説明

重重量の伸縮性布地のためのオレフィンブロック組成物

エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを含む重重量の伸縮性布地が記載される。本発明の布地は、多くの場合、ASTM 3776に従って測定される少なくとも10オンス/平方ヤードの重量を有し、ASTM D3107に従って測定される少なくとも10パーセントの伸びを有する。これらの布地は、優れた化学的抵抗性(例えば、塩素抵抗性又は苛性アルカリ抵抗性)及び耐久性を示す。すなわち、これらの布地はその形状及び感触を様々な加工条件、例えば、ストーンウォッシュ加工、色抜き(dye-stripping)及びPET染色など、及び産業的洗濯条件に繰り返しさらされた後も保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
米国特許実務のために、2006年11月30日に出願された米国仮特許出願第60/868,026号、2005年3月17日に出願されたPCT出願番号PCT/US2005/008917(Dow 63558D)(同様に、これは米国仮特許出願第60/553,906号の優先権を主張する)、及び、2006年5月24日に出願されたPCT出願番号PCT/US2006/09405号の内容が、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、エチレン/α−オレフィンインターポリマー及びそのブレンド配合物から作製される弾性繊維から構成される重重量の布地に関する。
【背景技術】
【0003】
現在のポリウレタン系エラストマー繊維(スパンデックス)は、許容され得る伸びを一部の用途には提供しているが、残念なことに、多くの織物加工化学薬品に対する抵抗性がなく、また、産業的洗濯条件に対する十分な耐久力がない。現在のポリウレタン系エラストマー繊維はまた、多くの場合、デニムのような重いボトム重量の布地に組み込むことが困難である。
【0004】
耐久性布地において使用されるために、布地を構成する繊維は、とりわけ、染色プロセス及び熱固定処理プロセス中において安定でなければならない。弾性ポリオレフィン繊維が染色条件及び熱固定処理条件のもとで安定であるために、弾性ポリオレフィン繊維は、多くの場合、数多くの異なる方法の1つ又はそれ以上によって、例えば、e−ビーム照射又はUV照射、シラン処理又はアジド処理、ペルオキシドなどによって架橋されるが、いくつかの方法は、特定の組成の繊維については他の方法よりも良好である。例えば、(大気下で照射されるのとは対照的に)不活性雰囲気下で照射されるポリオレフィン繊維は、染色プロセス時において非常に安定である傾向がある(すなわち、繊維は融解せず、又は、融合して一緒にならない)。ヒンダードフェノール系安定剤及びヒンダードアミン系安定剤の混合物の添加は通常、そのような繊維を熱固定処理条件(200℃から210℃)においてさらに安定化させた。
【0005】
Lycra(登録商標)(E.I.du Pont de Nemours Companyによって製造されるセグメント化ポリウレタン弾性材料)が現在、様々な耐久性伸縮性布地において使用されている。しかしながら、Lycraは、ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維のために使用される典型的な高い熱固定処理温度(200℃から210℃)において安定でない。そのうえ、また、通常の架橋されていないポリオレフィン系弾性材料と同様に、Lycra布地は、高い使用温度(例えば、洗浄、乾燥及びアイロン掛けにおいて遭遇する使用温度など)にさらされた時、その一体性、形状及び弾性特性を失う傾向がある。そのようなものとして、Lycra(登録商標)は、耐熱性繊維、例えば、ポリエステル繊維などとの共編み用途において容易に使用することができない。
【0006】
従って、多くの織物加工化学薬品に対して抵抗性であり、化学的処理及び熱処理を含む産業的洗濯条件に耐えることができる重重量の伸縮性布地が引き続き求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/868,026号
【特許文献2】PCT出願番号PCT/US2005/008917
【特許文献3】米国仮特許出願第60/553,906号
【特許文献4】PCT出願番号PCT/US2006/09405号
【発明の概要】
【0008】
本明細書において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーから構成される繊維を含む重重量の布地が提供される。本発明の布地には、多くの織物加工化学薬品に対して抵抗性であり、かつ、化学的処理及び熱処理を含む産業的洗濯条件に耐えることができる重重量の伸縮性布地が含まれる。このような布地は下記の特性の1つ又はそれ以上を有する:寸法安定性、伸び対膨張(growth)の改善された比率、化学的抵抗性及び耐熱性、ならびに、産業的洗濯耐久性。1つの態様において、このような布地は、多くの場合、重量が少なくとも6オンス/平方ヤード、好ましくは少なくとも8オンス/平方ヤード、より好ましくは少なくとも10オンス/平方ヤードであり、伸びが少なくとも約10%又はそれ以上である。好都合なことに、二方向伸縮性(bistretch)であり得る、すなわち、2つの方向、すなわち、たて糸方向及びよこ糸方向において伸縮性であり得る重重量の布地を作製することができる。
【0009】
別の態様において、本明細書に提供される布地は、布地がより良好な寸法安定性を有することを可能にする高い温度許容性を有する。布地において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維は、多くの場合、より大きい収縮力を布地仕上げ温度(50℃から90℃)において有する。このことが、本発明の布地が仕上げ工程中においてより大きく収縮することを可能にし、従って、標準的な架橋された均一分岐エチレンポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なXLA(商標))から調製される従来の布地と比較して、より大きい伸び及び重量を有することを可能にする。加えて、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの使用はまた、精紡設備が、従来の分岐エチレンポリマー又はその混合物を使用する時に堆積することがある残留物がないように保たれるという点で加工を容易にする。
【0010】
本明細書に提供される布地は、下記の特徴の1つ又はそれ以上を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む:
(1)ゼロよりも大きく、約1.0までの平均ブロックインデックス、及び、約1.3よりも大きい分子量分布(Mw/Mn);又は
(2)TREFを使用して分画化される時、40℃から130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物で、少なくとも0.5から約1までのブロックインデックスを有することにおいて特徴づけられる分子分画物;又は
(3)約1.7から約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)、ただし、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d);又は
(4)約1.7から約3.5のMw/Mn、ならびに、所定の融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)によって特徴づけられること、ただし、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gまでである場合)
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gよりも大きい場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される所定の弾性回復率(Re、300パーセントの歪み及び1サイクルでのパーセント)、及び、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)、ただし、Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない時、下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(6)TREFを使用して分画化される時、40℃から130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、ただし、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(7)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))、ただし、G’(25℃)対G’(100℃)の比率は約1:1から約9:1の範囲である。
【0011】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーの上記の特徴(1)から特徴(7)は、何らかの有意な架橋が行われる前のエチレン/α−オレフィンインターポリマーに関して、すなわち、架橋前のエチレン/α−オレフィンインターポリマーに関して与えられる。本発明において有用であるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、所望される特性に依存して、架橋されてもよく、又は、架橋されなくてもよい。架橋前に測定されるような特徴(1)から特徴(7)を使用することによって、そのインターポリマーは、架橋されることが要求されるか、又は、架橋されることが要求されないことを示唆することは意味されず、むしろ、そのような特徴が、有意な架橋を有しないインターポリマーに関して測定されることのみを示唆することが意味される。架橋は、具体的なポリマー及び架橋度に依存して、これらの特性のそれぞれを変化させることがあり、又は、変化させないことがある。
【0012】
布地は、典型的には、ASTM 3776に従って測定される少なくとも10オンス/平方ヤードの重量、及び、ASTM D3107に従って測定される少なくとも10パーセントの伸びを有する。
【0013】
典型的には、本明細書に提供される布地におけるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは弾性繊維の形態である。
【0014】
1つの態様において、本明細書に提供される布地は、シルケット加工、漂白、しわ防止仕上げ及び/又は耐炎性仕上げの織物プロセスに耐えることができる。他の態様において、布地はまた、多重的な高い温度及び高いpH、例えば、多くの場合には、産業的洗濯などにおいて遭遇する高い温度及び高いpHに耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来のランダムコポリマー(丸によって表される)及びチーグラー・ナッタコポリマー(三角によって表される)と比較した時、本発明のポリマー(菱形によって表される)についての融点/密度の関係を示す。
【0016】
【図2】様々なポリマーについてDSCの融解エンタルピーの関数としてのデルタDSC−CRYSTAFのプロットを示す。菱形はランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す;四角はポリマー例1から4を表す;三角はポリマー例5から9を表す;丸はポリマー例10から19を表す。「X」の記号はポリマー例AからFを表す。
【0017】
【図3】本発明のインターポリマー(四角及び丸によって表される)及び従来のコポリマー(三角によって表される;これらはDow社の様々なAFFINITY(登録商標)ポリマーである)から作製された未延伸フィルムについて弾性回復率に対する密度の影響を示す。四角は本発明のエチレン/ブテンコポリマーを表す;丸は本発明のエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【0018】
【図4】実施例5のポリマー(丸によって表される)、ならびに、比較ポリマーE及び比較ポリマーF(「X」の記号によって表される)について、TREF分画されたエチレン/1−オクテンコポリマー分画物のオクテン含有量の、分画物のTREF溶出温度に対するプロットである。菱形は従来のランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【0019】
【図5】実施例5のポリマー(曲線1)及び比較例のポリマーF(曲線2)について、TREF分画されたエチレン/1−オクテンコポリマー分画物のオクテン含有量の、分画物のTREF溶出温度に対するプロットである。四角は比較例Fを表す;三角は実施例5を表す。
【0020】
【図6】比較例のエチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)及びプロピレン/エチレンコポリマー(曲線3)、ならびに、異なる量の鎖シャトル剤を用いて作製された本発明の2つのエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)について温度の関数としてのlog貯蔵弾性率のグラフである。
【0021】
【図7】いくつかの公知なポリマーと比較された時、いくつかの本発明のポリマー(菱形によって表される)についてTMA(1mm)対曲げ弾性率のプロットを示す。三角は様々なDow VERSIFY(登録商標)ポリマーを表す;丸は様々なランダムエチレン/スチレンコポリマーを表す;四角は様々なDow AFFINITY(登録商標)ポリマーを表す。
【0022】
【図8】オレフィンブロックコポリマーについてeビーム照射対パーセント架橋のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一般的定義
本明細書で使用される場合、「弾性」材料は、バイアス力を加えた後で、材料が大きいパーセント弾性回復率(すなわち、低いパーセント永久歪み)を有するならば、弾性として(又は、伸縮性を有するとして)典型的には特徴づけられる。いくつかの実施形態において、弾性材料は、3つの重要な特性の組合せによって、すなわち、(i)歪みを受けた時の低い応力又は負荷、(ii)低いパーセント応力緩和又はパーセント負荷緩和、及び、(iii)低いパーセント永久歪みの組合せによって特徴づけられる。別の言い方をすれば、(i)材料を伸ばすための低い応力要求又は負荷要求、(ii)材料が伸ばされると、応力の緩和がゼロであるか、又は低いこと、あるいは、無負荷であること、及び、(iii)伸び、バイアス又は歪みを加えることが中断された後での、元の大きさへの完全な回復又は大きい回復が存在しなければならない。
【0024】
用語「耐える」は、特定の処理に「耐える」布地又は物品に関連して使用される時、布地が、その特定の処置が行われた後、たて糸方向及びよこ糸方向の両方において、言及されたパーセントよりも小さい膨張を示すことを意味する。典型的には、言及された量は約25%未満であり、好ましくは約20%未満であり、好ましくは約15%未満であり、好ましくは約10%未満であり、又は、最も好ましくは約8%未満である。
【0025】
用語「膨張(growth)」は、残留伸び、すなわち、負荷を所与の長さの時間にわたって加え、その後、元に戻らせた後で布地が長くなっている量で、最初の布地の大きさの百分率として表される量を示す。膨張は、ASTM D3107を使用して求めることができる。典型的には、本発明の布地の膨張は約25%未満であり、好ましくは約20%未満であり、好ましくは約15%未満であり、好ましくは約10%未満であり、又は、最も好ましくは約8%未満である。
【0026】
用語「処理」には、任意のプロセスが含まれ、例えば、化学的処理又は熱処理、洗濯、あるいは、仕上げ工程などが含まれる。1つの態様において、処理には、a)10重量%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に対する、少なくとも140°Fの温度での少なくとも90分間の暴露、b)5重量%の過マンガン酸塩溶液に対する、少なくとも140°Fの温度での少なくとも90分間の暴露、c)少なくとも65℃の温度での50サイクルの産業的洗濯、d)AATCC試験法158を使用するペルクロロエチレンによる20サイクルのドライクリーニング、又は、e)苛性アルカリ条件(28ボーメから33ボーメ又は約20%のNaOHあるいはそれ以上)のもとでの、少なくとも約60℃の温度での60秒間以上のシルケット加工の1つ又はそれ以上が含まれる。本発明の布地は上記処理の2つ又はそれ以上に耐える能力を有することができる。このことは、布地の1枚が、例えば、処理a)に耐える能力を有することができ、同じ布地の別個の1枚が、処理b)、処理c)、処理d)又は処理e)に耐える能力を有し得ることを意味する。同じ布地片が、例えば、処理a)を受け、次いで、処理b)を受けることに耐えることが必ずしも意味されない。しかしながら、本発明のいくつかの布地は、例えば、処理a)を受け、次いで、処理b)を受けることに耐えることができる。
【0027】
「ポリマー」は、同じタイプのものであろうとも、又は、異なるタイプのものであろうとも、モノマーを重合することによって調製される多量体化合物である。総称用語の「ポリマー」は、用語「ホモポリマー」、用語「コポリマー」、用語「ターポリマー」、同様にまた、用語「インターポリマー」を包含する。
【0028】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。総称用語の「インターポリマー」には、用語「コポリマー」(これは通常、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを示すために用いられる)、ならびに、用語「ターポリマー」(これは通常、3つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを示すために用いられる)が含まれる。総称用語の「インターポリマー」はまた、4つ又はそれ以上のタイプのモノマーを重合することによって作製されるポリマーも包含する。
【0029】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は一般には、エチレンと、3個又はそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンとを含むポリマーを示す。好ましくは、エチレンがポリマー全体の大部分のモル分率を構成する。すなわち、エチレンがポリマー全体の少なくとも約50モルパーセントを含む。より好ましくは、エチレンが、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント又は少なくとも約80モルパーセントを含み、ポリマー全体の実質的な残りが、3個又はそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンであることが好ましい少なくとも1つの他のコモノマーを含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーについて、好ましい組成は、ポリマー全体の約80モルパーセントを超えるエチレン含有量、及び、ポリマー全体の約10モルパーセントから約15モルパーセント、好ましくは、約15モルパーセントから約20モルパーセントのオクテン含有量を含む。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーには、低い収率で、又は、少量で、又は、化学プロセスの副産物として生じるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは含まれない。エチレン/α−オレフィンインターポリマーを1つ又はそれ以上のポリマーと混合することができる一方で、製造されたままのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは実質的に純粋であり、また、多くの場合、重合プロセスの反応生成物の主要な成分を構成する。
【0030】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン及び1つ又はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ又はそれ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態で含む。すなわち、エチレン/α−オレフィンインターポリマーはブロックインターポリマーであり、好ましくは、マルチブロックインターポリマー又はマルチブロックコポリマーである。用語「インターポリマー」及び用語「コポリマー」は本明細書では交換可能に使用される。いくつかの実施形態において、マルチブロックコポリマーは下記の式によって表すことができる:
(AB)n
式中、nは少なくとも1であり、好ましくは、1よりも大きい整数であり、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100又はそれ以上であり、「A」はハードブロック又はハードセグメントであり、「B」はソフトブロック又はソフトセグメントである。好ましくは、A及びBは、実質的に分岐した様式又は実質的に星形形状の様式とは対照的に、実質的に線状の様式で連結される。他の実施形態において、Aブロック及びBブロックはポリマー鎖に沿ってランダムに分布する。別の言い方をすれば、ブロックコポリマーは通常、下記のような構造を有しない:
AAA−AA-BBB−BB
【0031】
なおさらに他の実施形態において、ブロックコポリマーは通常、異なるコモノマー(1つ又はそれ以上)を含む第3のタイプのブロックを有しない。さらに他の実施形態において、ブロックA及びブロックBのそれぞれは、モノマー又はコモノマーがそのブロックの内部において実質的にランダムに分布する。別の言い方をすれば、ブロックA又はブロックBのいずれも、異なった組成の2つ又はそれ以上のサブセグメント(又はサブブロック)を含まず、例えば、ブロックの残りとは実質的に異なる組成を有する先端セグメントなどを含まない。
【0032】
マルチブロックポリマーは典型的には、様々な量の「ハード」セグメント及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンがポリマーの重量に基づいて約95重量パーセントを超える量、好ましくは、約98重量パーセントを超える量で存在する重合したユニットのブロックを示す。別の言い方をすれば、ハードセグメントにおけるコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)がポリマーの重量に基づいて約5重量パーセント未満、好ましくは、約2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、ハードセグメントは全面的にエチレンを含むか、又は、実質的に全面的にエチレンを含む。他方で、「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて、約5重量パーセントを超え、好ましくは、約8重量パーセントを超えるか、又は、約10重量パーセントを超えるか、又は、約15重量パーセントを超える重合したユニットのブロックを示す。いくつかの実施形態において、ソフトセグメントにおけるコモノマー含有量は約20重量パーセントを超えることができ、又は、約25重量パーセントを超えることができ、又は、約30重量パーセントを超えることができ、又は、約35重量パーセントを超えることができ、又は、約40重量パーセントを超えることができ、又は、約45重量パーセントを超えることができ、又は、約50重量パーセントを超えることができ、又は、約60重量パーセントを超えることができる。
【0033】
ソフトセグメントは、多くの場合、ブロックインターポリマーにおいて、ブロックインターポリマーの総重量の約1重量パーセントから約99重量パーセントで存在することができ、好ましくは、ブロックインターポリマーの総重量の約5重量パーセントから約95重量パーセント、又は、約10重量パーセントから約90重量パーセント、又は、約15重量パーセントから約85重量パーセント、又は、約20重量パーセントから約80重量パーセント、又は、約25重量パーセントから約75重量パーセント、又は、約30重量パーセントから約70重量パーセント、又は、約35重量パーセントから約65重量パーセント、又は、約40重量パーセントから約60重量パーセント、又は、約45重量パーセントから約55重量パーセントで存在することができる。逆に、ハードセグメントは、類似する範囲で存在することができる。ソフトセグメントの重量百分率及びハードセグメントの重量百分率は、DSC又はNMRから得られるデータに基づいて計算することができる。そのような方法及び計算が、同時に出願された米国特許出願第11/376,835号(代理人文書番号385063−999558、これは、発明の名称が「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー」であり、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlittらの名で2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡される)に開示される(その開示はその全体において参照により本明細書に組み込まれる)。
【0034】
用語「結晶性(の)」は、用いられるならば、示差走査熱量測定法(DSC)又は同等な技術によって求められるような一次転移点又は結晶性融点(Tm)を有するポリマーを示す。この用語は、用語「半結晶性(の)」と交換可能に使用することができる。用語「非晶質(の)」は、示差走査熱量測定法(DSC)又は同等な技術によって求められるような結晶性融点を有しないポリマーを示す。
【0035】
用語「マルチブロックコポリマー」又は用語「セグメント化コポリマー」は、線状様式で好ましくは連結される2つ又はそれ以上の化学的に異なった領域又はセグメント(これらは「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわち、ペンダント様式又はグラフト化様式ではなく、むしろ、重合したエチレン性官能基に関して末端・末端で連結される化学的に区別されるユニットを含むポリマーを示す。好ましい実施形態において、ブロックは、ブロックに取り込まれるコモノマーの量又はタイプ、密度、結晶化度の量、そのような組成のポリマーに起因し得るクリスタリットサイズ、タクチシティーのタイプ又は程度(アイソタクチック又はシンジオタクチック)、レジオ規則性又はレジオ不規則性、分岐の量(長鎖分岐又は超分岐を含む)、均質性、あるいは、何らかの他の化学的特性又は物理的特性において異なる。マルチブロックコポリマーは、コポリマーを作製する特有のプロセスのために、両方の多分散度指数の特有の分布(PDI又はMw/Mn)、ブロック長分布及び/又はブロック数分布によって特徴づけられる。より具体的には、連続プロセスで製造される時、ポリマーは1.7から2.9のPDIを有することが望ましく、好ましくは1.8から2.5のPDI、より好ましくは1.8から2.2のPDI、最も好ましくは1.8から2.1のPDIを有する。回分式又は半回分式のプロセスで製造される時、ポリマーは1.0から2.9のPDIを有し、好ましくは1.3から2.5のPDI、より好ましくは1.4から2.0のPDI、最も好ましくは1.4から1.8のPDIを有する。
【0036】
下記の説明において、本明細書に開示されるすべての数字は、「約」又は「およそ」の語句が数字に関連して使用されるかどうかにかかわらず、近似値である。本明細書に開示される数字は、1パーセント、2パーセント、5パーセント、又は、時には、10パーセントから20パーセント変化する場合がある。下限(R)及び上限(R)を伴う数値範囲が開示される時には常に、その範囲に含まれる数字はどれも、具体的に開示される。具体的には、範囲に含まれる下記の数字が具体的に開示される:R=R+k(R−R)、式中、kは、1パーセントから100パーセントにまで1パーセント刻みで及ぶ変数であり、すなわち、kは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント、・・・、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント又は100パーセントである。そのうえ、上記で定義されるように2つのRの数字によって定義される数値範囲はどれもまた、具体的に開示される。
【0037】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実施形態において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(これはまた、「本発明のインターポリマー」又は「本発明のポリマー」として示される)は、エチレン及び1つ又はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ又はそれ以上の重合したユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態(ブロックインターポリマー)において、好ましくは、マルチブロックコポリマーにおいて含む。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、下記のように記載される態様の1つ又はそれ以上によって特徴づけられる。
【0038】
1つの態様において、本発明の実施形態において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7から約3.5のMw/Mn、ならびに、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有し、ただし、これらの変数の数値は下記の関係に対応する:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)、好ましくは
≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)、より好ましくは
≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
【0039】
そのような融点/密度の関係が図1に例示される。その融点が密度の低下とともに低下するエチレン/α−オレフィンの従来のランダムコポリマーとは異なり、本発明のインターポリマー(菱形によって表される)は、特に密度が約0.87g/ccから約0.95g/ccの間にある時、密度に実質的に依存しない融点を示する。例えば、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccにまで及んでいる時、約110℃から約130℃の範囲にある。いくつかの実施形態において、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccにまで及んでいる時、約115℃から約125℃の範囲にある。
【0040】
別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合した形態で、エチレン及び1つ又はそれ以上のα−オレフィンを含み、最も高い示差走査熱量測定法(「DSC」)ピークについての温度−最も高い結晶化分析分画化(「CRYSTAF」)ピークについての温度として定義されるΔT(摂氏度)、及び、J/g単位での所定の融解熱(ΔH)によって特徴づけられ、ΔT及びΔHが下記の関係を満たす:
130J/gまでのΔHについて、
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、より好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95。
そのうえ、ΔTは、130J/gよりも大きいΔHについては48℃以上である。CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ(すなわち、ピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを表さなければならない)、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃でり、ΔHはJ/gの単位での融解熱の数値である。より好ましくは、最大のCRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも10パーセントを含有する。図2は、本発明のポリマーならびに比較ポリマーについてのプロットされたデータを示す。積分ピーク面積及びピーク温度が、装置製造者により供給されるコンピューター描画プログラムによって計算される。ランダムエチレンオクテン比較ポリマーについて示される対角線は、式ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に対応する。
【0041】
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、昇温溶出分画化(「TREF」)を使用して分画化される時、40℃から130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、この場合、前記分子分画物は、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも大きいモルコモノマー含有量、好ましくは少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量、より好ましくは少なくとも10パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられ、ただし、比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、かつ、ブロックインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較可能なインターポリマーのMw/Mnもまた、ブロックインターポリマーのMw/Mnの10パーセント以内であり、及び/又は、比較可能なインターポリマーはブロックインターポリマーの総コモノマー含有量の10重量パーセント以内の総コモノマー含有量を有する。
【0042】
なおさらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される所定の弾性回復率(Re、300パーセントの歪み及び1サイクルでのパーセント)によって特徴づけられ、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有し、ただし、Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない時、下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d)、好ましくは
Re≧1491−1629(d)、より好ましくは
Re≧1501−1629(d)、一層より好ましくは
Re≧1511−1629(d)。
【0043】
図3は、いくつかの本発明のインターポリマー及び従来のランダムコポリマーから作製された未延伸フィルムについて弾性回復率に対する密度の影響を示す。同じ密度については、本発明のインターポリマーの方が実質的に大きい弾性回復率を有する。
【0044】
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、10MPaを超える引張り強さ、好ましくは11MPa以上の引張り強さ、より好ましくは13MPa以上の引張り強さ、及び/又は、少なくとも600パーセントの破断点伸び、より好ましくは少なくとも700パーセントの破断点伸び、非常に好ましくは少なくとも800パーセントの破断点伸び、最も非常に好ましくは少なくとも900パーセントの破断点伸びを11cm/分のクロスヘッド分離速度において有する。
【0045】
他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、(1)1から50、好ましくは1から20、より好ましくは1から10の貯蔵弾性比率(G’(25℃)/G’(100℃))、及び/又は、(2)0パーセントの圧縮永久歪みに至るまでの、80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、とりわけ、60パーセント未満、50パーセント未満、又は、40パーセント未満の70℃圧縮永久歪みを有する。
【0046】
さらに他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満又は50パーセント未満の70℃圧縮永久歪みを有する。好ましくは、インターポリマーの70℃圧縮永久歪みは40パーセント未満であり、30パーセント未満であり、20パーセント未満であり、また、約0パーセントにまで低下する場合がある。
【0047】
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、85J/g未満の融解熱、及び/又は、100ポンド/フィート(4800Pa)以下のペレットブロッキング強度、好ましくは50lbs/ft(2400Pa)以下のペレットブロッキング強度、とりわけ、5lbs/ft(240Pa)以下のペレットブロッキング強度、0lbs/ft(0Pa)もの低いペレットブロッキング強度を有する。
【0048】
他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合した形態で、少なくとも50モルパーセントのエチレンを含み、また、ゼロパーセントに至るまでの、80パーセント未満の70℃圧縮永久歪み、好ましくは、70パーセント未満又は60パーセント未満の70℃圧縮永久歪み、最も好ましくは、40から50パーセント未満の70℃圧縮永久歪みを有する。
【0049】
いくつかの実施形態において、マルチブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなく、むしろ、シュルツ・フローリー分布に合うPDIを有する。コポリマーはさらに、多分散ブロック分布及びブロックサイズの多分散分布の両方を有するとして、また、ブロック長さの最大確率分布を有するとして特徴づけられる。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端のブロックを含めて4つ又はそれ以上のブロック又はセグメントを含有するマルチブロックコポリマーである。より好ましくは、コポリマーは、末端のブロックを含めて、少なくとも5個、10個又は20個のブロック又はセグメントを含む。
【0050】
コモノマー含有量を、任意の好適な技術を使用して測定することができ、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術が好ましい。そのうえ、比較的幅広いTREF曲線を有するポリマー又はポリマーのブレンド配合物については、ポリマーは望ましくは、最初に、10℃又はそれ以下の溶出された温度範囲をそれぞれが有する分画物に、TREFを使用して分画化される。すなわち、それぞれの溶出された分画物が10℃又はそれ以下の回収温度域を有する。この技術を使用した時、前記ブロックインターポリマーは、比較可能なインターポリマーの対応する分画物よりも大きいモルコモノマー含有量を有する少なくとも1つのそのような分画物を有する。
【0051】
別の態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマー、好ましくは、エチレン及び1つ又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ又はそれ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック(すなわち、少なくとも2つのブロック)又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態において含むオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、この場合、前記ブロックインターポリマーは、(個々の分画物を回収及び/又は単離することはないが)40℃から130℃の間で溶出するピーク(分子分画物だけではないが)を有しており、この場合、前記ピークは、半値全幅(FWHM)面積計算を使用して拡張された時、赤外分光法によって推定されるコモノマー含有量を有しており、同じ溶出温度において、また、半値全幅(FWHM)面積計算を使用して拡張された時、比較可能なランダムエチレンインターポリマーのピークの平均モルコモノマー含有量よりも大きい平均モルコモノマー含有量、好ましくは少なくとも5パーセント大きい平均モルコモノマー含有量、より好ましくは少なくとも10パーセント大きい平均モルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられ、ただし、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、ブロック化インターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較可能なインターポリマーのMw/Mnもまた、ブロック化インターポリマーのMw/Mnの10パーセント以内であり、及び/又は、比較可能なインターポリマーはブロック化インターポリマーの総コモノマー含有量の10パーセント以内の総コモノマー含有量を有する。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外検出器からのメチル応答面積対メチレン応答面積の比率[CH/CH]に基づいており、この場合、最も高い(最大)ピークがベースラインから特定され、その後、FWHM面積が求められる。ATREFピークを使用して測定される分布については、FWHM面積が、Tと、Tとの間における曲線の下側の面積として定義され、ただし、T及びTは、ピーク高さを2で割り、その後、ATREF曲線の左側部分及び右側部分と交わる、ベースラインに対して水平な直線を引くことによって、ATREFピークの左側及び右側に対して決定される点である。コモノマー含有量についての検量線が、ランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーを使用し、NMRからのコモノマー含有量をTREFピークのFWHM面積比に対してプロットして作製される。この赤外法のために、検量線が、目的とする同じコモノマータイプについて作製される。本発明のポリマーのTREFピークのコモノマー含有量を、TREFピークのそのFWHMでのメチル面積:メチレン面積の比率[CH/CH]を使用してこの検量線を参照することによって求めることができる。
【0052】
コモノマー含有量を、任意の好適な技術を使用して測定することができ、核磁気共鳴(NMR)分光法に基づく技術が好ましい。この技術を使用した時、前記ブロック化インターポリマーは、対応する比較可能なインターポリマーよりも大きいモルコモノマー含有量を有する。
【0053】
好ましくは、エチレン及び1−オクテンのインターポリマーについて、ブロックインターポリマーは、40℃から130℃の間で溶出するTREF分画物のコモノマー含有量が、(−0.2013)T+20.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、式中、Tは、℃の単位で測定される、比較されているTREF分画物のピーク溶出温度の数値である。
【0054】
図4は、エチレン及び1−オクテンのブロックインターポリマーの一実施形態をグラフにより示し、この場合、いくつかの比較可能なエチレン/1−オクテンインターポリマー(ランダムコポリマー)についてのコモノマー含有量対TREF溶出温度のプロットが、(−0.2013)T+20.07を表す直線(実線)に対して合わせられる。(−0.2013)T+21.07の式についての直線が点線によって示される。本発明のいくつかのブロックエチレン/1−オクテンインターポリマー(マルチブロックコポリマー)の分画物についてのコモノマー含有量もまた示される。ブロックインターポリマー分画物のすべてが、等しい溶出温度において、いずれかの直線よりも著しく大きい1−オクテン含有量を有する。この結果は本発明のインターポリマーに特徴的であり、また、結晶性及び非晶質性の両方を有する差のあるブロックがポリマー鎖内に存在するためであると考えられる。
【0055】
図5は、下記で議論される実施例5及び比較例Fについてポリマー分画物のTREF曲線及びコモノマー含有量をグラフにより示す。両方のポリマーについて40℃から130℃、好ましくは60℃から95℃で溶出するピークが、それぞれの部分が10℃未満の温度範囲にわたって溶出する3つの部分に分画化される。実施例5についての実際のデータが三角によって表される。当業者は、適切な検量線が、異なるコモノマーを含有するインターポリマーについて構築され得ること、及び、比較として使用される直線が、同じモノマーの比較インターポリマー、好ましくは、メタロセン又は他の均一触媒組成物を使用して作製されるランダムコポリマーから得られるTREF値に対して合わせられ得ることを理解することができる。本発明のインターポリマーは、同じTREF溶出温度において検量線から求められる値よりも大きい、好ましくは少なくとも5パーセント大きい、より好ましくは少なくとも10パーセント大きいモルコモノマー含有量によって特徴づけられる。
【0056】
上記の態様及び本明細書に記載される特性に加えて、本発明のポリマーは1つ又はそれ以上のさらなる特徴によって特徴づけられ得る。1つの態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマー、好ましくは、エチレン及び1つ又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ又はそれ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態において含むオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、この場合、前記ブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分画化された時、40℃から130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、前記分子分画物は、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコノモンマー含有量よりも大きいモルコモノマー含有量、好ましくは少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量、より好ましくは少なくとも10パーセント、15パーセント、20パーセント又は25パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられ、ただし、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、好ましくは、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーであり、また、ブロック化インターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較可能なインターポリマーのMw/Mnもまた、ブロック化インターポリマーのMw/Mnの10パーセント以内であり、及び/又は、比較可能なインターポリマーはブロック化インターポリマーの総コモノマー含有量の10パーセント以内の総コモノマー含有量を有する。
【0057】
好ましくは、上記インターポリマーは、エチレン及び少なくとも1つα−オレフィンのインターポリマーであり、特に、約0.855g/cmから約0.935g/cmの全体的なポリマー密度を有するそのようなインターポリマーであり、より特に、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーについては、ブロック化インターポリマーは、40℃から130℃の間で溶出するTREF分画物のコモノマー含有量が、(−0.1356)T+13.89の量に等しいか、又は、それよりも大きく、より好ましくは、(−0.1356)T+14.93の量に等しいか、又は、それよりも大きく、最も好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、式中、Tは、℃の単位で測定される、比較されているTREF分画物のピークATREF溶出温度の数値である。
【0058】
好ましくは、エチレン及び少なくとも1つアルファ−オレフィンの上記インターポリマーについては、特に、約0.855g/cmから約0.935g/cmの全体的なポリマー密度を有するそのようなインターポリマーについては、より特に、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーについては、ブロック化インターポリマーは、40℃から130℃の間で溶出するTREF分画物のコモノマー含有量が、(−0.2013)T+20.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、式中、Tは、℃の単位で測定される、比較されているTREF分画物のピーク溶出温度の数値である。
【0059】
さらに別の態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマー、好ましくは、エチレン及び1つ又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ又はそれ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態において含むオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、この場合、前記ブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分画化された時、40℃から130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、前記分子分画物は、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含有量を有する分画物のどれもが、約100℃を超える融点を有することにおいて特徴づけられる。約3モルパーセントから約6モルパーセントのコモノマー含有量を有するそのような分画物については、どの分画物も、約110℃又はそれ以上のDSC融点を有する。より好ましくは、前記ポリマー分画物は、少なくとも約1モルパーセントのコモノマー含有量を有する場合、下記の式に対応するDSC融点を有する:
Tm≧(−5.5926)(分画物におけるモルパーセントコモノマー)+135.90。
【0060】
さらに別の態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマー、好ましくは、エチレン及び1つ又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ又はそれ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態において含むオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、この場合、前記ブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分画化された時、40℃から130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、前記分子分画物は、約76℃以上のATREF溶出温度を有する分画物のどれもが、下記の式に対応する、DSCによって測定されるような融解エンタルピー(融解熱)を有する:
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(ATREF溶出温度、℃)−136.58。
【0061】
本発明のブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分画化された時、40℃から130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、前記分子分画物は、ATREF溶出温度を40℃から約76℃未満の間に有する分画物のどれもが、下記の式に対応する、DSCによって測定されるような融解エンタルピー(融解熱)を有する:
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(ATREF溶出温度、℃)+22.97。
【0062】
赤外検出器によるATREFピークのコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成を、Polymer Char(Valencia、スペイン)(http://www.polymerchar.com/)から入手可能なIR4赤外検出器を使用して測定することができる。
【0063】
検出器の「組成モード」は、2800cm−1から3000cm−1の領域における固定された狭帯域赤外フィルターである測定センサー(CH)及び組成センサー(CH)を備える。測定センサーにより、ポリマーにおけるメチレン(CH)炭素(これは溶液中のポリマー濃度に直接に関係づけられる)が検出され、一方で、組成センサーにより、ポリマーのメチル(CH)基が検出される。測定シグナル(CH)によって除された組成シグナル(CH)の数学的比率は、溶液中の測定ポリマーのコモノマー含有量に対して敏感であり、その応答が、公知のエチレン/アルファ−オレフィンコポリマー標準物を用いて較正される。
【0064】
検出器は、ATREF装置とともに使用された時、TREFプロセス中における溶出ポリマーの濃度(CH)及び組成(CH)の両方のシグナル応答を提供する。ポリマー特異的な較正を、(好ましくはNMRによって測定される)公知のコモノマー含有量を有するポリマーについてCH対CHの面積比を測定することによって行うことができる。ポリマーのATREFピークのコモノマー含有量を、個々のCH応答及びCH応答についての面積の比率(すなわち、面積比(CH/CH)対コモノマー含有量)の参照用の較正を適用することによって推定することができる。
【0065】
ピークの面積は、適切なベースラインを、TREFクロマトグラムからの個々のシグナル応答を積分するために適用した後、半値全幅(FWHM)計算を使用して計算することができる。半値全幅計算は、ATREF赤外検出器からのメチル応答面積対メチレン応答面積の比率[CH/CH]に基づいており、この場合、最も高い(最大)ピークがベースラインから特定され、その後、FWHM面積が求められる。ATREFピークを使用して測定される分布については、FWHM面積が、T1と、T2との間における曲線の下側の面積として定義され、ただし、T1及びT2は、ピーク高さを2で割り、その後、ATREF曲線の左側部分及び右側部分と交わる、ベースラインに対して水平な直線を引くことによって、ATREFピークの左側及び右側に対して決定される点である。
【0066】
ポリマーのコモノマー含有量をこのATREF赤外法で測定するための赤外分光法の適用は、原理的には、下記の参考文献に記載されるようなGPC/FTIRシステムの適用と類似している:Markovich, Ronald P.; Hazlitt, Lonnie G.; Smith, Linley; 「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers」, Polymeric Materials Science and Engineering (1991), 65, 98-100、及び、Deslauriers, P.J.; Rohlfing, D.C.; Shieh, E.T.; 「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier trasnform infrared spectroscopy (SEC-FTIR)」, Polymer (2002), 43, 59-170(これらはともに、その全体において参照により本明細書に組み込まれる)。
【0067】
他の実施形態において、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ゼロよりも大きく、約1.0までの平均ブロックインデックス(ABI)、及び、約1.3よりも大きい分子量分布(M/M)によって特徴づけられる。平均ブロックインデックス(ABI)は、5℃の刻みによる20℃から110℃までの調製用TREFにおいて得られるポリマー分画物のそれぞれについてのブロックインデックス(「BI」)の重量平均である:
ABI=Σ(wBI
式中、BIは、調製用TREFにおいて得られる本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の分画物のブロックインデックスであり、wはi番目の分画物の重量百分率である。
【0068】
それぞれのポリマー分画物について、BIは2つの下記の式(これらはともに、同じBI値を与える)の1つによって定義される:
BI=(1/T−1/TXO)/(1/T−1/TAB
又は
BI=−(LnP−LnPXO)/(LnP−LnPAB
式中、Tはi番目の分画物についての調製用ATREF溶出温度(好ましくはケルビン単位で表される)であり、Pはi番目の分画物についてのエチレンモル分率であり、これは、上記で記載されるようにNMR又はIRによって測定することができる。PABは(分画化前の)エチレン/α−オレフィンインターポリマー全体のエチレンモル分率であり、これもまた、NMR又はIRによって測定することができる。T及びPは、純粋な「ハードセグメント」(これはインターポリマーの結晶性セグメントを示す)についてのATREF溶出温度及びエチレンモル分率である。一次の近似として、T及びPの値は、「ハードセグメント」についての実際の値が得られないならば、高密度ポリエチレンホモポリマーについての値に設定される。本明細書で行われる計算のために、Tは372°Kであり、Pは1である。
【0069】
ABは、同じ組成で、PABのエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TABを下記の式から計算することができる:
LnPAB=α/TAB+β
式中、α及びβは、いくつかの公知なランダムエチレンコポリマーを使用して較正によって求めることができる2つの定数である。なお、α及びβは装置毎に変化し得る。そのうえ、それら自身の検量線を、目的とするポリマー組成に関して、また、分画物と類似する分子量範囲において作製する必要がある。わずかな分子量効果が認められる。検量線が、類似する分子量範囲から得られるならば、そのような影響は本質的には無視することができる。いくつかの実施形態において、ランダムエチレンコポリマーは下記の関係を満足する:
LnP=−237.87/TATREF+0.639。
XOは、同じ組成で、Pのエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOを、LnP=α/TXO+βから計算することができる。逆に、PXOは、同じ組成で、TのATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル分率であり、これを、LnPXO=α/T+βから計算することができる。
【0070】
それぞれの調製用TREF分画物についてのブロックインデックス(BI)が得られると、ポリマー全体についての重量平均ブロックインデックス(ABI)を計算することができる。いくつかの実施形態において、ABIはゼロよりも大きく、しかし、約0.3未満であり、又は、約0.1から約0.3である。他の実施形態において、ABIは約0.3よりも大きく、約1.0までである。好ましくは、ABIは、約0.4から約0.7の範囲、又は、約0.5から約0.7の範囲、又は、約0.6から約0.9の範囲でなければならない。いくつかの実施形態において、ABIは、約0.3から約0.9の範囲、又は、約0.3から約0.8の範囲、又は、約0.3から約0.7の範囲、又は、約0.3から約0.6の範囲、又は、約0.3から約0.5の範囲、又は、約0.3から約0.4の範囲である。他の実施形態において、ABIは、約0.4から約1.0の範囲、又は、約0.5から約1.0の範囲、又は、約0.6から約1.0の範囲、又は、約0.7から約1.0の範囲、又は、約0.8から約1.0の範囲、又は、約0.9から約1.0の範囲である。
【0071】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの別の特徴は、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、調製用TREFによって得ることができる少なくとも1つのポリマー分画物を含むことであり、この場合、この分画物は、約0.1よりも大きく、約1.0までのブロックインデックス、及び、約1.3よりも大きい分子量分布(M/M)を有する。いくつかの実施形態において、ポリマー分画物は、約0.6よりも大きく、約1.0までのブロックインデックス、又は、約0.7よりも大きく、約1.0までのブロックインデックス、又は、約0.8よりも大きく、約1.0までのブロックインデックス、又は、約0.9よりも大きく、約1.0までのブロックインデックスを有する。他の実施形態において、ポリマー分画物は、約0.1よりも大きく、約1.0までのブロックインデックス、又は、約0.2よりも大きく、約1.0までのブロックインデックス、又は、約0.3よりも大きく、約1.0までのブロックインデックス、又は、約0.4よりも大きく、約1.0までのブロックインデックス、又は、約0.4よりも大きく、約1.0までのブロックインデックスを有する。さらに他の実施形態において、ポリマー分画物は、約0.1よりも大きく、約0.5までのブロックインデックス、又は、約0.2よりも大きく、約0.5までのブロックインデックス、又は、約0.3よりも大きく、約0.5までのブロックインデックス、又は、約0.4よりも大きく、約0.5までのブロックインデックスを有する。さらに他の実施形態において、ポリマー分画物は、約0.2よりも大きく、約0.9までのブロックインデックス、又は、約0.3よりも大きく、約0.8までのブロックインデックス、又は、約0.4よりも大きく、約0.7までのブロックインデックス、又は、約0.5よりも大きく、約0.6までのブロックインデックスを有する。
【0072】
エチレン及びα−オレフィンのコポリマーについて、本発明のポリマーは、好ましくは、(1)少なくとも1.3のPDI、より好ましくは、少なくとも1.5又は少なくとも1.7又は少なくとも2.0のPDI、最も好ましくは少なくとも2.6のPDIで、5.0の最大値までのPDI、より好ましくは3.5の最大値までのPDI、とりわけ、2.7の最大値までのPDI;(2)80J/g又はそれ以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含有量;(4)−25℃未満、より好ましくは−30℃未満のガラス転移温度(T);及び/又は(5)ただ1つのTを有する。
【0073】
さらに、本発明のポリマーは、単独で、又は、本明細書に開示される何らかの他の特性との組合せで、貯蔵弾性率(G’)を、log(G’)が100℃の温度で400kPa以上、好ましくは1.0MPa以上であるように有することができる。そのうえ、本発明のポリマーは、ブロックコポリマーに特徴的であり、また、オレフィンコポリマー(とりわけ、エチレン及び1つ又はそれ以上のC3−8脂肪族α−オレフィンのコポリマー)についてはこれまで知られていない、(図6に例示される)0℃から100℃の範囲における温度の関数としての比較的平坦な貯蔵弾性率を有する。(この関連での用語「比較的平坦な」によって、logG’(パスカル単位)が、50℃から100℃の間で、好ましくは0℃から100℃の間で1桁以上低下しないことが意味される)。
【0074】
本発明のインターポリマーはさらに、少なくとも90℃の温度における1mmの熱機械分析浸透深さ、ならびに、3kpsi(20MPa)から13kpsi(90MPa)の曲げ弾性率によって特徴づけられることがある。代替として、本発明のインターポリマーは、少なくとも104℃の温度における1mmの熱機械分析浸透深さ、ならびに、少なくとも3kpsi(20MPa)の曲げ弾性率を有することができる。本発明のインターポリマーは、90mm未満の耐摩耗性(又は体積減少)を有するとして特徴づけられることがある。図7は、他の公知なポリマーと比較して、本発明のポリマーについてのTMA(1mm)対曲げ弾性率を示す。本発明のポリマーは、そのような他のポリマーよりも著しく良好な柔軟性−耐熱性のバランスを有する。
【0075】
加えて、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01g/10分から2000g/10分のメルトインデックス(I)、好ましくは0.01g/10分から1000g/10分のメルトインデックス(I)、より好ましくは0.01g/10分から500g/10分のメルトインデックス(I)、とりわけ、0.01g/10分から100g/10分のメルトインデックス(I)を有することができる。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I)、0.5g/10分から50g/10分のメルトインデックス(I)、1g/10分から30g/10分のメルトインデックス(I)、1g/10分から6g/10分のメルトインデックス(I)、又は、0.3g/10分から10g/10分のメルトインデックス(I)を有する。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーのメルトインデックスは、1g/10分、3g/10分、又は、5g/10分である。
【0076】
ポリマーは、1,000g/モルから5,000,000g/モルの分子量(M)、好ましくは1000g/モルから1,000,000g/モルの分子量(M)、より好ましくは10,000g/モルから500,000g/モルの分子量(M)、とりわけ、10,000g/モルから300,000g/モルの分子量(M)を有することができる。本発明のポリマーの密度は0.80g/cmから0.99g/cmが可能であり、好ましくは、エチレン含有ポリマーについては0.85g/cmから0.97g/cmが可能である。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーの密度は0.860g/cmから0.925g/cmにまで及ぶか、又は、0.867g/cmから0.910g/cmにまで及ぶ。
【0077】
そのようなポリマーを作製する方法が下記の特許出願に開示されている:米国仮特許出願第60/553,906号(2004年3月17日出願)、米国仮特許出願第60/662,937号(2005年3月17日出願)、米国仮特許出願第60/662,939号(2005年3月17日出願)、米国仮特許出願第60/5662938号(2005年3月17日出願)、PCT出願番号PCT/US2005/008916(2005年3月17日出願)、PCT出願番号PCT/US2005/008915(2005年3月17日出願)、及び、PCT出願番号PCT/US2005/008917(2005年3月17日出願)(これらのすべてがその全体において参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、1つのそのような方法は、エチレンと、必要に応じて、エチレン以外の1つ又はそれ以上の付加重合可能なモノマーとを、
下記の(A)、(B)及び(C)を組み合わせることから得られる混合物又は反応生成物を含む触媒組成物
を伴う付加重合条件下で接触させることを含む:
(A)高いコモノマー取り込み指数を有する第1のオレフィン重合触媒、
(B)触媒(A)のコモノマー取り込み指数の90パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー取り込み指数を有する第2のオレフィン重合触媒、及び
(C)鎖シャトル剤。
【0078】
代表的な触媒及び鎖シャトル剤は下記の通りである。
【0079】
触媒(A1)が[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルであり、これは、WO03/40195、2003US0204017、米国特許出願第10/429,024号(2003年5月2日出願)及びWO04/24740の教示に従って調製される。
【化1】

【0080】
触媒(A2)が[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルであり、これは、WO03/40195、2003US0204017、米国特許出願第10/429,024号(2003年5月2日出願)及びWO04/24740の教示に従って調製される。
【化2】

【0081】
触媒(A3)がビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【化3】

【0082】
触媒(A4)がビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルであり、これは、実質的には米国特許出願公開第2004/0010103号の教示に従って調製される。
【化4】

【0083】
触媒(B1)が1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【化5】

【0084】
触媒(B2)が1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【化6】

【0085】
触媒(C1)が(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルであり、これは、実質的には米国特許第6,268,444号の技術に従って調製される。
【化7】

【0086】
触媒(C2)が(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルであり、これは、実質的には米国特許出願公開第2003/004286号の教示に従って調製される。
【化8】

【0087】
触媒(C3)が(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタンジメチルであり、これは、実質的には米国特許出願公開第2003/004286号の教示に従って調製される。
【化9】

【0088】
触媒(D1)がビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)ジルコニウムジクロリドであり、これはSigma−Aldrichから入手可能である。
【化10】

【0089】
シャトル剤。用いられるシャトル剤には、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)が含まれる。
【0090】
好ましくは、前記方法は、2つ又はそれ以上のモノマー、より特にはエチレン及びC3−20のオレフィン又はシクロオレフィン、最も特にはエチレン及びC4−20α−オレフィンのブロックコポリマー(特にはマルチブロックコポリマー、好ましくは線状マルチブロックコポリマー)を、相互変換ができない多数の触媒を使用して形成させるための連続溶液プロセスの形態を取る。すなわち、これらの触媒は化学的に異なる。連続溶液重合条件のもとで、この方法は、モノマーの混合物を高いモノマー転化率で重合するために理想的に適している。これらの重合条件のもとでは、鎖シャトル剤から触媒への移動が、鎖成長と比較して促進され、マルチブロックコポリマー、とりわけ、線状マルチブロックコポリマーが高い効率で形成される。
【0091】
本発明のインターポリマーは、従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンド配合物、及び、逐次モノマー添加、流動性触媒、アニオンリビング重合技術又はカチオンリビング重合技術によって調製されるブロックコポリマーから区別することができる。具体的には、等価な結晶化度又は弾性率において同じモノマー及びモノマー含有量のランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、融点によって測定されるようなより良好な耐熱性(より大きい耐熱性)、より高いTMA浸透温度、より大きい高温引張り強さ、及び/又は、動的機械分析によって求められるようなより大きい高温ねじり貯蔵弾性率を有する。同じモノマー及びモノマー含有量を含有するランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、より低い圧縮永久歪み(特に、高い温度でのより低い圧縮永久歪み)、より低い応力緩和、より大きい耐クリープ性、より大きい引裂き強度、より大きい耐ブロッキング性、より高い結晶化温度(固化温度)に起因するより速い硬化、より大きい回復率(特に、高い温度でのより大きい回復率)、より良好な耐摩耗性、より大きい収縮力、ならびに、オイル及びフィラーのより良好な受け入れを有する。
【0092】
本発明のインターポリマーはまた、結晶化及び分岐分布の特有な関係を示す。すなわち、本発明のインターポリマーは、とりわけ、同じモノマー及びモノマーレベルを含有するランダムコポリマー、又は、ポリマーの物理的ブレンド配合物、例えば、高密度ポリマーと、より低い密度のコポリマーとのブレンド配合物と比較して、等価な全体的密度において、融解熱の関数としての、CRYSTAF及びDSCを使用して測定される最も高いピークの温度の間における比較的大きい差を有する。本発明のインターポリマーのこの特有な特徴は、ポリマー骨格の内部でのブロックにおけるコモノマーの独特な分布に起因すると考えられる。具体的には、本発明のインターポリマーは、(ホモポリマーブロックを含む)異なるコモノマー含有量の交互ブロックを含むことができる。本発明のインターポリマーはまた、異なる密度又はコモノマー含有量のポリマーブロックの数及び/又はブロックサイズにおける分布(これはシュルツ・フローリー型の分布である)を含むことができる。加えて、本発明のインターポリマーはまた、ポリマーの密度、弾性率及び形態学に実質的に依存しない、ピーク融点及び結晶化温度の特有なプロフィルを有する。好ましい一実施形態において、ポリマーの微結晶性秩序により、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーと識別可能である特徴的な球晶及びラメラが、1.7未満であるか、又は、1.5未満でさえある、1.3未満に至るまでのPDI値においてさえ、明らかにされる。
【0093】
そのうえ、本発明のインターポリマーは、ブロック度の程度又はレベルに影響を及ぼすための様々な技術を使用して調製することができる。すなわち、それぞれのポリマーブロック又はポリマーセグメントのコモノマーの量及び長さを、触媒及びシャトル剤の比率及びタイプ、同様にまた、重合の温度、ならびに、他の重合変数を制御することによって変化させることができる。この現象の驚くべき利点の1つが、ブロック度の程度が増大するにつれ、得られたポリマーの光学特性、引裂き強度及び高温回復率特性が改善されるという発見である。具体的には、曇りが低下し、一方で、透明度、引裂き強度及び高温回復率特性が、ポリマーにおけるブロックの平均数が増大するにつれて増大する。所望される鎖移動能(低いレベルの連鎖停止を伴う高い移動速度)を有するシャトル剤及び触媒の組合せを選択することによって、他の形態のポリマー停止が効果的に抑制される。そのため、β−ヒドリド脱離があったとしても、本発明の実施形態によるエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合ではほとんど観測されず、また、得られる結晶性ブロックは非常に線状であるか、又は、実質的に完全に線状であり、従って、長い鎖の分岐をほとんど有しないか、又は、全く有しない。
【0094】
結晶性の高い鎖末端を有するポリマーを本発明の実施形態に従って選択的に調製することができる、エラストマー適用において、非晶質ブロックで終わるポリマーの相対的な量を減らすことにより、結晶性領域に対する分子間の希釈作用が低下する。この結果を、水素又は他の連鎖停止剤に対する適切な応答を有する鎖シャトル剤及び触媒を選ぶことによって得ることができる。具体的には、結晶性の高いポリマーをもたらす触媒が、結晶性がより低いポリマーセグメントを(より大きいコモノマー取り込み、位置(regio)エラー又はアタクチックポリマー形成などにより)もたらすことに関与する触媒よりも、(水素の使用などによる)連鎖停止に対して敏感であるならば、結晶性の高いポリマーセグメントがポリマーの末端部分に優先的に存在することになる。得られる末端形成基が結晶性であるだけでなく、停止した時、結晶性の高いポリマーを形成する触媒部位が今一度、ポリマー形成の再開始のために利用可能になる。従って、最初に形成されたポリマーは別の結晶性の高いポリマーセグメントとなる。そのため、得られるマルチブロックコポリマーの両末端は先的に非常に結晶性である。
【0095】
本発明のこれらの実施形態において使用されるエチレンα−オレフィンインターポリマーは、好ましくは、エチレンと、少なくとも1つのC−C20α−オレフィンとのインターポリマーである。エチレン及びC−C20α−オレフィンのコポリマーがとりわけ好ましい。インターポリマーはさらに、C−C18ジオレフィン及び/又はアルケニルベンゼンを含むことができる。エチレンと重合するために有用である好適な不飽和コモノマーには、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役型又は非共役型のジエン、ポリエン、アルケニルベンゼンなどが含まれる。そのようなコモノマーの例には、C−C20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン及び1−デセンなどが含まれる。1−ブテン及び1−オクテンがとりわけ好ましい。他の好適なモノマーには、スチレン、ハロ置換又はアルキル置換されたスチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン及びナフテン系(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン及びシクロオクテン)が含まれる。
【0096】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーが好ましいポリマーである一方で、他のエチレン/オレフィンポリマーもまた使用することができる。本明細書で使用されるようなオレフィンは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和な炭化水素系化合物の一群を示す。触媒の選択に依存して、任意のオレフィンを本発明の実施形態において使用することができる。好ましくは、好適なオレフィンは、ビニル性不飽和を含有するC−C20の脂肪族化合物及び芳香族化合物であり、同様にまた、環状化合物、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン及びノルボルネン(C−C20のヒドロカルビル基又はシクロヒドロカルビル基により5位及び6位において置換されるノルボルネン(これに限定されない)を含む)などである。そのようなオレフィンの混合物、ならびにそのようなオレフィンと、C−C40ジオレフィン化合物との混合物もまた含まれる。
【0097】
オレフィンモノマーの例には、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン及び1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン,1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C−C40ジエン(これには、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1.5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが含まれるが、これらに限定されない)、他のC−C40α−オレフィンなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、又は、これらの組合せである。ビニル基を含有する炭化水素はどれも、潜在的には本発明の実施形態において使用することができるが、実用上の様々な問題、例えば、モノマーの入手性、費用、及び、未反応モノマーを得られたポリマーから都合良く除くことができることなどが、モノマーの分子量が大きくなりすぎると、より問題となる場合がある。
【0098】
本明細書に記載される重合方法は、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びt−ブチルスチレンなどをはじめとするモノビニリデン芳香族モノマーを含むオレフィンポリマーの製造のために充分に適する。具体的には、エチレン及びスチレンを含むインターポリマーを本明細書の教示に従うことによって調製することができる。場合により、エチレン、スチレン及びC−C20アルファ−オレフィンを含み、場合によりC−C20ジエンを含む、改善された特性を有するコポリマーを調製することができる。
【0099】
好適な非共役ジエンモノマーは、6個から15個の炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖又は環状の炭化水素ジエンが可能である。好適な非共役ジエンの例には、直鎖の非環式ジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなど)、分岐鎖の非環式ジエン(例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、ならびに、ジヒドロミリセン及びジヒドロシネンの混合異性体など)、単環の脂環式ジエン(例えば、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン及び1,5−シクロドデカジエンなど)、ならびに、多環の脂環式の縮合環ジエン及び架橋環ジエン(例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン、シクロアルケニルノルボルネン及びシクロアルキリデンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンなど)、ならびに、ノルボルナジエンなど)が含まれるが、これらに限定されない。各種のEPDMを調製するために典型的に使用されるジエンの中で、特に好ましいジエンが、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)及びジシクロペンタジエン(DCPD)である。とりわけ好ましいジエンが5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)及び1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0100】
本発明の実施形態に従って作製することができる望ましいポリマーの1つのクラスが、エチレン、C−C20α−オレフィン(とりわけ、プロピレン)、及び、場合により、1つ又はそれ以上のジエンモノマーのエラストマーインターポリマーである。本発明のこの実施形態において使用される好ましいα−オレフィンは、式CH=CHR(式中、Rは、1個から12個の炭素原子の直鎖アルキル基又は分枝アルキル基である)によって示される。好適なα−オレフィンの例には、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクテンが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましいα−オレフィンがプロピレンである。プロピレン系ポリマーは、当分野ではEPポリマー又はEPDMポリマーとして一般に示される。そのようなポリマー(とりわけ、マルチブロックEPDM型ポリマー)を調製することにおいて使用される好適なジエンには、4個から20個の炭素を含む共役型又は非共役型のジエン、直鎖又は分岐鎖のジエン、環式又は多環式のジエンが含まれる。好ましいジエンには、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン及び5−ブチリデン−2−ノルボルネンが含まれる。特に好ましいジエンが5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0101】
ジエン含有ポリマーは、多少なりともある量のジエン(非存在を含む)及びα−オレフィン(非存在を含む)を含有する交互のセグメント又はブロックを含むので、ジエン及びα−オレフィンの総量を、その後のポリマー特性の喪失を伴うことなく減らすことができる。すなわち、ジエンモノマー及びα−オレフィンモノマーが、ポリマー全体にわたって均一又はランダムにではなく、むしろ、ポリマーの1つのタイプのブロックに優先的に取り込まれるので、ジエンモノマー及びα−オレフィンモノマーはより効率的に利用され、その後、ポリマーの架橋密度をより良好に制御することができる。そのような架橋性エラストマー及び硬化製造物は、より大きい引張り強さ及びより良好な弾性回復を含めて、様々な有利な特性を有する。
【0102】
いくつかの実施形態において、異なる量のコモノマーを取り込む2つの触媒を用いて作製される本発明のインターポリマーは、95:5から5:95の、それにより形成されたブロックの重量比率を有する。エラストマーポリマーは、望ましくは、ポリマーの総重量に基づいて、20パーセントから90パーセントのエチレン含有量、0.1パーセントから10パーセントのジエン含有量、及び、10パーセントから80パーセントのα−オレフィン含有量を有する。さらに好ましくは、マルチブロックエラストマーポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、60パーセントから90パーセントのエチレン含有量、0.1パーセントから10パーセントのジエン含有量、及び、10パーセントから40パーセントのα−オレフィン含有量を有する。好ましいポリマーは高分子量のポリマーであり、10,000から約2,500,000(好ましくは20,000から500,000、より好ましくは20,000から350,000)の重量平均分子量(Mw)、及び、3.5未満(より好ましくは3.0未満)の多分散度、及び、1から250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する。より好ましくは、そのようなポリマーは、65パーセントから75パーセントのエチレン含有量、0パーセントから6パーセントのジエン含有量、及び、20パーセントから35パーセントのα−オレフィン含有量を有する。
【0103】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも1つの官能基をそのポリマー構造に取り込むことによって機能化することができる。例示的な官能基には、例えば、エチレン性不飽和のモノ官能性カルボン酸及びジ官能性カルボン酸、エチレン性不飽和のモノ官能性カルボン酸無水物及びジ官能性カルボン酸無水物、それらの塩、ならびに、それらのエステルが含まれ得る。そのような官能基はエチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフト化することができ、又は、そのような官能基は、エチレン、官能性コモノマー及び場合により使用される他のコモノマー(1つ又はそれ以上)のインターポリマーを形成するために、エチレン及び場合により使用されるさらなるコモノマーと共重合することができる。官能基をポリエチレンにグラフト化するための手段が、例えば、米国特許第4,762,890号、同第4,927,888号及び同第4,950,541号に記載される(これらの特許の開示はその全体において参照により本明細書に組み込まれる)。1つの特に有用な官能基が無水リンゴ酸である。
【0104】
機能性インターポリマーに存在する官能基の量は変化し得る。官能基は、典型的には、コポリマー型の機能化インターポリマーにおいて、少なくとも約1.0重量パーセントの量で、好ましくは少なくとも約5重量パーセントの量で、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量で存在させることができる。官能基は、典型的には、コポリマー型の機能化インターポリマーにおいて、約40重量パーセント未満の量で、好ましくは約30重量パーセント未満の量で、より好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在する。
【0105】
重重量の布地
布地において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマーの量は、所望される用途及び特性に依存して変化する。典型的には、用いられるインターポリマーが多くなるほど、布地が有する伸縮性が大きくなる。一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、典型的には、布地の少なくとも約0.5重量パーセント、1重量パーセント、2重量パーセント、3重量パーセント、4重量パーセント、5重量パーセント、6重量パーセント、7重量パーセント、8重量パーセント、9重量パーセント、10重量パーセント又は14重量パーセントから、約11重量パーセント、12重量パーセント、13重量パーセント、14重量パーセント、15重量パーセント、16重量パーセント又は18重量パーセントまでを含む。好ましくは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、布地の少なくとも約1重量パーセントから約15重量パーセント、好ましくは少なくとも約1重量パーセントから約10重量パーセント、より好ましくは約1重量パーセントから約3重量パーセントを含む。膨張は、多くの場合、膨張対伸びの比率が通常の場合には0.5未満、好ましくは0.4未満、好ましくは0.35未満、好ましくは0.3未満、好ましくは0.25未満、好ましくは0.2未満、好ましくは0.15未満、好ましくは0.1未満、好ましくは0.05未満であるようにする。
【0106】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーの代替として(又は、それに加えて)、弾性繊維は、架橋前における2.5g/10分未満の全体的メルトインデックス(I)を約0.865g/cmから0.885g/cmの範囲における密度とともに有するポリオレフィンブレンド配合物を含むことができる。そのようなポリオレフィンブレンド配合物は、密度が約0.855g/cmから約0.88g/cmである第1のポリオレフィンと、80℃での残留結晶化度が9%を超える第2のポリオレフィンとを含むことができる。同様に、ポリオレフィンブレンド配合物は、約0.855g/cmから約0.88g/cmの密度、又は、9%を超える80℃での残留結晶化度、又は、約0.855g/cmから約0.88g/cmの密度と、9%を超える80℃での残留結晶化度との両方を有することができる。従って、本質的には、布地は、均一分岐ポリエチレンを含む第1のポリオレフィン、又は、均一分岐ポリエチレンを含む第2のポリオレフィン、又は、均一分岐ポリエチレンを含む第1のポリオレフィン及び第2のポリオレフィンから構成される。しかしながら、場合によって、繊維が少なくともいくらかのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含まないならば、加工におけるいくつかの困難が生じ得ること、例えば、紡糸設備での堆積物などが発見されている。
【0107】
重重量布地の重さは、所望される最終使用及び/又は所望される特性に依存して変化する。本明細書に提供される重重量布地は、典型的には、ASTM D3776に従って測定される少なくとも約10オンス/平方ヤードの重量を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される重重量布地は、ASTM D3776に従って測定される時、少なくとも約10オンス/平方ヤード、10.5オンス/平方ヤード、11オンス/平方ヤード、11.5オンス/平方ヤード、12オンス/平方ヤード、12.5オンス/平方ヤード、13オンス/平方ヤード、又は、15オンス/平方ヤード又はそれ以上もの大きさでさえある重量を有する。何らかの特定の理論にとらわれることはないが、エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む布地は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの特異な特性、例えば、融点などに起因して、多くの他の布地、例えば、XLA(登録商標)などと比較して、より目の詰まった形態で織ることができると考えられる。従って、得られる布地は、より大きい重量のものに製造することができる。本発明の布地は、多くの場合、優れた化学的な抵抗性(例えば、塩素抵抗性及び苛性アルカリ抵抗性)及び耐久性を示す。すなわち、本発明の布地は、その形状及び感触を、様々な加工条件(例えば、ストーンウォッシュ加工、色抜き(dye-strpping)及びPET染色など)及び使用条件(例えば、洗濯、乾燥など)に繰り返しさらされた後も保持する。
【0108】
弾性繊維を含む重重量布地は、重重量布地が所望される量の伸びを示すように製造することができる。これは用途に依存して変化するが、多くの場合、伸びは、少なくとも約5パーセント、好ましくは少なくとも約8パーセント、好ましくは少なくとも約9パーセント、好ましくは少なくとも約10パーセント、好ましくは少なくとも約11パーセント、好ましくは少なくとも約12パーセント、好ましくは少なくとも約13パーセント、好ましくは少なくとも約14パーセント、好ましくは少なくとも約18パーセント、好ましくは少なくとも約20パーセントから、25パーセント又はそれ以上までもの大きさである。好都合なことに、布地は良好な永久歪みを有しているので、ASTM D3107に従って延伸力が解かれた後、その元の大きさに近い値に戻ることができる。
【0109】
本明細書に提供される重重量布地は、多くの場合、化学的処理及び/又は熱処理を含む産業的洗濯条件に耐えることができる。いくつかの実施形態において、そのような化学的処理及び/又は熱処理には、10重量%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に対する、少なくとも140°Fの温度での少なくとも90分間の暴露、5重量%の過マンガン酸塩溶液に対する、少なくとも140°Fの温度での少なくとも90分間の暴露、少なくとも約65℃の温度での50サイクルの産業的洗濯、ペルクロロエチレンによる20サイクルのドライクリーニング、又は、シルケット加工が含まれる。上記で述べられた能力のために、本明細書に提供されるいくつかの重重量布地は、様々な織物プロセス、例えば、シルケット加工、漂白、ならびに/又は、しわ防止仕上げ及び/又は耐炎性仕上げなどを、著しい膨張を伴うことなく受けることができる場合がある。
【0110】
いくつかの実施形態において、本明細書において有用な繊維はさらに、架橋された弾性繊維を含む。いくつかの実施形態において、架橋された弾性繊維は、その繊維が、2.5g/10分以下の全体的メルトインデックス(I)を、0.865g/cmから0.885g/cmの範囲における、ASTM D−792に従って求められる全体的な密度とともに有するポリオレフィンブレンド配合物を含む組成物から作製されることにおいて特徴づけられる。
【0111】
いくつかの実施形態において、本明細書において使用される繊維はさらに、他のポリマーを含み、例えば、ランダムエチレンコポリマー(例えば、AFFINITY(登録商標)又はENGAGE(登録商標)など)、従来のポリエチレン(例えば、HDPE、LLDPE、ULDPE、LDPEなど)、及び、プロピレン系ポリマー(例えば、ホモポリマーPP、ランダムコポリマーPP又はPP系プラストマー/エラストマーなど)、完全水素化スチレンブロックコポリマー(触媒改質ポリマーとしても公知である)、又は、これらの組合せを含む。エチレンポリマーには、均一分岐エチレンポリマー及び実質的線状の均一分岐エチレンポリマー、ならびに、エチレン−スチレンインターポリマーが含まれる。そのような他のポリマーの量は、所望される弾性、及び、用いられる具体的なエチレン/α−オレフィンインターポリマーとの適合性に依存して異なる。
【0112】
本明細書に提供される重重量布地は、多くの場合、任意の公知な天然繊維及び合成繊維を含めて様々な繊維(具体的には非弾性繊維)を多くの場合には含む別の材料をさらに含む。これらの他の繊維の典型的なものが、セルロース、綿、亜麻、ラミー、レーヨン、ナイロン、ビスコース、大麻、羊毛、絹、リネン、タケ、テンセル、モヘア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリオレフィン、他のセルロース系、タンパク質、又は、合成物、ならびに、これらの混合物である。通常、そのような他の繊維は、本明細書に提供される重重量布地の約1%から約99%を含む。一実施形態において、そのような他の材料又は繊維は、布地の約99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、90%未満、88%未満、85%未満を含む。別の実施形態において、そのような他の材料又は繊維は、布地の約95%、92%又は90%を含む。
【0113】
所望されるならば、さらなる伸縮性材料を、エチレン/α−オレフィンインターポリマーに加えて用いることができる。例えば、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維をたて糸方向又はよこ糸方向のどちらかで用いることができ、一方で、第2の伸縮性材料が、残った方向で用いられる。好適なさらなる伸縮性材料には、ポリブチレンテレフタラート、スパンデックス、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)又はこれらの混合物からなる群より選択されるポリマーから構成される弾性繊維が含まれ得る。そのような混合物には、ポリ(エチレンテレフタラート)/ポリ(トリメチレンテレフタラート)の二成分繊維が含まれ、例えば、T−400(商標)繊維などが含まれる。弾性及び特性が繊維の材料及び組み立てに依存して変化するが、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維をたて糸方向で用い、さらなる伸縮性材料をよこ糸方向で用いることが望ましい場合がある。
【0114】
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約10%から約75%(重量比)のゲル含有量を有する繊維の形態である。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約10%、20%、30%、40%、50%、60%又は約75%(重量比)のゲル含有量を有する繊維の形態である。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも約10%(重量比)のゲル含有量を有する繊維の形態である。これらの繊維は、組み合わせられない場合でも、又は、他の材料とともにヤーンにおいて使用される場合でも、本明細書に提供される重重量布地を作製するために、単独で、又は、他のヤーンと一緒に使用することができる。本明細書に提供される布地は、公知である製造方法に従って、例えば、製織(この場合、弾性繊維が、たて糸方向、又は、よこ糸方向、又は、両方向で可能である)又は編成などに従って作製することができる。
【0115】
繊維は、所望される用途に依存して、任意の望ましいサイズ及び断面形状にすることができる。多くの用途のために、ほぼ円形の断面が、その低下した摩擦のために望ましい。しかしながら、他の形状、例えば、三裂形状又は平坦形状(すなわち、「リボン」様形状)などもまた用いることができる。デニールは、その繊維の長さの9000メートルあたりの繊維のグラム数として定義される繊維用語である。好ましいサイズには、少なくとも約1デニール、好ましくは少なくとも約20デニール、好ましくは少なくとも約50デニールから、最大でも約180デニール、好ましくは最大でも約150デニール、好ましくは最大でも約100デニール、好ましくは最大でも約80デニールまでのデニールが含まれる。
【0116】
繊維は通常的には弾性であり、通常の場合には架橋される。繊維は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、任意の好適な架橋剤との反応生成物、すなわち、架橋されたエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。本明細書で使用される場合、「架橋剤」は、繊維の1つ又はそれ以上(好ましくは大多数)を架橋する任意の手段である。従って、架橋剤は化学化合物である場合があるが、必ずしも化学化合物である必要はない。本明細書で使用されるような架橋剤にはまた、電子ビーム照射、β線照射、γ線照射、コロナ放射、シラン、ペルオキシド、アリル化合物、及び、架橋触媒の存在下又は非存在下でのUV照射が含まれる。米国特許第6,803,014号及び同第6,667,351号は、本発明の実施形態において使用することができる電子ビーム照射方法を開示する。いくつかの実施形態において、架橋ポリマーの割合は、形成されたゲルの重量パーセントによって測定される時、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも約20重量パーセント、より好ましくは少なくとも約25重量パーセントから、最大でも約75パーセント、好ましくは最大でも約50パーセントまでである。
【0117】
用途に依存して、繊維は、ステープル繊維又はバインダー繊維を含めて、任意の好適な形態を取ることができる。典型的な例には、連続フィラメント、ホモフィル繊維又は二成分繊維が含まれ得る。二成分繊維の場合、二成分繊維は、シース−コア構造、海島構造、並列構造、マトリックス−フィブリル構造、又は、セグメント化パイ構造を有することができる。好都合なことに、従来の様々な繊維形成方法を、上記の繊維を作製するために用いることができる。そのような方法には、例えば、米国特許第4,340,563号、同第4,663,220号、同第4,668,566号、同第4,322,027号及び同第4,413,110号に記載されるプロセスが含まれる。
【0118】
本発明において有用な繊維は数多くの点で加工を容易にする。第1に、本発明の繊維は従来の繊維よりも良好にスプールからほどける。通常の繊維は、円形の断面である時、そのベースポリマーの過度な応力緩和のために、満足するほどの巻き戻し性能を提供しないことが多い。この応力緩和はスプールの使用期間に比例しており、スプールのまさにその表面に位置するフィラメントが表面でのグリップ力をゆるくすることを生じさせ、それにより、ゆるいフィラメントストランドになる。後で、従来の繊維を含有するそのようなスプールがポジティブ送り装置(すなわち、Memminger−IRO)のロールの上に置かれ、産業的な速度(すなわち、100回転/分から300回転/分)にまで回転させられる時、ゆるい繊維はスプール表面の両側にとばされ、最終的にはスプールの端に落ちる。この不良は、巻き戻しプロセスを妨げ、最終的には装置の停止を引き起こす、従来の繊維が包装物の肩又は端から滑り落ちる傾向を意味する脱線として公知である。本発明の繊維は、より大きな処理能を可能にする、はるかにより少ない有意な程度での脱線を示す。
【0119】
本発明の好ましい繊維はデニム様布地である。これは、デニムを処理するための多くの現在の方法(例えば、ストーンウォッシュ加工又は漂白)が現在の弾性繊維には過酷すぎるからである。
【0120】
例示的な重重量布地の調製
エチレン/α−オレフィンインターポリマーを本明細書に提供される布地における使用のために含む弾性繊維は、当分野では公知である多くの方法によって形成することができる。一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維が作製され、その後、約10%から75%のゲルに架橋される。
【0121】
その後、エチレン/α−オレフィンインターポリマーをコアとして含み、他のステープル繊維又はフィラメント繊維(これには、セルロース、アラミド、パラ−アラミド、ポリエステル、羊毛、絹など、及び、これらのブレンド配合物が含まれ得る)を被覆材として含むコアスパンヤーンが調製される。典型的には、しかし、必ずではないが、ヤーンのそれぞれの末端が、エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含み得る1つ又はそれ以上の弾性繊維を含む。コアスパンヤーンについてのサイズ範囲は、典型的には、サイズにおいて2Neから50Neである。一実施形態において、コアスパンヤーンについてのサイズ範囲は2Neから45Neであり、好ましくは5Neから40Neであり、好ましくは6Neから40Neであり、好ましくは7Neから40Neであり、好ましくは10Neから40Neであり、好ましくは20Neから40Neであり、好ましくは2Neから30Neであり、より好ましくは5Neから30Neである。一実施形態において、コアスパンヤーンがよこ糸方向で使用される。一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーを6Neから40Neの番手範囲で含むコアスパンヤーンもまた、二方向収縮性の布地を作製するために、たて糸のために使用することができる。
【0122】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含むコアヤーンを、当分野では公知であるいずれかの手段によって作製することができる。例えば、そのようなコアヤーンを、コアアタッチメントを伴うリング精紡、シロ(siro)精紡、エアジェット精紡、ドレフ(dref)精紡及びローター精紡(これらに限定されない)を含めて、いくつかの方法によってステープル繊維により被覆することができる。エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含むヤーンはまた、単被覆、二重被覆又はエアジェット被覆によってフィラメントヤーンにより被覆することができる。1つの態様において、2つ又はそれ以上のコアヤーンが二重化方法又は多層化プロセスにより組み合わされる。2つ又はそれ以上のヤーンが組み合わされる時、一方がエチレン/α−オレフィンインターポリマーのコアを含み、もう一方は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、約2.5g/10分以下の全体的メルトインデックス(I)を所定の全体的密度とともに有するポリオレフィンブレンド配合物とを含むことができる。コアヤーンはさらに、本明細書で議論される他のポリマーを含むことができる。一実施形態において、繊維がコア精紡又はシロ精紡によって作製される。1つの態様において、よこ糸ヤーンについての番手範囲は約7Neから約15Neであり、又は、約5Neから約40Neである。
【0123】
一実施形態において、本明細書に提供される布地についての布地組み立ては、2対1の綾織、3対1の綾織、又は、平織である。別の態様において、バスケット、ドビー、ジャカード、オックスフォード、サテン、帆布のような織目もまた使用することができる。どのよこ糸ヤーンもエラストマーコアを含有する布地が典型的には織られ、しかし、どの他のヤーンもエラストマーコアを含有し、それ以外のヤーンはエラストマーコアを有しない布地もまた織ることができる。いくつかの実施形態において、どのたて糸ヤーンもサイズが同一である布地が作製され、しかし、たて糸ヤーンが、異なるヤーンサイズのヤーンを含有することもまた可能である。
【0124】
一実施形態において、インチあたりのピック(pick)の数が20から70であり、好ましくは30から60であり、又は、より好ましくは40から50である。好ましい一実施形態において、インチあたりのピックの数が40から50である。
【0125】
布地仕上げ工程は、多くの場合、さらなる工程を含むことができる。典型的な仕上げ工程の例には、下記の工程の1つ又はそれ以上が含まれる:毛焼き、スカーリング、乾燥、柔軟化、サンフォライズ加工、シルケット加工、衣類洗浄(ストーンウォッシュ加工、漂白、脱色、中和又はすすぎ洗い、酵素漂白、マーブルホワイト仕上げ、汚れ落とし、ノーアイロン処理、防しわ仕上げ、難燃仕上げなど)。好ましくは、布地仕上げには、シンギング(singing)、洗浄、乾燥及びサンフォライズ加工が含まれる。布地の収縮(及び、従って、伸び)を発生させるために必要となる臨界温度が洗浄工程中に達成されることが多く、時には40℃から140℃の範囲又は60℃から125℃の範囲である。別の実施形態において、好ましい仕上げ工程には、シンギング、洗浄、柔軟化、乾燥及びサンフォライズ加工、コンパクティング、汚れ除去の適用、防しわ又は難燃仕上げが含まれる。いくつかの実施形態において、衣類洗浄はまた、布地が衣類に縫われた後でも用いることができる。
【0126】
1つの態様において、本明細書に提供される布地はデニムである。デニムは従来的には、よこ糸が多くの場合、2本(二重、「ダブル」)又はそれ以上のたて糸繊維の下を通過し、それにより、やや斜めのうね模様の形成が布地の裏側に生じる、綿から多くの場合には構成される織物である。デニムを処理するための多くの現在の方法は、現在の弾性布地には過酷すぎる。従って、本明細書に提供される弾性繊維から作製されるデニムは現在の処理に耐えることができる。一実施形態において、本明細書に提供される布地は、その後、衣類及び/又は室内装飾品を作製するために使用することができる。そのような布地から作製することができる衣類の例には、制服、具体的には、産業的洗濯を受ける貸出用制服が含まれる。
【0127】
試験方法
下記の実施例では、下記の分析技術が用いられる:
サンプル1から4及びサンプルAからCについてのGPC法
【0128】
160℃に設定される加熱されたニードルを備える自動化された液体取り扱いロボットを使用して、300ppmのIonolにより安定化される十分な1,2,4−トリクロロベンゼンをそれぞれの乾燥ポリマーサンプルに加えて、30mg/mLの最終濃度を得る。小さいガラス撹拌ロッドをそれぞれのチューブに入れ、サンプルを、250rpmで回転する加熱された軌道振とう機で2時間、160℃に加熱する。濃縮されたポリマー溶液を、その後、自動化された液体取り扱いロボット及び160℃に設定される加熱されたニードルを使用して1mg/mlに希釈する。
【0129】
Symyx Rapid GPCシステムを使用して、分子量データをそれぞれのサンプルについて求める。2.0ml/分の流速で設定されるGilson350ポンプを使用して、300ppmのIonolにより安定化されるヘリウム通気の1,2−ジクロロベンゼンを移動相として、直列に置かれた、160℃に加熱された3本のPlgel 10マイクロメートル(μm)のMixed B(300mm×7.5mm)カラムに通す。Polymer Labs ELS1000検出器が、250℃に設定されたエバポレーター、165℃に設定されたネブライザー、及び、60psiから80psi(400kPaから600kPa)のNの圧力において1.8SLMに設定された窒素流速とともに使用される。ポリマーサンプルを160℃に加熱し、それぞれのサンプルを、液体取り扱いロボット及び加熱されたニードルを使用して250μlのループに注入する。2つの切り換えられたループ及び重なる注入を使用するポリマーサンプルの連続分析が使用される。サンプルデータが、Symyx Epoch(商標)ソフトウエアを使用して集められ、分析される。ピークが手作業により積分され、分子量情報が、ポリスチレン標準物の検量線に対して未補正のまま報告される。
【0130】
標準的なCRYSTAF法
分岐分布が、PolymerChar(Valencia、スペイン)から市販されているCRYSTAF200装置を使用して結晶化分析分画化(CRYSTAF)によって求められる。サンプルを1時間にわたって1,2,4−トリクロロベンゼンに160℃で溶解し(0.66mg/mL)、95℃で45分間安定化させる。サンプリング温度は0.2℃/分の冷却速度で95℃から30℃までである。赤外検出器を使用して、ポリマー溶液の濃度を測定する。累積可溶物濃度を、温度が下げられる一方で、ポリマーが結晶化する時、測定する。累積プロフィルの解析的微分がポリマーの短鎖分岐分布を反映する。
【0131】
CRYSTAFピーク温度及びピーク面積が、CRYSTAFソフトウエア(バージョン2001.b、PolymerChar、Valencia、スペイン)に含まれるピーク分析モジュールによって特定される。CRYSTAFピーク特定ルーチンにより、ピーク温度がdW/dT曲線における極大値として特定され、面積が、微分曲線における特定されたピークの両側での最も大きい正の変曲点の間で特定される。CRYSTAF曲線を計算するために、好ましい処理パラメーターは、70℃の温度限界に関してであり、また、0.1の温度限界より大きく、0.3の温度限界よりも小さい平滑化パラメーターに関してである。
【0132】
DSCの標準的方法(サンプル1から4及びサンプルAからCを除く)
示差走査熱量測定法の結果が、RCS冷却アクセサリー及びオートサンプラーを備えるTAIモデルQ1000DSCを使用して求められる。50ml/分の窒素パージ気流が使用される。サンプルを薄いフィルムにプレス成形し、プレス機内において約175℃で融解し、その後、室温(25℃)に空冷する。その後、3mgから10mgの材料を直径6mmのディスクに切り、正確に重量測定し、軽量アルミニウム皿(約50mg)に置き、その後、クランプ締めする。サンプルの熱挙動を下記の温度プロフィルにより調べる。何らかの以前の熱履歴を除くために、サンプルを180℃に急速加熱し、等温的に3分間保つ。その後、サンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間保つ。その後、サンプルを10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する。冷却曲線及び2回目の加熱曲線が記録される。
【0133】
DSC融解ピークが、−30℃と、融解の終了との間で引かれた直線のベースラインに関して熱流量(W/g)における最大値として測定される。融解熱が、直線のベースラインを使用して、−30℃と、融解の終了との間における融解曲線の下側の面積として測定される。
【0134】
GPC法(サンプル1から4及びサンプルAからCを除く)
ゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210装置、又は、Polymer Laboratories Model PL−220装置のいずれかからなる。カラム区画及び回転ラック区画が140℃で操作される。Polymer Laboratoriesの3本の10ミクロンMixed−Bカラムが使用される。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼンである。サンプルが、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒における0.1グラムのポリマーの濃度で調製される。サンプルは、160℃で2時間軽く撹拌することによって調製される。使用された注入体積は100マイクロリットルであり、流速は1.0ml/分である。
【0135】
GPCカラムセットの較正を、580から8,400,000にまで及ぶ分子量が、個々の分子量の間での分離が少なくとも10進である6個の「カクテル」混合物で配置された21個の狭い分子量分布ポリスチレン標準物により行われる。標準物は、Polymer Laboratories(Shropshire、英国)から購入される。ポリスチレン標準物を、1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒において0.025グラムで調製し、1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒において0.05グラムで調製する。ポリスチレン標準物を穏やかな撹拌とともに80℃で30分間溶解する。狭い標準物の混合物が最初に流され、そして、分解を最小限に抑えるために、最大分子量成分が小さくなる順で流される。ポリスチレン標準物のピーク分子量を、(Williams及びWard, J. Polym. Sci. Polym. Let., 6, 621 (1968)に記載されるような)下記の式を使用してポリエチレン分子量に変換する:Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレン)。
【0136】
ポリエチレン等価分子量の計算が、Viscotek TriSECソフトウエア(バージョン3.0)を使用して行われる。
【0137】
圧縮永久歪み
圧縮永久歪みが、ASTM D395に従って測定される。サンプルを、12.7mmの全体的厚さが達成されるまで、3.2mmの厚さ、2.0mmの厚さ及び0.25mmの厚さの直径25.4mmの円形ディスクを積み重ねることによって調製する。ディスを、下記の条件のもとでホットプレス機により成形される12.7cm×12.7cmの圧縮成形された飾り板様プレート(plaque)から切断する:190℃での3分間のゼロ圧力、その後、190℃での2分間の86MPa、その後、86MPaでの、冷たい流水によるプレス機の内部での冷却。
【0138】
密度
密度測定用サンプルを、ASTM D1928に従って調製する。測定を、ASTM D792の方法Bを使用してサンプルプレス成形の1時間以内に行う。
【0139】
曲げ弾性率/割線モジュラス/貯蔵弾性率
サンプルを、ASTM D1928を使用して圧縮成形する。曲げ弾性率及び2パーセント割線モジュラスを、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率を、ASTM D5026−01又は同等な技術に従って測定する。
【0140】
光学特性
厚さ0.4mmのフィルムを、ホットプレス機(Carver Model#4095−4PR1001R)を使用して圧縮成形する。ペレットをポリテトラフルオロエチレンシートの間に置き、190℃において、55psi(380kPa)で3分間、その後、1.3MPaで3分間、次いで、2.6MPaで3分間加熱する。その後、フィルムを、1.3MPaで1分間、流れる冷水によりプレス機内で冷却する。この圧縮成形されたフィルムを、光学測定、引張り挙動、回復率及び応力緩和のために使用する。
【0141】
透明度が、BYK Gardner Haze−gardをASTM D1746に指定されるように使用して測定される。
【0142】
45°光沢が、BYK Gardner Glossmeter Microgloss45°をASTM D−2457に指定されるように使用して測定される。
【0143】
内部曇りが、BYK Gardner Haze−gardをASTM D1003の手順Aに基づいて使用して測定される。鉱油が、表面のひっかき傷を除くためにフィルム表面に塗布される。
【0144】
機械的特性−張力、ヒステリシス及び引裂き
一軸引張りでの応力−歪み挙動が、ASTM D1708の微小引張り試料片を使用して測定される。サンプルを21℃において500%min−1でInstronにより伸ばす。引張り強さ及び破断点伸びが5個の試料片の平均から報告される。
【0145】
100%及び300%のヒステリシスが、Instron(商標)装置により、ASTM D1708の微小引張り試料片を使用して100%及び300%の歪みに対する周期的負荷から求められる。サンプルには、267%min−1での負荷の付加及び解放が21℃において3回繰り返される。300%及び80℃での周期的実験が、環境チャンバを使用して行われる。80℃での実験において、サンプルは、試験前に、試験温度で45分間、平衡化させられる。21℃での300%歪みの周期的実験において、最初の負荷解放サイクルからの150%歪みでの収縮応力が記録される。すべての実験についてのパーセント回復率が、負荷がベースラインに戻った歪みを使用して最初の負荷解放サイクルから計算される。パーセント回復率は下記のように定義される:
%回復率=[(ε−ε)/ε]×100
式中、εは、周期的負荷と見なされる歪みであり、εは、負荷が1回目の負荷解放サイクル中にベースラインに戻る歪みである。
【0146】
応力緩和が、環境チャンバを備えるInstron(商標)装置を使用して50パーセント歪み及び37℃で12時間測定される。ゲージ幾何形状は76mmx25mmx0.4mmであった。環境チャンバにおける37℃での45分間の平衡化の後、サンプルを333%min−1で50%歪みに伸ばした。応力を時間の関数として12時間記録した。12時間後のパーセント応力緩和を、下記の式を使用して計算した:
%応力緩和=[(L−L12)/L]×100
式中、Lは時間0における50%歪みでの負荷であり、L12は12時間後における50%歪みでの負荷である。
【0147】
引張り切り込み付き引裂き実験が、Instron(商標)装置を使用して、0.88g/cc又はそれ以下の密度を有するサンプルに対して行われる。幾何形状は、2mmの切り込みが試料片の長さの半分のところでサンプルに切られた、76mm×13mm×0.4mmのゲージ部分からなる。サンプルは、サンプルが破断するまで、21℃において508m mmin−1で伸ばされる。引裂きエネルギーが、最大負荷での歪みまでの応力−伸び曲線の下側の面積として計算される。少なくとも3つの試験片の平均が報告される。
【0148】
TMA
熱機械分析(浸透温度)が、180℃及び10MPaの成形圧力で5分間形成され、その後、空気で急冷される30mmの直径×3.3mmの厚さの圧縮成形されたディスクに対して行われる。使用された装置は、TMA7(Perkin−Elmerから入手可能な商標品)である。試験では、半径1.5mmの先端を有するプローブ(P/N N519−0416)が1Nの力によりサンプルディスクの表面に当てられる。温度が25℃から5℃/分で上げられる。プローブの浸透距離が温度の関数として測定される。実験は、プローブがサンプル内に1mm浸透した時に終了する。
【0149】
DMA
動的機械分析(DMA)が、ホットプレス機で10MPaの圧力において180℃で5分間形成され、その後、90℃/分でプレス機内で水冷される圧縮成形されたディスクに関して測定される。試験が、ねじり試験のための二重のカンチレバー取り付け具を備えるARES制御された歪みレオメーター(TA instruments)を使用して行われる。
【0150】
1.5mmの飾り板様プレートをプレス成形し、32×12mmの大きさの棒材に切断する。サンプルは、10mm(掴み具分離、ΔL)だけ離された取り付け具の間において両端でクランプ固定され、−100℃から200℃までの連続温度工程(5℃/工程)に供される。それぞれの温度において、ねじり剛性率(G’)が10rad/秒の角振動数で測定される。ただし、歪み振幅は、ねじれが十分であること、及び、測定が線形様式であり続けることを保証するために、0.1パーセントから4パーセントの間で維持される。
【0151】
10gの最初の静的力が、熱膨張が生じた時のサンプルにおける緩みを防止するために維持される(自動張力モード)。結果として、掴み具分離(ΔL)が、特にポリマーサンプルの融点又は軟化点よりも高い温度では、温度とともに増大する。試験は最大温度で終了するか、又は、取り付け具の間のすき間が65mmに達する時に終了する。
【0152】
メルトインデックス
メルトインデックス又はIが、ASTM D1238(190℃/2.16kgの条件)に従って測定される。メルトインデックス又はI10もまた、ASTM D1238(190℃/10kgの条件)に従って測定される。
【0153】
ATREF
分析的昇温溶出分画化(ATREF)分析が、米国特許第4,798,081号、及び、Wilde, L.; Ryle, T.R.; Knobeloch, D.C.; Peat, I.R.; Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers, J. Polym. Sci., 20, 441-455 (1982)(これらはその全体において参照により本明細書に組み込まれる)に記載される方法に従って行われる。分析される組成物はトリクロロベンゼンに溶解され、温度を0.1℃/分の冷却速度で20℃にゆっくり下げることによって不活性な担体(ステンレススチールショット)を含有するカラムにおいて結晶化させられる。カラムは赤外検出器を備える。ATREFクロマトグラム曲線が、その後、溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の速度で20℃から120℃にまでゆっくり上げることにより結晶化ポリマーサンプルをカラムから溶出することによって作製される。
【0154】
13C NMR分析
サンプルが、テトラクロロエタン−d/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物のおよそ3gを10mmのNMRチューブにおいて0.4gのサンプルに加えることによって調製される。サンプルは、チューブ及びその内容物を150℃に加熱することによって溶解され、均質化される。データが、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計又はVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を使用して集められる(これらは100.5MHzの13C共鳴周波数に対応する)。データが、6秒のパルス反復遅延によりデータファイルあたり4000個の過渡シグナルを使用して取得される。最小のシグナル対ノイズを定量的分析のために達成するために、多数のデータファイルが1つにまとめられる。スペクトル幅は25,000Hzであり、最小のファイルサイズは32Kのデータポイントからなる。サンプルは10mmの広帯域プローブで130℃において分析される。コモノマー取り込みが、ランダールのトリアッド法(Randall, J.C.; JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29, 201-317, (1989);これはその全体において参照により本明細書に組み込まれる)を使用して求められる。
【0155】
TREFによるポリマー分画化
大規模なTREF分画化が、15gから20gのポリマーを160℃で4時間撹拌することにより2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)に溶解することによって行われる。ポリマー溶液が、30メッシュから40メッシュ(600μmから425μm)の球状の工業用品質のガラスビーズ(Potters Industries(HC 30 Box 20、Brownwood、TX、76801)から入手可能)と、ステンレススチールの、直径が0.028”(0.7mm)の切断されたワイヤショット(Pellets,Inc.(63 Industrial Drive、North Tonawanda、NY、14120)から入手可能)との60:40(v:v)ミックスが充填された3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)のスチールカラムに15psig(100kPa)の窒素によって押し込まれる。カラムは、最初は160℃に設定される熱制御されたオイルジャケットに沈められる。カラムは、最初、125℃に弾道的に冷却され、その後、0.04℃/分で20℃にゆっくり冷却され、1時間保たれる。新鮮なTCBが、温度が0.167℃/分で上げられながら約65ml/分で導入される。
【0156】
調製用TREFカラムからのおよそ2000mlずつの溶出液が16ステーションの加熱されたフラクションコレクターで集められる。ポリマーが、約50mlから100mlのポリマー溶液が残るまで、ロータリーエバポレーターを使用してそれぞれの分画物において濃縮される。濃縮された溶液を一晩放置し、その後、過剰なメタノールを添加し、ろ過し、すすぎ洗浄する(最後のすすぎ洗浄を含めて、およそ300mlから500mlのメタノール)。ろ過工程が、5.0μmのポリテトラフルオロエチレン被覆ろ紙(Osmonics Inc.から入手可能、Cat#Z50WP04750)を使用して3位置真空支援ろ過ステーションで行われる。ろ過された分画物を60℃で真空オーブンにおいて一晩乾燥し、さらなる分析の前に分析天秤で重量測定する。
【0157】
溶融強度
溶融強度(MS)が、およそ45度の入口角度を有する直径2.1mmの20:1のダイが取り付けられたキャピラリーレオメーターを使用することによって測定される。サンプルを190℃で10分間平衡化させた後、ピストンを1インチ/分(2.54cm/分)の速度で動かす。標準試験温度は190℃である。サンプルが、2.4mm/秒の加速度によりダイの下方100mmに位置する1組の加速用ニップの方に一軸方向に引かれる。要求される引張り力がニップロールの巻取速度の関数として記録される。試験中に達成される最大引張り力が溶融強度として定義される。ポリマー溶融物がドローレゾナンスを示す場合、ドローレゾナンス開始前の引張り力を溶融強度として採用した。溶融強度はセンチニュートン(「cN」)の単位で記録される。
【0158】
触媒
用語「一晩」は、使用されるならば、およそ16時間から18時間の時間を示し、用語「室温」は20℃から25℃の温度を示し、用語「混合アルカン」は、ExxonMobil Chemical CompanyからIsoparE(登録商標)の商品名で入手することができる、C6−9脂肪族炭化水素の商業的に得られる混合物を示す。本明細書の化合物の名称がその構造的表示に一致しない場合、構造的表示の方が優先するものとする。すべての金属錯体の合成、及び、すべてのスクリーニング実験の準備が、ドライボックス技術を使用して乾燥窒素雰囲気において行われた。使用されたすべての溶媒はHPLC規格であり、その使用の前に乾燥された。
【0159】
MMAOは、修飾メチルアルモキサン、すなわち、Akzo−Noble Corporationから市販されているトリイソブチルアルミニウム修飾されたメチルアルモキサンを示す。
【0160】
触媒(B1)の調製が下記のように行われる。
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピルアミンに加える。溶液がすぐに明黄色になる。周囲温度で3時間撹拌した後、揮発物を真空下で除いて、明黄色の結晶性固体を得る(97パーセントの収率)。
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2mmol)を5mLのトルエンに溶解した溶液を、Zr(CHPh)(500mg、1.1mmol)を50mLのトルエンに溶解した溶液にゆっくり加える。得られた暗黄色の溶液を30分間撹拌する。溶媒を減圧下で除いて、所望の生成物を赤褐色の固体として得る。
【0161】
触媒(B2)の調製が下記のように行われる。
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(90mL)に溶解し、ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(10.00g、42.67mmol)を加える。反応混合物を3時間撹拌し、その後、−25℃に12時間冷却する。得られた黄色の固体析出物をろ過によって集め、冷メタノールにより洗浄し(15mLで2回)、その後、減圧下で乾燥する。収量は11.17gの黄色固体である。H NMRは異性体の混合物としての所望の生成物と一致している。
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)を200mLのトルエンに溶解した溶液を、Zr(CHPh)(5.28g、11.6mmol)を600mLのトルエンに溶解した溶液にゆっくり加える。得られた暗黄色の溶液を25℃で1時間撹拌する。溶液を680mLのトルエンによりさらに希釈して、0.00783Mの濃度を有する溶液を得る。
【0162】
共触媒1 テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートのメチルジ(C14−18アルキル)アンモニウム塩の混合物(以下、アルメエニウムボラート)、これは、実質的には米国特許第5,919,9883号(実施例2)に開示されるように、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Noble,Inc.から入手可能)、HCl及びLi[B(C]の反応によって調製される。
【0163】
共触媒2 ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C14−18アルキルジメチルアンモニウム塩は、米国特許第6,395,671号(実施例16)に従って調製される。
【0164】
シャトル剤 用いられるシャトル剤には、ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA、SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド)(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が含まれる。
【0165】
実施例1から4、比較例AからC
一般的なハイスループット並列重合条件
重合が、Symyx Technologies,Inc.から入手可能であり、実質的には米国特許第6,248,540号、同第6,030,917号、同第6,362,309号、同第6,306,658号及び同第6,316,663号に従って操作されるハイスループット並列重合リアクター(PPR)を使用して行われる。エチレンの共重合が、要求に応じたエチレンを用いて、使用される総触媒に基づいて1.2当量の共触媒1(MMAOが存在する時には1.1当量)を使用して130℃及び200psi(1.4MPa)で行われる。一連の重合が、事前に重量測定されたガラスチューブが取り付けられる6×8のアレイでの48個の個々のリアクターセルから構成される並列圧力リアクター(PPR)において行われる。それぞれのリアクターセルにおける作業体積は6000μLである。それぞれのセルは温度及び圧力が制御され、撹拌が個々の撹拌パドルによって提供される。モノマーガス及びクエンチガスがポンプによりPPR装置に直接に送られ、自動バルブによって制御される。液体試薬がロボットによりシリンジによってそれぞれのリアクターセルに加えられ、リザーバー溶媒が混合アルカンである。添加順序は、混合アルカン溶媒(4ml)、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1又は共触媒1/MMAO混合物、シャトル剤、及び、触媒又は触媒混合物である。共触媒1及びMMAOの混合物、又は、2つの触媒の混合物が使用される時、これらの試薬はリアクターへの添加の直前で小さいバイアルにおいて事前に混合される。試薬が実験において省略される時、上記の添加順序はそれ以外の点では維持される。重合が、所定のエチレン消費に到達するまで、およそ1分間から2分間行われる。COによる反応停止の後、リアクターは冷却され、ガラスチューブが取り出される。チューブは遠心分離器/真空乾燥装置に移され、60℃で12時間乾燥される。乾燥ポリマーを含有するチューブは重量測定され、この重量と、風袋重量との差により、ポリマーの正味収量が得られる。結果が表1に含められる。表1及び本出願での他のところにおいて、比較化合物が星印()によって示される。
【0166】
実施例1から実施例4は、DEZが存在する時には、非常に狭いMWDの、本質的に単峰性のコポリマーの形成、及び、DEZの非存在下では二峰性の幅広い分子量分布生成物(別個に生じたポリマーの混合物)の形成によって実証されるように本発明による線状ブロックコポリマーの合成を明らかにする。触媒(A1)は、触媒(B1)よりも多くのオクテンを取り込むことが公知であるという事実のために、本発明の得られたコポリマーの異なるブロック又はセグメントは分岐又は密度に基づいて識別することができる。
【表1】

1000個の炭素あたりのC以上の鎖の含有量
二峰性の分子量分布
【0167】
本発明に従って作製されたポリマーは、比較的狭い多分散度(Mw/Mn)、及び、シャトル剤の非存在下で調製されたポリマーよりも大きいブロックコポリマー含有量(トリマー、テトラマー又はより高次)を有することが理解され得る。
【0168】
表1のポリマーについてのさらなる特徴づけデータが、図を参照することによって明らかになる。より具体的には、DSC及びATREFの結果は下記のことを示す。
【0169】
実施例1のポリマーについてのDSC曲線は115.7℃の融点(Tm)を示し、融解熱が158.1J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを34.5℃で示し、ピーク面積が52.9パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとの差が81.2℃である。
【0170】
実施例2のポリマーについてのDSC曲線は、109.7℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が214.0J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを46.2℃で示し、ピーク面積が57.0パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとの差が63.5℃である。
【0171】
実施例3のポリマーについてのDSC曲線は、120.7℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が160.1J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを66.1℃で示し、ピーク面積が71.8パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとの差が54.6℃である。
【0172】
実施例4のポリマーについてのDSC曲線は、104.5℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が170.7J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを30℃で示し、ピーク面積が18.2パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとの差が74.5℃である。
【0173】
比較例AについてのDSC曲線は90.0℃の融点(Tm)を示し、融解熱が86.7J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを48.5℃で示し、ピーク面積が29.4パーセントである。これらの値はともに、密度が低い樹脂と一致している。DSCのTmと、Tcrystafとの差が41.8℃である。
【0174】
比較例BについてのDSC曲線は129.8℃の融点(Tm)を示し、融解熱が237.0J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを82.4℃で示し、ピーク面積が83.7パーセントである。これらの値はともに、密度が大きい樹脂と一致している。DSCのTmと、Tcrystafとの差が47.4℃である。
【0175】
比較例CについてのDSC曲線は125.3℃の融点(Tm)を示し、融解熱が143.0J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを81.8℃で示し、ピーク面積が34.7パーセントであり、同様にまた、より低い結晶性ピークを52.4℃で示す。これら2つのピークの間における分離は、高結晶性ポリマー及び低結晶性ポリマーの存在と一致している。DSCのTmと、Tcrystafとの差が43.5℃である。
【0176】
実施例5から19、比較例DからF、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合が、内部撹拌装置を備えるコンピューター制御のオートクレーブリアクターにおいて行われる。精製された混合アルカン溶媒(Isopar(商標)E、ExxonMobil Chemical Companyから入手可能)、2.70lbs/時間(1.22kg/時間)でのエチレン、1−オクテン、及び、水素(使用される場合)が、温度制御用ジャケット及び内部熱電対を備える3.8Lのリアクターに供給される。リアクターへの溶媒供給物がマスフローコントローラによって測定される。可変速度ダイアフラムポンプにより、リアクターへの溶媒の流速及び圧力が制御される。ポンプが放出する時、副流が、フラッシュ洗浄流を触媒及び共触媒1の注入ラインならびにリアクター撹拌装置に提供するために取られる。これらの流れはMicro−Motionマスフローメーターによって測定され、制御バルブによって、又は、ニードルバルブの手動調節によって制御される。残留する溶媒が、1−オクテン、エチレン及び水素(使用される場合)と一緒にされ、リアクターに供給される。マスフローコントローラが、必要に応じて水素をリアクターに送達するために使用される。溶媒/モノマー溶液の温度が、リアクターに入る前に熱交換器の使用によって制御される。この流れはリアクターの底から入る。触媒成分の溶液が、ポンプ及びマスフローメーターを使用して計量され、触媒フラッシュ洗浄溶媒と一緒にされ、リアクターの底に導入される。リアクターは、激しい撹拌とともに、500psig(3.45MPa)で、液体で満たされて操作される。生成物が、リアクターの頭部にある排出ラインから取り出される。リアクターからのすべての排出ラインはスチームトレースされ、遮断される。重合が、少量の水を何らかの安定剤又は他の添加剤と一緒に排出ラインの中に加え、混合物を静的ミキサーに通すことによって停止される。その後、生成物の流れが、揮発物除去の前に熱交換器を通過することによって加熱される。ポリマー生成物が、揮発物除去押出し機及び水冷ペレタイザーを使用する押し出しによって回収される。プロセスの詳細及び結果が表2に含まれる。選択されたポリマー特性が表3に示される。
【表2】

比較例、本発明の実施例ではない
標準cm/分
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル
ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジル
リアクターにおけるモル比
ポリマー生成速度
リアクターにおけるパーセントエチレン転化率
効率。kgポリマー/gM(ただし、gM=gHf+gZr)
【表3】

【0177】
得られたポリマーは、前記実施例の場合のようにDSC及びATREFによって試験される。結果は下記の通りである。
【0178】
実施例5のポリマーについてのDSC曲線は、119.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が60.0J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを47.6℃で示し、ピーク面積が59.5パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが72.0℃である。
【0179】
実施例6のポリマーについてのDSC曲線は、115.2℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が60.4J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを44.2℃で示し、ピーク面積が62.7パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが71.0℃である。
【0180】
実施例7のポリマーについてのDSC曲線は、121.3℃の融点を有するピークを示し、融解熱が69.1J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを49.2℃で示し、ピーク面積が29.4パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが72.1℃である。
【0181】
実施例8のポリマーについてのDSC曲線は、123.5℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が67.9J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを80.1℃で示し、ピーク面積が12.7パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが43.3℃である。
【0182】
実施例9のポリマーについてのDSC曲線は、124.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が73.5J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを80.8℃で示し、ピーク面積が16.0パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが43.8℃である。
【0183】
実施例10のポリマーについてのDSC曲線は、115.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が60.7J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを40.9℃で示し、ピーク面積が52.4パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが74.7℃である。
【0184】
実施例11のポリマーについてのDSC曲線は、113.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が70.4J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを39.6℃で示し、ピーク面積が25.2パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが74.1℃である。
【0185】
実施例12のポリマーについてのDSC曲線は、113.2℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が48.9J/gである。対応するCRYSTAF曲線は30℃以上のピークを示さない。(従って、さらなる計算のためのTcrystafが30℃で設定される)。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが83.2℃である。
【0186】
実施例13のポリマーについてのDSC曲線は、114.4℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が49.4J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを33.8℃で示し、ピーク面積が7.7パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが84.4℃である。
【0187】
実施例14のポリマーについてのDSC曲線は、120.8℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が127.9J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを72.9℃で示し、ピーク面積が92.2パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが47.9℃である。
【0188】
実施例15のポリマーについてのDSC曲線は、114.3℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が36.2J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを32.2℃で示し、ピーク面積が9.8パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが82.0℃である。
【0189】
実施例16のポリマーについてのDSC曲線は、116.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が44.9J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを48.0℃で示し、ピーク面積が65.0パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが68.6℃である。
【0190】
実施例17のポリマーについてのDSC曲線は、116.0℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が47.0J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを43.1℃で示し、ピーク面積が56.8パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが72.9℃である。
【0191】
実施例18のポリマーについてのDSC曲線は、120.5℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が141.8J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを70.0℃で示し、ピーク面積が94.0パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが50.5℃である。
【0192】
実施例19のポリマーについてのDSC曲線は、124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が174.8J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを79.9℃で示し、ピーク面積が87.9パーセントである。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが45.0℃である。
【0193】
比較例DのポリマーについてのDSC曲線は、37.3℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が31.6J/gである。対応するCRYSTAF曲線は30℃以上のピークを示さない。これらの値はともに、密度が低い樹脂と一致している。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが7.3℃である。
【0194】
比較例EのポリマーについてのDSC曲線は、124.0℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が179.3J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを79.3℃で示し、ピーク面積が94.6パーセントである。これらの値はともに、密度が大きい樹脂と一致している。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが44.6℃である。
【0195】
比較例FのポリマーについてのDSC曲線は、124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示し、融解熱が90.4J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、最も高いピークを77.6℃で示し、ピーク面積が19.5パーセントである。これら2つのピークの間における分離は、高結晶性ポリマー及び低結晶性ポリマーの存在と一致している。DSCのTmと、Tcrystafとのデルタが47.2℃である。
【0196】
物理的特性試験
ポリマーサンプルが、物理的特性について、例えば、TMA温度試験によって実証されるような高温抵抗性特性、ペレットブロッキング強度、高温回復率、高温圧縮永久歪み及び貯蔵弾性率比(G’(25℃)/G’(100℃))などについて評価される。いくつかの市販されているポリマーが試験に含まれる:比較例Gは、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)、The Dow Chemical Companyから入手可能)である;比較例Hは、エラストマーの、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)EG8100、The Dow Chemical Companyから入手可能)である;比較例Iは、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)PL1840、The Dow Chemical Companyから入手可能)である;比較例Jは、水素化されたスチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON(商標)G1652、KRATON Polymersから入手可能)である;比較例Kは熱可塑性の加硫化物である(TPV、架橋されたエラストマーを分散されて含有するポリオレフィンブレンド配合物)。結果が表4に示される。
【表4】

【0197】
表4において、比較例F(これは、触媒A1及び触媒B1を使用する同時重合から得られる2つのポリマーの物理的ブレンド配合物である)は約70℃の1mm浸透温度を有し、一方で、実施例5から実施例9は100℃又はそれ以上の1mm浸透温度を有する。さらに、実施例10から実施例19はすべてが、85℃を超える1mm浸透温度を有しており、ほとんどが、90℃を超えるか、又は、100℃さえも超える1mm TMA温度を有する。このことは、これらの新規なポリマーが、物理的ブレンド配合物と比較して、より良好な寸法安定性をより高い温度において有することを示す。比較例J(市販のSEBS)は約107℃の良好な1mm TMA温度を有するが、約100パーセントの非常に不良な(高温、70℃)圧縮永久歪みを有し、また、高温(80℃)での300パーセント歪みの回復中に回復しなかった(サンプルが破損した)。従って、これらの例示されたポリマーは、いくつかの市販されている高性能な熱硬化性エラストマーにおいてさえ得ることができない特性の特異な組合せを有する。
【0198】
同様に、表4は、本発明のポリマーについては6又はそれ以下の低い貯蔵弾性率比(良好な貯蔵弾性率比)(G’(25℃)/G’(100℃))を示し、これに対して、物理的ブレンド配合物(比較例F)は9の貯蔵弾性率比を有し、また、類似する密度のランダムエチレン/オクテンコポリマー(比較例G)は1桁大きい貯蔵弾性率比(89)を有する。ポリマーの貯蔵弾性率比はできる限り1に近いことが望ましい。そのようなポリマーは温度によって比較的影響されず、また、そのようなポリマーから作製された製造品は、広い温度範囲にわたって有用に用いることができる。低い貯蔵弾性率比及び温度依存性のこの特徴は、エラストマー用途において、例えば、感圧性接着剤配合物などにおいて特に有用である。
【0199】
表4におけるデータはまた、本発明のポリマーが、改善されたペレットブロッキング強度を有することを明らかにする。具体的には、実施例5は0MPaのペレットブロッキング強度を有しており、このことは、実施例5が、相当のブロッキングを示す比較例F及び比較例Gと比較して、試験された条件のもとでは易流動性であることを意味する。大きいブロッキング強度を有するポリマーのばら積み輸送は、製造物の凝集又は粘着を貯蔵又は輸送中に生じさせ、これにより、不良な取り扱い性を生じさせ得るので、ブロッキング強度は重要である。
【0200】
本発明のポリマーについての高温(70℃)圧縮永久歪みは一般に良好であり、このことは、一般には約80パーセント未満を意味し、好ましくは約70パーセント未満を意味し、とりわけ約60パーセント未満を意味する。対照的に、比較例F、比較例G、比較例H及び比較例Jはすべてが、100パーセント(最大可能な値)の70℃圧縮永久歪みを有する(このことは、回復が全くないことを示している)。良好な高温圧縮永久歪み(低い数値)が、ガスケット、窓用形材及びo−リングなどの用途のためにはとりわけ必要とされる。
【表5】

51cm/分で試験される
38℃で12時間測定される
【0201】
表5には、機械的特性についての結果が、室温において、新規なポリマーについて、同様にまた、様々な比較ポリマーについて示される。本発明のポリマーは、ISO4649に従って試験された時、非常に良好な耐摩耗性を有しており、一般には約90mm未満の体積減少を示し、好ましくは約80mm未満の体積減少を示し、とりわけ約50mm未満の体積減少を示すことが理解され得る。この試験では、より大きい数字は、体積減少がより大きいこと、従って、耐摩耗性がより低いことを示している。
【0202】
本発明のポリマーの引張り切り込み付き引裂き強度によって測定されるような引裂き強度は、表5に示されるように、一般には1000mJ又はそれ以上である。本発明のポリマーについての引裂き強度は、3000mJもの大きさであり得るか、又は、5000mJもの大きさでさえあり得る。比較例のポリマーは一般に、引裂き強度が最大でも750mJである。
【0203】
表5はまた、本発明のポリマーが、比較例サンプルのいくつかよりも良好な、150パーセント歪みでの収縮応力(これは収縮応力のより大きい値によって明らかにされる)を有することを示す。比較例F、比較例G及び比較例Hは、400kPa又はそれ以下の、150パーセント歪みでの収縮応力を有しており、一方で、本発明のポリマーは、500kPa(実施例11)から、1100kPaもの大きさ(実施例17)までの、150パーセント歪みでの収縮応力を有する。150パーセントを超える収縮応力値を有するポリマーは、様々な弾性用途のために、例えば、弾性繊維及び弾性布地など(とりわけ、不織布地)のために極めて有用であると考えられる。他の用途には、おむつ、衛生用品及び医療用衣類のウエストバンド用途が含まれ、例えば、タブ及び弾力性バンドなどが含まれる。
【0204】
表5はまた、応力緩和(50パーセント歪みにおいて)もまた、例えば、比較例Gと比較して、本発明のポリマーについては改善されること(より小さいこと)を示す。応力緩和がより低いことは、ポリマーが、その力を、体温での長期間にわたる弾性特性の保持が所望される用途(例えば、おむつ及び他の衣類など)においてより良く保持することを意味する。
光学試験
【表6】

【0205】
表6に報告される光学特性は、配向性を実質的に欠いている圧縮成形されたフィルムに基づく。ポリマーの光学特性が、重合で用いられた鎖シャトル剤の量における変化から生じるクリスタリットサイズにおける変動のために広範囲にわたって変化し得る。
【0206】
マルチブロックコポリマーの抽出
実施例5、実施例7及び比較例Eのポリマーの抽出研究が行われる。実験では、ポリマーサンプルがガラスフリットの抽出用円筒ろ紙に計り取られ、Kumagawa型抽出器に取り付けられる。サンプルを伴う抽出器は窒素パージされ、500mLの丸底フラスコには、350mLのジエチルエーテルが投入される。その後、フラスコが抽出器に取り付けられる。エーテルが、撹拌されながら加熱される。エーテルが円筒ろ紙の中に凝縮し始める時、時間が書き留められ、抽出が24時間にわたって窒素下で続けられる。この時間で、加熱が停止され、溶液は冷やされる。抽出器に残留するエーテルは、存在すれば、フラスコに戻される。フラスコ内のエーテルは周囲温度において減圧下でエバポレーションされ、得られた固形物は、乾燥するまで窒素パージされる。残渣が、重量測定されたビンに、ヘキサンの連続洗浄を使用して移される。その後、一緒にされたヘキサン洗浄液はさらなる窒素パージとともにエバポレーションされ、残渣が真空下、40℃で一晩乾燥される。抽出器内の残留エーテルは、存在すれば、乾燥するまで窒素パージされる。
【0207】
その後、350mLのヘキサンが投入された第2の清浄な丸底フラスコが抽出器につながれる。ヘキサンが撹拌とともに加熱還流され、ヘキサンが円筒ろ紙の中に凝縮することが最初に書き留められた後24時間、還流状態で維持される。その後、加熱が停止され、フラスコは冷やされる。抽出器に残留するヘキサンは、存在すれば、フラスコに戻される。ヘキサンが周囲温度における真空下でのエバポレーションによって除かれ、フラスコに残留する残渣は、存在すれば、重量測定されたビンに、連続するヘキサン洗浄を使用して移される。フラスコ内のヘキサンが窒素パージによってエバポレーションされ、残渣が40℃で一晩、真空乾燥される。
【0208】
抽出後の円筒ろ紙に残留するポリマーサンプルが、円筒ろ紙から、重量測定されたビンに移され、40℃で一晩真空乾燥される。結果が表7に含まれる。
【表7】

1. 13C NMRによって求められる
【0209】
さらなるポリマー実施例19AからJ、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
実施例19AからIについて
連続溶液重合がコンピューター制御の十分に混合されたリアクターにおいて行われる。精製された混合アルカン溶媒(Isopar(商標)E、Exxon Mobil,Inc.から入手可能)、エチレン、1−オクテン、及び、水素(使用される場合)が一緒にされ、27ガロンのリアクターに供給される。リアクターへの供給物がマスフローコントローラによって測定される。供給物の流れの温度が、リアクターに入る前にグリコール冷却の熱交換器の使用によって制御される。触媒成分の溶液が、ポンプ及びマスフローメーターを使用して計量される。リアクターは、およそ550psigの圧力で、液体で満たされて操作される。リアクターから出る時、水及び添加剤がポリマー溶液に注入される。水により、触媒が加水分解され、重合反応が停止させられる。その後、リアクター後の溶液は2段階の揮発物除去に備えて加熱される。溶媒及び未反応モノマーが揮発物除去プロセス中に除かれる。ポリマー溶融物が、ポンプにより、水中でのペレット切断のためにダイに送られる。
【0210】
実施例19Jについて
連続溶液重合が、内部撹拌装置を備えるコンピューター制御のオートクレーブリアクターにおいて行われる。精製された混合アルカン溶媒(Isopar(商標)E、ExxonMobil Chemical Companyから入手可能)、2.70lbs/時間(1.22kg/時間)でのエチレン、1−オクテン、及び、水素(使用される場合)が、温度制御用ジャケット及び内部熱電対を備える3.8Lのリアクターに供給される。リアクターへの溶媒供給物がマスフローコントローラによって測定される。可変速度ダイアフラムポンプにより、リアクターへの溶媒の流速及び圧力が制御される。ポンプが放出する時、副流が、フラッシュ洗浄流を触媒及び共触媒の注入ラインならびにリアクター撹拌装置に提供するために取られる。これらの流れはMicro−Motionマスフローメーターによって測定され、制御バルブによって、又は、ニードルバルブの手動調節によって制御される。残留する溶媒が、1−オクテン、エチレン及び水素(使用される場合)と一緒にされ、リアクターに供給される。マスフローコントローラが、必要に応じて水素をリアクターに送達するために使用される。溶媒/モノマー溶液の温度が、リアクターに入る前に熱交換器の使用によって制御される。この流れはリアクターの底から入る。触媒成分の溶液が、ポンプ及びマスフローメーターを使用して計量され、触媒フラッシュ洗浄溶媒と一緒にされ、リアクターの底に導入される。リアクターは、激しい撹拌とともに、500psig(3.45MPa)で、液体で満たされて操作される。生成物が、リアクターの頭部にある排出ラインから取り出される。リアクターからのすべての排出ラインはスチームトレースされ、遮断される。重合が、少量の水を何らかの安定剤又は他の添加剤と一緒に排出ラインの中に加え、混合物を静的ミキサーに通すことによって停止される。その後、生成物の流れが、揮発物除去の前に熱交換器を通過することによって加熱される。ポリマー生成物が、揮発物除去押出し機及び水冷ペレタイザーを使用する押し出しによって回収される。
【0211】
プロセスの詳細及び結果が表8に含まれる。選択されたポリマー特性が表9Aから表9Cに示される。
【0212】
表9Bにおいて、本発明のポリマーの19F及び19Gは、500%伸びの後、およそ65%歪みから70%歪みの低い直後残留歪みを示す。
【表8】

標準cm/分
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル
ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジメチル
質量バランスによって計算された最終生成物でのppm
ポリマー生成速度
リアクターにおける重量パーセントエチレン転化率
効率。kgポリマー/gM(ただし、gM=gHf+gZr)
【表9】

【表10】

【表11】

1.様々なポリマーについてのブロックインデックスの計算に関するさらなる情報が米国特許出願第11/376,835号(これは、発明の名称が「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー」であり、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlittらの名で2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡される)に開示され、その開示はその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
2.Zn/C1000≒(Zn供給流Zn濃度/1000000/ZnのMw)/(総エチレン供給流(1−分別エチレン転化率)/エチレンのMw)1000。「Zn/C1000」における「Zn」は、重合プロセスで使用されたジエチル亜鉛(「DEZ」)における亜鉛の量を示し、「C2」は、重合プロセスで使用されたエチレンの量を示すことに留意すること。
【0213】
実施例20及び実施例21
実施例20、実施例21及び実施例21Aのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを、下記の表11に示される重合条件を用いて、上記の実施例19AからIと実質的に類似する様式で作製した。ポリマーは、表10及び表10Aに示される特性を示した。表10及び表10Aはまた、ポリマーへの何らかの添加剤を示す。
【表12】

【表13】

【0214】
Irganox1010はテトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)メタンである。Irganox1076はオクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナートである。Irgafos168はトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィトである。Chimasorb2020は、2,3,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの、1,6−ヘキサンジアミン,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ポリマーであり、これは、N−ブチル−1−ブタンアミンと、N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンとの反応生成物である。
【表14】

比較例、本発明の実施例ではない
標準cm/分
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル
ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジル
リアクターにおけるモル比
ポリマー生成速度
リアクターにおける重量パーセントエチレン転化率
効率。kgポリマー/gM(ただし、gM=gHf+gZr)
【0215】
実施例22−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを使用して、繊維を作製した。繊維が作製される前に、下記の添加剤をポリマーに加えた:7000ppmのPDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppmのCYANOX1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン)及び3000ppmのCHIMASORB944(ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ)ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]])、ならびに、0.5重量%のタルク。繊維を、矩形の5:1の幅対高さ比を有するダイ外形、270℃のスピン温度、500m/分の巻取機速度、1%のスピン仕上げ、2%の低温延伸、及び、300gのスプール重量を使用して製造した。
【0216】
繊維の溶融紡糸の間、特別なクエンチエアシステム設計を、それぞれがおよそ2000mmの長さであるクエンチエア冷却の2つの帯域が存在するように使用した。クエンチエア流速は典型的には、チャンバを横切って、また、至る所で0.25m/s±10%に制御された。両方の帯域におけるクエンチエア温度は16℃から18℃の間で維持された。上部帯域におけるクエンチエアの流れ方向は左から右であり、一方で、底部帯域におけるクエンチエアの流れ方向は右から左であった。このクエンチエアの流れ配置により、編み目曲がりの量、又は、クエンチチャンバにおけるモノフィラメント繊維の変形が、それぞれのクエンチチャンバにおいて12本の個々の繊維に作用する物理的力のより良好なバランスによって最小限に抑えられた。その後、繊維を、スプールの温度を約30℃未満で維持しながら、166.4kGyの照射を架橋剤として使用して架橋した。
【0217】
実施例23−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを使用して、繊維を作製した。繊維が作製される前に、下記の添加剤をポリマーに加えた:7000ppmのPDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppmのCYANOX1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン)及び3000ppmのCHIMASORB944(ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ)ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]])、ならびに、0.5重量%のタルク。繊維を、矩形の3:1の幅対高さ比を有するダイ外形、270℃のスピン温度、500m/分の巻取機速度、1%のスピン仕上げ、2%の低温延伸、及び、300gのスプール重量を使用して製造した。その後、繊維を、スプールの温度を約30℃未満で維持しながら、166.4kGyの照射を架橋剤として使用して架橋した。
【0218】
実施例24−ブレンド配合物の繊維
63.83重量パーセントのENGAGE ENR7467.01(これは、The Dow Chemical Companyから入手可能であり、1.2g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg)及び0.862g/ccの密度を有するエチレン−ブテンコポリマーであり、100ppmのIrganox1076及び3000ppmのタルクを含有する)を、34.37重量パーセントのAFFINITY PL1880(これは、The Dow Chemical Companyから入手可能であり、1.0g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg)及び0.902g/ccの密度を有するエチレン−オクテンコポリマーであり、1000ppmのIrgafos168、200ppmのIrganox1010及び250ppmのIrganox1076を含有する)、0.7重量パーセントのPDMSO、0.3重量パーセントのCyanox1790、及び、0.3重量パーセントのCH944、ならびに、0.5重量パーセントのタルクと混合した。
【0219】
繊維を、矩形の5:1の幅対高さ比を有するダイ外形、299℃のスピン温度、325m/分の巻取機速度、1%のスピン仕上げ、5%の低温延伸、及び、300gのスプール重量を使用して製造した。その後、繊維を、スプールの温度を約30℃未満で維持しながら、166.4kGyの照射を架橋剤として使用して架橋した。
【0220】
実施例25−ランダムエチレンコポリマーの繊維
AFFINITY(商標)KC8852Gの一般名を有するランダムコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)を使用して、およそ矩形の断面を有する140デニールのモノフィラメント繊維を作製した。AFFINITY(商標)KC8852Gは、3g/10分のメルトインデックス、0.875g/cmの密度、及び、実施例21と同様な添加剤を有するとして特徴づけられる。繊維が作製される前に、下記の添加剤をポリマーに加えた:7000ppmのPDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppmのCYANOX1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン)及び3000ppmのCHIMASORB944(ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ)ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]])、ならびに、0.5重量%のタルク及び0.2重量%のTiO。繊維を、矩形の3:1の幅対高さ比を有するダイ外形、295℃のスピン温度、500m/分の巻取機速度、1%のスピン仕上げ、18%の低温延伸、及び、300gのスプール重量を使用して製造した。その後、繊維を、スプールの温度を約30℃未満で維持しながら、176.4kGyの照射を架橋剤として使用して架橋した。
【0221】
実施例26−典型的な重重量布地
実施例22、実施例23、実施例24及び実施例25の繊維を使用して、それぞれが下記の組み立てを有する4つの異なる試行的布地を作製した。
【表15】

【0222】
これら4つの布地を、下記の表に示される試験に供した。3回の家庭用洗濯の後でのデータを使用して、これが典型的な産業的実施であるように衣類洗浄をシミュレーションした。3回の家庭用洗濯についての洗浄条件はAATCC方法135−1999に従っており、洗浄条件についての選択肢Vが使用された。
布地試験法には、下記が含まれる:
%伸び、膨張及び回復率が、ASTM D3107に従って測定された;
布地の引裂き強度が、ASTM D1424に従って測定された;
布地の引張り強さ又はグラブ(grab)強さが、ASTM D5034に従って測定された。
寸法安定性が、65℃の洗浄温度によりAATCC135に従って測定された。
布地重量が試験法ASTM 3776によって測定された。
【表16】

【0223】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む布地(試行布地1及び試行布地2)が、布地が寸法安定性を有することを可能にする高い温度許容性、布地が仕上げ工程中においてより大きく収縮することを可能にする布地仕上げ温度(50℃から90℃)での大きい収縮力を有しており、従って、布地は、標準的な架橋された均一分岐エチレンポリマー、例えば、XLA(商標)から作製される布地と比較して、より大きい伸びを有する。この布地は、優れた化学的抵抗性及び化学的安定性を、例えば、200℃までの温度で有する。
【0224】
実施例27−繊維架橋の量を変えること
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを使用して、およそ円形の断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を作製した。繊維が作製される前に、下記の添加剤をポリマーに加えた:7000ppmのPDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppmのCYANOX1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン)及び3000ppmのCHIMASORB944(ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ)ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]])、ならびに、0.5重量%のTiO。繊維を、円形で、直径が0.8mmであるダイ外形、299℃のスピン温度、650m/分の巻取機速度、2%のスピン仕上げ、6%の低温延伸、及び、150gのスプール重量を使用して製造した。その後、繊維を、e−ビームからの様々な量の照射を架橋剤として使用して架橋した。
【0225】
ゲル含有量対照射量が図8に示される。ゲル含有量を、およそ25mgの繊維サンプルを4桁の有効数字の精度に計り取ることによって求めた。サンプルを、その後、キャップ付きの2ドラムのバイアルにおいて7mlのキシレンと一緒にする。バイアルを、15分毎の反転混合(すなわち、バイアルを上下ひっくり返すこと)とともに125℃から135℃で90分間加熱して、非架橋ポリマーの本質的にはすべてを抽出する。バイアルがおよそ25℃に冷えると、キシレンをゲルからデカンテーションによって除く。ゲルを少量の新鮮なキシレンによりバイアルにおいてすすぎ洗浄する。すすぎ洗浄後のゲルを風袋測定されたアルミニウムの重量測定用皿に移す。ゲルを伴う風袋測定されたディッシュを125℃で30分間にわたって真空乾燥して、キシレンを蒸発によって除く。乾燥ゲルを伴う皿を分析天秤で重量測定する。ゲル含有量を、抽出ゲル重量及び元の繊維重量に基づいて計算する。図8は、e−ビームの線量が増大するにつれ、架橋の量(ゲル含有量)が増大することを示す。当業者は、架橋の量及びe−ビームの線量の間での正確な関係が所与のポリマーの特性(例えば、分子量又はメルトインデックス)によって影響され得ることを理解する。
【0226】
実施例28−実施例21Aのエチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維
実施例21Aの弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを使用して、繊維を作製した。繊維が作製される前に、下記の添加剤をポリマーに加えた:7000ppmのPDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppmのCYANOX1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン)及び3000ppmのCHIMASORB944(ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ)ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]])。繊維を、直径が0.8mmである円形のダイ外形、280℃のスピン温度、930m/分の巻取機速度、1%のスピン仕上げ、及び、365gのスプール重量を使用して製造した。その後、繊維を、スプールの温度を約30℃未満で維持しながら、117.6kGyの照射を架橋剤として使用して架橋した。
【0227】
実施例29−二方向伸縮性のデニム布地
綾織り(3/1)の二方向伸縮性のデニム布地を作製した。この場合、たて糸が100%のリングコアスパンヤーンであった。たて糸方向での番手は9Neであった。リングコアスパンヤーンは100%の綿をハード繊維シースとして有し、実施例28の繊維をコアに有した。たて糸における弾性コア繊維についての番手は75デニールであった。よこ糸ヤーンは、100%のポリブチレンテレフタラート(PBT)の円形の、光沢のある表面加工繊維(Treviraによるタイプ527W)であった。よこ糸ヤーンについての番手は、ヤーンあたり128の個々のフィラメントを伴って600dTexであった。織機上でのたて糸密度は24.8末端/cmであり、よこ糸は16.3ピック/cmで配置された。この布地は、織機上での幅が179cmであり、生機状態での幅が171cmであった。乾燥及び仕上げの後で、布地は下記の特性を示した:
たて糸密度(ASTM D3775−03):30.8末端/cm
よこ糸密度(ASTM D3775−03):18.1ピック/cm
幅(ASTM D3774−96、選択肢b):145cm
重量(ASTM D3776−96、選択肢c):390gr/sq.m
【0228】
仕上がった布地を、標準法ISO6330:2000の手順5A(タンブル乾燥機での乾燥)に従って3回、洗浄及び乾燥した。3回の洗濯サイクルの後、布地は下記の特性を示した:
たて糸密度(ASTM D3775−03):33.1末端/cm
よこ糸密度(ASTM D3775−03):20.2ピック/cm
幅(ASTM D3774−96、選択肢b):136cm
重量(ASTM D3776−96、選択肢c):450gr/sq.m
たて糸伸び(ASTM D3107):18%
たて糸膨張(ASTM D3107):0.5%
よこ糸伸び(ASTM D3107):14%
よこ糸膨張(ASTM D3107):3.9%
【0229】
実施例30−二方向伸縮性のデニム布地
綾織り(3/1)の二方向伸縮性のデニム布地を作製した。この場合、たて糸及びよこ糸が100%のリングコアスパンヤーンであった。たて糸での番手は9Neであった。よこ糸での番手は10Neであった。リングコアスパンヤーンは100%の綿をハード繊維シースとして有し、実施例28の繊維をコアに有した。たて糸及びよこ糸における弾性コア繊維についての番手は75デニールであった。織機上でのたて糸密度は24.8末端/cmであり、よこ糸は17ピック/cmで配置された。この布地は、織機上での幅が180cmであり、生機状態での幅が173cmであった。乾燥及び仕上げの後、布地は下記の特性を示した:
たて糸密度(ASTM D3775−03):28末端/cm
よこ糸密度(ASTM D3775−03):17.9ピック/cm
幅(ASTM D3774−96、選択肢b):154cm
重量(ASTM D3776−96、選択肢c):303.3gr/sq.m
【0230】
仕上がった布地を、標準法ISO6330:2000の手順2A(タンブル乾燥機での乾燥)に従って3回、洗浄及び乾燥した。3回の洗濯サイクルの後、布地は下記の特性を示した:
たて糸密度(ASTM D3775−03):30末端/cm
よこ糸密度(ASTM D3775−03):19.8ピック/cm
幅(ASTM D3774−96、選択肢b):143.2cm
重量(ASTM D3776−96、選択肢c):399.7gr/sq.m
たて糸伸び(ASTM D3107):16.2%
たて糸膨張(ASTM D3107):8.2%
よこ糸伸び(ASTM D3107):18%
よこ糸膨張(ASTM D3107):8.2%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ASTM 3776に従って測定される少なくとも約10オンス/平方ヤードの重量、及び、ASTM D3107に従って測定される少なくとも約10パーセントの伸びを有する、1つ又はそれ以上の弾性繊維を含む重重量の伸縮性布地であって、前記弾性繊維が、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、少なくとも1つの架橋剤との反応生成物を含み、前記未架橋のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが下記の特徴の1つ又はそれ以上によって特徴づけられる、重重量の伸縮性布地:
(a)約1.7から約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有すること、ただし、Tm及びdの数値は下記の関係を有する:
> −2002.9+4538.5(d)−2422.2(d);又は
(b)約1.7から約3.5のMw/Mnを有し、所定の融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)によって特徴づけられること、ただし、ΔT及びΔHの数値は下記の関係に対応する:
ΔT> −0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gまでである場合)
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gよりも大きい場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される所定の弾性回復率(Re、300パーセントの歪み及び1サイクルでのパーセント)によって特徴づけられ、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有すること、ただし、Re及びdの数値は、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない時、下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化される時、40℃から130℃の間で溶出する分子分画物を有すること、この場合、前記分子分画物は、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することによって特徴づけられ、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、かつ、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))によって特徴づけられること、ただし、G’(25℃)対G’(100℃)の比率は約1:1から約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化される時、40℃から130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物、この場合、前記分子分画物は、少なくとも0.5から約1までのブロックインデックス、及び、約1.3よりも大きい分子量分布(Mw/Mn)を有することによって特徴づけられる;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0までの平均ブロックインデックス、及び、約1.3よりも大きい分子量分布(Mw/Mn)。
【請求項2】
前記布地は、i)10重量%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に対する、少なくとも140°Fの温度での少なくとも90分間の暴露;ii)5重量%の過マンガン酸塩溶液に対する、少なくとも140°Fの温度での少なくとも90分間の暴露;iii)少なくとも約65℃の温度での50サイクルの産業的洗濯;iv)ペルクロロエチレンによる20サイクルのドライクリーニング;又はv)シルケット加工からなる群より選択される処理に耐えることができ、この耐えるとは、前記処理の後、前記布地が、ASTM D3107に従って測定された時、20%未満の膨張(growth)を示すことを意味する、請求項1に記載の布地。
【請求項3】
前記処理の後、ASTM D3107に従って測定された時、約10%未満の膨張を示す、請求項2に記載の布地。
【請求項4】
前記処理の2つ又はそれ以上に耐えることができる、請求項2に記載の布地。
【請求項5】
前記繊維が約10重量%から約75重量%のゲル含有量を含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項6】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが布地の約1重量パーセントから約15重量パーセントまでを含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項7】
少なくとも約11オンス/平方ヤードの重量を有する、請求項2に記載の布地。
【請求項8】
少なくとも約14パーセントの伸びを有する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項9】
セルロース、綿、亜麻、ラミー、レーヨン、ビスコース、大麻、羊毛、絹、リネン、タケ、テンセル、モヘア、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの他の材料を含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項10】
ポリブチレンテレフタラート、スパンデックス、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)及びこれらの混合物からなる群より選択されるポリマーから構成される弾性繊維を含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項11】
前記弾性繊維が、架橋前における2.5g/10分よりも小さい全体的メルトインデックス(I)を、約0.865g/cmから0.885g/cmの範囲での密度とともに有するポリオレフィンブレンド配合物をさらに含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項12】
前記弾性繊維がポリオレフィンブレンド配合物をさらに含み、前記ポリオレフィンブレンド配合物が、約0.855g/cmから約0.88g/cmの密度を有する第1のポリオレフィンと、9%を超える80℃での残留結晶化度を有する第2のポリオレフィンとを含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項13】
前記弾性繊維がポリオレフィンブレンド配合物をさらに含み、前記ポリオレフィンブレンド配合物が、約0.855g/cmから約0.88g/cmの密度、又は、9%を超える80℃での残留結晶化度、又は、約0.855g/cmから約0.88g/cmの密度と、9%を超える80℃での残留結晶化度との両方を有する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項14】
前記弾性繊維がポリオレフィンブレンド配合物をさらに含み、前記ポリオレフィンブレンド配合物が、約0.855g/cmから約0.88g/cmの密度を有する第1のポリオレフィンと、9%を超える80℃での残留結晶化度を有する第2のポリオレフィンとを含み、前記第1又は第2のポリオレフィンが均一分岐ポリエチレンを含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項15】
前記弾性繊維が少なくとも1つの他のポリマーをさらに含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項16】
前記弾性繊維が少なくとも1つの他のポリマーをさらに含み、前記他のポリマーが、エチレンコポリマー、ポリエチレン、プロピレンコポリマー、ポリプロピレン又はこれらの混合物を含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項17】
膨張対伸びの比率が約0.05から約0.4である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の布地。
【請求項18】
ASTM 3776に従って測定される少なくとも約10オンス/平方ヤードの重量、及び、約0.05から約0.4の膨張(growth)対伸びの比率を有する、弾性繊維を含む重重量の伸縮性布地であって、前記弾性繊維が、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、少なくとも1つの架橋剤との反応生成物を含み、前記未架橋のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが下記の特徴の1つ又はそれ以上によって特徴づけられる、重重量の伸縮性布地:
(a)約1.7から約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有すること、ただし、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
> −2002.9+4538.5(d)−2422.2(d);又は
(b)約1.7から約3.5のMw/Mnを有し、所定の融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)によって特徴づけられること、ただし、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT> −0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gまでである場合)
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gよりも大きい場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される所定の弾性回復率(Re、300パーセントの歪み及び1サイクルでのパーセント)によって特徴づけられ、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有すること、ただし、Re及びdの数値は、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない時、下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化される時、40℃から130℃の間で溶出する分子分画物を有すること、この場合、前記分子分画物は、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することによって特徴づけられ、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、かつ、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))によって特徴づけられること、ただし、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1から約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化される時、40℃から130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物、この場合、前記分子分画物は、少なくとも0.5から約1までのブロックインデックス、及び、約1.3よりも大きい分子量分布(Mw/Mn)を有することによって特徴づけられる;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0までの平均ブロックインデックス、及び、約1.3よりも大きい分子量分布(Mw/Mn)。
【請求項19】
前記布地は、i)10重量%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に対する、少なくとも140°Fの温度での少なくとも90分間の暴露;ii)5重量%の過マンガン酸塩溶液に対する、少なくとも140°Fの温度での少なくとも90分間の暴露;iii)少なくとも約65℃の温度での50サイクルの産業的洗濯;iv)ペルクロロエチレンによる20サイクルのドライクリーニング;又はv)シルケット加工からなる群より選択される処理に耐えることができ、この耐えるとは、前記処理の後、前記布地が、ASTM D3107に従って測定された時、20%未満の膨張を示すことを意味する、請求項18に記載の布地。
【請求項20】
請求項1、2、18又は19のいずれか一項に記載される布地から作製される衣料品。
【請求項21】
前記布地がデニムである、請求項1、2、18又は19のいずれか一項に記載される布地から作製される衣料品。
【請求項22】
制服である、請求項1、2、18又は19のいずれか一項に記載される布地から作製される衣料品。
【請求項23】
ストーンウォッシュ加工される、請求項1、2、18又は19のいずれか一項に記載の布地。
【請求項24】
二方向伸縮性(bi-stretch)の布地である、請求項1、2、18又は19のいずれか一項に記載の布地。
【請求項25】
前記布地は二方向伸縮性(bi-stretch)の布地であり、ポリブチレンテレフタラート、スパンデックス、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)及びこれらの混合物からなる群より選択されるポリマーから構成される弾性繊維をさらに含む、請求項1、2、18又は19のいずれか一項に記載の布地。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−511801(P2010−511801A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539515(P2009−539515)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/086105
【国際公開番号】WO2008/067539
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】