説明

鉄の分析方法、魚の品質評価方法及びキット

【課題】 本発明は前記実情に鑑み開発されたものであり、その課題とするところは、簡便、迅速、高感度且つ再現性よく魚赤身等の鉄含有食品の品質を評価し得る技術を提供すること。
【解決手段】 鉄を含有する試料の化学発光による鉄の分析方法であって、該鉄含有試料と過酸化水素とを混合して化学発光させ、発生する化学発光強度の経時変化に基づき試料中に含有される鉄を検知・定量することを特徴とする鉄の分析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学発光を利用した鉄の検知・定量技術に関するものであり、更に詳しくは、魚赤身等の鉄含有試料の品質評価に好適な化学発光を利用した鉄の定量技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚の取引市場において魚の品質は価格決定の重要因子であり、特に鮮度の良し悪しで魚の品質評価は大きく異なる。ところで、市場において魚の品質は多くの場合、買受け人によって評価され価格が決定されているが、これは買受け人の経験等に頼った方法であるため、個人差により品質と価格が必ずしも一致しないことがある。
【0003】
魚の鮮度に関してはK値が用いられることがあるが、マグロなど一部の魚種ではK値が当てはまらない場合があり、それら赤身魚等に関する鮮度評価は普及していない。
【0004】
一方、化学発光分析が試料の劣化度を評価するために用いられてきたが、従来行われてきた手法は経験的な実験条件に基づくものであるため、測定条件によって発光挙動が大きく異なったり、また測定者の経験則に基づいて実験が行われるため、条件によっては判定が異なる危険性がある等の問題点が指摘されていた(例えば、特許文献1、段落0004〜0010を参照)。
【0005】
かかる問題点を解決すべく特許文献1には新たな化学発光分析法が提案されているが、該技術は発光が検知できるレベルまで試料を加熱し、更に酸化の過程で生成するヒドロペルオキシドを評価するため薬品を加えて発光を起こさせるものである(特許文献1、特許請求の範囲を参照。)。化学発光に用いられる試薬は、指標とする物質によって異なっており、様々な試薬が用いられているが、今日まで魚赤身の劣化度を評価するために化学発光分析の際に指標とし得る物質について明確にされたことはなく、故にどのような試薬を用いるかについても明らかとはなっていない。
【0006】
このように、客観的手法による赤身品質の評価方法は普及していないのが実情であり、かかる状況下においては、簡便、迅速、高感度且つ再現性よく魚赤身の品質を評価し得る技術の開発が望まれる。
【特許文献1】特開2002−195951号公報、特許請求の範囲、段落0004〜0010。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記実情に鑑み開発されたものであり、その課題とするところは、簡便、迅速、高感度且つ再現性よく魚赤身等の鉄含有食品の品質を評価し得る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる実情において本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、魚赤身の化学発光分析においては、魚赤身に含まれるミオグロビンを指標とし、更にミオグロビン中の鉄に過酸化水素並びに必要に応じてヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体を作用させることにより、簡便且つ正確に鉄量及び鉄酸化度を測定できることを見出し、以下に示す本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1) 鉄を含有する試料の化学発光による鉄の分析方法であって、該鉄含有試料と過酸化水素とを混合して化学発光させ、発生する化学発光強度の経時変化に基づき試料中に含有される鉄を検知・定量することを特徴とする鉄の分析方法、
(2) 鉄を含有する試料の化学発光による鉄の分析方法であって、該鉄含有試料と過酸化水素とヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体とを混合して化学発光させ、発生する化学発光強度の経時変化に基づき試料中に含有される鉄を検知・定量することを特徴とする鉄の分析方法、
(3) 鉄を含有する試料の化学発光による鉄の分析方法であって、該鉄含有試料と過酸化水素とヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体とを混合して化学発光させ、2価鉄に由来して発生する化学発光強度と、3価鉄に由来して発生する化学発光強度との比の経時変化を測定することにより、試料中に含有される2価鉄と3価鉄の存在比を測定することを特徴とする鉄の分析方法、
(4) ヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体が安息香酸ナトリウムであることを特徴とする(3)項に記載の分析方法、
(5) 化学発光強度の経時変化として最大値又は積算値を用いることを特徴とする(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の分析方法。
【0009】
(6) 鉄を含有する試料が魚であることを特徴とする(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の分析方法、
(7) (1)、(2)又は(5)項に記載の方法を用いた魚の品質評価方法であり、鉄を含有する試料が魚であり、検出された化学発光強度に基づき魚の品質を評価することを特徴とする魚の品質評価方法、
(8) (3)乃至(5)項のいずれかに記載の方法を用いた魚の品質評価方法であり、鉄を含有する試料が魚であり、測定された2価鉄と3価鉄の存在比から魚の鮮度を評価することを特徴とする魚の品質評価方法、
(9) 過酸化水素およびヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体を、各々単独で含有する試薬として含むキット、
(10) 過酸化水素およびヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体を、各々単独で含有する試薬として含み、(1)項乃至(8)項のいずれかの方法に用いられることを特徴とするキット、
(11) ヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体が安息香酸ナトリウムであることを特徴とする(9)項又は(10)項に記載のキット、を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
従来においては化学発光分析を用いた魚赤身の評価技術は確立されていなかったところ、本発明により化学発光分析を用いた魚赤身の簡便且つ客観的な品質評価が可能となった。
【0011】
化学発光は従来金属の酸化劣化度を測定することに用いられ、食品という複合成分が存在する系での測定では物質選択性が困難で実用化にいたらなかったが、本発明により、化学発光分析の利点を生かし、日常における迅速・簡易な食品の品質管理技術が提供された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に係る、鉄含有試料の化学発光による鉄の分析方法は、特に魚赤身の品質・鮮度評価方法として有用であり、上述したように、本発明者等により鉄含有試料の化学発光分析において有用であると見出されたミオグロビンを指標とし、更に該ミオグロビン中に含有される鉄と化学発光することが新たに見出された過酸化水素を発光試薬として利用したものである。
【0013】
すなわち、本発明の分析方法においては、魚赤身等の鉄含有試料と過酸化水素とを混合して化学発光させ、発生する化学発光強度の経時変化に基づき試料中に含有される鉄が定量される。特に赤身魚の赤身中に含有される鉄は、その殆どがヘム鉄であるミオグロビンとして存在するため、本発明の測定結果からミオグロビン量がわかるといえる。赤身魚等の品質評価においては赤身量の多さが評価基準の一つであるところ、本発明により赤身中のミオグロビン量を測定することで赤身量を客観的に評価することができ、故に赤身魚等の試料の品質を評価することができる。
【0014】
なお、本発明において「鉄含有試料」とは、鉄及びヘム鉄などの鉄結合物質を含有する食品、ポリマー、生体由来の試料を意味し、例えば魚赤身、畜肉等が含まれる。魚赤身等の鉄含有試料は、一定量が採取され、例えばそれを粉砕して使用することができる。
【0015】
本発明はまた、鉄含有試料と過酸化水素とによる化学発光を、ヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体が増幅するとの本発明者等により見出された知見に基づき完成されたものであり、鉄含有試料と過酸化水素とヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体とを混合して化学発光させ、発生する化学発光強度の経時変化に基づき試料中に含有される鉄が定量される。
【0016】
ヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体としては、特に限定されるものではなく、例えば、フェノール、カテコール、ピロガロール、没食子酸、安息香酸、カテキン類、フラボン類、イソフラボン、ブラボノイド、アントシアニン、シアニジン、またはこれらの塩を挙げることができる。なかでも安息香酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0017】
本発明者等は更に、鉄含有試料の品質評価技術として、前述した鉄を定量することによる品質評価方法とは別に、特に試料の鮮度を客観的に評価可能な技術を見出した。該技術は、鉄含有試料の酸化劣化度を測定することにより間接的に試料の鮮度評価を行うものであり、赤身等に含まれるミオグロビンは空気に触れることで酸素型ミオグロビンになり、更に空気に触れると酸化型ミオグロビンとなり鉄3価を生成することに着目し、試料中に含有される2価鉄及び3価鉄の割合を測定することにより試料の鮮度評価を可能ならしめるとの観点より完成された。
【0018】
すなわち、化学発光における2価鉄に由来して発生する化学発光強度と、3価鉄に由来して発生する化学発光強度との比の経時変化を測定することにより、試料中に含有される2価鉄と3価鉄の存在比を測定することにより鮮度評価を行うというものである。かかる鮮度評価方法においては、2価鉄に由来する発光強度と3価鉄に由来する発光強度とを区別するために、過酸化水素と共に上記ヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体を用いることを必須要件とし、なかでも安息香酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0019】
後掲の実施例8に実証されているように、試料中に含有される2価鉄と3価鉄の混合割合が異なる各試料の化学発光強度の経時変化を比較した場合、発光ピークが見られる時間が遅い波形を有する試料ほど3価の鉄が多く含まれており、発光ピークが見られる時間が早い波形を有する試料ほど2価の鉄が多く含まれている。このことから各波形を比較して発光ピークが見られる時間が遅い試料ほど酸化劣化度が高いと判定する。
【0020】
本発明に係る鉄の分析方法の一態様を具体的に説明する。所定量の鉄含有試料とヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体とを測定容器に添加し、攪拌子を用いてこれを混合する。測定溶液中におけるヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体の濃度は、好ましくは10μM〜1Mであり、より好ましくは1mM〜100mMである。該混合物を測定用暗箱に設置後、コンピュータを用いて外部入力により測定を開始する。測定開始後、シリンジにより過酸化水素を注入する。
【0021】
シリンジによる過酸化水素注入では、測定開始後自然に発生する発光量が安定したことを確認し、好ましくは測定開始後一定時間を経た後に過酸化水素を注入する。また、シリンジによる注入速度は一定とすることが好ましい。過酸化水素の測定溶液中における濃度は、好ましくは10μM〜10Mであり、より好ましくは10mM〜1Mである。
【0022】
上記の発光現象は反応直後からのごく初期の段階で最大発光が見られ、試薬によって多少の差はあるもののすぐに発光は見られなくなる。発光量は反応直後から測定し、1秒間当たりの最大発光量および単位時間当たりの総合発光量を測定し品質評価を行う。化学発光強度の経時変化は単位時間当たりの化学発光の光量子数の最大値又は積算値を用いることができる。
【0023】
品質評価方法としては、予め指標となる魚赤身を用いて検量線を作成して測定対象の魚赤身の1秒間当たりの最大発光量から組織中ヘム鉄を測定する。魚赤身は血液中に存在するヘモグロビンを減少させるために脱血処理を施しておくことが好ましい。
【0024】
鮮度評価方法としては、魚赤身のヘム鉄酸化度を示すメト価率測定においては2価鉄と3価鉄とで1秒間当たりの最大発光量を示す時間が異なるため、品質評価方法と同様、予め指標となる魚赤身を用いて検量線を作成し、測定対象の魚赤身の1秒間当たりの最大発光量が見られる時間から組織中ヘム鉄のメト化率を測定する。更に詳細なメト化率を測定する場合は、一定量の3価鉄を混合し、添加したことによる最大発光量が見られる時間差からメト化率を測定する。
【0025】
発光量の測定には、極微弱発光測定装置を用いることができる。該極微弱発光測定装置は、測定用の暗箱中に検出器として光電子倍増管および反応用の容器を備えたものであり、光電子倍増管により極微弱発光の光量子を計数できる。発光量の測定中に過酸化水素試薬を注入でききるようシリンジの挿入部がありシリンジ注入により過酸化水素を添加し試料と混合できるようになっていればよく、公知の極微弱発光測定装置を用いることができる。試料容器には攪拌子が備わっており、化学発光強度測定中に試料溶液の混合攪拌ができるようになっていることが好ましい。測定装置内の雰囲気は空気中でも不活性ガス雰囲気でもよく、限定されるものではないが、不活性ガスを用いた場合には酸素による試料の酸化を防ぐことができるため好ましい。使用し得る不活性ガスの種類に特に制限はなく、例えばアルゴン、窒素、ヘリウムあるいはこれらの混合物を用いることができる。
【0026】
本発明に係る鉄含有試料の分析方法においては、上記のように公知の極微弱発光装置を用いることができるが、以下に示すキットを用い、簡便且つ安全に測定を行うことができる。すなわち、本発明により、鉄含有試料の化学発光による分析方法に用い得るキットであって、過酸化水素、およびヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体を、各々単独で含有する試薬として含むキットが提供される。試薬の形態は、試験紙に予め含められた形態であってもよい。これら試薬の外装は試薬を保管し得る性能を充分有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリエチレン、プラスティック等から構成される。
【0027】
キットの構成部材であるヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体含有試薬として、予めベンゼン誘導体を含有させた試験紙を用いたキットを使用した分析方法においては、該試験紙を魚赤身の断面に一定時間接触させ試料採取とする。接触時間は魚種や部位により異なり適宜設定することができる。試験紙を装置に装着し、測定時に過酸化水素と混合し化学発光強度を測定する。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではないことはもとよりである。
【0029】
(実施例1)
鉄含有試料として、平成17年2月24日に塩釜港に水揚げされたメバチマグロの尾先端部より赤身1gを採取し、10mMの安息香酸ナトリウム0.5mlを混合し、極微弱発光測定装置(CLA−FS1)に装着後、588mMの過酸化水素0.5mlを測定と同時に混合し発光を観察した。
【0030】
図1は、前記マグロの市場価格と前記実験において測定した化学発光強度との相関を示すグラフである。マグロの市場価格はマグロ単位量当たりの評価価格であり、いわゆるkg単価である。なお、採取した試料の評価価格を決定した評価者は同一人物であり、各試料間で評価者による評価基準の差はない。
【0031】
グラフの検量線を用いて、例えば価格が1000円/kg台のマグロを並品とし、3000円/kg台のマグロを高級品とすると、本実施例における化学発光強度では4000〜6000countsがマグロの並品となり、7000countsがマグロの高級品となる。
【0032】
(実施例2)
安息香酸ナトリウムに替えて安息香酸を使用した以外は実施例1と同様の条件で発光を観察した。マグロの市場価格と本実験において測定した化学発光強度との相関を示すグラフを図2に示す。ヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体として安息香酸を用いた場合も実施例1と同様の結果が得られた。
【0033】
(実施例3)
鉄含有試料として0.1〜2mM塩化鉄(II)水溶液0.5mlと10mMの没食子酸水溶液0.5mlを混合し極微弱発光測定装置(CLA−FS1)に装着後、588mMの過酸化水素水溶液0.5mlを測定と同時に混合し発光を観察した。
【0034】
化学発光強度と塩化鉄(II)濃度との関係を示す測定結果を図3に示す。塩化鉄(II)濃度と化学発光強度に相関が見られ本発明により定量可能であることがわかった。
【0035】
(実施例4)
塩化鉄(II)に替えて塩化鉄(III)を使用した以外は実施例3と同様の条件で発光を観察した。化学発光強度と塩化鉄(III)濃度との関係を示す測定結果を図4に示す。塩化鉄(III)濃度と化学発光強度に相関が見られ本発明により定量可能であることがわかった。
【0036】
(実施例5)
0.1〜2mM塩化鉄(II)水溶液に替えて0.1〜1mMミオグロビン水溶液を使用した以外は実施例3と同様の条件で発光を観察した。化学発光強度とミオグロビン濃度との関係を示す測定結果を図5に示す。ミオグロビン濃度と化学発光強度に相関が見られ本発明により定量可能であることがわかった。
【0037】
(実施例6)
没食子酸に替えてピロガロールを使用した以外は実施例5と同様の条件で発光を観察した。化学発光強度とミオグロビン濃度との関係を示す測定結果を図6に示す。ピロガロールを用いた場合もミオグロビン濃度と化学発光強度に相関が見られ本発明により定量可能であることがわかった。
【0038】
(実施例7)
没食子酸に替えて安息香酸ナトリウムを使用した以外は実施例5と同様の条件で発光を観察した。化学発光強度とミオグロビン濃度との関係を示す測定結果を図7に示す。安息香酸ナトリウムを用いた場合もミオグロビン濃度と化学発光強度に相関が見られ本発明により定量可能であることがわかった。
【0039】
(実施例8)
鉄含有試料として10mM塩化鉄(II)水溶液と10mM塩化鉄(III)水溶液を0:10〜8:2の比で混合した混合液0.5ml、10mMの安息香酸ナトリウム水溶液0.5mlを混合し、極微弱発光測定装置(CLA−FS1)に装着後、588mMの過酸化水素0.5mlを測定と同時に混合し発光を観察した。
【0040】
塩化鉄(II)水溶液と塩化鉄(III)水溶液の混合割合を変えた場合の化学発光強度の経時変化を測定した結果を図8に示す。塩化鉄(II)水溶液の割合が高いほど発光ピークが見られる時間が早い波形を示し、塩化鉄(III)水溶液の割合が高いほど発光ピークが見られる時間が遅い波形を示した。かかるピーク時間より、本発明により2価鉄と3価鉄の存在比を測定できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】マグロの市場価格と本発明により測定された化学発光強度との相関を示すグラフ。
【図2】マグロの市場価格と本発明により測定された化学発光強度との相関を示すグラフ。
【図3】塩化鉄(II)濃度と本発明により測定された化学発光強度との相関を示すグラフ。
【図4】塩化鉄(III)濃度と本発明により測定された化学発光強度との相関を示すグラフ。
【図5】ミオグロビン濃度と本発明により測定された化学発光強度との相関を示すグラフ。
【図6】ミオグロビン濃度と本発明により測定された化学発光強度との相関を示すグラフ。
【図7】ミオグロビン濃度と本発明により測定された化学発光強度との相関を示すグラフ。
【図8】塩化鉄における2価鉄と3価鉄を混合した試薬の化学発光強度の経時変化を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄を含有する試料の化学発光による鉄の分析方法であって、該鉄含有試料と過酸化水素とを混合して化学発光させ、発生する化学発光強度の経時変化に基づき試料中に含有される鉄を検知・定量することを特徴とする鉄の分析方法。
【請求項2】
鉄を含有する試料の化学発光による鉄の分析方法であって、該鉄含有試料と過酸化水素とヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体とを混合して化学発光させ、発生する化学発光強度の経時変化に基づき試料中に含有される鉄を検知・定量することを特徴とする鉄の分析方法。
【請求項3】
鉄を含有する試料の化学発光による鉄の分析方法であって、該鉄含有試料と過酸化水素とヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体とを混合して化学発光させ、2価鉄に由来して発生する化学発光強度と、3価鉄に由来して発生する化学発光強度との比の経時変化を測定することにより、試料中に含有される2価鉄と3価鉄の存在比を測定することを特徴とする鉄の分析方法。
【請求項4】
ヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体が安息香酸ナトリウムであることを特徴とする請求項3に記載の分析方法。
【請求項5】
化学発光強度の経時変化として最大値又は積算値を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の分析方法。
【請求項6】
鉄を含有する試料が魚であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の分析方法。
【請求項7】
請求項1、2又は5に記載の方法を用いた魚の品質評価方法であって、鉄を含有する試料が魚であり、検出された化学発光強度に基づき魚の品質を評価することを特徴とする魚の品質評価方法。
【請求項8】
請求項3乃至5のいずれかに記載の方法を用いた魚の品質評価方法であって、鉄を含有する試料が魚であり、測定された2価鉄と3価鉄の存在比から魚の鮮度を評価することを特徴とする魚の品質評価方法。
【請求項9】
過酸化水素およびヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体を、各々単独で含有する試薬として含むキット。
【請求項10】
過酸化水素およびヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体を、各々単独で含有する試薬として含み、請求項1乃至8のいずれかの方法に用いられることを特徴とするキット。
【請求項11】
ヒドロキシル基を有するベンゼン誘導体が安息香酸ナトリウムであることを特徴とする請求項9又は10に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−317354(P2006−317354A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141949(P2005−141949)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(591074736)宮城県 (60)
【出願人】(000222026)東北電子産業株式会社 (11)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】