説明

金網用タイル取付部材、金網装飾タイルおよび植栽フェンス

【課題】網にタイルを取り付け、景観を良くすることができる金網用タイル取付部材、金網装飾タイルおよび植栽フェンスを提供する。
【解決手段】台座10とその背面に設けられた爪20、30とからなり、爪20、30が下方に開口しており、爪20、30の下端に突起21、31が設けられており、爪20、30は台座10の上縁に設けられた上爪20と、下縁に設けられた下爪30とからなり、上爪20は上下方向に長尺である金網用タイル取付部材Aである。台座10にタイル12を嵌め込むと金網装飾タイルBとなる。この金網装飾タイルBを金網Cに取り付けると、タイルの意匠効果により金網Cの景観を良くすることができる。金網装飾タイルBは金網Cの任意の位置に取り付けることができるので、金網Cにタイルによるデザインを施した植栽フェンスとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金網用タイル取付部材、金網装飾タイルおよび植栽フェンスに関する。さらに詳しくは、金網にタイルを取り付けて、景観を良くするための金網用タイル取付部材、金網装飾タイルおよび、それにより装飾された植栽フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、市街地の緑化や景観の向上のために、金網などのフェンスに植栽を施した植栽フェンスを用いることが多くある。
この植栽フェンスの従来技術の一例として特許文献1がある。図9に示すように、特許文献1の植栽フェンス102は、フェンス102の下部が曲折されて溝状の保持部122が設けられており、その保持部122に植物またはその種子と植栽基盤、肥料、保水材が一体化された緑化材103が保持されたものである。この緑化フェンス102の施工後、緑化材103から植物131が成長しフェンス102に絡まることによって植栽フェンス102が完成するのである。
【0003】
しかるに、植物131が成長しフェンス102を覆うまでには長期間かかるため、それまでは植栽フェンスとしての機能を有せず、単なる金網が露出しているだけであるので景観が良くないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−42201号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、金網にタイルを取り付けて、景観を良くするための金網用タイル取付部材、金網装飾タイルおよび、それにより装飾された植栽フェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の金網用タイル取付部材は、タイルを嵌め込む台座と金網線材を係止する爪とからなり、前記爪は前記台座の背面に設けられていることを特徴とする。
第2発明の金網用タイル取付部材は、第1発明において、前記爪の上端が前記台座背面に結合され、下方に開口しており、前記爪の下端、もしくは該下端に対向する台座背面、もしくは該下端と該台座背面の両方に、金網線材係止用の突起が設けられており、前記爪は前記台座の上縁に設けられた上爪と、下縁に設けられた下爪とからなり、前記上爪は上下方向に長尺であり、前記下爪は上下方向に短尺であることを特徴とする。
第3発明の金網用タイル取付部材は、第2発明において、前記台座の背面側部に、金網線材に当接するピンが設けられていることを特徴とする。
第4発明の金網用タイル取付部材は、第3発明において、前記台座が矩形であり、前記台座の背面上縁に前記上爪が2つ設けられており、前記台座の背面下縁に前記下爪が2つ設けられており、前記台座の背面側部に前記ピンが左右2つずつ設けられていることを特徴とする。
第5発明の金網用タイル取付部材は、第1発明において、前記台座が矩形であり、前記台座の四隅の角が取れていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、タイルを嵌め込んだ台座を金網に取り付けることができるので、タイルの意匠効果により金網の景観を良くすることができる。また、台座は金網の任意の位置に取り付けることができるので、金網にタイルによるデザインを施すことができる。
第2発明によれば、まず上爪に金網線材を嵌め込み、ついで下爪に金網線材を嵌め込むことで台座を金網に取り付けることができるので、一度に全ての爪を嵌め込まなくて良いので、台座を金網に取り付ける作業が容易である。また、上爪は長く、撓み易いため、金網線材に嵌め込みやすく、取付位置がずれていた場合にも取り外しやすいため、作業のやり直しが容易に行える。下爪は短く、撓み難いため、金網線材を強固に係止することができる。
第3発明によれば、側部のピンが金網線材に当接するので、金網に取り付けた台座が横方向にずれないように固定することができる。また、台座を金網に取り付ける際に、台座の横方向の位置をガイドすることができる。
第4発明によれば、台座が矩形であり、上爪および下爪で金網の横線材を係止し、ピンが金網の縦線材に当接するので、縦線材および横線材により形成された格子状の金網に取り付ける金網用タイル取付部材として好適である。
第5発明によれば、台座の四隅の角が取れているため、角が邪魔にならず、台座を斜め方向に連接して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る金網用タイル取付部材Aの正面図である。
【図2】同金網用タイル取付部材Aの背面図である。
【図3】同金網用タイル取付部材Aの側面図である。
【図4】図2におけるIVa‐IVa線断面図およびIVb−IVb線断面図である。
【図5】図2におけるV‐V線断面図である。
【図6】金網装飾タイルBの金網Cへの取付方法の説明図である。
【図7】金網装飾タイルBを金網Cに取り付けた際の背面図である。
【図8】金網装飾タイルBを金網Cに取り付けた際の正面図である。
【図9】従来技術の植栽フェンスの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(タイル取付部材の実施形態)
本発明の金網用タイル取付部材Aは立体的形状に特徴があるので、以下図1〜図5に基づき説明する。
【0010】
図1に示すように、金網用タイル取付部材Aは正面視矩形をしており、その四隅の角が取れ、傾斜している。金網用タイル取付部材Aの正面はタイルを嵌め込む台座10となっている。また図2に示すように、台座10の背面には、金網線材を係止するための上爪20および下爪30と、金網線材に当接するためのピン40が設けられている。上爪20は台座10の背面上縁の2ヶ所に設けられており、下爪30は台座10の背面下縁の2ヶ所に設けられている。一方ピン40は台座10の背面側部に左右に2つずつ設けられている。
図7は金網用タイル取付部材Aを用いた金網装飾タイルBを金網Cに取り付けた際の背面図である。後述するように、ピン40を金網Cの隣接する2本の縦線材52の間に嵌め込み、上爪20および下爪30で金網Cの横線材51を係止することにより、金網用タイル取付部材Aが金網Cに固定される。そのため、上爪20、下爪30、ピン40は取り付ける金網Cの格子の大きさと合わせて設けられる必要がある。
なお、本実施形態では、上爪20および下爪30を2つずつ、ピン40を左右に2つずつ設ける形態としたが、これに限られず、金網用タイル取付部材Aの大きさに合わせて、金網用タイル取付部材Aを金網Cに取り付けた際に十分に固定されるように、その構成を変更してもよい。
【0011】
図3に示すように、上爪20および下爪30はその上端が台座10の背面に結合され、下方が開口している。また、上爪20および下爪30の下端に対向する台座10の背面には金網線材係止用の突起21、31がそれぞれ設けられている。上爪20および下爪30と突起21、31の下端は、それぞれが下方に開くように傾斜しており、金網線材が下方から挿入しやすくなっている。一方突起21、31の上端は傾斜しておらず、金網線材が下方に抜けづらくなっている。
本実施形態において、突起21、31は台座10の背面に設けたが、これに限らず、上爪20および下爪30の下端に、もしくはその下端と台座10の背面の両方に設けても良い。
【0012】
後述するとおり、金網用タイル取付部材Aを金網Cに取り付けるには、上爪20と下爪30に金網Cの横線材51を挿入することで行われる。下爪30の上下方向の寸法は、その横線材51の太さと同程度とし、横線材51を挿入した際に上下方向にがたつくことがないようにすることが好ましい。一方上爪20は下爪30に比べて長尺となっている。
また、上爪20および下爪30と台座10との間の隙間は、挿入する横線材51の太さと同程度とすることが好ましい。隙間が横線材51の太さよりも狭い場合、横線材51を挿入することができず、逆に隙間が広い場合には、取り付け後の金網用タイル取付部材Aが前後方向にがたつく。
【0013】
図3に示すように、ピン40の高さは上爪20および下爪30よりも高い。図6(4)は金網用タイル取付部材Aの金網Cに取り付けた後の側面図である。金網Cは横線材51の背部に縦線材52が接合されることにより形成されるが、ピン40は横線材51よりも背部の縦線材52に当接する必要がある。そのためピン40の高さは上爪20および下爪30よりも縦線材52の太さだけ高くすることが好ましい。
また、図5に示すように、ピン40の先端はそれぞれ台座10の外方面が傾斜して2本の縦線材52,52の間に挿入しやすくなっている。
【0014】
図4および図5に示すように、台座10はタイル12を嵌め込むことができるように、タイル12の形状に合わせて凹んだ形状をしている。また、台座10の座面には横方向に延びる薄溝11が複数本設けられている(図1および図4参照)。タイルは接着剤で台座10に接着されるが、この薄溝11は接着剤を均一な厚さにするために設けられている。すなわち、座面が平坦である場合、接着剤を塗ったときに厚みに偏りができてタイルが傾いて接着される恐れがあるが、薄溝11があることにより、薄溝11内に接着剤が逃げていき、座面全体の接着剤の厚さが均一になる。このため、タイルが傾かずに接着できる。
【0015】
(金網装飾タイルの実施形態)
図5に示すように、上記に説明した金網用タイル取付部材Aの台座10にタイル12を取付けると金網装飾タイルBが出来上がる。タイル12の表面は任意のデザインを施したものでよい。
この金網装飾タイルBを金網Cに取付けると、装飾された金網となる。
【0016】
つぎに、金網装飾タイルBの金網Cへの取付方法について説明する。
金網装飾タイルBの金網Cへの取り付けは、図6に示す(1)〜(4)のステップで行われる。
【0017】
(1)まず、金網装飾タイルBを金網Cの目的の位置に充てがう。ピン40の高さは上爪20および下爪30よりも高いので、最初にピン40が縦線材52に接することになる。そのため、ピン40により金網装飾タイルBの横方向の位置をガイドすることができる。また、ピン40の先端はそれぞれ台座10の側面に向かって傾斜しているため、隣接する2本の縦線材52の間に挿入し易い。
【0018】
(2)つぎに、上爪20を横線材51の上に置く。上爪20は下爪30よりも長尺であるため、下爪30はその下方にある横線材51から離れた状態となる。これは仮位置決めの段階であり、例えば図7のように、タイルで金網Cにデザインを施す場合に、仮位置決めの状態で全体のバランスを見ることができる。
【0019】
(3)つぎに、金網装飾タイルBを下方へ押し下げる。そうすると横線材51が上爪20を押し広げて、突起21を乗り越えて、上爪20内へ嵌る。上爪20は長尺であり、撓み易いため、軽い力で押し下げることにより横線材51が上爪20を押し広げることができ、嵌め込み易い。この段階では、金網装飾タイルBの取付位置がずれていた場合にも取り外しやすいため、作業のやり直しが容易に行える。なお、この段階では、まだ下爪30に横線材51は嵌め込まれておらず、下爪30のすぐ下方に横線材51が位置している状態である。上爪20内に嵌め込まれた横線材51も上爪20の下端に位置している状態である。
【0020】
(4)最後に、金網装飾タイルBをさらに下方へ押し下げる。そうすると下爪30の下方に位置していた横線材51が下爪30を押し広げて、突起31を乗り越えて、下爪30内へ嵌る。このときに、上爪20内に嵌め込まれた横線材51が上爪20の上端に位置する。下爪30は短尺であり、撓み難いため、横線材51を強固に係止することができる。また、まず上爪20に横線材51を嵌め込み、ついで下爪30に横線材51を嵌め込むというように、一度に全ての爪を嵌め込まなくて良いので、金網装飾タイルBを金網Cに取り付ける作業が容易である。
【0021】
以上の手順を繰り返し、複数枚の金網装飾タイルBを金網Cに取り付けると、図7に示すような状態となる。図7に示すように、上爪20と下爪30が上下に隣接する2本の横線材51を係止し、ピン40が左右に隣接する2本の縦線材52の内側に当接することで、金網装飾タイルBが上下方向にも横方向にも動かないように固定される。
【0022】
また、図8に示すように、台座10の四隅の角が取れているため、角が邪魔にならず、金網装飾タイルBを斜め方向に連接して取り付けることができる。そのため、タイルによるデザインの幅が広がる。
【0023】
(植栽フェンスの実施形態)
以上のとおり、金網装飾タイルBを金網Cに取り付けると、図8に示すように、タイルの意匠効果により金網Cの景観を良くすることができる。また、金網装飾タイルBは金網Cの任意の位置に取り付けることができるので、金網Cにタイルによるデザインを施すことができる。
そのため、植栽フェンスに金網装飾タイルBを取り付けた場合には、植物が成長途中であったとしても単なる金網が露出している状態とはならず、景観を良くすることができる。もちろん、植栽フェンス以外に使用してもよく、金網にタイルを取り付けて飾りとして使用してもよい。
【符号の説明】
【0024】
A 金網用タイル取付部材
B 金網装飾タイル
10 台座
11 薄溝
20 上爪
21 突起
30 下爪
31 突起
40 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルを嵌め込む台座と金網線材を係止する爪とからなり、
前記爪は前記台座の背面に設けられている
ことを特徴とする金網用タイル取付部材。
【請求項2】
前記爪の上端が前記台座背面に結合され、下方に開口しており、
前記爪の下端、もしくは該下端に対向する台座背面、もしくは該下端と該台座背面の両方に、金網線材係止用の突起が設けられており、
前記爪は前記台座の上縁に設けられた上爪と、下縁に設けられた下爪とからなり、
前記上爪は上下方向に長尺であり、前記下爪は上下方向に短尺である
ことを特徴とする請求項1記載の金網用タイル取付部材。
【請求項3】
前記台座の背面側部に、金網線材に当接するピンが設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の金網用タイル取付部材。
【請求項4】
前記台座が矩形であり、
前記台座の背面上縁に前記上爪が2つ設けられており、
前記台座の背面下縁に前記下爪が2つ設けられており、
前記台座の背面側部に前記ピンが左右2つずつ設けられている
ことを特徴とする請求項3記載の金網用タイル取付部材。
【請求項5】
前記台座が矩形であり、
前記台座の四隅の角が取れている
ことを特徴とする請求項1記載の金網用タイル取付部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−168784(P2010−168784A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11502(P2009−11502)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】