説明

金属製支持体の防蝕処理方法

本発明は、第一工程(I)において1〜5のpH値を有する防蝕剤K1(この防蝕剤は、カチオンとしてランタニド金属、および/またはカチオンとしてdブロック元素金属(クロムは除く)、および/またはアニオンとしてdブロック元素金属酸イオン(クロム含有金属酸イオンを除く)を有する化合物と、少なくとも1の酸化可能な酸(リンおよび/またはクロムを含む酸は除く)とを含む)の水浴中に支持体を非電気的に浸漬し、この際支持体表面で化成処理が起こり、かつ最終的な工程(III)においてカソードへの電着塗料の析出によりさらなる被覆を行う、金属製支持体の防蝕処理方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な金属製支持体の非電気的な耐蝕性被覆のための方法と被覆材、とりわけ自己析出型浸漬塗装によるものは、公知である。これらは、より容易な、そしてよりコスト的に有利な工程、ならびに作業工程の時間短縮という利点を有する。とりわけこの非電気的な方法によって、被覆すべき支持体内部の空洞部と被覆すべき支持体の縁が、電圧の適用を必要とする方法よりも効率的に被覆される。
【0002】
近年は、クロム含有被覆材に匹敵する非常に良好な耐蝕性を保証する、クロム不含の自己析出型被覆材が求められている。この際に、ランタニド元素の塩とdブロック元素の塩とを含む被覆材、ならびに塗膜を形成する有機成分が、とりわけ適していることが判明した。
【0003】
自己析出型被覆材は例えば、WO−A−99/29927、WO−A−96/10461、およびDE−A−3727382に記載されているが、支持体から形成される金属イオンが、析出された防蝕層を通じて移動しがちであるという欠点、ならびに環境的に問題となる物質、とりわけフッ化物を使用するという欠点がある。
【0004】
DE−A−102005023728、およびDE−A−102005023729は、金属イオンの移動、および環境的に問題となる物質の使用という前述の問題に対して優れた解決策をもたらす被覆材を記載している。とりわけ、DE−A−102005023728に記載されている金属製支持体の防蝕処理のための2工程法、すなわち第一工程において支持体を防蝕剤Kの浴に浸漬させ、この浸漬が支持体表面に化成処理(Konversion)作用をもたらし、そしてその第二工程において工程(a)で処理した支持体を、支持体の、および/または支持体表面の腐蝕の際に放出された金属イオンとキレートを形成する、共有結合されたリガンドを有し、かつまた架橋剤Vにより自身と、ポリマーPのさらなる相補的な官能基B’と、および/またはさらなる官能基B、および/またはB’と共有結合を形成することができる架橋性官能基Bを有する、水に分散可能な、および/または水溶性のポリマーPを含む水性被覆材の浴に浸漬させる方法が、とりわけ適していることが判明している。
【0005】
しかしながら特別な適用、とりわけ自動車工業においては、純粋に自己析出型ベースの防蝕被覆では、充分ではないことが判明している。と言うのも、とりわけ衝撃応力後の腐蝕制御が、高度な要求を完全に満たすことができないからである。
【0006】
WO−A−01/46495には、第一の工程でIIIb群の元素、IVb群の元素、および/またはランタニド元素の化合物を含む被覆材による前処理、および第二の工程でエポキシ官能性の化合物と、リン、アミン、および/または硫黄を含む化合物との反応生成物を含む被覆材による、支持体金属の2工程の前処理と、引き続いた鉛不含の電着塗装との組み合わせが記載されている。このようにして製造された被覆は、良好な耐蝕性と、高度の環境適合性を結びつけるのが望ましい。しかしながら第一の前処理工程ではフッ素含有化合物の使用が好ましく、これは環境的に問題となる。
【0007】
課題とその解決
上記の従来技術より本発明の課題は、とりわけ自動車範囲において保護すべき支持体に対し技術的に容易に実施可能な作業工程で適用できる、環境的にもあまり問題のない防蝕処理方法を発見することであった。この方法はとりわけ、フッ化物含有物質無しで達成可能であるのが望ましかった。本発明による方法はさらに、とりわけ支持体から形成される金属イオンの移動を充分に防止し、かつ支持体内部や縁に効果的に析出させる防蝕層につながるのが望ましかった。さらには、外部金属イオンの影響を最小限に保ち、かつ比較的僅かな材料の使用で効果的な耐蝕性を達成するのが望ましかった。この方法はさらに、可能な限り多くの様々な支持体金属に対して効果的な保護を発展させ、かつ被覆すべき支持体の酸化還元特性にほとんど依存しない防蝕層を提供するのが望ましかった。
【0008】
上記の課題から意外なことに、第一工程(I)として、カチオンとしてランタニド金属、および/またはdブロック元素金属(クロムは除く)を有し、かつ/またはアニオンとしてdブロック元素の金属酸イオン(クロム含有金属酸イオンは除く)を有する少なくとも1の化合物(A1)と、少なくとも1の酸化可能な酸(A2)(リン酸および/またはクロム酸は除く)とを含む水性防蝕剤(K1)の非電気的な前処理、好ましくは第二の工程(II)として、支持体表面、および/または支持体の腐蝕の際に遊離する金属イオンとキレートを形成する共有結合で結合されたリガンドL、ならびに自身と、ポリマーPのさらなる官能基B’と、および/またはさらなる官能基B、および/またはB’と架橋剤Vにより共有結合を形成することができる架橋性官能基Bを有する、水に分散可能な、および/または水溶性のポリマーPを含む、水性防蝕剤K2によるさらなる非電気的な前処理、ならびに最終的な工程(III)として、電着塗装によるさらなる被覆を含む、金属製支持体の防蝕処理のための方法が判明した。
【0009】
本発明の詳細な説明
本発明による方法の第一工程(I)
本発明による方法の第一の工程においては、以下に記載する水性防蝕剤K1を、金属製支持体に非電気的に施与する。ここで非電気的にとは、電圧の適用による電流が無いことを意味する。
【0010】
本発明の好ましい実施態様においては、水性防蝕剤K1の適用前に、好ましくは洗浄剤、および/またはアルカリ性洗剤を用いて支持体を洗浄し、とりわけ油性の、および脂肪性の残留物を取り除く。本発明のさらに好ましい実施においては、洗浄剤、および/またはアルカリ性洗剤を用いた洗浄後に、ただし本発明による被覆材の適用前にもう一度水ですすぐ。支持体表面上の析出物、および/または化学的に変性された、特に酸化された層を除去するために、本発明のさらに好ましい実施態様においては、すすぎ工程の前に再度、例えば研磨性の媒体を用いた表面の機械的な洗浄、および/または表面層の化学的な除去、例えば還元性洗浄剤を用いたすすぎ工程を行うことができる。
【0011】
水性防蝕剤K1は、1〜5のpH値を有しており、かつカチオンとしてランタニド金属、および/またはカチオンとしてdブロック元素金属(クロムは除く)、および/またはアニオンとしてdブロック元素金属酸イオン(クロム含有金属酸イオンは除く)を有する少なくとも1の化合物(A1)と、少なくとも酸化可能な酸(A2)(リン含有の、および/またはクロム含有の酸は除く)とを含む。
【0012】
化合物(A1)は、水への溶解性が非常に良好なのが好ましい。とりわけ好ましいのは、溶解生成物LPが[カチオン]n×[アニオン]m>10-8×mol(n+m)/l(n+m)である[カチオン]n[アニオン]m(ただしn,m>=1)の化合物(A1)であり、特にとりわけ好ましいのは、溶解生成物LP>10-6×mol(n+m)/l(n+m)の化合物(A1)である。本発明の特に好ましい実施態様においては、防蝕剤中の化合物(A1)の濃度は、10-1〜10-4mol/l、とりわけ5×10-1〜10-3mol/lである。
【0013】
化合物(A1)はカチオン成分として、ランタニド金属カチオン、および/またはdブロック金属カチオンを含んでいてよい。好ましいランタニド金属カチオンは、ランタンの、セリウムの、プラセオジムの、ネオジムの、プロメチウムの、サマリウムの、ユウロピウムの、および/またはジスプロシウムのカチオンである。ランタンの、セリウムの、およびプラセオジムのカチオンが特に好ましい。ランタニド金属カチオンは、酸化状態が一価、二価、および/または三価であってよいが、三価の酸化状態が好ましい。好ましいdブロック金属カチオンは、チタンの、バナジウムの、マンガンの、イットリウムの、ジルコニウムの、ニオブの、モリブデンの、タングステンの、コバルトの、ルテニウムの、ロジウムの、パラジウムの、オスミウムの、および/またはイリジウムのカチオンである。dブロック元素カチオンとして除外されているのは、あらゆる酸化状態のクロムカチオンである。特に好ましいのは、バナジウムの、マンガンの、タングステンの、モリブデンの、および/またはイットリウムのカチオンである。dブロック元素カチオンは、一価から六価の酸化状態で存在していてよいが、三価から六価の酸化状態が好ましい。
【0014】
ランタニド金属カチオン、および/またはdブロック元素カチオンとともに化合物(A1)を形成するアニオンを、好ましくは上記の溶解生成物LPの条件に適合するように選択する。元素周期表のVI、VII、およびVIII副族元素の酸化性酸のアニオン、ならびに元素周期表のV、およびVI主族元素の酸化性酸のアニオン(リンとクロムの酸化性酸のアニオンは除く)を使用し、好ましいのは、硝酸イオン、亜硝酸イオン、亜硫酸イオン、および/または硫酸イオンである。アニオンとしてさらに可能なのは、フッ化物イオン以外のハロゲン化物イオンである。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、化合物(A1)のランタニド金属カチオン、および/またはdブロック元素カチオンは、単座の、および/または多座の、潜在的にアニオン性のリガンドを有する錯体として存在していてもよい。好ましいリガンドは、場合により官能基化されたテルピリジン、場合により官能基化された尿素および/またはチオ尿素、場合により官能基化されたアミンおよび/またはポリアミン、例えばとりわけEDTA、イミン、例えばとりわけイミンで官能基化したピリジン、有機硫黄化合物、例えばとりわけ場合により官能基化されたチオール、チオカルボン酸、チオアルデヒド、チオケトン、ジチオカルバメート、スルホンアミド、チオアミド、およびとりわけ好ましくはスルホン酸エステル、場合により官能基化された有機ホウ素化合物、例えばとりわけホウ酸エステル、場合により官能基化されたポリアルコール、例えばとりわけ炭水化物、およびこれらの誘導体、ならびにキトサン、場合により官能基化された酸、例えばとりわけ二官能性の、および/またはオリゴ官能性の酸、場合により官能基化されたカルベン、アセチルアセトネート、場合により官能基化されたアセチレン、場合により官能基化されたカルボン酸、例えばとりわけ金属中心とイオン的に、および/または配位的に結合することができるカルボン酸、ならびにフィチン酸、およびこれらの誘導体である。
【0016】
リガンドとして特にとりわけ好ましいのは、フィチン酸、これらの誘導体、および場合により官能基化されているスルホン酸エステルである。
【0017】
本発明のとりわけ好ましい実施態様において化合物(A1)はアニオンとして、dブロック元素カチオンとともに、またはそれ自体で化合物(A1)を形成することができるdブロック金属酸イオンを含む。金属酸イオンのためのdブロック元素は好ましくは、バナジウム、マンガン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、および/またはタングステンである。特に好ましいのは、バナジウム、マンガン、タングステン、および/またはモリブデンである。dブロック元素金属酸イオンとして除外されているのは、あらゆる酸化状態のクロム酸イオンである。とりわけ好ましいdブロック元素金属酸イオンは、オキソアニオン、例えばとりわけタングステン酸イオン、過マンガン酸イオン、バナジウム酸イオン、および/またはモリブデン酸イオンである。
【0018】
dブロック元素の金属酸イオンがそれ自体で化合物(A1)を形成する場合、すなわちランタニド金属カチオン、および/またはdブロック金属カチオンが無い場合には、このような化合物の好ましい溶解生成物LPには、先に述べた値があてはまる。このような化合物(A1)の好ましいカチオンは、場合により有機基で置換されたアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、および/またはスルホニウムイオン、アルカリ金属カチオン、例えばとりわけリチウム、ナトリウム、および/またはカリウム、アルカリ土類金属カチオン、例えばとりわけマグネシウム、および/またはカルシウムである。とりわけ好ましいのは、場合により有機基で置換されたアンモニウムイオン、および化合物(A1)のとりわけ高い溶解性生成物LPを保証する、アルカリ金属カチオンである。
【0019】
防蝕剤K1の成分(A2)として、少なくとも1の酸化可能な酸を、防蝕剤のpH値が1〜5、好ましくは2〜4であるように使用する。好ましくは酸(A2)は、酸化性の鉱酸、例えばとりわけ硝酸、亜硝酸、硫酸、および/または亜硫酸から選択されている。pHを調整するために必要に応じて、緩衝剤、例えば中程度に強い塩基の塩、および弱酸、例えばとりわけ酢酸アンモニウムを使用することもできる。
【0020】
防蝕剤K1のための連続相としては水を使用し、好ましいのは脱イオン水、および/または蒸留水である。
【0021】
前述のように前処理した支持体を、防蝕剤K1と接触させる。これは好ましくは、防蝕剤K1を含む浴に支持体を浸漬させるか、またはくぐらせることによって行う。防蝕剤K1中の支持体の滞留時間は、好ましくは1秒〜10分、より好ましくは10秒〜8分、およびとりわけ好ましくは30秒〜6分である。防蝕剤K1を含む浴の温度は、好ましくは25〜90℃、より好ましくは30〜80℃、とりわけ好ましくは35〜70℃である。
【0022】
被覆材K1により生成する層の湿性塗膜の厚さは、自己析出型適用の後、5〜900nm、好ましくは15〜750nm、より好ましくは25〜600nmである。
【0023】
被覆材K1による支持体の処理後、最終的な電着塗装の前に、約30〜200℃での、とりわけ100〜180℃での、被覆材K1から成る層の乾燥を行ってもよく、この際、乾燥装置は本発明による被覆材の有利な効果にとって、それほど重要ではないと評価することができる。
【0024】
とりわけ好ましくは被覆材K1から成る層は、最終的な電着塗装の前、もしくは場合により防蝕剤K2の好ましい適用の前に、フラッシュオフする、すなわち30秒から30分の間、好ましくは1分から25分の間、25〜120℃の温度に、好ましくは30〜90℃の温度にさらす。
【0025】
本発明による方法の好ましい第二の工程(II)
本発明の好ましい実施態様において本発明による方法の第一工程(I)で適用する防蝕剤K1から成る層に塗布する、本発明による水性防蝕剤K2は、支持体の腐蝕の際に放出される金属イオンとキレートを形成するリガンドL、ならびに自身と、および/またはさらなる官能基B’(これらの官能基は場合により付加的な架橋剤Vの一部であってもよい)と共有結合を形成することができる架橋性官能基Bを有するポリマーPを含む。
【0026】
本発明の意味において、水分散性または水溶性とは、水相にあるポリマーPが、平均粒子直径<50nm、好ましくは<35nm、およびより好ましくは<20ナノメーターのアグリゲートを形成するか、もしくは分子が分散して溶解されていることである。従ってこのようなアグリゲートは平均粒子直径において、例えばDE−A3727382、またはWO−A−96/10461に記載されたものとは、根本的に異なる。分子分散液的に溶解されたポリマーPは一般的に、<100,000、好ましくは<50,000、より好ましくは<20,000ドルトンの分子量を有する。
【0027】
ポリマーPから成るアグリゲートの大きさは、それ自体公知の、ポリマーPへの親水基HGの導入によってもたらされる。ポリマーPにおける親水基HGの数は、溶解力(Solvatationsvermoegen)と、HG基の立体的な利用可能性により決まり、かつ同様に当業者にそれ自体公知の方法で調整してもよい。ポリマーPにおける好ましい親水基HGは、イオン基、例えばとりわけ硫酸イオン基、スルホン酸イオン基、スルホニウム基、リン酸イオン基、ホスホン酸イオン基、ホスホニウム基、アンモニウム基、および/またはカルボン酸基、ならびに非イオン基、例えばとりわけヒドロキシ基、第一級、第二級、および/または第三級アミン、およびアミド基、および/またはオリゴアルコキシ置換基、またはポリアルコキシ置換基、例えばさらなる基によりエトキシ化またはプロポキシ化されたオリゴアルコキシ置換基、またはポリアルコキシ置換基である。親水基HGは、以下に記すリガンドL、および/または架橋性官能基BもしくはB’と同一であってもよい。ポリマーPにおける親水基HGの数は、溶解力と、HG基の立体的な利用可能性により決まり、かつ同様に当業者にそれ自体公知の方法で調整してもよい。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施態様において上記親水基HGは、ポリマー主鎖に沿って濃度勾配を形成する。この勾配は、ポリマー主鎖に沿った親水基の空間的な濃度における傾傾斜(Gefaelle)により定義付けられる。このような構成を有するポリマーPは、水性媒体中でミセルを形成することができ、かつ被覆すべき支持体表面で界面活性を示す。すなわち本発明による被覆材の界面エネルギーは、被覆すべき表面において減少する。
【0029】
この勾配は好ましくは、ポリマーを構成し、かつ親水基、および/または親水基HGを生成することができる基を有するモノマー単位の適切な配置により、それ自体公知の方法で生成する。
【0030】
ポリマーPのポリマー主鎖としては、一般的にそれ自体任意のポリマーを使用することができ、好ましいのは1,000〜50,000ドルトン、より好ましくは分子量2,000〜20,000ドルトンの分子量を有するものである。ポリマー主鎖として好ましくは、ポリオレフィン、またはポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリアルキレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアルキレンアミン、ポリエーテル、ポリエステル、およびとりわけ一部酢酸化されている、および/または一部エステル化されているポリアルコールを使用する。ポリマーPは直線状、分枝状、および/または樹状に構成されていてよい。特に好ましいポリマー主鎖は、ポリアルキレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアルコール、ポリ(メタ)アクリレート、およびハイパーブランチポリマーであり、これらは例えば、WO−A−01/46296に記載されている。
【0031】
ポリマーPは好ましくは、酸性のpH範囲、とりわけpH値<5、とりわけ好ましくはpH値<3で、加水分解に対して安定的である。
【0032】
リガンドLとして適しているのは、支持体の腐蝕の際に放出される金属イオンとキレートを形成することができるすべての基と化合物である。好ましいのは、単座の、および/または多座の、潜在的なアニオン性リガンドである。とりわけ好ましいリガンドLは、
場合により官能基化された尿素および/またはチオ尿素、特にアシルチオ尿素、例えばベンゾイルチオ尿素、
場合により官能基化されたアミンおよび/またはポリアミン、例えばとりわけEDTA、
場合により官能基化されたアミド、特にカルボン酸アミド、
イミンおよびイミド、例えばとりわけイミンで官能基化されたピリジン、
オキシム、好ましくは1,2−ジオキシム、例えば官能基化されたジアセチルジオキシム、
有機硫黄化合物、例えばとりわけ場合により官能基化されたチオール、例えばチオエタノール、チオカルボン酸、チオアルデヒド、チオケトン、ジチオカルバメート、スルホンアミド、チオアミド、およびとりわけ好ましくは、スルホン酸エステル、
有機リン化合物、例えばとりわけリン酸エステル、とりわけ好ましくは(メタ)アクリレートのリン酸エステル、ならびにホスホン酸エステル、とりわけ好ましくはビニルホスホン酸、およびヒドロキシ基で、アミノ基で、およびアミド基で官能基化したホスホン酸エステル、
場合により官能基化された有機ホウ素化合物、例えばとりわけホウ酸エステル、
場合により官能基化されたポリアルコール、例えばとりわけ炭水化物、およびこれらの誘導体、ならびにキトサン、
場合により官能基化された酸、例えばとりわけ二官能性の、および/またはオリゴ官能性の酸、または場合により官能基化された(ポリ)カルボン酸、例えばとりわけイオン的に、および/または配位結合で金属中心に結合することができるカルボン酸、好ましくは酸基、または二官能性もしくはオリゴ官能性の酸を有する(ポリ)メタクリレート、
場合により官能基化されたカルベン、
アセチルアセトネート
場合により官能基化されたアセチレン、
およびフィチン酸、およびこれらの誘導体
である。
【0033】
ポリマーPにおける架橋性官能基Bとして適しているのは、自身と、および/または相補的な官能基B’と共有結合を形成することができるものである。この共有結合は好ましくは、熱により、および/または放射線作用により形成される。とりわけ好ましくは、共有結合を熱により形成する。架橋性官能基BとB’は、ポリマーPの分子の間の分子間網目構造の形成作用をもたらす。
【0034】
放射線作用下で架橋する官能基BもしくはB’は、活性化可能な結合、例えば炭素−水素の、炭素−炭素の、炭素−酸素の、炭素−窒素の、炭素−リンの、または炭素−ケイ素の単結合または二重結合を有する。この際、炭素−炭素二重結合がとりわけ有利である。基Bとして特に適切な炭素−炭素二重結合は、
とりわけ好ましくは(メタ)アクリレート基、
エチルアクリレート基、
ビニルエーテル基、およびビニルエステル基、
クロトネート基、およびシンナメート基、
アリル基、
ジシクロペンタジエニル基、
ノルボルニル基、およびイソプレニル基、
イソプロペニル基、またはブテニル基
である。
【0035】
熱により架橋する官能基Bは、熱エネルギーの作用下で、自身と、または好ましくは相補的な架橋性官能基B’と共有結合を形成することができる。
【0036】
熱により架橋する特に良好に適した官能基BおよびB’は、
とりわけ好ましくはヒドロキシ基、
メルカプト基、およびアミノ基、
アルデヒド基、
アジド基、
酸基、特にカルボン酸基、
酸無水物基、特にカルボン酸無水物基、
酸エステル基、特にカルボン酸エステル基、
エーテル基、
特に好ましくはカルバミン酸基、
尿素基、
エポキシド基、
とりわけ好ましくはイソシアネート基、特に好ましくはブロック化剤と反応しており、これが本発明による被覆材の加熱温度で脱ブロック化され、および/または脱ブロック化無しで形成される網目構造に組み込まれる、イソシアネート基
である。
【0037】
とりわけ好ましいのは、熱により架橋する基Bと、相補的な基B’との以下のような:
ヒドロキシ基と、イソシアネート基および/またはカルバミン酸基との、
アミノ基と、イソシアネート基、および/またはカルバミン酸基との、
カルボン酸基と、エポキシド基との、
組み合わせである。
【0038】
ポリマー主鎖に沿って親水基の勾配を有するとりわけ好ましいポリマーPは、一工程の、または多工程のフリーラジカル共重合により水性媒体中で
a)オレフィン不飽和モノマー(a1)と(a2)
(a1)はその都度、少なくとも1の親水基HGを有するオレフィン不飽和モノマー(a11)、少なくとも1のリガンド基Lを有するオレフィン不飽和モノマー(a12)、ならびに少なくとも1の架橋する基Bを有するオレフィン不飽和モノマー(a13)から成る群の少なくとも1のモノマーを含む
および
b)オレフィン不飽和モノマー(a1)および(a2)とは異なる、一般式I
12C=CR34 (I)
[式中、基R1、R2、R3、およびR4はその都度相互に独立して水素原子、または置換された、もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基、またはアリールシクロアルキル基である(ただし、少なくとも2の変項R1、R2、R3、およびR4は置換された、または非置換のアリール基、アリールアルキル基、またはアリールシクロアルキル基、特に置換された、または非置換のアリール基である)]
の、少なくとも1のオレフィン不飽和モノマー
から製造できるコポリマーPMを含む。
【0039】
適切な親水性モノマー(a11)は、上記の少なくとも1の親水基(HG)を含み、好ましくは硫酸基、スルホン酸基、スルホニウム基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスホニウム基、アンモニウム基、および/またはカルボン酸基、ならびにヒドロキシ基、第一級、第二級、および/または第三級アミン基、およびアミド基、および/またはオリゴアルコキシもしくはポリアルコキシ置換基、例えば好ましくはさらなる基によりエーテル化されていてもよいエトキシ化されたもしくはプロポキシ化された置換基から成る群から選択されている。
【0040】
非常に適切な親水性モノマー(a11)の例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸、およびこれらの塩であり、好ましくはアクリル酸とメタクリル酸、オレフィン不飽和のスルホン酸、硫酸、リン酸または亜リン酸、これらの塩、および/またはこれらの半エステルである。さらに非常に適しているのは、オレフィン不飽和のスルホニウム化合物、およびホスホニウム化合物である。さらに非常に適しているモノマー(a11)は、一分子あたり少なくとも1のヒドロキシ基、またはヒドロキシメチルアミノ基を有し、かつ基本的に酸基を含まないモノマー、例えばとりわけα−,β−オレフィン不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えばヒドロキシアルキル基が最大20の炭素原子を含むアクリル酸の、メタクリル酸の、およびエタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよびメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレートおよびメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレートおよびメタクリレート、ならびに4−ヒドロキシブチルアクリレートおよびメタクリレート、α−,β−オレフィン不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステルの、およびα−,β−不飽和カルボン酸アミドのホルムアルデヒド付加生成物、例えばN−メチロール−アミノエチルアクリレート、N−メチロール−アミノエチルメタクリレート、およびN,N−ジメチロール−アミノエチルアクリレート、N,N−ジメチロール−アミノエチルメタクリレート、N−メチロール−アクリルアミド、N−メチロール−メタクリルアミド、N,N−ジメチロール−アクリルアミド、N,N−ジメチロール−メタクリルアミドである。アミン基を含むモノマー(a1)として適切なのは、:2−アミノエチルアクリレート、および2−アミノエチルメタクリレート、N−メチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、またはアリルアミンである。アミド基を含むモノマー(a11)として好ましくは、α−,β−オレフィン不飽和カルボン酸のアミド、例えば(メタ)アクリルアミド、好ましくはN−メチル−(メタ)アクリル酸アミドまたはN,N−ジメチル(メタ)アクリル酸アミドを使用する。エトキシ化された、またはプロポキシ化されたモノマー(a11)として好ましくは、ポリエチレンオキシド単位の、および/またはポリプロピレンオキシド単位のアクリル酸エステル、および/またはメタクリル酸エステルを使用し、その鎖長は好ましくは2〜20のエチレンオキシド構成要素またはプロピレンオキシド構成要素である。
【0041】
親水性モノマー(a11)の選択の際、不溶性の塩の形成と、高分子電荷質の錯体の形成は避けるように注意すべきである。
【0042】
非常に適切なモノマー(a12)の例は、置換基として上記リガンドを含むオレフィン不飽和モノマーである。適切なモノマー(a12)の例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸のエステルおよび/またはアミド、とりわけリガンドLをエステル基および/またはアミド基の形で有する、アクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルおよび/またはアミドである。リガンドLとして好ましいのは、場合により官能基化された尿素置換基および/またはチオ尿素置換基、場合により官能基化されたアミン置換基および/またはポリアミン置換基、イミン置換基およびイミド置換基、例えばとりわけイミンで官能基化したピリジン、オキシム置換基、好ましくは1,2−ジオキシム、例えば官能基化されたジアセチルジオキシム、有機硫黄置換基、例えばとりわけ場合により官能基化されたチオールから誘導可能なもの、例えばチオエタノール、チオカルボン酸、チオアルデヒド、チオケトン、ジチオカルバメート、スルホンアミド、チオアミド、およびとりわけ好ましくはスルホン酸エステル、有機リン置換基、例えばとりわけリン酸エステルから誘導可能なもの、より好ましくは(メタ)アクリレートのリン酸エステル、ならびにホスホン酸エステル、好ましくはビニルホスホン酸、およびヒドロキシ基で、アミノ基で、およびアミド基で官能基化されたホスホン酸エステル、場合により官能基化された有機ホウ素置換基、例えばとりわけホウ酸エステルから誘導可能なもの、場合により官能基化されたポリアルコール置換基、例えばとりわけ炭水化物から誘導可能なもの、およびこれらの誘導体、ならびにキトサン、場合により官能基化された酸置換基、例えばとりわけ二官能性の、および/またはオリゴ官能性の酸、または場合により官能基化された(ポリ)カルボン酸、例えばとりわけ金属中心にイオン的に、および/または配位的に結合することができるカルボン酸、好ましくは酸基、または二官能性のもしくはオリゴ官能性の酸を有する(ポリ)メタクリレート、場合により官能基化されたカルベンを有する置換基、アセチルアセトネート、場合により官能基化されたアセチレン、ならびにフィチン酸、およびこれらの誘導体である。
【0043】
非常に適したモノマー(a13)の例は、上記の架橋する基BもしくはB’を置換基として有する、オレフィン不飽和モノマーである。適切なモノマー(a13)の例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸のエステルおよび/またはアミドであり、とりわけ架橋性の基Bをエステル基および/またはアミド基中に有する、アクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルおよび/またはアミドである。とりわけ好ましい架橋性の基BもしくはB’は、ヒドロキシ基であり、ならびに例えば、メルカプト基、アミノ基、アルデヒド基、アジド基、酸基、特にカルボン酸基、酸無水物基、特にカルボン酸無水物基、酸エステル基、特にカルボン酸エステル基、エーテル基、とりわけ好ましくはカルバミン酸基であり、その例は尿素基、エポキシド基、ならびにとりわけ好ましくは、ブロック化剤と反応しており、これが本発明による被覆材の加熱温度で脱ブロック化され、および/または脱ブロック化無しで形成される網目構造に組み込まれるイソシアネート基である。
【0044】
モノマー(a11)は、ポリマー主鎖に沿って親水基HGの上記勾配を生成するようにポリマーPMに配置されている。これは一般的に、水性媒体中の異なるモノマー(a11)、(a12)、(a13)、(a2)、および(b)の特定の共重合パラメータにより生成する。上記モノマー(a12)と(a13)は、ポリマー主鎖に沿って好ましくはランダムに配置されている。例示したモノマー(a11)、(a12)、および(a13)の上記列挙から、親水性基HG、リガンドL、および架橋性の基Bが、部分的に、または完全に同一であってもよい。この場合、リガンドLと架橋性官能基Bはまた、一般的にポリマー主鎖に沿って勾配を有する。
【0045】
好ましいオレフィン不飽和コモノマー(a2)の例は、
(1)基本的に酸基を含まないオレフィン不飽和酸のエステル、例えばアルキル基中に最大20の炭素原子を有する、(メタ)アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、エタクリル酸エステル、ビニルホスホン酸エステル、またはビニルスルホン酸アルキルエステルもしくはビニルスルホン酸シクロアルキルエステル、特にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、およびラウリル(メタ)アクリレート、またはシクロヘキシル(メタ)アクリレート;
(2)分子中に5〜18の炭素原子を有する、α位分枝のモノカルボン酸のビニルエステル、例えばVeoVa(登録商標)という商品名で売られているVersatic(登録商標)酸のビニルエステル、ならびに
(3)芳香族ビニル炭化水素、例えばスチレン、ビニルトルエン、またはα−アルキルスチレン、特にα−メチルスチレン
である。
【0046】
ポリマーPMの製造に関しては、DE−A−19858708、DE−A−10206983、およびDE−A−10256226の教示を参照のこと。
【0047】
熱により、および/または放射線作用により架橋する基B、および/またはB’を有する架橋剤Vとしては基本的に、当業者に公知のすべての架橋剤が適している。好ましいのは、<20,000ドルトンの、より好ましくは<10,000ドルトンの分子量の、低分子量の、またはオリゴマーの架橋剤Vである。架橋性の基および/またはB’を有する架橋剤Vの主鎖は、直線状、分枝状、および/またはハイパーブランチに構成されていてもよい。好ましいのは、分枝状構造、および/またはハイパーブランチ構造であり、これらは例えばとりわけWO−A−01/46296に記載されている。
【0048】
架橋剤Vは好ましくは酸性のpH範囲、とりわけpH値<5、より好ましくはpH値<3で加水分解に対して安定的である。
【0049】
とりわけ好ましい架橋剤Vは、ポリマーPの架橋性の基と反応して共有結合を形成する、前述の架橋性の基B、および/またはB’を有する。特に好ましいのは、熱により、そして場合により付加的に放射線作用により架橋する基B、および/またはB’を含む架橋剤である。
【0050】
本発明のさらにとりわけ好ましい実施態様において架橋剤Vは、架橋性の基BとB’に加えて、ポリマーPのリガンドLと同一であっても異なっていてもよいリガンドL’を有する。
【0051】
架橋剤Vに特に適した架橋性官能基B、およびB’は、以下の基
とりわけ、ヒドロキシ基、
とりわけ、アルデヒド基、
アジド基、
酸無水物基、特にカルボン酸無水物基、
カルバミン酸基、
尿素基、
とりわけイソシアネート基、特に好ましくはブロック化剤と反応しており、これが本発明による被覆材の加熱温度で脱ブロック化され、および/または脱ブロック化無しで形成される網目構造に組み込まれるイソシアネート基、
(メタ)アクリレート基、
ビニル基、
であるか、
またはこれらの組合せ
である。
【0052】
架橋剤Vとして非常に好ましいのは、少なくとも部分的にブロックされ、かつ付加的にリガンドL’を有する、分枝状の、および/またはハイパーブランチのポリイソシアネートである。
【0053】
被覆材K2のために連続相として水を使用し、好ましいのは脱イオン水、および/または蒸留水である。さらなる好ましい成分としては、被覆材K2のpH値が好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4になるように、少なくとも1の酸化可能な酸を使用する。とりわけ好ましい酸は、酸化性の鉱酸、例えばとりわけ硝酸、亜硝酸、硫酸、および/または亜硫酸の群から選択する。pH値を調整するために必要に応じて、緩衝剤、例えば中程度の強度の塩基の塩、および弱酸の塩、例えばとりわけ酢酸アンモニウムを使用することができる。
【0054】
本発明のさらに好ましい実施態様において被覆材K2は、支持体表面における自己析出型堆積の間に、および/または引き続いた乾燥工程の間、本発明による被覆材の表面張力を減少させる、少なくとも1の成分KOSを含む。
【0055】
成分KOSは、アニオン性の、カチオン性の、および非イオン性の界面活性物質の群から選択されていてよい。好ましくは、低分子量、オリゴマー、および/またはポリマーであってよい両親媒性の物質を使用する。「両親媒性」とは、物質が親水性の構成要素と、疎水性の構成成分とを有することと理解される。「低分子量」とは、界面活性成分KOSの平均分子量が、最大2000ドルトン、より好ましくは最大1000ドルトンであることと理解される。「オリゴマー」とは、界面活性成分KOSが、約2〜30の、好ましくは3〜15の単位、好ましくは繰返構成要素を有し、かつ約200〜4000ドルトンの平均分子量を有することを意味し、そして「ポリマー」とは、界面活性成分KOSが、10以上の単位、好ましくは繰返構成要素を有し、かつ500ドルトン、好ましくは1000ドルトン以上の平均分子量を有することと理解される。界面活性成分KOSは、本発明によるポリマーPとは異なる。
【0056】
界面活性成分KOSとして、好ましくは低分子量の物質として、アルキルカルボン酸、およびこれらの塩、α,ω−ジカルボン酸、およびこれらの塩、α,ω−ジアルコール、α,ω−ジアミン、およびα,ω−アミド、ならびにこれらの塩、アルキルスルホン酸、およびこれらの塩、ならびにアルキル硫酸、およびアルキルリン酸、およびこれらの塩を使用する。オリゴマーの、および/またはポリマーの界面活性物質として好ましくは、ポリアルキレングリコール、ポリビニルラクタム、例えばポリビニルピロリドン、およびポリビニルカプロラクタム、例えばポリビニルイミダゾール、ポリビニルアルコール、および酢酸ポリビニルを使用する。界面活性成分KOSとして特に好ましいのは、低分子量の物質として、アジピン酸、および/または1,6−ヘキサンジオール、およびオリゴマー物質、および/またはポリマー物質、ポリ(オリゴ)エチレングリコール、および/またはポリ(オリゴ)プロピレングリコールである。
【0057】
被覆材K2における界面活性物質KOSの成分は、被覆材K2に対して好ましくは10-4〜5質量%、好ましくは10-2〜2質量%である。
【0058】
本発明のとりわけ好ましい実施態様において被覆材K2は、カチオン成分としてランタニド金属カチオン、および/またはdブロック金属カチオンを含む、塩(S)を付加的に含む。
【0059】
好ましいランタニド金属カチオンは、ランタンの、セリウムの、プラセオジムの、ネオジムの、プロメチウムの、サマリウムの、ユウロピウムの、および/またはジスプロシウムのカチオンである。ランタンの、セリウムの、およびプラセオジムのカチオンが、特に好ましい。ランタニド金属カチオンは酸化状態が一価、二価、および/または三価であってよいが、三価の酸化状態が好ましい。好ましいdブロック金属カチオンは、チタンの、バナジウムの、マンガンの、イットリウムの、ジルコニウムの、ニオブの、モリブデンの、タングステンの、コバルトの、ルテニウムの、ロジウムの、パラジウムの、オスミウムの、および/またはイリジウムのカチオンである。dブロック元素のカチオンとして除外されているのは、あらゆる酸化状態のクロムカチオンである。バナジウムの、マンガンの、タングステンの、モリブデンの、および/またはイットリウムのカチオンが、特に好ましい。dブロック元素のカチオンは、一価から六価の酸化状態で存在していてよく、三価から六価の酸化状態が好ましい。
【0060】
本発明の特に好ましい実施態様において、塩(S)のランタニド金属カチオン、および/またはdブロック元素カチオンは、単座、および/または多座の潜在的にアニオン性のリガンドを有する錯体として存在していてもよい。好ましいリガンドは、場合により官能基化されたテルピリジン、場合により官能基化された尿素および/またはチオ尿素、場合により官能基化されたアミンおよび/またはポリアミン、例えばとりわけEDTA、イミン、例えばとりわけイミンで官能基化したピリジン、有機硫黄化合物、例えばとりわけ場合により官能基化されたチオール、チオカルボン酸、チオアルデヒド、チオケトン、ジチオカルバメート、スルホンアミド、チオアミド、およびとりわけ好ましくはスルホン酸エステル、場合により官能基化された有機ホウ素化合物、例えばとりわけホウ酸エステル、場合により官能基化されたポリアルコール、例えばとりわけ炭水化物、およびこれらの誘導体、ならびにキトサン、場合により官能基化された酸、例えばとりわけ二官能性の、および/またはオリゴ官能性の酸、場合により官能基化されたカルベン、アセチルアセトネート、場合により官能基化されたアセチレン、場合により官能基化されたカルボン酸、例えばとりわけ金属中心にイオン的に、および/または配位的に結合することができるカルボン酸、ならびにフィチン酸、およびこれらの誘導体である。
【0061】
本方法の好ましい第二工程(II)において、防蝕剤K1で被覆した支持体を被覆材K2で被覆する。この際、防蝕剤K2を塗布する前に、防蝕剤K1で被覆した支持体を、前述のように乾燥、またはフラッシュオフさせる。好ましくは防蝕剤K1による被覆の後直ちに、防蝕剤K2による被覆を引き続き行い、防蝕剤K1の塗布後、好ましくは蒸留水により洗浄し、かつ空気、好ましくは不活性ガス、例えば窒素による吹き付け乾燥を行うのが好ましい。被覆は好ましくは、被覆された支持体を被覆材K2を含む浴への浸漬、またはこの浴をくぐらせることにより行う。被覆材K2内での支持体の滞留時間は、好ましくは1秒〜15分、より好ましくは10秒〜10分、およびとりわけ好ましくは30秒〜8分である。本発明による被覆材を含む浴の温度は、好ましくは20〜90℃、より好ましくは25〜80℃、とりわけ好ましくは30〜70℃である。被覆材K2により生成する湿性塗膜の厚さは、自己析出型適用の後、5〜1500nm、好ましくは15〜1250nm、とりわけ好ましくは25〜1000nmである。
【0062】
被覆材K2で支持体を処理した後、最終的な電着塗装の前に、支持体、および被覆材K1の被覆と、被覆材K2とから成る複合体を、約30〜200℃の温度、とりわけ100〜180℃の温度で乾燥させるが、この際に乾燥装置は本発明による被覆材の有利な作用にとって、それほど重要ではないと評価することができる。
【0063】
非常にとりわけ好ましくは、被覆材K1と被覆材K2とから成る複合体を、最終的な電着塗装の前にフラッシュオフさせる、すなわち30秒から30分間の間、好ましくは1分から25分の間、25〜120℃の温度、好ましくは30〜90℃の温度にさらす。
【0064】
本発明による被覆方法の最終的な電着塗装(III)
工程(III)で行う電着塗装に適しているのは、基本的にカソードに析出可能なすべての電着塗料である。好ましくは、高い環境基準を満たすカソードに析出可能な電着塗料、とりわけ鉛の、またはクロムの防蝕顔料を含まない電着塗料を使用し、これらの被覆材料は例えば、EP−A−0528853に記載されている。
【0065】
カソードに析出可能な電着塗料のためのバインダーとしては、アミンで変性したエポキシ樹脂を架橋剤と組み合わせて使用するのが好ましく、そのようなバインダーは例えば、DE−A−3518770、DE−A−3518732、EP−A−0102501、DE−A−2701002、US−A−4,104,147、EP−A−0004090、EP−A−0012463、US−A−4,031,050、US−A−3,922,253、US−A−4,101,486、US−A−4,038,232、およびUS−A−4,017,438に記載されている。
【0066】
電着塗料は、工程(I)もしくは工程(II)で析出させた層に対して問題なく適用することができる。電着塗装の電気泳動的な析出のためのパラメータは、技術的に慣用のパラメータに相応する。
【0067】
一連の工程(I)と(III)で、もしくは工程(I)、(II)、および(III)で製造された層複合体を一般的に、15〜60分間、好ましくは15〜30分間、130〜200℃の温度、好ましくは150〜180℃の温度で焼く。この際、工程(III)で塗布された電着塗装層の、および好ましい工程(II)で塗布された被覆材K2から成る層の強力な架橋が起こる。
【0068】
意外なことに電着塗装は、工程(I)もしくは工程(II)で析出させた層に対して良好に接着する。この層複合体はさらに、衝撃応力耐性が優れている。
【0069】
耐蝕性は際立っており、かつ自動車工業における要求を高い水準で満たす。
【0070】
工程(III)で施与した層の上に、とりわけ自動車連続塗装(Automobilserienlackierung)に典型的な被覆、サーフェイサー、ベースコート、およびクリアコートを、それ自体公知の方法で適用することができる。
【0071】
本発明による方法は意外なことに、幅広い領域の支持体に適用することができ、かつ支持体の酸化還元性にはほとんど依存しない。
【0072】
好ましい支持体材料は、亜鉛、鉄、マグネシウム、およびアルミニウム、ならびにこれらの合金であり、上記の金属は好ましくは合金中に少なくとも20質量%存在する。支持体は好ましくは金属板として成形され、このような金属板は例えば自動車工業、建設産業、および機械工業において用いることができる。
【0073】
以下に記載する実施例により、本発明をさらに説明する。
【0074】
製造実施例1a:防蝕剤K1を有する第一の槽の製造
モリブデン酸アンモニウム三水和物(A1)1.77g(0.01mol)を、水1リットルに溶解する。硝酸(A2)を用いてこの溶液をpH2.5に調整する。場合により、上記のpH値を調整するためにアンモニア水溶液で緩衝する。
【0075】
製造実施例2a:防蝕剤K2のためのポリマー成分Pの合成
平均分子量Mw=800g/molのポリエチレンイミン(BASF AG社製のLupasol FG、第一級アミノ基:第二級アミノ基:第三級アミノ基(p−s−t)の比=1:0.9:0.5)5g(6.25×10-3mol)を、窒素雰囲気下でエタノール100gに装入し、そして45分以内に75℃でベンゾイルイソチオシアネート10.7g(0.066mol)をエタノール86gに溶解させて添加する。さらに4時間、この温度で撹拌し、そしてこの生成物をさらに精製せずに使用する。
【0076】
製造実施例2b:防蝕剤K2のための塩Sを含む架橋剤Vの合成
塩化セリウム(III)七水和物3.1g(0.008mol)を、水50mlに装入する。4−ヒドロキシ桂酸4.1g(0.025mol)と、水酸化ナトリム溶液1g(0.025mol)とから水50ml中で溶液を調製し、塩酸を用いてpHを7.9にする。この溶液を、セリウム溶液のpH値が6を越えないように、セリウム溶液にゆっくりと加える。この沈殿物をエタノールと水で洗浄する。このセリウム錯体1.7g(0.003mol)を、ジメチルピラゾールで75%ブロックされた分枝状ポリイソシアネート(Bayer AG社製 Bayhydur VP LS 2319)9.1g(NCO含分2.5%)とともに、酢酸エチル80.1g、およびOH官能性ジプロピレントリアミン(Huntsmann社製、Jeffcat ZR 50)0.7g中で、40℃で5時間、反応させる。この生成物はさらに精製せずに使用する。
【0077】
製造実施例3:防蝕剤K2を有する、第二の槽の製造
1lの水にその都度、実施例2aのポリマー成分Pを3g、および実施例2bの架橋剤Vを2g溶解する。この溶液を硝酸でpH2.5に調整する。場合により、上記のpH値を調整するために水性アンモニア溶液で緩衝する。
【0078】
実施例4:防蝕剤K1による支持体の被覆(工程I)、および防蝕剤K2による支持体の被覆(工程II)
支持体(電気亜鉛メッキした鋼板)を、55℃で5分間、洗浄溶液(Henkel社製のRidoline C72)中で洗浄し、そしてその後蒸留水ですすぐ。
【0079】
引き続き、蒸留水ですすいだ鋼板を、直ちに45℃で4分間、実施例1aの防蝕剤のK1最初の槽に浸す。この後、被覆した鋼板を蒸留水ですすぎ、そして窒素を吹き付けて乾燥させる。その直後、これらの鋼板を35℃で5分間、実施例3aの本発明による防蝕剤の第二の槽に浸す。可視光のλ/4の範囲で不可視〜乳白色の層が形成される。その後、被覆された鋼板を蒸留水ですすぎ、そして窒素を吹き付けて乾燥させる。
【0080】
この後、この鋼板を80℃で2.5分間、フラッシュオフさせる。
【0081】
実施例5:カソード電着塗料による、実施例4で被覆された鋼板の被覆(工程III)
実施例4で被覆して条件を整えた鋼板を、市販の鉛不含のカソード電着塗料(BASF Coating AG社のCathoguard(登録商標)500)により浴温度32℃、および120秒の析出時間で被覆し、そしてその後175℃で20分間硬化させる。析出させ、そして硬化させたカソード電着塗料から成る層の厚さは、19〜20μmである。
【0082】
参照用に、市販のリン酸塩化成処理剤(Chemetall社製のGardobond 26S W42 MBZE3)で被覆した鋼板を、同様に前述の鉛不含の電着塗料により先の条件下で被覆し、硬化させる。析出させ、そして硬化させたカソード電着塗料の層の厚さは、同様に19〜20μmである。
【0083】
実施例6:実施例5で被覆した支持体における、ハリソン溶液(Harrison Loesung)を用いた加速腐蝕試験
完全脱塩水1000ml中の、ハリソン溶液(NaCl 5g+(NH42SO4 35g)を使用する。この際に支持体として、鋼、電気亜鉛メッキした鋼、または亜鉛合金を利用することができる。先に説明した被覆で被覆された試料(6×6cm)の表面に、直径48mm、高さ6cmのプラスチックシリンダーを接着剤(1成分系のオキシムタイプRTVの透明なシリコーン接着剤、Scrintec600(Ralicks社製、46359 Rees))で接着する。このシリンダーに、ハリソン溶液70mlを入れる。これらの試料を用いて、電気化学インピーダンス測定(EIS)を、1mV〜オープン電位で、基準電極としてプラチナメッシュを用い、1MHz〜100mHzの2電極構成で行う。
【0084】
このように調製した試料を、25℃〜73℃の温度範囲で計20サイクル、その都度最高温度と最低温度が一時間以内に一巡するように耐候試験する。引き続き、今は乾いているシリンダーを新たにハリソン溶液30mlで満たし、そして10分間の滞留時間後この溶液を、ICP−OES(誘導結合プラズマ−光学放射分光計)を用いた、耐候試験の間に場合により溶解するイオンの測定のために使用する。この後、ハリソン溶液70mlをもう一度シリンダーに入れ、新たなEIS測定を行う。EIS測定後、迅速試験による耐候試験を新たに行い、この後もう一度ICP−OES試料を取り、そしてさらなるEIS測定を行う。
【0085】
この測定は、反復測定により確かめる。
【0086】
腐蝕試験の評価:
a)浸漬溶液のICP−OESデータ
ICP−OESデータを、試料の面積に対して標準化する。これらのデータにより、直線的な推移が得られる。腐蝕速度の直線性に基づいて、様々な被覆をグラフの傾きにより比較することができる。ICP−OESデータは、単位面積あたり、および単位時間あたりの支持体の分解を示し、従ってその都度の被覆の際に起こり得る腐蝕速度に対する直接的な基準である。
【0087】
b)EIS測定
EIS測定は同様に、腐蝕速度測定のために用いることができる。欠陥箇所での測定により、欠陥を電気化学的にとらえる、すなわち支持体の酸化層を測る。同一条件下では同一の酸化物形成が予測されるという前提で、
【化1】

に従った電気容量は、被曝された支持体の面積に対する基準であり、そしてこれがまた腐蝕速度の基準となる。電気容量、もしくは平方根が大きくなればなるほど、腐蝕速度が速い。
【0088】
この電気容量の平方根は、VDA−KWT試験の相関的な塗膜下への泳動とほぼ直線的な相関関係を示すので、これらの値は耐蝕性に対する基準値として使用することができる。
【0089】
腐蝕試験の評価
腐蝕試験の結果
支持体 電気容量の平方根
電気亜鉛メッキした鋼板
リン酸塩化成処理剤26S W42 MBZE3(Chemetall社)
およびCathoguard(登録商標)500 0.00172
実施例4に従い、かつCathoguard(登録商標)500で
被覆した電気亜鉛メッキした鋼板 0.00163
これらの腐蝕試験の結果により、市販の防蝕剤(リン酸塩化成処理剤)と比較して、本発明による被覆材料による耐蝕性の向上が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製支持体の防蝕処理方法において、
(I)第一工程で、
(A1)カチオンとしてランタニド金属、および/またはカチオンとしてdブロック元素の金属(クロムは除く)、および/またはアニオンとしてdブロック元素(クロム含有金属酸イオンは除く)の金属酸イオンを有する化合物、ならびに
(A2)少なくとも1の酸化可能な酸(リンおよび/またはクロムを含む酸は除く)
を少なくとも含む、pH値1〜5の防蝕剤K1の水浴に支持体を非電気的に浸漬することにより被覆し(この際、支持体表面で化成処理が起こる)、かつ
(III)最終的な工程で、カソード電着塗料の析出によりさらなる被覆を実施することを特徴とする、金属製支持体の防蝕処理方法。
【請求項2】
ランタニド金属の、および/またはdブロック元素のカチオンを含む化合物(A1)が、元素周期表の第VI、第VII、および第VIII副族の元素の、および第V、および第VI主族の元素の酸化性酸のアニオン(リンおよび/またはクロムを含む酸のアニオンは除く)、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオンは除く)のアニオン、および潜在的にアニオン性の錯化する単座の、および/または多座のリガンドの群から選択されている少なくとも1の成分を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物(A1)の少なくとも1の成分が、dブロック元素の金属酸イオン、例えばとりわけ、タングステン酸イオン、過マンガン酸イオン、バナジウム酸イオン、および/またはモリブデン酸イオンであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸(A2)が、硝酸、亜硝酸、硫酸、および/または亜硫酸の群から選択されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法の工程(I)と最終的な工程(III)との間に、支持体を水性防蝕剤K2(この際K2は、支持体の腐蝕の際に遊離する金属イオンと、および/または支持体表面とキレートを形成する共有結合で結合されたリガンドL、ならびに自身と、ポリマーPのさらなる相補的な官能基成分B’と、および/またはさらなる官能基Bおよび/またはB’と、架橋剤Vにより共有結合を形成することができる架橋性官能基Bを有する、少なくとも1の水に分散可能な、および/または水溶性のポリマーPを含む)の浴に入れて非電気的に浸漬するさらなる被覆工程(II)を行うことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
水性防蝕剤K2が、カチオン成分としてランタニド金属カチオン、および/またはdブロック金属カチオンを有する塩(S)を付加的に含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
塩(S)のランタニド金属カチオン、および/またはdブロック金属カチオンが、単座の、および/または多座のリガンドを有する錯体として存在することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記架橋剤Vが、共有結合されたリガンドL’を有することを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記リガンドLが、尿素、アミン、アミド、イミン、イミド、ピリジン、有機硫黄化合物、有機リン化合物、有機ホウ素化合物、オキシム、アセチルアセトネート、ポリアルコール、酸、フィチン酸、アセチレン、および/またはカルベンの群から選択されていることを特徴とする、請求項5から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーPがポリマー主鎖として、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアミン、およびポリアルキレンイミンの群から選択されている1またはそれ以上の構成要素を有することを特徴とする、請求項5から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程(I)における防蝕剤K1の水浴中での支持体の滞留時間が、1秒〜10分であり、かつ防蝕剤K1を含む水浴の温度が25〜90℃であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(II)における防蝕剤K2の水浴中での支持体の滞留時間が、1秒〜15分であり、かつ防蝕剤K2を含む水浴の温度が25〜90℃であることを特徴とする、請求項5から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(II)で被覆材K2により生成する層の厚さが、自己析出型適用の後、5〜1500nmであることを特徴とする、請求項5から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程(I)で被覆材K1から成る被覆を、最終的な工程(III)の前に30秒から30分の間、25〜120℃の温度にさらすことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程(1)で被覆材K1により生成する層の厚さが、自己析出型適用の後、5〜900nmであることを特徴とする、請求項1から4まで、および請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
工程(II)で被覆材K1と被覆材K2とから成る複合体を、最終的な工程(III)の前に、30秒から30分の間、25〜120℃の温度にさらすことを特徴とする、請求項5から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
電着塗装の適用後に、層複合体を15〜60分の間、120〜200℃の温度にさらすことを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
支持体が、その被覆すべき表面にFe、Al、および/またはZnの群から選択されている金属を、少なくとも20質量%含むことを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−521583(P2010−521583A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553012(P2009−553012)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010945
【国際公開番号】WO2008/110195
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】