説明

金融機関VIP通知システム

【課題】自動取引装置を操作しているVIPの属性情報とともに服装の色彩情報も併せて通知することによって、通知を受けた金融機関の職員がVIPを迅速かつ確実に識別することができ、迅速かつ適切にVIPを接客することができるようにする。
【解決手段】顧客がVIPであると判定された場合、サーバは、顧客に関する顧客情報の少なくとも一部とともに、顧客の服装の色彩情報を端末に送信し、端末の表示装置は、顧客に関する顧客情報の少なくとも一部とともに、色彩情報に基づいて再現した顧客の服装の色彩を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関VIP通知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫、証券会社、消費者金融会社等の金融機関においては、営業店に重要顧客、すなわち、VIP(Very Important Person)が来店した場合には、営業店の職員が出迎えたり、付きっきりで接客したり、応接室に案内したりするようになっている。そこで、VIPが営業店に来店したことを速やかに検出して職員に通知するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
例えば、VIPが営業店に配設された自動取引装置を操作した場合には、該自動取引装置のカードスロットに挿入されたカードに記憶された顧客IDに基づいてVIPであることを識別し、該VIPの氏名、前記VIPが操作している自動取引装置のID番号等の情報を接客係に通知するシステムが提案されている。これにより、前記接客係は、前記VIPを識別して接客することができる。
【0004】
また、例えば、VIPであることを示す情報を記憶したカードを保持したVIPが営業店に来店すると、営業店に配設された検出手段が前記情報を検出するとともに、同じく営業店に配設されたカメラが前記VIPを撮影するシステムが提案されている。この場合、営業店の職員、例えば、接客係にVIPが来店した旨を通知するとともに、モニタにVIPの画像を映し出す。これにより、接客係は、前記VIPをより確実に識別して接客することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−236797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のシステムにおいては、VIPの氏名のみが通知された場合、接客係は、文字列としての情報に基づいてVIPを識別しなくてはならないので、速やかに識別することができず、適切に接客することが困難である。また、VIPが操作している自動取引装置を特定することができても、VIPが自動取引装置から離れてしまうと、VIPを識別することが困難になってしまう。
【0007】
なお、カメラが撮影したVIPの画像を利用すれば、VIPを確実に識別することが可能となるが、当人の同意を得ることなしに顧客の画像を取得することは、個人情報保護の観点から問題がある。また、VIPの画像として、例えば、顔写真を利用しても、営業店内が混雑している場合には、多数の顧客の中から顔写真に基づいて特定の人物を識別することは困難である。
【0008】
本発明は、前記従来のシステムの問題点を解決して、自動取引装置を操作しているVIPの属性情報とともに服装の色彩情報も併せて通知することによって、通知を受けた金融機関の職員がVIPを迅速かつ確実に識別することができ、迅速かつ適切にVIPを接客することができる金融機関VIP通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明の金融機関VIP通知システムにおいては、顧客IDを取得するID取得部及び顧客の少なくとも一部の画像データを取得する画像取得部を備え、前記顧客が操作して取引を行う自動取引装置と、前記顧客に関する顧客情報を格納するデータベース、前記自動取引装置から受信した画像データを分析して前記顧客の服装の色彩情報を取得する色彩分析部、及び、前記自動取引装置から受信した顧客IDと前記データベースに格納されている顧客情報とに基づいて、前記顧客がVIPであるか否かを判定するVIP判定部を備えるサーバと、該サーバから受信した情報を表示する表示装置を備え、営業店に配設された端末とを有し、前記顧客がVIPであると判定された場合、前記サーバは、前記顧客に関する顧客情報の少なくとも一部とともに、前記顧客の服装の色彩情報を前記端末に送信し、該端末の表示装置は、前記顧客に関する顧客情報の少なくとも一部とともに、前記色彩情報に基づいて再現した前記顧客の服装の色彩を表示する。
【0010】
本発明の他の金融機関VIP通知システムにおいては、さらに、前記画像取得部は、前記顧客の顔から下の範囲の画像データであって顔を含まない画像データを取得する。
【0011】
本発明の更に他の金融機関VIP通知システムにおいては、さらに、前記色彩分析部は、前記画像データにおける1σの範囲を占めるRGB数値データの平均値を計算し、該平均値を前記顧客の服装の色彩情報として取得する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金融機関VIP通知システムにおいては、自動取引装置を操作しているVIPの属性情報とともに服装の色彩情報も併せて通知する。これにより、通知を受けた金融機関の職員がVIPを迅速かつ確実に識別することができ、迅速かつ適切にVIPを接客することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における金融機関VIP通知システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における金融機関VIP通知システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態における金融機関VIP通知システムの構成を示す図である。
【0016】
図において、10は本実施の形態における銀行、信用金庫、証券会社、消費者金融会社等の金融機関の情報処理を行うコンピュータセンタである地区センタ等の金融機関センタである。そして、11は、CPU、MPU等の演算装置、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶装置、キーボード、マウス等の入力装置、CRT、液晶ディスプレイ等の表示装置、通信インターフェイス等を備えるサーバであってコンピュータシステムとしてのCN(Channel Navigator)システムであり、金融機関センタ10に配設され、CRM(Customer Relationship Management:顧客情報管理)システムのサーバ側システムとして機能する。前記CNシステム11は、単一のサーバから成るものであってもよいし、複数のサーバから成るものであってもよいし、他のコンピュータシステムとともに構築されたものであってもよい。なお、CRMシステムは、金融機関の顧客30との関係維持のため、顧客情報を一元的に集積し、マーケティング活動に生かすシステムである。
【0017】
また、21は、金融機関の支店等である営業店20に配設されたATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置であり、前記金融機関の顧客30が自分で操作して入金、出金、通帳記帳、残高照会、振込、振替、送金、定期性預金設定等の金融取引を行うための装置である。なお、前記自動取引装置21は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等の商店の店舗、地下街、駅の構内、市役所、病院等の公共施設、工場、事務所等の私企業、駐車場、道路脇(わき)等の屋外等に配設されていてもよい。また、前記自動取引装置21は、他の機能、例えば、チケット予約機能、商品購入申込み機能、クレジットカードの与信確認機能、施設情報案内機能等を有するキオスク(KIOSK)端末のような多機能端末であってもよい。なお、前記顧客30は、金融機関に自己の口座を開設し、前記金融機関を利用する者である。
【0018】
そして、前記自動取引装置21は、キーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置等を備える顧客操作部を有する。なお、該顧客操作部は、入力装置と表示装置との機能を兼ね備えるタッチパネルであることが望ましい。さらに、前記顧客操作部は、音声ガイダンス等を出力するためのスピーカ等の音声出力装置を備えることが望ましい。
【0019】
また、前記自動取引装置21は、キャッシュカード等のカード31を取り扱い、顧客IDを取得するID取得部としてのカード取扱い部を有する。ここで、前記カード31は、金融機関が顧客30に対して発行した入金、出金、振込、残高照会等の金融取引を行うためのカードであり、顧客30の氏名、口座番号、暗証番号、顧客ID等の情報を格納する磁気ストライプを備える。なお、前記情報を格納する部材としては、前記磁気ストライプに代えて、カード31に埋め込まれたICであってもよい。そして、前記カード取扱い部は、カード31が挿入されるカードスロットを備え、該カードスロット内には、カード31を搬送する搬送装置、及び、カード31の磁気ストライプやICに格納された情報の読取り、上書き、消去等を行うための磁気ヘッド等の記録ヘッドが配設される。なお、前記カード取扱い部は他の金融機関の発行したキャッシュカード、クレジットカード、デビットカード等の他の種類のカードも取り扱えることが望ましい。
【0020】
さらに、前記カード取扱い部は取引明細票を発行する機能を備える。該取引明細票は、入金、出金、残高照会、振込、振替、送金、定期性預金設定等の顧客30が行った金融取引に関する情報が印刷される紙片であり、口座番号、金融取引の種類、取引金額等が印刷される。なお、前記取引明細票は、顧客30が希望したときだけに発行されるようにしてもよい。
【0021】
そして、前記自動取引装置21は、預金通帳等の通帳に記帳する通帳記帳部、紙幣を取り扱う紙幣入出金部、及び、硬貨を取り扱う硬貨入出金部を有する。さらに、前記自動取引装置21は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、通信手段等を備え、前記自動取引装置21の動作を統括的に制御する制御部を有する。また、前記自動取引装置21は、図示されない勘定系上位装置としての前記金融機関のホストコンピュータに通信可能に接続され、金融取引を行う。
【0022】
さらに、前記自動取引装置21は、CNシステム11との間で各種情報の送受信を行うチャネルエージェント23を有する。
【0023】
また、前記自動取引装置21は、該自動取引装置21を操作する顧客30を撮影して該顧客30の少なくとも一部を撮影するカメラ22から画像データを取得する画像取得部を有する。すなわち、該画像取得部は、前記顧客30の少なくとも一部の画像データを取得する。前記カメラ22は、一般的なデジタルカメラと同様に、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像手段、レンズ、プリズム等の光学系を備えるものであり、カメラ22が撮影した画像、すなわち、カメラ22が取得した画像データは、RGBのデジタルデータとして画像取得部に送信される。また、前記カメラ22は、自動取引装置21の正面部分に配設されている。具体的には、顧客30が前記顧客操作部に触れて操作する程度の距離に接近した状態において、顧客30の上半身の服装が画面の大半を占めるように撮影することができる位置(例えば、床からの高さが約120〔cm〕であって、自動取引装置21の幅方向の中心付近の位置)に、前記カメラ22が取り付けられることが望ましい。
【0024】
なお、該カメラ22は、必ずしも自動取引装置21の筐体に取り付けられる必要はなく、例えば、三脚その他の、自動取引装置21の筐体とは別個のカメラ用支持部材に取り付けられていてもよい。また、前記カメラ22が自動取引装置21の筐体に取り付けられている場合には、カメラ22自体が画像取得部として機能すると考えることができる。
【0025】
なお、図において、前記自動取引装置21は、一つしか示されていないが、複数であってもよい。
【0026】
さらに、41は、前記営業店20に配設された端末としての職員端末であり、CPU、MPU等の演算装置、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶装置、キーボード、マウス等の入力装置、CRT、液晶ディスプレイ等の表示装置、通信インターフェイス等を備えるパーソナルコンピュータ等のコンピュータであり、前記営業店20に配属されている金融機関の職員40が操作する。なお、該職員40は、例えば、営業店20のロビー等にいる接客係であるが、窓口の担当者であってもよく、他の部署の担当者であってもよい。
【0027】
また、前記CNシステム11は、行動履歴収集部12、色彩分析部13、VIP判定部14、受信部15、通知部16、及び、CNデータベース17を有する。
【0028】
該CNデータベース17は、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶装置から成るデータベースであり、金融機関の職員40である担当者に関するマスタ情報、すなわち、担当者情報(顔写真、プロフィール)、顧客情報(顧客属性に加え、担当者変更フラグ、変更通知の確認フラグを含む)、行動履歴等の情報を蓄積して格納する。
【0029】
また、前記行動履歴収集部12は、自動取引装置21のチャネルエージェント23が送信する顧客30による自動取引装置21の操作履歴、すなわち、行動履歴の電文をCNデータベース17に記録する機能を発揮する。
【0030】
さらに、前記色彩分析部13は、自動取引装置21のチャネルエージェント23が送信する電文に含まれるデジタルデータとしての画像データにおける1σの範囲を占めるRGB数値データの平均値を計算し、該平均値を顧客30の服装の色彩として判定する機能を発揮する。すなわち、前記画像データを分析して、前記平均値を顧客30の服装の色彩情報として取得する。
【0031】
そして、前記VIP判定部14は、CNデータベース17に蓄積された顧客情報と自動取引装置21のチャネルエージェント23が送信する顧客情報とを比較し、VIPフラグ属性が設定されているか否かを判定する機能を発揮する。
【0032】
また、前記受信部15は、金融機関に存在する様々なチャネルや自動取引装置21のチャネルエージェント23からの電文を標準電文に変換して汎(はん)用的に受け取る機能を発揮する。
【0033】
さらに、前記通知部16は、営業店20の職員40が使用する職員端末41にVIPが来店していることを能動的に通知する機能を発揮する。
【0034】
次に、本実施の形態における金融機関VIP通知システムが使用するアルゴリズムについて説明する。
【0035】
まず、顧客30の服装の色彩を分析して判定するアルゴリズムについて説明する。
【0036】
顧客30が、自動取引装置21のカードスロットに自分の保有するカード31を挿入し、顧客操作部を操作して暗証番号を入力すると、チャネルエージェント23は、カメラ22を制御し、顧客30の顔から下の範囲を焦点をぼかした状態、いわゆるピンぼけの状態で、撮影させる。このように、顔を含まない範囲のピンぼけの画像を取得するのは、顧客情報管理の観点から、カード31に記憶されている顧客ID等の顧客情報と生体情報である顔画像とを、顧客30のデータとして紐(ひも)付けしないためである。一般に、当人の同意を得ることなしに顧客30の顔画像を取得することは、個人情報保護の観点から問題がある。そこで、本実施の形態においては、カメラ22によって顧客30の顔画像を取得しないようにして、個人情報保護の問題が発生することを防止している。
【0037】
そして、自動取引装置21が勘定系上位装置である金融機関のホストコンピュータと通信を行って顧客30の個人認証が確定すると、カメラ22が取得した画像データは、RGBのデジタルデータとして、標準電文に含まれる他のデータとともに、CNシステム11に送信される。
【0038】
ここで、該CNシステム11と自動取引装置21との間で送受信を行うための送受信電文の形式について説明する。顧客30が自動取引装置21を操作している旨を連絡するために、該自動取引装置21がCNシステム11に送信する標準電文に含まれるデータには、次の(1−1)〜(1−9)が含まれる。
(1−1)CIF(Customer Information File)番号:金融機関が顧客30を一意に識別するための番号
(1−2)店番号:顧客30が登録されている営業店20の識別番号
(1−3)科目:顧客30が保有する口座の科目
(1−4)口座番号:顧客30が保有する口座の識別番号
(1−5)チャネル種別:顧客30が金融機関とコンタクトしているチャネルの種別(この場合、自動取引装置21)
(1−6)号機情報:自動取引装置21の識別情報
(1−7)行動履歴:顧客30が自動取引装置21を操作して何をしたかを示す履歴情報(すなわち、顧客30による自動取引装置21の操作履歴)
(1−8)行動時刻:顧客30が行動した時刻(すなわち、顧客30が自動取引装置21を操作した時刻)
(1−9)デジタルデータ:カメラ22が取得した画像データ
そして、CNシステム11の受信部15が自動取引装置21から標準電文を受信すると、色彩分析部13は、前記標準電文に含まれるデジタルデータの1σの範囲を占めるRGB数値データの平均値を計算し、該平均値を顧客30の服装の色彩として判定する。
【0039】
また、VIP判定部14は、前記標準電文に含まれるCIF番号等の顧客30を識別する情報に基づいて、顧客30がVIPであるか否かを判定する。そして、顧客30がVIPである場合、通知部16は、営業店20の職員40が使用する職員端末41に対してVIP通知を行い、VIPが来店していることを通知する。
【0040】
前記VIP通知は、標準電文を送信することによって行われる。そして、VIP通知としての標準電文に含まれるデータには、次の(2−1)〜(2−10)が含まれる。
(2−1)CIF番号:金融機関が顧客30を一意に識別するための番号
(2−2)店番号:顧客30が登録されている営業店20の識別番号
(2−3)科目:顧客30が保有する口座の科目
(2−4)口座番号:顧客30が保有する口座の識別番号
(2−5)氏名:顧客30の氏名
(2−6)チャネル種別:顧客30が金融機関とコンタクトしているチャネルの種別(この場合、自動取引装置21)
(2−7)号機情報:自動取引装置21の識別情報
(2−8)行動履歴:顧客30が自動取引装置21を操作して何をしたかを示す履歴情報(すなわち、顧客30による自動取引装置21の操作履歴)
(2−9)行動時刻:顧客30が行動した時刻(すなわち、顧客30が自動取引装置21を操作した時刻)
(2−10)服装の色彩のRGB値:色彩分析部13が判定して取得した顧客30の服装の色彩情報
そして、CNシステム11の通知部16からVIP通知を受信すると、職員端末41は、前記(2−1)〜(2−9)のデータを職員40に見やすい表形式で表示装置に表示する。また、前記(2−10)のデータについては、職員端末41は、RGB値に基づいて服装の色彩を再現して表示装置に表示する。
【0041】
営業店20内が混雑している場合、多数の顧客30の中から特定の顧客30をその顔画像に基づいて探し出すことは困難であり、むしろ、服装の色彩に基づいて探した方が容易に探し出すことができる。
【0042】
次に、本実施の形態における金融機関VIP通知システムの動作について説明する。
【0043】
図2は本発明の実施の形態における金融機関VIP通知システムの動作を説明する図である。
【0044】
まず、営業店20を訪れた顧客30は、営業店20に配設されている自動取引装置21を操作して受付依頼を行い、自動取引装置21の図示されないカードスロットに自分の保有するカード31を挿入する。すると、自動取引装置21のカード取扱い部は、挿入されたカード31から、顧客ID等の顧客30を一意に特定する情報を読み込み、該情報をチャネルエージェント23に伝える。
【0045】
続いて、前記情報を受け取ったチャネルエージェント23は、カメラ22を制御して顧客30を撮影させる。すなわち、カメラ22に対して顧客の撮影指示を出す。そして、チャネルエージェント23は、カメラ22が取得した顧客30の画像データを受け取る。すなわち、デジタル画像情報をカメラ22から取得する。
【0046】
続いて、チャネルエージェント23は、前記(1−1)〜(1−9)のデータを含む標準電文を作成し、金融機関センタ10に配設されているCNシステム11に送信する。すなわち、前記顧客30の行動履歴をCNシステム11に送信する。
【0047】
そして、受信部15がチャネルエージェント23から前記標準電文を受信すると、CNシステム11は、行動履歴収集部12に依頼して、前記標準電文をCNデータベース17に記録させる。つまり、顧客30の行動履歴の記録を依頼された行動履歴収集部12は、前記行動履歴をCNデータベース17に記録する。
【0048】
続いて、CNシステム11は、前記標準電文が含むデータ、すなわち、受信データをキーにして、CNデータベース17から顧客情報を読み込む。そして、CNシステム11は、VIP判定部14に顧客情報を渡し、前記顧客30がVIPであるか否かの判定を依頼する。すると、VIP判定部14は、VIPフラグ属性を照会し、前記顧客30がVIPであるか否かを判定する。
【0049】
ここで、VIP判定部14が前記顧客30がVIPであると判定した場合、CNシステム11は、色彩分析部13に対して、受信データの撮影デジタルデータの色彩判定を依頼する。すなわち、チャネルエージェント23から受信した標準電文に含まれるデジタルデータであるカメラ22が取得した画像データの色彩判定を依頼する。すると、色彩分析部13は、色彩判定を行い、前記画像データのRGB数値データの平均値を計算し、該平均値を顧客30の服装の色彩として判定し、前記服装の色彩情報として取得する。
【0050】
続いて、CNシステム11は、CNデータベース17に蓄積された顧客情報と色彩分析部13が判定した色彩情報とから、職員端末41に通知する標準電文を生成する。なお、該標準電文には、前記(2−1)〜(2−10)のデータが含まれる。そして、CNシステム11は、通知部16に対して、職員40への通知を依頼する。すると、通知部16は、営業店20の職員40が使用する職員端末41に対し、標準電文を送信することによってVIP通知を行い、VIPが来店していることを通知する。
【0051】
そして、職員端末41は、CNシステム11から受信した標準電文から表示装置に表示する画面を生成する。この場合、職員端末41は、VIPである顧客30の属性情報を職員40が見やすい表形式で表示する。また、顧客30の服装については、色彩情報としてのRGB値に基づいて色彩を再現して表示装置の画面に表示する。
【0052】
続いて、職員40は、職員端末41の表示装置の画面に表示された情報を確認する。そして、職員40は前記顧客30をフォローしてコンタクトを試みる。この場合、自動取引装置21の識別情報である号機情報及び顧客30の服装の色彩に基づいて、営業店20内にいる前記顧客30を容易に特定することができる。
【0053】
このように、本実施の形態においては、自動取引装置21を操作しているVIPである顧客30の属性情報とともに服装の色彩情報も併せて職員端末41に通知するようになっている。これにより、接客係等の職員40は、前記顧客30を迅速かつ確実に識別することができ、迅速かつ適切に前記顧客30を接客することができる。
【0054】
また、本実施の形態においては、顧客30の顔画像を取得せず、顔から下の範囲の画像を取得し、該画像に基づいて顧客30の服装の色彩を職員端末41に再現して表示させるようになっている。このように、顧客30の生体情報である顔画像を取得しないので、個人情報保護の問題が発生することを確実に防止することができる。また、職員40は、顧客30の服装の色彩に基づいて顧客30を探し出すので、営業店20内が混雑しているような場合には、顔画像に基づくよりも、むしろ容易にかつ短時間で顧客30を特定することができる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、自動取引装置21によって顧客30の属性情報及び服装の色彩情報を取得する場合について説明したが、営業店20の入口にチャネルエージェント23を備えるとともに、入店許可判定をカード31で行う端末を配設し、該端末にカード31が挿入されたときに顧客30を撮影することによって、顧客30の属性情報及び服装の色彩情報を取得することもできる。
【0056】
また、VIPである顧客30が自動取引装置21を操作している時でなく、営業店20の入口に配設された受付端末を操作している時に、本発明を適用することもできる。
【0057】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、金融機関VIP通知システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
11 CNシステム
13 色彩分析部
14 VIP判定部
17 CNデータベース
20 営業店
21 自動取引装置
22 カメラ
30 顧客
41 職員端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)顧客IDを取得するID取得部及び顧客の少なくとも一部の画像データを取得する画像取得部を備え、前記顧客が操作して取引を行う自動取引装置と、
(b)前記顧客に関する顧客情報を格納するデータベース、前記自動取引装置から受信した画像データを分析して前記顧客の服装の色彩情報を取得する色彩分析部、及び、前記自動取引装置から受信した顧客IDと前記データベースに格納されている顧客情報とに基づいて、前記顧客がVIPであるか否かを判定するVIP判定部を備えるサーバと、
(c)該サーバから受信した情報を表示する表示装置を備え、営業店に配設された端末とを有し、
(d)前記顧客がVIPであると判定された場合、前記サーバは、前記顧客に関する顧客情報の少なくとも一部とともに、前記顧客の服装の色彩情報を前記端末に送信し、
(e)該端末の表示装置は、前記顧客に関する顧客情報の少なくとも一部とともに、前記色彩情報に基づいて再現した前記顧客の服装の色彩を表示することを特徴とする金融機関VIP通知システム。
【請求項2】
前記画像取得部は、前記顧客の顔から下の範囲の画像データであって顔を含まない画像データを取得する請求項1に記載の金融機関VIP通知システム。
【請求項3】
前記色彩分析部は、前記画像データにおける1σの範囲を占めるRGB数値データの平均値を計算し、該平均値を前記顧客の服装の色彩情報として取得する請求項1又は2に記載の金融機関VIP通知システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−204814(P2010−204814A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47932(P2009−47932)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】