説明

重量チェッカ及びそれを備える搬送装置

【課題】 物品を搬送しながら重量計量する重量チェッカにおいて、計量対象物品の物品長の変更に伴う計量能力の低下を抑えながら、計量精度を確保することができる重量チェッカ及びそれを備える搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送ローラを接近又は離間する方向に相対変位させることにより、物品搬送面を伸縮する物品搬送面伸縮手段と、搬送ローラとは別に設けられて、搬送ベルトに張力を付与する張力付与ローラと、張力付与ローラを変位させて、物品搬送面の伸縮に伴う搬送ベルト長さの過不足を吸収するベルト張力調整手段を備え、計量物品の長さに応じて、物品搬送面を伸縮可能にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送しながら重量計量する重量チェッカ及びそれを備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品製造工程で物品重量を検査するため、物品を搬送する搬送コンベアとこれを支持する重量センサを備え、重量センサの検出結果に基づいて物品重量を個別計量する重量チェッカが採用されている。かかる物品製造工程において大きさが異なる物品を製造する場合、重量計量が行われる搬送コンベア上には、物品を一つずつ、かつ物品全体を載せる必要があり、そのため、物品搬送方向における物品長が最も大きい物品に合わせて搬送面長さが設定される。例えば、最大物品長が70cmであれば、重量センサから出力される重量計量信号の安定時間を考慮して、搬送面長さを少し大きめの80cmに設定したうえで、搬送間隔(先行して搬送される物品の後端と、その直後に搬送される物品の前端の距離。以下同じ。)を10cm以上確保することになる。
【0003】
しかしながら、同じ物品製造工程で物品長10cmの物品を製造して、重量計量する場合には、重量計量を行う搬送コンベアに対して同時に二以上の物品が載らないように、70cm以上の大きな搬送間隔を確保する必要があり、その結果、計量能力(単位時間当たりの計量処理可能な物品数)が著しく低下するという問題を生じる。この問題の解決手段としては、重量センサで支持される搬送コンベアであって搬送面長さが小さいものを複数台、物品搬送方向に直列配置してなる重量チェッカが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この重量チェッカで物品長が大きい物品を重量計量する場合には、当該物品を同時に載置可能な搬送面長さを確保できるように、複数の搬送コンベアを組み合わせて、それらの重量センサからの計量信号に基づく計量重量を合算して、その物品重量を計量する。また、物品長が小さい物品を重量計量する場合には、当該物品を載置可能な搬送面長さの小さい搬送コンベアを選択し、その重量センサからの計量信号のみに基づき物品重量を計量する。すなわち、この重量チェッカによれば、物品長に応じて適切な搬送面長さを設定することができ、計量能力の低下を抑えることができる。
【特許文献1】特開平10−122940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記重量チェッカのように、搬送コンベア及び重量センサを複数組み合わせて使用する場合には、以下のような問題を生じる。まず、重量センサは、非常に高価であり、かつ、その維持のために定期的に点検・校正する必要があるところ、これを複数使用することにより、製造コスト及び維持コストが非常に高くなるという問題がある。また、物品搬送間隔を十分に詰めて計量能力低下の問題を解消しようとする場合、計量対象物品の物品長の組み合わせによっては、装置全体が長くなり過ぎるという問題がある。
【0006】
例えば、計量対象物品の物品長が10、30、40、70cmで、各物品の搬送間隔をすべて10cmに設定する場合、各物品に対して最適な搬送面長さは、20、40、50、80cmで、これらを同時に満足させると、装置全長が長くなり過ぎる。なお、搬送面長さ40cmのコンベア二本、あるいは30cmのコンベア一本と50cmのコンベア一本とすれば、装置全長は80cmに抑えられるが、搬送間隔を20cmや30cmに設定せざる得ない場合を生じる。
【0007】
さらに、複数の搬送コンベアに跨る一つの物品を各搬送コンベアの重量センサで計量する場合、物品搬送に伴って各重量センサに負荷される重量が常時変動するため、各重量センサにおける重量計量信号が安定しにくく、計量精度を確保することが難しいという問題がある。
【0008】
本願発明は、上記の事情に鑑みて、物品を搬送しながら重量計量する重量チェッカにおいて、計量対象物品の物品長の変更に伴う計量能力の低下を抑えながら、計量精度を確保することができる重量チェッカ及びそれを備える搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、物品を搬送する搬送コンベアと、該搬送コンベアを支持する重量センサと、を備え、前記重量センサの検出結果に基づき前記搬送コンベアで搬送中の物品を重量計量する重量チェッカにおいて、
前記搬送コンベアは、第一搬送ローラと、第二搬送ローラと、これらの両搬送ローラに巻き掛けられて、前記両搬送ローラ間に物品搬送面を形成する搬送ベルトと、前記両搬送ローラを接近又は離間する方向に相対変位させることにより、前記両搬送ローラ間の距離を変化させて、前記物品搬送面を伸縮する物品搬送面伸縮手段と、前記両搬送ローラとは別に設けられて、前記搬送ベルトに押接されることにより、前記搬送ベルトに張力を付与する張力付与ローラと、前記張力付与ローラを変位させることにより、前記物品搬送面の伸縮に伴う搬送ベルト長さの過不足を吸収するベルト張力調整手段と、を備え、
重量計量する物品の長さに応じて、前記物品搬送面を伸縮可能にしたことを特徴とする重量チェッカを提供する。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の重量チェッカであって、
前記物品搬送面伸縮手段は、前記両搬送ローラを反対方向に同じ距離を変位させることを特徴とする重量チェッカを提供する。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の重量チェッカを備える搬送装置であって、
前記重量チェッカへ物品を搬入する搬入コンベア及び/又は前記重量チェッカから物品を搬出する搬出コンベアを、前記搬送コンベアの物品搬送方向の手前側及び/又は向う側に配置されてなり、前記搬入コンベア及び/又は前記搬出コンベアを、前記物品搬送面の伸縮動作に同期して、前記搬送コンベアに接近又は離間させる方向に移動させることにより、前記搬送コンベアとの間隔を一定に保つ移動手段を備えることを特徴とする搬送装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、以下の優れた効果を奏する。搬送ベルトが巻き掛けられて物品搬送面を形成する搬送ローラを相互に接近又は離間させることにより、物品搬送面を伸縮する物品搬送面伸縮手段を設けるとともに、搬送ベルトに張力を付与する張力付与ローラを変位させることにより、物品搬送面伸縮手段の作動に伴う搬送ベルトの過不足を吸収させるようにしたので、搬送物品の物品長に応じて、物品搬送面長さを適正化することができ、計量能力の低下を解消することができる。また、単一の重量センサで異なる物品長に対応することができるため、製造コスト及び維持コストが抑えられることに加えて、重量計量信号を安定させ易く計量精度を悪化させる心配が無い。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、以下の優れた効果を奏する。物品搬送面伸縮手段が、両搬送ローラを物品搬送方向において前後対称に変位させるので、搬送コンベアを支持する重量センサに負荷される偏荷重を抑えることができ、その結果として、高い計量精度を確保することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加え、以下の優れた効果を奏する。上記搬送コンベアの物品搬送方向の前後に隣接して配置される搬入コンベアや搬出コンベアを搬送コンベアの伸縮に同期して移動させることにより、搬送コンベアとの間隔を一定に保つ移動手段を備えるので、物品長の長さ変更に伴う対応を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(本発明の第一の実施形態)
以下、本発明の第一の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る重量チェッカ1を示す図であって、(a)は物品搬送面Fを最も長く伸ばした状態、(b)は物品搬送面Fを最も短く縮めた状態を表す。
【0016】
(重量チェッカ1)
重量チェッカ1は、図1(a)及び(b)中の左側に設けられる物品搬入口INから物品を受け入れ、同図中の右側に設けられる物品搬出口EXへ向けて物品を搬送する搬送コンベア2と、搬送コンベア2を支持する重量センサ3と、を備えてなり、重量センサ3の検出結果に基づき、搬送コンベア2で搬送中の物品を重量計量する。
【0017】
(搬送コンベア2)
搬送コンベア2は、図1(a)及び(b)に示されるように、コンベア後端の物品搬入口INに設けられる第一搬送ローラ21と、コンベア前端の物品搬出口EXに設けられる第二搬送ローラ22と、第一及び第二搬送ローラ21,22に巻き掛けられて、両搬送ローラ21,22間に物品搬送面Fを形成する搬送ベルト23と、を備えるベルトコンベアである。さらに、搬送コンベア2は、両搬送ローラ21,22を相互に接近又は離間する方向に相対変位させることにより、両搬送ローラ間の距離Lを、図1(a)に示す最長状態から、同図(b)に示す最短状態までの範囲で変化させて、物品搬送面Fを伸縮する物品搬送面伸縮手段24と、両搬送ローラ21,22とは別に設けられ、搬送ベルト23に押接されることにより、搬送ベルト23に張力を付与する張力付与ローラ25と、張力付与ローラ25を変位させることにより、物品搬送面Fの伸縮に伴う搬送ベルト23の長さの過不足を吸収するとともにベルト張力を調整するベルト張力調整手段26を備える。
【0018】
(第一搬送ローラ21及び第二搬送ローラ22)
第一搬送ローラ21は、物品搬送方向に延びる第一コンベアフレーム27の後端に軸受支持される従動ローラである。第二搬送ローラ22は、同じく物品搬送方向に延びる第二コンベアフレーム28の前端に軸受支持され、不図示のコンベア駆動モータにより回転駆動される駆動ローラである。第一コンベアフレーム27は、重量センサ3を介して重量チェッカ本体11に連結固定される一方、第二コンベアフレーム28は、第一コンベアフレーム27に対し、不図示のスライド機構によって物品搬送方向にスライド可能となるように支持され、これによって、両搬送ローラ21,22は、相互に接近又は離間する方向に相対変位可能とされる。なお、スライド機構は、両コンベアフレーム27,28の一方に連結固定されるレールと、他方に連結固定されて前記レールに対してスライド可能なスライダーとを備える。
【0019】
(搬送ベルト23)
搬送ベルト23は、第一搬送ローラ21及び第二搬送ローラ22に巻き掛けられ、両搬送ローラ21,22間の上面側に物品を載せて搬送する物品搬送面Fを形成し、第二搬送ローラ22の回転駆動に伴って物品搬送方向に走行する。搬送ベルト23は、図1(a)及び(b)に示されるように、物品搬送面Fを形成した後、物品搬出口EXに設けられる第二搬送ローラ22でその下方側に回り込むように方向転換されて、重量センサ3との干渉を避けるように下方へ張り出した概ねコ字形状の迂回経路Rを走行させられ、さらに物品搬入口INに設けられる第一搬送ローラ21まで戻って、再び物品搬送面Fを形成する循環走行を繰り返す。なお、迂回経路Rには、後述する張力付与ローラ25やベルト張力調整手段26が設けられており、これらの作動によって、物品搬送面Fの伸縮に伴って生じる搬送ベルト23の長さの過不足を吸収する。
【0020】
(物品搬送面伸縮手段24)
物品搬送面伸縮手段24は、第一及び第二コンベアフレーム27,28を相対移動させる駆動機構であり、ボールネジ241、ボールナット242及びサーボモータ243を備えてなる。ボールネジ241は、物品搬送方向に延びるように設けられ、第一コンベアフレーム27に連結固定される軸受部材241a,241bで回転可能に軸受支持される。ボールナット242は、第二コンベアフレーム28に連結固定され、かつ、ボールネジ241に螺合されており、ボールネジ241の軸回転に応じて、第二コンベアフレーム28をスライド移動させる。サーボモータ243は、ボールネジ241を軸回転させる駆動源で、ボールネジ241に直接、又は伝導機構を介して連結される。サーボモータ243の作動により、第二搬送ローラ22を支持する第二コンベアフレーム28がモータ回転数に応じてスライド移動し、両搬送ローラ間の距離L、すなわち、物品搬送面Fの長さを無段階で伸縮させる。サーボモータ243は、オペレータによる不図示の操作部への物品長のデータ入力等に基づき制御部Cが生成する制御信号に応じて、物品搬送間隔を最適化できる物品搬送面Fを形成する。
【0021】
(張力付与ローラ25)
張力付与ローラ25は、図1(a)及び(b)に示されるように、第一及び第二搬送ローラ21,22とは別に設けられ、迂回経路R上で搬送ベルト23に押接されることにより、該ベルトに張力を付与するベルトローラ群で、第一コンベアフレーム27に対して位置固定されている固定ローラ251と、これらに対して物品搬送面伸縮手段24の作動に伴い変位する変位ローラ252と、からなる。固定ローラ251は、第二搬送ローラ22で折り返された搬送ベルト23の表側(物品搬送面側)に押接してベルトを迂回経路Rに導く方向転換ローラ251aと、迂回経路R上で所定間隔をおいて搬送ベルト23の裏側に押接し、第一搬送ローラ21へ戻すように導く走行ローラ251b〜251eからなり、すべて第一コンベアフレーム27、すなわち重量チェッカ本体11に対して軸受支持される。変位ローラ252は、迂回経路Rに沿って配置され、走行ローラ251b〜251eの各中間位置に臨むベルトローラ252a〜252cであって、迂回経路Rに対して交差する方向にスライド可能なローラ支持部材253に軸受支持されており、物品搬送面Fの伸縮に応じて変位することで搬送ベルト23に適正な張力を付与する。ローラ支持部材253はレール253aによってスライド可能に支持される。物品搬送面Fを長くする場合は、図1(a)に示されるように、それに応じて搬送ベルト23の張りを緩め、物品搬送面Fが短くする場合は、図1(b)に示されるように、搬送ベルト23を九十九折状に繰り寄せることにより、搬送コンベア2全体における搬送ベルト23の長さの過不足を吸収する。
【0022】
(ベルト張力調整手段26)
ベルト張力調整手段26は、第一コンベアフレーム27、すなわち重量チェッカ本体11とローラ支持部材253の間に設けられて、ローラ支持部材253をスライド移動させる駆動機構であり、ボールネジ261、ボールナット262及びサーボモータ263を備える。ボールネジ261は、重量センサ3を介して重量チェッカ本体11に連結固定される軸受部材261a,261bで軸受支持され、ローラ支持部材253のスライド方向に延びるように設けられる。ボールナット262は、ローラ支持部材253に連結固定され、かつ、ボールネジ261に螺合され、その軸回転に応じてローラ支持部材253を移動させる。サーボモータ263は、ボールネジ261を軸回転させる駆動源で、ボールネジ261に直接又は伝導機構を介して連結される。サーボモータ263を作動させることにより、ローラ支持部材253がモータ回転数に応じて無段階にスライド移動し、上述したように搬送ベルト23の長さの過不足を吸収するとともに、ベルト張力を付与する。サーボモータ263の回転角は、サーボモータ243の回転角に応じて、ベルト長さの過不足が吸収できるように予め設定されている。
【0023】
(重量センサ3)
重量センサ3は、重量チェッカ本体11に支持される一方、搬送コンベア2の全体重量を支持するロードセルであって、搬送コンベア2の物品搬送面F上を搬送される物品の重量に応じた計量信号を出力する。当該計量信号は、不図示の制御部Cに入力され、制御部Cにおいて物品重量が求められる。すなわち、重量センサ3の検出結果に基づいて、搬送コンベア2で搬送中の物品を重量計量することができる。なお、重量センサ3は、物品搬送面Fの伸縮に伴う搬送コンベア2の重心移動によって受ける偏荷重の影響を緩和するため、第一コンベアフレーム27の後方寄りを支持している。
【0024】
(第一の実施形態に係る重量チェッカ1の特徴)
第一の実施形態に係る重量チェッカ1は、以下のような特徴を有している。第一に、単一の重量センサ3で支持される搬送コンベア2において、搬送ベルト23が巻き掛けられて物品搬送面Fを形成する第一及び第二搬送ローラ21,22を接近又は離間する方向に相対変位させることにより、物品搬送面Fを伸縮する物品搬送面伸縮手段24を備えるという特徴を有している。これにより、計量物品の搬送方向における物品長に応じて、物品搬送面Fの長さを変更することができる。その結果、物品搬送間隔を適正化して、計量能力の低下が防止される。また、単一の重量センサで異なる物品長に対応できるため、装置の製造コスト及び維持コストを抑えられ、また、複数の計量コンベアを組み合わせる場合に比べて重量計量信号を安定させ易く、計量精度を悪化させる心配がない。
【0025】
第二に、物品搬送面伸縮手段24は、サーボモータ243で回転駆動されるボールネジ241と、ボールナット242との組み合わせにより、物品搬送面Fの長さを無段階に伸縮できるという特徴を有している。これにより、物品長に応じて、必要最小限の搬送間隔とする物品搬送面長さを実現することができ、その結果、計量能力の低下を完全に解消することができる。また、サーボモータ243の使用により、モータ回転数の制御のみで物品搬送面Fを適当な長さとする調整を容易に行える。
【0026】
第三に、物品搬送面伸縮手段24を作動させて物品搬送面Fを長くする場合は、搬送ベルト23を伸ばすように張りを緩め、物品搬送面Fを短くする場合は、搬送ベルト23を九十九折状に畳むように引き寄せて、ベルト長さの過不足を吸収するベルト張力調整手段26を備えるという特徴を有している。これにより、物品搬送面Fを伸縮させるために、長さの異なる搬送ベルトを準備する必要がなく、段取り替えの際に搬送ベルトに交換する手間も省ける。
【0027】
(本発明の第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る重量チェッカ4を示す図であって、(a)は物品搬送面Fを最も長く伸ばした状態、(b)は物品搬送面Fを最も短く縮めた状態を表す。
【0028】
(重量チェッカ4)
重量チェッカ4は、図2(a)及び(b)中の左側に設けられる物品搬入口INから物品を受け入れ、同図中の右側に設けられる物品搬出口EXへ向けて物品を搬送する搬送コンベア5と、搬送コンベア5を支持する重量センサ6と、を備えてなり、重量センサ6の検出結果に基づき、搬送コンベア5で搬送中の物品を重量計量する。
【0029】
(搬送コンベア5)
搬送コンベア5は、コンベア後端の物品搬入口INに設けられる第一搬送ローラ51と、コンベア前端の物品搬出口EXに設けられる第二搬送ローラ52と、両搬送ローラ51,52に巻き掛けられて、それらの間に物品を搬送する物品搬送面Fを形成する搬送ベルト53と、を備えるベルトコンベアである。また、搬送コンベア5は、両搬送ローラ51,52を相互に接近又は離間する方向に相対変位させて、両搬送ローラ間の距離Lを、図2(a)に示す最長状態から、同図(b)に示す最短状態までの範囲内で変化させて、物品搬送面Fを伸縮する物品搬送面伸縮手段54を備える。さらに、両搬送ローラ51,52とは別に設けられ、搬送ベルト53に押接されることで張力を付与する張力付与ローラ55と、これを変位させて物品搬送面Fの伸縮に伴うベルト長さの過不足を吸収しつつベルト張力を調整するベルト張力調整手段56と、を備える。
【0030】
(第一搬送ローラ51及び第二搬送ローラ52)
第一搬送ローラ51は、物品搬送方向に延びる第一コンベアフレーム57の後端に、回転可能に軸受支持される従動ローラであり、第二搬送ローラ52は、同じく物品搬送方向に延びる第二コンベアフレーム28の前端に、回転可能に軸受支持され、不図示のコンベア駆動モータによって回転駆動される駆動ローラである。これらのコンベアフレーム57,58は、図2に示されるように、両者がメインフレーム59に対して前後対称となるように設けられ、不図示のスライド機構により、メインフレーム59に対して物品搬送方向にスライド可能に支持されており、これによって、両搬送ローラ51,52は、相互に接近又は離間する方向に相対変位可能とされる。なお、スライド機構は、メインフレーム59に連結固定されるレールと、各コンベアフレームに連結固定されて、前記レールに対してスライド可能なスライダーと、を備えてなり、メインフレーム59は、重量センサ6を介して重量チェッカ本体41に支持される。
【0031】
(搬送ベルト53)
搬送ベルト53は、第一搬送ローラ51及び第二搬送ローラ52に巻き掛けられ、両搬送ローラ間の上面側に物品搬送面Fを形成し、第二搬送ローラ52の回転駆動に伴って物品搬送方向に走行する。搬送ベルト53は、図2(a)及び(b)に示されるように、物品搬送面Fを形成した後、物品搬出口EXに設けられる第二搬送ローラ52でその下方側に回り込むように方向転換し、重量センサ6を避けるように下方へ張り出した概ねコ字形状の迂回経路Rを走行して、さらに物品搬入口INに設けられる第一搬送ローラ51まで戻り、再び物品搬送面Fを形成するように、循環走行する。なお、迂回経路Rには、後述する張力付与ローラ55やベルト張力調整手段56が設けられており、これらの作動によって、物品搬送面Fの伸縮に伴って生じる搬送ベルト53の長さの過不足を吸収する。
【0032】
(物品搬送面伸縮手段54)
物品搬送面伸縮手段54は、第一及び第二コンベアフレーム57,58をスライド移動させる駆動機構であり、ボールネジ541,542、ボールナット543,544及びサーボモータ545を備えてなる。ボールネジ541,542は、同ピッチのネジ山が逆方向(右ネジと左ネジ)に切られて同軸で一体形成されるとともに、物品搬送方向に延びるように配設され、重量チェッカ本体41に対して軸受部材で軸受支持される。ボールナット543,544は、それぞれ第一及び第二コンベアフレーム57,58に連結固定され、かつ、ボールネジ541,542に螺合されており、それらの軸回転に応じて、逆方向に同じ距離だけ移動する。サーボモータ545は、ボールネジ541,542を軸回転させる駆動源であって、ボールネジ541,542に伝導機構546を介して連結される。したがって、サーボモータ545の作動により、第一及び第二コンベアフレーム57,58がモータ回転数に応じて、前後逆方向に同じ距離だけスライド移動し、両搬送ローラ51,52間の距離L、すなわち、物品搬送面Fの長さを無段階で伸縮させる。サーボモータ545は、オペレータによる不図示の操作部への入力データに基づき、重量計量する物品の搬送方向の長さに応じて、物品搬送間隔を最適化できる物品搬送面Fを形成する。
【0033】
(張力付与ローラ55)
張力付与ローラ55は、図1(a)及び(b)に示されるように、第一及び第二搬送ローラ51,52とは別に設けられ、迂回経路R上で搬送ベルト53に押接されることにより、該ベルトに張力を付与するベルトローラ群で、メインフレーム59に対して位置が固定されている固定ローラ551と、物品搬送面伸縮手段54の作動に伴って変位する変位ローラ552と、からなる。固定ローラ551は、第一及び第二搬送ローラ52で折り返される搬送ベルト53の表側(物品搬送面側)に押接する方向転換ローラ551a,551fと、迂回経路R上で所定間隔をおいて配置され、搬送ベルト53の裏側に押接する走行ローラ551b〜551eとからなり、すべてメインフレーム59に対して軸受支持される。変位ローラ552は、迂回経路Rに沿って配置され、走行ローラ551b〜551eの各中間位置に臨むベルトローラ552a〜552cであって、迂回経路Rに対して交差する方向にスライド可能なローラ支持部材553に軸受支持されており、物品搬送面Fの伸縮に応じて変位することで搬送ベルト53に適正な張力を付与する。ローラ支持部材553は、レール553aによってメインフレーム59に対してスライド可能に支持される。物品搬送面Fを長くする場合は、図2(a)に示されるように、それに応じて搬送ベルト53の張りを緩め、物品搬送面Fが短くする場合は、図2(b)に示されるように、搬送ベルト53を九十九折状に繰り寄せることにより、搬送コンベア5全体におけるベルト長さの過不足を吸収する。
【0034】
(ベルト張力調整手段56)
ベルト張力調整手段56は、メインフレーム59とローラ支持部材553の間に設けられて、ローラ支持部材553をスライド移動させる駆動機構であり、ボールネジ561、ボールナット562及びサーボモータ563を備えてなる。ボールネジ561は、重量チェッカ本体41に重量センサ6を介して連結固定される軸受部材561a,561bで回転可能に軸受支持され、ローラ支持部材553のスライド方向に延びるように設けられる。ボールナット562は、ローラ支持部材553に連結固定され、かつ、ボールネジ561に螺合されて、ボールネジ561の軸回転に応じてローラ支持部材553を移動させる。サーボモータ545は、ボールネジ561を軸回転させる駆動源で、ボールネジ561に直接又は伝導機構を介して連結される。サーボモータ563を作動させることにより、変位ローラ552を支持するローラ支持部材553がモータ回転数に応じて無段階にスライド移動し、上述したように搬送ベルト53の長さの過不足を吸収する。サーボモータ563は、サーボモータ545の回転角に応じて、ベルト長さの過不足が吸収されるように作動するように予め設定されている。
【0035】
(重量センサ6)
重量センサ6は、重量チェッカ本体41に支持される一方、搬送コンベア5の全体重量を支持するロードセルであって、搬送コンベア5の物品搬送面F上を搬送される物品の重量に応じた計量信号を出力する。当該計量信号は、不図示の制御部Cに入力され、制御部Cにおいて物品重量が求められる。すなわち、重量センサ6の検出結果に基づいて、搬送コンベア5で搬送中の物品を重量計量することができる。
【0036】
(第二の実施形態に係る重量チェッカ4の特徴)
第二の実施形態に係る重量チェッカ4は、第一の実施形態に係る重量チェッカ1と同様に、(1)搬送ローラ51,52を接近又は離間する方向に相対変位させて物品搬送面Fを伸縮する、(2)サーボモータ545で回転駆動されるボールナット541とボールネジ542の組み合わせで物品搬送面Fを無段階に伸縮する、(3)物品搬送面伸縮手段54の作動に応じてベルト長さの過不足を吸収するベルト張力調整手段56を備える、等の特徴を有するほか、以下の特徴を有している。
【0037】
重量チェッカ4では、物品搬送面伸縮手段54が、第一及び第二コンベアフレーム57,58(第一及び第二搬送ローラ51,52)をメインフレーム59に対して、前後逆方向に同じ距離だけスライド変位するという特徴を有している。したがって、重量センサ6で搬送コンベア2(メインフレーム59)の物品搬送方向の中央位置(重心位置)を支持することにより、搬送コンベア5から重量センサ6に負荷される偏荷重を抑えることができ、その結果として、高い計量精度を確保することができる。
【0038】
物品搬送面伸縮手段54は、同ピッチのネジ山を逆方向に切った一体形成のボールネジ541,542を回転させて、第一及び第二コンベアフレーム57,58を変位させるという特徴を有している。したがって、第一及び第二搬送ローラ51,52を逆方向に移動させるサーボモータは一個で済み、二個のサーボモータを同期させて使用する場合よりも低コストで容易に対応することが可能となる。
【0039】
(上記実施形態の変形例)
上記第一及び第二の実施形態では、重量チェッカ1,4のみについて説明したが、例えば、図3に示されるように、重量チェッカ4へ物品を搬入する搬入コンベア7及び重量チェッカ4から物品を搬出する搬出コンベア8を、搬送コンベア2の物品搬送方向の手前側及び向う側に隣接配置するとともに、物品搬送面Fの伸縮動作に同期して、搬送コンベア2に接近又は離間させる方向に自動的に移動させることにより、搬送コンベア2との間隔を一定に保つ搬送装置としても良い。これにより、作業者が物品長の変更を伴う段取り替えの都度、前後の搬入・搬出コンベアを動かしたり、間隔寸法を調整したりする手間が省くことができる。搬送コンベア2の前後に配置される搬入・搬出コンベアを、物品搬送面Fの伸縮と同期的に移動させる移動手段としては、図3に示される搬入コンベア7のように、物品搬送面Fのみを伸縮移動させる物品搬送面伸縮手段74や、あるいは、同図に示される搬出コンベア8のように、コンベアを支持するコンベア支持台85を移動させる機構が採用される。
【0040】
搬入コンベア7は、重量チェッカ1から重量センサ3を取り除いたものと略同様の構造で、コンベア本体7aに連結固定される上流側の第一コンベアフレーム77と、これにスライド機構でスライド支持される下流側(搬送コンベア5側)の第二コンベアフレーム78に、第一搬送ローラ71と第二搬送ローラ72をそれぞれ軸受支持させ、第二コンベアフレーム78を物品搬送面伸縮手段74で移動させる。これにより、物品搬送面Fが搬送コンベア2に接近又は離間させる方向に伸縮移動する。両搬送ローラ71,72に巻き掛けられて物品搬送面Fを形成する搬送ベルト73は、張力付与ローラ75,ベルト張力調整手段76によって、物品搬送面Fの伸縮に伴う過不足が吸収される。物品搬送面Fを下流側にのみ伸縮移動させる構造を採用することで、さらに上流に設けられる別の装置と搬入コンベア7の隙間を一定に保つことができる。
【0041】
搬出コンベア8は、第一及び第二搬送ローラ81,82に搬送ベルト83を巻き掛けてなるベルトコンベアを、基台84に対して物品搬送方向にレールでスライド支持されるコンベア支持台85に設けてなる。基台84には、モータ841で回転駆動されるボールネジ842が軸受支持される一方、コンベア支持台85には、ボールネジ842と螺合されるボールナット851が固定されている。モータ841の作動によって、ベルトコンベア全体が搬送コンベア5に接近又は離間する方向に移動し、その物品搬送面Fが、搬送コンベア2の物品搬送面Fとの間隔を一定に保つことができる。搬入コンベア7及び搬出コンベア8は、重量チェッカ4に備えられる制御部Cによって、搬送コンベア5の物品搬送面Fの伸縮動作と連係して、その端部の移動距離と同じ距離を移動するように制御される。
【0042】
搬入コンベア7と同様に、物品搬送面が伸縮移動して搬送コンベア2に接近又は離間するコンベアを、搬出コンベア8として採用しても良いし、搬出コンベア8と同様に、ベルトコンベア全体が搬送コンベア5に接近又は離間するコンベアを、搬入コンベア7として採用しても良く、搬送コンベア5の上下流に同タイプのコンベアを配設しても良い。なお、これらのコンベアは、搬送コンベア(重量チェッカ)の物品搬送面の伸縮のために移動する搬送ローラに近接して配設される。したがって、重量チェッカ1については、その下流側にのみ配設される。
【0043】
上記第一及び第二の実施形態では、複数個設けた張力付与ローラ25,55の一部(変位ローラ252,552)を変位させることにより、物品搬送面Fの伸縮に伴う搬送ベルト23,53の長さの過不足を吸収させることとしたが、図4(a)に示されるように、張力付与ローラの全部を変位させる構造を採用しても良い。張力付与ローラは、複数個に限らず一個でも良い。また、張力付与ローラのすべてが、常時、搬送ベルトに押接される必要は無く、図4(b)に示されるように、搬送ベルトに張力を与える役割を担わせなくても良いローラについては、押接させないこととしても良い。その他、張力付与ローラの変位は、直線的にスライドさせるだけに限らず、例えばローラ支持部材を回転させて、張力付与ローラを変位させるようにしても良い。
【0044】
上記第一及び第二の実施形態では、重量チェッカ2,5は、それぞれ単独で使用するものとして説明したが、複数台を連続配置して使用することを否定するものではない。その他、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る重量チェッカ。
【図2】本発明の第二の実施形態に係る重量チェッカ。
【図3】本発明の変形例。
【図4】本発明の別の変形例。
【符号の説明】
【0046】
1 重量チェッカ
2 搬送コンベア
3 重量センサ
4 重量チェッカ
5 搬送コンベア
6 重量センサ
7 搬入コンベア
8 搬出コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送コンベアと、該搬送コンベアを支持する重量センサと、を備え、前記重量センサの検出結果に基づき前記搬送コンベアで搬送中の物品を重量計量する重量チェッカにおいて、
前記搬送コンベアは、
第一搬送ローラと、
第二搬送ローラと、
これらの両搬送ローラに巻き掛けられて、前記両搬送ローラ間に物品搬送面を形成する搬送ベルトと、
前記両搬送ローラを接近又は離間する方向に相対変位させることにより、前記両搬送ローラ間の距離を変化させて、前記物品搬送面を伸縮する物品搬送面伸縮手段と、
前記両搬送ローラとは別に設けられて、前記搬送ベルトに押接されることにより、前記搬送ベルトに張力を付与する張力付与ローラと、
前記張力付与ローラを変位させることにより、前記物品搬送面の伸縮に伴う搬送ベルト長さの過不足を吸収するベルト張力調整手段と、を備え、
重量計量する物品の長さに応じて、前記物品搬送面を伸縮可能にしたことを特徴とする重量チェッカ。
【請求項2】
請求項1記載の重量チェッカであって、
前記物品搬送面伸縮手段は、前記両搬送ローラを反対方向に同じ距離を変位させることを特徴とする重量チェッカ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の重量チェッカを備える搬送装置であって、
前記重量チェッカへ物品を搬入する搬入コンベア及び/又は前記重量チェッカから物品を搬出する搬出コンベアを、前記搬送コンベアの物品搬送方向の手前側及び/又は向う側に配置されてなり、
前記搬入コンベア及び/又は前記搬出コンベアを、前記物品搬送面の伸縮動作に同期して、前記搬送コンベアに接近又は離間させる方向に移動させることにより、前記搬送コンベアとの間隔を一定に保つ移動手段を備えることを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−32217(P2010−32217A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191401(P2008−191401)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】