説明

重量検査装置

【課題】簡易な構成により、無駄な消費電力を削減して省電力化を図ることが可能な重量検査装置を提供する。
【解決手段】重量チェッカ3は、重量検査の対象となる商品Pを所定の方向へ搬送する搬送装置13と、搬送装置13(第2搬送部13b)において搬送される商品Pの計量を行うロードセル15と、搬送装置13の搬送制御を行う制御部20と、を備えている。制御部20は、上流側における商品Pの搬送状況に応じて、搬送装置13における搬送を低速度化するように制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、製袋包装システム等に設置され、被検査物の重量に関する検査を行う重量検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品を所定の重量値の範囲内で分けながら梱包する生産ラインには、その物品の重量が所定の範囲内にあるか否かを検査するための重量検査装置が設置されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被検査物を搬送しながら計量して、被検査物を良品と不良品とに振り分けるために、複数の搬送コンベアを含む重量検査装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−322750号公報(平成18年11月30日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の重量検査装置では、以下に示すような問題点を有している。
【0005】
すなわち、上記公報に開示された重量検査装置では、省電力化の対策については特に考慮されていないため、被検査物が流れてこない間も、常時、複数の搬送コンベアが稼動し続けて無駄な電力を消費してしまうおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、簡易な構成により、無駄な消費電力を削減して省電力化を図ることが可能な重量検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る重量検査装置は、被検査物を所定の方向へ搬送しながら重量に関する検査を行う重量検査装置であって、計量部と、制御部と、を備えている。搬送部は、被検査物を所定の方向へ搬送する。計量部は、被検査物の計量を行う。制御部は、上流側から搬送されてくる被検査物の搬送状況に応じて、所定の搬送速度まで低速化するように搬送部を制御する。
【0008】
ここでは、例えば、食品等の商品生産システム等を構成する装置の1つとして設置されており、複数の搬送部によって被検査物を搬送しながら重量検査を行う重量検査装置において、被検査物が上流側から所定時間以上流れてこない等の搬送状況に応じて、搬送部における搬送速度を低速化する制御を行う。
【0009】
ここで、上記重量に関する検査とは、被検査物が所定の重量範囲内にあるか否かの検査や、重量値に応じたランク選別の検査等が含まれる。また、制御部は、例えば、搬送部の搬送速度を所定値まで低速化する際に、搬送停止状態とする制御も含む。制御対象となる搬送部としては、例えば、取込みコンベアや計量コンベア、振分けコンベア等の複数の搬送コンベアを対象としてもよいし、単一の搬送コンベアを制御対象としてもよい。さらに、上記被検査物の搬送状況とは、例えば、所定時間以上の間、上流から被検査物が搬送されてこない状態を含む。このような被検査物の搬送状況の検知には、光電管等のセンサを装置内に設置して直接検知してもよいし、商品生産システム等を構成する上流側に配置された各種装置における検知結果を受信して間接的に検知してもよい。
【0010】
これにより、上流側に設置された各種装置から被検査物が搬送されてこない期間が長いにもかかわらず、搬送部が継続して一定の搬送速度で稼動されることを回避することができる。この結果、重量検査装置として機能していない期間に消費される無駄な電力を低減して、従来よりも大幅に省電力化を図ることができる。
【0011】
第2の発明に係る重量検査装置は、第1の発明に係る重量検査装置であって、所定の搬送速度は、停止状態も含む。
【0012】
ここでは、所定時間以上、上流から被検査物が搬送されてこない場合には、制御部が、搬送部による搬送を一時的に停止させる制御も行う。
【0013】
これにより、被検査物が上流から搬送されてこない間の省電力化制御としては、最も効果的な制御を実施することができる。
【0014】
第3の発明に係る重量検査装置は、第1または第2の発明に係る重量検査装置であって、制御部は、搬送部による搬送速度を低速にする搬送低速モードと、搬送部による搬送を停止させる搬送停止モードと、を選択的に切り換えながら制御を行う。
【0015】
ここでは、被検査物の搬送状況等に応じて、所定の搬送速度まで低速化する制御と、搬送を一時的に停止させる制御とを選択的に使い分けながら省電力化制御を行う。
【0016】
これにより、被検査物の搬送状況が、ごくまれに搬送が途切れる程度であれば、搬送停止せずに低速に切り換える制御を行い、頻繁に長時間搬送が途切れてしまう状態であれば、搬送を停止させる制御を行うことができる。この結果、被検査物の搬送状況に応じて、より効果的な省電力化制御を実施することができる。
【0017】
第4の発明に係る重量検査装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る重量検査装置であって、制御部は、被検査物の搬送状況に関わらず、計量部に対する電力供給は維持するように制御を行う。
【0018】
ここでは、被検査物の搬送状況に関わらず、ロードセルや駆動基板を含む計量部に対する電力供給は継続して行うように制御を行う。
【0019】
ここで、重量検査装置の計量部に含まれるロードセルや駆動基板は、一旦電力供給を停止して再起動させると、温度等を含む計量環境が変化して測定誤差の要因となるおそれがある。
【0020】
これにより、計量時の測定誤差に影響する計量部については省電力制御の対象から外すことで、計量時の誤差を最小限としつつ、省電力化を図ることが可能な重量検査装置を得ることができる。
【0021】
第5の発明に係る重量検査装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る重量検査装置であって、搬送部は、取込みコンベア、計量コンベア、および振分けコンベアを含む。
【0022】
ここでは、重量検査装置に含まれる複数の搬送部として、取込み、計量、振分け用の各コンベアを用いている。
【0023】
ここで、取込みコンベアは、上流側に配置された各種装置から搬送されてきた被検査物を、重量検査装置内に取り込む。計量コンベアは、装置内に取り込まれた被検査物の重量を測定する。振分けコンベアは、重量検査の結果に応じて、所定の方向へ被検査物を振り分ける。
【0024】
これにより、上流側から被検査物が搬送されてこない間、それぞれ異なる機能を有する各コンベアの駆動を一時的に停止させることで、重量検査装置の機能を充実させながら、省電力化を図ることができる。
【0025】
第6の発明に係る重量検査装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る重量検査装置であって、上流側から搬送されてくる被検査物を直接的に検知する検知部を、さらに備えている。
【0026】
ここでは、例えば、光電管等のセンサを用いて、被検査物が流れてきたことを直接的に検知する。
【0027】
ここで、このような検知部は、最上流側に配置された搬送部の入り口付近に設置すればよい。
【0028】
これにより、上流側に配置された各種装置から搬送されてきた被検査物を簡易な構成によって確実に検知することができる。
【0029】
第7の発明に係る重量検査装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る重量検査装置であって、上流側に配置された各種装置における被検査物の検知結果を受信して、上流側から搬送されてくる被検査物を間接的に検知する検知部を、さらに備えている。
【0030】
ここでは、例えば、食品等の商品生産システムを構成する上流側の他の装置における検知結果を受信して、被検査物が上流側から流れてきていることを間接的に検知する。
【0031】
これにより、重量検査装置内における直接検知の場合と比較して、より早いタイミングで被検査物を検知することができる。よって、装置の取込み口付近において、上流側から搬送されてきた被検査物を滞留させることなく、スムーズに装置内へと取り込むことができる。
【0032】
第8の発明に係る重量検査装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る重量検査装置であって、被検査物の検査に関する表示を行う表示部をさらに備えている。制御部は、被検査物が上流側から搬送されてくるまで表示部の電力供給を停止させる
ここでは、被検査物が上流から搬送されてこない間は、被検査物の検査に関する表示を行うモニタ等の表示部への電力供給も停止するように制御を行う。
【0033】
ここで、表示部については、被検査物が搬送されてこない間は被検査物の検査自体が行われていないため、表示を継続しておく意義は小さいものと思われる。
【0034】
これにより、省電力制御の対象を搬送部から表示部にまで拡大することで、さらに効果的に装置の省電力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の重量検査装置によれば、重量検査装置として機能していない期間に消費される無駄な電力を低減して、従来よりも大幅に省電力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の一実施形態に係る重量検査装置について、図1〜図6を用いて説明すれば以下の通りである。
【0037】
[生産システム100の構成]
本実施形態に係る生産システム100は、図1および図2に示すように、計量機1、製袋包装機2、重量チェッカ(重量検査装置)3、シールチェッカ4、箱詰装置5を含む生産ラインと、供給装置6とを備えている。これらの各装置1〜6は、それぞれコンベヤ等で互いに接続されて連係して作動し、供給装置6から供給された物品(商品(被検査物)P)の計量、包装および出荷作業を行う。また、各装置1〜6は、図2に示すように、通信回線11を介して互いに接続されており、各種信号やデータ等の情報の送受信を行う。
【0038】
計量機1は、供給装置6から供給される商品Pを受け取って計量を行うとともに、計量結果を用いて組み合わせ計量を行う。また、計量機1は、各計量ホッパの計量結果に基づいて組合せ演算を行うとともに、組合せた重量が所定の許容範囲内の重量値となる組合せを選択する。そして、その組合せに参加する商品Pを計量ホッパ内から排出、集合させて所定重量範囲内の商品Pごとに小分けする。さらに、計量機1は、図示しないが、振動することで商品Pを放射状に分散させる分散テーブルと、その周囲に放射状に配置された複数の振動フィーダと、円形に配置されて振動フィーダの各供給トラフから落下した商品Pを一時貯留する複数のプールホッパと、プールホッパの下方にそれぞれ配置された同数の計量ホッパとを有している。
【0039】
製袋包装機2は、計量機1において行われる組合せ演算の結果、選択されて排出される商品Pを受け取って製袋した袋内に包装する。また、製袋包装機2は、図示しないが、折り畳み機構と、縦シール機構と、送り機構と、切断機構と、横シール機構とを備えている。折り畳み機構は、フィルムロールから引き出されたフィルムシートを両側縁部が重なり合うように折り畳む。縦シール機構は、この折り畳まれたフィルムシートの重合部を熱融着して筒状体を形成する。送り機構は、この筒状体を幅方向に挟持した状態で所定寸法だけ長手方向に搬送する。切断機構は、筒状体を所定の大きさに切断する。横シール機構は、切断後の筒状体の切口をシールする。また、製袋包装機2では、送り機構によって筒状体が搬送されている間に、筒状体の内部に計量機1から排出された計量済の商品Pが投入される。
【0040】
重量チェッカ3、シールチェッカ4、および箱詰装置5は、製袋された袋に入れられた商品Pを商品として、各種検査や検査済み商品の箱詰め作業を行う装置である。例えば、重量チェッカ3は、計量機1において組合せ計量されて袋に入れられた商品Pの重量が許容範囲内であるか否かの検査を行う。シールチェッカ4は、製袋包装機2において作製された袋が密封されているか否かを確認するために、袋のシール部分の検査を行う。箱詰装置5は、正常品と判定された商品P入りの袋を段ボール箱に詰め込む。なお、重量チェッカ3の構成については、後段にて詳述する。
【0041】
供給装置6は、図示しないが、供給コンベアと、駆動機構と、供給量検知センサとを備えている。供給コンベアは、駆動機構によって無端状のコンベアが回転させられることで、コンベア上に載置された商品Pを計量機1の分散フィーダ上へ搬送する。
【0042】
[重量チェッカ3の構成]
本実施形態に係る重量チェッカ3は、図1に示すように、生産ラインを構成する装置の1つとして配置されており、搬送装置13において矢印A方向に搬送しながら、商品Pの計量を行い、良品か不良品かの判定を行う。そして、重量チェッカ3は、その判定後、良品と判定された商品Pだけを選択して、下流側に配置されたシールチェッカ4側へ搬送する。また、重量チェッカ3は、図3および図4に示すように、平ベルト式の搬送装置13と、商品Pの計量を行うロードセル15と、筐体17と、筐体17を固定する前後一対の脚部10a,10bと、制御部(制御部、検知部)20と、を備えている。
【0043】
搬送装置13は、図3に示すように、商品Pの搬送方向Aにおける上流側から順に、第1搬送部(搬送部、取込みコンベア)13a、第2搬送部(搬送部、計量コンベア)13b、第3搬送部(搬送部、振分けコンベア)13cを設けている。これらの第1〜第3搬送部13a〜13cは、図4に示すように、さらにそれぞれ搬送方向に対して直交する方向に並んだ3連のコンベア13aa〜13ac,13ba〜13bc,13ca〜13ccを含むように構成されている。なお、搬送装置13に含まれる各搬送部13a〜13cの構成については、後段にて詳述する。
【0044】
ロードセル15は、搬送装置13において搬送される商品Pの重量によって生じる歪みの変化を検出して、商品Pの重量を計測するために設けられている。
【0045】
筐体17は、一対の脚部10a,10bによって支持されており、搬送装置13やロードセル15等を内包する。
【0046】
(第1搬送部13a)
第1搬送部13aは、搬送方向Aにおける最上流側に配置されており、重量チェッカ3の上流側に配置された製袋包装機2等から送られてくる商品Pを装置内に取り込む取込みコンベアとして機能する。そして、第1搬送部13aは、商品Pを搬送方向Aに搬送し、第2搬送部13bに対して商品Pを受け渡す。
【0047】
駆動モータM1は、第1搬送部13aの駆動源となるモータであって、各コンベア13aa〜13acに対して駆動ベルトを介して回転駆動力を伝達する。また、駆動モータM1は、最上流側のコンベア13aa〜13acの下部に配置されている。
【0048】
(第2搬送部13b)
第2搬送部13bは、第1搬送部13aと第3搬送部13cとの間に配置されており、ここで商品Pを搬送しながら、ロードセル(計量部)15を用いて計量が行われる。
【0049】
駆動モータM2は、第2搬送部13bの駆動源となるモータであって、各コンベア13ba〜13bcに対して駆動ベルトを介して回転駆動力を伝達する。また、駆動モータM2は、図4に示すように、最上流側のコンベア13aa〜13acと最下流側のコンベア13ca〜13ccの間に設けられた3つのコンベア13ba〜13bcの下部に配置されている。
【0050】
ロードセル15は、コンベア13ba〜13bc上に商品Pが載置されて生じる歪みの変化を検出して、コンベア13ba〜13bc上に載置された商品Pの計量を行う。また、ロードセル15は、図5に示すように、駆動モータM2と同じ筐体17の内部において、長手方向が搬送方向Aに沿う向きで配置されている。
【0051】
(第3搬送部13c)
第3搬送部13cは、搬送方向Aにおける最下流側に配置されており、図3に示すように、上流側の端部を中心として回動する。これにより、第2搬送部13bにおける計量結果に基づいて商品Pの振り分けを行う。具体的には、第2搬送部13bにおける計量結果が所定の重量範囲内である場合には、第3搬送部13cを図3に実線で示す略水平状態とし、商品P(良品)をそのまま下流側へと搬送する。一方、第2搬送部13bにおける計量結果が所定の重量範囲外であった場合には、図3に点線で示す斜め下方状態まで第3搬送部13cを回動させて、規定の搬送路外へと商品P(不良品)を搬送する。
【0052】
駆動モータM3は、第3搬送部13cの駆動源となるモータであって、各コンベア13ca〜13ccに対して駆動ベルトを介して回転駆動力を伝達する。また、駆動モータM3は、最下流側のコンベア13ca〜13ccの下部に配置されている。
【0053】
(制御部20)
制御部20は、図5に示すように、各搬送部13a〜13cの駆動モータM1〜M3に接続されており、搬送装置13における商品Pの搬送速度等の制御を行う。具体的には、制御部20は、上流側から搬送されてくる商品Pの搬送状況に応じて、適宜、第1〜第3搬送部13a〜13cの搬送を制御する。
【0054】
より詳細には、制御部20は、生産システム100によって構成される生産ラインの上流側に配置された装置(計量機1および製袋包装機2)における商品Pの検知信号を、通信回線11(図2参照)を介して各装置から受信する。そして、制御部20は、所定時間以上継続して商品Pの検知信号を受信しない場合には、各搬送部13a〜13cの搬送を低速化させるように搬送装置13の制御を行う。なお、この低速化制御には、各搬送部13a〜13cの少なくとも1つにおける搬送を完全に停止させる制御も含まれるものとする。
【0055】
<制御部20による搬送装置13の低速化制御>
本実施形態では、上述したように、制御部20が、上流側に配置された計量機1や製袋包装機2等から受信する商品Pの検知信号の受信状態に応じて、適宜、搬送装置13に含まれる第1〜第3搬送部13a〜13cの搬送制御を行う。
【0056】
具体的には、図6に示すように、制御部20は、装置を起動した後、クーリングファン起動時間t4だけ遅れて、冷却用のクーリングファン(図示せず)の回転を開始する。
【0057】
次に、制御部20は、商品Pが一定間隔で搬送されてきていることを示す標準PHと、標準PHから所定の位相分だけずれた追加PHを受信することで、商品Pが正常に搬送されてきていることを認識する。なお、標準PHおよび追加PHは、一定間隔ごとに受信する信号であって、同じ間隔であって互いに位相がずれた関係であればよい。
【0058】
次に、制御部20は、追加PHを受信しなくなって所定の搬送停止遅れ時間t1が経過すると、まず、商品Pを装置内に取り込む最上流側の第1搬送部13aの搬送を停止させるように駆動モータM1の制御を行う。
【0059】
次に、制御部20は、標準PHを受信しなくなって所定の搬送停止遅れ時間t2が経過すると、第2・第3搬送部13b,13cの搬送を停止させるように駆動モータM2,M3の制御を行う。
【0060】
次に、制御部20は、上記搬送停止遅れ時間t2経過後、さらに所定のクーリングファン停止遅れ時間t5経過後に、冷却用のクーリングファンの回転を停止させる。
【0061】
次に、制御部20は、追加PHの受信が再開されると、まず、最上流側に配置された第1搬送部13aの搬送を再開するように駆動モータM1を制御する。
【0062】
次に、制御部20は、追加PHを受信してから所定の搬送起動遅れ時間t3経過後に、第2・第3搬送部13b,13cの搬送を再開するように、駆動モータM2,M3を制御する。
【0063】
次に、制御部20は、追加PHを受信してから所定のクーリングファン起動遅れ時間t4経過後に、冷却用のクーリングファンの回転を再開させる。
【0064】
本実施形態では、以上のように、最も上流側に配置された第1搬送部13aの搬送の停止、再開を優先的に行いつつ、その後、第2・第3搬送部13b,13cの搬送を停止させるように制御している。
【0065】
これにより、商品Pの搬送が再開された場合でも、最上流側の第1搬送部13aにおいて商品Pをすぐに搬送可能な状態とすることができる。
【0066】
また、所定時間以上継続して商品Pの搬送を検知しない場合には、搬送停止や再開のタイミングをずらしながら、全ての搬送部13a〜13cの搬送を停止させることで、上流側の各機器におけるトラブル発生やロットの切換え等によって商品Pが搬送されてこない間の無駄な消費電力を低減して、重量チェッカ3の省電力化を最大限図ることができる。
【0067】
[本重量チェッカ3の特徴]
(1)
本実施形態の重量チェッカ3は、図3〜図5に示すように、重量検査の対象となる商品Pを所定の方向へ搬送する搬送装置13と、搬送装置13(第2搬送部13b)において搬送される商品Pの計量を行うロードセル15と、搬送装置13の搬送制御を行う制御部20と、を備えている。制御部20は、上流側における商品Pの搬送状況に応じて、搬送装置13における搬送を低速度化するように制御を行う。
【0068】
これにより、上流側における商品Pの搬送状況として、上流側の製袋包装機2等におけるトラブル発生やロットの切換え等によって商品Pの搬送が長時間停止された場合には、早急に搬送装置13の搬送を停止させることができる。よって、商品Pの無搬送状態における無駄な搬送装置13の稼動を回避して、重量チェッカ3の省電力化を図ることができる。
【0069】
(2)
本実施形態の重量チェッカ3では、図6に示すように、制御部20が、所定時間以上、上流から商品Pが搬送されてこないことを検知すると、搬送装置(第1〜第3搬送部13a〜13c)13の搬送を停止させる。
【0070】
これにより、搬送装置13の搬送を低速に切り換える制御と比較して、より効果的に無搬送状態における無駄な消費電力をカットすることができる。この結果、最も効果的に重量チェッカ3の省電力化を図ることができる。
【0071】
(3)
本実施形態の重量チェッカ3では、図6に示すように、上流からの商品Pの搬送が滞っている場合でも、制御部20は、計量コンベア(第2搬送部13b)が有するロードセル15に対する電力供給は維持する。
【0072】
これにより、ロードセル15等のように、省電力化を図るために電力供給を停止、再開することで生じる温度変化に起因して計量精度が低下してしまう等、不具合の発生を回避することができる。
【0073】
(4)
本実施形態の重量チェッカ3では、低速化制御の対象となる搬送部として、図5に示すように、取り込みコンベアとしての第1搬送部13a、計量コンベアとしての第2搬送部13b、振分けコンベアとしての第3搬送部13cを搭載している。
【0074】
これにより、上流側から搬送されてくる商品Pの装置内への取り込み、計量、振り分けをスムーズに行うことができるとともに、各機能を備えた搬送装置13を搭載した重量チェッカ3として消費電力の低減が図れる。
【0075】
(5)
本実施形態の重量チェッカ3では、図2に示すように、通信回線11を介して互いに接続された上流側に配置された計量機1や製袋包装機2における商品Pの検知信号を受信して、制御部20が、間接的に商品Pの搬送状況を把握する。
【0076】
これにより、重量チェッカ3内において直接的に商品Pを検知する場合と比較して、前もって商品Pの搬入を予測できることから、第1〜第3搬送部13a〜13cの低速化制御の開始および搬送再開のタイミングを早めることができる。この結果、重量チェッカ3における商品Pの滞留を防止しつつ、低消費電力化を図ることができる。
【0077】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0078】
(A)
上記実施形態では、重量チェッカ3の上流に配置された製袋包装機2における商品Pの検知信号を受信して間接的に商品Pを検知することで、上流側における商品Pの搬送状況を認識する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0079】
例えば、図7に示すように、重量チェッカ(重量検査装置)103内の最上流側付近に、センサ(検知部)111を設置して、上流から搬送されてきた商品Pを直接的に検知するような構成であってもよい。なお、このセンサ111としては、搬送経路を挟み込むように配置された受発光素子や赤外線センサ等を用いることができる。
【0080】
この場合には、重量チェッカ103の最上流側において商品Pの搬入を検知して、上述した搬送部(第1〜第3搬送部13a〜13c)の低速度化制御を実行することで、上記と同様の効果を得ることができる。
【0081】
ただし、重量チェッカ103の装置内に設置されたセンサ111を用いて商品Pを検知する構成では、装置内に搬入されてきた状態で初めて商品Pを検知することになる。このため、検知後すぐに最上流側の第1搬送部13aを起動しても第1搬送部13aにおいては短時間、商品Pの滞留が生じるおそれがある。よって、上流側から搬送されてきた商品Pをスムーズに搬送していくという点において、上記実施形態のように、上流側に配置された装置から受信した信号に基づいて、各搬送部13a〜13cの低速度化制御を行うことがより好ましい。
【0082】
以上の点を考慮して、図7に示す重量チェッカ103における低速化制御について、図8を用いて具体的に説明すれば以下の通りである。
【0083】
すなわち、重量チェッカ103を起動した後、制御部20は、クーリングファン起動遅れ時間T2だけ遅れて、冷却用のクーリングファン(図示せず)を起動するように制御を行う。
【0084】
次に、制御部20は、商品Pが一定間隔で搬送されてきていることを示す標準PHを受信することで、商品Pが正常に搬送されてきていることを認識する。
【0085】
次に、標準PHを受信しなくなって所定の停止遅れ時間T1が経過すると、制御部20は、商品Pを装置内に取り込む第1搬送部13aを除く、第2搬送部13bおよび第3搬送部13cの搬送を停止させるように、各駆動モータM2,M3を制御する。
【0086】
次に、商品Pの搬送が再開された場合には、制御部20は、上流側に配置された製袋包装機2等から標準PHを受信して、第2・第3搬送部13b,13cの搬送を再開するように、駆動モータM2,M3の制御を行う。
【0087】
次に、制御部20は、重量チェッカ103の停止信号を受信すると、クーリングファン停止遅れ時間T3だけ遅れて、冷却用のクーリングファンを停止させるように制御を行う。
【0088】
本実施形態では、以上のように、検知部としてのセンサ111を重量チェッカ103内に設けた構成では、最も上流側に配置された第1搬送部13aの搬送は継続しつつ、第2・第3搬送部13b,13cの搬送を停止させるように制御を行う。
【0089】
これにより、上流側から商品Pの搬送が再開された場合でも、最上流側の第1搬送部13aにおいて商品Pを搬送可能な状態とすることができる。また、下流側に配置された第2・第3搬送部13b,13cにおける搬送を停止させることで、図8に示すように、上流側の各機器におけるトラブル発生やロットの切換え等によって商品Pが搬送されてこない間の無駄な消費電力を低減することができる。この結果、上流からの搬送再開時における商品Pの滞留の発生を防止しつつ、重量チェッカ3の省電力化を図ることができる。
【0090】
(B)
上記実施形態では、商品Pの無搬送状況が所定時間継続すると、搬送装置13(第1〜第3搬送部13a〜13c)における搬送を停止させるように制御を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】
例えば、各搬送部の搬送を停止させるのではなく、通常の搬送時よりも低速に切り換えるような制御であってもよい。
【0092】
この場合でも、通常の運転状態と比較して、搬送装置における消費電力を低減することができるため、無搬送状況における消費電力の低減が図れる。
【0093】
また、制御部が、各搬送部の搬送の停止と低速化とを切り換えながら制御を行ってもよい。この場合には、上流からの商品の搬送が頻繁に長時間滞る状態か、ごくまれに短時間だけ滞る状態か等、商品の搬送状況に応じて、低速化制御の内容(停止、低速度化)を切り換えることができる。
【0094】
(C)
上記実施形態では、搬送装置13(第1〜第3搬送部13a〜13c)およびクーリングファンを省電力制御の対象とした例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0095】
例えば、図9に示すように、重量チェッカ153の正面に配置されたモニタ160についても、搬送装置13等と同様に、制御部20と接続して省電力化制御の対象としてもよい。
【0096】
この場合には、所定時間以上、上流からの商品の搬送が無い場合には、制御部20が、モニタ160の表示電力を停止させるように制御を行うことで、搬送装置13やクーリングファンだけを制御対象とする構成と比較して、さらに省電力化を図ることができる。
【0097】
(D)
上記実施形態では、商品Pの無搬送状況が所定時間継続すると、搬送装置13内の全ての搬送部(第1〜第3搬送部13a〜13c)における搬送を停止させるように制御を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0098】
例えば、全ての搬送部の搬送を停止させるのではなく、上記他の実施形態(A)のように、最上流側の第1搬送部13aの搬送は継続しつつ、第2・第3搬送部13b,13cだけを低速化したり、停止させたりする制御であってもよい。
【0099】
ただし、商品の無搬送状況における低消費電力化を最大限にするという点では、できる限り全ての搬送部の搬送を停止させるように制御を行うことがより好ましい。
【0100】
(E)
上記実施形態では、重量チェッカ3に搭載された複数の搬送部として、取込みコンベアとしての第1搬送部13a、計量コンベアとしての第2搬送部13b、振分けコンベアとしての第3搬送部13cの3つを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0101】
例えば、他の種類のコンベアについても、同様に本発明の適用は可能である。
【0102】
また、搬送部の数としては、3つに限定されるものではなく、1つや2つ、あるいは4つ以上の搬送部に対して、本発明を適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の重量検査装置は、重量検査装置として機能していない期間に消費される無駄な電力を低減して、従来よりも大幅に省電力化を図ることができるという効果を奏することから、搬送部を含む各種検査装置等に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態に係る重量チェッカを含む生産システムの構成を示す全体図。
【図2】図1の生産システムを構成する各装置を示すブロック図。
【図3】図1の生産システムに含まれる重量チェッカの構成を示す正面図。
【図4】図3の重量チェッカの構成を示す平面図。
【図5】図3および図4の重量チェッカのより詳細な構成を示す拡大図。
【図6】図5等の重量チェッカにおける低速度化制御の内容を示すタイムチャート。
【図7】本発明の他の実施形態に係る重量チェッカの構成を示す正面図。
【図8】図7の重量チェッカにおける低速度化制御の内容を示すタイムチャート。
【図9】本発明のさらに他の実施形態に係る重量チェッカの構成を示す正面図。
【符号の説明】
【0105】
1 計量機
2 製袋包装機
3 重量チェッカ(重量検査装置)
4 シールチェッカ
5 箱詰装置
6 供給装置
10a,10b 脚部
11 通信回線
13 搬送装置
13a 第1搬送部(搬送部、取込みコンベア)
13aa〜13ac コンベア
13b 第2搬送部(搬送部、計量コンベア)
13ba〜13bc コンベア
13c 第3搬送部(搬送部、振分けコンベア)
13ca〜13cc コンベア
15 ロードセル
17 筐体
20 制御部(制御部、検知部)
100 生産システム
103 重量チェッカ(重量検査装置)
111 センサ(検知部)
153 重量チェッカ(重量検査装置)
160 モニタ
M1〜M3 駆動モータ
P 商品(被検査物)
t1,t2 停止遅れ時間
t3 起動遅れ時間
t4 クーリングファン起動遅れ時間
t5 クーリングファン停止遅れ時間
T1 停止遅れ時間
T2 クーリングファン起動遅れ時間
T3 クーリングファン停止遅れ時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を所定の方向へ搬送しながら重量に関する検査を行う重量検査装置であって、 前記被検査物を所定の方向へ搬送する搬送部と、
前記被検査物の計量を行う計量部と、
上流側から搬送されてくる前記被検査物の搬送状況に応じて、所定の搬送速度まで低速化するように前記搬送部を制御する制御部と、
を備えている重量検査装置。
【請求項2】
前記所定の搬送速度は、停止状態も含む、
請求項1に記載の重量検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記搬送部による搬送速度を低速にする搬送低速モードと、前記搬送部による搬送を停止させる搬送停止モードと、を選択的に切り換えながら制御を行う、
請求項1または2に記載の重量検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被検査物の搬送状況に関わらず、前記計量部に対する電力供給は維持するように制御を行う、
請求項1から3のいずれか1項に記載の重量検査装置。
【請求項5】
前記搬送部は、取込みコンベア、計量コンベア、および振分けコンベアを含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の重量検査装置。
【請求項6】
上流側から搬送されてくる前記被検査物を直接的に検知する検知部を、さらに備えている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の重量検査装置。
【請求項7】
上流側に配置された各種装置における前記被検査物の検知結果を受信して、上流側から搬送されてくる前記被検査物を間接的に検知する検知部を、さらに備えている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の重量検査装置。
【請求項8】
前記被検査物の検査に関する表示を行う表示部をさらに備えており、
前記制御部は、前記被検査物が上流側から搬送されてくるまで前記表示部の電力供給を停止させる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の重量検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−38563(P2010−38563A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198416(P2008−198416)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】