説明

鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置

【課題】打設コンクリートを冷却するための設備の導入負担や維持負担を軽減する。
【解決手段】本発明に係る打設コンクリートの冷却装置1は、送風機2と送風ダクト3とを備えており、送風機2は、鋼管・コンクリート複合構造橋脚4を構成する中空鋼管5の頂部に架け渡された揚重用反力架台7に取り付けてある。送風機2の吐出口には送風ダクト3の上端をそれぞれ連結してあり、かかる構成により、送風ダクト3をその上端で送風機2に連通接続できるようになっている。送風ダクト3は、その下端を介して中空鋼管5の内部に連通されるように該中空鋼管内にそれぞれ配置してある。送風機2は、送風ダクト3の上端から該送風ダクト内に空気を送り込んで下方に向けて送気するとともに、該空気を送風ダクト3の下端から吐出して、冷却空気として中空鋼管5の内部に供給できるよう、その仕様を適宜決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管・コンクリート複合構造橋脚の建設工事のうち、コンクリート工事に適用される打設コンクリートの冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋脚を構築する際、通常の鉄筋コンクリート構造(以下、RC構造)では、その高さが高くなればなるほど、配筋作業や型枠の組立及び解体に時間や手間がかかるため、RC構造に代えて、鋼管・コンクリート複合構造が採用されることも少なくない。
【0003】
かかる鋼管・コンクリート複合構造を構築するにあたっては、まず、鋼管を先行して立設し、次いで、該鋼管の周囲において鉄筋の組立やPCストランドの巻付けを行うとともに型枠を建て込み、しかる後、型枠と鋼管との間にコンクリートを打設する。
【0004】
このような鋼管・コンクリート複合構造によれば、急速施工が可能でしかも鋼管による耐震性の向上を図ることが可能となる。
【0005】
一方、コンクリートが打設される部材断面が大きいと、その中央付近で蓄積されるセメントの水和熱によってコンクリート温度が上昇し、その上昇過程においてあるいはその後の冷却過程において断面内の温度分布が不均一となり、いわゆる温度ひび割れが生じる。
【0006】
かかる温度ひび割れは、パイプクーリングやプレクーリングによる冷却あるいは低発熱性コンクリートの使用によって防止することが可能であるが、鋼管・コンクリート複合構造橋脚のコンクリート工事においても、適切な対策を施すことによって温度ひび割れを未然に防止する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2591422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、鋼管・コンクリート複合構造橋脚のコンクリート工事においては、先行して立設された中空鋼管内に散水することにより、打設コンクリートを冷却してその温度ひび割れを防止する方法が採用されてきた。
【0009】
しかしながら、中空鋼管内に散水を行うにあたっては、散水用の水を鋼管頂部まで圧送しなければならず、橋脚の高さが高くなればなるほど、配管長が長くなるとともに、高揚程のポンプが必要となり、設備面での負担が大きいという問題を生じていた。
【0010】
また、上述した送水管やポンプに対しては、適切な保守点検を随時行う必要があるところ、送水管が鉛直方向に延びているため、保守点検作業が遅れがちとなり、その結果として配管接続箇所におけるボルトの緩みや摩耗に起因した送水管の破裂を招き、ひいてはコンクリート工事の中断も余儀なくされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、打設コンクリートを冷却するための設備の導入負担や維持負担を軽減することが可能な鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置を提供することを目的とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置は請求項1に記載したように、送風機と、該送風機に上端で連通接続され下端を介して鋼管・コンクリート複合構造橋脚を構成する鋼管として立設された中空鋼管の内部に連通されるように該中空鋼管内に配置された送風ダクトとを備えるとともに、前記送風機を、前記送風ダクトの上端から該送風ダクト内に空気を送り込んで下方に向けて送気し該空気を前記送風ダクトの下端から吐出して前記中空鋼管の内部に供給するように構成してなり、該中空鋼管の内部に供給された空気は、前記橋脚を構成するコンクリート躯体を形成するために前記中空鋼管の周囲に打設されたフレッシュコンクリートを冷却するようになっているものである。
【0013】
また、本発明に係る鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置は、前記送風ダクトの下端を前記中空鋼管の底部近傍に位置決めしたものである。
【0014】
また、本発明に係る鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置は、前記中空鋼管の頂部近傍にて該中空鋼管の内部を上下に仕切る底型枠に2つの開口を形成するとともに、該2つの開口のうち、一方を前記送風ダクトが貫通設置される送気用開口、他方を排気用開口としたものである。
【0015】
また、本発明に係る鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置は、前記送風ダクトを、前記送気用開口に貫通設置されたジョイント、該ジョイントの上側接続端部と前記送風機とをつなぐ上段ダクト本体及び前記ジョイントの下側接続端部に接続されて下方に延びる下段ダクト本体で構成するとともに、前記ジョイントを前記送気用開口に係止したものである。
【0016】
本発明に係る鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置は、鋼管・コンクリート複合構造橋脚を建設する際のコンクリート工事に適用されるものであり、その適用にあたっては、鋼管・コンクリート複合構造橋脚を構成する鋼管として中空鋼管が立設された後、まず、該中空鋼管に送風ダクトを設置するとともに、該送風ダクトをその上端で送風機に連通接続する。
【0017】
送風ダクトは、下端を介して中空鋼管の内部に連通されるように該中空鋼管に配置する。
【0018】
中空鋼管が先行して立設された後は、該中空鋼管の周囲において鉄筋組立やPCストランドの巻付けを必要に応じて行いつつ、それらを取り囲むようにして型枠を建て込んでは該型枠の内側にコンクリートを打設する作業を下方から上方に向けて行うことで中空鋼管の周囲にコンクリート躯体を順次構築していくが、かかるコンクリート打設に伴い、上述した送風機を駆動し、送風ダクトの上端からその内部空間に空気を送り込むとともに、該空気を下方に送気して送風ダクトの下端から吐出し、中空鋼管の内部に供給する。
【0019】
このようにすると、中空鋼管の内部に供給された空気は、該中空鋼管の管壁を介してその周囲に打設されたフレッシュコンクリートを冷却する冷却空気として作用する。また、冷却を終えた空気は、フレッシュコンクリートからの吸熱によって暖められているため、送風ダクトからの吐出圧とも相俟って、中空鋼管内を上昇し、該中空鋼管の頂部から大気中へと自然排気される。
【0020】
このように中空鋼管周囲に打設されたフレッシュコンクリートは、中空鋼管内に供給された空気による空冷作用によって温度ひび割れが抑制されつつ、水和反応が進行し、コンクリート躯体として硬化する。
【0021】
本発明は、中空鋼管を単独で設置する場合のみならず、複数設置する場合にも適用が可能であって、複数設置の場合、一つの中空鋼管のみに送風ダクトを配置するようにしてもよいし、任意に選んだ中空鋼管に設置するようにしてもかまわない。
【0022】
また、送風ダクトが複数設置される場合、各送風ダクトごとに送風機を備えるようにしてもよいし、集中送風が可能な送風機を設置し、該送風機から分岐する形で各送風ダクトに接続するようにしてもよい。
【0023】
本発明の送風ダクトは、鉛直に立設された中空鋼管の内部にまっすぐに配置されることを主として想定するものではあるが、必ずしも厳密な鉛直配置が要求されるものではなく、上端から送り込まれた空気を下端から吐出することができる限り、任意の形態で配置することが可能であり、傾斜状あるいは螺旋状の配置形態を含むものとする。
【0024】
送風機は、送風ダクト内に送り込まれた空気が該送風ダクトの下端からスムーズに吐出されるよう、その仕様を適宜定める。また、送風機は、新鮮な空気が送風ダクト内に効率よく送り込まれるよう、中空鋼管の内部ではなく、中空鋼管の外部、例えば中空鋼管の頂部直上に設置されるのが望ましい。
【0025】
送風ダクトは、その上端から送り込まれた空気が下端で吐出されるとともに、吐出された空気が中空鋼管周囲に打設されたフレッシュコンクリートを冷却する冷却空気として作用し得る限り、中空鋼管に対する上端高さをどのように設定するかは任意であって、中空鋼管頂部に対し、その上端高さが制約を受けるものではないが、送風機が中空鋼管の頂部直上に設置される場合には、これに応じて、上端を中空鋼管の直上に位置決めすればよい。
【0026】
同様に中空鋼管に対する下端の設置高さをどのように設定するかも任意であるが、該送風ダクトの下端を中空鋼管の底部近傍に位置決めしたならば、中空鋼管下方での空気の滞留を未然に防止し、冷却効率の向上や送風機の負荷軽減が可能となる。
【0027】
送風機や送風ダクトの支持方法は任意であって、例えば適当な治具を介して中空鋼管の管壁上縁に固定しあるいは該管壁上縁から吊持する方法や、中空鋼管の頂部に揚重用反力架台を架け渡し該揚重用反力架台に送風機を取り付けるとともに、該送風機の吐出口に送風ダクトの上端を連結する方法が可能である。
【0028】
中空鋼管の頂部近傍にて該中空鋼管の内部を上下に仕切る底型枠が中空鋼管に設けられている場合、該底型枠に2つの開口を形成し、該2つの開口のうち、一方を送風ダクトが貫通設置される送気用開口、他方を排気用開口とすることができる。
【0029】
かかる構成においては、一体に形成された送風ダクトを送気用開口に挿通するようにしてもよいが、これに代えて、送風ダクトを、送気用開口に貫通設置されたジョイントと、該ジョイントの上側接続端部と送風機とをつなぐ上段ダクト本体と、ジョイントの下側接続端部に接続されて下方に延びる下段ダクト本体とで構成するとともに、上述のジョイントを送気用開口に係止した構成とすることが可能である。
【0030】
かかる構成によれば、下段ダクト本体の自重を底型枠で受けることが可能となり、送風機に作用する荷重負担を大幅に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係る鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置1の配置図であり、(a)は正面図、(b)はA−A線方向から見た矢視図。
【図2】中空鋼管5の頂部近傍における詳細図であり、(a)は縦断面図、(b)はB−B線に沿った断面図。
【図3】本実施形態に係る打設コンクリートの冷却装置1の作用を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図1は、本実施形態に係る鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置1を示した全体図である。同図でわかるように、本実施形態に係る打設コンクリートの冷却装置1は、送風機2と送風ダクト3とを備える。
【0034】
ここで、本実施形態に係る打設コンクリートの冷却装置1は、鋼管・コンクリート複合構造橋脚4を建設する際のコンクリート工事に適用されるものであり、鋼管・コンクリート複合構造橋脚4は、平面配置が2列×3列となるように立設された計6本の中空鋼管5とその周囲を取り囲むように形成されたコンクリート躯体6とで構成される。
【0035】
中空鋼管5の頂部には、図示しない移動型枠を揚重するための揚重用反力架台7を架け渡してあり、該揚重用反力架台に送風機2を取り付けてある。揚重用反力架台7は、H型鋼等の鋼材を適宜組み合わせて構成すればよい。
【0036】
送風機2は、中空鋼管5ごとに設けてあるとともに、該送風機の吐出口に送風ダクト3の上端をそれぞれ連結することで、送風ダクト3をその上端で送風機2に連通接続してある。
【0037】
送風ダクト3は、その下端を介して中空鋼管5の内部に連通されるように該中空鋼管内にそれぞれ配置してあり、本実施形態では、鉛直に立設された中空鋼管5の材軸と平行になるよう、送風機2から鉛直下方に吊り下げてある。
【0038】
送風ダクト3は、その下端を中空鋼管5の底部近傍に位置決めしてあり、該中空鋼管下方での空気の滞留を防止するようになっている。
【0039】
送風機2は、送風ダクト3の上端から該送風ダクト内に空気を送り込んで下方に向けて送気するとともに、該空気を送風ダクト3の下端から吐出して中空鋼管5の内部に供給できるよう、その仕様を適宜決定する。
【0040】
中空鋼管5の頂部近傍には図2でよくわかるように、中空鋼管5の内部を上下に仕切る底型枠21を設けてあり、該底型枠から上方の空間にコンクリートを充填することにより、鋼管・コンクリート複合構造橋脚4の頂部と図示しない橋梁の上部工との接続部を構成するようになっているが、かかる底型枠21には、2つの開口、すなわち送風ダクト3が貫通される送気用開口22と中空鋼管5内の空気を上方に移動させるための排気用開口23とがそれぞれ形成してある。
【0041】
一方、送風ダクト3は、送風機2の吐出口に連結され該吐出口の口径に合わせて例えば230mm程度に外径が設定された上段ダクト本体24と、空気の送り込みに必要十分となるように例えば190mm程度に外径が設定された下段ダクト本体26と、上段ダクト本体24の下端と下段ダクト本体26の上端とを相互接続するジョイント25とからなるとともに、該ジョイントを底型枠21に形成された送気用開口22に係止してあり、かかる構成により、下段ダクト本体26の自重を底型枠21で支持するようになっている。
【0042】
すなわち、ジョイント25は、互いに径が異なる上段ダクト本体24及び下段ダクト本体26を相互接続するとともに、下段ダクト本体26を底型枠21で吊持する役目を果たす。
【0043】
本実施形態に係る打設コンクリートの冷却装置1を鋼管・コンクリート複合構造橋脚4のコンクリート工事に適用するには、鋼管・コンクリート複合構造橋脚4を構成する鋼管として中空鋼管5が立設された後、まず、該中空鋼管の頂部に揚重用反力架台7を架け渡し、次いで、該揚重用反力架台に送風機2を取り付ける。送風機2は、中空鋼管5の立設位置に合わせて該中空鋼管ごとに設置する。
【0044】
次に、送風機2の吐出口に送風ダクト3の上端を連結することで、該送風ダクトを送風機2にそれぞれ連通接続するとともに、送風ダクト3をその下端を介してダクト内空間が中空鋼管5の内部に連通されるように該中空鋼管にそれぞれ吊り下げる。
【0045】
ここで、中空鋼管5が先行して立設された後は、該中空鋼管の周囲において鉄筋組立やPCストランドの巻付けを必要に応じて行いつつ、それらを取り囲むようにして型枠を建て込んでは該型枠の内側にコンクリートを打設する作業を下方から上方に向けて行うことで、中空鋼管5の周囲にコンクリート躯体6を順次構築していくが(図1参照)、かかるコンクリート打設に伴い、上述した送風機2を駆動し、図3に示すように送風ダクト3の上端からその内部空間に空気を送り込むとともに、該空気を下方に送気して送風ダクト3の下端31から吐出し、これを中空鋼管5の内部32に供給する。
【0046】
このようにすると、中空鋼管5の内部32に供給された空気は、該中空鋼管の管壁を介してその周囲に打設されたフレッシュコンクリート33を冷却する冷却空気として作用する。
【0047】
ちなみに、フレッシュコンクリート33は、部材断面の大きさやセメントの種類によるが、40゜C〜50゜Cを上回る温度となるため、25゜C程度の外気温でも十分に冷却可能である。
【0048】
冷却を終えた空気は、フレッシュコンクリート33からの吸熱によって暖められているため、送風ダクト3からの吐出圧とも相俟って、中空鋼管5内を上昇し、該中空鋼管の頂部から大気中へと自然排気される。
【0049】
コンクリート工事が終了したならば、揚重用反力架台7、送風機2及び送風ダクト3を撤去するとともに、底型枠21に形成した送気用開口22と排気用開口23を塞ぎ、橋梁上部工との接続工事に備える。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置1によれば、中空鋼管5内に供給された空気によって中空鋼管5の周囲に打設されたフレッシュコンクリート33を空冷することが可能となり、かくしてフレッシュコンクリート33は、温度ひび割れが抑制されつつ、水和反応が進行し、コンクリート躯体として硬化する。
【0051】
また、本実施形態に係る打設コンクリートの冷却装置1によれば、従前の水冷方式とは異なり、メンテナンスが必要な部位が概ね送風機2に限られる。そのため、設備導入負担のみならず、維持管理負担も大幅に軽減され、工事全体の工期短縮にも寄与する。
【0052】
また、本実施形態に係る打設コンクリートの冷却装置1によれば、送風ダクト3の下端を中空鋼管5の底部近傍に位置決めしたので、中空鋼管5下方での空気の滞留を未然に防止し、冷却効率の向上や送風機2の負荷軽減を図ることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態に係る打設コンクリートの冷却装置1によれば、中空鋼管5の頂部近傍に設けられた底型枠21に送風ダクト3が貫通設置される送気用開口22と中空鋼管5内の空気を上方に移動させるための排気用開口23をそれぞれ設けるようにしたので、底型枠21に干渉されることなく、中空鋼管5の内部空間を利用したフレッシュコンクリート33の空冷が可能となる。
【0054】
また、本実施形態に係る打設コンクリートの冷却装置1によれば、送風ダクト3を、ジョイント25、該ジョイントの上側接続端部と送風機2とをつなぐ上段ダクト本体24及びジョイント25の下側接続端部に接続されて下方に延びる下段ダクト本体26で構成するとともに、ジョイント25を送気用開口22に貫通させた状態で該送気用開口に係止したので、下段ダクト本体26の自重を底型枠21で支持させることが可能となる。
【0055】
本実施形態では、送風ダクト3の下端を中空鋼管5の底部近傍に位置決めするようにしたが、中空鋼管5下方で空気が滞留する懸念がないのであれば、かかる場所に送風ダクト3の下端を位置決めする必要はない。
【0056】
むしろ、コンクリート工事の進捗に合わせて送風ダクト3を上方に縮退させることにより、送風ダクト3の下端をフレッシュコンクリート33の打設高さに追随させるようにすれば、フレッシュコンクリートに対する冷却効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、底型枠21に送気用開口22と排気用開口23とをそれぞれ設けるようにしたが、これに代えて底型枠21を一時的に取り外し、コンクリート工事終了後、元通りに復旧するようにしてもかまわない。
【0058】
かかる場合には、送風ダクト3と底型枠21との干渉の問題は生じないため、送風ダクト3を中空鋼管5内で適宜吊り下げて設置するようにすればよい。
【0059】
また、本実施形態では、ジョイント25を送気用開口22に貫通させた状態で該送気用開口に係止することにより、下段ダクト本体26の自重を底型枠21で支持させるようにしたが、下段ダクト本体26の自重が小さいために送風機2から吊持させてもかまわないのであれば、ジョイント25を送気用開口22に係止せず、単に挿通させるようにしてもかまわない。
【0060】
また、本実施形態では、計6本の中空鋼管5に送風ダクト3をそれぞれ設置するようにしたが、これに代えて、フレッシュコンクリート33を空冷してその温度ひび割れを防止できるのであれば、送風ダクト3を設置する中空鋼管5を適宜限定するようにしてもかまわない。例えば、6本の中空鋼管5のうち、中央に立設された2本の中空鋼管5については送風ダクト3の設置を省略するケースが考えられる。
【符号の説明】
【0061】
1 鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置
2 送風機
3 送風ダクト
4 鋼管・コンクリート複合構造橋脚
5 中空鋼管
6 コンクリート躯体
21 底型枠
22 送気用開口
23 排気用開口
24 上段ダクト本体
25 ジョイント
26 下段ダクト本体
33 フレッシュコンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、該送風機に上端で連通接続され下端を介して鋼管・コンクリート複合構造橋脚を構成する鋼管として立設された中空鋼管の内部に連通されるように該中空鋼管内に配置された送風ダクトとを備えるとともに、前記送風機を、前記送風ダクトの上端から該送風ダクト内に空気を送り込んで下方に向けて送気し該空気を前記送風ダクトの下端から吐出して前記中空鋼管の内部に供給するように構成してなり、該中空鋼管の内部に供給された空気は、前記橋脚を構成するコンクリート躯体を形成するために前記中空鋼管の周囲に打設されたフレッシュコンクリートを冷却するようになっていることを特徴とする鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置。
【請求項2】
前記送風ダクトの下端を前記中空鋼管の底部近傍に位置決めした請求項1記載の鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置。
【請求項3】
前記中空鋼管の頂部近傍にて該中空鋼管の内部を上下に仕切る底型枠に2つの開口を形成するとともに、該2つの開口のうち、一方を前記送風ダクトが貫通設置される送気用開口、他方を排気用開口とした請求項1記載の鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置。
【請求項4】
前記送風ダクトを、前記送気用開口に貫通設置されたジョイント、該ジョイントの上側接続端部と前記送風機とをつなぐ上段ダクト本体及び前記ジョイントの下側接続端部に接続されて下方に延びる下段ダクト本体で構成するとともに、前記ジョイントを前記送気用開口に係止した請求項3記載の鋼管・コンクリート複合構造橋脚における打設コンクリートの冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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