説明

金属ガラスの鋳造金型

【課題】金属ガラスの収縮の影響により成形体を損傷することなく形成できる金属ガラスの鋳造金型を提供する。
【解決手段】第1モールドベースと第2モールドベースを対向配置させ、パーティングライン面を介して内部にキャビティーを形成し、前記キャビティー内に金属ガラス溶湯を流し込み、固化させて成形体を得る鋳造金型であって、前記キャビティーは、第1成形部と第2成形部と、前記第1成形部と前記第2成形部とを連通する第3成形部と、を備え、前記第3成形部側を構成する前記第1成形部の第1成形面および前記第2成形部の第2成形面を備え、前記第1成形面および/または前記第2成形面と前記パーティングライン面とのなす角度θが0°≦θ≦45°であり、前記第一モールドベースと前記第2モールドベースと、は弾性部材を介して固定部材により前記パーティングライン面の開放が抑制される金属ガラスの鋳造金型。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ガラスの鋳造金型に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の金属材料を主成分として、所定の条件を満たす元素を含む材料を混合した原材料を、溶融状態から急速に冷却すると、結晶が形成される前のランダムな非晶質状態の合金が形成される場合がある。このような合金は、所定の温度領域においてガラスの性質を有することから、「金属ガラス合金」と呼ばれている。この金属ガラス合金(以下、金属ガラスという)は、高強度、低ヤング率、高耐食性の性質のほかに優れた磁気特性(高透磁率、低磁気保持力)を持っていることから、例えばトランスやチョークコイル、磁気センサーなどの磁気部品として用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−119826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、円環形状の金属ガラスからなる磁気部品を射出成形により形成することが記載されている。しかし、上述したように金属ガラスの成形には溶融状態から急速に、成形金型内で冷却する必要があり、その際には金属ガラスは大きな収縮が発生することから、金属ガラス収縮が発生しても、成形体に損傷がでないように特許文献1には円環状の形状や、柱状形状などの単純な形状の製品を成形することが記載されるに留まっていた。
【0005】
そこで、形状が入り組んだ複雑形状の製品を成形しても、金属ガラスの収縮の影響により成形体を損傷することなく成形体を得ることができる金属ガラスの鋳造金型を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも上述の課題の一つを解決するように、下記の形態または適用例として実現され得る。
【0007】
〔適用例1〕本適用例による金属ガラスの鋳造金型は、第1モールドベースと第2モールドベースを対向配置させ、パーティングライン面を介して内部にキャビティーを形成し、前記キャビティー内に金属ガラス溶湯を流し込み、固化させて成形体を得る鋳造金型であって、前記キャビティーは、第1成形部と第2成形部と、前記第1成形部と前記第2成形部とを連通する第3成形部と、を備え、前記第3成形部側を構成する前記第1成形部の第1成形面および前記第2成形部の第2成形面を備え、前記第1成形面および/または前記第2成形面と前記パーティングライン面とのなす角度θが0°≦θ≦45°であり、前記第一モールドベースと前記第2モールドベースと、は弾性部材を介して固定部材により前記パーティングライン面の開放が抑制される、ことを特徴とする。
【0008】
液状の金属ガラス溶湯を鋳造用の金型に注入し、金属ガラス部品を成形する際に、金属ガラス溶湯を含む金型を急速冷却する工程が必須である。この急速冷却により液状から固体へ変化する金属ガラスは大きな収縮を発生する。この収縮によって金型内部のキャビティー内で縮まろうとする金属ガラス成形体は、金型によって収縮が規制されて成形体に内部応力が発生し、強度の脆弱な部位が破壊する虞があった。
【0009】
特に、第3成形部を挟んで対向配置される第1,第2成形部を有する金型によって成形される成形体では、第1,第2成形部が第3成形部で成形される成形体の部位の収縮を規制することとなり、第3成形部による成形体部位に破壊が生じ易くなってしまう。そこで、上述の適用例によれば、第1,第2成形部の互いに対向する成形面である第1成形面および第2成形面を第3成形部における成形体部位の収縮方向となる連通方向に対して、45°以下の角度を有する斜面に形成することで、第1成形面および第2成形面に対応する成形体部位の斜面が、第1成形面および第2成形面の斜面を楔のように第3成形部によって成形された成形体部位の収縮によって、収縮方向に入り込み、第1モールドベースと第2モールドベースとを離間させる。
【0010】
第1モールドベースと第2モールドベースとは弾性部材を介して固定部材で固定されていることで、第1モールドベースと第2モールドベースとが離間しようとする挙動を弾性部材によって許容することができるため、第1成形面および第2成形面の斜面を楔のように第3成形部によって成形された成形体部位の収縮によって、収縮方向に入り込むことを妨げず、よって第3成形部によって成形される成形体部位の破壊を防止することができ、鋳造成形による金属ガラス部品の歩留まり向上、品質向上を達成することができる。
【0011】
〔適用例2〕上述の適用例において、前記弾性部材は、円形断面形状の弾性エラストマー、またはゴムである、ことを特徴とする。
【0012】
上述の適用例によれば、入手容易なゴム、あるいは弾性エラストマーを用いることで金型コストの低減を図ることができる。本適用例に用いる弾性エラストマーまたはゴムは軟らかい硬度の材料を用いることにより、モールドベースが離間しようとする挙動に対して容易に追従させることができ、成形体の収縮の抑制をより緩和させることができる。また、弾性部材として弾性エラストマーまたはゴムを用いる場合、金型を固定部材により締め付ける際の調整ストローク(調整幅)を大きく取れる円形断面形状であることが好ましい。円形断面形状とすることにより、成形体の収縮に対する金型の開きを抑制する力を、調整することが可能となる。なお、ゴムを用いる場合には物性的に安定し、耐熱性の良好なNBR(Nitril−Butadiene Rubber:ニトリルブタジエンゴム)を用いることが好ましい。
【0013】
〔適用例3〕上述の適用例において、前記弾性部材は、コイルばね、または板ばねである、ことを特徴とする。
【0014】
上述の適用例によれば、金属ガラス溶湯を金型に注入する圧力条件、例えば比較的高い圧力で注入する場合には、高い圧縮力を得られるコイルばね、あるいは板バネを用いることで、溶湯注入時の型開きを防止することができる。
【0015】
〔適用例4〕上述の適用例において、前記キャビティー内部に窒化ボロンが塗布されていることを特徴とする。
【0016】
上述の適用例によれば、第1成形面および第2成形面に対応する成形体部位の斜面が、第1成形面および第2成形面の斜面を楔のように第3成形部によって成形された成形体部位の収縮によって、滑るように収縮方向に入り込む際の滑り抵抗を軽減し、更に、第3成形部によって成形された成形体部位の破壊を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る金型を示し、(a)は分解斜視図、(b)は(a)のA−A´部の断面図。
【図2】実施形態に係る金型により成形される成形体を示し、(a)は斜視図、(b)は裏平面図。
【図3】実施形態に係る金型の断面図。
【図4】実施形態に係る金型による成形方法を示す断面図。
【図5】実施形態に係る金型による成形方法を示す断面図。
【図6】実施例に係る成形体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
【0019】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る金属ガラスの鋳造金型を示し、図1(a)は分解斜視図、図1(b)は組立状態の(a)に示すA−A´位置の概略断面図である。図1(a)に示すように金属ガラス鋳造金型100(以下、金型100という)は、第1モールドベース10(以下、第1モールド10という)と第2モールドベース20(以下、第2モールド20という)とを備えている。図1(b)に示すように、第1モールド10の、成形体形状を形成するキャビティーの一方を構成する彫り込み部10aが形成される第1モールド面10bと、第2モールド20の、キャビティーの他の一方を構成する彫り込み部20aが形成される第2モールド面20bと、を対向させて密着させ、成形用キャビティー100aを形成する。
【0020】
彫り込み部10a,20aを避け、第1モールド10と第2モールド20を固定する固定部材としてのボルト30によって、本例では第1モールド10に設けたネジ孔10cに、ボルト30のネジ部30aをねじ込み、ボルト30の頭部30bが第2モールド20に設けた段孔20cの段部20fを押さえ、第2モールド20が第1モールド10に固定される構成となっている。
【0021】
ボルト30の頭部30bと第2モールド20の段孔20cの段部20fとの間には、弾性部材としてのゴム製パッキン40(以下、ゴムパッキン40という)が挟持される。本例では、ゴムパッキン40によって説明するが、これに限定はされない。例えば、コイルバネ、板バネ、あるいは弾性エラストマーなどが好適に用いられる。特に、耐熱性能を優先する場合には金属製のコイルバネ、板バネが好ましい。
【0022】
ゴムパッキン40は、後述する第1モールド10と第2モールド20の相対的な挙動に対して容易に追従させることができることから、軟らかい硬度のNBR(Nitril−Butadiene Rubber:ニトリルブタジエンゴム)を用いることが好ましい。また、ゴムパッキン40の断面形状40aは、金型を固定部材により締め付ける際の調整ストローク(調整幅)を大きく取れることから、円形断面形状とした。ゴムパッキン40の断面形状40aを円形断面形状とすることにより、成形体の収縮に対する金型の開きを抑制する力を、調整することが可能となる。なお、金型100の1個内において、弾性部材として上述のゴム、弾性エラストマー、コイルばね、板ばねのいずれかを、金型100に生じる挙動条件に合わせて適宜混在させて用いても良い。
【0023】
このように構成される金型100は、第1モールド面10bと第2モールド面20bとが密着し、彫り込み10a,20aによってキャビティー100aが形成されるが、第1モールド面10bと第2モールド面20bとの密着部、いわゆる型合せ面をPL(パーティングライン:Parting Line)面、あるいは単にPLともいう。またキャビティー100aと連通する湯口100eが形成され、湯口100eより金属ガラスの溶湯を流し込み、キャビティー100a内で冷却してキャビティー100aと同形状の金属ガラス成形体を成形する。
【0024】
図2は、金型100によって成形される成形体50の概要を示し、(a)は概略斜視図、(b)は(a)に示す矢印Q方向矢視図(裏平面図)である。図2(a)に示すように、成形体50は、第1形成部50a、第2形成部50bと、第1形成部50aと第2形成部50bとを連結する第3形成部50cと、を備える。第3形成部50cは、本例では断面形状50dは略矩形状を備える棒状の形態を備えている。なお、第3形成部50cの断面形状50dは矩形状断面に限定されず、円形、あるいは楕円、トラック形状であっても良い。
【0025】
成形体50を成形する金型100の、図2(a)に示す成形体50の切断面Bに対応する金型100の断面図を図3(a)に、切断面Cに対応する金型100の断面図を図3(b)に示す。なお、図2に示す切断面Bおよび切断面Cは、第3形成部50cの延伸方向P(図示矢印)と平行な方向を面内に含んでいる。図3(a)に示すように、金型100の第1モールド10と第2モールド20には図2に示す成形体50を形成するためのキャビティー100aが形成されている。キャビティー100aは、成形体50の第1形成部50aを成形する第1成形部100bと、第2形成部50bを成形する第2成形部100cと、第1成形部100bと第2成形部100cとを連通して第3形成部50cを成形する第3成形部100dと、を備える。
【0026】
また、金型100は、第1成形部100bと第3成形部100dとが交接するp1およびp2、すなわち図2(a),(b)における第1形成部50aと第3形成部50cとの交接線c1および交接線c2、を含む第1成形面としての第1モールド10の第1斜面10dと第2モールド20の第1斜面20dを備えている。同様に、第2成形部100cと第3成形部100dとが交接するp3およびp4、すなわち図2(a),(b)における第2形成部50bと第3形成部50cとの交接線c3および交接線c4、を含む第2成形面としての第1モールド10の第2斜面10eと第2モールド20の第2斜面20eを備えている。
【0027】
金型100の第1斜面10d,20d、第2斜面10e,20eは、図2において成形体50の、第1斜面10dは面m1を、第1斜面20dは面m2を、第2斜面10eは面m3を、第2斜面20eは面m4を、成形する斜面である。
【0028】
図3に示すように、第1斜面10d,20dおよび第2斜面10e,20eは、第3形成部50cの延伸方向P(図2参照)と平行な方向を面内に含む切断面Bおよび切断面Cの面内において、PL面との角度θの斜面である。角度θは0°≦θ≦45°の条件で設定されることが好ましい。なお、θは第1斜面10d,20dおよび第2斜面10e,20eにおいて同じでなくても良く、0°≦θ≦45°の条件を満足する範囲で、第1斜面10d,20dおよび第2斜面10e,20eの角度が各々異なっても良い。
【0029】
上述の金型100を用いて、成形体50を成形する工程の一部を図4に示す。図4(a)に示すように金属ガラスの溶融注入装置60から溶融された金属ガラス溶湯Mを、所定の圧力を加えて、金型100に湯口100eより注入する。
【0030】
金属ガラス溶湯Mが注入完了後、金型100を急冷し金属ガラス溶湯を急冷することにより金属ガラスの成形体50を得ることができる。図4(b)は、金型100を急冷し金属ガラス溶湯が固化した状態を示す。約1000℃の金属ガラス溶湯Mを急冷することによって、金属ガラスは液状から固体へ変化する。このとき、金属ガラスは約1%の収縮率で収縮する。図4(b)に示すD,E部の拡大図である図4(c)に示すように、液状の金属ガラスが固体化し成形体50となったとき、収縮によって成形体50の面m1は第1斜面10dに、面m2は第1斜面20dに、面m3は第2斜面10eに、面m4は第2斜面20eに、対して重なりd1,d2、d3,d4を生じてしまう。この重なりd1,d2、d3,d4は、実質的には第1斜面10d、20dおよび第2斜面10e,20eによって収縮を規制され、図4(b)に示す収縮した状態の成形体50の第3形成部50cに引っ張り力が掛かってしまう。
【0031】
しかも、上述した通り、金属ガラス溶湯Mは金型100を急速に冷却して成形体50を得る工程としているため、金属ガラス溶湯Mからの固化も急速に進み、急激な収縮が発生する。従って、第3形成部50cに係る収縮による引っ張り力は衝撃的な発生となり、容易に第3形成部50cを破壊に導くものである。
【0032】
この金属ガラスの収縮によって生じる成形体50と金型100との干渉を、図5に示すように第1モールド10と第2モールド20を固定する固定部材としてのボルト30の頭部30bと第2モールド20とにより挟持されるゴムパッキン40によって第1モールド10と第2モールド20が離間可能に固定することにより緩和することができる。
【0033】
収縮によって成形体50は、金型100のキャビティー100aより小さくなる。このとき、例えば、第1形成部50aの面m1あるいは面m2が、第1モールド10の第1斜面10dあるいは第2モールド20の第1斜面20dにより規制されると、第2形成部50bの面m3および面m4は、第1モールド10の第2斜面10eおよび第2モールド20の第2斜面20eとの重なりが発生する。
【0034】
しかし、第2斜面10e,20eはPL面に対してθの角度を備える斜面であり、この斜面により成形される第2形成部50bの面m3,m4も略同じ角度を備える斜面に成形されている。このことにより、第2形成部50bの面m3,m4部分が楔となって、第2斜面10e,20eを押し拡げる作用が働く。その結果、第2モールド20は第1モールド10から離間し、PL部に隙間ができる。すなわち、第3形成部50cにおける収縮が妨げられないように、第2形成部50bが第2斜面10e,20eを滑りながら第2モールド20を、図示では押し上げるようにして成形体50の所定の収縮を、キャビティー100a内部で可能にするものである。
【0035】
このとき、ボルト30の頭部30bと、第2モールド20の段孔20cの段部20fに挟持される弾性を有するゴムパッキン40には、第2モールド20の離間量α分、圧縮可能な圧縮代が設定されており、第1モールド10と第2モールド20とを所定の固定力で押さえつける状態から、α分の圧縮が許容されることとなり、第2モールド20の離間量αが吸収される。
【0036】
なお、本実施形態に示す弾性部材(ゴムパッキン40)は、ゴムパッキンに限定されず、例えばコイルバネ、板バネ、弾性エラストマーなどの高弾性性を有する部材であれば良く、金属ガラス成形では高温環境において使用されることから、耐熱性に優れる部材を用いることがなお好ましい。また、金属ガラス溶湯はキャビティー100a内に注入される際には所定の圧力が加えられるが、注入圧力を大きくしなければならない場合には、圧縮力を大きくすることができるコイルばねや板ばねを用いることがより好ましい。また、上述のように成形体50と金型100とが互いに接触しながら滑る部分が発生するため、キャビティー100a面に潤滑剤として窒化ボロンなどを塗布することが好ましい。
【0037】
また、第1モールド10と第2モールド20とは、相対的に離間させるため、固定部材のすべてが弾性部材を介して第1モールド10と第2モールド20とが固定されるようにすることが好ましい。なお、本例ではボルト30を固定部材として用いて、第1モールド10に形成したネジ孔10cにボルト30のネジ部30aが固定されるようにし、頭部30b側、すなわち第2モールド20に弾性部材としてのゴムパッキン40を用いたが、これに限定されない。例えば、金型100にはネジ孔10cを形成せず、ボルトとナットによって第1モールド10と第2モールド20とを挟持し固定することもできる。この場合、ボルト頭部とモールドとの間、およびナットとモールドとの間の両方に弾性部材を挟持させても良い。
【0038】
上述したように、第2形成部50bの面m3,m4による楔作用は、面m3,m4の角度θが浅い方がモールドを押し拡げる作用は大きいが、0≦θ≦45°とするのが好ましく、0≦θ≦30°とするのがなお好ましい。また、θは図2に示す切断面C(第3形成部50cの第1形成部50aと第2形成部50bとの接続方向Pの方向に平行な面)位置においても同様である。
【0039】
(実施例)
図6(a)に示す形状のモーター用磁心を、軟磁気特性を有するコバルト基金属ガラスにより成形した。また。図6(a)の側面図に示す角度θが、θ=0°の場合を実現する試料として図6(b)に示す丸棒を成形した。成形されたモーター用磁心を、金型から取り出した時点での成形率、すなわち成形状態での良品率を確認し、表1の結果を得た。
【0040】
【表1】

【0041】
表1から、テーパーを設けない、すなわちθ=90°ではすべての成形体が不良となってしまった。しかし、θ≦45°では成形率はθ=45°では37%、θ=30°では83%と、θ=90°に対して格段の高い成形率となった。更に、θ=0においては成形率100%を得ることができた。しかし、本願発明の適用は、複雑形状の製品に適用される、すなわちθ>0が現実的であり、よって、θは0≦θ≦45°、更には0≦θ≦30°の範囲で設定することが好ましいことが分かった。
【符号の説明】
【0042】
10…第1モールドベース(第1モールド)、20…第2モールドベース(第2モールド)、30…ボルト、40…ゴムパッキン、100…鋳造金型(金型)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モールドベースと第2モールドベースを対向配置させ、パーティングライン面を介して内部にキャビティーを形成し、前記キャビティー内に金属ガラス溶湯を流し込み、固化させて成形体を得る鋳造金型であって、
前記キャビティーは、第1成形部と第2成形部と、前記第1成形部と前記第2成形部とを連通する第3成形部と、を備え、
前記第3成形部側を構成する前記第1成形部の第1成形面および前記第2成形部の第2成形面を備え、
前記第1成形面および/または前記第2成形面と前記パーティングライン面とのなす角度θが0°≦θ≦45°であり、
前記第一モールドベースと前記第2モールドベースと、は弾性部材を介して固定部材により前記パーティングライン面の開放が抑制される、
ことを特徴とする金属ガラスの鋳造金型。
【請求項2】
前記弾性部材は、円形断面形状の弾性エラストマー、またはゴムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属ガラスの鋳造金型。
【請求項3】
前記弾性部材は、コイルばね、または板ばねである、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属ガラスの鋳造金型。
【請求項4】
前記キャビティー内部に窒化ボロンが塗布されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の金属ガラスの鋳造金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−161810(P2012−161810A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23651(P2011−23651)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】