説明

鉛蓄電池の容量劣化の方法および装置

本発明によれば、電池欠陥検出方法があり、本方法は、電池(750)に電流ランプを印加するステップと、電池(750)の電流が最大電流(Ipeak)に達する第1の時点(t)を測定するステップと、電池(750)の端子電圧が最大電圧(Vpeak)に達する第2の時点(t)を測定するステップと、を含む。本方法はさらに、差分(d)を算出するステップを含み、ここで、(d)=|(t)−(t)|であり、(d)は、電池(750)内の欠陥の大きさに対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パラメータ(電池容量など)の測定および電池解析の方法および装置に関し、特に、電池の容量劣化を測定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池が正常に機能しているかどうかを判定することが、しばしば望ましい。システムによっては、特定の負荷をかけて完全放電させることによって電池容量を試験することにより、電池の機能を試験する場合がある。電池の経時劣化を測定するためには、そのように測定された電池容量の履歴記録を残しておく必要がある。さらに、このアプローチは、電池内に潜在的反応欠陥が存在する場合に、問題を引き起こす可能性がある。潜在的反応欠陥は、一般には、電池が、最初は、容量、内部抵抗、および分極抵抗で規定されるように正常に放電するが、時間が経過し、電池の状態が変化すると、潜在的容量劣化のために、放電曲線がより急峻に降下する状況であると理解されている。現時点では、この欠陥は、完全な放電サイクルを観察することによってのみ、検出可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、先行技術のこれらの問題および他の問題を克服し、容量測定手続きの間に欠陥を検出する、よりよい方法および装置を提供することにより、電池の放電を必要としない欠陥検出を可能にすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、電池欠陥検出方法があり、本方法は、電池に電流を印加するステップと、電池の電流が最大電流(Ipeak)に達する第1の時点(t)を測定するステップと、電池の端子電圧が最大電圧(Vpeak)に達する第2の時点(t)を測定するステップと、を含む。本方法はさらに、差分(d)を算出するステップを含み、ここで、
(d)=|(t)−(t)|
であり、(d)は、電池内の欠陥の大きさに対応する。
【0005】
本発明の別の態様によれば、電池欠陥検出装置があり、本装置は、アナログデジタル変換器を含む制御モジュールと、デジタルアナログ変換器と、電子制御システムと、を備える。本装置はさらに、電池に電流ランプを供給する電源と、電池と電気的に接続され、電池の端子電圧を計測するセンサと、電池の電流が最大電流(Ipeak)に達する第1の時点(t)を測定するプロセッサと、を含む。プロセッサはさらに、電池の端子電圧が最大電圧(Vpeak)に達する第2の時点(t)を測定することが可能である。プロセッサはさらに、差分(d)を算出し、ここで、
(d)=|(t)−(t)|
であり、(d)は、電池内の欠陥の大きさに対応する。
【0006】
本発明のさらに別の態様によれば、電池内の欠陥の大きさを測定する方法を実行するようにプロセッサを構成するプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体がある。本プログラムコードは、電池への電流の印加を制御するプログラムコードと、電池の電流が最大電流(Ipeak)に達する第1の時点(t)を測定するプログラムコードと、電池の端子電圧が最大電圧(Vpeak)に達する第2の時点(t)を測定するプログラムコードと、を含む。本コンピュータ可読媒体はさらに、差分(d)を算出するプログラムコードを含み、ここで、
(d)=|(t)−(t)|
であり、(d)は、電池内の欠陥の大きさに対応する。
【0007】
本発明のさらなる利点は、部分的には、本明細書のこの後で説明され、部分的には、本明細書から明らかになり、あるいは本発明の実施によってわかり得る。本発明の目的および利点は、添付の特許請求項で個々に指摘される要素および組み合わせによって、実現および達成される。
【0008】
先述の一般的な説明も、後述の詳細説明も、例示および説明のためのものに過ぎず、特許請求項に記載の本発明を制限するものではないことを理解されたい。
添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなし、様々な実施形態を示し、本明細書とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、例示的実施形態を詳細に参照する。添付図面には、それらの例が示されている。可能な限り、同じ参照符号は、図面全体を通して、同じまたは同様の要素を参照するために用いられる。
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、電池の容量劣化につながりうる欠陥を、電池の放電を必要とせずに検出することをもたらす。自動容量測定アルゴリズムにより、検出の報告、および/または電池の容量情報の予測が、ユーザに対して行われることが可能である。本明細書に記載の各種実施形態は、電池の追加試験を必要とせずに、電池(鉛蓄電池など)内の欠陥の自動的かつ迅速な検出を可能にする。この検出手法は、既存の自動容量測定手法と組み合わせても動作可能である。
【0011】
図1〜7は、全体で、電池の劣化を測定する装置および方法を開示する。
図1は、電池の劣化を測定する方法100の例示的フローチャートを示す。各種実施形態では、110で、電池についての安全電圧および電流制限を決定することが可能である。安全電圧および電流制限は、既知の電池特性から設定されることが可能である。この情報は、電池の製造元から提供される場合がある。
【0012】
図の120で、増加する電流ランプを電池(たとえば、少なくとも1つのセルを有する鉛蓄電池など)に印加し、同時に、電池の端子における電池電圧をリアルタイムで計測する。特定の実施形態では、この直線的に増加する電流ランプは、所定の傾斜を有することが可能である。電流を所定の値(たとえば、安全電圧)まで増加させ、その後、同じ傾斜で減少させながら、電池電圧をリアルタイムで計測する。図の130で、電流を、ゼロになるまで減少させる。電池電圧を計測することにより、印加電流に対する電池の反応電圧(V)が得られる。140で、反応電圧の傾斜(dV/dt)を算出し、計測された印加電流および電圧反応のデータとともに記録する。
【0013】
各種実施形態では、反応電圧の傾斜(dV/dt)は、短い時間間隔の間に電池電圧のリアルタイム計測において受け取られた連続的な電圧データ点の差分を計算することにより、算出されることが可能である。この計算の結果を(当業者には周知の)適切な平滑化プログラムにかけて、計測システムに起因するノイズを低減または除去することが可能である。
【0014】
各種実施形態では、図の150で、ガス発生点が存在するかどうかを調べる。一般に、ガス点は、印加された電流によって水素ガスおよび酸素ガスがセル内の電解液中の水から生成されるときに発生する。さらに、ガス発生点は、印加された電流ランプに対する電池反応が、主としてガス発生反応である反応と、主として充電反応である反応との間で切り替わる、サイクル内の時点を示すことが可能である。さらに、ガス発生点は、印加された電流に対する電池反応が、充電反応である反応と、ガス発生反応である反応との間で切り替わる、サイクル内の時点を示すことが可能である。
【0015】
各種実施形態では、(dV/dt)曲線の局所最大値を計算することにより、ガス発生点を求めることが可能である。たとえば、最大点を通過する傾斜は、増加する電流ランプにおける充電反応から過充電反応への遷移、および減少する電流ランプにおける過充電反応から充電反応への遷移を示すことが可能である。これが発生するときの電流および電圧を、それぞれ、ガス電流(Igas)およびガス電圧(Vgas)と称する。サイクルに対する電池反応は、電流ランプの増加部分および減少部分の両方における(dV/dt)最大点を示すことが可能である。ランプの増加部分における遷移点に対応する電流値および電圧値を(Iup)および(Vup)と称し、ランプの減少部分におけるそれらの値を(Idown)および(Vdown)と称する。
【0016】
ガス発生点が存在することは、電池の充電−放電サイクルの全体がテストサイクル反応の中で表されることを示している。このことは、電池の放電サイクルの全体の中のどの点からでも起こりうる潜在的な欠陥を検出することに役立つ。この情報は、各種実施形態による電池の劣化の測定に有用である。たとえば、電流サイクルを印加することにより、時間がかかり、電池を劣化させる、電池を実際にサイクルさせる手法を必要とせずに、電池の充電−放電サイクルパフォーマンスをシミュレートすることが可能である。
【0017】
各種実施形態によれば、本方法の、前述の部分であって、図1の155の点線で囲まれた部分は、実際の電池試験の開始前に行われることが可能である。この部分で得られた情報によって、電池についての情報を得ることが可能である。
【0018】
各種実施形態によれば、図の160で、電流ランプにおける、電流が最大電流(Ipeak)に達する時点に対応して、時点(t)を決定する。各種実施形態によれば、(Ipeak)は、印加された電流の曲線から直接決定されることが可能である。さらに、図の170で、電池の端子電圧が最大電圧(Vpeak)に達する時点(t)を決定する。(Vpeak)は、電圧反応曲線から直接決定されることが可能な場合がある。
【0019】
説明的な例として、図2および3は、電池サイクルのサンプルを示す。しかしながら、図2および3に示された実施形態は、限定的ではなく、各種実施形態を理解するための例示的な手立てであると理解されたい。そうしたことにより、図2は、電流ランプと、少なくとも1つのガス発生点を呈する電池の電圧反応とを含む、電池の試験サイクルを示す。図2に示された実施形態では、○を含む線で示された、直線的に増加する電流ランプが、約60秒間にわたり、0.0アンペア(A)から約2.0(A)まで印加される。その後、やはり○を含む線で示された、直線的に減少する電流ランプが、約60秒間にわたり、電流が0.0(A)に達するまで印加される。図2において実線で示された電圧反応は、電圧が60秒を超えて増加し続け、その後、最大値に達してから下降を開始することを示している。さらに、正常な電池(たとえば、欠陥がない電池(たとえば、ここで開示されているような電池))であれば、印加される電流が減少し始めるあたりの時点で、電圧反応も自動的に下降し始めるはずである。図3は、図2で実線で示され、図3でも再現されている電圧反応曲線に対して、(dV/dt)を、×を含む線で示している。
【0020】
各種実施形態によれば、(Ipeak)に対応する時点(t)と、(Vpeak)に対応する時点(t)との間の差は、差分(d)と呼ばれ、一般には、図1の180および次の式[1]で示されるような量的差に関連する。
(d)=|(t)−(t)| [1]
各種実施形態によれば、差分(d)は、電池内に存在する欠陥(潜在的容量劣化欠陥など)の度合いに関連する。さらに、遅延量(D)は、電池の状態を表すものとして測定されることが可能である。たとえば、(d)の値が(D)より大きければ、図1の190で示されるように、潜在的容量欠陥が存在する可能性がある。正常な電池であれば、(d)は、所定の遅延量(D)より小さいはずである。したがって、正常な電池の場合の(d)は、最小、すなわち、ゼロであるはずである。
【0021】
正常の電池の場合は、電流(I)×抵抗(R)の関係に基づいて、電圧は、電流が折り返された直後に下降し始めるはずである。たとえば、図4は、正常な電池の例示的解析を示す。図4に示されるように、■を含む線で示された、直線的に増加する電流ランプが、電流が(Ipeak)に達するまで(時点(t)≒13.2秒に相当)印加される。そのすぐ後に、◆を含む線で示された電圧の曲線が、最大電圧(Vpeak)(時点(t)≒15.0秒に相当)に達する。図4に示されるように、差分(d)≒1.8秒であり、これは比較的短い。
【0022】
しかしながら、電池が劣化し始めると、差分(d)は増加し始める。これは、印加された電流が減少した後も、しばらくの間、電圧が増加し続ける状態ということになる。電流のピークと電圧のピークとの間の遅延量は、欠陥の範囲および大きさを示す。本明細書に記載のランプ試験で大きな遅延が検出された場合は、電池が使用不可能であること、ならびに、たとえば稼動によって劣化したことになる。使用不可能な電池は、必要な電流で電力を供給することができなくなるため、適切な電圧で崩壊を引き起こす。
【0023】
図5は、欠陥がある電池の例示的解析を示す。図5に■を含む線で示された、直線的に増加する電流ランプが、電流が(Ipeak)に達するまで(時点(t)≒13.2秒に相当)印加される。差分(d)の後に、◆を含む線で示された電圧の曲線が、最大電圧(Vpeak)(時点(t)≒17.4秒に相当)に達する。この場合、差分(d)≒4.2秒であり、これは比較的長い。
【0024】
図6は、ガス発生電流(Iup)に対する電池容量(アンペア時(Ah))の例示的なグラフである。点線は、(Iup)の関数としての容量の例示的予測アルゴリズムの結果を示す。正常な電池に適用された試験の容量測定結果は、予測の点線の比較的近くに位置するデータを生成しうる。図6に示されるように、正常な電池の試験結果から得られる(○で表された)データ点の大半が点線の近くに位置する。(▲で表された)2つの離れた点は、点線の遠くに位置する。これは、これら2つの電池の欠陥による残存反応の結果である。
【0025】
各種実施形態によれば、電池内の欠陥を検出して、ユーザに報告することが可能である。特定の実施形態では、欠陥を、容量の劣化として報告することが可能である。たとえば、それを超えると欠陥がある電池として分類される所定の遅延(D)(すなわち、カットオフ限界)を測定することによって、欠陥を検出することが可能である。特定の遅延(D)に限定することは意図しないが、説明のために、遅延(D)を3.5秒とする。その場合、この例示的実施形態では、(d)≧3.5秒であれば、欠陥がある電池として分類される。電池のカテゴリ、および欠陥の有無のしきい値が異なれば、他の所定遅延(D)値(たとえば、3.0秒)を用いることが可能であることを理解されたい。さらに、(D)は、たとえば、電池のサイズ、タイプ、および/または化学的性質によって変わりうる。さらに、各種実施形態では、遅延(D)値の関数に基づいて劣化のレベルを測定することが可能である。たとえば、電流ランプの全時間に対する遅延(D)のパーセント値に基づいて、欠陥がある電池を分類することが可能である。
【0026】
さらに、各種実施形態によれば、特定の電池、または特定のカテゴリの電池について、遅延(D)値を測定することが可能である。たとえば、本明細書に記載のランプ試験を、特定の電池部品番号について設計することが可能であり、その電池とその公開された容量定格についての正確な性能指標として用いることが可能である。さらに、異なる電流ランプを印加して、異なる欠陥測定結果を生成することが可能であることも理解されたい。各種実施形態によれば、これによって、既知の電池セットの中で頻繁な容量測定を行う必要性を低減することが可能である。
【0027】
各種実施形態によれば、電池の充電状態(SOC)が100%でなくても、本明細書に記載の手法は動作する。たとえば、SOCは、電流ランプによってガス発生が誘起される可能性がある任意の点にあってよい。このようにして、本明細書に記載の各種方法の有効範囲を拡大することが可能である。
【0028】
さらに、ガス発生が電池サイクルの20〜25%になる可能性があるにもかかわらず、電池のSOCは、このテスト可能範囲内に維持されることが多い。これは特に、試験対象の電池がバックアップ電源として使用される場合にふさわしく、SOCを100%未満に維持することも、バックアップ能力が最大限になるように、フル充電に近い状態に維持することも可能である。したがって、試験を実施する場合は、試験対象の電池を稼動場所(航空機など)から取り外す必要がない。
【0029】
各種実施形態によれば、本明細書に記載の手法を用いて、電解液の状態に起因する欠陥を検出することも可能である。
図7は、鉛蓄電池の容量劣化を測定できるシステム700の例示的構成を示す。各種実施形態では、例示的システム700は、制御コンピュータ710、計測および制御モジュール720、制御リレー730、電流センサ740、電源760など、様々なモジュールを含む。このシステムは、複数の個別モジュールとして描かれているが、単体(たとえば、Honeywell TruCharge(商標)アナライザ/チャージャなど)の形で実装されることが可能である。図7にはさらに、電池750(鉛蓄電池など)が示されている。各種実施形態では、システム700はさらに、電池750の容量劣化などの事柄を表示するディスプレイを含むことも可能である。
【0030】
各種実施形態では、制御コンピュータ710は、一連の予測容量アルゴリズムを含むことが可能である。制御コンピュータ710はさらに、例示的システムの他のモジュールを制御するために用いられることが可能な任意のソフトウェアドライバを含むことが可能である。
【0031】
制御コンピュータ710は、計測および制御モジュール720と接続される。制御コンピュータ710は、たとえば、データ取得モジュールが内蔵されたパーソナルコンピュータのような、任意の好適なコンピュータであってよい。各種実施形態では、計測および制御モジュール720は、アナログデジタル変換器(ADC)、デジタルアナログ変換器(DAC)、信号コンディショナ、およびシステムコントロールを含むことが可能である。計測および制御モジュール720は、たとえば、National Instruments信号コンディショニングシステムを含むことが可能である。ADCおよびDACは、計測および制御モジュール720に入力された情報を処理し、システムコントロールと連係して、システム700内の他のモジュールを操作することが可能である。たとえば、ADC、DAC、およびシステムコントロールは、リレー730および/または電源760を制御することが可能である。各種実施形態では、電源760は、プログラマブルであることが可能である。電源760は、たとえば、Hewlett−Packardの6032A型電源であることが可能である。電源760は、計測および制御モジュール720との組み合わせで、電流ランプ(たとえば、所定の傾斜の、増加または減少する電流ランプ)を電池750に印加することが可能である。各種実施形態では、電源760および/または計測および制御モジュール720は、電流ランプの傾斜を制御するコンピュータソフトウェアを含むことが可能である。
【0032】
各種実施形態では、制御リレー715/730は、容量を測定されるべき電池750を電源760に接続するために用いられる。たとえば、計測および制御モジュール720は、接点閉鎖制御信号を線717上に加えることにより、リレー715/730を制御して、電池750を回路内に置くか、回路外に置くかを切り替えることが可能である。リレー715/730が開いているときには、電池750は、回路外にあり、電流が印加されない。リレー715/730が閉じているときには、電池750は、回路内にあり、電流が印加されることが可能である。電池750と直列に、電流センサ740(電流シャントなど)を配置することが可能である。例示的電流センサ740は、たとえば、50アンペア/50ミリボルトのシャントを含むことが可能であり、ADCのチャネルに接続されることが可能である。電流の計測には、他の好適な技術(たとえば、ホール効果素子)を使用することも可能である。計測されたパラメータ(たとえば、電圧および電流(いずれもアナログ量))を、計測および制御モジュール720において、ADCによりデジタル形式に変換することが可能である。これらのパラメータのデジタルデータを、制御コンピュータ710に供給することが可能である。電池750に入る電流、および電池750から出る電流の量を、電流センサ740で計測することが可能である。
【0033】
図7を参照すると、各種実施形態はさらに、電池を充電する自動化システムを含むことが可能である。自動化システム700は、電源760とコントローラ720とを含むことが可能である。コントローラ720は、電池750への電流ランプ試験の適用を、電源760に行わせることが可能である。コントローラ720はさらに、電池のガス発生点が求められた後、電池750の充電を制御することが可能である。システム700はさらに、電流ランプ試験の間に電池電流を検出し、ガス点を検出するセンサ740を含むことが可能である。センサ740は、コンピュータ710に送られる前にアナログからデジタルに変換されるべきデータを、コントローラ720に送ることが可能である。さらに、計測および制御モジュール720を用いて、電池電圧を計測することが可能である。
【0034】
各種実施形態は、コンピュータ可読媒体を含む。たとえば、実施形態は、電池に供給される電流の量を制御することが可能な電源制御プログラムを含むことが可能である。電源制御プログラムは、少なくとも、制御コンピュータ710、計測および制御モジュール720、および電源760のうちの1つに保存されることが可能である。電源制御プログラムは、増加および/または減少する電流ランプを電池750に印加するよう、電源760に指示するサブルーチンを含むことが可能である。
【0035】
各種実施形態は、電流ランプが電池750に印加されたときの電池電流を計測するよう、電流センサ740を制御することが可能な電流センサプログラムコードを含むことが可能である。電流センサ制御プログラムは、少なくとも、制御コンピュータ710、計測および制御モジュール720、および電流センサ740のうちの1つに保存されることが可能である。電源制御プログラムが電源760に対し、増加する電流ランプを電池750に印加するよう指示したときに、計測および制御モジュール720は、電池750の反応電圧を計測することが可能である。電源制御プログラムが電源760に対し、減少する電流ランプを電池750に印加するよう指示したときに、計測および制御モジュール720および/または制御プログラムは、電池750の反応電圧を計測することが可能である。
【0036】
各種実施形態は、電池750への電流が最大電流(Ipeak)に達した時点(t)を処理および算出するプログラムコードと、電池端子電圧が最大電圧(Vpeak)に達した第2の時点(t)を処理および算出するプログラムコードと、を含むことが可能である。さらに、ガス発生点を求めるプログラムコードを含むことが可能であり、ガス発生点は、電池端子電圧から算出可能である。さらに、実施形態は、差分(d)を算出するプログラムコードを含むことが可能であり、差分(d)は、電池750内の欠陥の大きさに対応し、(d)は、前出の式[1]に従う。これらのプログラムコードは、少なくとも、制御コンピュータ710と、計測および制御モジュール720とのうちの1つに保存されることが可能である。これらのプログラムコードは、計測および制御モジュール720、電源760、および電流センサ740から情報を受け取り、たとえば図3に示されたグラフのようなグラフを生成することが可能である。各種実施形態はさらに、(d)が遅延(D)より小さいか、遅延(D)と等しいか、遅延(D)より大きいかを判定するプログラムコードを含むことが可能である(遅延(D)より大きいことは、容認できない大きさの欠陥が電池にあることを示す)。(D)の様々な値を、様々なプログラムコードとともに保存することが可能である。差分(d)と遅延(D)との関係を、ユーザに対して表示することが可能である。
【0037】
本発明の他の実施形態は、本明細書に開示される本発明の明細および実施を考察することにより、当業者には明らかとなろう。本明細書および実施例は、例示的に過ぎないと見なされるべきであり、本発明の真の範囲および趣旨は、添付の特許請求項によって示されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】例示的実施形態による、電池の劣化を測定できる方法のフローチャートである。
【図2】例示的実施形態による、サンプルの電池の反応サイクルを示す図である。
【図3】例示的実施形態による、サンプルの電池の反応サイクルを示す図である。
【図4】例示的実施形態による、サンプルの電池の反応サイクルを示す図である。
【図5】例示的実施形態による、サンプルの電池の反応サイクルを示す図である。
【図6】ガス発生電流と電池容量との関係を示すサンプルのグラフである。
【図7】例示的実施形態による、電池の劣化を測定できるシステムのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(750)に電流を印加するステップと、
前記電池(750)の電流ランプが最大電流(Ipeak)に達する第1の時点(t)を測定するステップと、
前記電流ランプの前記印加の結果である、前記電池(750)の端子電圧を計測するステップと、
前記電池(750)の前記端子電圧が最大電圧(Vpeak)に達する第2の時点(t)を測定するステップと、
前記電池(750)内の欠陥の大きさに対応する時間差分(d)=|(t)−(t)|を算出するステップと、を含む電池欠陥検出方法。
【請求項2】
(d)≧(D)であるかどうかを判定するステップをさらに含み、
(D)は、それを越える場合は容認できない大きさの欠陥が前記電池(750)にあることを示す遅延に対応する、請求項1に記載の電池欠陥検出方法。
【請求項3】
安全電圧を決定するステップであって、前記電池(750)が前記安全電圧に達するまで前記電流ランプが印加されるステップと、
前記電池端子電圧が前記安全電圧に達した時点で、減少する電流ランプを印加するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の電池欠陥検出方法。
【請求項4】
(t)に対する(D)のパーセンテージの算出に基づいて、容認できない大きさの欠陥が前記電池(750)にあることを示す、請求項2に記載の電池欠陥検出方法。
【請求項5】
(D)は、様々なタイプの電池のそれぞれについて決定され、(D)は、前記様々なタイプの電池の容量定格とともに公開される、請求項1に記載の電池欠陥検出方法。
【請求項6】
前記欠陥測定は、前記電池(750)を前記電池の稼動場所から取り外すことなく、前記電池(750)に適用される、請求項1に記載の電池欠陥検出方法。
【請求項7】
アナログデジタル変換器、デジタルアナログ変換器、および電子制御システムを備える制御モジュール(720)と、
電流ランプを電池(750)に供給する電源(760)と、
前記電池(750)と電気的に接続され、前記電池の電流と、前記電流ランプを前記電池(750)に印加した結果である端子電圧とを計測するセンサ(740)と、
前記電池(750)の電流が最大電流(Ipeak)に達する第1の時点(t)を測定し、前記電池(750)の端子電圧が最大電圧(Vpeak)に達する第2の時点(t)を測定し、前記電池(750)内の欠陥の大きさに対応する時間差分(d)=|(t)−(t)|を算出するプロセッサ(710)と、を備える電池欠陥検出装置(700)。
【請求項8】
前記プロセッサ(710)はさらに、(d)≧(D)であるかどうかを判定し、
(D)は、それを越えた場合は容認できない大きさの欠陥が前記電池(750)にあることを示す遅延に対応する、請求項7に記載の電池欠陥検出装置(700)。
【請求項9】
前記プロセッサ(710)は、前記電流が印加されている間に前記電池端子電圧を計測するように適合され、かつ前記電池端子電圧に基づいてガス発生点を求めるように適合される、請求項7に記載の電池欠陥検出装置(700)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−532043(P2008−532043A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558117(P2007−558117)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/006974
【国際公開番号】WO2006/093919
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】