説明

鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法

【課題】 合成床版の底鋼板内への雨水の浸入と、底鋼板上のコンクリート打設状態を検出可能とする。
【解決手段】 円筒状の胴部2とその上端側を閉塞する天井壁部3と胴部2下端側のフランジ部4からなる透明樹脂製の止水栓1を、底鋼板6に設けた確認孔7に下方から挿入して、天井壁部3が上向きのドーム形状となるように装着する。その後、底鋼板6上にコンクリート8を打設するときには、透明樹脂製としてある止水栓1の天井壁部3を通してその上側のコンクリート8の充填状態を確認可能とさせる。底鋼板6と硬化したコンクリート8の層による合成床版5が構築された後は、確認孔7に止水栓1を装着したまま、錆汁の有無を止水栓1の天井壁部3を通して監視するか、又は、止水栓1を取り外して開放させた確認孔7からの水や錆汁の排出の有無を監視することで、底鋼板6内への雨水の浸入の有無を検出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底鋼板上にコンクリート層を一体に接合して構築される合成床版等の鋼コンクリート合成構造物(複合構造物)における上記底鋼板に設ける確認孔をコンクリート打設時に止水するために用いる鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、橋梁や高架道路を構成する床版の1つとして、鋼製型枠となる底鋼板と、該底鋼板にコンクリートを打設して形成したコンクリート層(コンクリートスラブ)とからなる構成を有する鋼コンクリート合成構造物としての合成床版が用いられている。
【0003】
なお、この種の合成床版では、上記底鋼板と、形成するコンクリート層との強度合成を図るために、上記底鋼板のコンクリート打設個所の表面に、ずれ防止を図るためのジベルを予め突設しておき、この状態で該個所にコンクリートを打設してコンクリート層を形成することにより、底鋼板とコンクリート層とのずれを防止して、両者を一体化するようにしてある。
【0004】
ところで、上記合成床版では、コンクリート層に設ける防水層の損傷や、コンクリート層自体のひび等の損傷が生じると、底鋼板内に雨水が浸入する虞があり、そのため、このような底鋼板内への雨水の浸入が生じた場合に、この浸入した雨水を外部へ排出できるようにするために、上記底鋼板における所定個所に確認孔を設けるようにしてある。これにより、上記確認孔からの水の排出の有無によって、上記底鋼板内への雨水の浸入の有無、すなわち、上記防水層やコンクリート層自体の損傷の有無を判断することができるようにしてある。
【0005】
更に、上記底鋼板内へ浸入した雨水によって鋼製型枠である底鋼板や鋼製のジベルに錆(腐食)が生じると、上記確認孔からは錆汁が漏出するようになるため、この確認孔からの錆汁の漏出を監視することによって、合成床版における上記底鋼板や鋼製のジベルについての錆の発生の検出も行うことができるようにしてある。
【0006】
更には、上記底鋼板に設けてある確認孔を通してコンクリート層の底面と、底鋼板との接合部分を直接観察することもできるようにしてある。
【0007】
ところで、上記底鋼板に設ける確認孔は、該底鋼板上へのコンクリート打設作業を行うときには止水を行って、打設されるコンクリート(生コンクリート)が上記確認孔より外部へ漏れ出ないようにする必要がある。
【0008】
従来、上記合成床版の底鋼板における確認孔を止水する手段としては、たとえば、底鋼板上へのコンクリートの打設作業を開始する前に、上記確認孔にスポンジ栓やゴム栓を詰める手法や、底鋼板における上記確認孔を設けた個所に、上側(内側)から養生テープのようなテープやシールを貼る手法や、確認孔の上側にインターロッキングブロックのようなブロック片を配置して取り付ける手法が広く用いられている。
【0009】
更に、この種の合成床版の確認孔を止水する別の手法として、たとえば、確認孔の一種であるモニタリング孔を塞ぐための樟脳、ナフタレン等の昇華性物質からなる止水栓を用いる手法が従来提案されている。この手法によれば、底鋼板の確認孔が設けてある個所に、上側から上記昇華性物質による止水栓を取り付け、この状態でコンクリートの打設作業を行うことにより、該打設されたコンクリートが硬化するまでの間は、上記確認孔を上記昇華性物質製の止水栓により塞ぐことで該確認孔からのコンクリートの漏れを防止し、その後、上記底鋼板上に打設されたコンクリートの硬化後に、上記止水栓を構成している昇華性物質が次第に昇華して大気中に放散されることで該止水栓が消えてなくなるようにしてあり、これにより、上記確認孔を開放させることができるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0010】
合成床版の確認孔を止水する更に別の手法としては、水溶性フィルムにより構成された止水板を用いる手法が従来提案されている。この手法では、底鋼板に確認孔である開口が設けてある個所の上側に、該底鋼板上に打設されるコンクリートが硬化するまでの間は該コンクリートに含まれる水分によって溶けきってしまわないように厚みを調整してある水溶性フィルム製の止水板を取り付けて、この状態でコンクリートの打設作業を行うことにより、該打設されたコンクリートが硬化するまでの間は、上記確認孔を上記水溶性フィルム製の止水板により塞ぐことができるようにして、該確認孔からのコンクリートの漏れを防止し、その後、上記底鋼板上に打設されたコンクリートの硬化後に、上記止水板を構成している水溶性フィルムが大気中の水分等によって自然に溶解することで、上記確認孔を開放させることができるとされている(たとえば、特許文献2参照)。
【0011】
又、上記特許文献2では、合成床版の確認孔を止水するための他の手法として、透明な基板と、該基板上に塗布された水分反応性薬剤と、該水分反応性薬剤の上側を覆う水溶性フィルムにより止水板を構成し、底鋼板に確認孔を設けた個所の上側に上記止水板を取り付けた状態でコンクリートの打設を行うようにする手法も提案されている。かかる手法によれば、上記底鋼板の確認孔を上記止水板における透明な基板で塞ぐことで、底鋼板上に打設されるコンクリートの上記確認孔からの漏れを防止できるようにしてあり、更に、上記止水板の水溶性フィルムが打設されたコンクリートが硬化するまでの間に該コンクリート中に含まれる水分によって溶けるようにすることにより、該コンクリートが硬化した時点で上記透明基板の上側に塗布されている水分反応性薬剤が硬化したコンクリートの層の底面に接するようにしてある。これにより、上記底鋼板内に水が浸入すると、該水と上記水分反応性薬剤が反応して変性又は変色するようになるため、この水分反応性薬剤の変化の有無を上記確認孔と、その上側に取り付けられている上記透明な基板を介して監視することで、上記底鋼板内部への水の浸入の有無を確認できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3971354号公報
【特許文献2】特開2009−256914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、上述した従来一般的に行われているスポンジ栓やゴム栓を用いて底鋼板の確認孔の止水を行う手法では、コンクリートの硬化後に上記確認孔を通しての点検を行うためには、該確認孔に詰めてある上記スポンジ栓やゴム栓を撤去する必要がある。しかも、上記スポンジ栓やゴム栓は、底鋼板上にコンクリートを打設する際に該コンクリートの重量が上方より作用しても確認孔から脱落することがないように、予め該確認孔に対して強く圧縮した状態で詰めるようにしてあるため、このスポンジ栓やゴム栓を上記確認孔より引き抜いて撤去するには労力を要し、しかも、この撤去作業は高所作業車や足場を用いて行う必要が生じるという問題がある。
【0014】
底鋼板の確認孔をテープやシールで止水する手法は、施工性や材料コストの面では優れているが、コンクリートの硬化後に上記確認孔を通して点検を行うためには、該確認孔の上側に貼り付けてある上記テープやシールを撤去する必要があり、この撤去作業は、上記確認孔を通して下方から上記テープやシールを切り取って取り除く作業となるため、作業に手間及び労力を要し、更には、該撤去作業に高所作業車や足場が必要になってしまう。
【0015】
確認孔の上側にインターロッキングブロックのようなブロック片を取り付ける手法は、該ブロック片に透水性があるため、コンクリート打設時に生コンクリートのシルト分が透過すること防止できるとしても、止水性が不完全になるという問題がある。又、上記確認孔を通して外部に露出されるのは上記ブロック片の底面のみであるため、底鋼板上に打設されたコンクリートの状態、たとえば、充填状態を確認することは全くできないという問題がある。
【0016】
上記特許文献1に示された手法では、コンクリート打設時には底鋼板の確認孔を樟脳、ナフタレン等の昇華性物質からなる止水栓を用いて塞ぐことで、止水性を得ることはできるが、打設されたコンクリートが硬化するまでの間、確認孔の止水性を維持できるように上記昇華性物質製の止水栓の昇華をコントロールするためには、該止水栓を、コンクリート打設作業の直前に確認孔に取り付ける必要が生じてしまう。
【0017】
又、樟脳は割れ易いため、取り扱いに手間を要するという問題がある。更に、上記昇華性物質製の止水栓は、コストが嵩むという問題もある。
【0018】
更には、上記昇華性物質製の止水栓は、コンクリート打設時の移動を防ぐために、底鋼板の確認孔の上側の外周縁部に接着剤や粘着テープで接着する必要があるため手間が嵩み、この際、接着が不十分であったり、接着状態に不具合が生じていると、コンクリート打設時における確認孔からのコンクリートの漏れにつながる虞が生じてしまう。
【0019】
上記特許文献2に示された手法のうち、確認孔の上側に水溶性フィルムにより構成された止水板を取り付けて止水を行う手法は、打設されたコンクリートが硬化するまでの間、確認孔の止水性を維持できるように上記水溶性フィルムにより構成された止水板の水分による溶解をコントロールするためには、該止水板を構成する水溶性フィルムの厚さを、使用するコンクリートの水分量に応じて調整する必要が生じるため、手間が嵩んでしまう。又、上記止水板を構成する水溶性フィルムは、大気中の水分によっても溶解が進行してしまうものであるため、該止水板は、使用前は乾燥状態で保存する必要が生じると共に、コンクリート打設作業の直前に確認孔に取り付ける必要が生じてしまう。
【0020】
更に、上記止水板はコンクリート打設時の移動を防ぐために、底鋼板の確認孔の上側の外周縁部に接着剤や粘着テープで接着する必要があるため、この接着が不十分であったり、接着状態に不具合が生じていると、コンクリート打設時における確認孔からのコンクリートの漏れにつながる虞が生じてしまう。
【0021】
一方、上記特許文献2に示された透明な基板と、該基板上に塗布された水分反応性薬剤と、該水分反応性薬剤の上側を覆う水溶性フィルムにより構成された止水板を用いてコンクリート打設時に底鋼板の確認孔を止水する手法では、コンクリートの硬化後も上記確認孔は上記透明な基板によって塞がれたままとなるため、上記確認孔を水抜き穴として機能させることはできないという問題がある。
【0022】
又、上記確認孔の上側には、透明基板が配置されているが、この基板の上面には上記水分反応性薬剤が塗布されているため、上記底鋼板上に打設されたコンクリートの充填状態を観察することは難しいというのが実状である。
【0023】
更に、上記底鋼板の確認孔の上側に、コンクリート片や、昇華性物質製の止水栓や、水溶性フィルム製の止水板や、透明な基板と水分反応性薬剤と水溶性フィルムからなる止水板を配置して取り付ける手法では、底鋼板の上側に打設するコンクリートに対してバイブレータを挿入して締固めを行うときに、上記確認孔の上側に取り付けてある上記コンクリート片や止水栓や止水板に該バイブレータが接触して止水性が損なわれる可能性も懸念される。
【0024】
そこで、本発明は、上記合成床版のように、底鋼板の上側にコンクリート層を一体に接合して構築される鋼コンクリート合成構造物における上記底鋼板上へのコンクリート打設作業時に、該底鋼板に設けてある確認孔を止水することができ、又、上記底鋼板上に打設されたコンクリートの充填状態を観察することができ、更に、上記打設されたコンクリートの硬化後は、上記底鋼板内への雨水の浸入を検出することができると共に、上記確認孔を必要に応じて開放することができて、該確認孔を水抜き穴として機能させることや、上記底鋼板上に接合されたコンクリートの層の底部の直接観察を該確認孔を通して可能にすることができるようにするための鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、底鋼板の上側にコンクリート層を一体に接合してなる鋼コンクリート合成構造物を構築するときに、上記底鋼板に設けてある確認孔に、上下方向の円筒状の胴部と該胴部の上端側を閉塞する天井壁部と上記胴部の下端部より外周に突出するフランジ部からなる透明樹脂製の止水栓を、上記天井壁部が上向きのドーム形状となるように弾性変形させた状態で上記確認孔に下方より挿入して装着し、次いで、上記確認孔に上記止水栓が装着された状態の上記底鋼板の上側に、コンクリートを打設して上記コンクリート層を形成させるようにする鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法とする。
【0026】
又、請求項2に対応して、底鋼板の上側にコンクリート層を一体に接合してなる鋼コンクリート合成構造物を構築するときに、上記底鋼板に設けてある確認孔に、上下方向の円筒状の胴部と該胴部の上端側を閉塞する天井壁部と上記胴部の下端部より外周に突出するフランジ部からなる透明樹脂製の止水栓を、上記天井壁部が上向きのドーム形状となるように弾性変形させた状態で上記確認孔に下方より挿入して装着し、次いで、上記確認孔に上記止水栓が装着された状態の上記底鋼板の上側に、コンクリートを打設し硬化させて上記コンクリート層を形成させ、しかる後、上記止水栓のフランジ部の周方向の一部を下方へ動かすことで、該止水栓を上記確認孔より脱離させるようにする鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法とする。
【0027】
更に、上記各構成において、止水栓として、平らな板状の天井壁部を備え、且つ該天井壁部の外径が、底鋼板に設けてある確認孔の内径よりも大きく、且つ該止水栓のフランジ部より上方に突出する胴部の上下長寸法が、上記底鋼板における確認孔を設けた部分の板厚寸法以下となる止水栓を用いるようにする。
【0028】
更に又、上記各構成において、確認孔に止水栓を下方より挿入して装着するときに、該止水栓の天井壁部の中央部を取付治具により押し上げるようにする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)底鋼板の上側にコンクリート層を一体に接合してなる鋼コンクリート合成構造物を構築するときに、上記底鋼板に設けてある確認孔に、上下方向の円筒状の胴部と該胴部の上端側を閉塞する天井壁部と上記胴部の下端部より外周に突出するフランジ部からなる透明樹脂製の止水栓を、上記天井壁部が上向きのドーム形状となるように弾性変形させた状態で上記確認孔に下方より挿入して装着し、次いで、上記確認孔に上記止水栓が装着された状態の上記底鋼板の上側に、コンクリートを打設して上記コンクリート層を形成させるようにしてあるので、底鋼板上にコンクリートを打設する際には、該コンクリートの重量が止水栓に作用しても、確認孔を止水することができる。
(2)又、上記止水栓は透明樹脂製としてあるため、底鋼板上へのコンクリートの打設時には、上記確認孔に装着した上記止水栓の天井壁部を通した視認により、底鋼板上に打設されたコンクリートの充填状態を確認することができる。
(3)更に、上記底鋼板と、打設されて硬化したコンクリートの層が一体化してなる鋼コンクリート合成構造物が構築された後は、上記確認孔に取り付けた上記止水栓の天井壁部を通した錆汁の有無の確認することで、上記底鋼板内への雨水の浸入とそれに伴う上記底鋼板や鋼製のジベル等の発錆の有無を速やかに検出することができる。
(4)止水栓は、弾性を有する透明樹脂製としてあるため、従来の樟脳製の止水栓のように割れる虞を防止でき、更に、胴部と天井壁部とフランジ部を上記透明樹脂によって一体成型できるため、安価なものとすることができて、本発明の鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法の実施に要するコストを抑えることができる。
(5)止水栓は、底鋼板の確認孔に装着した状態であっても、継時的な変化は殆ど生じないため、上記確認孔に対する止水栓の装着作業を、底鋼板上へのコンクリートの打設作業開始までの時間に制約を受けることなく実施することができる。
(6)上記(1)と同様にして、底鋼板の上側に、コンクリートを打設し、硬化させてコンクリート層を形成させた後、止水栓のフランジ部の周方向の一部を下方へ動かすことで、該止水栓を確認孔より脱離させるようにすることにより、確認孔を開放させることができて、確認孔を水抜き穴として機能させることができると共に、該確認孔からの水の排出の有無によって、上記底鋼板内への雨水の浸入の有無、すなわち、防水層やコンクリート層自体の損傷の有無を判断することができ、更に、該確認孔からの錆汁の漏出を監視することにより、鋼コンクリート合成構造物における上記底鋼板や鋼製のジベルについての発錆の検出を行うことが可能となる。
(7)更には、上記止水栓を撤去することによって開放された確認孔を通して、上記底鋼板上に設けられたコンクリート層の底面と、底鋼板との接合部分を直接観察することもできる。
(8)止水栓として、平らな板状の天井壁部を備え、且つ該天井壁部の外径が、底鋼板に設けてある確認孔の内径よりも大きく、且つ該止水栓のフランジ部より上方に突出する胴部の上下長寸法が、上記底鋼板における確認孔を設けた部分の板厚寸法以下となる止水栓を用いるようにすることにより、止水栓を確認孔に弾性変形させながら挿入することで、該確認孔に上記止水栓を装着することができ、更に、上記底鋼板の上側に打設したコンクリートについて、バイブレータを用いた締固めを行う際に、該コンクリートに挿入するバイブレータが、上記確認孔に装着してある止水栓に接触する虞を低減できて、止水栓による確認孔の止水性が損なわれる虞を回避することができる。
(9)確認孔に止水栓を下方より挿入して装着するときに、該止水栓の天井壁部の中央部を取付治具により押し上げるようにすることにより、確認孔に装着する際、止水栓の天井壁部を効率よく上向きのドーム形状とさせることができるため、該止水栓の確認孔に対する装着作業を容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法の実施の一形態として、合成床版に適用する場合を示すもので、(イ)は合成床版を構築するための底鋼板の確認孔の下方に止水栓を配置した状態を、(ロ)は底鋼板の確認孔に止水栓を下方より取り付けた状態を、(ハ)は底鋼板の上側にコンクリートを打設した状態を、(ニ)はコンクリートの硬化後に、止水栓を取り外す状態を、それぞれ示す概略切断側面図である。
【図2】図1の止水方法で用いる止水栓を拡大して示すもので、(イ)は斜視図、(ロ)は底鋼板の確認孔に取り付ける前の切断側面図である。
【図3】確認孔に止水栓が装着された状態で、底鋼板内に浸入した雨水によって発生した錆汁が確認孔に達した状態を示すもので、(イ)は概略切断側面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図である。
【図4】本発明の実施の他の形態として、底鋼板の確認孔に透明樹脂製の止水栓を取り付ける別の手法を示すもので、(イ)は底鋼板の確認孔の下方に、底鋼板の上方から確認孔に挿通させた取付治具の下部に保持させた止水栓を配置した状態を、(ロ)は取付治具を底鋼板の上側へ引き上げることで、取付治具の下端部で止水栓の中央部を上方へ押し上げて止水栓を確認孔に装着した状態をそれぞれ示す概略切断側面図である。
【図5】本発明の実施の更に他の形態として、底鋼板の確認孔に装着した止水栓の天井壁部の外周部と、確認孔の内周壁との間に透明なコーキング材を充填した状態示す概略切断側面図である。
【図6】本発明の実施の更に他の形態を示すもので、(イ)は止水栓を拡大して示す底面図、(ロ)は(イ)の止水栓を底鋼板の確認孔に装着した状態で、その舌片部に結んだ紐を底鋼板の上側に引きこんだ状態を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0032】
図1(イ)(ロ)(ハ)(ニ)乃至図3(イ)(ロ)は本発明の鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法の実施の一形態として、合成床版の確認孔の止水に適用する場合を示すもので、以下のようにしてある。
【0033】
ここで、先ず、本発明の鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法(以下、単に本発明の止水方法と云う)で用いる止水栓について説明する。
【0034】
上記止水栓は、図2(イ)(ロ)に符号1で示すように、上下方向に延びる円筒状の胴部2と、該胴部2の上端側を閉塞する平らな板状の天井壁部3と、上記胴部2の下端部より外周側へ突出するリング状のフランジ部4を、弾性変形可能な透明な樹脂により一体成型した構成としてある。なお、上記透明な樹脂は、平らな板状としてある上記天井壁部3の上面側に後述するコンクリート8や錆汁9(図3(イ)(ロ)参照)が接触しているか否かを、該天井壁部3の下面側より目視により判断可能となる程度の透明性を備えていればよい。
【0035】
更に、上記止水栓1は、図2(ロ)に示すように、上記胴部2の上端部の天井壁部3の外径寸法aを、止水対象となる鋼コンクリート合成構造物としての合成床版5を構築するための底鋼板6の所定個所に予め設けてある確認孔7の内径寸法bよりも大きくなるように設定してあり、且つ、上記フランジ部4より上方に突出する上記胴部2の上下長寸法cを、上記底鋼板6における上記確認孔7を設けた部分の板厚寸法d以下となるように設定してある。
【0036】
なお、上記止水栓1の天井壁部3の外径寸法aは、具体的には、たとえば、通常、塗装される上記底鋼板6における確認孔7の塗装後の内径寸法の実寸が25mm程度である場合は、それに比して直径で2mm程度大きくなるように設定するようにすればよい。
【0037】
又、上記止水栓1の胴部2の上下長寸法cは、底鋼板6の確認孔7に装着された該止水栓1と、底鋼板6上に打設されるコンクリート8の締固めを行うために該コンクリート8内に挿入される図示しないバイブレータとの接触を回避するという観点から考えると、後述するように上記底鋼板6の確認孔7に止水栓1を装着した状態のときに上向きに突出するドーム状となる天井壁部3の頂部が、確認孔7の上端となる底鋼板6の上面より上方へ突出しないように設定することが望ましい。
【0038】
以上の構成としてある止水栓1を用いて本発明の止水方法を実施する場合は、先ず、図1(イ)に示すように、工場、あるいは、合成床版5の架設現場における地上等、合成床版5を構築するための底鋼板6の下面側に作業者が接近可能な状態のときに、該底鋼板6に設けてある確認孔7の真下となる位置に、上記止水栓1を配置すると共に、該止水栓1の胴部2の軸心位置に沿って配置した上下方向に延びるロッド状の取付治具10の上端面を、上記止水栓1の天井壁部3の中央部に下面側より押し当てる。
【0039】
次に、上記取付治具10に上向きの力を作用させて、該取付治具10により上記止水栓1の天井壁部3を押し上げ、これにより、図1(ロ)に示すように、該天井壁部3を上向きに突出するドーム形状に弾性変形させるようにして該止水栓1の胴部2を縮径させながら、該胴部2を、上記底鋼板6の確認孔7に下方より挿入する。この確認孔7に対する止水栓1の胴部2の挿入は、該止水栓1のフランジ部4が上記底鋼板6の下面における上記確認孔7の周縁部に当たる位置まで行うようにする。これにより、上記弾性変形した止水栓1の復元力により、該止水栓1が上記底鋼板6の確認孔7の内側に装着されるようになる。
【0040】
次いで、上記確認孔7に上記止水栓1が装着された状態の底鋼板6の上側に、コンクリート8の打設を行うようにする。この際、上記確認孔7に装着してある上記止水栓1は透明な樹脂製としてあって、その天井壁部3の上面側にコンクリート8が密着しているか否かを該天井壁部3の下面側より目視によって判断可能としてあるため、該止水栓1の天井壁部3の上面側に気泡が存在していてコンクリート8が接触していない場合は、該コンクリート8の充填が十分になされていないと判断することができるようになる。よって、上記底鋼板6の上側にコンクリート8を打設する時点で、上記底鋼板6の確認孔7に装着した止水栓1の天井壁部3を下面側から目視することにより、上記コンクリート8の充填状態を確認することができるようになる。そのため、コンクリート8の充填状態が不足している場合は、適宜バイブレータ等を用いて締固めを行うことにより、上記止水栓1の天井壁部3の上面側にコンクリート8が接触(密着)するようになるまで上記コンクリート8の充填状態を改善させるようにすればよい。
【0041】
上記のようにして底鋼板6の上側に打設したコンクリート8が上記確認孔7に装着した止水栓1の天井壁部3の上面側に接触するようになると、該止水栓1の天井壁部3には、上記打設されたコンクリート8の重量が作用するようになるが、この際、上記確認孔7に止水栓1を取り付けたときに天井壁部3が上向きに突出するドーム形状となるようにしてあるため、図1(ハ)に矢印eで示すように、該天井壁部3に対して上方よりコンクリート8の重量が作用すると、その荷重は、図1(ハ)に矢印fで示すように、上記天井壁部3のドーム形状に沿って径方向外向きの力、すなわち、該天井壁部3の外周端面を確認孔7の内周面に押し付ける方向の力として作用するようになる。これにより、上記のように止水栓1に底鋼板6上に打設されたコンクリート8の重量が作用しても、該止水栓1が確認孔7より脱落する虞が防止されると共に、確認孔7の内周面と止水栓1との間の止水性がより高められるようになることから、該確認孔7を止水して、上記底鋼板6上に打設されたコンクリート8が確認孔7を通して漏れる虞を防止できる。
【0042】
その後は、上記底鋼板6上に打設されたコンクリート8を硬化させることにより、底鋼板6とコンクリート8の層を一体に接合してなる合成床版5を構築させる。
【0043】
上記のようにして合成床版5を構築した後、コンクリート8の層に設けてある防水層の損傷や、図3(イ)に示すように、上記コンクリート8の層自体のひび11等の損傷が生じると、底鋼板6内に雨水が浸入する。この底鋼板6に浸入した雨水によって上記底鋼板6や図示しない鋼製のジベルに錆(腐食)が生じ、この錆の発生に伴って生じる錆汁9が、上記底鋼板6とその上側のコンクリート8の層との間を通って上記確認孔7に達すると、該確認孔7に装着してある上記透明樹脂製の止水栓1では、図3(イ)に示すよう天井壁部3の上面側に接する錆汁9の色を、図3(ロ)に示すように、該天井壁部3の下面側から目視によって確認することができるようになる。
【0044】
よって、上記確認孔7に装着した上記止水栓1の天井壁部3を下方より監視することにより、上記底鋼板6内への雨水の浸入と、それに伴う上記底鋼板6や図示しない鋼製のジベルに錆が生じたことを速やかに検出することができるようになる。
【0045】
一方、上記確認孔7に装着されている上記止水栓1は、弾性変形可能な透明樹脂製としてあるため、図1(ニ)に二点鎖線で示すように、上記確認孔7に装着された止水栓1における底鋼板6の下面側に露出しているフランジ部4の周方向の1個所を下方へ引き下げるようにして、該止水栓1を周方向に不均等に歪ませるように弾性変形させることにより、図1(ニ)に実線で示すように、上記止水栓1を上記確認孔7より容易に取り外すことができる。
【0046】
これにより、上記確認孔7を開放させることができるため、該確認孔7を、水抜き穴として機能させることができると共に、該確認孔7を通して上記底鋼板6上に接合されたコンクリート8の層の底部の状態を直接観察することが可能になる。
【0047】
このように、本発明の止水方法によれば、上記止水栓1を、合成床版5の底鋼板6に設けてある確認孔7に、該止水栓1の天井壁部3がドーム形状となる状態で予め装着することにより、上記底鋼板6上にコンクリート8を打設する際には、該コンクリート8の重量が上記止水栓1に作用しても、上記確認孔7を止水することができる。
【0048】
又、上記止水栓1が透明樹脂製としてあるため、底鋼板6上へのコンクリート8の打設時には、上記確認孔7に装着した上記止水栓1の天井壁部3を通した視認により、底鋼板6上に打設されたコンクリート8の充填状態を確認することができる。
【0049】
更に、上記底鋼板6と打設されて硬化したコンクリート8の層が一体化してなる合成床版5が構築された後は、上記確認孔7に上記止水栓1を取り付けた状態であっても、上記底鋼板6内への雨水の浸入に伴って上記底鋼板6や図示しない鋼製のジベルに錆が生じたことを速やかに検出することができる。
【0050】
又、上記止水栓1は、上記確認孔7より取り外すことができるため、該確認孔7を、必要に応じて開放させることができて、確認孔7を従来と同様に水抜き穴として機能させたり、該確認孔7からの水の排出の有無によって、上記底鋼板内への雨水の浸入の有無、すなわち、上記防水層やコンクリート層自体の損傷の有無を判断したり、該確認孔7からの錆汁9(図3(イ)(ロ)参照)の漏出を監視することによって、上記合成床版5における上記底鋼板6や図示しない鋼製のジベルについての錆の発生の検出を行うことが可能となる。
【0051】
更には、上記止水栓1を撤去することにより開放された確認孔7を通して、上記底鋼板6上に設けられたコンクリート8の層の底面と、底鋼板6との接合部分を直接観察することもできる。
【0052】
上記止水栓1は、弾性を有する透明樹脂製としてあるため、特許文献1で提案されている従来の樟脳製の止水栓のように割れる虞はない。しかも、上記止水栓1は、胴部2と天井壁部3とフランジ部4を上記透明樹脂によって一体成型できるため、安価なものとすることができて、本発明の止水方法の実施に要するコストを抑えることが可能となる。
【0053】
更に、上記止水栓1は、上記底鋼板6の確認孔7に装着した状態であっても、継時的な変化は殆ど生じないため、上記底鋼板6を製造した工場や、合成床版5の架設現場等、コンクリート8の打設作業開始までの時間に制約を受けることなく、上記確認孔7に対する止水栓1の装着作業を実施することができる。
【0054】
上記実施の形態においては、底鋼板6の確認孔7に止水栓1を装着する手法として、該止水栓1の天井壁部3の中央部分を、底鋼板6の下側からロッド状の取付治具10により押し上げるようにするものとして説明したが、この底鋼板6の確認孔7に対する止水栓1の装着を、底鋼板6の上側から行うようにしてもよい。
【0055】
この場合は、図4(イ)(ロ)に示すように、止水栓1を、上記実施の形態における止水栓1と同様の構成において、天井壁部3における中心よりずれた位置に、治具挿通孔12を上下に貫通させて設けてなる構成とする。
【0056】
又、上記止水栓1に設けた治具挿通孔12に挿通させることが可能な上下方向のロッド部14の下端に、直角方向か又はやや斜め上向きに屈曲した方向に短く延びる押し上げ部15を設けてなる構成の取付治具13を予め用意しておく。
【0057】
上記構成としてある止水栓1と取付治具13を用いて該止水栓1の底鋼板6の確認孔7に対する装着を行う場合は、先ず、上記止水栓1の天井壁部3の治具挿通孔12に上記取付治具13の押し上げ部15を通すことにより、該取付治具13のロッド部14の下部に上記止水栓1を保持させる。
【0058】
次に、上記止水栓1を、取付治具13のロッド部14の下部に保持させたままの状態で、該止水栓1全体を丸めるように弾性変形させながら、上記底鋼板6の確認孔7に上面側より押し込んで、下面側へ押し出すようにする。
【0059】
上記のようにして止水栓1が確認孔7を通して底鋼板6の下面側に押し出されると、図4(イ)に示すように、上記取付治具13のロッド部14の下部に保持された止水栓1は、復元力によって初期形状に戻るようになることから、その後、上記取付治具13の押し上げ部15が上記止水栓1の天井壁部3のほぼ中央部分の下面側に配置されるように位置を調整する。
【0060】
次いで、図4(ロ)に示すように、上記取付治具13のロッド部14を、上記確認孔7を通して底鋼板6の上側へ引き上げることにより、該取付治具13の押し上げ部15によって上記止水栓1の天井壁部3の中央部分を、上向きに押し上げて、図1(ロ)に示したと同様に、該天井壁部3を上向きに突出するドーム形状に弾性変形させるようにして該止水栓1の胴部2を縮径させながら、該胴部2を、上記底鋼板6の確認孔7に下方より挿入させ、これにより、該底鋼板6の確認孔7の内側に、上記止水栓1を装着させることができるようになる。
【0061】
その後、上記取付治具13を、上記確認孔7に装着された止水栓1の天井壁部3の治具挿通孔12より上方へ抜き出してから、該治具挿通孔12を、透明なコーキング材(図示せず)を用いて封止するようにすればよい。
【0062】
上記のような手法で底鋼板6の確認孔7に止水栓1を装着する場合であっても、上記図1(イ)(ロ)(ハ)(ニ)乃至図3(イ)(ロ)に示した実施の形態と同様の効果を得ることができることに加えて、上記確認孔7に上記止水栓1を装着する際に底鋼板6の下面側からの作業を不要にできるため、該底鋼板6の下面側に作業者が接近することが困難な場合であっても、本発明の止水方法を実現することができる。
【0063】
更に、上記各実施の形態では、確認孔7に止水栓1を装着した状態での止水性は、該止水栓1の天井壁部3の外周端面と、確認孔7の内周壁との密着性によって担保されているが、より確実な止水性が必要とされている場合は、図5に示すように、上記確認孔7に止水栓1を装着した状態で、該止水栓1の天井壁部3の外周部と、確認孔7の内周壁との間に透明なコーキング材16を充填するようにしてもよい。
【0064】
図6(イ)(ロ)は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、止水栓1を、図2(イ)(ロ)に示したと同様の構成において、フランジ部4の周方向の1個所に、外周側へ突出する舌片部17を設けた構成としたものである。
【0065】
上記止水栓1におけるその他の構成は図2(イ)(ロ)に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0066】
かかる構成としてある止水栓1を用いるようにすれば、底鋼板6の確認孔7に該止水栓1が装着してある状態で、上記舌片部17を下方に動かすことで、上記止水栓1を上記確認孔7より容易に脱離させることができるようになる。
【0067】
したがって、たとえば、工場、あるいは、合成床版5の架設現場における地上等、底鋼板6の下面側に作業者が接近可能な状態のときに、図6(イ)(ロ)に示すように、上記底鋼板6の確認孔7に取り付けてある止水栓1の上記舌片部17に、予め紐18の一端部を結んでおき、該紐18の他端部を、上記底鋼板6の側方を通して該底鋼板6の上側へ予め引きこんで仮止めしておくことにより、その後、上記底鋼板6上にコンクリート8を打設して合成床版5を構築した後、上記予め底鋼板6上に引きこんであった紐18を引くことで、上記底鋼板6の確認孔7に装着してある止水栓1を、底鋼板6の下側に足場を設けることなく取り外すことが可能になる。よって、上記合成床版5が高所に設置された状態で、上記確認孔7より上記止水栓1を取り外す場合に有利な構成とすることができる。
【0068】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、底鋼板6の板厚寸法と確認孔7の内径寸法、底鋼板6上に打設するコンクリート8の層の厚み寸法は、図示するための便宜的なサイズであり、それぞれの実寸法を反映したものではない。同様に、止水栓1の胴部2及び天井壁部3の外径寸法や、胴部2の上下長寸法、フランジ部4の外径寸法、更には、透明樹脂製としてある止水栓1全体の肉厚の寸法は、図示するための便宜的なサイズであり、実寸法を反映したものではない。
【0069】
止水栓1として、胴部2の外周面に、確認孔7の内周壁との密着性を高めるための周方向に延びる段差を軸心方向の1個所又は複数個所に備えてなる形式のものを用いるようにしてもよい。
【0070】
本発明の止水方法は、底鋼板の上側にコンクリート層を一体に接合するようにしてある鋼コンクリート合成構造物における上記底鋼板に設けるようにしてある確認孔であれば、合成床版5以外のいかなる形式の鋼コンクリート合成構造物における確認孔の止水に適用してもよい。
【0071】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1 止水栓
2 胴部
3 天井壁部
4 フランジ部
5 合成床版(鋼コンクリート合成構造物)
6 底鋼板
7 確認孔
8 コンクリート
10 取付治具
13 取付治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底鋼板の上側にコンクリート層を一体に接合してなる鋼コンクリート合成構造物を構築するときに、上記底鋼板に設けてある確認孔に、上下方向の円筒状の胴部と該胴部の上端側を閉塞する天井壁部と上記胴部の下端部より外周に突出するフランジ部からなる透明樹脂製の止水栓を、上記天井壁部が上向きのドーム形状となるように弾性変形させた状態で上記確認孔に下方より挿入して装着し、次いで、上記確認孔に上記止水栓が装着された状態の上記底鋼板の上側に、コンクリートを打設して上記コンクリート層を形成させるようにすることを特徴とする鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法。
【請求項2】
底鋼板の上側にコンクリート層を一体に接合してなる鋼コンクリート合成構造物を構築するときに、上記底鋼板に設けてある確認孔に、上下方向の円筒状の胴部と該胴部の上端側を閉塞する天井壁部と上記胴部の下端部より外周に突出するフランジ部からなる透明樹脂製の止水栓を、上記天井壁部が上向きのドーム形状となるように弾性変形させた状態で上記確認孔に下方より挿入して装着し、次いで、上記確認孔に上記止水栓が装着された状態の上記底鋼板の上側に、コンクリートを打設し硬化させて上記コンクリート層を形成させ、しかる後、上記止水栓のフランジ部の周方向の一部を下方へ動かすことで、該止水栓を上記確認孔より脱離させるようにすることを特徴とする鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法。
【請求項3】
止水栓として、平らな板状の天井壁部を備え、且つ該天井壁部の外径が、底鋼板に設けてある確認孔の内径よりも大きく、且つ該止水栓のフランジ部より上方に突出する胴部の上下長寸法が、上記底鋼板における確認孔を設けた部分の板厚寸法以下となる止水栓を用いるようにする請求項1又は2記載の鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法。
【請求項4】
確認孔に止水栓を下方より挿入して装着するときに、該止水栓の天井壁部の中央部を取付治具により押し上げるようにする請求項1、2又は3記載の鋼コンクリート合成構造物の確認孔の止水方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−97414(P2012−97414A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243890(P2010−243890)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【Fターム(参考)】