説明

銅粉、導電性ペースト及び導電性接続構造

【課題】 耐酸化性に優れ導電性が良好な銅粉及び該銅粉を有する導電性ペースト並びに該銅粉を介して接合された導電性接続構造を提供する。
【解決手段】粒子内部にBi及びMgを含有し、0.05≦Biの含有率≦3.3(at%)、0.05≦Mgの含有率≦2.5(at%)、及び、Mgの含有率≦−0.71×Biの含有率+4.0(at%)を満たす銅粉とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅粉に関し、より詳しくは、電子部品を基板等へ実装する導電性接着剤、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や積層セラミックコンデンサの外部電極用等の導電性ペースト用途に特に適する銅粉及びそれを用いた導電性ペースト並びに導電性接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
銅粉は、その取り扱いの容易性から、電子部品を基板等へ実装する導電性接着剤、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や、積層セラミックコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペーストの導電材料等として従来から広く利用されている。
【0003】
上記導電性ペーストは、例えば、銅粉にエポキシ樹脂等の樹脂及びその硬化剤等の各種添加剤を配合して混練することにより得ることができる。このときに使用される銅粉は、銅塩を含む溶液等から還元剤により析出させる湿式還元法や、銅塩を加熱気化させて気相中で還元させる気相還元法や、溶融した銅地金を不活性ガスや水等の冷媒で急冷して粉末化するアトマイズ法等により、製造することができる。
【0004】
上述したような銅粉の製造方法のうち、アトマイズ法は、一般的に広く利用されている湿式還元法に比べて、得られる銅粉中の不純物の残留濃度を小さくすることができると共に、得られる銅粉の粒子の表面から内部に至る細孔を少なくすることができるという利点を有している。このため、アトマイズ法により製造された銅粉は、導電性ペーストの導電材料に使用した場合、ペースト硬化時のガス発生量を少なくできると共に、酸化の進行を大幅に抑制できるという利点を有している。
【0005】
しかし、銅粉は、その導電性の高さゆえ導電性ペーストの導電材料に好適であるが、耐酸化性に劣る場合があるため、それを改善するために粒子表面を耐酸化性のある銀でコートする(特許文献1参照)、無機酸化物でコートする(特許文献2参照)等の方策が採られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−152630号公報
【特許文献2】特開2005−129424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1ないし2等の技術では、被覆技術に依存するため、芯材である銅粉粒子からの剥離の問題が生じる。また、銅以外の導電性を損なう成分を多く要す場合、導電性が悪くなるという問題が生じる。さらに、バルクとは異なり粉状のものは表面積が大きいためより高い耐酸化性が求められている。
【0008】
本発明は、耐酸化性に優れ導電性が良好な銅粉及び該銅粉を有する導電性ペースト並びに該銅粉を介して接合された導電性接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、銅粉の粒子内部に特定量のBi及びMgを含有させると、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の銅粉は、粒子内部にBi及びMgを含有し、0.05≦Biの含有率≦3.3(at%)、0.05≦Mgの含有率≦2.5(at%)、及び、Mgの含有率≦−0.71×Biの含有率+4.0(at%)を満たすことを特徴とする。
そして、アトマイズ法により製造されたものであることが好ましい。
【0011】
本発明の他の態様は、上記銅粉を含有する導電性ペーストにある。
【0012】
本発明の他の態様は、上記導電性ペーストを介して2以上の部材が接合されていることを特徴とする導電性接続構造にある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の銅粉は耐酸化性に優れかつ導電性が良好なので、導電性接着剤、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や、積層セラミックコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペーストの導電材料等に極めて良好に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例5のSEM観察結果を示す写真である。
【図2】実施例及び比較例の銅粉のBi及びMgの含有率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の銅粉は、粒子内部にBi及びMgを含有し、0.05≦Biの含有率≦3.3(at%)、0.05≦Mgの含有率≦2.5(at%)、及び、Mgの含有率≦−0.71×Biの含有率+4.0(at%)を満たすものである。
【0016】
ここで重要なのは、特定量のBi及びMgを粒子内部に含有することにある。
【0017】
すなわち、上記特許文献等、代表的な従来技術に開示されている、各種物質あるいは化合物が、芯材である銅粉粒子表面に被覆、あるいは付着している銅粉では、耐酸化性改善には効果はあるものの十分ではなく、また、本発明が求める導電性が良好な銅粉を得ることが出来ない。
【0018】
なお、本発明の銅粉に含まれるBi成分は、Cuの結晶粒界、特に粒子表面の結晶粒界に存在していることが多く観察される。また、Mgは、Cuと均一な合金を形成し、粒子内部に一様に分布していることが好ましい。
【0019】
また、本発明の銅粉のBi及びMgの含有率は、0.05≦Biの含有率≦3.3(at%)、0.05≦Mgの含有率≦2.5(at%)、及び、Mgの含有率≦−0.71×Biの含有率+4.0(at%)を満たし、上記Biの含有率は、0.05≦Biの含有率≦2.0(at%)が好ましく、さらに好ましくは0.05≦Biの含有率≦1.0(at%)である。さらに、0.05≦Biの含有率≦1.0(at%)及び0.05≦Mgの含有率≦1.0(at%)を満たすことが最も好ましい。なお、上述したようにMgの含有率≦−0.71×Biの含有率+4.0(at%)であればよいが、好ましくはMgの含有率≦−0.71×Biの含有率+3.5(at%)である。ここで、Bi及びMgの含有率は、銅粉を構成する金属全量に対するBiやMgの割合であり、具体的には、Biの含有率at%=(Biの原子数/((Cuの原子数)+(Biの原子数)+(Mgの原子数)))×100であり、Mgの含有率at%=(Mgの原子数/((Cuの原子数)+(Biの原子数)+(Mgの原子数)))×100である。
上記範囲であれば、耐酸化性に優れ導電性が良好な銅粉となる。特に、比較的低温(100〜200℃)での耐酸化性や高湿下での耐酸化性が良好である。このように耐酸化性が良好な本発明の銅粉は、導電性ペーストの製造時や使用時に酸化し難いため、導電性が低く安定する。
【0020】
一方、Biの含有率が3.3(at%)より多い場合や0.05(at%)より少ない場合は、耐酸化性が悪くなる。また、Mgの含有率が2.5(at%)より多い場合や0.05(at%)より少ない場合も、耐酸化性が悪くなる。そして、Mgの含有率が、−0.71×Biの含有率+4.0(at%)よりも多い場合も、耐酸化性が悪くなる。なお、Biを含有せずMgのみを含有する銅粉は高湿下での耐酸化性が悪い。また、Mgを含有せずBiのみを含有する銅粉は、純銅よりも耐酸化性は良好だが本発明の銅粉ほどは耐酸化性が優れたものとはならない。
【0021】
また、本発明の銅粉は、湿式還元法で得られるものであってもそれなりの効果を期待できるが、粒子形状が均整で、導電ペーストとして用いられる際にガス発生が少ない等の利点を考慮すると、アトマイズ法により製造されたものであると好ましい。なお、Cu粉、Bi粉及びMg粉を混合して製造されたものは、導電性が低く導電性ペーストとして使用し難いため、好ましくない。
【0022】
アトマイズ法については、ガスアトマイズ法と水アトマイズ法があるが、粒子形状の均整化を図るならばガスアトマイズ法を、粒子の微細化を図るならば水アトマイズ法を選択すれば良い。例えば、ガスアトマイズ法によれば5〜30μm程度の銅粉を、水アトマイズ法によれば1〜5μm程度の銅粉を得ることができる。また、アトマイズ法の内、高圧アトマイズ法により製造されたものであると好ましい。このような高圧アトマイズ法により得られた銅粉は、粒子がより均整、あるいはより微細であり、好ましい。ちなみに、高圧アトマイズ法とは、水アトマイズ法においては、50MPa〜150MPa程度の水圧力でアトマイズする方法であり、ガスアトマイズ法においては、1.5MPa〜3MPa程度のガス圧力でアトマイズする方法である。
【0023】
また、本発明の銅粉の形状は特に限定されず、例えば粒状でもアトライタ等で偏平状にしたものでもよい。
【0024】
次に、本発明の銅粉の好ましい具体的な製造方法について説明する。
本発明の銅粉は、溶融した銅にBi成分及びMg成分を母合金、又は化合物等の形態で、所定量添加した後、所定のアトマイズ法により粉体化することにより製造可能である。
【0025】
上記製造方法によれば、耐酸化性に優れ導電性が良好な銅粉を製造することができる。この理由は定かではないが、溶融した銅または銅合金に添加した特定量のBi及びMgが、導電性を損なわない程度で、生成銅粉粒子中の酸素を捉えて酸化を抑制するものと推測される。
【0026】
また、上記製造方法においては、先に説明した理由から、高圧アトマイズ法を採用することが好ましい。ただし、ガスアトマイズ法に比して、水アトマイズ法では銅以外の添加成分の含有歩留まりが低い場合があるので、目的とする銅粉中の正味量に対し、Biの場合1〜10倍量、Mgの場合1〜10倍量を添加するようにしてもよい。
【0027】
また、上記製造方法においては、アトマイズした後、還元処理しても良い。この還元処理により、酸化の進行しやすい銅粉の表面の酸素濃度をさらに低減することができる。ここで、上記還元処理は、作業性の観点から、ガスによる還元が好ましい。この還元処理用ガスは、特に限定されることはないが、例えば、水素ガス、アンモニアガス、ブタンガス等を挙げることができる。
【0028】
さらに、上記還元処理は、150℃〜300℃の温度で行うと好ましく、特に、170℃〜210℃の温度で行うとより好ましい。なぜなら、上記温度が150℃未満であると、還元速度が遅くなってしまい、処理効果を充分に発現することができず、上記温度が300℃を超えると、銅粉の凝集や焼結を引き起こしてしまうおそれがあり、上記温度が170℃〜210℃であると、酸素濃度の効率のよい低減化を図りながらも、銅粉の凝集や焼結を確実に抑制することができるからである。
【0029】
また、上記製造方法においては、粉体化した後、分級すると好ましい。この分級は、目的とする粒度が中心となるように、適切な分級装置を用いて、得られた銅粉から粗粉や微粉を分離することにより容易に実施することができる。
【0030】
以上説明したような銅粉に、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂及びその硬化剤等の各種添加剤を配合して混練する等により、本発明の導電性ペーストとなる。なお、樹脂等との混合割合に特に限定はないが、例えば、銅粉:樹脂=90:10〜80:20(質量比)程度とすればよい。本発明の導電性ペーストは、銅粉が耐酸化性に優れ導電性が良好なので、導電性接着剤など異方性導電材(ACF、ACP)、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や、積層セラミックコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペーストの導電材料等に極めて良好に適用することができる。
【0031】
そして、本発明の導電性ペーストは、特に、100〜200℃程度における耐酸化性や高湿下での耐酸化性に優れるため、100〜200℃程度で使用する導電性接着剤として好適である。例えば、基板に電子部品を実装する場合等、2以上の部材を好適に接合することができる。
【0032】
樹脂に特に限定はなく、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ロジン等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、これらの樹脂は、単独で用いてもよく、また、複数種を併用して用いてもよい。
【0033】
硬化剤に特に限定はなく、例えば、芳香族ポリアミン硬化剤等のアミン系硬化剤、ポリアミド樹脂系硬化剤、イミダゾール系硬化剤等が挙げられる。
【0034】
また、必要に応じて、反応性希釈剤を含有してもよい。反応性希釈剤に特に限定はなく、例えば、アルキルモノグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、これらの反応性希釈剤は、単独で用いてもよく、また、複数種を併用してもよい。
【0035】
その他、本発明の導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサの内部電極、インダクタやレジスター等のチップ部品、単板コンデンサー電極、タンタルコンデンサー電極、樹脂多層基板、セラミック(LTCC)多層基板、フレキブルプリント基板(FPC)、アンテナスイッチモジュール、PAモジュールや高周波アクティブフィルター等のモジュール、PDP前面板及び背面板やPDPカラーフィルター用電磁遮蔽フィルム、結晶型太陽電池表面電極及び背面引き出し電極、EMIシールド、RF−ID、及びPCキーボード等のメンブレンスイッチ等にも使用可能である。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を示しながら本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ガスアトマイズ装置(日新技研(株)製、NEVA−GP2型)のチャンバ及び原料溶解室内を窒素ガスで充填した後、溶解室内にあるカーボン坩堝で原料を加熱溶解して溶融物とした(電気銅を溶解した溶湯中に、Cu:Bi:Mg=99.7:0.1:0.2(at%)の割合となるように、金属ビスマス及び銅−マグネシウム母合金(Cu−33at%Mg)を添加して、加熱による熱攪拌により充分に攪拌混合)。その後、溶湯を口径φ1.5mmのノズルから1250℃、3.0MPaで噴霧して、Bi及びMgを粒子内部に含む銅粉を得た。しかる後、45μmテストシーブで篩い、篩下品を最終的な銅粉とした。
【0037】
(実施例2〜12及び比較例1〜6)
金属ビスマス及び銅−マグネシウム母合金の添加量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、銅粉を得た。
【0038】
【表1】

【0039】
各実施例および各比較例で得られた銅粉に関して、以下に示す方法で諸特性を評価した。その結果を表2〜3及び図2に示す。また、実施例5で得られた銅粉について、1000倍の走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、図1に示すように、ビスマスは粒子表面の銅の結晶粒界に存在していた。なお、実施例及び比較例の銅粉は、Mgは均質な合金となり粒子内部に含んでいた。
(1)ビスマス及びマグネシウムの含有率
試料を酸で溶解し、ICPにて分析した。
(2)D50
試料(0.2g)を純水(100mL)中に入れて超音波を照射して(3分間)分散させた後、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター(株)製 レーザー回折散乱法粒度分布測定装置 LS−230(型番))により、体積累積粒径D50を求めた。
【0040】
(試験例)
実施例1の銅粉16.47gと、フェノール樹脂(レヂトップGM−1、群栄化学工業(株)製)1.83gと、溶剤としてメチルカルビトール1.46g及びトリエタノールアミン0.22gと、消泡剤ソルビタントリオレート(SO−30V、日光ケミカルズ(株)製)0.02gを十分混合して、導電性ペーストを作成した。
この導電性ペーストをFR−4基板上に塗布して、縦20mm×横5mmの矩形状の膜を形成し、大気中で160℃30分間加熱した。その後、デジタルマルチメータで4端子針法により膜の抵抗を測定し、測定した膜厚(70〜80μm)から、抵抗率を算出した。この導電性ペーストを用いて同様の操作を行って4回抵抗率を算出し、平均した結果を表2に示す。
【0041】
また、実施例1の銅粉を大気中140℃の環境下に1時間放置した銅粉、及び、実施例1の銅粉を85℃−95RH%の環境下(高湿下)に1時間放置した銅粉を用い、それぞれ上記と同様に導電性ペーストを作成し大気中で160℃30分間加熱した後の抵抗率を求めた。なお、実施例1の銅粉そのものを用いたものの値と、実施例1の銅粉を大気中140℃の環境下に1時間放置した銅粉を用いた値との差が小さいほど、銅粉の大気中140℃での耐酸化性が優れていることを示す。また、実施例1の銅粉そのものを用いたものの値と、実施例1の銅粉を85℃−95RH%の環境下に1時間放置した銅粉を用いた値との差が小さいほど、銅粉の85℃−95RH%での耐酸化性が優れていることを示す。
【0042】
さらに、実施例2〜12及び比較例1〜6の銅粉についても、同様の操作を行った。結果を表2に示す。なお、実施例1〜12及び比較例1〜6の銅粉そのものを用いたものを「未処理粉」、実施例1〜12及び比較例1〜6の銅粉を大気中140℃に放置した銅粉を用いたものを「大気中140℃処理粉」とし、実施例1〜12及び比較例1〜6の銅粉を85℃−95RH%の環境下に1時間放置した銅粉を用いたものを「85℃−95RH%処理粉」として表記した。
【0043】
この結果、粒子内部にBi及びMgを含有し、0.05≦Biの含有率≦3.3(at%)、0.05≦Mgの含有率≦2.5(at%)、及び、Mgの含有率≦−0.71×Biの含有率+4.0(at%)を満たしている実施例1〜12の銅粉を用いたものは、大気中140℃処理粉及び85℃−95RH%処理粉の抵抗率が、それぞれの未処理粉と比較して、変化が1桁以内であり、大気中140℃及び85℃−95RH%での耐酸化性に優れていることが確認された。なお、実施例1〜12いずれの銅粉を用いた導電性ペーストも抵抗率は低く、良好な導電性を有していた。
一方、0.05≦Biの含有率≦3.3(at%)、0.05≦Mgの含有率≦2.5(at%)、及び、Mgの含有率≦−0.71×Biの含有率+4.0(at%)の範囲外の比較例2〜4の銅粉を用いたものは、Bi及びMgを含有しない比較例1の銅粉を用いたものよりは耐酸化性が良好であったが、抵抗率の変化は大きく、実施例1〜12と比較して顕著に耐酸化性が悪かった。また、Biを含有せずMgのみを含有する比較例5は高湿下での耐酸化性が悪かった。また、Mgを含有せずBiのみを含有する比較例6は、比較例1よりも耐酸化性は良好だが大気中140℃での耐酸化性は実施例よりも顕著に悪かった。
このように、粒子内部にBi及びMgを含有し、0.05≦Biの含有率≦3.3(at%)、0.05≦Mgの含有率≦2.5(at%)、及び、Mgの含有率≦−0.71×Biの含有率+4.0(at%)を満たしている実施例1〜12の銅粉を用いると耐酸化性が優れているため、導電性ペーストとして好適に使用でき、例えば導電性接着剤として基板に電子部品を実装することができることがわかった。
【0044】
【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子内部にBi及びMgを含有し、0.05≦Biの含有率≦3.3(at%)、0.05≦Mgの含有率≦2.5(at%)、及び、Mgの含有率≦−0.71×Biの含有率+4.0(at%)を満たすことを特徴とする銅粉。
【請求項2】
アトマイズ法により製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載の銅粉。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の銅粉を含有することを特徴とする導電性ペースト。
【請求項4】
請求項3に記載の導電性ペーストを介して2以上の部材が接合されていることを特徴とする導電性接続構造。

【図2】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−26631(P2011−26631A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170556(P2009−170556)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】