説明

金属酸化物微粒子とそれを含む有機無機ハイブリッド材料の製造方法

【課題】有機高分子材料に均一に分散させることのできる、金属酸化物のナノ粒子を製造するための新しい手段を提供すること。
【解決手段】両親媒性ブロックポリマーを有機溶媒に溶解して得られる高分子逆ミセル溶液に、金属アルコキシドの有機溶媒溶液と酸又はアルカリ水溶液を添加混合し、前記高分子逆ミセルの内部の水相に前記金属アルコキシドの加水分解生成物を取り込ませ、その後、該加水分解生成物を含む高分子逆ミセルを加熱することにより、該加水分解生成物から水を除去して金属酸化物の微粒子を生成させることからなる金属酸化物微粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物微粒子、特に超微粒子(ナノ粒子)の製造方法と、かかるナノ粒
を含む有機無機ハイブリッド材料並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機高分子に金属酸化物のナノ粒子を混合し有機無機ハイブリッドとして、高分子材料の種々の特性を改良する試みは、従来色々と行われている。例えば、金属酸化物等の、粒子径が数十ナノメートル以下のナノ粒子は、有機高分子材料等への添加剤として使用した場合には、特に光学的、電磁気的、機械的物性を飛躍的に向上させるものとして期待されている。また、量子サイズ効果による超高機能性や新物性の発現など、ナノ化により獲得される新たな物性にも大きな期待が寄せられている。そして、そのために金属酸化物ナノ結晶の製造方法も色々と提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、金属酸化物のナノ粒子は凝集し易いので、有機高分子への均一分散に課題がある。
【0003】
一方、排ガス浄化触媒などに用いることのできる表面積の大きい複合酸化物を安定的に製造する方法として、油相に分散している直径が数十nm程度のミセル若しくは逆ミセルの内部あるいはその界面での反応を利用して、複合酸化物の微粒子を製造する手法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、これらの方法ではミセル形成のために、主に、通常の界面活性剤が用いられており、得られた微粒子を有機高分子材料に均一に混合分散するという観点からは、より均一分散性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−30966号公報
【特許文献2】特開2008−56522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、有機高分子材料に均一に分散させることのできる、金属酸化物のナノ粒子を製造するための新しい手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、両親媒性ブロックポリマーを有機溶媒に溶解して得られる高分子逆ミセル溶液に、金属アルコキシドの有機溶媒溶液と酸又はアルカリ水溶液を添加混合し、前記高分子逆ミセルの内部の水相に前記金属アルコキシドの加水分解生成物を取り込ませ、その後、該加水分解生成物を含む高分子逆ミセルを加熱することにより、該加水分解生成物から水を除去して金属酸化物の微粒子を生成させることを特徴とする金属酸化物微粒子の製造方法である。
【0007】
本発明の他の態様は、前記態様で得られた、両親媒性ブロックポリマーから形成された高分子逆ミセルと、該高分子逆ミセルの内部に形成された金属酸化物微粒子を、前記両親媒性ブロックポリマーと相溶性のあるポリマーに添加混合してなる有機無機ハイブリッド材料とその製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、非水溶媒中において、親水性部位と疏水性部位からなるブロックコポリマーによって形成される逆ミセルを用いて、金属アルコキシド化合物を原料として金属酸化物微粒子を製造することができる。そして、得られた金属酸化物微粒子は逆ミセルの構成成分と共に、その疎水部位と相溶性のよい高分子材料中へ分散させ、優れた有機無機ハイブリッド材料を得ることができる。例えば、キャスト法によって透明な高屈折性又は高誘電性ポリマーフィルムを製造することができる。公知の界面活性剤を用いるより、本発明のブロックコポリマーを使用した方が、有機高分子への均一分散性が優れており、そのためキャスト法で簡単にハイブリッドフィルムを作成することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】チタニアナノ粒子のTEM画像。
【図2】チタニア/PMMAコンポジットフィルム中のチタニア含有量による屈折率と透過率の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明では、先ず、両親媒性ブロックポリマーを有機溶媒に溶解して高分子逆ミセル溶液を作成する。両親媒性ブロックポリマーとは、共有結合でつながれた親水鎖と疎水鎖を有するポリマーであり、選択溶媒中で会合しミセルを形成したり、あるいは選択界面の存在下吸着し、単分子膜のような分子集合体を形成する性質を持っている。かかる両親媒性ブロックポリマーは色々なものが知られており、例えば、リビングアニオンあるいはカチオン重合法を用いて鎖長、鎖長比を精密に制御した両親媒性ブロックポリマーや、含フッ素両親媒性ポリマーや、含ケイ素環状化合物のリビングアニオン開環重合により得られるポリカルボシランを疎水性セグメントとする、含ケイ素両親媒性ブロックポリマーがある。本発明においては、公知のどのような両親媒性ブロックポリマーでも使用することができ、特に制限されるものではない。
【0011】
両親媒性ブロックポリマーは、水中でミセル会合体を、有機溶媒中で逆ミセル会合体を形成する。両親媒性ブロックポリマーを有機溶媒に溶解して得られる高分子逆ミセルは、疎水鎖が溶媒に突き出した直径がナノオーダーの球状の微粒子を形成している。そして、内部は親水鎖に囲まれているので容易に水を取り込むことができ、従って、高分子逆ミセルの有機溶媒溶液は、簡単に水を分散することができる。両親媒性ブロックポリマーを溶解する有機溶媒としては、シクロヘキサン、ベンゼンなどの炭化水素、ヘキサノールなどの直鎖アルコール、アセトンなどのケトン類が挙げられる。好ましいのはベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素である。
【0012】
本発明においては、次に、高分子逆ミセル溶液に、金属アルコキシドの有機溶媒溶液と酸又はアルカリ水溶液を添加混合し、高分子逆ミセルの内部の水相に金属アルコキシドの加水分解生成物を取り込ませる。
【0013】
金属アルコキシドとしては、化学式MX(OR)Y (ここで、Mは金属元素を表わし、Rはアルキル基を表わし、x、yはそれぞれ独立に1〜4の整数を表わす。)で示される金属アルコキシドが好ましい。金属元素のうち好適なものを例示すると、周期律表の2A族から4B族の金属及びランタノイドの金属が挙げられ、中でも好ましくは、Ba、Sr、Y、Ti、Zr、Ce、Co、Hf、Zn、Al、In、Si、Sn等の金属が挙げられる。
【0014】
具体的に好ましいチタンのアルコキシドとしては、チタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウム−ジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウム−ジイソプロポキシド(ビスエチルアセトアセテート)、チタニウム−n−ブトキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムメトキシプロポキシド、チタニウム−n−ノニロキシド、チタニウム−n−プロポキシド、チタニウムステアリルオキシド、チタニウムトリイソステアリルイソプロポキシド、チタニウムトリメチルシロキシドなどが挙げられる。
【0015】
具体的に好ましいジルコニウムのアルコキシドとしては、ジルコニウム−n−ブトキシド、ジルコニウム−t−ブトキシド、ジルコニウム−ジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウム−ジ−イソプロポキシド(ビス−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウム−2−エチルヘキソキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウム−2−メチル−2−ブトキシド、ジルコニウム−n−プロポキシド、ジルコニウムトリメチルシロキシドなどが挙げられる。
【0016】
具体的に好ましいバリウムのアルコキシドとしては、バリウムエトキシド、バリウムイソプロポキシド、バリウムメトキシプロポキシド、バリウム−2,4−ペンタンジオネート水和物、バリウムチタンダブルアルコキシド、バリウムジルコニウムダブルアルコキシド、水酸化バリウム8水和物などが挙げられる。
【0017】
具体的に好ましいハフニウムのアルコキシドとしては、ハフニウム−n−ブトキシド、ハフニウム−t−ブトキシド、ハフニウムエトキシドなどが挙げられる。
【0018】
具体的に好ましいストロンチウムのアルコキシドとしては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)ストロンチウム水和物、ストロンチウムチタンダブルアルコキシド、ストロンチウムジルコニウムダブルアルコキシド、ストロンチウムイソプロポキシド、ストロンチウムメトキシプロポキシドなどが挙げられる。
【0019】
具体的に好ましいセリウムのアルコキシドとしては、セリウム−t−ブトキシド、セリウム−2−エチルヘキサノエート、セリウムイソプロポキシド、セリウムメトキシエトキシド、セリウム−2,4−ペンタンジオネート水和物、セリウム−2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネートなどが挙げられる。
【0020】
具体的に好ましいイットリウムのアルコキシドとしては、イットリウム−2−エチルヘキサノエート、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムメトキシエトキシド、イットリウムオキサレート9水和物、イットリウム−2,4−ペンタンジオネート、イットリウム−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどが挙げられる。
【0021】
前記金属アルコキシドを溶解する有機溶媒としては、アルコール、極性有機溶媒、炭化水素溶媒などの中から適当な溶媒を選択することができる。本発明においては、金属アルコキシドの有機溶媒としては、金属アルコキシドを溶解して、水と混和する溶媒が好ましい。アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エーテル類、エステル類及びシロキサン類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。又は、水と相溶性を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。具体例を挙げると、エタノール、メタノール、ベンジルアルコール、メトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、アセトン、ベンズアルデヒド、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ジフェニルエーテル、ヘキサメチルジシロキサンなどが挙げられる。中でも、ベンジルアルコール、メトキシエタノールが好ましい。なお有機溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。金属アルコキシドを溶解して、水と混和する溶媒が好ましい。
【0022】
本発明において用いられる酸又はアルカリ水溶液は、塩酸、硫酸等の無機酸の水溶液、酢酸等の有機酸の水溶液、又は、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が用いられる。
【0023】
本発明において、前記金属アルコキシドの有機溶媒溶液と前記酸又はアルカリ水溶液を、高分子逆ミセル溶液に、添加混合する。この際、金属アルコキシドの有機溶媒溶液と酸又はアルカリ水溶液を先ず混合し、その反応溶液を添加混合するのがよい。金属アルコキシドの有機溶媒溶液と酸又はアルカリ水溶液を混合すると、酸又はアルカリにより金属アルコキシドの加水分解が起こり、金属アルコキシドの加水分解生成物が生成する。
【0024】
加水分解生成物とは、金属水酸化物あるいは金属酸化物の水和物である。これらの混合物であってもよいし、あるいは、金属アルコキシドが部分的に加水分解され、未分解の金属アルコキシドが混在していてもよい。加水分解生成物は、高分子逆ミセルの内部の水相に取りこまれるが、この際、未分解の金属アルコキシドも取り込まれ、高分子逆ミセルの内部で加水分解される。
【0025】
その後、本発明においては、前記加水分解生成物を含む高分子逆ミセルを加熱することにより、該加水分解生成物から水を除去して金属酸化物の微粒子を生成させる。加水分解生成物を含む高分子逆ミセルの加熱は、該ミセルを溶液から適当な方法で分離した後、高分子が分解しない程度の温度、例えば、100〜300℃で加熱してもよい。あるいは、該ミセルを溶液のまま有機材料又はその溶液等と混合した後の加熱工程で、場合によっては更に予備的な成形工程における加熱で、該ミセル内部に含まれる加水分解生成物を加熱し水を除去するようにしてもよい。いずれの場合も、高分子で被覆された状態の金属酸化物の微粒子が形成される。
【0026】
本発明において有機無機ハイブリッド材料は、両親媒性ブロックポリマーから形成された高分子逆ミセルと、該高分子逆ミセルの内部に形成された金属酸化物微粒子を、前記両親媒性ブロックポリマーと相溶性のあるポリマーに添加混合して得られる。基本的には、ブロックポリマーの疎水部と相溶性のあるポリマーであれば、どんなポリマーでもよいが、透明性のあるハイブリッド材料を得たい場合には、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等が好ましい。
【0027】
本発明の有機無機ハイブリッド材料の具体的な製造方法としては、以下の二つの方法が好ましい。第1の方法は、両親媒性ブロックポリマーから形成された高分子逆ミセルと、該高分子逆ミセルの内部に形成された金属アルコキシドの加水分解生成物を、前記両親媒性ブロックポリマーと相溶性のあるポリマーに添加混合し、次いで、例えば、100〜150℃に加熱して前記金属アルコキシドの加水分解生成物から水を除去する製造方法である。
【0028】
第2の方法は、両親媒性ブロックポリマーから形成された高分子逆ミセルと、該高分子逆ミセルの内部に形成された金属アルコキシドの加水分解生成物を、先ず加熱することにより、該加水分解生成物から水を除去して金属酸化物の微粒子を生成させ、次いで、得られた金属酸化物の微粒子を含む高分子逆ミセルを、前記両親媒性ブロックポリマーと相溶性のあるポリマーに添加混合する製造方法である。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
1)両親媒性ブロックポリマーの合成
(1)以下の反応式[化1]に示したように、リビングアニオン重合によりポリメタクリル酸メチル(PMMA)とポリアクリル酸tert-ブチル(PtBA)のブロックポリマーを合成した。
【0031】
【化1】

【0032】
(a)開始剤のジフェニルへキシルリチウム(DPHL)の合成
窒素置換後のフラスコに10mlの脱水テトラヒドロフラン(THF)を加え、つづいてジフェニルエチレンを0.3mlを加えた。さらに反応容器を−40℃に冷却した後、n−ブチルリチルム(1.6M
のヘキサン溶液)を1.0ml添加することにより、赤色の溶液が得られた。
【0033】
(b)ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とポリアクリル酸tert-ブチル(PtBA)のブロックポリマー合成
窒素置換後のシュレンクフラスコに、85mgの塩化リチウムを溶解した70mlの脱水THFを加え、数滴のDPHLを溶液が赤色になるまで添加した。その後、2.0mlのDPHLを加えた。反応容器を−78℃に冷却した後、メタクリル酸メチルを4ml添加後、1時間重合を行った。続いて、アクリル酸tert-ブチルを1.5ml添加してさらに、1時間重合を行った。過剰量メタノール(10ml)を反応系中に添加することにより、重合を停止した。その後、メタノールと水の混合溶媒(80/20、vol)を用いてポリマーを再沈殿することにより、ポリマーを回収した。合成したブロックポリマーの分子量および組成は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)と1H-NMRから求めた。
【0034】
ブロックポリマーは、Mn=17,600、Mw/Mn=1.08であり、PMMA鎖はm=125(M=12,500)、PtBA鎖はn=40(M=5,100)であった。
【0035】
(2)tert-ブチル基の加水分解によるポリアクリル酸の合成
以下の反応式[化2]に示したように、上記(1)で得られたブロックポリマーを加水分解し、両親媒性ブロックポリマーを合成した。
【0036】
【化2】

【0037】
上記(1)で得られたブロックポリマーの1gを50mlの1,4−ジオキサンに溶解させたのち、12NのHClを2ml添加したのち80℃で12時間加水分解を行った。得られたポリマーは、赤外吸収スペクトルと1H-NMRから完全にtert-ブチル基が脱保護されていることを確認した。
【0038】
2)両親媒性ブロックポリマーを用いた高分子逆ミセルの形成
ブロックポリマーの360mgを30mlのトルエンに加えたのち、100℃に加熱することにより、ブロックポリマーが溶解した透明な溶液(12mg/ml)が得られた。得られたトルエン溶液をSi基板上にキャストし、原子間極顕微鏡(AFM)により観察を行ったところ、粒子径が約10nm程度の球状の逆ミセルが形成していることが確認された。
【0039】
3)高分子逆ミセルを利用したチタニアナノ粒子の合成
2.5mlのイソプロパノールに、チタニウムイソプロポキシド(TTIP)を0.37ml混合し10分間攪拌した。その後、12Nの塩化水素水溶液(0.12ml)をTTIPと等モル量になるように添加した。30mlの上記高分子逆ミセル溶液(12mg/ml)に、前記のように調製したチタニア前駆体(チタニウムイソプロポキシドの加水分解物)を少しずつ添加した後、1時間攪拌した。得られたチタニアナノ粒子をカーボンコートされた銅グリッドにキャストし、透過型電子顕微鏡観察(TEM)を行うことにより、粒子径が約30nm程度であることが確認された。電子顕微鏡写真を図1に示した。
【0040】
4)チタニア/PMMAコンポジットフィルムの作製
チタニアナノ粒子を含む逆ミセルの分散溶液とPMMAを溶解したトルエン溶液を任意の割合で混合し、30分間攪拌した。その後ガラスシャーレ上に溶液を滴下し、60℃で一晩加熱することより透明なフィルムを作製した。得られたフィルムは、厚さが約20μm程度であった。図2に示したように、633nmにおけるフィルムの屈折率は、チタニアの含有量とともに増大し、ローレンツ・ローレンツ式より計算した値(実線)と一致することが確認された。またフィルムの透明性を評価するために、波長が500nmでの透過率を測定した。その結果、チタニアを30wt%含有させたフィルムでも80%以上の透過率を維持していることが確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
両親媒性ブロックポリマーを有機溶媒に溶解して得られる高分子逆ミセル溶液に、金属アルコキシドの有機溶媒溶液と酸又はアルカリ水溶液を添加混合し、前記高分子逆ミセルの内部の水相に前記金属アルコキシドの加水分解生成物を取り込ませ、その後、該加水分解生成物を含む高分子逆ミセルを加熱することにより、該加水分解生成物から水を除去して金属酸化物の微粒子を生成させることを特徴とする金属酸化物微粒子の製造方法。
【請求項2】
高分子逆ミセル溶液に、金属アルコキシドの有機溶媒溶液と酸又はアルカリ水溶液の反応溶液を添加混合することを特徴とする請求項1記載の金属酸化物微粒子の製造方法。
【請求項3】
金属アルコキシドの加水分解生成物が、金属水酸化物及び/又は金属酸化物の水和物であることを特徴とする請求項1又は2記載の金属酸化物微粒子の製造方法。
【請求項4】
両親媒性ブロックポリマーから形成された高分子逆ミセルと、該高分子逆ミセルの内部に形成された金属酸化物微粒子を、前記両親媒性ブロックポリマーと相溶性のあるポリマーに添加混合してなる有機無機ハイブリッド材料。
【請求項5】
両親媒性ブロックポリマーから形成された高分子逆ミセルと、該高分子逆ミセルの内部に形成された金属アルコキシドの加水分解生成物を、前記両親媒性ブロックポリマーと相溶性のあるポリマーに添加混合し、次いで、加熱して前記金属アルコキシドの加水分解生成物から水を除去することを特徴とする有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
【請求項6】
両親媒性ブロックポリマーから形成された高分子逆ミセルと、該高分子逆ミセルの内部に形成された金属アルコキシドの加水分解生成物を、先ず加熱することにより、該加水分解生成物から水を除去して金属酸化物の微粒子を生成させ、次いで、得られた金属酸化物の微粒子を含む高分子逆ミセルを、前記両親媒性ブロックポリマーと相溶性のあるポリマーに添加混合することを特徴とする有機無機ハイブリッド材料の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−208920(P2010−208920A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59520(P2009−59520)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、地域科学技術振興事業委託事業「ポリマーナノコンポジットによるLSIおよび実装技術の高性能化の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】