鋳造部品を製造する方法
【課題】鋳造部品、特にガスタービンエンジンの部品を鋳造する独創的な装置を提供する。
【解決手段】溶融金属から鋳造品を製造する装置である。該装置の1つの形態は、鋳造用金型80内に溶融金属124を精密注入する装置125を備え、溶融金属を製品に凝固するために使用される金属種結晶421を保持している。精密注入装置は、溶融金属の供給装置と金型との間の圧力差によって駆動される。保持具121は、金型45内で溶融金属を指向性凝固させ得るよう開始種からエネルギを吸引すべく開始種421と熱伝達可能に連通する熱伝達装置を備えている。
【解決手段】溶融金属から鋳造品を製造する装置である。該装置の1つの形態は、鋳造用金型80内に溶融金属124を精密注入する装置125を備え、溶融金属を製品に凝固するために使用される金属種結晶421を保持している。精密注入装置は、溶融金属の供給装置と金型との間の圧力差によって駆動される。保持具121は、金型45内で溶融金属を指向性凝固させ得るよう開始種からエネルギを吸引すべく開始種421と熱伝達可能に連通する熱伝達装置を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、1998年11月20日付けで出願され、その内容を参考として引用し本明細書に含めた、連続番号60/109,298の米国仮特許出願の利益を主張するものである。更に、本出願は、1999年5月28日付けで出願され、その内容を参考として引用し本明細書に含めた、連続番号09/322,863の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、略、鋳造部品を製造する方法及び装置に関する。より具体的には、本発明の1つの実施の形態において、開始種を保持する精密鋳造用金型内で超合金を指向性凝固することにより単一鋳造結晶構造体が製造される。本発明は、ガスタービンエンジンの部品を鋳造するために開発されたものであるが、この分野以外の特定の用途が可能である。
【0003】
ガスタービンエンジンの性能は、略、燃焼室から流れる高温の作用流体の作動温度の上昇と共に向上する。作用流体に許容可能な温度を制限するものとしてガスタービンエンジンの設計者が認識する一つの因子は、エンジン部品が高温の作動流体にさらされたとき、劣化しえないようにすることである。ブレード及びベーンのような翼は、エンジンの作動中に高温の熱及び大きい運動荷重にさらされる部品の例である。
【0004】
ガスタービンエンジン部品にてしばしば利用されている1つの冷却技術は、穴及び通路の内部回路網である。冷却媒体の流れは、部品の内部通路を通って流れ且つ部品の外面に排出される。冷却媒体が内部通路を通ることは、その部品から冷却媒体へ熱伝達されることを可能にする。
【0005】
高温の薄い肉厚の鋳造構造体の製造について記載され、その内容を参考として引用して本明細書に含めた、米国特許第5,295,530号に1つの方法及び装置が開示されている。この米国特許第5,295,530号には、真空加熱炉内で水冷型の冷却プレート上に支持されたセラミック鋳型金型内に溶融金属を注入する方法が記載されている。溶融金属の射出圧力は、その過程中、鋳造用金型の壁が著しく変形しないように、時間と共に変化させることができる。その後、鋳造用金型内の溶融金属を指向性凝固させる。
【0006】
従来の技術は、内部通路及び穴を有する薄肉厚の鋳造部品を製造することができるが、1つの部品を鋳造するための改良された方法及び装置が依然として、必要とされている。本発明は、新規且つ非自明の仕方にてこの課題及びその他の課題を満足させるものである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの形態は、溶融金属の指向性凝固により少なくとも1つの結晶を成長させるべく適用可能な金属種を備え、該開始種が溶融金属を受ける部分と、熱伝達媒体が通過し得るようにされた少なくとも1つの内部通路とを有する、装置を対象とするものである。
【0008】
本発明の別の形態は、溶融金属を製品に凝固するために使用される金属種結晶を対象とするものである。この種結晶は、溶融端部と、基端部とを有し、その端部の間に溶融部分及び非溶融部分が存在する、金属部材を備え、基端部は、部材から熱を伝達し得るように吸熱体に接触し得るようにされた第一の面を画成し、溶融部分は、溶融端部に形成され且つ溶融金属を受け入れ得るようにされ、溶融部分は、第一の面の面積よりも小さい断面積の非溶融状態と、溶融部分が基端部への熱伝達を制限し得ないように第一の面と実質的に
等しい断面積を有する溶融状態とを有する。
【0009】
本発明の別の形態は、溶融金属が指向性凝固する間に、金属開始種と熱交換する装置を対象とする。この装置は、金属開始種を機械的に把持し且つ金属材料が凝固するとき、開始種との熱伝達路を保つ少なくとも1つの部材と、熱を除去すべく少なくとも1つの部材と接続された熱伝達吸熱体とを備えている。
【0010】
本発明の別の形態は、排出口を有するるつぼと、該るつぼ内で金属材料を溶融させ得るようにるつぼが内部に配置された真空加熱炉と、金属開始種と、開始種を受け入れ得るようにされた開口部及び排出口から排出された溶融金属材料を受け入れる内部キャビティを有する鋳造用金型とを備え、開始種は、開口部内に配置され且つ内部キャビティ内に受け入れられた溶融金属材料が接触可能であり、第一の期間中、開始種に対しエネルギを選択的に付与すべく開始種と接続されたヒータを備え、開始種はキャビティ内に注入した金属に接続され、金属材料がキャビティ内で指向性凝固する間に、熱が開始種から吸引される装置を対象とする。
【0011】
本発明の別の形態は、溶融金属を注入する装置を対象とする。この装置は、貫通する穴を有する底部壁部材を有するるつぼと、該るつぼ内に配置された第一の直立管であって、穴の周りに配置され且つ底部壁部材に接続された第一の端部と、閉じた他端である、第二の端部とを有し、溶融金属がるつぼから第一の管まで流れるのを許容する少なくとも1つの入口部(entrance)を有する第一の直立管と、第一の管内に配置された第二の直立管であって、底部壁部材と接続され且つ穴と流体的に連通した一端と、管からの入口(inlet)を画成する他端とを有し、ある容積の溶融金属を受け入れえるようにされた第一のキャビティを有する第二の直立管と、溶融金属が少なくとも1つの入口部から入口まで流れるため第二の管に沿って伸びる通路とを備えている。
【0012】
本発明の別の形態は、溶融金属を加熱炉内の鋳造用金型内に注入する方法を対象とする。この方法は、排出穴を有するるつぼであって、該るつぼ内に配置された注入アセンブリを有し、注入アセンブリは、直立の内管の周りに配置された直立の外管を有し、該内管は、排出穴と流体的に連通する前記るつぼを提供することと、溶融材料をるつぼ内で液体状態に溶融させることと、液体状態の金属をるつぼから外管と内管との間に画成されたキャビティ内に流動させることと、液体状態の金属が内管内に流れ且つ内管を充填し得るようにキャビティを過剰充填することと、内管の充填を停止することと、液体状態の金属を内管から排出することとを備えている。
【0013】
本発明の別の形態は、溶融金属を注入する装置を対象とする。この装置は、底部壁部材、溶融金属を保持し得るようにされた内部容積を有する機械的ハウジングと、内部容積内で溶融金属の表面より下方から溶融金属を受け入れ得るようにされた第一の溶融金属入口(inlet)端、その間に通路を有する第二の溶融金属出口端を有する溶融金属供給部材であって、その少なくとも一部分が機械的ハウジング内に配置された前記溶融金属供給部材とを備え、通路は、第一の通路部分及び第二の通路部分と、溶融金属が流れる方向が変化する湾曲部分とを有し、第一の排出モードにおいて、第一の通路部分内での溶融金属の第一の流動方向が、溶融金属の入口から湾曲部分に向け、また、第二の方向に第二の通路部分を通って湾曲部分から上記出口に向かう。
【0014】
本発明の更に別の実施の形態は、自由形態に製造されたセラミックシェルであって、溶融金属を受け入れ得るようにされたキャビティを画成する薄い第一の外壁を有する前記セラミックシェルと、内面を有する第二の外壁を有する容器であって、シェルが容器内に配置され且つ内面から隔てられた前記容器と、第一の外壁と内面との間の空間を実質的に充填し且つ上記シェルを補強する少なくとも1つの支持部材とを備える、鋳造用金型を対象
とするものである。
【0015】
本発明の更に別の形態は、溶融金属を内部に受け入れ得るようにされた内部キャビティを有する金型であって、該キャビティが、頂部分と、底部分と、側部分とを有する前記金型を提供することと、上記側部分を通じての熱伝達を最小にすべくセラミックシェルを絶縁することと、金型を環境制御チャンバ内に配置することと、キャビティにより画成された鋳造物を形成し得るようにキャビティに溶融金属を充填することと、鋳造品の一端からエネルギを吸引することにより溶融金属を金型内にて指向性凝固することとを備える方法を対象とするものである。
【0016】
本発明の更に別の形態は、溶融金属材料を受け入れるキャビティを画成し得るように共に接続された複数の材料層と、キャビティと連通する出口とを有する鋳造用金型を提供することと、鋳造用金型をある勾配にて配向することと、キャビティ内に配置され且つ複数の材料層の1つに結合されていないすべての材料を自由にし得るように鋳造用金型を回転させることと、キャビティ内に配置された材料をキャビティ外に且つ出口通じて流すこととを備える方法を対象とするものである。
【0017】
本発明の更に別の形態は、自由形態の製造技術により一体型セラミック鋳造鋳型シェルであって、溶融金属を受け入れ得るようにされた内部キャビティを有する鋳造用金型シェルを構成することと、セラミック鋳造用金型シェルを補強することと、セラミック鋳造用金型シェル内に金属開始種を配置し、金属開始種が溶融金属を受け入れ得るようにすることと、内部キャビティを溶融金属にて充填することと、内部キャビティ内で溶融金属を指向性凝固させるべく金属開始種を通じて熱を吸引することとを備える方法を対象とする。
【0018】
本発明の更に別の形態は、セラミック鋳造用金型装置を製造する方法であって、リザーバ及びエネルギ源を含む立体リソグラフィ装置を提供することと、ガスタービンエンジン部品を表わす鋳造用金型装置の複数の断面を画成するデータファイルを立体リソグラフィ装置に提供することと、セラミック粒子と、モノマーと、光開始剤とから成るセラミック充填樹脂をリザーバ内に配置することと、モノマーを重合化し且つ層のセラミック粒子を共に保持するポリマーバインダから成る実質的に硬化した層を形成すべく鋳造用金型装置の断面をエネルギ源によりセラミック充填樹脂層の上に描くことと、実質的に硬化した層をセラミック充填樹脂の別の層にて覆うことと、モノマーを重合化し且つ別の層のセラミック材料を共に保持するポリマーバインダから成る実質的に硬化した別の層を形成すべく、前記被覆した後、鋳造用金型装置の別の断面をエネルギ源により前記被覆をセラミック充填樹脂の別の層の上に描くことと、複数の実質的に硬化した層を有する鋳造用金型装置を製造し得るように複数の断面の各々に対し被覆すること及び描くこととを繰り返すこととを備える、方法を対象とするものである。
【0019】
本発明の更に別の形態は、素セラミックの鋳造用金型装置であって、溶融金属材料を受け入れ得るようにされた複雑な形状の容積を画成する内面として形成された実質的に円滑な薄い外壁部材を有するシェルであって、薄い外壁部材がポリマーバインダにより共に接続されたセラミック粒子の層状構造体であるシェルと、容積内に配置され且つ該容積内に受け入れた溶融金属材料から形成された部品内に少なくとも1つの通路を形成し得るようにされたコアであって、有機系ポリマーバインダにより共に接続されたセラミック粒子の層状構造体である前記コアとを備える、鋳造用金型装置を対象とする。
【0020】
本発明の1つの目的は、鋳造部品を製造する独創的な装置を提供することである。
本発明の関連する目的及び有利な点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ガスタービンエンジンの図である。
【図2】図1のガスタービンエンジン内のガスタービンエンジンブレードの斜視図である。
【図3】図2の一部分のガスタービンエンジンブレードを備える、内部冷却通路の1つの実施の形態の平面図である。
【図4】薄い外壁を有する鋳造翼の1つの実施の形態の断面図である。
【図5】多数壁鋳造構造体の1つの実施の形態の図である。
【図6】本発明の1つの面による方法にて製造された前縁を有する雰囲気空気/航空機の1つの実施の形態の図解図である。
【図7】鋳造弁体の1つの実施の形態の図である。
【図8】開始種からの樹枝状成長の図である。
【図9】本発明の1つの実施の形態による鋳造用金型の一部分の図である。
【図10】本発明の別の実施の形態による鋳造用金型の一部分の図である。
【図11】製造サイクルが実質的に完了したときの図10の鋳造用金型の図である。
【図12】鋳造用金型装置用の製造ファイルを作製する方法の1つの実施の形態のフローチャートである。
【図13】立体リソグラフィ法により製造される図10の鋳造用金型の図である。
【図14】層状製造構造体の層を画成する境界を拡大した、図10の鋳造用金型の図である。
【図15】図14の層状製造構造体の一部分の拡大図である。
【図16】図10の鋳造用金型の一部分を備える壁構造体の1つの代替的な実施の形態の図である。
【図17】図10の鋳造用金型の一部分を備える壁構造体の1つの代替的な実施の形態の図である。
【図18】図10の鋳造用金型の一部分を備えるコアの1つの代替的な実施の形態の図である。
【図19】図10の鋳造用金型の一部分を備えるコアの1つの代替的な実施の形態の図である。
【図20】本発明の鋳造用金型の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図21】図20の鋳造用金型の斜視図である。
【図22】図20の鋳造用金型の線22−22に沿った断面図である。
【図23】本発明の鋳造用金型の別の実施の形態の断面図である。
【図24】素セラミック金型を焼結する加熱炉内の鋳造用金型の概略図である。
【図25】頂部材を更に備える、本発明の1つの実施の形態である自由形態にて製造した一体型鋳造用金型の図である。
【図26】図25の一体型鋳造用金型が内部に配置された金型容器の部分図である。
【図27】加熱リングを更に備える図26の金型容器の1つの代替的な実施の形態の部分図である。
【図28】線28−28に沿った図27の断面図である。
【図29】ヒータを更に備える、図27の金型容器の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図30】鋳造用金型から非結合材料を除去する装置の図である。
【図31】鋳造用金型から非結合材料を除去する図30の装置の1つの実施の形態の図である。
【図32】本発明の鋳造装置の1つの実施の形態の図である。
【図33】本発明の部品を鋳造する鋳造装置の1つの実施の形態の断面図である。
【図34】図33の鋳造装置の概略図である。
【図35】本発明の部品を鋳造する鋳造装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図36】本発明の部品を鋳造する鋳造装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図37】本発明の部品を鋳造する鋳造装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図38】開始種にエネルギを伝達する熱伝達装置の1つの実施の形態の斜視図である。
【図39】開始種を加熱する電気的手段を更に備える、図38の熱伝達装置の斜視図である。
【図40】鋳造容器内に配置された開始種にエネルギを伝達する熱伝達装置の開始位置か位置にあるときの1つの代替的な断面図である。
【図41】閉じた位置にあるときの図40の熱伝達装置の断面図である。
【図42】鋳造用金型内の開始種にエネルギを伝達する熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図43】鋳造用金型内の開始種にエネルギを伝達する熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図44】鋳造用金型から熱を除去する熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図45】図44の熱伝達装置の斜視図である。
【図46A】金属開始種を有する鋳造用金型の一部分の図である。
【図46B】46Aの線46−46に沿った断面図である。
【図47】47Aは、金属開始種の1つの実施の形態の斜視図である。47Bは、ある量の溶融金属がその上を通った後の図47Aの金属開始種の斜視図である。47Cは、追加の量の溶融金属がその上を通った後の図47Bの金属開始種の斜視図である。
【図48】本発明の開始種の1つの代替的な実施の形態の図である。
【図49】貫通路を有する本発明の開始種の図である。
【図50】鋳造装置内に配置された溶融金属供給装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図51】鋳造装置内に配置された溶融金属供給装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図52】図33の溶融金属供給装置の拡大図である。
【図52a】溶融金属供給装置の1つの代替的な実施の形態の図である。
【図53】53Aは、第一の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。53Bは、第二の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。53Cは、第三の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。53Dは、第四の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。53Eは、第五の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。
【図54】装荷圧力が時間と共に変化する過程のグラフである。
【図55】ある圧力及び温度環境内の図2のガスタービンエンジンブレードの図である。
【図56】溶融金属が指向性凝固した多結晶製品を形成し得るように凝固する指向性凝固した開始結晶の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の原理の理解を促進する目的のため、次に、図面に図示した実施の形態に関して説明し、この説明のため特定の用語を使用する。しかし、これにより本発明の範囲を何ら限定することを意図するものではなく、図示した装置の変更例及び更なる改変例及び図示した本発明の原理の更なる適用例は、本発明が関係する技術分野の当業者に通常、案出されるものと考えられることが理解されよう。
【0023】
図1を参照すると、航空機の飛行推進エンジンを製造し得るように共に一体化された、ファン部分21と、コンプレッサ部分22と、燃焼部分23と、タービン部分24とを含
むガスタービンエンジン20が図示されている。この型式のガスタービンエンジンは、一般にターボファンと称されている。ガスタービンエンジンの1つの代替的な形態は、ファン部分を備えずに航空機の飛行推進エンジンを製造し得るように共に一体化された、コンプレッサと、燃焼装置と、タービンとを備えている。航空機という語は、一般的な語であり、ヘリコプター、飛行機、ミサイル、無人宇宙船及びその他の実質的に同様の装置を含む。ガスタービンエンジンの部品を共に連結する多数の方法が存在することを理解することが重要である。コンプレッサ同士を接続するインタークーラーを備える追加的なコンプレッサ及びタービンを追加することができ、また、タービンの間に再加熱燃焼室を追加することもできる。
【0024】
ガスタービンエンジンは、産業的用途に使用するのにも同様に適している。歴史的に、ガス及び油の輸送管用の圧送装置、発電装置及び軍艦推進用のガスタービンエンジンの広範囲に亙る用途が存在する。
【0025】
コンプレッサ部分22は、複数のコンプレッサブレード26が接続されたロータ25を備えている。該ロータ25は、ガスタービンエンジン20内で回転可能な軸27に固着されている。複数のコンプレッサベーン28がブレード26に対して流体の流れを指向させるようにコンプレッサ部分22内に配置されている。タービン部分24は、ロータディスク31に接続された複数のタービンブレード30を備えている。ロータディスク31は、ガスタービンエンジン20内で回転可能な軸27に固着されている。燃焼装置部分23からの高温のガスからタービン部分24内で抽出されたエネルギは軸27を通じて伝達されてコンプレッサ部分22を駆動する。更に、燃焼装置部分23から出る高温のガス状流れを指向させるべく複数のタービンベーン32がタービン部分24内に配置されている。
【0026】
タービン部分24は、ファン部分21を駆動する動力をファン軸33に提供する。ファン部分21は、複数のファンブレード35を有するファン34を備えている。空気は矢印Aの方向に向けてガスタービンエンジン20に入り且つファン部分21を通ってコンプレッサ部分22及びバイパス管路36内に流れる。説明文に特段の記載がない限り、ファンブレード、ファンベーン、コンプレッサブレード、タービンブレード、コンプレッサベーン及びタービンベーンを説明するため翼という語を使用する。従来のガスタービンエンジンの原理及び部品に関する更なる詳細は、当業者に知られていると考えられるから本明細書では説明しない。
【0027】
図2乃至図7を参照すると、本発明の鋳造用金型装置から製造可能である鋳造部品の一例が図示されている。この開示は、特段の記載がない限り、図2乃至図7に図示した例にのみ限定することを意図するものではない。より具体的には、図2を参照すると、ガスタービンエンジンブレード30が図示されている。1つの実施の形態において、ガスタービンエンジンブレード30は、冷却媒体が通るための内部流路を有する単一鋳造製品を画成する。内部冷却路は、複数の熱伝達台座37が形成された通路を有する。1つの実施の形態において、隔たった一対の壁の間にて複数の台座37が一体に形成されている。該台座は本発明の鋳造用金型装置により製造可能な細部の型式の代表的なものである。冷却台座の形状、寸法及び分布状態は、熱伝達パラメータ及び設計の特定のパラメータの関数であることが理解される。図3は、以下の寸法を有する台座はより具体的に考えられるものに過ぎないことを示すために利用され、また、通路及び台座の1つの実施の形態の寸法は、表1に記載されている。しかし、その他の台座及び通路の寸法及び幾何学的形態が本明細書にて考えられることが理解されよう。
【0028】
台座
長さ
0.508−1.27mm(0.020−0.050´´)
幅
0.508−1.27mm(0.020−0.050´´)
高さ
0.3048−0.508mm(0.012−0.020´´)
通路
長さ
N/A
幅
0.3048−0.508mm(0.012−0.020´´)
高さ
0.3048−0.508mm(0.012−0.020´´)
表1
図4及び図5を参照すると、本装置により製造可能な単体品の多数壁ガスタービンエンジン部品の1つの実施の形態の断面図が図示されている。更に、図6には、本発明の装置により製造可能な航空機42の前縁43が図示されている。図7には、本装置により製造できる型式の鋳造製品の別の例を示す内部流体流れ回路を有する液圧弁体44が図示されている。図示した製品は、限定的なものであることを意図するものではなく、本発明の装置により他の鋳造製品が製造可能であると考えられ、例えば、非限定的に、宝石、歯科補綴物、一般的な補綴物、特注の金物、ゴルフクラブヘッド、プロペラ、エレクトロニクスの実装品、管、弁及び精密許容公差及び/又は細部のため従来から、インベストメント鋳造されたその他の製品を含む。
【0029】
本発明の方法及び装置は、一般に、等軸指向性凝固結晶すなわち単結晶の範疇とされる、マイクロ構造体を有する単一体の単一鋳造部品又は多数部品から成る鋳造部品を製造するために利用することができる。本発明の好ましい鋳造用金型装置は、実質的に任意の型式の鋳造金属製品を製造するのに適している。しかし、より好ましい実施の形態において、本発明は、薄い肉厚の単結晶構造体を製造するのに特に有用である。この鋳造構造体は、多くの異なる形状、寸法、形態を有することができ、また、多岐に亙る金属材料にて形成することができる。例えば、本発明の装置は、厚さが約0.762mm(約0.03インチ)以下の少なくとも1つの壁を有する多数壁構造体を鋳造することを許容する。更に、1つの好ましい実施の形態において、鋳造構造体/部品内に極めて細い通路を形成することができ、また、より好ましい実施の形態において、幅約0.127mm(約0.005インチ)乃至約0.381mm(約0.015インチ)の極めて細い通路を形成することができる。しかし、その他の幅及び/又は寸法及び/又は厚さの肉厚及び通路を有する鋳造品が考えられる。
【0030】
ガスタービンエンジン部品は、超合金組成材料にて製造することが好ましい。非限定的に、ニッケル系、又はコバルト系組成物のような色々な型式の超合金組成物が存在し、かかる組成物の製造は、略、当該技術分野の当業者に公知である。対象とする殆んどの超合金組成物は、ニッケル、クロム、アルミニウム及びその他の選択した元素の複雑な混合体である。
【0031】
図8を参照すると、開始種300から溶融金属の制御された指向性凝固が図示されている。制御された溶融金属の凝固は、柱状粒子又は単結晶のマイクロ構造体を有する製品を製造するために使用することが好ましい。より具体的には、制御された溶融金属の凝固は、溶融金属を指向性凝固することにより実現される。指向性凝固は、溶融金属を充填させた鋳造用金型301を通じて境界面を漸進的に動かすことを含む。多くの状況において、成長中の結晶に対し厳密に配向させた結晶学的構造体を付与するため金属開始種300が使用される。この金属開始種300は、鋳造用金型301内に配置し、溶融金属302を金型301内に導入することで、開始種は、当初の面303から液相境界面304として
画成された面に溶融して戻る。本発明の1つの形態において、開始種が溶融して戻ることは、開始種から液体溶融金属のパドルを形成する。1つの実施の形態において、パドルの深さは約1.27mm(約0.050インチ)であるが、その他のパドルの深さとすることも考えられる。液相境界面304と固相境界面306との間に凝固領域305が配置されている。熱勾配が金型301内で溶融金属302を通って垂直方向に移動するに伴い、金属は、樹枝状結晶307の成長及びマトリックス材料の凝固を通じて凝固する。単結晶過程において、溶融材料は、種302の非溶融部分からエピタクシー的に凝固する。
【0032】
図9を参照すると、溶融金属を受け入れる一体型金型45aが図示されている。1つの実施の形態において、金型45aは、略三次元的印刷として知られる自由形態製造技術により形成される。三次元的印刷装置において、直接型セラミック鋳造用金型を形成するためセラミック材料が層状に配置され、層の密度は、配置される材料の1インチ当たりのドット数により変化させることができる。三次元的印刷技術に関する情報は、米国特許第5,340,650号、米国特許第5,387,380号及び米国特許第5,204,055号に開示されている。三次元的印刷用に商業的に利用可能な装置は、カリフォルニア州、ノースリッジのソーリゲン・テクノロジーズ(Soligen Technologies)インコーポレーテッドから入手可能である。
【0033】
一体型金型45aは、セラミック材料を層状に印刷し且つ接着することにより形成され、その層の各々は、溶融金属を内部に受け入れるセラミックシェルを形成し得るように隣接する層に接着させる。装置46aは、材料及びバインダの層を付着し、設計ファイルに基づいて一体型金型45aを形成する。設計ファイルは、部品のコンピュータ支援設計から作製することが好ましい。好ましくは、金型45aは、凝固したときに部品を画成し得るように、溶融金属を受け入れる内部キャビティを有する主要本体47aを備える薄肉厚のシェルである。内部金属受け入れキャビティの一部分は、参照番号48aで示してある。一体型金型45aは、複数の薄い壁48aと、内部金型コア50aと、内部金属受け入れキャビティとを備えている。1つの実施の形態において、薄い壁49aは、約0.127mm(約0.005インチ)乃至約38.100mm(約1.50インチ)の範囲の厚さを有し、より好ましくは、薄い壁は、約1.016mm(約0.040インチ)以下、最も好ましくは、約0.508mm(約0.020インチ)の厚さであるようにする。底部支持部材51a、充填管52a、支持部材53a、壁部材54aが主要本体47aと一体に形成されている。1つの好ましい実施の形態において、壁部材54aは、ウェブ構造体により画成される。その他の一体型金型の型式が考えられ、本発明は、図9の特定の金型の形態及び/又は材料にのみ限定することを意図するものではない。
【0034】
図10及び図11を参照すると、溶融金属を内部に受け入れる鋳造用金型装置45の1つの実施の形態が図示されている。該鋳造用金型装置45は、光硬化性セラミック樹脂から一体に製造されたシェル金型及びコアを有する。しかし、本発明は、一体型鋳型金型にのみ限定されるものではない。より具体的には、別の実施の形態において、非一体型の鋳造用金型装置は、光硬化性セラミック樹脂から製造された分離可能なコア及びシェル金型を有している。金型45は、略、選択的レーザ励起(SLA)として知られる、自由形態製造技術により形成される。選択的レーザ励起は、照射エネルギにさらされたとき、凝固する液体樹脂を利用する立体的リソグラフィ方法に基づくものである。本発明において、光硬化性セラミックが充填された樹脂は、セラミック粒子を共に保持するポリマーバインダを形成し得るように照射エネルギにより重合化された少なくとも1つのモノマーを有する。この照射エネルギは、当業者に知られた複数のエネルギ源の任意のものにより供給することができる。好ましくは、この照射エネルギは、電磁放射線により画定し、また、より好ましくは、照射エネルギは、約260乃至380ナノメートル、最も好ましくは、約350ナノメートルの波長を有するレーザ源から発生された紫外線である。しかし、その他の波長の光とすることも考えられる。選択的レーザ励起用の商業的に利用可能な機械は
、カリフォルニア州、ヴァレンシアの3Dシステムズ(3D systems)から入手可能である。選択的レーザ励起法及び立体的リソグラフィ法に関する更なる情報は、その内容を参考として引用して本明細書に含めた米国特許第5,256,340号、米国特許第5,556,590号、米国特許第5,571,471号、米国特許第5,609,812号及び米国特許第5,610,824号に開示されている。
【0035】
一体型金型45は、ポリマーバインダにより共に保持されたセラミック粒子の層内でセラミック充填樹脂を光重合化することにより形成される。しかし、本発明は、セラミック充填樹脂にのみ限定されず、1つの代替的な実施の形態は、金属充填樹脂を含むものである。更に、その他のフィラーを利用することも考えられる。1つの実施の形態において、壁部材の層は、概略図的に線49a、49b、49c、49dとして図示された隣接する複数のセラミック材料の部分により画成される。この場合、1つの層内の隣接する線の数、および図面における層の数は、完全に一例であり、また、本明細書に記載したものにのみ限定することを意図するものではない。好ましくは、壁部材の個々の層は、セラミック樹脂にエネルギビームにより描かれた1乃至5本の線にて形成される。より好ましくは、壁部材の個々の層は、セラミック樹脂にエネルギビームにより描いた2本の線により形成される。しかし、本発明は、1つの層内にその他の数の個々の線を有する個々の層を対象とするものである。
【0036】
壁部材の層は、線にて形成されるものとして図示したが、代替的な実施の形態において、壁部材は、隔たったドット及び/又は接続したドットの層にて形成されることが理解される。参照番号49a、49b、49c、49dで図示した線はまた、一連のドットで形成することもできる。一連のドットは、1つの層を画成し得るように互いに対して隔てられ、1つの壁部材を画成し得るように複数の層が配置されている。1つの実施の形態において、壁部材は、鋳造用金型内に注入された溶融金属を保持することのできる隔たったドットから成る格子構造体を有する。更に、別の実施の形態において、格子構造体は、金型の内部キャビティから壁部材を通じてガスを排気することを許容しつつ、溶融金型内に注入した溶融金属を保持することができる。
【0037】
層を形成する個々の線の幅は、エネルギビームの幅により決定され、より好ましくは、レーザがエネルギビームを画成するようにする。1つの実施の形態において、エネルギビームの幅は約0.127mm(約0.005インチ)乃至約0.635mm(約0.025インチ)の範囲であることが好ましく、約0.2032mm(約0.008インチ)であることがより好ましい。しかし、約.0254mm(約.001インチ)の幅を有するエネルギビームは、鋳造用金型装置内で極めて細い細部を形成するために考えられる。更に、命令によりエネルギビームの幅/寸法を変化させる能力を備えることも考えられる。より具体的には、1つの実施の形態において、エネルギビームの寸法は、製品の特定の層内及び/又は層の間で変更可能である。商業的に入手可能な立体リソグラフィ装置(3DシステムからのSLA250)において、レーザ源は、セラミック樹脂の表面にて30mワットのパワーを有するHe/Cdレーザである。しかし、異なるレーザ源を有するその他の立体リソグラフィ装置も考えられる。
【0038】
鋳造用金型装置45の製造は、鋳造用金型装置の三次元的形状を画定するデータファイルにより制御される。図12を参照すると、鋳造用金型装置を形成する方法を決定する製造ファイル1005を作製する装置の1つの実施の形態が図示されている。部品の設計の仕様を規定し得るように部品(例えば、ガスタービンブレード)のパラメータを画定するact1000データが集められ且つ処理される。act1000からのデータは、コンピュータモデル作製装置を使用して部品の見本を製造するため、act1001にて利用され、1つの実施の形態において、コンピュータモデル作製装置は、コンピュータビジョン(CV)製品により画定される。しかし、その他のコンピュータモデル装置も考えられ
る。鋳造用金型装置の見本を作製するため、金型モデル作製の行動1002内で行動1001からのコンピュータ支援設計見本が処理される。1つの好ましい実施の形態において、鋳造用金型装置の見本は、行動1002内でユニグラフィックス(Unigraphics)装置により作製される。鋳造用金型装置の行動1002内で製造された金型モデルをSTL又はSLCのような特定のファイルフォーマットに変換するために、変換行動1003が使用される。鋳造用金型装置の層及び必要とされる全ての支持体を描くのに適した別個の二次元的スライスを作製するため、行動1003からの次のファイルを行動1004内で処理する。行動1005内で製造ファイルは完成する。このファイルは、立体リソグラフィ装置内のエネルギ源を駆動し且つ鋳造用金型装置を製造する。
【0039】
1つの好ましい実施の形態において、走査レーザビーム46bは、データファイルを読み取り且つセラミック充填混合体でモノマーを局部的に重合化し得るように、セラミック充填樹脂の量に基づいて三次元的形状の断面を描く命令を発生するコンピュータにより指向される。モノマー混合体をレーザで照射すると、固体のポリマーゲルが形成される。一体型金型45は、凝固して製品にするため、溶融金属を受け入れる内部キャビティを有する主要本体47を備える薄いシェルであることが好ましい。内部金属受け入れキャビティの一部は、参照番号48で示してある。一体型金型45は、薄い壁49と、内部金型コア50と、内部金属受け入れキャビティとを有する。1つの好ましい形態において、薄い壁49は、約1.524mm(約0.060インチ)以下の厚さを有し、より好ましくは、約0.381mm(約0.015インチ)乃至約1.524mm(約0.060インチ)の範囲の厚さを有し、最も好ましくは、約0.508mm(約0.020インチ)の厚さを有するようにする。しかし、その他の壁の厚さを有する鋳造用金型とすることも考えられる。1つの好ましい鋳造用金型において、主要本体47、底部支持部材51、充填管52、支持部材53及び壁部材54により形成される。1つの好ましい実施の形態において、壁部材54は、ウェブ構造体により画成される。図10に図示した鋳造用金型は、本発明により製造することのできる鋳造用金型の型式の完全な一例である。より具体的には、その他の鋳造用金型の形態が考えられ、本発明は、図10及び図11に図示した特定の金型にのみ限定することを意図するものではない。
【0040】
図13を参照すると、立体リソグラフィ装置500により製造される鋳造用金型装置45が図示されている。該立体リソグラフィ装置500は、略当業者に知られていると考えられ、鋳造用金型装置を製造する方法の説明を容易にし得るように著しく簡略化して示してある。流体封込めリザーバ501、高さ変更部材502及びレーザ46cは、立体リソグラフィ装置500の一部分を構成する。リザーバ501には、金型装置45が製造されるある量の光硬化性セラミック充填樹脂が充填される。
【0041】
本発明の1つの好ましい形態において、高さ変更部材502は、鋳造用金型装置45のそれ以前に硬化した層をセラミック充填樹脂内の所定の深さまで浸漬させるため、可動の昇降装置を画定する。セラミック充填樹脂は、硬化した最上方層を未硬化のセラミック充填樹脂の層にて再被覆する。より好ましい実施の形態において、昇降装置は、その過程の他の部分と協働して、製造した鋳造用金型をセラミック充填樹脂液浴内で増分的に下降させるコンピュータ制御の装置である。1つの実施の形態において、非硬化の樹脂被覆の公称厚さは、約0.1016mm(約0.004インチ)乃至約0.254mm(約0.010インチ)の範囲、より好ましくは、約0.1016mm(約0.004インチ)である。しかし、その他の層の厚さとすることも考えられる。更に、個々の層の厚さは、層の間で変更し又は層の間にて実質的に同様の厚さに保つことができる。装置は、かなり低粘度の樹脂に対し実質的に均一な再被覆厚さを保証する措置を備えることが好ましい。樹脂を水平にするため次の技術を利用することが考えられる、すなわち、樹脂が自然に水平となるように時間的遅れをもたせること及び/又は樹脂が水平になるのを支援し得るように超音波処理を行い且つ/又は樹脂が水平になるのを支援し得るように機械的支援過程を行
うことである。レーザビーム46bは、三次元的データファイル内のデータにより駆動され、光硬化性セラミック充填樹脂の上で鋳造用金型の断面を描き得るように三次元的データファイル内のデータにより駆動される。この描くこと及び再被覆することとは、セラミック部品が完成するまで続行する。
【0042】
図14を参照すると、製造指向角度θにて立体リソグラフィ装置500内で製造される鋳造用金型装置45が図示されている。製造指向角度θは、製造すべき所定の平坦面又は略平坦面(又は中実な面の集合体)に対する接線角度が最大になるように選ばれる。製造配向角度θは、セラミック樹脂充填リザーバの面503に対して実質的に垂直に伸びる軸線Zから測定する。本発明の1つの形態は、セラミック充填樹脂上に比較的大きい妨害されない平坦面を描くのを最小にし得るように断面を配向する。該断面は、軸線Zに対して実質的に垂直で且つ樹脂の面503に対して実質的に平行に画成され且つ描かれる。製造プラットフォーム505は、製造配向角度θにて鋳造用金型装置45の製造を配向させ得るように角度θにてリザーバ501内に形成される。好ましい実施の形態において、製造配向角度θは鋭角な角度であり、より好ましくは、約10°乃至約45°の範囲の鋭角な角度とし、最も好ましくは、約45°とする。
【0043】
簡単な二次元的形状において、製造配向は、比較的容易に画成され、例えば、複数のリングを互いに製造することにより、中空の円筒体を形成することが好ましい。比較的大きい支持されない天井部を製造する必要がないように複数の矩形の部分を互いの上で製造することにより、中空の矩形の管を形成することが好ましい。ガスタービンエンジンブレード用のコア付き鋳造鋳型装置のような、複雑な形状は、最適な製造配向を計算するため全てのセラミック面を分析することを必要とする。
【0044】
図15を参照すると、鋳造用金型装置45の一部分を画成する複数の硬化層506、507、508、509の拡大図が図示されている。好ましいアルミナ充填樹脂の硬化層は、約0.0508mm(約0.002インチ)乃至約0.2032mm(約0.008インチ)の範囲の厚さを有し、より好ましくは、約0.1016mm(約0.004インチ)の厚さを有するようにする。好ましい二酸化ケイ素充填樹脂の硬化層は、約0.0508mm(約0.002インチ)乃至約0.508mm(約0.020インチ)の範囲の厚さを有し、より好ましくは、約0.1524mm(約0.006インチ)の厚さを有するようにする。しかし、その他の硬化厚さも本発明にて考えられる。更に、個々の硬化層は、同一又は異なる厚さとすることができる。しかし、個々の硬化層の各々が実質的に均一の厚さを有することが好ましい。
【0045】
個々のセラミック粒子510の粒子寸法は、約20μm以下であることが好ましく、より好ましくは、約0.1μm乃至約3.0μmの範囲であるようにする。粒子の寸法を制御することは、セラミック鋳造用金型装置を製造するその他の知られた技術と比較して、より細かい細部及び実質的に円滑な面に製造することを許容する。
【0046】
鋳造用金型装置は、層状の製造構造体であり、図14及び図15は、個々の硬化層を強調するために誇張して示してある。個々の層は、複数のセラミック粒子510と、個々の層内に粒子を共に保持するポリマーバインダ511とから成っている。1つの実施の形態において、ポリマーバインダ511は、硬化層を共に接続し得るように隣接する層の間を伸びている。層506、507のような一対の隣接する硬化層の各々は、層の線600にて当接するそれぞれの断面積を有する。1つの好ましい実施の形態において、隣接する層の相補的な面の間には、それぞれの面の各々の約10%乃至約100%の範囲の接続部がある。より好ましくは、二酸化ケイ素充填樹脂の1つの実施の形態において、隣接する層の相補的な面の間には、それぞれの面の約10%の接続部がある。アルミナ充填樹脂の1つの実施の形態において、隣接する層の相補的な面の間には、それぞれの面の約50%の
接続部がある。しかし、幾つかの代替的な実施の形態において、隣接する硬化層はポリマーバインダにより共に連結されていない。これら層は、機械的及び/又は二次的化学反応により互いに対して保持されている。
【0047】
層の厚さは、再被覆した非硬化層の厚さ及びレーザビームの浸透深さに依存する。より具体的には、硬化深さは、硬化層の厚さプラス過剰硬化深さの値として表示してある。1つの実施の形態において、過剰硬化深さは、硬化する層の真下の硬化厚さ層の約50%となる。1つの実施の形態において、その後の素層剥離又は層の分離を最小にし得るようにアルミナ充填層を実質的に過剰硬化することが必要とされる。しかし、本発明の実施の形態は、硬化層の約10%乃至約150%の範囲の過剰硬化深さを利用する。しかし、本発明は、上記の硬化深さは限定されるものではなく、本発明にてその他の硬化深さが考えられる。
【0048】
セラミック充填樹脂は、焼結可能なセラミック材料、光硬化性モノマー、光開始剤、及び分散剤を含む。セラミック充填樹脂は、焼結したときの亀裂に抵抗する素セラミック金型を製造し得るように立体リソグラフィにて特に使用し得るようにされている。充填樹脂は、約4,000cPs以下、より好ましくは、約90cPs乃至約3,000cPsの範囲、最も好ましくは、約100乃至約1000cPsの範囲の粘度を有する充填樹脂を提供し得るように成分を混合することにより調合する。形成される充填樹脂は、樹脂中の固体の容積の約40%乃至約60%の固体装荷量を有する。更に1つの実施の形態において、充填樹脂は、約1.0乃至約4.0g/ml、より好ましくは、約1.5乃至2.5g/mlの範囲の密度を有する。
【0049】
本発明にて使用される焼結可能なセラミック材料は、多岐に亙るセラミック材料から選ぶことができる。具体的な例は、アルミナ、イットリア、マグネシウム、窒化ケイ素、二酸化ケイ素及びその混合体を含む。焼結可能なセラミック材料は充填樹脂の総量に基づいて約50容積率(容積%)にて充填樹脂中に含まれる。言い換えると、充填樹脂は、焼結可能なセラミック材料の約50乃至約85重量%(重量%)、より好ましくは、充填樹脂の総重量に基づいて約65乃至約80重量%を含むようにする。
【0050】
一例において、焼結可能なセラミック材料として二酸化ケイ素が選ばれる。二酸化ケイ素は、本発明に従って硬化した金型を提供し得るように焼結するのに適した平均的粒子寸法を有する乾燥粉体として提供することができる。好ましくは、粉体二酸化ケイ素は約0.5μm乃至約20.0μm、より好ましくは、約1.0μm乃至約20.0μm、より好ましくは、約1.0μm乃至約5.0μmの平均的粒子寸法を有するように選ぶ。好ましくは、二酸化ケイ素の量は充填樹脂の総重量に基づいて約50.0重量%乃至約72.0重量%の範囲とする。
【0051】
モノマーは、光開始剤の存在下にて照射されたとき、光重合させることのできる任意の適当なモノマーが選ばれる。モノマーの例は、アクリレートエステル及び置換したアクリレートエステルを含む。2つ以上のモノマーの組み合せ体を使用することができる。好ましくは、モノマーの少なくとも1つは、多機能モノマーである。多機能モノマーにより、モノマーは成長するポリマー鎖と結合部を形成することができる2つ以上の官能分子を含むものと理解する。本発明と共に使用可能であるモノマーの具体的な例は、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)及び2−フェノキシアクリル酸塩(POEA)を含む。光硬化性モノマーは充填樹脂の総重量に基づいて約10乃至約40重量%、より好ましくは、約10乃至約35重量%、最も好ましくは、約20乃至35重量%の範囲の量にて存在する。
【0052】
充填樹脂中にて二酸化ケイ素が均一なコロイド状懸濁状態を保つのに適当な量にて、分
散剤が提供される。該分散剤は、多岐に亙る既知の界面活性剤から選ぶことができる。好ましい分散剤は、アンモニア塩、より好ましくは、テトラアルキルアンモニア塩を含む。テトラアルキル基は多岐に亙る置換物質を含むことができる。本発明にて使用される分散剤の具体的な例は、非限定的に、ポリオキシプロピレン−2−ヒドロキシエチルアンモニウム酢酸塩、及びアンモニウム塩化物を含む。好ましくは、分散剤の量は、充填樹脂中のセラミックの総重量に基づいて約1.0重量%乃至約10重量%の量の範囲とする。
【0053】
当業者に既知の多数の光開始剤から開始剤を選ぶことができる。光開始剤は、照射されたとき、所望のモノマーの光重合化を生じさせるのに適するように選ばれる。典型的に,光開始剤の選択は、光重合化を生じさせるように使用される放射線の波長により決まる。好ましい光開始剤は、ベンゾフェノン、トリメチルベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルチオキサントン、2−メチル−1−[4(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリンオプロファノン及びその混合体を含む。光開始剤は、充填樹脂が適当な波長の放射線で照射されたとき、モノマーを重合化するのに十分な量にて追加する。好ましくは、光開始剤の量は、充填樹脂中のモノマーの総重量に基づいて、約0.05乃至約5重量%の範囲とする。
【0054】
セラミック充填樹脂の1つの代替的な形態において、ある量のモノマーに代えて、ある量の非反応性希釈剤が使用される。好ましくは、置換した非反応性希釈剤の量は、樹脂中のモノマーの約5%乃至約20%(重量比又は容積比)に等しい。所定のセラミック樹脂組成物の一例は、100gのモノマーを必要とし、このモノマーは、代替的な形態において、約5乃至20重量%のモノマーを非反応性希釈剤(すなわち、モノマーの95乃至80gプラス非反応性希釈剤の5乃至20g)にて約5乃至20重量%のモノマーを置換する。非反応性希釈剤は、二塩基エステル又はデカヒドロナフタリンを非限定的に含む。二塩基エステルの例は、純粋な形態又は混合体にて入手可能なジメチルコハク酸塩、ジメチルグルタレート及びジメチルアジペートを含む。
【0055】
充填樹脂は、最初に、モノマー分散剤を焼結可能なセラミックと組み合わせて均一な混合体を形成することにより、提供される。添加順序は、本発明にとって通常、極めて重要ではないが、モノマー及び分散剤を最初に組み合せ、次に、焼結可能なセラミックを添加する。好ましくは、焼結可能なセラミック材料を約5乃至20容積%の増分量にてモノマー/分散剤の組合わせ体中に添加する。セラミック材料を増分的に添加する間、約5乃至120分の間、例えば、ボール粉砕機のような任意な適当な方法により、形成される混合体を完全に混合させる。焼結可能なセラミック材料の全てを添加したとき、形成される混合体は、10時間以上に亙る更なる時間、混合させる。樹脂は、照射する直前、好ましくは、照射前、約2時間以内に光開始剤を添加し且つ混合体中に混合させる。
【0056】
1つの好ましい二酸化ケイ素充填樹脂は、約67.1重量%の二酸化ケイ素、約31重量%のモノマー、約1.37重量%の分散剤、及び約0.619重量%の光開始剤から成るものとする。重量%は二酸化ケイ素充填樹脂の総重量に基づく。好ましいアルミナ充填樹脂は、約78.2%のアルミナ、約20.1重量%のモノマー、約1.56重量%の分散剤、及び約0.101重量%の光開始剤を含む。
【0057】
表IIを参照すると、好ましい二酸化ケイ素系樹脂及び好ましいアルミナ充填樹脂が記載されている。
重量/g 容積 重量% 容積%
cc
アルミナ 1980 500 78.2 48.0
モノマー 510 500 20.1 48.0
分散剤 39.6 38.8 1.56 3.73
光開始剤 2.55 2.32 0.101 0.223
・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・
合計 2532 1041 100% 100%
二酸化ケイ素 2210 1000 67.1 48.5
モノマー 1020 1000 31.0 48.5
分散剤 44.2 43.33 1.37 2.14
光開始剤 5.10 4.636 0.619 0.899
・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・
合計 3279 2048 100% 100%
表II
1つの代替的な実施の形態において、セラミック充填樹脂は二重硬化樹脂として規定される。二重硬化樹脂は、モノマーを光重合化するため、2つの型式の開始剤を利用する。1つの好ましい形態において、紫外線硬化用の1つの光開始剤及び熱硬化用の別の開始剤により形成される。熱硬化用の開始剤の一例は、ベンゾイル過酸化物すなわちAIBNである。AIBNは2−2’−アゾ−ビス−イソブチリルニトリルから成っている。しかし、熱硬化用の開始剤は、当業者に既知の多数のその他の開始剤から選ぶことができる。
【0058】
図16を参照すると、薄肉構造体49の1つの代替的な実施の形態55が図示されている。複合壁構造体55は、その間を接続する複数の内壁部材58を有する隔たった一対の薄い外壁56、57を備えている。複数のキャビティ63が壁構造体55に形成され、1つの実施の形態において、内部コア構造体59を有する。1つの好ましい実施の形態において、内部コア構造体59は、中空であり且つキャビティ63を画成する壁に一体的に接続されている。
【0059】
図17を参照すると、一体型金型45の薄壁構造体49の第三の実施の形態60が図示されている。壁構造体60は、多孔質内側部材62と共に形成され且つ該内側部材に接続された隔たった一対の外壁61を有している。内側部材62の密度は、外壁61の密度よりも低いことが好ましい。壁構造体60、55、49は、設計により必要とされるように共に又は別個に使用することができる。壁構造体49、55、60は、本発明の壁構造体の完全に一例であり、本発明を複合的壁構造体のその他の設計に限定することを意図するものではないことが理解される。
【0060】
図18及び図19を参照すると、金型コア50の一部分の代替的な形態65、70がそれぞれ図示されている。金型コア65は、中空の内部コア構造体67が形成された一体の薄壁構造体66を有している。外壁構造体66と内側の中空コア構造体67との間には、多孔質構造体69が形成されている。金型コア70は、内部中空コア72が形成された薄壁71を有している。複数の補強リブ74が外壁71と内部中空コア72との間に形成されている。金型コア50、65、70の形態は限定的であることを意図するものではなく、金型コアのその他の設計も考えられる。
【0061】
図20及び図21を参照すると、素鋳造用金型装置の別の実施の形態が図示されている。鋳造用金型525は、上述した鋳造用金型装置45と実質的に同様であり、より具体的には、鋳造用金型装置525は、一体的なセラミックシェル526と、セラミックコア527とを有している。コアセラミックシェル526とコア527との間の容積528は、溶融金属材料から製造すべき部品を画成する。好ましくは、容積528は、溶融金属の受け入れを妨げるように伸びる支持構造体を有しない。より具体的には、より好ましい実施の形態において、断面を描いても容積528内の何らかの構造体を描くことにはならない。しかし、本発明の別の実施の形態において、製造過程は、セラミックシェル526及び/又はコア527を傷付けずに除去することのできる支持構造体を容積528内に形成す
る。1つの好ましい形態において、セラミックシェル526の内壁面529及び形成されたセラミックコア527の外面530は、実質的に円滑である。壁面は、複数の当接層の一部分により画成された段付き面として又は単一層の面により画成された平坦面の何れかとして画成される。より具体的には、層状態部品は、約10μm乃至30μmの範囲の仕上げにて段付き面に対し形成された面を有し、また、約0.5μm乃至約10μmの範囲の仕上げにて平坦面に対し形成された面を有する。
【0062】
鋳造用金型装置525の1つ実施の形態において、コア527は実質的に中空である。薄い外壁シェル540は、該シェルと一体に形成された複数の隔たった内壁部材541を有している。中実な形態及び実質的に中空の形態を有するコアは本発明の範囲に属すると考えられる。
【0063】
図22を参照すると、図20の線22−22に沿った部分断面図が図示されている。セラミックコア527は、溶融金属を受け入れ得るように形成された通路532を有している。より具体的には、溶融金属を受け入れ得るようにセラミックコア527に形成された複数の隔たった通路532が存在する。通路532は、部品に細部を鋳造することを許容する。1つの好ましい実施の形態において、通路532の各々は、約0.127mm(約0.005インチ)乃至約0.762mm(約0.030インチ)の範囲の幅/直径にて形成され、より好ましくは、約0.508mm(約0.020インチ)以下の幅/直径を画成し、最も好ましくは、約0.254mm(約0.010インチ)の幅/直径を画成するようにする。図23は、一体の多数壁セラミック鋳造用金型装置の別の実施の形態の図である。
【0064】
図24を参照すると、加熱炉550内に配置された鋳造用金型装置45が概略図的に図示されている。該加熱炉は、素セラミック鋳造用金型装置からポリマーバインダを実質的に燃焼させ且つセラミック粒子を焼結させるのに必要な熱を提供する。1つの好ましい形態において、鋳造用金型装置は、加熱炉の面551に定置する個々の層の数を最小にし得るように加熱炉内で配向されている。素セラミック金型装置用の加熱過程は、加熱炉内で金型を約0.1℃/分乃至約5.0℃/分の速度にて通常の室温から約300℃乃至約500℃の第一の温度まで加熱することを含む。その後、約0時間乃至約4時間の時間範囲に亙って、ポリマーバインダを燃焼するため最高温度を保つ。加熱段階の後、低密度となった鋳造用金型装置に焼結過程を行う。この焼結過程は、加熱炉内の温度を約5.0℃/分乃至約10.0℃/分の速度にて第一の温度から約1300℃乃至1600℃の範囲の第二の温度まで上昇させる。鋳造用金型装置は、約0時間乃至約4時間の時間範囲内、第二の温度に保たれる。鋳造用金型装置は、次に、約5.0℃/分乃至10.0℃/分の速度にて室温まで冷却させる。鋳造用金型装置は、約70%以上の密度まで焼結することが好ましく、より好ましくは、鋳造用金型装置は、約90乃至98%の範囲の密度まで焼結する。最も好ましくは、鋳造用金型装置は、実質的に完全な密度まで焼結する。1つの実施の形態において、焼結したセラミック鋳造用金型装置は、約99重量%のセラミック粒子であり、より好ましくは、約99重量%のアルミナである。
【0065】
アルミナ系素セラミック金型装置用の好ましい加熱過程は、加熱炉内で金型を約1℃/分の速度にて通常の室温から約300℃の第一の温度まで加熱することと、その第一の温度を約5時間、維持することとを含む。その後、その温度を約1℃/分の速度にて第一の温度から約500℃の第二の温度まで上昇させる。その第二の温度は約0時間、保つ。約10℃/分の速度にて第二の温度から約1550℃の第三の温度まで温度を上昇させる。その第三の温度を約2時間、維持する。次に、鋳造用金型装置を約5℃/分の速度にて第三の温度から室温まで冷却させる。
【0066】
二酸化ケイ素系素セラミック金型装置用の1つの好ましい加熱過程は、加熱炉内で金型
を約1℃/分の速度にて通常の室温から約300℃の第一の温度まで加熱することと、その第一の温度を約4時間、維持することとを含む。その後、温度を約1℃/分の速度にて第一の温度から約500℃の第二の温度まで上昇させる。その第二の温度を約0時間、維持する。その温度を約10℃/分の速度にて第二の温度から約1500℃の第三の温度まで上昇させる。その第三の温度を約2時間、維持する。次に、鋳造用金型装置を約5℃/分の速度にて第三の温度から室温まで冷却させる。
【0067】
一体型鋳造用金型45、45aは、異なる過程にて製造され、これら金型は性質が相違するが、その双方と共に、溶融金属を受け入れるセラミックシェルを形成する。しかしながら、本発明の別の形態において、セラミックシェルは、溶融材料以外のその他の凝固材料を受け入れることができる。三次元的印刷及び選択的レーザ励起によりセラミック金型を製造することに関して説明したが、本発明の鋳造は、特段の記載のない限り、これら型式の金型にのみ限定することを意図するものではない。例えば、セラミックスラリー、樹脂シェル金型又は砂金型に浸漬させることによりシェルが形成されるコア及びパターンを使用する従来技術で製造された金型も対象にすることが考えられる。以下に、鋳造用金型という語は、略、鋳造用金型45を意味し、また、別の特段の記載がない限り、あらゆる型式のセラミック鋳造用金型を含むことを意図するものである。
【0068】
図25を参照すると、一体型鋳造用金型45の1つの実施の形態が図示されている。完成した一体型金型45は、基部材51と、頂部材77と、該基部材及び頂部材の間を伸びる主要本体47とを有している。支持部材53は底部材51と頂部材77との間を伸びる一方、充填管52は、充填入口(fill inlet)78から主要本体47の底部分47aまで伸び且つ金型内部の金属受け入れキャビティと流体的に連通している。好ましくは、基部材51は、リング構造体により画成されるようにする。通気口79は、一体型金型45に形成され且つガス状材料が金型に入り且つ金型から出るのを許容し得るように内部金属受け入れキャビティに開放し、材料の除去及び鋳造の充填を助ける。代替的な実施の形態において、一体型鋳造用金型45は異なる形態とすることができ、また、基部材及び/又は頂部材のような特徴部を含まなくてよいことが理解される。
【0069】
1つの実施の形態において、頂部材77は、容器80と接触可能な歯付きリング又はディスク構造体のディスクを画成する。好ましくは、一体型金型45は、該金型の製造に必要な材料の量を最小にし得る設計とされ、このため、その薄いシェルにより、内部で鋳造される製品の輪郭に類似したものとなる。この実施例において、金型45は、ガスタービンブレードに類似するが、その他の形状とすることも考えられる。更に、一体型金型は、その外面が内部キャビティ内で鋳造される製品/部品の形状に順応しないように形成してもよい。
【0070】
一体型金型45を設計し且つ製造するとき、次のものを含む考慮すべき多数のパラメータがある。すなわち、(1)金型の所望の強度及び硬さ、(2)金型の製造速度、(3)金属が凝固するときの金型内のコアの潰れ可能性、(4)鋳造中の加熱/冷却速度、(5)コアの除去/排出速度、(6)凝固後の冷却中の鋳造の制約である。溶融金属が金型の周りで凝固するときの金型の一部の潰れ可能性は、部品の密度、構造及び多孔度を変化させることにより対処することができる。例えば、図18及び図19を参照すると、多孔質構造体68と、溶融金属が内部で凝固するときに部分的に潰れ/溶融する補強ウェブ構造体74とを有するコア構造体65、70が図示されている。
【0071】
図26を参照すると、加熱炉81内に配置された金型容器80及び一体型金型45が図示されている。金型容器80は、一体型金型45が内部に配置された状態で図示されているが、金型容器80内にはその他の型式の金型を配置することも可能であることが理解される。金型容器80は、鋳造過程中、一体型金型45を保持する設計及び構造とされてい
る。容器80の外壁部材82は、金型容器の内面と基部材51の外面51a及び頂部材77の外面77bの一部分との間に締まり嵌めを提供し得るような寸法とされた貫通開口部を有する。1つの実施の形態において、金型容器80は、底部材51及び頂部材70の上方でシュリンク嵌めされる厚い肉厚の繊維状セラミック管により画成される。本明細書で使用する管という語は、中空の部材を規定するものであり、特段の記載がない限り、中空の円筒状構造体にのみ限定することを意図するものではない。別の実施の形態における容器は、カップ形状の容器を略画成する一体的な底部壁部材を有する。しかし、本発明にて容器のその他の形状も考えられる。更に、1つの代替的な実施の形態において、容器及び金型は締まり嵌め状態にはない。
【0072】
1つの好ましい実施の形態において、金型容器80は、細長い円筒状形状の管により画成される。1つの形態において、外壁部材82の肉厚は、約0.254mm(約0.010インチ)乃至25.4mm(1インチ)の範囲とし、より好ましくは、約12.7mm(約0.5インチ)とする。しかし、本発明にてその他の肉厚も考えられる。外壁部材82は、特定の熱伝達条件に合うように選んだセラミック材料にて作られている。1つの実施の形態にて、部材は、取り扱いを容易にし得るようにその外面82aから迅速に熱伝達する一方、別の実施の形態において、部材は、一体型金型45を絶縁し得る設計とされている。非限定的に、外壁部材82に対し多孔質セラミック、セラミック繊維マット、金属及び熱バリア被覆を有する金属のような材料が考えられる。
【0073】
少なくとも1つの支持部材83が外壁82の内面84と一体型金型45の外面45aとの間の空間内に配置されている。支持部材は、鋳造過程中、薄い肉厚の一体型金型45に対する支持体を提供する。補強した金型容器80は、溶融金属を高圧力にて薄いシェル金型に供給することを許容する。1つの実施の形態において、ニッケルの約7.62cm(約3インチ)乃至約60.96cm(約24インチ)の範囲の溶融金属の圧力は、補強した薄肉厚の一体型金型と共に使用可能であると考えられる。しかし、その他の溶融金属の圧力も可能であると考えられる。
【0074】
1つの好ましい実施の形態において、支持部材83は、複数の支持部材により画成され、より好ましくは、複数のセラミック媒体部材により画成される。1つの実施の形態において、約0.254mm(約0.010インチ)乃至約2.54mm(約0.100インチ)の範囲内の寸法を有する複数の支持部材が球状体/ボールとして画成される。しかし、その他の寸法も考えられる。複数の支持部材は、金型容器80内の空間を充填し且つ一体型金型の外面45dに当接する。複数の支持部材の形状は、非限定的に、錠剤状、球状又は繊維状を含むことが理解される。更に、本発明の代替的な実施の形態において、金型容器内の支持部材は、外壁82の内面84と一体型金型45の外面45dとの間に形成された連続的なセラミック材料と、アルミナ、ムライト、二酸化ケイ素、ジルコニア又はジルコンのようなセラミック発泡材により画成することができる。ウェブ構造体54は、複数の支持部材83が容器80から進むのを防止すべく底部壁部材を形成するのに利用される材料の量を最小にする設計及び構造とされている。しかし、非限定的に、中実な壁のようなその他の構造体も考えられる。複数のセラミック支持媒体83は、再使用及び/又はリサイクルのため容器から容易に除去可能である。
【0075】
図27を参照すると、補助的金型ヒータ91を更に備える金型容器80が図示されている。補助的金型ヒータ91は、溶融金属の凝固中及び一体型金型キャビティ内で結晶が成長する間、必要なエネルギを追加し得るように制御される。1つの形態において、補助的金型ヒータ91は、金型容器80の外壁82の内面84に接続されると共に、金型容器80の頂部分に配置される。しかし、金型容器に沿ったその他の位置も考えられる。
【0076】
図28を参照すると、一体型金型45が内部に配置された金型容器80の断面図が図示
されている。この断面図は、溶融金属を内部に受け入れる内部キャビティの翼型形成部分に相応する、図27の線28−28に沿ったものである。複数の支持部材83が外面45dに当接し、キャビティ48内に溶融金属を注入する間、薄い壁49を支持する。複数の支持部材83は、一体型金型45から外壁82までの熱伝達を防止する絶縁体として機能する空間94をその間に有している。更に、複数の支持部材83は、容器の外壁82への不連続的な熱伝達路を画成する。複数の部材83は、一体型金型45に対し所望の温度を保ち得るように一体型金型45から輻射される熱を保持する機能を果たす。
【0077】
図29を参照すると、一体型鋳造用金型が内部に配置された金型容器80が図示されている。容器80の外壁82と金型45の外面45aとの間に画成された空間内には、一体型金型45の一部分を加熱し得るように局部的な金型ヒータ93が配置されている。金型容器内で局部的な金型ヒータ93を利用することは、金型45の外面45aの任意の部分に隣接し又は近接する位置にて行うことができる。局部的な金型ヒータ93は、面に沿って連続的とし又は面に沿って不連続とし又は金型の設計に関係するパラメータにより必要とされるように面から隔てることができる。図29の補助的金型ヒータの図は、限定的なものであることを意図するものではない。
【0078】
図30及び図31を参照すると、一体型金型45の内部キャビティから非結合材料400を除去する方法及び装置が図示されている。この過程は、相互に接続された複数の材料層を有する自由形態に製造された金型に関して図示されているが、金属受け入れキャビティ内に配置された非結合粒子を有するその他の金型構造体に対しても有用であると考えられる。非結合材料は、粉体、微粒子及びキャビティ48内の一体型金型45の壁に結合されていないその他の材料に関する。1つの形態において、鋳造金属受け入れキャビティ内から非結合材料を除去する過程は、直接セラミック鋳造用金型を形成し得るように粉体の層を印刷し且つ結合することにより製造された金型に関する。別の実施の形態において、一体型金型45は、キャビティ内の非結合材料を乾燥させ得るように加熱されている。別の形態において、鋳造金属受け入れキャビティから非結合材料を除去する過程は、セラミックシェルを形成し得るように選択的レーザ励起技術により製造された金型に関する。非ゼリー状スラリーを乾燥させ且つ除去するか又は非乾燥状態で除去することができる。
【0079】
一体型金型45を有する金型容器80は傾斜角度θにて配置され且つ軸線Zの周りを回転させる。好ましい実施の形態において、角度θは約5乃至90°の範囲の鋭角な角度であり、より好ましくは、この角度θは約15°である。しかし、代替的な実施の形態において、角度θは変更可能である。一体型金型45の回転及び移動により非結合材料400は、内部キャビティを画成する壁から脱落し且つ内部キャビティと連通する出口開口101を通過し、集め箇所104に入る。1つの代替的な実施の形態において、一体型金型は、非結合材料400を内部キャビティから除去した後、出口開口101内に挿入される栓(図示せず)を有する。1つの好ましい実施の形態において、出口開口101は、特定の結晶学的構造及び/又は迅速な凝固を容易にし得るように鋳造工程中利用される金属開始種を受け入れ得る寸法とされている。
【0080】
1つの形態において、一体型金型45のスプロケット77は、駆動装置102と係合する。該駆動装置102は、容器が約0.1乃至2回転/分の範囲の速度にて回転し、より好ましくは、約1/3回転/分の速度にて回転するように駆動されるが、その他の速度も考えられる。一体型金型が回転される滞在時間は約15分乃至約2日の範囲とし、より好ましくは、約2時間とする。しかし、その他の滞在時間も考えられる。容器80は、軸線Zの周りを回転するとき、容器支持体103に沿って、矢印Pの方向に進む。容器スペーサ105が容器同士の接触を防止し得るように対の金型容器80の間に配置されている。更に、容器80は、内部キャビティから材料400を除去し易くするのに必要なように上下逆さにすることができ、また、材料の除去を容易にし得るよう内部キャビティ内に流体
洗浄剤を導入することができる。内部キャビティ内の流体の導入は、通常の状態又は上下逆さの状態で行うことができる。
【0081】
一体型金型45には、その内部キャビティ内に溶融金属を受け入れる前に熱加工工程が行われる。一体型金型45は、三次元的印刷により又は選択的レーザ励起方法により形成されるかどうかに関係なく、鋳造過程に十分でない素状態強度を有し、このため、上述したように、加熱されるに伴いその強度を増す。幾つかの金型構造体において、素状態の金型内に存在するポリマー及びその他の材料を燃焼することが必要である。より具体的には、選択的レーザ励起方法により形成された一体型金型の場合、素位相の金型内のポリマーを燃焼する必要がある。三次元的印刷技術により製造された金型は、略、燃焼過程を必要とせず、それは、素状態の一体型金型45から除去すべき十分な材料が存在しないからである。最後に、金型は、望まれるミクロ構造体の成長を促進し得るように選んだ適当な温度まで予熱しなければならない。柱状粒子構造体の場合、金型を予熱するのに望まれる温度は、約1482.22℃(約2700°F)であり、単結晶鋳造の場合、金型の予熱に望まれる温度は、約1537.78℃(約2800°F)である。
【0082】
本発明の1つの形態において、一体型金型45に対し一貫的な熱加工工程を行うことが望まれる。この一貫的な熱加工は、素状態の金型45を加熱することと、素状態の金型内の不要な材料を燃焼することと、所望のミクロ構造体を鋳造するのに必要な所望の温度まで金型を予熱することとを含む。金型は、加熱及び焼結工程後、冷却し、検査し、必要に応じて修理し且つ鋳造の準備をする。その後、金型は、金型を予熱するのに望まれる温度まで上昇させる。より好ましい形態において、これらステップの各々は、実質的に連続的な形態にて同一の加熱炉内で行われる。金型の熱サイクルを不要にすることは、精緻/微妙な通路を有する中空構造体を鋳造する能力を向上させることになる。
【0083】
図32を参照すると、溶融金属の装荷分108を一体型金型45を有する金型容器80のような鋳造用金型に供給する鋳造装置420の作用図が図示されている。本発明は、実質的な連続的な形態すなわちバッチ加工形態にて機能する鋳造装置を対象とする。鋳造装置と共に利用される鋳造用金型は、特定の金型型式又は構造にのみ限定することを意図するものではない。鋳造装置は、加熱路107内に配置された精密溶融金属供給装置106を備えている。本発明の1つの好ましい形態において、加熱炉107は、二重チャンバ付き真空加熱炉により画成される。しかし、本発明にて空気溶融又は加圧鋳造加熱炉のようなその他の型式の加熱炉も考えられることが理解される。ある量の溶融金属を金型80に配置する精密溶融金属供給装置は、環境的に制御されたチャンバ109内に配置される。溶融金属供給装置106は、るつぼ111内の溶融金属の表面の下方から溶融金属が供給される。溶融材料110の供給分がチャンバ109内に進み且つるつぼ111内で溶融される。るつぼ内の溶融金属の供給分は超加熱状態に加熱され、このため、鋳造タービンエンジン部品と関係した合金の場合、超加熱は176.667乃至204.444℃(350乃至400°F)の範囲にある。しかし、本発明において、これら合金及びその他の型式の金属に対するその他の超熱温度が考えられることが理解される。
【0084】
1つの実施の形態において、制御チャンバ109には、るつぼ111内で溶融金属の表面蒸発を遅くする遮蔽体及び/又は薄膜を形成する不活性ガス112が供給される。溶融金属の分配は、溶融金属供給装置106と金型80との間の圧力差によって制御される。1つの実施の形態において、溶融金属の排出は、溶融金属の表面に正圧を付与することで制御される一方、この正圧は、るつぼ111からのある量の溶融金属を金型80内に供給する。金型80は、真空加熱炉の第二のチャンバ内に配置され且つ溶融金属供給装置106よりも低圧である。
【0085】
図33及び図34を参照すると、本発明の鋳造装置の1つの実施の形態115が図示さ
れている。鋳造装置115は、壁114により分離された上方チャンバ117及び下方チャンバ118を有する二重チャンバ付き真空加熱炉116を備えている。チャンバの間に形成された圧力差を利用して溶融金属の装荷分を金型に供給する。金型入口ポート(mold entry port)119は、参照番号80で示したような鋳造用金型容器を導入し且つ下方チャンバ118から除去することを可能にする。本発明の1つの形態において、金型入口ポート119は、金型容器80を除去しまた下方チャンバ内に挿入するとき、下方チャンバ118内で真空環境を保つことを可能にする流体密のインターロック部を画成する。溶融金属を注入し且つ凝固させる間に、金型80を保持する回転可能な保持具121が下方チャンバ内に配置されている。開始種421は、金型容器80と共に位置決めされ且つ保持具121と接続されている。本発明の1つの好ましい形態において、保持具121は、金型45内で溶融金属を指向性凝固させ得るよう開始種からエネルギを吸引すべく開始種421と熱伝達可能に連通する熱伝達装置を備えている。
【0086】
金属材料供給装置120は、非溶融金属材料137を上方チャンバ117内に配置された溶融るつぼ122内に導入することを許容する。本発明の1つの形態において、非溶融金属材料137は、棒状の形態であり、鋳造装置115の作動を妨害せずにるつぼ内に送られる。好ましい実施の形態において、溶融るつぼ122は、耐火性るつぼを画成し、この耐火性るつぼ内で、金属材料は誘導ヒータ123により誘導的に加熱される。空中浮揚型及び抵抗型のようなその他の形態のヒータは、非限定的に、るつぼ122内の金属材料を溶融させ且つその温度を上昇させることが可能であると考えられる。るつぼ122は、ある量の溶融金属を保持する設計及び構造とされており、その溶融金属からより少量の溶融金属の装荷分が除去され、個々の金型を充填する。るつぼが保持することのできる溶融金属の量は、約2.26796乃至90.7185kg(約5乃至200ポンド)の範囲、より好ましくは、約22.6796kg(約50ポンド)の範囲とする。しかし、上述したように、るつぼは、連続的な過程に十分な能力を備えることができ、又は個々の1回の注入にあった寸法とすることができる。1つの実施の形態において、溶融金属のリザーバを保持するるつぼは溶融金属の装荷分の供給及び非溶融金属の材料を溶融のためるつぼ内に導入することに関係する温度変化を少なくする。溶融るつぼ122内の溶融金属124は、溶融金属分配装置内に進む。1つの実施の形態において、溶融金属分配装置は、ノズル253を通じて充填管52の精密に配置された入口78まで溶融金属を精密注入する装置を画成する。溶融金属分配装置125及び溶融金属をるつぼ122から分配する代替的な実施の形態のより詳細な説明を以下に記載する。
【0087】
本発明の1つの実施の形態において、回転可能な保持具121は液体冷却され且つ真空加熱炉の下方チャンバ118内に配置される。熱伝達装置が鋳造用金型45の各々と接続され且つ溶融金属の凝固中、熱伝達路を維持する。回転可能な保持具は、複数の金型容器ホルダ129を備えている。図34の実施の形態において、金型容器ホルダ129はスポーク部材であるが、溶融金属で充填され且つ所望の特定のマイクロ構造体となるように凝固するとき金型を保持するその他の構造も考えられる。金型容器80は、位置131まで回転され、この位置において、フィラー管の入口78は注入ノズル253と整合する。
【0088】
図35を参照すると、鋳造装置の1つの代替的な実施の形態135が図示されている。鋳造装置135は、鋳造装置115と実質的に同様であり、同様の特徴部は同様の参照番号で表示する。鋳造装置135と鋳造装置115との間の主要な相違点は、非溶融金属材料137が上方チャンバ117内に流れるとき、該金属材料に対する流体密のシールを形成するシール136を含む点である。1つの好ましい形態において、シール136は、非溶融金属材料137の外面137aと当接する。金属材料137は矢印Sの方向に向けて上方チャンバ117内に進むと、るつぼ122内の溶融合金124に作用する圧力が増す。溶融金属124に作用する圧力及び/又は力が増加することは、金属材料137が溶融金属124内に進むこと且つ/又は弁126を通じて供給される不活性ガス127の圧力
を上昇させることに起因する。1つの好ましい形態において、不活性ガスは、アルゴン又はヘリウムで、不活性ガスに関係する圧力差は60ミリトルである。
【0089】
図36を参照すると、本発明の鋳造装置の別の実施の形態140が図示されている。鋳造装置140は、鋳造装置135と実質的に同一であり、同様の特徴部は同様の参照番号で表示してある。鋳造装置140は、ノズル253を金属充填管52の入口78内に位置決めすることを可能にする。ノズルを充填管に接続することは、充填を促進し得るように水頭圧力を増すことを可能にする。更に、1つの形態において、この装置は時間に亙って溶融金属の圧力を制御すべく適用可能である。このため、溶融金属をノズルから排出したとき、溶融合金が充填管52まで通るための封じ込められた通路が存在する。ノズル253が金型容器80の入口78と合わさるようにするため、回転可能な保持具121は垂直方向に可動である。保持具121は、金型交換器130から金型容器80を受け入れ得るように下降させ、次に、溶融金属の装荷分を金型内に注入しようとするとき、金型容器を着座した関係にて位置決めし得るように持ち上げる。
【0090】
図37を参照すると、図33乃至図36の従来の鋳造装置と実質的に同様である鋳造装置145が図示されており、主要な相違点は鋳造装置145がより大きい鋳造用金型を取り扱う能力の点である。鋳造装置145は、下方チャンバ528に隣接する入口(doorway)146を通じてより大きい鋳造用金型525を導入することを許容する。1つの実施の形態において、溶融金属124は、溶融金属分配装置から金型キャビティ525の入口(inlet)523内に供給される。その後、金型522は、昇降装置548によりチャンバ528に対する注入位置から引き出される。
【0091】
図38を参照すると、金属開始種151に対する熱伝達を行う熱伝達装置150の第一の実施の形態が図示されている。1つの好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に相違する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、液体対固体の境界面にて約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。1つの実施の形態において、開始種151は、約0.635mm(約0.25インチ)乃至約7.62cm(約3.00インチ)の範囲の長さ「B」を有するが、その他の開始種の長さも考えられる。熱伝達装置150は、ジョーの面154を開始種151の本体と当接する熱伝達配置状態に配置し得るよう通常、機械的に偏倚された一対のジョー152を有している。ジョー152は、溶融金属が凝固するとき、開始種151に対する熱伝達路を維持する。機械的な作動構造体153は、通常、面154が開始種151と接触状態に維持されるよう閉じた位置に向けてばね偏倚された一対の可動アーム155を有している。開始種151は、アーム154、155の端部に機械的な力Fを加えることにより、熱伝達装置150から容易に非接続状態とされる。
【0092】
対のジョー152の各々は、開始種151の温度を変化させるべくある量の熱伝達媒体161を受け入れる内部冷却通路530を有している。熱伝達装置150は、能動的な冷却装置を利用するが、本発明は、受動的な冷却装置を採用することも考える。好ましくは、熱伝達媒体161は、金属開始種151からエネルギ/熱を吸引する冷却剤/吸熱体である。熱は、金型キャビティ内で凝固する溶融金属から伝導により開始種に供給される。その後、冷却媒体がジョー152を通ることで、開始種を通じて熱伝達が行われ、金型キャビティ内に溶融金属の熱勾配を生じさせ且つ指向性凝固を生じさせる。更に、多くの型式の冷却媒体を使用することができる。最も簡単な型式は、その熱容量及び/又は相変化の点で魅力のある固体であり、その非限定的な例は、銅である。水及び/又はアルゴンのような流体も冷却媒体を画成することができる。更に、より大きい熱伝達能力又は熱伝達性を有する熱伝達冷却媒体は、アルミニウム、スズ又は水銀のような液体金属を含む。
【0093】
図39を参照すると、本発明の熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態165が図示されている。1つの好ましい形態において、種における熱勾配は、時間と共に変化する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は、核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、液体が固体境界面まで凝固するとき、約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)よりも大きい。熱伝達装置165は、熱伝達装置150と実質的に同様であり、相違点は、対のジョー166を通る金属開始種151を局部的に加熱する能力の点である。更に、1つの実施の形態において、開始種を同時に局部的に加熱し且つ冷却することができる。加熱能力は、種と溶融金属との境界面の熱流量を調整するために利用される。熱伝達装置150及び熱伝達装置165は実質的に同様であるため、同様の特徴部は同一の参照番号で表示する。熱伝達装置165の1つの好ましい実施の形態において、ジョー166は、導線531により電源に接続され、電流がジョー166を通って流れる結果、金属開始種151が抵抗加熱される。開始種151からの結晶構造体の成長を制御するため、金属開始種151を局部的に加熱する能力が望まれる。
【0094】
図40及び図41を参照すると、金属開始種170に対する熱伝達を行う熱伝達装置の別の実施の形態171が図示されている。好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に変化させる。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は、核形成中、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。開始種171は、金属開始種151と実質的に同様であり、一対の精密位置決め特徴部172を更に備えている。金属開始種171は、金型容器80の開口部内に配置され且つ熱受け入れキャビティと連通状態に配置され、溶融金属を注入すると、金属開始種171の一部分は、溶融金属を受け入れ且つ部分的に溶融される。精密位置決め特徴部172は、一対のジョー173の各々の接触端部174を受け入れ得る設計及び構造とされている。ジョー173の各々の熱除去端部175はハウジング180内に配置されている。該ハウジング180は、冷却媒体が通るための通路176を有している。ハウジング180を通り且つジョーの熱除去端部175を亙って冷却媒体が通ることが矢印で概略図的に図示されている。1つの実施の形態において、局部的なヒータ178は、機械的ハウジング180に接続されている。ヒータ178は、対のジョー173と伝導的熱伝達可能な関係にあり、ジョーの接触端部174を通じて開始種171にエネルギを付与する。局部的ヒータ178は、溶融金属と金属開始種との間の境界面の熱流量を調節するように制御される。熱伝達装置のジョー173を図40に図示した位置から開放し、次に、対のジョー173を図41に図示した位置に閉じるため、機械的アクチュエータ177が利用される。アクチュエータ177は、液圧アクチュエータであることが好ましいが、鋳造環境にて機能するのに必要な性質を持つその他のアクチュエータが考えられる。
【0095】
図42を参照すると、溶融金属を受け入れる内部キャビティ186を有する金型185が図示されている。金型186は、内部キャビティ186及び開始種受け入れ入口(inlet)189に対し且つ該キャビティ及び入口からガス状材料を通し、金属開始種188を受け入れ且つ該開始種と緊密に係合するようにする通気端部187を有している。金属開始種188は、面188aにて溶融金属を受け入れ得るように配置されている。金属開始種は、その他の種の形状が可能であると考えられるため、図42に図示した種の形状にのみ限定することを意図するものではない。開始種の補助的ヒータ195及び補助的金型ヒータ196は金型185内に配置されている。絶縁体190は、金型185の下面185aと熱伝達装置191との間に配置され鋳造用金型185からの熱伝達を最小にする。好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に変化する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は、核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は液体対固体の境界面にて約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。
【0096】
熱伝達装置191は、開始種188の面198に当接し且つ外面198との接触状態を保つ位置まで可動である一対のアーム193、194を備えている。熱伝達装置191と開始種199との当接関係は、アーム193、194が開始種188から確実に解放されるまで維持可能である。精密位置決め部材192は、溶融金属受け入れキャビティ186内で溶融面188aの垂直高さを正確に配置し得るように開始種188の底面188bに接触する。冷却媒体通路197は、冷却媒体が通り得るように対のアーム193、194の各々に形成されている。キャビティ185内の溶融金属は、開始種188に熱伝達する一方、該開始種は面198を通じて冷却した対のアーム193、194に熱伝達する。通路197内を流れる冷却媒体はアーム193、194から熱を除去する。このように、キャビティ186内の溶融金属を指向性凝固させるため開始種188を通じて熱勾配が形成される。
【0097】
図43を参照すると、熱伝達装置191と接続された金型容器200が図示されている。金型容器200は、金型容器80と実質的に同様であり、実質的に同一の特徴部は同様の参照番号で表示する。薄肉厚の一体型金型45は、頂部分186a、底部分186b及び側部分186cを有する内部キャビティ186を備えている。高温のガス状材料がキャビティ186に且つキャビティ186から出ることを許容する通気口79が頂部分186aに近接する位置に配置されている。開始種受け入れ入口189は底部分186bに形成され、側部分186cは、金型の側壁49からの熱伝達を最小にし得るよう絶縁されている。1つの好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に変化する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、液体対固体の境界面にて約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。溶融金属受け入れキャビティ186の形状は、完全に一例であり且つ本発明を限定することを意図するものではない。
【0098】
図44を参照すると、鋳造用金型内に配置された開始種を通じて熱を吸引する熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態201が図示されている。1つの好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に変化する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、液体対固体の境界面にて約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。1つの実施の形態において、一体型熱伝達装置201は、開始種部分202と、精密位置決め面203と、貫通路204とを備えている。開始種部分202は、金型の薄いセラミックシェルの面550内に受け入れられ且つ該面550と当接する。開始種部分202の垂直位置は、精密位置決め部材192により固着され、該精密位置決め部材は精密位置決め面203と当接する。通路204は、熱伝達装置201に形成され且つ熱伝達媒体を通す設計とされている。より具体的には、該通路は、熱伝達装置に形成された支承面206と強固に係合し且つ整合可能な一対のカプラー205(その1つのみを図示)と接続可能な設計とされている。対のカプラー205が熱伝達装置201と接続され且つ通路204と整合された状態で、熱伝達媒体の流れは、カプラー205内の通路551を通って熱伝達装置201の通路204内に流れることができる。
【0099】
支承面206及びカプラー205の各々における相応する面は、冷却媒体が継手の周りで漏洩するのを防止するよう実質的に流体密のシールを形成する。更に、1つの実施の形態において、支承面206は電気的接点を画成し、対のカプラー205は熱伝達装置201と合わさったとき、回路が接続され且つ電流が熱伝達装置201を通って流れ、種部分202を加熱するヒータを形成する。熱伝達装置201は、開始種部分202の局部的な加熱を許容し且つ開始種部分202の上で金型内で凝固する溶融金属からエネルギを吸引することを可能にする。
【0100】
図45を参照すると、金型の薄いセラミックシェルとの当接関係から除去されたエネルギ伝達装置201の1つの実施の形態の斜視図が図示されている。1つの形態において、エネルギ伝達装置201は、開始種部分202を有する一体的主要本体207を有している。開始種部分は、鋳造用金型の種受け入れ部分内に配置し、溶融金属が矢印Fの方向に溶融面208を横断して流れ得るようにすることが可能である。しかし、本発明は、一体型装置にのみ限定されず、多岐に亙る幾何学的形態及び流路を有する組み立てた装置も含む。
【0101】
図46A及び図46Bを参照すると、鋳造用金型210の一部分が図示されている。1つの好ましい形態において、鋳造用金型210は、選択的レーザ励起又は三次元的印刷により形成されるが、金型はこれら方法により製造された金型に限定することを意図するものではなく、当業者に知られたその他の方法により製造することができる。鋳造用金型210は、一体型鋳造用金型210内のキャビティ212に溶融金属を供給する通路を提供する注入管211を備えている。1つの実施の形態において、開始種213は、鋳造用金型210内に配置され且つディフューザ211aの排出部分216に対する所定の位置に開始種213の最初の溶融面215aを配置し得るように位置決め部材214により配置される。ディフューザ211aは、開始種の最初の溶融面215aを溶融金属にて完全に覆うことを可能にする。ディフューザ部分211aの壁は、15°乃至45°の範囲にあることが好ましい角度φにて開放する。開始種本体の一部分が最初に溶融する間、開始種213に輸送されるエネルギを増し得るようにディフューザ部分211aは、開始種に亙る溶融金属の動きを遅くする。1つの実施の形態において、最初の溶融面215の高さ及びディフューザ部分211aの形態は、種の一部分を溶融させ得るように溶融金属から除去され且つ開始種213に輸送される熱の量を最大にし得るように選択される。
【0102】
本発明の1つの実施の形態において、溶融可能な部材220は、鋳造用金型210内に配置し、溶融金属の流れが部材220を溶融させ且つ溶融可能な部材から成る材料を溶融金属と共に金型キャビティ212内に供給するようにする。溶融可能な部材220は、注入管211の一部分内に配置される。しかし、溶融可能な部材220の位置は、ディフューザ211aのような他の場所とすることができる。1つの好ましい形態において、部材220は、溶融金属が充填管211を通って流れるのを実質的に妨害せず且つ溶融金属の熱により容易に溶融されるワイヤー又はメッシュである。溶融可能な部材220は、溶融し且つ溶融合金と混合し、改良された展性及び/又は酸化抵抗性のような非限定的な性質を鋳造部品に付与する。1つの形態において、溶融可能な部材220は、非限定的に希土類金属元素のような反応性金属にて形成される。
【0103】
図47A乃至図47Cを参照すると、溶融金属は溶融面188aを亙って矢印Gの方向に流れるとき、開始種188の一部分が溶融して戻る状態が図示されている。開始種188は、溶融端及び基端を有する金属部材であり、該基端は部材に対し且つ/又は部材から熱を伝達し得るよう熱伝達装置と接触可能である。溶融加速部分225が溶融端に形成され且つ参照番号Pで示した材料の最初の高さを有する。図47Aを参照すると、非溶融状態にある溶融部分が図示され、この溶融部分は、基端の断面積よりも小さい断面積を有する。溶融金属が面188aを亙って流れる時間の後、溶融部分225は部分的に溶融して戻る。面188b(図47B)は、ある時間、溶融金属が通過した後の溶融部分225のプロファイルを示し、その高さはQで示してある。図47Cを参照すると、追加的な溶融金属が溶融部分225を亙って流れるとき、溶融過程が続行し、プロファイルは188cで示してあり、Rで示した高さを有する。溶融部分225の溶融が続くと、凝固する金属からの熱伝達が生ずる溶融部分の表面積は、開始種188の基部226の表面積と等しい寸法に近づく。1つの実施の形態において、種が溶融して戻る状態が完了すると、溶融部分は、溶融金属から開始種への熱伝達を制限しないよう基端に実質的に等しい断面積を有する。
【0104】
図48及び図49を参照すると、本明細書で可能であると考えられる開始種の他の実施の形態が図示されている。開始種230は、半円形の断面である溶融加速部分231を有するが、非限定的に、溝付き面及び/又はギザギザ付き面のようなその他の幾何学的形状も考えられる。開始種235は、溶融部分235aと、熱伝達媒体が通り得るように形成された通路236とを有する。本明細書において、開始種はその他の幾何学的形状が可能であり、また、溶融加速部分235aは備えなくてもよいが、熱伝達材料が流れるための通路を備えるようにしてもよいことが理解される。1つの代替的な実施の形態において、より多くの精緻な冷却通路を形成し得るよう複数の内部通路が考えられる。
【0105】
図50を参照すると、鋳造装置115のような鋳造装置から溶融金属を分配する装置の別の実施の形態230が図示されている。溶融るつぼ231は、溶融金属が底部壁部材の穴を通過しない点を除いて、溶融るつぼ122と実質的に同一である。溶融金属供給通路232は、供給端部233及び排出端部234を有する。供給端部233は、溶融金属の面の下方から溶融金属が供給され、通路232がるつぼ231内の溶融金属の柱状部分の高さまで充填される。供給通路232から金型容器80内への溶融金属の排出は、チャンバ117とチャンバ118との間の圧力差によって制御される。
【0106】
溶融金属供給通路232は、受動的な溶融金属流れ制御機能を有する。1つの実施の形態において、通路232の部分232aは、流れ制御手段として機能する。るつぼ内の溶融金属に十分な圧力が付与されたとき、通路232は、溶融金属にて充填される。付与された圧力を解放すると、溶融金属はるつぼに戻り且つるつぼ内の溶融金属の高さに実質的に等しい通路内の高さに保たれる。1つの形態において、溶融金属を部分232aから且つノズル600外に供給することは、高さ「C」プラスチャンバ117及びチャンバ118の間の圧力差により制御される所定の圧力及び速度で行われることになる。通路232を充填するのに必要な作動エネルギは「D」で示してある。
【0107】
装置の1つの好ましい形態において、溶融金属の排出は、るつぼ231内の溶融金属に対し圧力を付与することで制御される。上述したように、溶融金属に付与された圧力は、金属材料137を溶融金属内に前進させること、及び/又は不活性ガスにより溶融金属の表面に圧力を付与することにより形成することができる。溶融金属の表面における圧力が上昇すると、追加的な溶融金属が供給端部233及び供給通路232を通じて排出端部234に付勢される。排出端部234にて、溶融金属は、ノズル600を通って金型容器の入口(inlet)まで流れる。溶融金属に作用する圧力を解放すると、点235を超える溶融金属が供給され、通路内の残る溶融金属はその位置に留まり且つ/又はるつぼ231に戻される。このため、金型容器80への溶融金属の供給は、チャンバ117、118の間の圧力差により制御される。1つの代替的な実施の形態において、金型容器80への溶融金属の流れは、溶融金属に作用する圧力を上昇させることに代えて、容器の周りの圧力を下降させることにより行うことができる。
【0108】
図51を参照すると、溶融金属を鋳造装置115のような鋳造装置から分配する溶融金属の分配装置の1つの代替的な実施の形態240が図示されている。より具体的には、溶融金属の分配装置240は、上方チャンバ117内に配置され、金型80は、下方チャンバ118内に配置されている。るつぼ241は、るつぼ122と実質的に同様であり且つ金属材料を溶融させ得るようにヒータ123により加熱される。るつぼの排出穴242がるつぼに形成され且つ壁部材114を貫通する通路243と整合されている。ストッパロッド244が上方チャンバ117内に配置されている。該ストッパロッド244は、密封面245が穴242の周りでるつぼの壁に係合し、溶融金属が通過するのを防止する位置と、密封面245が穴242の周りで壁と当接する関係から除去される別の位置との間にて可動である。重力は、ストッパロッドの密封面245をその密封位置から除去したとき
、溶融金属が金型80内に流れるのを許容する。
【0109】
図52を参照すると、溶融金属の分配装置125が内部に配置されたるつぼ122の拡大図が図示されている。るつぼ122は穴700を有している。溶融金属の分配装置125は、互いに且つるつぼ122と流体的に連通した外側通路250及び内側通路251を有している。複数の充填穴252は、るつぼ122内の溶融金属が装置125の外側通路250内に流れるのを許容する。外側通路250が溶融金属にて充填されると、溶融金属は、内側通路251の供給端部251a内に溢れることができる。内側通路251は、排出端部251bを有し、溶融金属はこの排出端部を通ってノズル253まで流れる。ノズル253の周りの内側通路251の部分255は、溶融金属が蓄積するのを許容し、この溶融金属は、ノズル253の温度を溶融金属のるつぼの温度近くに保つために使用される。
【0110】
1つの実施の形態において、熱遮蔽体及び/又はヒータ254は、ノズル253から隔てられ且つ該ノズル253の周りに配置され、ノズルを機械的に保護し、またノズルからの熱損失を少なくする。ノズル253は、るつぼの穴700を通って伸び且つ溶融金属の流れを集中させ得る設計とされた排出穴を有する。1つの形態において、溶融金属の流れは、実質的に垂直に排出されるが、別の実施の形態において、その流れは他の相対的な方向に排出される。1つの実施の形態において、排出穴は、直径約3.175mm(約0.125インチ)であるが、その他の寸法も考えられる。更に、ノズルは、溶融金属の排出が完了する毎にそれ自体でパージする点で自己洗浄型である。より具体的には、1つの実施の形態において、ノズル253は尖った端部253aを有する。
【0111】
溶融金属の分配装置125の構造体は、複数の入口充填穴252を有し、内側部材256が隔てられた外側部材257を備えることが好ましい。内側部材256及び外側部材257は、アルミナ又はその他の適当なセラミックにて作られることが好ましく、外側部材は、等しく隔てられた4つの入口充填穴252を有するが、入口穴のその他の数及び間隔も考えられる。内側部材及び外側部材はるつぼ122の基部に接続される。より好ましくは、分配装置125は、一端にて閉じられた第一の直立の外管257及び内方に隔てられた第二の直立の内管256とを画成する。内管256及び外管257は、るつぼ122の底部壁部材701に接続され且つ穴700の周りに配置されている。1つの好ましい実施の形態において、内管256は、所定の量の溶融金属を保持する計測量供給キャビティを画成する。
【0112】
図52aを参照すると、溶融金属の分配装置の1つの代替的な実施の形態が図示されている。溶融金属の分配装置650は、機械的ハウジング/るつぼ651内に配置されさている。機械的ハウジングは、溶融金属を内部に受け入れ得るようにされた内部容積652を有している。溶融金属の分配装置は、通路654が形成された部材653を備えている。通路654の一端には溶融金属入口(inlet)655があり、その他端には溶融金属出口がある。1つの代替的な実施の形態において、溶融金属の分配装置の一部分のみが溶融金属が配置された内部容積内に配置される。通路654内に湾曲部分655が画成されている。溶融金属は、通路654に入り且つ通路を通ってハウジング651内の溶融金属の高さまで流れる。機械的ハウジング内の溶融金属に圧力を付与したとき、溶融金属は、湾曲部分655に駆動され且つ通路654を通って溶融金属出口まで流れ且つ排出される。1つの形態において、溶融金属は、矢印Aで示した第一の方向に流れ、湾曲部分655に達し、この湾曲部分655から矢印Bで示した第二の方向に流れる。溶融金属の入口655は、内部容積内の溶融金属の面670の下方に配置されている。1つの実施の形態において、溶融金属の分配装置は一体に形成されている。
【0113】
溶融金属の分配装置650の1つの好ましい実施の形態において、通路は、実質的にU
字形の通路を形成し得るように湾曲部分と合わさる実質的に直立部分を有する。更に、湾曲部分は機械的ハウジング/るつほ651内の溶融金属の高さよりも上方にあることが好ましい。1つの形態において、通路の一部分は、溶融金属の入口と溶融金属の出口との間にて断面積が変化する。より好ましい形態において、通路の少なくとも一部分は湾曲部分の前にテーパーが付けられ、より好ましくは、截頭円錐形の形状の通路を画成するようにする。1つの実施の形態において、通路654は、該通路と流体的に連通する状態に配置された通気口700を有する。しかし、1つの代替的な実施の形態において、通路は該通路に接続された通気口を有しない。通気口は通路を換気し且つ通路を加熱流体で洗浄することを許容するために利用される。本発明は、溶融金属の分配装置の部品に対しその他の幾何学的形状及び寸法とすることも可能と考える。
【0114】
図53A乃至図53Eを参照すると、溶融金属の分配装置125の1つの実施の形態から溶融金属を分配する過程が図示されている。非溶融金属材料137がるつぼ122内に前進すると、その材料は溶融し且つある量の溶融金属124を形成する。溶融金属124は複数の充填穴252を通って装置125の外側通路250内に流れる。非溶融金属材料137がるつぼ内に連続的に進み、その後に、溶融すると、るつぼ122内での溶融金属の高さHは、内側通路251の供給端部251aの高さまで上昇する。内側通路/計測量供給チャンバ251を溶融金属で充填するため、チャンバ内の溶融金属124に追加的な力を付与することが必要となる。
【0115】
この追加的な力は、非溶融金属材料137をるつぼ内の溶融金属の量内に連続的に進めることで付与することができる。るつぼ内の溶融金属124に作用する圧力を増すための第二の方法は、溶融合金の表面に対し加圧した不活性ガスを導入することである。溶融金属に作用する追加的な圧力は溶融金属が充填穴252を通って連続的に流れるようにする。その後、溶融金属は外側通路250から内側通路の供給端部251aにあふれる。内側通路の充填は、充填穴252は比較的迅速な過程であり、それは、充填穴252はノズル253よりも実質的に大きい材料の流入分が入口通路から排出されるようにすることを許容する寸法とされているからである。内側通路251が溶融金属で実質的に充填されたとき、面124aに作用する圧力は除去され、内側通路251は最早、外側通路250から溶融金属を受け取らず、該内側通路はその溶融金属の装荷分をノズル253を通じて集中的な流れにて排出する。
【0116】
溶融金属の分配装置の1つの実施の形態において、センサ800(図53D)はノズルからの溶融金属の最初の流れを検出し得るようにノズル253に近接して配置されている。ノズル253から溶融金属の最初の流れが検出されたとき、センサは、溶融金属の面124aから更なる圧力が除去されるようにする信号を送る。1つの実施の形態において、この信号は、溶融金属への圧力の付与を制御する制御装置に送られる。溶融金属がノズル253から排出されたことの早期の表示は、充填穴252及びノズル穴の全体寸法の差のため、内側通路251の充填の完了と実質的に同時である。1つの実施の形態において、充填穴252からの材料の流入は、ノズル穴を通る材料の流出量よりも著しく多い。
【0117】
図54を参照すると、溶融金属の圧力が時間の関数として図示されている。図36に図示した1つの実施の形態において、ノズル253は、充填管52の入口78と流体的に連通状態に接続されている。次に、チャンバ117内の圧力を上昇させるか又はチャンバ118内の圧力を減少させる何れかにより溶融金属の流れを開始させることができる。チャンバ118内の圧力の減少は、金型の内部キャビティを真空にし、これにより、残留する粉体のようなルーズな材料を除去すること、及び/又はアルミニウム、チタン及びハフニウムのような反応性元素を保護するため金型のガス量を軽減させることの機能が可能である。更に、チャンバ117内の圧力の上昇は、金型キャビティの細部を充填するのに役立つ。多くの材料間の反応を抑制し且つ凝固に起因する収縮を軽減するためチャンバ117
内でより高圧力を使用することができる。
【0118】
図55を参照すると、その後の鋳造工程が行われるように加熱炉801内に配置されたガスタービンエンジンブレード30が図示されている。単結晶及び/又は柱状粒子鋳造用のこの後鋳造加工工程は、熱等静圧加圧工程、均質化工程及び焼入工程を含む。熱等静圧加圧工程は、部品30を加熱炉801内に配置し且つ部品に対し高温度及び圧力を作用させ、鋳造構造体から空隙を除去する。1つの実施の形態において、熱等静圧加圧は、約1301.67乃至1315.56℃(約2375乃至2400°F)の温度及び約206.843MPa(約30,000lbs/平方インチ)の圧力にて行われる。この圧力は、アルゴンのような不活性ガスにて供給されることが好ましい。図55を参照すると、圧力は矢印802で示し、温度は矢印803で示してある。
【0119】
熱等静圧加圧工程後、部品に対し均質化工程を行い、これにより、凝固過程中に分離するであろうし且つ鋳造構造体の初期の融点を上昇させる設計とされた要素間に拡散を生じさせる。均質化サイクルは、部品に対し焼入ステップを行い、その後に、焼鈍し工程を行うことで完了する。
【0120】
本発明の1つの実施の形態において、3つの後鋳造工程は、加熱炉801内の連続的な過程に組み合わされる。熱等静圧加圧工程は、鋳造品の空隙を少なくし得るようにある時間、加熱炉801内の温度及び圧力を上昇させることにより加熱炉801内で行われる。その後、加熱炉801内の温度は、部品30を形成する材料の初期融点の約−3.889℃(25°F)以内の値まで上昇させる。好ましくは、加熱炉801内の温度は、ある時間、材料の融点の−15℃(5°F)以内まで上昇させる。均質化工程が完了した後、低温の不活性ガスを加熱炉801内に高圧力で輸送することにより、焼入工程が行われる。鋳造部品の老化は、所望に応じて真空又は圧力下にて続行させることができる。
【0121】
鋳造工程の1つの好ましい形態は、約254cm(約100インチ)/時の速度、より好ましくは約152.4cm(約60インチ)/時の速度にて単結晶が成長することを許容する。しかし、その他の成長速度も考えられる。結晶をこれらの速度にて成長させ得ることは、より遅い凝固過程中に生じる合金中の元素の分離を最小にする。合金中の元素の分離の減少により、後鋳造工程の均質化サイクルは、約24時間以内で行われ、より好ましくは、約2時間で行われるようにする。大きい熱勾配及び比較的短い開始種を利用する結果、加工がより迅速となり、収縮率がより少なく、疲労性質を改良し、また、より大きい応力破断強度を促進する、低分離を生ずる。
【0122】
図56を参照すると、金属柱状粒子の開始種900が図示されている。開始種900は、指向性凝固した柱状粒子部品901を成長させる設計とされている。開始種900は、鋳造部品に再現することが望ましい極めて細かい粒子902を有している。金属開始種900のこの精密に配向した結晶学的構造体は鋳造部品にこの構造を付与するために使用される。
【0123】
本発明は図面に図示し且つ上記の説明にて詳細に記載したが、これは単に一例でありその性質を限定するものであると見なすべきではなく、好ましい実施の形態のみを図示し且つ説明したものであり、本発明の精神に属する全ての変更及び改変は、保護の対象に含めることを望むものであることが理解される。
【技術分野】
【0001】
本出願は、1998年11月20日付けで出願され、その内容を参考として引用し本明細書に含めた、連続番号60/109,298の米国仮特許出願の利益を主張するものである。更に、本出願は、1999年5月28日付けで出願され、その内容を参考として引用し本明細書に含めた、連続番号09/322,863の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、略、鋳造部品を製造する方法及び装置に関する。より具体的には、本発明の1つの実施の形態において、開始種を保持する精密鋳造用金型内で超合金を指向性凝固することにより単一鋳造結晶構造体が製造される。本発明は、ガスタービンエンジンの部品を鋳造するために開発されたものであるが、この分野以外の特定の用途が可能である。
【0003】
ガスタービンエンジンの性能は、略、燃焼室から流れる高温の作用流体の作動温度の上昇と共に向上する。作用流体に許容可能な温度を制限するものとしてガスタービンエンジンの設計者が認識する一つの因子は、エンジン部品が高温の作動流体にさらされたとき、劣化しえないようにすることである。ブレード及びベーンのような翼は、エンジンの作動中に高温の熱及び大きい運動荷重にさらされる部品の例である。
【0004】
ガスタービンエンジン部品にてしばしば利用されている1つの冷却技術は、穴及び通路の内部回路網である。冷却媒体の流れは、部品の内部通路を通って流れ且つ部品の外面に排出される。冷却媒体が内部通路を通ることは、その部品から冷却媒体へ熱伝達されることを可能にする。
【0005】
高温の薄い肉厚の鋳造構造体の製造について記載され、その内容を参考として引用して本明細書に含めた、米国特許第5,295,530号に1つの方法及び装置が開示されている。この米国特許第5,295,530号には、真空加熱炉内で水冷型の冷却プレート上に支持されたセラミック鋳型金型内に溶融金属を注入する方法が記載されている。溶融金属の射出圧力は、その過程中、鋳造用金型の壁が著しく変形しないように、時間と共に変化させることができる。その後、鋳造用金型内の溶融金属を指向性凝固させる。
【0006】
従来の技術は、内部通路及び穴を有する薄肉厚の鋳造部品を製造することができるが、1つの部品を鋳造するための改良された方法及び装置が依然として、必要とされている。本発明は、新規且つ非自明の仕方にてこの課題及びその他の課題を満足させるものである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの形態は、溶融金属の指向性凝固により少なくとも1つの結晶を成長させるべく適用可能な金属種を備え、該開始種が溶融金属を受ける部分と、熱伝達媒体が通過し得るようにされた少なくとも1つの内部通路とを有する、装置を対象とするものである。
【0008】
本発明の別の形態は、溶融金属を製品に凝固するために使用される金属種結晶を対象とするものである。この種結晶は、溶融端部と、基端部とを有し、その端部の間に溶融部分及び非溶融部分が存在する、金属部材を備え、基端部は、部材から熱を伝達し得るように吸熱体に接触し得るようにされた第一の面を画成し、溶融部分は、溶融端部に形成され且つ溶融金属を受け入れ得るようにされ、溶融部分は、第一の面の面積よりも小さい断面積の非溶融状態と、溶融部分が基端部への熱伝達を制限し得ないように第一の面と実質的に
等しい断面積を有する溶融状態とを有する。
【0009】
本発明の別の形態は、溶融金属が指向性凝固する間に、金属開始種と熱交換する装置を対象とする。この装置は、金属開始種を機械的に把持し且つ金属材料が凝固するとき、開始種との熱伝達路を保つ少なくとも1つの部材と、熱を除去すべく少なくとも1つの部材と接続された熱伝達吸熱体とを備えている。
【0010】
本発明の別の形態は、排出口を有するるつぼと、該るつぼ内で金属材料を溶融させ得るようにるつぼが内部に配置された真空加熱炉と、金属開始種と、開始種を受け入れ得るようにされた開口部及び排出口から排出された溶融金属材料を受け入れる内部キャビティを有する鋳造用金型とを備え、開始種は、開口部内に配置され且つ内部キャビティ内に受け入れられた溶融金属材料が接触可能であり、第一の期間中、開始種に対しエネルギを選択的に付与すべく開始種と接続されたヒータを備え、開始種はキャビティ内に注入した金属に接続され、金属材料がキャビティ内で指向性凝固する間に、熱が開始種から吸引される装置を対象とする。
【0011】
本発明の別の形態は、溶融金属を注入する装置を対象とする。この装置は、貫通する穴を有する底部壁部材を有するるつぼと、該るつぼ内に配置された第一の直立管であって、穴の周りに配置され且つ底部壁部材に接続された第一の端部と、閉じた他端である、第二の端部とを有し、溶融金属がるつぼから第一の管まで流れるのを許容する少なくとも1つの入口部(entrance)を有する第一の直立管と、第一の管内に配置された第二の直立管であって、底部壁部材と接続され且つ穴と流体的に連通した一端と、管からの入口(inlet)を画成する他端とを有し、ある容積の溶融金属を受け入れえるようにされた第一のキャビティを有する第二の直立管と、溶融金属が少なくとも1つの入口部から入口まで流れるため第二の管に沿って伸びる通路とを備えている。
【0012】
本発明の別の形態は、溶融金属を加熱炉内の鋳造用金型内に注入する方法を対象とする。この方法は、排出穴を有するるつぼであって、該るつぼ内に配置された注入アセンブリを有し、注入アセンブリは、直立の内管の周りに配置された直立の外管を有し、該内管は、排出穴と流体的に連通する前記るつぼを提供することと、溶融材料をるつぼ内で液体状態に溶融させることと、液体状態の金属をるつぼから外管と内管との間に画成されたキャビティ内に流動させることと、液体状態の金属が内管内に流れ且つ内管を充填し得るようにキャビティを過剰充填することと、内管の充填を停止することと、液体状態の金属を内管から排出することとを備えている。
【0013】
本発明の別の形態は、溶融金属を注入する装置を対象とする。この装置は、底部壁部材、溶融金属を保持し得るようにされた内部容積を有する機械的ハウジングと、内部容積内で溶融金属の表面より下方から溶融金属を受け入れ得るようにされた第一の溶融金属入口(inlet)端、その間に通路を有する第二の溶融金属出口端を有する溶融金属供給部材であって、その少なくとも一部分が機械的ハウジング内に配置された前記溶融金属供給部材とを備え、通路は、第一の通路部分及び第二の通路部分と、溶融金属が流れる方向が変化する湾曲部分とを有し、第一の排出モードにおいて、第一の通路部分内での溶融金属の第一の流動方向が、溶融金属の入口から湾曲部分に向け、また、第二の方向に第二の通路部分を通って湾曲部分から上記出口に向かう。
【0014】
本発明の更に別の実施の形態は、自由形態に製造されたセラミックシェルであって、溶融金属を受け入れ得るようにされたキャビティを画成する薄い第一の外壁を有する前記セラミックシェルと、内面を有する第二の外壁を有する容器であって、シェルが容器内に配置され且つ内面から隔てられた前記容器と、第一の外壁と内面との間の空間を実質的に充填し且つ上記シェルを補強する少なくとも1つの支持部材とを備える、鋳造用金型を対象
とするものである。
【0015】
本発明の更に別の形態は、溶融金属を内部に受け入れ得るようにされた内部キャビティを有する金型であって、該キャビティが、頂部分と、底部分と、側部分とを有する前記金型を提供することと、上記側部分を通じての熱伝達を最小にすべくセラミックシェルを絶縁することと、金型を環境制御チャンバ内に配置することと、キャビティにより画成された鋳造物を形成し得るようにキャビティに溶融金属を充填することと、鋳造品の一端からエネルギを吸引することにより溶融金属を金型内にて指向性凝固することとを備える方法を対象とするものである。
【0016】
本発明の更に別の形態は、溶融金属材料を受け入れるキャビティを画成し得るように共に接続された複数の材料層と、キャビティと連通する出口とを有する鋳造用金型を提供することと、鋳造用金型をある勾配にて配向することと、キャビティ内に配置され且つ複数の材料層の1つに結合されていないすべての材料を自由にし得るように鋳造用金型を回転させることと、キャビティ内に配置された材料をキャビティ外に且つ出口通じて流すこととを備える方法を対象とするものである。
【0017】
本発明の更に別の形態は、自由形態の製造技術により一体型セラミック鋳造鋳型シェルであって、溶融金属を受け入れ得るようにされた内部キャビティを有する鋳造用金型シェルを構成することと、セラミック鋳造用金型シェルを補強することと、セラミック鋳造用金型シェル内に金属開始種を配置し、金属開始種が溶融金属を受け入れ得るようにすることと、内部キャビティを溶融金属にて充填することと、内部キャビティ内で溶融金属を指向性凝固させるべく金属開始種を通じて熱を吸引することとを備える方法を対象とする。
【0018】
本発明の更に別の形態は、セラミック鋳造用金型装置を製造する方法であって、リザーバ及びエネルギ源を含む立体リソグラフィ装置を提供することと、ガスタービンエンジン部品を表わす鋳造用金型装置の複数の断面を画成するデータファイルを立体リソグラフィ装置に提供することと、セラミック粒子と、モノマーと、光開始剤とから成るセラミック充填樹脂をリザーバ内に配置することと、モノマーを重合化し且つ層のセラミック粒子を共に保持するポリマーバインダから成る実質的に硬化した層を形成すべく鋳造用金型装置の断面をエネルギ源によりセラミック充填樹脂層の上に描くことと、実質的に硬化した層をセラミック充填樹脂の別の層にて覆うことと、モノマーを重合化し且つ別の層のセラミック材料を共に保持するポリマーバインダから成る実質的に硬化した別の層を形成すべく、前記被覆した後、鋳造用金型装置の別の断面をエネルギ源により前記被覆をセラミック充填樹脂の別の層の上に描くことと、複数の実質的に硬化した層を有する鋳造用金型装置を製造し得るように複数の断面の各々に対し被覆すること及び描くこととを繰り返すこととを備える、方法を対象とするものである。
【0019】
本発明の更に別の形態は、素セラミックの鋳造用金型装置であって、溶融金属材料を受け入れ得るようにされた複雑な形状の容積を画成する内面として形成された実質的に円滑な薄い外壁部材を有するシェルであって、薄い外壁部材がポリマーバインダにより共に接続されたセラミック粒子の層状構造体であるシェルと、容積内に配置され且つ該容積内に受け入れた溶融金属材料から形成された部品内に少なくとも1つの通路を形成し得るようにされたコアであって、有機系ポリマーバインダにより共に接続されたセラミック粒子の層状構造体である前記コアとを備える、鋳造用金型装置を対象とする。
【0020】
本発明の1つの目的は、鋳造部品を製造する独創的な装置を提供することである。
本発明の関連する目的及び有利な点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ガスタービンエンジンの図である。
【図2】図1のガスタービンエンジン内のガスタービンエンジンブレードの斜視図である。
【図3】図2の一部分のガスタービンエンジンブレードを備える、内部冷却通路の1つの実施の形態の平面図である。
【図4】薄い外壁を有する鋳造翼の1つの実施の形態の断面図である。
【図5】多数壁鋳造構造体の1つの実施の形態の図である。
【図6】本発明の1つの面による方法にて製造された前縁を有する雰囲気空気/航空機の1つの実施の形態の図解図である。
【図7】鋳造弁体の1つの実施の形態の図である。
【図8】開始種からの樹枝状成長の図である。
【図9】本発明の1つの実施の形態による鋳造用金型の一部分の図である。
【図10】本発明の別の実施の形態による鋳造用金型の一部分の図である。
【図11】製造サイクルが実質的に完了したときの図10の鋳造用金型の図である。
【図12】鋳造用金型装置用の製造ファイルを作製する方法の1つの実施の形態のフローチャートである。
【図13】立体リソグラフィ法により製造される図10の鋳造用金型の図である。
【図14】層状製造構造体の層を画成する境界を拡大した、図10の鋳造用金型の図である。
【図15】図14の層状製造構造体の一部分の拡大図である。
【図16】図10の鋳造用金型の一部分を備える壁構造体の1つの代替的な実施の形態の図である。
【図17】図10の鋳造用金型の一部分を備える壁構造体の1つの代替的な実施の形態の図である。
【図18】図10の鋳造用金型の一部分を備えるコアの1つの代替的な実施の形態の図である。
【図19】図10の鋳造用金型の一部分を備えるコアの1つの代替的な実施の形態の図である。
【図20】本発明の鋳造用金型の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図21】図20の鋳造用金型の斜視図である。
【図22】図20の鋳造用金型の線22−22に沿った断面図である。
【図23】本発明の鋳造用金型の別の実施の形態の断面図である。
【図24】素セラミック金型を焼結する加熱炉内の鋳造用金型の概略図である。
【図25】頂部材を更に備える、本発明の1つの実施の形態である自由形態にて製造した一体型鋳造用金型の図である。
【図26】図25の一体型鋳造用金型が内部に配置された金型容器の部分図である。
【図27】加熱リングを更に備える図26の金型容器の1つの代替的な実施の形態の部分図である。
【図28】線28−28に沿った図27の断面図である。
【図29】ヒータを更に備える、図27の金型容器の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図30】鋳造用金型から非結合材料を除去する装置の図である。
【図31】鋳造用金型から非結合材料を除去する図30の装置の1つの実施の形態の図である。
【図32】本発明の鋳造装置の1つの実施の形態の図である。
【図33】本発明の部品を鋳造する鋳造装置の1つの実施の形態の断面図である。
【図34】図33の鋳造装置の概略図である。
【図35】本発明の部品を鋳造する鋳造装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図36】本発明の部品を鋳造する鋳造装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図37】本発明の部品を鋳造する鋳造装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図38】開始種にエネルギを伝達する熱伝達装置の1つの実施の形態の斜視図である。
【図39】開始種を加熱する電気的手段を更に備える、図38の熱伝達装置の斜視図である。
【図40】鋳造容器内に配置された開始種にエネルギを伝達する熱伝達装置の開始位置か位置にあるときの1つの代替的な断面図である。
【図41】閉じた位置にあるときの図40の熱伝達装置の断面図である。
【図42】鋳造用金型内の開始種にエネルギを伝達する熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図43】鋳造用金型内の開始種にエネルギを伝達する熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図44】鋳造用金型から熱を除去する熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図45】図44の熱伝達装置の斜視図である。
【図46A】金属開始種を有する鋳造用金型の一部分の図である。
【図46B】46Aの線46−46に沿った断面図である。
【図47】47Aは、金属開始種の1つの実施の形態の斜視図である。47Bは、ある量の溶融金属がその上を通った後の図47Aの金属開始種の斜視図である。47Cは、追加の量の溶融金属がその上を通った後の図47Bの金属開始種の斜視図である。
【図48】本発明の開始種の1つの代替的な実施の形態の図である。
【図49】貫通路を有する本発明の開始種の図である。
【図50】鋳造装置内に配置された溶融金属供給装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図51】鋳造装置内に配置された溶融金属供給装置の1つの代替的な実施の形態の断面図である。
【図52】図33の溶融金属供給装置の拡大図である。
【図52a】溶融金属供給装置の1つの代替的な実施の形態の図である。
【図53】53Aは、第一の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。53Bは、第二の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。53Cは、第三の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。53Dは、第四の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。53Eは、第五の段階における図52の溶融金属供給装置の図である。
【図54】装荷圧力が時間と共に変化する過程のグラフである。
【図55】ある圧力及び温度環境内の図2のガスタービンエンジンブレードの図である。
【図56】溶融金属が指向性凝固した多結晶製品を形成し得るように凝固する指向性凝固した開始結晶の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の原理の理解を促進する目的のため、次に、図面に図示した実施の形態に関して説明し、この説明のため特定の用語を使用する。しかし、これにより本発明の範囲を何ら限定することを意図するものではなく、図示した装置の変更例及び更なる改変例及び図示した本発明の原理の更なる適用例は、本発明が関係する技術分野の当業者に通常、案出されるものと考えられることが理解されよう。
【0023】
図1を参照すると、航空機の飛行推進エンジンを製造し得るように共に一体化された、ファン部分21と、コンプレッサ部分22と、燃焼部分23と、タービン部分24とを含
むガスタービンエンジン20が図示されている。この型式のガスタービンエンジンは、一般にターボファンと称されている。ガスタービンエンジンの1つの代替的な形態は、ファン部分を備えずに航空機の飛行推進エンジンを製造し得るように共に一体化された、コンプレッサと、燃焼装置と、タービンとを備えている。航空機という語は、一般的な語であり、ヘリコプター、飛行機、ミサイル、無人宇宙船及びその他の実質的に同様の装置を含む。ガスタービンエンジンの部品を共に連結する多数の方法が存在することを理解することが重要である。コンプレッサ同士を接続するインタークーラーを備える追加的なコンプレッサ及びタービンを追加することができ、また、タービンの間に再加熱燃焼室を追加することもできる。
【0024】
ガスタービンエンジンは、産業的用途に使用するのにも同様に適している。歴史的に、ガス及び油の輸送管用の圧送装置、発電装置及び軍艦推進用のガスタービンエンジンの広範囲に亙る用途が存在する。
【0025】
コンプレッサ部分22は、複数のコンプレッサブレード26が接続されたロータ25を備えている。該ロータ25は、ガスタービンエンジン20内で回転可能な軸27に固着されている。複数のコンプレッサベーン28がブレード26に対して流体の流れを指向させるようにコンプレッサ部分22内に配置されている。タービン部分24は、ロータディスク31に接続された複数のタービンブレード30を備えている。ロータディスク31は、ガスタービンエンジン20内で回転可能な軸27に固着されている。燃焼装置部分23からの高温のガスからタービン部分24内で抽出されたエネルギは軸27を通じて伝達されてコンプレッサ部分22を駆動する。更に、燃焼装置部分23から出る高温のガス状流れを指向させるべく複数のタービンベーン32がタービン部分24内に配置されている。
【0026】
タービン部分24は、ファン部分21を駆動する動力をファン軸33に提供する。ファン部分21は、複数のファンブレード35を有するファン34を備えている。空気は矢印Aの方向に向けてガスタービンエンジン20に入り且つファン部分21を通ってコンプレッサ部分22及びバイパス管路36内に流れる。説明文に特段の記載がない限り、ファンブレード、ファンベーン、コンプレッサブレード、タービンブレード、コンプレッサベーン及びタービンベーンを説明するため翼という語を使用する。従来のガスタービンエンジンの原理及び部品に関する更なる詳細は、当業者に知られていると考えられるから本明細書では説明しない。
【0027】
図2乃至図7を参照すると、本発明の鋳造用金型装置から製造可能である鋳造部品の一例が図示されている。この開示は、特段の記載がない限り、図2乃至図7に図示した例にのみ限定することを意図するものではない。より具体的には、図2を参照すると、ガスタービンエンジンブレード30が図示されている。1つの実施の形態において、ガスタービンエンジンブレード30は、冷却媒体が通るための内部流路を有する単一鋳造製品を画成する。内部冷却路は、複数の熱伝達台座37が形成された通路を有する。1つの実施の形態において、隔たった一対の壁の間にて複数の台座37が一体に形成されている。該台座は本発明の鋳造用金型装置により製造可能な細部の型式の代表的なものである。冷却台座の形状、寸法及び分布状態は、熱伝達パラメータ及び設計の特定のパラメータの関数であることが理解される。図3は、以下の寸法を有する台座はより具体的に考えられるものに過ぎないことを示すために利用され、また、通路及び台座の1つの実施の形態の寸法は、表1に記載されている。しかし、その他の台座及び通路の寸法及び幾何学的形態が本明細書にて考えられることが理解されよう。
【0028】
台座
長さ
0.508−1.27mm(0.020−0.050´´)
幅
0.508−1.27mm(0.020−0.050´´)
高さ
0.3048−0.508mm(0.012−0.020´´)
通路
長さ
N/A
幅
0.3048−0.508mm(0.012−0.020´´)
高さ
0.3048−0.508mm(0.012−0.020´´)
表1
図4及び図5を参照すると、本装置により製造可能な単体品の多数壁ガスタービンエンジン部品の1つの実施の形態の断面図が図示されている。更に、図6には、本発明の装置により製造可能な航空機42の前縁43が図示されている。図7には、本装置により製造できる型式の鋳造製品の別の例を示す内部流体流れ回路を有する液圧弁体44が図示されている。図示した製品は、限定的なものであることを意図するものではなく、本発明の装置により他の鋳造製品が製造可能であると考えられ、例えば、非限定的に、宝石、歯科補綴物、一般的な補綴物、特注の金物、ゴルフクラブヘッド、プロペラ、エレクトロニクスの実装品、管、弁及び精密許容公差及び/又は細部のため従来から、インベストメント鋳造されたその他の製品を含む。
【0029】
本発明の方法及び装置は、一般に、等軸指向性凝固結晶すなわち単結晶の範疇とされる、マイクロ構造体を有する単一体の単一鋳造部品又は多数部品から成る鋳造部品を製造するために利用することができる。本発明の好ましい鋳造用金型装置は、実質的に任意の型式の鋳造金属製品を製造するのに適している。しかし、より好ましい実施の形態において、本発明は、薄い肉厚の単結晶構造体を製造するのに特に有用である。この鋳造構造体は、多くの異なる形状、寸法、形態を有することができ、また、多岐に亙る金属材料にて形成することができる。例えば、本発明の装置は、厚さが約0.762mm(約0.03インチ)以下の少なくとも1つの壁を有する多数壁構造体を鋳造することを許容する。更に、1つの好ましい実施の形態において、鋳造構造体/部品内に極めて細い通路を形成することができ、また、より好ましい実施の形態において、幅約0.127mm(約0.005インチ)乃至約0.381mm(約0.015インチ)の極めて細い通路を形成することができる。しかし、その他の幅及び/又は寸法及び/又は厚さの肉厚及び通路を有する鋳造品が考えられる。
【0030】
ガスタービンエンジン部品は、超合金組成材料にて製造することが好ましい。非限定的に、ニッケル系、又はコバルト系組成物のような色々な型式の超合金組成物が存在し、かかる組成物の製造は、略、当該技術分野の当業者に公知である。対象とする殆んどの超合金組成物は、ニッケル、クロム、アルミニウム及びその他の選択した元素の複雑な混合体である。
【0031】
図8を参照すると、開始種300から溶融金属の制御された指向性凝固が図示されている。制御された溶融金属の凝固は、柱状粒子又は単結晶のマイクロ構造体を有する製品を製造するために使用することが好ましい。より具体的には、制御された溶融金属の凝固は、溶融金属を指向性凝固することにより実現される。指向性凝固は、溶融金属を充填させた鋳造用金型301を通じて境界面を漸進的に動かすことを含む。多くの状況において、成長中の結晶に対し厳密に配向させた結晶学的構造体を付与するため金属開始種300が使用される。この金属開始種300は、鋳造用金型301内に配置し、溶融金属302を金型301内に導入することで、開始種は、当初の面303から液相境界面304として
画成された面に溶融して戻る。本発明の1つの形態において、開始種が溶融して戻ることは、開始種から液体溶融金属のパドルを形成する。1つの実施の形態において、パドルの深さは約1.27mm(約0.050インチ)であるが、その他のパドルの深さとすることも考えられる。液相境界面304と固相境界面306との間に凝固領域305が配置されている。熱勾配が金型301内で溶融金属302を通って垂直方向に移動するに伴い、金属は、樹枝状結晶307の成長及びマトリックス材料の凝固を通じて凝固する。単結晶過程において、溶融材料は、種302の非溶融部分からエピタクシー的に凝固する。
【0032】
図9を参照すると、溶融金属を受け入れる一体型金型45aが図示されている。1つの実施の形態において、金型45aは、略三次元的印刷として知られる自由形態製造技術により形成される。三次元的印刷装置において、直接型セラミック鋳造用金型を形成するためセラミック材料が層状に配置され、層の密度は、配置される材料の1インチ当たりのドット数により変化させることができる。三次元的印刷技術に関する情報は、米国特許第5,340,650号、米国特許第5,387,380号及び米国特許第5,204,055号に開示されている。三次元的印刷用に商業的に利用可能な装置は、カリフォルニア州、ノースリッジのソーリゲン・テクノロジーズ(Soligen Technologies)インコーポレーテッドから入手可能である。
【0033】
一体型金型45aは、セラミック材料を層状に印刷し且つ接着することにより形成され、その層の各々は、溶融金属を内部に受け入れるセラミックシェルを形成し得るように隣接する層に接着させる。装置46aは、材料及びバインダの層を付着し、設計ファイルに基づいて一体型金型45aを形成する。設計ファイルは、部品のコンピュータ支援設計から作製することが好ましい。好ましくは、金型45aは、凝固したときに部品を画成し得るように、溶融金属を受け入れる内部キャビティを有する主要本体47aを備える薄肉厚のシェルである。内部金属受け入れキャビティの一部分は、参照番号48aで示してある。一体型金型45aは、複数の薄い壁48aと、内部金型コア50aと、内部金属受け入れキャビティとを備えている。1つの実施の形態において、薄い壁49aは、約0.127mm(約0.005インチ)乃至約38.100mm(約1.50インチ)の範囲の厚さを有し、より好ましくは、薄い壁は、約1.016mm(約0.040インチ)以下、最も好ましくは、約0.508mm(約0.020インチ)の厚さであるようにする。底部支持部材51a、充填管52a、支持部材53a、壁部材54aが主要本体47aと一体に形成されている。1つの好ましい実施の形態において、壁部材54aは、ウェブ構造体により画成される。その他の一体型金型の型式が考えられ、本発明は、図9の特定の金型の形態及び/又は材料にのみ限定することを意図するものではない。
【0034】
図10及び図11を参照すると、溶融金属を内部に受け入れる鋳造用金型装置45の1つの実施の形態が図示されている。該鋳造用金型装置45は、光硬化性セラミック樹脂から一体に製造されたシェル金型及びコアを有する。しかし、本発明は、一体型鋳型金型にのみ限定されるものではない。より具体的には、別の実施の形態において、非一体型の鋳造用金型装置は、光硬化性セラミック樹脂から製造された分離可能なコア及びシェル金型を有している。金型45は、略、選択的レーザ励起(SLA)として知られる、自由形態製造技術により形成される。選択的レーザ励起は、照射エネルギにさらされたとき、凝固する液体樹脂を利用する立体的リソグラフィ方法に基づくものである。本発明において、光硬化性セラミックが充填された樹脂は、セラミック粒子を共に保持するポリマーバインダを形成し得るように照射エネルギにより重合化された少なくとも1つのモノマーを有する。この照射エネルギは、当業者に知られた複数のエネルギ源の任意のものにより供給することができる。好ましくは、この照射エネルギは、電磁放射線により画定し、また、より好ましくは、照射エネルギは、約260乃至380ナノメートル、最も好ましくは、約350ナノメートルの波長を有するレーザ源から発生された紫外線である。しかし、その他の波長の光とすることも考えられる。選択的レーザ励起用の商業的に利用可能な機械は
、カリフォルニア州、ヴァレンシアの3Dシステムズ(3D systems)から入手可能である。選択的レーザ励起法及び立体的リソグラフィ法に関する更なる情報は、その内容を参考として引用して本明細書に含めた米国特許第5,256,340号、米国特許第5,556,590号、米国特許第5,571,471号、米国特許第5,609,812号及び米国特許第5,610,824号に開示されている。
【0035】
一体型金型45は、ポリマーバインダにより共に保持されたセラミック粒子の層内でセラミック充填樹脂を光重合化することにより形成される。しかし、本発明は、セラミック充填樹脂にのみ限定されず、1つの代替的な実施の形態は、金属充填樹脂を含むものである。更に、その他のフィラーを利用することも考えられる。1つの実施の形態において、壁部材の層は、概略図的に線49a、49b、49c、49dとして図示された隣接する複数のセラミック材料の部分により画成される。この場合、1つの層内の隣接する線の数、および図面における層の数は、完全に一例であり、また、本明細書に記載したものにのみ限定することを意図するものではない。好ましくは、壁部材の個々の層は、セラミック樹脂にエネルギビームにより描かれた1乃至5本の線にて形成される。より好ましくは、壁部材の個々の層は、セラミック樹脂にエネルギビームにより描いた2本の線により形成される。しかし、本発明は、1つの層内にその他の数の個々の線を有する個々の層を対象とするものである。
【0036】
壁部材の層は、線にて形成されるものとして図示したが、代替的な実施の形態において、壁部材は、隔たったドット及び/又は接続したドットの層にて形成されることが理解される。参照番号49a、49b、49c、49dで図示した線はまた、一連のドットで形成することもできる。一連のドットは、1つの層を画成し得るように互いに対して隔てられ、1つの壁部材を画成し得るように複数の層が配置されている。1つの実施の形態において、壁部材は、鋳造用金型内に注入された溶融金属を保持することのできる隔たったドットから成る格子構造体を有する。更に、別の実施の形態において、格子構造体は、金型の内部キャビティから壁部材を通じてガスを排気することを許容しつつ、溶融金型内に注入した溶融金属を保持することができる。
【0037】
層を形成する個々の線の幅は、エネルギビームの幅により決定され、より好ましくは、レーザがエネルギビームを画成するようにする。1つの実施の形態において、エネルギビームの幅は約0.127mm(約0.005インチ)乃至約0.635mm(約0.025インチ)の範囲であることが好ましく、約0.2032mm(約0.008インチ)であることがより好ましい。しかし、約.0254mm(約.001インチ)の幅を有するエネルギビームは、鋳造用金型装置内で極めて細い細部を形成するために考えられる。更に、命令によりエネルギビームの幅/寸法を変化させる能力を備えることも考えられる。より具体的には、1つの実施の形態において、エネルギビームの寸法は、製品の特定の層内及び/又は層の間で変更可能である。商業的に入手可能な立体リソグラフィ装置(3DシステムからのSLA250)において、レーザ源は、セラミック樹脂の表面にて30mワットのパワーを有するHe/Cdレーザである。しかし、異なるレーザ源を有するその他の立体リソグラフィ装置も考えられる。
【0038】
鋳造用金型装置45の製造は、鋳造用金型装置の三次元的形状を画定するデータファイルにより制御される。図12を参照すると、鋳造用金型装置を形成する方法を決定する製造ファイル1005を作製する装置の1つの実施の形態が図示されている。部品の設計の仕様を規定し得るように部品(例えば、ガスタービンブレード)のパラメータを画定するact1000データが集められ且つ処理される。act1000からのデータは、コンピュータモデル作製装置を使用して部品の見本を製造するため、act1001にて利用され、1つの実施の形態において、コンピュータモデル作製装置は、コンピュータビジョン(CV)製品により画定される。しかし、その他のコンピュータモデル装置も考えられ
る。鋳造用金型装置の見本を作製するため、金型モデル作製の行動1002内で行動1001からのコンピュータ支援設計見本が処理される。1つの好ましい実施の形態において、鋳造用金型装置の見本は、行動1002内でユニグラフィックス(Unigraphics)装置により作製される。鋳造用金型装置の行動1002内で製造された金型モデルをSTL又はSLCのような特定のファイルフォーマットに変換するために、変換行動1003が使用される。鋳造用金型装置の層及び必要とされる全ての支持体を描くのに適した別個の二次元的スライスを作製するため、行動1003からの次のファイルを行動1004内で処理する。行動1005内で製造ファイルは完成する。このファイルは、立体リソグラフィ装置内のエネルギ源を駆動し且つ鋳造用金型装置を製造する。
【0039】
1つの好ましい実施の形態において、走査レーザビーム46bは、データファイルを読み取り且つセラミック充填混合体でモノマーを局部的に重合化し得るように、セラミック充填樹脂の量に基づいて三次元的形状の断面を描く命令を発生するコンピュータにより指向される。モノマー混合体をレーザで照射すると、固体のポリマーゲルが形成される。一体型金型45は、凝固して製品にするため、溶融金属を受け入れる内部キャビティを有する主要本体47を備える薄いシェルであることが好ましい。内部金属受け入れキャビティの一部は、参照番号48で示してある。一体型金型45は、薄い壁49と、内部金型コア50と、内部金属受け入れキャビティとを有する。1つの好ましい形態において、薄い壁49は、約1.524mm(約0.060インチ)以下の厚さを有し、より好ましくは、約0.381mm(約0.015インチ)乃至約1.524mm(約0.060インチ)の範囲の厚さを有し、最も好ましくは、約0.508mm(約0.020インチ)の厚さを有するようにする。しかし、その他の壁の厚さを有する鋳造用金型とすることも考えられる。1つの好ましい鋳造用金型において、主要本体47、底部支持部材51、充填管52、支持部材53及び壁部材54により形成される。1つの好ましい実施の形態において、壁部材54は、ウェブ構造体により画成される。図10に図示した鋳造用金型は、本発明により製造することのできる鋳造用金型の型式の完全な一例である。より具体的には、その他の鋳造用金型の形態が考えられ、本発明は、図10及び図11に図示した特定の金型にのみ限定することを意図するものではない。
【0040】
図13を参照すると、立体リソグラフィ装置500により製造される鋳造用金型装置45が図示されている。該立体リソグラフィ装置500は、略当業者に知られていると考えられ、鋳造用金型装置を製造する方法の説明を容易にし得るように著しく簡略化して示してある。流体封込めリザーバ501、高さ変更部材502及びレーザ46cは、立体リソグラフィ装置500の一部分を構成する。リザーバ501には、金型装置45が製造されるある量の光硬化性セラミック充填樹脂が充填される。
【0041】
本発明の1つの好ましい形態において、高さ変更部材502は、鋳造用金型装置45のそれ以前に硬化した層をセラミック充填樹脂内の所定の深さまで浸漬させるため、可動の昇降装置を画定する。セラミック充填樹脂は、硬化した最上方層を未硬化のセラミック充填樹脂の層にて再被覆する。より好ましい実施の形態において、昇降装置は、その過程の他の部分と協働して、製造した鋳造用金型をセラミック充填樹脂液浴内で増分的に下降させるコンピュータ制御の装置である。1つの実施の形態において、非硬化の樹脂被覆の公称厚さは、約0.1016mm(約0.004インチ)乃至約0.254mm(約0.010インチ)の範囲、より好ましくは、約0.1016mm(約0.004インチ)である。しかし、その他の層の厚さとすることも考えられる。更に、個々の層の厚さは、層の間で変更し又は層の間にて実質的に同様の厚さに保つことができる。装置は、かなり低粘度の樹脂に対し実質的に均一な再被覆厚さを保証する措置を備えることが好ましい。樹脂を水平にするため次の技術を利用することが考えられる、すなわち、樹脂が自然に水平となるように時間的遅れをもたせること及び/又は樹脂が水平になるのを支援し得るように超音波処理を行い且つ/又は樹脂が水平になるのを支援し得るように機械的支援過程を行
うことである。レーザビーム46bは、三次元的データファイル内のデータにより駆動され、光硬化性セラミック充填樹脂の上で鋳造用金型の断面を描き得るように三次元的データファイル内のデータにより駆動される。この描くこと及び再被覆することとは、セラミック部品が完成するまで続行する。
【0042】
図14を参照すると、製造指向角度θにて立体リソグラフィ装置500内で製造される鋳造用金型装置45が図示されている。製造指向角度θは、製造すべき所定の平坦面又は略平坦面(又は中実な面の集合体)に対する接線角度が最大になるように選ばれる。製造配向角度θは、セラミック樹脂充填リザーバの面503に対して実質的に垂直に伸びる軸線Zから測定する。本発明の1つの形態は、セラミック充填樹脂上に比較的大きい妨害されない平坦面を描くのを最小にし得るように断面を配向する。該断面は、軸線Zに対して実質的に垂直で且つ樹脂の面503に対して実質的に平行に画成され且つ描かれる。製造プラットフォーム505は、製造配向角度θにて鋳造用金型装置45の製造を配向させ得るように角度θにてリザーバ501内に形成される。好ましい実施の形態において、製造配向角度θは鋭角な角度であり、より好ましくは、約10°乃至約45°の範囲の鋭角な角度とし、最も好ましくは、約45°とする。
【0043】
簡単な二次元的形状において、製造配向は、比較的容易に画成され、例えば、複数のリングを互いに製造することにより、中空の円筒体を形成することが好ましい。比較的大きい支持されない天井部を製造する必要がないように複数の矩形の部分を互いの上で製造することにより、中空の矩形の管を形成することが好ましい。ガスタービンエンジンブレード用のコア付き鋳造鋳型装置のような、複雑な形状は、最適な製造配向を計算するため全てのセラミック面を分析することを必要とする。
【0044】
図15を参照すると、鋳造用金型装置45の一部分を画成する複数の硬化層506、507、508、509の拡大図が図示されている。好ましいアルミナ充填樹脂の硬化層は、約0.0508mm(約0.002インチ)乃至約0.2032mm(約0.008インチ)の範囲の厚さを有し、より好ましくは、約0.1016mm(約0.004インチ)の厚さを有するようにする。好ましい二酸化ケイ素充填樹脂の硬化層は、約0.0508mm(約0.002インチ)乃至約0.508mm(約0.020インチ)の範囲の厚さを有し、より好ましくは、約0.1524mm(約0.006インチ)の厚さを有するようにする。しかし、その他の硬化厚さも本発明にて考えられる。更に、個々の硬化層は、同一又は異なる厚さとすることができる。しかし、個々の硬化層の各々が実質的に均一の厚さを有することが好ましい。
【0045】
個々のセラミック粒子510の粒子寸法は、約20μm以下であることが好ましく、より好ましくは、約0.1μm乃至約3.0μmの範囲であるようにする。粒子の寸法を制御することは、セラミック鋳造用金型装置を製造するその他の知られた技術と比較して、より細かい細部及び実質的に円滑な面に製造することを許容する。
【0046】
鋳造用金型装置は、層状の製造構造体であり、図14及び図15は、個々の硬化層を強調するために誇張して示してある。個々の層は、複数のセラミック粒子510と、個々の層内に粒子を共に保持するポリマーバインダ511とから成っている。1つの実施の形態において、ポリマーバインダ511は、硬化層を共に接続し得るように隣接する層の間を伸びている。層506、507のような一対の隣接する硬化層の各々は、層の線600にて当接するそれぞれの断面積を有する。1つの好ましい実施の形態において、隣接する層の相補的な面の間には、それぞれの面の各々の約10%乃至約100%の範囲の接続部がある。より好ましくは、二酸化ケイ素充填樹脂の1つの実施の形態において、隣接する層の相補的な面の間には、それぞれの面の約10%の接続部がある。アルミナ充填樹脂の1つの実施の形態において、隣接する層の相補的な面の間には、それぞれの面の約50%の
接続部がある。しかし、幾つかの代替的な実施の形態において、隣接する硬化層はポリマーバインダにより共に連結されていない。これら層は、機械的及び/又は二次的化学反応により互いに対して保持されている。
【0047】
層の厚さは、再被覆した非硬化層の厚さ及びレーザビームの浸透深さに依存する。より具体的には、硬化深さは、硬化層の厚さプラス過剰硬化深さの値として表示してある。1つの実施の形態において、過剰硬化深さは、硬化する層の真下の硬化厚さ層の約50%となる。1つの実施の形態において、その後の素層剥離又は層の分離を最小にし得るようにアルミナ充填層を実質的に過剰硬化することが必要とされる。しかし、本発明の実施の形態は、硬化層の約10%乃至約150%の範囲の過剰硬化深さを利用する。しかし、本発明は、上記の硬化深さは限定されるものではなく、本発明にてその他の硬化深さが考えられる。
【0048】
セラミック充填樹脂は、焼結可能なセラミック材料、光硬化性モノマー、光開始剤、及び分散剤を含む。セラミック充填樹脂は、焼結したときの亀裂に抵抗する素セラミック金型を製造し得るように立体リソグラフィにて特に使用し得るようにされている。充填樹脂は、約4,000cPs以下、より好ましくは、約90cPs乃至約3,000cPsの範囲、最も好ましくは、約100乃至約1000cPsの範囲の粘度を有する充填樹脂を提供し得るように成分を混合することにより調合する。形成される充填樹脂は、樹脂中の固体の容積の約40%乃至約60%の固体装荷量を有する。更に1つの実施の形態において、充填樹脂は、約1.0乃至約4.0g/ml、より好ましくは、約1.5乃至2.5g/mlの範囲の密度を有する。
【0049】
本発明にて使用される焼結可能なセラミック材料は、多岐に亙るセラミック材料から選ぶことができる。具体的な例は、アルミナ、イットリア、マグネシウム、窒化ケイ素、二酸化ケイ素及びその混合体を含む。焼結可能なセラミック材料は充填樹脂の総量に基づいて約50容積率(容積%)にて充填樹脂中に含まれる。言い換えると、充填樹脂は、焼結可能なセラミック材料の約50乃至約85重量%(重量%)、より好ましくは、充填樹脂の総重量に基づいて約65乃至約80重量%を含むようにする。
【0050】
一例において、焼結可能なセラミック材料として二酸化ケイ素が選ばれる。二酸化ケイ素は、本発明に従って硬化した金型を提供し得るように焼結するのに適した平均的粒子寸法を有する乾燥粉体として提供することができる。好ましくは、粉体二酸化ケイ素は約0.5μm乃至約20.0μm、より好ましくは、約1.0μm乃至約20.0μm、より好ましくは、約1.0μm乃至約5.0μmの平均的粒子寸法を有するように選ぶ。好ましくは、二酸化ケイ素の量は充填樹脂の総重量に基づいて約50.0重量%乃至約72.0重量%の範囲とする。
【0051】
モノマーは、光開始剤の存在下にて照射されたとき、光重合させることのできる任意の適当なモノマーが選ばれる。モノマーの例は、アクリレートエステル及び置換したアクリレートエステルを含む。2つ以上のモノマーの組み合せ体を使用することができる。好ましくは、モノマーの少なくとも1つは、多機能モノマーである。多機能モノマーにより、モノマーは成長するポリマー鎖と結合部を形成することができる2つ以上の官能分子を含むものと理解する。本発明と共に使用可能であるモノマーの具体的な例は、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)及び2−フェノキシアクリル酸塩(POEA)を含む。光硬化性モノマーは充填樹脂の総重量に基づいて約10乃至約40重量%、より好ましくは、約10乃至約35重量%、最も好ましくは、約20乃至35重量%の範囲の量にて存在する。
【0052】
充填樹脂中にて二酸化ケイ素が均一なコロイド状懸濁状態を保つのに適当な量にて、分
散剤が提供される。該分散剤は、多岐に亙る既知の界面活性剤から選ぶことができる。好ましい分散剤は、アンモニア塩、より好ましくは、テトラアルキルアンモニア塩を含む。テトラアルキル基は多岐に亙る置換物質を含むことができる。本発明にて使用される分散剤の具体的な例は、非限定的に、ポリオキシプロピレン−2−ヒドロキシエチルアンモニウム酢酸塩、及びアンモニウム塩化物を含む。好ましくは、分散剤の量は、充填樹脂中のセラミックの総重量に基づいて約1.0重量%乃至約10重量%の量の範囲とする。
【0053】
当業者に既知の多数の光開始剤から開始剤を選ぶことができる。光開始剤は、照射されたとき、所望のモノマーの光重合化を生じさせるのに適するように選ばれる。典型的に,光開始剤の選択は、光重合化を生じさせるように使用される放射線の波長により決まる。好ましい光開始剤は、ベンゾフェノン、トリメチルベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルチオキサントン、2−メチル−1−[4(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリンオプロファノン及びその混合体を含む。光開始剤は、充填樹脂が適当な波長の放射線で照射されたとき、モノマーを重合化するのに十分な量にて追加する。好ましくは、光開始剤の量は、充填樹脂中のモノマーの総重量に基づいて、約0.05乃至約5重量%の範囲とする。
【0054】
セラミック充填樹脂の1つの代替的な形態において、ある量のモノマーに代えて、ある量の非反応性希釈剤が使用される。好ましくは、置換した非反応性希釈剤の量は、樹脂中のモノマーの約5%乃至約20%(重量比又は容積比)に等しい。所定のセラミック樹脂組成物の一例は、100gのモノマーを必要とし、このモノマーは、代替的な形態において、約5乃至20重量%のモノマーを非反応性希釈剤(すなわち、モノマーの95乃至80gプラス非反応性希釈剤の5乃至20g)にて約5乃至20重量%のモノマーを置換する。非反応性希釈剤は、二塩基エステル又はデカヒドロナフタリンを非限定的に含む。二塩基エステルの例は、純粋な形態又は混合体にて入手可能なジメチルコハク酸塩、ジメチルグルタレート及びジメチルアジペートを含む。
【0055】
充填樹脂は、最初に、モノマー分散剤を焼結可能なセラミックと組み合わせて均一な混合体を形成することにより、提供される。添加順序は、本発明にとって通常、極めて重要ではないが、モノマー及び分散剤を最初に組み合せ、次に、焼結可能なセラミックを添加する。好ましくは、焼結可能なセラミック材料を約5乃至20容積%の増分量にてモノマー/分散剤の組合わせ体中に添加する。セラミック材料を増分的に添加する間、約5乃至120分の間、例えば、ボール粉砕機のような任意な適当な方法により、形成される混合体を完全に混合させる。焼結可能なセラミック材料の全てを添加したとき、形成される混合体は、10時間以上に亙る更なる時間、混合させる。樹脂は、照射する直前、好ましくは、照射前、約2時間以内に光開始剤を添加し且つ混合体中に混合させる。
【0056】
1つの好ましい二酸化ケイ素充填樹脂は、約67.1重量%の二酸化ケイ素、約31重量%のモノマー、約1.37重量%の分散剤、及び約0.619重量%の光開始剤から成るものとする。重量%は二酸化ケイ素充填樹脂の総重量に基づく。好ましいアルミナ充填樹脂は、約78.2%のアルミナ、約20.1重量%のモノマー、約1.56重量%の分散剤、及び約0.101重量%の光開始剤を含む。
【0057】
表IIを参照すると、好ましい二酸化ケイ素系樹脂及び好ましいアルミナ充填樹脂が記載されている。
重量/g 容積 重量% 容積%
cc
アルミナ 1980 500 78.2 48.0
モノマー 510 500 20.1 48.0
分散剤 39.6 38.8 1.56 3.73
光開始剤 2.55 2.32 0.101 0.223
・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・
合計 2532 1041 100% 100%
二酸化ケイ素 2210 1000 67.1 48.5
モノマー 1020 1000 31.0 48.5
分散剤 44.2 43.33 1.37 2.14
光開始剤 5.10 4.636 0.619 0.899
・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・
合計 3279 2048 100% 100%
表II
1つの代替的な実施の形態において、セラミック充填樹脂は二重硬化樹脂として規定される。二重硬化樹脂は、モノマーを光重合化するため、2つの型式の開始剤を利用する。1つの好ましい形態において、紫外線硬化用の1つの光開始剤及び熱硬化用の別の開始剤により形成される。熱硬化用の開始剤の一例は、ベンゾイル過酸化物すなわちAIBNである。AIBNは2−2’−アゾ−ビス−イソブチリルニトリルから成っている。しかし、熱硬化用の開始剤は、当業者に既知の多数のその他の開始剤から選ぶことができる。
【0058】
図16を参照すると、薄肉構造体49の1つの代替的な実施の形態55が図示されている。複合壁構造体55は、その間を接続する複数の内壁部材58を有する隔たった一対の薄い外壁56、57を備えている。複数のキャビティ63が壁構造体55に形成され、1つの実施の形態において、内部コア構造体59を有する。1つの好ましい実施の形態において、内部コア構造体59は、中空であり且つキャビティ63を画成する壁に一体的に接続されている。
【0059】
図17を参照すると、一体型金型45の薄壁構造体49の第三の実施の形態60が図示されている。壁構造体60は、多孔質内側部材62と共に形成され且つ該内側部材に接続された隔たった一対の外壁61を有している。内側部材62の密度は、外壁61の密度よりも低いことが好ましい。壁構造体60、55、49は、設計により必要とされるように共に又は別個に使用することができる。壁構造体49、55、60は、本発明の壁構造体の完全に一例であり、本発明を複合的壁構造体のその他の設計に限定することを意図するものではないことが理解される。
【0060】
図18及び図19を参照すると、金型コア50の一部分の代替的な形態65、70がそれぞれ図示されている。金型コア65は、中空の内部コア構造体67が形成された一体の薄壁構造体66を有している。外壁構造体66と内側の中空コア構造体67との間には、多孔質構造体69が形成されている。金型コア70は、内部中空コア72が形成された薄壁71を有している。複数の補強リブ74が外壁71と内部中空コア72との間に形成されている。金型コア50、65、70の形態は限定的であることを意図するものではなく、金型コアのその他の設計も考えられる。
【0061】
図20及び図21を参照すると、素鋳造用金型装置の別の実施の形態が図示されている。鋳造用金型525は、上述した鋳造用金型装置45と実質的に同様であり、より具体的には、鋳造用金型装置525は、一体的なセラミックシェル526と、セラミックコア527とを有している。コアセラミックシェル526とコア527との間の容積528は、溶融金属材料から製造すべき部品を画成する。好ましくは、容積528は、溶融金属の受け入れを妨げるように伸びる支持構造体を有しない。より具体的には、より好ましい実施の形態において、断面を描いても容積528内の何らかの構造体を描くことにはならない。しかし、本発明の別の実施の形態において、製造過程は、セラミックシェル526及び/又はコア527を傷付けずに除去することのできる支持構造体を容積528内に形成す
る。1つの好ましい形態において、セラミックシェル526の内壁面529及び形成されたセラミックコア527の外面530は、実質的に円滑である。壁面は、複数の当接層の一部分により画成された段付き面として又は単一層の面により画成された平坦面の何れかとして画成される。より具体的には、層状態部品は、約10μm乃至30μmの範囲の仕上げにて段付き面に対し形成された面を有し、また、約0.5μm乃至約10μmの範囲の仕上げにて平坦面に対し形成された面を有する。
【0062】
鋳造用金型装置525の1つ実施の形態において、コア527は実質的に中空である。薄い外壁シェル540は、該シェルと一体に形成された複数の隔たった内壁部材541を有している。中実な形態及び実質的に中空の形態を有するコアは本発明の範囲に属すると考えられる。
【0063】
図22を参照すると、図20の線22−22に沿った部分断面図が図示されている。セラミックコア527は、溶融金属を受け入れ得るように形成された通路532を有している。より具体的には、溶融金属を受け入れ得るようにセラミックコア527に形成された複数の隔たった通路532が存在する。通路532は、部品に細部を鋳造することを許容する。1つの好ましい実施の形態において、通路532の各々は、約0.127mm(約0.005インチ)乃至約0.762mm(約0.030インチ)の範囲の幅/直径にて形成され、より好ましくは、約0.508mm(約0.020インチ)以下の幅/直径を画成し、最も好ましくは、約0.254mm(約0.010インチ)の幅/直径を画成するようにする。図23は、一体の多数壁セラミック鋳造用金型装置の別の実施の形態の図である。
【0064】
図24を参照すると、加熱炉550内に配置された鋳造用金型装置45が概略図的に図示されている。該加熱炉は、素セラミック鋳造用金型装置からポリマーバインダを実質的に燃焼させ且つセラミック粒子を焼結させるのに必要な熱を提供する。1つの好ましい形態において、鋳造用金型装置は、加熱炉の面551に定置する個々の層の数を最小にし得るように加熱炉内で配向されている。素セラミック金型装置用の加熱過程は、加熱炉内で金型を約0.1℃/分乃至約5.0℃/分の速度にて通常の室温から約300℃乃至約500℃の第一の温度まで加熱することを含む。その後、約0時間乃至約4時間の時間範囲に亙って、ポリマーバインダを燃焼するため最高温度を保つ。加熱段階の後、低密度となった鋳造用金型装置に焼結過程を行う。この焼結過程は、加熱炉内の温度を約5.0℃/分乃至約10.0℃/分の速度にて第一の温度から約1300℃乃至1600℃の範囲の第二の温度まで上昇させる。鋳造用金型装置は、約0時間乃至約4時間の時間範囲内、第二の温度に保たれる。鋳造用金型装置は、次に、約5.0℃/分乃至10.0℃/分の速度にて室温まで冷却させる。鋳造用金型装置は、約70%以上の密度まで焼結することが好ましく、より好ましくは、鋳造用金型装置は、約90乃至98%の範囲の密度まで焼結する。最も好ましくは、鋳造用金型装置は、実質的に完全な密度まで焼結する。1つの実施の形態において、焼結したセラミック鋳造用金型装置は、約99重量%のセラミック粒子であり、より好ましくは、約99重量%のアルミナである。
【0065】
アルミナ系素セラミック金型装置用の好ましい加熱過程は、加熱炉内で金型を約1℃/分の速度にて通常の室温から約300℃の第一の温度まで加熱することと、その第一の温度を約5時間、維持することとを含む。その後、その温度を約1℃/分の速度にて第一の温度から約500℃の第二の温度まで上昇させる。その第二の温度は約0時間、保つ。約10℃/分の速度にて第二の温度から約1550℃の第三の温度まで温度を上昇させる。その第三の温度を約2時間、維持する。次に、鋳造用金型装置を約5℃/分の速度にて第三の温度から室温まで冷却させる。
【0066】
二酸化ケイ素系素セラミック金型装置用の1つの好ましい加熱過程は、加熱炉内で金型
を約1℃/分の速度にて通常の室温から約300℃の第一の温度まで加熱することと、その第一の温度を約4時間、維持することとを含む。その後、温度を約1℃/分の速度にて第一の温度から約500℃の第二の温度まで上昇させる。その第二の温度を約0時間、維持する。その温度を約10℃/分の速度にて第二の温度から約1500℃の第三の温度まで上昇させる。その第三の温度を約2時間、維持する。次に、鋳造用金型装置を約5℃/分の速度にて第三の温度から室温まで冷却させる。
【0067】
一体型鋳造用金型45、45aは、異なる過程にて製造され、これら金型は性質が相違するが、その双方と共に、溶融金属を受け入れるセラミックシェルを形成する。しかしながら、本発明の別の形態において、セラミックシェルは、溶融材料以外のその他の凝固材料を受け入れることができる。三次元的印刷及び選択的レーザ励起によりセラミック金型を製造することに関して説明したが、本発明の鋳造は、特段の記載のない限り、これら型式の金型にのみ限定することを意図するものではない。例えば、セラミックスラリー、樹脂シェル金型又は砂金型に浸漬させることによりシェルが形成されるコア及びパターンを使用する従来技術で製造された金型も対象にすることが考えられる。以下に、鋳造用金型という語は、略、鋳造用金型45を意味し、また、別の特段の記載がない限り、あらゆる型式のセラミック鋳造用金型を含むことを意図するものである。
【0068】
図25を参照すると、一体型鋳造用金型45の1つの実施の形態が図示されている。完成した一体型金型45は、基部材51と、頂部材77と、該基部材及び頂部材の間を伸びる主要本体47とを有している。支持部材53は底部材51と頂部材77との間を伸びる一方、充填管52は、充填入口(fill inlet)78から主要本体47の底部分47aまで伸び且つ金型内部の金属受け入れキャビティと流体的に連通している。好ましくは、基部材51は、リング構造体により画成されるようにする。通気口79は、一体型金型45に形成され且つガス状材料が金型に入り且つ金型から出るのを許容し得るように内部金属受け入れキャビティに開放し、材料の除去及び鋳造の充填を助ける。代替的な実施の形態において、一体型鋳造用金型45は異なる形態とすることができ、また、基部材及び/又は頂部材のような特徴部を含まなくてよいことが理解される。
【0069】
1つの実施の形態において、頂部材77は、容器80と接触可能な歯付きリング又はディスク構造体のディスクを画成する。好ましくは、一体型金型45は、該金型の製造に必要な材料の量を最小にし得る設計とされ、このため、その薄いシェルにより、内部で鋳造される製品の輪郭に類似したものとなる。この実施例において、金型45は、ガスタービンブレードに類似するが、その他の形状とすることも考えられる。更に、一体型金型は、その外面が内部キャビティ内で鋳造される製品/部品の形状に順応しないように形成してもよい。
【0070】
一体型金型45を設計し且つ製造するとき、次のものを含む考慮すべき多数のパラメータがある。すなわち、(1)金型の所望の強度及び硬さ、(2)金型の製造速度、(3)金属が凝固するときの金型内のコアの潰れ可能性、(4)鋳造中の加熱/冷却速度、(5)コアの除去/排出速度、(6)凝固後の冷却中の鋳造の制約である。溶融金属が金型の周りで凝固するときの金型の一部の潰れ可能性は、部品の密度、構造及び多孔度を変化させることにより対処することができる。例えば、図18及び図19を参照すると、多孔質構造体68と、溶融金属が内部で凝固するときに部分的に潰れ/溶融する補強ウェブ構造体74とを有するコア構造体65、70が図示されている。
【0071】
図26を参照すると、加熱炉81内に配置された金型容器80及び一体型金型45が図示されている。金型容器80は、一体型金型45が内部に配置された状態で図示されているが、金型容器80内にはその他の型式の金型を配置することも可能であることが理解される。金型容器80は、鋳造過程中、一体型金型45を保持する設計及び構造とされてい
る。容器80の外壁部材82は、金型容器の内面と基部材51の外面51a及び頂部材77の外面77bの一部分との間に締まり嵌めを提供し得るような寸法とされた貫通開口部を有する。1つの実施の形態において、金型容器80は、底部材51及び頂部材70の上方でシュリンク嵌めされる厚い肉厚の繊維状セラミック管により画成される。本明細書で使用する管という語は、中空の部材を規定するものであり、特段の記載がない限り、中空の円筒状構造体にのみ限定することを意図するものではない。別の実施の形態における容器は、カップ形状の容器を略画成する一体的な底部壁部材を有する。しかし、本発明にて容器のその他の形状も考えられる。更に、1つの代替的な実施の形態において、容器及び金型は締まり嵌め状態にはない。
【0072】
1つの好ましい実施の形態において、金型容器80は、細長い円筒状形状の管により画成される。1つの形態において、外壁部材82の肉厚は、約0.254mm(約0.010インチ)乃至25.4mm(1インチ)の範囲とし、より好ましくは、約12.7mm(約0.5インチ)とする。しかし、本発明にてその他の肉厚も考えられる。外壁部材82は、特定の熱伝達条件に合うように選んだセラミック材料にて作られている。1つの実施の形態にて、部材は、取り扱いを容易にし得るようにその外面82aから迅速に熱伝達する一方、別の実施の形態において、部材は、一体型金型45を絶縁し得る設計とされている。非限定的に、外壁部材82に対し多孔質セラミック、セラミック繊維マット、金属及び熱バリア被覆を有する金属のような材料が考えられる。
【0073】
少なくとも1つの支持部材83が外壁82の内面84と一体型金型45の外面45aとの間の空間内に配置されている。支持部材は、鋳造過程中、薄い肉厚の一体型金型45に対する支持体を提供する。補強した金型容器80は、溶融金属を高圧力にて薄いシェル金型に供給することを許容する。1つの実施の形態において、ニッケルの約7.62cm(約3インチ)乃至約60.96cm(約24インチ)の範囲の溶融金属の圧力は、補強した薄肉厚の一体型金型と共に使用可能であると考えられる。しかし、その他の溶融金属の圧力も可能であると考えられる。
【0074】
1つの好ましい実施の形態において、支持部材83は、複数の支持部材により画成され、より好ましくは、複数のセラミック媒体部材により画成される。1つの実施の形態において、約0.254mm(約0.010インチ)乃至約2.54mm(約0.100インチ)の範囲内の寸法を有する複数の支持部材が球状体/ボールとして画成される。しかし、その他の寸法も考えられる。複数の支持部材は、金型容器80内の空間を充填し且つ一体型金型の外面45dに当接する。複数の支持部材の形状は、非限定的に、錠剤状、球状又は繊維状を含むことが理解される。更に、本発明の代替的な実施の形態において、金型容器内の支持部材は、外壁82の内面84と一体型金型45の外面45dとの間に形成された連続的なセラミック材料と、アルミナ、ムライト、二酸化ケイ素、ジルコニア又はジルコンのようなセラミック発泡材により画成することができる。ウェブ構造体54は、複数の支持部材83が容器80から進むのを防止すべく底部壁部材を形成するのに利用される材料の量を最小にする設計及び構造とされている。しかし、非限定的に、中実な壁のようなその他の構造体も考えられる。複数のセラミック支持媒体83は、再使用及び/又はリサイクルのため容器から容易に除去可能である。
【0075】
図27を参照すると、補助的金型ヒータ91を更に備える金型容器80が図示されている。補助的金型ヒータ91は、溶融金属の凝固中及び一体型金型キャビティ内で結晶が成長する間、必要なエネルギを追加し得るように制御される。1つの形態において、補助的金型ヒータ91は、金型容器80の外壁82の内面84に接続されると共に、金型容器80の頂部分に配置される。しかし、金型容器に沿ったその他の位置も考えられる。
【0076】
図28を参照すると、一体型金型45が内部に配置された金型容器80の断面図が図示
されている。この断面図は、溶融金属を内部に受け入れる内部キャビティの翼型形成部分に相応する、図27の線28−28に沿ったものである。複数の支持部材83が外面45dに当接し、キャビティ48内に溶融金属を注入する間、薄い壁49を支持する。複数の支持部材83は、一体型金型45から外壁82までの熱伝達を防止する絶縁体として機能する空間94をその間に有している。更に、複数の支持部材83は、容器の外壁82への不連続的な熱伝達路を画成する。複数の部材83は、一体型金型45に対し所望の温度を保ち得るように一体型金型45から輻射される熱を保持する機能を果たす。
【0077】
図29を参照すると、一体型鋳造用金型が内部に配置された金型容器80が図示されている。容器80の外壁82と金型45の外面45aとの間に画成された空間内には、一体型金型45の一部分を加熱し得るように局部的な金型ヒータ93が配置されている。金型容器内で局部的な金型ヒータ93を利用することは、金型45の外面45aの任意の部分に隣接し又は近接する位置にて行うことができる。局部的な金型ヒータ93は、面に沿って連続的とし又は面に沿って不連続とし又は金型の設計に関係するパラメータにより必要とされるように面から隔てることができる。図29の補助的金型ヒータの図は、限定的なものであることを意図するものではない。
【0078】
図30及び図31を参照すると、一体型金型45の内部キャビティから非結合材料400を除去する方法及び装置が図示されている。この過程は、相互に接続された複数の材料層を有する自由形態に製造された金型に関して図示されているが、金属受け入れキャビティ内に配置された非結合粒子を有するその他の金型構造体に対しても有用であると考えられる。非結合材料は、粉体、微粒子及びキャビティ48内の一体型金型45の壁に結合されていないその他の材料に関する。1つの形態において、鋳造金属受け入れキャビティ内から非結合材料を除去する過程は、直接セラミック鋳造用金型を形成し得るように粉体の層を印刷し且つ結合することにより製造された金型に関する。別の実施の形態において、一体型金型45は、キャビティ内の非結合材料を乾燥させ得るように加熱されている。別の形態において、鋳造金属受け入れキャビティから非結合材料を除去する過程は、セラミックシェルを形成し得るように選択的レーザ励起技術により製造された金型に関する。非ゼリー状スラリーを乾燥させ且つ除去するか又は非乾燥状態で除去することができる。
【0079】
一体型金型45を有する金型容器80は傾斜角度θにて配置され且つ軸線Zの周りを回転させる。好ましい実施の形態において、角度θは約5乃至90°の範囲の鋭角な角度であり、より好ましくは、この角度θは約15°である。しかし、代替的な実施の形態において、角度θは変更可能である。一体型金型45の回転及び移動により非結合材料400は、内部キャビティを画成する壁から脱落し且つ内部キャビティと連通する出口開口101を通過し、集め箇所104に入る。1つの代替的な実施の形態において、一体型金型は、非結合材料400を内部キャビティから除去した後、出口開口101内に挿入される栓(図示せず)を有する。1つの好ましい実施の形態において、出口開口101は、特定の結晶学的構造及び/又は迅速な凝固を容易にし得るように鋳造工程中利用される金属開始種を受け入れ得る寸法とされている。
【0080】
1つの形態において、一体型金型45のスプロケット77は、駆動装置102と係合する。該駆動装置102は、容器が約0.1乃至2回転/分の範囲の速度にて回転し、より好ましくは、約1/3回転/分の速度にて回転するように駆動されるが、その他の速度も考えられる。一体型金型が回転される滞在時間は約15分乃至約2日の範囲とし、より好ましくは、約2時間とする。しかし、その他の滞在時間も考えられる。容器80は、軸線Zの周りを回転するとき、容器支持体103に沿って、矢印Pの方向に進む。容器スペーサ105が容器同士の接触を防止し得るように対の金型容器80の間に配置されている。更に、容器80は、内部キャビティから材料400を除去し易くするのに必要なように上下逆さにすることができ、また、材料の除去を容易にし得るよう内部キャビティ内に流体
洗浄剤を導入することができる。内部キャビティ内の流体の導入は、通常の状態又は上下逆さの状態で行うことができる。
【0081】
一体型金型45には、その内部キャビティ内に溶融金属を受け入れる前に熱加工工程が行われる。一体型金型45は、三次元的印刷により又は選択的レーザ励起方法により形成されるかどうかに関係なく、鋳造過程に十分でない素状態強度を有し、このため、上述したように、加熱されるに伴いその強度を増す。幾つかの金型構造体において、素状態の金型内に存在するポリマー及びその他の材料を燃焼することが必要である。より具体的には、選択的レーザ励起方法により形成された一体型金型の場合、素位相の金型内のポリマーを燃焼する必要がある。三次元的印刷技術により製造された金型は、略、燃焼過程を必要とせず、それは、素状態の一体型金型45から除去すべき十分な材料が存在しないからである。最後に、金型は、望まれるミクロ構造体の成長を促進し得るように選んだ適当な温度まで予熱しなければならない。柱状粒子構造体の場合、金型を予熱するのに望まれる温度は、約1482.22℃(約2700°F)であり、単結晶鋳造の場合、金型の予熱に望まれる温度は、約1537.78℃(約2800°F)である。
【0082】
本発明の1つの形態において、一体型金型45に対し一貫的な熱加工工程を行うことが望まれる。この一貫的な熱加工は、素状態の金型45を加熱することと、素状態の金型内の不要な材料を燃焼することと、所望のミクロ構造体を鋳造するのに必要な所望の温度まで金型を予熱することとを含む。金型は、加熱及び焼結工程後、冷却し、検査し、必要に応じて修理し且つ鋳造の準備をする。その後、金型は、金型を予熱するのに望まれる温度まで上昇させる。より好ましい形態において、これらステップの各々は、実質的に連続的な形態にて同一の加熱炉内で行われる。金型の熱サイクルを不要にすることは、精緻/微妙な通路を有する中空構造体を鋳造する能力を向上させることになる。
【0083】
図32を参照すると、溶融金属の装荷分108を一体型金型45を有する金型容器80のような鋳造用金型に供給する鋳造装置420の作用図が図示されている。本発明は、実質的な連続的な形態すなわちバッチ加工形態にて機能する鋳造装置を対象とする。鋳造装置と共に利用される鋳造用金型は、特定の金型型式又は構造にのみ限定することを意図するものではない。鋳造装置は、加熱路107内に配置された精密溶融金属供給装置106を備えている。本発明の1つの好ましい形態において、加熱炉107は、二重チャンバ付き真空加熱炉により画成される。しかし、本発明にて空気溶融又は加圧鋳造加熱炉のようなその他の型式の加熱炉も考えられることが理解される。ある量の溶融金属を金型80に配置する精密溶融金属供給装置は、環境的に制御されたチャンバ109内に配置される。溶融金属供給装置106は、るつぼ111内の溶融金属の表面の下方から溶融金属が供給される。溶融材料110の供給分がチャンバ109内に進み且つるつぼ111内で溶融される。るつぼ内の溶融金属の供給分は超加熱状態に加熱され、このため、鋳造タービンエンジン部品と関係した合金の場合、超加熱は176.667乃至204.444℃(350乃至400°F)の範囲にある。しかし、本発明において、これら合金及びその他の型式の金属に対するその他の超熱温度が考えられることが理解される。
【0084】
1つの実施の形態において、制御チャンバ109には、るつぼ111内で溶融金属の表面蒸発を遅くする遮蔽体及び/又は薄膜を形成する不活性ガス112が供給される。溶融金属の分配は、溶融金属供給装置106と金型80との間の圧力差によって制御される。1つの実施の形態において、溶融金属の排出は、溶融金属の表面に正圧を付与することで制御される一方、この正圧は、るつぼ111からのある量の溶融金属を金型80内に供給する。金型80は、真空加熱炉の第二のチャンバ内に配置され且つ溶融金属供給装置106よりも低圧である。
【0085】
図33及び図34を参照すると、本発明の鋳造装置の1つの実施の形態115が図示さ
れている。鋳造装置115は、壁114により分離された上方チャンバ117及び下方チャンバ118を有する二重チャンバ付き真空加熱炉116を備えている。チャンバの間に形成された圧力差を利用して溶融金属の装荷分を金型に供給する。金型入口ポート(mold entry port)119は、参照番号80で示したような鋳造用金型容器を導入し且つ下方チャンバ118から除去することを可能にする。本発明の1つの形態において、金型入口ポート119は、金型容器80を除去しまた下方チャンバ内に挿入するとき、下方チャンバ118内で真空環境を保つことを可能にする流体密のインターロック部を画成する。溶融金属を注入し且つ凝固させる間に、金型80を保持する回転可能な保持具121が下方チャンバ内に配置されている。開始種421は、金型容器80と共に位置決めされ且つ保持具121と接続されている。本発明の1つの好ましい形態において、保持具121は、金型45内で溶融金属を指向性凝固させ得るよう開始種からエネルギを吸引すべく開始種421と熱伝達可能に連通する熱伝達装置を備えている。
【0086】
金属材料供給装置120は、非溶融金属材料137を上方チャンバ117内に配置された溶融るつぼ122内に導入することを許容する。本発明の1つの形態において、非溶融金属材料137は、棒状の形態であり、鋳造装置115の作動を妨害せずにるつぼ内に送られる。好ましい実施の形態において、溶融るつぼ122は、耐火性るつぼを画成し、この耐火性るつぼ内で、金属材料は誘導ヒータ123により誘導的に加熱される。空中浮揚型及び抵抗型のようなその他の形態のヒータは、非限定的に、るつぼ122内の金属材料を溶融させ且つその温度を上昇させることが可能であると考えられる。るつぼ122は、ある量の溶融金属を保持する設計及び構造とされており、その溶融金属からより少量の溶融金属の装荷分が除去され、個々の金型を充填する。るつぼが保持することのできる溶融金属の量は、約2.26796乃至90.7185kg(約5乃至200ポンド)の範囲、より好ましくは、約22.6796kg(約50ポンド)の範囲とする。しかし、上述したように、るつぼは、連続的な過程に十分な能力を備えることができ、又は個々の1回の注入にあった寸法とすることができる。1つの実施の形態において、溶融金属のリザーバを保持するるつぼは溶融金属の装荷分の供給及び非溶融金属の材料を溶融のためるつぼ内に導入することに関係する温度変化を少なくする。溶融るつぼ122内の溶融金属124は、溶融金属分配装置内に進む。1つの実施の形態において、溶融金属分配装置は、ノズル253を通じて充填管52の精密に配置された入口78まで溶融金属を精密注入する装置を画成する。溶融金属分配装置125及び溶融金属をるつぼ122から分配する代替的な実施の形態のより詳細な説明を以下に記載する。
【0087】
本発明の1つの実施の形態において、回転可能な保持具121は液体冷却され且つ真空加熱炉の下方チャンバ118内に配置される。熱伝達装置が鋳造用金型45の各々と接続され且つ溶融金属の凝固中、熱伝達路を維持する。回転可能な保持具は、複数の金型容器ホルダ129を備えている。図34の実施の形態において、金型容器ホルダ129はスポーク部材であるが、溶融金属で充填され且つ所望の特定のマイクロ構造体となるように凝固するとき金型を保持するその他の構造も考えられる。金型容器80は、位置131まで回転され、この位置において、フィラー管の入口78は注入ノズル253と整合する。
【0088】
図35を参照すると、鋳造装置の1つの代替的な実施の形態135が図示されている。鋳造装置135は、鋳造装置115と実質的に同様であり、同様の特徴部は同様の参照番号で表示する。鋳造装置135と鋳造装置115との間の主要な相違点は、非溶融金属材料137が上方チャンバ117内に流れるとき、該金属材料に対する流体密のシールを形成するシール136を含む点である。1つの好ましい形態において、シール136は、非溶融金属材料137の外面137aと当接する。金属材料137は矢印Sの方向に向けて上方チャンバ117内に進むと、るつぼ122内の溶融合金124に作用する圧力が増す。溶融金属124に作用する圧力及び/又は力が増加することは、金属材料137が溶融金属124内に進むこと且つ/又は弁126を通じて供給される不活性ガス127の圧力
を上昇させることに起因する。1つの好ましい形態において、不活性ガスは、アルゴン又はヘリウムで、不活性ガスに関係する圧力差は60ミリトルである。
【0089】
図36を参照すると、本発明の鋳造装置の別の実施の形態140が図示されている。鋳造装置140は、鋳造装置135と実質的に同一であり、同様の特徴部は同様の参照番号で表示してある。鋳造装置140は、ノズル253を金属充填管52の入口78内に位置決めすることを可能にする。ノズルを充填管に接続することは、充填を促進し得るように水頭圧力を増すことを可能にする。更に、1つの形態において、この装置は時間に亙って溶融金属の圧力を制御すべく適用可能である。このため、溶融金属をノズルから排出したとき、溶融合金が充填管52まで通るための封じ込められた通路が存在する。ノズル253が金型容器80の入口78と合わさるようにするため、回転可能な保持具121は垂直方向に可動である。保持具121は、金型交換器130から金型容器80を受け入れ得るように下降させ、次に、溶融金属の装荷分を金型内に注入しようとするとき、金型容器を着座した関係にて位置決めし得るように持ち上げる。
【0090】
図37を参照すると、図33乃至図36の従来の鋳造装置と実質的に同様である鋳造装置145が図示されており、主要な相違点は鋳造装置145がより大きい鋳造用金型を取り扱う能力の点である。鋳造装置145は、下方チャンバ528に隣接する入口(doorway)146を通じてより大きい鋳造用金型525を導入することを許容する。1つの実施の形態において、溶融金属124は、溶融金属分配装置から金型キャビティ525の入口(inlet)523内に供給される。その後、金型522は、昇降装置548によりチャンバ528に対する注入位置から引き出される。
【0091】
図38を参照すると、金属開始種151に対する熱伝達を行う熱伝達装置150の第一の実施の形態が図示されている。1つの好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に相違する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、液体対固体の境界面にて約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。1つの実施の形態において、開始種151は、約0.635mm(約0.25インチ)乃至約7.62cm(約3.00インチ)の範囲の長さ「B」を有するが、その他の開始種の長さも考えられる。熱伝達装置150は、ジョーの面154を開始種151の本体と当接する熱伝達配置状態に配置し得るよう通常、機械的に偏倚された一対のジョー152を有している。ジョー152は、溶融金属が凝固するとき、開始種151に対する熱伝達路を維持する。機械的な作動構造体153は、通常、面154が開始種151と接触状態に維持されるよう閉じた位置に向けてばね偏倚された一対の可動アーム155を有している。開始種151は、アーム154、155の端部に機械的な力Fを加えることにより、熱伝達装置150から容易に非接続状態とされる。
【0092】
対のジョー152の各々は、開始種151の温度を変化させるべくある量の熱伝達媒体161を受け入れる内部冷却通路530を有している。熱伝達装置150は、能動的な冷却装置を利用するが、本発明は、受動的な冷却装置を採用することも考える。好ましくは、熱伝達媒体161は、金属開始種151からエネルギ/熱を吸引する冷却剤/吸熱体である。熱は、金型キャビティ内で凝固する溶融金属から伝導により開始種に供給される。その後、冷却媒体がジョー152を通ることで、開始種を通じて熱伝達が行われ、金型キャビティ内に溶融金属の熱勾配を生じさせ且つ指向性凝固を生じさせる。更に、多くの型式の冷却媒体を使用することができる。最も簡単な型式は、その熱容量及び/又は相変化の点で魅力のある固体であり、その非限定的な例は、銅である。水及び/又はアルゴンのような流体も冷却媒体を画成することができる。更に、より大きい熱伝達能力又は熱伝達性を有する熱伝達冷却媒体は、アルミニウム、スズ又は水銀のような液体金属を含む。
【0093】
図39を参照すると、本発明の熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態165が図示されている。1つの好ましい形態において、種における熱勾配は、時間と共に変化する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は、核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、液体が固体境界面まで凝固するとき、約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)よりも大きい。熱伝達装置165は、熱伝達装置150と実質的に同様であり、相違点は、対のジョー166を通る金属開始種151を局部的に加熱する能力の点である。更に、1つの実施の形態において、開始種を同時に局部的に加熱し且つ冷却することができる。加熱能力は、種と溶融金属との境界面の熱流量を調整するために利用される。熱伝達装置150及び熱伝達装置165は実質的に同様であるため、同様の特徴部は同一の参照番号で表示する。熱伝達装置165の1つの好ましい実施の形態において、ジョー166は、導線531により電源に接続され、電流がジョー166を通って流れる結果、金属開始種151が抵抗加熱される。開始種151からの結晶構造体の成長を制御するため、金属開始種151を局部的に加熱する能力が望まれる。
【0094】
図40及び図41を参照すると、金属開始種170に対する熱伝達を行う熱伝達装置の別の実施の形態171が図示されている。好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に変化させる。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は、核形成中、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。開始種171は、金属開始種151と実質的に同様であり、一対の精密位置決め特徴部172を更に備えている。金属開始種171は、金型容器80の開口部内に配置され且つ熱受け入れキャビティと連通状態に配置され、溶融金属を注入すると、金属開始種171の一部分は、溶融金属を受け入れ且つ部分的に溶融される。精密位置決め特徴部172は、一対のジョー173の各々の接触端部174を受け入れ得る設計及び構造とされている。ジョー173の各々の熱除去端部175はハウジング180内に配置されている。該ハウジング180は、冷却媒体が通るための通路176を有している。ハウジング180を通り且つジョーの熱除去端部175を亙って冷却媒体が通ることが矢印で概略図的に図示されている。1つの実施の形態において、局部的なヒータ178は、機械的ハウジング180に接続されている。ヒータ178は、対のジョー173と伝導的熱伝達可能な関係にあり、ジョーの接触端部174を通じて開始種171にエネルギを付与する。局部的ヒータ178は、溶融金属と金属開始種との間の境界面の熱流量を調節するように制御される。熱伝達装置のジョー173を図40に図示した位置から開放し、次に、対のジョー173を図41に図示した位置に閉じるため、機械的アクチュエータ177が利用される。アクチュエータ177は、液圧アクチュエータであることが好ましいが、鋳造環境にて機能するのに必要な性質を持つその他のアクチュエータが考えられる。
【0095】
図42を参照すると、溶融金属を受け入れる内部キャビティ186を有する金型185が図示されている。金型186は、内部キャビティ186及び開始種受け入れ入口(inlet)189に対し且つ該キャビティ及び入口からガス状材料を通し、金属開始種188を受け入れ且つ該開始種と緊密に係合するようにする通気端部187を有している。金属開始種188は、面188aにて溶融金属を受け入れ得るように配置されている。金属開始種は、その他の種の形状が可能であると考えられるため、図42に図示した種の形状にのみ限定することを意図するものではない。開始種の補助的ヒータ195及び補助的金型ヒータ196は金型185内に配置されている。絶縁体190は、金型185の下面185aと熱伝達装置191との間に配置され鋳造用金型185からの熱伝達を最小にする。好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に変化する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は、核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は液体対固体の境界面にて約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。
【0096】
熱伝達装置191は、開始種188の面198に当接し且つ外面198との接触状態を保つ位置まで可動である一対のアーム193、194を備えている。熱伝達装置191と開始種199との当接関係は、アーム193、194が開始種188から確実に解放されるまで維持可能である。精密位置決め部材192は、溶融金属受け入れキャビティ186内で溶融面188aの垂直高さを正確に配置し得るように開始種188の底面188bに接触する。冷却媒体通路197は、冷却媒体が通り得るように対のアーム193、194の各々に形成されている。キャビティ185内の溶融金属は、開始種188に熱伝達する一方、該開始種は面198を通じて冷却した対のアーム193、194に熱伝達する。通路197内を流れる冷却媒体はアーム193、194から熱を除去する。このように、キャビティ186内の溶融金属を指向性凝固させるため開始種188を通じて熱勾配が形成される。
【0097】
図43を参照すると、熱伝達装置191と接続された金型容器200が図示されている。金型容器200は、金型容器80と実質的に同様であり、実質的に同一の特徴部は同様の参照番号で表示する。薄肉厚の一体型金型45は、頂部分186a、底部分186b及び側部分186cを有する内部キャビティ186を備えている。高温のガス状材料がキャビティ186に且つキャビティ186から出ることを許容する通気口79が頂部分186aに近接する位置に配置されている。開始種受け入れ入口189は底部分186bに形成され、側部分186cは、金型の側壁49からの熱伝達を最小にし得るよう絶縁されている。1つの好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に変化する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、液体対固体の境界面にて約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。溶融金属受け入れキャビティ186の形状は、完全に一例であり且つ本発明を限定することを意図するものではない。
【0098】
図44を参照すると、鋳造用金型内に配置された開始種を通じて熱を吸引する熱伝達装置の1つの代替的な実施の形態201が図示されている。1つの好ましい形態において、種における熱勾配は時間と共に変化する。より具体的には、1つの実施の形態において、熱勾配は核形成の間、小さく、結晶が成長する間、実質的により大きい。1つの形態における熱勾配は、液体対固体の境界面にて約11.3299℃/mm(約550°F/インチ)以上である。1つの実施の形態において、一体型熱伝達装置201は、開始種部分202と、精密位置決め面203と、貫通路204とを備えている。開始種部分202は、金型の薄いセラミックシェルの面550内に受け入れられ且つ該面550と当接する。開始種部分202の垂直位置は、精密位置決め部材192により固着され、該精密位置決め部材は精密位置決め面203と当接する。通路204は、熱伝達装置201に形成され且つ熱伝達媒体を通す設計とされている。より具体的には、該通路は、熱伝達装置に形成された支承面206と強固に係合し且つ整合可能な一対のカプラー205(その1つのみを図示)と接続可能な設計とされている。対のカプラー205が熱伝達装置201と接続され且つ通路204と整合された状態で、熱伝達媒体の流れは、カプラー205内の通路551を通って熱伝達装置201の通路204内に流れることができる。
【0099】
支承面206及びカプラー205の各々における相応する面は、冷却媒体が継手の周りで漏洩するのを防止するよう実質的に流体密のシールを形成する。更に、1つの実施の形態において、支承面206は電気的接点を画成し、対のカプラー205は熱伝達装置201と合わさったとき、回路が接続され且つ電流が熱伝達装置201を通って流れ、種部分202を加熱するヒータを形成する。熱伝達装置201は、開始種部分202の局部的な加熱を許容し且つ開始種部分202の上で金型内で凝固する溶融金属からエネルギを吸引することを可能にする。
【0100】
図45を参照すると、金型の薄いセラミックシェルとの当接関係から除去されたエネルギ伝達装置201の1つの実施の形態の斜視図が図示されている。1つの形態において、エネルギ伝達装置201は、開始種部分202を有する一体的主要本体207を有している。開始種部分は、鋳造用金型の種受け入れ部分内に配置し、溶融金属が矢印Fの方向に溶融面208を横断して流れ得るようにすることが可能である。しかし、本発明は、一体型装置にのみ限定されず、多岐に亙る幾何学的形態及び流路を有する組み立てた装置も含む。
【0101】
図46A及び図46Bを参照すると、鋳造用金型210の一部分が図示されている。1つの好ましい形態において、鋳造用金型210は、選択的レーザ励起又は三次元的印刷により形成されるが、金型はこれら方法により製造された金型に限定することを意図するものではなく、当業者に知られたその他の方法により製造することができる。鋳造用金型210は、一体型鋳造用金型210内のキャビティ212に溶融金属を供給する通路を提供する注入管211を備えている。1つの実施の形態において、開始種213は、鋳造用金型210内に配置され且つディフューザ211aの排出部分216に対する所定の位置に開始種213の最初の溶融面215aを配置し得るように位置決め部材214により配置される。ディフューザ211aは、開始種の最初の溶融面215aを溶融金属にて完全に覆うことを可能にする。ディフューザ部分211aの壁は、15°乃至45°の範囲にあることが好ましい角度φにて開放する。開始種本体の一部分が最初に溶融する間、開始種213に輸送されるエネルギを増し得るようにディフューザ部分211aは、開始種に亙る溶融金属の動きを遅くする。1つの実施の形態において、最初の溶融面215の高さ及びディフューザ部分211aの形態は、種の一部分を溶融させ得るように溶融金属から除去され且つ開始種213に輸送される熱の量を最大にし得るように選択される。
【0102】
本発明の1つの実施の形態において、溶融可能な部材220は、鋳造用金型210内に配置し、溶融金属の流れが部材220を溶融させ且つ溶融可能な部材から成る材料を溶融金属と共に金型キャビティ212内に供給するようにする。溶融可能な部材220は、注入管211の一部分内に配置される。しかし、溶融可能な部材220の位置は、ディフューザ211aのような他の場所とすることができる。1つの好ましい形態において、部材220は、溶融金属が充填管211を通って流れるのを実質的に妨害せず且つ溶融金属の熱により容易に溶融されるワイヤー又はメッシュである。溶融可能な部材220は、溶融し且つ溶融合金と混合し、改良された展性及び/又は酸化抵抗性のような非限定的な性質を鋳造部品に付与する。1つの形態において、溶融可能な部材220は、非限定的に希土類金属元素のような反応性金属にて形成される。
【0103】
図47A乃至図47Cを参照すると、溶融金属は溶融面188aを亙って矢印Gの方向に流れるとき、開始種188の一部分が溶融して戻る状態が図示されている。開始種188は、溶融端及び基端を有する金属部材であり、該基端は部材に対し且つ/又は部材から熱を伝達し得るよう熱伝達装置と接触可能である。溶融加速部分225が溶融端に形成され且つ参照番号Pで示した材料の最初の高さを有する。図47Aを参照すると、非溶融状態にある溶融部分が図示され、この溶融部分は、基端の断面積よりも小さい断面積を有する。溶融金属が面188aを亙って流れる時間の後、溶融部分225は部分的に溶融して戻る。面188b(図47B)は、ある時間、溶融金属が通過した後の溶融部分225のプロファイルを示し、その高さはQで示してある。図47Cを参照すると、追加的な溶融金属が溶融部分225を亙って流れるとき、溶融過程が続行し、プロファイルは188cで示してあり、Rで示した高さを有する。溶融部分225の溶融が続くと、凝固する金属からの熱伝達が生ずる溶融部分の表面積は、開始種188の基部226の表面積と等しい寸法に近づく。1つの実施の形態において、種が溶融して戻る状態が完了すると、溶融部分は、溶融金属から開始種への熱伝達を制限しないよう基端に実質的に等しい断面積を有する。
【0104】
図48及び図49を参照すると、本明細書で可能であると考えられる開始種の他の実施の形態が図示されている。開始種230は、半円形の断面である溶融加速部分231を有するが、非限定的に、溝付き面及び/又はギザギザ付き面のようなその他の幾何学的形状も考えられる。開始種235は、溶融部分235aと、熱伝達媒体が通り得るように形成された通路236とを有する。本明細書において、開始種はその他の幾何学的形状が可能であり、また、溶融加速部分235aは備えなくてもよいが、熱伝達材料が流れるための通路を備えるようにしてもよいことが理解される。1つの代替的な実施の形態において、より多くの精緻な冷却通路を形成し得るよう複数の内部通路が考えられる。
【0105】
図50を参照すると、鋳造装置115のような鋳造装置から溶融金属を分配する装置の別の実施の形態230が図示されている。溶融るつぼ231は、溶融金属が底部壁部材の穴を通過しない点を除いて、溶融るつぼ122と実質的に同一である。溶融金属供給通路232は、供給端部233及び排出端部234を有する。供給端部233は、溶融金属の面の下方から溶融金属が供給され、通路232がるつぼ231内の溶融金属の柱状部分の高さまで充填される。供給通路232から金型容器80内への溶融金属の排出は、チャンバ117とチャンバ118との間の圧力差によって制御される。
【0106】
溶融金属供給通路232は、受動的な溶融金属流れ制御機能を有する。1つの実施の形態において、通路232の部分232aは、流れ制御手段として機能する。るつぼ内の溶融金属に十分な圧力が付与されたとき、通路232は、溶融金属にて充填される。付与された圧力を解放すると、溶融金属はるつぼに戻り且つるつぼ内の溶融金属の高さに実質的に等しい通路内の高さに保たれる。1つの形態において、溶融金属を部分232aから且つノズル600外に供給することは、高さ「C」プラスチャンバ117及びチャンバ118の間の圧力差により制御される所定の圧力及び速度で行われることになる。通路232を充填するのに必要な作動エネルギは「D」で示してある。
【0107】
装置の1つの好ましい形態において、溶融金属の排出は、るつぼ231内の溶融金属に対し圧力を付与することで制御される。上述したように、溶融金属に付与された圧力は、金属材料137を溶融金属内に前進させること、及び/又は不活性ガスにより溶融金属の表面に圧力を付与することにより形成することができる。溶融金属の表面における圧力が上昇すると、追加的な溶融金属が供給端部233及び供給通路232を通じて排出端部234に付勢される。排出端部234にて、溶融金属は、ノズル600を通って金型容器の入口(inlet)まで流れる。溶融金属に作用する圧力を解放すると、点235を超える溶融金属が供給され、通路内の残る溶融金属はその位置に留まり且つ/又はるつぼ231に戻される。このため、金型容器80への溶融金属の供給は、チャンバ117、118の間の圧力差により制御される。1つの代替的な実施の形態において、金型容器80への溶融金属の流れは、溶融金属に作用する圧力を上昇させることに代えて、容器の周りの圧力を下降させることにより行うことができる。
【0108】
図51を参照すると、溶融金属を鋳造装置115のような鋳造装置から分配する溶融金属の分配装置の1つの代替的な実施の形態240が図示されている。より具体的には、溶融金属の分配装置240は、上方チャンバ117内に配置され、金型80は、下方チャンバ118内に配置されている。るつぼ241は、るつぼ122と実質的に同様であり且つ金属材料を溶融させ得るようにヒータ123により加熱される。るつぼの排出穴242がるつぼに形成され且つ壁部材114を貫通する通路243と整合されている。ストッパロッド244が上方チャンバ117内に配置されている。該ストッパロッド244は、密封面245が穴242の周りでるつぼの壁に係合し、溶融金属が通過するのを防止する位置と、密封面245が穴242の周りで壁と当接する関係から除去される別の位置との間にて可動である。重力は、ストッパロッドの密封面245をその密封位置から除去したとき
、溶融金属が金型80内に流れるのを許容する。
【0109】
図52を参照すると、溶融金属の分配装置125が内部に配置されたるつぼ122の拡大図が図示されている。るつぼ122は穴700を有している。溶融金属の分配装置125は、互いに且つるつぼ122と流体的に連通した外側通路250及び内側通路251を有している。複数の充填穴252は、るつぼ122内の溶融金属が装置125の外側通路250内に流れるのを許容する。外側通路250が溶融金属にて充填されると、溶融金属は、内側通路251の供給端部251a内に溢れることができる。内側通路251は、排出端部251bを有し、溶融金属はこの排出端部を通ってノズル253まで流れる。ノズル253の周りの内側通路251の部分255は、溶融金属が蓄積するのを許容し、この溶融金属は、ノズル253の温度を溶融金属のるつぼの温度近くに保つために使用される。
【0110】
1つの実施の形態において、熱遮蔽体及び/又はヒータ254は、ノズル253から隔てられ且つ該ノズル253の周りに配置され、ノズルを機械的に保護し、またノズルからの熱損失を少なくする。ノズル253は、るつぼの穴700を通って伸び且つ溶融金属の流れを集中させ得る設計とされた排出穴を有する。1つの形態において、溶融金属の流れは、実質的に垂直に排出されるが、別の実施の形態において、その流れは他の相対的な方向に排出される。1つの実施の形態において、排出穴は、直径約3.175mm(約0.125インチ)であるが、その他の寸法も考えられる。更に、ノズルは、溶融金属の排出が完了する毎にそれ自体でパージする点で自己洗浄型である。より具体的には、1つの実施の形態において、ノズル253は尖った端部253aを有する。
【0111】
溶融金属の分配装置125の構造体は、複数の入口充填穴252を有し、内側部材256が隔てられた外側部材257を備えることが好ましい。内側部材256及び外側部材257は、アルミナ又はその他の適当なセラミックにて作られることが好ましく、外側部材は、等しく隔てられた4つの入口充填穴252を有するが、入口穴のその他の数及び間隔も考えられる。内側部材及び外側部材はるつぼ122の基部に接続される。より好ましくは、分配装置125は、一端にて閉じられた第一の直立の外管257及び内方に隔てられた第二の直立の内管256とを画成する。内管256及び外管257は、るつぼ122の底部壁部材701に接続され且つ穴700の周りに配置されている。1つの好ましい実施の形態において、内管256は、所定の量の溶融金属を保持する計測量供給キャビティを画成する。
【0112】
図52aを参照すると、溶融金属の分配装置の1つの代替的な実施の形態が図示されている。溶融金属の分配装置650は、機械的ハウジング/るつぼ651内に配置されさている。機械的ハウジングは、溶融金属を内部に受け入れ得るようにされた内部容積652を有している。溶融金属の分配装置は、通路654が形成された部材653を備えている。通路654の一端には溶融金属入口(inlet)655があり、その他端には溶融金属出口がある。1つの代替的な実施の形態において、溶融金属の分配装置の一部分のみが溶融金属が配置された内部容積内に配置される。通路654内に湾曲部分655が画成されている。溶融金属は、通路654に入り且つ通路を通ってハウジング651内の溶融金属の高さまで流れる。機械的ハウジング内の溶融金属に圧力を付与したとき、溶融金属は、湾曲部分655に駆動され且つ通路654を通って溶融金属出口まで流れ且つ排出される。1つの形態において、溶融金属は、矢印Aで示した第一の方向に流れ、湾曲部分655に達し、この湾曲部分655から矢印Bで示した第二の方向に流れる。溶融金属の入口655は、内部容積内の溶融金属の面670の下方に配置されている。1つの実施の形態において、溶融金属の分配装置は一体に形成されている。
【0113】
溶融金属の分配装置650の1つの好ましい実施の形態において、通路は、実質的にU
字形の通路を形成し得るように湾曲部分と合わさる実質的に直立部分を有する。更に、湾曲部分は機械的ハウジング/るつほ651内の溶融金属の高さよりも上方にあることが好ましい。1つの形態において、通路の一部分は、溶融金属の入口と溶融金属の出口との間にて断面積が変化する。より好ましい形態において、通路の少なくとも一部分は湾曲部分の前にテーパーが付けられ、より好ましくは、截頭円錐形の形状の通路を画成するようにする。1つの実施の形態において、通路654は、該通路と流体的に連通する状態に配置された通気口700を有する。しかし、1つの代替的な実施の形態において、通路は該通路に接続された通気口を有しない。通気口は通路を換気し且つ通路を加熱流体で洗浄することを許容するために利用される。本発明は、溶融金属の分配装置の部品に対しその他の幾何学的形状及び寸法とすることも可能と考える。
【0114】
図53A乃至図53Eを参照すると、溶融金属の分配装置125の1つの実施の形態から溶融金属を分配する過程が図示されている。非溶融金属材料137がるつぼ122内に前進すると、その材料は溶融し且つある量の溶融金属124を形成する。溶融金属124は複数の充填穴252を通って装置125の外側通路250内に流れる。非溶融金属材料137がるつぼ内に連続的に進み、その後に、溶融すると、るつぼ122内での溶融金属の高さHは、内側通路251の供給端部251aの高さまで上昇する。内側通路/計測量供給チャンバ251を溶融金属で充填するため、チャンバ内の溶融金属124に追加的な力を付与することが必要となる。
【0115】
この追加的な力は、非溶融金属材料137をるつぼ内の溶融金属の量内に連続的に進めることで付与することができる。るつぼ内の溶融金属124に作用する圧力を増すための第二の方法は、溶融合金の表面に対し加圧した不活性ガスを導入することである。溶融金属に作用する追加的な圧力は溶融金属が充填穴252を通って連続的に流れるようにする。その後、溶融金属は外側通路250から内側通路の供給端部251aにあふれる。内側通路の充填は、充填穴252は比較的迅速な過程であり、それは、充填穴252はノズル253よりも実質的に大きい材料の流入分が入口通路から排出されるようにすることを許容する寸法とされているからである。内側通路251が溶融金属で実質的に充填されたとき、面124aに作用する圧力は除去され、内側通路251は最早、外側通路250から溶融金属を受け取らず、該内側通路はその溶融金属の装荷分をノズル253を通じて集中的な流れにて排出する。
【0116】
溶融金属の分配装置の1つの実施の形態において、センサ800(図53D)はノズルからの溶融金属の最初の流れを検出し得るようにノズル253に近接して配置されている。ノズル253から溶融金属の最初の流れが検出されたとき、センサは、溶融金属の面124aから更なる圧力が除去されるようにする信号を送る。1つの実施の形態において、この信号は、溶融金属への圧力の付与を制御する制御装置に送られる。溶融金属がノズル253から排出されたことの早期の表示は、充填穴252及びノズル穴の全体寸法の差のため、内側通路251の充填の完了と実質的に同時である。1つの実施の形態において、充填穴252からの材料の流入は、ノズル穴を通る材料の流出量よりも著しく多い。
【0117】
図54を参照すると、溶融金属の圧力が時間の関数として図示されている。図36に図示した1つの実施の形態において、ノズル253は、充填管52の入口78と流体的に連通状態に接続されている。次に、チャンバ117内の圧力を上昇させるか又はチャンバ118内の圧力を減少させる何れかにより溶融金属の流れを開始させることができる。チャンバ118内の圧力の減少は、金型の内部キャビティを真空にし、これにより、残留する粉体のようなルーズな材料を除去すること、及び/又はアルミニウム、チタン及びハフニウムのような反応性元素を保護するため金型のガス量を軽減させることの機能が可能である。更に、チャンバ117内の圧力の上昇は、金型キャビティの細部を充填するのに役立つ。多くの材料間の反応を抑制し且つ凝固に起因する収縮を軽減するためチャンバ117
内でより高圧力を使用することができる。
【0118】
図55を参照すると、その後の鋳造工程が行われるように加熱炉801内に配置されたガスタービンエンジンブレード30が図示されている。単結晶及び/又は柱状粒子鋳造用のこの後鋳造加工工程は、熱等静圧加圧工程、均質化工程及び焼入工程を含む。熱等静圧加圧工程は、部品30を加熱炉801内に配置し且つ部品に対し高温度及び圧力を作用させ、鋳造構造体から空隙を除去する。1つの実施の形態において、熱等静圧加圧は、約1301.67乃至1315.56℃(約2375乃至2400°F)の温度及び約206.843MPa(約30,000lbs/平方インチ)の圧力にて行われる。この圧力は、アルゴンのような不活性ガスにて供給されることが好ましい。図55を参照すると、圧力は矢印802で示し、温度は矢印803で示してある。
【0119】
熱等静圧加圧工程後、部品に対し均質化工程を行い、これにより、凝固過程中に分離するであろうし且つ鋳造構造体の初期の融点を上昇させる設計とされた要素間に拡散を生じさせる。均質化サイクルは、部品に対し焼入ステップを行い、その後に、焼鈍し工程を行うことで完了する。
【0120】
本発明の1つの実施の形態において、3つの後鋳造工程は、加熱炉801内の連続的な過程に組み合わされる。熱等静圧加圧工程は、鋳造品の空隙を少なくし得るようにある時間、加熱炉801内の温度及び圧力を上昇させることにより加熱炉801内で行われる。その後、加熱炉801内の温度は、部品30を形成する材料の初期融点の約−3.889℃(25°F)以内の値まで上昇させる。好ましくは、加熱炉801内の温度は、ある時間、材料の融点の−15℃(5°F)以内まで上昇させる。均質化工程が完了した後、低温の不活性ガスを加熱炉801内に高圧力で輸送することにより、焼入工程が行われる。鋳造部品の老化は、所望に応じて真空又は圧力下にて続行させることができる。
【0121】
鋳造工程の1つの好ましい形態は、約254cm(約100インチ)/時の速度、より好ましくは約152.4cm(約60インチ)/時の速度にて単結晶が成長することを許容する。しかし、その他の成長速度も考えられる。結晶をこれらの速度にて成長させ得ることは、より遅い凝固過程中に生じる合金中の元素の分離を最小にする。合金中の元素の分離の減少により、後鋳造工程の均質化サイクルは、約24時間以内で行われ、より好ましくは、約2時間で行われるようにする。大きい熱勾配及び比較的短い開始種を利用する結果、加工がより迅速となり、収縮率がより少なく、疲労性質を改良し、また、より大きい応力破断強度を促進する、低分離を生ずる。
【0122】
図56を参照すると、金属柱状粒子の開始種900が図示されている。開始種900は、指向性凝固した柱状粒子部品901を成長させる設計とされている。開始種900は、鋳造部品に再現することが望ましい極めて細かい粒子902を有している。金属開始種900のこの精密に配向した結晶学的構造体は鋳造部品にこの構造を付与するために使用される。
【0123】
本発明は図面に図示し且つ上記の説明にて詳細に記載したが、これは単に一例でありその性質を限定するものであると見なすべきではなく、好ましい実施の形態のみを図示し且つ説明したものであり、本発明の精神に属する全ての変更及び改変は、保護の対象に含めることを望むものであることが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
溶融金属材料を受け入れるキャビティを画成し得るように共に結合した複数の材料層と、キャビティと連通する出口とを有する鋳造用金型を提供することと、
前記鋳造用金型をある勾配にて配向することと、
キャビティ内に配置され且つ複数の材料層の1つに結合されていない全ての材料を自由にし得るように鋳造用金型を回転させることと、
キャビティ内に配置された前記材料をキャビティ外に且つ出口を通じて通すこととを備える、方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
鋳造用金型を経路に沿って移動させることを更に備える、方法。
【請求項3】
請求項2の方法において、
前記移動させることが前記回転と同時に為される、方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、
前記回転が一方向である、方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、
前記回転が二方向である、方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、
キャビティを画成し得るように共に結合された複数の材料層の内面をガス洗浄することを更に含む、方法。
【請求項7】
請求項1の方法において、
前記勾配が鋭角な角度である、方法。
【請求項8】
請求項1の方法において、
前記材料がキャビティから通った後、出口内に栓を配置することを更に含む、方法。
【請求項9】
請求項1の方法において、
前記回転が、約0.1回転/分乃至2回転/分の範囲内であり、鋳造用金型が約15分乃至2日の間、回転される、方法。
【請求項10】
請求項9の方法において、
鋳造用金型が約2時間、回転される、方法。
【請求項11】
請求項1の方法において、
鋳造用金型を経路に沿って移動させることを更に含み、前記移動及び前記回転の少なくとも一部が同時に為され、 前記配向が、鋳造用金型を鋭角な角度に配向する、方法。
【請求項12】
請求項1の方法において、
鋳造用金型を金型容器内に配置することを更に含む、方法。
【請求項13】
方法において、
三次元的印刷により一体的セラミックシェルを形成することを備え、
該セラミックシェルが、溶融金属材料を受け入れるキャビティを画成すべく共に結合された複数のセラミック材料層と、キャビティと流体的に連通する少なくとも1つの出口とを有し、
セラミックシェルをある勾配にて配向することと、
複数の材料層の1つに結合されていないキャビティ内に配置されたセラミック材料を自由にすべくセラミックシェルを第一の軸線の周りで回転させることと、
キャビティ内に配置された材料をキャビティ外へ且つ少なくとも1つの出口を通して流すこととを備える、方法。
【請求項14】
請求項13の方法において、
セラミックシェルを所定の通路に沿って移動させることを更に備える、方法。
【請求項15】
請求項13の方法において、
前記移動させることが実質的に線形である、方法。
【請求項16】
請求項13の方法において、
軸線の周りの前記回転が一方向である、方法。
【請求項17】
請求項13の方法において、
鋳造用金型管を提供することを更に含み、 前記配向する前に、セラミックシェルを鋳造用金型管内に配置することを更に含む、方法。
【請求項18】
請求項13の方法において、
キャビティを画成する複数の層の内面を洗浄すべくキャビティを通じてガスを通すことを更に含む、方法。
【請求項19】
請求項13の方法において、
キャビティ内のセラミック材料の除去を容易にし得るようにセラミックシェルを上下逆さにすることを更に含む、方法。
【請求項20】
請求項13の方法において、
セラミックシェルと接続された第一の歯車を提供することを更に含み、前記回転を生じさせ得るように第一の歯車を被駆動の第二の歯車と係合させることを更に含む、方法。
【請求項21】
請求項1の方法において、
複数の層を乾燥させることを更に含む、方法。
【請求項22】
請求項21の方法において、
前記乾燥が、金型を予熱する間に為される、方法。
【請求項1】
方法において、
溶融金属材料を受け入れるキャビティを画成し得るように共に結合した複数の材料層と、キャビティと連通する出口とを有する鋳造用金型を提供することと、
前記鋳造用金型をある勾配にて配向することと、
キャビティ内に配置され且つ複数の材料層の1つに結合されていない全ての材料を自由にし得るように鋳造用金型を回転させることと、
キャビティ内に配置された前記材料をキャビティ外に且つ出口を通じて通すこととを備える、方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
鋳造用金型を経路に沿って移動させることを更に備える、方法。
【請求項3】
請求項2の方法において、
前記移動させることが前記回転と同時に為される、方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、
前記回転が一方向である、方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、
前記回転が二方向である、方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、
キャビティを画成し得るように共に結合された複数の材料層の内面をガス洗浄することを更に含む、方法。
【請求項7】
請求項1の方法において、
前記勾配が鋭角な角度である、方法。
【請求項8】
請求項1の方法において、
前記材料がキャビティから通った後、出口内に栓を配置することを更に含む、方法。
【請求項9】
請求項1の方法において、
前記回転が、約0.1回転/分乃至2回転/分の範囲内であり、鋳造用金型が約15分乃至2日の間、回転される、方法。
【請求項10】
請求項9の方法において、
鋳造用金型が約2時間、回転される、方法。
【請求項11】
請求項1の方法において、
鋳造用金型を経路に沿って移動させることを更に含み、前記移動及び前記回転の少なくとも一部が同時に為され、 前記配向が、鋳造用金型を鋭角な角度に配向する、方法。
【請求項12】
請求項1の方法において、
鋳造用金型を金型容器内に配置することを更に含む、方法。
【請求項13】
方法において、
三次元的印刷により一体的セラミックシェルを形成することを備え、
該セラミックシェルが、溶融金属材料を受け入れるキャビティを画成すべく共に結合された複数のセラミック材料層と、キャビティと流体的に連通する少なくとも1つの出口とを有し、
セラミックシェルをある勾配にて配向することと、
複数の材料層の1つに結合されていないキャビティ内に配置されたセラミック材料を自由にすべくセラミックシェルを第一の軸線の周りで回転させることと、
キャビティ内に配置された材料をキャビティ外へ且つ少なくとも1つの出口を通して流すこととを備える、方法。
【請求項14】
請求項13の方法において、
セラミックシェルを所定の通路に沿って移動させることを更に備える、方法。
【請求項15】
請求項13の方法において、
前記移動させることが実質的に線形である、方法。
【請求項16】
請求項13の方法において、
軸線の周りの前記回転が一方向である、方法。
【請求項17】
請求項13の方法において、
鋳造用金型管を提供することを更に含み、 前記配向する前に、セラミックシェルを鋳造用金型管内に配置することを更に含む、方法。
【請求項18】
請求項13の方法において、
キャビティを画成する複数の層の内面を洗浄すべくキャビティを通じてガスを通すことを更に含む、方法。
【請求項19】
請求項13の方法において、
キャビティ内のセラミック材料の除去を容易にし得るようにセラミックシェルを上下逆さにすることを更に含む、方法。
【請求項20】
請求項13の方法において、
セラミックシェルと接続された第一の歯車を提供することを更に含み、前記回転を生じさせ得るように第一の歯車を被駆動の第二の歯車と係合させることを更に含む、方法。
【請求項21】
請求項1の方法において、
複数の層を乾燥させることを更に含む、方法。
【請求項22】
請求項21の方法において、
前記乾燥が、金型を予熱する間に為される、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46A】
【図46B】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図52a】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46A】
【図46B】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図52a】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【公開番号】特開2011−140068(P2011−140068A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19549(P2011−19549)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【分割の表示】特願2010−54666(P2010−54666)の分割
【原出願日】平成11年11月19日(1999.11.19)
【出願人】(501180458)ロールス−ロイス・コーポレーション (12)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【分割の表示】特願2010−54666(P2010−54666)の分割
【原出願日】平成11年11月19日(1999.11.19)
【出願人】(501180458)ロールス−ロイス・コーポレーション (12)
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