説明

金属担持炭素触媒および揮発性有機化合物の分解除去方法

【課題】ガス中の揮発性有機化合物の分解除去方法にも好適であり、上記のNi担持多孔質炭素触媒より高活性な金属担持炭素触媒を提供する。
【解決手段】金属担持炭素を水中にて250℃以上かつ15MPa以上の条件下に水熱処理する工程を包含する金属担持多孔質炭素触媒の製造方法。本発明の好ましい態様においては、金属担持炭素の製造工程として、イオン交換樹脂に金属成分を担持させる工程と、金属成分を担持したイオン交換樹脂を炭化する工程とを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属担持炭素触媒および揮発性有機化合物の分解除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性有機化合物(VOC)とは、メタノール等の低級アルコール、アセトン等の低級ケトン化合物、ジクロルメタン等のハロゲン化炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン等の芳香族炭化水素、フェノール等の芳香族化合物、ナフタレン等の多環芳香族炭化水素などの物質を指す、特に、ベンゼン、トルエン等は有機溶剤や塗料など幅広い用途に使用されるが、揮発性有機化合物は大気汚染を引き起こす可能性が指摘されている。
【0003】
芳香族炭化水素を含む水性液の処理方法として、Ni担持多孔質炭素触媒の存在下に前記水溶液を加熱加圧処理する方法が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−246992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ガス中の揮発性有機化合物の分解除去方法にも好適であり、上記のNi担持多孔質炭素触媒より高活性な金属担持炭素触媒を提供することにあり、本発明の他の目的は、上記の金属担持炭素触媒を使用した揮発性有機化合物の分解除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は関連する一群の発明から成り、各発明の要旨は次の通りである。
【0006】
本発明の第1の要旨は金属担持炭素を水中にて250℃以上かつ15MPa以上の条件下に水熱処理する工程を包含することを特徴とする金属担持多孔質炭素触媒の製造方法にする。
【0007】
本発明の第2の要旨は上記の製造方法で得られたことを特徴とする金属担持多孔質炭素触媒に存する。
【0008】
本発明の第3の要旨は、塩基性イオン交換樹脂に白金成分を担持させる工程と、白金成分を担持したイオン交換樹脂を炭化する工程とを包含する製造方法で得られたことを特徴とする金属担持炭素触媒に存する。
【0009】
本発明の第4の要旨は、上記の金属担持多孔質炭素触媒または金属担持炭素触媒を使用することを特徴とする揮発性有機化合物の分解除去方法に存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればガス中の揮発性有機化合物の分解除去方法、並びに同法に好適な金属担持炭素触媒が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
先ず、本発明の金属担持炭素触媒について説明する。
【0013】
本発明の金属担持炭素触媒は、金属担持多孔質炭素触媒であり、金属担持炭素を水中にて水熱処理する工程を包含する製造方法によって得られる。ここで使用する金属担持炭素は、例えば、イオン交換樹脂に金属成分を担持させる工程と、金属成分を担持したイオン交換樹脂を炭化する工程とを通して製造することが出来る。
【0014】
イオン交換樹脂としては、イオン交換によって金属成分を担持させる際の金属成分のイオン形体によって適宜選択される。例えば、金属成分を担持させる原料として、塩化第二白金酸(H[PtCl])の様にアニオンとして金属種を含む金属化合物を使用する場合は、陰イオン交換樹脂が使用される。
【0015】
上記の陰イオン交換樹脂としては、特に、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーを共重合させて得られる架橋共重合体を基本構造に有するものが好ましい。モノビニル芳香族モノマーとは、重合可能な反応基(例えば、エチレン性不飽和結合等など)有する芳香族モノマー化合物をいう。モノビニル芳香族モノマーの種類は特に制限されないが、例えば以下のものが挙げられる。
【0016】
スチレン及びその誘導体の例としては、スチレン;o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン等のアルキルスチレン;p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;p−フェニルスチレン等のアリールスチレン;p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のハロゲノスチレン;クロロメチルスチレン、クロロブチルスチレン、ブロモブチルスチレン等のハロゲノアルキルスチレン等が挙げられる。
【0017】
ポリビニル芳香族化合物の例としては、ジビニルベンゼン(中でもm−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン)、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、ビスビニルビフェニル、ビスビニルフェニルスルホン、ビスビニルフェニルエタン、ビスビニルフェニルブタン等のスチレン誘導体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等のアクリル系誘導体などが挙げられる。
【0018】
中でも、原料モノマーとしては、スチレン及びその誘導体が好ましく、スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、アリールスチレン、ハロゲノスチレンが更に好ましく、スチレンが特に好ましい。なお、これらの原料モノマーは、必要に応じ、二種類以上を併用してもよい。
【0019】
架橋性芳香族モノマーとは、重合可能な反応基(例えば、エチレン性不飽和結合など)を2つ以上有する化合物(以下適宜「架橋性モノマー」という)をいう。架橋性モノマーの種類は、特に制限されないが、例としては、上述の各種のポリビニル系モノマー等が挙げられる。これらの架橋性モノマーは、必要に応じ、二種類以上を併用してもよい。中でも、架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン(以下、「DVB」と称することがある)、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が好ましい。架橋性モノマーの使用量は、全原料モノマーに対する比率(架橋度)として、通常0.1〜81重量%、好ましくは0.5〜63重量%である。
【0020】
本発明において、好ましい陰イオン交換樹脂は、通常、前記モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーを共重合させて得られる架橋共重合体にイオン交換性の官能基(これを適宜「イオン交換基」という)を導入することにより製造される。導入するイオン交換基の種類は、目的とするイオン交換樹脂の種類に応じて、適宜選択すればよい。
【0021】
強塩基性アニオン(陰イオン)交換樹脂の場合、イオン交換基(アニオン交換基)としては、4級アンモニウム基(−N+)等が挙げられる(Rは任意の置換基を表わす)。4級アンモニウム基の具体例としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、ジメチルエタノールアンモニウム基、ジメチルプロパノールアンモニウム基、ピリジニウム基などが挙げられる。
【0022】
弱塩基性アニオン(陰イオン)交換樹脂の場合、イオン交換基(アニオン交換基)としては、1〜3級アミノ基(−N+3−n)等が挙げられる(Rは任意の置換基を表わし、nは1〜3の整数を表わす)。1〜3級アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジエチレントリアミノ基、ポリエチレンイミン基などが挙げられる。
【0023】
なお、以上のイオン交換基は、二種以上を任意の組み合わせで同一の重合体に導入してもよい。また、イオン交換樹脂の、窒素吸着法で測定される比表面積は通常0.01〜30m/gである。金属微粒子を分散させる観点から、多孔質イオン交換樹脂を使用することが好ましい。多孔質イオン交換樹脂の、窒素吸着法で測定される比表面積は、通常10m/g以上である。
【0024】
触媒活性成分の金属としては、揮発性有機化合物の分解触媒として使用されている公知の各種金属を使用することが出来、貴金属や遷移金属類が好ましく使用される。具体的には、Pt、Ni、Co、Cu等が挙げられる。これらは、例えば、金属粉、或いは、錯塩、無機塩、有機塩などとして使用される。
【0025】
イオン交換樹脂に金属成分を担持させる方法は、使用するイオン交換樹脂の種類(陰イオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂)や金属塩の形体などにより異なるが、何れも、イオン交換樹脂分野における常套手段によって行うことが出来る。例えば、イオン交換樹脂にPt成分を担持させる方法として、塩化第二白金酸(H[PtCl])を使用する場合は、強塩基性陰イオン交換樹脂(例えば三菱化学製「ダイヤイオンPA308」)をNaOH水溶液で処理してOH形とした後に塩化第二白金酸(H[PtCl])水溶液でイオン交換させる。なお、本発明においては、イオン交換樹脂に代えてキレート樹脂を使用することも出来る。
【0026】
金属の担持量は、特に制限されないが、揮発性有機化合物の分解除去に使用する最終的な触媒中の金属量として、通常10〜60重量%、好ましくは35〜50重量%である。
【0027】
金属成分を担持したイオン交換樹脂を炭化する工程は、イオン交換樹脂を不活性ガス中で加熱処理することにより行う。イオン交換樹脂は、加熱処理の前に予め乾燥してもよく、或いは、湿潤状態で加熱処理を施し、加熱処理の初期段階を乾燥に当てることも出来る。不活性ガスの種類は、特に制限されないが、入手が容易であることから、窒素が好適である。加熱処理装置にイオン交換樹脂を仕込み、所定の温度まで昇温し、加熱処理により炭化する。昇温速度は、通常、5〜10℃/分であり、加熱処理温度は、通常400〜1000℃である。炭化によりイオン交換樹脂は収縮するが、元の粒子の形状は保たれる。必要に応じて水洗することにより、イオン交換樹脂の炭化物中の不純物を除去することが出来る。
【0028】
上記のようにして得られた金属担持炭素の水熱処理は250℃以上かつ15MPa以上の条件下に行う。温度の好ましい範囲は300〜500℃であり、圧力の好ましい範囲は20〜30MPaである。前記の温度未満および上記の圧力未満の条件下で水熱処理を行った場合は、水熱処理による触媒活性の向上効果が小さい。水熱処理は、例えば、オートクレーブ等の圧力容器または加圧された流通管などを使用して行われる。
【0029】
次に、本発明に係る揮発性有機化合物の分解除去方法について説明する。
【0030】
本発明においては、前記の様にして水熱処理工程を経て製造された金属担持多孔質炭素触媒を使用する。しかしながら、塩基性イオン交換樹脂に白金成分を担持させる工程と、白金成分を担持したイオン交換樹脂を炭化する工程とを包含する製造方法で得られた金属担持炭素は、水熱処理工程を経ずにそのまま触媒として使用することも可能である。
【0031】
ガス中の揮発性有機化合物の分解除去は、例えば、固定層流通式反応器を使用し、ガス中の揮発性有機化合物と触媒とを接触させることにより行う。分解反応の温度は、入口で測定される温度として通常500℃以下であり、揮発性有機化合物含有ガスの供給速度(SV)は通常1000〜100000h−1である。分解に供せられるガス中の揮発性有機化合物の濃度は通常0.1〜10000ppmである。
【0032】
液中の揮発性有機化合物の分解除去は、触媒を充填した圧力容器を使用して行われる。分解反応の温度は通常250〜500℃であり、圧力は通常5〜20MPa、滞留時間は通常0.00001〜0.001hである。なお、液中の揮発性有機化合物の分解除去は、連続法の他、回分法で行うことが出来る。
【0033】
本発明において、分解除去の対象となる揮発性有機化合物は、特に制限されないが、例えば、脂肪族化合物、脂環族化合物、芳香族化合物などが挙げられる。
【0034】
上記の脂肪族化合物としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸などのカルボン酸;ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル等が挙げられる。
【0035】
上記の脂環族化合物としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素;シクロヘキサノール、メトキシシクロヘキサノール等のアルコール;シクロヘキサノン、メトキシシクロヘキサノン等のケトン;シクロヘキサンカルボン酸などのカルボン酸;メトキシシクロヘキサン等のエーテル類が挙げられる。
【0036】
上記の芳香族化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;安息香酸、フタル酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸;フェノール、クレゾール等のフェノール類、及びそれらの誘導体などが挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
実施例1:
<触媒の調製>
強塩基性イオン交換樹脂(「ダイヤイオンPA308」、比表面積1m/g以下)10gを濃度4重量%のNaOH水溶液で処理した後に水洗し、濃度1重量%の塩化第二白金酸(H[PtCl])1000gを加え、室温で24時間撹拌してイオン交換し、Pt成分を吸着させた。
【0039】
次いで、Pt成分を吸着した強塩基性イオン交換樹脂を、乾燥後、窒素雰囲気下、500℃で20分間焼成して樹脂分を分解させることにより、Pt担持炭素粒子を得た。以下、Pt担持炭素粒子を「Pt/C」と略記する。顕微鏡による観察の結果、「Pt/C」の形状は略球状であり、直径は250μmであった。
【0040】
次いで、上記のPt/Cの一部について、350℃、20MPaの条件で30分間水熱処理した。こうして得られたPt担持多孔質炭素触媒を以下「Pt/C−350」と略記する。また、上記のPt/Cの他の一部について、400℃、25MPaの条件で30分間水熱処理し、Pt表面の炭素成分を除去した。こうして得られたPt担持多孔質炭素触媒を以下「Pt/C−400」と略記する。なお、水熱処理には水熱処理は圧力容器(オートクレーブ)を使用した。顕微鏡による観察の結果、「Pt/C−350」及び「Pt/C−400」の外観形状および大きさは「Pt/C」の場合と大差なかった。
【0041】
比較のため、含浸法によりPtを担持した触媒を調製した。すなわち、活性炭に塩化第二白金酸(H[PtCl])を加え、室温で24時間撹拌し、Pt成分を吸着させた後に乾燥した。以下、含浸法によりPtを担持した触媒を「Pt/AC」と略記する。
【0042】
<触媒のキャラクタリゼーション>
前記の各触媒のPt担持量、BET法比表面積、細孔容積、充填密度を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
「Pt/C」のTEM画像から、Ptは直径5nm程度の微粒子として担持されている様子が確認できた。そして、この触媒のPt担持量は約30重量%にも達していることから、白金は非常に高い分散状態で存在していることが分かる。「Pt/C−350」及び「Pt/C−400」の比表面積および細孔容積は「Pt/C」に比して著しく高い。水熱処理により炭素担体の一部がガス化して細孔が発達したことによるものと考えられる。また、水熱処理による炭素の損失は、Pt担持量の変化から30%程度と見積もられる。水熱処理による白金粒子のシンタリングは、X線回折パターンからは確認ではなかった。
【0045】
<揮発性有機化合物(VOC)燃焼試験>
固定層流通式の反応器を使用し、VOCのモデル物質としてトルエンを使用した。そして、トルエン濃度1000ppmの空気を調節し、約0.1gの触媒を充填した反応器に50ml/minの流量で供給した(SV:20000hr−1)。触媒層の入口温度は130〜160℃で変化させた。反応器出口ガスの成分分析(トルエン、メタン、水素、二酸化炭素の分析)を行い、トルエンの転化率を求め、図1に示した。なお、成分分析はガスクロマトグラフィーにより行い、トルエンの転化率は、反応器の入口のガス中の濃度と反応器の出口のガス中の濃度との差から算出した。
【0046】
図1から次のことが明らかである。「Pt/AC」の場合の転化率は180℃においても0.4程度であるが、「Pt/C」の場合の転化率は170℃において0.9以上であった。「Pt/C−0350」及び「Pt/C−450」の場合の転化率は150℃の低温において0.9以上であった。水熱処理によって得られた触媒の顕著な転化率は、水熱処理により、細孔が発達する共に、Pt表面に析出している炭素が除去され、トルエンとの接触可能な活性点が増加したことによるものと推定される。
【0047】
実施例2:
<触媒の調製>
弱塩基性イオン交換樹脂(「ダイヤイオンWA30」、比表面積18m/g)10gを水洗し、濃度1重量%の塩化第二白金酸(H[PtCl])1000gを加え、室温で24時間撹拌してイオン交換し、Pt成分を吸着させた。
【0048】
次いで、Pt成分を吸着した弱塩基性陰イオン交換樹脂を、乾燥後、窒素雰囲気下、500℃で20分間焼成して樹脂分を分解させることにより、Pt担持炭素粒子を得た。以下、Pt担持炭素粒子を「WA30−500」と略記する。顕微鏡による観察の結果、「WA30−500」の形状は略球状であり、直径は250μmであった。
【0049】
次いで、上記のWA30−500の一部について、350℃、20MPaの条件で30分間水熱処理した。こうして得られたPt担持多孔質炭素触媒を以下「WA30−500ht」と略記する。なお、水熱処理には水熱処理は圧力容器(オートクレーブ)を使用した。顕微鏡による観察の結果、「WA30−500ht」の外観形状および大きさは「WA30−500」の場合と大差なかった。
【0050】
比較のため、弱塩基性イオン交換樹脂(「ダイヤイオンWA10」、比表面積0.2m/g)10gを使用し、上記と同様に操作してPt担持炭素粒子(以下、Pt担持炭素粒子を「WA10−500」と略記する)を得た。更に、このWA10−500の一部について、上記と同様に水熱処理してPt担持多孔質炭素触媒(以下「WA10−500ht」と略記する)を得た。
【0051】
<触媒のキャラクタリゼーション>
前記の各触媒のPt担持量、BET法比表面積、Pt粒子径を測定した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
<揮発性有機化合物(VOC)燃焼試験>
実施例1の場合と同様に行ってトルエンの転化率を求めた。ただし、触媒層の入口温度は100〜150℃で変化させた。図2にトルエンの転化率を示した。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は実施例1における揮発性有機化合物(VOC)燃焼試験の結果を示すグラフである。
【図2】図2は実施例1における揮発性有機化合物(VOC)燃焼試験の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属担持炭素を水中にて250℃以上かつ15MPa以上の条件下に水熱処理する工程を包含することを特徴とする金属担持多孔質炭素触媒の製造方法。
【請求項2】
金属担持炭素の製造工程として、イオン交換樹脂に金属成分を担持させる工程と、金属成分を担持したイオン交換樹脂を炭化する工程とを包含する請求項1に記載の金属担持多孔質炭素触媒の製造方法。
【請求項3】
前記イオン交換樹脂の窒素吸着法で測定される比表面積が10m/g以上である請求項2に記載の金属担持多孔質炭素触媒の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で得られたことを特徴とする金属担持多孔質炭素触媒。
【請求項5】
イオン交換樹脂に白金成分を担持させる工程と、白金成分を担持したイオン交換樹脂を炭化する工程とを包含する製造方法で得られたことを特徴とする金属担持炭素触媒。
【請求項6】
前記イオン交換樹脂の窒素吸着法で測定される比表面積が10m/g以上である請求項5に記載の金属担持炭素触媒。
【請求項7】
請求項4に記載の金属担持多孔質炭素触媒、あるいは請求項5または6に記載の金属担持炭素触媒を使用することを特徴とする揮発性有機化合物の分解除去方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−82908(P2009−82908A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232081(P2008−232081)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2008年7月13日 炭素材料学会発行の「CARBON2008(2008年国際炭素材料学会議)予稿集」に発表
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】