説明

金属塩化物溶液の処理並びに直接還元鉄を生成する方法および装置

酸廃液から酸および金属を再生する処理方法および装置であって、任意選択により、酸廃液を濃縮液または固体へと濃縮する工程(110)、熱加水分解により酸を再生し金属酸化物をペレット化する工程(114)、および2段階還元反応炉(116、118)において還元剤として部分的に燃焼した燃料を使用して酸化物を金属へと還元する工程、を含む処理方法および装置である。また、酸化鉄の鉱石または廃棄物から直接還元鉄(DRI)を生成するための2段階還元処理方法および反応炉であって、酸化物原料を燃料および半化学量論的な量の酸素源と接触させて低酸化状態の酸化物を生成する第一還元段階(416)と、その低酸化状態の酸化物を第1還元段階からの排ガスと接触させて鉄金属を生成する第2還元段階(418)とを含む、2段階還元処理方法および反応炉について開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属含有鉱物の酸浸出あるいは金属の酸洗いによって生じた酸廃液などの金属塩化物液を処理する方法および装置、ならびに直接還元鉄(DRI)を製造する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの重要な産業上の処理では、水溶液中に金属塩化物を含有する酸廃液の形態で、副産物としての塩化物溶液を生じることがある。
【0003】
そのような金属塩化物液には以下のものが含まれる。
鉱物種(必ずしもこれに限定されるものではないが、例えばチタン鉄鉱として知られている鉱物など)の酸性溶液中での温浸(acidic digestion)によって生じる浸出廃液。この場合の酸は、必ずしもこれに限定されるものではないが、塩酸であってもよい。
酸処理または酸洗いあるいは錆または酸化物スケールを除去するための金属表面エッチングにより生じるいわゆる「酸洗い液」。この場合の酸は、必ずしもこれに限定されるものではないが、塩酸であってもよい。
【0004】
前者の場合、下記の一般反応式に従って、チタン鉱物であるチタン鉄鉱が塩酸に浸出し、わずかに余った塩酸と合成ルチルならびに鉄および溶液中の他の塩化物とを含む浸出廃液を生成する。
FeO.TiO2+2HC1→FeCl2+TiO2+H2
【0005】
チタン鉄鉱の基本的な構成物質(鉄以外)であって塩酸に可溶な酸化物は、同様に溶解してそれぞれの塩化物を形成する。この種の反応から得られる溶液は、一般的に下記の表の実施例と同様の組成である。
【0006】
【表1】

【0007】
後者の場合では、酸化物皮膜または錆皮膜を有するスチール生成物は、しばしば、塩酸または他の酸の温溶液を通過させることにより酸化物皮膜または錆皮膜を除去する「酸洗い」と呼ばれる処理を施される。塩酸を使用する場合、それに関連する反応は下記のように簡略される。
Fe23+Fe+6HCl→3FeCl2+3H2
【0008】
これらの金属塩化物液の既知の処理方法は、酸を再生および回収して、酸浸出または酸洗い処理へリサイクルすることに重点を置いている。
【0009】
この酸再生は、一般的に、金属塩化物を水および酸素と反応させて酸を回収する熱加水分解によって行われ、副生成物として金属酸化物を生成する。
【0010】
塩化鉄の場合、熱加水分解中に起こる主反応は以下の式で表すことができる。
2FeCl2+2H2O+12O2→Fe23+4HCl
【0011】
熱加水分解を実施する温度は、600乃至1200℃の範囲であってもよく、好ましくは850乃至950℃の範囲であってもよい。流動ガスは、一般的に空気である。反応温度を維持し、酸素ポテンシャルを制御するために十分な燃料が加えられる。排ガスは、燃焼時の生成物および塩酸蒸気を含んでおり、塩酸成分を回収するために処理される。
【0012】
熱加水分解は、現行技術において利用されている下記の2つの有名な方法の1つによって実施してもよい。
スプレー塔にて、溶液を空のチャンバーに噴霧し、液体燃料またはガス燃料の燃焼による熱ガスによって反応させる方法。この場合、得られる金属酸化物は、微粉末状である。
流動床反応炉にて、以前に作成された金属酸化物の流動床に溶液を注入し、ガス状、液体状、または固体状の燃料あるいはそれらの混合物を注入することにより流動床を高温に維持する方法。このタイプの装置では、金属酸化物の残留物は、公称寸法が直径1乃至2mmの微小なペレット状であってもよい。
【0013】
更なる改良として、国際特許出願PCT/AU93/00056(WO93/16000)中に例示しているように、金属塩化物溶液を最初に蒸発乾燥させてペレット状にしてから、流動床型の熱加水分解反応炉に供給する。この場合の蒸発器は、好ましくは流動床型であり、あるいは代替として、水溶液中の塩から水を加熱蒸発させる場合に通常用いられる方法に従って回転式装置を使用してもよい。
【0014】
WO93/16000の処理は、特に酸浸出工程での酸再生に有利であり、結果的にそれによって、浸出段階に戻す酸溶液は高濃縮度で超共沸性となる。
【0015】
なお、WO93/16000の内容は引用により本明細書に組み込むものとする。
【0016】
他の既知の酸再生処理としては、金属塩化物溶液を予備濃縮せずに熱加水分解して準共沸性の酸溶液とするKeramChemie処理方法などがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、改善された商業的実行可能性の処理、およびそれを実施するための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一形態において、本発明は、一連の工程として下記の工程を含む、水溶液中に金属塩化物を含有する酸廃液から酸および金属を再生する方法を提供する。
・任意選択により、溶液を濃縮して濃縮液を生成する工程、またはその濃縮液を凝固して固体金属塩化物を生成する工程
・溶液、濃縮液、または固体金属塩化物を反応炉中で熱加水分解し、酸を再生し金属酸化物を生成する工程
・金属酸化物を金属に還元する工程
【0019】
好ましくは、その金属は鉄、または主成分が鉄である。
【0020】
好ましい一形態において、還元段階は、還元剤として部分的に燃焼した燃料を使用して低酸化状態の酸化物を生成する第1段階の還元反応、およびその低酸化状態の酸化物を金属に変換する第2段階の還元反応を含む、2段階還元反応にて行われる。
【0021】
好ましくは、第1還元段階は、第1流動床還元反応炉内にて燃料および準化学量論的な量の酸素と金属酸化物を接触させることにより行われる。
【0022】
あるいは、第1還元段階に先立って燃料および酸素を接触させてもよい。
【0023】
また、好ましくは第1還元段階の排ガスを第2段階の第2還元反応の還元剤として使用してもよい。
【0024】
さらに好ましい形態においては、第2段階の還元反応炉からの排ガスを酸化して、その処理の濃縮段階または熱加水分解段階のエネルギーを提供する。好ましくは、金属塩化物溶液の蒸発乾燥に必要な熱ガスは、酸化物ペレットの金属化段階からの排ガスによって提供される。
【0025】
更なる形態において、本発明は、以下の工程を含む金属酸化物原料の処理方法を提供する。
・第1段階還元反応において低酸化状態の酸化物を生成するために、金属酸化物原料を燃料および準化学量論的な量の酸素を含む還元剤と接触させる工程
・第1段階の還元によって生成された低酸化状態の酸化物、および第1段階からの排ガスを、その低酸化状態の酸化物を金属に還元する第2還元段階へ供給する工程
【0026】
第1段階および第2段階の還元反応は、それぞれ第1および第2流動床還元反応チャンバーにて実行されることが好ましい。
【0027】
金属酸化物原料は、ハロゲン化金属、好ましくは塩化物、を含む酸廃液の熱加水分解によって生成されることが好ましい。
【0028】
本発明のさらなる態様は、本発明の請求項に記載する通りである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明のより好適な実施形態について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0030】
図1は、熱加水分解に先立って金属塩化物(MeCl)液を蒸発乾燥しペレット化する工程を含む、第1の実施形態を示す。
【0031】
鉄または他の金属酸化物の浸出に由来する浸出廃液、またはスチールまたは金属の仕上げ処理に由来する酸洗廃液が、流動床、ロータリーキルン、または他の好適なタイプの蒸発器110に注入される。蒸発器から放出される鉄または金属塩化物生成物は、好ましくは、ペレット化された固体である。この蒸発工程に熱源を提供する熱ガスは、後述する2つの金属化段階の排ガスに由来し、蒸発器の再燃焼装置部112においてさらに酸化されたものである。
【0032】
蒸発器からの生成物は、通常は流動床型である熱加水分解反応炉114に供給され、その反応炉内で、鉄または他の金属塩化物は、好ましくは600乃至1200℃の範囲の温度にて水と反応して金属酸化物に変換される。この反応のための水は、使用した燃料の燃焼によって提供してもよいし、蒸発器から反応炉に送られた原料の残りの結晶水によって提供してもよい。
【0033】
濃縮工程、ペレット化工程、および熱加水分解工程、並びにそれらの装置および作動パラメータは、それ自体が周知であり、WO93/16000においてより詳細に記載されている。
【0034】
熱加水分解反応炉に供給されたペレット化された材料の一部または全てを、廃液または濃縮廃液と置換してもよい。
【0035】
金属酸化物のペレットは、熱加水分解反応炉から、第1段階還元反応炉として機能し約1000℃±100℃で稼動する流動床ガス化反応炉(ガス化器)116へ高温で放出される。ガス化器には、例えばその地域での入手可能性やコスト構造に適切な、固体状、液体状、またはガス状のいずれかの炭化水素燃料を使用してもよい。好適な燃料としては、石炭、石油、または天然ガスなどが挙げられる。
【0036】
ガス化器において、燃料は、主に水素および一酸化炭素から成る還元ガスに変換される。
【0037】
さらなる実施形態として、第1段階の還元装置へ供給する原料は、増加させてもよく、または、図4を参照して後述するそのすべてを鉄鉱石または金属酸化物の廃棄物、例えばミルスケールおよびバグハウスの粉塵などに換えてもよい。あるいは、もしくはさらに、蒸発段階に先立って、金属酸化廃棄物に金属塩化物溶液を混合してもよい。
【0038】
関連するガス化反応は非常に複雑であるが、詳細に研究され文献で報告されている。より単純なその反応をいくつか以下に示す。
C+O2→CO2
2C+O2→2CO
2C+O2→2CO
2C+1122→CO+CO2
2C+3H2O→CO+CO2+3H2CH4+2O2CO2+2H2
CH4+H2O→CO+3H2
【0039】
これらの反応のための酸素は、周囲空気または予熱空気のいずれかによって供給してもよく、また酸素富化行ってもよいし、または行わなくてもよい。その目的は、十分な燃焼熱を提供するために使用され、同時に起こる金属酸化物の還元反応に必要なCOおよびH2成分を生成する吸熱反応を維持するために十分な量の酸素を確保することである。例えば、完全な化学量論的燃焼要件の30乃至50%の酸素供給で満足できる結果が得られることがわかった。
【0040】
FeOの床は、ガス化反応のための触媒としての役割を果たす。
【0041】
ガス化器において、金属酸化物は急速に変換されるが、その金属酸化物が酸化鉄(III)の場合は、金属化されずに、より低い原子価であるFe(II)の酸化物に変換される。Fe34の比率が高すぎると、初期溶融が生じて“粘性”が高くなり、それによって床の流動性が損なわれる原因となる場合があるので、FeOの形成が支配的で中間酸化物であるFe34の形成が最小となるように、反応が急速に起こることが重要である。
【0042】
第一還元段階において起こる反応を以下に示す。
3Fe23+H2→2FeO4+H2
3Fe23+CO→2Fe34+CO2
Fe34+H2→3FeO+H2
Fe34+CO→3FeO+CO2
【0043】
ガス化器から、部分的に還元された固体酸化物ペレット−主にFeO−は、空圧「J−バルブ」流体動力または他の好適な装置によって、金属化流動床反応炉118へと送られる。第1段階反応炉から排出されるガス類は、第2段階または金属化反応炉における流動化媒質として使用され、また、その反応に必要な還元ガス類であるH2およびCOを十分に残している。第1還元段階の燃料として石炭が使用される場合、第1段階で炭化物が形成されることがあり、その炭化物は酸化物ペレットと共に第2段階へと送られる。第2反応炉チャンバーの温度は、第1反応炉よりわずかに低く、例えば約900℃±100℃であり、この反応炉内での滞留時間は、酸化物を金属へと最大限に転化させるために約1時間程度である。
【0044】
第2還元段階における反応を以下に示す。
FeO+CO→Fe+CO2
FeO+H2→Fe+H2
【0045】
第1段階からの排ガスを第2段階の還元に使用することにより、比率は少ないが第1段階からの反応生成物中に含まれるFe34をCOとの反応によって還元する。
Fe34+CO→3FeO+CO2
FeO+CO→Fe+CO2
【0046】
金属化段階からの生成物は、材料が高温状態にある間に生じる生成物を再酸化することを避けるため、空気を排除した条件下にて間接的に冷却される。一般に、金属化されたペレットは、空気と接触する前に200℃未満またはより低く冷却されなければならない。
【0047】
間接的固体冷却器20は、当技術分野で周知である任意の好適な種類の冷却器であってもよい。間接冷却媒質として空気を使用する場合、空気は図示される冷却器内にあるため、冷却に使用して加熱された空気をガス化器116への原料空気として使用してもよい。
【0048】
前述のように、金属塩化物溶液の蒸発乾燥に必要な熱ガスは、酸化物ペレットの金属化段階からの排ガスによって提供される。このガス類は、最初に再燃焼装置112を通過し、そこで過剰な一酸化炭素と水素が蒸発器で使用する追加の熱に変換される。さらに、高温金属ペレットから熱を回収して第1段階還元反応炉またはプラントのいずれかへ送る原料空気を予熱するために使用してもよい。
【0049】
結果として、WO93/16000の工程と比較して、処理に必要な全燃料の20%未満、多くの場合、約10%が金属化工程で供給され、最終生成物の経済価値をかなり増加させることが期待される。
【0050】
さらに、上記の処理方法は、酸洗い液を処理しミルスケールおよびバグハウス粉塵などの酸化鉄廃棄物のリサイクルをして、再生酸および直接還元鉄を有益な生成物として生産するための、一つの解決案をスチール産業に提供するものである。多量の亜鉛バグハウス粉塵を廃液水流に追加して処理してもよいし、金属化しないで破棄するために熱加水分解工程により生じた不活性酸化鉄ペレット内に封入してもよい。
【0051】
また、酸の再生プラントは、通常の製鋼作業中に発生した廃水流、または暴雨溢出水からの廃水を処理する能力も有している。この水は、微細な酸化物、油(ローリングミルからの)、微細な石炭/炭、または塩化物を含んでいてもよく、不純物の存在に従って、蒸発器に送られるか、または酸の吸収に使用される。
【0052】
当処理方法では、固体または液体の廃液を生じず、実験中のジオキシン類およびフラン類の量は検出限界以下であった。
作動データ
【0053】
チタン鉄鉱の塩酸浸出から得られた廃液によるベンチスケール実験の間、以下に示すデータを記録した。
【0054】
蒸発器への原料液
蒸発器に送られる原料液の組成は、前述の表1を引用している。
【0055】
蒸発工程
固体塩化鉄の蒸発乾燥は、いわゆる結晶水が実験式FeCl2.1.5H2Oに相当するまで行われ、それによって熱加水分解に必要である十分な水が供給された。
【0056】
熱加水分解
熱加水分解は、公称温度850乃至950℃の範囲において行った。
【0057】
還元工程
熱加水分解工程から送られる酸化鉄ペレットは、最初に一価の状態まで還元され、ついで金属状態へと完全に還元される。それに関するデータを下記の表2に示す。
第1段階の温度は950℃で、滞留時間は30分であった。
第2段階の温度は930℃で、滞留時間は2時間30分であった。
【0058】
【表2】

【0059】
この実験で得られた鉄生成物は非発火性であったため、ブリケット化や特別な取り扱いをしなくても安全に使用することができると考えられる。
【0060】
化学組成および物理的状態は、例えば電子アーク炉への原料などのような、溶融金属または鉄鋼生成物のための原料として満足できると考えられるものであった。
【0061】
作動圧力
【0062】
本発明の実施形態は、基本的に大気圧またはより低い気圧で作動し、主要な処理容器または装置はいずれもオーストラリア規格AS1210−1997およびその補正に従って認定を受ける必要はない。
【0063】
図2に図示されている本発明の第2の実施形態では、金属塩化物廃液は事前に蒸発処理およびペレット化処理されることなく直接熱加水分解反応炉214へ供給される。
【0064】
図2の実施形態では、図示された処理方法は、金属塩化物原料液が低濃度であるために一般的に熱加水分解反応炉をより大きくする必要があることを除いて、図1の参照により前記で説明した類似する番号付の構成物と同様に構成され作動する。
【0065】
図2の配置では、第2還元段階からの排ガスは再燃焼装置212および廃熱回収装置213に送られ、回収された廃熱はプラントのいずれかで使用される。
【0066】
図3の配置では、第2還元段階318からの排ガスは、直接、熱加水分解装置314に送られ、さらに燃焼させて熱量を回収する。
【0067】
図2、3、4での符号は、図1の符号に基づいて、図2では200番台、図3では300番台、図4では400番台の符番が割り当てられている。
【0068】
図4は、微粉鉄鉱石または酸化鉄の廃棄物を鉄に還元するための代替の実施形態を示している。
【0069】
鉄鉱石または酸化物の微粉(例えば、直径が約3mm)は、流動床予熱器422に供給され、第2段階の還元反応炉418からの排ガス中に残る化学的エネルギーおよび熱エネルギーが使用される。その排ガスは、COおよびH2を含んでおり、予熱器422の基底部に位置する再燃焼装置424に送られ、その燃焼ガスが流動床へ供給される。
【0070】
そして、予熱された原料は、前述の図1乃至3の参照により説明したように作動する二段式並流還元反応炉416、418へ送られる。
【0071】
以上のように、特定の実施形態に基いて本発明を説明してきたが、本発明はこれに制限されるものではなく、当業者の知識内での応用も可能であることは理解されるところである。従って、本特許請求の範囲の意義及び均等の範囲に属する全ての変更は、その範囲内に包含することを意図するものである。
【0072】
本明細書において、用語「含む(comprising)」は「開放」の意味、すなわち「乃至を含む(including)」の意味に理解されるものであって、従って、「乃至のみから成る(consisting only of)」を意味する「閉鎖」の意味に限定されるものではない。対応する意味は、表現上の「comprise」「comprised」「comprises」の対応する用語に帰するものとする。
【0073】
さらに、本明細書中における既知の先行技術についての如何なる参照も、特に記載の無い限り、そのような先行技術が本発明の関係する当業者によって一般的に知られているものであると容認するものではないことは理解されるべきであろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態による金属塩化物廃液の処理のフローチャートである。
【図2】本発明の第2の実施形態による金属塩化物廃液の処理のフローチャートである。
【図3】本発明の第3の実施形態による金属塩化物廃液の処理のフローチャートである。
【図4】鉄鉱石を処理して金属鉄を生成する処理方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中に金属塩化物を含む酸浸出廃液から酸および金属を再生する処理であって、一連の工程として、
(a)任意選択により、溶液を濃縮して濃縮液を生成する工程、またはその濃縮液を凝縮して固体金属塩化物を生成する工程、
(b)反応炉中で溶液、濃縮液、または固体金属塩化物を熱加水分解して、酸を再生し金属酸化物を生成する工程、および
(c)金属酸化物を金属に還元する工程
を含む処理。
【請求項2】
前記金属が鉄であるか、または主成分が鉄である、請求項1に記載の処理。
【請求項3】
前記還元段階が二段式並流還元反応として行われる、請求項1に記載の処理。
【請求項4】
低酸化状態の酸化物に還元する第1還元段階の反応において、還元剤として部分的に燃焼した炭化水素燃料を使用する、請求項3に記載の処理。
【請求項5】
前記第1還元段階が、第1流動床還元反応炉内において前記炭化水素燃料および準化学量論的な量の酸素と前記金属酸化物を接触させることにより行われる、請求項4に記載の処理。
【請求項6】
前記酸素が前記第1還元段階に空気として供給される、請求項4に記載の処理。
【請求項7】
前記第1還元段階の排ガスを、前記第2段階の前記第2還元反応の前記還元剤として使用する、請求項4に記載の処理。
【請求項8】
前記第2段階還元反応炉からの排ガスを酸化させて、前記処理方法のための前記濃縮工程または前記熱加水分解工程のためのエネルギーを供給する、請求項3に記載の処理。
【請求項9】
前記酸化物ペレットの金属化工程からの排ガスを、前記金属塩化物溶液の前記蒸発工程に使用する、請求項1に記載の処理。
【請求項10】
酸化鉄を前記金属塩化物水溶液に加える工程をさらに含む、請求項2に記載の処理。
【請求項11】
金属酸化物の処理方法であって、
(a)第1還元段階において、低酸化状態の酸化物を生成するために、前記金属酸化物原料と燃料および準化学量論的な量の酸素源を含む還元剤とを接触させる工程、ならびに
(b)前記第1還元段階によって生成された前記低酸化状態の酸化物、および前記第1還元段階から排ガスを、前記低酸化状態の酸化物を還元して前記金属を生成する第2還元段階へ供給する工程
を含む処理。
【請求項12】
前記金属が鉄である、請求項11に記載の処理。
【請求項13】
前記低酸化状態の酸化物の主成分がFeOである、請求項12に記載の処理。
【請求項14】
前記第1段階および前記第2段階の還元反応が、それぞれ、第1および第2流動床還元反応チャンバーで行われる、請求項10に記載の処理。
【請求項15】
前記第1反応チャンバーからの前記低酸化状態の酸化物を、不活性ガス流によって前記第2反応チャンバーに移動させる工程を含む、請求項14に記載の処理。
【請求項16】
前記金属酸化物原料が鉄鉱石である、請求項12に記載の処理。
【請求項17】
前記金属酸化物原料が、金属ハライドを含む酸廃液の熱加水分解による再生によって形成されたペレット状金属酸化物である、請求項11に記載の処理。
【請求項18】
前記金属ハライドが塩化鉄である、請求項12に記載の処理。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−546906(P2008−546906A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516073(P2008−516073)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000832
【国際公開番号】WO2006/133500
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(507409184)
【氏名又は名称原語表記】AUSTPAC RESOURCES N.L.
【Fターム(参考)】