で洗浄し、60℃で48時間減圧乾燥させた。収量6.88g(87.0%).1H−NMR(核磁気共鳴)(250MHz,DMSO−d6),δ2.25(s,3H),3.90(s,4H),7.15(m,4H),7.47−4.58(m,4H),12.33(br.s,2H).微量分析,%:C17H17N5の計算値,:C70.10,H5.84,N24.05.実測値:C70.22,H6.05,N23.76。+CI−MS(m/z):[292].(+CI−MSは陽性化学イオン化質量分析法(Positive Chemical Ionisation Mass Spectroscopy)のことである)。
【0125】
実施例2
[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]トリクロロクロム(III)(Cr−1)の製造方法。
【0126】
【化37】

【0127】
10mLのTHFに0.50g(1.72mmol)/L−1と0.64g(1.72mmol)/CrC13(THF)3とを溶かしたスラリーを還流で5時間攪拌した。得られた緑色の固形物を濾過し、THF(3x10mL)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量0.71g(91.8%).微量分析,%:C17H17N5CrC13の計算値:C45.38,H3.78,N15.57.実測値C45.49,H3.71,N15.33.+FAB−MS(m/z):M−Cl413.μeff−=3.73BM.(THFはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)のことであり、+FAB−MSは高速原子衝撃質量分析法(Positive Fast Atom Bombardment Mass Spectroscopy))のことであり、μeff−は磁気モーメントのことである)。
【0128】
実施例3−11(表1)
Cr−1を用いたエチレンオリゴマー化/重合試験
このエチレンオリゴマー化/重合試験は、以下の手順で行った。
活性触媒溶液の調製法。触媒前駆体Cr−1の所要量(0.5〜5mg)を20〜100mlのトルエンに懸濁した後、共触媒(メチルアルモキサン−MAO,0.01〜8mmol)を加えた。こうして調製した溶液は、直ちに用いたり、何日もの間0℃で保存したりすることができる。
【0129】
エチレンオリゴマー化/重合。
エチレンオリゴマー化/重合反応はたいてい、ガス注入口や触媒注入口、機械攪拌機、デジタル体温計を備えた400mLの「Fischer−Porter」ガラス製反応器で行った。上述した1〜5mlの触媒溶液のアリコートを200〜300mlの溶媒(通常トルエン)および0.1〜5mmolの不純物除去剤(通常トリイソブチルアルミニウム−TIBALまたはMAO)が入った反応器に加えた。その後、反応器を所望の圧力でエチレンガス供給装置に接続すると、温度が所要の値となった。この反応を10〜120分間(通常60分)行った。その後、反応混合物をすぐに室温に冷却させ(必要に応じて)、エチレンを放出して反応を終了した。GC(ガスクロマトグラフィー)試料を常に抽出して分析し、C4−C40オレフィンの分子量分布を測定した。その後、反応内容物を400mlのメタノールと数滴の2M−HCLが入ったビーカーに注いだ。沈殿したポリマーを濾過し、メタノールで洗浄し、60℃で真空乾燥させた。
【0130】
【表1】

【0131】
注記
#1.MAOとは、メチルアルモキサンのことである。
#2.温度セットポイントとは、重合反応開始時における温度のことである。反応器内の温度は制御されていないため、重合反応中の熱の形成によりこのセットポイントは変わる。
#3.△Tは反応器内の温度と冷却槽内の温度との差異である。
#4.これは、室温でトルエンに溶解可能なエチレンオリゴマー成分のことである。
#5.室温でトルエンに溶解しないエチレンオリゴマー成分
#6.この活性は、可溶分と不溶分の合計に基づく。
【0132】
実施例11 10mlの1−ヘキセンの存在下において。
【0133】
実施例3、7、8、9、および11の可溶分に対するガスクロマトグラフィートレースを図面の図1、2、3、4、および5に示す。
Cr1により得られた可溶分の分子量分布については、Cn同族体のシュルツェフローリー型曲線と、Cn+2同族体の中間型(シュルツェフローリーポアソン)曲線の2つの分布曲線の組み合わせによって説明することができる。
不溶分は低分子量ポリエチレンから成る。例えば、実施例7で説明した不溶分(ポリエチレン)は、Mn=1298,Mw=3537、そしてPDI=2.62である。
【0134】
実施例12
N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−ベンジルアミン(L−2)の製造方法。
【0135】
【化38】

【0136】
30mlのエチレングリコールに4.00g(17.9mmol)のアセト酢酸N−ベンジルイミノと3.86g(35.8mmol)のo-フェニレンジアミンとを溶かした混合物を190℃で4時間攪拌した。その間に生成された水を絶えず蒸留させておいた。反応の最後に、反応混合物を室温に冷却させ、150mlの水に注ぎ込んだ。得られたスラリーを30分間微細化し、濾過し、水(3x30ml)で洗浄し、60℃で48時間減圧乾燥させた。収量4.94g(75.0%).1HNMR(250MHz,DMSO−d6),δ3.72(s,2H),3.92(s,4H),7.13〜7.57(m,13H),12.37(Br.s,2H).+CI−MS(m/z):[368].(+CI−MSは陽性化学イオン化質量分析法(Positive Chemical Ionisation Mass Spectroscopy)のことである)。
【0137】
実施例13
[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−ベンジルアミン]トリクロロクロム(III)(Cr−2)の製造方法。
【0138】
【化39】

【0139】
30mLのTHFに1.00g(2.82mmol)/L2と1.06g(2.82mmol)/CrCl3(THF)3とを溶かしたスラリーを還流で4時間攪拌した。得られた緑色の固形物を濾過し、THF(3x15mL)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量1.20g(82.9%).微量分析,%:C23H21N5CrCl3の計算値:C52.54,H4.03,N13.32.実測値C52.38,H3.97,N13.12.μeff−=3.63BM.(THFはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)のことであり、μeff−は磁気モーメントのことである)。
【0140】
実施例14
触媒Cr−2を用いたエチレンオリゴマー化/重合試験。結果を表に示す。
【0141】
【表2】

【0142】
実施例14の可溶分に対するGCトレースを図面の図6に示す。
【0143】
実施例15
N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)アミン(L−3)の製造方法。
【0144】
【化40】

【0145】
30mlのエチレングリコールに3.62g(27.2mmol)のアセト酢酸N−イミノと、4.40g(54.4mmol)のo−フェニレンジアミンとの混合物を190℃で4時間攪拌した。その間に生成された水を絶えず蒸留させておいた。反応の最後に、反応混合物を室温に冷却させ、150mlの水に注ぎ込んだ。得られたスラリーを30分間微細化し、濾過し、水(3x30ml)で洗浄し、60℃で48時間減圧乾燥させた。収量5.28g(70.0%).HNMR(250MHz,DMSO−d),δ3.40(br.s,1H),4.00(s,4H),7.14(m,4H),7.51(m,4H),12.41(br.s,2H).
[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)アミン]トリクロロクロム(III)(Cr−3)の製造方法。
【0146】
【化41】

【0147】
10mLのTHFに0.50g(1.81mmol)/L3と0.68g(1.81mmol)/CrCl(THF)とを溶かしたスラリーを還流で4時間攪拌した。得られた緑色の固形物を濾過し、THF(3x15mL)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量0.62g(79.1%)
【0148】
実施例16
Cr−3を用いたエチレンオリゴマー化/重合試験
【0149】
【表3】

【0150】
実施例16の可溶分に対するGCトレースを図面の図7に示す。
不溶分:Mn=807,Mw=1316,PDI=1.63
【0151】
実施例17
N−メチル−N,N−ビス[(1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル]アミン(L−4)の製造方法。
【0152】
【化42】

【0153】
1.00g(3.4mmol)のN,N−ビス[(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル]−N−メチルアミンと、0.33gのNaHと、30mlのTHFとの混合物を室温で30分間攪拌した。その後、MeI(0.43ml,6.8mmol)を加え、反応混合物を更に4時間攪拌した。120mlの水を加えると、オフホワイトの沈殿物が形成され、それを濾過し、濾過し、水で広い範囲を洗浄し、60℃で真空乾燥させた。収量0.81g(74.0%).HNMR(250MHz,CDCl),δ2.39(s,3H),3.67(s,6H),3.93(s,4H),7.24(m,6H),7.67(m,2H).
【0154】
実施例18
{N−メチル−N,N−ビス[(1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル]アミン}トリクロロクロム(III)(Cr−4)の製造方法。
【0155】
【化43】

【0156】
20mlのTHFに0.50g(1.56mmol)/L3と、0.59g(1.56mmol)/CrCl(THF)とを溶かしたスラリーを還流で4時間攪拌した。得られた緑色の固形物を濾過し、THF(3x10mL)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量0.64g(85.8%).微量分析,%:C1819CrClの計算値:C47.77,H4.43,N14.66.実測値C47.59,H4.40,N14.64.
【0157】
実施例19
Cr−4を用いたエチレンオリゴマー化/重合試験
【0158】
【表4】

【0159】
実施例19の可溶分に対するGCトレースを図面の図8に示す。
不溶分:Mn=684,Mw=999,PDI=1.46
【0160】
実施例20
N,N,N−トリス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)アミン(L5)
L.K.Thompsonら,Can J.Chem(Canadian Journal of Chemistry),55(1977),878の記載通りに調製した。H−NMR(250MHz,DMSO−d),δ4.01(s,6H),7.12(m,6H),7.49(m,6H),12.44(br.s,3H).
【0161】
{[N,N,N−トリス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)アミン]ジクロロクロム(III)}塩化物(Cr−5)の製造方法。
【0162】
【化44】

【0163】
A.E.Cencieros−Gomes,多面体,19(2000),1821の記載通りに調製した。+FAB−MS(m/z):531
Cr−5を用いたエチレンオリゴマー化/重合試験。この条件を表に示す。
【0164】
【表5】

【0165】
実施例20の可溶分に対するGCトレースを図9に示す。
不溶分:Mn=800,Mw=1200,PDI=1.50
【0166】
実施例21〜23
Cr−5を用いたエチレンオリゴマー化/重合試験
この条件を以下の表に示す。
【0167】
【表6】

【0168】
注記1:PMAO(ポリメチルアルモキサン)は、市販のメチルアルモキサンの本発明のトリメチルアルミニウムを減圧蒸留して除去し、その後、n−ヘプタンで洗浄することによって得られる。MMAO(修飾メチルアルモキサン)は、トリイソブタルアルミニウムを含有しており、へキサン溶液として市販されている。
実施例23:エチレン(1バール)およびプロピレン(2バール)の存在下において。
実施例21の可溶分に対するGC曲線は、図10に、実施例22については図11に、実施例23については図12に示してある。
【0169】
実施例24
[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]ジクロロテトラヒドロフラン−クロム(III)ヘキサフルオロアンチモネート(Cr−6)の製造方法。
【0170】
【化45】

【0171】
50mlのTHFに銀ヘキサフルオロアンチモネート(0.62g,1.82mmol)[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]トリクロロクロム(III)(Cr1)(0.50g,1.11mmol)を溶かしたスラリーを室温で48時間攪拌した。この溶液を濾過して溶媒を減圧除去させた。収量0.33g(53.0%).+FAB−MS(m/z):[413].−FAB−MS(m/z):[237].
【0172】
実施例25
Cr−6を用いたエチレンオリゴマー化/重合試験
【0173】
【表7】

【0174】
実施例26
[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]−2,4−ペンタンジオネートジクロロ−クロム(III)ヘキサフルオロアンチモネート(Cr−7)の製造方法。
【0175】
【化46】

【0176】
THFに銀アセチルアセトナト(0.11g,0.55mmol)と[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]ジクロロテトラヒドロフラン−クロム(III)ヘキサフルオロアンチモネート(Cr6)(0.40g,0.55mmol)を溶解し、室温で48時間攪拌した。濾過後、溶媒を除去し、残渣をジクロロメタンに再度溶解し、濾過してペンタン層にし、X線回折に好適な結晶を得た。収量0.32g(82.0%).微量分析,%:C2223ClCrFSbの計算値:C37.0,H3.23,N9.83.実測値:C36.68,H3.36,N9.57.+FAB−MS(m/z):[477].−FAB−MS(m/z):[235].(−FABMSとは、負高速原子衝撃質量分析法(Negative Fast Atom Bombardment Mass Spectroscopy)のことである)。
錯体Cr−7の分子構造を図面の図13に示す。
【0177】
実施例27
触媒錯体Cr−7を用いたエチレンオリゴマー化/重合試験
【0178】
【表8】

【0179】
実施例28
2−アミノ−3,6−ジブロモフェニルアミンの製造方法
【0180】
【化47】

【0181】
500mlのエタノールに4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(K.Pilgram,J.Heterocycl.Chem.,7(1970),629)(16.0g,54.4mmol)の記載通りに合成した)と、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)(38.1g,1.0mol)とを溶かした混合物を室温で30時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を500mlの水と混合した。得られた混合物をジエチルエーテル(5x150ml)中に抽出した。混合抽出物をブライン(2x100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)によって乾燥させた。溶媒の蒸発および減圧乾燥により、11.5g(79.5%)の生成物を得た。
【0182】
実施例29
1,1’:4’ ,1”−テルフェニル−2’,3’−ジアミン
【0183】
【化48】

【0184】
135mlの脱気ベンゼンに3.60g(13.5mmol)の2−アミノ−3,6−ジブロモフェニルアミンを溶かした溶液に対して、30mlのエタノールに4.95g(40.6mmol)フェニルボロン酸を溶かした溶液を加え、その後、54mlの2M NaCO(aq)と1.89g(1.62mmol)の固体パラジウム(PPhとを加えた。濃紺の反応混合物を24時間還流させ、室温に冷却した。水層をデカントし、20mlの酢酸エチルで二度洗浄した。混合有機層を水(2x50ml)で洗浄し、無水NaSOにより乾燥させ、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO(石英),20%EtOAc(酢酸エチル)/80%n−へキサン)で精製した。収量1.6g(45.4%).H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:3.63(br.S.4H),6.81(s,2H),7.39(m,2H),7.50(m,8H).
【0185】
実施例30
1−(4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エタノールの製造方法
【0186】
【化49】

【0187】
1.25g(4.8mmol)の1,1’:4’1”−テルフェニル−2’,3’−ジアミンと、0.75ml(8.6mmol)の85%乳酸水溶液と、4.8mlの4N−HCLを還流で6時間攪拌し、その後、揮発性材料を1時間以上蒸発させた。油性の残渣を140℃に加熱し、15分間攪拌した。室温に冷却した後、10mlの水を加え、その混合物を30分間微細化した。濃縮物NHOH(水酸化アンモニウム)をpH7.5〜8のものに加え、次いで、濾過し、水(4x10ml)で洗浄し、60℃で真空乾燥させ、1.25g(82.8%)の所望の生成物を得た。H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:1.58(d.JHH=6.7Hz,3H),3.64(br.s,1H),5.07(q,1H),7.37〜7.76(m,12H),9.53(br.s,1H).
【0188】
実施例31
1−(4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エタノンの製造方法
【0189】
【化50】

【0190】
8.5mlの40%HSOに1.38g(4.7mmol)の二クロム酸カリウムを溶かした溶液を、15mlの5%HSOに1.10g(3.5mmol)の1−(4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エタノールを溶かした攪拌懸濁液に液状添加した。スラリーを90℃で10時間攪拌し、室温に冷却し、7mlの濃縮物NHOHで処理した。残渣を濾過し、水(5x10ml)で洗浄し、アセトン(10x30ml)で抽出した。混合抽出物を0.5cmのシリカ層に徐々に染み透らせ、濾液を蒸発させた。残渣を酢酸エチル/シクロへキサンから再結晶させた。収量:0.57g(52.1%).H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:2.83(s,3H),7.44〜7.64(m,10H),8.14(d,7.6Hz,2H),10.22(br.s).
【0191】
実施例32
N−[(1E)−1−(4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]−N−(2,6−イソプロピルフェニル)−アミンの製造方法
【0192】
【化51】

【0193】
0.25g(0.8nmol)の1−(4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エタノンと、0.6mlのジイソプロピルアニリンと、1滴の氷酢酸との混合物を150℃で4時間攪拌した。未反応アニリンを150℃で減圧除去し、残渣油を室温に冷却させ、5mlのペンタンにより室温で20分間微細化した。その後、得られた混合物を−20℃に冷却させ、さらに5分間微細化し、冷却しながら濾過した。固形物を冷(−5℃)ペンタン(2x2ml)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量:0.28g(74.2%).微量分析,%:C3333の計算値:C84.08,H7.26,N8.65.実測値:C84.10,H7.14,N8.71.H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:1.15(dd.JHH=3.1Hz,JHH=7.1Hz,12H),2.36(s,3H),2.76(m,2H),7.17(m,3H),7.53(m,8H),7.72(dd.JHH=1.5Hz,JHH=6.9Hz,2H),8.20(dd.JHH=1.2Hz,JHH=7.0Hz,2H),10.42(br.s 1H).
【0194】
実施例33
N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N−[(1E)−1−(1−メチル−4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]アミン(L−6)の製造方法
【0195】
【化52】

【0196】
4mlの無水DMFに0.25g(0.53mmol)のN−[(1E)−1−(4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]−N−(2,6−イソプロピルフェニル)−アミンと、0.41g(3.0mmol)の無水KCOと、0.08g(0.56mmol)のMeIとを溶かした混合物を室温で10時間攪拌した。その後、反応混合物を50mlの水に注ぎ、10分間攪拌して酢酸エチル(3x30ml)で抽出した。この混合抽出物を水(3x15ml)で洗浄し、無水NaSOにより乾燥させた。溶媒を蒸発させると黄色のオイルが生じ、これを5mlのメタノールにより−78℃で微細化し、冷(−78℃)メタノール(2x2ml)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量:0.16g(62.2%).H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:1.14(dd.JHH=7.0Hz,JHH=15.0Hz,12H),2.38(s,3H),2.75(m,2H),3.87(s,3H),7.14(m,3H),7.29(d,7.6Hz,1H),7.53(m,9H),7.72(dd,JHH=1.5Hz,JHH=6.9Hz,2H),8.19(dd,JHH=1.2Hz,JHH=7.1Hz,2H).
【0197】
実施例34
{N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N−[(1E)−1−(1−メチル−4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]アミン}ジブロモニッケル(II)(Ni−1)の製造方法
【0198】
【化53】

【0199】
5mlのジクロロメタン(DCM)に0.07g(0.14mmol)のN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N−[(1E)−1−(1−メチル−4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]アミンと、ジブロモニッケルジメトキシエタン錯体(0.04g(0.14mmol))とを溶かしたスラリーを室温で24時間攪拌した。固形物を濾過し、DCM(3x5ml)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量0.09g(88.7%).Ni1の結晶構造を図14に示す。
【0200】
実施例35
Ni−1を用いたエチレン重合試験
【0201】
【表9】

【0202】
実施例36
1−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エタノンの製造方法
J.Kollonicsch,米国特許第3,320273号/16.5.1967.の記載通り。
【0203】
【化54】

【0204】
200mlの5%HSOに溶かした16.2g(0.1mol)の1−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エタノール溶液(A.Katrizkyら,非対称四面体,8(1997),1491)の記載通りに合成した)を、40%硫酸に溶かした39.6g(75.5mol)の二クロム酸カリウム溶液で処理した。反応混合物を室温で18時間攪拌し、190mlの濃縮物NHOHで中和させた。形成された沈殿物を濾過し、700mlの水で洗浄し、700mlの96%エタノールで抽出した。溶媒をおよそ50〜80mlに蒸発させ、形成された懸濁液を−40℃に冷却し、冷却させながら10分間攪拌し、濾過した。固形物を2x10mlの冷エタノールで洗浄し、減圧乾燥させた。収量:9.3g(58.1%).H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:2.84(s,3H),7.38(m,2H),7.56(d,JHH=7.3Hz,1H),7.89(d,JHH=7.6Hz,1H),11.08(br.s 1H).
【0205】
実施例37
N−[(1E)−1−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]−N−1,1’:3’1”−テルフェニル−2’−イルアミンの製造方法
M.Aliら,Z Natuforsch.B.Anor.Chem.Org.Chem.,31(1976),254に記載されている方法と同様。
【0206】
【化55】

【0207】
0.8g(3.26mmol)の1−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エタノンと、0.52g(3.26mmol)の2,6−ジフェニルアニリンと、0.45g(3.75mmol)のテトラエチルオルソシリケート[(EtO)Sと、1滴の濃縮硫酸との混合物を140℃で16時間攪拌した。揮発性材料を蒸発させ、残渣を室温に冷却し、5〜6mlのメタノールを加えた。沈殿物を濾過し、5mlの冷メタノールで洗浄し、20mlのジクロロメタン中に抽出した。抽出物を濾過し、濾液を蒸発させて1.2g(76.3%)の所望の生成物を得た。微量分析,%:C2721の計算値:C83.69,H5.46,N10.84.実測値:C83.79,H5.52,N10.68.H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:1.97(s.3H),2.74(m,2H),7.22(m,8H),7.36(m,8H),7.75(JHH=7.3Hz,1H),10.0(br.s,1H).
【0208】
実施例38
N−[(1E)−1−(1−ベンジル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]−N−1,1’:3’1”−テルフェニル−2’−イルアミン(L−7)の製造方法
【0209】
【化56】

【0210】
4mlの無水DMFに0.70g(1.87mmol)のN−[(1E)−1−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]−N−1,1’:3’1”−テルフェニル−2’−イルアミンと、1.42g(10.3mmol)の無水KCOと、0.35g(2.06mmol)の臭化ベンジルとを溶かした混合物を室温で10時間攪拌した。反応混合物を80mlの水に注ぎ、10分間攪拌して酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。この混合抽出物を水(3x25ml)で洗浄し、無水NaSOにより乾燥させた。溶媒を蒸発させると黄色のオイルが生じ、これを5mlのメタノールにより−78℃で微細化し、冷(−78℃)メタノール(2x2ml)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量:0.56g(66.2%).H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:2.07(s,3H),5.51(m,2H),6.90(m,2H),7.22(m,19H),7.78(m,1H).
【0211】
実施例39
{N−[(1E)−1−(1−ベンジル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]−N−1,1’:3’1”−テルフェニル}−2’−イルアミン}ジブロモニッケル(II)(Ni−2)の製造方法
【0212】
【化57】

【0213】
20mlのジクロロメタン(DCM)に0.30g(1.65mmol)のN−[(1E)−1−(1−ベンジル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチリデン]−N−1,1’:3’1”−テルフェニル−2’−イルアミンと、臭化ニッケルジメトキシエタン錯体(0.19g,0.65mmol)とを溶かしたスラリーを室温で24時間攪拌した。その固形物を濾過し、DCM(3x10ml)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量0.40g(90.2%)
【0214】
実施例40〜42
Ni−2を用いたエチレンオリゴマー化試験−以下の表を参照
【0215】
【表10】

【0216】
実施例40〜42−オリゴマー分析
【0217】
【表11】

【0218】
実施例43
4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−カルバルデヒドの製造方法
【0219】
【化58】

【0220】
11.1ml(27.72mmol)のn−BuLi(2.5M in hexanes)の溶液を、110mlのTHFに溶かした3.4g(13.2mmol)の1,1’:4’1”−1−テルフェニル−2’,3’−ジアミンの−78℃に冷却した溶液に液状添加した。その後、反応混合物を−78℃で1時間攪拌し、2.4ml(13.5mmol)の乾燥エチルジエトキシアセテートを1分以上液状添加した。その後、この溶液を78℃で30分間攪拌し、室温をゆっくりとウォームアップし、更に30分間攪拌して還流で2時間加熱した。還流時に、白の沈殿物(LiOH)が形成されたのが認められた。室温に冷却し、60mlの水を加えた後、反応混合物を注意深く5N酢酸の添加で中和させた。その後、ジエチルエーテル(200ml)を加え、生成された二相混合物を激しく攪拌し、有機層を分離した。それを水(3x100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させた。溶媒を蒸発させると、黄褐色のオイルが生じた。これを15mlのTHFに溶解し、60mlの4N−HCLを加えた。得られた混合物を還流で2時間攪拌し、室温に冷却し、120mlの氷水を加えた。得られた混合物を〜0℃で10分間激しく攪拌し、そして固形物を70mlの水で懸濁し、10%炭酸ナトリウム水溶液で中和した。固形物を再度濾過し、水で洗浄し、室温で減圧乾燥させた。収量:2.85g(72.4%).H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:7.54(m,10H),8.03(br.s,2H),10.06(s,1H),10.31(br.s,1H).
【0221】
実施例44
1−メチル−4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−カルバルデヒドの製造方法
【0222】
【化59】

【0223】
30mlの無水DMFに3.33g(11.07mmol)の4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−カルバルデヒドと、8.60g(62.0mmol)の無水KCOと、1.1ml(11.07mmol)の硫酸ジメチルとを溶かした混合物を室温で30分間攪拌した。その後、反応混合物を300mlの水に注ぎ、10分間攪拌してジクロロメタン(3x100ml)で抽出した。この混合抽出物を水(3x50ml)で洗浄し、無水NaSOにより乾燥させた。溶媒を蒸発させると黄色のオイルが生じ、これを20mlのメタノールにより0℃で微細化し、冷却しながら濾過し、冷(0℃)メタノール(2x10ml)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量:3.1g(89.6%).H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:3.74(s,3H),7.47(m,10H),8.04(d,JHH=7.8Hz,2H),10.1(s,1H).
【0224】
実施例45
N−(2,4−ジメトキシベンジル)−N−[(1E)−(1−メチル−4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチレン]アミン(L8)の製造方法
【0225】
【化60】

【0226】
8mlのメタノールに0.1g(0.32mmol)の1−メチル−4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−カルバルデヒドと、55mg(0.32mmol)の2,4−ジメトキシベンジルアミンと、1滴の氷酢酸とを溶かした混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を−20℃に冷却させ、冷却しながら濾過した。固形物を冷(−20℃)メタノール(2x1ml)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量:0.12g(81.1%).H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:3.76(s,3H),3.80(s,6H),4.81(s,2H),6.46(m,2H),7.14(d,JHH=8.8Hz,1H),7.25(d,JHH=7.6Hz,1H),7.46(m,9H),8.02(d,JHH=7.0Hz,2H),8.61(s,1H).
【0227】
実施例46
{N−(2,4−ジメトキシベンジル)−N−[(1E)−(1−メチル−4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチレン]アミン}トリクロロクロム(III)(Cr−8)の製造方法
【0228】
【化61】

【0229】
5mlのTHFに47mg(0.1mmol)のN−(2,4−ジメトキシベンジル)−N−[(1E)−(1−メチル−4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチレン]アミンと、36mg(0.1mmol)のトリス(テトラヒドロフラン)三塩化クロムとを溶かした溶液を室温で24時間攪拌した。反応混合物の量をおよそ1mlに減らし、10mlのn−ペンタンを加えた。形成された沈殿物を濾過し、ペンタン(2x2ml)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量:44mg(72.0%)
【0230】
実施例47
Cr−8を用いたエチレン重合試験
【0231】
【表12】

【0232】
実施例47−ポリマーの特性
【0233】
【表13】

【0234】
実施例48
[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]トリクロロバナジウム(III)(V−1)の製造方法
【0235】
【化62】

【0236】
120mlのTHFに12.00g(41.2mmol)のL−1と15.4g(41.2mmol)のVCl(THF)とを溶かしたスラリーを還流で30分間攪拌した。その後、反応混合物を室温に冷却させ、更に4時間攪拌した。得られた黄緑色の固形物を濾過し、THF(4x70mL)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量17.8g(96.2%).微量分析,%:C1717VClの計算値:C45.51,H3.82,N15.61.実測値C45.39,H3.62,N15.41.FT−IR(KBr):3244,1596,1210,1049,1003,982,944,752,701,653,621,518,475,455,432,416.μeff.=2.89BM.
【0237】
実施例48〜61
V−1を用いたエチレン単独重合
実施例3〜11に記載のものと同じ手順で、エチレン単独重合試験を行った。
【0238】
活性触媒溶液:
触媒前駆体の所要量V−1(0.5〜5mg)を20〜100mlのトルエンで懸濁し、続いて共触媒(DEAC−diethyl aluminium chlorideまたはDMAC−diethylaluminium chloride0.1〜10mmol)を加えた。こうして調製した溶液はその場で使用することも、何日間も0℃で保存することも可能である。
【0239】
エチレン重合:
エチレン重合反応は、ガス注入口や触媒注入口、機械攪拌機、デジタル体温計を備えた400mLの「Fischer−Porter」ガラス製反応器(FPR)、または反応温度やエチレン圧力、エチレンの流量を制御する統合システムを備えた1Lステンレス製反応器(SSR)で行った。上述した触媒溶液の1〜5mlのアリコートを200〜300(FPR)または400〜800(SSR)mlの溶媒(通常トルエン、n−へキサン、n−ヘプタン、またはイソブタン)、0.1〜2mmolの不純物除去剤(通常、DMAC)、および10〜60μmolの再賦活薬(通常、トリクロロ酢酸エチル−ETAまたはクロロフォルムとして別の塩素化合物)が入った反応器に注入した。その後、反応器を所望の圧力でエチレンガス供給装置に接続するとすぐに、温度が所要の値となった。この反応を10〜120分間行った(通常60分間)。その後、反応混合物を室温に冷却させ(必要に応じて)、エチレンを放出して反応を終了した。トルエンを重合媒体として使用した場合には、反応内容物を400mlのエタノールと数滴の2M−HCLが入ったビーカーに注いだ。ポリマーを濾過し、メタノールで洗浄し(必要に応じて)、60℃で真空乾燥させた。
【0240】
表V−1H.トルエンの重合.Fisher−Porterガラス製反応器.
【0241】
【表14】

【0242】
ポリマーの特性

【0243】
注記1−MeAlCl=塩化ジメチルアルミニウム−DMAC
実験51:EtAlCl(塩化ジエチルアルミニウム−DEAC)、触媒として使用される。
実験53〜61:表示されているMe2AlClの量は、不純物除去剤(0.5mmol)を含む。
注記2−ECA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
注記3−重合反応中、制御されないでいる温度。温度変化は、重合反応中の熱形成によるものである。
【0244】
実施例62〜69
V−1を用いたエチレン共重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン共重合試験を行った。コモノマーの所要量は重合反応器にあらかじめロードしておいた。
【0245】
表V−1C.トルエンの重合.Fisher−Porterガラス製反応器.
【0246】
【表15】

【0247】
ポリマーの特性
【0248】
【表16】

【0249】
注記1
ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
注記2
=プロペン;1−H=1−へキサン;NB=ノルボルネン(2,2,1−ビシクロヘプト−2−エン)
注記3−重合反応中に制御されないでいる温度。温度の変化は、重合反応中の熱形成によるものである。
【0250】
実施例70
[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]ジプロポキシオキソバナジウム(V)(V−2)
【0251】
【化63】

【0252】
10mlのTHFに溶かした0.42g(1.72mmol)のトリプロポキシオキソバナジウム(V)の−78℃に冷却した溶液を、20mlのTHFに溶かした[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]の冷(−78℃)スラリーに加えた。得られた混合物を室温にウォームアップさせ、30分間攪拌した。橙赤色の溶液を不溶性物質(配位子)を残らず除去するように濾過し、濾液をおよそ5mlに蒸発させた。50mlのペンタンを加えたところ、オレンジ色の固形物が形成され、これを濾過し、2x5mlのペンタンで洗浄し、減圧乾燥させた。収量:0.72g(88.0%).微量分析,%:C2330Vの計算値:C58.10,H6.36,N14.73.実測値:C57.93,H6.26,N14.77.H−NMR(250MHz,D−DCM),δ:0.85(t,JHH=14.7Hz,6H),1.62(m,4H),2.85(s,3H),3.08(d,JHH=15.9Hz,2H),4.02(d,JHH=16.2Hz,2H),4.88(dt,JHH=13.4Hz,JHH=11.6Hz,2H)5.34(dt.JHH=12.5Hz,JHH=11.3Hz,2H),7.14(m,4H),7.42(m,2H),8.05(m,2H)。51V−NMR[131MHz,V(O)Cl,d−DCM],δ,ppm:−560.2.
V−2の結晶構造を図15に示す。
【0253】
実施例71〜77
V−2を用いたエチレン単独重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン単重合試験を行った。
【0254】
表V−2H−FP.トルエンの重合.Fisher−Porterガラス製反応器.
【0255】
【表17】

【0256】
注記1:実施例72−2時間ねかせた活性触媒溶液;実施例73−7時間ねかせた活性触媒溶液;実施例74−27時間ねかせた活性触媒溶液
注記2:ECA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
注記3:重合反応中、制御されないでいる温度。温度の変化は、重合反応中の熱形成によるものである。
【0257】
ポリマーの特性
【0258】
【表18】

【0259】
表V−2H−SS.ヘプタンの重合.ステンレス反応器.
【0260】
【表19】

【0261】
注記1:MeAlCl=塩化ジメチルアルミニウム−DMAC;表に示したMeAlClの量には、不純物除去剤の量(0.5mmol)も含む。
注記2:ECA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
【0262】
ポリマーの特性実施例
【0263】
【表20】

【0264】
図16および17は、それぞれ実施例77および78の時間関数としてエチレンの吸収量を示している。
【0265】
実施例78〜81
V−2を用いたエチレン共重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン共重合試験を行った。コモノマーの所要量を重合反応器にあらかじめロードしておいた。
【0266】
表V−2C−FP.トルエンの重合.Fisher−Porterグラス製反応器.
【0267】
【表21】

【0268】
注記1:ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
注記2:NB=ノルボルネン(2,2,1−ビシクロヘプト−2−エン);1,9DD=1,9−デカジエン;EDE=8−エチルテトラシクロ−[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
【0269】
【化64】

【0270】
ポリマーの特性
【0271】
【表22】

【0272】
実施例86
N−(2,4−ジメトキシベンジル)−N−[(1E)−(4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチレン]−アミン(L−9)の製造方法
【0273】
【化65】

【0274】
3mlのメタノールに0.11g(0.37mmol)の4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−カルバルデヒドと、56mgの2,4−ジメトキシベンジルアミンとを溶かした混合物を室温で5時間攪拌した。黄色の沈殿物を濾過し、冷(−20℃)メタノール(3x1ml)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量:0.1g(60.1%)
【0275】
実施例87
{N−(2,4−ジメトキシベンジル)−N−[(1E)−(4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチレン]−アミン}トリクロロバナジウム(III)(V−3)の製造方法
【0276】
【化66】

【0277】
5〜6mlのTHFに81mg(0.2mmol)のN−(2,4−ジメトキシベンジル)−N−[(1E)−(4,7−ジフェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチレン]アミンと、64mg(0.2mmol)の三塩化トリス(テトラヒドロフラン)バナジウムとを溶かした溶液を、還流で10分間加熱して冷まし、室温で18時間攪拌した。得られたスラリーを50mlのペンタンと混合し、形成された沈殿物を濾過し、ペンタン(2x2ml)で洗浄して減圧乾燥させた。収量:75mg(68.9%)
【0278】
実施例88〜90
V−3を用いた単独重合および共重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン共重合試験を行った。コモノマーの所要量を重合反応器にあらかじめロードしておいた。
【0279】
表V−3HC−FP.トルエンの重合.Fisher−Porterガラス製反応器.
【0280】
【表23】

【0281】
注記1 ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
注記2 NB=ノルボルネン(2,2,1−ビシクロヘプト−2−エン);1H=1−へキサン
【0282】
ポリマーの特性
【0283】
【表24】

【0284】
実施例91
N−[(1E)−1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチレン]−N−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]アミン(L−10)の製造方法
【0285】
【化67】

【0286】
10mlのメタノールに1.1g(7.5mmol)の1H−ベンズイミダゾール−2−カルバルデヒド(フッ素化合物)と、1.3g(7.5mmol)の2−トリフルオロメチルベンジルアミンと、1滴の氷酢酸とを溶かした混合物を室温で72時間攪拌した。得られた黄色の溶液をおよそ2〜3mlに蒸発させ、−40℃に冷却し、形成された固形物を濾過した。それをメタノールと水との混合物(1/2)で洗浄し、減圧乾燥させた。収量:1.96g(86.4%).H−NMR(250MHz,D−DCM),δ:5.03(s,2H),7.28〜7.69(m,8H),8.46(s,1H).
【0287】
実施例92
{N−[(1E)−1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチレン]−N−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]アミン}テトラヒドラフラノトリクロロバナジウム(III)(V−4)の製造方法
【0288】
【化68】

【0289】
40mlのTHFに0.40g(1.3mmol)のN−[(1E)−1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチレン]−N−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]アミンと、0.52g(1.3mmol)の三塩化トリス(テトラヒドロフラン)バナジウムとを溶かした混合物を室温で3時間攪拌した。その後、反応混合物の量をおよそ10mlに減らし、70mlのペンタンを加えた。形成された沈殿物を濾過し、3x5mlのペンタンで洗浄し、減圧乾燥させた。収量:0.62g(89.6%)
【0290】
実施例93〜94
V−4を用いたエチレン単独重合および共重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン共重合試験を行った。コモノマーの所要量を重合反応器にあらかじめロードしておいた。
【0291】
表V−4HCT−FP.トルエンの重合.Fisher−Porterガラス製反応器.
【0292】
【表25】

【0293】
注記1 ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
注記2 NB=ノルボルネン(2,2,1−ビシクロヘプト−2−エン)
【0294】
【表26】

【0295】
実施例96
{N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−ベンジルアミン}トリクロロバナジウム(III)(V−5)の製造方法
【0296】
【化69】

【0297】
実施例48と同様に、1.0g(2.7mmol)のN,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−ベンジルアミンと、1.0g(2.8mmol)の三塩化トリス(テトラヒドロフラン)バナジウムと、40mlのTHFからの[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−ベンジルアミン]−トリクロロバナジウム(III)(V−1)の製造方法。収量1.40g(97.5%).微量分析,%:C2321ClV:C52.64,H4.0.3,N13.35.実測値:C52.50,H4.14,N13.15.μeff.=2.89BM.
【0298】
実施例97
V−5を用いたエチレン単独重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン重合試験を行った。
【0299】
表V−5H−FP.トルエンの重合.Fisher Porterガラス製反応器.
【0300】
【表27】

【0301】
注記1 ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
【0302】
ポリマーの特性
【0303】
【表28】

【0304】
実施例98
{N−メチル−N,N−ビス[(1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル]アミン)トリクロロバナジウム(III)(V−6)の製造方法
【0305】
【化70】

【0306】
実施例18と同様に、0.3g(0.94mmol)のN−メチル−N,N−ビス[(1−メチル−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル)]アミンと、0.35g(0.94mmol)の三塩化トリス(テトラヒドロフラン)バナジウムと、20mlのTHFからの{N−メチル−N,N−ビス[(1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル]−アミン}トリクロロクロム(III)。収量0.30g(67.0%).微量分析,%:C1921ClV:C47.87,H4.44,N14.69.実測値:C47.62,H4.46,N14.56.
【0307】
実施例99
V−6を用いたエチレン単独重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン重合試験を行った。
【0308】
表V−6H−FP.トルエンの重合.Fisher Porterガラス製反応器.
【0309】
【表29】

注記1 ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
【0310】
ポリマーの特性
【0311】
【表30】

【0312】
実施例100
[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−ベンジルアミン]ジプロポキシオキソバナジウム(V)(V−7)の製造方法
【0313】
【化71】

【0314】
30mlのTHFに溶かした1.65g(6.8mmol)のトリプロポキシオキソバナジウム(V)の−78℃に冷却した溶液を、30mlのTHFに[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−ベンジルアミン](2.50g,6.8mmol)を溶かした冷(−78℃)スラリーに加えた。得られた混合物を室温にウォームアップさせ、30分間攪拌した。濾液をおよそ10mlに蒸発させた。形成されたオレンジ色の沈殿物を濾過し、2x10mlのペンタンで洗浄し、減圧乾燥させた。収量:1.1g(29.20%).H−NMR(250MHz,D−DCM),δ:0.91(t,JHH=14.9Hz,6H),1.69(m,4H),2.93(d,JHH=15.5Hz,2H),4.25(d,JHH=15.6Hz,2H),4.52(s,2H),4.98(m,2H)5.41(m,2H),7.01(m,11H),7.94(d,JHH=7.9Hz,2H),8.05.
【0315】
実施例101
V−7を用いたエチレン単独重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン重合試験を行った。
【0316】
表V−7H−SS.へプタンの重合.ステンレス製反応器
【0317】
【表31】

【0318】
注記1 ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
【0319】
実施例102
シリカ担持触媒V−2(V−2−SiO2)の製造方法
150mlのトルエンに250℃で5時間焼成した15gのシリカ948を溶かしたスラリーに、100mlのトルエンに溶解した15mgの[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]ジプロポキシオキソバナジウム(V)(実施例70)の溶液を加えた。スラリーを室温で30分間攪拌し、濾過し、ペンタン(3x100ml)で洗浄し、40℃で真空乾燥させた。こうして調製した固形触媒は、2.1μmolのV/SiOを含有する。
【0320】
実施例103
V−2−SiO2を用いたエチレン単独重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン重合試験を行った。固形触媒を予約活性し、カニューレを通して反応器に移入した。
【0321】
表V−2−SiO2H−FP.トルエンの重合.Fisher Porterガラス製反応器.
【0322】
【表32】

【0323】
注記1 ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
【0324】
実施例104
N,N,N−トリス[1−ヘキシル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]メチル]アミンの製造方法
【0325】
【化72】

【0326】
2g(4.9mmol)のN,N,N−トリス[1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル]アミンと、10gの無水KCOと、20mlのDMFと、3.1g(14.7mmol)のn−ヨウ化ヘキシルとの混合物を室温で48時間攪拌した。200mlの量の水を加え、得られた混合物を30分間激しく攪拌した。形成された沈殿物を濾過し、過剰の水で洗浄し、60℃で減圧乾燥させた。n−ヘプタンから再結晶させると2g(62%)の生成物が得られた。1H−NMR(250MHz,CDCl),δ,ppm:0.44(m,6H),0.73(t,9H),0.82(m,6H),0.97(m,6H),1.14(m,6H),3.42(t,6H),4.22(s,6H),7.22(m,9H),7.74(m,3H).
【0327】
実施例105
{N,N,N−トリス[1−ヘキシル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]メチル]アミン}ジクロロクロム(III)クロリド(Cr−9)
CrCl.3THFとN,N,N−トリス[1−ヘキシル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]メチル]アミンとからの{[N,N,N−トリス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)アミン]ジクロロクロム(III)}−クロリドと同様。
収量:54%
【0328】
実施例106
触媒Cr−9を用いたエチレンオリゴマー化/重合試験
【0329】
【表33】

【0330】
ポリマーの特性
【0331】
【表34】

【0332】
実施例107
N,N−ビス[(1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル]アミンの製造方法
【0333】
【化73】

【0334】
20〜30mlのエチレンジオールに2.7g(20.3mmol)のメチルイミノ二酢酸と、5.0g(40.6mmol)のN−メチル−o−フェニレンジアミンとを溶かした混合物を190℃で4時間攪拌した。室温に冷却した後、反応混合物を100〜120mlの水と混合し、15分間攪拌した。固形物を濾過し、水(3x20ml)で洗浄し、60℃で減圧乾燥させた。収量:3.5g(56%).化合物はメタノールと水との混合物から再結晶させることができる。
【0335】
実施例108
{N,N−ビス[(1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル]アミン}トリクロロクロム(III)(Cr−10)
【0336】
【化74】

【0337】
0.5g(1.64mmol)のN,N−ビス[(1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル]アミンと、0.61g(1.64mmol)のCrCl.3THFと、20mlのTHFとからの[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]トリクロロクロム(III)(Cr−1)と同様。収量:0.39g(51%)
【0338】
実施例109
Cr−10を用いて試みたエチレンオリゴマー化/重合試験
【0339】
【表35】

【0340】
実施例110
[N,N−ビス[(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−ベンジルアミン]二塩化マンガン(Mn−1)
【0341】
【化75】

【0342】
0.50g(1.41mmol)のN,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−ベンジルアミンと、0.18g(1.41mmol)のMnClとの混合物を10mlの還流DCMで10分間攪拌した。その後、反応混合物を室温に冷却し、更に4時間攪拌した。ペールピンクの沈殿物を濾過し、2x5mlのDCMで洗浄し、減圧乾燥させた。収量0.48g(69%)
【0343】
実施例111〜112
Mn−1を用いて試みたエチレンオリゴマー化/重合試験
【0344】
【表36】

【0345】
注記1
TIBAL=トリイソブチルアルミニウム
【0346】
実施例113
2−{[(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)チオ]メチル}−1H−ベンズイミダゾール
【0347】
【化76】

【0348】
40mlの4N−HCLに4.1g(27.3mmol)のチオ二酢酸と、4.9g(27.3mmol)のo−フェニレンジアミンとを溶かした溶液を還流で4時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮物NHOHで中和した。形成された沈殿物を濾過し、水(3x40ml)で洗浄し、真空乾燥させた。収量:2.4g(25.2%)
【0349】
実施例114
2−{[(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)チオ]メチル}−1H−ベンズイミダゾール}トリクロロクロム(III)(Cr−11)
【0350】
【化77】

【0351】
0.25g(0.85mmol)の2−{[(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)チオ]メチル}−1H−ベンズイミダゾールと、0.32g(0.85mmol)のCrCl.3THFと、30mlのTHFとからの[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]トリクロロクロム(III)(Cr−1)と同様。収量:0.20g(52.6%)
【0352】
実施例115
Cr−10を用いて試みたエチレンオリゴマー/重合試験
【0353】
【表37】

【0354】
実施例116
{2−{[(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)チオ]メチル}−1H−ベンズイミダゾール}三塩化チタン(III)(Ti−1)
【0355】
【化78】

【0356】
0.50g(1.70mmol)の2−{[(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)チオ]メチル}−1H−ベンズイミダゾールと、0.62g(1.70mmol)のTiCl.3THFと、40mlのTHFとからの[N,N−ビス(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−メチルアミン]トリクロロクロム(III)(Cr−1)と同様。収量:0.41g(54.8%)
【0357】
実施例117
Ti−1を用いたエチレン重合試験
【0358】
【表38】

【0359】
比較例1
トリプロポキシオキソバナジウム(V)−(PrO)V=O を用いたエチレン単独重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン単独重合試験を行った。
【0360】
表V−C1H−FP.トルエンの重合.Fisher Porterガラス製反応器.
【0361】
【表39】

【0362】
注記1
ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
【0363】
比較例2
三塩化バナジウム−VCl を用いたエチレン単独重合
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン単独重合試験を行った。
【0364】
表V−C2H−FP.トルエンの重合.Fisher Porterガラス製反応器.
【0365】
【表40】

【0366】
注記1
ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
【0367】
比較例3
ビス(シクロペンタジエン)二塩化バナジウムを用いたエチレン単独重合(IV)(CpVCl
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン重合試験を行った。
【0368】
表V−C3H−FP.トルエンの重合.Fisher Porterガラス製反応器.
【0369】
【表41】

【0370】
注記1
ETA=トリクロロ酢酸エチル−COC(O)CCl
【0371】
比較例4
以下の錯体を用いたエチレン単独重合:
【0372】
【化79】

【0373】
実施例48〜61に記載のものと同じ手順で、エチレン重合試験を行った。
【0374】
表V−C1H−FP.トルエンの重合.Fisher Porterガラス製反応器.
【0375】
【表42】

【図面の簡単な説明】
【0376】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)以下の式Aを有する遷移金属化合物と、
(2)任意の活性化量の好適な活性剤とからなる重合触媒であって、
【化1】

式中、Zは複素五員環基からなり、該複素五員環基は少なくとも1個の炭素原子と、少なくとも1個の窒素原子と、窒素、硫黄、および酸素から選択される少なくとももう1個のヘテロ原子とを含有し、前記環のうちの残りの原子は窒素と炭素から選択され、Mは周期表の第3〜11族の金属、またはランタニド金属であり、EとEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、DとDは、ドナー原子またはドナー基であり、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であることを特徴とする、重合触媒。
【請求項2】
該複素五員環基はその環に少なくとも3個の炭素原子を含有することを特徴とする、請求項1に記載の重合触媒。
【請求項3】
(1)以下の式Aを有する遷移金属化合物と、
(2)任意の活性化量の好適な活性剤とからなる重合触媒であって、
【化2】

式中、Zは具体的にはイミダゾール含有基であり、Mは周期表の第3〜11族の金属、またはランタニド金属であり、EとEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、DとDは、ドナー基であり、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であることを特徴とする、請求項1に記載の重合触媒。
【請求項4】
式中、Mは周期表の第3〜7族の金属、またはランタニド金属であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項5】
式中、Dおよび/またはDはイミダゾール含有基であることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項6】
式中、DとZは同じイミダゾール含有基であることを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項7】
式中、イミダゾール含有基Zは式I、IIまたはIIIから選択され、
【化3】

〜R11は独立して水素、または一価の(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、および(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基であることを特徴とする、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項8】
該遷移金属化合物は以下の式BまたはCを有し、
【化4】

式中、点線の円内に示したイミダゾール核は、式Ia、IIa、IIIa、IVa、Va、およびVIaで表される二価基から選択され、
【化5】

【化6】

Mは、周期表の第3〜11族の金属、またはランタニド金属であり、E1とEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、D1とDはドナー基であり、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、XとL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であり、基R〜R11は、独立して水素または一価の(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、および(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基であることを特徴とする、請求項1に記載の重合触媒。
【請求項9】
式中、EとEは−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、1,2−フェニレン、トランス−1,2−シクロペンタン、トランス−1,2−シクロへキサン、2,3−ブタン、1,1’−ビフェニル、1,1’−ビナフチル、および−Si(Me)−から独立して選択されることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項10】
式中、DとDは式−N(R12)−の酸素、硫黄、アミン、または式−P(R13)−のホスフィンから選択され、R12とR13は、水素、または(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基、および(viii)イミダゾール含有基であることを特徴とする、請求項1乃至4または8のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項11】
式中、MはSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWから選択されることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項12】
式中、該アニオン基Xは、ハロゲン化物、ヒドロカルビル基、カルボン酸塩、酸化物、アミド、アルコキシド、アセチルアセトナト、およびヒドロキシルから選択されることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項13】
式中、Xは非配位アニオンまたは弱配位アニオンであることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項14】
式中、該中性ドナー基Lは、エーテル、アミン、ホスフィン、オレフィン、水、および中性の共役または非共役ジエンから選択されることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項15】
該任意の活性剤(2)は、有機アルミニウム化合物と、有機ホウ素化合物と、その混合物から選択されることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項16】
該任意の活性剤(2)はトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、アルモキサン、ジメチルフェニルアンモ二ウムテトラ(フェニル)ホウ酸、トリチルテトラ(フェニル)ホウ酸、トリフェニルホウ素、ジメチルフェニルアンモ二ウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、テトラキス[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、H+(OEt)[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、およびトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の重合触媒。
【請求項17】
該任意の活性剤は、
(a)層状結晶構造のCdCl型またはCdI型を有するイオン結合化合物と、
(b)粘土、粘土鉱物、またはイオン交換層状化合物と、
(c)ヘテロポリ化合物と、
(d)ハロゲン化ランタノイド化合物とから選択されるルイス酸より得られることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項18】
該任意の活性剤は、(A)SiO、Al、MgO、AlPO、TiO、ZrO、およびCrから選択される少なくとも1個の無機酸化成分と、(B)スメクタイトからなる層状材料を含有する少なくとも1個のイオンとの複合物からなる担体活性剤凝集物より得られることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項19】
ハロゲン化有機化合物からなる助触媒が存在することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項20】
該助触媒は、四塩化炭素、ヘキサクロロエチレン、臭化ベンジル、塩化ベンジル、トリクロロ酢酸エチル、ならびに2,3−または1,3−ジクロロプロピレン、クロロフォルム(CHCl)および塩化n−ブチルから選択されることを特徴とする、請求項19に記載の重合触媒。
【請求項21】
遷移金属はバナジウムであることを特徴とする、請求項20に記載の重合触媒。
【請求項21】
【化7】

式中、mとnは、該遷移金属化合物が式Dとなるように式Aにおいてゼロであることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項22】
式中、mとnは、該遷移金属化合物が式Eまたは式Fとなるように式Aにおいてゼロであり、
【化8】

式中、点線の円内に示した該イミダゾール核は、以下のように式Ia、IIa、IIIa、IVa、Va、およびVIaで表される二価基から選択される
【化9】

ことを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項23】
定義された触媒に加えて、1−オレフィンを重合する他の1個以上の触媒が存在することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項24】
定義された触媒に加えて、チーグラーナッタ触媒系、メタロセン基触媒、または加熱活性化支持体酸化クロム触媒から選択される他の1個以上の遷移金属触媒が存在することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項25】
先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒からなる担持触媒と支持材。
【請求項26】
重合条件下でモノマーのオレフィンと先行請求項のいずれか1項に記載の重合触媒とを接触させてなる1−オレフィン、シクロオレフィン、またはジエンの重合および共重合を行うプロセス。
【請求項27】
該プロセスは1−オレフィンの単独重合用であり、該モノマーがエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、およびスチレンから選択されることを特徴とする、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
該プロセスは1−オレフィンの共重合用であり、該モノマーがエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、オクタン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、およびスチレンから選択されることを特徴とする、請求項26に記載のプロセス。
【請求項29】
エチレンおよびまたはプロピレンと、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、ならびにスチレン、ジエン、環状オレフィン、ノルボルネン、および置換ノルボルネンから選択されるコモノマーとの共重合からなる、請求項26に記載のプロセス。
【請求項30】
該触媒はシリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、キースラガー、マグネシア、塩化マグネシウム、およびポリマーから選択される支持材に担持されることを特徴とする、請求項26乃至29のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項31】
該プロセスは、気相、スラリー相、または液相重合条件下で行われることを特徴とする、請求項26乃至30のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項32】
該プロセスは、生成されたポリマーの平均分子量を修正するために水素ガスの存在下で行われることを特徴とする、請求項26乃至31のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項33】
オリゴマー化条件下でモノマーのオレフィンと、請求項26乃至31のいずれか1項に記載の触媒とを接触させてなる1−オレフィンのオリゴマー化とコオリゴマー化を行うプロセス。
【請求項34】
(1)以下の式A1を有する遷移金属化合物と、
(2)任意の活性化量の好適な活性剤とからなる重合触媒であって、
【化10】

式中、Zは具体的にはイミダゾール含有基であり、Mは周期表の第3〜7族の金属、またはランタニド金属であり、Eは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、Dは、ドナー基であり、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であることを特徴とする、重合触媒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)以下の式Aを有する遷移金属化合物と、
(2)任意の活性化量の適切な活性剤とからなる重合触媒であって、
【化1】

式中、Zは複素五員環基からなり、該複素五員環基は少なくとも1個の炭素原子と、少なくとも1個の窒素原子と、窒素、硫黄、および酸素から選択される少なくとももう1個のヘテロ原子とを含有し、前記環のうちの残りの原子は窒素と炭素から選択され、Mは周期表の第3〜7族の金属、またはランタニド金属であり、EとEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、DとDは、ドナー原子またはドナー基であり、該二価基EとEは、ドナー原子またはドナー基Dが介する以外は結合せず、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であることを特徴とする、重合触媒。
【請求項2】
該複素五員環基はその環に少なくとも3個の炭素原子を含有することを特徴とする、請求項1に記載の重合触媒。
【請求項3】
(1)以下の式Aを有する遷移金属化合物と、
(2)任意の活性化量の適切な活性剤とからなる重合触媒であって、
【化2】

式中、Zは具体的にはイミダゾール含有基であり、Mは周期表の第3〜7族の金属、またはランタニド金属であり、EとEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、DとDは、ドナー基であり、該二価基EとEは、ドナー原子またはドナー基Dが介する以外は結合せず、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であることを特徴とする、請求項1に記載の重合触媒。
【請求項4】
式中、Dおよび/またはDはイミダゾール含有基であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項5】
式中、DとZは同じイミダゾール含有基であることを特徴とする、請求項3または4に記載の重合触媒。
【請求項6】
式中、該イミダゾール含有基Zは、式I、II、またはIIIの群から選択され、
【化3】

〜R11は独立して水素、または一価の(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、および(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基であることを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項7】
該遷移金属化合物は以下の式BまたはCを有し、
【化4】

式中、点線の円内に示したイミダゾール核は、式Ia、IIa、IIIa、IVa、Va、およびVIaで表される二価基から選択され、
【化5】

【化6】

Mは、周期表の第3〜7族の金属、またはランタニド金属であり、E1とEは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、D1とDはドナー基であり、該二価基EとEは、ドナー原子またはドナー基Dが介する以外は結合せず、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、n=m=ゼロまたは1であり、yとzは、XとL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であり、基R〜R11は、独立して水素または一価の(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、および(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基であることを特徴とする、請求項1に記載の重合触媒。
【請求項8】
式中、EとEは−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、1,2−フェニレン、トランス−1,2−シクロペンタン、トランス−1,2−シクロへキサン、2,3−ブタン、1,1’−ビフェニル、1,1’−ビナフチル、および−Si(Me)−から独立して選択されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項9】
式中、DとDは式−N(R12)−の酸素、硫黄、アミン、または式−P(R13)−のホスフィンから選択され、R12とR13は、水素、または(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体、(vii)ヒドロカルビル置換異種原子基、および(viii)イミダゾール含有基であることを特徴とする、請求項1乃至3または7のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項10】
式中、MはSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWから選択されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項11】
式中、該アニオン基Xは、ハロゲン化物、ヒドロカルビル基、カルボン酸塩、酸化物、アミド、アルコキシド、アセチルアセトナト、およびヒドロキシルから選択されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項12】
式中、Xは非配位アニオンまたは弱配位アニオンであることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項13】
式中、該中性ドナー基Lは、エーテル、アミン、ホスフィン、オレフィン、水、および中性の共役または非共役ジエンから選択されることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項14】
該任意の活性剤(2)は、有機アルミニウム化合物と、有機ホウ素化合物と、その混合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項15】
該任意の活性剤(2)はトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、アルモキサン、ジメチルフェニルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ酸、トリチルテトラ(フェニル)ホウ酸、トリフェニルホウ素、ジメチルフェニルアンモ二ウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、テトラキス[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、H(OEt)[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、およびトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の重合触媒。
【請求項16】
該任意の活性剤は、
(a)層状結晶構造のCdCl型またはCdI型を有するイオン結合化合物と、
(b)粘土、粘土鉱物、またはイオン交換層状化合物と
(c)ヘテロポリ化合物と
(d)ハロゲン化ランタノイド化合物とから選択されるルイス酸より得られることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項17】
該任意の活性剤は、(A)SiO、Al、MgO、AlPO、TiO、ZrO、およびCrから選択される少なくとも1個の無機酸化成分と、(B)スメクタイトからなる層状材料を含有する少なくとも1個のイオンとの複合物からなる担体活性剤凝集物より得られることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項18】
ハロゲン化有機化合物からなる助触媒が存在することを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項19】
該助触媒は、四塩化炭素、ヘキサクロロエチレン、臭化ベンジル、塩化ベンジル、トリクロロ酢酸エチル、ならびに2,3−または1,3−ジクロロプロピレン、クロロフォルム(CHCl)および塩化n−ブチルから選択されることを特徴とする、請求項18に記載の重合触媒。
【請求項20】
遷移金属はバナジウムであることを特徴とする、請求項19に記載の重合触媒。
【請求項21】
式中、mとnは、該遷移金属化合物が式Dとなるように式Aにおいてゼロであることを特徴とする、
【化7】

請求項1乃至20のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項22】
式中、mとnは、該遷移金属化合物が式Eまたは式Fとなるように式Aにおいてゼロであり、
【化8】

式中、点線の円内に示した該イミダゾール核は、以下のように式Ia、IIa、IIIa、IVa、Va、およびVIaで表される二価基から選択されることを特徴とする、
【化9】

請求項1乃至21のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項23】
定義された触媒に加えて、1−オレフィンを重合する他の1個以上の触媒が存在することを特徴とする、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項24】
定義された触媒に加えて、チーグラーナッタ触媒系、メタロセン基触媒、または加熱活性化支持体酸化クロム触媒から選択される他の1個以上の遷移金属触媒が存在することを特徴とする、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の重合触媒。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれか1項に記載の重合触媒からなる担持触媒と支持材。
【請求項26】
重合条件下でモノマーのオレフィンと請求項1乃至25のいずれか1項に記載の重合触媒とを接触させてなる1−オレフィン、シクロオレフィン、またはジエンの重合および共重合を行うプロセス。
【請求項27】
該プロセスは1−オレフィンの単独重合用であり、該モノマーがエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、およびスチレンから選択されることを特徴とする、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
該プロセスは1−オレフィンの共重合用であり、該モノマーがエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、オクタン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、およびスチレンから選択されることを特徴とする、請求項26に記載のプロセス。
【請求項29】
エチレンおよびまたはプロピレンと、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、ならびにスチレン、ジエン、環状オレフィン、ノルボルネン、および置換ノルボルネンから選択されるコモノマーとの共重合からなる、請求項26に記載のプロセス。
【請求項30】
該触媒はシリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、キースラガー、マグネシア、塩化マグネシウム、およびポリマーから選択される支持材に担持されることを特徴とする、請求項26乃至29のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項31】
該プロセスは、気相、スラリー相、または液相重合条件下で行われることを特徴とする、請求項26乃至30のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項32】
該プロセスは、生成されたポリマーの平均分子量を修正するために水素ガスの存在下で行われることを特徴とする、請求項26乃至31のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項33】
オリゴマー化条件下でモノマーのオレフィンと、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の触媒とを接触させてなる1−オレフィンのオリゴマー化とコオリゴマー化を行うプロセス。
【請求項34】
(1)以下の式A1を有する遷移金属化合物と、
(2)任意の活性化量の適切な活性剤とからなる重合触媒であって、
【化10】

式中、Zは具体的にはイミダゾール含有基であり、Mは周期表の第3〜7族の金属、またはランタニド金属であり、Eは、(i)脂肪族炭化水素、(ii)脂環式炭化水素、(iii)芳香族炭化水素、(iv)アルキル置換芳香族炭化水素、(v)複素環基、および(vi)前記基(i)から(v)までの複素環置換誘導体から独立して選択される二価基であり、Dは、ドナー基であり、該二価基Eは、ドナー基Dが介する以外は結合せず、Xはアニオン基であり、Lは中性ドナー基であり、yとzは、X基とL基の数が金属Mの原子価と酸化状態を満足させるような、独立してゼロまたは整数であることを特徴とする、重合触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2006−520834(P2006−520834A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505990(P2006−505990)
【出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001184
【国際公開番号】WO2004/083263
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505229003)イノビーン ヨーロッパ リミテッド (20)
【Fターム(参考)】