説明

金属アルミニウム粒子を含む顔料組成物

本発明は、平均厚5nm以下の表面酸化層を有する金属アルミニウムに基づく粒子(p)を含む顔料組成物に関する。またこの粒子(p)は、[粒子]−Al−O−Si−R結合を介してこの粒子(p)の表面に結合された炭化水素鎖Rを含む保護層で被覆されている。また本発明は、本発明の顔料組成物を調製する方法、及びその使用、特に水性メタリックペイントの配合のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にいわゆる「メタリック」ペイント、具体的には例えば自動車産業において使用される水性ペイントの形成のために意図された、金属アルミニウム粒子に基づく顔料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
原則として、現在良く知られている金属アルミニウム粒子に基づく顔料組成物は、「湿式摩砕」法によって得られる。この湿式摩砕法は、ボールミル型の装置内に、(1)アルミニウム(一般には粉末の形態であり、この粉末は一般に噴霧によって、つまり空気流又は不活性ガス流中にスプレーされた液状アルミニウムを冷却することにより得られる);(2)脂肪酸(例えばオレイン酸又はステアリン酸);及び(3)脂肪族溶剤又は脂肪族溶剤の混合物(一般には、ホワイトスピリット型の混合物)を導入することからなる。
【0003】
脂肪酸及び溶剤の存在におけるこのような塑性変形に続いて、フレークの形態のアルミニウムを含むペーストが得られる(いわゆる層状顔料)。ここでこのフレークの表面には、脂肪酸分子が吸着されている。この方法の範囲において、脂肪酸と溶剤との併用は、塑性変形中にアルミニウム粒子の低温溶着を防止すること、及び具体的には周囲空気及び/又は湿分による酸化に対して粒子を一時的に保護することを可能にすると仮定される。
【0004】
「湿式摩砕」法の典型的な例が、米国特許第2,002,891号に開示されている。「ホール(Hall)法」の名で知られるこの方法は、フレークの形態のアルミニウムの顔料組成物を製造するための現在最も一般的な工業プロセスである。長年にわたって、所与の形状、所与のサイズ及び所与の特性を有する種々の顔料等級を得るために調整される種々のパラメーターが開発されている。例えば、アルミニウム粉末の初期粒子サイズ、摩砕の時間及び速度、ボール又は採用されるミルのタイプの直径の影響が研究されている。この主題に関する更なる詳細は、具体的には米国特許第3,901,688号明細書、同第3,970,577号明細書、同第3,901,688号明細書、同第4,236,934号明細書又は同第4,693,754号明細書、又は欧州特許出願公開第305,158号明細書を参照することができる。
【0005】
より一般的には、ホール法及び類似の方法は現在、これらの最適な作業条件が効果及び安全性という両方の観点から現在よく確立されている範囲において、比較的作業の容易な工業プロセスとして存在している。加えて、これらの方法は、シンプルで効果的で且つ比較的低廉な方法で、目標とする特性を有するアルミニウム顔料を得ることを可能にする。
【0006】
しかし、これらの種々の利点にもかかわらず、ホール型法により得られる金属アルミニウム顔料の潜在的な用途は、有機溶剤系組成物中、本質的には有機溶剤系ペイント組成物中での使用に限られることが判っている。これは、水の存在においてこれらの顔料が急速に腐蝕し、概ねその結果、顔料の金属光沢が少なくとも部分的に損なわれる(特に、表面における厚い酸化物層の形成による)からである。また、有機溶剤系組成物中での使用に限られるのは、なによりも水素の著しい放出による。水素の放出は、具体的には安全性(可燃性又は爆発性;貯蔵バレル内の過圧など)の面で問題を招くおそれがある。
【0007】
現時点では、有機溶剤の使用の低減を目標とした法改正により、具体的にはメタリックペイント又は非メタリックペイントの分野で、水に基づく組成物(いわゆる「水性(waterborne)」配合物)を開発しようと模索中である。ホール法に従って得られるタイプの顔料は、このような水性配合物には不適当であると明らかに考えられる。
【0008】
その結果、近年、Hall法に従って得られた顔料を改質することにより、水性媒質中での使用に適したものにしようという試みが多く為されてきた。
【0009】
今日まで、これに関連して為された試みは、ホール型法によって得られた粒子の表面を改質することにあり、この改質は、吸着された脂肪酸分子を、腐蝕阻害物質、例えばリン酸エステル、ホスフェート、ホスホネート、バナデート、クロメート、モリブデート、或いは希土類金属塩又はダイマー酸によって置換することからなる。この方法において必要な、脂肪酸分子の脱離及び阻害物質の吸着の結果、一般に、大規模な工程が生じる。これらの工程は特に、これらの工程の実施中に起こり得るアルミニウムフレークの酸化を防ぐために、酸素及び湿分の不存在において実施されなければならない。別のルートは、ポリマー又はシリカのシェル内でのカプセル化を実施しようと試みからなる。このカプセル化は、特に凝集現象を防止し且つ出発粒子の形態を保持するために、試験条件の厳格な制御を必要とする。
【0010】
こうした全ての事例において、開発された方法は高価であり、しかも一般には産業レベルで作業するのが困難であることが判っている。加えて、これらの方法に従って得られる金属アルミニウムを含む顔料組成物は一般に、耐腐蝕性の面では期待外れであることが判っている。さらに、これらの光学特性は、ホール型法の終結時に直接的に得られる顔料組成物の光学特性と比較して、概ね凡庸である。この現象は、表面酸化物層の比較的大きな厚さ、一般には6nmを大きく上回る厚さ(一般に7〜10nmのオーダー以上)に帰因する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
完全に予期せぬことに、発明者は、塑性変形法、例えば従来の「ホール」法の「摩砕」に際して、脂肪酸ではなく、特定のシラン型化合物を利用することが可能であり、その結果、得られるアルミニウム顔料組成物の構成が、ホール型法に従って得られる組成物の光学特性に少なくとも匹敵する光学特性を示し、加えて、特に水に対して極めて良好な耐腐蝕性を示すことを発見した。
【0012】
さらに、発明者の研究により、これに関して得られる顔料組成物は、驚くべきことに、水性配合物及び有機溶剤系配合物の両方に適していることが明らかになった。
【0013】
さらに、発明者がさらに発見したところによれば、驚くべきことに、シラン型化合物を用いた摩砕の処理条件は、従来のホール型法に関して作成された条件に基づいてモデリングすることができる。
【0014】
これらの発見に基づいて、本発明の1つの目的は、従来のホール型法に従って得られる顔料組成物の光学特性に少なくとも匹敵する光学特性を示し、且つさらに耐腐蝕性が高められた顔料組成物を提供することである。これに関して、本発明の特定の目的は、具体的には、水性媒質中で使用することができ、且つ水性媒体中で酸化及び腐蝕に対して高い安定性を示す金属アルミニウムを含む顔料組成物を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、水性媒質中及び有機溶剤中の両方に使用することができる、金属アルミニウムを含む顔料組成物を提供することである。
【0016】
より一般的には、本発明の別の目的は、水及び空気による酸化及び腐蝕に対して安定化された金属アルミニウムの粒子を調製することを可能にする、シンプルで効果的で且つ低廉な方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の観点によれば、本発明の主題は、金属アルミニウムに基づく粒子(p)を含む顔料組成物であって、前記粒子(p)が、平均厚5nm以下の表面酸化層を有し、且つ前記粒子(p)が保護層で被覆されており、この保護層が、[粒子]−Al−O−Si−R結合を介して前記粒子(p)の表面に結合している炭化水素鎖Rを含む、顔料組成物である。
【0018】
「金属アルミニウムに基づく粒子」という用語はいうまでもなく、本発明の意味において、アルミニウムを金属状態で含む粒子を意味する。これらの粒子中において、アルミニウム元素の総量は、前記粒子中に存在する金属元素量を基準として、50重量%以上、有利には70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。さらに、本発明による金属アルミニウムに基づく粒子の場合、金属状態のアルミニウム量は、アルミニウム総量の90%以上であることが好ましい(有利には95%以上、より好ましくは98%以上、特に有利には99%以上、実際には99.5%以上のこともある)。特に好ましくは、本発明において採用される粒子は、事実上金属アルミニウムに基づく粒子、換言すれば、金属状態のアルミニウムが99.5重量%以上(好ましくは99.7重量%以上及びより好ましくは99.9重量%以上)となるように構成された粒子である。
【0019】
一般に、本発明の組成物中に存在する粒子(p)は、平均寸法500μm又はそれ未満、好ましくは400μm未満、及び有利には300μm未満の異方性粒子である。
【0020】
一般に、粒子(p)は、平均横方向直径が500μm又はそれ未満、好ましくは1〜400μm、より好ましくは2〜250μm、及び有利には5〜100μmであり、且つ平均厚が3μm又はそれ未満、好ましくは0.1〜2μmであるフレーク型の粒子である。一般に、粒子(p)のアスペクト比(平均横方向直径に対する平均厚の比)は、1/5〜1/1000、好ましくは1/10〜1/100である。
【0021】
さらに、本発明の顔料組成物中に存在する粒子(p)の正確な形態がいかなるものであれ、粒子(p)の比表面積は0.5〜500m/gであり、この比表面積は有利には1〜10m/gであり、好ましくは5m/g程度である。
【0022】
特徴的には、本発明の顔料組成物中に存在する粒子(p)は、平均厚5nm以下の表面酸化層を示し、この表面酸化層のこの厚さは、いくつかの事例では4nm未満であることが可能である。
【0023】
本発明で参照される表面酸化層の厚さは、例えば従来の方法に従って、オージェ電子分光法によって測定することができる。この方法は、研究される顔料の表面における化学組成を確立し、次いで表面のイオン・エッチングを実施し、より深い「層」へのアクセスを可能にし、これにより、種々の表面の分析を段階的に可能にすることからなる。種々の化学物質(この事例ではアルミニウム及び酸素)の濃度分布を深さの関数として確立することによって、酸化物層の厚さを評価することが可能になる。オージェ電子分光法装置の操作者によって広く用いられるこの技術は一般に、表面酸化層厚さの測定に関して、ナノメートルオーダーの精度を得ることを可能にする。
【0024】
いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、特に光輝及び金属光沢に関して、粒子(p)の小さな酸化層厚さが、本発明の顔料組成物のための良好な光学品質をもたらすと仮定される。いずれにしても、本発明の顔料組成物は一般に、ホール法に従って得られる通常の商業的な組成物の光輝特性と少なくとも類似した光輝特性を示す。
【0025】
本発明の組成物中に存在する粒子(p)の本質的な特性は、炭化水素鎖Rを含む保護層が表面に特異的に存在していることである。
【0026】
「保護層」という用語は言うまでもなく、本発明に関して、粒子(p)を全体的に被覆し、腐蝕及び/又は酸化に関して、好ましくは腐蝕及び酸化の両方に関して、金属アルミニウムの保護を可能にする有機層を意味する。
【0027】
この保護層はその全体又は一部が、[粒子]−Al−O−Si−R結合を介して粒子(p)の表面に結合された炭化水素鎖Rから成っていることを特徴とする。粒子(p)の保護層は、或る特定の事例の場合、粒子に非共有結合された有機鎖、具体的には、粒子表面と複合した鎖、又は、イオン結合若しくは水素結合によって粒子表面に結合された鎖を含むことができる。或る特定の事例の場合、保護層は、非有機性の元素を含むこともできる。しかし、粒子(p)に共有結合された鎖が、一般には層内で優勢である。
【0028】
従って原則としては、[粒子]−Al−O−Si−R結合を介して粒子(p)の表面に結合された炭化水素鎖Rの平均量は、顔料表面積1m当たり10μmol又はそれよりも多く、この量は好ましくは1m当たり12μmol又はそれよりも多く、有利には1m当たり14μmol以上であり、好ましくは1m当たり16μmol程度である。
【0029】
さらに、粒子(p)の保護層は一般には、絶対的に脂肪酸を含有しない。より一般的には、本発明の組成物は原則として、いかなる脂肪酸又は脂肪酸塩も伴わない。
【0030】
好ましくは、保護層は事実上、[粒子]−Al−O−Si−R結合を介して粒子(p)の表面に結合された炭化水素鎖Rから成っている。特に有利な実施態様によれば、保護層は、粒子(p)の周りに連続的な保護フィルムを形成するポリマー「シェル」の形態を有することができる。このシェルは下記図1に概略的に示されるような構造を有している:
【0031】
【化1】

【0032】
[粒子]−Al−O−Si−R結合を介して前記粒子(p)の表面に結合された、保護層の成分である炭化水素鎖Rは、好ましくは下記の群から選択される:
【0033】
○炭素原子数1〜30、有利には炭素原子数8〜18の、線状又は非線状アルキル鎖(この関連において、本発明によれば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、コシル、ヘプタコシル、及びトリアコンチル鎖が特に適しており、オクタドデシル、オクチル、デシル、ドデシル及びヘキサデシル鎖がより好ましい);
【0034】
○炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数8〜18の、完全又は部分的にフッ素化され且つ随意にヒドロキシル化された線状又は非線状アルキル鎖(この関連において、フルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロプロピル、ヘプタ−デカフルオロテトラヒドロデシル、ヘプタフルオロイソプロポキシプロピル及びトリデカフルオロテトラヒドロオクチル基を含む(又はこれらの基から成る)鎖が特に好ましい);
【0035】
○炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数8〜18の線状又は非線状アルケニル又はアルキニル鎖、好ましくはビニル、アリル、ヘキセニル、オクテニル、ウンデセニル及びドコセニル基を含む鎖;
【0036】
○炭素原子数6〜30の、環状で、好ましくは芳香族の、随意にハロゲン化された炭化水素鎖、例えばベンジル、フェニル、フェネチル、スチリル、トリル、ブロモベンジル、クロロベンジル、フルオロフェニル、クロロフェニル又はヨードフェニル基;
【0037】
○1つ以上のアミン官能基によって置換された炭素原子数1〜30(好ましくは炭素原子数8〜18)の線状又は非線状炭化水素鎖、具体的にはアミノプロピル、アミノブチル、アミノフェニル、アミノエチルアミノプロピル及びジエチレントリアミンプロピル基;
【0038】
○炭素原子数3〜30であり且つ重合可能基を含む炭化水素鎖、例えばエポキシヘキシル、エトキシプロポキシプロピル、メタクリロイルオキシメチル又はメタクリロイルオキシプロピル鎖。
【0039】
酸化及び腐食に対する粒子(p)の安定性が特に良好なことによって、本発明の組成物は一般に種々の形態で提供することができる。
【0040】
従って、本発明による組成物は例えば、粒子(p)を乾燥状態で含む粉末の形態で提供することができ、この粉末は、水、又は有機溶剤(極性又は非極性溶剤、例えば炭化水素混合物、グリコール又はアルコール)、又はポリマーマトリックス(具体的にはポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリウレタン、ポリエステル又はポリアルキドに基づくマトリックス中、又はポリアクリルポリマー又はポリメタクリルポリマーに基づくマトリックス中))に再分散させることが可能である。
【0041】
特に強調されるべきなのは、本発明の顔料組成物は、水性媒質中に粒子(p)を含む分散体の形態で提供できるという点である。本発明の組成物はまた、溶剤媒体(極性又は非極性溶剤、具体的には炭化水素混合物、グリコール又はアルコール)中に粒子(p)を含む分散体の形態を有することもできる。本発明の組成物を水性媒質中又は溶剤媒体中の分散体の形態で提供する場合、粒子(p)の濃度は一般に25〜90重量%であってよく、好ましくは50〜75重量%である。
【0042】
別の観点によれば、本発明はまた、上記に定義された顔料組成物の製造方法に関する。
【0043】
この方法は、下記の(i)〜(iii)の化合物の存在において、金属アルミニウムに基づく粒子(p)を、機械的応力下で変形させることからなる工程(E)を含むことを特徴とする:
(i) 下記式(I)に相当するシラン:
【化2】

(Rは上記に定義された炭化水素鎖を表し;
Aは加水分解可能基を意味し;且つ
互いに同一又は異なっているR1及びR2はそれぞれ、下記のいずれかの基を表す:
基Aと同一又は同一ではない加水分解可能基(適切な場合、好ましくは基Aと同一);
鎖Rと同一又は同一ではない炭化水素鎖(適切な場合、好ましくは鎖Rと同一);又は
下記の式(II)の基:
【化3】

(Bは、随意に酸素原子によって中断された炭化水素鎖であり、一般に炭化水素を1〜10個有し、好ましくはポリ(酸化プロピレン)鎖、又はノニル、ヘプチル、オクチル、ヘキシル、ペンチル、ブチル、プロピル、エチル又はメチル鎖であり;
A′は、Aに関して上述した意味のうちの1つを有し;
R′は、Rに関して上述した意味のうちの1つを有し;
R′1は、基A′と同一又は同一ではない加水分解可能基(適切な場合、好ましくは基Aと同一)、又は鎖R′と同一又は同一でない炭化水素鎖(適切な場合、好ましくは鎖R′と同一)を意味する);
(ii)少なくとも痕跡量の水(この水には一般に、アルミニウム粒子(p)の表面に自然吸収された水が関与している);及び、
(iii)有機溶剤。
【0044】
工程(E)において実施される機械的応力下の変形は、粒子(p)を変形させることを目的としている。
【0045】
有利には、機械的応力下での粒子(p)の変形は、化合物(i)、(ii)及び随意に(iii)の存在において、ミル、一般にはボールミル内で行われる。
【0046】
上記で強調したように、発明者は、本発明の方法の工程(E)において採用される条件を、ホール法を実施するための従来の条件に基づいてモデリングできることを実証した。ここでは、一般に使用される脂肪酸の代わりに、式(I)の化合物が使用される。従って、工程(E)の処理条件は具体的には、米国特許第3,901,688号明細書、同第3,970,577号明細書、同第3,901,688号明細書、同第4,236,934号明細書又は同第4,693,754号明細書、又は欧州特許出願公開第305,158号明細書に開示された条件であってよい。
【0047】
有利であることを証明できる特定の別の実施態様によれば、本発明の方法の工程(E)は、溶剤(iii)中に懸濁している粒子(p)を、機械的応力下で変形(一般にはボールミル内で)させることから成る予備工程を含むことができる。この予備工程に続いて、成分(i)、(ii)及び(iii)全ての存在において、機械的応力下で粒子(p)の変形を続けることからなる第2の工程が実施する。或いは、機械的応力下での変形のためのプロセス開始から、種々の成分(i)、(ii)及び(iii)を全て同時に導入することによって、本発明の方法の工程(E)を実施することもできる。
【0048】
いかなる特定の理論にも限定されないが、工程(E)の処理条件がホール法の処理条件と全体的に類似しているものの、機械的変形中に関与するメカニズム自体は著しく異なっているという仮定を立てることができると思われる。従って、本発明の方法において、式(I)の化合物は、ホール法の脂肪酸と類似する潤滑剤としての役割を演じるように思われるが、アルミニウム粒子の表面では真の反応が起こっており、ホール法での場合のようにシンプルな吸着現象は生じていない。これらの事実に基づいて、本発明の方法は、(1)アルミニウム粉末の変形、及び(2)変形の過程において粒子表面にAl−O−Si−R共有結合を形成する反応を同時に行う機械/化学プロセスとして定義することができる。
【0049】
工程(E)において使用される粒子(p)は、金属アルミニウムに基づく粒子、好ましくは99重量%以上、有利には99.5重量%以上(さらに好ましくは99.7%以上、実際には99.9%以上のこともある)の金属アルミニウムを含む金属アルミニウムに基づく粒子である。これらの粒子(p)は有利には、平均初期サイズ0.1〜100μmを示す。初期粒子(p)のこの平均サイズは有利には、1μm以上であり、好ましくは3μm以上である。この初期粒子サイズは、50μm未満、好ましくは30μm未満に留めることが好ましいことが理解される。粒子(p)の平均初期寸法に関して、「d50」制限サイズは一般に、粒子(p)の個体群のうちの50%の粒子が、この制限サイズd50よりも小さいサイズを示すようなものとして定義される。同様に、それぞれ「d10」及び「d90」と呼ばれる他の2つの基準制限サイズも、粒子(p)の個体群のうちの10%(又は90%)の粒子が、この制限サイズd10(又はd90)よりも小さいサイズを示すような制限サイズを意味する。
【0050】
工程(E)において採用される粒子(p)は、有利には、噴霧によって、換言すれば、例えば不活性ガス流中又は空気流中にスプレーされた液状アルミニウムを冷却することにより得られる微粉状金属アルミニウムの粒子である。従って、粒子(p)は具体的には、「Grade 406S」、「Grade 409S」又は「Grade 432」の名称で、Toyal Europe S.A., Toyal America Inc.及びToyo Aluminium K.K.によって販売されているタイプの粒子であってよい。
【0051】
本発明の特定の実施態様によれば、粒子(p)は、予め有機鎖、具体的にはシラン上に存在する鎖Rのタイプの有機鎖とグラフトされている粒子であってよい。グラフトされたこれらの粒子は、例えば痕跡量の水の存在下において、式(I)のシランでアルミニウム粒子(具体的には上述の「406S」、「409S」又は「432」)を前処理することにより得ることができる。これに関して水は、アルミニウム粒子の表面に自然吸着された水で十分である。
【0052】
本発明の方法の工程(E)において使用される式(I)のシラン化合物は、特徴的には、1つ以上の加水分解可能基Aを含む。
【0053】
「加水分解可能基」という用語は、本発明に関して、水又は痕跡量の水の存在において反応して、−OH基を形成することができる基を意味する。好ましくは、工程(E)において使用される式(I)のシランの場合、存在する加水分解可能基(つまり、適切な場合には、基A、及び随意に基R1及び/又は基R2及び/又は基R′1)は、クロロ(−Cl)、アルコキシル(好ましくはC〜Cのアルコキシル基)及びアリールオキシ(一般に炭素原子数6〜12のアリールオキシ基)から選択され、好ましくはこれらの加水分解可能基は、クロロ、メトキシル、エトキシル、イソプロポキシル、N−ブチロキシル又はフェノキシル基から選択される。
【0054】
シラン上に存在する加水分解可能基の1つがクロロ基である場合、留意すべきなのは、加水分解の結果、塩酸が発生し、この塩酸は一般に、アミンの添加により捕捉することが必要である点である。このため、アルコキシル型及びアリールオキシル型の官能基が好ましい。従って原則として、式(I)の化合物の加水分解可能基は、アルコキシル型及びアリールオキシル型の化合物であることが好ましい。
【0055】
一般に、本発明の方法の工程(E)において採用される式(I)のシランは、単官能性シラン、換言すれば、単一の炭化水素鎖(つまりR基)を含み、且つR1基及びR2基が加水分解可能基(一般にはアルコキシル基及びアリールオキシル基)であるシランである。なぜならば、このようなシランを使用すると、シラン基のホモ重合によって、粒子の周りにポリマーシェル型の保護層、例えば図1に概略的に示す層を最後に得ることが可能になるからである。
【0056】
しかし、工程(E)において使用されるシランが、2又は3つの炭化水素鎖を有すること、換言すれば、R1基及び/又はR2基が上に定義された炭化水素基を表すことが有利な場合がある。しかしこの場合、存在する炭化水素鎖は、比較的少ない炭素原子数を示す鎖であること、つまり炭素原子数が好ましくは10未満、有利には5未満であることが好ましい。これらの鎖は特に好ましくは、メチル基又はエチル基である。
【0057】
基R1又はR2の一方が式(II)の炭化水素シラン基を意味する場合、基R2又はR1の他方は、加水分解可能基、又は鎖Rと同一の若しくは鎖Rとは異なる炭化水素鎖を意味することが好ましい。式(II)において、基R′1は好ましくは、加水分解可能基を意味する。
【0058】
原則として、本発明の方法の場合、工程(E)において採用される式(I)のシランの量は、好ましくは、アルミニウム1kg当たり40g以上である。この量は一般には、アルミニウム1kg当たり400g又はそれ未満である。
【0059】
本発明の方法の工程(E)において使用される溶剤(iii)は一般には、粒子を湿分から保護する溶剤である。従ってこの関連において、溶剤(iii)は、疎水性溶剤、有利には非極性疎水性溶剤であることが一般には好ましい。さらに、溶剤(iii)は一般には、最適安全性条件下で摩砕を行うように選択され、この関連において具体的には、この溶剤は可能な限り高い引火点を有することが好ましい。さらに、具体的には蒸発による溶剤の損失(火災源となるおそれがある)を制限するために、溶剤(iii)の揮発性は可能な限り低いことが有利である。さらに、この溶剤は、プロセス終結時に容易に除去することができることが好ましい。従って、溶剤(iii)は有利には、炭化水素の混合物、例えば脂肪族炭化水素の混合物、例えばホワイトスピリットタイプの混合物、及び/又は芳香族炭化水素、例えばキシレンの混合物から選択することができる。
【0060】
一般に、工程(E)において使用される有機溶剤(iii)の量は、この溶剤の性質がいかなるものであれ、アルミニウム1kg当たり1〜10kgである。この量は好ましくは、アルミニウム1kg当たり2kg又はそれよりも多く、有利にはアルミニウム1kg当たり8kg又はそれ未満である。
【0061】
さらに、本発明の方法の工程(E)は一般には、温度10〜80℃で実施する。この温度は好ましくは20℃以上、好ましくは50℃又はそれ未満である。さらに、不活性ガス(例えば窒素又はアルゴン)の雰囲気下で、工程(E)を実施することが有利である場合がある。しかし一般的な事例では、このような不活性ガスの使用は本質的ではない。
【0062】
本発明の方法は一般に、工程(E)に続いて、好ましくは20℃又はそれよりも高温、有利には40〜60℃の温度で、24時間以上にわたって媒質を静置することからなる熟成工程を含む。特定の別の実施態様によれば、本発明の方法は、工程(E)及び任意の熟成工程に続いて、溶剤を除去して粉末の形態の組成物を得る追加の工程を含む。この粉末は続いて、水性相又は有機溶剤相中に分散させ、それによって分散体の形態、つまりそれぞれ水性分散体又は有機分散体の形態の組成物を得ることができる。
【0063】
本発明の別の実施態様によれば、上記に定義された顔料組成物はまた、上記に定義された工程(E)と同様の工程を含む第2の製造方法に従って得ることができる。ここでこの第2の製造方法は、有機溶剤の不存在において、且つ不活性ガス(アルゴン又は窒素)雰囲気下で実施される。
【0064】
この第2の製造方法は一般に、下記化合物の存在、不活性ガス雰囲気下で、金属アルミニウムに基づく粒子(p′)を機械的応力下で変形させることからなる工程(E′)を含む:
(i′) 上記に定義された一般式(I)に相当するシラン;及び
(ii′) 少なくとも痕跡量の水(この水には一般に、アルミニウム粒子(p′)の表面に自然に吸着された水が関与している)
【0065】
この工程(E′)は一般に、「ベッセマー(Bessemer)」法という名称の周知の方法において採用されるタイプの冷間スタンピング工程である。従って工程(E′)は一般に、鋼製のアンビル(金床)上にこのタイプの粒子(p′)を置き、且つシランの存在においてハンマーの作用下でこれらの粒子を変形させることからなる。
【0066】
工程(E′)で使用される粒子(p′)は、一般的な事例の場合、粒子(p)に関して上記に定義された通りであってよい。従って、これらの粒子は、好ましくは99.7重量%以上、より好ましくは99.9重量%以上の金属アルミニウムを含む、金属アルミニウムに基づく粒子であることが好ましい。これらの粒子は有利には、平均初期サイズ0.1〜100μmを示す。
【0067】
工程(E′)で使用されるシランは、上記に定義された工程(E)において使用される式(I)の任意のシランから選択することができる。
【0068】
さらに、本発明の第2の方法の工程(E′)は一般に、温度10〜80℃で実施される。この工程に採用される不活性ガスは、具体的には窒素、アルゴン、又はこれら2種のガスの混合物であってよい。
【0069】
本発明の顔料組成物は、これらの製造方法がいかなるものであれ、数多くの用途、具体的には耐蝕性及び耐酸化性を考慮する数多くの用途分野で使用することができる。特に、本発明の組成物は、例えばメタリックペイントの調製のために、具体的には自動車産業の分野において使用されるメタリックペイントのために、或いは工業用ペイントのために使用することができる。これらのペイントは水性ペインとであることが可能である。本発明の組成物は、メタリックな(金属質の)外観を有する印刷用インク、或いはメタリックな外観を有するプラスチックを調製するために使用することもできる。これらの種々の用途は、本発明の別の特定の主題を構成する。
【0070】
本発明による組成物を含むメタリックペイント組成物、特に水性メタリックペイントを含む組成物も、本発明による顔料組成物を導入されているメタリックな外観を有する印刷用インク及びメタリックな外観を有するプラスチックと同様に、本発明の別の特定の主題を構成する。
【0071】
本発明の特性及び種々の利点が、下記実施例に照らしてより一層明らかになる。
【実施例】
【0072】
実施例1:本発明による顔料組成物の調製
内径500mm及び内部深さ200mmのバッフルバーを備えた水平円筒ミル内に、直径2mmの鋼球32kgを導入した。噴霧によって得られたアルミニウム粉末800g(d10=4μm、d50=11μm及びd90=19μm)(Toyal Europe S.A.によって販売されているアルミニウム)、及びホワイトスピリット2,800g(Cepsaによって販売されているPeetrosol 15A/15−20)を、続いてこのミル内に導入した。アルミニウムとホワイトスピリットとの混合物に、1分当たり24回転で30分間の摩砕を施し、これに続いて、ホワイトスピリット2,700g中のオクタデシルトリメトキシシラン80gの分散体をミルに添加した。8時間にわたって1分当たり24回転で摩砕を続けた。
【0073】
なお、この実施例において使用されたアルミニウム粉末は、自然の状態で、その表面に吸着された微量の水を含む。この水は、導入されたシラン分子の加水分解を可能にするのに十分である。
【0074】
摩砕が終結すると、スラリーが得られ、そしてこのスラリーを、38μmの篩にかけ、次いで25ミクロンの篩にかけた。こうして篩にかけられたペーストを続いて真空濾過することによって、顔料ペーストを得た。この顔料ペーストを所要量のホワイトスピリットの存在において混合することによって、顔料ペーストの不揮発性材料レベルを65℃にした。
【0075】
得られたペーストに、続いて、15日間にわたって50℃の温度で熟成工程を施した。
【0076】
実施例2:本発明による顔料組成物の調製
直径2mmの鋼球32kgが充填された実施例1のミルに、実施例1において使用されたようなアルミニウム粉末800g(d10=4μm、d50=11μm及びd90=19μm)、ホワイトスピリット2,800g(Cepsaによって販売されているPeetrosol 15A/15−20)、及び1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン4gを導入した。この混合物に、1分当たり24回転で30分間の摩砕を施し、これに続いて、ホワイトスピリット2700g中のオクタデシルトリメトキシシラン80gの分散体をミルに添加した。8時間にわたって1分当たり24回転で摩砕を続けた。
【0077】
摩砕が終結すると、スラリーが得られ、そしてこのスラリーを、38ミクロンの篩にかけ、次いで25ミクロンの篩にかけた。こうして2回篩にかけられたペーストを続いて真空濾過することにより、顔料ペーストを得た。顔料ペーストを所要量のホワイトスピリットの存在において混合することによって、顔料ペーストの不揮発性材料レベルを65℃にした。
【0078】
ペーストに、続いて、15日間にわたって50℃の温度で熟成工程を施した。
【0079】
実施例3:水性媒質中での耐蝕性の試験
実施例1の終結時に得られた熟成顔料ペーストに、「ガス発生」試験を施した。「ガス発生」試験は、水性相ペイント系中に顔料を配合し(顔料を金属アルミニウム濃度4%の比率で、pH7.8〜8.2の水性ポリエステルペイント組成物中に導入)、次いで、この配合物中のアルミニウム顔料の腐蝕によって生成する水素の量を測定することからなる。この「ガス発生」試験は40℃で行った。
【0080】
比較のために、同一条件下(粉末、ミル、ボール、温度、及び回転速度など)でホール法に基づいてオレイン酸の存在において摩砕することにより得られた同じ重量の従来の顔料について、同じ「ガス発生」試験を実施した。本発明の顔料について実施された「ガス発生」試験中に放出された水素の容積は、50時間後でも4mlを上回らなかった。これに対して、従来の顔料では、放出された水素の容積は、4時間後に6mlを上回り、6時間後には20mlを上回った。この実施例は、ホール法による顔料組成物の耐蝕性よりも著しく高い、本発明の顔料組成物の耐蝕性を明示している。
【0081】
実施例4:比色特性
実施例3において試験された2種の顔料ペーストを、溶剤系ペイント系中で(ポリアクリル型ペイント中、金属アルミニウム濃度5%の比率で)調製した後、比色特性をX−Rite MA68比色計で分析した。
【0082】
実施例1の熟成済組成物及びホール型組成物の特性を下記表1に示す。
【0083】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属アルミニウムに基づく粒子(p)を含む顔料組成物であって、前記粒子(p)が、平均厚5nm以下の表面酸化層を有し、前記粒子(p)が、保護層で被覆されており、前記保護層が、[粒子]−Al−O−Si−R結合を介して前記粒子(p)の表面に結合している炭化水素鎖Rを有する、顔料組成物。
【請求項2】
前記粒子(p)が、平均寸法500μm又はそれ未満の異方性粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粒子(p)が、平均横方向直径500μm又はそれ未満及び平均厚3μm又はそれ未満のフレーク型の粒子である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記粒子(p)のアスペクト比(平均横方向直径に対する平均厚の比)が1/5〜1/1000である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子(p)の比表面積が、0.5〜500m/gである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記炭化水素鎖Rが、
炭素原子数1〜30のアルキル鎖;
炭素原子数1〜30の、完全又は部分的にフッ素化され、且つ随意にヒドロキシル化されているアルキル鎖;
炭素原子数1〜30のアルケニル又はアルキニル鎖;
炭素原子数6〜30の環状で、芳香族の、随意にハロゲン化された炭化水素鎖;
1つ以上のアミン官能基によって置換されている炭素原子数1〜30の炭化水素鎖;
炭素原子数3〜30であり且つ重合可能基を有する炭化水素鎖
から選択されている、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記粒子(p)の表面に結合している炭化水素鎖Rの平均量が、1m当たり10μmol以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記粒子(p)を乾燥状態で含む粉末の形態で、又は前記粒子(p)を水性媒質中に含む分散体の形態で、又は前記粒子(p)を溶剤媒体中に含む分散体の形態で提供される、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
いかなる脂肪酸又は脂肪酸塩も含有しない、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、下記化合物の存在において、金属アルミニウムに基づく粒子(p)を、機械的応力下で変形させることからなる工程(E)を含む、組成物の製造方法:
(i)下記式(I)に相当するシラン:
【化1】

(Rは請求項1又は請求項6に定義された炭化水素鎖を表し、
Aは加水分解可能基を意味し、且つ
互いに同一又は異なっているR1及びR2は、それぞれ下記のいずれかの基を表す:
基Aと同一又は同一でない加水分解可能基、
鎖Rと同一又は同一でない炭化水素鎖、又は
下記の式(II)の基:
【化2】

(Bは、随意に酸素原子によって中断された炭化水素であり、
A′は、Aに関して上述した意味のうちの1つを有し、
R′は、Rに関して上述した意味のうちの1つを有し、
R′1は加水分解可能基又は炭化水素鎖を意味する));
(ii)少なくとも痕跡量の水;及び随意に、
(iii)有機溶剤。
【請求項11】
化合物(i)、(ii)及び随意に(iii)の存在において、ミル内で機械的応力下で前記粒子(p)を変形させることによって、工程(E)を実施する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(E)において使用される前記粒子(p)が、0.1〜100μmの初期粒子サイズを有する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
工程(E)において使用される前記粒子(p)が、予め有機鎖でグラフトされている粒子である、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
使用される式(I)のシラン中において、前記加水分解可能基が、クロロ、アルキルオキシル及びアリールオキシル基から選択される、請求項10〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
工程(E)において使用されるシラン(I)の量が、アルミニウム1kg当たり40g又はそれよりも多い、請求項10〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
工程(E)において使用される前記溶剤(iii)が、脂肪族炭化水素の混合物及び/又は芳香族炭化水素の混合物から選択される、請求項10〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
工程(E)において使用される前記有機溶剤(iii)の量が、アルミニウム1kg当たり1〜10kgである、請求項10〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
工程(E)を、温度10〜80℃で実施する、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、工程(E)に続いて、20℃又はそれよりも高い温度で24時間以上にわたって前記媒質を静置することからなる熟成工程を含む、請求項11〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、工程(E)及び任意の熟成工程に続いて、前記溶剤を除去し、それによって粉末状の組成物を得る工程を含み、続いて前記組成物を随意に、溶剤相中に分散させ、それによって分散体の形態の組成物を得ることができる、請求項11〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜9のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、下記の(i′)及び(ii′)化合物の存在において、不活性ガス雰囲気下で、金属アルミニウムに基づく粒子(p′)を機械的応力下で変形させることからなる工程(E′)を含む、組成物の製造方法:
(i′)請求項10に記載の一般式(I)に相当するシラン;及び
(ii′)少なくとも痕跡量の水。
【請求項22】
メタリックペイントの調製、金属質の外観を有する印刷用インクの調製、又は金属質の外観を有するプラスチックの調製のための、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物、又は請求項10〜21のいずれかに記載の方法によって得られる組成物の使用。
【請求項23】
請求項1〜9のいずれかに記載の組成物、又は請求項10〜21のいずれかに記載の方法によって得られる組成物を含む、メタリックペイント組成物。

【公表番号】特表2006−501345(P2006−501345A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540879(P2004−540879)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002897
【国際公開番号】WO2004/031304
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【出願人】(505121497)トワイヤル ウロップ ソシエテ アノニム (1)
【出願人】(505121501)ユニベルシテ ドゥ ボルドー アン (1)
【Fターム(参考)】