説明

鉛を希釈及び/又は濃縮する方法及び装置

【課題】鉛フリーハンダ中の鉛の含有率を効果的に減少する及び/又は増加することが出来る方法(鉛を希釈する及び/又は濃縮する方法)及び装置(鉛を希釈する及び/又は濃縮する装置)の提供
【解決手段】鉛フリーハンダを溶解する装置(1、3)と、溶解した前記鉛フリーハンダをスラリー状態にする装置(1、4)と、スラリー状態の前記鉛フリーハンダを固相の金属と液相の金属に分離する固液分離装置(2)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる「鉛フリーハンダ」に混入した鉛を希釈及び/又は濃縮する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハンダは錫と鉛の合金であった。近年の環境保護に対する意識の高まりに伴い、鉛に対する規制が厳しくなり、鉛を含有しないハンダ、いわゆる「鉛フリーハンダ」、「無鉛ハンダ」が開発され、用いられている。
その様な鉛フリーハンダとしては、錫、銀、銅ハンダ(Sn−Ag−Cuハンダ)が主流となっている。
【0003】
ここで、鉛フリーハンダにおいても、フロー炉などでの使用では微量の鉛が混入し、次第に鉛の含有率が高くなっていくのが実情である。
しかし、鉛フリーハンダにおける鉛含有率に関する規制は、大変に厳しくなっている。
例えば、ヨーロッパではRoHS指令により、鉛フリーハンダにおける鉛含有率は、0.1wt%が上限とされている。そして、我国でもJ−MOSS「電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法」に適応するため、JIS Z3282「はんだ−化学成分及び形状」で鉛含有率は、0.1質量%以下と規定されている。そのため我国のハンダ製造メーカーにおいては、鉛フリーハンダにおける鉛含有率を、上限0.05質量%で管理している場合が多い。
【0004】
鉛フリーハンダにおける鉛含有率に関する厳しい要求に応えるためには混入・濃化した鉛の除去が必要である。例えば、偏析凝固の原理に基づく、回転浸漬法を用いて、鉛が混入していたハンダから、錫のみを回収して、鉛フリーハンダの鉛含有率を減少させることが考えられる(例えば、特願2008−189606参照)。
しかし、上記の方法では添加元素・貴金属であるCuとAgも同時に除去されるため、材料コストアップにつながる問題がある。
【0005】
その他の従来技術として、回転冷却体を回転させながら内壁側を冷却し、回転冷却体外側表面に純度の高いアルミニウムを晶出させて、アルミニウムと共晶を生成する不純物を取り除いて、高純度のアルミニウムを得る技術が存在する(特許文献1参照)。この技術によれば、高純度シリコン(珪素)に適用することが可能である。
また、作業時において晶出した高純度アルミニウムの剥離を防止するため、回転冷却体の表面に幅が狭く、深さ寸法が大きい溝を多数形成する技術も存在する(特許文献2)。
【0006】
しかし、特許文献1、2は、アルミニウムやシリコンの精製に関する技術であり、鉛を含有する鉛フリーハンダから錫を回収し、以って、鉛を除去する旨については何等開示していない。
そのため、特許文献1、2では、鉛フリーのハンダの鉛含有率を効率的に減少することは不可能である。
【0007】
また、特許文献1、2は、精製の対象となる技術がアルミニウム、シリコンであり、鉛に比べこれらは何れも溶融温度が非常に高温であり、且つ、化学的活性が高い。そのため、晶出に用いられる回転冷却体の材料としては、耐高温及び耐エロージョン(耐食性)を考慮しなければならず、カーボン或いはセラミック以外には使用することができなかった。そして、カーボン、セラミックは材料価格が高価であり、機械的な加工が困難な材料であり、且つ、セラミックスやカーボン製の回転子は、その寿命が短いため、交換頻度が高いという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭57−82437号公報
【特許文献2】特開平6−2054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、鉛フリーハンダ中の添加元素、例えばCu、Agの含有率を維持しつつ、鉛の含有率を効果的に減少及び又は増加することが出来る方法(鉛を希釈及び/又は濃縮する方法)及び装置(鉛を希釈及び/又は濃縮する装置)の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者等は鋭意努力により、鉛フリーハンダを半凝固段階で固液分離すると固相側の鉛含有率が減少し、液相側の鉛含有率が増加することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の鉛フリーハンダに含有される鉛を希釈及び/又は濃縮する方法(以下、精製ともいう。)は、鉛を含有する鉛フリーハンダをスラリー状態にする工程(S1〜S3)と、当該スラリーを固液分離する工程(S6)とを有することを特徴としている。
ここで、前記「スラリー」なる文言は、液相(鉛リッチな鉛フリーハンダ:M2)と固相(鉛プアーな鉛フリーハンダ:M3)とが混在している状態(半凝固状態)を意味している。なお、「鉛リッチ」、「鉛プアー」は、それぞれ、当初の鉛フリーハンダよりも鉛含有率が高い場合と、低い場合を意味している。
また、前記「固液分離」なる文言は、半凝固状態のスラリーから液相(M2)と固相(M3)とを分離することを意味している。
【0011】
本発明において、二次精製、三次精製等の高次精製で鉛フリーハンダから鉛を更に希釈及び/又は濃縮するため、前記固液分離する工程(S6)で分離された固相(M3)をスラリーの状態にする工程と、そのスラリーを固液分離する工程とを有するのが好ましい。
【0012】
そして、前記固液分離工程(S6)が、加圧による濾過分離(加圧篩分)であるのが好ましい。または、遠心分離であるのが好ましい。
さらに、前記鉛フリーハンダの鉛含有率が1wt%以下であるのが好ましい。
【0013】
また、本発明の鉛フリーハンダから鉛を希釈及び/又は濃縮する装置(100)は、鉛フリーハンダを溶解する装置(1、3)と、溶解した前記鉛フリーハンダをスラリー状態(M1)にする装置(1、4)と、スラリー状態の前記鉛フリーハンダ(M1)を液相(M2)と固相(M3)に分離する固液分離装置(2)を有することを特徴としている。
【0014】
本発明の装置の実施に際して、前記固液分離装置(2)は、ピストン(5)及びシリンダ(1)から構成されるのが好ましい。
或いは、前記固液分離装置(2A)は、その内部に前記スラリーを収容する中空容器(1A)と、スラリーを押圧する中空押圧部材(1B)と、当該押圧部材(1B)の一端を被覆するメッシュ(1C)とを有するのが好ましい。
さらに、前記固液分離装置(2B)は、遠心分離装置(6〜8)で構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上述する構成を具備する本発明によれば、スラリー状態(半凝固状態M1)の鉛フリーハンダを固液分離するという極めて簡単な処理によって、鉛リッチ(液相M2)と鉛プアー(固相M3)とに分離することが出来る。
これにより、鉛フリーハンダ中から混入した鉛を容易且つ効率的に除去することが出来るので、鉛フリーハンダ中の鉛含有率を減少させることが出来る。
【0016】
そして、本発明において、前記固液分離により分離された固相(残留部M3:鉛プアー)を再びスラリー状態(M1)にして、そのスラリー(M1)を固液分離することにより、二次精製、三次精製等の高次精製を実行することが出来る。なお、液相(濃縮部M2:鉛リッチ)について、高次精製を実行することも可能である。
そして、固相(残留部M3)をスラリー(M1)状態にして、上述の高次精製を行なえば、鉛フリーハンダ中の鉛含有率を、所望のレベルまで減少させることが可能である。
【0017】
これに加えて、本発明では、鉛フリーハンダ溶解温度以上の高温は必要とされず、アルミニウムやシリコンの様に、化学的活性が高い原料は取り扱う必要がない。
そのため、本発明の実施に際しては、使用する機器の材料に耐高温及び耐エロージョン(耐食性)を考慮する必要は少ない。
さらに、カーボンやセラミックの様に、材料価格が高価で、機械的な加工が困難な材料を使用する必要がない本発明では、導入コストを低く抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の概要を示すブロック図である。
【図2】容器において鉛フリーハンダを溶解する機構を示すブロック図である。
【図3】降温してスラリーを得るまでの容器を示す拡大断面図である。
【図4】Sn−Ag−Cu系鉛フリーハンダでAg以外の添加成分を固定した場合の、SnとAgの二元系状態図である。
【図5】図4に示す鉛フリーハンダのAg1.4wt%の場合において、冷却速度と各段階の液相と固相の状態を示す図である。
【図6】プレス機構により、固液分離を行う状態を示す説明図である。
【図7】図6のプレス機構によってスラリーを加圧する状態を模式的に示す図である。
【図8】第1実施形態における固液分離の原理を説明する部分拡大図である。
【図9】固液分離後の容器内部を示す断面図である。
【図10】第1実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態の概要を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3実施形態における固液分離の原理を説明する説明図である。
【図13】本発明の第4実施形態における固液分離の原理を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
鉛フリーハンダはSnを基材とするが、使用される金属の種類により幾つかの種類がある。最も使用されているのがSn−Ag−Cu系であり、電子情報技術産業協会は、特に、Sn−3.0%Ag−0.5%Cuを標準組成として推奨している。したがって、以下に「ハンダ」と云う場合は「鉛フリーハンダ」を意味し、Sn−Ag−Cu系鉛フリーハンダを前提に説明する。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図10は、本発明の第1実施形態を示している。
図1は第1実施形態の概要を示している。図1において、全体を符号100で示す鉛の希釈装置は、容器1とプレス機構2とを有している。
図1において、容器1は、符号αで示す固液分離前のハンダを収容している状態と、符号βで示す固液分離中の状態と、符号γで示す固液分離後のハンダを収容している状態の3通りが示されている。
容器1は、鉛フリーハンダを溶解する装置として機能すると共に、溶解した前記鉛フリーハンダをスラリー状態M1にする装置としても機能する。
プレス機構2(図1では容器1をセットした状態が示されている)は、固液分離装置(以下、プレス機構を「固液分離装置」と記載する場合もある)として機能する。
プレス機構2の詳細構成については、図6〜図9を参照して後述する。
【0020】
固液分離前のハンダを収容している状態を示す容器1(図1では符号αで示す)において、容器1内のハンダを溶融する機構が、図2で例示されている。
図2において、容器1内には、鉛を希釈するべきハンダM0が充填されており、容器1の周囲には高周波コイル3が巻き回されている。
図2において、高周波コイル3に高周波電流を流すことにより、誘導加熱の原理により容器1内が加熱されて、ハンダM0は溶融する。
【0021】
図3で示す容器1は、固液分離前の溶解したハンダを収容しており(図1の符号αで示す容器1)、係る容器1は、攪拌子4と、攪拌子駆動用のロッド41とを備えている。攪拌子4は、容器1に充填された溶融したハンダM1を攪拌する。
ここで、攪拌子4を設けるのは、溶融して液相となったハンダM1を攪拌してやらないと、ハンダM1が降温してスラリー状となるまでの間に、容器1の内壁面11近傍のハンダが固相となってしまうからである。換言すれば、攪拌子4で攪拌して均熱してやれば、容器1の内壁面11近傍のハンダが固化することなく、容器1内全体が均等にスラリー状M1になる。
【0022】
ここで、容器1内のハンダM1或いはハンダの組成分である金属の状態について、図4、図5を参照して説明する。
図4は、容器1内のハンダM1と同様にSn−Ag−Cu系鉛フリーハンダであって、Sn、Ag以外の組成成分は固定された二元系状態図である。
図5は、図4においてAgの含有量を1.4wt%とした場合を例とする、冷却曲線と冷却の各段階の固相・液相状態の説明図である。
【0023】
図4の状態図において、符号Lで示す領域(右下がりのハッチングを付して示す領域)は、全ての金属が溶融して液相となっている状態である。
符号Kで示す領域(左下がりのハッチングを付して示す領域)は、全ての金属が固相となっている状態である。
そして、一部の金属が液相であるが、一部の金属が固相となっている状態が「スラリー」の状態であり、図4では、領域Lと領域Kとの間の領域であって、白抜きの領域S(ハッチングを付していない領域)である。
【0024】
上述したハンダが溶融した状態から降温すると、図4において「Ag1.4wt%」と表示された直線を上方から下方へ移動して、変化する。
図4の直線「Ag1.4wt%」を上方から下方へ移動する変化は、図5における特性線LEを左上から右下に移動する変化に相当する。
図4の領域Lは、図5においては、図5の特性線LEにおける点PLSよりも上側の領域である。図5において、特性線LEにおける点PLSよりも上側の領域におけるハンダの状態は、符号SLで示す様に、完全に液体である。
【0025】
図4において、ハンダの温度が低下すると、スラリー状の領域Sとなる。
スラリー状の領域Sは、図4の直線「Ag1.4wt%」及び図5の特性線LEにおいて、点PLSと点PSKとの間の領域である。
この状態では、先ず図5の符号SS1で示す様に凝固核Cが形成され、そして符号SS2で示す様に当該凝固核Cが成長する。さらに、符号SS3で示すように、当該凝固核C(符号SS2、SS3における白抜きの粒子)が増加、増大する。
【0026】
さらに温度が低下して、図4の直線「Ag1.4wt%」及び図5の特性線LEにおける点PLKよりも下方の領域に行くと、スラリーの状態M1(領域S)から固相の状態(領域K)になってしまう。
【0027】
図示の実施形態では、半凝固状態(スラリーの状態)のハンダとして、図4の直線「Ag1.4wt%」及び図5の特性線LEにおける点PLSと点PSKとの間の領域となったハンダM1を指している。換言すれば、図4の直線「Ag1.4wt%」及び図5の特性線LEにおける点PLSと点PSKとの間の領域となったハンダM1が、後述する固液分離操作の対象となる。
そして、図3における容器1内のハンダM1、すなわちスラリー状のハンダM1は、図4の直線「Ag1.4wt%」及び図5の特性線LEにおける点PLSと点PSKとの間の領域のハンダである。
【0028】
図4において、スラリー状のハンダM1では、液相(符号L)と固相の錫(Sn)とが混在した状態(L+Sn)、液相(符号L)と固相の錫(Sn)と金属間化合物AgSnとが混在した状態(L+Sn+AgSn)、液相(符号L)と固相の錫(Sn)と金属間化合物AgSnとCuSnとが混在した状態(L+Sn+CuSn+AgSn)の何れかである。
その様な状態で、固液分離すると、混入している微量の鉛は、液相側と固相側とに分配される。その際に、固液両相への分配率が異なり、固相側における鉛の含有量は極めて少なくなる。すなわち、固相では、鉛が希釈されることになる。
そのため、図1で示すように、スラリー状のハンダM1が容器1内に貯蔵されている状態(図1のβの状態)で、当該容器1内のスラリー状のハンダM1を固液分離する。
【0029】
係る固液分離については、図6で示すプレス機構2により、実行される。
図6において、プレス機構2は、コラム21、ワーク載置ベース22、押圧用雌ねじを有するナット23、ナット取付け部材24、押圧ハンドル25を有している。
ワーク載置ベース22、ナット取付け部材24は、ともにコラム21に固設されている。
ナット23は、ナット取付け部材24の上面に固着されている。ナット取付け部材24におけるナット23のねじ孔(雌ねじ)と同心位置には、貫通孔24aが形成されている。貫通孔24aの内径は、ナット23の雌ねじ内径よりも僅かに大きい。
【0030】
押圧ハンドル25は、ハンドル本体25aと雄ねじ25bを有する押圧ロッド25cとを備えている。押圧ロッド25cにおける雄ねじ25b側は、ハンドル本体25aに固着されている。押圧ロッド25cは、ナット取付け部材24の貫通孔24aを貫通している。
ここで、容器1の開口部は、蓋12で閉鎖されている。蓋12の中心には貫通孔13が形成され、貫通孔13には押圧ロッド25cが貫通している。
押圧ロッド25cにおける雄ねじ25bは、ナット23の雌ねじと螺合している。そのため、押圧ハンドル25を所定方向に回転すれば、押圧ハンドル25全体が下降して、押圧ロッド25cの先端25eが、容器1内のピストン5の上面5aを押圧する。
【0031】
ここで、図6のプレス機構2において、容器1(図1では符号βで示す状態)は、ピストン5に対するシリンダとして機能している。
すなわち、図7で示すように、容器1内にピストン5を挿入して、ピストン5を図7の下方に押圧すれば、容器(シリンダ)1内におけるスラリー状のハンダM1が加圧される(図7の矢印P)。
【0032】
図6において、ピストン5の外径は、シリンダ(容器)1の内径に比較して僅かに小さく設定されている。そのため、ピストン5を図6の下方に押圧する際には、ピストン5の外周部51とシリンダ(容器)1の内壁面11との間に、僅かな隙間が形成される(図8参照)。
係る僅かな隙間は、図8において、ピストン5の外周部51とシリンダ1の内壁面11との間において、符号δ(或いは寸法δ)で示されている。この隙間δは、液相であれば通過可能であるが、固相は通過出来ない様な寸法、として設定されている。
【0033】
発明者の実験では、寸法δ(図8参照)は、0.4mmから0.6mm、特に0.5mmが好適であった。
他の条件を同一にして、寸法δのみを0.05mm刻みで変化させて実験を行なったところ、寸法δが0.35mm以下では、液相がピストン5の外径と、シリンダ1の内径との間の環状空間(寸法δの隙間)を通過する際の抵抗が大きく、固液分離が効率的に行なわれなかった。
一方、寸法δを0.65mm以上にすると、液相のみならず、固相(Sn、固相のSnとAgSnとが混在した組織、固相のSnとAgSnとCuSnとが混在した組織)も、寸法δの隙間を通過して液相側に移動し、そのため、液相における鉛の含有率が小さくなってしまい、相対的に、固相における鉛の希釈効率が低下してしまった。
【0034】
図6〜図8において、ピストン5をシリンダ(容器)1内のスラリー状のハンダM1に向かって押圧し、以って、スラリー状のハンダM1を加圧すると、液相(鉛リッチ)のみが、隙間δ(ピストンの外周部51とシリンダの内壁面11との間の環状空間)を通過して、ピストン(容器)1の上方の空間に移動する。
【0035】
図9は、図1における容器1(固液分離後の状態:符号γ)を示し、液相(鉛リッチ)がピストン上方の空間に移動した後におけるシリンダ(容器)1内の状態を示している。
なお図9で示す状態では、ピストン5の上下の領域が、共に固化している。
図9及び図1において、ピストン5上方の領域は、本明細書では、「濃縮部」M2と記載することがある。この濃縮部M2は、ピストン5の押圧時に液相が移動して凝固した領域であり、鉛の濃度が高くなる領域である。
一方、ピストン下方の領域は、本明細書では、「残留部」M3と記載することがある。この残留部M3は、ピストン5の押圧時に固相が残留した領域である。
図9の状態において、シリンダ1内の金属を取り出して、切断し、濃縮部M2と残留部M3にすれば、残留部M3において、鉛含有率の減少したハンダが得られる。
【0036】
図1〜図9を参照して説明した装置100を用いて、鉛を希釈及び/又は濃縮する方法を実施する手順について、図10を参照して説明する。
図10において、ステップS1では、容器1(図1のα)にハンダM0(Pb含有Sn−Ag−Cuハンダ)を入れる。
次のステップS2において、容器1(図1のαの状態)に入れたハンダM0を加熱溶解する(図2参照)。そしてステップS3に進み、容器1に攪拌子4を入れて攪拌子4を回転しつつ、溶解したハンダM1を冷却する(図3参照)。
【0037】
ハンダM1が好適な半凝固状態(スラリーの状態:図4参照)になったら攪拌子4を容器1から取り外す(ステップS4)。
そしてステップS5に進み、好適な半凝固状態になったハンダM1が入った容器1(図1のβ)を、固液分離を行なうためのプレス機構2(図6)にセットする。
ステップS6では、プレス機構2のピストン5で半凝固状態のハンダM1を押圧して、半凝固状態になったハンダM1を固液分離する(図6〜図8参照)。
【0038】
ステップS7において、半凝固状態のハンダを固液分離した後、容器1中で固相及び液相(M2、M3)を固化する(図9参照)。
ステップS8では、固化した金属(濃縮部M2、ピストン5、残留部M3)を容器1から取り出す。そして、容器1から取り出した金属を、濃縮部M2とピストン5と残留部M3とに切断する(ステップS9)。
上述した様に、残留部M3における鉛の含有率は減少し、濃縮部M2における鉛の含有率は増加している。これにより、図10における鉛を希釈及び/又は濃縮する方法が完了する。
【0039】
図1〜図10で説明した第1実施形態の作用効果について、実験例1を参照して説明する。
【0040】
実機で使用する試験材料、濃縮部及び残留部の化学成分は、JIS Z3910「はんだ分析方法」に基づき、ドリルにより各々から資料(切り粉)を採取して、ICP発光分光分析(JIS K0116に準じる)により分析した。
IPC発光分光分析機は、ICPS−1000III(島津製作所株式会社製のシーケンシャル形高周波プラズマ発光分析装置の型式番号)を使用した。
[実験例1]
実験例1では、図1〜図10を参照して説明したプレス機構2を用いて、以下の条件で、一次精製について実験した。なお、本実験は、後述する二次精錬、三次精錬の実験を行うに必要な残留部M2、濃縮部M3を確保するため4回実験を行った。
先ず、表1で示す化学成分の試験材料(Pb含有Sn−Ag−Cuハンダ;凝固温度218℃)1.0kg〜1.5kgを電気炉(図示せず)で溶解した。そして、溶湯(溶解したハンダ)をさらに加熱して、230℃〜240℃に昇温した。
なお、図2を参照して説明したように、高周波コイル3を備えた容器1そのものを加熱することも可能であるが、実験例1では、容器1とは別途設けられた電気炉で、試験材料であるハンダを溶解した。
表1

【0041】
溶湯を容器1に移し、攪拌子4を容器1中に挿入した(図1のαの状態)。そして、攪拌子4を回転しながら溶湯の温度を降温した。
そして容器1内の溶湯の状態を目視で観察し、固相の比率が50%以上の半凝固状態M1(スラリーの状態:図4参照)になったならば、攪拌子4を容器1から取り除いた。
そして、容器1を図6のプレス機構2の台上に設置した。
【0042】
ここで、第1実施形態では、図4の横軸(Ag含有量)が1.4wt%の直線(縦軸に平行な直線)に沿って、組織の状態が変化するものとして説明した。
これに対して、実験例1では、Ag含有量が2.62wt%の直線(横軸のAg含有量が2.62wt%であり、且つ、縦軸に平行な直線:図4では図示せず)に沿って、組織の状態を変化させている。そして、目視により、Ag含有量が2.62wt%の直線において、固相の比率が50%以上の半凝固状態M1となってから、攪拌子4を容器1から取り外し、容器1をプレス機構2に設置した。
【0043】
プレス機構2では、容器1内にピストン5を挿入して、容器1内の半凝固状態の試験材料を徐々に加圧した。そして、圧力が7MPaに達したならば、その状態を10秒間保持した後、ピストン5により加圧を解除した。
実験例1では、容器1の内径とピストン5の外径との差は1mmであり、図8において符号δで示す寸法は0.5mmに設定されている。
図6〜図8を参照して説明した様に、ピストン5により加圧されると、容器1に収容された半凝固状態のハンダM1は、液相が図8において符号δで示す隙間を通過して、ピストン5上方の領域に移動する。
固相(Sn、SnとAgSnとが混在した組織、SnとAgSnとCuSnとが混在した組織)は、加圧されても、符号δで示す隙間を通過することができず、ピストン5下方の領域に留まる。
【0044】
プレス機構2による加圧後、容器1を放置して空冷した。
そして、容器1の外面における温度が180℃以下まで降温した時点で、固液分離された金属が収容されている状態で、容器1を水冷した。
水冷後、容器1の外面の温度が室温まで降下して、図示しない油圧ジャッキを用いて、容器1と内容物(濃縮部M2、ピストン5、残留部M3)とを分離した。
そして、当該内容物を、図示しないハンドソーを用いて切断し、濃縮部(液相に対応)M2と、ピストン5と、残留部(固相に対応)M3に分離した。
【0045】
実験例1における実施条件の一例は、以下の通りである。
溶湯量は1400g、
溶湯の温度は235℃まで昇温、
固液分離による液相の量は940g、
固相の量は460g(固相比率は32.9%)、
固液分離の際の圧力が7MPa。
【0046】
濃縮部M2、残留部M3の分析結果の一例を、表2に示す。
表2

【0047】
表2において、残留部(固相に対応)M3における鉛含有率は、濃縮部(液相に対応)M2に比較して、遥かに低くなっている。
また、表2の残留部(固相に対応)M3における鉛含有率(0.11wt%)は、表1で示す試験材料における鉛含有率(0.31wt%)に比較して、1/3近く低減されている。
実験例1から、第1実施形態によれば、ハンダ中の鉛含有率を減少及び/又は増加できることが明らかになった。
【0048】
次に、図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、第1実施形態で分離された残留部M3或いは濃縮部M2を、さらに精製して、二次精製、三次精製・・・を行なっている。
図11において、容器α2の内容物H2は、実験例1における固液分離の際の残留部M3(固相に対応する部分)を集めたものである。
図2で説明したのと同様に、残留部M3を収容した容器1(α2)を加熱して、当該残留部M3を溶解させる。
そして、第1実施形態と同様な固液分離処理を行なうことにより、二次精製が行なわれる。
その結果、固液分離後に室温と同程度に冷却された容器1(図11の符号γ2)では、二次精製において、固液分離後の液相部に相当する二次精製濃縮部M2−2と、固液分離後の固相部に相当する二次精製残留部M3−2とに分離される。
二次精製残留部M3−2では、鉛の含有率がさらに低減する。
【0049】
二次精製の対象として、上述の説明では、一次精製(第1実施形態による精製)の残留部M3を精製しているが、一次精製の濃縮部M2(液相部に対応する部分:鉛リッチ)を二次精製の対象にすることも可能である。
第2実施形態の作用効果については、実験例2を参照して説明する。
【0050】
[実験例2]
実験例2では、実験例1における濃縮部M2(実験例1の固液分離における液相に相当する部分M2)に対して、二次精製を行なった。なお、本実験は、後述する三次精錬の実験を行うに必要な濃縮部M2、残留部M3を確保するため2回実験を行った。
試験材料は、実験例1の繰り返し実験で得られた濃縮部M2から集めた1.0〜1.5kgを使用した。表3は、当該試験材料(凝固温度219℃)の組成を示している。
そのため、表3で示す実験例2の二次精製における試験材料の化学組成は、実験例1で集めた濃縮部M2の平均値であり、表2の濃縮部における化学組成とは若干異なっている。
【0051】
実験例2における実施条件の一例は、以下の通りである。
溶湯量は1200g、
溶湯の温度は235℃まで昇温、
固液分離による液相の量は800g、
固相の量は400g(固相比率は33.3%)、
固液分離の際の圧力が7MPa、
【0052】
表3

【0053】
固液分離を含む精製の手順、分析の手法については、実験例1と同様である。
実験例2における二次精製の結果の一例を表4に示す。
表4

【0054】
表3における試験材料の鉛含有率と、表4における濃縮部M2−2の鉛含有率とを比較すれば明らかなように、実験例2における二次精製の結果として、濃縮部M2−2の鉛含有率は増加している。
そして、表3における試験材料の鉛含有率と、表4における残留部M3−2の鉛含有率とを比較すれば、表4における残留部M3−2の方が、表3の試験材料に対して1/2以上減少している。
このことから、実験例2とは逆に、一次精製の残留部M3を二次精製すれば、鉛の含有率をさらに少なくすることが出来ることが明らかである。
【0055】
[実験例3]
実験例3では、実験例2の二次精製における濃縮部(二次精製の固液分離における液相に相当する部分M2−2)に対して、三次精製を行なった。試験材料(凝固温度;220℃)は、実験例2の繰り返し実験で得られた濃縮部M2−2から集めた1.5kgを使用した。
【0056】
実験例3における実施条件は、以下の通りである。
溶湯量は1500g、
溶湯の温度は235℃まで昇温、
固液分離による液相の量は800g、
固相の量は700g(固相比率は46.7%)、
固液分離の際の圧力が7MPa、
【0057】
実験例3の試験材料は、実験例2を複数回に亘って実験を繰り返して、濃縮部M2−2を集めて使用したため、表5で示す実験例3(三次精製)の組成は、実験例2(二次精製)の結果としての濃縮部(二次精製濃縮部)M2−2における組成(表4参照)と若干異なっている。
表5

【0058】
実験例3(三次精製)における結果を表6に示す。
表6

【0059】
表5における試験材料の鉛含有率と、表6における濃縮部M2の鉛含有率より、実験例3における三次精製の結果においても、濃縮部の鉛含有率は増加している。
そして、表5における試験材料M2−2の鉛含有率と、表6における残留部M3−3の鉛含有率とを比較すれば、表6における残留部M3−3の方が、表5の試験材料M2−2に対して1/2以上減少している。
このことから、実験例3とは逆に、二次精製の残留部M3−2を三次精製すれば、鉛の含有率をさらに少なくすることが出来ることが明らかとなった。
そして、実験例2及び実験例3の結果から、精製を複数回に亘って繰り返すことによって、鉛の含有率を所望のレベルまで減少出来ること、逆に所望のレベルまで増加出来ることが推定される。
【0060】
第2実施形態におけるその他の構成や作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0061】
次に、図12を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
第1実施形態では、図6〜図8で示すように、ピストン5の外周部51とシリンダ1の内壁面11との間に寸法δの隙間を形成し、液相であれば当該隙間δを通過可能であるが、固相であれば通過出来ない様に、寸法δを設定している。
これに対して、図12で示す第3実施形態では、内部にスラリーを収容する中空容器1Aと、スラリーを押圧する中空押圧部材1Bを有している。
【0062】
中空押圧部材1Bの図12における下端部はメッシュ(例えば、♯40のメッシュ)1Cで覆われ、上端は押圧板5Aに当接している。
押圧板5Aにおける中空押圧部材1Bの投影部分で、押圧ロッド25cの投影部分ではない領域には、圧力レリーフ孔5Ahが形成されている。
中空容器1Aは、図示を省略したプレス機構2Aのワーク載置ベース22上に載置される。そして、固液分離に際して、押圧ハンドル25(図6参照)を回すと、押圧板5Aは、押圧ハンドル25の押圧ロッド25cの先端25eによって、図12における下方に押圧される。
押圧板5Aが押圧ロッド25cによって押圧されると、中空押圧部材1Bは、スラリーを収容する中空容器1A内を下降する。そして、容器1A内の半凝固状態のハンダは加圧され、その内の液相は当該メッシュ1Cを通過して、中空押圧部材1Bの内部に移動する。一方、固相はメッシュ1Cを通過せず、容器1A内部に留まる。
これにより、固液分離が行なわれる。
なお、圧力レリーフ孔5Ahは、液相が中空押圧部材1B内に進入する際に、内部空間が圧縮される際の空気圧を逃がすために設けている。
図12における符号Pは、押圧力およびその反力の作用方向を示している。
【0063】
発明者の実験では、メッシュ1Cは♯32〜♯48が好適であった。
他の条件を同一にして、実験を行なったところ、♯32よりも目が粗いメッシュでは、液相のみならず、小径の固相、例えば固相のSn、固相のSnとAgSnとが混在した組織、固相のSnとAgSnとCuSnとが混在した組織もメッシュを通過するため、メッシュを通過した液相側における鉛の含有比率が小さくなってしまい、固相側における鉛の希釈効率が低下してしまった。
一方、メッシュの目が♯48よりも細かければ、液相がメッシュを通過する際の抵抗が大きく、固液分離が効率的に行なわれなかった。
【0064】
図12の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図11の実施形態と同様である。
【0065】
図13を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図13で示す第4実施形態では、遠心分離の原理により、固液分離を行なっている。
図13における符号2Bは、遠心分離装置(固液分離装置)を示している。
図13の第4実施形態でも、半凝固状態(スラリー状)のハンダが充填された容器6の一端(容器における半径方向外側の端部)を、メッシュ(例えば、♯40のメッシュ)7で覆っている。
第4実施形態では、メッシュ7で覆われている端部とは反対側の容器の端部(容器における半径方向内側の端部)が、ジョイント部材8等により、回転機構9に取り付けられている。
メッシュ7で端部を覆った容器6は、回転機構9のバランスを考慮して、図示の例では2つ設けている。
【0066】
図13の矢印Rで示すように、回転機構9によって容器6を回転することにより、容器6内の半凝固状態のハンダに遠心力が作用して、半径方向外側に加圧される。
遠心力により、半凝固状態のハンダが半径方向外側に加圧されると、液相は当該メッシュ7を通過して、容器6外の領域に移動する。ただし、液相が移動する「容器6外の領域」は、円筒状の回収容器1Dの内周部である。
一方、固相はメッシュ7を通過しないので、遠心力が作用しても容器6内部に留まる。
これにより、固液分離が行なわれる。
【0067】
第4実施形態についても、第3実施形態と同様に実験を行なった結果、メッシュは♯32〜♯48が好適であった。
♯32よりも目が粗いメッシュでは、液相のみならず、小径の固相(固相のSn、固相のSnとAgSnとが混在した組織、固相のSnとAgSnとCuSnとが混在した組織)もメッシュを通過して、容器6外に移動してしまう。そのため、容器6外に移動した液相における鉛の含有比率が小さくなってしまい、相対的に、容器6内に残留した固相における鉛の希釈効率が低下してしまった。
一方、メッシュの目が♯48よりも細かければ、液相がメッシュを通過する際の抵抗が大きく、固液分離が効率的に行なわれなかった。
【0068】
図13の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図12の実施形態と同様である。
【0069】
図示の実施形態によれば、スラリー状態(半凝固状態)のハンダを、図6で示すプレス機構や、図12で示すメッシュ1Cを用いた濾過装置2A、図13で示す遠心分離装置2Bによって、固相と液相とを分離するという極めて簡単な処理によって、鉛リッチ(液相)と鉛プアー(固相)とに分離することが出来る。
これにより、ハンダ中から鉛を容易且つ効率的に固液二相に分配して、鉛含有率を減少及び/又は増加させることが出来る。
【0070】
そして、図6で示すプレス機構や、図12で示すメッシュ1Cを用いた濾過装置2A、図13で示す遠心分離装置2Bによって、固相と液相とを分離した後、常温までさめた状態で分離された残留部(固相)M3を加熱して、再び半凝固状態にして固液分離すれば、二次精製、三次精製等の高次精製を容易に行うことが出来る。ここで、濃縮部(液相)M2を高次精製することも可能である。
さらに、図6で示すプレス機構や、図12で示すメッシュ1Cを用いた濾過装置2A、図13で示す遠心分離装置2Bによって、固液分離されて、室温まで降温した残留部(固相)M3について、二次精製、三次精製等の高次精製を実行すれば、鉛フリーハンダ中の鉛含有率を、所望のレベルまで減少させることが可能になる。また、同様にして濃縮部(液相)M2について、鉛フリーハンダ中の鉛含有率を、所望のレベルまで増加させることが可能になる。
【0071】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0072】
1・・・容器
1B・・・中空押圧部材
1C・・・メッシュ
2・・・プレス機構
3・・・高周波コイル(電磁誘導コイル)
4・・・攪拌子
5・・・ピストン
6・・・容器
7・・・メッシュ
9・・・回転機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛を含有する鉛フリーハンダをスラリー状態にする工程と、当該スラリーを固液分離する工程とを有することを特徴とする鉛フリーハンダに含有される鉛を希釈及び/又は濃縮する方法。
【請求項2】
前記固液分離する工程で分離された固相の金属をスラリーの状態にする工程と、そのスラリーを固液分離する工程とを有する請求項1の方法。
【請求項3】
前記固液分離工程が加圧篩分または遠心分離による請求項1、2の何れかに記載の方法。
【請求項4】
前記鉛フリーハンダの鉛含有率が1wt%以下である請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
鉛フリーハンダを溶解する装置と、溶解した前記鉛フリーハンダをスラリー状態にする装置と、スラリー状態の前記鉛フリーハンダを液相の金属と固相の金属に分離する固液分離装置を有することを特徴とする鉛フリーハンダから鉛を希釈及び/又は濃縮する装置。
【請求項6】
前記固液分離装置は、ピストン及びシリンダから構成される請求項5の装置。
【請求項7】
前記固液分離装置は、その内部に前記スラリーを収容する中空容器と、当該中空容器の一端を被覆するメッシュと、スラリーを押圧する押圧装置とを有する請求項5の装置。
【請求項8】
前記固液分離装置は、遠心分離装置で構成されている請求項5の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−99147(P2011−99147A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255022(P2009−255022)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】