金属サイディング
【課題】外観性、連結安定性に優れた金属サイディングを提供すること。
【解決手段】２つの金属サイディング１のうちの一方の凹部５と、他方の凸部６とを凹凸嵌合させると、前記凹部５の内側面部の先端部と凸部６の目地底面部とが線接触し、前記凹部５の第１の傾斜面部と前記凸部６の第２の傾斜面部とが面接触し、前記凹部５の突出部の先端部と前記凸部６の先端面部が線接触し、前記凹部５の当接面部と前記凸部６の起立部とが面接触する金属サイディング１とする。
【解決手段】２つの金属サイディング１のうちの一方の凹部５と、他方の凸部６とを凹凸嵌合させると、前記凹部５の内側面部の先端部と凸部６の目地底面部とが線接触し、前記凹部５の第１の傾斜面部と前記凸部６の第２の傾斜面部とが面接触し、前記凹部５の突出部の先端部と前記凸部６の先端面部が線接触し、前記凹部５の当接面部と前記凸部６の起立部とが面接触する金属サイディング１とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金属サイディングに関する。
【背景技術】
【０００２】
金属サイディングは、経年変化に対する耐久性が高く、軽量で取り扱いやすく、また、エンボス加工によって表面に様々な凹凸形状、模様等の意匠が簡単に表わせるため、建物の外壁などの外装材に広く利用されている。
【０００３】
従来、このような金属サイディングは、通常、対向する上下または左右の端部のうちの一方の端部に凹部が形成され、他方の端部に凹部と凹凸嵌合可能な凸部が形成されている。この凹部と凸部の凹凸嵌合によって連結させることで、金属サイディングを建物の外壁面などに沿って上下方向または左右方向に組み付けている。そして、金属サイディングの連結部では、連続する表面凹凸が途切れているような違和感が生じやすいという問題がある。
【０００４】
そこで、例えば、特許文献１には、連結部の違和感が少ない金属サイディングが提案されている。
【０００５】
図７（a）は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凹部（雌型連結部）を示した断面図である。図７（b）は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凸部（雄型連結部）を示した断面図である。図８は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凹部と凸部とを凹凸嵌合させて連結させた状態を示した断面図である。
【０００６】
図７（a）に示したように、金属サイディング７の下端の凹部８（雌型連結部）は、係合溝８５を備えている。係合溝８５は、裏面側に屈曲した側壁８１と、側壁８１の先端を上方に屈曲した上片８２と、裏面側へ突出した嵌合突起８３と、上片８２の先端を下方に屈曲した係合片８４とによって形成されている。また、図７（b）に示したように、金属サイディング７の上端の凸部９（雄型連結部）には、裏面側に屈曲した側壁９１と、側壁９１の先端を上方に屈曲した目地底面９２と、裏面側へ窪む嵌合窪部９３と、目地底面９２の先端を内方に傾斜して屈曲した傾斜下面９４とからなる嵌合片９５が形成されている。
【０００７】
さらに、特許文献１の金属サイディング７は、係合溝８５の開口角度θ３と嵌合片９５の角度θ４は、θ３＜θ４の関係となっている。
【０００８】
そして、図８に示したように、固着具Ｇによって、下側の金属サイディング７Ａを建物躯体Ｈに固定し、上側の金属サイディング７Ｂの凹部８の係合溝８５を上側から金属サイディング７Ａの凸部９の嵌合片９５に嵌め込んで凹凸嵌合させる。すると、係合片８４の先端が嵌合片９５の傾斜下面９４に線接触するとともに、嵌合突起８３と嵌合窪部９３とが嵌合する。このとき、係合溝８５の開口角度θ３＜嵌合片９５の角度θ４の関係となっていることで、金属サイディング７Ａが傾斜下面９４の傾斜に沿って躯体側へ引っ張られるように移動するため、嵌合突起８３と嵌合窪部９３の嵌合が強固になる。このため、金属サイディング７Ａ、７Ｂの連結部の違和感が少なく、表面凹凸が連続している印象を与えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開2010−101085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
しかしながら、特許文献１の金属サイディング７は、連結安定性を確保するために嵌合突起８３と嵌合する嵌合窪部９３が設けられているため外観性が低下している。したがって、特許文献１の金属サイディング７では、連結部の外観性に改善の余地があると考えられる。
【００１１】
さらに、特許文献１の金属サイディング７は、係合片８４と、嵌合片９５の傾斜下面９４とが線接触しており、この接触部分以外では、係合片８４と嵌合片９５の傾斜下面９４との間に隙間が形成されている。このため、嵌合突起８３が嵌合窪部９３へ押しつけられることによって、金属サイディング７Ｂの嵌合片９５は、係合溝８５内で前後方向への傾き、ぐらつきを生じる恐れがあり、連結安定性が必ずしも十分でないという問題がある。
【００１２】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、外観性、連結安定性に優れた金属サイディングを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
上記の課題を解決するために、本発明の金属サイディングは、対向する端部のうちの一方の端部に凹部が形成され、他方の端部に前記凹部と凹凸嵌合可能な凸部が形成され、前記凹部と前記凸部の凹凸嵌合によって隣接する金属サイディングが相互に連結可能な金属サイディングであって、前記凹部は、表面側の接触片と、奥行き側の固定片とが連結部を介して形成されており、前記接触片は、化粧面部と、この化粧面部から奥行き側へ屈曲する屈曲面部と、この屈曲面部から折り返して前記化粧面部側に傾斜する内側面部とを有し、前記連結部は、前記接触片の前記内側面部の端部から奥行き方向へ延びる突出部を有し、前記固定片は、前記連結部の奥行き側端部から金属サイディングの端部外側へ延びる当接面部と、この当接面部の先端部から奥行き側へ傾斜して延びる第１の傾斜面部と、この第１の傾斜面部から金属サイディングの端部内側へ折り返して延びる背面部とを有し、前記凸部は、表面側に設けられた挿入部と、奥行き側に設けられた嵌合溝とを有し、前記挿入部は、表面側の目地底面部と、この目地底面部の先端部から奥行き側へ傾斜して延びる先端面部と、この先端面部の先端部から金属サイディングの端部内側へ延びる起立部とを有し、前記嵌合溝は、少なくとも、前記起立部と、この起立部の端部から奥行き側へ傾斜して金属サイディングの端部内側へ延びる第２の傾斜面部とによって形成されているとともに、この第２の傾斜面部は前記第１の傾斜面部よりも急勾配に形成されており、２つの金属サイディングのうちの一方の前記凹部と、他方の前記凸部とを凹凸嵌合させると、前記凹部の前記内側面部の先端部と前記凸部の前記目地底面部とが線接触し、前記凹部の前記第１の傾斜面部と前記凸部の前記第２の傾斜面部とが面接触し、前記凹部の突出部の先端部と前記凸部の前記先端面部が線接触し、前記凹部の前記当接面部と前記凸部の前記起立部とが面接触することを特徴としている。
【００１４】
この金属サイディングでは、前記凹部の前記連結部には、前記突出部の端部から金属サイディングの端部内側に窪む水密材収納部が形成されており、２つの金属サイディングのうちの一方の前記凹部と、他方の前記凸部とを凹凸嵌合させると、前記凸部の前記先端面部が前記水密材収納部に挿入されることが好ましい。
【発明の効果】
【００１５】
本発明の金属サイディングによれば、外観性、連結安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の金属サイディングの一実施形態を例示した断面図である。
【図２】図１のＸ部の拡大図である。
【図３】図１のＹ部の拡大図である。
【図４】本発明の金属サイディングのうちの一方の凹部と他方の凸部とを凹凸嵌合させる状態を例示した断面図である。
【図５】本発明の金属サイディングのうちの一方の凹部と他方の凸部とを凹凸嵌合させる状態を例示した断面図である。
【図６】本発明の金属サイディングのうちの一方の凹部と他方の凸部とを凹凸嵌合させて連結した状態を例示した断面図である。
【図７】（a）は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凹部（雌型連結部）を示した断面図である。（b）は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凸部（雄型連結部）を示した断面図である。
【図８】特許文献１の金属サイディング（外装材）の凹部と凸部とを凹凸嵌合させて連結させた状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
本発明の金属サイディングは、対向する端部のうちの一方の端部に凹部が形成され、他方の端部にこの凹部と凹凸嵌合可能な凸部が形成され、この凹部と凸部の凹凸嵌合によって隣接する金属サイディングが相互に連結可能とされている。すなわち、金属サイディングは、対向する上下の端部のうちの一方の端部に凹部を、他方の端部に凸部を設けることで、この凹部と凸部の凹凸嵌合によって金属サイディングを上下方向に連結することができる。また、金属サイディングは、対向する左右の端部のうちの一方の端部に凹部を、他方の端部に凸部を設けることで、この凹部と凸部の凹凸嵌合によって金属サイディングを左右方向に連結することもできる。
【００１８】
以下、本発明の金属サイディングについて、対向する上下の端部のうちの一方の端部に凹部を、他方の端部に凸部を設けた形態を例に説明する。
【００１９】
図１は、本発明の金属サイディングの一実施形態を例示した断面図である。
【００２０】
金属サイディング１では、長尺な金属製の薄板からなる表面材２と裏面材３の内部に芯材４が充填されている。表面材２には、上下方向に、凹状の目地部２１と凸状の化粧部２２が交互に連続して形成されている。
【００２１】
表面材２と裏面材３の材料は、金属薄板、例えば鉄板、アルミニウム板、銅板、ステンレス板、チタン板、アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板や、合成樹脂板、例えば、塩化ビニル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板などを例示することができる。表面材２と裏面材３は、これらの材料をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形等して各種形状に形成したものを利用することができる。また、これらの材料の表面を各種色調に塗装したものを利用することもできる。
【００２２】
また、裏面材３は、アルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔（Ａｌ、Ｆｅ、Ｐｂ、Ｃｕ等の箔）、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミニウム紙、ガラス繊維布、ガラス繊維不織布等の１種、または２種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものを利用することもできる。
【００２３】
芯材４は、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノール樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリア樹脂フォームなどの合成樹脂発泡体を例示することができる。また、芯材４は、ロックウール、グラスウール、セラミックウールなどの無機質材を利用することもできる。
【００２４】
金属サイディング１では、対向する上下の端部のうちの下側の端部に凹部５が形成され、上側の端部に、この凹部５と凹凸嵌合可能な凸部６が形成されている。この凹部５と凸部６との凹凸嵌合によって、隣接する金属サイディング１は、相互に上下方向に連結可能とされている。
【００２５】
図２は、図１のＸ部の拡大図である。図３は、図１のＹ部の拡大図である。
【００２６】
金属サイディング１の凹部５では、表面側の接触片５１と、奥行き側の固定片５２とが連結部５３を介して形成されている。
【００２７】
接触片５１では、化粧面部５１aと、この化粧面部５１aの下端部から奥行き側へと延びる屈曲面部５１bと、この屈曲面部５１bから上方へ折り返して化粧面部５１a側へ傾斜して延びる内側面部５１cとが形成されている。
【００２８】
連結部５３は、接触片５１の内側面部５１cの上端部から奥行き方向へ延びる突出部５３aと、突出部５３aの奥行き側端部から上方（金属サイディングの端部内側）に窪む水密材収納部５３bが形成されている。ここで、奥行き方向とは、表面材２（図１に図示）から裏面材３（図１に図示）側への方向をいい、奥行き側端部とは、奥行き方向側に延びた端部をいう。
【００２９】
突出部５３aの先端部Ｔ２は、内側面部５１cの先端部Ｔ１よりも奥行き側に位置している。また、水密材収納部５３bは湾曲形状に形成され、水密材が安定的に収納可能とされている。
【００３０】
固定片５２では、当接面部５２aと、第１の傾斜面部５２ｂと、背面部５２cとが形成されている。当接面部５２aは、連結部５３の水密材収納部５３bの奥行き側端部から下方（金属サイディングの端部外側）に向かって略垂直に延びている。第１の傾斜面部５２ｂは、この当接面部５２aの下端部から奥行き側へ傾斜して下方へ延びて形成されている。背面部５２cは、第１の傾斜面部５２bの端部から上方（金属サイディングの端部内側）へ折り返して延びて形成されている。
【００３１】
金属サイディング１の凸部６は、表面側に設けられた挿入部６Ａと、奥行き側に設けられた嵌合溝６Ｂとを有している。
【００３２】
挿入部６Ａは、目地底面部６１と、先端面部６２と、起立部６３とによって形成されている。
【００３３】
目地底面部６１は、表面側に位置し、略垂直に形成されている。目地底面部６１には凹凸は形成されておらず、面一に形成されている。また、目地底面部６１の寸法は、連結部以外の凹状の目地部２１（図１に図示）の寸法を考慮して設計されている。
【００３４】
先端面部６２は、目地底面部６１の先端部から奥行き側へ傾斜して上方（金属サイディングの端部外側）へ延びて形成されている。
【００３５】
起立部６３は、先端面部６２の先端部から下方（金属サイディングの端部内側）へ略垂直に延びて形成されている。起立部６３は、目地底面部６１と略平行に形成されている。
【００３６】
嵌合溝６Ｂは、起立部６３と、この起立部６３の下端部から奥行き側へ傾斜して下方（金属サイディングの端部内側）へ延びる第２の傾斜面部６４と、この第２の傾斜面部６４の奥行き側端部から上方に延びる固定面６５とによって形成されている。
【００３７】
さらに、金属サイディング１は、凹部５の当接面部５２aと第１の傾斜面部５２bとによって形成される角度θ１（図２に図示）は、凸部６の起立部６３と第２の傾斜面部６４とによって形成される角度θ２（図３に図示）よりも大きく形成されている（θ１＞θ２）。したがって、第２の傾斜面部６４は、第１の傾斜面部５２bよりも急勾配に傾斜して形成されている。
【００３８】
凸部６の挿入部６Ａの幅Ｗ１（目地底面部６１から起立部６３までの長さ）は、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１から固定片５２の当接面部５２aまでの長さＷ２と略等しく設計されている。また、嵌合溝６Ｂの幅Ｌ１（起立部６３から固定面６５までの長さ）は、固定片５２の幅Ｌ２（当接面部５２aと背面部５２cの間の長さ）よりも大きく形成されている。さらに、固定片５２の水密材収納部５３bの底部から当接面部５２aの先端部までの長さＰ２は、起立部６３の長さＰ１よりも長く形成されている。
【００３９】
図４〜図６は、本発明の金属サイディングのうちの一方の凹部と他方の凸部とを凹凸嵌合させる状態を例示した断面図であり、図４から順次、時系列的に例示している。図４〜図６において図２、図３と共通する部分には同一の符号を付し、以下では説明を省略する。
【００４０】
例えば、ネジや釘などの固着具（図示していない）を、下側の金属サイディング１Ａの固定面６５に打ち込み、建物の躯体（図示していない）などに固定することができる。また、上側の金属サイディング１Ｂの凹部５の水密材収納部５３bには、予め水密材Ｐを収納しておくことができる。水密材Ｐは、水密材収納部５３bの断面形状に対応した断面略円形の紐状のものを好ましく使用することができる。水密材Ｐの材質としては、ＥＰＤＭなどの合成ゴムあるいは合成樹脂などが挙げられ、耐水性、柔軟性に優れたものを適宜使用することができる。
【００４１】
金属サイディング１Ｂの凹部５と、金属サイディング１Ａの凸部６とを凹凸嵌合させる際、まず、図４に示したように、凸部６の第２の傾斜面部６４と、凹部５の第１の傾斜面部５２b付近とを当接させることができる。これによって、凹部５の固定片５２を凸部６の嵌合溝６Ｂへと誘い込むことができるため、嵌合作業が容易となっている。
【００４２】
そして、凹凸嵌合を進めると、図５に示したように、凸部６の目地底面部６１と、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１付近とが当接すると同時に、凸部６の起立部６３と凹部５の当接面部５２aとが当接しながら進んでいく。これによって、凸部６の挿入部６Ａが凹部５内に挿入され、凹部５の固定片５２が凸部６の嵌合溝６Ｂ内に挿入される。このとき、凹部５の内側面部５１cが化粧面部５１a側に傾斜していることによって、目地底面部６１と内側面部５１cとの間に空間が形成されているため、凹部５と凸部６との嵌合作業が容易となっている。
【００４３】
図６に示したように、さらに凹凸嵌合を進め、上方から金属サイディング１Ｂを押し込むと、傾斜角度の異なる第１の傾斜面部５２bと第２の傾斜面部６４とが面接触するように金属サイディング１Ｂの全体がわずかに変形する。すなわち、第２の傾斜面部６４は、第１の傾斜面部５２bよりも急勾配で傾斜して形成されているため、金属サイディング１Ｂは、図中矢印Ｙに例示したように建物躯体側へ引っ張られるように動く。このため、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１と凸部６の目地底面部６１とが確実に線接触する。したがって、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１が凸部６の目地底面部６１との間に隙間が生じることがなく、金属サイディング１Ａ、１Ｂの表面凹凸が連続した印象を与え、外観性に優れている。さらに、目地底面部６１には凹凸は形成されておらず、面一に形成されているため、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１と線接触する目地底面部６１付近には違和感が少なく、外観性が一層向上している。なお、線接触とは、凹部５と凸部６との嵌合によって、幾何学的に１本の線が形成される接触をいう。したがって、接触によって形成される線には、多少の屈曲を有するものや、ある程度の幅を有するものなども含まれる。
【００４４】
また、金属サイディング１Ｂが建物躯体側へ引っ張られることによって、凹部５の突出部５３aも建物躯体側へと動き、凸部６の先端面部６２を建物躯体側へと押し込む。これによって、凹部５の突出部５３aと凸部６の先端面部６２とが確実に線接触するとともに、突出部５３aによって先端面部６２が建物躯体側へと押し込まれるため、奥行き側に位置する起立部６３も凹部５の当接面部５２aと確実に面接触する。
【００４５】
このように、凹凸嵌合が完了した状態では、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１と凸部６の目地底面部６１とが線接触し、凹部５の第１の傾斜面部５２bと凸部６の第２の傾斜面部６４とが面接触する。さらに、凹部５の突出部５３aの先端部Ｔ２と凸部６の先端面部６２が線接触し、凹部５の当接面部５２aと凸部６の起立部６３とが面接触する。このため、金属サイディング１Ｂの凹部５内で、金属サイディング１Ａの凸部６の挿入部６Ａが前後方向へ傾いたり、ぐらつきを生じたりする恐れがなく、連結安定性に優れている。
【００４６】
さらに、凹凸嵌合が完了した状態では、水密材収納部５３bに凸部６の先端面部６２が挿入され、水密材Ｐは、凸部６の先端面部６２との接触によって変形している。したがって、変形した水密材Ｐによって雨水の侵入路が遮断されるため、確実に水密性を確保することができる。
【００４７】
本発明の金属サイディングは、以上の形態に限定されるものではない。例えば、金属サイディングは、上端に凹部、下端に凸部を形成することもできる。また、金属サイディングは、対向する左右の端部のうちの一方の端部に凹部を、他方の端部に凸部を設けることもできる。このような凹部と凸部の凹凸嵌合によって金属サイディングを左右方向に連結することもできる。
【符号の説明】
【００４８】
１ 金属サイディング
５ 凹部
５１ 接触片
５１a 化粧面部
５１b 屈曲面部
５１c 内側面部
５２ 固定片
５２a 当接面部
５２b 第１の傾斜面部
５２c 背面部
５３ 連結部
５３a 突出部
５３b 水密材収納部
６ 凸部
６Ａ 挿入部
６Ｂ 嵌合溝
６１ 目地底面部
６２ 先端面部
６３ 起立部
６４ 第２の傾斜面部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金属サイディングに関する。
【背景技術】
【０００２】
金属サイディングは、経年変化に対する耐久性が高く、軽量で取り扱いやすく、また、エンボス加工によって表面に様々な凹凸形状、模様等の意匠が簡単に表わせるため、建物の外壁などの外装材に広く利用されている。
【０００３】
従来、このような金属サイディングは、通常、対向する上下または左右の端部のうちの一方の端部に凹部が形成され、他方の端部に凹部と凹凸嵌合可能な凸部が形成されている。この凹部と凸部の凹凸嵌合によって連結させることで、金属サイディングを建物の外壁面などに沿って上下方向または左右方向に組み付けている。そして、金属サイディングの連結部では、連続する表面凹凸が途切れているような違和感が生じやすいという問題がある。
【０００４】
そこで、例えば、特許文献１には、連結部の違和感が少ない金属サイディングが提案されている。
【０００５】
図７（a）は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凹部（雌型連結部）を示した断面図である。図７（b）は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凸部（雄型連結部）を示した断面図である。図８は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凹部と凸部とを凹凸嵌合させて連結させた状態を示した断面図である。
【０００６】
図７（a）に示したように、金属サイディング７の下端の凹部８（雌型連結部）は、係合溝８５を備えている。係合溝８５は、裏面側に屈曲した側壁８１と、側壁８１の先端を上方に屈曲した上片８２と、裏面側へ突出した嵌合突起８３と、上片８２の先端を下方に屈曲した係合片８４とによって形成されている。また、図７（b）に示したように、金属サイディング７の上端の凸部９（雄型連結部）には、裏面側に屈曲した側壁９１と、側壁９１の先端を上方に屈曲した目地底面９２と、裏面側へ窪む嵌合窪部９３と、目地底面９２の先端を内方に傾斜して屈曲した傾斜下面９４とからなる嵌合片９５が形成されている。
【０００７】
さらに、特許文献１の金属サイディング７は、係合溝８５の開口角度θ３と嵌合片９５の角度θ４は、θ３＜θ４の関係となっている。
【０００８】
そして、図８に示したように、固着具Ｇによって、下側の金属サイディング７Ａを建物躯体Ｈに固定し、上側の金属サイディング７Ｂの凹部８の係合溝８５を上側から金属サイディング７Ａの凸部９の嵌合片９５に嵌め込んで凹凸嵌合させる。すると、係合片８４の先端が嵌合片９５の傾斜下面９４に線接触するとともに、嵌合突起８３と嵌合窪部９３とが嵌合する。このとき、係合溝８５の開口角度θ３＜嵌合片９５の角度θ４の関係となっていることで、金属サイディング７Ａが傾斜下面９４の傾斜に沿って躯体側へ引っ張られるように移動するため、嵌合突起８３と嵌合窪部９３の嵌合が強固になる。このため、金属サイディング７Ａ、７Ｂの連結部の違和感が少なく、表面凹凸が連続している印象を与えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開2010−101085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
しかしながら、特許文献１の金属サイディング７は、連結安定性を確保するために嵌合突起８３と嵌合する嵌合窪部９３が設けられているため外観性が低下している。したがって、特許文献１の金属サイディング７では、連結部の外観性に改善の余地があると考えられる。
【００１１】
さらに、特許文献１の金属サイディング７は、係合片８４と、嵌合片９５の傾斜下面９４とが線接触しており、この接触部分以外では、係合片８４と嵌合片９５の傾斜下面９４との間に隙間が形成されている。このため、嵌合突起８３が嵌合窪部９３へ押しつけられることによって、金属サイディング７Ｂの嵌合片９５は、係合溝８５内で前後方向への傾き、ぐらつきを生じる恐れがあり、連結安定性が必ずしも十分でないという問題がある。
【００１２】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、外観性、連結安定性に優れた金属サイディングを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
上記の課題を解決するために、本発明の金属サイディングは、対向する端部のうちの一方の端部に凹部が形成され、他方の端部に前記凹部と凹凸嵌合可能な凸部が形成され、前記凹部と前記凸部の凹凸嵌合によって隣接する金属サイディングが相互に連結可能な金属サイディングであって、前記凹部は、表面側の接触片と、奥行き側の固定片とが連結部を介して形成されており、前記接触片は、化粧面部と、この化粧面部から奥行き側へ屈曲する屈曲面部と、この屈曲面部から折り返して前記化粧面部側に傾斜する内側面部とを有し、前記連結部は、前記接触片の前記内側面部の端部から奥行き方向へ延びる突出部を有し、前記固定片は、前記連結部の奥行き側端部から金属サイディングの端部外側へ延びる当接面部と、この当接面部の先端部から奥行き側へ傾斜して延びる第１の傾斜面部と、この第１の傾斜面部から金属サイディングの端部内側へ折り返して延びる背面部とを有し、前記凸部は、表面側に設けられた挿入部と、奥行き側に設けられた嵌合溝とを有し、前記挿入部は、表面側の目地底面部と、この目地底面部の先端部から奥行き側へ傾斜して延びる先端面部と、この先端面部の先端部から金属サイディングの端部内側へ延びる起立部とを有し、前記嵌合溝は、少なくとも、前記起立部と、この起立部の端部から奥行き側へ傾斜して金属サイディングの端部内側へ延びる第２の傾斜面部とによって形成されているとともに、この第２の傾斜面部は前記第１の傾斜面部よりも急勾配に形成されており、２つの金属サイディングのうちの一方の前記凹部と、他方の前記凸部とを凹凸嵌合させると、前記凹部の前記内側面部の先端部と前記凸部の前記目地底面部とが線接触し、前記凹部の前記第１の傾斜面部と前記凸部の前記第２の傾斜面部とが面接触し、前記凹部の突出部の先端部と前記凸部の前記先端面部が線接触し、前記凹部の前記当接面部と前記凸部の前記起立部とが面接触することを特徴としている。
【００１４】
この金属サイディングでは、前記凹部の前記連結部には、前記突出部の端部から金属サイディングの端部内側に窪む水密材収納部が形成されており、２つの金属サイディングのうちの一方の前記凹部と、他方の前記凸部とを凹凸嵌合させると、前記凸部の前記先端面部が前記水密材収納部に挿入されることが好ましい。
【発明の効果】
【００１５】
本発明の金属サイディングによれば、外観性、連結安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の金属サイディングの一実施形態を例示した断面図である。
【図２】図１のＸ部の拡大図である。
【図３】図１のＹ部の拡大図である。
【図４】本発明の金属サイディングのうちの一方の凹部と他方の凸部とを凹凸嵌合させる状態を例示した断面図である。
【図５】本発明の金属サイディングのうちの一方の凹部と他方の凸部とを凹凸嵌合させる状態を例示した断面図である。
【図６】本発明の金属サイディングのうちの一方の凹部と他方の凸部とを凹凸嵌合させて連結した状態を例示した断面図である。
【図７】（a）は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凹部（雌型連結部）を示した断面図である。（b）は、特許文献１の金属サイディング（外装材）の凸部（雄型連結部）を示した断面図である。
【図８】特許文献１の金属サイディング（外装材）の凹部と凸部とを凹凸嵌合させて連結させた状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
本発明の金属サイディングは、対向する端部のうちの一方の端部に凹部が形成され、他方の端部にこの凹部と凹凸嵌合可能な凸部が形成され、この凹部と凸部の凹凸嵌合によって隣接する金属サイディングが相互に連結可能とされている。すなわち、金属サイディングは、対向する上下の端部のうちの一方の端部に凹部を、他方の端部に凸部を設けることで、この凹部と凸部の凹凸嵌合によって金属サイディングを上下方向に連結することができる。また、金属サイディングは、対向する左右の端部のうちの一方の端部に凹部を、他方の端部に凸部を設けることで、この凹部と凸部の凹凸嵌合によって金属サイディングを左右方向に連結することもできる。
【００１８】
以下、本発明の金属サイディングについて、対向する上下の端部のうちの一方の端部に凹部を、他方の端部に凸部を設けた形態を例に説明する。
【００１９】
図１は、本発明の金属サイディングの一実施形態を例示した断面図である。
【００２０】
金属サイディング１では、長尺な金属製の薄板からなる表面材２と裏面材３の内部に芯材４が充填されている。表面材２には、上下方向に、凹状の目地部２１と凸状の化粧部２２が交互に連続して形成されている。
【００２１】
表面材２と裏面材３の材料は、金属薄板、例えば鉄板、アルミニウム板、銅板、ステンレス板、チタン板、アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板や、合成樹脂板、例えば、塩化ビニル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板などを例示することができる。表面材２と裏面材３は、これらの材料をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形等して各種形状に形成したものを利用することができる。また、これらの材料の表面を各種色調に塗装したものを利用することもできる。
【００２２】
また、裏面材３は、アルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔（Ａｌ、Ｆｅ、Ｐｂ、Ｃｕ等の箔）、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミニウム紙、ガラス繊維布、ガラス繊維不織布等の１種、または２種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものを利用することもできる。
【００２３】
芯材４は、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノール樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリア樹脂フォームなどの合成樹脂発泡体を例示することができる。また、芯材４は、ロックウール、グラスウール、セラミックウールなどの無機質材を利用することもできる。
【００２４】
金属サイディング１では、対向する上下の端部のうちの下側の端部に凹部５が形成され、上側の端部に、この凹部５と凹凸嵌合可能な凸部６が形成されている。この凹部５と凸部６との凹凸嵌合によって、隣接する金属サイディング１は、相互に上下方向に連結可能とされている。
【００２５】
図２は、図１のＸ部の拡大図である。図３は、図１のＹ部の拡大図である。
【００２６】
金属サイディング１の凹部５では、表面側の接触片５１と、奥行き側の固定片５２とが連結部５３を介して形成されている。
【００２７】
接触片５１では、化粧面部５１aと、この化粧面部５１aの下端部から奥行き側へと延びる屈曲面部５１bと、この屈曲面部５１bから上方へ折り返して化粧面部５１a側へ傾斜して延びる内側面部５１cとが形成されている。
【００２８】
連結部５３は、接触片５１の内側面部５１cの上端部から奥行き方向へ延びる突出部５３aと、突出部５３aの奥行き側端部から上方（金属サイディングの端部内側）に窪む水密材収納部５３bが形成されている。ここで、奥行き方向とは、表面材２（図１に図示）から裏面材３（図１に図示）側への方向をいい、奥行き側端部とは、奥行き方向側に延びた端部をいう。
【００２９】
突出部５３aの先端部Ｔ２は、内側面部５１cの先端部Ｔ１よりも奥行き側に位置している。また、水密材収納部５３bは湾曲形状に形成され、水密材が安定的に収納可能とされている。
【００３０】
固定片５２では、当接面部５２aと、第１の傾斜面部５２ｂと、背面部５２cとが形成されている。当接面部５２aは、連結部５３の水密材収納部５３bの奥行き側端部から下方（金属サイディングの端部外側）に向かって略垂直に延びている。第１の傾斜面部５２ｂは、この当接面部５２aの下端部から奥行き側へ傾斜して下方へ延びて形成されている。背面部５２cは、第１の傾斜面部５２bの端部から上方（金属サイディングの端部内側）へ折り返して延びて形成されている。
【００３１】
金属サイディング１の凸部６は、表面側に設けられた挿入部６Ａと、奥行き側に設けられた嵌合溝６Ｂとを有している。
【００３２】
挿入部６Ａは、目地底面部６１と、先端面部６２と、起立部６３とによって形成されている。
【００３３】
目地底面部６１は、表面側に位置し、略垂直に形成されている。目地底面部６１には凹凸は形成されておらず、面一に形成されている。また、目地底面部６１の寸法は、連結部以外の凹状の目地部２１（図１に図示）の寸法を考慮して設計されている。
【００３４】
先端面部６２は、目地底面部６１の先端部から奥行き側へ傾斜して上方（金属サイディングの端部外側）へ延びて形成されている。
【００３５】
起立部６３は、先端面部６２の先端部から下方（金属サイディングの端部内側）へ略垂直に延びて形成されている。起立部６３は、目地底面部６１と略平行に形成されている。
【００３６】
嵌合溝６Ｂは、起立部６３と、この起立部６３の下端部から奥行き側へ傾斜して下方（金属サイディングの端部内側）へ延びる第２の傾斜面部６４と、この第２の傾斜面部６４の奥行き側端部から上方に延びる固定面６５とによって形成されている。
【００３７】
さらに、金属サイディング１は、凹部５の当接面部５２aと第１の傾斜面部５２bとによって形成される角度θ１（図２に図示）は、凸部６の起立部６３と第２の傾斜面部６４とによって形成される角度θ２（図３に図示）よりも大きく形成されている（θ１＞θ２）。したがって、第２の傾斜面部６４は、第１の傾斜面部５２bよりも急勾配に傾斜して形成されている。
【００３８】
凸部６の挿入部６Ａの幅Ｗ１（目地底面部６１から起立部６３までの長さ）は、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１から固定片５２の当接面部５２aまでの長さＷ２と略等しく設計されている。また、嵌合溝６Ｂの幅Ｌ１（起立部６３から固定面６５までの長さ）は、固定片５２の幅Ｌ２（当接面部５２aと背面部５２cの間の長さ）よりも大きく形成されている。さらに、固定片５２の水密材収納部５３bの底部から当接面部５２aの先端部までの長さＰ２は、起立部６３の長さＰ１よりも長く形成されている。
【００３９】
図４〜図６は、本発明の金属サイディングのうちの一方の凹部と他方の凸部とを凹凸嵌合させる状態を例示した断面図であり、図４から順次、時系列的に例示している。図４〜図６において図２、図３と共通する部分には同一の符号を付し、以下では説明を省略する。
【００４０】
例えば、ネジや釘などの固着具（図示していない）を、下側の金属サイディング１Ａの固定面６５に打ち込み、建物の躯体（図示していない）などに固定することができる。また、上側の金属サイディング１Ｂの凹部５の水密材収納部５３bには、予め水密材Ｐを収納しておくことができる。水密材Ｐは、水密材収納部５３bの断面形状に対応した断面略円形の紐状のものを好ましく使用することができる。水密材Ｐの材質としては、ＥＰＤＭなどの合成ゴムあるいは合成樹脂などが挙げられ、耐水性、柔軟性に優れたものを適宜使用することができる。
【００４１】
金属サイディング１Ｂの凹部５と、金属サイディング１Ａの凸部６とを凹凸嵌合させる際、まず、図４に示したように、凸部６の第２の傾斜面部６４と、凹部５の第１の傾斜面部５２b付近とを当接させることができる。これによって、凹部５の固定片５２を凸部６の嵌合溝６Ｂへと誘い込むことができるため、嵌合作業が容易となっている。
【００４２】
そして、凹凸嵌合を進めると、図５に示したように、凸部６の目地底面部６１と、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１付近とが当接すると同時に、凸部６の起立部６３と凹部５の当接面部５２aとが当接しながら進んでいく。これによって、凸部６の挿入部６Ａが凹部５内に挿入され、凹部５の固定片５２が凸部６の嵌合溝６Ｂ内に挿入される。このとき、凹部５の内側面部５１cが化粧面部５１a側に傾斜していることによって、目地底面部６１と内側面部５１cとの間に空間が形成されているため、凹部５と凸部６との嵌合作業が容易となっている。
【００４３】
図６に示したように、さらに凹凸嵌合を進め、上方から金属サイディング１Ｂを押し込むと、傾斜角度の異なる第１の傾斜面部５２bと第２の傾斜面部６４とが面接触するように金属サイディング１Ｂの全体がわずかに変形する。すなわち、第２の傾斜面部６４は、第１の傾斜面部５２bよりも急勾配で傾斜して形成されているため、金属サイディング１Ｂは、図中矢印Ｙに例示したように建物躯体側へ引っ張られるように動く。このため、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１と凸部６の目地底面部６１とが確実に線接触する。したがって、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１が凸部６の目地底面部６１との間に隙間が生じることがなく、金属サイディング１Ａ、１Ｂの表面凹凸が連続した印象を与え、外観性に優れている。さらに、目地底面部６１には凹凸は形成されておらず、面一に形成されているため、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１と線接触する目地底面部６１付近には違和感が少なく、外観性が一層向上している。なお、線接触とは、凹部５と凸部６との嵌合によって、幾何学的に１本の線が形成される接触をいう。したがって、接触によって形成される線には、多少の屈曲を有するものや、ある程度の幅を有するものなども含まれる。
【００４４】
また、金属サイディング１Ｂが建物躯体側へ引っ張られることによって、凹部５の突出部５３aも建物躯体側へと動き、凸部６の先端面部６２を建物躯体側へと押し込む。これによって、凹部５の突出部５３aと凸部６の先端面部６２とが確実に線接触するとともに、突出部５３aによって先端面部６２が建物躯体側へと押し込まれるため、奥行き側に位置する起立部６３も凹部５の当接面部５２aと確実に面接触する。
【００４５】
このように、凹凸嵌合が完了した状態では、凹部５の内側面部５１cの先端部Ｔ１と凸部６の目地底面部６１とが線接触し、凹部５の第１の傾斜面部５２bと凸部６の第２の傾斜面部６４とが面接触する。さらに、凹部５の突出部５３aの先端部Ｔ２と凸部６の先端面部６２が線接触し、凹部５の当接面部５２aと凸部６の起立部６３とが面接触する。このため、金属サイディング１Ｂの凹部５内で、金属サイディング１Ａの凸部６の挿入部６Ａが前後方向へ傾いたり、ぐらつきを生じたりする恐れがなく、連結安定性に優れている。
【００４６】
さらに、凹凸嵌合が完了した状態では、水密材収納部５３bに凸部６の先端面部６２が挿入され、水密材Ｐは、凸部６の先端面部６２との接触によって変形している。したがって、変形した水密材Ｐによって雨水の侵入路が遮断されるため、確実に水密性を確保することができる。
【００４７】
本発明の金属サイディングは、以上の形態に限定されるものではない。例えば、金属サイディングは、上端に凹部、下端に凸部を形成することもできる。また、金属サイディングは、対向する左右の端部のうちの一方の端部に凹部を、他方の端部に凸部を設けることもできる。このような凹部と凸部の凹凸嵌合によって金属サイディングを左右方向に連結することもできる。
【符号の説明】
【００４８】
１ 金属サイディング
５ 凹部
５１ 接触片
５１a 化粧面部
５１b 屈曲面部
５１c 内側面部
５２ 固定片
５２a 当接面部
５２b 第１の傾斜面部
５２c 背面部
５３ 連結部
５３a 突出部
５３b 水密材収納部
６ 凸部
６Ａ 挿入部
６Ｂ 嵌合溝
６１ 目地底面部
６２ 先端面部
６３ 起立部
６４ 第２の傾斜面部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
対向する端部のうちの一方の端部に凹部が形成され、他方の端部に前記凹部と凹凸嵌合可能な凸部が形成され、前記凹部と前記凸部の凹凸嵌合によって隣接する金属サイディングが相互に連結可能な金属サイディングであって、
前記凹部は、表面側の接触片と、奥行き側の固定片とが連結部を介して形成されており、
前記接触片は、化粧面部と、この化粧面部から奥行き側へ屈曲する屈曲面部と、この屈曲面部から折り返して前記化粧面部側に傾斜する内側面部とを有し、
前記連結部は、前記接触片の前記内側面部の端部から奥行き方向へ延びる突出部を有し、
前記固定片は、前記連結部の奥行き側端部から金属サイディングの端部外側へ延びる当接面部と、この当接面部の先端部から奥行き側へ傾斜して延びる第１の傾斜面部と、この第１の傾斜面部から金属サイディングの端部内側へ折り返して延びる背面部とを有し、
前記凸部は、表面側に設けられた挿入部と、奥行き側に設けられた嵌合溝とを有し、
前記挿入部は、表面側の目地底面部と、この目地底面部の先端部から奥行き側へ傾斜して延びる先端面部と、この先端面部の先端部から金属サイディングの端部内側へ延びる起立部とを有し、
前記嵌合溝は、少なくとも、前記起立部と、この起立部の端部から奥行き側へ傾斜して金属サイディングの端部内側へ延びる第２の傾斜面部とによって形成されているとともに、この第２の傾斜面部は前記第１の傾斜面部よりも急勾配に形成されており、
２つの金属サイディングのうちの一方の前記凹部と、他方の前記凸部とを凹凸嵌合させると、前記凹部の前記内側面部の先端部と前記凸部の前記目地底面部とが線接触し、前記凹部の前記第１の傾斜面部と前記凸部の前記第２の傾斜面部とが面接触し、前記凹部の突出部の先端部と前記凸部の前記先端面部が線接触し、前記凹部の前記当接面部と前記凸部の前記起立部とが面接触することを特徴とする金属サイディング。
【請求項２】
前記凹部の前記連結部には、前記突出部の端部から金属サイディングの端部内側に窪む水密材収納部が形成されており、２つの金属サイディングのうちの一方の前記凹部と、他方の前記凸部とを凹凸嵌合させると、前記凸部の前記先端面部が前記水密材収納部に挿入されることを特徴とする請求項１に記載の金属サイディング。
【請求項１】
対向する端部のうちの一方の端部に凹部が形成され、他方の端部に前記凹部と凹凸嵌合可能な凸部が形成され、前記凹部と前記凸部の凹凸嵌合によって隣接する金属サイディングが相互に連結可能な金属サイディングであって、
前記凹部は、表面側の接触片と、奥行き側の固定片とが連結部を介して形成されており、
前記接触片は、化粧面部と、この化粧面部から奥行き側へ屈曲する屈曲面部と、この屈曲面部から折り返して前記化粧面部側に傾斜する内側面部とを有し、
前記連結部は、前記接触片の前記内側面部の端部から奥行き方向へ延びる突出部を有し、
前記固定片は、前記連結部の奥行き側端部から金属サイディングの端部外側へ延びる当接面部と、この当接面部の先端部から奥行き側へ傾斜して延びる第１の傾斜面部と、この第１の傾斜面部から金属サイディングの端部内側へ折り返して延びる背面部とを有し、
前記凸部は、表面側に設けられた挿入部と、奥行き側に設けられた嵌合溝とを有し、
前記挿入部は、表面側の目地底面部と、この目地底面部の先端部から奥行き側へ傾斜して延びる先端面部と、この先端面部の先端部から金属サイディングの端部内側へ延びる起立部とを有し、
前記嵌合溝は、少なくとも、前記起立部と、この起立部の端部から奥行き側へ傾斜して金属サイディングの端部内側へ延びる第２の傾斜面部とによって形成されているとともに、この第２の傾斜面部は前記第１の傾斜面部よりも急勾配に形成されており、
２つの金属サイディングのうちの一方の前記凹部と、他方の前記凸部とを凹凸嵌合させると、前記凹部の前記内側面部の先端部と前記凸部の前記目地底面部とが線接触し、前記凹部の前記第１の傾斜面部と前記凸部の前記第２の傾斜面部とが面接触し、前記凹部の突出部の先端部と前記凸部の前記先端面部が線接触し、前記凹部の前記当接面部と前記凸部の前記起立部とが面接触することを特徴とする金属サイディング。
【請求項２】
前記凹部の前記連結部には、前記突出部の端部から金属サイディングの端部内側に窪む水密材収納部が形成されており、２つの金属サイディングのうちの一方の前記凹部と、他方の前記凸部とを凹凸嵌合させると、前記凸部の前記先端面部が前記水密材収納部に挿入されることを特徴とする請求項１に記載の金属サイディング。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１３−９１９０３（Ｐ２０１３−９１９０３Ａ）
【公開日】平成２５年５月１６日（２０１３．５．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２３２７３５（Ｐ２０１１−２３２７３５）
【出願日】平成２３年１０月２４日（２０１１．１０．２４）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年５月１６日（２０１３．５．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１０月２４日（２０１１．１０．２４）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]