説明

金属ブリケット連続成型装置

【課題】本発明は、複数の金属ブリケットを短い時間スパンで連続的に成型することができる金属ブリケット連続成型装置の提供を課題とする。
【解決手段】アルミ材料Gを収容部34に供給する供給部2と、4組の収容部34を有する回転タレット3と、アルミ材料Gを予備的に圧縮する第1圧縮部42と、アルミ材料Gを本圧縮してアルミブリケット100を成型する第2圧縮部43と、アルミブリケット100を抜き出す抜出部44とを備える。回転タレット3が回転するごとに、第1圧縮部42による予備的圧縮、第2圧縮部43による本圧縮、および抜出部44による抜き出しが順次行われることによりアルミブリケット100を連続的に成型する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細片状のアルミニウム等の金属材料を圧縮して、所定の大きさの塊状の金属ブリケットを連続的に成型する金属ブリケット連続成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アルミ缶のリサイクルのために、アルミ缶を細片状に裁断して、それら細片状のアルミ材料を圧縮してアルミブリケットに成型する装置が数多く知られている(非特許文献1〜2、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、非特許文献1に記載の装置は、ホッパーからアルミ材料を供給したあと、一つの圧縮部によりアルミ材料を圧縮してアルミブリケットに成型するものである。
【0004】
また、非特許文献2に記載の装置は、装置にアルミ材料を供給すると、装置内の圧縮部によりアルミ材料を圧縮してアルミブリケットに成型するものであり、仕様のとおり一つの金属ブリケットを成型するのに25秒または30秒程かかる。
【0005】
また、特許文献1に記載の装置は、アルミ材料を圧縮してシート状のアルミブリケットを成型し、それを複数のアルミブリケットに裁断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2009/099101号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】住金物産マテックス株式会社の製品資料
【非特許文献2】森鉄工株式会社の製品資料
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1または非特許文献2に記載の装置などは、一般に油圧によりアルミ材料を圧縮するものが多く、一つのブリケットを成型するのに例えば25秒以上と時間がかかる上、油圧部分が装置の価格の多くを占めて装置が高価なものであった。
【0009】
また、特許文献1に記載の装置などは、成型後にわざわざ裁断しなければならず、そのために最終のアルミブリケットを得るまでに時間がかかっていた。
【0010】
もとより油圧ではなく、クランク機構等の機械圧を利用すれば、圧縮する時間を短縮し、且つ装置価格もおさえられることも考えられるが、このように機械圧により素早くアルミ材料を圧縮すると、圧縮の過程においてアルミ材料の温度が急上昇して、アルミブリケットが収容部の内側面に固着して抜き出すことができなくなるという問題があった。
【0011】
これらの問題は、アルミ材料を圧縮してアルミブリケットに成型する場合のみならず、その他の金属材料を圧縮して金属ブリケットに成型する場合にも生じる。
【0012】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、複数の金属ブリケットを短い時間スパンで連続的に成型することができる金属ブリケット連続成型装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、細片状の金属材料を圧縮して、所定の大きさの塊状の金属ブリケットを連続的に成型する金属ブリケット連続成型装置であって、細片状の金属材料を所定量収容する収容部と、該収容部内の金属材料を多段階的に圧縮して金属ブリケットに成型する圧縮部と、金属ブリケットを前記収容部から抜き出す抜出部とを備え、金属材料の前記収容部への供給、前記圧縮部による多段階的な圧縮、前記抜出部による抜き出しが順次連続的に行われることを特徴とする。
【0014】
これによれば、金属材料を多段階的に圧縮するため、圧縮による金属材料の温度の急上昇を防止することができ、収容部の内側面に熱溶着することなくアルミブリケットを成型することができる。
【0015】
また、金属材料の前記収容部への供給、前記圧縮部による多段階的な圧縮、前記抜出部による抜き出しが順次連続的に行われ、一工程の時間ごとに金属ブリケットの成型が順次完成するため、大量の金属ブリケットを短い時間スパンで連続的に得ることが可能となる。
【0016】
さらに、多段階の圧縮に分けることにより、各圧縮に必要な力やトルクを低く抑えることができる。このため、大がかりな油圧式の圧縮機構でなくても、簡単な機械式の圧縮機構で圧縮が実現されるため、装置全体の小型化やコスト削減を達成することが可能となる。
【0017】
また、前記収容部を周辺部に複数有する回転タレットが設けられるとともに、該回転タレットの上方であって前記収容部に対応する位置に複数の前記圧縮部と前記抜出部がそれぞれ配置され、前記回転タレットの収容部に金属材料が供給され、前記回転タレットが回転して該収容部が第1の圧縮部の下方に位置して第1の圧縮部により金属材料が圧縮され、次に該回転タレットが回転して該収容部が第2の圧縮部の下方に位置して第2の圧縮部により金属材料が圧縮され、少なくとも2段階以上に金属材料が圧縮されて金属ブリケットに成型されたあと、前記回転タレットが回転して該収容部が抜出部の下方に位置して抜出部により金属ブリケットが抜き出されるものであって、前記回転タレットが回転するごとに金属材料の収容部への供給、圧縮部による多段階的な圧縮、抜出部による抜き出しが順次連続的に行われるのが好ましい。
【0018】
これによれば回転タレットが回転するごとに金属材料の前記収容部への供給、前記圧縮部による多段階的な圧縮、前記抜出部による抜き出しが順次連続的に行われため、省スペースで大量の金属ブリケットを短い時間スパンで連続的に成型することができる。
【0019】
また、複数の前記収容部が近接して並んで1組となされ、各組の前記収容部ごとに金属材料の収容部への供給、圧縮部による多段階的な圧縮、抜出部による抜き出しが順次連続的に行われるのが好ましい。これによれば同時に複数の金属ブリケットを成型することができる。
【0020】
また、前記金属ブリケットの上面および/又は下面の周縁部に生じたバリを取るバリ取り装置が設けられ、該バリ取り装置は、金属ブリケットを上方から抑える抑え部と、金属ブリケットを支承する支承部とを備えるのが好ましい。
【0021】
これによれば金属ブリケットに生じたバリを取ることができ、搬送用のベルトコンベアなどの各装置を傷めることを防止することができる。
【0022】
また、前記圧縮部は、圧縮面に径広かつ浅い圧縮用凹部が形成され、圧縮に際して金属ブリケットの上面の周縁部に凹みを形成するとともに、前記バリ取り装置の抑え部は、抑え面に径広かつ浅い抑え用凹部が形成され、抑えに際して金属ブリケットの上面の周縁部に生じたバリを凹み側に折り曲げるものであってもよい。
【0023】
これによれば金属ブリケットの上面の周縁部に生じたバリが金属ブリケットの上面から突出せずに実質的にバリを取った状態になる。また、金属ブリケットの抑えに必要な力やトルクが小さく済み、それだけ装置の小型化やコスト削減を達成することが可能となる。
【0024】
また、前記支承部は、支承面に径広かつ浅い支承用凹部が形成された支承部本体と、該支承部本体の中央部に設けられた上下に移動可能な移動部材とからなり、該移動部材は、金属ブリケットが載置されていない場合には、弾性部材の付勢力により金属ブリケットの移送面と同一平面上に配置される一方、金属ブリケットが載置されて抑え部により抑えられた場合には、弾性部材の付勢力に抗しながら下方に移動して、前記支承用凹部の隅部により金属製ブリケットの下面の周縁部に生じたバリを側面側に折り曲げるものであってもよい。
【0025】
これによれば金属ブリケットの下面の周縁部に生じたバリを実質的に取ることができる。
【0026】
本発明に係る金属ブリケット連続成型方法は、細片状の金属材料を圧縮して、所定の大きさの塊状の金属ブリケットを連続的に成型する金属ブリケット連続成型方法であって、細片状の金属材料を収容部に所定量収容する工程と、該収容部内の金属材料を多段階的に圧縮して金属ブリケットを成型する工程と、金属ブリケットを前記収容部から抜き出す工程とを備え、金属材料の前記収容部への供給、前記圧縮部による多段階的な圧縮、前記抜出部による抜き出しの各工程を順次連続的に行うことを特徴とする。これによれば上記装置と同じ効果を実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、金属材料を多段階的に圧縮するため、圧縮による金属材料の温度の急上昇を防止することができ、収容部の内側面に熱溶着することなくアルミブリケットを成型することができる。
【0028】
また、金属材料の前記収容部への供給、前記圧縮部による多段階的な圧縮、前記抜出部による抜き出しが順次連続的に行われ、一工程の時間ごとに金属ブリケットの成型が順次完成するため、大量の金属ブリケットを短い時間スパンで連続的に得ることが可能となる。
【0029】
さらに、多段階の圧縮に分けることにより、各圧縮に必要な力やトルクを低く抑えることができる。このため、大がかりな油圧式の圧縮機構などが不要となり、簡単な機械式の圧縮機構で圧縮が実現されるため、装置全体の小型化やコスト削減を達成することが可能となる。
【0030】
このように大量の金属ブリケットを短い時間スパンで連続的に成型することができるため、本装置を溶鉱炉などのラインに結合することにより連続的に金属を製造するプラントも実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本装置の平面図である。
【図2】本装置の側面図である。
【図3】本装置の圧縮状態を示す模式側面図である。
【図4】本装置の搬送状態を示す模式側面図である。
【図5】本装置の搬送状態を示す模式平面図である。
【図6】バリ取り装置の一具体例の概略構成を示す側面図である。
【図7】第1圧縮部および第2圧縮部の圧縮面付近の拡大側面図および拡大平面図である。
【図8】アルミブリケットの側面図である。
【図9】アルミブリケットの上面および下面の周縁部の拡大側面図である。
【図10】本装置の電気的構成を示す図である。
【図11】本装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に本発明の一実施形態に係る金属ブリケット連続成型装置(以下、本装置という)ついて図面を参照しつつ説明する。なお、図3〜図4は本装置の構成や機能を説明するために構成を簡略化した模式図である。
【0033】
本装置では、特に金属材料の中でも細片状のアルミ材料Gをアルミブリケット100に成型する場合について説明する。このアルミ材料Gは、アルミ缶のリサイクルのために、アルミ缶を細片状に裁断したものである。なお、細片状とは、粉状、粒状、片状など、細かく裁断したもの全てを含むものである。
【0034】
本装置は、図1および図2に示すように、基台10と、アルミ材料Gを供給する供給装置2と、アルミ材料Gを回転移送する回転タレット3と、アルミ材料Gを圧縮する圧縮装置4と、アルミブリケット100を搬送する搬送装置5と、アルミブリケット100のバリを取るバリ取り装置6とを備えてなる。
【0035】
前記基台1は、供給装置2、回転タレット3、圧縮装置4、搬送装置5およびバリ取り装置6をそれぞれ所定位置にて配置するものである。具体的には、供給装置2を最も高い位置に配置し、その斜め下方位置に回転タレット3を配置し、回転タレット3の上方に圧縮装置4を配置するとともに、回転タレット3の横側に搬送装置5およびバリ取り装置6を配置している。これら各装置は、後述するように互いに協同しながらそれぞれの動作を行う。
【0036】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、基台1の構成を簡略化しているが、実際の製品では側板などで各装置が概ね覆われた状態となっている。
【0037】
また、各装置の動作を制御するための制御盤7が設けられ、図9に示すように、該制御盤7で操作することで各装置を適宜制御するようになっている。
【0038】
前記供給装置2は、漏斗状に形成された貯留部21と、該貯留部21の下部に設けられた搬送部22とを備えてなる。
【0039】
前記貯留部21は、上方に材料投入口21aが形成されており、開閉レバー21bにより開閉蓋21cを開くことにより貯留部21内に必要量のアルミ材料Gを投入して貯留するようになっている。
【0040】
前記搬送部22は、内部に水平に方向に伸びる態様の2連のスクリューコンベア22aが設けられており、該スクリューコンベア22aが自軸回転することにより貯留部21から落下してきたアルミ材料Gを供給口22bまで搬送する。
【0041】
このスクリューコンベア22aは、電動モータ23により伝導機構24を介して自軸回転するものである。具体的には、後述の回転タレット3の回転に同期するタイミングで、かつ回転タレット3の収容部へのアルミ材料Gの必要量に一致するように、制御盤7により予め設定された回転タイミング、回転量および回転スピードで自軸回転して、必要量のアルミ材料Gを供給口22bから断続的に回転タレット3の収容部34に供給するようになっている。
【0042】
前記回転タレット3は、供給装置2から供給されたアルミ材料Gを収容しながら所定のタイミングで90度ずつ回転するものである。
【0043】
この回転タレット3は、設置台11の上方にて中心部に回転軸31が挿通されており、この回転軸31は伝導機構32を介して電動モータ33に接続されている。このため電動モータ33が所定タイミングおよび所定量だけ回転すると、回転タレット3が所定タイミングで90度の角度で図2の右回りに断続的に回転する。
【0044】
この回転タレット3は、収容部34が周方向に沿って90度の角度をなして等間隔に配置されている。この収容部34は、上面および下面が開口された円筒状に形成され、回転タレット3を上下に貫くように鉛直に立設されている。
【0045】
また、2個の収容部34が周方向に平行に並んで1組の収容部を構成している。このように収容部34を2個で1組としたのは、同時に2個のアルミブリケット100を成型するためである。
【0046】
なお、図1または図3に示すように、収容部34が供給部の下方に位置するときを収容位置(A)、次に90度回転した位置を第1圧縮位置(B)、次に90度回転した位置を第2圧縮位置(C)、次に90度回転した位置を抜出位置(D)という。
【0047】
また、この回転タレット3は、設置台11の間に所定の隙間を空けて配置されており、その隙間には載置板35が挟み込まれている。この載置板35は、少なくとも収容部34の収容位置(A)、第1圧縮位置(B)および第2圧縮位置(C)にかけて周方向に延びる態様で形成されている。但し、収容部34の抜出位置(D)には載置板35は存在しておらず、後述するように収容部34内のアルミブリケット100を下方に抜き出せるようになっている。
【0048】
前記圧縮装置4は、回転タレット3の収容部34に収容されたアルミ材料Gを段階的に圧縮したあとに抜き出すものである。
【0049】
この圧縮装置4は、固定板41と、収容部34内のアルミ材料Gを予備的に圧縮する第1圧縮部42と、アルミ材料Gを本圧縮する第2圧縮部43と、アルミブリケット100を収容部34から抜き出す抜出部44とを備える。
【0050】
なお、45は、固定板41の端部に設けられた位置合わせ部であり、第1圧縮部42、第2圧縮部43、抜出部44が回転タレット3の各所定位置に配置されるように位置合わせするものである。
【0051】
前記固定板41は、下面に第1圧縮部42、第2圧縮部43、抜出部44が収容部34の各位置(B)〜(D)に対応するように周方向に90度の角度をなして等間隔に配置されており、図示略の機械式の移動装置により所定のタイミングで所定量だけ上下に移動する。
【0052】
第1圧縮部42は、収容部34の第1圧縮位置(B)の上方に位置するもので、下方に鉛直に立設された2本1組の金属棒から構成される。このため固定板41が下方に移動すると、それに伴って第1圧縮部42も下方に移動して、収容部34内に挿入されながらアルミ材料Gを上方から予備的に圧縮する。この第1圧縮部42は第2圧縮部43よりも短く形成されているため、アルミ材料Gを必要以上に圧縮することなく、ある程度高さのある予備的なアルミブリケット100を成型する。
【0053】
第2圧縮部43は、収容部34の第2圧縮位置(C)の上方に位置するもので、下方に鉛直に立設された2本1組の金属棒から構成される。このため固定板41が下方に移動すると、それに伴って第2圧縮部43も下方に移動して、収容部34内に挿入されながらアルミ材料Gを上方から本圧縮する。この第2圧縮部43は第1圧縮部42よりも長く形成されているため、アルミ材料Gを本圧縮することになり、最終的に短く密度のあるアルミブリケット100を成型する。
【0054】
なお、本実施形態では、図7に示すように、第1圧縮部42と第2圧縮部43の圧縮面に径広かつ浅い圧縮用凹部42a、43aが形成され、図8および図9に示すように、圧縮に際してアルミブリケット100の上面の周縁部に凹み103を形成するようになっている。このアルミブリケット100の上面の周縁部の凹み103は後述の具体的なバリ取り装置6と相俟って、アルミブリケット100の上面の周縁部に生じたバリ101を取るときに作用するものであり、詳しくは後述する。
【0055】
前記抜出部44は、収容部34の抜出位置(D)の上方に位置するもので、下方に鉛直に立設された2本1組の金属棒から構成される。このため固定板41が下方に移動すると、それに伴って抜出部44も下方に移動して、収容部34内に挿入されながらアルミブリケット100を下方に抜き出す。この抜出部44の長さは収容部34の長さ程に形成されているため、最後までアルミブリケット100を押し出すようにして容易に抜き出すことができる。
【0056】
前記搬送装置5は、抜出部44により抜き出されたアルミブリケット100を移送するものである。この搬送装置5は、当該アルミブリケット100を挟み込み、図1の左方向のベルトコンベア8まで移送して解放する。解放されたアルミブリケット100は、ベルトコンベア8により所定の位置までさらに移送される。
【0057】
前記バリ取り装置6は、前記搬送装置5により搬送される過程においてアルミブリケット100のバリ101、102を取るものである。
【0058】
このアルミブリケット100のバリ101、102は、第1圧縮部42や第2圧縮部43で圧縮したときに、アルミ材料Gの一部が第1圧縮部42または第2圧縮部43と収容部34の内側面の間の隙間に入り込んだり、またアルミ材料Gの一部が収容部34と載置板35との間の隙間に入り込むことにより、アルミブリケット100の上面や下面の周縁部の所々に生じるものである。アルミブリケット100にバリ101、102が生じたままであると、ベルトコンベア8に傷を付けるなどして各装置を傷める原因となるため、できるだけバリ101、102を取るのがよい。
【0059】
このバリ取り装置6は、アルミブリケット100を上方から抑える抑え部61と、アルミブリケット100を支承する支承部62とを備える。この抑え部61と支承部62によりブリケット100を上下から抑えることにより、アルミブリケット100の上面や下面の周縁部に生じたバリ101、102を取る。なお、バリ101、102を取るとは、アルミブリケット100から完全に取り去る場合のほか、アルミブリケット100側に折り曲げて実質的に取った状態も含まれる。
【0060】
図6は、バリ取り装置6の一具体例を示す構成概略図である。
【0061】
前記バリ取り装置6の抑え部61は、抑え面に径広かつ浅い抑え用凹部61aが形成され、抑えに際して抑え用凹部61aの隅部により、アルミブリケット100の上面の周縁部に生じたバリ101を、アルミブリケット100の凹み103側に折り曲げるようになっている。
【0062】
すなわち、アルミブリケット100の上面の周縁部に凹み103がなく直角に形成されていると、バリ101をアルミブリケット100の上面から突出させないために、バリを上面に沿うまで90度に折り曲げなければならない。これだとアルミブリケット100の抑えに大きな力が必要となり、装置が高価なものとなってしまう。
【0063】
しかしながら、アルミブリケット100の上面の周縁部に予め凹み103を設けておくと、図9に示すように、アルミブリケット100のバリ101を90度まで折り曲げなくても、バリ101がアルミブリケット100の上面から突出せずに実質的にバリを取った状態になる。このためアルミブリケット100の抑えに必要な力やトルクが小さく済み、それだけ装置の小型化やコスト削減を実現できる。
【0064】
また、前記バリ取り装置6の支承部62は、支承面に径広かつ浅い支承用凹部62aが形成された支承部本体621と、該支承部本体621の中央部に設けられた上下に移動可能な移動部材622とを備える。
【0065】
この移動部材622は、アルミブリケット100が載置されていない場合には、弾性部材623(例えばバネ部材や油圧部材など)の付勢力によりアルミブリケット100の搬送面(H)と同一平面上に配置される。
【0066】
そして、アルミブリケット100が載置されて抑え部61により抑えられた場合、図2に示すように、その抑え力により弾性部材623の付勢力に抗しながら下方に移動して、前記支承用凹部62aの隅部により金属製ブリケット100の下面の周縁部に生じたバリ102をアルミブリケット100の側面側に折り曲げることができる。
【0067】
次の本装置の動作について図11のフローチャートを参照しつつ説明する。以下、説明および図面において「ステップ」を「S」と略記する。
【0068】
まず、供給装置2においてスクリューコンベア22aが所定の回転タイミング、回転量および回転スピードで自軸回転すると、供給口22bから所定量のアルミ材量が回転タレット3の収容部34に供給される(S1)。
【0069】
次に、回転タレット3が図2の右回りに90度回転し、収容部34が第1圧縮位置(B)にくると、固定板41が下方に移動して、それに伴って第1圧縮部42も下方に移動し、収容部34内に挿入されながらアルミ材料Gを上方から予備的に圧縮する(S2)。
【0070】
そして、第1圧縮部42が予備的な圧縮を完了すれば、固定板41が上方に移動して、それに伴って第1圧縮部42も上方に移動して元の位置に戻る。
【0071】
なお、このとき、回転タレット3における90度後方の供給位置(A)では、上記S1と同様にしてアルミ材料Gが収容部34に供給される。
【0072】
次に、回転タレット3が図2の右回りにさらに90度回転し、収容部34が第2圧縮位置(B)にくると、固定板41が再び下方に移動して、それに伴って第2圧縮部43も下方に移動し、収容部34内に挿入されながらアルミ材料Gを上方からさらに圧縮して、最終のアルミブリケット100を成型する(S3)。
【0073】
そして、第2圧縮部43がさらなる圧縮を完了すれば、固定板41が再び上方に移動して、それに伴って第2圧縮部43も上方に移動して元の位置に戻る。
【0074】
なお、このとき、回転タレット3における90度後方の第1圧縮位置(B)の収容部34では、上記S2と同様にして第1圧縮部42による予備的圧縮が行われる。また、回転タレット3における180度後方の供給位置(A)の収容部34では、上記S1と同様にしてアルミ材料Gが供給される。
【0075】
次に、回転タレット3が図2の右回りにさらに90度回転し、収容部34が抜出位置(D)にくると、固定板41が再び下方に移動して、それに伴って抜出部44も下方に移動して、収容部34内からアルミプリケットを下方に抜き出す(S4)。
【0076】
なお、このとき、回転タレット3における90度後方の第2圧縮位置(C)の収容部34では、上記S3と同様にして第2圧縮部43によりさらなる圧縮が行われる。また、回転タレット3における180度後方の第1圧縮位置(B)の収容部34では、上記S2と同様にして第1圧縮部42により予備的な圧縮が行われる。また、回転タレット3における270度後方の供給位置(A)の収容部34では、上記S1と同様にしてアルミ材料Gが供給される。
【0077】
次に回転タレット3の収容部34から抜き出されたアルミブリケット100は搬送装置5により搬送されて、バリ取り装置6によりバリが取られたあと、ベルトコンベア8までさらに搬送される(S5)。
【0078】
そして、ベルトコンベア8に載ったアルミブリケット100は装置外の所定の箇所までさらに搬送される。
【0079】
あとは、回転タレット3が図2の右回りに回転し、収容部34が供給位置(A)に来ると、再び上記S1と同様にしてアルミ材料Gが供給される(S1)。
【0080】
このようにアルミ材料Gが、第1圧縮部42により予備的に圧縮されあと、第2圧縮部43により本圧縮されることにより、一度に圧縮するのではなく間隔をおいて2段階で圧縮するため、圧縮によるアルミ材料Gの温度の急上昇を防止することができ、収容部34の内側面に熱溶着することなくアルミブリケット100を成型することが可能となる。
【0081】
また、上述のようにアルミ材料Gの供給、第1圧縮部42による予備的圧縮、第2圧縮部43による本圧縮、抜出部44による抜き出しが順次連続的に行われ、回転タレット3が90度回転するごとにアルミブリケット100の成型が順次完成するため、大量のアルミブリケット100を短い時間スパンで連続的に得ることが可能となる。
【0082】
さらに、第1圧縮部42と第2圧縮部43の2段階の圧縮に分けることにより、各圧縮に必要な力やトルクを低く抑えることができる。このため、大がかりな油圧式の圧縮機構でなくても、簡単な機械式の圧縮機構で圧縮が実現されるため、装置全体の小型化やコスト削減を達成することが可能となる。
【0083】
なお、本実施形態では、回転タレット3の収容部34を4組としたが、さらに多数の収容部34を設けて3段階以上の多段階で圧縮してもよい。
【0084】
また、各収容部34は、2個で1組としたが、1個のみでもよいし、あるいは3個以上で1組としてもよい。
【0085】
また、回転タレット3を回転させることにより収容部34を移送させるものとしたが、直線状のタレットにより直線的に移送させるものとしてもよい。ただ、回転タレット3の方が省スペースや製造コストの観点からしても効率的なので好ましい。
【0086】
また、バリ取り装置6を設けるものとしたが、バリ取り装置を設けないものとしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1・・・基台
11・・・設置台
2・・・供給装置
21・・・貯留部
22・・・搬送部
22a・・・スクリューコンベア
23・・・電動モータ
24・・・伝達機構
3・・・回転タレット
31・・・回転軸
32・・・伝導機構
33・・・電動モータ
34・・・収容部
35・・・載置板
4・・・圧縮装置
41・・・固定板
42・・・第1圧縮部
43・・・第2圧縮部
44・・・抜出部
5・・・搬送装置
6・・・バリ取り装置
61・・・抑え部
62・・・支承部
621・・・支承部本体
622・・・移動部材
7・・・制御盤
8・・・ベルトコンベア
100・・・アルミブリケット
101,102・・・バリ
103・・・凹み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細片状の金属材料を圧縮して、所定の大きさの塊状の金属ブリケットを連続的に成型する金属ブリケット連続成型装置であって、
細片状の金属材料を所定量収容する収容部と、
該収容部内の金属材料を多段階的に圧縮して金属ブリケットに成型する圧縮部と、
金属ブリケットを前記収容部から抜き出す抜出部とを備え、
金属材料の前記収容部への供給、前記圧縮部による多段階的な圧縮、前記抜出部による抜き出しが順次連続的に行われることを特徴とする金属ブリケット連続成型装置。
【請求項2】
前記収容部を周辺部に複数有する回転タレットが設けられるとともに、該回転タレットの上方であって前記収容部に対応する位置に複数の前記圧縮部と前記抜出部がそれぞれ配置され、
前記回転タレットの収容部に金属材料が供給され、前記回転タレットが回転して該収容部が第1の圧縮部の下方に位置して第1の圧縮部により金属材料が圧縮され、次に該回転タレットが回転して該収容部が第2の圧縮部の下方に位置して第2の圧縮部により金属材料が圧縮され、少なくとも2段階以上に金属材料が圧縮されて金属ブリケットに成型されたあと、前記回転タレットが回転して該収容部が抜出部の下方に位置して抜出部により金属ブリケットが抜き出されるものであって、前記回転タレットが回転するごとに金属材料の収容部への供給、前記圧縮部による多段階的な圧縮、前記抜出部による抜き出しが順次連続的に行われる請求項1に記載の金属ブリケット連続成型装置。
【請求項3】
複数の前記収容部が近接して並んで1組となされ、各組の前記収容部ごとに金属材料の前記収容部への供給、前記圧縮部による多段階的な圧縮、前記抜出部による抜き出しが順次連続的に行われる請求項1または請求項2に記載の金属ブリケット連続成型装置。
【請求項4】
前記金属ブリケットの上面および/又は下面の周縁部に生じたバリを取るバリ取り装置が設けられ、該バリ取り装置は、金属ブリケットを上方から抑える抑え部と、金属ブリケットを支承する支承部とを備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の金属ブリケット連続成型装置。
【請求項5】
前記圧縮部は、圧縮面に径広かつ浅い圧縮用凹部が形成され、圧縮に際して金属ブリケットの上面の周縁部に凹みを形成するとともに、
前記バリ取り装置の抑え部は、抑え面に径広かつ浅い抑え用凹部が形成され、抑えに際して金属ブリケットの上面の周縁部に生じたバリを凹み側に折り曲げる請求項4に記載の金属ブリケット連続成型装置。
【請求項6】
前記支承部は、支承面に径広かつ浅い支承用凹部が形成された支承部本体と、該支承部本体の中央部に設けられた上下に移動可能な移動部材とからなり、
該移動部材は、金属ブリケットが載置されていない場合には、弾性部材の付勢力により金属ブリケットの移送面と同一平面上に配置される一方、金属ブリケットが載置されて抑え部により抑えらた場合には、弾性部材の付勢力に抗しながら下方に移動して、前記支承用凹部の隅部により金属製ブリケットの下面の周縁部に生じたバリを側面側に折り曲げる請求項4または請求項5に記載の金属ブリケット連続成型装置。
【請求項7】
細片状の金属材料を圧縮して、所定の大きさの塊状の金属ブリケットを連続的に成型する金属ブリケット連続成型方法であって、
細片状の金属材料を収容部に所定量収容する工程と、
該収容部内の金属材料を多段階的に圧縮して金属ブリケットを成型する工程と、
金属ブリケットを前記収容部から抜き出す工程とを備え、
金属材料の前記収容部への供給、前記圧縮部による多段階的な圧縮、前記抜出部による抜き出しの各工程を順次連続的に行うことを特徴とする金属ブリケット連続成型方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−157608(P2011−157608A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21835(P2010−21835)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(508368873)
【出願人】(510031626)
【出願人】(508368725)
【Fターム(参考)】