説明

金属製筐体の切断装置および切断方法

【課題】コンデンサおよびトランス等の切断作業を確実に効率よく、かつ安全に切断することができるようにする。
【解決手段】金属製薄板により構成された密閉箱型の筐体を切断する切断装置であって、筐体101を搭載して荷重を支持する架台3と、筐体を把持し、筐体を架台に沿って水平方向に移動させるクランプ装置5と、架台の両側に昇降可能に配置され、筐体の切断を行う切断刃を有し互いに対向する1対の切断機構9と、架台の両側で切断機構に対して筐体切断側に昇降可能に配置され、筐体上部の荷重を担持する1対の隙間ガイド装置7と、架台の任意の位置に配置され、鉛直方向を軸として回転する回転台4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属製筐体の切断装置に係り、特にPCB(ポリ塩化ビフェニル)含有のコンデンサおよびトランス等の切断作業を確実に効率よく、かつ安全に行うための金属製筐体の切断装置および切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にPCB含有コンデンサおよびトランスには内部に素子として絶縁紙がアルミ箔等とともに収納されており、外部には碍子が設けられている。このようなコンデンサは内部がPCB油で満たされており、PCB油の入ったコンデンサおよびトランス等は解体、洗浄および分別処理を行い、無害化する必要がある。
【0003】
従来では、PCB含有コンデンサおよびトランス等の無害化処理に際し、PCB油の抜出し、装置の粗洗浄を行った後、グローブボックス内で碍子を外し、減容処理を行った後、洗浄可能な大きさまで切断し、その後さらに洗浄している。その後、洗浄物は金属類と素子などに分別され、処理されている。
【0004】
また、コンデンサ等のケースは金属製薄板により構成されており、解体に際しては薄板を切り分ける切断が困難であるため、コンデンサ等をギロチンシャー、または切断圧縮プレス等によって減容化した後、破砕機を使用して解体している。解体後には、洗浄その他の処理を行い、再利用することを目的に一般廃棄物として排出している。(例えば特許文献1,2等参照)。
【0005】
このため、従来の一括減容方式では後処理の分別が困難なため、専用の分別装置が必要となる。
【0006】
特に洗浄を目的に破砕減容する場合、複数段に亘り破砕を行い、数cm角に微細にする必要があり、内部の素子も一緒に破砕するため、特に比重の異なるものが多数あるので循環運転は切断刃などに負荷がかかる。
【0007】
また、洗浄後の分別作業は風力選別装置、磁力分別装置などを使用して、多くの手間がかかる解体方法となっている。
【特許文献1】特開2005−231011号公報
【特許文献2】特開2006−255888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した解体方法において、圧縮減容方式では板が密着するため洗浄液が廻らず、洗浄できない課題がある。
【0009】
また、破砕減容の工程では微細にするため、数段の破砕機が必要であり、かつ金属と素子との分別機が必要となり、さらに、この構成においては洗浄を考慮して裁断するほど分別効率が低くなる。
【0010】
通常、コンデンサの板厚は1.2mmから6mm程度であり、殆どが薄板のため、チップソーによる切断では切断作業の途中で筐体の剛性が不足し、チップソーの歯が噛み込み易く、不向きであった。
【0011】
なお、コンデンサのケースと一体となった上蓋の切断には従来技術としてバンドソーも提案されているが、コンデンサの碍子が内部まで入っているものがあり、碍子はバンドソーでは切断することができない。
【0012】
また、コンデンサの外観からでは、内部構成材である碍子等の配置の判別をすることができず、バンドソーによる切断をすることは困難である。
【0013】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、コンデンサおよびトランス等の金属製薄板からなる筐体を内部素子を取外す必要なく切断して容易かつ確実に分断して蓋部を取外すことができるコンデンサおよびトランス等のケース切断装置および切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するため、本発明では、金属製薄板により構成された密閉箱型の筐体を切断する切断装置であって、前記筐体を搭載して荷重を支持する架台と、前記筐体を把持し、前記筐体を前記架台に沿って水平方向に移動させるクランプ装置と、前記架台の両側に昇降可能に配置され、前記筐体の切断箇所である筐体側面に対し接離可能に動作し前記筐体の切断を行う切断刃を有し、互いに対向する1対の切断機構と、前記架台の両側で前記切断機構に対して筐体切断側に昇降可能に配置され、前記筐体の切断箇所である側面に対し接離可能に動作し、前期切断刃により前記筐体側面に形成される切断隙間に挿入され、前記筐体の上部の荷重を担持する隙間ガイドを有し、互いに対向する1対の隙間ガイド装置と、前記架台の任意の位置に配置され、鉛直方向を軸として回転する回転台とを備えたことを特徴とする筐体の切断装置を提供する。
【0015】
また、本発明では、前記筐体はコンデンサ、トランス、その他の電気機器の筐体である筐体の切断装置を提供する。
【0016】
また、本発明では、前記切断刃は超硬刃を備えた回転刃である筐体の切断装置を提供する。
【0017】
また、本発明では、前記筐体は板厚1.2mmないし6mmの軟鋼製であり、前記筐体を切断する際の回転刃の周速度を100m/minに設定した筐体の切断装置を提供する。
【0018】
また、本発明では、前記架台の上部に配置され、切断後の筐体上部を次工程へ搬送する搬送クレーンと、鉛直方向を軸として回転する回転機構、水平方向を軸として反転する反転機構および床面移動して筐体を搬送する搬送台車と、前記架台に隣接して配置され、切断後の筐体下部を次工程へ搬送する搬送架台と、前記筐体下部を裁断する裁断装置と、前記筐体の内容物を押出す押出し装置とを備えた筐体の切断装置を提供する。
【0019】
また、本発明では、前記切断装置を使用して筐体を切断する筐体の切断方法を提供する。
【0020】
また、本発明では、前記切断方法において、筐体上面の短辺を有する1対の筐体側面を同時に切断した後、筐体上面の長辺を有する1対の筐体側面を同時に切断し、長辺を有する1対の筐体側面を切断する際、回転刃が形成する切断隙間に随時隙間ガイドを挿入する筐体の切断方法を提供する。
【0021】
また、本発明では、前記筐体を上下に切断・分離する工程と、前記筐体の上部を碍子取外し場所へ搬送する工程と、前記筐体の下部を搬送台車へ移動する工程と、搬送台車で前記下部を回転および反転する工程と、前記筐体の下部を搬送架台へ移動する工程と、前記搬送架台で前記筐体の下部の底部を切断・分離する工程と、前記底部をカゴへ搬送する工程と、前記筐体の下部から押出し装置にて内部素子を前記筐体から分離させる工程と、前記内部素子をカゴへ搬送する工程と、残りの筐体を適当な大きさに裁断する工程と、裁断した筐体をカゴへ搬送する工程とを備えることを特徴とする筐体の切断方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、隙間ガイド装置を使用して、筐体の切り離し時に筐体上部(蓋部)の荷重を担持することにより、筐体上部の自重による変形や切断刃による切断時の振動による暴れを防止し、ひいては切断時のかみこみやこれによる破損、および切り離し時の切断刃(回転刃)の回転力による筐体上部(蓋部)の飛びを防止することができる。
【0023】
すなわち、隙間ガイド装置により両端切断時に発生する切断刃の回転力による切断対象物が飛ぶことや、切り離し時に切断刃の破損が発生することもない。
【0024】
また、本発明によれば、コンデンサ等の電気機器に残留しているであろうPCBからダイオキシンが発生しないように切断時の温度を100℃以下にする必要があるのに対し、1.2mmないし6mm厚の軟鋼製の筐体を切断する際の回転刃の周速度を100m/minに設定することにより、切断時の温度は約80℃となり火花も発生しないので、作業上での安全性が高い。
【0025】
また、本発明によれば、金属製筐体、特にコンデンサおよびトランス等の内部素子を切断する必要なく、蓋部を取外すことができる。
【0026】
特に薄板の切断は固定が難しく、切断が困難であるが、両側から押えて両端を同時に切断することにより、薄板の切断も容易に行える。切断対象とするコンデンサの板厚は1.2mm程度から6mm程度までのものが好適である。
【0027】
また、本発明では筐体の底板切断用裁断装置として例えばバンドソーと素子押出し装置の組合せを使用することにより、素子と鉄を解体時に分別することができるので、洗浄装置の負荷が低減され、後処置の分別装置が不要になる。
【0028】
また、トランス使用時には外装品の取外しが必要であり、マニュピレータとの組合せにより外装品を取外し、上蓋切断、コア取出しまでが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、金属製薄板により構成された密閉箱型の筐体として、大型コンデンサ(例えば横断面の寸法が700mm(短辺)×1500mm(長辺)を有するもの)の切断装置について説明するが、中小型のコンデンサ、トランス、その他のPCB含有機器その他各種金属製筐体の等の筐体切断装置としても種々実施することができる。
【0030】
まず、図1を参照して本実施形態の切断装置100の全体構成を説明する。図1は、切断装置100の機器配置構成を示す平面図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の切断装置100は、大型コンデンサ101を搭載する搬送台車1を有し、この搬送台車1は例えば床面上に直線状に敷設されたレール2に沿い、一方向(図示y方向)に往復移動することができる。搬送台車1に搭載される大型コンデンサ101は短辺mと長辺nとを有し、図1では短辺mが縦向き(図示y方向)に示してあり、長辺nが横向き(図示x方向)に示してある。大型コンデンサ101は板厚1.2mmないし6mmの軟鋼製である。
【0032】
レール2の所定位置には、このレール2と直交する方向(図示x方向)に沿って複数の機器からなる大型コンデンサ切断用ライン102が配置してある。この大型コンデンサ切断用ライン102は大型コンデンサ101を搭載して荷重を支持する横長な架台3を備えており、この架台3上にレール2側から順に、回転台4、クランプ装置(第1クランプ装置)5、切断機構6、および隙間ガイド装置7が配設されている。
【0033】
回転台4は架台3の任意の位置、例えばレール2側の端部位置に配置されており、鉛直方向を軸として回転する水平な円板状のものである。この回転台4には搬送台車1から大型コンデンサ101を移送して搭載することができ、回転台4の回転により大型コンデンサ101の向きを水平面上で種々変更することができる。
【0034】
クランプ装置5は1対の対向するシリンダ機構5a,5aを有するものであり、大型コンデンサ101を把持し、この大型コンデンサ101を架台に沿って水平方向に移動させるものである。
【0035】
切断機構6は架台3の両側に昇降可能に配置され、大型コンデンサ101の筐体の切断を行う切断刃(回転刃)8を有し、互いに対向する配置で1対設けられている。この切断刃8は超硬刃を備えた回転刃である。
【0036】
隙間ガイド装置7は、架台3の両側で切断機構6に対して大型コンデンサ101の切断側に昇降可能に対向する配置で1対設けられており、大型コンデンサ101の側面に形成される切断隙間に挿入され、切断中から切断完了にいたるまで、筐体上部の荷重を担持するものである。なお、図示を省略してあるが、架台3の上部には切断後の筐体上部を次工程へ搬送する搬送クレーンが配置されている。
【0037】
また、図1には、切断後の筐体部材を搬送するローラコンベア等の搬送架台11と、この搬送架台11によって搬送された部材を裁断する裁断装置、例えばバンドソー21を有する裁断装置12、バンドソー21で裁断する部品を保持するクランプ装置(裁断用クランプ装置)17、裁断後の部品を押出す押出し装置13、押出される部品を外部に排出するローラコンベア等の排出路14、および排出物を収容するかご15等が示してある。
【0038】
また、図1には、切断対象となる筐体の大きさを検知するセンサー16が示してある。このセンサー16は、例えば回転台4に隣接して設けてあり、筐体の大きさを検知することにより動作制御を行うもので、例えば切断装置100の周りに鉄骨で組まれた構造体(図示省略)に設置されている。
【0039】
次に、図2〜図13も参照して、本実施形態の構成および作用を詳細に説明する。
【0040】
図2は搬送台車1を示す平面図であり、図3はその側面図(図2のB方向矢視図)である。これらの図2および図3に示すように、搬送台車1は台車車両部1a上に回転機構9を介して台車本体部1bを搭載した構成のものであり、台車車両部1aをレール2上に搭載することにより、レール2敷設方向(矢印a方向)に沿って進退移動することができるようになっている。すなわち、搬送台車1は床面移動して筐体である大型コンデンサ101を搬送する構成となっている。
【0041】
また、図2および3に示すように、搬送台車1は鉛直方向を軸として回転する回転機構9を備えている。この回転機構9により、搬送台車1は図2に矢印bで示すように、鉛直方向を軸として正逆方向に回転することができる。
【0042】
さらに、図3に矢印cで示すように、搬送台車1は水平方向を軸として反転する反転機構10を備えている。この反転機構10は側面視円弧状の反転部材10aと、この反転部材10aに支持されて水平方向を軸として反転する側面視略L形をなす筐体支持部材10bとから構成されている。
【0043】
図4および図5には、回転台4、クランプ装置5、切断機構6および隙間ガイド装置7の構成が示してある。図4はこれらの構成を示す側面図であり、図5は平面図(図4のA矢視図)である。
【0044】
図4および図5に示すように、架台3および回転台4の両側面下部には横長なガイド18がそれぞれ設けてあり、これらの各ガイド18に沿ってクランプ装置5が水平方向dに移動可能に取付けられている。これらのクランプ装置5により、大型コンデンサ101の両側面が支持されて架台3上で水平方向dに移動できるようになっている。
【0045】
架台3の両側面には切断刃(回転刃)8を有する1対の切断機構6が対向配置してあり、各切断機構6は昇降動作および架台3上面に沿う接離動作が可能となっている。また、切断機構6に隣接する配置で架台3の両側面には隙間ガイド装置7が設けられている。この隙間ガイド装置7は支持台19に複数の算盤珠状のコマ20を横一列に配置した構成のものであり、架台3の両側で切断機構9に対して大型コンデンサ101切断側に昇降可能に定位置に固定配置されて、移動する大型コンデンサ101の両側壁に形成された切断隙間にコマの円周先端部を挿入する動作が可能な構成となっている。
【0046】
次に、切断作用を説明する。本実施形態では、上面の短辺を有する1対の大型コンデンサ101の側面を同時に切断した後、この大型コンデンサ101の上面の長辺を有する1対の側面を同時に切断する。この長辺を有する1対の大型コンデンサ101の側面を切断する際には、回転刃8が形成する切断隙間に随時隙間ガイド装置7を挿入する。
【0047】
このような切断装置100を使用して大型コンデンサ101の上部を切断する切断作用を図6〜図13により説明する。図6は大型コンデンサ101の上面の長辺側側面の切断開始の状態を示す側面図であり、図7は図6の平面図である。
【0048】
これらの図に示すように、架台3上に大型コンデンサ101を搭載し、大型コンデンサ101の長辺側側面をクランプ装置5によって挟持する。この状態で、切断刃8を大型コンデンサ101の側面上部に配置する。そして、この大型コンデンサ101をクランプ装置5により、架台3の上面に沿って移動する(矢印i)。この時、対向して固定配置されている1対の切断機構6の切断刃8は、側面を切断するのに適当な切り込み深さとなるように配置されており、大型コンデンサ101の側面上部を切断し始める。なお、この段階では、隙間ガイド装置のコマ20は待機状態にある。
【0049】
図8は切断を進行させた状態を示す側面図であり、図9は図8の平面図である。これらの図に示すように、大型コンデンサ101をクランプ装置5によって進行させることにより、対向して固定配置されている1対の切断機構6の切断刃8が次第に大型コンデンサ101の側面上部に切断隙間を形成していく(矢印ii)。この段階で、隙間ガイド装置のコマ20が切断刃8による切断隙間に挿入し、大型コンデンサ101の切断隙間を開口状態に保持する。
【0050】
図10は、さらに切断を進行させた状態を示す側面図であり、図11は図10の平面図である。これらの図に示すように、大型コンデンサ101をクランプ装置5によってさらに進行させることにより、対向して固定配置されている1対の切断機構6の切断刃8がさらに深く大型コンデンサ101の側面上部を切断していく(矢印iii)。
【0051】
図12は、切断が終了した状態を示す側面図であり、図13は図12の平面図である。これらの図に示すように、大型コンデンサ101は最終的に1対の切断機構6の切断刃8により上下に切り離される(矢印iv)。
【0052】
なお、短辺側側面の切断は、この長辺側側面の切断の前に行われるが、長辺側側面が残存しているため、筐体の剛性が保たれ、隙間ガイドの挿入を行う必要がない。短辺側側面の切断後、図示を省略するが、大型コンデンサ101の姿勢を水平面上で90°回動させた状態として、上記長辺側側面の切断を行い、大型コンデンサ101の上部102を切り離す。
【0053】
切り離された大型コンデンサ101の上部102は、クレーン等に吊下された図示省略の把持爪によって所定位置に移送される。
【0054】
そして、本実施形態では、大型コンデンサ101を上下に切断・分離した後、大型コンデンサ101の上部を碍子取外し場所へ搬送し、大型コンデンサ101の下部を搬送台車1へ移動し、搬送台車1で下部を回転および反転させ、横倒しになった大型コンデンサ101の下部を搬送架台11へ移動する。そして、搬送架台11で裁断装置12のバンドソー21により大型コンデンサ101の下部の底部を切断・分離し、底部をカゴ15へ搬送する。また、大型コンデンサ101の下部の開口した底部から押出し装置13にて内部素子を大型コンデンサ101から押出し、分離させ、内部素子をカゴ15へ搬送する。また、残りの大型コンデンサ101(筐体)は適当な大きさに裁断し、裁断した大型コンデンサ101はカゴ15へ搬送する。
【0055】
以上の実施形態によれば、隙間ガイド装置7を使用して、大型コンデンサ101の切り離し時に大型コンデンサ101上部(蓋部)の荷重を担持することにより、大型コンデンサ101上部の自重による変形や切断刃8による切断時の振動による暴れを防止し、ひいては切断時のかみこみやこれによる破損、および切り離し時の切断刃8の回転力による大型コンデンサ101上部(蓋部)の飛びを防止することができる。
【0056】
すなわち、隙間ガイド装置7により両端切断時に発生する刃の回転力による切断対象物が飛ぶことや、切り離し時に刃の破損が発生することもない。
【0057】
また、本実施形態によれば、コンデンサ等の電気機器に残留しているであろうPCBからダイオキシンが発生しないように切断時の温度を100℃以下にする必要があるのに対し、1.2mmないし6mm厚の軟鋼製の筐体を切断する際の回転刃の周速度を100m/minに設定することにより、切断時の温度は約80℃となり火花も発生しないので、作業上での安全性が高い。
【0058】
また、本実施形態によれば、金属製大型コンデンサ101およびトランス等の内部素子を切断する必要なく、蓋部を取外すことができる。
【0059】
特に薄板の切断は固定が難しく、切断が困難であるが、両側から押えて両端を同時に切断することにより、薄板の切断も容易に行える。切断対象とする金属製大型コンデンサ101の板厚は上述したように、1.2mm程度から6mm程度までのものが好適である。
【0060】
また、本実施形態では大型コンデンサ101の底板切断用裁断装置として、例えばバンドソー21と素子押出し装置13の組合せを使用することにより、素子と鉄を解体時に分別することができるので、洗浄装置の負荷が低減され、後処置の分別装置が不要になる。また、トランス使用時には外装品の取出しが必要であり、マニュピレータとの組合せにより外装品を取外し、上蓋切断コア取出しまでが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態による切断装置の全体構成を示す平正面図。
【図2】本発明の一実施形態による搬送台車を示す平面図。
【図3】本発明の一実施形態による側面図(図2のB方向矢視図)。
【図4】本発明の一実施形態による構成を示す側面図。
【図5】本発明の一実施形態による平面図(図4のA矢視図)。
【図6】本発明の一実施形態による切断開始の状態を示す側面図。
【図7】図6の平面図。
【図8】本発明の一実施形態による切断を進行させた状態を示す側面図。
【図9】図8の平面図。
【図10】本発明の一実施形態による切断を進行させた状態を示す側面図。
【図11】図10の平面図。
【図12】本発明の一実施形態による切断が終了した状態を示す側面図。
【図13】図12の平面図。
【符号の説明】
【0062】
1‥搬送台車、1a‥台車車両部、2‥レール、m‥短辺、n‥長辺、3‥架台、4‥回転台、5‥クランプ装置(第1クランプ装置)、5a‥シリンダ機構、6‥切断機構、7‥隙間ガイド装置、8‥切断刃(回転刃)、9‥回転機構、10‥反転機構、11‥搬送架台、12‥裁断装置、13‥押出し装置、14‥排出路、15‥かご、16センサー、17‥第2クランプ装置(裁断用クランプ装置)、18‥ガイド、19‥支持台、20‥コマ、21‥バンドソー、100‥切断装置、101‥筐体(大型コンデンサ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製薄板により構成された密閉箱型の筐体を切断する切断装置であって、前記筐体を搭載して荷重を支持する架台と、前記筐体を把持し、前記筐体を前記架台に沿って水平方向に移動させるクランプ装置と、前記架台の両側に昇降可能に配置され、前記筐体の切断箇所である筐体側面に対し接離可能に動作し前記筐体の切断を行う切断刃を有し、互いに対向する1対の切断機構と、前記架台の両側で前記切断機構に対して筐体切断側に昇降可能に配置され、前記筐体の切断箇所である側面に対し接離可能に動作し、前期切断刃により前記筐体側面に形成される切断隙間に挿入され、前記筐体の上部の荷重を担持する隙間ガイドを有し、互いに対向する1対の隙間ガイド装置と、前記架台の任意の位置に配置され、鉛直方向を軸として回転する回転台とを備えたことを特徴とする筐体の切断装置。
【請求項2】
前記筐体はコンデンサ、トランス、その他の電気機器の筐体である請求項1記載の筐体の切断装置。
【請求項3】
前記切断刃は超硬刃を備えた回転刃である請求項1または2に記載の筐体の切断装置。
【請求項4】
前記筐体は板厚1.2mmないし6mmの軟鋼製であり、前記筐体を切断する際の回転刃の周速度を100m/minに設定した請求項3記載の筐体の切断装置。
【請求項5】
前記架台の上部に配置され、切断後の筐体上部を次工程へ搬送する搬送クレーンと、鉛直方向を軸として回転する回転機構、水平方向を軸として反転する反転機構および床面移動して筐体を搬送する搬送台車と、前記架台に隣接して配置され、切断後の筐体下部を次工程へ搬送する搬送架台と、前記筐体下部を裁断する裁断装置と、前記筐体の内容物を押出す押出し装置とを備えた請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の筐体の切断装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の切断装置を使用して筐体を切断する筐体の切断方法。
【請求項7】
請求項6記載の切断方法において、筐体上面の短辺を有する1対の筐体側面を同時に切断した後、筐体上面の長辺を有する1対の筐体側面を同時に切断し、長辺を有する1対の筐体側面を切断する際、回転刃が形成する切断隙間に随時隙間ガイドを挿入する筐体の切断方法。
【請求項8】
前記筐体を上下に切断・分離する工程と、前記筐体の上部を碍子取外し場所へ搬送する工程と、前記筐体の下部を搬送台車へ移動する工程と、搬送台車で前記下部を回転および反転する工程と、前記筐体の下部を搬送架台へ移動する工程と、前記搬送架台で前記筐体の下部の底部を切断・分離する工程と、前記底部をカゴへ搬送する工程と、前記筐体の下部から押出し装置にて内部素子を前記筐体から分離させる工程と、前記内部素子をカゴへ搬送する工程と、残りの筐体を適当な大きさに裁断する工程と、裁断した筐体をカゴへ搬送する工程とを備えることを特徴とする請求項7記載の筐体の切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−248240(P2009−248240A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98551(P2008−98551)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】