説明

野菜軟化剤

【課題】本発明は、改善した加工上の特徴および栄養的特徴を有する酵素分解野菜生成物を形成すること、ならびに該野菜生成物を製造する方法を課題とする。
【解決手段】上記課題は、野菜を加工する本発明の方法により解決された。この方法は、第一の外側層を有する野菜組成物を提供する工程を包含し、この第一の外側層に、酵素で分解された野菜を形成するために十分な時間にわたって、酵素が適用される。この酵素で分解された野菜は、この野菜をさらに加工する、水、添加剤または酵素のような成分を吸収し得る。本発明は、概して、従来の加工技術の実行前に、酵素を使用して、生野菜を分解および軟化することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、概して、従来の加工技術の実行前に、酵素を使用して生野菜を分解および軟化することに関する。より具体的には、本発明は、改善した加工上の特徴および栄養的特徴を有する酵素分解野菜生成物を形成すること、ならびに上記野菜生成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年間、消費者は、適切なタンパク質、脂肪、炭水化物、繊維、ビタミンおよびミネラルの源が高められた、栄養的にバランスの取れた食品を食することに関心を持っている。慢性疾患(例えば、癌、糖尿病、および心疾患)に対する懸念の増加は、消費者に、慢性疾患を処置するのに効果的であり、一方でより健康な生活様式を促進する食品を、消費のために探す動機を与えた。このような食品としては、植物化学物質を含有する野菜が挙げられ得る。
【0003】
残念なことに、植物化学物質を有する野菜の消費は、いくつかの問題を引き起こし得る。代表的に、抗栄養成分(例えば、難消化性の糖、酵素インヒビター、栄養素結合性物質もしくは毒性成分)の存在は、有益な植物化学物質を含有する野菜を消費に不適当にさせる。野菜中における所望の植物化学物質の低い濃度は、消費者にとってもう1つの問題である(特に、その植物化学物質の濃度があまりに低く、健康上の利益をもたらさないとみなされる場合)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消費前の、野菜中の抗栄養成分を除去するための野菜の加熱処理および/または加圧処理は、食品製造業者によって使用される伝統的アプローチである。しかし、加熱処理および/または加圧処理は、この製造過程の間に、全てではないとしても、ほとんどの植物化学物質レベルを除去してしまう可能性がある。さらに、この製造過程は、野菜を適切に加工するために、物理的および/または化学的前処理法(例えば、加工前の生野菜の調理、煮沸、強酸の適用、および/または水和)を必要とし得る。残念なことに、加工前の野菜の物理的および/または化学的前処理法は、野菜生産に関する総費用を上昇させる複雑な工程を含み得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明は、通常の大気圧下で酵素分解された野菜を形成するのに十分な時間の間、生野菜に酵素を適用し、続いてその酵素を不活性化することによって、ヒトが消費する前に野菜を加工するための方法を包含する。
【0006】
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
後にヒトが消費するために、生野菜組成物を酵素的に分解する方法であって、該方法は、
約30重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物を提供する工程;
水と、リパーゼとセルラーゼとを含有する水性酵素組成物を、該生野菜組成物に、通常の大気圧下で、該生野菜組成物を分解するために十分な時間にわたって適用する工程であって、該水性酵素組成物は、約2.0と約7.0との間のpHにある、工程;ならびに
該第一の酵素組成物を不活性化する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
前記水性酵素組成物は、前記生野菜組成物の第一の外側層を分解するために効果的である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記水性酵素組成物は、前記生野菜組成物を軟化するために効果的である、項目1に記載の方法。
(項目4)
第二の水性酵素組成物を前記生野菜組成物に適用する工程をさらに包含し、該第二の水性酵素組成物は、α−ガラクトシダーゼ、マンナナーゼ、β−グルコナーゼ、β−グルコナーゼ、アラビナーゼ、キシラナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、インベルターゼ、β−フルクトフラノシダーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンデポリメラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、グルコアミラーゼ、オリゴ−1,6グルコシダーゼ、ラクターゼ、β−d−グルコシダーゼ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目5)
後にヒトが消費するために、野菜組成物を酵素的に加工する方法であって、該方法は、
約30重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物を提供する工程;
水と、リパーゼとセルラーゼとを含有する第一の酵素組成物を、該生野菜組成物に、通常の大気圧下で、酵素で分解された生野菜組成物を形成するために十分な時間にわたって適用する工程であって、該第一の酵素組成物は、約2.0と約7.0との間のpHにある、工程;
水とカルボヒドラーゼとを含有する第二の酵素組成物を、該酵素で分解された生野菜組成物に適用する工程;ならびに
該第一の酵素組成物および該第二の酵素組成物を不活性化する工程、
を包含する、方法。
(項目6)
前記第二の酵素組成物は、ヘミセルラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、マンナナーゼ、β−グルコナーゼ、β−グルコナーゼ、アラビナーゼ、キシラナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、インベルターゼ、β−フルクトフラノシダーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンデポリメラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、グルコアミラーゼ、オリゴ−1,6グルコシダーゼ、ラクターゼ、β−d−グルコシダーゼ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、項目5に記載の方法。
(項目7)
後にヒトが消費するために、野菜組成物を加工する方法であって、該方法は、
約40重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物を提供する工程;
約2.0と約7.0との間のpHを有する酵素組成物を、該生野菜組成物に、通常の大気圧下で、生野菜組成物を分解するために十分な時間にわたって適用する工程であって、該酵素組成物は、水、第一の酵素成分、および第二の酵素成分を含有し、該第一の酵素成分は、該生野菜組成物を分解するセルラーゼを含有し、そして該第二の酵素成分は、タンパク質またはペプチドを分解するプロテアーゼを含有する、工程;ならびに
該酵素組成物を不活性化する工程、
を包含する、方法。
(項目8)
前記生野菜組成物の豆が、未乾燥または未醗酵のカカオ豆である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記プロテアーゼは、疎水性アミノ酸含有タンパク質、疎水性アミノ酸含有ペプチド、またはこれらのいずれかの任意の組み合わせを分解する、項目7に記載の方法。
(項目10)
後にヒトが消費するために、野菜組成物を加工する方法であって、該方法は、
約30重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物を提供する工程;
約2.0と約7.0との間のpHを有する酵素組成物を、該生野菜組成物に、生野菜組成物を分解するために十分な時間にわたって適用する工程であって、該酵素組成物は、水、第一の酵素成分、および第二の酵素成分を含有し、該第一の酵素成分は、該生野菜組成物を分解するために効果的なセルラーゼを含有し、該第二の酵素成分が、メチルキサンチンを分解するために効果的である、工程;ならびに
該酵素組成物を不活性化する工程、
を包含する、方法。
(項目11)
前記生野菜組成物は、未乾燥のコーヒー豆、カカオ豆、ガラナ、コーラの木の実、またはこれらの任意の組み合わせである、項目10に記載の方法。
(項目12)
後にヒトが消費するために、野菜組成物を軟化する方法であって、該方法は、
水およびセルラーゼを含有する酵素組成物を、生野菜組成物に、通常の大気圧下で適用する工程であって、該酵素組成物は、約2.0と約7.0との間のpHを有し、そして該酵素組成物は、該生野菜組成物を軟化するために効果的である、工程;ならびに
該酵素組成物を不活性化する工程、
を包含する、方法。
(項目13)
前記酵素組成物が、豆の加熱調理時間を減少させるために効果的である、項目12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(詳細な説明)
本発明は、野菜を加工する方法を包含する。この方法においては、水性酵素組成物を、通常の大気圧下で、酵素分解された野菜組成物を形成するのに効果的な時間の間、生野菜組成物に適用する。分解後、上記酵素分解された野菜組成物は、この酵素分解された野菜組成物をヒトに消費されることになる野菜生成物へと変換する、1以上のさらなる加工工程によって加工され得る。本発明は、好ましくは、生野菜組成物を分解、加水分解、および/または軟化する酵素を使用する。
【0008】
伝統的野菜加工技術は、多くの場合、障壁として機能する野菜の頑丈な外側層の存在に一部起因して、製造過程の間に高温および/または高圧の使用を必要とする。このような高温および/または高圧は、野菜加工の費用および複雑さを上昇させる。さらに、このような高温および/または高圧は、結局のところ、消費者の受容性および消費を低減させる様式で、植物化学物質レベルを低下させることによって、加工された野菜の栄養量を低減させ得る。
【0009】
本発明は、(1)ヒトが消費する前、または(2)生産を完了するために高温および/または高圧を必要とし得る、より伝統的な加工技術の使用の前での、通常の大気圧下での生野菜の酵素分解を包含する。加えて、本発明は、野菜加工の間の高温および/または高圧に対する必要性を低減させるのを助ける、新規のアプローチを示す。さらに、本発明による野菜の酵素処理は、代表的に通常の大気圧下で起こるので、特別な機器は、代表的には必要とされず、その結果、野菜製造の費用および複雑さの低減が実現され得る。さらに、より伝統的な加工技術を使用する前の野菜の酵素分解はまた、生野菜の完全な加工に必要とされる時間、エネルギー、および/または他の供給源を低減させ得る。
【0010】
理論に束縛されることを要しないが、生野菜組成物の第一の外側層にある1以上の標的基質を分解し得る1以上の酵素が、本発明に従って、その生野菜組成物の第一の外側層に適用される場合、上記酵素は、この生野菜組成物の第一の外側層の標的基質を分解して、処理された第一の外側層を有する酵素分解された野菜組成物を形成すると考えられる。さらに、上記生野菜組成物を分解するための水性酵素組成物の使用は、この生野菜組成物を軟化させ、このことは、調理時間の低減を可能にし得、そしてまた、生野菜組成物の、ビタミン、ミネラル、もしくはこの生野菜組成物中の特定の反応を触媒する他の酵素のような成分の添加によって、その後の、その場での改変を可能にし得る。
【0011】
本明細書中で使用される場合、用語「酵素」とは、生細胞によって産生される、少なくとも、1以上の標的基質に対する特定の生化学反応を触媒し得る、任意の複雑なタンパク質を意味する。用語「酵素」はまた、任意の微生物を実質的に必要としない特定の生化学反応を触媒し得る、任意の複雑なタンパク質を包含することを意味する。全ての酵素への言及はまた、その酵素の、合成によって生成されたかまたは遺伝的に生成された、任意の同一のコピーを包含するものとして理解される。このコピーは、生きた生物体内に由来する酵素と分子構造が同一である。
【0012】
水性酵素組成物の一部として含まれ得る酵素は、一般的に、リパーゼとして特徴付けられ得る。本明細書中で使用される場合、用語「リパーゼ」とは、少なくとも、脂肪含有標的基質または脂質含有標的基質の加水分解を触媒し得る、任意の酵素を意味する。「加水分解」とは、脂肪含有標的基質または脂質含有標的基質(トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、クチン、蝋含有基質、化学的に混合された脂肪酸と長鎖アルコール、ホスファチド、セレブロシド、ステロール、テルペン、脂肪アルコール、固体脂質、液体脂質(油)、脂肪酸、脂溶性ビタミン、蝋、もしくはこれらのいずれかの任意の組み合わせが挙げられる)の酵素分解を意味する。さらに、用語「脂肪含有」および「脂質含有」は、本明細書を通して交換可能に使用される。
【0013】
さらに、用語「加水分解」は、カルボヒドラーゼを産生して本発明に従って生野菜組成物を加水分解および/または分解する微生物の使用を包含することを意味しない。カルボヒドラーゼおよび生野菜組成物を加工するための他の酵素を産生する微生物の適用は、一般的に、微生物発酵と称される。
【0014】
加えて、微生物発酵は、ある程度の加水分解に関与し得るが、微生物発酵は、ペントースまたはヘキソースのような糖成分を、酸性度を高め、pHを低下させ、そして発酵した野菜組成物の食感および食味を変化させる有機酸へとさらに変換することが公知である。対照的に、本発明は、実質的に微生物を必要としない酵素を使用して、生野菜組成物を加水分解し、軟化させ、そして/または分解する。さらに、本発明による水性酵素組成物の使用は、代表的に、分解後の水性酵素組成物の酸性度の低下、および/またはpHの上昇をもたらす。
【0015】
リパーゼは、一般的に、脂肪含有分子または脂質含有分子を、遊離脂肪酸、グリセロール、モノグリセリドおよびジグリセリドへと加水分解または分解する。一例として、本発明にとって適切なリパーゼとしては、トリグリセリドの1位、2位、もしくは3位から短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、または長鎖脂肪酸を加水分解し得るリパーゼが挙げられる。さらに、蝋含有基質または長鎖アルコールと脂肪酸との組み合わせを加水分解して長鎖アルコールと遊離脂肪酸とを形成するのに効果的な任意の酵素もまた、本発明における使用に適切である。
【0016】
好ましくは、トリグリセリドのような脂肪含有標的基質または脂質含有標的基質から少なくとも1つの長鎖脂肪酸を加水分解するのに効果的であるリパーゼが、本発明を実施するために使用される。より好ましくは、トリグリセリドのような脂肪含有標的基質または脂質含有標的基質から、少なくとも1つの長鎖脂肪酸および/または少なくとも1つの中鎖脂肪酸を加水分解するリパーゼが、本発明に従って使用される。
【0017】
さらにより好ましくは、生野菜組成物の蝋状被覆または脂質含有被覆を加水分解するのに効果的であり、かつ任意の微生物を実質的に必要としないリパーゼが、上記水性酵素組成物の一部として含有される。リパーゼは、多くの異なる供給源(例えば、真菌供給源、植物供給源、微生物供給源、動物供給源、またはこれらのいずれかの任意の組み合わせ)に由来し得る。例として、リパーゼA「Amano」12、リパーゼAY「Amano」30、リパーゼG「Amano」50、リパーゼM「Amano」10(イリノイ州ロンバードのAmano Enzyme Co.Ltdから入手可能)が、本発明を実施する場合、生野菜組成物の蝋状被覆を分解するために使用され得る。
【0018】
水性酵素組成物の一部として含有され得る別の酵素は、一般的にカルボヒドラーゼとして特徴付けられ得る。本明細書中で使用される場合、用語「カルボヒドラーゼ」とは、少なくとも、炭水化物含有標的基質の加水分解を触媒し得る、任意の酵素を意味する。「加水分解」とは、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、ヘミセルロースのキシラン鎖、および/または他の5炭糖のポリマーのような複雑な炭水化物を含有する炭水化物含有標的基質の、ペントースまたはヘキソースのようなその糖成分への酵素分解を意味する。
【0019】
好ましくは、セルラーゼは、上記水性酵素組成物の一部としてまた使用されるカルボヒドラーゼの1つである。さらにより好ましくは、任意の微生物を実質的に必要としないセルラーゼが、上記水性酵素組成物の一部として含有される。最も好ましくは、任意の微生物を実質的に必要としないセルラーゼが、本発明が実施される場合、生野菜組成物の分解、加水分解、および/または軟化のために使用される。セルラーゼは、多くの異なる供給源(例えば、真菌供給源、植物供給源、微生物供給源、動物供給源、またはこれらのいずれかの任意の組み合わせ)に由来し得る。
【0020】
セルラーゼの他に、他のカルボヒドラーゼ、例えば、ヘミセルラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、インベルターゼ、マンナナーゼ、β−グルコナーゼ、β−グルカナーゼ、アラバナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、フェルラ酸エステラーゼ、キシラナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−フルクトフラノシダーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンデポリメラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、グルコアミラーゼ、オリゴ−1,6グルコシダーゼ、ラクターゼ、β−d−グルコシダーゼ、またはこれらのいずれかの任意の組み合わせが、本発明に従ってセルラーゼと別々または組み合わせて使用され得るカルボヒドラーゼの、適切なさらなる非網羅的な例であることが考えられる。
【0021】
好ましくは、上記水性酵素組成物は、(1)ヒトが消費する前、または(2)調理、加圧調理などのような伝統的な加工技術の適用前に通常の大気圧下で生野菜組成物を分解するために、リパーゼ、セルラーゼ、および以下の任意の組み合わせを含有する:ヘミセルラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、マンナナーゼ、β−グルコナーゼ、β−グルカナーゼ、アラバナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、キシラナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−フルクトフラノシダーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、ペクチナーゼ、インベルターゼ、ペクチンデポリメラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、グルコアミラーゼ、オリゴ−1,6グルコシダーゼ、ラクターゼ、またはβ−d−グルコシダーゼ。
【0022】
より好ましくは、生野菜組成物を分解し、軟化し、そして/または水、酵素、添加剤などに対してより吸収性にするために、リパーゼ、セルラーゼおよびヘミセルラーゼの混合物が、本発明において使用される。なおより好ましくは、引き続く処理が低下した温度および/または圧力の要件で実行され得るように、生野菜組成物を分解するために、リパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびペクチナーゼの混合物が、本発明において使用される。
【0023】
水性酵素組成物の一部として使用され得るカルボヒドラーゼの好ましい例は、North Carolina、FranklintonのNovozymesから入手可能なViscozyme(登録商標)Lである。水性酵素組成物の一部としての使用のために適切なカルボヒドラーゼの代替の例は、New York、New YorkのEnzyme Development Corporationから入手可能なEconase(登録商標)CE、Indiana、South BendのValley Research Inc.から入手可能なCellulase 4000またはCrystalzyme Cranである。
【0024】
酵素が野菜処理の間に使用される場合、酵素は、上記のように、任意の形態(例えば、顆粒形態もしくは蒸気形態)で、または水性酵素組成物の一部として適用され得る。選択される適用形態によって、好ましくは、酵素が、(1)処理される野菜組成物と接触し得、そして(2)標的基質を分解するのに十分な時間の間、処理される野菜組成物と接触したままであり得る。好ましくは、酵素は、水性酵素組成物の一部として生野菜組成物に適用される。
【0025】
水性酵素組成物は、一種以上の酵素成分、一種以上の任意の触媒成分、一種以上の任意のpH改変成分、一種以上の任意の添加剤、または一種以上の任意の溶媒成分を含み得る。水性酵素組成物の成分は、個々の成分として供給され得るか、または2つ以上の成分の種々の調製された混合物で供給され得、これらは、その後、組み合わされて、水性酵素組成物を形成する。
【0026】
酵素成分は、酵素のみ、酵素および水を含み得るか、または必要に応じてさらなる成分を含み得る。酵素成分は、個々の成分として供給され得るか、または2つ以上の成分の種々の調製された混合物で供給され得、これらは、その後、組み合わされて、酵素成分を形成する。さらに、酵素成分は、顆粒形態で、蒸気形態で、または水性酵素組成物の一部として供給され得る。
【0027】
酵素成分中の酵素の濃度は、一般的に、酵素成分の合計重量に基づいて、約0.0001重量%〜約100重量%の範囲であり得る。酵素成分は、必要に応じて、スクロース、フルクトース、灰、アルコール、および酵素の生化学的触媒作用速度と適合性であり、妨害しない任意の他の成分を含み得る。
【0028】
好ましくは、酵素成分の濃度は、生野菜組成物を軟化し、加水分解し、改変し、そして/または分解するのに役立つ量である。なおより好ましくは、酵素成分の濃度は、生野菜組成物の第一の外側層を分解するのに有効な量である。最も好ましくは、本発明に従って使用される酵素成分の濃度は、生野菜組成物の第一の外側層を分解し、生野菜組成物を軟化し、加水分解し、そして/または分解し、そして生野菜組成物の内側部分のさらなる改変を可能にするのに有効な量である。
【0029】
さらに、酵素成分の濃度は、この酵素が生野菜組成物と接触したままである時間に依存して変改し得ることが理解されるべきである。さらに、短い暴露時間が使用される場合、より高い濃度の酵素成分が、生野菜組成物の分解、軟化、加水分解および/または改変の所望の程度を達成するために必要とされる。同様に、より長い暴露時間が使用される場合、酵素成分の濃度は、所望の結果を達するために下げられる。
【0030】
例として、酵素成分が液体形態で供給される場合、酵素成分は、乾燥食用豆のような生野菜組成物を軟化するために、生野菜組成物の合計重量に基づいて、約10重量%未満の濃度で適用され得る。より好ましくは、酵素成分が液体の形態で供給される場合、酵素成分は、生野菜組成物を軟化するために、生野菜組成物の合計重量に基づいて、約5重量%未満の濃度で適用され得る。
【0031】
同様に、酵素成分が顆粒粉末の形態で供給される場合、酵素は、生野菜組成物を軟化し、加水分解し、そして/または酵素的に改変するために、生野菜組成物の合計重量に基づいて、約5重量%未満の濃度で適用され得る。より好ましくは、酵素成分が顆粒粉末の形態で供給される場合、酵素成分は、生野菜組成物を軟化し、加水分解し、そして/または酵素的に改変するために、生野菜組成物の合計重量に基づいて、約1重量%未満の濃度で適用される。
【0032】
水性酵素組成物は、必要に応じて、生野菜組成物に容易に適用される形態で、一種以上の触媒成分を含み得る。触媒は、水性酵素組成物の一部として含まれる場合、一般的に、酵素成分の生化学的触媒作用速度を向上させる。酵素成分の生化学的触媒速度の増加は、生野菜組成物に対する水性酵素組成物の適用時間、または生野菜組成物に適用される水性酵素組成物の量を減少させ得る。
【0033】
あるいは、触媒成分は、生野菜組成物に対する水性酵素組成物の適用の前、適用の間、または適用の後のいずれかにおいて、水性酵素組成物とは別に適用され得る。さらに、触媒の供給源は、選択された特定の形態が野菜組成物への適用および野菜組成物による取り込みを生じる限り、特定の形態で、水性組成部の一部として、または蒸気の形態で適用され得る。水性酵素組成物の一部として含まれ得る触媒のいくつかの非排他的例は、カルシウムイオン、銅イオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、カリウムイオン、またはそれらの任意の組み合わせを含む塩である。触媒成分は、個々の成分として、または2つ以上の成分の種々の調製された混合物で供給され得、これらは、後に組み合わされて、触媒成分を形成する。
【0034】
水性酵素組成物は、水性酵素組成物の酸度(本明細書中で以降、pHと呼ぶ)を調整し得る一種以上のpH改変成分を含み得る。さらに、水性酵素組成物のpHは、水性酵素組成物中に存在する酵素に依存して変化する。
【0035】
好ましくは、水性酵素組成物のpHは、約2.0〜約7.0である。なおより好ましくは、水性酵素組成物のpHは、生野菜組成物を分解し、軟化し、加水分解し、そして/または酵素的に改変する場合に、約3.0〜約7.0である。さらに、約1.0未満の非常に低いpH値は、代表的に、本発明を実施する場合に、酵素成分を不活性化する際に有効である。結果として、ヒトの摂取または水性酵素組成物のpHを約2.0のpH未満に下げる強酸の添加は、水性酵素組成物の酵素成分を不活性化する際に有効であると考えられる。
【0036】
pH改変物質のいくつかの非排他的例としては、有機酸(例えば、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸など);リン酸;またはこのような有機酸の緩衝化剤(例えば、酢酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど)が挙げられる。水酸化ナトリウムなどのような塩基性化合物は、本発明での使用に適切なpH改変物質の一部として含まれ得る。
【0037】
リパーゼおよび/またはクチナーゼは、生野菜組成物の蝋または脂肪含有基質を加水分解するために使用されるので、乳化剤または界面活性剤を含む水性組成物は、生野菜組成物の蝋状被覆と酵素の十分な接触を達成するために必要とされ得る。脂肪または蝋は、代表的に、疎水性であるが、酵素的加水分解のために水が必要とされる。従って、効率的な加水分解リパーゼ反応を実現するために、少なくとも10%の水が、利用可能でなければならず、そしてリパーゼおよび/またはクチナーゼは、生野菜組成物と密接に接触しなければならない。乳化剤または界面活性剤のいくつかの非排他的例としては、例えば、モノ−グリセリド、蒸留モノ−グリセリド、ジ−グリセリド、蒸留ジ−グリセリド、またはレシチン(天然または人工)、野菜グリセリン、グリセロール、グリセリン、またはこれらのいずれかの任意の組み合わせが挙げられる。好ましくは、本発明で使用される乳化剤および/または界面活性剤は、処理要件および最終野菜製品の性質に適合性の任意の材料である。例として、野菜グリセリンが、本発明に従って使用される。
【0038】
水性酵素組成物の一部として含まれ得る任意の添加剤の他の例としては、天然および/または人工香味料;人工着色剤;天然色素(例えば、葉緑素、アントシアニン、ベタレイン、ベタイン、カロテノイド、アントキサンチン);ハーブ;香辛料;ビタミン;鉱物;植物抽出物;精油;糖(例えば、スクロース、フルクトース、グルコース、またはマルトース);保存剤;野菜組成物への水性酵素組成物の適用、野菜組成物による取り込み、または野菜組成物の後の処理を改善する任意の添加剤;あるいはこれらのいずれかの任意の組み合わせが挙げられる。
【0039】
水性酵素組成物はまた、一種以上の溶媒成分を含み得る。溶媒成分は、好ましくは、酵素成分、任意の触媒成分、任意のpH改変成分、任意の添加剤、またはこれらの任意の組み合わせの均質な混合を促進する。溶媒成分は、好ましくは、野菜組成物への水性酵素組成物の適用、および野菜組成物による取り込みを容易にする。水性酵素組成物中に含まれ得る溶媒のいくつかの非排他的例としては、水;油;アルコール(例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノールなど);ヘキサン;またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。溶媒成分は、個々の成分として供給され得るか、または2つ以上の成分の種々の調製された混合物で供給され得、これらは、その後、組み合わされて、溶媒成分を形成する。
【0040】
液体の水は、水が、代表的には、酵素的分解、軟化および/または加水分解に必要とされるので、水性酵素組成物に好ましい溶媒である。水性酵素組成物の一部として含まれる液体の水の量は、生野菜組成物中の水の初期濃度、生化学的触媒作用速度、および/または酵素分解生野菜組成物の所望の最終製品特徴に依存する。一般的に、水性酵素組成物の量は、生野菜組成物が、水性酵素組成物によって完全に接触されるような量である。例として、生の食用豆を分解する場合、水が、生の食用豆の重量の約1.25〜約5倍の範囲で、水性酵素組成物の一部として含まれる。同様に、コラード、ケール、カブ、またはカラシナのような生の菜っ葉(raw green)を軟化する場合、水が、生の菜っ葉の重量の約1〜約2倍の範囲で、水性酵素組成物の一部として含まれる。
【0041】
一般的に、酵素成分、任意の触媒成分、任意のpH改変成分、任意の添加剤、任意の溶媒成分、またはこれらの任意の組み合わせを均質に混合するために適切な任意の従来の混合装置および技術(例えば、ミキサー)は、水性酵素組成物を形成するために使用され得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「適用」とは、噴霧、ナイフコーティング、拡散(spreading)、浸漬(soaking)、曝露、浸漬(immersing)、スロップコーティング(slop−coating)、浸漬被覆(dip−coating)、ローラー塗布(roller−coating)、浸漬(dipping)、接触、ブラシ塗布、噴射(squirting)、沈降(submerging)、フォームパディング(foam padding)、可動散布(leaf−sprinkling)、散布(sprinkling)、流し込み(pouring)、スロップパディング(slop−padding)、または任意のこれらの組み合わせにより、生野菜組成物に、水性酵素組成物を適用することを意味する。
【0043】
この水性酵素組成物の温度は、上記の野菜組成物の最初の温度、酵素成分の至適生化学的触媒作用速度のための温度、および/または酵素分解された野菜組成物の望ましい特徴に依存する。この水性酵素組成物の温度は、この水性酵素組成物の酵素成分の最大生化学的触媒作用速度のための至適温度である。
【0044】
一般に、この水性酵素組成物の温度は、約30°F〜約250°Fの範囲である。好ましくは、この水性酵素組成物の温度は、約30°F〜約250°Fの範囲である。なおより好ましくは、この酵素組成物の温度は、約40°F〜約200°Fの範囲である。最も好ましくは、この水性酵素組成物の温度は、約40°F〜約195°Fの範囲である。
【0045】
この水性酵素組成物は、一定温度で生野菜組成物に適用され得るが、この水性酵素組成物の温度は、この生野菜組成物にこの水性酵素組成物を適用する間の任意のときに、上昇され得る。一般に、温度上昇は、生化学的触媒作用速度、および/または吸水を増大させる。
【0046】
しかし、この生野菜組成物の食感に対するマイナスの影響は、この水性酵素組成物の温度が、高すぎる(例えば、約250°Fを超える)場合、またはこの水性酵素組成物の温度が、適用の間にあまりにも急激に変化する場合に、生じ得る。さらに、温度が高すぎると、水性酵素組成物の酵素成分が不活性化し得るので、本発明を実施する場合に、望ましい程度の加水分解、軟化、分解および/または酵素改変を得る前に、酵素成分の早すぎる不活性化を避けるために注意が必要とされる。
【0047】
蒸気はまた、生野菜組成物に水性酵素組成物を適用する間または適用した後に、この水性酵素組成物に注入されて、(1)この生野菜組成物に適用される水性酵素組成物の温度を必要に応じて増大させるか、(2)この野菜組成物の水分含有量を必要に応じて増加させるか、(3)この野菜組成物のあらゆる澱粉粒を必要に応じて糊化するか、(3)この水性酵素組成物の生化学的触媒作用速度の効力を必要に応じて増大させるか、または(3)この水性酵素組成物中の酵素成分を必要に応じて不活性化する。好ましくは、野菜製造プロセスの一部として蒸気が含まれる場合、生野菜組成物に水性酵素組成物が適用された後に蒸気が注入される。上記のように、酵素成分の不活性化は、高温(例えば、蒸気適用で生じる温度)で容易に起こるので、望ましい程度の分解、軟化、および/または生野菜組成物の加水分解を得る前に、酵素成分の早すぎる不活性化を避けるために注意が必要である。
【0048】
この水性酵素組成物は、代表的には、通常の大気圧にて、生野菜組成物に適用される。「通常の大気圧」とは、約14.7psiの大気圧を意味する。さらに、「通常の大気圧」が、たとえ種々の標高、温度、湿度などの下で生じる大気圧でもまた含むことが理解されるべきである。
【0049】
さらに、用語「通常の大気圧」とは、分解、軟化、水和および/または加水分解を容易にする様式で水性酵素組成物を適用する前または適用する間での、陽圧(約14.7psiを超える)または陰圧(約14.7psi未満または減圧条件)の生野菜組成物への適用を含むことは意味しない。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「野菜」とは、植物界の生きている生物として生じる、植物由来の食品を意味する。「野菜」に対する全ての言及は、植物界の生きている生物として生じた植物の任意の遺伝子改変されたコピーを包含すると理解されるものとする。さらに、用語「野菜」は、葉、種子、根、塊茎、球根、花、果実、茎、苗条、堅果、または植物界の生きている生物として生じたこれらのうちのいずれかの任意の組み合わせを包含する。
【0051】
本発明の生野菜組成物は、代表的には、本発明を実施する場合に、第一の外側層を含み、この第一の外側層は、生野菜組成物の第二の内側層を実質的に覆うか、またはこの層に重層されるか、そして/または接着して接触する。この第一の外側層が、第二の内側層と接着して接触した状態にある場合、接着した接触は、ペクチン物質のような接合物質を介する結合を通じて達成され得る。
【0052】
この生野菜組成物の第一の外側層は、非透水層として特徴づけられ得、この非透水層は、代表的には、セルロースの繊維状ネットワーク;ヘミセルロースのキシラン鎖;ヘミセルロース;五炭糖の多糖;リグニン;ペクチン物質(例えば、プロトペクチン、ペクチン酸、ペクチン、またはこれらの任意の組み合わせ);ビタミン;ミネラル;脂肪;抗栄養成分;あるいはこれらのいずれかの任意の組み合わせを含む。第一の外側層のいくつかの非網羅的な例としては、豆果またはレンズ豆の種皮;穎果の糠層;野菜の茎壁(stem
wall);根、塊茎、および/または球根野菜の外皮;果物の皮;堅果の種皮または種子の壁が挙げられ得る。
【0053】
この生野菜組成物の第二の内側層は、一般に、澱粉粒の網、脂肪小球、繊維、タンパク質、ビタミン、ミネラル、水、植物化学物質、抗栄養成分、またはこれらのうちのいずれかの任意の組み合わせが挙げられる。さらに、第二の内側層に対する全ての言及はまた、この生野菜組成物の内側部分を包含することが理解され、よって、この第二の内側層はまた、野菜組成物中に埋まっている種子を含み得る。野菜組成物の抗栄養成分のいくつかの非網羅的例としては、膨満惹起糖(例えば、ラフィノース、ベルバスコースおよびスタキオース);レクチン;栄養素結合物質(例えば、フィチン酸);他の難消化性の糖;酵素インヒビター(例えば、トリプシンインヒビター);または毒性化合物(例えば、甲状腺腫誘発物、ソラニン、またはシュウ酸)が挙げられる。
【0054】
本発明の好ましい生野菜組成物は、丈夫な堅い第二の内側層を有する。一例として、レンズ豆は、少なくとも1つの子葉を含み、この少なくとも1つの子葉は、澱粉、タンパク質、抗栄養因子、脂肪、ビタミンおよびミネラルの丈夫な線維網として特徴づけられ得る。同様に、穎果(例えば、全粒小麦またはひき割りトウモロコシ)は、内胚乳を含み、この内胚乳は、澱粉、タンパク質、抗栄養因子、脂肪、ビタミンおよびミネラルの丈夫な繊維網としても特徴づけられ得る。さらに、代表的には、約40重量%未満の水分含有量を有し、好ましくは、約30重量%未満の水分含有量を有する、堅い第二の層を有する生野菜組成物は、本発明を実施する場合に、効率的に軟化され得る。
【0055】
好ましくは、この第一の外側層は、本発明を実施する場合に、生野菜組成物の第二の内側層または内側部分に結合されるかまたは接着して接触した状態にある。「結合されるかまたは接着して接着される」とは、生野菜組成物が、第一の外側層の実質的な部分を有し、この第一の外側層が、この生野菜組成物の内側部分または第二の内側層に結合されることを意味する。さらに、例えば、皮むき、化学物質、すり下ろしによって生野菜組成物の第一の外側層を除去することは、本発明を実施する場合に、好ましくは避けられる。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「生」とは、自然の状態で、調理されていないか、ゆでられていないか、乾燥されているか、食用であるか、天然の条件にあるか、またはこれらのうちのいずれかの任意の組み合わせである野菜組成物に言及する。さらに、用語「生」とは、本発明を実施する場合に、野菜組成物の第一の外側層、第二の内側層、または第一の外側層と第二の内側層の両方の状態に言及するということを理解するべきである。
【0057】
さらに、生野菜組成物は、好ましくは、完全生野菜組成物である。「完全」とは、この生野菜組成物が、侵軟、微粉化、すり下ろし、粉砕などの技術に供されていないことを意味する。例えば、粉末(穀粉)に挽かれていないか、フレークを形成するように挽かれていないか、侵軟されていないか、または微粉化されていない、乾燥の食用豆は、完全生野菜組成物の例である。同様に、挽かれていないか、すり下ろされていないか、侵軟されていないか、または微粉化されていない青菜野菜(コラード、ケールなど)は、本発明に従って使用され得る完全生野菜の好ましい例である。
【0058】
さらに、本発明の好ましい生野菜組成物は、第一の外側層の上にさらなる外側層を含む生野菜組成物を含む。第一の外側層の上のさらなる外側層の例としては、種子、穎果、豆果などの蝋状層(コート)が挙げられる。代表的には、この蝋状コートは、クチン、または他の蝋含有分子および/もしくは脂質含有分子を含む。
【0059】
蝋状コート/外側層を含み得る生野菜組成物の例としては、ウズラ豆、白インゲン豆、金時豆(light red kidney bean)、ササゲ、レンズ豆、緑豆、ピンキービーン(pinkie bean)、グレートノーザンビーン、グリーンライマ豆(green lima bean)、イエローライマ豆(yellow lima bean)、ひよこ豆、イナゴ豆、カカオ豆、コーヒー豆、干しエンドウおよび/もしくは完全なエンドウ豆(whole pea)、落花生、木豆(yellow pea)、青エンドウ、大豆、ブラックビーン(black bean)、バニラビーン、またはLeguminosae科の植物に由来する任意の他の食用種子;種子(例えば、アマランス種子、スイカ種子、ザクロ種子、ひまわり種子、紅花種子、ケシ種子、ゴマ種子、アルファルファ種子、ヒメウイキョウ種子、カルダモン種子、セロリ種子、チーア種子、コリアンダー種子、ディル種子、フェンネル種子、コロハ種子、アマ種子、ノゲシ種子、ニクズク種子、カラシナ種子、オオバコ種子);穎果(例えば、大麦、ソバ、ひき割りトウモロコシ、精白玉麦、ブルーガー(bulghur)、アマランス、トウモロコシ、雑穀類(millet)、エン麦、コメ、ライ麦、ライコムギ、小麦、マコモ、玄米);あるいは認められた食用野菜源に由来する任意の種子が挙げられる。
【0060】
さらに、約40重量%を超える水分含有量を有する生野菜組成物(係属中の米国特許出願第10/619,403号に開示される)はまた、本発明を実施する場合に効率的に軟化され得る。例えば、蝋状コートの外側層を含む青菜野菜(green leafy vegetable)は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、およびペクチナーゼのブレンドを用いて軟化された。従って、リパーゼを含める必要はなかった。しかし、穎果(例えば、小麦、コメ)または蝋状コートを含む種子/野菜組成物に対して本発明を実施する場合、リパーゼおよび/またはクチナーゼを含めることが好ましい。
【0061】
一般に堅果の形態で存在する生野菜組成物もまた、約40重量%未満の水分含有量を有し得、本発明を実施する場合に生野菜組成物の一部としても包含され得る。本明細書で使用される場合、「堅果」とは、堅い殻に覆われた乾燥した果実または実質的に内部の仁を囲む分離可能な第一の外側層を有する種子を意味する。
【0062】
本発明に従って使用され得る堅果の形態にある野菜組成物のいくつかの非網羅的な例としては、ドングリの実、アーモンドの実、ブラジルナッツ、バタグルミ、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ハシバミの実、ヘーゼルナッツ、ヒッコリーの実、マカダミアナッツ、ペカンナッツ、マツの実、ピスタチオナッツ、クルミ、または認められた食用植物源の任意の認められた食用堅果が挙げられる。
【0063】
用語「生野菜組成物」は、生野菜組成物から泥などを除去する試みで、水蒸気、熱湯、温水および/または冷水で洗浄された状態であり得る生野菜組成物を包含することを意味することもまた理解されるべきである。野菜組成物を、清潔にする、洗浄するまたは泥を除去する工程は、スプリンクラー型の装置または浸漬装置を使用する食品等級の界面活性剤または化学物質の適用を包含し得る。このような清潔化技術、洗浄技術または泥除去技術は、(1)生野菜組成物の第二の内側層または内部部分から生野菜組成物の第一の外側層を顕著に除去せず、そして/または(2)例えば、生野菜組成物の総重量に基づいて、約1重量%以上の繊維質成分を減少させることにより、酵素を適用する前に、生野菜組成物の繊維質成分を実質的に減少させないと考えられる。従って、水性酵素組成物の適用の前の清潔化技術、洗浄技術または泥除去技術などの使用は、本発明を実施する場合に、許容される。
【0064】
さらに、分解を開始し、生野菜組成物の第一の外側層の空隙率を改良し、特定のセルロース画分およびヘミセルロース画分を除去し、または分解部位を曝露するように設計された物理的および/または化学的前処理方法は、酵素による分解が、このような前処理方法なしでは進行し得ないという広く行き渡った考えで実行されてきた。物理的前処理方法としては、野菜組成物への水性酵素組成物の適用の前に、陽圧または陰圧を適用する工程が挙げられる。さらに、化学的前処理方法としては、強酸溶液の適用、前浸漬、水性酵素組成物の適用の前に野菜の水分含有量を代表的に増加させる野菜組成物の煮沸または調理が挙げられる。
【0065】
本発明は、水性酵素組成物の適用の前に、最初に生野菜組成物を強酸溶液、前浸漬、煮沸または調理に供することなく、通常の大気圧の下で生野菜組成物に水性酵素組成物を適用する工程によりこれらの複雑な加工方法を回避する。このような物理的および/または化学的処理は、代表的に保留され、そして好ましくは、酵素成分を不活性化するために水性酵素組成物が、生野菜組成物を分解した後に行われる。
【0066】
用語「全生野菜組成物」は、(1)第二の層と接着している第一の外側層、または(2)生野菜組成物の曝露された第二の内側層または内部部分を有する砕いた生野菜組成物を包含することを意味することもまた理解されるべきである。例えば、リフライドビーンズの製造において、全豆の砕いた部分はなお、種皮および露出した子葉を含む。約30重量%未満の水分含有量を有するこのような生の全豆の砕いた部分は、種皮を分解するため、およびヒトが消費する前に、子葉を軟化するため、または、リフライドビーンズの製造のために必要である他の残りの加工工程に豆を供するために本発明の水性酵素組成物に浸漬され得るか、または暴露され得る。
【0067】
同様に、生の青菜野菜は、酵素分解を可能にする水性酵素組成物の適用の前に切り刻まれ得、そして、切り刻みの際の生の青菜野菜の後の軟化は、生の青菜野菜に存在する繊維質の網目を除去したり減少させたりしないと考えられる。同様に、缶詰工程の前の葉への熱の適用(しおれ)の一般的な産業的実施は、しおれさせる工程が、葉に存在する繊維質成分を実質的に、例えば、生野菜組成物の総重量に基づいて、約1重量%以上減少させないと考えられるので、本発明を実施する場合に、許容される。むしろ、しおれさせる工程は、後の缶への封入のために葉の圧縮を改良すると考えられる。
【0068】
上で述べたように、水性酵素組成物が、生野菜組成物に適用される時間の長さは代表的に、生野菜組成物、所望の分解の程度、酵素成分の濃度および/または酵素により分解された野菜組成物の所望の特性に依存する。本発明を実施する際に使用される時間の長さは、約1秒間から約24時間以上の範囲であり得る。例として、約30重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物を分解するための時間の長さは、約1秒間〜約2時間であるのに対して、生野菜組成物を軟化する時間の長さも約1秒間〜約2時間である。
【0069】
理論に束縛されることは望まないが、分解された部位のネットワークを形成するために、リパーゼは、生野菜組成物のさらに外側の蝋状の層または脂質含有層を分解すると考えられる。次に、好ましいセルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびペクチナーゼは、分解された部位のネットワークに浸透し、第一の外側層の標的基質を含有する炭水化物の加水分解を開始し得る。炭水化物含有標的基質の加水分解はまた、分解された部位または穴のネットワークを形成すると考えられるので、水性酵素組成物の一部として含まれる酵素は、分解を促進し得るので、生野菜組成物の効率的な軟化が起こり得る。
【0070】
従って、水性酵素組成物は、野菜組成物の蝋状の最上層、第一の外側層および/または第二の内側層を通じる穴を形成し得るので、添加剤または酵素の吸収および標的基質の効率的な加水分解が観察される。水性酵素組成物はまた、生野菜組成物内の広範な基質を標的とし得る。従って、これらの基質の分解が生じ得、酵素により分解された生野菜組成物の調理時間の減少を補助し得る。
【0071】
酵素により分解された生野菜組成物の利点としては、軟化した生野菜組成物の形成、または生野菜組成物の繊維質成分の減少が挙げられる。例えば、本発明を実施する場合、生野菜組成物の繊維質成分は、最初の生野菜組成物の総重量に基づいて約0.5重量%より多く、好ましくは、約1重量%より多く、なおより好ましくは約5重量%より多く減少し得る。さらに、従来の手段により酵素分解した生野菜組成物を、酵素分解の後に、例えば、凍結、水和、蒸らし、凍結乾燥、缶詰処理(canning)、揚げること、煮沸、乾燥、押出し、加熱調理、焼成(baking)、焙焼(roasting)、微粉砕、発酵、酵素処理、殺菌、抽出、製粉、膨張処理(puffing)、蒸気圧調理またはこれらの任意の組み合わせにより加工する工程は、従来の加工の間に障害として代表的に機能する生野菜組成物の第一の外側層が分解されるので、改良される。例えば、生野菜(例えば、穀物または豆)の調理時間は、未処理のコントロールと比較した場合、約10%〜約75%減少した。
【0072】
酵素分解した生野菜組成物を形成するために、一旦生野菜組成物の十分な分解が生じると、酵素分解した生野菜組成物は、水性酵素組成物から分離され得、さらに、加工工程(例えば、酵素分解した生野菜組成物に残存する酵素成分を完全に不活性化する熱湯処理(blanching))に供され得る。あるいは、生の酵素分解した野菜組成物と水性酵素組成物との両方を、凍結、水和、蒸らし、凍結乾燥、缶詰処理、揚げること、煮沸、乾燥、押出し、加熱調理、焼成、焙焼、微粉砕、発酵、酵素処理、殺菌、抽出、製粉、膨張処理、蒸気圧調理またはこれらの任意の組み合わせによりさらなる加工工程を可能にする装置に移す工程もまた、酵素分解した生野菜組成物および水性酵素組成物に残存する酵素成分を完全に不活性化するのに効果的である。
【0073】
本発明は、以下の実施例により詳細に記載されるが、本発明の範囲内の多数の改変および変化が当業者に明らかであるので、これらの実施例は、例証のみを意図する。
【実施例】
【0074】
(生野菜組成物を分解および/または軟化する方法)
生野菜組成物を分解および/または軟化するために、一連の実験を行なった。生野菜組成物を軟化する工程は、酵素分解に供さなかった生野菜組成物と比較した場合に、生野菜組成物の調理時間および/または加工時間の減少を観察する工程により測定され得る。
【0075】
一定量の生野菜組成物を、一定量の水、酢、酵素および界面活性剤を含有する水性酵素組成物(以下の表1を参照のこと)と接触させた。Novozymes、Franklinton、North Carolinaから入手可能であるViscozyme L120を、カルボヒドラーゼとして使用した。Viscozyme L120の濃度は、1ミリリットルあたり約1.2gである。従って、小さじ1杯のViscozyme L120は、約6gの酵素を含む。日本のAmano Companyから入手可能であるリパーゼ「A」Amano 12をこれらの実験に使用した。実施する場合、熱湯処理を、約200°Fで約5分間行なった。次に、熱湯処理した野菜を、完了するまで、または(1)生野菜組成物中に糊化していないデンプン部分(または未調理の部分)が見出されなくなるまで、そして/または(2)調理した野菜組成物を噛む場合に、繊維質成分を完全に検出しなくなるまで調理した。
【0076】
コントロール実験は、酵素を全く含まなかった。むしろ、コントロール実験は、酵素処理実験の間に使用した量と(同じ)等しい量の生野菜、植物性グリセリン(Whole Foods Market、Minneapolis、MN)、水および酢を含んでいた。水性組成物(水、野菜グリセリン、水および酢)を、酵素処理した実験の間に使用した温度範囲とほぼ同じ初期温度範囲まで加熱した。生野菜により吸収された水性組成物の量は、生野菜の酵素処理の間に吸収された水性酵素組成物の量と実質的に同じであった。しかし、酵素処理した野菜の調理時間は、全く酵素処理に供さなかったコントロールと比較した場合、有意に短かった。この実験の詳細を以下の表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

酵素的に分解したホワイトコーンの穀粒は、ホワイトポップコーンの穀粒であった。浸漬後、ポップコーンの穀粒を約245gの重量まで乾燥させた。乾燥後、ポップコーンの穀粒を、大さじ約1杯のバターを用いて破裂させた。約4分の1カップのポップコーンの穀粒は、約1.5クオートのポップコーンを生じた。
【0080】
同様に、約250gの生のコラードに、約12〜13gのViscozyme、740gの水および初期pHが約4.0に達するように十分な酢を含有する水性酵素組成物を噴霧した。さらに、水性酵素組成物の初期温度は、約110°Fであった。生のコラードを約60分間浸漬させ、次いで、水性酵素組成物中で調理した。その生の葉を、酵素処理に供していない生の葉を調理するのに必要である2時間以上の時間と比較して、約45分間で調理した。約15分間または約30分間浸漬を可能にする同じ量の葉、酵素および酢の条件を用いるその後の実験もまた、酵素処理に供していない生の葉を調理するのに必要である2時間以上の時間と比較して、約45分間で調理した。
【0081】
(生野菜組成物を酵素的に加工する方法)
代表的には、第一の酵素成分と第二の酵素成分とを含む上記水性酵素組成物は、通常の大気圧下で、かつ約40°F〜約250°Fの範囲にあり得る温度にて、好ましくは約40°F〜約195°Fの範囲にあり得る温度にて、適用される。さらに、上記pH値は、約2.0〜約7.0の範囲である。
【0082】
あるいは、2つ以上の別個の水性酵素組成物が、本発明を実施する場合には、上記生野菜組成物に適用され得る。例えば、セルラーゼとヘミセルラーゼとを含む第一の水性酵素組成物が、約30重量%未満の水分含有量を有する生野菜組成物に対して、通常の大気圧下および通常の大気温度にて適用されて、酵素で分解された生野菜組成物が形成され得る。次に、第一の外部層または第二の内部層のいずれかにある標的基質を分解および/もしくは加水分解するために効果的な酵素成分を含む第二の水性酵素組成物が、上記の酵素で分解された野菜組成物に対して適用され得る。上記第二の水性酵素組成物は、上記の酵素で分解された野菜組成物に浸透可能である。従って、この第二の水性酵素組成物は、上記の酵素で分解された野菜組成物中の望ましい標的基質を分解および/または加水分解することが可能である。
【0083】
上記の酵素で分解された生野菜組成物の弱められた第一の外部層によって、上記第二の酵素成分または第二の水性酵素組成物が、この酵素で分解された生野菜組成物中の何らかの抗栄養成分に侵入してこの抗栄養成分を分解することが可能になると、考えられる。さらに、上記水性酵素組成物の一部として含まれる水もまた、上記の分解された第一の外部層を通って侵入して、上記の酵素で分解された生野菜組成物を加水分解し得る。水が、上記の酵素で分解された生野菜組成物によって吸収される場合には、上記の酵素で分解された生野菜組成物中の水は、上記第二の酵素成分または第二の水性酵素組成物によって、この酵素で分解された生野菜組成物の抗栄養成分の分解を促進し得る。
【0084】
上記第二の酵素成分または第二の水性酵素組成物によって十分に酵素的に分解された後、酵素で加工された生野菜組成物が形成される。この酵素で加工された生野菜組成物は、さらに、他の加工工程に供され得る。この他の加工工程は、例えば、湯通し(blanching)工程であり、これは、上記の酵素で加工された生野菜組成物中に残るあらゆる酵素成分を不活性化する。
【0085】
好ましくは、上記第一の酵素成分の一部として含まれる酵素としては、生野菜組成物の第一の外部層を分解する際に効果的である上記の酵素が、挙げられる。上記第二の酵素成分または第二の水性酵素組成物の一部として含まれ得る酵素は、カルボヒドラーゼ、プロテアーゼ、またはこれらの任意の組み合わせである。上記第一の酵素成分を適用する間に使用するために適切なカルボヒドラーゼの例のいずれもが、本発明に従って生野菜組成物のあらゆる抗栄養成分を分解するために、上記第一の酵素成分と任意に組み合わせた第二の酵素成分の一部として、使用され得る。
【0086】
本明細書中で使用される場合、用語「プロテアーゼ」とは、タンパク質を含有する標的基質を少なくとも触媒的に分解することが可能である任意の酵素を意味する。本発明に従う第二の酵素成分の一部として使用され得るプロテアーゼの具体的な一形態は、エンドプロテアーゼである。本明細書中で使用される場合、「エンドプロテアーゼ」とは、1つ以上のペプチド結合を有する標的基質における内部ペプチド結合を分解することが可能な任意の酵素を意味する。本発明の従う第二の酵素成分の一部として使用され得るプロテアーゼの具体的な別の形態は、「エキソプロテアーゼ」である。本明細書中で使用される場合、「エキソプロテアーゼ」とは、1つ以上のペプチド結合を有する標的基質の末端部分に位置するペプチド結合を分解することが可能な任意の酵素を意味する。上記のエンドプロテアーゼまたはエキソプロテアーゼのいずれもが、多数の種々の供給源(例えば、真菌供給源、植物供給源、微生物供給源、動物供給源、またはこれらのいずれかの任意の組み合わせ)に由来し得る。
【0087】
エンドプロテアーゼおよびエキソプロテアーゼの非網羅的な例としては、アルカラーゼ(Alcarase)(登録商標)、ニュートラーゼ(Neutrase)(登録商標)、エスペラーゼ(Esperase)(登録商標)、プロタメックス(Protamex)、ノボザイム(Novozym)(登録商標)FM、フラボウルザイム(Flavourzyme)(登録商標)、およびコジザイム(Kojizyme)(登録商標)(これらの酵素は、すべて、Novo Nordisk Biochem North America,Franklinton,North Carolinaから入手可能である)、ならびにエンゼコ(Enzeco)(登録商標)エキソプロテアーゼ(これは、Enzyme Development Corporation,New York,New Yorkから入手可能である)が、挙げられる。
【0088】
上記の酵素で加工された野菜組成物はまた、酵素分解後に行われる、凍結、水和、蒸らし、凍結乾燥、缶詰処理、揚げること、煮沸、乾燥、押出し、加熱調理、焼成、焙焼、微粉砕、発酵、酵素処理、殺菌、抽出、製粉、膨張処理、蒸気圧調理、またはこれらの任意の組み合わせによって、さらに加工され得る。これらのさらなる加工工程はまた、一般的には、上記の酵素で加工された野菜組成物中にある何らかの酵素成分を不活性化する際に効果的である。上記野菜組成物の第一の外部層または第二の内部層中にある抗栄養成分の部分的分解はまた、第一の酵素成分と第二の酵素成分とを含む水性酵素組成物、または上記第二の酵素組成物を適用する間に生じ得る。
【0089】
第一の例として、上記生野菜組成物の内部部分に位置する膨満惹起基質を含む、酵素で分解された生野菜組成物が、本発明に従う生野菜組成物を分解する第一の水性酵素組成物を適用することによって、形成される。ヒトにおいて膨満を引き起こす何らかの膨満惹起基質を分解することが可能な任意の酵素成分を含む第二の水性酵素組成物(例えば、α−ガラクトシダーゼ、β−フルクトフラノシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、インベルターゼ、またはそれらの任意の組み合わせ)が、上記第一の水性酵素組成物が生野菜組成物に適用される間またはその後のいずれかに、酵素で分解された生野菜組成物に適用された場合には、その酵素で分解された生野菜組成物の膨満惹起基質(例えば、ラフィノース、ベルバスコース、およびスタキオース)が、代表的に分解される。
【0090】
一般的には、上記第二の水性酵素組成物は、上記第二の酵素組成物が上記膨満惹起基質を分解するために十分な時間(例えば、約1分間〜約12時間)の間にわたって、上記の酵素で分解された野菜組成物に適用される。好ましくは、上記の第二の水性酵素組成物は、上記の酵素で分解された生野菜組成物と約5分間〜約120分間にわたって接触したままであり、その結果、本発明を実施する場合には、上記の酵素で分解された生野菜組成物において約5重量%を超える膨満惹起基質が、分解される。
【0091】
第二の例として、メチルキサンチンを含む酵素で分解された生野菜組成物が、本発明に従って形成される。本明細書中で使用される場合、用語「メチルキサンチン」とは、代表的に野菜組成物(例えば、茶、コーヒー、コーラの木の実、マテ茶の葉、カカオ豆、ガラナなど)において見出される、刺激剤および利尿剤として使用される化合物群を指す。「メチルキサンチン」は、置換形態のメチルキサンチン(例えば、カフェイン)を包含することが、理解される。メチルキサンチンを分解することが可能な第二の水性酵素組成物が、第一の水性酵素組成物が生野菜組成物に適用される間またはその後に、上記の酵素で分解された生野菜組成物に適用された場合には、その酵素で分解された生野菜組成物中のメチルキサンチンの分解が、それによって生じて、その酵素で分解された生野菜組成物中のメチルキサンチンレベルが減少する。
【0092】
好ましくは、上記第二の水性酵素組成物は、上記の酵素で分解された生野菜組成物に対して、メチルキサンチンを分解するために十分な時間(例えば、1分間〜約8時間)の間にわたって適用される。なおより好ましくは、メチルキサンチンを分解することが可能な上記第二の酵素組成物は、本発明を実施する場合には、上記の酵素で分解された生野菜組成物と、上記の生野菜組成物の約5重量%を超えるメチルキサンチンを分解するために十分な時間にわたって、接触したままである。酵素分解の後、メチルキサンチンレベルが減少している上記の酵素で加工された生野菜組成物は、残存するあらゆる酵素を不活性化するために湯通し(blanch)され得、そして/または粉末化(pulverizing)、粉砕(grinding)、製粉、焙焼、凍結、乾燥、凍結乾燥、またはこれらに任意の組み合わせによってさらに加工され得る。粉末化、混合、粉砕(grinding)、ペースト形成、焙焼、凍結、乾燥、凍結乾燥、抽出、またはこれらに任意の組み合わせによって後にさらに加工することもまた、上記酵素を不活性化し得る。
【0093】
本発明に従ってメチルキサンチンを含む野菜組成物を加工することの利点としては、生野菜組成物(例えば、コーヒー豆)からカフェイン除去するために伝統的に必要とされる高価な溶媒抽出用の装置および化学物質の必要性を減少することが挙げられる。さらに、本実施形態は、カフェイン除去されたコーヒー豆の風味を改良し得る。これによって、上記の酵素で加工されたコーヒー豆を販売するカフェイン除去コーヒー豆製造業者の市場シェアが増加し得る。
【0094】
第三の例として、未乾燥の未発酵カカオ豆を特徴付ける苦味特徴は、本発明に従って減少され得る。カカオ豆は、その色に従って、完全に発酵した(すなわち、主に褐色の)色;紫色/褐色;紫色;およびネズミ色(ネズミ色の豆は、未発酵カカオ豆または未乾燥のカカオ豆を示す)という、4つのカテゴリーに分割され得る。紫色/褐色のカカオ豆とは、全体的であろうと、そのカカオ豆の一部としてであろうと、露出した表面に何らかの青色、紫色、または青紫色を示す、全ての豆を包含する。紫色のカカオ豆は、露出した表面全体にわたって、完全に青色、紫色、または青紫色を示す、全てのカカオ豆を包含する。
【0095】
酵素で分解された未乾燥の未発酵カカオ豆は、セルラーゼと、ヘミセルラーゼと、ペクチナーゼとを含む水性酵素組成物を適用して、未乾燥のカカオ豆、未発酵カカオ豆、またはネズミ色のカカオ豆の第一の外部層を分解した後に、本発明に従って形成される。本明細書中で使用される場合、「未乾燥(green)または未発酵のカカオ豆」とは、その後の焙焼の間に許容されるカカオの風味を形成するために必要とされる十分な量のアミノ酸およびペプチドを有さない、カカオ豆を包含する。さらに、この「未乾燥(green)または未発酵のカカオ豆」とは、約40重量%未満の水分含有量を有し、かつ発酵工程には供されていない、豆を包含する。本発明に従って使用され得る未乾燥の未発酵カカオ豆の非網羅的例としては、Theobroma sp.に由来する豆(例えば、ガーナカカオ豆)、Amelonado sp.に由来する豆、Criolloに由来する豆、Forasteroに由来する豆、またはTrinitarioに由来する豆が、挙げられる。
【0096】
エンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、またはこれらの任意の組み合わせを含む、第二の水性酵素組成物が、上記の酵素で分解された未乾燥のカカオ豆、ネズミ色のカカオ豆、もしくは未発酵カカオ豆によって吸収された場合には、その酵素で分解された未乾燥の未発酵カカオ豆にあるタンパク質の分解が、生じる。好ましくは、上記のエンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、またはそれらの任意の組み合わせは、未乾燥のカカオ豆もしくは未発酵カカオ豆を特徴付ける苦味特徴に代表的に寄与する疎水性アミノ酸および疎水性ペプチドを含むタンパク質を、分解することが可能である。なおより好ましくは、上記エンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、またはこれらの任意の組み合わせは、上記の酵素で分解された未乾燥または未発酵のカカオ豆に対して、その未乾燥の未発酵カカオ豆における苦味特徴を分解するために十分な、時間、温度、その酵素で分解された未乾燥の未発酵カカオ豆のpHおよび水分含有量にて、適用される。
【0097】
理論に拘束されることは望まないが、上記の酵素で分解されたカカオ豆は、上記エンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、またはその任意の組み合わせが吸収され得る部位を含むと、考えられる。さらに、上記酵素で分解された未乾燥の未発酵カカオ豆中にあるその部位はまた、天然の発酵プロセスの固有の微生物叢が、後の天然発酵プロセスの間にその部位でその未乾燥の未発酵カカオ豆でコロニー形成してその豆を分解する能力を増強することによって、その未乾燥の未発酵カカオ豆の天然発酵を促進し得る。
【0098】
未乾燥の未醗酵のカカオ豆を、本発明に従って加工することの利点としては、醗酵工程および炒る工程の後に、より苦味が少ないカカオ豆を得ることが挙げられる。より苦味が少ないカカオ豆は、カカオ含有製品の製造の間に必要とされる、風味の変更が少しか必要ない。
【0099】
生野菜組成物における、膨満惹起基質を減少させる方法を実施する1つの例において、約740グラムの水を、約7.5グラムの酢に添加し、そして約150°Fの温度にした。約2.5mlのViscozyme(登録商標)L、および2.5mlのAlpha−GalTM 600L(Franklinton,North CarolinaのNovo Nordisk Biochem North America Inc.により供給される)を、この酢と水との混合物に添加して、初期pH約5.0を有する水性酵素組成物を形成した。約250gの生のコラードの葉を、この水性酵素組成物に添加し、そして約30分間浸漬した。次いで、生のコラードの葉を、約30分間、約200°Fで、この浸漬水中で加熱調理した。加熱調理後、これらのコラードの葉の水分を切り、そして約100gのコラードの消費後に、コラードの葉の消費の時点から4時間後でさえも、評価した。もしあったとしてもわずかな膨満しか、経験されなかった。
【0100】
生野菜組成物中の、膨満惹起糖を減少させる方法を実施する別の例において、約740gの水を、約7.5gの酢に添加し、そして約119°F〜約123°Fの温度にした。約2.5mlのViscozyme(登録商標)L、および1.25mlのAlpha−GalTM 600L(Franklinton,North CarolinaのNovo Nordisk Biochem North America Inc.により供給される)を、この酢と水との混合物に添加して、初期pH約5.0を有する水性酵素組成物を形成した。約250gの生の米国産の白インゲンマメを、この水性酵素組成物に添加し、そして約60分間浸漬した。次いで、これらの米国産の白インゲンマメを、約5分間、約200°Fで湯通しし、酵素を不活性化した。これらの米国産の白インゲンマメは、ヒトが消費した後、観察可能な膨満を全く生じなかった。
【0101】
(野菜組成物を改変する方法)
記載されたように、本発明の、酵素分解された生野菜組成物は、添加剤を吸収して、改変された野菜組成物を形成し得る。本発明に従って野菜組成物を改変する方法は、野菜の加工の分野において、かなりの改善である。代表的に、野菜組成物は、(例えば、剥くこと、挽くこと、粉にすることによって)機械的に改変され、その後、添加剤が含められ、続いて、従来の手段による引き続く加工がなされる。本発明を実施する場合、機械的改変のさらなる工程は、野菜の機械的改変に関与する設備を使用して、付随するあらゆる安全性および健康上の危険と一緒に、排除され得る。さらに、本発明は、生野菜組成物のインサイチュでの改変を達成する。
【0102】
生野菜組成物を改変する、本実施形態の一例として、約740gの水を、約7.5mlの酢に添加し、そして約119°F〜約123°Fの温度にした。約2.5mlのViscozyme(登録商標)L(Franklinton,North CarolinaのNovo Nordisk Biochem North America Inc.により供給される)を、この酢と水との混合物に添加し、そして初期pH約4.8を有する水性酵素組成物を形成した。約250gの生のインゲンマメを、この水性酵素組成物に添加し、そして約60分間浸漬した。pHの変化(酢の吸収を示す)が、以下の表3に提供される:
【0103】
【表4】

(結論)
上記開示および実施形態を考慮すると、本発明に従って生野菜組成物を加工することは、野菜加工の分野におけるかなりの改善であると考えられる。野菜組成物の第一の外側層(これは、代表的に、加工を妨害する)を減少させることによって、野菜製品に関連する複雑さおよび費用を減少させる、効果的なプロセスの開発は、増強された加工特徴を有する野菜製品を生じる。さらに、生野菜組成物を加工および改変するインサイチュでの方法の開発は、食品製造業者が、消費者に対して広範な種々の栄養特徴を与える野菜製品を製造する能力を、大いに増強させる。
【0104】
本発明は、好ましい実施形態を参照して記載されたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式および細部において変更がなされ得ることを認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2010−213723(P2010−213723A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129239(P2010−129239)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【分割の表示】特願2005−508644(P2005−508644)の分割
【原出願日】平成15年12月29日(2003.12.29)
【出願人】(506010747)カイズ リサーチ コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】