説明

鋼板を備えた継目構造

【課題】繰り返し載荷に対する耐久性に優れた鋼板を備えた継目構造を提供する。
【解決手段】目地23を挟んで対向する延長床版21と橋梁床版22とを接続する床版2の継目部20である。
そして、延長床版21と橋梁床版22間に架け渡される鋼板3と、鋼板3の少なくとも両端部をコンクリート部材にそれぞれ定着させる定着プレート31,31と、目地23の両側において鋼板3の下面に当接させる接触面321が形成された延長床版21と橋梁床版22の角部にそれぞれ設けられる保護アングル32,32とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート床版などの継目を設けるコンクリート構造物の鋼板を備えた継目構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋梁には、温度変化などによる橋軸方向の伸縮を吸収させるために橋台付近に伸縮装置が設けられるが、この伸縮装置を車両が通過する際に振動や騒音が発生する。このため、従来、橋梁の床版を陸上まで延長した延長床版を設け、その騒音や振動を土工部に吸収させて低減させる構造が知られている(特許文献1,2など参照)。
【0003】
一方、このように設けられた延長床版には、通過する車両などの活荷重によってたわみが生じることになるので、そのたわみによって発生する曲げ応力に剛結構造で抵抗させるには、延長床版と橋梁床版との継目部の鉄筋量や床版の厚みを増加させる必要がある。
【0004】
他方、特許文献1,2では、延長床版と橋梁床版との継目部をメナーゼヒンジ構造として、回転を許容した柔構造とすることで、鉄筋量や床版厚さの増加を抑えている。
【特許文献1】特開2006−307473号公報
【特許文献2】特開2006−307474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した従来のメナーゼヒンジ構造では、継手材となる鉄筋がコンクリートに拘束されることなく自由に伸縮できる長さが短いため、車両による活荷重又は温度応力が繰り返し載荷されると、継目部周辺に繰り返し塑性変形が発生することになり、疲労による耐久性の低下が懸念される。
【0006】
他方、継目部の継手鉄筋の露出量を増加させて自由長を長くすることで弾性変形が可能となるようにすることも考えられるが、目地間隔が広くなるとその上に設けられる舗装部も分断され、道路としての連続性が失われてしまうので目地間隔の広さには限界がある。
【0007】
そこで、本発明は、繰り返し載荷に対する耐久性に優れた鋼板を備えた継目構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の鋼板を備えた継目構造は、目地を挟んで対向するコンクリート部材を接続するコンクリート構造物の継目構造であって、前記対向するコンクリート部材間に架け渡される鋼板と、前記鋼板の少なくとも両端部を前記コンクリート部材にそれぞれ定着させる定着部と、前記目地の両側において前記鋼板の下面に当接させる接触面が形成された前記対向するコンクリート部材の角部にそれぞれ設けられる保護部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前記定着部は、複数の孔が形成された板状の孔あき板部と、その孔あき板部に略直交する取付け部とを有し、前記鋼板と前記取付け部とが高力ボルト又は溶接によって接合されるものであってもよい。
【0010】
さらに、前記定着部は、双方の前記コンクリート部材にそれぞれ埋設されるスタッドジベルで形成することもできる。
【0011】
また、前記鋼板と前記保護部とは、高力ボルトによって接合することができる。さらに、前記保護部は、双方の前記コンクリート部材にそれぞれ埋設される高力ボルト又はスタッドジベルで固定されるものであってもよい。
【0012】
また、前記コンクリート部材は板状であってもよい。さらに、前記鋼板の上方に、双方の前記コンクリート部材に跨る一体の上層部を形成することができる。また、前記コンクリート構造物は、橋梁の床版であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された本発明の鋼板を備えた継目構造では、目地を挟んで対向するコンクリート部材に両端部が定着される鋼板の下面は、目地の両側においてコンクリート部材の角部に設けられた保護部に当接されている。
【0014】
このため、目地周辺で回転変形又はずれ変形が生じて対向するコンクリート部材間に相対変位が発生しても、鋼板は目地上で弾性変形できるうえに、コンクリート部材の角部も保護部によって保護されているので、繰り返しの載荷に対して弾性変形によって耐えることができる。
【0015】
また、鋼板の両端部は、双方のコンクリート部材に定着部を介してそれぞれ定着されているので、2つの部材を連結することができる。
【0016】
さらに、孔あき板部を有する定着部であれば、孔の数や大きさ又は孔あき板部の鋼板に対する取り付け間隔を変更することによって、2つの部材に架け渡す鋼板のコンクリート部材に対する定着強度を容易に調整することができる。
【0017】
また、定着部をスタッドジベルで形成する場合は、簡単な構成で定着部を構成することができる。
【0018】
さらに、鋼板と保護部とを高力ボルトで接合すれば、溶接をおこなわなくてもよいので、鋼板の溶接による疲労強度の低下が発生せず、繰り返し荷重が載荷される箇所にも適している。
【0019】
また、保護部を高力ボルト又はスタッドジベルでコンクリート部材に固定するのであれば、容易にコンクリート部材の角部に保護部を設けることができる。
【0020】
さらに、コンクリート部材が温度応力の影響を受けやすく目地を設ける必要性の高い板状の部材であれば、このような継目構造を設けて繰り返し載荷に対する耐久性に優れた構造物にすることができる。
【0021】
また、目地に対して鋼板を架け渡す継目構造であれば、目地間隔を広くしても双方のコンクリート部材に跨る一体の上層部を鋼板の上方に設けて、連続性のある道路などを構築することができる。
【0022】
また、このような鋼板を備えた継目構造を、橋梁の床版と陸上側の土工部に設けられる延長床版との継目構造に適用すれば、回転変形やずれ変形が可能な継目構造が形成されて、車両などの活荷重の繰り返し載荷に対しても長期間使用可能な耐久性に優れた橋梁を構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
まず、図2を参照しながら、本実施の形態のコンクリート構造物としての床版2の継目構造が構築される橋梁1の構成について説明する。
【0025】
この図2は、橋梁1が架け渡される一方側の橋台15付近の構成を示したもので、橋台15の上面には橋梁1の桁部14の端部が支承部142を介して載置される。この支承部142には、例えば金属製の支承材が使用できる。また、この桁部14の上には、鉄筋コンクリートなどのコンクリート部材としての橋梁床版22が設けられる。
【0026】
また、桁部14の端部には、桁部14に直交する方向に横桁141が延設され、その上面に橋梁床版22の端部が載置される。そして、この橋梁床版22の端部に対向するコンクリート部材として延長床版21が設けられる。この延長床版21と橋梁床版22とを突き合わせた部分が、床版2の継目構造としての継目部20となる。
【0027】
この延長床版21は、橋梁1の陸上側の基礎地盤となる土工部19の上に底版16を設けて、その上に載置される。この底版16は、断面視L字形の板状構造物で、一方の端縁が橋台15の背面側に設けられた突起部15a上に載置されるとともに、他方の端縁に設けられた突条の上には道路部18の端部が支持される。
【0028】
そして、この道路部18と橋梁床版22との間の底版16上に、例えばゴム支承(図示省略)を介して延長床版21が載置される。この延長床版21と道路部18の端部間には伸縮継手17が設けられ、延長床版21及び橋梁床版22からなる床版2が温度変化によって伸縮した場合は、この伸縮継手17によって変位が吸収されて、床版2に過大な温度応力が作用しないようになっている。また、この床版2上は、上層部としての舗装部11で覆われている。
【0029】
続いて、この延長床版21と橋梁床版22とを対向させて、鋼板3が配置される床版2の継目部20の詳細について、図1を参照しながら説明する。
【0030】
この床版2の継目部20は、目地23を挟んで対向する延長床版21と橋梁床版22とを接続する部分に設けられる。
【0031】
この目地23は、例えば200mm程度の間隔で、この目地23によって延長床版21と橋梁床版22とのコンクリート部材同士の応力の伝達は遮断される。
【0032】
また、延長床版21の一方の端部は、ゴム支承部12を介して桁部14上面に載置されており、図2に示すように桁部14が撓んで傾いても、ゴム支承部12が変形してその傾きの延長床版21への伝達が低減されるので、継目部20がヒンジ構造のように回転変形することができる。
【0033】
そして、この延長床版21の上面と橋梁床版22の上面との間に鋼板3が架け渡される。この鋼板3の床版2延伸方向の長さは、例えば200mmの目地23の両側の床版21,22が、それぞれ目地間隔の約2倍の長さで覆われるように、1000〜1200mm程度に形成される。
【0034】
この鋼板3の両端部には、定着部としての定着プレート31,31がそれぞれ取り付けられる。この定着プレート31は、図4に示すように断面L字形の鋼材などから形成される部材で、それぞれの床版21,22の内部に埋設される孔あき板部としての孔あきジベル311と、それに略直交して鋼板3の下面に当接させる取付け部312とを有している。
【0035】
また、この孔あきジベル311は、図1に示すように複数の孔311a,・・・が形成されて、主にその孔311a,・・・に入り込むコンクリートのせん断抵抗や付着力によって床版21,22に定着される。
【0036】
ここでは、孔311a,・・・が2段にして6個形成された定着プレート31を配置しているが、これに限定されるものではなく、継手部20に作用する曲げモーメント、引張力及びせん断力などによって定着プレート31が引き抜けることのないように設定される。
【0037】
さらに、この定着プレート31は、取付け部312と鋼板3とが複数の高力ボルト33,・・・によって接合されている(図1,3,4参照)。また、定着プレート31は、図3に示すように、床版2の幅方向に間隔を置いて複数、設置されている。
【0038】
また、図1に示すように、目地23の両側において、延長床版21の上部角部と橋梁床版22の上部角部には、断面視L字形の保護アングル32,32が保護部としてそれぞれ設けられている。
【0039】
この保護アングル32,32は、図3に示すように、延長床版21と橋梁床版22の端縁に沿って連続して設けられており、目地23を挟んだそれぞれの床版21,22の角部が保護されることになる。
【0040】
また、保護アングル32は、図1に示すように、鋼板3の下面に当接させる接触面321と、それに略直交して目地23側に向いた床版21,22の側面を保護する垂下面322とを有し、例えば山形鋼材などで形成される。
【0041】
そして、接触面321と鋼板3とは、図1,3に示すように、高力ボルト33によって接合されている。また、保護アングル32の垂下面322は、高力ボルト33によって床版21,22に固定されている。
【0042】
また、この延長床版21、目地23及び橋梁床版22の上方には、延長床版21及び橋梁床版22に跨る一体の上層部としての舗装部11が形成される。この舗装部11は、目地23において鋼板3に下から支持されるので、目地間隔が広くなっても継目部20に一体の舗装部11を構築することができる。
【0043】
なお、図1−4においては、床版2を鉄筋コンクリートで構築する際の鉄筋については、図示を省略している。
【0044】
次に、本実施の形態の鋼板3を備えた継目部20の作用について説明する。
【0045】
このように構成された本実施の形態の床版2の継目部20では、目地23を挟んで対向する延長床版21と橋梁床版22とに両端部が定着される鋼板3の下面は、延長床版21と橋梁床版22のそれぞれの角部に設けられた保護アングル32,32に当接されている。
【0046】
そして、このように構成された床版2の継目部20を備えた橋梁1を、図2に示すように車両4が走行すると、橋梁1の桁部14が撓んで延長床版21と橋梁床版22との間に回転角θの回転変形が生じる。
【0047】
この図2に示すように、桁部14が撓んで傾くと、橋梁床版22もそれに伴って傾き、継目部20に回転変形が発生する。この際、鋼板3は、定着プレート31,31によって延長床版21及び橋梁床版22とに埋設されて拘束されているので、延長床版21及び橋梁床版22に対する相対的な位置が変化することはなく、一体の構造物として同様に変形する。
【0048】
これに対して、目地23上方の鋼板3の部分は、コンクリートに付着されておらず、コンクリートに拘束されることなく自由に伸縮したり撓んだりすることができる。
【0049】
そして、継目部20に回転変形が発生すると、目地23上方の鋼板3が伸びたり撓んだりして、弾性範囲内で自由に変形することができる。また、このような鋼板3の変形が生じても、延長床版21と橋梁床版22の角部に設けられた保護アングル32,32に鋼板3が接触するだけなので、延長床版21及び橋梁床版22が損傷することがない。このため、継目部20で回転が発生するような載荷やせん断変形が繰り返されても、鋼板3の弾性変形によって耐えることができる。
【0050】
また、鋼板3の両端部は、延長床版21と橋梁床版22とにそれぞれ定着されているので、この鋼板3によって2つの床版21,22を確実に連結することができる。
【0051】
さらに、鋼板3と保護アングル32とを高力ボルト33で接合すれば、溶接をおこなわなくてもよいので、溶接によって鋼板3や保護アングル32の疲労強度が低下してしまうようなことがなく、繰り返しの荷重載荷に対しても高い耐久性を確保することができる。
【0052】
また、孔あきジベル311を有する定着プレート31であれば、孔311a,・・・の数や大きさ又は鋼板3に対する孔あきジベル311の取り付け間隔を変更することによって、2つの床版21,22に架け渡す鋼板3のコンクリート部材に対する定着強度を容易に調整することができる。
【0053】
さらに、保護アングル32を高力ボルト33で延長床版21及び橋梁床版22に固定するのであれば、容易に床版21,22の角部に保護アングル32,32を取り付けることができる。
【0054】
また、延長が長い橋梁1の床版2のように、たわみが発生したり、温度応力の影響を受けたりするような目地23を設ける必要性の高い板状の部材であれば、このような塑性変形や過大な応力が発生し難い継目部20を設けることで、繰り返し載荷に対する耐久性に優れた構造物にすることができる。
【0055】
さらに、目地23に対して鋼板3を架け渡す継目部20であれば、目地間隔を広くしても延長床版21と橋梁床版22に跨る一体の舗装部11を鋼板3の上方に設けて、連続性のある道路などを構築することができる。すなわち、目地間隔が広くなると、その上で舗装部11を支持させるのが難しくなるが、目地23に鋼板3が架け渡されてその上に舗装部11を設けるのであれば、目地間隔を広くすることができる。そして、目地間隔が広くなると、目地部20で回転変形がし易くなって、耐久性に優れたヒンジ構造を構築することができる。
【0056】
また、このように目地23の間隔を任意に調整できれば、延長床版21と橋梁床版22との間に上下又は左右のずれが生じるようなせん断変形に対しても、弾性変形の範囲内に収められるような継目部20にすることができる。
【0057】
そして、このような継目部20が延長床版21と橋梁床版22との間に設けられた橋梁1は、車両4などの活荷重が繰り返し載荷されても、土工部19に設けられる延長床版21によって振動及び騒音の発生が抑えられる。そのうえ、繰り返し載荷によって発生する継目部20の変形が、鋼板3の弾性変形の範囲内であるので、長期間使用可能な耐久性に優れた橋梁1にすることができる。
【実施例1】
【0058】
以下、前記した実施の形態とは別の形態の実施例1について図5を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0059】
この実施例で説明する橋梁1Aのコンクリート構造物としての床版2Aの継目構造(継目部20A)は、鋼板5の定着部が複数のスタッドジベル51,・・・で形成されている。このスタッドジベル51は、先端が拡幅されたり周面に凹凸(図示省略)が成形されたりする定着部材で、コンクリートの内部に埋設されて引抜き力に対して抵抗させることができる。また、このスタッドジベル51の頭部は鋼板5に固定される。
【0060】
また、この実施例1においても、延長床版21Aと橋梁床版22Aの上部角部に、それぞれ保護部としての保護アングル52,52が設けられる。この保護アングル52は、鋼板5の下面に当接させる接触面521と、それに略直交して目地23A側に向いた床版21A,22Aの側面を保護する垂下面522とを有し、例えば山形鋼材などで形成される。
【0061】
そして、接触面521と鋼板5とは、高力ボルト53によって接合されている。また、保護アングル52の垂下面522は、水平方向に向けたスタッドジベル54によって床版21A,22Aにそれぞれ固定されている。
【0062】
このように定着部をスタッドジベル51,・・・で形成する場合は、定着強度の調整をスタッドジベル51,・・・の配置本数を変えるだけでおこなうことができ、簡単な構成で定着部を構成することができる。
【0063】
さらに、保護アングル52をスタッドジベル54で床版21A,22Aに固定するのであれば、容易にコンクリート部材の角部に保護アングル52を取り付けることができる。
【0064】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【実施例2】
【0065】
以下、前記した実施の形態とは別の形態の実施例2について図6を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0066】
この実施例2では、鋼板3と定着プレート31とを溶接部34によって接合し、前記実施の形態のように高力ボルト33,・・・の頭部が舗装部11側に突出しないようにする。
【0067】
すなわち、この実施例2では、定着プレート31の取付け部312の側縁と鋼板3の下面との間に溶接部34を設けて、定着プレート31,・・・を鋼板3に固定する。
【0068】
また、図示していないが、鋼板3と保護アングル32とも溶接部34によって接合する。
【0069】
このように鋼板3と定着プレート31及び鋼板3と保護アングル32とを、溶接部34を介して接合するようにすれば、鋼板3の上面側を凸部のない面一に成形することができる。すなわち、舗装部11が薄い場合に、鋼板3の上面側に高力ボルト33の頭部などの凸部があるとひび割れを生じさせるおそれがあるが、凸部のない平面に成形されていれば舗装部11が薄くてもひび割れが発生することがない。
【0070】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0071】
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0072】
例えば、前記実施の形態又は前記実施例1では、保護部として保護アングル32,52を延長床版21,21A及び橋梁床版22,22Aの角部に取り付けたが、これに限定されるものではなく、コンクリート部材の角部を鋼材で構築するなどして保護部を一体に設けてもよい。
【0073】
また、前記実施の形態又は前記実施例では、コンクリート構造物として橋梁1,1Aの床版2,2Aについて説明したが、これに限定されるものではなく、回転変形、せん断変形又は伸縮などの変形が発生する継目構造を備えたコンクリート構造物であれば、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の最良の実施の形態の床版の継目部の構成を説明する断面図である。
【図2】本発明の最良の実施の形態の床版を設ける橋梁の構成を説明するための説明図である。
【図3】図1のA−A矢視方向で見た平面図である。
【図4】図3のB−B矢視方向で見た断面図である。
【図5】実施例1の床版の継目部の構成を説明する断面図である。
【図6】実施例2の鋼板と定着プレートとの接合構造を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A 橋梁
11 舗装部(上層部)
2,2A 床版(コンクリート構造物)
20,20A 継目部(継目構造)
21,21A 延長床版(コンクリート部材)
22,22A 橋梁床版(コンクリート部材)
23,23A 目地
3 鋼板
31 定着プレート(定着部)
311 孔あきジベル(孔あき板部)
311a 孔
312 取付け部
32 保護アングル(保護部)
321 接触面
33 高力ボルト
34 溶接部(溶接)
5 鋼板
51 スタッドジベル(定着部)
52 保護アングル(保護部)
521 接触面
53 高力ボルト
54 スタッドジベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地を挟んで対向するコンクリート部材を接続するコンクリート構造物の継目構造であって、
前記対向するコンクリート部材間に架け渡される鋼板と、
前記鋼板の少なくとも両端部を前記コンクリート部材にそれぞれ定着させる定着部と、
前記目地の両側において前記鋼板の下面に当接させる接触面が形成された前記対向するコンクリート部材の角部にそれぞれ設けられる保護部とを備えたことを特徴とする鋼板を備えた継目構造。
【請求項2】
前記定着部は、複数の孔が形成された板状の孔あき板部と、その孔あき板部に略直交する取付け部とを有し、前記鋼板と前記取付け部とが高力ボルト又は溶接によって接合されることを特徴とする請求項1に記載の鋼板を備えた継目構造。
【請求項3】
前記定着部は、双方の前記コンクリート部材にそれぞれ埋設されるスタッドジベルで形成されることを特徴とする請求項1に記載の鋼板を備えた継目構造。
【請求項4】
前記鋼板と前記保護部とは、高力ボルトによって接合されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鋼板を備えた継目構造。
【請求項5】
前記保護部は、双方の前記コンクリート部材にそれぞれ埋設される高力ボルト又はスタッドジベルで固定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の鋼板を備えた継目構造。
【請求項6】
前記コンクリート部材は板状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鋼板を備えた継目構造。
【請求項7】
前記鋼板の上方に、双方の前記コンクリート部材に跨る一体の上層部が形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鋼板を備えた継目構造。
【請求項8】
前記コンクリート構造物は、橋梁の床版であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の鋼板を備えた継目構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−209590(P2009−209590A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54366(P2008−54366)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(597060450)社団法人 日本橋梁建設協会 (11)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【Fターム(参考)】