説明

重量収納物の展示用包装箱

【課題】収納物が大きな重量を有するものであっても、商品の吊り下げ展示を可能とする展示用の包装箱を提案する。
【解決手段】重量収納物の展示用包装箱において、所望の形状に構成した包装箱本体の上面に通孔を設けると共に、この包装箱本体に収納する重量収納物の上端に連結具を介して剛性の吊下金具を取り付け、この重量収納物を上記包装箱本体内に収納し、上記吊下金具を上記通孔から上方に突出させるという手段を用いた。また、重量収納物が長尺物である場合、これを結束具で束ね、該結束具を連結具としてこれに吊下金具を取り付けるという手段を採用した。そして、上記吊下金具が金属製二重リングであるという手段を採用した。一方、上記包装箱本体は、シートブランクを折り曲げて平角筒状に構成したものであるという手段、包装箱本体に窓を設けるという手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、比較的重量の重い収納物を収納し、上端に取付けた吊下金具でこれを商品陳列棚のフック等に吊下して、商品の展示や保管ができるようにした展示用包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の展示用包装箱としては、例えば図4に示すように、紙またはプラスチック製のシートブランクを折り曲げて中空の箱本体21を形成すると共に、その側面板から上方に吊り下げ片22を連設し、該吊り下げ片22に透孔23を設け、該透孔23を介して陳列棚のフック等に吊下して展示できるようにしたものがある。
【0003】
しかし、収納物が重い場合、その荷重が上記透孔23に集中して負荷されるので、透孔部分に変形や破断が生じたり、吊り下げ片のみが引っ張られて箱本体21が変形するなどして、商品価値を低下させるという問題があった。また、箱本体21自体、その組み立て態様によっては、特に底部が収納物の重量に耐えることができるかという問題もある。
【0004】
このような従来技術の問題点に鑑みて、例えば、特許文献1の「展示包装体」や、特許文献2の「包装ケース」などが提案されている。特許文献1に開示された「展示包装体」は、シートブランクを折り曲げて形成される中空体に吊り下げ孔を有する吊り下げ片を連接してなる展示包装体において、側壁に連設した天板の中央部に吊り下げ片が挿通可能な孔を設け、この孔から側壁に連設した吊り下げ片を天板上方に突出させるように構成したものである。
【0005】
また、特許文献2に開示された「包装ケース」は、上面に出入口を有するシート材製のケース本体に、出入口を開閉する蓋部と、吊り下げ孔を有するハンガー部とが一体に設けられており、ハンガー部は、シート材を折り重ねて2重に構成され、蓋部に通口を設けてあり、ハンガー部は、ケース組み立て状態において、蓋部の下側で蓋部の通口を塞ぐように配置してあり、ハンガー部が、蓋部の通口を通って直立姿勢に引き起こされるようにしてあるものである。
【0006】
上述した態様の包装箱は、その構成によって、収納物の重量に耐えうるものではあるが、箱本体と一体に連設された吊り下げ片に吊り下げ孔を設け、この吊り下げ孔を介してフックに吊下するという構造には変わりがない。そのため、収納物を収納した包装箱全体の重量が吊り下げ孔に集中して負荷されるという基本的な課題はなお残されている。
【0007】
この問題に関して、例えば、特許文献3に示されたような「個装箱」が提案されている。これは、ケーブルなどの長尺物を輪状に束ねたものを幅広の樹脂バンドで巻回し、その舌片を個装箱に設けた穴から突出させ、該突出された舌片に設ける穴を陳列台のフックに引っ掛けて吊下展示するようにしたものである。このような構成であれば、収納物の重さは樹脂バンドに支えられ、個装箱自体にはその重さが掛からないことになる。そのため、個装箱の破損が抑制されるものである。
【0008】
【特許文献1】特開平8−324549号公報
【特許文献2】特開2001−180660号公報
【特許文献3】特開2002−347755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献3の「個装箱」に用いられる樹脂バンドは、収納物に直接巻回し、これを保持するものであるから、柔軟性が要求され、その素材が樹脂等に限定される。そのため、樹脂バンドの舌片に吊り下げ用の穴を設けた場合には、従来と同様に、穴に収納物の全重量が負荷されることになるから、穴の変形や破損のおそれが残るものであった。また、樹脂バンドの他端には、舌片を通す通孔が設けられているが、その通孔にも大きな荷重がかかることになり、通孔部分にも変形や破損のおそれがあった。
【0010】
さらに、輪状に束ねたケーブル類に上記舌片と通孔を利用して幅広の樹脂バンドを巻き付けることは、手間を要し、包装作業全体の効率が低下するものであった。
【0011】
本発明は、従来技術のこのような問題点を解決するためになされたものであり、収納物が大きな重量を有するものであっても、箱自体に負荷をかけることなく、商品の吊り下げ展示を可能とする展示用の包装箱を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記種々の課題を解決するため、本発明は、重量収納物の展示用包装箱において、所望の形状に構成した包装箱本体の上面に通孔を設けると共に、この包装箱本体に収納する重量収納物の上端に連結具を介して剛性の吊下金具を取り付け、この重量収納物を上記包装箱本体内に収納し、上記吊下金具を上記通孔から上方に突出させるという手段を用いた。
【0013】
また、重量収納物が長尺物である場合、これを結束具で束ね、該結束具を連結具としてこれに吊下金具を取り付けるという手段を採用した。
【0014】
そして、上記吊下金具が金属製二重リングであるという手段を採用した。
【0015】
一方、上記包装箱本体は、シートブランクを折り曲げて平角筒状に構成したものであるという手段を採用した。
【0016】
そして、包装箱本体に窓を設けるという手段を採用した。
【0017】
さらにこの場合、重量収納物は、上面に上記包装箱本体の通孔と連通する通孔を有する化粧板を介して包装箱本体に収納するという手段を採用した。
【発明の効果】
【0018】
上記構成の、本発明に係る重量収納物の展示用包装箱は、包装箱本体の上面に通孔を設けると共に、重量収納物の上端に連結具を介して剛性の吊下金具を取り付け、この重量収納物を上記包装箱本体内に収納して、上記吊下金具を上記通孔から上方に突出させるようにしたので、重量収納物の全重量が吊下金具に負荷される一方、包装箱本体には全く負荷がかからないので、包装箱の変形や損傷のおそれを確実に回避できるようになった。この場合、吊下金具は、剛性を有する金属製であるので、相当重量に耐えることが可能であり、変形することはない。そのため、従来、吊り下げ展示が困難であった重量収納物を、容易に吊り下げて展示することができるので、顧客に対する広告宣伝効果や商品アピールの幅が広がった。
【0019】
また、重量収納物が長尺物である場合には、これを結束具で束ねて、その結束具を連結具とし、これに吊下金具を取り付けることが可能であり、吊り下げ展示が可能となると共に、上記吊下金具の取り付けが簡単にできる。
【0020】
この場合、吊下金具を金属製二重リングとすれば、重量収納物に対する吊下金具の取付作業が極めて容易となる。
【0021】
また、包装箱本体は、シートブランクを折り曲げて平角筒状に構成することで、箱本体を簡単に構成することが可能であると共に、上述したように、包装箱本体には全く負荷がかからないので、紙、プラスチック等、任意の素材で包装箱を構成することが可能であり、商品内容に応じた包装箱とすることができる。
【0022】
また、包装箱本体に窓を設けることで、商品の内容を直接確認できる。
【0023】
さらに、重量収納物を化粧板を介して包装箱本体に収納するようにしたので、商品の見栄えがよくなり、顧客の目を引きつけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る重量収納物の展示用包装箱の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1は、展示用包装箱の全体構成の分解斜視図、図2は完成斜視図である。
【0025】
図1、2において、1は、紙製またはプラスチック製のシートブランクを折り曲げて組み立てる平角筒状の包装箱本体で、正面に窓2を設け収納物を透過して確認できるようにしたものである。3は、同様にシートブランクを折り曲げて形成した化粧板で、上記包装箱本体1に収納可能な大きさである。この包装箱本体や化粧板は、一般的には、商品名や各種性能等、種々の書誌的事項が印刷されている。上記包装箱本体1および化粧板3の上面中央の同じ位置には、それぞれ通孔4、5がそれぞれ設けられ、互いに連通している。
【0026】
6は、比較的重量の重い重量収納物であって、図ではスチール製の玉掛けワイヤーを例示している。この玉掛けワイヤー6は、複数個所を例えばプラスチックコーティングしたスチール線からなる結束具7、7・・で束ねて容易に解けないように一体化している。8は上記玉掛けワイヤー6の上端部分に取付けた結束具7と連結したリング状の吊下金具である。この吊下金具8は、例えば、図3に示すように、金属製二重リングからなるもので、剛性を有し、容易に変形しないものが好ましい。
【0027】
上記構成からなる本発明の重量収納物の展示用包装箱は、結束具7で束ねた玉掛けワイヤー6の該結束具7に吊下金具(金属製二重リング)8を通して連結し、これを化粧板3内に収容し、さらに包装箱本体1に収容する。このとき、上記吊下金具(金属製二重リング)8を、通孔4、5の内側から通して包装箱本体1の上面に突出させる(図2参照。)。これにより、吊下金具8を商品陳列棚のフックに引っ掛けて展示すると、重量収納物(玉掛けワイヤー)の全重量は、吊下金具8に負荷され、包装箱本体1には全く負荷がかからない。そのため、包装箱の変形や損傷は生じない。一方、吊下金具8は、剛性の金属製二重リングからなるので、相当重量に耐えることが可能であり、これが変形、損傷することがない。よって、従来のこの種包装箱に比べて、耐久性に優れた包装箱とすることができた。
【0028】
なお、、本実施形態では、重量収納物6として長尺物である玉掛けワイヤーを例にとり、その結束具7に吊下金具8を連結する構成を開示しているが、これに限定するものではなく、一般的に、重量収納物6に対して吊下金具8を容易に外れないように取り付ければよい。即ち、任意形状の重量収納物6に対して、その適宜個所にひも等を掛けるなどして吊下金具8を取付けるための連結具を構成し、この連結具に取り付けた吊下金具8を、包装箱本体1の上面に設ける通孔4から突出させる態様であればよいのであって、上記結束具7は連結具の好ましい一例である。
【0029】
また、上記構成において、包装箱本体1の形状は、図示した平角筒状に限定するものではなく、収納物6の形状に応じて任意の形状が選択できる。また、その素材を限定するものでもない。但し、吊下金具8が通過する通孔4は、箱本体1の上面中央に設けることが好ましい。全体の重心を考慮するものである。また、化粧板3は必要に応じて設ければよいものである。さらに、結束具も、その態様を特に限定するものではないが、収納物の相当重量に耐え得ることが好ましい。一方、吊下金具8は、例示した金属製二重リングに限定するものではないが、相当重量に耐える金属製で、商品陳列棚のフックに吊下可能な形状であればよい。例えば、丸カン、角カン、Dカン、カラビナ等の金具を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る展示用包装箱の分解斜視図である。
【図2】同じく完成斜視図である。
【図3】重量収納物を結束具で束ねて吊下金具を取付けた説明図である。
【図4】従来の包装箱の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 包装箱本体
2 窓
3 化粧板
4 通孔
5 通孔
6 重量収納物(玉掛けワイヤー)
7 結束具(連結具)
8 吊下金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の形状に構成した包装箱本体の上面に通孔を設けると共に、この包装箱本体に収納する重量収納物の上端に連結具を介して剛性の吊下金具を取り付け、この重量収納物を上記包装箱本体内に収納し、上記吊下金具を上記通孔から上方に突出させることを特徴とする重量収納物の展示用包装箱。
【請求項2】
重量収納物が長尺物である場合、これを結束具で束ね、該結束具を連結具としてこれに吊下金具を取り付けるものである請求項1記載の重量収納物の展示用包装箱。
【請求項3】
吊下金具が金属製二重リングである請求項1または請求項2記載の重量収納物の展示用包装箱。
【請求項4】
包装箱本体は、シートブランクを折り曲げて平角筒状に構成したものである請求項1から請求項3のいずれか1項記載の重量収納物の展示用包装箱。
【請求項5】
包装箱本体に窓を設けた請求項4記載の重量収納物の展示用包装箱。
【請求項6】
重量収納物は、上面に上記包装箱本体の通孔と連通する通孔を有する化粧板を介して包装箱本体に収納する請求項4または請求項5記載の重量収納物の展示用包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−166871(P2009−166871A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6827(P2008−6827)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(592193269)株式会社スリーエッチ (7)
【Fターム(参考)】