説明

重量物搭載装置及び重量物の移動方法

【課題】橋桁等の重量物を回転又は横移動させる際に、その重量物を極めて安定した状態で安全に支持することが可能な重量物搭載装置及び重量物の移動方法を提供する。
【解決手段】第1の方向へ移動される重量物である第2の軌条2及び橋桁Bを前記第1の方向及びその方向とは異なる第2の方向に沿って移動可能に支持するスライド装置12と、スライド装置12の傾きを検出する傾斜センサ14と、スライド装置12を前記第2の方向と反対方向へ牽引する牽引装置13と、傾斜センサ14からの検出値からスライド装置12が傾いていると判定した際に、牽引装置13によってスライド装置12に前記第2の方向と反対方向への引張力を生じさせる制御装置15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁等の重量物を移動させる際に用いられる重量物搭載装置及び重量物の移動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、重量物である橋桁を第1の方向に移動させる際に用いられる重量物搭載装置は、スライド装置を備えている。このスライド装置は、橋桁を第1の方向に移動させているときに第1の方向とは異なる第2の方向に橋桁をスライド可能にする無限軌道帯を有するクローラプレート式送り台を備えており、このクローラプレート式送り台は、上部に載置された橋桁を移動可能に支持する(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−138514号公報
【特許文献2】特開2006−16795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、橋桁を回転又は横移動させるには、橋桁をスライド装置に支持させた状態で水平ジャッキによって目的の位置へ向かって、すなわち、第1の方向に押圧すると同時にクローラプレート上で橋桁を第2の方向へ移動させるが、このように橋桁を押圧して移動させた際に、クローラプレート式送り台内部の摩擦力により、スライド装置が第2の方向へ引きずられるおそれがある。すると、スライド装置に傾きが生じ、橋桁の支持が不安定となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、橋桁等の重量物を回転又は横移動させる際に、その重量物を極めて安定した状態で安全に移動可能に支持することができる重量物搭載装置及び重量物の移動方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の重量物搭載装置は、第1の方向へ移動させる重量物を前記第1の方向及びその方向とは異なる第2の方向に沿って移動可能に支持するスライド装置と、前記スライド装置の傾きを検出する傾斜センサと、前記スライド装置を前記第2の方向と反対方向へ牽引する牽引装置と、前記傾斜センサからの検出値から前記スライド装置が傾いていると判定した際に、前記牽引装置によって前記スライド装置に前記第2の方向と反対方向への引張力を生じさせる制御装置とを備える。前記スライド装置は、例えばクローラプレートを搭載したものである。
【0007】
この構成によれば、重量物を回転又は横移動させている際に、この重量物を移動可能に支持するスライド装置に傾きが生じると、制御装置が牽引装置を駆動させてスライド装置の傾きを自動的に修正することができる。これにより、橋桁等の重量物を極めて安定した状態で安全に支持して移動させることができる。
【0008】
本発明の重量物搭載装置において、前記牽引装置は、前記スライド装置に一端が連結された牽引ジャッキと、前記スライド装置における前記第2の方向の後方側で前記牽引ジャッキの他端を前記重量物に固定するクランプと、前記牽引ジャッキへ油圧を供給して前記牽引ジャッキを収縮させる油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの油圧を一定の設定圧に保持させて前記牽引ジャッキを前記重量物の前記第2の方向に沿う移動に追従するように収縮させるリリーフ弁と、前記リリーフ弁に繋がる油圧経路に設けられた電磁弁と、を備え、前記制御装置は、前記傾斜センサからの検出値から前記スライド装置が傾いていると判定した際に、前記電磁弁を作動させて前記油圧経路を遮断し、前記リリーフ弁の設定圧よりも大きな油圧を前記牽引ジャッキへ供給させるものでも良い。
【0009】
この構成によれば、スライド装置に傾きがない通常移動時では、リリーフ弁によって油圧が一定の設定圧に保たれて牽引ジャッキの収縮を重量物の第2の方向に沿う移動に追従させることができる。また、スライド装置が傾くと油圧ポンプからの油圧がそのまま牽引ジャッキへ供給され、リリーフ弁によって一定の設定圧に制限されていた油圧がこの設定圧よりも大きくされる。これにより、牽引ジャッキが収縮することによってスライド装置が重量物の第2の方向と反対側へ引っ張られ、傾きが修正される。
【0010】
また、本発明の重量物の移動方法は、重量物を第1の方向及びその方向とは異なる第2の方向に沿って移動可能に支持するスライド装置に前記重量物を載置させて前記第1の方向へ押圧して移動させる重量物の移動方法であって、前記スライド装置の傾きを監視し、前記スライド装置が傾いた際に、前記スライド装置に対して前記第2の方向と反対方向の引張力を供給する。
【0011】
この方法によれば、重量物を移動可能に支持するスライド装置が、第2の方向に沿って移動する重量物に引きずられて傾いた際に、スライド装置を第2方向と反対方向へ引っ張ることで傾いたスライド装置の姿勢を修正することができる。これにより、橋桁等の重量物を極めて安定した状態で安全に支持して移動させることができる。
【0012】
本発明の重量物の移動方法において、油圧の供給で収縮する牽引ジャッキの一端を前記スライド装置に連結し、前記牽引ジャッキの他端を前記スライド装置における前記第2の方向の後方側で前記重量物に固定し、前記牽引ジャッキに一定の設定圧の油圧を供給して前記重量物の前記第2の方向に沿う移動に追従するように収縮させ、前記スライド装置が傾いた際に、前記牽引ジャッキへ供給する油圧を前記設定圧よりも大きくしても良い。
【0013】
この方法によれば、スライド装置に傾きがない通常移動時では、一定の設定圧の油圧の供給によって牽引ジャッキの収縮を重量物の移動に追従させることができる。また、スライド装置が傾いたときは、設定圧よりも大きな油圧の供給によって牽引ジャッキを大きく収縮させてスライド装置を第2の方向と反対側へ引っ張り、傾いたスライド装置の姿勢を修正することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、橋桁等の重量物を回転又は横移動させる際に、その重量物を極めて安定した状態で安全に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る重量物搭載装置を説明する構成図である。
【図2】図1に示すスライド装置の構造を説明する斜視図である。
【図3】図1に示すスライド装置の一部を分解した斜視図である。
【図4】図1に示すスライド装置の断面図である。
【図5】図1に示す制御装置による重量物搭載装置の制御を説明する構成図である。
【図6】図1に示す制御装置による重量物搭載装置の制御を説明する構成図である。
【図7】図1に示す重量物搭載装置を用いた横取り工法の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る重量物搭載装置及び重量物の移動方法の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、橋脚に架け渡す橋桁を軌条上で回転又は横移動させる横取り工法について説明する。
【0017】
図7に示すように、スライド装置12を備えた重量物搭載装置11は、橋脚Aに橋桁Bを架け渡すために、組立ヤード(図示略)から橋脚Aに向けて設置した支保工C上に第1の軌条1を敷設し、この第1の軌条1に沿って橋桁Bを橋脚Aまで横移動させて架設する際に用いられる。スライド装置12は、橋桁Bの幅に応じて必要な台数(図7では、軌条1つ当たり2台)が連結杆Dによって連結された状態で使用される。
【0018】
スライド装置12には、シリンダとロッドとを備えた周知の油圧シリンダからなる水平ジャッキEのロッドの先端がピン結合されており、スライド装置12自体は、油圧によるロッドの伸縮の繰返しにより、橋脚Aに向かって移動する。
以下、橋桁Bを組立ヤードから橋脚Aに移動させる方向を第1の方向と称し、橋桁Bをこの第1の方向に沿って移動させている間、第1の軌条1上に配設されたスライド装置12に対して橋桁Bが相対的にスライドする方向を第2の方向と称する。
【0019】
図1に示すように、重量物搭載装置11は、スライド装置12と、牽引装置13と、スライド装置12に設けられた傾斜センサ14と、制御装置15とを備えている。スライド装置12は、第1の軌条1の上部に設置されており、このスライド装置12の上に第2の軌条2を介して橋桁Bが支持される。
【0020】
図2から図4に示すように、スライド装置12は、第1の軌条1の長手方向に沿って配置される支持台21を備えている。この支持台21の両端の両側部には、一対のガイド部22がそれぞれ下方へ突設されている。支持台21は、ガイド部22が第1の軌条1の両側部を係止することにより、第1の軌条1上に安定的に支持される。
【0021】
支持台21には、その上部に、反力梁25が設けられており、この反力梁25は、その中央に、重量物送り機構27を有している。そして、この重量物送り機構27に、重量物である第2の軌条2及び橋桁Bが載置される。
【0022】
反力梁25には、重量物送り機構27を挟んだ両側に、それぞれジャッキ部29を備えており、これらのジャッキ部29によって反力梁25が昇降される。そして、反力梁25は、これらのジャッキ部29によって高さを調整することが可能とされている。
【0023】
重量物送り機構27は、支持台21及び反力梁25に対して直交するように配置されている。この重量物送り機構27は、反力梁25の鉛直方向の中心軸を中心として左右方向へ約30°ずつ旋回可能に支持されており、橋桁Bの移動方向に合わせて旋回される。
【0024】
この重量物送り機構27は、送り機構本体部31と、無限軌道帯32とを備えている。無限軌道帯32は、複数の履板33を連結した無端状のクローラからなるもので、送り機構本体部31の周囲に縦方向に巻回されている。送り機構本体部31には、その両端部に一対のローラ35がそれぞれ設けられている。また、送り機構本体部31は、その上部に、二列に配列された一対の昇降部41を備えている。昇降部41は、複数の鉛直ジャッキ42を備えており、これら鉛直ジャッキ42の配列の上部には、鉄板からなる押上プレート43及び合成樹脂からなる低摩擦プレート44が順に設けられている。低摩擦プレート44は、橋桁B及び第2の軌条2からの荷重を受ける無限軌道帯32との摩擦を極力低減させるために、摩擦係数が小さく、かつ耐摩耗性に優れた、例えば、テフロン(登録商標)から形成するのが好ましい。
【0025】
そして、この重量物送り機構27では、鉛直ジャッキ42に油圧を供給することにより、無限軌道帯32が受ける橋桁B及び第2の軌条2からの荷重を下方から均等に支持することができる。
【0026】
図1に示すように、牽引装置13は、牽引ジャッキ51を備えている。この牽引ジャッキ51は、シリンダ52と、このシリンダ52に対して油圧によって伸縮されるロッド53とを有している。この牽引ジャッキ51のシリンダ52側の端部は、連結部55に連結されており、この連結部55は、スライド装置12の重量物送り機構27に固定されている。また、牽引ジャッキ51のロッド53側の端部には、クランプ57が設けられており、このクランプ57は、橋桁Bが載置される第2の軌条2の下部をクランプする。
【0027】
また、牽引ジャッキ51のシリンダ52には、その先端側に油圧供給管61が接続され、後端側に送出管62が接続されている。油圧供給管61は、油圧ポンプ64に接続されており、この油圧ポンプ64からシリンダ52の先端側に作動油が供給される。そして、このように、シリンダ52の先端側に作動油が供給されると、その油圧によってロッド53がシリンダ52内に引き込まれる。また、このとき、シリンダ52の後端側からシリンダ52内の作動油が送出管62へ送り出され、タンク60に戻される。
【0028】
油圧供給管61には、タンク65に繋がる油圧管66が接続されており、この油圧管66には、電磁弁67及びリリーフ弁68が順に設けられている。電磁弁67は、OFF状態で流路が開状態となる常開の弁であり、給電によりON状態となると流路が閉状態となる。また、リリーフ弁68は、油圧が所定の作動圧となると開状態となる。
【0029】
また、油圧供給管61には、油圧計69が設けられており、この油圧計69は、牽引ジャッキ51のシリンダ52へ供給される油圧を検出する。
【0030】
傾斜センサ14は、スライド装置12の支持台21に取り付けられており、第2の方向に沿うスライド装置12の傾斜を検出し、その検出信号を出力する。この傾斜センサ14としては、例えば、差動トランス式のものを用いるのが好ましい。この傾斜センサ14は、制御装置15に接続されており、傾斜センサ14からの検出信号は、制御装置15に送信される。
【0031】
制御装置15は、油圧ポンプ64及び電磁弁67に接続されており、これらの油圧ポンプ64及び電磁弁67の駆動を制御する。
【0032】
次に、重量物搭載装置11を用いた横取り工法について説明する。
つまり、図7において、重量物搭載装置11のスライド装置12上に第2の軌条2を介して載置された橋桁Bを、橋脚A上の二点鎖線で示した設置予定場所に向かって、第1の方向へ横移動させる場合を例にとって説明する。
【0033】
まず、第1の軌条1の上部に重量物搭載装置11のスライド装置12を支持させた状態で、牽引装置13のクランプ57を第2の軌条2の下部にクランプさせる。そして、水平ジャッキEでスライド装置12を設置予定場所に向けて押圧する。すると、橋桁Bは、第1の方向に沿って移動する。
【0034】
このとき、橋桁Bは、水平ジャッキEによるスライド装置12自体の移動に伴って第1の方向へ横移動しつつ、無限軌道帯32の回動に伴って第2の方向へも円滑に移動(スライド)する。このとき、無限軌道帯32にかかる荷重は、低摩擦プレート44を介して送り機構本体部31に受け止められる。したがって、スライド装置12の無限軌道帯32は、第2の軌条2及び橋桁Bの荷重を受けながら円滑に回動する。
【0035】
また、本実施形態では、この水平ジャッキEによるスライド装置12の移動とともに、制御装置15が油圧ポンプ64を駆動させ、牽引ジャッキ51のシリンダ52に油圧を供給する。ここで、油圧ポンプ64の油圧は、リリーフ弁68によりその作動圧に調整されている。したがって、油圧供給管61に供給される作動油によってリリーフ弁68が作動し、作動油がタンク65へ戻されることとなる。
【0036】
これにより、シリンダ52には、リリーフ弁68の設定圧が常に作用し、よって、橋桁2の移動とともにロッド53がシリンダ52に引き込まれ、ロッド53及びクランプ57が橋桁2の移動に追従して移動することとなる。なお、リリーフ弁68の設定圧によって設定される牽引ジャッキ51でのロッド53の引張力は、スライド装置12の低摩擦プレート44と無限軌道帯32との摩擦力(摩擦力=無限軌道帯32にかかる鉛直荷重×低摩擦プレート44の摩擦係数)よりも小さくなるように設定する。
【0037】
ところで、橋桁2の移動開始時における低摩擦プレート44への無限軌道帯32の食い込み、または、低摩擦プレート44の使用に伴う摩耗等により、スライド装置12の低摩擦プレート44と無限軌道帯32との摩擦が増加することがある。すると、その摩擦力の増加によって無限軌道帯32が円滑に回動されなくなる場合がある。このような場合、図5に示すように、スライド装置12が第2の方向へ引きずられて傾きが生じ、第2の軌条2及び橋桁Bの支持が不安定となるおそれがある。このことから、本実施形態では、制御装置15がスライド装置12に所定量の傾き(例えば、3°程度)が生じていると判定すると、傾斜修正制御を行い、スライド装置12の傾きを修正し、橋桁2の支持の安定化を図る。
【0038】
次に、この制御装置15による傾斜修正制御について説明する。
スライド装置12に設けられた傾斜センサ14からの検出値が所定の基準値を超えると、制御装置15は、図5に示すように、スライド装置12が基準以上に傾いていると判定し、傾斜修正制御を開始する。なお、傾斜センサ14は、スライド装置12に傾きがないフラット状態でゼロとされている。
【0039】
傾斜修正制御が開始されると、制御装置15は、電磁弁67へ給電し、この電磁弁67をON状態とする。すると、図6に示すように、この電磁弁67が作動して電磁弁67の流路が閉状態とされる。これにより、油圧ポンプ64から油圧供給管61へ供給される作動油のリリーフ弁68への流出が遮断される。
【0040】
これにより、油圧ポンプ64からの作動油の油圧は、リリーフ弁68で逃がされることなく、牽引ジャッキ51のシリンダ52に供給される。したがって、牽引ジャッキ51では、前述の追従時よりも大きな引張力でロッド53がシリンダ52へ引き込まれることとなる。これにより、スライド装置12は、その上部の重量物送り機構27が第2の方向と反対方向へ引っ張られて傾きが修正される。
【0041】
スライド装置12の傾きが修正されることにより、傾斜センサ14からの検出値が基準値よりも小さいゼロとなると、制御装置15は、スライド装置12の傾斜修正制御を終了する。
【0042】
傾斜修正制御を終了すると、制御装置15は、電磁弁67への給電を停止し、この電磁弁67をOFF状態とする。すると、図1に示すように、電磁弁67が非作動となり、電磁弁67の流路が開状態とされる。これにより、油圧ポンプ64から油圧供給管61へ供給される作動油が電磁弁67を介してリリーフ弁68へ送られる。これにより、シリンダ52には、リリーフ弁68の設定圧に応じた一定の油圧が常に供給され、第2の軌条2及び橋桁Bの移動とともにロッド53がシリンダ52に引き込まれ、ロッド53及びクランプ57が橋桁Bの移動に追従して移動する追従制御となる。
【0043】
以上、説明したように、本実施形態によれば、スライド装置12に傾きがない通常移動時では、リリーフ弁68によって油圧が一定の設定圧に保たれて牽引ジャッキ51の収縮を橋桁2の移動に追従させることができる。また、スライド装置12が傾くと油圧ポンプ64からの油圧がそのまま牽引ジャッキ51へ供給され、リリーフ弁68によって一定の設定圧に制限されていた油圧がその設定圧よりも大きくされる。これにより、牽引ジャッキ51が収縮することによってスライド装置12が第2の方向と反対側へ引っ張られ、傾きが修正される。
【0044】
このように、重量物である橋桁B及び第2の軌条2を移動させる際に、これら橋桁B及び第2の軌条2を移動可能に支持するスライド装置12に傾きが生じると、制御装置15が牽引装置13を駆動させることにより、スライド装置12の傾きを自動的に修正することができる。これにより、橋桁B等の重量物を極めて安定した状態で安全に支持して移動させることができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、重量物である橋桁Bを互いに平行ではない一対の軌条上を移動させて橋脚A上に設置する場合を例にとって説明したが、橋桁Bの回転にも用いることができる。また、本実施形態に係る重量物搭載装置11は、橋桁B以外の重量物を支持しながら移動させる場合にも用いることができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
A…橋脚、B…橋桁(重量物)、1…第1の軌条、2…第2の軌条(重量物)、11…重量物搭載装置、12…スライド装置、13…牽引装置、14…傾斜センサ、15…制御装置、51…牽引ジャッキ、57…クランプ、64…油圧ポンプ、67…電磁弁、68…リリーフ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向へ移動させる重量物を前記第1の方向及びその方向とは異なる第2の方向に沿って移動可能に支持するスライド装置と、
前記スライド装置の傾きを検出する傾斜センサと、
前記スライド装置を前記第2の方向と反対方向へ牽引する牽引装置と、
前記傾斜センサからの検出値から前記スライド装置が傾いていると判定した際に、前記牽引装置によって前記スライド装置に前記第2の方向と反対方向への引張力を生じさせる制御装置とを備えたことを特徴とする重量物搭載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の重量物搭載装置であって、
前記牽引装置は、前記スライド装置に一端が連結された牽引ジャッキと、
前記スライド装置における前記第2の方向の後方側で前記牽引ジャッキの他端を前記重量物に固定するクランプと、
前記牽引ジャッキへ油圧を供給して前記牽引ジャッキを収縮させる油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの油圧を一定の設定圧に保持させて前記牽引ジャッキを前記重量物の前記第2の方向に沿う移動に追従するように収縮させるリリーフ弁と、
前記リリーフ弁に繋がる油圧経路に設けられた電磁弁と、を備え、
前記制御装置は、前記傾斜センサからの検出値から前記スライド装置が傾いていると判定した際に、前記電磁弁を作動させて前記油圧経路を遮断し、前記リリーフ弁による一定圧よりも大きな油圧を前記牽引ジャッキへ供給させることを特徴とする重量物搭載装置。
【請求項3】
重量物を第1の方向及びその方向とは異なる第2の方向に沿って移動可能に支持するスライド装置に前記重量物を載置させて前記第1の方向へ押圧して移動させる重量物の移動方法であって、
前記スライド装置の傾きを監視し、前記スライド装置が傾いた際に、前記スライド装置に対して前記第2の方向と反対方向の引張力を供給することを特徴とする重量物の移動方法。
【請求項4】
請求項3に記載の重量物の移動方法であって、
油圧の供給で収縮する牽引ジャッキの一端を前記スライド装置に連結し、
前記牽引ジャッキの他端を前記スライド装置における前記第2の方向の後方側で前記重量物に固定し、
前記牽引ジャッキに一定の設定圧の油圧を供給して前記重量物の前記第2の方向に沿う移動に追従するように収縮させ、
前記スライド装置が傾いた際に、前記牽引ジャッキへ供給する油圧を前記一定圧より大きくすることを特徴とする重量物の移動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−87441(P2013−87441A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226649(P2011−226649)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(390027513)大瀧ジャッキ株式会社 (26)
【出願人】(000161356)宮地エンジニアリング株式会社 (11)
【Fターム(参考)】