説明

金属帯の巻取設備および巻取方法

【課題】比較的簡易な設備構成のもとで、ピンチロール起因の金属帯の蛇行を適切に抑えることができる巻取設備を提供する。
【解決手段】ライン上流側からサイドガイド2、ピンチロール3、コイラー4をこの順で備えた巻取設備において、サイドガイド2のうちで金属帯を拘束することができる最下流側の位置をa、該位置aとピンチロール圧下点との中間点の位置をb、前記位置aと前記位置bまでの距離をL、前記位置aからライン上流側に距離Lだけ離れたサイドガイド内の位置をcとしたとき、前記位置cと前記位置bとの間に、金属帯の面外変形防止手段として、搬送ロール5との間で金属帯を挟んで拘束する非駆動型の押さえロールXを設けた。押さえロールXが金属帯の面外変形(横座屈)を抑制することで、ピンチロール起因の金属帯の蛇行を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属帯の巻きずれ、特に金属帯尾端部を無張力(例えば、圧延機を抜けて巻取張力がかかっていない状態)で巻き取る際の巻きずれを防止することができる金属帯の巻取設備と、この巻取設備を用いた金属帯の巻取方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来一般に行われている鋼帯の巻取技術について説明する。
図57および図58は、従来の一般的な鋼帯巻取設備を示しており、図57は平面図、図58は側面図である。この設備は、鋼帯を搬送する搬送ロール47、鋼帯をパスラインセンターに誘導(センタリング)するためのサイドガイド41、鋼帯のパスラインを斜め下方に導くとともに、鋼帯に巻取張力(摩擦力)を付与するピンチロール42、鋼帯を巻き取るコイラー43などから構成されている。
前記コイラー43は、巻取軸であるマンドレル430や鋼帯を押さえるラッパーロール431による摩擦力で、鋼帯をコイル状に巻き取る。前記搬送ロール47(搬送ロール装置)は、熱延設備ではホットランテーブルやランアウトテーブルなどと呼ばれているものであり、図ではその最下流の搬送ロール群を示している。前記サイドガイド41は、板幅目標に対する位置制御の誤差、圧延での板幅誤差、衝突による磨耗損傷などを考慮して、鋼帯板幅に対し数ミリ〜数十ミリのクリアランスを設けている。
【0003】
前記ピンチロール42は、ロール両端側の各々独立した圧下装置により軸受箱(チョック)を介して上ロール420aに圧下荷重を加え、下ロール420bとの間で鋼帯を挟み込んでいる。このピンチロール42の上下ロールの間に鋼帯を誘導するため、ピンチロール42の入側にはエントリガイド44やエプロンガイド45などが、また、出側にはスロートガイド46などが、それぞれ設置されている。
熱延鋼帯の場合、仕上圧延中は圧延機でコイラー43に巻き取り張力を加えているため、一般にピンチロール42による鋼帯の保持力は低く設定される。そして、鋼帯尾端が仕上圧延機を抜ける少し前から、徐々にピンチロール42に張力配分を移行してき、鋼帯尾端が仕上圧延機を抜けた後は、ピンチロール42で巻取張力(摩擦力)を付与する。
【0004】
ピンチロール42は、上下ロール420a,420bで鋼帯を挟み、鋼帯の通板速度よりも数%〜数十%遅い周速で上下ロールを回転させて、鋼帯に対してロールを滑らせながら送り出すことで、コイラー43に対する巻取張力(摩擦力)を加えている。ピンチロール42による摩擦力が弱いと巻きが緩くなり、摩擦力が強いと張力の方向がずれた場合に、ピンチロール起因の蛇行が発生し易くなるので、最適なピンチロール42の圧下荷重や回転速度の制御が必要である。特に、鋼帯尾端は、張力や速度、板厚等の変動が大きいため蛇行変化が急激となり、制御応答では反応できない場合も多い。
図59は、鋼帯尾端を巻き取る際に、ピンチロール起因で蛇行が発生した状況を示した模式図であり、このようにピンチロール42で鋼帯が蛇行すると、コイラー43で巻きずれが発生してしまう。
【0005】
ピンチロール起因の蛇行の主要因としては、摩擦力の板幅方向分力である横滑り力と、ピンチロール軸両端の圧下荷重のずれ(差荷重)によるモーメントの2つが挙げられる。これらのピンチロール起因の蛇行のうち、横滑り力によるものを以下に説明する。
ピンチロール42の軸心に対する鋼帯の入射角が真に直角であれば、ピンチロール起因の蛇行は発生しない。しかし、サイドガイド41と鋼帯にはクリアランスがあるため、鋼帯はピンチロール42の軸直角に対して微小な入射角度誤差を持ち得る。また、鋼帯がパスラインのセンターに対して平行であったとしても、ピンチロール42の軸心がラインセンターの直角方向に対して微小な角度誤差を持つ場合もある。機械である以上、微小な角度誤差は避けられない。そして、鋼帯とピンチロール42の僅かな入射角のずれにより、巻取張力である摩擦力のうち、板幅方向の分力による横滑り力が発生し、ピンチロール42が起因となって蛇行が発生する。ピンチロール42で発生した蛇行量は、鋼帯の通板によりコイラー43まで到達して同等の巻きずれ量となる。
【0006】
ピンチロール42の軸心に対する鋼帯の入射角誤差を小さくするには、サイドガイド41をピンチロール42の近傍まで近づけることが有効である。しかし、サイドガイド41は、エントリガイド44などとの干渉を避けるためや、ピンチロール42の入側に搬送ロール50が配置できないことなどのために、その端部をピンチロール42の近傍まで近づけることはできない。また、搬送ロール47もピンチロール42の入側近傍まで配置することが望ましいが、装置干渉などがあるため最下流の搬送ロール47を、ピンチロール42の近傍に配置することができない。エプロンガイド45は、ピンチロール42の入側近傍に搬送ロール47を配置できない代わりに、鋼帯が下方へ潜り込むのを防ぐために設けられるガイドである。
【0007】
ピンチロール42の軸心に対する鋼帯の入射角誤差が生じるのは、サイドガイド41とピンチロール42の距離だけでなく、サイドガイド41と鋼帯にクリアランスがあるためである。ピンチロール起因の蛇行を防止するには、サイドガイド41で鋼帯を拘束するのが効果的であることは自明である。
サイドガイド41によって鋼帯のエッジ部を強固に拘束すると鋼帯に擦り疵を生じるため、このような擦り疵を生じさせることなく、サイドガイド41で鋼帯のエッジを拘束するには、板幅に応じた正確な位置制御が必要である。しかし、鋼帯尾端では、圧延段階で生じた幅広部(フレアなどと呼ばれる)があるため、正確な板幅追従制御は難しい。
また、鋼帯エッジ部に対しサイドガイド41を押し付ける、いわゆる圧力制御を行う場合、鋼帯が薄くなるほど高精度な押付圧一定制御が必要である。しかし、このような押付圧一定制御では、サイドガイド全長に渡って1枚のガイド板に加わる合力をフィードバックするので、鋼帯長手方向で板幅が均一でない場合などでは、部分的な押付圧過多或いは押付圧過少が生じることは避けられない。
【0008】
さらに、図60に示すように、サイドガイド41の下部側は、隣接する搬送ロール47間に入り込むような形状(櫛歯状)をしているため、サイドガイド41を鋼帯のエッジに押し付けると、鋼帯のエッジが痛む(所謂、耳が痛む)という問題を生じる。特に、板厚が搬送ロール47の上端とサイドガイド41の下端縁(搬送ロールに沿った円弧状の下端縁)とのクリアランス以下である薄鋼帯の場合、鋼帯のエッジ部に接触するのは、サイドガイド41の全長ではなく櫛歯状の部分のみであり、このように櫛歯状の部分のみで押し付けられると、特に鋼帯のエッジ部が痛みやすい。また、押し付けることによって、サイドガイド41の内側も磨耗しやすく、相手が鋼帯エッジ部であるためにくさび状の局部磨耗となり、最初はサイドガイド41のフラットな面で拘束していたものが、そのような局部的な磨耗によって鋼帯を疵付けることがある。
【0009】
ピンチロール42で発生した蛇行を修正するため、ピンチロール42とコイラー43との間に蛇行修正ローラなどを設置する方法も検討されているが、コイラー43による鋼帯の巻取径が太くなると鋼帯のパスラインが変わるため、支持ローラなどを設置することが難しく、支持されていない鋼帯にローラを当てて蛇行制御する方法は、制御応答の観点からも限界がある。また、蛇行計などのセンサ信号をフィードバックして、鋼帯を幅方向に制御するような方法は、応答性の問題から実現は難しい。
特許文献1〜3では、コイラー入側のピンチロール(#1ピンチロール)のさらに上流側に、巻取張力を分担するピンチロール(#0ピンチロール)を設置した、所謂ダブルピンチロール方式の設備が示されている。
このような特許文献1〜3の設備において、#1ピンチロールから#0ピンチロールまでの間の鋼帯は、#0ピンチロールによるバックテンションがあるため、良好なバックテンションであれば、鋼帯の蛇行を防ぐことができる。
【0010】
一方、特許文献4には、サイドガイド幅を下向きに広くし、鋼帯の両エッジ部が下方向に拘束されるようにするとともに、サイドガイド幅を油圧制御できるようにした設備が示されている。この設備では、サイドガイド幅(プリセット値)を板幅より10〜15mm広めに設定した後、油圧一定制御に切り換えるものであり、サイドガイド幅の設定値は、鋼帯の先端から尾端に至る各タイミングできめ細かに区分される。そして、鋼帯尾端が仕上圧延機を抜けて無張力となる前に、サイドガイドが鋼帯を押付圧一定で拘束するような押付圧一定制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭58−77717号公報
【特許文献2】特開平5−69040号公報
【特許文献3】特開平7−136715号公報
【特許文献4】特開2002−282937号公報
【特許文献5】特開平8−10843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記のような従来技術には次のような問題がある。
特許文献1〜3のように#0ピンチロールを設置してダブルピンチロールとした場合、#0ピンチロール自体に軸ずれや差荷重などがあると、#0ピンチロールが蛇行要因を発生させてしまう。しかも、巻取張力で鋼帯の蛇行を防ぐには、#0ピンチロールも相応の圧下荷重が必要となる場合が多い。
#0ピンチロールの入側では、一般的なシングルピンチロール方式と同様に鋼帯尾端が無張力となるため、#0ピンチロール起因の蛇行は防げない。また、鋼帯尾端が#0ピンチロールを抜けた後は、シングルピンチロール方式と同様の蛇行要因が生じる。さらに、#0ピンチロールの増設は設備コスト、設置スペースなどの面でも問題を生じる。
【0013】
また、特許文献4のようにサイドガイドで鋼帯のエッジ部を拘束する方法は、さきに述べたように、鋼帯のエッジ部を痛めるなどの本質的な問題がある。また、特許文献4では、サイドガイド幅を下向きに広くすることで、鋼帯の両エッジ部が下方向に拘束されるとしているが、油圧制御の応答遅れなどの原因で鋼帯を押し過ぎると、搬送ロール間で鋼帯のエッジ部が下方に押し曲げられ、変形や疵の問題が起こる。また、後述する図61〜図63に示すように、サイドガイドとピンチロールとの間で鋼帯が横座屈するような場合は、特許文献4のような特殊なサイドガイドを用いても、鋼帯の蛇行は発生してしまう。
【0014】
その他、鋼帯の蛇行防止方法として、ピンチロールの圧下制御やトルク制御などを工夫する例もあるが、鋼帯尾端部は張力の変化が急な過渡的現象であるため、制御応答が不十分となる場合が多い。
なお、鋼帯の中でも厚物と呼ばれる厚鋼帯(例えば、板厚5mm以上)の巻取設備では、ピンチロールだけで鋼帯を曲げてコイラーに誘導することが難しいために、ベンディングロールと呼ばれるロールを付設し、このロールで鋼帯に曲げを加える場合があるが、このようなロールは、鋼帯を巻き取り方向に曲げ加工するだけであり、鋼帯の蛇行を修正できるようなものではない。
【0015】
一方、特許文献5には、サイドガイドによって鋼帯を幅方向から押さえつけて拘束し、鋼帯を中央部がふくらんだ形状にして巻き取ることにより、幅方向のずれが少なく良好に巻き取ることができるとし、このような鋼帯の巻取りを行う際に、サイドガイドの拘束による鋼帯中央部のふくらみが一定以上大きくならないようにするため、サイドガイド内側上方に押さえロールを配置し、鋼帯の過剰なふくらみを押さえるようにした巻取設備が示されている。
しかし、さきに述べたように、サイドガイドで鋼帯のエッジ部を強く拘束すると、鋼帯に擦り疵を生じさせる問題がある。また、鋼帯幅は長手方向で変化するため、この幅変化に対応して、サイドガイドにより鋼帯を幅方向で一定の押付圧で拘束することは、非常に難しい。また、サイドガイド内側に配置される押さえロールは、パスライン上方の所定の高さ(例えば10mm)に設けられ、鋼帯がふくらんだ状態になってから押さえる作用が働くだけであり、したがって、鋼帯の蛇行を抑制したり修正したりできるようなものではない。
【0016】
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、比較的簡易な設備構成のもとで、ピンチロール起因の金属帯の蛇行を効果的に抑えることができる金属帯の巻取設備および巻取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、金属帯尾端部のピンチロール起因の蛇行のメカニズムと蛇行防止対策について詳細な検討を行い、その結果、以下のような知見を得た。
まず、ピンチロール起因の蛇行が発生しているときに、ピンチロール入側の鋼帯の変形を強調すると、図61〜図63に示すように、金属帯が面外変形していることが判った。ここで、図61は従来の金属帯巻取設備においてピンチロール起因の蛇行が発生しているときのピンチロール入側での金属帯の面外変形を模式的に示す平面図、図62は同じく正面図、図63は同じく側面図である。この面外変形は、金属帯が鉛直方向に隆起(浮きシワ)するような変形であるが、ループのような板幅方向で一様な変形ではなく、片側のエッジ部(図61〜図63の場合は進行方向右側のエッジ部)が多く変形するような捻りを含んだ面外変形であり、薄板の横座屈現象であると考えられる。これは、ピンチロール42による摩擦力のロール軸方向分力(スラスト力)、すなわち横滑り力と、金属帯がサイドガイド端で接触したことによる反力の方向が、板幅方向で逆に作用するために金属帯に発生した横座屈であると考えられる。
【0018】
ピンチロールによる横滑り力で、金属帯に発生する面外変形を抑制するには、発生の起点を押さえるのが効果的である。そこで、金属帯の面外変形が生じるサイドガイドとピンチロールの間の通板状況を観察した。ピンチロール圧下点では、金属帯の通板角度を拘束するものがなく、金属帯が平面を保ったまま通板するのに対し、サイドガイドでは金属帯の通板角度を拘束するため、拘束力が低下するサイドガイド下流端(終端)近傍で金属帯の通板角度が変化していることが判った。ここで、サイドガイドの下流端とは、正確にはサイドガイドのうちで金属帯を拘束することができる最下流側の位置であり、したがって、ガイドプレートで金属帯をガイドするサイドガイドの場合にはガイドプレートの終端が、また、長手方向で間隔をおいた位置に金属帯ガイド用のガイドロールを備えたサイドガイドの場合には、最下流側のガイドロールが、それに該当する。金属帯は、このサイドガイドの下流端において拘束が解かれ、通板角度の変化が生じやすく、この通板角度の変化が金属帯の面外変形を生じる一因であること判った。そして、面外変形が発生しやすい箇所(面外変形の起点となる箇所)を調べたところ、多くがサイドガイドの下流端を中心にして上流側および下流側の特定の領域に集中しており、この領域に面外変形を防止する手段を設置するのが有効であることが判った。一方、面外変形防止手段について検討した結果、金属帯用の搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する非駆動型の押さえロールが適当であり、この押さえロールで通板する金属帯のパスライン上方への変位(面外変形)を抑えることにより、金属帯の蛇行が効果的に抑制できることが判った。
【0019】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]ライン上流側から、サイドガイド、ピンチロールおよびコイラーをこの順で備えた金属帯の巻取設備において、
前記サイドガイドのうちで金属帯を拘束することができる最下流側の位置をa、該位置aとピンチロール圧下点との中間点の位置をb、前記位置aと前記位置bまでの距離をL、前記位置aからライン上流側に距離Lだけ離れたサイドガイド内の位置をcとしたとき、
前記位置cと前記位置bとの間に、金属帯の面外変形防止手段として、金属帯の搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する非駆動型の押さえロール(X)を設けたことを特徴とする金属帯の巻取設備。
【0020】
[2]上記[1]の巻取設備において、位置aよりも上流側1本目の搬送ロール、位置aよりも下流側1本目の搬送ロール、位置aよりも下流側2本目の搬送ロール、の中から選ばれる1つ以上の搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する押さえロール(X)を設けることを特徴とする金属帯の巻取設備。
[3]上記[1]の巻取設備において、位置aに最も近い搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する押さえロール(X)を設けることを特徴とする請求項1に記載の金属帯の巻取設備。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの巻取設備において、サイドガイドは、その長手方向で間隔をおいた位置に金属帯ガイド用のガイドロールを備え、最下流側のガイドロールの中心位置が位置aであることを特徴とする金属帯の巻取設備。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの巻取設備において、押さえロール(X)は、単一の支持圧下手段で支持されることを特徴とする金属帯の巻取設備。
[6]上記[5]の巻取設備において、支持圧下手段は、押さえロール(X)を回転自在に支持する単一のロール支持体と、下端部が該ロール支持体の長手方向中央部に枢着され、該ロール支持体を前記枢着部を支点として上下方向揺動可能に保持する支持圧下アームを有することを特徴とする金属帯の巻取設備。
【0021】
[7]上記[1]〜[4]のいずれかの巻取設備において、押さえロール(X)は、支持圧下手段で支持されることなく、自重で金属帯に接触することを特徴とする金属帯の巻取設備。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかの巻取設備において金属帯を巻き取る際に、押さえロール(X)による金属帯の圧下力を、ピンチロール圧下力の1/5以下とすることを特徴とする金属帯の巻取方法。
[9]上記[8]の巻取方法において、金属帯の尾端部分が押さえロール(X)の位置を通板する前に、押さえロール(X)を金属帯と接触しない状態で回転させておき、金属帯の尾端部分が通板する際に、回転中の押さえロール(X)を金属帯に接触させることを特徴とする金属帯の巻取方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、金属帯の搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する非駆動型の押さえロール(X)を設けるという比較的簡易な設備構成により、ピンチロール起因の金属帯の蛇行を効果的に抑えることができ、コイラーでの金属帯の巻きずれを防止することができる。このため、特にピンチロール起因の蛇行を生じやすい板厚が3mm以下の金属帯、とりわけ蛇行が顕著な板厚が2mm以下の金属帯を対象とする巻取設備および巻取方法として好適である。
また、本発明で設けられる押さえロール(X)は、金属帯の搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する非駆動型ロールであり、ピンチロールのように金属帯にパスライン方向での巻取張力を付与するようなものではなく、金属帯をパスライン面内またはパスライン面よりも下方位置に保持する(押さえ込む)程度の軽圧下手段であるため、設備規模やコストも小さくて済む。しかも、蛇行を検出して修正するような高応答で高精度な制御が不要であり、また、サイドガイドで金属帯のエッジを積極的に拘束するものではないため、金属帯のエッジ部の疵やサイドガイドの磨耗も少ない。
【0023】
なお、ピンチロール起因の金属帯の蛇行とこれによる金属帯の巻きずれを防止するには、サイドガイドの下流端(終端)をピンチロールに近づけることが有効ではあるが、ピンチロールによる金属帯へのモーメントが同じであれば、サイドガイドの下流端(終端)とピンチロール間での金属帯の長さ(モーメントアーム)が短くなることで、サイドガイドでの反力が大きくなり、板幅エッジのいわゆる耳傷みが大きくなる。これに対して本発明は、サイドガイドなどによる板幅方向の拘束力強化ではなく、金属帯を板鉛直方向で拘束するものであるので、板幅エッジの耳傷みを抑制しつつ、巻きずれを効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の巻取設備の一実施形態を示す平面図
【図2】図1の実施形態におけるサイドガイド、ピンチロールおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図3】図2中のIII−III線に沿う矢視図
【図4】図1〜図3の実施形態のサイドガイドにおいて、最下流側のガイドロールのサイドガイド本体に対する取付構造を示す平面図、
【図5】図4の取付構造の側面図
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図
【図7】本発明の巻取設備において、サイドガイドのガイドロールとしてディスクロールを用いた場合の一実施形態を示すものであって、サイドガイドにおける最下流側のガイドロールのサイドガイド本体に対する取付構造を示す平面図
【図8】図7の取付構造の側面図
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図
【図10】本発明の巻取設備において、押さえロールXの支持圧下手段の一実施形態を示す正面図
【図11】図10の実施形態の底面図
【図12】図10の実施形態の側面図
【図13】本発明の巻取設備において、押さえロールXの支持圧下手段の他の実施形態を示す正面図
【図14】本発明の巻取設備において、押さえロールXの支持圧下手段の他の実施形態を示す正面図
【図15】図14の実施形態の底面図
【図16】本発明の巻取設備において、押さえロールXの支持圧下手段の他の実施形態を示す正面図
【図17】図16の実施形態の底面図
【図18】本発明の巻取設備の他の実施形態における金属帯通板前でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図19】図18の実施形態において、金属帯通板前でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す正面図
【図20】図18の実施形態において、金属帯通板中でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図21】図18の実施形態において、金属帯通板中でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す正面図
【図22】本発明の巻取設備の他の実施形態における金属帯通板前でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図23】図22の実施形態において、金属帯通板前でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す正面図
【図24】本発明の巻取設備の他の実施形態における金属帯通板前でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図25】図24の実施形態において、金属帯通板前でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す正面図
【図26】図24の実施形態において、金属帯通板中でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図27】図24の実施形態において、金属帯通板中でのピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す正面図
【図28】本発明の巻取設備の他の実施形態におけるピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図29】本発明の巻取設備の他の実施形態におけるピンチロールおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図30】本発明の巻取設備の他の実施形態におけるピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図31】本発明の巻取設備の他の実施形態におけるピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図32】図31の実施形態において、押さえロールXを示す正面図
【図33】図31の実施形態において、押さえロールXを上方に退避させた状態で示す正面図
【図34】本発明の巻取設備の他の実施形態におけるピンチロールおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図35】図34の実施形態における支持アームの一構造例を示す平面図
【図36】図34の実施形態における支持アームの他の構造例を示す平面図
【図37】本発明の巻取設備の他の実施形態を示す平面図
【図38】図37の実施形態において、ピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図39】本発明の巻取設備の他の実施形態における押さえロールXを、サイドガイドを拡げた状態で示す平面図
【図40】図39の実施形態における押さえロールXを、サイドガイドを狭めた状態で示す平面図
【図41】本発明の巻取設備の他の実施形態における押さえロールXを、サイドガイドを拡げた状態で示す平面図
【図42】図41の実施形態における押さえロールXを、サイドガイドを狭めた状態で示す平面図
【図43】図41の実施形態におけるピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図44】図41の実施形態において、支持アーム先端における上ロールの支持構造を示す断面図
【図45】本発明の巻取設備の他の実施形態における押さえロールXを、サイドガイドを拡げた状態で示す平面図
【図46】図45の実施形態における押さえロールXを、サイドガイドを狭めた状態で示す平面図
【図47】本発明の巻取設備の他の実施形態におけるピンチロール、サイドガイドおよび押さえロールXなどを示す側面図
【図48】図47の実施形態において、押さえロールXを示す平面図
【図49】図47の実施形態において、支持アーム先端における上ロールの支持構造を示す断面図
【図50】本発明の巻取設備の他の実施形態における押さえロールXおよびその支持機構を示す側面図
【図51】図50の実施形態において、押さえロールXおよびその支持機構を示す正面図
【図52】図50の実施形態において、上昇位置にある押さえロールXおよびその支持機構を示す正面図
【図53】図50の実施形態において、上昇位置にある押さえロールXおよびその支持機構を示す側面図
【図54】試験例で使用した巻取設備(試験装置)において、押さえロールXを設置した位置を示す説明図
【図55】試験例において、押さえロールXの設置位置が異なる本発明例と押さえロールXを設けない比較例のコイル巻きずれ量を示すグラフ
【図56】試験例において、本発明例の押さえロールXの圧下力とコイル巻きずれ量との関係を示すグラフ
【図57】従来の一般的な鋼帯巻取設備を示す平面図
【図58】図57の鋼帯巻取設備の側面図
【図59】図57の鋼帯巻取設備において鋼帯尾端を巻き取る際に、ピンチロール起因で蛇行が発生した状況を示す模式図
【図60】図57の鋼帯巻取設備におけるサイドガイドの側面図
【図61】従来の鋼帯巻取設備においてピンチロール起因の蛇行が発生しているときのピンチロール入側での鋼帯の面外変形を模式的に示す平面図
【図62】図61の鋼帯の変形を模式的に示す正面図
【図63】図61の鋼帯の変形を模式的に示す側面図
【図64】従来技術の鋼帯巻取設備のピンチロールを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、ライン上流側から、サイドガイド、ピンチロールおよびコイラーをこの順で備えた金属帯の巻取設備であって、ライン方向における特定の領域に、金属帯の面外変形防止手段として、金属帯の搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する非駆動型の押さえロールXを設けるものである。
ここで、本発明の巻取設備において、ピンチロールとは、金属帯を拘束する上下ロール(上下ロールとも駆動型ロール)からなり、金属帯のパスラインを斜め下方に導くとともに、金属帯に巻取張力を付与するためのロールを指す。また、サイドガイドとしては、例えば、(1)ガイドプレートで金属帯をガイドするもの、(2)長手方向で間隔をおいた位置に、金属帯ガイド用の回転自在なガイドロール(竪ロール、ディスクロールなど)を備えたもの、などがあるが、いずれの構造を有するものでもよい。
【0026】
押さえロールXである非駆動型のロールとは、回転自在(フリー回転)な無駆動のロールのことであるが、例えば、ロール軸の軸受に対する摩擦を調整することで、回転し易さを調整してもよい。
また、押さえロールXは、当該ロールによる金属帯幅方向での圧下荷重のずれ(差荷重)によるモーメントが新たな蛇行要因となる恐れがあるので、金属帯幅方向での圧下荷重のずれが生じないような配慮をすることが好ましい。この意味で、押さえロールXは単一の支持圧下手段で支持され、或いは支持圧下手段で支持されることなく、自重で金属帯に接触するようなものであることが好ましい。
【0027】
押さえロールXのロール形状としては、通常のフラットロールの他に、クラウンロールであってもよい。特に、凸クラウンロール(中央部の直径が大きいクラウンロール)であれば、ロール中央部による圧下が主体となるため差荷重が発生しにくくなる。
本発明が巻き取りの対象とする金属帯は、代表的には熱延鋼帯などの鋼帯であるが、これに限定されるものではなく、任意の金属帯を対象とすることができる。また、対象が鋼帯の場合、板厚3mm以下の鋼帯、特に薄物と呼ばれる板厚2mm以下の薄鋼帯が尾端部の蛇行を生じやすいので、本発明は、このような板厚の小さい鋼帯の巻取設備および巻取方法として特に有用である。
【0028】
図1〜図3は、本発明の巻取設備の一実施形態を示すものであり、図1は平面図、図2はサイドガイド、ピンチロールおよび押さえロールXなどを示す側面図、図3は図2のIII−III線に沿う矢視図である。
図において、1は金属帯の搬送ロール装置であり、多数の搬送ロール5からなる。この搬送ロール5は、一般に駆動ロールである。2はこの搬送ロール装置1の上に設けられるサイドガイド、3はこのサイドガイド2の下流側に設けられるピンチロールであり、このピンチロール3は上下ロール300a,300bからなる。4はこのピンチロール3の下流側に設けられるコイラーである。また、51は搬送ロール装置1とピンチロール3の間に設けられるエプロンガイドである。以上の設備構成は、図57および図58に示した従来の巻取設備と同様である。
【0029】
前記サイドガイド2は、その長手方向で間隔をおいた複数箇所に金属帯ガイド用のガイドロール6を備えており、これらガイドロール6で金属帯Sをガイドする。図4〜図6は、最下流側のガイドロール6Eのサイドガイド本体200に対する取付構造を示すもので、図4は平面図、図5は側面図、図6は図5のVI−VI線に沿う断面図である。
本実施形態のガイドロール6は竪型ロール(図中、60はこの竪型ロールの回転軸を示す)からなり、サイドガイド本体200に回転自在に保持されている。各ガイドロール6は、その周方向の一部がサイドガイド本体200の内側に所定長さだけ突き出し、この突出した部分に金属帯Sのエッジ部が接触することにより、金属帯Sがガイドされる。
【0030】
ここで、サイドガイド2のうちで金属帯Sを拘束することができる最下流側の位置をaとする。本実施形態のサイドガイド2はガイドロール6で金属帯Sを拘束するものであるため、最下流側のガイドロール6Eの中心位置が位置aである。また、この位置aとピンチロール圧下点との中間点の位置をb、位置aと位置bまでの距離をL、前記位置aからライン上流側に距離Lだけ離れたサイドガイド内の位置をcとする。
本発明者らの知見によると、前記位置cと前記位置bとの間の領域が、最も面外変形が発生しやすい領域(面外変形の起点となる領域)であり、このため本発明では、前記位置cと前記位置bとの間に、金属帯の面外変形防止手段として、搬送ロール5との間で金属帯を挟んで拘束する非駆動型の押さえロールXを設ける。このような条件を満足すれば、押さえロールXは2箇所以上設けてもよい。ここで、位置cと位置bの範囲に押さえロールXを配置するとは、押さえロールXの中心(軸心)がそれらの範囲内に位置することを意味する。
【0031】
また、押さえロールXを設けるのに特に効果的な位置は、位置aよりも上流側1本目の搬送ロール5R、位置aよりも下流側1本目の搬送ロール5S、位置aよりも下流側2本目の搬送ロール5Tの各位置であり、したがって、これらの中から選ばれる1つ以上の搬送ロール5の位置に押さえロールXを設け、当該搬送ロール5との間で金属帯Sを挟んで拘束できるようにすることが好ましい。これにより、金属帯Sの面外変形を特に効果的に抑えることができる。
また、金属帯Sの面外変形の起点に最もなりやすい地点は位置aであることから、位置aに最も近い搬送ロール5の位置に押さえロールXを設け、当該搬送ロール5との間で金属帯Sを挟んで拘束できるようにすることが最も好ましい。これにより、金属帯Sの面外変形を特に効果的に抑えることができる。
本実施形態では、位置aよりも下流側1本目の搬送ロール5Sの位置に押さえロールXを設け、この搬送ロール5Sとの間で金属帯Sを挟んで拘束できるようにしている。この搬送ロール5Sは位置aに最も近い搬送ロールでもあり、ここに押さえロールXを配置することにより、金属帯Sの面外変形を最も効果的に抑えることができる。
なお、サイドガイド2が有するガイドロール6としては、図1〜図3に示すような竪型ロールのほかにディスクロールなども用いられており、いずれの形式のガイドロールでもよい。
【0032】
図7〜図9は、ガイドロール6としてディスクロールを用いた場合の一実施形態を示すものであって、最下流側のガイドロール6Eのサイドガイド本体200に対する取付構造を示すものであり、図7は平面図、図8は側面図、図9は図8のIX−IX線に沿う断面図である。本実施形態のガイドロール6は円錐または円錐台形状のディスクロール(図中、60はこのディスクロールの回転軸を示す)からなり、サイドガイド本体200に回転自在に保持されている。各ガイドロール6は、その周方向の一部がサイドガイド本体200の内側に所定長さだけ突き出し、この突出した部分に金属帯Sのエッジ部が接触することにより、金属帯Sがガイドされる。
【0033】
また、サイドガイド2はガイドロールを備えず、ガイドプレート(サイドガイド本体)で金属帯をガイドするタイプのものでもよく、このようなサイドガイド2の場合には、ガイドプレートに金属帯のエッジ部が接触することにより、金属帯がガイドされる。したがって、このタイプのサイドガイド2の場合には、ガイドプレート(サイドガイド本体)の最下流端(終端)が位置aとなる。
上下で金属帯Sを挟んで拘束する押さえロールXと搬送ロール5の軸心は、ライン方向で偏心(オフセット)していてもよいが、軸心をオフセットすると金属帯がパスライン面よりも下方位置で拘束されることになるので、金属帯をなるべくパスライン面内に保持するためには、両ロールの軸心は同一鉛直面上にあることが好ましい。
【0034】
面外変形(横座屈)が発生し、この面外変形で隆起した金属帯Sを上から抑え込もうとすると、大きな荷重が必要となるし、一度変形した金属帯Sを押し戻すことによって金属帯が折れ込んだりする問題がある。これに対して本発明の押さえロールXは、実質的にそのような面外変形の発生自体を抑え込むことを目的としている。一方、前記押さえロールXには、金属帯Sに巻取張力をかけたり、金属帯Sを曲げたり、反りを戻したりするような機能は全く必要でなく、金属帯Sをパスライン面内またはパスライン面よりも下方位置に保持できればよい。
押さえロールXは、面外変形開始の初期段階の僅かな隆起を押さえ込むだけでよいので軽圧下荷重でよい。そして、このように軽圧下荷重とすることにより、押さえロールX自体により蛇行要因を発生させることが少なく、この点も従来技術のダブルピンチロール方式と異なる点である。
【0035】
押さえロールXの両端を、それぞれ独立した支持圧下手段で支持した場合には、金属帯幅方向での圧下荷重のずれ(差荷重)によるモーメントが新たな蛇行要因となる恐れがあるので、押さえロールXは、下記(1)、(2)のいずれかの形態とすることが好ましい。
(1)押さえロールXが単一の支持圧下手段で支持される。
(2)押さえロールXが、支持圧下手段で支持されることなく、自重で金属帯に接触する。
また、上記(1)の形態の場合、支持圧下手段は、押さえロールXを回転自在に支持する単一のロール支持体と、下端部が該ロール支持体の長手方向中央部に枢着され、該ロール支持体を前記枢着部を支点として上下方向揺動可能に保持する支持圧下アームを有するものであることが好ましい。このような支持圧下手段では、ロール支持体が上下方向揺動可能であるため、押さえロールXが上下方向で自由に傾くことができ、金属帯Sに図32に示すようなウェッジがあったとしても、これに沿って傾くことができるので、金属帯幅方向での差荷重が特に生じにくい。
【0036】
図10〜図12は、そのような支持圧下手段(昇降装置)で押さえロールXを支持する場合の一実施形態を示すもので、図10は正面図、図11は底面図、図12は側面図である。
この支持圧下手段10は、両端にロール軸受部12を有し、この両ロール軸受部12により押さえロールXの両端(ロール軸100)を回転自在に軸支するロール支持体11と、下端部がこのロール支持体11の長手方向中央に枢着された支持圧下アーム13とで構成され、ロール支持体11は支持圧下アーム13に前記枢着部を支点として金属帯幅方向で上下方向揺動可能に保持されている。ロール支持体11の長手方向中央に支持圧下アーム13を枢着させるため、ロール支持体11の長手方向中央の両側には支持軸14が設けられ、この両支持軸14に、支持圧下アーム13の下端のブラケット15を回転自在に枢支させている。前記支持圧下アーム13は、シリンダ装置などの圧下機構16を備えている。
【0037】
また、この実施形態では、押さえロールXが金属帯幅方向をなるべく均等に圧下できるようにするため、上下方向において、押さえロールXのロール軸心と支持圧下アーム13の枢着位置(支持軸14)の中心を一致させ、支持圧下アーム13による圧下荷重が圧下方向以外の分力を生じさせないようにしている。
以上のように押さえロールXを1つの支持圧下手段10で左右対称に支持すること、より具体的には、ロール支持体11とこのロール支持体11を保持する支持圧下アーム13とを備えた支持圧下手段10で支持することにより、金属帯Sを幅方向で均一に圧下することができるので、金属帯幅方向での圧下荷重のずれ(差荷重)によるモーメントが生じることが防止できる。また、さきに述べたように、ロール支持体11が支持軸14(枢着部)を支点として上下方向揺動可能であり、押さえロールXが上下方向で自由に傾くことができるので、金属帯幅方向での差荷重が特に生じにくい。
なお、本実施形態では、押さえロールXの両端のロール軸100を両ロール軸受部12に回転自在に軸支させた構造となっているが、ロール軸100(ロール保持軸)をロール支持体11に固定し、このロール軸100に対して、ロール本体を回転自在に保持させた構造としてもよい。
【0038】
図13は、図10〜図12と同じく、支持圧下手段で押さえロールXを支持する場合の他の実施形態を示す正面図である。
この実施形態は、ロール支持体11に対する支持圧下アーム13の枢着位置(支持軸14)の中心が、押さえロールXのロール軸心よりも上方に位置した構造を有している。
このような構造では、上下方向において、押さえロールXのロール軸心と支持圧下アーム13の枢着位置(支持軸14)の中心が一致していないため、支持圧下アーム13による圧下荷重が圧下方向以外の分力を生じさせる可能性があるので、押さえロールXのロール軸心と支持圧下アーム13の枢着位置(支持軸14)の中心との上下方向距離kはできるだけ小さい方が好ましく、具体的には、押さえロールXのロール径に相当する距離以下とすることが好ましい。
なお、その他の構成は、図10〜図12の実施形態と同様である。
【0039】
図14および図15は、図10〜図12と同じく、支持圧下手段で押さえロールXを支持する場合の他の実施形態を示すもので、図14は正面図、図15は底面図である。
この支持圧下手段10は、ロール支持体11が、中央の本体部110とその両側に設けられた1対のロール保持軸部111x,111yで構成され、この1対のロール保持軸部111x,111yにそれぞれ回転自在に保持されたロール50x,50yにより、押さえロールXが構成されている。
【0040】
そして、ロール支持体11の本体部110に支持圧下アーム13の下端部が枢着され、ロール支持体11は支持圧下アーム13に金属帯幅方向で揺動可能に保持されている。ロール支持体11の本体部110に支持圧下アーム13を枢着させるため、本体部110の両側には支持軸14が設けられ、この両支持軸14に、支持圧下アーム13の下端のブラケット15を回転自在に枢支させている。前記支持圧下アーム13は、シリンダ装置などの圧下機構16を備えている。
また、この実施形態でも、押さえロールXが金属帯幅方向をなるべく均等に圧下できるようにするため、上下方向において、押さえロールXのロール軸心と支持圧下アーム13の枢着位置(支持軸14)の中心を一致させ、支持圧下アーム13による圧下荷重が圧下方向以外の分力を生じさせないようにしている。
【0041】
図16および図17は、図10〜図12と同じく、支持圧下手段で押さえロールXを支持する場合の他の実施形態を示すもので、図16は正面図、図17は底面図である。
この実施形態は、設備上の制約から、通板する金属帯Sの真上に図10〜図12のような単一の支持圧下アーム13を配置できない場合に、有効な構造である。
この支持圧下手段10は、ロール支持体11とこれを保持する支持圧下アーム13とからなり、このうち、ロール支持体11とこれによる押さえロールXの支持構造は、図10〜図12の実施形態と同様である。
【0042】
一方、支持圧下アーム13は、シリンダ装置などの圧下機構16を備える1対のアーム130x,130yと、この1対のアーム130x,130yに両端を保持されたフレーム状の支持部材131とからなり、このフレーム状の支持部材131の内側にロール支持体11が配置されるとともに、このロール支持体11の長手方向中央部がロール支持体11の長手方向中央部に枢着されることで、ロール支持体11は支持圧下アーム13に金属帯幅方向で揺動可能に保持されている。ロール支持体11の長手方向中央部に支持部材131を枢着させるため、ロール支持体11の長手方向中央部の両側には支持軸14が設けられ、この両支持軸14に、フレーム状の支持部材131の長手方向中央部を回転自在に枢支させている。
以上説明した図13、図14および図15、図16および図17の各支持圧下手段10は、図10〜図11の支持圧下手段10と基本的に同様の機能を有する。
【0043】
熱間圧延などの場合、金属帯尾端が仕上圧延機を通過するまでは、ピンチロールでの通板は比較的安定しているので、押さえロールXは金属帯尾端が仕上圧延機を抜ける少し前から、金属帯に接触させることが効果的である。このため押さえロールXは、上下昇降可能に構成することが好ましい。
また、押さえロールXを金属帯に接触させる場合、押さえロールXの周速を金属帯の通板速度に近づけ、金属帯に疵をつけないようにすることが好ましい。この場合の押さえロールXの周速は、搬送ロール5と同程度の周速(金属帯尾端の場合、通板速度より数〜十数%遅い周速)でよい。
【0044】
その具体的な方法としては、金属帯の尾端部分が通板する前に、押さえロールXを他の回転駆動ロール(例えば搬送ロールやピンチロール)に当接させることで押さえロールXを十分回転させ、金属帯先端から中央部が通板している間は空転状態で待機させ、金属帯の尾端部分が通板する際に金属帯Sに対して接触させる(圧下する)方法が有効である。例えば、金属帯Sが押さえロール位置を通板する前に、押さえロールXを搬送ロール5に接触させることで押さえロールXに回転を与え、同ロールを上方に待機させておき、金属帯S(特に金属帯の尾端部分)が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記押さえロールXを下降させて金属帯Sに接触させるものである。この場合、上方で待機中の押さえロールXの回転速度を維持するために、例えば、押さえロールXに同ロールと一体に回転するフライホイールなどを付設しておくと効果的である。
なお、上方で待機中の押さえロールXの回転を金属帯の尾端部分の通板時まで十分に維持できない場合は、押さえロールXを金属帯中央部の通板時から金属帯に接触させても、軽荷重であるため問題はない。
【0045】
押さえロールXを駆動ロールに当接させて予め回転させておく場合、押さえロールXの同軸上に、押さえロールXと一体に回転する補助ロールを付設し、この補助ロールを利用して押さえロールXに回転を付与するようにしてもよい。
図18〜図21は、そのような補助ロールを備えた巻取設備の一実施形態を示すものであり、図18は金属帯通板前におけるピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図19は同じく正面図、図20は金属帯通板中のピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図21は同じく正面図である。
【0046】
押さえロールXは、例えば、図10〜図12に示すような支持圧下手段10(昇降装置)に回転自在且つ上下昇降可能に支持されるか、或いは、後述する実施形態に示されるように、昇降ガイドに案内されまたは支持アームに保持されることにより、その自重で金属帯に接触する。この押さえロールXの両端のロール軸100には、押さえロールXよりも大径の1対の補助ロール7が取り付け固定され、押さえロールXと同軸上で一体回転するようになっている。
前記補助ロール7の半径Rと押さえロールX半径rは、以下の条件を満足させるものとする。ここで、tは通板する金属帯Sの最小板厚である。
R>r
R−r<t
【0047】
このような巻取設備では、金属帯通板前において、図18および図19に示すように、押さえロールXを下降させて、その両端の補助ロール7を駆動型ロールである搬送ロール5に当接させる。これにより、補助ロール7は搬送ロール5との摩擦力で回転し、これと一体の押さえロールXも回転する。このとき、押さえロールXと搬送ロール5との間には、金属帯Sの最小板厚tよりも小さいクリアランスα(=R−r<t)が形成される。
このように補助ロール7を介して押さえロールXに回転を付与した後、押さえロールXを上昇させて上方で待機させ、金属帯S(特に金属帯の尾端部分)が押さえロール位置を通板する際に、再び押さえロールXを下降させる。ここで、前記クリアランスαは金属帯Sの最小板厚tよりも小さいため、図20および図21に示すように、押さえロールXは金属帯Sに当接し、搬送ロール5との間で金属帯Sを挟持する。当然、このときには補助ロール7は搬送ロール5から離れている。
【0048】
また、補助ロール7を搬送ロール5に設け、この補助ロール7を押さえロールXに当接させることで、押さえロールXに回転力を付与するようにしてもよい。
図22および図23は、そのような補助ロールを備えた巻取設備の一実施形態を示すものであり、図22は金属板通板前におけるピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図23は同じく正面図である。
押えロールXは、例えば、図10〜図12に示すような支持圧下手段10(昇降装置)に回転自在且つ上下昇降可能に支持されるか、或いは、後述する実施形態に示されるように、昇降ガイドに案内されまたは支持アームに保持されることにより、その自重で金属帯に接触する。
【0049】
搬送ロール5の両端のロール軸500には、搬送ロール5よりも大径の1対の補助ロール7が取り付け固定され、搬送ロール5と同軸上で一体回転するようになっている。
前記補助ロール7の半径Rと搬送ロール5の半径rは、以下の条件を満足させるものとする。ここで、tは通板する金属帯Sの最小板厚である。
R>r
R−r<t
【0050】
このような巻取設備では、金属帯通板前において、図22および図23に示すように、押さえロールXを下降させて、駆動型ロールである搬送ロール5の両端の補助ロール7に当接させる。これにより、押さえロールXは補助ロール7との摩擦力で回転する。このとき、押さえロールXと搬送ロール5との間には、金属帯Sの最小板厚tよりも小さいクリアランスα(=R−r<t)が形成される。
このように補助ロール7を介して押さえロールXに回転を付与した後、押さえロールXを上昇させて上方で待機させ、金属帯S(特に金属帯の尾端部分)が押さえロール位置を通板する際に、再び押さえロールXを下降させる。ここで、前記クリアランスαは金属帯Sの最小板厚tよりも小さいため、押さえロールXは金属帯Sに当接し、搬送ロール5との間で金属帯Sを挟持する。当然、このときには補助ロール7は、押さえロールXから離れている。
【0051】
また、上記のように補助ロールを利用する方式において、押さえロールXの回転周速を、金属帯の尾端部分が通過するまでの速度低下を考慮して、通板速度よりも速く回転させておきたい場合には、搬送ロール5と押さえロールXに各々互いに接触する補助ロールを設け、両補助ロールの周速比を選択すればよい。
図24〜図27は、そのような構造を備えた巻取設備の一実施形態を示すものであり、図24は金属帯通板前におけるピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図25は同じく正面図、図26は金属帯通板中のピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図27は同じく正面図である。
【0052】
押えロールXは、例えば、図10〜図12に示すような支持圧下手段10(昇降装置)に回転自在且つ上下昇降可能に支持されるか、或いは、後述する実施形態に示されるように、昇降ガイドに案内されまたは支持アームに保持されることにより、その自重で金属帯に接触する。この押さえロールXの両端のロール軸100には、押さえロールXよりも小径の1対の上補助ロール8が取り付け固定され、押さえロールXと同軸上で一体回転するようになっている。一方、搬送ロール5の両端のロール軸500には、搬送ロール5よりも大径の1対の下補助ロール9が取り付け固定され、搬送ロール5と同軸上で一体回転するようになっている。
前記上補助ロール8の半径Rと、押さえロールXの半径rと、下補助ロール9の半径Rと、搬送ロール5の半径rは、以下の条件を満足させるものとする。ここで、tは通板する金属帯Sの最小板厚である。
<R
<r
>r
(R−r)+(R−r)<t
【0053】
このような巻取設備では、金属帯通板前において、図24および図25に示すように、押さえロールXを下降させて、その両端の上補助ロール8を搬送ロール5の両端の下補助ロール9に当接させる。これにより、上補助ロール8は下補助ロール9との摩擦力で回転し、これと一体の押さえロールXも回転する。この場合、搬送ロール5の周速をVとした場合、押さえロールXの周速Vは以下のようになる。
V=V×(R/r)×(r/R
よって、搬送ロール5の周速Vよりも押さえロールXの周速を大きくすることができる。また、このとき、押さえロールXと搬送ロール5との間には、金属帯Sの最小板厚tよりも小さいクリアランスα(=(R−r)+(R−r)<t)が形成される。
【0054】
このように補助ロール8,9を介して押さえロールXに回転を付与した後、押さえロールXを上昇させて上方で待機させ、金属帯S(特に金属帯の尾端部分)が押さえロール位置を通板する際に、再び押さえロールXを下降させる。ここで前記クリアランスαは金属帯Sの最小板厚tよりも小さいため、図26および図27に示すように、押さえロールXは金属帯Sに当接し、搬送ロール5との間で金属帯Sを挟持する。当然、このときには上補助ロール8は下補助ロール9から離れている。
なお、上記のようにして金属帯通板前に予め回転させておく押さえロールXの周速は、金属帯(特に金属帯の尾端部分)通板時までの減速量を計算し、通板速度に近い速度で金属帯Sに当接できるような適切な周速に設定することが好ましい。このために上補助ロール8と下補助ロール9の半径を適宜選択する。
【0055】
押さえロールXを駆動ロールに当接させて予め回転させておく場合、駆動ロールとしてピンチロールや駆動型の予回転用ロールを利用することもでき、この場合には、押さえロールXを上下昇降可能とし、それら駆動ロールと直接または他のロールを介して接触できるようにする。これらの場合には、金属帯の通過後でも押さえロールXを回転させることができる。
図28は、予回転用の駆動ロールとしてピンチロールを利用する巻取設備の一実施形態を示すものであり、サイドガイド、ピンチロールおよび押さえロールXなどを示す側面図である。
【0056】
押さえロールXは上下昇降可能に構成される。押さえロールXを上下昇降させる機構については、図10〜図12などに示したような支持圧下手段10の伸縮により或いは支持圧下手段10自体を昇降させるようにしてもよいし、或いは、後述する実施形態に示されるように、パスラインの両側位置に昇降ガイドを設け、押さえロールXの両端のロール軸またはこのロール軸を支持するロール軸受を前記昇降ガイドに各々上下方向スライド自在に保持させる方式、押さえロールXを上下方向回動自在な支持アームに回転自在に支持させる方式、などでもよい。
【0057】
押さえロールXを直にピンチロール3の上ロール300a(以下、説明の便宜上「上ピンチロール300a」という)と接触させると、押さえロールXの回転方向が金属帯通板方向とは逆になるため、上昇位置にある押さえロールXと上ピンチロール300aの両方に接触する(すなわち、上昇位置にある押さえロールXと上ピンチロール300a間に介在する)回転自在な中間ロール52が、パスラインの上方に設けられている。本実施形態の中間ロール52は、上ピンチロール300aに常時接した状態に設置され、上ピンチロール300aの回転駆動力で回転している。押さえロールXを上昇させて中間ロール52と接触させることにより、中間ロール52を介して、上ピンチロール300aの回転が押さえロールXに伝えられ、押さえロールXが回転する。
なお、中間ロール52を並列的に複数個(奇数個)設け、順次回転を伝えるようにしてもよい。
【0058】
また、図29は、中間ロール52の他の実施形態を示すものであり、この実施形態では、中間ロール52が押さえロールXに常時接した状態に設置されている。したがって、押さえロールXと中間ロール52を一体に上昇させて中間ロール52を上ピンチロール300aと接触させることにより、中間ロール52を介して、上ピンチロール300aの回転が押さえロールXに伝えられる。
以上のような巻取設備では、金属帯Sの尾端部分が押さえロール位置を通板する前に、押さえロールX(または押さえロールXと中間ロール52)を上昇させ、中間ロール52を介してピンチロールの上ロール300aと接触させることで回転を与えておき、金属帯Sの尾端部分が押さえロール位置を通板する際に、回転中の押さえロールXを下降させて金属帯Sに接触させる。
【0059】
図30は、駆動ロールとして予回転用ロールを設けた巻取設備の一実施形態を示すものであり、サイドガイド、ピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図である。押さえロールXは、図28の実施形態と同様、上下昇降可能に構成される。パスラインの上方には、駆動型の予回転用ロール53が設けられ、上昇した押さえロールXは、この予回転用ロール53と接触することで回転する。
このような巻取設備では、金属帯Sの尾端部分が押さえロール位置を通板する前に、押さえロールXを上昇させ、回転駆動する予回転用ロール53と接触させることで回転を与えておき、金属帯Sの尾端部分が押さえロール位置を通板する際に、回転中の押さえロールXを下降させて金属帯Sに接触させる。
【0060】
押さえロールXは、図10〜図12などに示すような支持圧下手段に支持されることなく、自重で金属帯Sに当接(接触)するものであってもよい。この方式のものとしては、例えば、以下のようなものがある。
(I)パスラインの両側位置に1対の昇降ガイドを設け、押さえロールXの両端のロール軸またはこのロール軸を支持するロール軸受を、前記1対の昇降ガイドに各々上下方向スライド自在に保持させるもの。
(II)押さえロールXを、上下方向回動自在な支持アームに回転自在に支持させるもの。
【0061】
このように金属帯Sに自重で当接(接触)する押さえロールXは、金属帯Sに図32に示すようなウェッジがある場合でも、このウェッジに沿って傾くことができるので、金属帯幅方向での差荷重が生じにくい。
また、このような作用効果をより適切に得るためには、押さえロールXが上下方向でなるべく自由に傾動できるような構造とすることが好ましい。この意味で、上記(I)の形態では、昇降ガイドとこれに案内されるロール側の部材との間に適度な遊びを設けることが好ましい。同じく、上記(II)の形態では、(1)押さえロールXの両端側を独立した1対の支持アーム(1対の支持アームどうしが剛体で連結されていないもの)で支持する、(2)支持アームによる押さえロールXの支持部に、押さえロールXの上下方向での傾動範囲を拡げるための遊びを設ける、(3)支持アームの基端部に、押さえロールXの上下方向での傾動範囲を拡げるための遊びを設ける、などのうちの1つ以上の構造を採用することが好ましい。
【0062】
図31〜図33は、上記(I)の構造を備えた巻取設備の一実施形態を示すものであり、図31はピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図32は押さえロールXを示す正面図、図33は押さえロールXを上方に退避させた状態で示す正面図である。
この実施形態では、パスラインの両側位置(金属帯幅方向の両側)に溝状の1対の昇降ガイド17を設けるとともに、この昇降ガイド17内にそれぞれロール軸受18を上下方向スライド自在に配置し、この両ロール軸受18に、押さえロールXの両ロール軸100を回転自在に軸支させている。すなわち、押さえロールXのロール軸100を支持するロール軸受18が、1対の昇降ガイド17に上下方向スライド自在に保持されている。
【0063】
1対の昇降ガイド17は、例えば、エントリガイドなどのような任意の部材19に、内側に張り出すように設けられている。また、昇降ガイド17は斜め上方にロール軸受18をガイドする構造となっているが、ガイド方向は垂直方向でもよい。また、昇降ガイド17は押さえロールXのロール軸100そのものを上下方向スライド自在にガイドしてもよい。
押さえロールXの不使用時に押さえロールXを昇降ガイド17の上方位置に退避(待機)させておくために、昇降アーム20を有するリフトアップ装置が付設されており、図33に示すように、この昇降アーム20で両ロール軸受18または両ロール軸100を支持して押さえロールXをリフトアップできるようにしている。
【0064】
ロール軸受18などには、金属帯Sを押さえつけるための荷重を確保するために、必要に応じてウエイトを付加することができる。
このような実施形態の巻取設備では、押さえロールXは、圧下支持手段で支持されることなく、その両端を支持するロール軸受18が昇降ガイド17に上下方向スライド自在に保持されているだけであり、したがって、押さえロールXはロール軸受18(さらに、必要に応じて付加されるウエイト)を含めた自重により、金属帯Sに当接(接触)する。このため、押さえロールXとロール軸受18などの金属帯幅方向でのウェイトバランスを均等にすれば、金属帯Sに幅方向で均一な圧下荷重をかけることができ、金属帯Sに図32に示すようなウェッジがあったとしても、押さえロールXはこれに沿って傾くだけであるため、金属帯Sには差荷重が発生しない。
【0065】
図34は、上記(II)の構造を備えた巻取設備の一実施形態であって、ピンチロールおよび押さえロールXなどを示す側面図である。
この実施形態では、支持アーム70を、その基端部をエントリガイドなどのような適当な部材19に枢支700させることで上下方向回動自在に設け、この支持アーム70の先端に押さえロールXを回転自在に支持させたものである。支持アーム70は、その枢支部700を支点として上下方向に回動(スイング)する。
支持アーム70を取り付ける部材は任意であり、例えば、サイドガイドや周辺の構造部であってもよい。
【0066】
また、支持アーム70による押さえロールXの支持構造も任意である。図35および図36は、支持アーム70による押さえロールXの支持構造例を示している。このうち図35では、押さえロールXの両端を軸受542により回転自在に保持するロール支持体54の両端に支持アーム70が連結されている。また、図36では、ロール支持体54が、中央の本体部540とその両側に設けられた1対のロール保持軸部541x,541yで構成され、この1対のロール保持軸部541x,541yにそれぞれ回転自在に保持されたロール50x,50yにより、押さえロールXが構成されている。そして、ロール支持体54の本体部540に単一の支持アーム70が連結されている。
【0067】
前記支持アーム70などには、金属帯Sを押さえつけるための荷重を確保するために、必要に応じてウエイトを付加することができる。また、押さえロールXを上方に退避(待機)させるために支持アーム70を上方に回動させて保持するための適宜な手段を付設することができる。このような手段として、例えば、支持アーム70をワイヤロープなどを介して牽引し、上方に回動させて保持するリフトアップ装置や、支持アーム70の枢支部700に設けられ、支持アーム70を回転駆動させる駆動機構などを用いることができる。
また、本実施形態のように支持アーム70で押さえロールXを支持する場合には、さきに述べたように、押さえロールXが上下方向でなるべく自由に傾動できるような配慮をすることが好ましい。例えば、(1)押さえロールXの両端側を独立した1対の支持アーム70(1対の支持アーム70どうしが剛体で連結されていないもの)で支持する、(2)支持アーム70による押さえロールXの支持部に、押さえロールXの上下方向での傾動範囲を拡げるための遊びを設ける、(3)支持アーム70の基端部に、押さえロールXの上下方向での傾動範囲を拡げるための遊びを設ける、などのうちの1つ以上の構造を採用することが好ましい。
【0068】
本実施形態の巻取設備では、押さえロールXは、圧下支持手段で支持されることなく、上下方向回動自在な支持アーム70で支持されているだけであり、したがって、押さえロールXは支持アーム70などを含めた自重により、金属帯Sに当接(接触)する。このため、押さえロールXとこれを支持する支持アーム70などの金属帯幅方向でのウェイトバランスを均等にすれば、金属帯Sに幅方向で均一な圧下荷重をかけることができ、金属帯Sに図32に示すようなウェッジがあったとしても、押さえロールXはこれに沿って傾くだけであるため、金属帯Sには差荷重が発生しない。
【0069】
次に、上記(I)または(II)の構造を備えた巻取設備であって、押さえロールXをサイドガイド2の内側に配置する巻取設備のいくつかの実施形態を示す。
サイドガイド2は金属帯幅に応じて幅方向で移動(位置調整)するため、押さえロールXをサイドガイド2の内側に配置する構造では、サイドガイド2の移動に拘わりなく押さえロールXが機能を発揮できるような構造とする必要がある。
図37および図38は、押さえロールXをサイドガイドの内側に配置する巻取設備の第一の実施形態を示すものであり、図37は平面図、図38はピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図である。
【0070】
この実施形態では、両端に比較的長いロール軸100を有する押さえロールXをサイドガイド2の内側に配置し、その両ロール軸100が両サイドガイド2の上下方向に形成されたスリット21(または長孔状の透孔)を通じてサイドガイド2の両外側に延出(突出)している。これにより、サイドガイド2はロール軸100などと干渉することなく、金属帯幅方向で移動することができる。サイドガイド2の両側位置には溝状の昇降ガイド22をそれぞれ設けるとともに、この昇降ガイド22内にそれぞれロール軸受18を上下方向スライド自在に配置し、この両ロール軸受18に、押さえロールXの両ロール軸100の端部を回転自在に軸支させている。すなわち、押さえロールXのロール軸100を支持するロール軸受18が、1対の昇降ガイド22に上下方向スライド自在に保持されている。
なお、昇降ガイド22は押さえロールXのロール軸100そのものを上下方向スライド自在にガイドしてもよい。
【0071】
なお、ロール軸受18などには、金属帯Sを押さえつけるための荷重を確保するために、必要に応じてウエイトを付加することができる。
本実施形態では、ロール長が比較的短い押さえロールXを用い、金属帯幅方向の中央部を拘束するものであり、このような実施形態でも金属帯Sをパスライン面内またはパスライン面よりも下方位置に保持できるので問題はない。ここで、押さえロールXのロール長は任意であり、また、好ましいロール長(下限)はロールによる圧下荷重や金属帯の板厚、板幅などにより異なるため一律に規定することはできないが、一般には金属帯板幅の30%以上を拘束できるロール長を有することが好ましい。
押さえロールXの不使用時に押さえロールXを昇降ガイド22の上方位置に退避(待機)させておくために、図31〜図33の実施形態と同様のリフトアップ装置(図示せず)が付設され、このリフトアップ装置の昇降アームで両ロール軸受18(または両ロール軸100)を支持して押さえロールXをリフトアップできるようにしている。
【0072】
このような実施形態の巻取設備でも、押さえロールXは、圧下支持手段で支持されることなく、その両端を支持するロール軸受18が昇降ガイド22に上下方向スライド自在に保持されているだけであり、したがって、押さえロールXはロール軸受18など(さらに、必要に応じて付加されるウエイト)を含めた自重により、金属帯Sに当接(接触)する。このため、押さえロールXとロール軸受18などの金属帯幅方向でのウェイトバランスを均等にすれば、金属帯Sに幅方向で均一な圧下荷重をかけることができ、金属帯Sに図32に示すようなウェッジがあったとしても、押さえロールXはこれに沿って傾くだけであるため、金属帯Sには差荷重が発生しない。
また、サイドガイド2は押さえロールXやそのロール軸100などと干渉することなく金属帯幅方向で位置調整できるため、押さえロールXは、サイドガイド2の金属帯幅方向での位置と無関係に金属帯Sに当接(接触)し、その機能を発揮することができる。
【0073】
図39および図40は、押さえロールXをサイドガイドの内側に配置する巻取設備の第二の実施形態を示すものであり、図39はサイドガイドを拡げた状態での押さえロールXを示す平面図、図40はサイドガイドを狭めた状態での押さえロールXを示す平面図である。
本実施形態では、押さえロールXをサイドガイド2の内側に配置するとともに、両サイドガイド2にそれぞれ支持アーム23を上下方向回動自在に取り付け、この両支持アーム23に、押さえロールXを回転自在に支持させたものである。
【0074】
各支持アーム23はサイドガイド2の内側に配置され、その基端部がサイドガイド2に枢支230され、この枢支部230を支点として上下方向に回動(スイング)する。各支持アーム23の先端には、ライン中心方向に延出するロール支持軸24が設けられている。
押さえロールXにはロール軸がなく、その代わりに両端にロール支持軸24を取り付けるための軸孔25を有している。この押さえロールXは、その両端の軸孔25に各支持アーム23のロール支持軸24を回転自在且つ長手方向スライド自在に挿入させることにより、支持アーム23に支持される。
【0075】
本実施形態の巻取設備でも、押さえロールXは、圧下支持手段で支持されることなく、上下方向回動自在な支持アーム23で支持されているだけであり、したがって、押さえロールXは支持アーム23などを含めた自重により、金属帯Sに当接(接触)する。このため、押さえロールXとこれを支持する支持アーム23などの金属帯幅方向でのウェイトバランスを均等にすれば、金属帯Sに幅方向で均一な圧下荷重をかけることができ、金属帯Sに図32に示すようなウェッジがあったとしても、押さえロールXはこれに沿って傾くだけであるため、金属帯Sには差荷重が発生しない。
また、サイドガイド4が金属帯幅方向で移動すると、図示するようにロール支持軸24が押さえロールXの軸孔25内で長手方向でスライドして長さ調整がなされる。このようにサイドガイド2は、押さえロールXなどと干渉することなく金属帯幅方向で位置調整できるため、押さえロールXは、サイドガイド2の金属帯幅方向での位置と無関係に金属帯Sに当接(接触)し、その機能を発揮することができる。
【0076】
図41〜図44は、押さえロールXをサイドガイドの内側に配置する巻取設備の第三の実施形態を示すものであり、図42はサイドガイドを拡げた状態での押さえロールXを示す平面図、図43はサイドガイドを狭めた状態での押さえロールXを示す平面図、図44はピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図45は支持アーム先端における押さえロールXの支持構造を示す断面図である。
本実施形態では、押さえロールXを構成する左右1対のロールX,Xをサイドガイド2の内側に配置するとともに、両サイドガイド2にそれぞれ支持アーム26を上下方向回動自在に取り付け、この両支持アーム26に1つのロール支持軸27を介して左右1対のロールX,Xを回転自在に支持させたものである。
各支持アーム26はサイドガイド2の内側に配置され、その基端部がサイドガイド2に枢支260され、この枢支部260を支点として上下方向に回動(スイング)する。この1対の支持アーム26の先端には、挿通孔261が形成されている。
【0077】
ロール支持軸27が両支持アーム26の挿通孔261に長手方向スライド自在に挿通することで、支持アーム26に支持されている。このようにして支持アーム26に支持されたロール支持軸27の両端部は、両サイドガイド2の上下方向に形成されたスリット36(または長孔状の透孔)を通じてサイドガイド2の両外側に延出(突出)している。これにより、サイドガイド2はロール支持軸27と干渉することなく、金属帯幅方向で移動することができる。
ロールX,Xにはロール軸がなく、その代わりに前記ロール支持軸27を挿通させるための軸孔37を有している。そして、このロールX,Xの軸孔37にロール支持軸27が挿通することで、左右1対のロールX,Xがロール支持軸27に対して回転自在且つ長手方向スライド自在に支持されている。
【0078】
押さえロールXを構成するロールX,Xが、常にサイドガイド2の内側に位置し、金属帯のエッジ部近傍に当接(接触)できるようにするため、各支持アーム26の先端には、中心貫通孔280(この中心貫通孔280が前記軸孔37を構成する)が挿通孔261に連通したスリーブ28が固定され、このスリーブ28の中心貫通孔280にロール支持軸27がスライド自在に挿通している。そして、スリーブ28の外側に、ロールX,Xが回転自在に取り付けられている。
本実施形態では、ロール長が短い左右1対のロールX,Xを用い、金属帯Sの両エッジ部を拘束するものであり、このような実施形態でも金属帯Sをパスライン面内に保持できるので問題はない。
ここで、押さえロールXを構成するロールX,Xのロール長は任意であり、また、好ましいロール長(下限)はロールによる圧下荷重や金属帯の板厚などにより異なるため一律に規定することはできないが、一般には両ロールの合計で金属帯板幅の30%以上を拘束できるロール長を有することが好ましい。
【0079】
本実施形態の巻取設備でも、押さえロールXを構成するロールX,Xは、圧下支持手段で支持されることなく、上下方向回動自在な支持アーム26で支持されているだけであり、したがって、ロールX,Xは支持アーム26などを含めた自重により、金属帯Sに当接(接触)する。このため、ロールX,Xとこれを支持する支持アーム26などの金属帯幅方向でのウェイトバランスを均等にすれば、金属帯Sに幅方向で均一な圧下荷重をかけることができ、金属帯Sに図32に示すようなウェッジがあったとしても、ロールX,Xはこれに沿って傾くだけであるため、金属帯Sには差荷重が発生しない。
【0080】
また、サイドガイド4が金属帯幅方向で移動すると、図示するように支持アーム26およびロールX,Xがロール支持軸27の長手方向でスライドする。また、このときロールX,Xは、スリーブ28を介して支持アーム26に保持され、常にサイドガイド2の内側に位置する。このように、サイドガイド2は、ロールX,Xやロール支持軸27などと干渉することなく位置調整できるため、ロールX,Xは、サイドガイド4の金属帯幅方向での位置と無関係に金属帯Sの両エッジ部近傍に当接(接触)し、その機能を発揮することができる。
【0081】
図45および図46は、押さえロールXをサイドガイドの内側に配置する巻取設備の第四の実施形態を示すものであり、図45はサイドガイドを拡げた状態での押さえロールXを示す平面図、図46はサイドガイドを狭めた状態での押さえロールXを示す平面図である。
本実施形態では、押さえロールXを構成する左右1対のロールX,Xをサイドガイド2の内側に配置するとともに、両サイドガイド2にそれぞれ支持アーム29を上下方向回動自在に取り付け、この両支持アーム29に各ロールX,Xを回転自在に支持させたものである。
【0082】
各支持アーム29はサイドガイド2の内側に配置され、その基端部がサイドガイド4に枢支290され、この枢支部290を支点として上下方向に回動(スイング)する。各支持アーム29の先端には、ロール支持軸30が設けられ、このロール支持軸30にロールX,Xがそれぞれ回転自在に支持される。
本実施形態でもロール長が短い左右1対のロールX,Xにより金属帯Sの両エッジ部を拘束するものであり、ロールX,Xの好ましいロール長などは図41〜図44の実施形態と同様である。
【0083】
本実施形態の巻取設備でも、押さえロールXを構成するロールX,Xは、圧下支持手段で支持されることなく、上下方向回動自在な支持アーム29で支持されているだけであり、したがって、ロールX,Xは支持アーム29などを含めた自重により、金属帯Sに当接(接触)する。このため、ロールX,Xとこれを支持する支持アーム29などのウェイトバランスを左右均等にすれば、金属帯Sに幅方向で均一な圧下荷重をかけることができ、金属帯に図32に示すようなウェッジがあったとしても、ロールX,Xはこれに沿って傾くだけであるため、金属帯Sには差荷重が発生しない。
また、サイドガイド2が金属帯幅方向で移動しても、ロールX,Xとこれを支持する支持アーム29は、サイドガイド2とともに移動するので、ロールX,Xはサイドガイド2の金属帯幅方向での位置と無関係に金属帯Sの両エッジ部近傍に当接(接触)し、その機能を発揮することができる。
【0084】
以上説明した図34、図39および図40、図41〜図44、図45および図46の各実施形態において、支持アーム23,26,29などには、金属帯Sを押さえつけるための荷重を確保するために、必要に応じてウエイトを付加することができる。また、ロールX,Xを上方に退避(待機)させるために支持アーム23,26,29を上方に回動させて保持するための適宜な手段を付設することができる。この手段として、例えば、支持アーム23,26,29をワイヤロープなどを介して牽引し、上方に回動させて保持するリフトアップ装置などを設けることができる。
【0085】
図47〜図49は、押さえロールXをサイドガイドの内側に配置する巻取設備の第五の実施形態を示すものであり、図47はピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図48は押さえロールXを示す平面図、図49は支持アーム先端における押さえロールXの支持構造を示す断面図である。
本実施形態では、押さえロールXを構成する左右1対のロールX,Xをサイドガイド2の内側に配置するとともに、両サイドガイド2に駆動モータ31(揺動モータ)の本体を固定し、その各回転駆動軸310に支持アーム32を固定している。そして、この支持アーム32が有するスライドガイドに上下方向スライド自在にロール支持軸33を保持させ、このロール支持軸33を介して左右1対のロールX,Xを回転自在に支持させたものである。
各支持アーム32はサイドガイド2の内側に配置され、その基端部が駆動モータ31の回転駆動軸310に固定され、この回転駆動軸310の回転により上下方向に回動(スイング)する。この1対の支持アーム32の先端には、ロール支持軸33を上下方向スライド自在にガイドする長孔状のガイド孔34(スライドガイド)が形成されている。
【0086】
ロール支持軸33は、両支持アーム32のガイド孔34に上下方向スライド自在に挿通することで、支持アーム32に支持されている。このようにして支持アーム32に支持されたロール支持軸33の両端部は、両サイドガイド2の上下方向に形成されたスリット38(または長孔状の透孔)を通じてサイドガイド2の両外側に延出(突出)している。
押さえロールXを構成するロールX,Xにはロール軸がなく、その代わりにロール支持軸33を挿通させるための軸孔39を有している。そして、このロールX,Xの軸孔39にロール支持軸33が挿通する(本実施形態では、後述するスリーブ40を介して軸孔39にロール支持軸33が挿通する)ことで、左右1対のロールX,Xがロール支持軸33に対して回転自在且つ長手方向スライド自在に支持されている。
【0087】
前記ロールX,Xが、常にサイドガイド2の内側に位置し、金属帯Sのエッジ部近傍に当接できるようにするため、ロールX,Xは、それぞれスリーブ40を介して各支持アーム32に係止されている。すなわち、各支持アーム32のガイド孔34内には、スリーブ40の一端部側が挿通し、ガイド孔34内に上下方向スライド自在に保持されている。スリーブ40の一端部側には1対の環状フランジ部402が形成され、この1対の環状フランジ部402がガイド孔34の縁部に係合することで、スリーブ40の一端部側がガイド孔34内に上下方向スライド自在に保持されている。スリーブ40の中心貫通孔401にはロール支持軸33がスライド自在に挿通し、スリーブ40の他端部側の外側に、ロールX,Xが回転自在に取り付けられている。
【0088】
本実施形態でもロール長が短い左右1対のロールX,Xにより金属帯Sの両エッジ部を拘束するものであり、ロールX,Xの好ましいロール長などは図41〜図44の実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、ロール支持軸33や支持アーム32などに金属帯先端が衝突するのを避けるため、押さえロールXの入側にエントリガイド35を設けてある。
本実施形態の巻取設備でも、押さえロールXを構成するロールX,Xは、圧下支持手段で支持されることなく、ロール支持軸33(およびスリーブ40)がガイド孔34(スライドガイド)に上下スライド自在に拘束されているだけであり、したがって、ロールX,Xはロール支持軸33を含めた自重により、金属帯Sに当接(接触)する。このため、ロールX,Xなどの金属帯幅方向でのウェイトバランスを均等にすれば、金属帯Sに幅方向で均一な圧下荷重をかけることができ、金属帯Sに図32に示すようなウェッジがあったとしても、ロールX,Xはこれに沿って傾くだけであるため、金属帯Sには差荷重が発生しない。
【0089】
また、サイドガイド2が金属帯幅方向で移動すると、支持アーム32およびロールX,Xがロール支持軸33の長手方向でスライドする。また、このときロールX,Xは、スリーブ40を介して支持アーム32に保持され、常にサイドガイド2の内側に位置する。
このように、サイドガイド2は、ロールX,Xやロール支持軸33などと干渉することなく位置調整できるため、ロールX,Xは、サイドガイド2の金属帯幅方向での位置と無関係に金属帯Sの両エッジ部近傍に当接(接触)し、その機能を発揮することができる。
【0090】
以上説明した図18〜図49に示す各実施形態の巻取設備および巻取方法は、以下のような特徴を有するものである。
[イ] パスラインの両側位置に1対の昇降ガイドを設け、押さえロールXの両端のロール軸または該ロール軸を支持するロール軸受を、前記1対の昇降ガイドに各々上下方向スライド自在に保持させた巻取設備。
[ロ] 押さえロールXをサイドガイドの内側に配置するとともに、サイドガイドの両側位置に1対の昇降ガイドを設け、前記押さえロールXの両端のロール軸をサイドガイドに形成されたスリットまたは透孔を通じてサイドガイドの両外側に突出させ、該ロール軸または該ロール軸を支持するロール軸受を前記1対の昇降ガイドに各々上下方向スライド自在に保持させた巻取設備。
[ハ] 押さえロールXを、上下方向回動自在な支持アームに回転自在に支持させた巻取設備。
【0091】
[ニ] 上記[ハ]の巻取設備において、押さえロールXをサイドガイドの内側に配置するとともに、ロール支持軸を備えた1対の支持アームを両サイドガイドに上下方向回動自在に枢支させ、前記押さえロールXの両端に形成された軸孔に、前記各支持アームのロール支持軸を長手方向スライド自在且つ回転自在に挿入することで、1対の支持アームに押さえロールXを回転自在に支持させた巻取設備。
[ホ] 上記[ハ]の巻取設備において、押さえロールXを構成する左右1対のロールX,Xをサイドガイドの内側に配置するとともに、1対の支持アームを両サイドガイドに上下方向回動自在に枢支させ、該1対の支持アームに1つのロール支持軸を長手方向スライド自在に支持させ、該ロール支持軸の両端部をサイドガイドに形成されたスリットまたは透孔を通じてサイドガイドの両外側に突出させるとともに、該ロール支持軸に前記1対のロールX,Xを回転自在且つ長手方向スライド自在に支持させた巻取設備。
【0092】
[ヘ] 上記[ハ]の巻取設備において、押さえロールXを構成する左右1対のロールX,Xをサイドガイドの内側に配置するとともに、ロール支持軸を備えた1対の支持アームを両サイドガイドに上下方向回動自在に枢支させ、該1対の支持アームのロール支持軸に前記ロールX,Xを各々回転自在に支持させた巻取設備。
[ト] 上記[ハ]の巻取設備において、押さえロールXを構成する左右1対のロールX,Xをサイドガイドの内側に配置するとともに、両サイドガイドに駆動モータの本体を固定して、その各回転駆動軸に支持アームを固定し、該1対の支持アームが有するスライドガイドに1つのロール支持軸を上下方向スライド自在且つ長手方向スライド自在に保持させ、該ロール支持軸の両端部をサイドガイドに形成されたスリットまたは透孔を通じてサイドガイドの両外側に突出させるとともに、該ロール支持軸に前記1対のロールX,Xを回転自在且つ長手方向スライド自在に支持させた巻取設備。
【0093】
[チ] 上記[イ]〜[ト]のいずれかの巻取設備において、押さえロールXが上下昇降可能であり、押さえロールXおよび搬送ロールのうちのいずれか一方のロールの両端の同軸上に、他方のロールと対向するように補助ロールが付設され、該補助ロールの半径Rと、該補助ロールが同軸上に付設されたロールの半径rが下記条件を満足する巻取設備。
R>r
R−r<t
但し t:通板する金属帯の最小板厚
[リ] 上記[イ]〜[ト]のいずれかの巻取設備において、押さえロールXが上下昇降可能であり、押さえロールXおよび搬送ロールの各両端の同軸上に、上補助ロールと下補助ロールが各々付設され、前記上補助ロールの半径Rと、押さえロールXの半径rと、下補助ロールの半径Rと、搬送ロールの半径rが下記条件を満足することを特徴とする金属帯の巻取設備。
<R
<r
>r
(R−r)+(R−r)<t
但し t:通板する金属帯の最小板厚
【0094】
[ヌ] 上記[イ]〜[ト]のいずれかの巻取設備において、押さえロールXが上下昇降可能であるとともに、上昇位置にある押さえロールXとピンチロールの上ロールの両方に接触する回転自在な中間ロールを有し、該中間ロールを介して、ピンチロールの上ロールの回転を押さえロールXに伝えるようにした巻取設備。
[ル] 上記[イ]〜[ト]のいずれかの巻取設備において、押さえロールXが上下昇降可能であるとともに、上昇位置にある押さえロールXと接触する駆動型の予回転用ロールを有する巻取設備。
[ヲ] 上記[チ]または[リ]に記載の巻取設備において金属帯を巻き取る際に、金属帯が押さえロール位置を通板する前に、押さえロールXまたは押さえロールXの同軸上に付設された補助ロールを搬送ロールまたは該搬送ロールの同軸上に付設された補助ロールに接触させることで前記押さえロールXに回転を与えておき、金属帯が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記押さえロールXを金属帯に接触させる巻取方法。
【0095】
[ワ] 上記[ヌ]に記載の巻取設備において金属帯を巻き取る際に、金属帯の尾端部分が押さえロール位置を通板する前に、押さえロールXを上昇させ、中間ロールを介してピンチロールの上ロールと接触させることで回転を与えておき、金属帯の尾端部分が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記押さえロールXを下降させて金属帯に接触させる巻取方法。
[カ] 上記[ル]に記載の巻取設備において金属帯を巻き取る際に、金属帯の尾端部分が押さえロール位置を通板する前に、押さえロールXを上昇させ、回転駆動する予回転用ロールと接触させることで回転を与えておき、金属帯の尾端部分が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記押さえロールXを下降させて金属帯に接触させる巻取方法。
【0096】
図50〜図53は、本発明の巻取設備の他の実施形態を示すもので、図50は押さえロールXおよびその支持機構を示す側面図、図51は同じく正面図、図52は上昇位置にある押さえロールXおよびその支持構造を示す正面図、図53は同じく側面図である。図において、80は搬送ロール装置1の上方に架設された支持構造部(支持フレーム)であり、この支持構造部80は、図示しない構造部材に支持・固定されたエントリガイド35と、上流側の固定部材88で支持されている。
押さえロールXの支持機構は、搬送ロール装置1の幅方向両側の上方位置に配置され、前記支持構造部80に支持された1対の昇降用シリンダ81a,81bと、この昇降用シリンダ81a,81b(シリンダロッド)に昇降可能に保持された架台82と、この架台82の幅方向中央に固定されたロール保持・圧下用シリンダ83と、押さえロールXを回転自在に支持し、前記ロール保持・圧下用シリンダ83(シリンダロッド830)に昇降可能に保持されたロール支持体84を有している。
【0097】
前記ロール保持・圧下用シリンダ83はエアシリンダで構成され、そのシリンダロッド830がロール支持体84の幅方向中央に連結(固定)されている。
ロール支持体84と架台82との間には、ロール支持体84が安定して昇降できるようにするためのガイド機構85が設けられている。このガイド機構85は、前記ロール支持体84の幅方向両側に設けられた1対のガイド構成部材85aと、架台82に設けられ、前記ガイド構成部材85aがスライド可能に係合するガイド構成部材85bで構成されている。この実施形態では、前記ガイド構成部材85aはロール支持体84に突設された軸体で構成され、また、前記ガイド構成部材85bはガイド構成部材85aがスライド可能に挿入される筒体で構成されているが、他の適宜な構成としてよい。
【0098】
押さえロールXは、ロール長が比較的短いロール体で構成され、金属帯幅方向の中央部を拘束する。この押さえロールXは、前記ロール支持体84に回転自在に支持されている。図37の実施形態などと同じく、押さえロールXのロール長は任意であり、また、好ましいロール長(下限)はロールによる圧下荷重や金属帯の板厚、板幅などにより異なるため一律に規定することはできないが、一般には金属帯板幅の30%以上を拘束できるロール長であることが好ましい。例えば、搬送対象が板幅600〜2000mm程度の金属帯である場合には、ロール長さ200〜500mm程度の押さえロールXとすることができる。
【0099】
なお、押さえロールXは、さきに述べたような本発明の条件に従い、特に好ましくは位置a(サイドガイド2が金属帯ガイド用のガイドロールを備える場合には最下流側のガイドロールの中心位置)に最も近い搬送ロール5との間で金属帯を挟んで拘束できるように配置される。
前記架台82の上方の支持構造部80には、駆動装置87により回転駆動する予回転用ロール86が設けられ、図52および図53のように上昇した押さえロールXは、この予回転用ロール86と接触することで回転力を付与される。
【0100】
この実施形態では、押さえロールXが単一の支持圧下手段で支持されるものであるが、押さえロールXを回転自在に支持するロール支持体84が、ロール保持・圧下用シリンダ83(支持圧下アーム)のシリンダロッド830に固定的に連結されている。このような構造は、図10〜図12に示される実施形態とは異なり、押さえロールXが上下方向で自由に傾く(傾動する)ことができず、この点においては、図10〜図12に示される構造に比べて金属帯幅方向での差荷重が生じやすいと言える。しかし、この押さえロールXは、ロール長が比較的短いことから、押さえロールXを比較的小さい圧下力(好ましくは、ピンチロール圧下力の1/5以下、好ましくは1/10以下)で使用し、且つさきに述べたような好ましい位置(搬送ロール)に配置すれば、小さい差荷重が生じても蛇行などの問題が生じることは殆どない。ここで、押さえロールXを配置する好ましい搬送ロールとは、位置aよりも上流側1本目の搬送ロールまたは/および位置aよりも下流側1本目の搬送ロールであり、特に好ましくは位置aに最も近い搬送ロールである。
【0101】
本実施形態では、図52および図53に示すように、架台82に支持された押さえロールXが昇降用シリンダ81a,81bの駆動により上昇し、予回転用ロール86と接触することで回転力を付与される。このように回転力を付与された押さえロールXは、図50および図51に示すように、昇降用シリンダ81a,81bの駆動により下降するとともに、ロール保持・圧下用シリンダ83により任意の圧下力で圧下され、搬送ロール5との間で金属帯を挟んで拘束する。
【0102】
さきに述べたように、本発明では、押さえロールXは、面外変形開始の初期段階の僅かな隆起を押さえ込むだけでよいので軽圧下荷重でよく、このように軽圧下荷重とすることにより、押さえロールX自体により蛇行要因を発生させることも少ない。具体的な圧下条件としては、ピンチロールの圧下力が大きいほど、金属帯に及ぼされる横滑り力も大きくなり、金属帯の面外変形が生じやすくなるので、押さえロールXは、ピンチロール圧下力の1/5以下、好ましくは1/10以下程度の圧下力で金属帯と接触することが好ましい。
【0103】
[試験例]
図10〜図12に示す構造の押さえロールXを備えた巻取設備(試験装置)を用い、金属帯の代わりにプラスチック製の薄板をコイラーに巻き取る試験を行った。この試験では、押さえロールXをピンチロール上流側の異なる位置に配置し、それぞれの場合について巻取試験を行った。また、比較例として、押さえロールが無い従来の試験装置(巻きずれ対策なし)を用い、同様の巻取試験を行った。本発明例では、図54に示す位置(i)(=本発明が規定する位置bに相当する位置)、位置(ii)(=本発明が規定する位置aに相当する位置)、位置(iii)(=本発明が規定する位置cに相当する位置)に、それぞれ押さえロールXを配置した。ピンチロール荷重条件は、本発明例と比較例いずれもラグ率20%、圧下和荷重16F、差荷重0Fとした。
なお、本発明例の押さえロールXは、自重で薄板上面に当接するため、薄板の通板速度と同期した周速で回転した。
【0104】
図55(イ)、(ロ)に、本発明例と比較例のコイル巻きずれ量を示す。本発明例での押さえロールXの圧下力は、ピンチロール圧下力の約10%、約20%の2水準とした。図55は、比較例のコイル巻きずれ量を100%とした場合の本発明例のコイル巻きずれ量を%で示している。同図によれば、本発明例は比較例に較べてコイル巻きずれ量が大幅に低減し、なかでも押さえロールXを位置(ii)(=本発明が規定する位置aに相当する位置)に設置した場合に、コイル巻きずれ量が特に顕著に低減している。
【0105】
また、図54の位置(ii)(=本発明が規定する位置aに相当する位置)に押さえロールXを配置した本発明例において、押さえロールXの圧下力を変えて巻取試験を行い、押さえロールXの圧下力とコイル巻きずれ量との関係を調べた。その結果を図56に示す。同図は、比較例のコイル巻きずれ量を100%とした場合の本発明例のコイル巻きずれ量を%で示している。図56によれば、押さえロールXの圧下力がピンチロール圧下力の1/5以下(20%以下)であっても、コイル巻きずれ量を十分に低減でき、また、さらに低い1/10以下(10%以下)であっても、コイル巻きずれ量は十分小さく、問題のないレベルであることが判る。
【符号の説明】
【0106】
1 搬送ロール装置
2 サイドガイド
3 ピンチロール
4 コイラー
5,5,5,5,5,5 搬送ロール
6,6 ガイドロール
7 補助ロール
8 上補助ロール
9 下補助ロール
10 支持圧下手段
11 ロール支持体
12 ロール軸受部
13 支持圧下アーム
14 支持軸
15 ブラケット
16 圧下機構
17 昇降ガイド
18 ロール軸受
19 部材
20 昇降アーム
21 スリット
22 昇降ガイド
23 支持アーム
24 ロール支持軸
25 軸孔
26 支持アーム
27 ロール支持軸
28 スリーブ
29 支持アーム
30 ロール支持軸
31 駆動モータ
32 支持アーム
33 ロール支持軸
34 ガイド孔
35 エントリガイド
36 スリット
37 軸孔
38 スリット
39 軸孔
40 スリーブ
50x,50y ロール
51 エプロンガイド
52 中間ロール
53 予回転用ロール
54 ロール支持体
60 回転軸
70 支持アーム
80 支持構造部
81a,81b 昇降用シリンダ
82 架台
83 ロール保持・圧下用シリンダ
84 ロール支持体
85 ガイド機構
85a ガイド構成部材
85b ガイド構成部材
86 予回転用ロール
87 駆動装置
88 固定部材
100 ロール軸
110 本体部
111x,111y ロール保持軸部
130x,130y アーム
131 支持部材
200 サイドガイド本体
230 枢支部
260 枢支部
261 挿通孔
280 中心貫通孔
290 枢支部
300a 上ロール
300b 下ロール
310 回転駆動軸
401 中心貫通孔
402 環状フランジ部
500 ロール軸
540 本体部
541x,541y ロール保持軸部
542 軸受
700 枢支部
830 シリンダロッド
X 押さえロール
,X ロール
a,b,c 位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン上流側から、サイドガイド、ピンチロールおよびコイラーをこの順で備えた金属帯の巻取設備において、
前記サイドガイドのうちで金属帯を拘束することができる最下流側の位置をa、該位置aとピンチロール圧下点との中間点の位置をb、前記位置aと前記位置bまでの距離をL、前記位置aからライン上流側に距離Lだけ離れたサイドガイド内の位置をcとしたとき、
前記位置cと前記位置bとの間に、金属帯の面外変形防止手段として、金属帯の搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する非駆動型の押さえロール(X)を設けたことを特徴とする金属帯の巻取設備。
【請求項2】
位置aよりも上流側1本目の搬送ロール、位置aよりも下流側1本目の搬送ロール、位置aよりも下流側2本目の搬送ロール、の中から選ばれる1つ以上の搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する押さえロール(X)を設けることを特徴とする請求項1に記載の金属帯の巻取設備。
【請求項3】
位置aに最も近い搬送ロールとの間で金属帯を挟んで拘束する押さえロール(X)を設けることを特徴とする請求項1に記載の金属帯の巻取設備。
【請求項4】
サイドガイドは、その長手方向で間隔をおいた位置に金属帯ガイド用のガイドロールを備え、最下流側のガイドロールの中心位置が位置aであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属帯の巻取設備。
【請求項5】
押さえロール(X)は、単一の支持圧下手段で支持されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属帯の巻取設備。
【請求項6】
支持圧下手段は、押さえロール(X)を回転自在に支持する単一のロール支持体と、下端部が該ロール支持体の長手方向中央部に枢着され、該ロール支持体を前記枢着部を支点として上下方向揺動可能に保持する支持圧下アームを有することを特徴とする請求項5に記載の金属帯の巻取設備。
【請求項7】
押さえロール(X)は、支持圧下手段で支持されることなく、自重で金属帯に接触することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属帯の巻取設備。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の巻取設備において金属帯を巻き取る際に、押さえロール(X)による金属帯の圧下力を、ピンチロール圧下力の1/5以下とすることを特徴とする金属帯の巻取方法。
【請求項9】
金属帯の尾端部分が押さえロール(X)の位置を通板する前に、押さえロール(X)を金属帯と接触しない状態で回転させておき、金属帯の尾端部分が通板する際に、回転中の押さえロール(X)を金属帯に接触させることを特徴とする請求項8に記載の金属帯の巻取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【公開番号】特開2010−240704(P2010−240704A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93508(P2009−93508)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】