説明

鋼帯通板コンベア及び鋼帯通板設備

【課題】従来の鋼帯通板コンベアは、グネットの磁力を利用して鋼帯をベルトに引き付けるので、非磁性の鋼帯をベルトに引き付けることができず、レイアウトの自由度が小さくなっている。
【解決手段】本発明による鋼帯通板コンベアは、コンベアベルト11の通板側ベルト110と帰路側ベルトとの間にバキューム吸引器2が配置されており、通板側ベルト110上の鋼帯に対して、貫通孔11aを通じてバキューム吸引器2の吸引力が作用される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼帯通板コンベア及び鋼帯通板設備に関し、特に、通板側ベルト上の鋼帯に対して、貫通孔を通じてバキューム吸引器の吸引力が作用されるように構成することで、非磁性の鋼帯であっても通板側ベルトに引き付けることができ、レイアウトの自由度を大きくすることができるようにするための新規な改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の鋼帯通板コンベアとしては、例えば特許文献1等に示されている構成が用いられている。すなわち、従来の鋼帯通板コンベアでは、マグネットの磁力を利用して鋼帯をベルトに引き付けるようにすることで、鋼帯を安定して案内できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−000322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の鋼帯通板コンベアでは、マグネットの磁力を利用して鋼帯をベルトに引き付けるので、非磁性の鋼帯をベルトに引き付けることができない。従って、従来の鋼帯通板コンベアでは、非磁性の薄く脆弱な鋼帯が反り返ってしまって鋼帯を案内できなくなることを防ぐために、コンベアの傾斜角度を小さくする必要がある。すなわち、従来の鋼帯通板コンベアでは、コンベアの傾斜角度の制限が大きく、レイアウトの自由度が小さくなっている。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、非磁性の鋼帯であっても通板側ベルトに引き付けることができ、レイアウトの自由度を大きくすることができる鋼帯通板コンベア及び鋼帯通板設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る鋼帯通板コンベアは、複数のコンベアロールと各コンベアロールに順に巻き掛けられた無端状のコンベアベルトとを含み、前記コンベアベルトが循環駆動されるコンベア本体と、前記コンベアベルトに設けられた通板側ベルト及び帰路側ベルトと、前記通板側ベルトと前記帰路側ベルトとの間に配置されるとともに、複数の吸引口が設けられたバキューム吸引器と、前記吸引口と対向するように前記コンベアベルトの延在方向に沿って互いに間隔を置いて前記コンベアベルトに設けられた複数の貫通孔とを備え、前記通板側ベルト上の鋼帯に対して、前記貫通孔を通じて前記バキューム吸引器の吸引力が作用される。
【0007】
また、前記コンベアロールには、前記コンベア本体の一端に配置された第1端部ロールと、前記第1端部ロールからの前記帰路側ベルトが巻き掛けられるとともに該帰路側ベルトに第1折返部を形成する第1折返ロールと、前記第1折返ロールからの前記帰路側ベルトが巻き掛けられるとともに該帰路側ベルトに第2折返部を形成する第2折返ロールと、前記コンベア本体の他端に配置され、前記第2折返ロールからの前記帰路側ベルトが巻き掛けられた第2端部ロールとが設けられており、前記バキューム吸引器には、前記コンベア本体の前記一端側に配置された第1吸引器と、前記第1吸引器と別体に設けられるとともに前記コンベア本体の前記他端側に配置された第2吸引器とが設けられており、前記第2折返ロール、前記第2端部ロール、及び前記第2吸引器は、前記コンベア本体の延在方向に沿って互いに一体に変位可能に設けられている。
また、前記第1及び第2吸引器の一方には、前記第2吸引器が前記第1吸引器に近づく方向に変位された際に、他方の少なくとも一部が進入される凹部が設けられている。
また、前記凹部は、前記コンベア本体の幅方向に沿う中央位置に配置されている。
また、前記第1及び第2吸引器の前記一方は、前記コンベア本体の幅方向に沿う中央位置に配置された第1吸引チャンバと、前記凹部を形成するように前記第1吸引チャンバよりも前記コンベア本体の延在方向に沿って突出されるとともに前記コンベア本体の幅方向に沿う前記第1吸引チャンバの両側に配置された第2及び第3吸引チャンバとを含み、前記第1吸引チャンバは、前記第2及び第3吸引チャンバから独立されている。
前記複数の吸引口及び前記複数の貫通孔のいずれか一方は、前記コンベアベルトが循環される際に前記コンベア本体の延在方向に沿って離間された少なくとも1つの前記複数の吸引口及び前記複数の貫通孔の他方と常に対向するように、前記延在方向に沿って延在された長穴とされている。
また、前記鋼帯を案内するための案内面を有し、前記案内面と前記通板側ベルトの上面との間の角度を調節できるように、前記鋼帯が導入される前記コンベア本体の入側端部に回動可能に取付けられた案内部材をさらに備えている。
また、前記コンベア本体の前記入側端部と前記案内部材との間には、前記入側端部を露出させるように前記案内部材が回動された際に前記鋼帯から前記入側端部を保護するガード部材が設けられている。
【0008】
また、本発明に係る鋼帯通板設備は、第1及び第2コイルからの鋼帯を案内する鋼帯通板設備であって、前記第1コイルから巻き戻される鋼帯を案内する第1コンベアと、前記第2コイルから巻き戻される鋼帯を案内する第2コンベアとを備え、前記第1及び第2コンベアは、鋼帯が流れる方向に沿って各コンベアを見たときに、前記第1コンベアの少なくとも1部が前記第2コンベアに重なるように配置されており、前記第1コンベアは、前記鋼帯通板コンベアであるとともに、水平に対する傾斜角度が前記第2コンベアの傾斜角度よりも大きくなるように配置されており、前記第1コイルが前記第2コイルと同じ高さに配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鋼帯通板コンベアによれば、通板側ベルト上の鋼帯に対して、貫通孔を通じてバキューム吸引器の吸引力が作用されるので、非磁性の鋼帯であっても通板側ベルトに引き付けることができる。これにより、非磁性の鋼帯を案内する可能性がある場合でもコンベアの傾斜角度を大きくでき、レイアウトの自由度を大きくすることができる。
【0010】
また、前記第2折返ロール、前記第2端部ロール、及び前記第2吸引器は、前記コンベア本体の延在方向に沿って互いに一体に変位可能に設けられているので、必要に応じて端部位置を変更でき、利便性を向上できる。
また、前記第1及び第2吸引器の一方には、前記第2吸引器が前記第1吸引器に近づく方向に変位された際に、他方の少なくとも一部が進入される凹部が設けられているので、バキューム吸引器の吸引作用がコンベア本体の延在方向に関して途切れることを防止でき、より安定して鋼帯を案内できる。
また、前記凹部は、前記コンベア本体の幅方向に沿う中央位置に配置されているので、コンベアの幅方向に関して吸引作用が偏ることを防止でき、より安定して鋼帯を案内できる。
また、前記第1吸引チャンバは、前記第2及び第3吸引チャンバから独立されているので、前記コンベア本体の幅方向に沿う中央位置での吸引力を高く維持でき、より安定して鋼帯を案内できる。
また、前記複数の吸引口及び前記複数の貫通孔のいずれか一方は、前記コンベアベルトが循環される際に前記コンベア本体の延在方向に沿って離間された少なくとも1つの前記複数の吸引口及び前記複数の貫通孔の他方と常に対向するように、前記延在方向に沿って延在された長穴とされているので、コンベアベルトが循環される際にバキューム吸引器の吸引力を鋼帯に連続して作用させることができ、鋼帯の案内の安定性をより高くすることができる。
また、前記鋼帯が導入される前記コンベア本体の入側端部に案内部材が回動可能に取付けられているので、鋼帯の曲がりに応じて案内部材を回動させることで、より安定して前記入側端部に鋼帯を導入でき、より安定して鋼帯を案内できる。
【0011】
また、本発明の鋼帯通板コンベアによれば、第1コンベアは、前記鋼帯通板コンベアとされており、水平に対する傾斜角度が前記第2コンベアの傾斜角度よりも大きくなるように配置されているので、第1及び第2コイル間の離間距離を広げずに第1コイルを第2コイルと同じ高さに配置でき、作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1による鋼帯通板コンベアを示す平面図である。
【図2】図1のコンベアロールとコンベアベルトを示す側面図である。
【図3】図1の線III−IIIに沿う断面図である。
【図4】図1の鋼帯通板コンベアを適用した鋼帯通板設備を示す構成図である。
【図5】図4の鋼帯通板設備との比較対象となる従来の鋼帯通板設備を示す構成図である。
【図6】本発明の実施の形態2による鋼帯通板コンベアの要部を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態3による鋼帯通板コンベアの要部を示す側面図である。
【図8】図7の案内部材の動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による鋼帯通板コンベアを示す平面図であり、図2は図1のコンベアロール10とコンベアベルト11を示す側面図であり、図3は図1の線III−IIIに沿う断面図である。図1において、鋼帯通板コンベアには、コンベア本体1と、コンベア本体1の内部に配置されたバキューム吸引器2とが設けられている。コンベア本体1には、複数のコンベアロール10、無端状のコンベアベルト11、回転駆動手段12が設けられている。
【0014】
図2に示すように、コンベアベルト11は、各コンベアロール10に順に巻き掛けられており、循環駆動されるものである。コンベアベルト11には、コンベアベルト11が循環駆動された際に鋼帯の通板に使用される通板側ベルト110と、循環帰路に位置する帰路側ベルト111とが設けられている。
【0015】
コンベアロール10には、第1端部ロール100、支持ロール101、第1折返ロール102、第2折返ロール103、及び第2端部ロール104が設けられている。第1端部ロール100は、コンベア本体1の一端1aに配置されている。支持ロール101は、第1端部ロール100の下方に配置されており、第1端部ロール100からの帰路側ベルト111が巻き掛けられている。第1折返ロール102は、支持ロール101からの帰路側ベルト111が巻き掛けられており、該帰路側ベルト111に第1折返部111aを形成している。第2折返ロール103は、第1折返ロール102からの帰路側ベルト111が巻き掛けられており、該帰路側ベルト111に第2折返部111bを形成している。第2端部ロール104は、コンベア本体1の他端1bに配置されており、第2折返ロール103からの帰路側ベルト111が巻き掛けられている。
【0016】
図1及び図2に示すように、第1端部ロール100には、回転駆動手段12が接続されている。回転駆動手段12は、例えば減速機付モータ等から構成され、第1端部ロール100を回転駆動することでコンベアベルト11を循環駆動させる。すなわち、コンベア本体1による鋼帯の案内は、回転駆動手段12の駆動力によって行われる。
【0017】
図1及び図3に示すように、通板側ベルト110と帰路側ベルト111との間には、バキューム吸引器2が配置されている。図1に示すように、バキューム吸引器2には、コンベア本体1の一端1a側に配置された第1吸引器21と、コンベア本体1の他端1b側に配置された第2吸引器22とが設けられている。第1及び第2吸引器21,22は、互いに別体に設けられている。後に詳しく説明するが、第2吸引器22は、コンベア本体1の延在方向1cに沿って、第1吸引器21に近づく方向及び第1吸引器21から遠ざかる方向に変位可能に設けられている。
【0018】
第1及び第2吸引器21,22の上面、すなわち通板側ベルト110の下面に接する側の面には、複数の吸引口2aが設けられている。第1及び第2吸引器21,22は、吸引口2aから外気を吸い込むことで吸引力を発生させるものである。コンベアベルト11には、吸引口2aに対応して複数の貫通孔11aが設けられている。通板側ベルト110上に鋼帯が位置している場合、バキューム吸引器2の吸引力は、貫通孔11aを通じて鋼帯に作用される。従って、鋼帯が非磁性であっても、該鋼帯を通板側ベルト110に引き付けることができる。これにより、非磁性の鋼帯を案内する可能性がある場合でもコンベアの傾斜角度を大きくできる。
【0019】
吸引口2aは、コンベアベルト11が循環される際にコンベア本体1の延在方向1c(鋼帯の通板方向)に沿って離間された少なくとも1つの貫通孔11aと常に対向するように、延在方向1cに沿って延在された長穴とされている。換言すると、延在方向1cに沿って離間された複数の貫通孔11aは、1つの吸引口2aに同時に対向されている。仮に、吸引口2aを長穴とせず、吸引口2a及び貫通孔11aを同じ大きさかつ同じピッチで設けた場合には、コンベアベルト11が循環される際にいずれの吸引口2aも貫通孔11aと対向しないタイミングが生じる。この場合、バキューム吸引器2の吸引力が断続的に鋼帯に作用することになる。これに対して、吸引口2aを長穴とした場合、コンベアベルト11が循環される際にバキューム吸引器2の吸引力を鋼帯に連続して作用させることができ、鋼帯の案内の安定性をより高くすることができる。なお、吸引口2aではなく貫通孔11aを長穴としてもよい。
【0020】
図1及び図3に示すように、第2吸引器22の両側には、連結部材3が取付けられている。第2折返ロール103及び第2端部ロール104は、連結部材3に軸支されている。すなわち、第2吸引器22は、連結部材3によって、第2折返ロール103及び第2端部ロール104に連結されている。
【0021】
連結部材3の側方には、コンベア本体1の延在方向1cに沿って延在された断面C字状のガイドレール4が配置されている。連結部材3の側部には、複数のガイドホイール5が取付けられている。ガイドホイール5は、ガイドレール4の内側に設けられたガイド溝4a(図3参照)内に転動可能に配置されている。すなわち、第2吸引器22、第2折返ロール103、及び第2端部ロール104は、コンベア本体1の延在方向1cに沿って、互いに一体に変位可能に構成されている。連結部材3には、例えば油圧シリンダ等の直動駆動手段6(図1参照)が接続されている。第2吸引器22、第2折返ロール103、及び第2端部ロール104は、直動駆動手段6の駆動力により変位される。なお、図1及び図3では、第2吸引器22等の変位の案内にガイドホイール5を用いる形態を示しているが、例えばブッシュ式ガイドや、ベアリングを用いたリニアガイド等の他の手段によって変位を案内してもよい。
【0022】
図2に示すように、第2折返ロール103及び第2端部ロール104が一体に変位されると、コンベアベルト11に弛みが生じることなく、コンベア本体1の他端1bの位置が変位される。これにより、他端1b側に配置される鋼帯のコイルの外径に応じて、コンベア本体1の他端1bの位置を適宜変更できる。
【0023】
ここで、図1に示すように、第2吸引器22は、コンベア本体1の幅方向1dに沿う中央位置に凹部22aが設けられた凹字形状とされている。第1吸引器21は、第2吸引器22が第1吸引器21に近づく方向に変位された際に、全体が凹部22aに進入可能な長方形とされている。第1及び第2吸引器21,22がこのように形成されることで、第2吸引器22が第1吸引器21から離れる方向に変位される際にも、コンベア本体1の延在方向1cに関してバキューム吸引器2の吸引作用が途切れることを防止でき、より安定して鋼帯を案内できる。また、コンベア本体1の幅方向1dに沿う中央位置に凹部22aが設けられることで、コンベアの幅方向1dに関して吸引作用が偏ることを防止でき、より安定して鋼帯を案内できる。
【0024】
次に、図4は、図1の鋼帯通板コンベアを適用した鋼帯通板設備を示す構成図である。図において、プロセスラインの入側に配置された鋼帯通板設備には、第1コンベア31と第2コンベア32とが設けられている。第1コンベア31は、第1コイル33から巻き戻される鋼帯33aを案内するものであり、第2コンベア32は、第2コイル34から巻き戻される鋼帯34aを案内するものである。第1及び第2コンベア31,32は、鋼帯33a,34aが流れる方向38(ライン方向)に沿って各コンベア31,32を見たときに、第1コンベア31の少なくとも1部が第2コンベア32に重なるように配置されている。換言すると、第1及び第2コンベア31,32は、コイル33側から各コンベア31,32を見たときに、第1コンベア31の少なくとも1部が第2コンベア32に重なるように配置されている。
【0025】
第1コンベア31としては、図1に示される鋼帯通板コンベアが使用されており、第1コンベア31は、水平に対する傾斜角度σ1が第2コンベア32の傾斜角度σ2よりも大きくなるように配置されている。傾斜角度σ1を大きくできるのは、第1コンベア31の構成が、バキューム吸引器2を使用した構成であり、鋼帯が磁性体であるか否かに拘わらず鋼帯を引き付けることができる構成だからである。第2コンベア32としては、バキューム吸引器2を含まない通常のコンベアが使用されるか、第1コンベア31と同様に図1の鋼帯通板コンベアが使用される。
【0026】
次に、傾斜角度σ1が傾斜角度σ2よりも大きくされていることの作用について説明する。図5は、図4の鋼帯通板設備との比較対象となる従来の鋼帯通板設備を示す構成図である。一般に、第1及び第2コイル33,34の離間距離35は狭いほど好ましい。これは、離間距離35が狭いほど、鋼帯通板設備の占有面積を小さくできるためである。一方、コンベア36として通常のコンベアを使用した場合、コンベア36の傾斜角度には制限がある。このため従来の鋼帯通板設備では、図5に示すように、第1コイル33を第2コイル34よりも高い位置に配置することで、離間距離35を狭くしている。
【0027】
しかし、第1コイル33の位置を第2コイル34の位置よりも高くすると、第1及び第2コイル33,34間にギャップ37が生じ、例えば各コイル33,34をペイオフリールに装着する際に第1コイル33をより高く持ち上げる必要がある等、作業効率が悪くなってしまう。そこで、図4の鋼帯通板設備では、第1コンベア31の傾斜角度σ1を第2コンベア32の傾斜角度σ2よりも大きくすることで、離間距離35を広げることなく、第1及び第2コイル33,34間のギャップ37を無くすことができるようにしている。すなわち、図4のように鋼帯通板設備を構成することで、第1及び第2コイル33,34(第1及び第2コイル33,34のペイオフリール)を同じ高さに配置でき、作業効率を向上できる。
【0028】
なお、実施の形態1では、第2吸引器22が凹字形状にされて、第2吸引器22の凹部22aに第1吸引器21が進入されると説明したが、第1吸引器が凹字形状とされて、第1吸引器の凹部に第2吸引器が進入されてもよい。
【0029】
また、実施の形態1では、第2吸引器22が凹字形状とされ、第1吸引器21が長方形に形成されると説明したが、これら第1及び第2吸引器の形状は任意である。例えば、第2吸引器がL字形状とされてもよい。
【0030】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2による鋼帯通板コンベアの要部を示す平面図である。この実施の形態2の第2吸引器22には、第1〜第3吸引チャンバ221〜223が設けられている。第1吸引チャンバ221は、コンベア本体1の幅方向1dに沿う中央位置に配置されている。第2及び第3吸引チャンバ222,223は、凹部22aを形成するように第1吸引チャンバ221よりもコンベア本体1の延在方向1cに沿って突出されるとともにコンベア本体1の幅方向1dに沿う第1吸引チャンバ221の両側に配置されている。
【0031】
第3吸引チャンバ223の側部には、第1及び第2排気ダクト225,226が配置されている。第1吸引チャンバ221は、第1排気ダクト225に接続されている。第2及び第3吸引チャンバ222,223は、連通通路227によって互いに連通されるとともに、第2排気ダクト226に接続されている。図示はしないが、第1及び第2排気ダクト225,226は、互いに異なった排気ポンプに接続されている。すなわち、第1吸引チャンバ221は、第2及び第3吸引チャンバ222,223から独立されている。これにより、第1〜第3吸引チャンバ221〜223が一体とされている場合に比べて、第1吸引チャンバ221の体積を小さくでき、コンベア本体1の幅方向1dに沿う中央位置での吸引力を高く維持でき、より安定して鋼帯を案内できる。
【0032】
実施の形態3.
図7は本発明の実施の形態3による鋼帯通板コンベアの要部を示す側面図であり、図8は図7の案内部材の動作を説明するための説明図である。図7に示すように、この実施の形態3の鋼帯通板コンベアでは、鋼帯33aが導入されるコンベア本体1の入側端部(他端1b)に案内部材40が回動可能に取付けられている。具体的には図示しないが、案内部材40は、例えば連結部材3(図1参照)の端部等に回動可能に取付けられている。案内部材40の上面は、コイル33から送り出された鋼帯33aを案内するための案内面41とされており、案内部材40の下面は、案内面41がコイル33の外周位置に配置された際にコイル33と接触しないように傾斜された傾斜面42とされている。
【0033】
図8に示すように、案内部材40には例えば油圧式プランジャ等のアクチュエータ45が接続されており、アクチュエータ45の駆動力によって、案内面41と通板側ベルトの上面110aとの間の角度θが調節されるように案内部材40が回動される。案内部材40の回動は、例えばコイル33の外周位置とコンベア本体1の入側端部との位置関係等に応じて適宜行われる。ここで図8に示すように、鋼帯33aの終端36は、ペイオフリールに大きな曲率で巻き付けられていた部位であり、大きく曲がっていることが多い。このため、鋼帯33aの終端36がペイオフリールから送り出される際には、終端36が案内部材40の先端部分40aに衝突することを回避するように、案内部材40が回動される。これにより、鋼帯33aの終端36に傷が生じることを回避できるとともに、案内部材40の先端部分40aが破損することを回避できる。
【0034】
ここで、図8に示すように、終端36の先端部分40aへの衝突を回避するように案内部材40が回動されると、コンベア本体1の入側端部1bが終端36に対して露出されることになり、終端36が入側端部1bに接触する可能性がある。このため、この実施の形態の鋼帯通板コンベアでは、コンベア本体1の入側端部1bと案内部材40との間に断面円弧状のガード部材50が設けられており、入側端部1bを露出させるように案内部材40が回動された際にガード部材50によって鋼帯33aから入側端部1bを保護できるように構成している。これにより、案内部材40が回動された場合でも入側端部1bを鋼帯33aから保護でき、鋼帯33aによってコンベアベルト11が損傷することを回避できる。
【符号の説明】
【0035】
1 コンベア本体
2 バキューム吸引器
3 連結部材
10 コンベアロール
11 コンベアベルト
11a 貫通孔
21,22 第1及び第2吸引器
22a 凹部
31,32 第1及び第2コンベア
33,34 第1及び第2コイル
33a,34a 鋼帯
40 案内部材
50 ガード部材
100 第1端部ロール
101 支持ロール
102 第1折返ロール
103 第2折返ロール
104 第2端部ロール
110 通板側ベルト
111 帰路側ベルト
111a 第1折返部
111b 第2折返部
221〜223 第1〜第3吸引チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンベアロール(10)と各コンベアロール(10)に順に巻き掛けられた無端状のコンベアベルト(11)とを含み、前記コンベアベルト(11)が循環駆動されるコンベア本体(1)と、
前記コンベアベルト(11)に設けられた通板側ベルト(110)及び帰路側ベルト(111)と、
前記通板側ベルト(110)と前記帰路側ベルト(111)との間に配置されるとともに、複数の吸引口(2a)が設けられたバキューム吸引器(2)と、
前記吸引口(2a)と対向するように前記コンベアベルト(11)に設けられた複数の貫通孔(11a)と
を備え、
前記通板側ベルト(110)上の鋼帯に対して、前記貫通孔(11a)を通じて前記バキューム吸引器(2)の吸引力が作用されることを特徴とする鋼帯通板コンベア。
【請求項2】
前記コンベアロール(10)には、
前記コンベア本体(1)の一端(1a)に配置された第1端部ロール(100)と、
前記第1端部ロール(100)からの前記帰路側ベルト(111)が巻き掛けられた支持ロール(101)と、
前記支持ロール(101)からの前記帰路側ベルト(111)が巻き掛けられるとともに該帰路側ベルト(111)に第1折返部(111a)を形成する第1折返ロール(102)と、
前記第1折返ロール(102)からの前記帰路側ベルト(111)が巻き掛けられるとともに該帰路側ベルト(111)に第2折返部(111b)を形成する第2折返ロール(103)と、
前記コンベア本体(1)の他端(1b)に配置され、前記第2折返ロール(103)からの前記帰路側ベルト(111)が巻き掛けられた第2端部ロール(104)と
が設けられており、
前記バキューム吸引器(2)には、
前記コンベア本体(1)の前記一端(1a)側に配置された第1吸引器(21)と、
前記第1吸引器(21)と別体に設けられるとともに前記コンベア本体(1)の前記他端(1b)側に配置された第2吸引器(22)と
が設けられており、
前記第2折返ロール(103)、前記第2端部ロール(104)、及び前記第2吸引器(22)は、前記コンベア本体(1)の延在方向(1c)に沿って互いに一体に変位可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の鋼帯通板コンベア。
【請求項3】
前記第1及び第2吸引器(21,22)の一方には、前記第2吸引器(22)が前記第1吸引器(21)に近づく方向に変位された際に、他方の少なくとも一部が進入される凹部(22a)が設けられていることを特徴とする請求項2記載の鋼帯通板コンベア。
【請求項4】
前記凹部(22a)は、前記コンベア本体(1)の幅方向(1d)に沿う中央位置に配置されていることを特徴とする請求項3記載の鋼帯通板コンベア。
【請求項5】
前記第1及び第2吸引器(21,22)の前記一方は、前記コンベア本体(1)の幅方向(1d)に沿う中央位置に配置された第1吸引チャンバ(221)と、前記凹部(22a)を形成するように前記第1吸引チャンバ(221)よりも前記コンベア本体(1)の延在方向(1c)に沿って突出されるとともに前記コンベア本体(1)の幅方向(1d)に沿う前記第1吸引チャンバ(221)の両側に配置された第2及び第3吸引チャンバ(222,223)とを含み、
前記第1吸引チャンバ(221)は、前記第2及び第3吸引チャンバ(222,223)から独立されていることを特徴とする請求項4に記載の鋼帯通板コンベア。
【請求項6】
前記複数の吸引口(2a)及び前記複数の貫通孔(11a)のいずれか一方は、前記コンベアベルト(11)が循環される際に前記コンベア本体(1)の延在方向(1c)に沿って離間された少なくとも1つの前記複数の吸引口(2a)及び前記複数の貫通孔(11a)の他方と常に対向するように、前記延在方向(1c)に沿って延在された長穴とされていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の鋼帯通板コンベア。
【請求項7】
前記鋼帯(33a)を案内するための案内面(41)を有し、前記案内面(41)と前記通板側ベルト(110)の上面(110a)との間の角度(θ)を調節できるように、前記鋼帯(33)が導入される前記コンベア本体(1)の入側端部(1b)に回動可能に取付けられた案内部材(40)をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の鋼帯通板コンベア。
【請求項8】
前記コンベア本体(1)の前記入側端部(1b)と前記案内部材(40)との間には、前記入側端部(1b)を露出させるように前記案内部材(40)が回動された際に前記鋼帯(33a)から前記入側端部(1b)を保護するガード部材(50)が設けられていることを特徴とする請求項7記載の鋼帯通板コンベア。
【請求項9】
第1及び第2コイル(33,34)からの鋼帯(33a,34a)を案内する鋼帯通板設備であって、
前記第1コイル(33)から巻き戻される鋼帯(33a)を案内する第1コンベア(31)と、
前記第2コイル(34)から巻き戻される鋼帯(34a)を案内する第2コンベア(32)と
を備え、
前記第1及び第2コンベア(31,32)は、前記鋼帯(33a,34a)が流れる方向に沿って各コンベア(31,32)を見たときに、前記第1コンベア(31)の少なくとも1部が前記第2コンベア(32)に重なるように配置されており、
前記第1コンベア(31)は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の鋼帯通板コンベアであるとともに、水平に対する傾斜角度(σ1)が前記第2コンベア(32)の傾斜角度(σ2)よりも大きくなるように配置され、前記第1コイル(33)が前記第2コイル(34)と同じ高さに配置されることを特徴とする鋼帯通板設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−46455(P2011−46455A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194533(P2009−194533)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(591223149)日新工機株式会社 (26)
【Fターム(参考)】