説明

金属−酸素化合物を還元する方法および装置

本発明は、炭素が還元剤として作用する、金属−酸素化合物を還元する方法であって、第一反応工程で、該金属−酸素化合物を含む反応室中にCOガスを、COが固体炭素および二酸化炭素に転化される条件下で通過させ、それによって形成された固体炭素を該金属−酸素化合物に導入すること、および第二反応工程で、該第一反応工程で金属−酸素化合物に導入された該炭素により、該金属−酸素化合物を還元することを含んでなり、少なくとも該第二反応工程で、該金属−酸素化合物の還元を促進するのに有効な第一助触媒材料が存在し、該第一助触媒材料が、第一助触媒金属および/または第一助触媒金属の化合物を含んでなる、方法に関する。本発明は、炭素が還元剤として作用する、金属−酸素化合物の還元を行う装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、金属−酸素化合物を、金属−酸素化合物の還元剤としての炭素で還元する方法に関する。本発明は、金属−酸素化合物の還元剤としての炭素で還元する装置にも関する。
【発明の背景】
【0002】
金属酸化物のような金属−酸素化合物、例えば酸化鉄、の還元は、大規模な還元炉で行われている。鉄−酸素化合物の還元には、高炉が、鉄鉱石から銑鉄を製造するための設備として百年以上も使用されている。これらの高炉における主要還元体および化学的エネルギーの供給源はコークスである。コークスは、石炭を酸素の非存在下で焼成し、揮発性炭化水素を除去することにより製造され、安定した高炉の運転に不可欠な材料(properties)であるコークスが得られる。
【0003】
コークス製造は、揮発性炭化水素の多くが有害なので、環境的な観点から問題がある。また、石炭のすべての種類がコークス製造に適している訳ではない。その上、コークス製造の副生成物のために、需要が低下している。
【0004】
従って、高炉のコークス比および全体的な燃料比を下げることが、最近の開発の主な焦点になっている。また、高炉製法を回避する新しい技術、例えば鉄鉱石の直接還元、も開発されている。
【0005】
直接還元では、固体還元剤または気体状還元剤でよい還元剤で鉄鉱石を還元することにより、鉄を製造する。固体還元剤は、コークスの代わりに、あらゆる大きさの石炭でよい。気体状還元剤の例は、天然ガスおよび一酸化炭素である。直接還元用の鉱石は、Feの百分率が高く、好ましくない元素の含有量が低いことを規定する、厳しい規格に適合しなければならない。
【0006】
鉄鉱石の直接還元は、固体の直接還元された鉄製品を、あるいは高操作温度で、または溶融装置との組合せで、液体製品を製造することができる。
【0007】
直接還元製法の製品は、融解および所望により行なうさらなる精製のための第二反応器中に排出するか、または冷却し、その後の使用に貯蔵することができる。
【0008】
現在、統合された製鋼所から出る粉塵およびスラッジは、鉱石調製段階における原料として循環使用される。これらの廃棄材料は、「粉鉱」と呼ばれることが多く、鉄含有化合物、例えば酸化鉄、を含むことがある。しかし、これらの粉鉱中の金属、例えば亜鉛、の含有量が高いこと、そのような元素が蓄積すること、および高炉中に装填するにはこれらの金属の量を制限する必要があるために、これらの廃棄材料は別の様式で循環使用するか、廃棄しなければならず、コスト増加または環境汚染につながることが多い。
【0009】
鉄鉱石を還元するための公知の一方法は、ロータリーキルン中における、石炭と鉄鉱石の塊またはペレットとの直接反応に基づいている。別の公知の方法では、酸化鉄および例えば石炭、コークスまたは木炭から来る炭素を含む複合材料ペレットを、回転炉床炉中で還元する。還元反応から放出されるガスは、炉中で後燃焼させ、製法に必要な熱の一部を供給することができる。もう一つの公知の方法では、流動床反応器中で微粉鉄鉱石を直接還元する。
【0010】
これら公知の還元方法における主要な欠点は、高温で操作することである。例えば、回転炉床製法は、約1250℃の温度で操作する。これらの製法を石炭の使用により行う場合のさらなる欠点は、大量の一酸化炭素、水素および複雑で有害な炭化水素が発生することである。これらの炭化水素の凝縮は避ける必要があり、それには、放出ガスの除去または後燃焼が必要であり、一方、金属の再酸化を阻止しなければならない。また、高い操作温度およびその結果の熱損失、および大量の一酸化炭素発生のために、直接還元製法のエネルギー効率は一般的に悪く、炭素の消費率が高くなる。高い操作温度は、膨大な量の有害な窒素−酸素化合物(NOxガス)の形成も引き起こす。さらに、石炭の使用に基づく直接還元技術は、石炭中に硫黄が存在するために、高レベルの硫黄にも対処しなければならない。
【0011】
GB−A−1471544号は、酸化鉄、例えば磁鉄鉱、を、塩化第二鉄の形態にある核形成剤と混合し、石炭を、やはり塩化第二鉄の形態にある活性剤と混合する、鉄鉱石の直接還元方法を開示している。これら2種類の混合物を十分に混合し、ボールに成形する。これらのボールを低温窒素で掃気し、次いで加熱された窒素で1050℃に徐々に加熱し、30分間保持してから、低温窒素中で冷却する。最初に炭素と酸化物の反応により、COが形成される。活性剤が炭素によるCOの還元を促進し、COを形成する。核形成剤(塩化第二鉄から生じる鉄により、COが酸化物表面に吸着され易くなり、COによる酸化物の還元が促進される。
【0012】
US−A−3979206号は、鉄、コバルト、ニッケル、クロムまたはマンガンの存在下、1000〜2000℃での、炭素によるMgOの還元を記載している。Fe粉末、MgO粉末およびC粉末が真空炉中で加熱されている。Mg蒸気が回収される。Feは触媒として作用し、反応温度を低下させると云われている。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、比較的低い温度で操作できる、金属−酸素化合物を還元する方法および装置を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、有害な放出ガス、例えば炭化水素および/またはNOxガス、の発生量を低減できる、金属−酸素化合物を還元する方法および装置を提供することである。
【0015】
還元される金属の単位重量あたりの炭素効率を増加することができる、金属−酸素化合物を還元する方法および装置を提供するすることも本発明の目的である。
【0016】
エネルギー効率を改良し、硫黄含有量が低い製品を与えることができる、金属−酸素化合物を還元する方法および装置を提供するすることも本発明の目的である。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、様々な金属−酸素化合物の混合物を還元し、合金を形成するのに使用できる方法および装置を提供することである。
【0018】
これらの目的の一つ以上を達成するために、炭素が還元剤として作用する、金属−酸素化合物を還元する方法であって、
第一反応工程で、該金属−酸素化合物を含む反応室中にCOガスを、COが固体炭素および二酸化炭素に転化される条件下で通過させ、それによって形成された該固体炭素を該金属−酸素化合物に導入して、
第二反応工程で、該第一反応工程で該金属−酸素化合物に導入された該炭素により、該金属−酸素化合物を還元すること
を含んでなり、少なくとも該第二反応工程で、該金属−酸素化合物の還元を促進するのに有効な第一助触媒材料が存在し、該第一助触媒材料が、第一助触媒金属および/または第一助触媒金属の化合物を含んでなる、方法を提供する。
【0019】
本発明の一特徴は、第二反応工程で、第一助触媒材料を使用することである。驚くべきことに、第一助触媒材料を添加することにより、金属−酸素化合物を還元するための還元剤として炭素が使用される金属−酸素の還元速度が大きく増加することが分かった。この還元は、公知の種類の直接還元方法と比較して、著しく低い温度で起こることも分かった。例えば、公知の種類の鉄−酸素還元製法は、950℃を超える操作温度を使用する。本発明で達成できる方法の操作温度が低いために、有害な窒素−酸素化合物の発生量が低くなり、設備の熱損失も少なくなる。
【0020】
製鉄高炉における鉄−酸素化合物の還元方法のような公知の還元方法では、還元方法で形成される金属が、触媒として作用しないので、還元反応を促進しない。これは、そのような公知の方法およびそのような高炉では、形成される金属が、鉄−酸素化合物を還元するための還元反応に対して触媒効果を発揮するためのプロセス条件が満たされないためであると考えられる。
【0021】
本発明の一実施態様では、第一助触媒材料金属の少なくとも一部が、金属炭化物、金属水素化物および金属窒化物からなる化合物群から選択された中間体化合物(第一助触媒材料)から形成され、該化合物中の金属が第一助触媒金属であり、該化合物が所望により酸素を含んでなる。この中間体化合物は、金属−酸素化合物に加えることができる。この中間体化合物、例えば金属炭化物、は、第一金属を形成し、それによって、金属−酸素化合物の還元反応を促進することができる。他の中間化合物は、例えば金属水素化物、金属窒化物、または金属炭化物および/または金属水素化物および/または金属窒化物の混合物である。中間体化合物のもう一つの例は、金属と一酸化炭素に開裂し得る金属カルボニルである。金属カルボニルは極めて高価であり、金属の大量生産製法には通常は使用されない。
【0022】
中間体化合物を使用することの利点は、中間体化合物の分解により形成された第一助触媒金属が細かく配分され、それによって、還元反応を効果的に促進できることである。第一金属は、金属−酸素化合物を還元するための還元反応の前に、中間体化合物から(直ちに)形成される。中間体化合物が金属炭化物であり、金属が第一助触媒金属である場合、第一助触媒金属および炭素の両方が、中間体化合物の分解により細かく配分され、それによって、第一助触媒金属が還元反応を効果的に促進することができ、炭素が還元反応で還元剤として効果的に作用することができる。
【0023】
金属−酸素化合物の還元反応のための第一助触媒金属は、金属−酸素化合物の還元が起こるべき時点で第一金属が少なくとも存在していれば、製法のどの段階ででも金属−酸素化合物に加えることができる。
【0024】
本発明の第二の特徴は、一酸化炭素が金属−酸素化合物と接触し、好ましくは例えば第二助触媒金属でよい第二助触媒材料の助けにより、一酸化炭素からBoudouard反応により炭素および二酸化炭素が形成されることである。この炭素はBoudouard炭素と呼ばれ、典型的にはグラファイトの結晶性構造を有する。一酸化炭素は、実質的に純粋な一酸化炭素でよいが、一酸化炭素を含んでなる気体状混合物の一部でもよい。金属−酸素化合物を還元する製法の開始時、および金属−酸素化合物を還元する製法の最中でも、Boudouard炭素に類似した、好適な形態にある化合物、例えばグラファイト粉末、を金属−酸素化合物に添加し、金属−酸素化合物還元の少なくとも一部のための還元剤として作用させることができる。
【0025】
このように、金属−酸素化合物を還元するための還元剤として使用する炭素は、無定形炭素および/または結晶性炭素であり、グラファイトが、還元反応の反応速度が著しく増加するので好ましい。結晶性炭素または特にグラファイトは、炭素の好ましい形態である。本発明では、炭素は、反応物間の接触点の数を増加し、それによって、還元反応速度も高める効果を達成する粉末の形態にある。
【0026】
Boudouard炭素は、第一反応工程でBoudouard反応により一酸化炭素の解離により発生する。
2CO←→C+CO (1)
【0027】
第一反応工程では、この平衡が反応(1)の右側に移行するような条件にあるので、炭素が形成される。専門家は、適切な条件を容易に選択することができる。
【0028】
驚くべきことに、Boudouard炭素、第一助触媒金属および金属−酸素化合物を接触させた時に、このグラファイト構造を有するBoudouard炭素は、第一助触媒材料、例えば第一助触媒金属、との組合せで、金属−酸素化合物を非常に効果的に還元する還元剤であることが分かった。
【0029】
上記のように、少なくとも第一反応工程では第二助触媒材料が存在し、その第二助触媒材料は、COから炭素および二酸化炭素への転化を促進する第二助触媒金属および/または第二助触媒金属の化合物を含んでなるのが好ましい。好ましくは、第二助触媒材料は、第二助触媒金属であるか、あるいは第二助触媒金属炭化物、第二助触媒金属水素化物または第二助触媒金属窒化物、もしくはそれらの組合せである。好ましくは、第二助触媒材料は、粉末形態にある。
【0030】
一般的に、本発明で第一および第二助触媒材料、特に第一および第二助触媒金属、は、2つの反応工程のそれぞれの反応をより急速に、より完全に、あるいは低温で(またはこれらの組合せで、触媒反応により、もしくは他の反応機構により)引き起こす機能を有する。
【0031】
驚くべきことに、第一助触媒材料、例えば第一助触媒金属、は、金属−酸素化合物の還元を促進するのみならず、Boudouard反応によるBoudouard炭素の形成に有利な影響を及ぼす。第一助触媒金属は、この製法に加えることができるが、その一部は、Boudouard反応が行われる低温ですでに起きている金属−酸素化合物の還元により形成することもできる。
【0032】
本発明の一実施態様では、金属−酸素化合物を還元する還元反応で、金属−酸素化合物の酸素が、Boudouard反応により一酸化炭素から形成される炭素に主として結合する。主要還元剤として炭素を使用する場合、本製法は低温で操作することができる。これは、炭素の主要供給源として石炭を使用する場合である。しかし、炭素の主要供給源として天然ガスを選択する場合、天然ガス(通常、大量の炭化水素、例えばメタン、を含んでなる)のクラッキングから発生する水素の量が操作条件に悪影響を及ぼし、本発明により得られる筈の利点、特に化石燃料の効率的な使用および比較的低い操作温度、が損なわれることがある。
【0033】
少量の水素は、Boudouard反応による一酸化炭素からBoudouard炭素および二酸化炭素の形成を促進することが公知である。純粋な一酸化炭素を使用する場合、少量の水素を一酸化炭素に添加することができる。好ましくは、水素の量は、8体積%未満、より好ましくは6体積%未満である。水素は、選択する操作条件のために、金属−酸素化合物の還元で重大な役目を果たさない。水素による金属−酸素化合物の還元は、著しく高い温度で起こり、従って、本発明の方法の利点が発揮されない。
【0034】
本発明では、金属−酸素化合物を還元する還元反応で、金属−酸素化合物の、典型的には50%を超え、好ましくは70%を超え、より好ましくは80%を超え、さらに好ましくは90%を超える酸素がBoudouard炭素に結合する。例えば石炭のガス化により一酸化炭素を含んでなる気体状混合物を製造する場合、その気体状混合物は、少量の水素も含んでなることができる。
【0035】
Boudouard炭素に類似した化合物を好適な形態で、またはBoudouard炭素を発生する化合物、例えば金属炭化物、を、例えば始動時に、製法に加えることができる。この場合、上記の実施態様におけるBoudouard炭素は、一酸化炭素から形成されたBoudouard炭素および/または添加された、Boudouard炭素に類似した、好適な形態にある炭素および/または金属炭化物から生じた炭素からなる。本発明の製法の気体状反応生成物は、従来製法の放出ガスと比較して高レベルの二酸化炭素ガスを含んでなるので、その炭素は効率的に使用され、それによって、使用される化石燃料の量も低下する。その結果、還元される金属の単位重量あたりに使用される炭素の量は、本発明の製法ではより低くなる。
【0036】
また、本製法では、石炭の形態にある炭素の代わりに、一酸化炭素から形成されたBoudouard炭素が還元剤として使用されるので、本発明の製法の気体状反応生成物は、石炭に関連する有害な炭化水素を含まない。一酸化炭素を含んでなる気体状混合物が硫黄化合物を含まない場合、反応する固体の硫黄含有量は影響を受けない。一酸化炭素を含んでなる気体状混合物が炭化水素および/または硫黄化合物を含んでなる場合、炭化水素の重質画分の少なくとも一部が製法の途中で分解および/または使用されるであろうから、本発明の製法の気体状反応生成物中にあるこれらの炭化水素および/または硫黄化合物の含有量は、低くなる。硫黄化合物は、例えば公知のカルシウム処理により、カルシウム−硫黄化合物、例えばCaS、に中和され、この化合物は、例えばサイクロン中で金属部分から分離することができる。
【0037】
本発明の別の実施態様では、第一助触媒金属は、第二助触媒金属と同一であり、それによって、金属−酸素化合物を還元する還元反応の生成物に導入される他の金属の量をできるだけ低くする。本発明のさらに別の実施態様では、第一および/または第二助触媒金属は、金属−酸素化合物中の金属と同一である。単一金属材料を製造する場合、他の金属による汚染を防止するためには、他の元素の量をできるだけ低く抑えるべきである。合金を製造する場合、金属−酸素化合物中の金属とは異なった一種以上の金属を、第一および/または第二助触媒金属として使用するのが有利であろう。
【0038】
本発明の好ましい実施態様では、金属−酸素化合物の還元反応を連続製法で行い、第一および第二反応工程を同時に行い、金属−酸素化合物を、第一反応工程が行われる第一反応区域から、第二反応工程が行われる第二反応区域に移動させる。従って、好ましい実施態様では、一酸化炭素が、金属−酸素化合物、金属−酸素化合物を還元する還元剤、および第一および/または第二助触媒材料金属の混合物に対して移動する。別の好ましい実施態様では、金属−酸素化合物を一方向で搬送し、一酸化炭素別の方向に搬送する。別の好ましい実施態様では、金属−酸素化合物および一酸化炭素を向流で搬送する。また、気体状反応生成物の少なくとも一部を製法中に導入し、それによって、加えるべき新しい一酸化炭素の量を低下させることができる。その上、金属−酸素化合物の還元反応における実質的に固体である生成物の少なくとも一部を製法中に、還元反応用の第一および/または第二助触媒金属として再び導入し、それによって、加えるべき新しい第一および/または第二助触媒金属の量を低下させることができる。
【0039】
反応速度論の理由から、Boudouard反応が行われる第一反応区域における操作温度は、好ましくは650℃未満、好ましくは300〜600℃、より好ましくは450〜550℃である。本発明の好ましい実施態様では、金属−酸素化合物は、鉄−酸素化合物、例えば酸化鉄および/または水酸化鉄および/または炭酸鉄、を含んでなる。また、第一および/または第二助触媒金属は、鉄を含んでなり、それによって、鉄−酸素化合物の還元反応の結果得られる生成物中の非鉄金属の量を制限することができる。反応速度論の理由から、金属−酸素化合物、例えば鉄−酸素化合物、の還元が行われる反応区域における操作温度は、好ましくは550〜900℃、好ましくは650〜850℃、より好ましくは700〜775℃である。上に説明した本発明の製法は、実質的に大気圧で行うことができる。当業者には明らかなように、本発明の方法を非大気圧で行うと、反応の平衡が移行する。本発明は、本方法を大気圧未満または超大気圧で行うことも意図しており、Boudouard反応(第一反応工程)が金属−酸素化合物の還元(第二反応工程)とは異なった圧力で起こるように、本発明の方法を使用することも意図している。
【0040】
注意すべきは、Boudouard反応の性質および速度論に関する金属−酸素化合物の還元のために、金属−酸素化合物の還元反応が行われる反応区域でBoudouard炭素の一部がなお形成されることがあるので、および/またはBoudouard反応が行われる反応区域で金属−酸素化合物の一部が少なくとも部分的にすでに還元されており、それによって、第一金属の少なくとも一部が還元反応に与えられることがあるので、一方で、炭素がBoudouard反応により一酸化炭素から形成される反応区域と、他方、金属−酸素化合物の還元反応が主として起こる反応区域との間に、重なった部分があり得ることである。
【0041】
還元剤、第一助触媒金属および金属−酸素化合物間の接触点の数が、本発明の方法による金属−酸素化合物の還元製法の速度論を決定するので、金属−酸素化合物または金属−酸素化合物および第一助触媒材料、例えば第一助触媒金属、は、粉末形態にあるのが好ましい。これらの粉末の粒子径は、好ましくは1mm未満、より好ましくは100μm以下にすべきである。従って、これらの粉末または粉末の混合物は、前処理して集合体、例えばペレットまたは焼結物を形成し、これらの集合体が、一酸化炭素が集合体中の金属−酸素化合物または第一金属と金属−酸素化合物に到達するのに十分な多孔度を有するようにすることができる。本発明の方法は、少量の第一助触媒金属が存在すれば、すでに機能するが、第一助触媒金属の量は、好ましくは金属−酸素化合物の1重量%を超え、より好ましくは5重量%を超え、好ましくは本製法の金属−酸素化合物の還元が行われる段階の開始時で約10重量%になるべきであることが分かった。
【0042】
本発明は、還元を高炉、例えば溶鉱炉、中で行う方法にも関する。本発明は、金属−酸素化合物が鉄−酸素化合物を含んでなり、鉄−酸素化合物の還元反応が高炉、例えば溶鉱炉、中で行い、鉄を製造する方法でも実施される。本発明の方法を、鉄鉱石の還元反応用の第一助触媒金属として鉄の添加が関与する従来の高炉製法に応用することにより、溶融鉄の不均衡な増加が得られることが分かった。例えば、第一助触媒金属として鉄を、例えば粉末形態で鉄鉱石に加え、そこから従来のペレットを製造するための混合物を形成することにより、高炉製法に入る、鉄−酸素化合物と第一助触媒金属としての鉄の混合物を供給することができる。高炉製法の途中で、ペレットは炉中に降下し、適切な温度で、高炉の下側区域で燃焼しているコークスから発生する一酸化炭素ガスを使用してBoudouard炭素の最初の発生が開始する。一酸化炭素ガスは二酸化炭素ガスおよびBoudouard炭素に還元される。
【0043】
注意すべきは、鉄−酸化物から銑鉄を製造する従来の高炉製法における高温の結果、Boudouard平衡(式(1))が、炭素、およびコークスおよび高炉の底部で吹き込まれる酸素から形成された二酸化炭素から一酸化炭素が形成される側にシフトすることである。従って、従来の高炉製法では、高炉中の、鉄−酸素化合物の還元が行われている場所ではBoudouard炭素は形成されない。
【0044】
本発明の方法では、鉄−酸素化合物と第一助触媒金属としての鉄の混合物の上にBoudouard炭素が析出し、組み合わされた材料が高炉中にさらに降下すると考えられる。適切な温度で、鉄−酸素化合物の還元が開始し、それによって、鉄−酸素化合物を鉄に還元する。最終的に、高炉中にさらに降下した後、鉄は融解し、公知の方法により何時でも高炉から出湯できるようになる。本発明の方法が、鉄鉱石および鉄でよい第一助触媒金属を、鉄鉱石、第一金属、および一酸化炭素間の接触区域が大きい焼結製品または他の集合体の形態で製法に加える場合にも、機能することは明らかである。本発明の結果、コークスから生じる炭素がより効率的に使用されるので、高炉製法の一酸化炭素吐出量が低下し、単位時間あたりに高炉から出る溶融鉄の量が、加えられた鉄触媒に対して不均衡に増加する。換言すると、第一助触媒金属として単位時間に鉄x%を鉄鉱石に加えた後、炉から出湯できる単位時間あたりの溶融鉄の量は、出湯できる単位時間あたりの溶融鉄が100+x%増加し、それによって、単位時間あたりに鉄鉱石から新しく形成される鉄の量が増加することにより、高炉をより効率的に使用することができる。無論、単位時間あたりの鉄鉱石の使用量は、対応して増加する必要がある。
【0045】
例えば焼結した、またはペレットの形態でよい金属鉱石を処理する従来のすべての直接還元設備でも、本方法を同様に適用し、同等の生産性増加を達成することができる。これらの設備は、従来、金属−酸素化合物の還元を行う少なくとも一基の炉を含んでなり、そこでは炉が、例えば回転炉床炉、ロータリーキルン炉、立坑炉、サイクロン炉、またはバッチ型炉を含んでなる炉の群から選択される。従って、本発明は、金属−酸素化合物の還元反応が流動床、回転炉床炉、ロータリーキルン炉、サイクロン炉、またはバッチ型炉で行われ、直接還元された金属を製造する方法でも実施される。本発明は、金属−酸素化合物が鉄−酸素化合物であり、鉄−酸素化合物の還元工程が流動床、回転炉床炉、ロータリーキルン炉、サイクロン炉、またはバッチ型炉で行われる方法でも実施される。
【0046】
本発明は、金属−酸素化合物を還元し、金属部分と非金属部分を含んでなる実質的に固体の材料を製造し、その実質的に固体の材料を処理し、金属部分を非金属部分、例えば脈またはスラグ、から分離する方法でも実施される。この分離工程は、例えばサイクロン中で行うことができる。
【0047】
本発明は、金属部分を圧縮し、その多孔度を下げる方法でも実施される。金属部分は、圧延してスラブ、ビレット、ブルーム、ロッド、断片または細片を形成することもできる。この方法は、製造方法の、鉱石から出発してスラブで終わる工程を省略し、それによって、コストおよびエネルギー消費を大幅に下げることができる。金属部分は、押出して輪郭、断片またはロッドを形成するか、もしくはほとんど最終的な形状の製品を形成することもできる。これらの製品は、最終的な加工をほとんど、または全く必要としない。
【0048】
金属部分は、例えば電弧炉を使用する精錬操作における供給材料として、あるいは鉄の場合、製鋼方法における供給材料として、例えば塩基性酸素製鋼方法またはSiemens Martin製鋼方法におけるスクラップの少なくとも部分的な置き換えとして、使用することもできる。
【0049】
金属−酸素化合物中の金属は、好ましくは鉄、銅、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金またはイリジウムであることに注意すべきである。ある種の金属には、2種類以上の金属−酸素化合物、例えば銅酸化物および銅水酸化物、が存在することに注意すべきである。本発明は、金属−酸素化合物が少なくとも2種類の金属−酸素化合物の混合物を含んでなり、それらの金属−酸素化合物中の金属が異なっており、それらの金属のそれぞれが鉄、銅、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金またはイリジウムを含んでなり、それによって、少なくとも2種類の異なった金属を含んでなる還元製品を製造する方法にも関する。この実施態様の利点は、合金を直接製造できることである。第一助触媒金属または第一助触媒金属類は、金属−酸素化合物中の金属または金属類と異なっていてもよい。
【0050】
Boudouard反応により炭素を形成する元の一酸化炭素を含んでなる気体状混合物は、公知の方法による標準的なガス化装置中で、コークス、石炭、木炭、油、プラスチック、天然ガス、紙、バイオマス、タールサンド、強度に汚染された炭素含有エネルギー供給源を含んでなる炭素含有化合物の群から選択された、少なくとも一種の炭素含有化合物を処理することにより、製造することができる。好ましくない元素、例えば硫黄、は、適切な前処理および/または後処理により、気体状混合物から除去することができる。標準的なガス化装置は、炭素含有化合物のガス化から生じる、有害な、または好ましくない副生成物の吐出量を制御する手段を備えることができる。
【0051】
本発明は、炭素が還元剤として作用する金属−酸素化合物の還元を行うための装置であって、
該金属−酸素化合物の固体装填物を保持するように設計された第一工程反応室と、
該第一反応室に金属−酸素化合物を導入するための入口と、
第二工程反応室と、
該第一工程反応室における反応に続いて、該固体装填物を該第一工程反応室から該第二工程反応室中に移動させるための搬送手段と、
該第二工程反応室から該第一工程反応室へCOガスを通すための手段と、
該第二工程反応室から実質的に固体の反応生成物を排出するための排出口と
を備えた装置にも関する。
【0052】
例えば、第一反応区域および第二反応区域を含んでなる反応器を使用する。第一反応区域では、金属−酸素化合物のための入口の近くで、操作パラメータ、例えば温度および圧力、を選択する結果、Boudouard反応により一酸化炭素から炭素が形成され、第二反応区域では、金属−酸素化合物の還元から得られる実質的に固体の材料のための出口の近くで、操作パラメータ、例えば温度および圧力、を選択する結果、金属−酸素化合物が還元される。好ましくは、同等の操作圧では、第一反応区域の温度は第二反応区域の温度よりも低い。
【0053】
好ましくは、第一および/または第二助触媒材料を製法の開始時に加えることに注意すべきである。上記のことから、無論、第一および/または第二金属は、所望により製法の後の、または早い段階でも加えることができるが、それには、所望により使用する追加の入口が必要である。また、製法の開始時に、ただし製法の途中でも、Boudouard炭素に類似した、好適な形態にある化合物、例えばグラファイト粉末、を金属−酸素化合物に添加し、金属−酸素化合物の還元反応における還元剤として作用させることもできるが、それには、所望により、炭素用の一個以上の追加入口が必要である。
【0054】
好ましくは、本装置は、第二工程反応室中に供給すべき高温COガスを発生させるための手段を包含する。
【0055】
本発明の別の実施態様では、本装置は、気体状反応生成物の少なくとも一部を製法中に再導入する手段も含んでなる。その上、本装置は、金属−酸素化合物の還元から得られる実質的に固体の材料の少なくとも一部を製法中に再導入する手段も含んでなる。
【0056】
別の実施態様では、反応区域を、個別の反応器中になるように物理的に分離し、操作パラメータ、例えば温度および圧力、をより独立してして選択できるようにする。
【0057】
別の実施態様では、本装置は、第一および第二工程反応室の少なくとも一方を与える流動床を包含する。さらに別の実施態様では、本装置は、回転炉床炉、ロータリーキルン炉、立坑炉、サイクロン炉、連続式またはバッチ型炉を含んでなる炉群から選択された炉を含んでなる。
【0058】
好ましい実施態様では、本装置は、実質的に管状の、より好ましくは実質的に軸対称の形状を有する。
【0059】
ここで、本発明の具体的な実施態様を、下記の非限定的な例および図式的な図面を参照しながら説明する。
【好ましい実施態様の説明】
【0060】
図1に、金属−酸素化合物を還元するための装置を示すが、そこでは本装置が、反応器1、金属−酸素化合物用の入口2、ここでは第一および/または第二金属の形態にある、第一および/または第二助触媒材料用の入口(第一および/または第二金属が金属−酸素化合物と共に加えられない限り、図には示さないが、その場合、第一および/または第二金属の入口も2である)、一酸化炭素を含んでなる気体状混合物のための入口3、反応器の様々な部分を加熱するための加熱手段(図には示していない)、気体状反応生成物用の出口4、および金属−酸素化合物の還元から得られる実質的に固体の材料用の出口5を含んでなる。
【0061】
図2に、本発明の別の実施態様を示すが、そこでは、本装置が、反応器1、金属−酸素化合物用の入口2、ここでは第一および/または第二金属の形態にある、第一および/または第二助触媒材料用の入口(第一および/または第二金属が金属−酸素化合物と共に加えられない限り、図には示さないが、その場合、第一および/または第二金属の入口も2である)、一酸化炭素を含んでなる気体状混合物のための入口3、反応器の様々な部分を加熱および冷却するための加熱または冷却手段(図には示していない)、気体状反応生成物用の出口4、および金属−酸素化合物の還元から得られる実質的に固体の材料用の出口5、固体反応物を搬送する搬送手段6、気体状反応生成物の少なくとも一部を出口4から本製法に再導入するための手段7、および金属−酸素化合物の還元から得られる実質的に固体の材料の少なくとも一部を再導入するための手段8を含んでなる。
【0062】
図3に、本発明の別の実施態様を示すが、そこでは、反応器が、Boudouard反応による炭素の発生が主として行われる第一反応器部分9、金属−酸素化合物の還元が主として行われる第二反応器部分10、固体反応物を第一反応器部分9から第二反応器部分10へ搬送する搬送手段11、一酸化炭素を含んでなる気体状混合物を第二反応器部分10から第一反応器部分9へ搬送する搬送手段11、金属−酸素化合物用の入口2、ここでは第一および/または第二金属の形態にある、第一および/または第二助触媒材料用の入口(第一および/または第二金属が金属−酸素化合物と共に加えられない限り、図には示さないが、その場合、第一および/または第二金属の入口も2である)、一酸化炭素を含んでなる気体状混合物のための入口3、反応器の様々な部分を加熱および冷却するための加熱または冷却手段(図には示していない)、気体状反応生成物用の出口4、および金属−酸素化合物の還元から得られる実質的に固体の材料用の出口5を含んでなる。この実施態様は、気体状反応生成物の少なくとも一部を出口4から本製法に再導入するための手段、および金属−酸素化合物の還元から得られる実質的に固体の材料の少なくとも一部を第一および/または第二金属として、触媒入口を通して本製法に再導入するための手段も備えることができるが、これらは図3には示していない。
【0063】
3種類の実施態様のすべてで、製法の開始時および/または製法の途中で、Boudouard炭素に類似した、好適な形態にある化合物、例えばグラファイト粉末、を導入するための、一個以上の所望により使用する入口が存在することができる。
【実施例】
【0064】
ここで本発明を例示し、説明するために例を記載する。例1および2は、本発明の第二反応工程でのみ得られる効果を例示する。
【0065】
例1
熱重量分析装置中で、金属−酸素化合物として酸化鉄、金属−酸素化合物を還元するための還元剤として炭素、および第一および第二金属として鉄の均質な混合物を加熱した。炭素の量は、酸化鉄を金属鉄に完全に還元できるのに十分になるように選択した。混合物の質量低下は、金属−酸素化合物の還元を直接示す。完全に還元される場合、約12〜15%の質量低下が予想される。これらの測定は、結晶性炭素、例えば結晶性グラファイト、合成グラファイト、電気グラファイトまたはBoudouard炭素、の粉末を使用した時に、温度650〜850℃で酸化鉄の完全な還元が達成されたことを示した。粉末石炭、活性炭または粉末コークスは、900℃未満で酸化鉄が鉄に還元されなかった、または部分的にしか還元されなかったので、効果が劣っていた。無定形炭素の酸化鉄還元活性は、結晶性炭素、例えばグラファイト、の活性より低いが、粉末石炭、活性炭または粉末コークスの活性よりは高いことが立証された。
【0066】
例2
ステンレス鋼管および炉を含んでなる反応器に、固体反応物用の搬送手段として押出機型スクリューを取り付けた。酸化鉄、Boudouard炭素に類似した、好適な形態にある炭素、および第一金属として鉄粉末の混合物を管に入れ、温度650℃〜850℃に加熱した。酸化鉄は金属鉄に急速に還元された。
【0067】
例3(本発明の例)
図2に示す、ステンレス鋼管が反応器を形成する反応器に、固体反応物用の搬送手段6として押出機型スクリューを取り付けた。矢印は、固体反応物の搬送方向を示す。金属−酸素化合物として酸化鉄および第一金属として鉄粉末の混合物を、入口2を通して管の一端に導入し、押出機スクリュー6により管の他端に搬送した。向流で、一酸化炭素を含んでなる高温気体状混合物を、入口3を通して反応器中に導入し、反応器中で還元反応させるための熱も供給した。気体状混合物が入る時の反応物の温度は約900℃であり、気体状混合物が出る時の固体反応物の温度は約550℃であった。反応器の、第一反応区域における冷却末端で、触媒に関連する役目を果たす金属鉄を使用するBoudouard反応により、一酸化炭素からBoudouard炭素が形成された。形成された二酸化炭素は、気体状反応生成物の一部として、出口4を通ってプロセスから離れる。Boudouard炭素は、固体反応物上に析出し、固体反応物と共に押出機スクリューにより第二反応区域に搬送された。該第二反応区域では、酸化鉄がBoudouard炭素により還元され、金属鉄および一酸化炭素と二酸化炭素の混合物を形成する。実質的に固体である鉄の一部は、手段8により、例えば入口2を通して第一金属として製法に再導入することができ、気体状反応生成物の一部は、手段7により、例えば入口3を通して再導入することができる。
【0068】
無論、本発明は、上記の実施態様および例に限定されるものではなく、請求項の範囲内およびここに記載する本発明の精神に入るすべての実施態様を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明を具体化する装置を図式的に示す。
【図2】本発明を具体化する装置の別の実施態様を図式的に示す。
【図3】本発明を具体化する装置の、分離した反応区域を備えた別の実施態様を図式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素が還元剤として作用する、金属−酸素化合物を還元する方法であって、
第一反応工程で、前記金属−酸素化合物を含む反応室中にCOガスを、COが固体炭素および二酸化炭素に転化される条件下で通過させ、それによって形成された前記固体炭素を前記金属−酸素化合物に導入して、
第二反応工程で、前記第一反応工程で前記金属−酸素化合物に導入された前記炭素により、前記金属−酸素化合物を還元すること
を含んでなり、少なくとも前記第二反応工程で、前記金属−酸素化合物の還元を促進するのに有効な第一助触媒材料が存在し、前記第一助触媒材料が、第一助触媒金属および/または第一助触媒金属の化合物を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記方法を連続的に行い、前記第一および第二反応工程を同時に行い、前記金属−酸素化合物を、前記第一反応工程が行われる第一反応区域から、前記第二反応工程が行われる第二反応区域に移動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二反応工程で形成されたCOガスが前記第一反応工程で使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二反応工程が、前記第一反応工程より高い温度で行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第一助触媒材料が、前記第一助触媒金属、または第一助触媒金属炭化物、第一助触媒金属水素化物または第一助触媒金属窒化物、またはそれらの組合せである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第一助触媒材料が粉末形態にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第一助触媒金属が、前記金属−酸素化合物の金属と同一である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも前記第一反応工程で、第二助触媒材料が存在し、前記第二助触媒材料が、COから炭素および二酸化炭素への転化を促進する第二助触媒金属および/または第二助触媒金属の化合物を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第二助触媒材料が、前記第二助触媒金属であるか、あるいは第二助触媒金属炭化物、第二助触媒金属水素化物または第二助触媒金属窒化物、もしくはそれらの組合せである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第二助触媒材料が粉末形態にある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属−酸素化合物が、粉末から形成された集合体の形態にある、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属−酸素化合物および前記第一助触媒材料、および存在する場合、前記第二助触媒材料が、それらの粉末から形成された集合体の形態にある、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記金属−酸素化合物の金属がFe、Cu、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、PtまたはIrである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第一反応工程が650℃未満で行われる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記金属−酸素化合物が、鉄−酸素化合物、例えば酸化鉄および/または水酸化鉄および/または炭酸鉄、を含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第一助触媒金属、および存在する場合、前記第二助触媒金属が鉄である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第二反応工程が550〜900℃で行われる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記金属−酸素化合物が、少なくとも2種類の金属−酸素化合物の混合物を含んでなり、前記金属−酸素化合物中の金属が異なっており、前記金属のそれぞれがFe、Cu、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、PtまたはIrを含んでなる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
立坑炉、高炉、流動床、回転炉床炉、ロータリーキルン炉、サイクロン炉またはバッチ型炉で行われる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
実質的に固体の反応生成物が前記第二反応工程で製造され、前記第二反応工程から得られる前記反応生成物の一部が前記第一反応工程に導入される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
気体状反応生成物が吐出され、前記方法中に導入される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
炭素が還元剤として作用する金属−酸素化合物の還元を行うための装置であって、
前記金属−酸素化合物の固体装填物を保持するように設計された第一工程反応室と、
前記第一反応室に前記金属−酸素化合物を導入するための入口と、
第二工程反応室と、
前記第一工程反応室における反応に続いて、前記固体装填物を前記第一工程反応室から前記第二工程反応室中に移動させるための搬送手段と、
前記第二工程反応室から前記第一工程反応室へCOガスを通すための手段と、
前記第二工程反応室から実質的に固体の反応生成物を排出するための排出口と
を備えた、装置。
【請求項23】
前記第一工程反応室から気体状反応生成物を取り出すための出口、および前記気体状反応生成物を前記第二工程反応室に再導入する手段を有する、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
排出された実質的に固体の反応生成物を、前記排出口を経由し、前記第一工程反応室に再導入する手段を有する、請求項23または24に記載の装置。
【請求項25】
前記第二工程反応室中に供給すべき高温COガスを発生させる手段を備えた、請求項22〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記第一工程反応室および/または前記第二工程反応室を与える流動床反応器を備えた、請求項22〜25のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−507608(P2007−507608A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530135(P2006−530135)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011345
【国際公開番号】WO2005/033347
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(505008419)コラス、テクノロジー、ベスローテン、フェンノートシャップ (15)
【氏名又は名称原語表記】CORUS TECHNOLOGY BV
【Fターム(参考)】