説明

金属錯体

本発明は、金属錯体と、これら金属錯体を含む電子素子、特に有機エレクトロルミネセンス素子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機半導体が、機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、例えば、US 4539507、US 5151629、EP 0676461およびWO 98/27136に記載されている。ここで使用される発光材料は、蛍光発光ではなく燐光発光を示す有機金属錯体へと次第になっている(M.A.aldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由により、エネルギーとパワー効率における4倍までの増加が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。しかしながら、一般的には、三重項発光を示すOLEDにおいて、特に、効率、駆動電圧および寿命に関して、改善がいまだに望まれている。
【0002】
先行技術に従うと、燐光発光OLEDに使用される三重項エミッターは、特に、イリジウムおよび白金錯体である。これらのOLEDにおける改良は、ポリポダルリガンドまたはクリプテートを含む金属錯体を使用することにより達成され、錯体がより高い熱安定性を有する結果として、OLEDのより長い寿命が得られる(WO04/081017、WO05/113563、WO06/008069)。しかしながら、ここで、また、さらなる改善が、いまだに望まれている。
【0003】
さらに、先行技術は、リガンドとして、イミダゾフェナントリジン誘導体またはジイミダゾキナゾリン誘導体を含むイリジウム錯体を開示する(WO07/095118)。ここでまた、効率、駆動電圧および寿命に関して、さらなる改良が望まれる。
【0004】
したがって、本発明の目的は、OLEDにおける使用のためのエミッターとして適切である新規な金属錯体を提供することである。
【0005】
驚くべきことに、以下により詳細に説明されたある種の金属キレート錯体が、この目的を達成し、特に、駆動電圧、効率および発光色に関して、有機エレクトロルミネセンス素子における改善を示すことが見出された。したがって、本発明は、これら金属錯体とこれら錯体を含む有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
【0006】
したがって、本発明は(1)の化合物に関する。
【化1】

【0007】
式中:一般式(1)の化合物は、式(2)のM(L)部分を含む。
【化2】

【0008】
ここで、使用される記号と添え字は、以下のとおりである:
Mは、金属であり;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CまたはNであって、二重結合が、二個の原子Yの間に、または隣接する原子YとCy1中で結合するAとの間に、または二個の原子Yもしくは隣接する原子YとCy2中で結合するAとの間に、各場合に、存在してもよく;
Cy1は、出現毎に同一であるか異なり、基Aと二個の基Yとが一緒になった六員環もしくは五員環であり、ここで、Cy1が六員環であるならば、Cy1中の一個の基YはCであり、Cy1中の他の基YはNであり、Cy1が五員環であるならば、Cy1中の両方基YはCであるか、または両方の基YはNであり;ここで、Cy1は、一以上の基Rにより置換されてよく;Cy1が、六員環であるならば、一以上の基Rにより置換されてよい五員環あるいは六員環アリールもしくはヘテロアリール基は、Cy1上で縮合していてもよく;Cy1は、環部分として、少なくとも一つの基Zを含むことを特徴とし;
Zは、出現毎に同一であるか異なり、C(=O)、C(=S)、CR、NR、O、S、PRまたはP(=O)Rより成る基から選ばれ、ここで、少なくとも一つの基Zは、Cy1が五員環であるならば、C(=O)、C(=S)、C=CRまたはP(=O)Rであり;
Cy2は、出現毎に同一であるか異なり、Cy1または基Aと二個の基Yとが一緒になったアリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで、Cy2が六員環アリールもしくはヘテロアリール基であるならば、Cy2中の両方の基YはCであり;ここで、Cy2は、一以上の基Rにより置換されてよく;
Aは、出現毎に同一であるか異なり、CまたはNであり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、P(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、OH、SH、O、S、N(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基Rにより置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であって、ここで、二個以上の隣接する基Rは、互いに、モノ-あるいはポリ環状、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基Rにより置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であって、ここで、二個以上の隣接する基Rは、互いに、モノ-あるいはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族もしくは芳香族および/または複素環式芳香族有機基、特に、炭化水素基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、二個以上の置換基Rは、互いに、モノ-あるいはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
L’は、出現毎に同一であるか異なり、任意の所望のコリガンドであり;
アニオンは、任意の所望のアニオンであり;
nは、1、2または3であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
wは、1、2または3であり;
x、y、zは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2または3であり、ここで、
(w・x)=(y・z)であり;
ここで、複数のリガンドは互いに結合してもよいか、または、Lは任意の所望のブリッジVを介して、L’と結合してよく、その結果、三座、四座、五座もしくは六座リガンド構造を形成する。
【0009】
上記示される式(2)の部分において、Cy2がアリールもしくはヘテロアリール基であるならば、芳香族結合(結合度1.5)が、基Aと隣接する基Yとの間でCy2中に、またはCy2中の二個の基Yとの間に存在してもよい
ここで、添え字nとmは、金属に応じて、金属Mの配位数が、この金属の通常の配位数に全体として対応するように選択される。これは、金属に応じて、通常、遷移金属に対して4、5もしくは6配位数である。金属配位化合物は、金属に応じて、および金属の酸化状態に応じて、異なる配位数を有する、すなわち、異なる数のリガンドに結合することが一般的に知られている。種々の酸化状態での金属と金属イオンの好ましい配位数は、有機金属化学もしくは配位化学分野の当業者の一般的専門知識に属することから、当業者は、金属とその酸化状態に応じて、また、リガンドLの正確な構造に応じて、適切な数のリガンドを使用し、その結果添え字nとmを適切に選択することができる。
【0010】
本発明の意味でのアリール基は、6〜40個のC原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、2〜40個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、単純な芳香族環、すなわちベンゼン、または、単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または、縮合アリールもしくはヘテロリール基、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等の何れかを意味するものと解される。
【0011】
リガンドは、カルベン炭素原子を介して金属に結合してもよい。本発明の意味での環状カルベンは、中性のC原子を介して金属に結合する環状基である。ここで環状基は、飽和あるいは不飽和であってよい。ここで好ましいのは、アルジュンゴカルベン、すなわち、二個の窒素原子が、カルベンC原子に結合するカルベンである。五員アルジュンゴカルベン環または別の不飽和五員カルベン環も、同様に本発明の目的のためのアリール基とみなす。
【0012】
本発明の意味での芳香族環構造は、6〜60個のC原子を環構造中に含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、2〜60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を環構造中に含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、その代わりに、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp混成のC、NあるいはO原子もしくはカルボニル基のような非芳香族単位(H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により連結されていてもよい構造を意味するものと解される。したがって、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖もしくは環状アルキレン基またはシリレン基により連結される構造であることから、例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、本発明の意味での芳香族環構造を意味するものと解されることを意図されてもいる。
【0013】
本発明の意味での環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基は、単環状、二環状あるいは多環状基を意味するものと解される。
【0014】
本発明の目的のためには、C〜C40-アルキル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH基は、上記した基により置換されていてよく、たとえば、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、tert-ペンチル、2-ペンチル、ネオ-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、tert-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、シクロヘキシル、2-メチルペンチル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、シクロヘプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは2,2,2-トリフルオロエチルを意味するものと解される。アルケニル基は、たとえば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルを意味するものと解される。アルキニル基は、たとえば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルあるいはオクチニルを意味するものと解される。C〜C40-アルコキシ基は、たとえば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシまたは2-メチルブトキシを意味するものと解される。5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基Rにより置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、たとえば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ベンゾフルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、シス-もしくはトランス-モノベンゾインデノフルオレン、シス-もしくはトランス-ジベンゾインデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解される。
【0015】
好ましいものは、帯電していない、すなわち電気的に中性であることを特徴とする式(1)の化合物である。これは、錯体金属原子Mの電荷を補償するように、リガンドLおよびL’の電荷を選択することによる簡単な方法で達成される。本発明の好ましい具体例では、添え字x=y=z=0である。
【0016】
さらに、好ましいものは、金属原子の周りの価電子の合計が、四配位錯体で16、五配位錯体で16もしくは18、六配位錯体で18であることを特徴とする式(1)の化合物である。この選好は、これら金属錯体の特別な安定性に基づく。
【0017】
本発明の好ましい具体例では、Mは、遷移金属または主族金属を表す。Mが、主族金属であるならば、第三、第四、もしくは第五主族の金属、特に、錫を表す。
【0018】
好ましい式(1)の化合物は、Mが遷移金属、特に、四座配位、五座配位もしくは六座配位遷移金属、特に、好ましくは、クロム、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀および金、特に、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、銀および金から成る群より選ばれる金属を表す。非常に特に好ましいのは、イリジウムと白金である。ここで、金属は、種々の酸化状態であることができる。上記金属は、好ましくは、Cr(0)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(VI)、Mo(0)、Mo(II)、Mo(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、W(0)、W(II)、W(III)、W(IV)、W(VI)、Re(I)、Re(II)、Re(III)、Re(IV)、Ru(II)、Ru(III)、Os(II)、Os(III)、Os(IV)、Rh(I)、Rh(III)、Ir(I)、Ir(III)、Ir(IV)、Ni(0)、Ni(II)、Ni(IV)、Pd(II)、Pt(II)、Pt(IV)、Cu(I)、Cu(II)、Cu(III)、Ag(I)、Ag(II)、Au(I)、Au(III)およびAu(V);非常に、特に好ましくは、Mo(0)、W(0)、Re(I)、Ru(II)、Os(II)、Rh(III)、Ir(III)、Pt(II)およびCu(I)、特に、Ir(III)およびPt(II)の酸化状態である。
【0019】
本発明の好ましい具体例では、Mは四座配位金属であり、添え字nは、1または2を表す。添え字nが1であるならば、一個の二座リガンドまたは二個の単座リガンドL’は、好ましくは、一個の二座リガンドL’は、金属Mに配位する。添え字nが2ならば、添え字mは0である。
【0020】
本発明のさらに好ましい具体例では、Mは六座配位金属であり、添え字nは、1、2または3、好ましくは、2または3を表す。添え字nが1であるならば、四個の単座リガンド、または二個の二座リガンドまたは一個の二座リガンドと二個の単座リガンド、または一個の三座リガンドと一個の単座リガンドまたは一個の四座リガンドL’、好ましくは、二個の二座リガンドL’が金属に配位する。添え字nが2ならば、一個の二座リガンドまたは二個の単座リガンドL’、好ましくは、一個の二座リガンドL’が金属に配位する。添え字nが3ならば、添え字mは0である。
【0021】
リガンドLは、一個の炭素原子と一個の窒素原子を介して、または二個の炭素原子を介して、または二個の窒素原子を介して、金属Mに結合する二座配位リガンドである。本発明の好ましい具体例では、リガンドLは、少なくとも一つの炭素原子を介して、金属Mに配位する。リガンドLは、特に、好ましくは、一個の炭素原子と一個の窒素原子を介して、または二個の炭素原子を介して、金属Mに配位するが、そのうちの一つはカルベン原子である。したがって、リガンドL中の一つの基Aは、窒素原子であり、もう一つの基Aが、炭素原子であることが好ましい。
【0022】
式(2)中の部分Cy1は、六員環もしくは五員環であり、ここで、アリールもしくはヘテロアリール基は、六員環上で縮合していてもよい。本発明の好ましい具体例では、Cy1は、一個または二個の基Zを、特に、好ましくは、正確に一個の基Zを含む。
【0023】
本発明の好ましい具体例では、Cy1は、六員環、一あるいは二不飽和環であり、すなわち、環Cy1は、特に、好ましくは、一または二個の二重結合を有する。ついで、式(2)中の部分中のCy1は、特に、好ましくは、以下の式(3)〜(21)の構造から選ばれる。
【化3】

【0024】
式中、Eは、出現毎に同一であるか異なり、S、OまたはNRであり、使用されるその他の記号は、上記と同じ意味を有し、ここで、*は、金属への配位位置を示し、#は、リガンドL中のCy2へのまたはXへの結合を示す。
【0025】
本発明のさらに好ましい具体例では、Cy1は、五員環、一あるいは二不飽和環であり、すなわち、環Cy1は、特に、好ましくは、一または二個の二重結合を有する。ついで、式(2)中の部分中のCy1は、特に、好ましくは、以下の式(22)〜(26)の構造から選ばれる。
【化4】

【0026】
式中、使用されるその他の記号は、上記と同じ意味を有し、ここで、*は、金属への配位位置を示し、#は、リガンドL中のCy2へのまたはXへの結合を示す。
【0027】
本発明のさらに好ましい具体例では、式(2)中の部分中の環Cy2は、上記式(3)〜(26)の構造か、または以下の式(27)〜(44)の構造から選ばれる。
【化5】

【0028】
式中、使用される記号は、上記と同じ意味を有し、ここで、好ましくは、各基中の最大三個の記号XはNであり、特に、好ましくは、各基中の最大二個の記号XはNであり、非常に、特に、好ましくは、各基中の最大一個の記号XはNである。特に、好ましくは、すべての記号Xは、CRである。
【0029】
本発明の好ましい具体例では、式(2)の部分中の少なくとも一つのXは、CRである。特に、好ましくは、式(2)の部分中の両方のXは、CRである。上記式(3)〜(26)の好ましい構造Cy1および/または式(3)〜(44)のCy2の好ましい構造が使用されるならば、この選好が適用される。
【0030】
本発明のさらに好ましい具体例では、式(2)および式(3)〜(21)中の部分中のCy1で結合する基Zは、C=O、CR、NR、OまたはSである。Zは、特に、好ましくは、C(=O)またはCRであり、非常に、特に、好ましくは、C(=O)である。式(22)〜(26)中の部分中のZは、さらに、好ましくは、C(=O)またはCRであり、特に、好ましくは、C(=O)である。Z=CRならば、二個の基Rは、そこで、互いに環構造およびスピロ構造を形成してもよい。
【0031】
したがって、式(2)の部分の、特に、好ましい具体例は、以下の(45)の構造である。
【化6】

【0032】
式中、Cy1は、上記式(3)〜(26)の構造から選ばれ、Cy2が、上記式(3)〜(44)の構造から選ばれる。使用されるその他の記号と添え字は、上記と同じ意味を有し、式(3)〜(21)中のZは、好ましくは、C=O、CR、NR、OおよびSから選ばれ、式(22)〜(26)中のZは、好ましくは、C(=O)またはC=Rから選ばれる。
【0033】
本発明の特に、好ましい具体例では、式(2)〜(45)の部分中のリガンドLは、上記式(3)〜(26)の基Cy1から、および上記式(27)〜(44)の基Cy2から構築される。したがって、特に、好ましい組み合わせは、以下の表Aで示される組み合わせである。
【0034】
表A
【表A−1】

【表A−2】

【表A−3】

【表A−4】

【表A−5】

【表A−6】

【0035】
表Aの各組み合わせに対して、Xは、出現毎に同一であるか異なり、CRであり、ZはC=OまたはCRである。
【0036】
さらに、より大きい縮合構造が、置換基の環形成により可能である。たとえば、以下の式(46)および(47)の構造が、それにより、得られる。
【化7】

【0037】
式中、使用される記号と添え字は、上記と同じ意味を有する。式(46)および(47)中のRは、好ましくは、H、Dまたは1〜5個のC原子を有するアルキル基、特に、Hもしくはメチル基である。
【0038】
式(46)および(47)は、如何にして、対応するより大きい縮合環構造が、環形成により可能であるかの例を単に示す。本発明によるその他の構造での、たとえば、式(3)〜(44)の部分での環形成は、全体として同様に可能である。
【0039】
さらに、式(3)〜(26)または式(27)〜(44)の部分中の置換基の一つが、金属に同様に配位する配位基であることが可能である。好ましい配位基Rは、アリールもしくはヘテロアリール基、たとえば、フェニルもしくはピリジル、アリールもしくはアルキルシアニド、アリールもしくはアルキルイソシアニド、アミンもしくはアミド、アルコールもしくはアルコレート、チオアルコールもしくはチオアルコレート、ホスフィン、ホスフィット、カルボニル官能基、カルボキシレート、カルバミドまたはアリールもしくはアルキルアセチリドである。以下の式(48)および(49)部分のM(L)が、たとえば、ここで入手可能である。
【化8】

【0040】
式中で使用される記号と添え字は上記で示される意味を有する。さらに、三座配位または四座配位リガンドを含むさらなる構造が、これらの構造に類似して全体的に入手可能である。
【0041】
Cy1上で縮合するアリールもしくはヘテロアリール基が、直接Mに、または置換基Rを介して結合することも可能である。好ましい配位基Rは、O、S、N(R、N(R、P(RもしくはP(Rである。以下の式(50)の部分M(L)が、たとえば、ここで入手可能である。
【化9】

【0042】
上記記載のとおり、このリガンドLから1以上のさらなるリガンドLまたはL’に連結する架橋単位Vが、式(2)中で基Rの一つに代わって存在してもよい。本発明の好ましい具体例では、リガンドが三座もしくは多座またはポリポダル性を有するように、架橋単位Vが、基Rの一つに代わって存在する。二個のこのような架橋単位Vが存在することも可能である。これは、巨大環状リガンドの形成またはクリプテートの形成を生じる。
【0043】
多座リガンドを含む好ましい構造は、以下の式(51)〜(55)の金属錯体である。
【化10】

【0044】
式中で使用される記号は上記の意味を有し、Vは、好ましくは、第3、4、5および/または6主族(IUPAC族13,14,15または16)からの1〜80個の原子を含む架橋単位、または部分リガンドLと互いに共有結合するか、またはLからL’に共有結合する3〜6員ホモもしくはヘテロ環を表す。ここで、架橋単位Vは、一以上の基Rにより置換されてもよい。さらに、架橋単位Vは、非対称構造、すなわち、LおよびL’へのVの連結は、同一でなくてよい。架橋単位Vは、中性、一価、二価もしくは三価で負に帯電するか、一価、二価もしくは三価で正に帯電することができる。Vは、好ましくは、中性か一価で負に帯電するか、一価で正に帯電する。Vの電荷は、好ましくは、全体が中性の錯体を形成するように選択される。
【0045】
Vは、三個のリガンドLに互いにブリッジするか、または二個のリガンドLからとL’または一個のリガンドLから二個のリガンドL’にブリッジするならば、Vは、出現毎に同一であるか異なり、B、B(R、B(C(R、(R)B(C(R、B(O)、(R)B(O)、B(C(RC(R、(R)B(C(RC(R、B(C(RO)、(R)B(C(RO)、B(OC(R、(R)B(OC(R、C(R)、CO、CN(R、(R)C(C(R、(R)C(O)、(R)C(C(RC(R、(R)C(C(RO)、(R)C(OC(R、(R)C(Si(R、(R)C(Si(RC(R、(R)C(C(RSi(R、(R)C(Si(RSi(R、Si(R)、(R)Si(C(R、(R)Si(O)、(R)Si(C(RC(R、(R)Si(OC(R、(R)Si(C(RO)、(R)Si(Si(R、(R)Si(Si(RC(R、(R)Si(C(RSi(R、(R)Si(Si(RSi(R、N、NO、N(R、N(C(R、(R)N(C(R、N(C=O)、N(C(RC(R、(R)N(C(RC(R、P、P(R、PO、PS、PSe、PTe、P(O)、PO(O)、P(OC(R、PO(OC(R、P(C(R、P(R)(C(R、PO(C(R、P(C(RC(R、P(R)(C(RC(R、PO(C(RC(R、S、S(C(R、S(C(RC(R、または、式(56)、(57)、(58)もしくは(59)の単位より、好ましくは、選ばれる。
【化11】

【0046】
式中、各場合に、破線の結合は部分リガンドLもしくはL’への結合を示し、Wは、出現毎に同一であるか異なり、単結合、O、S、S(=O)、S(=O)、NR、PR、P(=O)R、P(=NR)、C(R、C(=O)、C(=NR)、C(=C(R)、Si(RまたはBRから成る基より選ばれる。その他の使用される記号は上記意味を有する。
【0047】
Vは、二価の基に互いに、または、一個のリガンドLからL’にブリッジするならば、Vは、出現毎に同一であるか異なり、BR、B(R、C(R、C(=O)、Si(R、NR、PR、P(R、P(=O)(R)、P(=S)(R)、AsR、As(=O)(R)、As(=S)(R)、O、S、Seもしくは、式(60)〜(69)の単位から成る基より、好ましくは、選ばれる:
【化12】

【0048】
式中、各場合に、破線の結合は部分リガンドLもしくはL’への結合を示し、Tは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、N(R)、OもしくはSを表し、その他の使用される記号は上記意味を有する。
【0049】
式(1)で生じるような好ましいリガンドL’が、以下に示される。リガンド基L’は、架橋単位Vを介してLに結合するならば、対応して選択することもできる。
【0050】
リガンドL’は、好ましくは、中性、モノアニオン性、ジアニオン性もしくはトリアニオン性であり、特に、好ましくは、中性もしくはモノアニオン性リガンドである。それらは、一座配位、二座配位、三座配位もしくは四座配位であることができ、好ましくは、二座配位すなわち、好ましくは、二個の配位位置を有している。上記のとおり、リガンドL’は、架橋基Vを介してLに結合することもできる。
【0051】
好ましい中性一座配位リガンドL’は、一酸化炭素、一酸化窒素、たとえば、アセトニトリルのようなアルキルシアニド、たとえば、ベンゾニトリルのようなアリールシアニド、たとえば、メチルイソニトリルのようなアルキルイソシアニド、たとえば、ベンゾイソニトリルのようなアリールイソシアニド、たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリンのようなアミン、たとえば、トリフルオロホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ビス(tert-ブチル)フェニルホスフィンのようなホスフィン、特に、ハロホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンもしくはアルキルアリールホスフィン、たとえば、トリメチルホスフィット、トリエチルホスフィットのようなホスフィット、たとえば、トリフルオロアルシン、トリメチルアルシン、トリシクロヘキシルアルシン、トリ-tert-ブチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリ(ペンタフルオロフェニル)アルシンのようなアルシン、たとえば、トリフルオロスチビン、トリメチルスチビン、トリシクロヘキシルスチビン、トリ-tert-ブチルスチビン、トリフェニルスチビン、トリス(ペンタフルオロフェニル)スチビンのようなスチビン、たとえば、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジンのようなヘテロ環含有窒素、カルベン、特に、アルジュンゴカルベンから成る群より選ばれる。
【0052】
好ましいモノアニオン性一座配位リガンドL’は、水素化物、重水素化物、ハロゲン化物F、Cl、Br、およびI、たとえば、メチル-C≡C、tert-ブチル-C≡Cのようなアルキルアセチリド、たとえば、フェニル-C≡Cのようなアリールアセチリド、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、たとえば、メタノレート、エタノレート、プロパノレート、イソプロパノレート、tert-ブチレート、フェノレートのような脂肪族もしくは芳香族アルコレート、たとえば、ジメチルアミド、ジエチルアミド、ジ-イソ-プロピルアミド、モルホリドのようなアミド、たとえば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸のようなカルボキシレート、たとえば、フェニル、ナフチルのようなアリール基およびたとえば、ピロリド、イミダゾリド、ピラゾリドのようなアニオン性窒素含有ヘテロ環から選択される。これらの基中のアルキル基は、好ましくは、C〜C20-アルキル基、特に、好ましくはC〜C10-アルキル基、非常に、特に、好ましくはC〜C-アルキル基である。アリール基はヘテロアリール基を意味するものとも解される。これらの基は、上記に定義されるとおりである。
【0053】
好ましいジ-もしくはトリ-アニオン性リガンドは、O2−、S2−、R-C≡M型の配位を生じるカーバイドおよび、R-N=M型の配位を生じるニトレーン(Rは、一般的に置換基を表す)またはN3−である。
【0054】
好ましい中性もしくはモノあるいはジアニオン性二座配位または多座配位リガンドL’は、たとえば、エチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルプロピレンジアミン、シス-もしくはトランス-ジアミノシクロヘキサン、シス-もしくはトランス- N,N,N',N'-テトラメチルジアミノシクロヘキサンのようなジアミン、たとえば、2-[1-(フェニルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(2-メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(2,6-ジ-イソ-プロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(エチルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(イソ-プロピルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(tert-ブチルイミノ)エチル]ピリジンのようなイミン、たとえば、1,2-ビス(メチルイミノ)エタン、1,2-ビス(エチルイミノ)エタン、1,2-ビス(イソ-プロピルイミノ)エタン、1,2-ビス(tert-ブチルイミノ)エタン、2,3-ビス(メチルイミノ)ブタン、2,3-ビス(エチルイミノ)ブタン、2,3-ビス(イソ-プロピルイミノ)ブタン、2,3-ビス(tert-ブチルイミノ)ブタン、1,2-ビス(フェニルイミノ)エタン、1,2-ビス(2-メチルフェニルイミノ)エタン、1,2-ビス(2,6-ジ-イソ-プロピルフェニルイミノ)エタン、1,2-ビス(2,6-ジ- tert-ブチルフェニルイミノ)エタン、2,3-ビス(フェニルイミノ)ブタン、2,3-ビス(2-メチルフェニルイミノ)ブタン、2,3-ビス(2,6-ジ-イソ-プロピルフェニルイミノ)ブタン、2,3-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニルイミノ)ブタンのようなジイミン、たとえば、2,2’-ビピリジン、o-フェナントロリンのような二個の窒素原子含有ヘテロ環、たとえば、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジエチルホスフィノ)メタン、ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、ビス(ジエチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)メタン、ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)エタン、ビス(tert-ブチルホスフィノ)プロパンのようなジホスフィン、たとえば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、1,5-ジフェニルアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、ビス(1,1,1-トリフルオロアセチル)-メタン、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオンのような1,3-ジケトン由来1,3-ジケトネート、たとえば、エチルアセトアセテートのような3-ケトエステル由来3-ケトネート、たとえば、ピリジン-2-カルボン酸、キノリン-2-カルボン酸、グリシン、N,N-ジメチルグリシン、アラニン、N,N-ジメチルアミノアラニンのようなアミノカルボン酸由来カルボキシレート、たとえば、メチルサリシリミン、エチルサリシリミン、フェニルサリシリミンのようなサリシリミン由来サリシリミリネート、たとえば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコールのようなジアルコール由来ジアルコレート、たとえば、1,2-エチレンジチオール、1,3-プロピレンジチオールのようなジチオール由来ジチオレートから選択される。
【0055】
好ましい三座リガンドは、たとえば、テトラキス(1-イミダゾリル)ボレートとテトラキス(1-ピラゾリル)ボレートのような窒素原子含有ヘテロ環のボレートである。
【0056】
さらに好ましいのは、金属と共に、少なくとも一つの金属−炭素結合を有する環状金属化五もしくは六員環、特に、環状金属化五員環を形成する二座配位モノアニオン性リガンドL’である。これらは、特に、有機エレクトロルミネセンス素子のための燐光発光金属錯体の分野で一般的に使用されるようなリガンド、すなわち、フェニルピリジン、ナフチルピリジン、フェニルキノリン、フェニルイソキノリン等であって夫々は一以上の基Rで置換されてもよい型のリガンドである。この型のリガンドの多様性は、燐光発光エレクトロルミネセンス素子の分野の当業者に知られており、当業者は、式(1)の化合物のためのリガンドL’としてこの型のさらなるリガンドを困難性なく選ぶことができるだろう。以下の式(70)〜(97)により示されるとおりの二個の基の組み合わせが、一般的にこの目的のために、特に、適しており、一方の基は、好ましくは、中性窒素原子もしくはカルベン原子を介して結合し、もう一方の基は、好ましくは、負に帯電した炭素原子もしく負に帯電した窒素原子を介して結合する。次いで、リガンドL’は、各場合に、#で示される位置で互いに結合するこれら基を通じて式(70)〜(97)の基から形成することができる。基が金属に配位する位置は*で示される。これらの基は、一もしくは二個の架橋単位Vを介してリガンドLに結合してもよい。
【化13】

【0057】
ここで、使用される記号は上記記載されるのと同じ意味を有し、好ましくは、各基中の最大三個の記号Xは、Nを表し、特に、好ましくは、各基中の最大二個の記号Xは、Nを表し、非常に、特に、好ましくは、各基中の最大一個の記号Xは、Nを表し、特に、好ましくは、全ての記号Xは、CRを表す。
【0058】
同様に、好ましいリガンドL’は、η5−-シクロペンタジエニル、η5−-ペンタメチルシクロペンタジエニル、η6−-ベンゼンもしくはη7−-シクロヘプタトリエニルであって、夫々は、一以上の基Rにより置換されてもよい。
【0059】
同様に、好ましいリガンドL’は、1,3,5-シス-シクロヘキサン誘導体、特に、式(98)のもの、1,1,1-トリ(メチレン)メタン誘導体、特に、式(99)のもの、および1,1,1-トリ置換メタン、特に、式(100)と(101)のものである。
【化14】

【0060】
式中、金属Mへの配位は、式の各々に示され、Rは、前記の意味を有し、Gは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、COO、P(RもしくはN(Rである。
【0061】
式(2)〜(55)と(70)〜(101)の上記で示される構造中の好ましい基Rは、X上で置換基として存在し、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Br、N(R、CN、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、2〜10個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜14個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、ここで、複数の隣接する基Rは、互いにモノ-あるいはポリ環状、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を形成してもよい。特に、好ましい基Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Br、CN、B(OR、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、特に、メチル、3〜5個のC原子有する分岐あるいは環状アルキル基、特に、イソプロピルもしくはter-ブチル(1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜12個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、ここで、複数の隣接する基Rは、互いにモノ-あるいはポリ環状、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を形成してもよい。
【0062】
本発明による錯体は、赤道面もしくは偽赤道面であることができるか、子午面もしくは偽子午面であることができる。
【0063】
上記に示される好ましい具体例は、所望のとおりに互いに組み合わせることができる。本発明の特に、好ましい具体例では、上記好ましい具体例が同時に適用される。
【0064】
本発明による金属錯体は、原則として、種々のプロセスにより調製することができる。しかしながら、以下に示されるプロセスが、特に適していることが判明した。
【0065】
したがって、本発明は、さらに、対応するフリーリガンドの、式(102)の金属アルコキシドとの、または(103)の金属ケトケトネートとの、または式(104)の金属ハロゲン化物との反応による、式(1)の金属錯体の化合物の製造方法に関する。
【化15】

【0066】
式中、記号と添え字M、L’、m、nおよびRは、上記に示された意味を有し、Hal=F、Cl、BrもしくはIである。
【0067】
同様に、アルコキシドおよび/またはハロゲン化物および/または水酸基とケトケネート基を共に有する金属化合物、特に、イリジウム化合物を使用することも可能である。これら化合物は、帯電していてもよい。出発材料として特に適切である対応するイリジウム化合物は、WO 04/085449に開示されている。[IrCl(acac)、たとえば、Na[IrCl(acac)]は、特に、適している。さらに、特に、適切なイリジウム出発材料は、イリジウム(III)トリス(アセチルアセトネート)とイリジウム(III)トリス(2,2,6,6,-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)である。
【0068】
錯体の合成は、好ましくは、WO02/060910およびWO04/085449に記載されたとおりに実行される。ヘテロレプチック錯体は、たとえば、WO05/042548にしたがって合成することもできる。ここで、合成は、たとえば、熱的、光化学的および/またはマイクロウェーブ照射により、活性化することもできる。
【0069】
ホモレプチックイリジウム錯体の調製のために、リガンドは、好ましくは、Na[IrCl(acac)]もしくはIr(acac)と溶融物中で、または、たとえば、ポリアルコール(エチレングリコール、グリセロール等)、ポリエーテルアルコール((ジ-、トリ-もしくはテトラエチレングリコール)またはポリエーテル(ジ-、トリ-、テトラ-もしくはポリエチレングリコールジメチルエーテル)等の不活性溶媒中で、80〜350℃の温度で反応される。ここで、イリジウム化合物に対するリガンドの比は、1:3〜1:100、好ましくは、1:4〜1:10が使用される。
【0070】
ヘテロレプチックイリジウム錯体の調製のために、スキーム1による手順に従うことができる。まず、プロトン性溶媒もしくは溶媒混合物の存在下、リガンドと適切なイリジウム前駆体、好ましくは、塩化イリジウム(III)水和物との反応により、塩素架橋二量体イリジウム錯体を得て、ついで、さらに一以上のリガンドと、塩基もしくは塩等の添加物の随意の付加とともに反応される(WO2007/065523)。
【0071】
スキーム1
【化16】

【0072】
本発明のリガンドを含むヘテロレプチックイリジウム錯体の調製は、まったく同様にして実行することができる(スキーム2)。
【0073】
スキーム2
【化17】

【0074】
これらのプロセスにより、本発明による式(1)の化合物が、高純度で、好ましくは、99%超の純度で得ることができる(H−NMRおよび/またはHPLCにより測定)。
【0075】
ここで説明される合成方法は、特に、以下に示される本発明による構造の調製を可能とする。
【化18−1】

【化18−2】

【化18−3】

【化18−4】

【化18−5】

【化18−6】

【0076】
上記記載の本発明による化合物は、共役、部分共役もしくは非共役オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー中の反復単位として使用することもできる。本発明の目的のために、オリゴマーは、同一であるか異なってもよい、約3〜10個の反復単位を有する化合物を意味するものと解される。ここで、重合は、好ましくは、臭素もしくはボロン酸官能基を介して実行される。したがって、この型の化合物は、とりわけ、ポリフルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO00/22026にしたがう)、ポリスピロビフルオレン(たとえば、EP707020もしくはEP894107にしたがう)、ポリジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 05/014689にしたがう)、ポリインデノフルオレン(たとえば、WO 04/041901およびWO04/113468にしたがう)、ポリフェナントレン(たとえば、WO05/104264にしたがう)、ポリ-パラ-フェニレン(たとえば、WO92/18552にしたがう)、ポリカルバゾール(たとえば、WO04/070772もしくはWO04/113468にしたがう)、ポリケトン(たとえば、WO05/040302にしたがう)、ポリシラン(たとえば、WO05/111113にしたがう)もしくはポリチオフェン(たとえば、EP1028136にしたがう)中に、または、種々のこれら単位を含むコポリマー中に共重合化することができる。それらは、ここで、ポリマーの側鎖もしくは主鎖中に組み込むことができるか、ポリマー鎖の分岐点であるかのいずれかであることもできる(たとえば、WO06/003000にしたがう)。
【0077】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの上記基Rがポリマーまたはデンドリマーへの結合を表す、一以上の式(1)の化合物を含む共役、部分共役もしくは非共役オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関する。式(1)の単位のために、既に前記記載と同じ選好が、ポリマーとデンドリマー中で適用される。上記言及した単位とは別に、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、たとえば、正孔-輸送特性もしくは電子-輸送特性を有する反復単位から選ばれるさらなる単位を含んでもよい。先行技術で知られる材料がこの目的のために適切である。
【0078】
上記言及したオリゴマー、ポリマー、コポリマーまたはデンドリマーは、有機溶媒中での良好な溶解性と有機エレクトロルミネセンス素子における高い効率と安定性により特徴付けられる。
【0079】
本発明による式(1)の化合物、特に、ハロゲンにより官能化されたものは、さらに、共通の反応型により官能化されて、その結果、拡張された式(1)の化合物に変換されてもよい。ここで言及されてもよい例は、スズキ法によるアリールボロン酸とのまたはハートビッヒブーフバルト法によるアミンとの官能化である。
【0080】
上記式(1)の錯体または上記好ましい具体例は、電子素子中の活性成分として使用することができる。したがって、本発明は、さらに、式(1)の化合物の使用または電子素子での好ましい具体例の使用に関する。
【0081】
したがって、本発明は、さらに、なお、少なくとも一つの式(1)の化合物を含む電子素子またはその好ましい具体例に関する。
【0082】
電子素子は、アノード、カソードおよび少なくとも一つの層を含み、この層が、少なくとも一つの有機もしくは有機金属化合物を含む素子を意味するものと解される。したがって、本発明による電子素子は、アノード、カソードおよび上記少なくとも一つの式(1)の化合物を含む少なくとも一つの層を含む。ここで、好ましい電子素子は、少なくとも一つの層中に上記少なくとも一つの上記の式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)から成る群より選ばれる。特に、好ましいのは、有機エレクトロルミネセンス素子である。活性成分は、一般的にアノードとカソードの間に導入された有機もしくは無機材料であり、たとえば、電荷注入、電荷輸送もしくは電荷障壁材料であるが、特に、発光材料とマトリックス材料である。本発明による化合物は、有機エレクトロルミネセンス素子中の発光材料として特に良好な性質を有する。したがって、有機エレクトロルミネセンス素子が本発明の好ましい具体例である。
【0083】
有機エレクトロルミネセンス素子は、カソード、アノードおよび少なくとも一つの発光層を含む。これらの層とは別に、さらなる層、たとえば、各場合に、一以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層、励起子障壁層、電子障壁層、電荷生成層および/または有機もしくは無機P/N接合である。たとえば、有機エレクトロルミネセンス素子中で励起子障壁機能および/または電荷バランス調節能を有する中間層も、同様に二個の発光層の間に導入されてよい。しかしながら、これらの層の夫々は、必ずしも存在する必要がないことに留意する必要がある。有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層または複数の発光層を有する。複数の発光層が存在するならば、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発することができる種々の発光化合物が発光層に使用される。特に、好ましいのは、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(たとえば、WO 05/011013参照。)3層構造であるか、3以上の発光層を有する構造である。
【0084】
本発明の好ましい具体例では、有機エレクトロルミネセンス素子は、一以上の発光層に発光化合物として式(1)の化合物もしくは上記好ましい具体例を含む。
【0085】
式(1)の化合物が発光層中の発光化合物として使用されるならば、好ましくは、一以上のマトリックス材料と併用して使用される。式(1)の化合物とマトリックス材料を含み混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全体としての混合物を基礎として、式(1)の化合物を1〜99vol%、好ましくは、2〜90vol%、特に、好ましくは、3〜40vol%、特に、5〜15vol%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全体としての混合物を基礎として、マトリックス材料あるいはマトリックスを99〜1vol%、好ましくは、98〜10vol%、特に、好ましくは、97〜60vol%、特に、95〜85vol%含む。
【0086】
本発明による化合物のために適切な材料は、たとえば、WO04/013080、WO04/093207、WO06/005627もしくはWO10/006680にしたがうケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホンであり、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N.N-ビスカルバゾリルビフェニル)、WO05/039246、US2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO08/086851に開示されたカルバゾール誘導体、たとえば、未公開出願DE102009023155.2およびDE 102009031021.5にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール、たとえば、US2009/0136779もしくはWO10/050778にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO 07/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO05/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 06/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 10/015306、WO 07/063754もしくはWO 08/056746にしたがうトリアジン誘導体、EP652273もしくはWO09/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO 10/054729にしたがうジアザ-あるいはテトラアザシロール誘導体または、WO 10/054730にしたがうジアザホスホール誘導体である。
【0087】
複数の異なるマトリックス材料、特に、少なくとも一つの電子伝導性マトリックス材料と少なくとも一つの正孔伝導性マトリックス材料を混合物として使用することも好ましいかもしれない。好ましい組み合わせは、たとえば、本発明による金属錯体のための混合マトリックスとして、芳香族ケトンもしくはトリアジン誘導体と、トリアリールアミン誘導体もしくはカルバゾール誘導体の使用である。
【0088】
カソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、金属合金または、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属もしくはランタノイド(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)のような種々の金属を含む多層構造である。また、適切なのは、アルカリ金属、アルカリ土類金属および銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀を含む合金である。多層構造の場合、比較的高い仕事関数を有するさらなる金属、たとえば、Agが、前記金属に加えて使用されてもよく、その場合、たとえば、Ca/AgもしくはBa/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。金属カソードと有機半導体との間に高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を導入することも好ましいかもしれない。この目的に適切なのは、たとえば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属フッ化物また対応する酸化物もしくは炭酸塩(たとえば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)である。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0089】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する金属を含む。アノードは、好ましくは、4.5eV対真空超の仕事関数を有する。この目的のために適切なのは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い酸化還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO、Al/PtO)が好まれてもよい。幾つかの用途のために、少なくとも一つの電極は、有機材料の放射(O-SC)もしくは光のカップリング-アウト(OLED/PLED、O-LASER)を容易にするために透明である必要がある。好ましい構造は透明アノードを使用する。好ましいアノード材料は、ここで、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいのは、イリジウム錫酸化物(ITO)もしくはイリジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに、好ましいのは、伝導性でドープされた有機材料、特に、伝導性ドープポリマーである。
【0090】
層のために先行技術にしたがって使用されるとおりの全材料が、一般的にさらなる層に使用することができ、当業者は、進歩性を要せずに、電子素子において、本発明による材料とこれら材料の各々を結合することができるだろう。
【0091】
このような素子の寿命は、水および/または空気の存在で劇的に低下することから、素子は、(用途に応じて)対応して構造化され、接点を供され、最後に密封シールされる。
【0092】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、通常、10−5mbar未満、好ましくは10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中での気相堆積により適用されることを特徴とする。初期圧力は、より低くても、たとえば、10−7mbar未満でも可能である。
【0093】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で適用されることを特徴とする。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、それにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0094】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷或いはノズル印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の化合物が、この目的のためには必要であり、適切な置換により得ることができる。
【0095】
有機エレクトロルミネセンス素子はまた、1以上の層を溶液から適用し、また、1以上の他の層を気相堆積により適用することによりハイブリッドシステムとして製造され得る。したがって、たとえば、式(1)の化合物とマトリックス材料を含む発光層を溶液から適用し、正孔障壁層および/または電子輸送層を頂上に真空気相堆積により適用することもできる。
【0096】
これらのプロセスは当業者に一般的に知られており、当業者により問題なく、式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子または上記好ましい具体例に適用することができる。
【0097】
本発明の有機電子素子、特に、有機エレクトロルミネセンス素子は、先行技術を凌駕する以下の驚くべき効果により特徴付けられる。
【0098】
1.発光材料として、式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子は、非常に良好な寿命を有する。
【0099】
2.発光材料として、式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子は、非常に良好な効率を有する。
【0100】
3.本発明による金属錯体により、赤色、オレンジ色、黄色、緑色および青色領域で燐光発光する有機エレクトロルミネセンス素子が得られる。
【0101】
4.本発明による金属錯体とこの目的のために必要なリガンドは、簡単な方法で、高い収率で合成により入手可能である。
【0102】
上記したこれらの優位性は、その他の電子特性を損なうことはない。
【0103】
本発明は、次の例により、より詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、進歩性を要することなく、説明に基づいて、本発明による更なる化合物を合成し、これらを電子素子に使用することができ、開示された範囲全体にわたって本発明を実施することができるだろう。
【0104】
例:
以下の合成は、他に断らない限り、無水溶媒中で、保護ガス雰囲気下、遮光下で行われる。溶媒と試薬は、アルドリッチ(ALDRICH)またはABCRから購入することができる。リガンド1〜5の合成は、H. Reimlinger et al., Chem. Ber. 1972, 105, 108にしたがって実行され、リガンド6の合成は、R. F. Cookson et al., J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 1975, 19, 1854にしたがって実行され、リガンド7の合成は、T. A. Kuz'menko et al., Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii (1976), (12), 1666-71にしたがって実行される。
【化19】

【0105】
1)トリス赤道面イリジウム錯体の一般的合成
1部のトリスアセチルアセトナートイリジウム(III)と6部のリガンドとの混合物が、排気され封入されたアンプル中で、定めた時間、定めた温度で撹拌される。冷却後、ガラス様溶融物が、破砕され、細かく砕かれ、2体積部のTHFが添加され、混合物は室温で1時間激しく攪拌され、4体積部のメタノールがついで滴下される。2時間撹拌後、黄色固形物が濾過され、メタノールで洗浄され、乾燥され、ジクロロエタンもしくはクロロベンゼンから再結晶化され、ついで、随意に、真空昇華される。(p=1×10−5mbar)。純度>99.5%またはHLPCにより>99.9%。
【化20−1】

【化20−2】

【0106】
2)ヘテロレプチックイリジウム錯体
変種A
工程1
10ミリモルのソジウムビス ビスアセチルアセトナートジクロロイリデート(III)[770720-50-8]と24ミリモルのリガンドLとの混合物は、50mlのガラスアンプル中に真空(10−3mbar)中で溶融される。アンプルは、溶融混合物が磁気攪拌機により撹拌される間、一定時間一定温度で加熱される。冷却後(注意:アンプルは通常加圧下である。)、アンプルが開封され、焼結ケークは、3時間、指示された100mlの懸濁媒体中の100gのガラスビーズ(直径3mm)で攪拌され、プロセス中で機械的に消化される。微細懸濁液はガラスビーズからデカントされ、固形物は吸引濾過され、真空乾燥される。
【0107】
工程2
こうして得られた式[Ir(L)Cl]の粗塩素架橋ダイマーは、75mlの2-エトキシエタノールと25mlの水中に懸濁され、13ミリモルのコリガンドCLもしくはコリガンド化合物CLと15ミリモルの炭酸ナトリウムが添加される。還流下20時間後、さらなる75mlの水が滴下され、混合物は冷却され、固形物は吸引ろ過され、50mlの水でその度毎に三度洗浄され、50mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。乾燥固形物は、熱抽出機中の深さ10cmの酸化アルミニウムベッド(酸化アルミニウム、塩基性、活性度1)上に置かれ、ついで一定の抽出剤(量約500ml)で抽出される。抽出が終わると、抽出物は、真空中約100mlまで濃縮される。抽出物中で過度に良好な溶解性を有する金属錯体が、200mlのメタノールの滴下により再結晶化される。こうして得られた懸濁液の固形物は、吸引ろ過され、約50mlのメタノールで一度洗浄され、乾燥される。乾燥後、金属錯体の純度が、NMRおよび/またはHLPCにより測定される。純度が99.5%未満であれば、熱抽出工程が繰り返され、純度99.5〜99.9%を達成すると、金属錯体は加熱されるか、昇華される。加熱は、高真空(p約10−6mbar)中、200−300℃の温度範囲で実行される。昇華は、高真空(p約10−6mbar)中、約300−約390℃の温度範囲で実行され、昇華は、好ましくは、分画昇華の形で実行される。
【化21】

【0108】
変種B
工程1
変種Aの工程1参照。
【0109】
工程2
こうして得られた式[Ir(L)Cl]の粗塩素架橋ダイマーは、1000mlのジクロロメタンと150mlのエタノール中に懸濁され、40ミリモルの三フッ化メタンスルホン酸銀(I)が懸濁液に添加され、混合物は室温で24時間撹拌される。沈殿した固形物(AgCl)は、短セライトベッドを介して吸引ろ過され、ろ過物は、真空中で蒸発幹固される。こうして得られた固形物は、エタノールで100mlにされ、30ミリモルのコリガンドCLが添加され、混合物は還流下30時間加熱される。冷却後、固形物は吸引ろ過され、50mlのエタノールでその度毎に二度洗浄され、真空乾燥される。こうして得られた固形物は、熱抽出機中の深さ10cmの酸化アルミニウムベッド(酸化アルミニウム、塩基性、活性度1)上に置かれ、ついで一定の抽出剤(量約500ml)、で抽出される。抽出が終わると、抽出物は、真空中約100mlまで濃縮される。抽出物中で過度に良好な溶解性を有する金属錯体が、200mlのメタノールの滴下により再結晶化される。こうして得られた懸濁液の固形物は、吸引ろ過され、約50mlのメタノールで洗浄され、乾燥される。乾燥後、金属錯体の純度が、NMRおよび/またはHLPCにより測定される。純度が99.5%未満であれば、熱抽出工程が繰り返され、純度99.5〜99.9%を達成すると、金属錯体は加熱されるか、昇華される。加熱は、高真空(p約10−6mbar)中、200−300℃の温度範囲で実行される。昇華は、高真空(p約10−6mbar)中、約300−約390℃の温度範囲で実行され、昇華は、好ましくは、分画昇華の形で実行される。イオン性金属錯体の場合には、酸化アルミニウムは、熱抽出工程でセライトにより置き代えられる。
【化22】

【0110】
3)ヘテロレプチック白金錯体
30mlのジクロロメタン中の10ミリモルの塩化白金(II)、12ミリモルのリガンドLと1ミリモルのテトラ-n-ブチルアンモニウムクロライドとの混合物が、還流下12時間加熱される。100mlのメタノールが滴下された後、微細固形物は吸引濾過され、25mlのメタノールで二度洗浄され、真空乾燥される。こうして得られた式[Pt(L)Cl]の粗塩素架橋ダイマーは、60mlの2-エトキシエタノールと20mlの水の混合物中に懸濁され、12ミリモルのコリガンドCLもしくはコリガンド化合物CLと12ミリモルの炭酸ナトリウムが添加される。還流下20時間後、さらなる100mlの水が滴下され、混合物は冷却され、固形物は吸引ろ過され、50mlの水でその度毎に三度洗浄され、50mlのエタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。こうして得られた固形物は、熱抽出機中の深さ10cmセライトベッド上に置かれ、ついで、一定の抽出剤(量約500ml)で抽出される。抽出が終わると、抽出媒体は、真空中約100mlまで濃縮される。抽出物中で過度に良好な溶解性を有する金属錯体が、200mlのメタノールの滴下により再結晶化される。こうして得られた懸濁液の固形物は、吸引ろ過され、約50mlのメタノールで一度洗浄され、乾燥される。乾燥後、金属錯体の純度が、NMRおよび/またはHLPCにより測定される。純度が99.5%未満であれば、熱抽出工程が繰り返され、純度99.5〜99.9%を達成すると、金属錯体は加熱されるか、昇華される。加熱は、高真空(p約10−6mbar)中、200−300℃の温度範囲で実行される。昇華は、高真空(p約10−6mbar)中、約300−約390℃の温度範囲で実行され、昇華は、好ましくは、分画昇華の形で実行される。
【化23】

【0111】
本発明による化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子の製造と特性決定
本発明によるエレクトロルミネッセンス素子が、たとえば、WO 05/003253に記載されたとおりに製造することができる。種々のOLEDの結果がここで比較される。基本構造、使用される材料、ドープ度とそれの層厚はより良い比較のために同一とする。同一の構造を有し、本発明によるドーパントを含むOLEDが説明される。ここで、以下の素子構造が使用される:
正孔注入層(HIL) 20nmの2,2’,7,7’-テトラキス(ジ-パラ-トリル-アミノ)スピロ-9,9’-ビフルオレン
正孔輸送層(HTL) 5nmのNPB(N-ナフチル-N-フェニル-4,4’-ジアミノビフェニル)
電子障壁層(EBL) 15nmのEBM(9,9-ビス-(3,5-ジフェニルアミノフェニル)フルオレン)
発光層(EML) 40nmのホスト材料M
ドーパント:10vol%ドーピング;化合物は、表1参照。
【0112】
電子伝導層(ETL) 20nmのBAlq
カソード 1nmのLiF、100nmAl頂上
EBLの構造とMは明確さのために、以下に示される。
【化24】

【0113】
これら未だ最適化されないOLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトルと外部量子効率(%で測定)が、電流-電圧-輝度特性線(IUL特性線)から計算された輝度の関数として決定される。
【0114】
表1 素子の結果
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物。
【化1】

(式中:一般式(1)の化合物は、式(2)のM(L)部分を含む。
【化2】

式中、使用される記号と添え字は以下のとおりである:
Mは、金属であり;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CまたはNであって、二重結合が、二個の原子Yの間または隣接する原子YとCy1中で結合するAとの間に、または二個の原子Yもしくは隣接する原子YとCy2中で結合するAとの間に、各場合に、存在してもよく、
Cy1は、出現毎に同一であるか異なり、基Aと二個の基Yとが一緒になった六員環もしくは五員環であり、ここで、Cy1が六員環であるならば、Cy1中の一個の基YはCであり、Cy1中のその他の基YはNであり、Cy1が五員環であるならば、Cy1中の両方の基YはCであるか、または両方の基YはNであり;ここで、Cy1は、一以上の基Rにより置換されてよく;
Cy1が、六員環であるならば、一以上の基Rにより置換されてよい五員環あるいは六員環アリールもしくはヘテロアリール基が、Cy1上で縮合していてもよく;
Cy1は、環部分として、少なくとも一つの基Zを含むことを特徴とし;
Zは、出現毎に同一であるか異なり、C(=O)、C(=S)、CR、NR、O、S、PRまたはP(=O)Rより成る基から選ばれ、ここで、少なくとも一つの基Zは、Cy1が五員環であるならば、C(=O)、C(=S)、CRまたはP(=O)Rであり;
Cy2は、出現毎に同一であるか異なり、Cy1であり、または、出現毎に同一であるか異なり、基Aと二個の基Yとが一緒になったアリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで、Cy2が六員環アリールもしくはヘテロアリール基であるならば、Cy2中の両方の基YはCであり;ここで、Cy2は、一以上の基Rにより置換されてよく;
Aは、出現毎に同一であるか異なり、CまたはNであり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、P(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、OH、SH、O、S、N(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基Rにより置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であって;ここで、二個以上の隣接する基Rは、互いに、モノ-あるいはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基Rにより置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であって;ここで、二個以上の隣接する基Rは、互いに、モノ-あるいはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族有機基、特に、炭化水素基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;二個以上の置換基Rは、互いに、モノ-あるいはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
L’は、出現毎に同一であるか異なり、任意の所望のコリガンドであり;
アニオンは、任意の所望のアニオンであり;
nは、1、2または3であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
wは、1、2または3であり;
x、y、zは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2または3であり、ここで、
(w・x)=(y・z)であり;
ここで、複数のリガンドLは互いに結合してもよいか、または、Lは任意の所望のブリッジVを介して、L’と結合してよく、その結果、三座、四座、五座もしくは六座リガンド構造を形成する。)
【請求項2】
添え字x=y=z=0、すなわち、錯体が荷電していないことを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Mは、遷移金属または主族金属であり、ここで、Mは、好ましくは、錫、クロム、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀または金から成る群より選ばれることを特徴とする、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
リガンドL中の一つの基Aは、窒素原子であり、もう一つの基Aは、炭素原子であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の化合物。
【請求項5】
Cy1は、正確に一つのZを含むことを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載の化合物。
【請求項6】
Cy1が、以下の式(3)〜(26)の構造から選ばれることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項記載の化合物。
【化3】

(式中、Eは、出現毎に同一であるか異なり、S、OまたはNRであり、使用されるその他の記号は、請求項1と同じ意味を有し、ここで、*は、金属への配位位置を示し、#は、リガンドL中でCy2またはXへの結合を示す。)
【請求項7】
Cy2が、請求項6記載の式(3)〜(26)の構造から選ばれるか、または式(27)〜(44)の構造から選ばれることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項記載の化合物。
【化4】

(式中、使用される記号は、請求項1および6と同じ意味を有し、ここで、好ましくは、各基中の最大三個の記号XはNである。)
【請求項8】
基Zは、C(=O)またはCR、好ましくは、C(=O)であることを特徴とする、請求項1〜8何れか1項記載の化合物。
【請求項9】
式(2)の部分が、(45)の構造であることを特徴とする、請求項1〜8何れか1項記載の化合物。
【化5】

(式中、Cy1は、請求項6記載の構造から選ばれ、Cy2が、請求項6または請求項7記載の構造から選ばれ、請求項6の構造中のZは、好ましくは、C(=O)またはCRから選ばれ、使用されるその他の記号と添え字は、請求項1と同じ意味を有する。)
【請求項10】
Lから一以上のさらなるリガンドLあるいはL’へと存在する架橋単位Vが、式(51)〜(55)の構造から選ばれることを特徴とする、請求項1〜9何れか1項記載の化合物。
【化6】

(式中、使用される記号は、請求項1と同じ意味を有し、Vは、三、四、五および/または六主族からの1〜80原子を含む架橋単位、または、部分リガンドLと互いに共有結合するか、もしくはリガンドLからL’へと共有結合する三〜六員環ホモあるいはヘテロ環であり、ここで、Vは、1以上の基Rにより置換されてよい。)
【請求項11】
リガンドL’は、一酸化炭素、一酸化窒素、アルキルシアニド、アリールシアニド、アルキルイソシアニド、アリールイソシアニド、アミン、ホスフィン、ホスフィット、アルシン、スチビン、窒素含有ヘテロ環、カルベン、水素化物、重水素化物、ハロゲン化物、F、Cl、Br、およびI、アルキルアセチリド、アリールアセチリド、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、脂肪族もしくは芳香族アルコレート、脂肪族もしくは芳香族チオアルコレート、アミド、カルボキシレート、アリール基、O2−、S2−、カーバイド、ニトレーン、N3−、ジアミン、イミン、1,3-ジケトン由来1,3-ジケトネート、3-ケトエステル由来3-ケトネート、アミノカルボン酸由来カルボキシレート、サリシリミン由来サリシリミリネート、ジアルコール由来ジアルコレート、ジチオール由来ジチオレート、窒素含有ヘテロ環のボレート、
または、式(70)〜(97)の二個の基の組み合わせから成る二座リガンド(ここで、一つの基は中性窒素原子もしくはカルベン原子を介して結合し、その他の基は負に荷電した炭素原子もしくは負に荷電した窒素原子を介して結合し):
【化7−1】

【化7−2】

ここで、使用される記号は、請求項1および6と同じ意味を有し;
または、夫々、一以上のRによって置換されてよい基η-シクロペンタジエニル、η-ペンタメチルシクロペンタジエニル、η-ベンゼンあるいはη-シクロヘプタトリエニル、または、1,3,5-シス-シクロヘキサン誘導体、1,1,1-トリ(メチレン)メタン誘導体もしくは1,1,1-トリ置換メタンより成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜11何れか1項記載の化合物。
【請求項12】
フリーリガンドLおよび随意にL’の、式(102)の金属錯体との、式(103)のケトケトネートとの、式(104)の金属ハロゲン化物との、または式(105)のダイマー金属錯体との反応による、請求項1〜11何れか1項記載の化合物の製造方法。
【化8】

(式中:記号と添え字M、L’、m、nおよびRは請求項1で示される意味を有し、Hal=F、Cl、BrまたはIである。)
【請求項13】
上記定義される少なくとも一つの基Rが、ポリマーまたはデンドリマーへの結合である、請求項1〜11何れか1項記載の1以上の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー。
【請求項14】
電子素子における請求項1〜11何れか1項記載の化合物、または、請求項13記載のオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーの使用。
【請求項15】
請求項1〜11何れか1項記載の少なくとも一つの化合物、または、請求項13記載の少なくとも一つのオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーを含む電子素子であって、ここで、電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)または有機レーザーダイオード(O-laser)から成る群より選ばれる電子素子。
【請求項16】
請求項1〜11何れか1項記載の化合物が、一以上の発光層で発光化合物として、好ましくは、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、インデノカルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、架橋カルバゾール誘導体、バイポーラーマトリックス材料、シラン、アザボロール、ボロン酸エステル、トリアジン誘導体、亜鉛錯体、ジアザ-あるいはテトラアザシロール誘導体およびジアザホスホール誘導体またはこれらマトリックス材料の混合物から成る群から選択されるマトリックス材料と組み合わせて使用される、請求項15記載の有機エレクトロルミネセンス素子。

【公表番号】特表2013−507404(P2013−507404A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533505(P2012−533505)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005857
【国際公開番号】WO2011/044988
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】