説明

野菜洗浄機の制御方法

【課題】予めカット野菜を洗浄槽内で予備洗浄した後、通常の洗浄を行なうことで、洗浄効果及び洗浄効率を高めることができる野菜洗浄機の制御方法を提供する。
【解決手段】カット野菜を収容した洗浄籠22を洗浄槽20に入れ、洗浄槽20に洗浄水を注入して貯留しながら、洗浄籠20を回転し、洗浄終了後、洗浄槽から排水を行なう野菜洗浄機の制御方法において、洗浄籠22を洗浄槽20に入れた後、排水を行ないつつ、カット野菜に放水を行なう予備洗浄工程を有しており、該予備洗浄工程の後、洗浄水を貯留した洗浄を行なうようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カット野菜等を洗浄することのできる野菜洗浄機の制御方法に関するものであり、より具体的には、洗浄時にカット野菜から生ずる泡、ぬめり等を予め予備洗浄することで減少させる野菜洗浄機の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カット野菜を洗浄する野菜の洗浄機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記洗浄機は、カット野菜の洗浄、脱水を行なう洗浄槽と、洗浄槽に洗浄水を注入する貯水槽と、洗浄槽からの排水を濾過する受水槽を有している。
洗浄槽には、洗浄籠が着脱可能且つ回転可能に支持されている。
カット野菜は、洗浄籠に収容され、該洗浄籠を洗浄槽に設置し、貯水槽から洗浄水を注入して、洗浄籠を回転させることで洗浄される。
【0003】
【特許文献1】特開2006−20628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
青ネギのように葉の内部にぬめりを含むものや、キャベツのようにカット面から内部溶液が流れ出す野菜では、洗浄時にぬめりや泡が大量に発生する。ぬめりや泡が残ると、洗浄効果が低下し、また、雑菌が残存してしまうことがある。
そこで、これらカット野菜の洗浄を行なうには、洗浄回数、洗浄時間を増やす必要があり、運転時間が長くなったり、使用する水の量が多くなり、作業効率の低下、加工コストの増加に繋がる。
【0005】
本発明の目的は、予めカット野菜を洗浄槽内で予備洗浄した後、通常の洗浄を行なうことで、洗浄効果及び洗浄効率を高めることができる野菜洗浄機の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の野菜洗浄機の制御方法は、
カット野菜を収容した洗浄籠を洗浄槽に入れ、洗浄槽に洗浄水を注入して貯留しながら、洗浄籠を回転し、洗浄終了後、洗浄槽から排水を行なう野菜洗浄機の制御方法において、
洗浄籠を洗浄槽に入れた後、排水を行ないつつ、カット野菜に放水を行なう予備洗浄工程を有しており、該予備洗浄工程の後、洗浄水を貯留した洗浄を行なうようにした。
カット野菜への放水を洗浄籠を回転させながら、又は放水と洗浄籠の回転を交互に実施することで、予備洗浄効率をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の野菜洗浄機の制御方法によれば、通常の洗浄を行なう前に、放水による予備洗浄を行なっている。
これにより、カット野菜から生ずるぬめりや泡を短時間に効果的に除去することができ、洗浄槽に貯水して洗浄する場合に比して、使用する水の量を少なくできると共に、洗浄槽から排水しつつ放水を行なうことで、貯水時のように、排出されたぬめりや泡が再度カット野菜に付着することも防止でき、除菌効果も高い。
また、予め予備洗浄により、カット野菜のぬめりや泡をできるだけ除去しておくことで、続く通常の洗浄工程におけるぬめりや泡の発生量及び雑菌を減らすことができるから、殺菌、洗浄及び脱水を短時間で行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の制御方法を実施することのできる野菜洗浄機(10)の要部構成を示す図である。
図に示すように、野菜洗浄機(10)は、カット野菜を洗浄籠(22)に入れた状態で設置し、予備洗浄と、通常洗浄(殺菌、洗浄及び脱水)を順次行なう洗浄槽(20)と、該洗浄槽(20)に洗浄水を注入する貯水槽(30)、洗浄槽(20)に連繋され、洗浄槽(20)から排出された排水を濾過し、ポンプ(42)によって再度貯水槽(30)に戻す受水槽(40)を、夫々パイプ材、アングル材等からなる基台(図示せず)上に配備して構成される。
【0009】
<洗浄槽(20)>
洗浄槽(20)は、上面が開口した有底筒体であり、複数の吊下げ式ダンパー(図示せず)によって、吊下げ支持されている。
洗浄槽(20)の内部には、メッシュ又はパンチングメタルからなる洗浄籠(22)が着脱可能且つ回転可能に配備される。洗浄籠(22)は、二重構造として、取り出し可能な籠容器と、該籠容器を支持する脱水槽から構成することができ、脱水槽を洗浄槽(20)の底面(24)に配備されたモータ(25)により回転する構成を例示できる。
洗浄槽(20)の上部開口には、蓋体(26)が開閉可能に装着されている。蓋体(26)には、貯水槽(30)からの放水を通す開口(26a)が設けられている。
【0010】
洗浄槽(20)の側面上端部は、他の側面よりも少し低く形成されており、洗浄槽(20)内の水をオーバーフローさせて受水槽(40)へ逃がす逃し口(27)が設けられている。
また、洗浄槽(20)の底面(24)には、大径の排水管(28)が接続されており、電磁バルブ(29)の作動によって開閉する。
【0011】
<貯水槽(30)>
貯水槽(30)は、洗浄槽(20)の上部に配備され、受水槽(40)からのポンプ(42)による汲み上げ水、水道水、薬液を混入した水(以下「洗浄水」と称する)を内部に貯留し洗浄槽(20)に向けて注水(82)、放水(84)する。なお、洗浄水は、適宜加圧して注水、放水することができる。
【0012】
注水機構(82)は、後述する通常洗浄の際に、貯水槽(30)から洗浄槽(20)に注水を行なう機構であり、洗浄槽(20)に迅速に洗浄水を注入するために、次に説明する放水機構(84)よりも単位時間当たりの流量の大きいものを用いることが望ましい。
【0013】
放水機構(84)は、予備洗浄の際に、貯水槽(30)から洗浄槽(20)に放水を行なう機構である。放水機構(84)の先端をシャワーヘッドとすることで、洗浄籠(22)の内部のカット野菜に万遍なく効率的に放水を行なうことができる。なお、放水機構(84)は、ぬめり、泡等を効果的に除去するために、真上からではなく、斜め方向からカット野菜に向けて放水することが望ましい。
【0014】
なお、洗浄槽(20)を外装(70)によって覆う構造の場合、図2に示すように、注水機構(82)及び放水機構(84)は、外装(70)の外蓋(72)に取り付けることができる。これにより、注水機構(82)及び放水機構(84)からの放水が、外部に飛散することを防止でき、また、放水位置及び放水方向を一定にすることができる。
この場合、外蓋(72)を開閉したときに、ホースが折れ曲がらないように、ホースの一部をフレキシブルチューブ(82a)(84a)等で連結しておくことが望ましい。
【0015】
<受水槽(40)>
受水槽(40)は、内部にフィルター機構(50)を具え、洗浄槽(20)から逃し口(27)を経由して流入する排水を濾過し、ポンプ(42)によって汲み上げて、貯水槽(30)に戻す。
【0016】
<カット野菜の洗浄>
上記構成の野菜洗浄機(10)のカット野菜の洗浄について、フローチャート図3に沿って説明する。
まず、洗浄籠(22)(籠容器)にカット野菜を収容し、洗浄籠(22)を洗浄槽(20)に設置する(ステップ1)。
【0017】
<予備洗浄>
この状態で、排水管(28)の電磁バルブ(29)を開き、放水機構(84)からカット野菜に向けて放水を開始する(予備洗浄:ステップ2)。これにより、カット野菜に含まれるぬめりや泡、野菜くず、ゴミ、虫等が除去される。特に、ぬめりや泡は、大部分が除去される。
流出したぬめり、泡等は、排水管(28)から排出され、洗浄槽(20)に残留しないため、再度カット野菜に付着することもない。
【0018】
予備洗浄効率は、洗浄籠(22)を回転(一方向又は正逆方向)させることで、ぬめり等を効率的に除去し、脱水することができる。
この場合、放水を行ないながら洗浄籠(22)を回転させてもよいが、放水を行ないながら洗浄籠(22)を回転させると、放たれた水が遠心力によって外部に飛散することがあるので、放水機構(84)からの放水を間欠的に行ない、放水停止時に洗浄籠(22)を回転させることが望ましい。
【0019】
上記予備洗浄によって、カット野菜の雑菌数を1/50〜1/100程度にまで減少させることができる。
また、ぬめり、泡等が除去される結果、後述する通常洗浄において、発泡等を抑えることができ、通常洗浄の効率を可及的に高めることができる。
【0020】
上記予備洗浄は、例えば、以下の条件で行なうことができる。
放水機構(84)からの放水量:20〜30L/分
洗浄籠(22)の回転数:800〜1200rpm
運転時間:0.5〜2分
【0021】
<通常洗浄>
予備洗浄終了後、通常洗浄を行なう。
通常洗浄は、殺菌(ステップ3)、洗浄(ステップ4)及び脱水(ステップ5)から構成することができる。
【0022】
殺菌工程は、薬液を混合した殺菌水を注水機構(82)から洗浄槽(20)に注入し、貯留させた状態で、洗浄籠(22)を回転させることにより行なわれる。本発明では、予め予備洗浄を行なっているから、ぬめり、泡等が少なく、また、発泡による効率低下も防止でき、さらに、雑菌も可及的に減少しているから、殺菌工程に要する時間を短縮することができる。
【0023】
洗浄工程は、排水管(28)から殺菌水を排出した後、洗浄水を注水機構(82)から洗浄槽(20)に注入し、貯留させた状態で、洗浄籠(22)を回転することにより行なわれる。本発明では、予備洗浄により、ぬめり、泡等が少なくなっているから、洗浄工程に要する洗浄水の量、回数、時間を短縮することができ、洗浄効率を可及的に高めることができる。
洗浄工程にて、洗浄槽(20)からオーバーフローした洗浄水は、ぬめり、泡、野菜くず等と共に、逃し口(27)から受水槽(40)に流れて、フィルター機構(50)にて濾過される。受水槽(40)にて濾過された洗浄水は、ポンプ(42)によって再度貯水槽(30)に戻される。
【0024】
また、脱水工程は、電磁バルブ(29)を開いた状態で、洗浄籠(22)を回転(一方向又は正逆方向)させることにより行なわれる。本発明は、ぬめり、泡が予備洗浄及び上記洗浄工程により減少しているから、脱水時の水抜けも良好であり、脱水時間を短縮することができる。
【実施例】
【0025】
以下の条件で予備洗浄を行なって、予備洗浄前後のカット野菜の重量変化を測定した。
カット野菜:青ネギ2mmカット品、10kg(初期重量)
放水機構(84)からの放水量:20L/分
洗浄籠(22)の回転数:1200rpm
運転時間:1分
【0026】
上記条件で予備洗浄を行なった結果、カット野菜の重量は、10kgから7.5kgまで減少した。この減少分は、殆んどが青ネギに含まれるぬめり成分であった。
このように、本発明によれば、青ネギのぬめり成分を予備洗浄によって効果的に除去できるから、続く通常洗浄(殺菌、洗浄及び脱水)時に生ずる発泡等を抑えることができ、カット野菜の洗浄を効率的に行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、カット野菜の洗浄効率を可及的に高めることのできる野菜洗浄機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の野菜洗浄機の要部構成を示す図である。
【図2】放水機構の異なる取付例を示す洗浄槽の断面図である。
【図3】本発明の野菜洗浄機の制御方法を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0029】
(10) 野菜洗浄機
(20) 洗浄槽
(22) 洗浄籠
(30) 貯水槽
(40) 受水槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カット野菜を収容した洗浄籠を洗浄槽に入れ、洗浄槽に洗浄水を注入して貯留しながら、洗浄籠を回転し、洗浄終了後、洗浄槽から排水を行なう野菜洗浄機の制御方法において、
洗浄籠を洗浄槽に入れた後、排水を行ないつつ、カット野菜に放水を行なう予備洗浄工程を有しており、該予備洗浄工程の後、洗浄水を貯留した洗浄を行なうようにしたことを特徴とする野菜洗浄機の制御方法。
【請求項2】
カット野菜への放水は、洗浄籠を回転させつつ行なう請求項1に記載の野菜洗浄機の制御方法。
【請求項3】
カット野菜への放水は、連続的又は間欠的に行なう請求項1又は請求項2に記載の野菜洗浄機の制御方法。
【請求項4】
カット野菜への放水と、洗浄籠の回転は、交互に行なう請求項2又は請求項3に記載の野菜洗浄機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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