説明

重要物管理装置

【課題】貨幣類の在高管理を行うことができる重要物管理装置の提供。
【解決手段】被管理物の保管を行う保管手段21(A)〜(L)を管理種別毎に有し、フロア14上に設置されるもので、被管理物が貨幣類である場合に保管手段21(A)〜(L)に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力される入力手段35と、入力手段35に入力された貨幣類の金額データに基づいて保管手段21(A)〜(L)内に保管される貨幣類の在高データを計算し記憶する計算記憶手段と、計算記憶手段による計算結果を表示する表示手段36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要物を保管する重要物管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金融機関の金庫には、重要物として、ATM等の貨幣処理機に装填予定の貨幣や貨幣処理機から回収された貨幣および小切手・証券類等の金券からなる貨幣類が保管されている。また、当該金庫には、重要物として、貨幣類以外にも、例えば書類ファイルや、通帳繰越機へ装填するための通帳等の物品も保管されている。
【0003】
そして、重要物の保管に関する技術として、金庫の代わりとして物品管理装置を設けて、この物品管理装置から処理機に対する物品の装填や回収を効率的に行う技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、一方で、貨幣に特化した管理に着目すると、紙幣の移動における、金庫と、処理機である資金元の出納機との間に、資金の移動を行う貨幣管理装置を備え、さらに出納機および貨幣管理装置の在高情報を連携させて総合的な在高管理を可能とする技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−070586号公報
【特許文献2】特開2010−122889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、金庫に保管される貨幣類を含む物品の取り出しおよび投入の利便性を図る技術があるが、特許文献1においては、金庫内の物品の保管および管理は可能であっても、物品が貨幣類である場合に在高管理まではできない。また、特許文献2においては、資金元の出納機と貨幣処理装置との間での資金の移動の管理は可能であっても、大元の金庫内の貨幣類の在高管理ができない。
【0007】
したがって、本発明は、貨幣類の在高管理を行うことができる重要物管理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、被管理物の保管を行う保管手段を管理種別毎に有し、フロア上に設置される重要物管理装置であって、入力された識別情報に基づいて使用者を特定する使用者特定手段と、該使用者特定手段の特定結果に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の取り出しおよび投入の可否を制御する制御手段と、前記被管理物が貨幣類である場合に前記保管手段に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力される入力手段と、該入力手段に入力された貨幣類の金額データに基づいて前記保管手段内に保管される貨幣類の在高データを計算し記憶する計算記憶手段と、前記計算記憶手段による計算結果を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、複数の前記保管手段を一体に有してフロア上に設置される重要物管理装置本体が、複数台、別位置に設置されており、これら複数台の重要物管理装置本体のうちの一台のみに一体に、前記計算記憶手段が設けられており、該計算記憶手段は、前記複数台の重要物管理装置本体の個別の前記在高データを計算し記憶することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、複数の前記保管手段を一体に有してフロア上に設置される重要物管理装置本体が、複数台、別位置に設置されており、これら複数台の重要物管理装置本体とは別体のパーソナルコンピュータが前記計算記憶手段および前記表示手段を有しており、前記計算記憶手段は、前記複数台の重要物管理装置本体の個別の前記在高データを計算し記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、管理種別毎の前記保管手段は、それぞれコンポーネント化されており、複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、被管理物が貨幣類である場合に保管手段に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力手段により入力されると、この入力された貨幣類の金額データに基づいて保管手段内に保管される貨幣類の在高データを計算記憶手段が計算し記憶する。そして、必要により、この計算記憶手段による計算結果を表示手段に表示する。したがって、貨幣類の在高管理を行うことができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、複数台の重要物管理装置本体のうちの一台のみに一体に計算記憶手段が設けられていて、この一台の重要物管理装置本体に設けられた計算記憶手段が、複数台の重要物管理装置本体の個別の在高データを計算し記憶する。よって、複数台の重要物管理装置本体の個別の在高データを、親機となる一台の重要物管理装置本体で一元管理することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、複数台の重要物管理装置本体とは別体のパーソナルコンピュータが計算記憶手段および表示手段を有していて、このパーソナルコンピュータの計算記憶手段が、複数台の重要物管理装置本体の個別の在高データを計算し記憶する。よって、複数台の重要物管理装置本体の個別の在高データを、別途の管理機としてのパーソナルコンピュータで一元管理することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、管理種別毎の保管手段が、それぞれコンポーネント化されており、複数個の保管手段が選択的に組み合わせられて構成されるため、顧客毎に異なる要望に応じた管理種別の保管手段を装備することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る重要物管理装置の設置状態を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る重要物管理装置を示す正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る重要物管理装置および被管理物等のブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る重要物管理装置を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る重要物管理装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1実施形態に係る重要物管理装置を図1〜図3を参照して以下に説明する。
第1実施形態に係る重要物管理装置11は、図1に示すように、金融機関等の建屋12の執務室13のフロア14上に別途設置されるオープン型のものである。
【0018】
重要物管理装置11は、図2に示すように、コンポーネント化された複数個の耐火構造の保管体(保管手段)21が選択的に組み合わせられて一体に構成されてなる組立体22を備えている。保管体21は、図3に示す被管理物23の保管を行うもので、管理種別毎に設けられている。保管体21は、大小異なる二つの大きさのものがあり、大きいものには、縦長および横長の二種類がある。
【0019】
具体的に、組立体22は、図2に示すように、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての図3に示す通帳収納袋23(a)を収納する保管部24(A)が上下に二段設けられた小の保管体21(A)と、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての大束収納袋23(b)、小束収納袋23(c)、棒金収納袋23(d)および紙幣収納袋23(o)を収納する保管部24(B)が上下に二段設けられた横長の大の保管体21(B)と、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての硬貨収納袋23(e)を収納する保管部24(C)が上下に二段設けられた横長の大の保管体21(C)とを有している。
【0020】
通帳収納袋23(a)には、一つに複数冊の通帳が収納可能であり、複数の保管部24(A)には、それぞれに複数の通帳収納袋23(a)が収納可能となっている。また、大束収納袋23(b)には、一つに複数個の大束紙幣が収納可能であり、小束収納袋23(c)には、一つに複数束の小束紙幣が収納可能であり、棒金収納袋23(d)には、一つに複数本の棒金硬貨が収納可能であり、紙幣収納袋23(o)には、一つに複数枚のバラ紙幣が収納可能となっている。複数の保管部24(B)には、これらが適宜組み合わせられて複数収納されるようになっている。硬貨収納袋23(e)には、一つに複数枚のバラ硬貨が収納可能であり、複数の保管部24(C)には、それぞれに複数の硬貨収納袋23(e)が収納可能となっている。
【0021】
また、組立体22は、個々に対応する被管理物23としての鍵23(f)を保持する保管部24(D)が前面側に複数設けられた小の保管体21(D)と、前面側に引き出される引き出し式であって個々に対応する被管理物23としてのIDカード23(g)を収納する保管部24(E)が複数設けられた小の保管体21(E)と、前面側に引かれて揺動する片側扉式であって、図示略の鍵を保持する鍵保持部が複数設けられた被管理物23としての鍵管理機23(h)を収納する保管部24(F)が一カ所のみ設けられた縦長の大の保管体21(F)とを有している。
【0022】
また、組立体22は、前面側に引き出される引き出し式の保管部24(H)が上下に二段設けられた小の保管体21(H)を有している。保管部24(H)には、被管理物23としての図3に示す金券収納袋23(i)が収納可能となっている。金券収納袋23(i)には、一つに複数枚の小切手・証券類等の金券が収納可能であり、保管部24(H)には、複数の金券収納袋23(i)が収納可能となっている。
【0023】
また、組立体22は、前面側に引かれて揺動する片側扉式の保管部24(G)が一カ所のみ設けられた小の保管体21(G)と、前面側に引かれて揺動する両側扉式の保管部24(I)が一カ所のみ設けられた小の保管体21(I)と、前面側に引かれて揺動する扉式および前面側に引き出される引き出し式の二種類の保管部24(J)が組み合わされた小の保管体21(J)と、前面側に引かれて揺動する片側扉式の保管部24(K)が一カ所のみ設けられた縦長の大の保管体21(K)と、前面側に引き出される引き出し式の保管部24(L)が上下に二段設けられた縦長の大の保管体21(L)とを有している。
【0024】
ここで、小の保管体21は、正面視正方形をなしており、大の保管体21は、小の保管体21と奥行きは同じであるものの、その一つが、小の保管体21を複数、具体的には二つ組み合わせたものと正面視が同じ大きさとなっている。よって、大の縦長の保管体21に対して同じ高さ範囲に二つの小の保管体21を上下に配置するとこれらの高さが一致することになり、大の横長の保管体21に対して同じ幅範囲に二つの小の保管体21を左右に配置するとこれらの幅が一致することになる。保管体21は、少なくとも大小異なる二つの大きさのものがあれば良く、例えば、大小異なる三つ以上の大きさのものがあっても良い。大小異なる三つの大きさの保管体21がある場合、大の保管体21を小の保管体21の三つを並べた大きさとし、中の保管体21を小の保管体21の二つを並べた大きさとしたり、大の保管体21を小の保管体21の四つを並べた大きさとし、中の保管体21を小の保管体21の二つを並べた大きさとしたりすることができる。
【0025】
各保管部24には、それぞれを閉状態でロックする電磁式の図3に示すロック機構27が設けられており、このロック機構27は、ロック解除信号が入力されると保管部24を開放可能にロックを解除する一方、ロック信号が入力されると保管部24を閉状態でロックする。また、各保管部24には、それぞれの開閉状態を検出する開閉検知センサ28が設けられている。
【0026】
また、各被管理物23には、それぞれを識別するための識別情報が記憶されたICタグ29が貼付されており、各保管部24には、それぞれ、各保管部24内にあるICタグ29のみから識別情報を読み出すICタグリーダ30が設けられている。つまり、このICタグリーダ30は、被管理物23に設けられたICタグ29の識別情報の読み出しの有無により、保管体21の各保管部24の個々の被管理物23の保管の有無の判定および被管理物23の特定を行う。
【0027】
具体的に、通帳収納袋23(a)にはICタグ29(a)が貼付されており、通帳収納袋23(a)を保管する保管体21(A)の各保管部24(A)には、それぞれロック機構27(A)、開閉検知センサ28(A)およびICタグリーダ30(A)が設けられている。同様に、大束紙幣を収納する大束収納袋23(b)にはICタグ29(b)が、小束紙幣を収納する小束収納袋23(c)にはICタグ29(c)が、棒金硬貨を収納する棒金収納袋23(d)にはICタグ29(d)が、バラ紙幣を収納する紙幣収納袋23(o)にはICタグ29(o)が、それぞれ貼付されており、これらを保管する各保管部24(B)には、それぞれロック機構27(B)、開閉検知センサ28(B)およびICタグリーダ30(B)が設けられている。同様に、硬貨収納袋23(e)にはICタグ29(e)が貼付されており、硬貨収納袋23(e)を保管する各保管部24(C)には、それぞれロック機構27(C)、開閉検知センサ28(C)およびICタグリーダ30(C)が設けられている。
【0028】
鍵23(f)にはICタグ29(f)が貼付されており、鍵23(f)を保管する各保管部24(D)には、それぞれ鍵23(f)を装着状態である閉状態でロックするロック機構27(D)、装着状態である閉状態にあるか取り外し可能な開状態にあるかを検知する開閉検知センサ28(D)およびICタグリーダ30(D)が設けられている。
【0029】
IDカード23(g)にはICタグ29(g)が貼付されており、IDカード23(g)を保管する各保管部24(E)には、それぞれロック機構27(E)、開閉検知センサ28(E)およびICタグリーダ30(E)が設けられている。鍵管理機23(h)にはICタグ29(h)が貼付されており、鍵管理機23(h)を保管する保管部24(F)には、ロック機構27(F)、開閉検知センサ28(F)およびICタグリーダ30(F)が設けられている。
【0030】
金券収納袋23(i)には、ICタグ29(i)が貼付されており、金券収納袋23(i)を保管する保管部24(H)には、ロック機構27(H)、開閉検知センサ28(H)およびICタグリーダ30(H)が設けられている。
【0031】
同様にして、保管体21(G)の保管部24(G)には、それぞれロック機構27(G)、開閉検知センサ28(G)およびICタグリーダ30(G)が設けられ、保管部24(G)に保管される被管理物23(j)には、ICタグ29(j)が貼付されている。保管体21(I)の保管部24(I)には、それぞれロック機構27(I)、開閉検知センサ28(I)およびICタグリーダ30(I)が設けられ、保管部24(I)に保管される被管理物23(k)には、ICタグ29(k)が貼付されている。保管体21(J)の保管部24(J)には、それぞれロック機構27(J)、開閉検知センサ28(J)およびICタグリーダ30(J)が設けられ、保管部24(J)に保管される被管理物23(l)には、ICタグ29(l)が貼付されている。保管体21(K)の保管部24(K)には、それぞれロック機構27(K)、開閉検知センサ28(K)およびICタグリーダ30(K)が設けられ、保管部24(K)に保管される被管理物23(m)には、ICタグ29(m)が貼付されている。保管体21(L)の保管部24(L)には、それぞれロック機構27(L)、開閉検知センサ28(L)およびICタグリーダ30(L)が設けられ、保管部24(L)に保管される被管理物23(n)には、ICタグ29(n)が貼付されている。
【0032】
また、重要物管理装置11は、前面側に、使用者により操作入力が行われる操作部(使用者特定手段,入力手段)35および使用者に表示を行う液晶画面等からなる表示部(表示手段)36を有し、重要物管理装置11を制御する制御部(使用者特定手段,制御手段,計算記憶手段)37と、制御プログラム等を記憶するROM38と、重要物管理装置11内の在高データを含む管理データ等を記憶するRAM(計算記憶手段)39とを内蔵する図2に示す一つの制御ユニット40を有している。この制御ユニット40は、操作部35、表示部36、制御部37、ROM38およびRAM39を一体に有してコンポーネント化されており、小の保管体21と正面視で同じ大きさをなしている。そして、重要物管理装置11は、この一つの制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるようになっている。操作部35は、キーボード41およびカードリーダ42を有している。
【0033】
また、重要物管理装置11は、小の保管体21と同じ大きさにコンポーネント化されたフリー空間形成体45を有している。ここで、重要物管理装置11は、上記した制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて全体として正面視が矩形状をなすことになり、その際に、制御ユニット40も保管体21も配置されない部分を埋めるようにフリー空間形成体45が配置される。フリー空間形成体45は枠状をなしており、内側が空間となっている。フリー空間形成体45が配置されたスペースには、これと交換する形で、後に保管体21を追加可能となっている。
【0034】
そして、制御ユニット40と、複数個の保管体21およびフリー空間形成体45の適宜のものとが、前面を揃えた状態で、隣り合うもの同士が図示略の連結具で連結されることで、正面視矩形状をなす組立体22が組み上がることになる。
【0035】
具体的に、図2に示す組立体22には、通帳収納袋23(a)を収納する小の保管体21(A)が正面から見て左側の上側に上下二段に設けられており、その下側に縦長の大の保管体21(L)が一つ設けられている。また、これら保管体21(A)および保管体21(L)の右隣に、縦長の大の保管体21(K)が上下二段に設けられ、これらの右隣に、上側から順に、制御ユニット40、フリー空間形成体45、小の保管体21(H)、小の保管体21(G)が設けられている。また、これらの右隣に、上側から順に、小の保管体21(D)、小の保管体21(E)、小の保管体21(J)、小の保管体21(I)が設けられ、これらの右隣に、上側から順に、小の保管体21(D)、小の保管体21(E)、横長の大の保管体21(B)、横長の大の保管体21(C)が設けられている。小の保管体21(D)、小の保管体21(E)の右隣であって、横長の大の保管体21(B)の上側に、縦長の大の保管体21(F)が設けられている。
【0036】
さらに、この組立体22の後側には、各保管体21と制御ユニット40とを通信可能に接続する通信ケーブル等を配索するための図1に示す配索スペース形成カバー47が図示略の連結具で一体的に取り付けられており、これら組立体22および配索スペース形成カバー47で重要物管理装置11が構成されている。なお、高さおよび横幅の異なる配索スペース形成カバー47が複数種類準備されることになり、いずれかの配索スペース形成カバー47と正面視の大きさが合うように、制御ユニット40と、複数個の保管体21とを組み合わせ、必要によりフリー空間形成体45をも組み合わせる。例えば、図2に示す、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21六つ分の幅を有する組立体22の背面を覆う、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21の六つ分の幅を有する図1に示す配索スペース形成カバー47の他に、例えば、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21の五つ分の幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21の四つ分の幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21の三つ分の幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21の三つ分の高さおよび小の保管体21の六つ分の幅を有する配索スペース形成カバー47等を、必要に応じて準備する。
【0037】
上記のようにして組み立てられた重要物管理装置11が配索スペース形成カバー47を壁に近接させて例えば執務室13のフロア14上に設置されることになり、これにより、重要物管理装置11の制御ユニット40の前面および複数個の保管体21の前面が執務室13の室内側に向いて設置されることになる。なお、重要物管理装置11は必要により下部に転動ロック付きのキャスタ48が取り付けられることになり、フロア14上での移設が可能になっている。
【0038】
このような重要物管理装置11においては、入出処理の実行に当たって、使用者が操作部35に使用者識別情報を入力することになる。この使用者識別情報の入力は、キーボード41への使用者ID番号の入力や、カードリーダ42への使用者IDカードの走査によって行われる。使用者識別情報が入力されると、制御部37は、RAM39と照らし合わせてこの入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されているか否かを判断する。制御部37は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されていなければ、入力された使用者識別情報が適正でない旨を表示部36に表示させる。
【0039】
制御部37は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されていれば、使用者がこの使用者識別情報を有する使用者であることを特定することになり、この特定された使用者識別情報に関連付けてRAM39に記憶されている取り出しおよび投入可能な被管理物23の管理種別を読み出し、これら管理種別の中から、使用者に取り出しあるいは投入する被管理物23の管理種別の選択入力を促す表示を表示部36に表示させる。ここで、この使用者識別情報に関連してRAM39に記憶された取り出しおよび投入可能な被管理物23の管理種別は、例えば使用者識別情報が一般職員である場合と管理職員である場合とで異なる。
【0040】
上記の表示にしたがって、使用者が、取り出しあるいは投入する被管理物23の管理種別の選択入力を操作部35に入力すると、制御部37は、管理種別が貨幣類であるか否かを判定する。管理種別が貨幣類である場合には、取り出しであるか投入であるかの入出識別と金額データの入力を促す表示を表示部36に表示させて、入出識別および金額データの入力を待つ。操作部35のキーボード41に入出識別および金額データの入力が行われると、制御部37は、RAM39に記憶されている、それまでの在高データと、操作部35に今回入力された貨幣類の入出識別および金額データとに基づいて、保管体21(B),21(C),21(H)内に保管される貨幣類、つまり重要物管理装置11内に保管される貨幣類の在高データを計算し、この計算値をRAM39に新たな在高データとして更新記憶する。ここで、重要物管理装置11内に保管される貨幣類の在高データの計算値がマイナスとなる場合、つまり在高を超える取り出し金額が入力された場合には、表示部36にアラーム表示および再入力の誘導ガイダンス表示を表示させる。なお、貨幣類の取り出しの金額データに、使用者識別情報毎に上限値を設定し、上限値以上が入力されたら表示部36にアラームを表示させるようにしても良い。
【0041】
具体的に、管理種別が貨幣類の大束紙幣であって入出識別が取り出しである場合には、それまでの大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された大束紙幣の金額データを減算した値を、新たな大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。また、入出識別が投入である場合には、それまでの大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された大束紙幣の金額データを加算した値を、新たな大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。
【0042】
また、管理種別が貨幣類の小束紙幣であって入出識別が取り出しである場合には、それまでの小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された小束紙幣の金額データを減算した値を、新たな小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。また、入出識別が投入である場合には、それまでの小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された小束紙幣の金額データを加算した値を、新たな小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。
【0043】
また、管理種別が貨幣類の棒金硬貨であって入出識別が取り出しである場合には、それまでの棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された棒金硬貨の金額データを減算した値を、新たな棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。また、入出識別が投入である場合には、それまでの棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された棒金硬貨の金額データを加算した値を、新たな棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。
【0044】
また、管理種別が貨幣類のバラ紙幣であって入出識別が取り出しである場合には、それまでのバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力されたバラ紙幣の金額データを減算した値を、新たなバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。また、入出識別が投入である場合には、それまでのバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力されたバラ紙幣の金額データを加算した値を、新たなバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。
【0045】
また、管理種別が貨幣類のバラ硬貨であって入出識別が取り出しである場合には、それまでのバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力されたバラ硬貨の金額データを減算した値を、新たなバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。また、入出識別が投入である場合には、それまでのバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力されたバラ硬貨の金額データを加算した値を、新たなバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。
【0046】
また、管理種別が金券であって入出識別が取り出しである場合には、それまでの金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された金券の金額データを減算した値を、新たな金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。また、入出識別が投入である場合には、それまでの金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された金券の金額データを加算した値を、新たな金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶する。
【0047】
管理種別が通帳、鍵、IDカードおよび鍵管理機等の貨幣類以外である場合に、制御部37は、入力された管理種別の被管理物23を収納している保管体21の保管部24に対し被管理物23の取り出しおよび投入を許可することになり、管理種別が貨幣類である場合には、上記入出識別および金額データの入力が行われたことを条件に、入力された管理種別の被管理物23を収納している保管体21の保管部24に対し被管理物23の取り出しおよび投入を許可することになる。すると、制御部37は、今回の入出処理にて被管理物23の取り出しおよび投入を許可した保管部24に対しそのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除する。
【0048】
以上により、制御部37は、操作部35に入力された使用者の特定結果である使用者識別情報に基づいて保管体21の保管部24に対する被管理物23の取り出しおよび投入の可否を制御する。なお、この入力された管理種別の被管理物23を収納している保管体21が保管部24を複数有している場合には、それぞれのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除することになる。
【0049】
ロックが解除された保管体21の保管部24に対して、使用者がこれを開放して、被管理物23の取り出しおよび投入の少なくともいずれか一方を行い、これを閉じる。すると、この保管部24に設けられた開閉検知センサ28がこの保管部24が閉状態になったことを検知することになり、これにより、制御部37は、この保管部24に設けられたロック機構27にロック信号を出力して保管体21の保管部24をロックする。なお、ロックが解除された保管体21が保管部24を複数有している場合には、すべての保管部24が閉状態になったことを各開閉検知センサ28で検出すると、すべての保管部24のロック機構27にロック信号を出力してこれらをロックすることになる。今回の入出処理にてロックを解除した保管体21をすべてロックすると、今回の入出処理を終了する。
【0050】
なお、貨幣類の取り出しおよび投入に伴う在高データの更新記憶のタイミングは、上記では、操作部35のキーボード41に入出識別および金額データの入力が行われた時点としたが、その後、対応する保管部24が開状態になった後に閉状態になったことを開閉検知センサ28で検出した時点、つまり貨幣類が取り出されたと判断した時点としても良い。
【0051】
そして、上記のようにして保管体21の保管部24の開閉が行われると、制御部37は、開閉が行われた保管部24に対してICタグリーダ30でICタグ29から識別情報を読み取り、この識別情報に基づく保管部24内の被管理物23の残存状況を日時情報および使用者識別情報とともにRAM39に記憶する。制御部37は、この残存状況と、RAM39に記憶されている今回の開閉の直前の保管部24内の被管理物23の残存状況とから、保管体21の被管理物23の保管の有無である、開閉された保管部24の被管理物23の装置外への取り出しおよび装置への投入の判定を行い、判定結果を表示部36に表示させる。つまり、制御部37は、いずれの識別情報を有する被管理物23が取り出されたか、あるいは投入されたかを判定し、日時情報および使用者識別情報とともにRAM39に記憶するとともに、被管理物23の識別情報と、取り出されたか、投入されたかの区別とを表示部36に表示させる。なお、このとき、制御部37は、保管体21のいずれかに、対応する管理種別とは異なる管理種別の被管理物23が保管されている場合には、保管体21に異種の被管理物23が保管されている旨をこの保管体21の識別情報とともに表示部36に表示させ、アラームを発生させる。
【0052】
なお、取り出されたり投入されたりするものが、大束紙幣である場合、保管部24(B)から大束収納袋23(b)が取り出されたり投入されたりすることなく、大束収納袋23(b)から大束紙幣だけが取り出されたり、大束収納袋23(b)に大束紙幣だけが追加で投入されたりする場合もある。同様に、取り出されたり投入されたりするものが、小束紙幣である場合、保管部24(B)から小束収納袋23(c)が取り出されたり投入されたりすることなく、小束収納袋23(c)から小束紙幣だけが取り出されたり、小束収納袋23(c)に小束紙幣だけが追加で投入されたりする場合もある。同様に、取り出されたり投入されたりするものが、棒金硬貨である場合、保管部24(B)から棒金収納袋23(d)が取り出されたり投入されたりすることなく、棒金収納袋23(d)から棒金硬貨だけが取り出されたり、棒金収納袋23(d)に棒金だけが追加で投入されたりする場合もある。同様に、取り出されたり投入されたりするものが、バラ紙幣である場合、保管部24(B)から紙幣収納袋23(o)が取り出されたり投入されたりすることなく、紙幣収納袋23(o)からバラ紙幣だけが取り出されたり、紙幣収納袋23(o)にバラ紙幣だけが追加で投入されたりする場合もある。
【0053】
制御部37は、RAM39に記憶された上記の情報を、任意のタイミングでの操作部35への入出管理の操作入力により、日時情報別に表示部36に表示させるようになっている。
【0054】
例えば、制御部37は、操作部35へ任意のタイミングで別途照会操作入力が行われて、保管体21(あるいは管理種別)の指定操作入力が行われると、指定された保管体21(あるいは管理種別)について、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の各識別情報毎の保管の有無を判定して、その判定結果、つまりいずれの識別情報の被管理物23が保管されていて、いずれの識別情報の被管理物23が取り出されているかを表示部36に表示させる。あるいは、その時点でICタグリーダ30でICタグ29を読み込んで、被管理物23の各識別情報毎の保管の有無を判定して、その判定結果を表示部36に表示させる。
【0055】
また、制御部37は、操作部35へ任意のタイミングで別途照会操作入力が行われて、被管理物23の識別情報の指定操作入力が行われると、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の保管の有無を判定して、その判定結果、つまりこの被管理物23が保管されているか取り出されているかを表示部36に表示させる。あるいは、その時点でICタグリーダ30でICタグ29を読み込んで、被管理物23の保管の有無を判定して、その判定結果を表示部36に表示させる。
【0056】
また、操作部35への操作入力で、ダイヤグラム作成プログラムの実行が指定されると、制御部37は、操作部35への操作入力に基づいて、被管理物23の保管状況を時系列で示すダイヤグラムを各保管体21毎に作成することになり、このダイヤグラムをRAM39に記憶する。
【0057】
そして、制御部37は、所定の時間間隔で、ダイヤグラムによる被管理物23の保管状況と、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の各識別情報毎の保管の有無である保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合に、その旨を、表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。これにより、保管状況の相違解消を促すことになる。
【0058】
つまり、例えば、ダイヤグラム上、営業開始前の所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)から取り出されていなければならない場合に、この所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)から取り出されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)に投入されていなければならない場合に、この所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)に投入されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。同様にして、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までにすべての鍵23(f)が保管体21(D)の保管部24(D)に投入されていなければならない場合に、この所定の時刻までにすべての鍵23(f)が保管体21(D)の保管部24(D)に投入されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までにすべてのIDカード23(g)が保管体21(E)の保管部24(E)に投入されていなければならない場合に、この所定の時刻までにすべてのIDカード23(g)が保管体21(E)の保管部24(E)に投入されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、営業開始前の所定の時刻までに本店に配送されるべき被管理物23が保管体21の保管部24から取り出されていなければならない場合に、この所定の時刻までにこの被管理物23が保管体21の保管部24から取り出されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。
【0059】
また、制御部37は、RAM39に更新記憶されることになる上記の計算結果である在高データを、任意のタイミングでの操作部35への在高管理の操作入力により、表示部36に表示させるようになっている。この表示データは、表示時点での在高データであり、具体的には、大束紙幣が各金種何束ずつあるのかを示す在高データと、小束紙幣が各金種何束ずつあるのかを示す在高データと、棒金硬貨が各金種何本ずつあるのかを示す在高データと、バラ紙幣が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、バラ硬貨が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、金券が各種何枚ずつあるのかを示す在高データと、重要物管理装置11内全体のトータルの貨幣類の在高データとからなっている。
【0060】
以上に述べた第1実施形態の重要物管理装置11によれば、被管理物23が貨幣類である場合に保管体21に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが操作部35により入力されると、この入力された貨幣類の金額データに基づいて保管体21内に保管される貨幣類の在高データを制御部37が計算し記憶する。そして、必要により、この計算結果を表示部36に表示する。したがって、貨幣類の在高管理を行うことができる。
【0061】
また、重要物管理装置11は、操作部35に使用者識別情報が入力されると、制御部37は、使用者を特定し、この特定結果に基づいて保管体21に対する被管理物23の取り出しおよび投入の可否を制御する。一方で、ICタグリーダ30が、保管体21の被管理物23の保管の有無を判定すると、制御部37は、この判定結果を表示部36に表示する。そして、重要物管理装置11は、上記した保管体21を管理種別毎に有してフロア14上に設置されることにより、金庫室の代わりに重要物を管理することができるため、専用の金庫室を建屋12に構築する場合と比べて、コストを大幅に低減することができる。また、フロア14に設置されることから、衆人監視環境への設置や、設置先の部屋を監視する監視カメラシステムでの共用監視が可能となり、専用の監視カメラシステムを不要とすることができる。よって、この点からもコストを低減することができる。
【0062】
また、管理種別毎の保管体21が、それぞれコンポーネント化されており、複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるため、顧客毎に異なる要望に応じた管理種別の保管体21を装備することが容易にできる。しかも、管理種別の保管体21を重要物管理装置11内において顧客が要望する任意の位置に設置することができる。
【0063】
また、大きい保管体21の一つと、小さい保管体21を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなるため、大きさの異なる保管体21を容易に装備することができる。よって、上記のように、大きな鍵管理機23(h)を大きな保管体21に、小さい通帳収納袋23(a)を小型の保管体21に保管する等、顧客の要望に応じて効率良く被管理物23を保管することができる。
【0064】
また、操作部35、表示部36および制御部37を含む制御ユニット40が、コンポーネント化されており、この制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるため、制御ユニット40をも容易に装備することができる。しかも、制御ユニット40を重要物管理装置11内において顧客が要望する任意の位置に設置することができる。
【0065】
また、保管体21が耐火構造であるため、火災があっても被管理物23を保管することができる。
【0066】
また、制御部37が、ダイヤグラムによる被管理物23の保管状況とICタグリーダ30の判定による被管理物23の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を表示部36に表示するため、被管理物23の取り出しおよび投入のタイミングの異常発生を表示部36を見た人に認識させることができる。つまり、被管理物23は、その用途および目的によって保管/使用の時間帯がそれぞれ異なるものがあるが、このような場合でも、ダイヤグラムと相違して現在保管されているべき被管理物23が取り出されていないか、逆に現在使用されているべき被管理物23が保管されたままになっていないかを、ほぼリアルタイムに認識でき、その対象となる被管理物23も容易に特定できる。
【0067】
また、判断処理にて両保管状況に相違がある場合に、制御部37が、携帯電話51および管理PC52を介してその旨を管理者に報知するため、被管理物23の取り出しおよび投入のタイミングの異常発生を管理者に認識させることができる。したがって、管理者は速やかに担当者へ是正の処置を行わせることができる。
【0068】
また、制御部37が、保管体21に設けられたICタグリーダ30による、被管理物23に設けられたICタグ29の読み出しの有無により、保管体21の被管理物23の保管の有無を判定するため、保管体21の被管理物23の保管の有無を正確に管理することができる。しかも、所定の管理種別の保管体21に、所定とは異なる管理種別の被管理物23が保管されていないか等をも判定できる。
【0069】
本発明の第2実施形態に係る重要物管理装置を主に図4を参照して以下に説明する。
第2実施形態に係る重要物管理装置11は、第1実施形態の重要物管理装置11と同様の重要物管理装置本体11A,11Bが、図4に示すように複数台通信可能に接続されて構成されている。これらの重要物管理装置本体11A,11Bは、第1実施形態の図1および図2に示す重要物管理装置11と同様、複数の保管体21を一体に有してフロア14上に設置されるものであるが、それぞれ、別位置に設置されることになる。
【0070】
これら重要物管理装置本体11A,11Bのそれぞれの制御部37が上記したように通信可能に接続されており、そのうちの一台の重要物管理装置本体11Aのみが親機となっている。そして、この親機の重要物管理装置本体11Aの制御ユニット40に一体に設けられた制御部37のみが、親機および親機以外の子機となるすべての重要物管理装置本体11A,11Bの個別の在高データを、各重要物管理装置本体11A,11Bの操作部35へ入力された入出識別と金額データとに基づいて計算し、この制御部37と同じ制御ユニット40に一体に設けられたRAM39に記憶するようになっている。他方、親機以外の子機となる重要物管理装置本体11Bは、第1実施形態と同様、取り出しおよび投入前に入出識別と金額データとが操作部35に入力されるものの、制御部37は、重要物管理装置本体11Aにデータを送信するのみで、在高データを計算したり在高データをRAM39に記憶したりすることは行わない。つまり、親機の重要物管理装置本体11Aがサーバ機能を有しており、子機となる重要物管理装置本体11Bがクライアント機能を有している。
【0071】
そして、親機の重要物管理装置本体11Aの制御ユニット40においてのみ、この制御ユニット40の制御部37が、この制御ユニット40の操作部35への操作で、この制御ユニット40の表示部36に、すべての重要物管理装置本体11A,11Bの個別の在高データを表示可能となっている。
【0072】
このような構成の第2実施形態に係る重要物管理装置11によれば、複数台の重要物管理装置本体11A,11Bのうちの一台の重要物管理装置本体11Aのみに一体に設けられた制御部37およびRAM39が、複数台の重要物管理装置本体11A,11Bの個別の在高データを計算し記憶する。よって、複数台の重要物管理装置本体11A,11Bの個別の在高データを、親機となる一台の重要物管理装置本体11Aで一元管理することができる。
【0073】
本発明の第3実施形態に係る重要物管理装置を主に図5を参照して以下に説明する。
第3実施形態に係る重要物管理装置11は、第1実施形態の重要物管理装置11と同様の重要物管理装置本体11Cが、図5に示すように複数台、これらとは別体の管理PC52(パーソナルコンピュータ)と通信可能に接続されて構成されている。管理PC52は、制御部(計算記憶手段)55とROM56とRAM(計算記憶手段)57と操作部58と表示部(表示手段)59とを有している。複数台の重要物管理装置本体11Cは、第1実施形態の図1および図2に示す重要物管理装置11と同様、複数の保管体21を一体に有してフロア14上に設置されるものであるが、それぞれ、別位置に設置されることになる。
【0074】
これら重要物管理装置本体11Cのそれぞれの制御部37が上記したように管理PC52と通信可能に接続されている。そして、この管理PC52に一体に設けられた制御部55のみが、通信可能なすべての重要物管理装置本体11Cの個別の在高データを、各重要物管理装置本体11Cの操作部35へ入力された入出識別と金額データとに基づいて計算し、同じ管理PC52に一体に設けられたRAM57に記憶するようになっている。他方、すべての重要物管理装置本体11Cは、第1実施形態と同様、取り出しおよび投入前に入出識別と金額データとが操作部35に入力されるものの、制御部37は、管理PC52にデータを送信するのみで、在高データを計算したり在高データをRAM39に記憶したりすることは行わない。
【0075】
そして、管理PC52においてのみ、この管理PC52の制御部55が、この管理PC52の操作部58への操作で、この管理PC52の表示部59に、すべての重要物管理装置本体11Cの個別の在高データを表示可能となっている。
【0076】
このような構成の第3実施形態に係る重要物管理装置11によれば、複数台の重要物管理装置本体11Cとは別体の管理PC52に一体に設けられた制御部55およびRAM57が、複数台の重要物管理装置本体11Cの個別の在高データを計算し記憶する。よって、複数台の重要物管理装置本体11Cの個別の在高データを別途の管理機としての管理PC52で一元管理することができる。
【0077】
なお、第3実施形態において用いられる管理PC52は、図示は略すが同じ金融機関に設置される出納機のターミナル部を構成するPCで兼用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
11 重要物管理装置
11A,11B,11C 重要物管理装置本体
14 フロア
21 保管体(保管手段)
23 被管理物
35 操作部(使用者特定手段,入力手段)
36 表示部(表示手段)
37 制御部(使用者特定手段,制御手段,計算記憶手段)
39 RAM(計算記憶手段)
52 管理PC(パーソナルコンピュータ)
55 制御部(計算記憶手段)
57 RAM(計算記憶手段)
59 表示部(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被管理物の保管を行う保管手段を管理種別毎に有し、フロア上に設置される重要物管理装置であって、
入力された識別情報に基づいて使用者を特定する使用者特定手段と、
該使用者特定手段の特定結果に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の取り出しおよび投入の可否を制御する制御手段と、
前記被管理物が貨幣類である場合に前記保管手段に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力される入力手段と、
該入力手段に入力された貨幣類の金額データに基づいて前記保管手段内に保管される貨幣類の在高データを計算し記憶する計算記憶手段と、
前記計算記憶手段による計算結果を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする重要物管理装置。
【請求項2】
複数の前記保管手段を一体に有してフロア上に設置される重要物管理装置本体が、複数台、別位置に設置されており、
これら複数台の重要物管理装置本体のうちの一台のみに一体に、前記計算記憶手段が設けられており、
該計算記憶手段は、前記複数台の重要物管理装置本体の個別の前記在高データを計算し記憶することを特徴とする請求項1記載の重要物管理装置。
【請求項3】
複数の前記保管手段を一体に有してフロア上に設置される重要物管理装置本体が、複数台、別位置に設置されており、
これら複数台の重要物管理装置本体とは別体のパーソナルコンピュータが前記計算記憶手段および前記表示手段を有しており、
前記計算記憶手段は、前記複数台の重要物管理装置本体の個別の前記在高データを計算し記憶することを特徴とする請求項1記載の重要物管理装置。
【請求項4】
管理種別毎の前記保管手段は、それぞれコンポーネント化されており、複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の重要物管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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