説明

金属発泡物および該金属発泡物から成る部品を粉末冶金的に製造する方法

本発明は、金属発泡物および該金属発泡物から成る部品を粉末冶金的に製造する方法に関する。公知の粉末冶金的な方法では、金属粒子に発泡剤粒子が混加され、これらの発泡剤粒子が加熱時にガス泡を形成する。これにより、金属発泡物には種々異なる大きさでかつ不均一に分配された気孔が生じる。気孔サイズおよび体積膨張をプロセス中にコントロールすることは困難である。本発明による方法では、機械的な圧力および最大4000℃の温度下にプレスされた形状安定的な半製品を形成している粉末状の金属材料が、圧力密に閉鎖された室内で、有利には最大50バールである、選択された初期圧力で、粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度にまで加熱される。粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度の達成後に室内の圧力は規定された勾配に従って、0.1バールよりも小さくてよい最終圧力にまで減じられる。このときに半製品が発泡し、引き続き温度を低下させる間、形成されたメタルフォームが凝固する。また、相応する成形部分工具が使用されると、寸法安定的な金属発泡体を製造することもできる。本発明の利点は、発泡剤粒子を混加させる必要がなく、初期圧力および最終圧力のための調節可能な値によって気孔サイズおよび体積膨張が、規定の範囲内で簡単かつ正確に選択可能となるか、もしくはプロセス中に調節可能となることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属発泡物および該金属発泡物から成る部品を粉末冶金的に製造する方法に関する。金属発泡物は通常、「メタルフォーム」もしくは「発泡金属」とも呼ばれる。
【0002】
水溶液、プラスチックまたはガラスを発泡させることができる。過去数十年間にわたり、金属をも発泡させ、典型的なフォームモルフォロジ(Schaummorphologie)と金属材料の既知の利点との組合せに基づき新しい特性スペクトルを有する新種の発泡物を製造しようとする努力が再三再四成されてきた。すなわち、金属は弾性率、強度および耐熱性を象徴しており;フォームは小さな重量、緩衝作用、高い気孔率および大きな比表面積を象徴している。
【0003】
メタルフォームは意図的に持ち込まれた気孔構造を有する新種の材料である。メタルフォームは不燃性であって、大きな強度を有している。金属から成るフォームは、軽量で剛性的で、しかもフレキシブルであって、クラッシュ時に多くのエネルギを吸収する通気性の良い材料である。メタルフォームは別の技術的な役割の広いスペクトルをも満たすことができ、そして断熱体、騒音遮断体および振動減衰体またはコンプレッションエレメントとしての使用のために特に適している。
【0004】
メタルフォームは、その最大85%までが空気から成っていて、僅か15%だけが金属から成っていてよく、この金属がメタルフォームを極めて軽量にしている。メタルフォームは、外観的には慣用のプラスチックフォームのように見えるが、しかしプラスチックフォームよりもはるかに強固である。製造方法は数年前までは過度に手間がかかり、過度に高価で、かつ過度にコントロール困難であった。したがって、結果が再現可能となるのは極めて稀であった。しかし最近では、発泡した金属の高い品質を約束する融体・粉末冶金的(schmelz-und pulvermetallurgisch)な方法が存在している。メタルフォームを製造するためには、種々の方法が知られていて、汎用されている。たとえば、鋼粉末と水と安定化剤とから室温でスチールフォームを製造するためにはスラリーが製造される。この混合物には、結合・発泡剤としてリン酸が添加される。次いで、このスラリー中では2つの反応が行われ、これらの反応は安定した発泡構造の形成をもたらす。第1に鋼粉末と酸との間の反応時に水素ガス泡が発生し、この水素ガス泡が起泡を生ぜしめる。第2に、金属リン酸塩が生成し、この金属リン酸塩はその接着作用によって気孔構造を強固にする。こうして製造されたフォームは乾燥させられ、引き続き有害物質なしに焼結されて、金属複合体を形成する。
【0005】
たとえば欧州特許出願公開第1288320号明細書には、融体冶金的な方法が記載されている。この場合、溶融体内にガス泡が導入される。このためには、規定のガス流出横断面を備えた少なくとも1つのガス導入管が溶融体中に突入しており、このガス導入管を通じて個別気泡が溶融体内に吹き込まれる。気泡のサイズはガスの流入パラメータの調節によって制御される。
【0006】
欧州特許出願公開第1419835号明細書には、空隙の寸法の単峰性(monomodal)の分布を有する流動性のメタルフォームを製造するための方法および装置が提案されている。この方法もやはり融体冶金的な方法を基礎としている。この場合、同形式に寸法決めされた隣接し合う少なくとも2つの導入管が、規定された相互間隔を持って、発泡可能な金属溶融体を有する冶金的な容器内に突入している。突入した管端部の範囲には、その都度気泡が形成され、この場合、気泡表面の範囲を互いに並置させかつ粒子を含有した中間壁を成形しながら、連繋した発泡フォーメーションが形成される。
【0007】
このような融体冶金的な方法において不都合となるのは、金属溶融体が純粋な状態では起泡不可能であることである。起泡可能性を得る目的のために、起泡の実施前に溶融体には、増粘剤、たとえば不活性ガス(英国特許第1287994号明細書)またはセラミック粒子(欧州特許第0666784号明細書)が添加される。溶融体表面に溜まったメタルフォームだけが流動性となる。このことは、たしかにメタルフォームの成形加工のために好都合となるが、しかし金属壁の安定化不足に基づき、形成されたメタルフォームの部分的な崩壊を招き、ひいてはこうして製造された対象物の内部における密なゾーンの、コントロール不能な形成を招いてしまう。さらに、形成された気泡の一部もしくは溶解したガスは溶融体の凝固の間、この溶融体から流出し得るので、溶融体内部での遊離したガスの封入は行われず、その結果、この方法を用いて製作された対象物の多孔度は小さくなる。さらに、溶融体内へガス泡を導入するためには手間のかかる装置が必要となる。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許第10115230号明細書には、多孔質の金属体を製造するための粉末冶金的な方法が開示されている。この方法では、少なくとも1種の金属および/または金属合金ならびにガス脱離性の発泡剤含有の粉末とを含有する粉末状の金属材料を有する混合物が圧密にされて半製品を形成する。この半製品は温度作用を受けて発泡させられ、この場合、120Kよりも低い最大分解温度が金属の溶融温度または金属合金の固相線温度(Solidustemperature)よりも下にあるような発泡剤含有の粉末が使用される。国際公開第2005/011901号パンフレットには、内部多孔性を有する金属部品を製造するためにまず、金属と、高められた温度でガスを放出する少なくとも1種の発泡剤とから成る発泡可能な半製品を製造することが提案されている。この半製品では、金属が、ほぼ閉じたマトリックスを形成しており、このマトリックス中に発泡剤粒子が埋め込まれている。発泡剤粒子を取り込む金属マトリックスが金属粒子の拡散溶着および/またはプレス溶着により形成されている半製品を用いて、製造された金属発泡体の増大した品質を達成しようとしている。このためには、第1のステップで金属粒子と、高められた温度でガスを放出する少なくとも1種の媒体、つまり発泡剤とが混合され、その後に、第2のステップにおいてこの混合物が、高められた圧力下および高められた温度下で成形されて、半製品部分を形成し、この半製品部分は圧力負荷の維持時に発泡剤の分解温度もしくはガス発生温度よりも下にまで放冷されるか、または冷却させられる。第3のステップにおいて、前記半製品部分は発泡剤の分解温度を超えて加熱され、そして内部多孔性の形成時にメタルフォーム部分への半製品の加工成形が行われる。
【0009】
国際公開第2004/063406号パンフレットには、金属発泡体を製造するためのさらに別の方法が記載されている。この方法は粉末冶金的な方法あるいはまた融体冶金的な方法として使用され得る。この解決手段では、過圧装置を有しない開いた溶融容器内の雰囲気圧下で装入材料を溶融させ、かつそれと同時にかつ/またはその後に続いてガスを装入材料の液相中に導入する際に、導入された発泡剤またはガス導入により、溶融体の十分なガス負荷が達成され、これにより溶融体の凝固時に小さな密度の金属発泡体の形成を生ぜしめることができる。この作用は所望の形の金属発泡体を製造するための上記解決手段によれば、液状金属が最初に型内に持ち込まれ、次いでこの型内で、少なくとも暫定的に減じられた周辺圧で凝固させられる場合に有利に利用され得る。減じられた周辺圧、有利には0.03〜0.2バールにおける溶融体の硬化により、溶融体中には多数のガス泡の形成が生じる。しかし、このガス泡は溶融体の凝固開始もしくは凝固継続に基づいて該溶融体内に封入され、こうして製造された金属発泡体は小さな密度を有している。
【0010】
特開平01−127631号公報(要約)には、同じく、前で述べた解決手段と同様に雰囲気圧下に水素、窒素、酸素が液状の金属に導入されるか、または窒化物、水素化物または酸化物のような発泡剤粒子が熱分解によってガスを溶融体中に放出する方法が記載されている。ガス添加された液状の金属は成形工具内に導入され、ある程度の時間にわたって、減じられた圧力下に、400〜760mmHgに保持される。
【0011】
このような粉末冶金的な方法を用いると、高い品質の金属発泡体を製造することができる。しかし、これらの方法は使用される材料および必要となる装置に関して極端に手間がかかる。なぜならば、少なくとも2種の粉末成分の使用、つまり金属粒子と発泡剤粒子の使用が必要となるからである。また、個々の粉末成分は加熱前に緊密に混合されなければならず、粉末粒子は、製造された金属発泡体にできるだけ均質な分布を有する気孔を得るために、たとえばホットアイソスタティックプレス(heissisostatisch.Pressen)により互いに焼結されなければならない。別の欠点は、既に金属の溶融前に発泡剤粒子からガスが逃出して、亀裂、欠陥等内に溜まってしまうことにある。これにより、金属発泡物に種々異なる大きさの、不均一に分配された気孔が生じてしまう。気孔サイズおよび体積膨張をプロセス中にコントロールすることは困難である。
【0012】
本発明の課題は、発泡剤の使用なしに、かつ手間のかかる装置なしに簡単に実施可能となり、しかも封入された気孔ができるだけ小気孔となり、ほぼ等しい体積および均質な分布を有するような、金属発泡物および該金属発泡物から成る部品を製造するための方法を提供することである。本発明による方法により製造された、金属発泡物から成る部品は、高い寸法安定性を有していることが望まれる。
【0013】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する方法、つまり少なくとも1種の金属および/または金属合金を含有する粉末状の金属材料を混合し、引き続き機械的な圧力下および最大400℃までの温度下にプレスして、形状安定的な半製品を形成することにより解決される。この半製品は圧力密に閉鎖可能な室に装入され、この室は引き続き圧力密に閉鎖され、半製品は選択された初期圧力において、粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度にまで加熱される。粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度が達成された後に、前記室内の圧力は設定された最終圧力にまで減じられる。このときに半製品は発泡し、これにより形成された金属発泡物は、引き続き温度が低下する間、凝固する。温度低下は圧力減少の開始後に規定の勾配に応じて行われ、この場合、設定された最終圧力は常に粉末状の金属材料の凝固前に達成される。
【0014】
閉じられた室内での半製品の加熱の前もしくは間、最大約50バールまでのガス圧が形成されることが特に有利であることが判った。粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度の達成後に、閉じられた室内の圧力は初期圧力から規定の勾配に従って1バールの最終圧力にまで減じられる。択一的な別の実施態様では、閉じられた室内での半製品の加熱が約1バールの初期圧力において行なわれ、粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度の達成後に、閉じられた室内の圧力は約0.1〜0.01バールの最終圧力にまで、規定の勾配に従って減じられる。しかし、圧力減少を発泡後に別の最終圧力にまで、たとえば最大50バールの初期圧力から>1バールの最終圧力あるいはまた<1バールの最終圧力にまで実施することも可能である。
【0015】
閉じられた室内では、有利には特定の全体雰囲気、たとえば酸素雰囲気または湿った空気から成る雰囲気を提供することができる。
【0016】
形状安定的な半製品を製造するためには、粉末状の金属材料が有利には1〜50バールのガス圧ならびに200〜400MPaの機械的な圧力および最大400℃までの温度で圧密にされる。
【0017】
粉末状の金属材料の個々の粒子の表面を、たとえば酸化または湿潤によって改質することにより、粉末状の金属材料が、半製品への圧密化の前に前処理されると有利である。
【0018】
本発明による方法を用いると、任意の圧力密な室の代わりに、製造したい金属発泡体の形状を有する、圧力密に閉鎖可能な成形部分工具が使用されると、寸法安定的な金属発泡体を簡単に製造することもできる。
【0019】
成形部分工具に存在する溜め(Reservoir)により、金属の発泡によって過剰のメタルフォームが成形部分工具から開口を通じて該溜めへ流出し得ることが保証される。これにより、成形部分工具が完全にメタルフォームで充填されることも達成される。圧力の減少と共に、温度も低下されるので、金属発泡物は型内で凝固し、成形部分工具の形状をとる。メタルフォームの凝固後に、金属発泡体を成形部分工具から取り出すことができる。
【0020】
本発明の別の有利な実施態様は、請求項2以下に記載されている。
【0021】
本発明による方法の利点は特に次の点にある。すなわち、溶融体内にガス泡を導入するための手間のかかる装置や発泡剤の使用なしに、金属発泡物もしくは金属発泡物から成る物体を簡単に製造することが可能となる。別の利点は、本発明による方法を用いると、小さな密度を有する金属発泡物を製造することができる。このような金属発泡物においては、気孔が小さな寸法(体積)を有していて、ほぼ均一な大きさでかつ均質に金属発泡物全体に分配されている。付加的な利点は、初期圧力と最終圧力との間の調節可能な種々異なる圧力差により、気孔サイズおよび体積膨張が、規定の範囲内で極めて簡単にかつ正確に選択可能であるか、もしくはプロセス中に調節可能であり、この場合、気孔サイズと体積膨張との間には直接的な関係が生じる。すなわち、気孔サイズおよび体積膨張は、規定の限界値に留意して、初期圧力と最終圧力とが設定されることにより、予め規定され得る。しかし、プロセスを観察して、所望の気孔サイズもしくは体積膨張が達成されたときにいつでもプロセスを終了させることができることも考えられる。
【0022】
粉末状の金属材料からなる半製品の発泡が単純な室内ではなく、成形部分工具内で行われると、寸法安定的な金属発泡体を簡単に製造することができる。
【0023】
以下に、本発明を、選択された2つの実施例につき詳しく説明する。
【0024】
第1の有利な方法では、金属発泡物が、ガスを放出する付加的な発泡剤の使用なしに製造される。このためには、第1のプロセスステップにおいて、約20μmの平均粒度を有するアルミニウム粉末(99.7)が、金属シリンダ内で1バールのガス圧ならびに300MPaの機械的な圧力および約400℃の温度で15分間の時間にわたり単軸方向(uni-axial)に圧密にされて半製品を形成する。
【0025】
その後に、この半製品は圧力密の室内に配置されて、p=10バールの初期圧力で空気雰囲気下に約700℃の温度にまで加熱される。したがって、この温度は約660℃のアルミニウムの溶融温度よりも少しだけ上にある。この温度が十分な時間にわたり維持されると、半製品は溶融する。半製品が完全に溶融するやいなや、室内のガス圧はp=10バ―ルの初期圧力からp=1バールの最終圧力にまで0.2バール/秒の勾配を持って減じられるので、半製品に封入されたガスは、室内でガス圧が減じられる割合と同じ割合で膨張し、ひいては試料を約45秒内で発泡させる。平均気孔サイズは約2mmである。最後に、室内の温度が約5K/秒でアルミニウムの溶融温度よりも下にまで減じられるので、液状のアルミニウムフォームが凝固し、ひいてはアルミニウム発泡物が強固になる。
【0026】
別の実施例では、少量のガス放出性発泡剤を使用してアルミニウム発泡物を製造する方法が呈示される。
【0027】
第1のプロセスステップにおいて、約20μmの平均粒度を有するAlSi6Cu4から成る粉末が、約10μmの平均粒度を有するTiH0.5重量%と均質に混合される。この混合物は金属シリンダ内で1バールのガス圧ならびに300MPaの機械的な圧力および約400℃の温度で約15分間の時間にわたり単軸方向に圧密にされて、半製品を形成する。その後に、この半製品は圧力密な室内に配置されて、空気雰囲気下に8バールの初期圧力で約550℃の温度にまで加熱される。したがって、この温度は、約516℃のAlSi6Cu4の固相線温度よりも少しだけ上にある。既に400℃よりも上の温度で発泡剤は水素を放出し始める。半製品の溶融したアルミニウム中に遊離されて封入されたガスは、外圧によって極めて小さな気孔を形成し、これらの気孔は0.1mmよりも小さな平均直径を有している。半製品が完全に溶融されるやいなや、室内のガス圧は初期圧力p=8バ―ルから、0.2バール/秒の勾配もしくは段階を持って約3バールだけ減じられて、最終圧力p=5バールに達する。このときに、半製品中に封入されたガスは15秒間に試料を発泡させる。AlSi6Cu4フォームが、予め規定された体積に到達した後に、温度は約5K/秒の勾配もしくは段階を持ってAlSi6Cu4の固相線温度よりも下にまで減じられるので、液状のAlSi6Cu4フォームは凝固し、ひいては発泡物が強固になる。
【0028】
この方法を用いて製造されたAlSi6Cu4発泡物は、金属発泡物中に均質に分配された、円形でかつ小さく形成された気孔を有しており、この場合、平均気孔サイズは約0.5mmである。気孔のサイズは初期圧力と最終圧力との間の選択された圧力差(Δp=p−p)により、直径約0.1mmから最大約10mmまでの2つのサイズオーダにわたり簡単に調節され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の金属および/または金属合金を含有する粉末状の金属材料を混合し、かつ機械的な圧力下にプレスして形状安定的な半製品を形成して、金属発泡物および該金属発泡物から成る部品を粉末冶金的に製造するための方法において、半製品を、圧力密に閉鎖可能な室に装入し、引き続き該室を閉鎖し、その後に半製品を、粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度にまで加熱し、粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度の達成後に室内の圧力を所定の初期圧力(p)から所定の最終圧力(p)にまで減少させ、このときに半製品が発泡し、引き続き温度を低下させる間、形成されたメタルフォームが凝固することを特徴とする、金属発泡物および該金属発泡物から成る部品を粉末冶金的に製造するための方法。
【請求項2】
個々の粉末粒子の表面を、たとえば酸化または湿潤により改質することにより、粉末状の金属材料を前処理する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
粉末状の金属材料の粉末粒子が、平均約1μm〜100μmの寸法を有している、請求項1記載の方法。
【請求項4】
半製品を、1〜50バールのガス圧ならびに200〜400MPaの機械的な圧力および400℃よりも下の温度で圧密にする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
表面を、たとえば酸化、陽極酸化または湿潤により改質することにより、半製品を前処理する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
閉鎖された室内に、規定されたガス雰囲気を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
閉鎖された室内に、酸素雰囲気を形成する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
閉鎖された室内に、湿った空気から成る雰囲気を形成する、請求項6記載の方法。
【請求項9】
閉鎖された室内での半製品の加熱の前もしくは間、最大約50バールの初期圧力(p)を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
閉鎖された室内での半製品の加熱を、約1バールの初期圧力(p)で行う、請求項1記載の方法。
【請求項11】
粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度の達成後に、閉鎖された室内の圧力を初期圧力(p)から、予め規定された勾配に従って約1バールの最終圧力(p)にまで減少させる、請求項9記載の方法。
【請求項12】
粉末状の金属材料の溶融温度もしくは固相線温度の達成後に、閉鎖された室内の圧力を初期圧力(p)から、予め規定された勾配に従って約0.1〜0.01バールの最終圧力(p)にまで減少させる、請求項1または9記載の方法。
【請求項13】
閉鎖された室内の圧力を、約1〜1000秒間の時間で初期圧力(p)から最終圧力(p)にまで減少させる、請求項1、9または10記載の方法。
【請求項14】
室内の温度を、圧力減少の開始後にはじめて、予め規定された勾配に従って減少させ、しかも粉末状の金属材料の固相線温度を最終圧力(p)の達成後にはじめて達成する、請求項1、10、12または13記載の方法。
【請求項15】
金属発泡物における気孔のサイズが、約0.1mm〜約10mmの範囲で、初期圧力(p)と最終圧力(p)との間の圧力差(Δp=p−p)の選択により意図的に調節可能である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
圧力減少を終了させかつ引き続きメタルフォームの温度を粉末状の金属材料の固相線温度よりも下にまで低下させることにより、金属発泡物における気孔サイズの増大を、いつでも、たとえば所望の気孔サイズの達成時に終了させることができる、請求項1または15記載の方法。
【請求項17】
金属発泡物の体積膨張が、初期体積の約10倍にまで、初期圧力(p)と最終圧力(p)との間の圧力差(Δp=p−p)の選択により意図的に調節可能である、請求項1記載の方法。
【請求項18】
圧力減少を終了させかつ引き続きメタルフォームの温度を粉末状の金属材料の固相線温度よりも下にまで低下させることにより、金属発泡物の体積膨張を、いつでも、たとえば規定可能な体積の達成時に終了させることができる、請求項1または17記載の方法。
【請求項19】
粉末状の金属材料に付加的に発泡剤を添加し、ただし該発泡剤の含量が、全質量に対して約0.1〜1重量%であり、該発泡剤含量を粉末状の金属材料中にできるだけ均質に混入させ、引き続き該混合物を一緒に圧密にして半製品を形成する、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、11、12、13または14記載の方法。
【請求項20】
寸法安定的な金属発泡体が製造可能である、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2009−503260(P2009−503260A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524357(P2008−524357)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001375
【国際公開番号】WO2007/014559
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(591157202)ヘルムホルツ−ツェントルム ベルリン フュア マテリアリーエン ウント エネルギー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】Helmholtz−Zentrum Berlin fuer Materialien und Energie GmbH
【住所又は居所原語表記】Glienicker Str.100,D−14109 Berlin,Germany
【Fターム(参考)】