説明

金属製組立棚及びワゴン

【課題】矩形の浅箱状の複数枚の棚板1と、その四隅部を支持する4本の支柱2とを備える金属製の組立棚およびワゴンについて、組立を簡易になし得ると共に、棚板の高さ位置を可変設定できる丈夫で体裁の良い製品を提供する。
【解決手段】支柱2の中空部内に上下方向スライド自在に雌ねじ片4を装入し、該雌ねじ片4に対して棚板1の隅部周側壁12を止めねじで締結固定する。雌ねじ片4は、係合機構24,42により任意の高さ位置で支柱2に仮止め状態に位置決め固定しうるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にスチール棚と称されるような種類の金属製組立棚、及び該組立棚にキャスターを付けたワゴンに関する。
【背景技術】
【0002】
事務所、工場、厨房等ではもとより、家庭においても、物品の整理収納、保管、あるいは簡便な移動のために、金属製の組立棚やこれにキャスターを付けたワゴンが使用されることが多い。
【0003】
このような組立棚は、一般に、金属板のプレス成形品からなる浅箱状の複数枚の棚板と、該棚板の隅部に取付けてこれを支持する四本の支柱とを備え、使用場所で使用者自身が組立てて設置し、実用に供されることが多い。
【0004】
従来、このような金属製の組立棚やワゴンの各種改善提案として、下記特許文献1〜5に示されるようなものが公知である。
【特許文献1】特許第347988号公報
【特許文献2】特開平11−192129号公報
【特許文献3】特開平8−228846号公報
【特許文献4】実用新案登録第3060580号公報
【特許文献5】実用新案登録第3052950号公報
【0005】
この種の組立式棚やワゴンにあっては、その用法用途上、あるいは機能上、次のような基本的な要請事項が存在する。
【0006】
第1に、組立を容易に行いうることである。
【0007】
前述のようにこの種の組立棚等は、使用者サイドで組立て実用に供されることが多いことから、なるべく簡単に、かつ組立に必要な止めねじやボルトも少ない本数で短時間に組立を完了しうるものであることが望まれる。
【0008】
第2に、組立状態において強固であることである。
【0009】
即ち、棚板がぐらついたり、横からの力で支柱が傾いたりすることのない、丈夫でしっかりしたものでなければならない。殊に、このような堅牢度は、床面上で押して移動するワゴンの場合には強く求められる。
【0010】
第3に、外観体裁がなるべく良好なものであることである。
【0011】
殊に、事務所、研究室、厨房等で使用される組立棚やワゴンにあっては、一種の家具として室内雰囲気に良く調和するようなものであることが望まれる。
【0012】
第4に、整理保管する物品の大きさや種類に応じて、棚板の高さ位置を可変設定できることである。
【0013】
上下2段のみの棚板しか具備しないテーブルワゴンの場合を除き、種々の物品の整理収納、保管に好都合に使用しうるものであるためには、各棚段の高さ位置が1個所に固定的なものではなく、任意の高さ位置に可変設定できるものであることが望まれる。しかも、この棚板の高さ位置の初期設定はもちろん、途中で変更する場合にも、その作業を簡単に行いうるものであることが要請される。
【0014】
上記のような諸要請に対して、前記従来技術を示す特許文献1〜5には、種々の改善提案が示されている。
【0015】
例えば、前記第1の組立の簡易性の要請に対して、特許文献5においては、支柱に丸形パイプを用い、特殊な連結金具を用いることで、組立に必要とする締結用のボルト・ナットの使用本数を削減することが提案されている。
【0016】
また、第2の組立状態での堅牢性の要請に対して、特許文献1〜4では、棚板のコーナー止め金具の形状改善をはじめとして、支柱と棚板コーナー部との締結構造の改善提案が種々示されている。
【0017】
しかしながら、従来の上記のような提案例にあっては、前記第1〜第4のような各要請事項に対して、これらを総合的に、しかも高度に満足せしめ得るようなものではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、前記第1〜第4の要請に応え得る金属製の組立棚、およびこれを用いたワゴンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記の課題に対し、下記[1]〜[5]に記載のような構成を解決手段とする。
【0020】
[1]浅箱状の複数の棚板と、該棚板の四隅部を支持する4本の支柱と、各棚板と支柱とを連結する止めねじとを備える組立棚において、
前記支柱が、外周壁の一部に長さ方向に連続するスリット状の開口部を有する実質上中空状のものに形成され、
該支柱の中空部内に上下方向摺動自在に棚板止着用の雌ねじ片が装入され、
この雌ねじ片に対して、前記棚板がその隅部周側壁を前記止めねじを介して連結固定されてなることを特徴とする棚板の高さ位置変更可能な金属製組立棚。
【0021】
[2]前記雌ねじ片は、支柱の中空部内において、前記開口部に対する近接位置と、開口部から離れる奥方向への離間位置との間で変位移動可能なものとなされ、
かつ該雌ねじ片を前記近接位置方向に弾力的に付勢して該近接位置に保持するばね部材を備え、
前記近接位置において支柱側と係合して、雌ねじ片を所定の高さ位置に保持する一方、前記離間位置において支柱側との係合を解除して雌ねじ片を上下方向に移動可能なものとする係止手段が、支柱の長さ方向に所定間隔おきに複数設けられていることを特徴とする前項[1]に記載の棚板の高さ位置変更可能な金属製組立棚。
【0022】
[3]前記支柱は、断面L字形の主体部の両側縁に内方に順次直角に折曲された第1、第2及び第3の折曲縁からなる内巻き部を有し、これらの両内巻き部間にスリット状の前記開口部が形成されたものとなされる一方、
該支柱の中空部内に装入された雌ねじ片は、横断面略L字状ないしく字状で、前記内巻き部によって開口部からの脱出が阻止されるものとなされると共に、
前記支柱の内巻き部における第3または第2折曲縁に、所定間隔おきに多数個の雌ねじ片係止用切欠部が設けられ、雌ねじ片の係止部が前記近接位置において該切欠部に嵌入係止されるものとなされていることを特徴とする前項[2]に記載の棚板の高さ位置変更可能な金属製組立棚。
【0023】
[4]前記棚板の隅部の周側壁内側に対応L字状のコーナー止着片が当接状態に配置され、該コーナー止着片と前記支柱とがそれらの間に棚板の隅部周側壁を挾んで前記止めねじで締結固定されると共に、
前記コーナー止着片は、互いに直角にのびた両腕部の各外面に、それぞれ上下に離間して互いに1対をなす係止突片を有し、棚の組立状態において該係止突片が棚板の周側壁の対応部位にあけられた貫通孔を通って、前記支柱を両側から挾み込む態様で棚板の外面に突出されていることを特徴とする前項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の棚板の高さ位置変更可能な金属製組立棚。
【0024】
[5]前項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の組立棚における各支柱の下端にキャスターが取付けられて移動可能なものとなされていることを特徴とする金属製ワゴン。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、前記[1]に記載のように、実質上中空状のものとなされた支柱の中空部内に雌ねじ片をスライド自在に装入したものとして、この雌ねじ片に各棚板の隅部を止めねじで連結固定するものとしているので、各棚板の高さ位置を、載置収納しようとする物品に応じて任意の高さ位置に可変設定しうるのはもとより、従来の同様の目的のための構成では、前記特許文献2〜4に見られるように、支柱に多数個の取付孔が長さ方向に所定間隔おきに列設されており、これが外観上いかにも機械部品的な外観印象を与えるものとなって、必ずしも外観体裁上好ましいものではなかったのに対し、本発明においては、前記のように支柱内に内装された雌ねじ片に対して、各棚板を連接固定したものとなされているので、支柱の外観がスッキリしたものとなり、ひいてはスチール棚でありながら家具調の外観を表出する体裁の良好なものとなしうる。
【0026】
また、前記[2]に記載のように、雌ねじ片は、支柱内において係止手段によって任意の高さ位置に仮止め状態に係止固定されるものとなっているから、初期の組立作業時においてはもとより、棚板の高さ変え作業時においても、各支柱における雌ねじ片の高さ位置を揃えて仮保持せしめたのち、これに棚板の隅部を止めねじで順次連結していくことで、容易に棚板を正しく水平状態に付けることができる。かつ雌ねじ片の高さ位置を変える操作も、該雌ねじ片を開口部側からばねに抗して指先で支柱の奥側方向へ押し込むことで係止手段による係合を解除して、支柱の長さ方向に自由にスライド移動させることができる。そして所定の位置に至ったときに指先による押込み力を除けば、ばね部材の弾力で雌ねじ片は開口部側への近接位置に前進移動して、係止手段との適合位置でこれに係合させることができ、ひいては所定の高さ位置に係止め状態に係合保持させることができる。従って、垂直状態に立てた支柱内で、雌ねじ片が不慮、不本意に落下、下降、あるいは位置ずれ移動することがなく、棚板の取付作業、高さ位置変更作業をいずれも簡便に行うことができる。
【0027】
また、前記[3]に記載の構成によるときは、支柱を金属板からのプレス成形品として比較的安価に製作しうると共に、雌ねじ片と支柱との係合構造部分がほとんど外観されないものとなる。即ち、雌ねじ係止用切欠部が外部露出しないので、愈々外観体裁の良好なものとなしうる。
【0028】
更に、前記[4]に記載のように、各棚板側においても、その隅部にコーナー止着片を当接配置して、該コーナー止着片と雌ねじ片とを締結することで棚板を挾着固定状態に取付けるものとした場合には、止めねじの必要使用本数を各隅部に1本づつの最小限のものとして、棚組立工数の大幅な削減を可能とし、組立作業の簡易性を向上しうると共に、止めねじの外観露出を最小のものとし、かつ各棚板の内隅部および支柱との取合部の外観をスッキリしたものにして、更に一層、外観体裁の良好なものとなしうる。
【0029】
更にまた、前記[5]に記載のように、前記[1]〜[4]に記載の組立棚の各支柱の下端にキャスターを取付けたワゴンに構成する場合には、前記のような諸効果を保有する、物品搬送にも便利な棚型ワゴンを提供しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の金属製組立棚(A)を、その各支柱の下端にキャスター(6)を取付けると共に、上部一側面部に手押し用ハンドル(7)を取付けて、物品の載置保管用、および搬送移動用のワゴン(B)の形式に構成した態様で示すものである。
【0031】
金属製組立棚(A)の部分は、その主要構成部品として、3枚以上複数枚の金属製棚板(1)と、その四隅部分を支持する4本の金属製支柱(2)とを具備する。
【0032】
棚板(1)は、鉄板、アルミ板等の金属板をプレス成形して、矩形状等の直角四辺形の浅い箱状に形成されたものである。従って、各棚板(1)は、矩形状の平坦な底板部(11)と、その周囲四辺から立ち上った周側壁(12)とを有する。周側壁(12)は、上端縁が内方に折り返されると共に、棚板(1)の四隅部に欠落部(13)を有するものとなされ(図2参照)、該欠落部(13)を通じて後述の止めねじ(3)を貫通させうるものとなされている。もちろん周側壁(12)を隅部に連続させて欠落部(13)を有しないものとすることも任意である。その場合、止めねじ挿通用の透孔を形成することで上記欠落部(13)に代替させ得る。また、棚板(1)は、棚やワゴンの用途との関係で、上下を逆にした下向き浅箱状の姿勢で用いられることもある。この場合も本発明の実施形態の1つである。
【0033】
支柱(2)は、これも金属板からプレス成形されたものであり、外周壁の一部に長さ方向に連続するスリット状の開口部(21)を有する実質上中空状のものに形成されている。更に具体的には、支柱(2)は、図2及び図3に示すように、断面L字形の主体部(20)と、その両側縁から内方に直角に順次折り曲げられた第1折曲縁(22a)、第2折曲縁(22b)、および第3折曲縁(22c)からなる内巻き部(22)を有し、左右の両内巻き部(22)(22)間に前記のスリット状開口部(21)が形成されたものとなされている。
【0034】
各支柱(2)の中空部(23)内には、棚板(1)の数に対応する数の雌ねじ片(4)が上下方向スライド自在に装入されている。該雌ねじ片(4)は、硬質合成樹脂製または金属製のものであり、図2に示されるように全体として横断面略く字状ないしL字状で、屈折部の中央位置に貫通状に雌ねじ孔(4a)が設けられている。
【0035】
この雌ねじ片(4)は、支柱(2)に対して、その中空部(23)内に、十分な余裕をもってルーズな状態で、かつ開口部(21)からの脱出を阻止される状態で挿入されており、上下方向へ摺動自在であると共に、図3の(B)に示されるような支柱(2)の開口部(21)側に近接した近接位置と、同図(A)に示されるような該開口部(21)から離れる奥方向への離間位置との間で、横方向に変位移動可能なものとなされている。
【0036】
そして、雌ねじ片(4)の背面側、即ち支柱(2)のL字状主体部(20)に面する左右の両側翼部の背面の平面部に、それぞれ断面ハット形の板ばねからなるばね部材(43)が接着、ピン止め、溶着等の手段で止着されている。このばね部材(43)の作用で、雌ねじ片(4)は、常時は図3の(B)に示すような支柱(2)の開口部(21)への近接位置方向に弾力的に付勢されたものとなされている。従ってまた、雌ねじ片(4)は、支柱(2)の開口部(21)から指先で奥方向に押し込むことにより、ばね部材(43)の弾性に抗して前記離間位置、即ち図3の(A)に示すような支柱(2)内の奥寄り位置に移動変位させ得るものとなされている。
【0037】
一方、雌ねじ片(4)は、その両側翼部の前面側に、肉ぬすみ状の凹陥部(41)(41)が形成されている。その結果、この凹陥部(41)の上下に、1対の係止部(42)(42)が形成されている。これらの係止部(42)(42)は、雌ねじ片(4)が図3の(B)の前記近接位置に位置されたときに、支柱(2)側の係止用切欠部(24)に嵌まり込んで雌ねじ片(4)を位置決め固定する一方、雌ねじ片(4)が図3の(A)に示す離間位置に押し込まれると、上記係止用切欠部(24)から脱出して上記の係合を解き、雌ねじ片(4)の上下方向の移動を自由化するものである。
【0038】
従って、支柱(2)側の上記係止用切欠部(24)は、4本の支柱(2)の全てについて、その第3折曲縁(22c)の同じ高さ位置に、かつ支柱の長さ方向に所定間隔おきに多数個設けられているものである。
【0039】
支柱(2)の第3折曲縁(22c)は、支柱(2)の側縁端面に手指が触れて負傷する危険を回避するために、また支柱(2)の外観体裁を一層良好なものとするために、これを設けたものとすることが望ましいが、必ずしも必要とされるものではない。従って、この第3節曲縁(22C)を設けない場合には、第2折曲縁(22b)に上記切欠部(24)に代わる切欠部、あるいは係止用の孔を形成して、雌ねじ片(4)の対応部位に設けた突起状等の係止部を係合させるものとしても良い。
【0040】
棚板(1)の四隅部の周側壁(12)内側には、コーナー止着片(5)が配置されている。このコーナー止着片(5)は、ポリアミド樹脂等の硬質合成樹脂製または金属製であり、上記隅部に対応する略L字状に形成され、直角に伸びた両腕部の外面を棚板(1)の隅部の周側壁内面に当接させて配置されている。
【0041】
そして、コーナー止着片(5)と対応位置の前記雌ねじ片(4)とが、それらの間に棚板(1)の隅部周側壁(12)を挾んで止めねじ(3)で締結固定されている。止めねじ(3)は、コーナー止着片(5)の屈折部中央に穿設された透孔(51)を貫通して、支柱(2)内の雌ねじ片(4)にねじ込まれることにより、上記隅部周側壁(12)を雌ねじ片(4)とコーナー止着片(5)との間に強く挾着せしめるものとしている。しかし、これだけでは棚板(1)の固定は未だ不十分である。
【0042】
そこで、この実施例においては、独自の工夫として、上記コーナー止着片(5)に係止突片(52)を設けて、棚板(1)の取付強度の確保と、棚のぐらつきの防止の万全をはかりうるものとしている。
【0043】
即ち、コーナー止着片(5)には、直角にのびた左右の両腕部の外面に、それぞれ上下に離間して、互いに1対をなす合計4個の直角三角形の係止突片(52)が一体に突設されている。これらの係止突片(52)は、コーナー止着片(5)の屈折部方向に向いた面を上記外面から直角に立ち上げて垂直面(52a)とした直角三角形に形成されたものである。
【0044】
そして、図2及び図3(B)に示すように、棚の組立状態において、上記係止突片(52)は、棚板(1)の隅部周側壁(12)の対応位置に穿たれた合計4個の貫通孔(14)を通って棚板(1)の外方に突出され、この突出部が支柱(2)の両側面、即ち互いに直角に位置する第1折曲縁(22a)(22a)の外面に、垂直面(52a)(52a)が当接されたものとなされている。従って、上記係止突片(52)は、棚板(1)からの突出部分をもって支柱(2)を両側から挾み込んだものとなされている。
【0045】
このように、係止突片(52)が棚板(1)の周側壁(12)の貫通孔(14)に通されていることで、棚板(1)はコーナー止着片(5)との相対位置決めがなされ、不本意な棚板(1)の下降ずれが確実に防止される。
【0046】
また、止めねじ(3)を強く締め付けることによって、雌ねじ部材(4)を介して支柱(2)が開き方向に変形しようとする傾向、即ち第1折曲縁(22a)(22a)が外向きに拡がろうとする傾向を示すが、これに対して上記係止突起(52)が該第1折曲縁(22a)(22a)を外側から押さえ込んで変形を防ぎ、これとの圧接力が増大されるため、棚板(1)の取付状態が愈々強化されたものになる。
【0047】
更に、上下に離間して互いに1対をなす上記係止突片(52)(52)が、支柱(2)を両側面から挾み込んでいるため、棚板(1)に対する支柱(2)の有害なぐらつきが防止される。即ち、棚板(1)の貫通孔(14)を通って外方に突出した各1対の係止突起(52)(52)が、上下に離間した位置で支柱(2)の両側面を挾み込むため、棚板(1)に対する支柱(2)の相対揺動が確実に防止され、組立状態における棚の安定性、堅牢性を向上する。
【0048】
本発明は、上記のような複数枚の棚板(1)とその四隅を支持する支柱(2)とを主要構成部材とする床面設置式の組立棚(A)を対象物とするほか、及び図1に示すように、該組立棚(A)の各支柱(2)の下端にキャスター(6)を付設し、要すれば更に一端側の1対の支柱(2)(2)間に横架状に手押し用ハンドル(7)を取付けて、床面上を移動可能なものとした運搬用ワゴン(B)をも対象物とするものである。
【0049】
なお、上記の実施形態は本発明の限定要件を逸脱しない範囲で種々設計的な変更が許容される。
【0050】
例えば、支柱(2)は、断面C字状ないし欠円形のものであっても良い。
【0051】
また、支柱(2)内に装入される雌ねじ片(4)は、支柱(2)の中空部形状との対応関係で任意の形状を採択しうる。その係合部(42)も図示実施例の態様に限定されるものではなく、雌ねじ片(4)の外面に突起状のものに形成して、支柱(2)の対応係合孔に嵌合させるものとしても良い。更に、その背面側のばね部材(43)は、図示実施態様のような板ばねを使用する場合に限らず、コイルばね、スポンジ状の合成樹脂製弾性体、あるいは合成樹脂製または金属製の雌ねじ片においてこれに一体に突出成形された弾性突片等で構成するものとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の組立棚をもってワゴンに構成した場合の実施態様を示す斜視図である。
【図2】棚板と支柱との連結部の構成を分解状態で示した斜視図である。
【図3】同じく棚板と支柱の連結部の構成を示すもので、図3(A)は棚板取付前の、雌ねじ片を離間位置に押し込んだときの状態を示す断面図、図3(B)は棚板取付後の状態を示す断面図である。
【図4】雌ねじ片の中央部水平断面図でである。
【図5】コーナー止着片の中央部水平断面図である。
【図6】支柱と雌ねじ片との係合部の構造を示すもので、図6(A)は図3(A)に対応する状態、図6(B)は図3(B)に対応する状態の各断面図である。
【符号の説明】
【0053】
A・・・・組立棚
B・・・・ワゴン
1・・・・棚板
11・・・底板
12・・・周側壁
14・・・貫通孔
2・・・・支柱
20・・・支柱の主体部
21・・・開口部
22・・・内巻き部
22a・・第1折曲縁
22b・・第2折曲縁
22c・・第3折曲縁
23・・・中空部
24・・・係止用切欠部
3・・・・止めねじ
4・・・・雌ねじ片
4a・・・雌ねじ孔
41・・・凹部
42・・・係止部
43・・・ばね部材
5・・・・コーナー止着片
51・・・透孔
52・・・係止突片
6・・・・キャスター
7・・・・ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浅箱状の複数の棚板と、該棚板の四隅部を支持する4本の支柱と、各棚板と支柱とを連結する止めねじとを備える組立棚において、
前記支柱が、外周壁の一部に長さ方向に連続するスリット状の開口部を有する実質上中空状のものに形成され、
該支柱の中空部内に上下方向摺動自在に棚板止着用の雌ねじ片が装入され、
この雌ねじ片に対して、前記棚板がその隅部周側壁を前記止めねじを介して連結固定されてなることを特徴とする棚板の高さ位置変更可能な金属製組立棚。
【請求項2】
前記雌ねじ片は、支柱の中空部内において、前記開口部に対する近接位置と、開口部から離れる奥方向への離間位置との間で変位移動可能なものとなされ、
かつ該雌ねじ片を前記近接位置方向に弾力的に付勢して該近接位置に保持するばね部材を備え、
前記近接位置において支柱側と係合して、雌ねじ片を所定の高さ位置に保持する一方、前記離間位置において支柱側との係合を解除して雌ねじ片を上下方向に移動可能なものとする係止手段が、支柱の長さ方向に所定間隔おきに複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の棚板の高さ位置変更可能な金属製組立棚。
【請求項3】
前記支柱は、断面L字形の主体部の両側縁に内方に順次直角に折曲された第1、第2及び第3の折曲縁からなる内巻き部を有し、これらの両内巻き部間にスリット状の前記開口部が形成されたものとなされる一方、
該支柱の中空部内に装入された雌ねじ片は、横断面略L字状ないしく字状で、前記内巻き部によって開口部からの脱出が阻止されるものとなされると共に、
前記支柱の内巻き部における第3または第2折曲縁に、所定間隔おきに多数個の雌ねじ片係止用切欠部が設けられ、雌ねじ片の係止部が前記近接位置において該切欠部に嵌入係止されるものとなされていることを特徴とする請求項2に記載の棚板の高さ位置変更可能な金属製組立棚。
【請求項4】
前記棚板の隅部の周側壁内側に対応L字状のコーナー止着片が当接状態に配置され、該コーナー止着片と前記支柱とがそれらの間に棚板の隅部周側壁を挾んで前記止めねじで締結固定されると共に、
前記コーナー止着片は、互いに直角にのびた両腕部の各外面に、それぞれ上下に離間して互いに1対をなす係止突片を有し、棚の組立状態において該係止突片が棚板の周側壁の対応部位にあけられた貫通孔を通って、前記支柱を両側から挾み込む態様で棚板の外面に突出されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の棚板の高さ位置変更可能な金属製組立棚。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組立棚における各支柱の下端にキャスターが取付けられて移動可能なものとなされていることを特徴とする金属製ワゴン。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−36117(P2008−36117A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214148(P2006−214148)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(592018629)三進金属工業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】