説明

金具一体型保護管および金具一体型保護管を用いた絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部

【課題】コンパクトで、かつ絶縁ブッシングの絶縁フランジ側に配置されるOリングに直接押圧力を伝達することで、絶縁ブッシングと押さえ金具間からの水の浸入の防止を図る。
【解決手段】金具一体型保護管5は、両端部が開放された円筒部51と、円筒部の一端部側に円筒部と同心状に連設された環状の押さえ金具52とを備えている。押さえ金具の開放端面側の内周縁側には環状のOリング収納溝52aが押さえ金具と同心状に設けられ、押さえ金具の外周縁側にはボルト挿通孔52bが軸方向に貫通するように設けられている。金具一体型保護管を構成する押さえ金具は、絶縁ブッシングを構成する絶縁フランジにOリングを介して取り付けられ、金具一体型保護管を構成する円筒部のケーブル端末と対向する端部の外周にはケーブル端末を構成するケーブル外部半導電層の外周に跨って防水層が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金具一体型保護管および金具一体型保護管を用いた絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部に係わり、特に、絶縁ブッシングと押さえ金具との間から水が浸入しないようにする場合に有用な金具一体型保護管および金具一体型保護管を用いた絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、36kVクラスの固体絶縁スイッチギヤ用盤間母線においては、絶縁ブッシングの内部導体とケーブル端末のケーブル導体とを連結導体を介して接続することが行なわれている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
図3は同盤間母線の接続部の一部断面図を示している。
【0004】
同図において、絶縁ブッシング100は、一端部に絶縁フランジ210を有するエポキシ絶縁体200とエポキシ絶縁体200の中心に埋設された内部導体300とを備えており、内部導体300の端部はエポキシ絶縁体200の他端部から軸方向外方に向けて突設されている。
【0005】
CVケーブル400の端部は、段剥処理されてケーブル外部半導電層410、ケーブル絶縁層420およびケーブル導体430が露出されており、露出されたケーブル導体430の端部には導体接続端子440が圧縮により取り付けられている。
【0006】
このように段剥処理されたケーブル端末500の導体接続端子440と絶縁ブッシング100の内部導体300とは、二つ割構成の連結導体600で電気的に接続されており、連結導体600の外周には次のような絶縁成型体700が装着されている。
【0007】
絶縁成型体700は、絶縁ゴムから成る円筒状の絶縁筒本体710と、絶縁筒本体710の中央部内周に絶縁筒本体710と一体的に設けられ、かつそれ自身の内周面が露出するように設けられた半導電ゴムから成る内部半導電層720と、半導電ゴムから成り、絶縁筒本体710の両端部に絶縁筒本体710と一体的に設けられた一対のストレスコーン730、740と、半導電塗料(または半導電ゴム)から成り絶縁筒本体710の外周に形成される外部半導電層750とを備えている。
【0008】
符号800は環状の押さえ金具を示しており、当該押さえ金具800の一端部側に径方向内方に向けて突出する係止部810が設けられている。また押さえ金具800には軸方向に貫通するボルト挿通孔820が設けられている。
【0009】
このような構成の押さえ金具800を絶縁フランジ210のケーブル端末500と対向する面に当接し、ボルト挿通孔820に挿通されたボルト(不図示)の先端部を絶縁フランジ210に埋設された埋込金具220に螺着することで絶縁成型体700が絶縁フランジ210に取り付けられることになる。
【0010】
このような構成の絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部は、機器内に配置されることから、機器側で防水が図られ、絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部側では防水が図られていない構造とされている。
【0011】
一方、近時においては、絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部を屋外やピット内に布設することが試みられているところ、前述の絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部をそのまま屋外やピット内に布設すると、絶縁ブッシングと押さえ金具との間から水が浸入する虞があった。
【0012】
このため、図4に示すように、絶縁成型体700の外周に円筒状の保護管900を配設し、当該保護管900の両端部に防水処理を施す防水構造が案出されている。具体的には、保護管900は一端部側に径方向内方に向けて突出する内フランジ910が内設され、他端部側に径方向外方に向けて突出する外フランジ920が外設されており、端面にOリング(不図示)を設けた外フランジ920を絶縁フランジ210のケーブル端末500と対向する面(以下「対向面」という。)に当接した上で、外フランジ920に設けたボルト挿通孔(不図示)にボルト(不図示)を挿通し、その先端部を埋込金具220とは別の埋込金具(不図示)に螺着する。また、保護金具900の後端部側(ケーブル端末側)には防食層が設けられる。これにより、絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部に水が浸入しないようにすることが可能となる。
【0013】
また、別の構成としては、図4の押さえ金具800が無い形で、保護管900を絶縁成型体700の外周に配設し、当該保護管900の一端部側に設けた内フランジ910で絶縁成型体700を絶縁フランジ210に向けて軸方向に押圧する構造も案出されている(例えば、特許文献1)。具体的には、保護管900は一端部側に径方向内方に向けて突出する内フランジ910が内設され、他端部側に径方向外方に向けて突出する外フランジ920が外設されており、当該内フランジ910を絶縁成型体700の後端部側の端面に当接し、端面にOリング(不図示)を設けた外フランジ920を絶縁フランジ210のケーブル端末500と対向する面(以下「対向面」という。)に当接した上で、外フランジ920に設けたボルト挿通孔(不図示)にボルト(不図示)を挿通し、その先端部を埋込金具220に螺着する。また、保護金具900の後端部側(ケーブル端末側)には防食層が設けられる。これにより、絶縁成型体700に軸方向の押圧力が伝達されることで、絶縁成型体700の抜けを防止し、絶縁ブッシングと押さえ金具との間から水が浸入しないようにすることが可能となる。
【0014】
しかしながら、図4のような構成の防水構造では、押さえ金具800の外周に当該押さえ金具800の外径寸法より大径の保護管900を配置するため、絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部が全体的に大型化、高重量化し、コスト的にも割高になるという難点がある。さらに、外フランジ920を絶縁フランジ210に取り付けるためには、コンパクトに設計された絶縁フランジ210の外径寸法を大きくし、さらに既設の埋込金具220とは別体の埋込金具(不図示)を新たに埋設しなければならないという難点がある。
また、図4の押さえ金具800を無い、絶縁成型体700の後端面側から押圧する保護管900による構成の防水構造では、押さえ金具800に代わって保護管900を配置するため、図4よりも簡易的な接続部を形成できるが、押圧力が弾性材料から成る絶縁成型体700を介して伝達されるため、絶縁フランジ210の対向面に対する押圧力が不十分となり、ひいては絶縁ブッシングと押さえ金具との間から水が浸入する虞がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】平成18年電気学会全国大会 7−122
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−6424号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、コンパクトで、かつ絶縁ブッシングの絶縁フランジ側に配置されるOリングに直接押圧力を伝達することで、絶縁ブッシングと押さえ金具間からの水の浸入を防止することができる金具一体型保護管およびこれを用いた絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様である保護管は、両端部が開放された円筒部と、円筒部の一端部側に円筒部と同心状に連設された環状の押さえ金具とを備え、押さえ金具の開放端面側の内周縁側には環状のOリング収納溝が押さえ金具と同心状に設けられ、押さえ金具の外周縁側にはボルト挿通孔が軸方向に貫通するように設けられ、押さえ金具の後端部側には、その先端面を絶縁成型体鍔部に当接するための鍔部が同心状に一体に設けられているものである。
【0019】
本発明の第2の態様は、第1の態様である金具一体型保護管において、絶縁ブッシングの一端部に設けられた絶縁フランジの外周縁側には埋込金具が軸方向に沿って埋設され、押さえ金具のボルト挿通孔は埋込金具と対応する位置に設けられているものである。
【0020】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様である金具一体型保護管において、円筒部は、それ自身を包囲する絶縁成型体の大径部の外面形状に対応する大径円筒部と、絶縁成型体の小径部の外面形状に対応する小径円筒部と、大径円筒部と小径円筒部とを連設し絶縁成型体のテーパ部の外面形状に対応するテーパ付円筒部とを備えるものである。
【0021】
本発明の第4の態様である絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部は、絶縁ブッシングの内部導体とケーブル端末のケーブル導体とを接続して成る導体接続部と、導体接続部の外周にケーブル端末を構成するケーブル外部半導電層の外周と絶縁ブッシングを構成するブッシング絶縁体の外周に跨って装着され、絶縁ブッシング側端部に絶縁成型体鍔部を有する絶縁成型体と、絶縁成型体の外周を包囲する第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様の金具一体型保護管とを備え、金具一体型保護管を構成する押さえ金具は、絶縁ブッシングを構成する絶縁フランジにOリングを介して押さえ金具の後端部側に設けられた鍔部の先端面が絶縁成型体鍔部に当接するように取り付けられ、金具一体型保護管を構成する円筒部のケーブル端末と対向する端部の外周にはケーブル外部半導電層の外周に跨って防水層が設けられているものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の態様乃至第4の態様の金具一体型保護管および金具一体型保護管を用いた絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部によれば、次のような効果がある。
【0023】
第1に、金具一体型保護管の押さえ金具を絶縁フランジの対向面に取り付け、押さえ金具のOリング収納溝に収容したOリングを直接押圧することができることから、絶縁フランジの対向面に対する押圧力を直接伝達することができ、ひいては絶縁ブッシングと押さえ金具との間から水が浸入しないようにすることができる。
【0024】
第2に、金具一体型保護管が、環状の押さえ金具に両端部が開放された円筒部の一端部側を溶接や銀ロウ付けなどで一体化したもので構成されているため、押さえ金具として、従来と同様の押さえ金具を使用することで、従来と同様の絶縁ブッシングを使用することが可能になり、ひいては絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部をコンパクトに形成することができる上、コスト的にも割安となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明における金具一体型保護管の説明図で、分図(a)は金具一体型保護管の正面図、分図(b)は金具一体型保護管の縦断面図。
【図2】本発明の絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部の一例を示す一部断面図。
【図3】従来の絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部の一例を示す一部断面図。
【図4】従来の絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部の一例を示す一部断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の金具一体型保護管およびこれを用いた絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部を適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の金具一体型保護管の説明図で、分図(a)は金具一体型保護管の正面図、分図(b)は金具一体型保護管の縦断面図を示している。
【0028】
図1(a)、(b)において、本発明における金具一体型保護管5は、両端部が開放された円筒部51と、円筒部51の一端部側に円筒部51と溶接または銀ロウ付け等によって同心状に連設された環状の押さえ金具52とを備えている。
【0029】
円筒部51は、後述する絶縁成型体6の大径部6aの外面形状に対応する大径円筒部51aと、絶縁成型体6の小径部6bの外面形状に対応する小径円筒部51bと、大径円筒部51aと小径円筒部51bとを連設し絶縁成型体6のテーパ部6cの外面形状に対応するテーパ付円筒部51cとを備えている。
【0030】
押さえ金具52は、正面から視て略矩形状を呈しており、その開放端面側(図1(b)の左側)の内周縁側には環状のOリング収納溝52aが押さえ金具52と同心状に設けられており、押さえ金具52の後端部側(円筒部51側)には鍔部52cが押さえ金具52と同心状に一体に設けられており、また、押さえ金具52の外周縁側の4隅にはそれぞれ1個のボルト挿通孔52bが設けられている。なお、ボルト挿通孔52bは、後述するように、コンパクトに設計された従来の絶縁フランジ210(図3参照)に埋設された埋込金具220(図3参照)に対応する位置に設けることが好ましい。
【0031】
図2は、本発明における金具一体型保護管を36kV級の固体絶縁スイッチギヤ用盤間母線の接続部に適用した本発明の絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部の一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0032】
図2において、本発明における絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部は、後述する絶縁ブッシング1の内部導体11と後述するケーブル端末2の導体接続端子24とを接続して成る導体接続部4と、導体接続部4の外周に装着された絶縁成型体6と、絶縁成型体6の外周を包囲する前述の金具一体型保護管5とを備えている。
【0033】
絶縁ブッシング1は、中心に配設される銅または銅合金等の棒体からなる内部導体11と、内部導体11の外周に設けられる硬質でかつ絶縁性のブッシング絶縁体12とを備えている。ブッシング絶縁体12は、それ自身の外面にケーブル端末2側に向かって順次縮径するテーパ部12aが設けられており、大径部側には外径寸法が当該ブッシング絶縁体12の大径部よりも大径とされた絶縁フランジ13がブッシング絶縁体12と同心状に連設されている。また、絶縁フランジ13の外周縁部には複数個の埋込金具14が軸方向に沿って埋設されている。なお、この実施例では4個の埋込金具14が円周方向に沿って等配する如くして設けられている。これらのブッシング絶縁体12および絶縁フランジ13はエポキシ絶縁樹脂等から成り、内部導体11と共にモールドにより一体的に形成されている。
【0034】
このような構成の絶縁ブッシング1は、水平に配置され、ブッシング絶縁体12の小径部側の端部から軸方向外方に向けて内部導体11の端部が突設されている。
【0035】
一方、ケーブル端末2の端部は段剥処理されてケーブル外部半導電層21、ケーブル絶縁層22およびケーブル導体23が露出されており、露出されたケーブル導体23の端部には導体接続端子24が圧縮により取り付けられている。ここで、導体接続端子24の外径は内部導体11の外径と略同径とされている。
【0036】
符号3は、内部導体11の端部とケーブル導体23に取り付けられた導体接続端子24とを接続する連結導体を示しており、当該連結導体3は、円筒状に組み合わせられる一対の半円筒状部と、一対の半円筒状部を一体に締結する六角穴付ボルト等から成るボルト(不図示)とを備えている。
【0037】
このような構成の連結導体3(一対の半円筒状部)は、水平に対向するように配置された導体接続子24と内部導体11の外周に円筒状に組み合わせられ、ボルトで締結することで所定の面圧を有して固定される。
【0038】
このようにして形成された導体接続部4の外周には次に示す絶縁成型体6が装着されている。
【0039】
絶縁成型体6は、絶縁ゴムから成る円筒状の絶縁筒本体61と、絶縁筒本体61の中央部内周に絶縁筒本体61と一体的に設けられ、かつそれ自身の内周面が露出するように設けられた半導電ゴムから成る内部半導電層62と、半導電ゴムから成り、絶縁筒本体61の両端部に絶縁筒本体61と一体的に設けられた一対のストレスコーン63、64と、半導電塗料(または半導電ゴム)から成り絶縁筒本体61の外周に形成される外部半導電層65とを備えている。さらに絶縁成型体6の先端側(絶縁ブッシング側)には、後述する絶縁成型体の大径部6aより大径の絶縁成型体鍔部6dとを備えている。図2の実施例では、絶縁筒本体61の一部とストレスコーン64の一部で構成される。絶縁成型体鍔部6dは、ストレスコーンの一部のみで構成しても良く、ストレスコーン64以外に別途遮蔽手段があれば絶縁筒本体61の一部のみ(絶縁ゴムのみ)で形成しても良い。
【0040】
このような構成の絶縁成型体6は、予めケーブル20に嵌挿されており、絶縁ブッシング1の内部導体11とケーブル端末2の導体接続端子24とを接続した後に、当該絶縁成型体6を絶縁ブッシング1側にスライドさせて引き戻すことで、絶縁成型体6が導体接続部4の外周に、ケーブル20のケーブル外部半導電層21(外導モールド部)とブッシング絶縁体12のテーパ部12a間に跨って所定の面圧を有して装着されることになる。
【0041】
次に、本発明における金具一体型保護管5の取付け方法について説明する。
【0042】
先ず、金具一体型保護管5は絶縁成型体6と同様に、予めケーブル20に嵌挿されており、絶縁成型体6を導体接続部4の外周にブッシング絶縁体12のテーパ部12aとケーブル20のケーブル外部半導電層21(外導モールド部)間に跨って装着した後に、当該金具一体型保護管5を絶縁成型体6の外周に引き戻すことで、当該金具一体型保護管5の大径円筒部51aが絶縁成型体6の大径部6aの外周に、テーパ付円筒部51cが絶縁成型体6のテーパ部6cおよび小径部6bの外周に、小径円筒部51bがストレスコーン63の外周にそれぞれ配置されることになり、押さえ金具52の鍔部52cの絶縁フランジ13側端面が絶縁成型体鍔部6dの後端面(ケーブル側端面)と当接するように配設される。そして、絶縁成型体6の外周に配置された金具一体型保護管5の押さえ金具52は、絶縁フランジ13のケーブル20と対向する側にOリングを介して当接され、ボルト挿通孔52bに挿通されたボルト(不図示)の先端部が絶縁フランジ13の埋込金具14に螺着されることで、絶縁フランジ13のケーブル端末2の対向する側(以下「対抗面」という。)に金具一体型保護管5の押さえ金具52がOリングを介して水密に固定されることになる。また、金具一体型保護管5の後端部側、すなわち小径円筒部51bの端部外周にはケーブル20のケーブル外部半導電層21(外導モールド部)の後端部側のケーブルシース(不図示)間に跨って収縮チューブ等から成る防水層7が設けられている。これにより、金具一体型保護管5の小径円筒部51bとケーブル端末2間の防水処理が完了する。
【0043】
以上のように、本発明の金具一体型保護管5を用いた絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部によれば、次のような効果がある。
【0044】
第1に、押さえ金具52の後端部側に設けられた鍔部52cの先端面が、絶縁成型体6の先端側(絶縁フランジ13側)に設けられた絶縁成型体鍔部6dに当接するように金具一体型保護管5が絶縁フランジ13の対向面に取り付け、押さえ金具52のOリング収納溝52aに収容したOリングを直接押圧することができることから、従来のような絶縁成型体の後端面を保護管で押圧する構造(特許文献1等)に比べ、絶縁フランジ13の対向面に対する押圧力を直接伝達することができ、ひいては絶縁ブッシングと押さえ金具との間から水が浸入しないようにすることができる。
【0045】
第2に、金具一体型保護管5が、環状の押さえ金具52に両端部が開放された円筒部51の一端部側を溶接や銀ロウ付けなどで一体化したもので構成されているため、押さえ金具52として、従来と同様の押さえ金具52を使用することで、従来と同様の絶縁ブッシング1を使用することが可能になり、ひいては絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部をコンパクトに形成することができる上、コスト的にも割安となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
【0047】
第1に、前述の実施例においては、水平に配置された絶縁ブッシング1と水平に配置されたケーブル端末2との接続について述べているが、絶縁ブッシング1およびケーブル端末2はケーブル終端接続部のように垂直に配置したものでもよく、特に絶縁ブッシングの向きは限定されるものではない。
【0048】
第2に、前述の実施例においては、押さえ金具52に4個のボルト挿通孔52bを設け、絶縁フランジ13に4個の埋込金具14を埋設した場合について述べているが、ボルト挿通孔52bおよび埋込金具14はこれらの個数に限定されない。
【0049】
第3に、本発明の絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部は、気中終端接続部、ガス中終端接続部、油中終端接続部、中間接続部、盤間母線等、ゴムブロック絶縁筒(実施例では絶縁成型体)による絶縁方式(いわゆるアウターコーンタイプのケーブル接続部)のものであればいずれに適用してもよい。
【0050】
第4に、内部導体は銅や銅合金で形成したものに限定されず、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成してもよい。
【0051】
第5に、前述の実施例においては、定格電圧が36kVクラスのものについて説明しているが、当該定格電圧はこれより低い電圧、若しくは高い電圧でもよい。
【0052】
第6に、本発明の金具一体型保護管5の後端部側は前述の実施例においては、収縮チューブにより防水層7を形成しているが、実施の態様に応じて防水テープ等による防食層を設ける等、所要の防水層を形成すれば良い。
【0053】
第7に、絶縁成型体6には必要に応じて縁切り部を設けても良い。
【0054】
第8に、絶縁成型体6は、金具一体型保護管5側の押さえ金具52の鍔部52cと当接するために、先端側に絶縁成型体鍔部6dを備えていれば、大径部、テーパ部、小径部を備えていなくても鍔部6dを除く外径が一定の構造でも良い。
【0055】
第9に、絶縁成型体鍔部6dと金具一体型保護管5の鍔部52cとの当接面はテーパ形状でも良い。
【符号の説明】
【0056】
1・・・絶縁ブッシング
13・・・絶縁フランジ
14・・・埋込金具
2・・・ケーブル端末
21・・・ケーブル外部半導電層
23・・・ケーブル導体
4・・・導体接続部
5・・・金具一体型保護管
51・・・円筒部
51b・・・小径円筒部
51c・・・テーパ付円筒部
52・・・押さえ金具
52a・・・Oリング収納溝
52c・・・鍔部
6・・・絶縁成型体
6a・・・大径部
6b・・・小径部
6c・・・テーパ部
6d・・・絶縁成型体鍔部
7・・・防水層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部が開放された円筒部と、前記円筒部の一端部側に前記円筒部と同心状に連設された環状の押さえ金具とを備え、
前記押さえ金具の開放端面側の内周縁側には環状のOリング収納溝が前記押さえ金具と同心状に設けられ、
前記押さえ金具の外周縁側にはボルト挿通孔が軸方向に貫通するように設けられ、前記押さえ金具の後端部側には、その先端面を絶縁成型体鍔部に当接するための鍔部が同心状に一体に設けられていることを特徴とする金具一体型保護管。
【請求項2】
前記絶縁ブッシングの一端部に設けられた絶縁フランジの外周縁側には埋込金具が軸方向に沿って埋設され、
前記押さえ金具の前記ボルト挿通孔は埋込金具と対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の金具一体型保護管。
【請求項3】
前記円筒部は、それ自身を包囲する絶縁成型体の大径部の外面形状に対応する大径円筒部と、前記絶縁成型体の小径部の外面形状に対応する小径円筒部と、前記大径円筒部と前記小径円筒部とを連設し前記絶縁成型体のテーパ部の外面形状に対応するテーパ付円筒部とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の金具一体型保護管。
【請求項4】
絶縁ブッシングの内部導体とケーブル端末のケーブル導体とを接続して成る導体接続部と、導体接続部の外周にケーブル端末を構成するケーブル外部半導電層の外周と絶縁ブッシングを構成するブッシング絶縁体の外周に跨って装着され、絶縁ブッシング側端部に絶縁成型体鍔部を有する絶縁成型体と、前記絶縁成型体の外周を包囲する請求項1乃至請求項3何れか1項記載の金具一体型保護管とを備え、
前記金具一体型保護管を構成する押さえ金具は、前記絶縁ブッシングを構成する絶縁フランジにOリングを介して前記押さえ金具の後端部側に設けられた鍔部の先端面が前記絶縁成型体鍔部に当接するように取り付けられ、前記金具一体型保護管を構成する円筒部の前記ケーブル端末と対向する端部の外周には前記ケーブル外部半導電層の外周に跨って防水層が設けられていることを特徴とする絶縁ブッシングと電力ケーブルとの接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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