説明

鋼管の貫入方法及び鋼管貫入用掘削装置

【課題】地中に埋設する鋼管の断面形状が矩形である場合にも、上記鋼管をスムースに地山内に貫入することのできる方法と、これに好適に用いられる鋼管貫入用掘削装置を提供する。
【解決手段】噴射ノズル21a〜21eを貫入する角型管11の水平方向に配列してノズル装着部材22に装着するとともに、このノズル装着部材22の両端側にスイングシャフト23,23を取付け、このスイングシャフト23,23をバキューム管12の外周側に取付けた第2の取付部材24Bに装着したエアシリンダ25を用いて中心軸23k周りに旋回させることにより、上記噴射ノズル21a〜21eをスイングさせながら、上記角型管11前方の地山70を掘削するとともに、噴射ノズル21a,21b,21cへ供給する配管と、左側に位置する噴射ノズル21d,21eへ供給する配管とを別系統として、上記角型管11を上下方向あるいは左右方向へ曲進可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トンネルの掘削に先立って設置する支保工である先行支保工のような、アーチ型の地中構造体を構築するために用いられる断面形状が矩形状の鋼管を地山内に貫入する方法とこれに用いられる鋼管貫入用掘削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図4(a)に示すような、並行して延長する2つのトンネル50,50の間に中間ポンプ室などの施設51を構築する際には、図4(b)に示すように、上記2つのトンネル50,50間の地山に鋼管52を埋設してこれを先行土留工とし、この土留工内部の空間Sを掘削して上記施設51を構築するようにしている。
上記のような鋼管52を埋設する際には、一般には、埋設鋼管内でオーガースクリューを回転させて土砂を掘削・排土しながら上記埋設管を後方から押圧してこれを地山内に貫入・埋設するオーガー式削孔推進機が用いられている。図5(a)〜(c)は従来のオーガー式削孔推進機60の一構成例を示す図で、このオーガー式削孔推進機60は断面形状が矩形である角型管61の内側に円筒状の中空部を有する推進管62を設置し、この推進管62内に、先端側にオーガービット63aと呼ばれる切削刃を備えたスクリュー63bを備えたオーガー削孔装置63を取付け、上記オーガービット63aを回転させて地山70の土砂を掘削・排土しながら上記角型管61を地山70内へ貫入して埋設するもので、上記推進管62の、上記角型管61の先端側に取付けられた案内刃64の後端部に、上記案内刃64の背面側に当接する当接部材65を取付けるとともに、上記推進管62の後端部とオーガー削孔装置63の後端部とを推進部材取付け部66に固定し、上記推進管62の後端を油圧ジャッキ等の推進装置67にて推進することにより、上記角型管61と上記推進管62とを同時に地山70内へ貫入することができる(例えば、特許文献1参照)。なお、掘削された土砂は、上記推進管62と上記スクリュー63bの羽根部との隙間を通って後部に送られ、排水手段68により外部へ排出される。
【0003】
また、上記オーガー式削孔推進機60では、図5(b),(c)に示すように、上記案内刃64の4隅にウォータージェット噴射装置69のジェットノズル69aをそれぞれ取付けるとともに、このジェットノズル69aに耐圧ホース69bを介して高圧水を送るようにしている。これにより、上記オーガービット63aによる掘削と同時に、上記各ジェットノズル69aから高圧のジェット水により、上記オーガービット63aでは掘削しきれなかった上記角型管61内部の4隅についても掘削することができるので、上記角型管61をスムースに地山70内へ貫入・埋設することができる。
【0004】
一方、複数の噴射ノズルから高圧のジェット水を噴出させるウォータージェット噴射装置を用いて地山を掘削する方法も提案されている。具体的には、図6(a),(b)に示すように、掘削装置80の前面に回転板81を装着するとともに、この回転板81に複数の噴射ノズル82を十字型に配置し、上記回転板81を回転させながら、圧水ポンプ83からの高圧のジェット水を地山70内に噴出させて、掘削装置80前面の地山70を掘削する(例えば、特許文献2参照)。
なお、上記構成の掘削装置80では掘削する形状が円形に限られるので、この掘削装置80を上記のような角型管61の貫入に適用する場合には、図7に示すように、上記回転板81に代えて固定板84を設け、この固定板84に噴射ノズル82を多数配置する必要がある。
【特許文献1】特開2005−83007号公報
【特許文献2】特開2002−332795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記オーガー式削孔推進機60などのように、鋼管先端部に切削刃を設けて、上記鋼管を後方よりジャッキなどで押し込んでいく方法では、地盤が軟弱な場合には何とか押し込めるが、粘性土から成る地盤のような場合には、後方からバキュームしても鋼管内に土砂が詰まってしまい、貫入が上手くいかないといった問題点があった。また、硬い地質の場合でも、貫入力を大きくする必要があり、そのため、鋼管の材質の選定や切削刃の種類数などの設定など、種々の問題が発生する。
一方、ウォータージェット噴射装置を用いて角型管を貫入する場合には、砂質土の場合には砂が水圧で崩れるので問題ないが、粘性土から成る地盤のような場合には、ジェット水が当たる部分のみは穴が空くが、全面が均一に掘削されないため鋼管の貫入が難しく、また、ジェット水が当たらない部分は掘れたとしても、塊となって排泥管に入ってくるため、鋼管内に土砂が詰まりやすいといった問題点があった。
そこで、配置する噴射ノズルの数を増やして、ジェット水が前面に均一に当たるようにすることも考えられるが、そのためには多数のノズルが必要であり不経済であるだけでなく、配管も複雑となり高圧水供給装置も大型化する必要があるため、装置が大掛かりになってしまうといった問題点があった。
【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、地中に埋設する鋼管の断面形状が矩形である場合にも、上記鋼管をスムースに地山内に貫入することのできる方法と、これに好適に用いられる鋼管貫入用掘削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、噴射ノズルをスイングさせながらジェット水を噴出させる構成とすれば、少ない数の噴射ノズルでも貫入方向前面の地山を均一に掘削することができることを見出し本発明に到ったものである。
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、地山内に貫入する鋼管内に推進管を設けるとともに、この推進管の前面に複数のジェット水噴射ノズルを設置して、上記噴射ノズルからのジェット水により上記鋼管の貫入方向前面の地山を掘削しながら上記鋼管と上記推進管とを同時に推進して、上記鋼管を地山内に貫入する鋼管の貫入方法において、上記複数の噴射ノズルを線状に配列するとともに、上記各噴射ノズルを当該ノズルの配列方向と直交する面内にて移動させながら、上記地山を掘削するようにしたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鋼管の埋設方法において、上記線状に配列された噴射ノズルのうち、一方の端部側に位置する噴射ノズルからのジェット水の圧力もしくは流量を、他方の端部側に位置する噴射ノズルからのジェット水の圧力もしくは流量よりも大きくして、上記鋼管を曲進させるようにしたものである。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、断面形状が矩形の埋設用鋼管の貫入方向前面に装着された複数のジェット水噴射ノズルと、この噴射ノズルに高圧水を圧送する高圧水供給装置とを備えた鋼管貫入用掘削装置であって、上記鋼管の一方の辺に平行に延長し、上記複数の噴射ノズルを保持するノズル装着部材と、上記ノズル装着部材を支持する腕部と、この腕部を揺動(スイング)させる手段とを備え、上記複数の噴射ノズルを当該ノズルの配列方向と直交する面内でスイングさせながら、鋼管の貫入方向前面の地山を掘削するように構成したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の鋼管貫入用掘削装置において、上記線状に配列された噴射ノズルのうち、一方の端部側に位置する噴射ノズルへ供給する高圧水の配管と、他方の端部側に位置する噴射ノズルへ供給する高圧水の配管とを別個に設け、上記2つの配管から各噴射ノズルへ供給するジェット水の圧力もしくは流量を独立に設定可能としたものである。
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の鋼管貫入用掘削装置において、上記噴射ノズルへ供給する高圧水の配管を上記腕部内に設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のジェット水噴射ノズルを備え、上記噴射ノズルからのジェット水により貫入する鋼管の前面の地山を掘削しながら上記鋼管を地山内に貫入する鋼管の貫入方法において、上記複数の噴射ノズルを線状に配列するとともに、上記ノズルをスイングさせる機構を設けて、高圧のジェット水を当該噴射ノズルの配列方向と直交する面内にてスイングさせながら、上記地山を掘削するようにしたので、少ない数の噴射ノズルでも貫入方向前面の地山を均一に掘削することができる。
このとき、上記線状に配列された噴射ノズルのうち、一方の端部側に位置する噴射ノズルへ供給する高圧水の配管と、他方の端部側に位置する噴射ノズルへ供給する高圧水の配管とを別個に設け、上記一方の端部側に配置された噴射ノズルからのジェット水の圧力もしくは流量を、他方の端部側に配置された噴射ノズルからのジェット水の圧力もしくは流量よりも大きくして、一方の側を余掘りするようにすれば、上記鋼管を上下方向あるいは左右方向へ曲進させることが可能となる。
また、上記噴射ノズルに供給する高圧水の配管を上記腕部内に設けるようにすれば、耐圧ホースが絡んだりするなどの問題もなく、噴射ノズルへ確実に高圧水を供給できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1及び図2は、本最良の形態に係る角型管推進機10の概略構成を示す図で、図1は側面図と正面図、図2は平面図である。また、図3は本発明による鋼管貫入用掘削装置20の概要を示す斜視図である。各図において、11は地山70に貫入・埋設される断面形状が矩形である角型管、12は高圧のジェット水を噴出する複数の噴射ノズル21(21a〜21e)を備えた鋼管貫入用掘削装置20を搭載した中空状の排泥管(バキューム管)、13は上記角型管11の先端側に取付けられた案内刃で、この案内刃13は当該角型管11の進行方向にいくにしたがって幅が狭くなる直角三角形の断面形状を有している。14は上記案内刃13の背面側に当接する当接部材で、上記バキューム管12は、その開口部が上記当接部材14よりも前面に突出するように、上記当接部材14に取付けられている。したがって、上記バキューム管12の後端部を図示しない油圧ジャッキ等の推進装置にて推進することにより、上記角型管11と上記バキューム管12とを同時に地山70内へ貫入することができるとともに、掘削した土砂を上記バキューム管12の後端部に設けられた排水手段15を介して外部へ廃棄することができる。なお、符号14hは、後述するスイングシャフト23が上下動可能なように、上記当接部材14に設けられた、上記角型管11の上下方向に並行に延長する縦孔である。
【0011】
上記鋼管貫入用掘削装置20は、複数の噴射ノズル21a〜21eと、これらの噴射ノズル21a〜21eを装着する、上記角型管11の水平片に平行に延長する棒状のノズル装着部材22と、一端が上記ノズル装着部材22の両端側にそれぞれ接続された2本のスイングシャフト23とを備えている。上記スイングシャフト23は、その旋回中心においてベアリング等により中心軸23kに揺動自在に連結されており、この中心軸23kが後述する高圧水入力用配管32a(または、高圧水入力用配管32b)を介して、上記バキューム管12の外周側に固定された第1の取付部材24Aに連結されている。
上記噴射ノズルの本数及び配置は、上記角型管11の水平方向の全幅に亘ってジェット水が均一に当たるように設置されるもので、本例では、説明を簡単にするため、噴射ノズルを5本とした。なお、図2では、端部の噴射ノズル21a,21eの向きを幅方向外側に傾けているが、これは、ジェット水が広がっても掘削形状が確実に矩形になるようにするためである。
【0012】
また、上記バキューム管12の外周側で、上記第1の取付部材24Aの後方(噴射ノズル21とは反対側)には第2の取付部材24Bが取付けられており、この第2の取付部材24Bに、その稼動方向が上記角型管11の垂直片に平行になるように2つのエアシリンダ25が取付けられている。これらエアシリンダ25の可動部であるシリンダ本体25a表面に取付けられた可動板26には、ローラベアリング27rを備え、上記スイングシャフト23を上記中心軸23k周りに旋回させるための押棒27が突設されている。一方、上記スイングシャフト23には、上記押棒27が挿入される、スイングシャフト23の延長方向に延長する孔部23hが設けられており、これにより、シリンダ本体25aへエアーを供給して、上記シリンダ本体25aを上記シャフト25bに沿って上下させて上記押棒27を上下させることにより、上記スイングシャフト23を上記中心軸23kを回転中心としてスイングさせることができる。
【0013】
ところで、上記スイングシャフト23の最大回転角(エアシリンダ25の可動範囲)はシリンダ本体25aへ供給されるエアーにより制限されるが、本例では、安全のため、上記可動板26のエアシリンダ25とは反対側に棒状のストッパー部材28を設けるとともに、上記掘削装置取付部材24の上記ストッパー部材28の上端及び下端に対向する位置にそれぞれリミッタ29を設け、上記スイングシャフト23の回転範囲を制限するようにしている。
【0014】
また、本例では、高圧水供給装置30から送られる高圧水を上記各噴射ノズル21a〜21eに供給する際に、上記ノズル装着部材22を角型管11の案内刃13側から見て右側に位置する3本の噴射ノズル21a,21b,21cへ供給する配管と、左側に位置する噴射ノズル21d,21eへ供給する配管とを別系統としている。詳細には、上記高圧水供給装置30に連結される2本の耐圧ホース31a,31bをスイングシャフト23の中心軸23kに連結される高圧水入力用配管32a,32bに連結し、これらの高圧水入力用配管32a,32bを、左右のスイングシャフト23,23内に設けられた配管33a,33bを介して、ノズル装着部材22内に設けられた配管34a,34bと連通させる。これにより、噴射ノズル21a,21b,21cへ供給されるジェット水の水路と噴射ノズル21d,21eへ供給されるジェット水の水路は別系統になるので、噴射ノズル21a,21b,21cから噴射されるジェット水の圧力もしくは流量と噴射ノズル21d,21eから噴射されるジェット水の圧力もしくは流量とを独立に設定することが可能となる。
また、本例のように、スイングシャフト23内に高圧水の配管を設けるようにすれば、スイングシャフト23の回転により耐圧ホースが絡んだりするなどの問題もなく、噴射ノズル21a〜21eへ確実に高圧水を供給できる。
【0015】
次に、上記鋼管貫入用掘削装置20を用いて角型管11の前面の地山70を掘削する方法について説明する。
角型管11を直進させながら掘削する場合には、右側の噴射ノズル21a,21b,21cへ供給するジェット水の圧力及び流量と、左側の噴射ノズル21d,21eへ供給するジェット水の圧力及び流量とを同じにしてスイングさせながら、上記角型管11前方の地山70を掘削するようにすればよい。これにより、ジェット水を角型管11の前面に均一に噴射させることができるだけでなく、スイングしているため、ジェット水が当たらない部分がない。したがって、地山70が粘土質であった場合でも、掘削した土砂が粉砕されて泥水状態になるので、バキューム管12が詰まることがなく、上記土砂をスムースに排出することができる。
また、角型管11を左右どちらかの方向に曲進させながら掘削する場合には、曲がる側とは反対側の噴射ノズルに供給するジェット水の圧力または流量を、曲がる側の噴射ノズルに供給するジェット水の圧力または流量よりも大きくしてやればよい。具体的には、右側の噴射ノズル21a,21b,21cへ供給するジェット水の圧力または流量を大きくすると、右側が余掘りされるので地山70の抵抗が少なくなり、その結果角型管11は左側に曲がりながら貫入される。
なお、本例では、噴射ノズル21a〜21eは角型管11の水平片に平行な方向に配列されているので、上下方向に曲進させながら掘削するためには掘削を一時中断し、鋼管貫入用掘削装置20及び当接部材14の取付位置を90度回転させた位置に直してから、上記左右曲進の場合と同様に、曲がる側とは反対側の噴射ノズルに供給するジェット水の圧力または流量を、曲がる側の噴射ノズルに供給するジェット水の圧力または流量よりも大きくした状態で、掘削するようにすればよい。
【0016】
このように、本最良の形態では、噴射ノズル21a〜21eを貫入する角型管11の水平方向に配列してノズル装着部材22に装着するとともに、このノズル装着部材22の両端側にスイングシャフト23,23を取付け、このスイングシャフト23,23をバキューム管12の外周側に取付けた第2の取付部材24Bに装着したエアシリンダ25を用いて中心軸23k周りに旋回させることにより、上記噴射ノズル21a〜21eをスイングさせながら、上記角型管11前方の地山70を掘削するようにしたので、少ない数の噴射ノズルでも貫入方向前面の地山を均一に掘削することができる。
また、高圧水供給装置30から送られる高圧水を上記各噴射ノズル21a〜21eに供給する際に、上記ノズル装着部材22を角型管11の案内刃13側から見て右側に位置する3本の噴射ノズル21a,21b,21cへ供給する配管と、左側に位置する噴射ノズル21d,21eへ供給する配管とを別系統としたので、例えば、噴射ノズル21a,21b,21cからのジェット水の圧力もしくは流量を、噴射ノズル21d,21eからのジェット水の圧力もしくは流量よりも大きくして、右側を余掘りするようにすれば、上記角型管11を左側に曲進させるなど、上記角型管11を上下方向あるいは左右方向へ曲進させることができる。
【0017】
なお、上記最良の形態では、噴射ノズルの本数を5本とし、これを角型管11の水平方向に配置したが、これに限るものではなく、ジェット水の広がり角度や最大噴射圧または最大流量等の噴射ノズルの仕様により適宜決定されるもので、上記角型管11の水平方向の全幅に亘ってジェット水が均一に当たるような本数であればよい。また、配置については上下方向に配置してもよい。
また、上記例では、スイングシャフト23を、エアシリンダ25を用いてスイングさせたが、ギヤ付モータとクランク機構を用いるなど、他の旋回機構を用いてもよい。
また、上記例では、高圧水の水路を、噴射ノズル21a,21b,21cへの水路と噴射ノズル21d,21eへの水路の2系統としたが、高圧水の水路を、例えば、右側の端部に位置する噴射ノズル21aへの水路と中央に位置する噴射ノズル21b,21c,21dの水路と左側の端部に位置する噴射ノズル21eへの水路の3系統とするなど、3系統以上にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、少ない数の噴射ノズルでも鋼管の貫入方向前面の地山を均一に掘削することができるだけでなく、上記鋼管を上下方向あるいは左右方向へ曲進させることができるので、例えば、先行支保工のような、アーチ型の地中構造体を構築するために用いられる角型鋼管などの断面形状が矩形状の鋼管を容易にかつ効率よく地山内に貫入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の最良の形態に係る角型管推進機の概略構成を示す側面図と正面図である。
【図2】本最良の形態に係る角型管推進機の概略構成を示す平面図である。
【図3】本最良の形態に係る鋼管貫入用掘削装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】並行して延長する2つのトンネルの間に施設を構築する方法を説明するための図である。
【図5】従来のオーガー式削孔推進機の一構成例を示す図である。
【図6】ウォータージェット噴射装置を用いた掘削装置の一例を示す図である。
【図7】噴射ノズルの配列例を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
10 角型管推進機、11 角型管、12 排泥管(バキューム管)、13 案内刃、
14 当接部材、14h 縦孔、15 排水手段、
20 鋼管貫入用掘削装置、21a〜21e 噴射ノズル、22 ノズル装着部材、
23 スイングシャフト、23k 中心軸、23h 孔部、24A 第1の取付部材、
24B 第2の取付部材、25 エアシリンダ、25a シリンダ本体、
25b シャフト、26 可動板、27 押棒、27r ローラベアリング、
28 ストッパー部材、29 リミッタ、30 高圧水供給装置、
31a,31b 耐圧ホース、32a,32b 高圧水入力用配管、
33a,33b スイングシャフト内の配管、
34a,34b ノズル装着部材内の配管、70 地山。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山内に貫入する鋼管内に推進管を設けるとともに、この推進管の前面に複数のジェット水噴射ノズルを設置して、上記噴射ノズルからのジェット水により上記鋼管の貫入方向前面の地山を掘削しながら上記鋼管と上記推進管とを同時に推進して、上記鋼管を地山内に貫入する鋼管の貫入方法において、上記複数の噴射ノズルを線状に配列するとともに、上記各噴射ノズルを当該ノズルの配列方向と直交する面内にて移動させながら、上記地山を掘削するようにしたことを特徴とする鋼管の貫入方法。
【請求項2】
上記線状に配列された噴射ノズルのうち、一方の端部側に位置する噴射ノズルからのジェット水の圧力もしくは流量を、他方の端部側に位置する噴射ノズルからのジェット水の圧力もしくは流量よりも大きくして、上記鋼管を曲進させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の鋼管の貫入方法。
【請求項3】
断面形状が矩形の埋設用鋼管の貫入方向前面に装着された複数のジェット水噴射ノズルと、この噴射ノズルに高圧水を圧送する高圧水供給装置とを備えた鋼管貫入用掘削装置であって、上記鋼管の一方の辺に平行に延長し、上記複数の噴射ノズルを保持するノズル装着部材と、上記ノズル装着部材を支持する腕部と、この腕部を揺動させる手段とを備え、上記複数の噴射ノズルを当該ノズルの配列方向と直交する面内で揺動させながら、鋼管の貫入方向前面の地山を掘削するように構成したことを特徴とする鋼管貫入用掘削装置。
【請求項4】
上記線状に配列された噴射ノズルのうち、一方の端部側に位置する噴射ノズルへ供給する高圧水の配管と、他方の端部側に位置する噴射ノズルへ供給する高圧水の配管とを別個に設け、上記2つの配管から各噴射ノズルへ供給するジェット水の圧力もしくは流量を独立に設定可能としたことを特徴とする請求項3に記載の鋼管貫入用掘削装置。
【請求項5】
上記噴射ノズルへ供給する高圧水の配管を上記腕部内に設けたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の鋼管貫入用掘削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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