錠、ドア構造、及び引き戸構造
【課題】構造が簡単で既存製品にも適用可能であり、経年変化に強く確実な防音性能を発揮できるような錠、ドア構造、引き戸構造を提供する。
【解決手段】ドアハンドル15を回動することによってラッチ14を左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠10において、ラッチ駆動機構を格納するケース部材11の外側及び/又は内側に制振材1を貼着する。制振材1は、鉛、ブチルゴム、アスファルト、鉄粉含有樹脂シート等の制振シートを用いる。制振塗料を塗布してもよい。
【解決手段】ドアハンドル15を回動することによってラッチ14を左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠10において、ラッチ駆動機構を格納するケース部材11の外側及び/又は内側に制振材1を貼着する。制振材1は、鉛、ブチルゴム、アスファルト、鉄粉含有樹脂シート等の制振シートを用いる。制振塗料を塗布してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアや引き戸(以下、「ドア等」という。)に使用される錠に関する。
【背景技術】
【0002】
ドア等は、開閉時に枠とドア等とが衝突して騒音を発生する。又、開閉動作として、ハンドルの回転、ラッチや鎌(フック)の出入、デッドボルトの出入、鍵の挿入・回転・引き抜き、がたつきによる擦れ音や油切れによる軋み等多くの騒音発生が考えられる。
これらの騒音の内、例えば適切な注油や調整によって、擦れ音や軋み音は軽減・消失し、開閉時の枠とドア等との衝突もドアクローザーやドア枠に設置されるクッション用パッキンの使用によって大幅に低減が可能である。
ところが、錠とハンドル周辺は、強度と耐久性の問題から大半は金属部品が使用されているため、ある程度の遊びの空間が必要であり、この空間が災いして、ハンドル操作時に「ガチャガチャ」といった耳障りな音が発生しがちである。金属同士の接触音は中〜高音域のため、音量自体は小さくてもよく聞こえるものである。
【0003】
例えば、ドアの場合、閉じた状態でドア枠に保持するために、ラッチが設けられた錠が使用されている。図15は、ラッチ14を有する錠10を取り付けたドア100を示す正面図であり、図16は、ドア100に取り付けられる錠10の正面図である。
【0004】
図16に示すように、錠10は、主としてラッチ駆動機構(図示しない)、ケース部材11、ラッチ14、及びドアハンドル15から構成されている。ラッチ駆動機構はケース部材11の中に格納されており、ドアハンドル15が軸16を介してラッチ駆動機構と接続されている。そして、ドアハンドル15を回動することによってラッチ駆動機構を介してラッチ14を左右方向に進退動させるようになっている。ドア100閉時において、ラッチ14はドア100の左側端部から突出して、ドア枠に設けたラッチ受けに係合するようになっている。また、ドアハンドル15とドア100の表面との間には、ドアハンドル15を支持するハンドルプレート20が設けられている。
【0005】
このような錠10においては、ラッチ14がラッチ受けに入る際に「カチャ」という音が必ず発生していた。通常は別に気にならなくても、例えば深夜のドア開閉時にはかなり大きな音として聞こえてしまう欠点があった。また、ドアハンドル15を回す音も気になるものであった。
【0006】
また、引き戸に取り付けられる錠には、フックが出没するようにしたものが使用されている。図17は、フック35を有する錠30を取り付けた引き戸200を示す正面図であり、図18は、引き戸200に取り付けられる錠30の正面図である。図18(a)は引き戸200が開いているときの錠30の状態を示しており、図18(b)は引き戸200が閉じているときの錠30の状態を示している。
【0007】
図18(a),(b)に示すように、錠30は、主としてフック駆動機構(図示しない)、ケース部材31、スライドボタン34、及びフック35から構成されている。フック駆動機構はケース部材31の中に格納されており、スライドボタン34及びフック35とそれぞれ接続されている。引き戸200が開いているときはスライドボタン34がケース部材31から突出している。そして、引き戸200を閉めて引き戸200の左側端部が柱や壁等に当接すると、スライドボタン34がケース部材31の中に押し込まれ、これに連動してフック35がケース部材31から突出するようになっている。このときフック35は、柱や壁等に設けたストライカに係合するようになっている。また、引き戸200の表面には、操作ハンドル50を設けた引き手40が取り付けられている。
【0008】
このような錠20においては、フック35がケース部材31から突出するときの音や、ストライカに係合するときに「カチャ」という音が必ず発生していた。通常は別に気にならなくても、例えば深夜のドア開閉時にはかなり大きな音として聞こえてしまう欠点があった。また、操作ハンドル50を操作する音も気になるものであった。
【0009】
上記の問題に対応するために、以下のとおり多くの提案がなされている。
特許文献1には、錠内部に緩衝材を使用してラッチ移動時の衝撃力を吸収する発明が記載されている。また、特許文献2には、錠内部に磁石を使用してラッチの衝突音を低減する発明が記載されている。さらに、特許文献3には、錠内部に高粘性物質を使用してラッチの衝突音を低減する発明が記載されている。
また、特許文献4には、貫通孔が設けられたカバープレートとドアとの間に遮音材を設けた発明が記載されている。
【特許文献1】特開2004−238972号公報
【特許文献2】特開平5−340149号公報
【特許文献3】特開平9−151653号公報
【特許文献4】特開2002−188373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記従来の方法においては、それぞれ以下のような問題点を有していた。
特許文献1乃至特許文献3に記載された錠は、騒音防止のため錠内部に複雑な構造を有するため、コスト高になってしまう。また、既存の錠の内部構造を変更することは困難であり、既存の製品に適用することはできない。
また、特許文献2に記載された錠のように粘性物質を用いた場合には、年数を経るうちに劣化して効果が低減してしまう。ゴム等の緩衝材を用いた場合も同様である。
さらに、特許文献4に記載された発明は、遮音材を用いて貫通孔から漏れる音を遮断するものであり、騒音の発生自体を抑制することはできない。
【0011】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、構造が簡単で既存製品にも適用可能であり、経年変化に強く確実な防音性能を発揮できるような錠、ドア構造、引き戸構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に係る発明の錠は、ドアハンドル(15)を回動することによってラッチ(14)を左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠(10)において、前記ラッチ駆動機構を格納するケース部材(11)の外側及び/又は内側に制振材(1)を貼着したことを特徴とする。
なお、制振材とは、外部から材料内に入ってきた振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収してしまう能力の大きい材料をいう。
【0013】
また、請求項2に係る発明のドア構造は、ドア(100)の左側端部に、ドアハンドル(15)を回動することによってラッチ(14)を左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠(10)が取り付けられるとともに、前記ドアハンドル(15)と前記ドア(100)の表面との間に、前記ドアハンドル(15)を支持するハンドルプレート(20)が設けられてなるドア構造において、前記ハンドルプレート(20)の裏面に制振材(2)を貼着したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る発明の錠は、左右方向に移動する引き戸(200)の左側端部に取り付けられ、フック(35)を左右方向に出没させるフック駆動機構を有する錠(30)において、前記フック駆動機構を格納するケース部材(31)の外側及び/又は内側に制振材(3)を貼着したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る発明の引き戸構造は、左右方向に移動する引き戸(200)の左側端部に、フック(35)を左右方向に出没させるフック駆動機構を有する錠(30)が取り付けられ、前記引き戸(200)の表面に、操作ハンドル(50)を有する引き手(40)が取り付けられるとともに、前記錠(30)には前記フック(35)の出没に連動するスライドプレート(36)が設けられており、前記操作ハンドル(50)には前記操作ハンドル(50)を操作したときに前記スライドプレート(36)に当接して前記フック(35)を没入させる当接部(51)が設けられてなる引き戸構造において、前記引き手(40)の裏面及び/又は前記当接部(51)に制振材(4,5)を貼着したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明において、前記制振材(1,2,3,4,5)は、鉛、ブチルゴム、アスファルト、及び鉄粉含有樹脂シートのうちいずれか一つからなる制振シートであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明において、前記制振材(1,2,3,4,5)の貼着に替えて、制振塗料を塗布したことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明において、前記制振材(1,2,3,4,5)の貼着に替えて、前記ケース部材(11,31)、前記ハンドルプレート(20)、前記引き手(40)及び前記当接部(51)のうちいずれか一つを、二枚の金属板の間に制振材を狭着した制振鋼板により構成したことを特徴とする。
【0019】
なお、括弧内の記号は、発明を実施するための最良の形態および図面に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、ラッチ駆動機構を格納するケース部材の外側及び/又は内側に制振材を貼着するので、ラッチの進退動による振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
また、ケース部材の外側に貼着する場合には錠の内部構造を変更する必要がなく、既存の製品にも容易に適用することができる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明によれば、ドアハンドルとドアの表面との間に設けられたハンドルプレートの裏面に制振材を貼着するので、ドアハンドルの回動による振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明によれば、フック駆動機構を格納するケース部材の外側及び/又は内側に制振材を貼着するので、フックの出没による振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
また、ケース部材の外側に貼着する場合には錠の内部構造を変更する必要がなく、既存の製品にも容易に適用することができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、操作ハンドルを有する引き手の裏面に制振材を貼着するので、操作ハンドルを操作したときの振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
また、錠にはフックの出没に連動するスライドプレートが設けられるとともに、操作ハンドルには操作時にスライドプレートと当接してフックを没入させる当接部が設けられており、その当接部に制振材を貼着するので、操作ハンドルを操作して当接部が当接したときの振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0024】
なお、請求項1乃至請求項4に記載の発明における騒音防止効果は、いずれも制振材を貼着することにより、金属と金属の接触時に生じる振動エネルギーを制振材が熱エネルギーに変換し、吸収してしまうことで生じるものである。
また、請求項1乃至請求項4に記載のいずれの発明においても、制振材を貼着するだけなので、複雑な構造は必要なくコスト高とならない。さらに、制振材は貼着されるだけなので、振動を吸収するごく微小な動きしかなく、磨耗や経年変化が少ない。
【0025】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、制振材として、鉛、ブチルゴム、アスファルト、及び鉄粉含有樹脂シートのうちいずれか一つからなる制振シートを用いるので、制振シートの裏面に接着剤を塗布したり、両面テープを用いたりして容易に貼着することができる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、制振材を貼着する替わりに、制振塗料を塗布するので、凹凸がある箇所や、曲面状の箇所など制振材を貼着しにくい箇所にも対応することができる。
【0027】
また、請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、ケース部材、ハンドルプレート、引き手、当接部に制振材を貼着する替わりに、これらを二枚の金属板の間に制振材を狭着した制振鋼板により構成するので、鋼板があらかじめ制振構造となっており、従来とほぼ同じ工程で製造が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態1に係る錠について説明する。
図1は、実施形態1に係る錠10を示す正面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。ただし、図2は錠10がドア100に取り付けられた状態を示したものである。
【0029】
図1に示すように、錠10は、主としてラッチ駆動機構(図示しない)、ケース部材11、ラッチ14、及びドアハンドル15から構成されている。ラッチ駆動機構はケース部材11の中に格納されており、ドアハンドル15が軸16を介してラッチ駆動機構と接続されている。そして、ドアハンドル15を回動することによってラッチ駆動機構を介してラッチ14を左右方向に進退動させるようになっている。ドア100閉時において、ラッチ14はドア100の左側端部から突出して、ドア枠に設けたラッチ受けに係合するようになっている。
なお、ケース部材11はネジ12によりネジ止めされ、錠10は取付プレート13によりドア100に固定される。
【0030】
一方、ケース部材11の外側には、制振材1が貼着されている。制振材1は、ケース部材11に隙間なく貼着する必要はなく、ネジや軸等の突起部分については省略してよい。
この制振材1は、外部から材料内に入ってきた振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収してしまう能力の大きい材料であれば特に限定されない。特に、鉛、ブチルゴム、アスファルト、鉄粉含有樹脂シート等の制振シートを用いるとよい。制振シートであれば、裏面に接着剤を塗布したり、両面テープを用いたりして容易に貼着することができる。
例えば、住友スリーエム株式会社製のSJ−5600シリーズ(クリアウレタンロールストック)や、SJ5800シリーズ(ウレタンロールストック)を用いることができる。以降に述べる制振材2乃至制振材5についても同様である。
【0031】
図2は、錠10がドア100に取り付けられた状態を示す断面図であり、ドアハンドル15とドア100の表面との間には、ドアハンドル15を支持するハンドルプレート20が設けられている。
実施形態1においては、図2に示すようにケース部材11の表裏面に制振材1を貼着してあるがいずれか一方のみでもよいし、上面、下面、側面に貼着してもよい。さらに、ケース部材11の内側に貼着したり、ケース部材11の外側と内側の両方に貼着してもよい。
【0032】
実施形態1に係る錠10によれば、ラッチ駆動機構を格納するケース部材11の外側に制振材1を貼着するので、ラッチ14の進退動による振動を制振材1が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0033】
また、ケース部材11の外側に貼着するので錠10の内部構造を変更する必要がなく、既存の製品にも容易に適用することができる。従って、既に防音効果のある従来の錠に制振材1を貼着することにより、一層の防音効果が発揮され、無音に近い錠を得る事ができる。
ケース部材11の内側に貼着する場合は、多少部品のサイズを変更する必要がある場合も考えられるが、外側に貼着する場合は、ドア100の取り付け穴を多少大きくする程度の部分的な改修で済む。
【0034】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態2に係るドア構造について説明する。
図3は、実施形態2に係るドア構造を示す正面図であり、図4は、図3のB−B断面図である。ドア100の外観は、従来例を示す図15と同様である。
【0035】
図3に示すように、実施形態2に係るドア構造においては、ドア100にドアハンドル15がハンドルプレート20に支持されて取り付けられている。ハンドルプレート20は、
ドアハンドル15とドア100の表面との間に設けられている。また、ドア100の左側端部からはラッチ14が出入するようになっている。
図4に示すように、ドアハンドル15は、実施形態1と同様にラッチ駆動機構(図示しない)を有する錠10と接続されており、ドア15の回動により、ラッチ14を左右方向に進退動させる点も実施形態1と同様である。
【0036】
一方、ハンドルプレート20の裏面には、制振材2が貼着されている。制振材2は、ハンドルプレート20の裏面に隙間なく貼着する必要はなく、ネジや軸等の突起部分については省略してよい。
なお、実施形態2においては、ドア100の表裏両面にハンドル15を取り付けた構成としているが、もちろんいずれか一方の面のみに取り付けた構成であってもよい。
【0037】
実施形態2に係るドア構造によれば、ドアハンドル15とドア100の表面との間に設けられたハンドルプレート20の裏面に制振材2を貼着するので、ドアハンドル15の回動による振動を制振材2が吸収して、騒音発生を防止することができる。
さらに、実施形態1における錠10への制振材1の貼着と、実施形態2におけるハンドルプレート20の裏面への制振材2の貼着を組み合わせれば、錠部分から発生する広範囲の音について防音効果があり、さらに、既に防音効果のある従来の錠との併用も可能なので、併用すれば極めて高度な防音処理が可能である。
【0038】
次に、図5及び図6を参照して、本発明の実施形態3に係る錠について説明する。
図5は、実施形態3に係る錠30を示す正面図である。錠30は、左右方向に移動する引き戸200の左側端部に取り付けられるものであり、図5(a)は引き戸200が開いているときの錠30の状態を示しており、図5(b)は引き戸200が閉じているときの状態を示している。また、図6は、図5のC−C断面図である。ただし、図6は錠30が引き戸200に取り付けられた状態を示したものである。
【0039】
図5(a),(b)に示すように、錠30は、主としてフック駆動機構(図示しない)、ケース部材31、スライドボタン34、及びフック35から構成されている。フック駆動機構はケース部材31の中に格納されており、スライドボタン34及びフック35とそれぞれ接続されている。引き戸200が開いているときはスライドボタン34がケース部材31から突出している。そして、引き戸200を閉めて引き戸200の左側端部が柱や壁等に当接すると、スライドボタン34がケース部材31の中に押し込まれ、これに連動してフック35がケース部材31から突出するようになっている。このときフック35は、柱や壁等に設けたストライカに係合するようになっている。
なお、ケース部材31はネジ32によりネジ止めされ、錠30は取付プレート33により引き戸200に固定される。
【0040】
一方、ケース部材31の外側には、制振材3が貼着されている。制振材3は、ケース部材31に隙間なく貼着する必要はなく、ネジや軸等の突起部分については省略してよい。
図6は、錠30が引き戸200に取り付けられた状態を示す断面図である。
実施形態3においては、図6に示すようにケース部材31の表裏面に制振材3を貼着してあるがいずれか一方のみでもよいし、上面、下面、側面に貼着してもよい。さらに、ケース部材31の内側に貼着したり、ケース部材31の外側と内側の両方に貼着してもよい。
【0041】
実施形態3に係る錠30によれば、フック駆動機構を格納するケース部材31の外側に制振材3を貼着するので、フック35の出没による振動を制振材3が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0042】
また、ケース部材31の外側に貼着するので錠30の内部構造を変更する必要がなく、既存の製品にも容易に適用することができる。従って、既に防音効果のある従来の錠に制振材3を貼着することにより、一層の防音効果が発揮され、無音に近い錠を得る事ができる。
ケース部材31の内側に貼着する場合は、多少部品のサイズを変更する必要がある場合も考えられるが、外側に貼着する場合は、引き戸200の取り付け穴を多少大きくする程度の部分的な改修で済む。
【0043】
次に、図7乃至図14を参照して、本発明の実施形態4に係る引き戸構造について説明する。実施形態4に係る引き戸構造は、引き戸200に錠を取り付けたものであり、その外観は、従来例を示す図17と同様である。
【0044】
最初に、図7、図8、図13、及び図14を参照して、引き戸200が開いているときの状態について説明する。なお、図8は図7のD−D断面図である。
図7及び図8に示すように、左右方向に移動する引き戸200には錠30が取り付けられている。引き戸200が開いているときには、スライドボタン34がケース部材31から突出している。また、ケース部材31の右側面(スライドボタン34の突出面と反対側)からはスライドプレート36が右方向に突出している。このスライドプレート36は、後述するようにフック36の出没に連動するようになっている。
【0045】
一方、引き戸200の表裏面には、引き手40が取り付けられており、引き手40に手を引っ掛けることにより、引き戸200を左右に移動できるようになっている。引き手40は、引き戸200の表裏面に埋設されて、凹部に手を引っ掛けることができるように、断面略U字形の矩形状の板材から形成されている。また、引き手40には、操作ハンドル50が軸53を介して取り付けられている。引き戸200を右方向(開く方向)に移動させるときには、操作ハンドル50に手を掛けて操作ハンドル50を軸53を中心に回転させるようになっている。
なお、実施形態4においては、引き戸200の表裏両面に引き手40を取り付けた構成としているが、もちろんいずれか一方の面のみに取り付けた構成であってもよい。
【0046】
また、図13に示すように、引き手40には、後述する操作ハンドル50の当接部51が通過可能な開口部41が設けられるとともに、裏面に制振材4が貼着されている。制振材4は、引き手40の裏面に隙間なく貼着する必要はなく、ネジ42等の突起部分については省略してよい。
また、図14に示すように、操作ハンドル50は、断面略L字形に屈曲した略半月形の本体部52と、本体部52の側端部中央に設けられた当接部51からなり、当接部51の表裏面には制振材5が貼着されている。なお、制振材5は、当接部51の表裏面のどちらか一方に貼着してもよい。
また、制振材4と制振材5のいずれか一方を用いてもよいが、両方を用いる方がより効果的である。
【0047】
次に、図9及び図10を参照して、引き戸200が閉じているときの状態について説明する。なお、図10は図9のD−D断面図である。
図9及び図10に示すように、引き戸200が閉じているときには、引き戸200の左側端部が柱や壁等に当接してスライドボタン34がケース部材31の中に押し込まれ、これに連動してフック35がケース部材31から左方向に突出している。そしてフック35が柱や壁等に設けたストライカに係合している。
また、フック35が左方向に突出するのに連動して、ケース部材31の右側面から突出するスライドプレート36が右方向にさらに突出し、操作ハンドル50の当接部51と当接する直前の位置まで移動している。
【0048】
次に、図11及び図12を参照して、引き戸200を開くときの動きについて説明する。なお、図12は図11のD−D断面図である。
図11及び図12に示すように、引き戸200が開くときには、引き戸200を開く方向(右方向)に移動させるために、引き手40の操作ハンドル50に手を引っ掛ける。このとき、操作ハンドル50は、軸53を中心に回転する。そして、この回転の動きに合わせて、操作ハンドル50の当接部51が、引き戸200閉時に突出したスライドプレート36をケース部材31の中に押し戻す。そうすると、スライドプレート36の動きに連動してフック35がケース部材31の中に入り込み、柱や壁等に設けられたストライカからはずれ、引き戸200を開く方向に移動させることが可能となる。
【0049】
実施形態4に係る引き戸構造によれば、操作ハンドル50を有する引き手40の裏面に制振材4を貼着するので、操作ハンドル50を操作したときの振動を制振材4が吸収して、騒音発生を防止することができる。
また、錠30にはフック35の出没に連動するスライドプレート36が設けられるとともに、操作ハンドル50には操作時にスライドプレート36と当接してフック35を没入させる当接部51が設けられており、その当接部51に制振材5を貼着するので、操作ハンドル50を操作して当接部51が当接したときの振動を制振材5が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0050】
とくに、引き戸200における、錠30及び引き手40を取り付ける部分は、引き戸200の左側端部、表面、裏面が貫通孔となっており、騒音が筒抜けになりやすいため、制振材4及び制振材5の貼着が非常に効果的である。
さらに、実施形態3における錠30への制振材3の貼着と、実施形態4における引き手40の裏面への制振材4、当接部51への制振材5の貼着を組み合わせれば、錠部分から発生する広範囲の音について防音効果があり、さらに、既に防音効果のある従来の錠との併用も可能なので、併用すれば極めて高度な防音処理が可能である。
【0051】
上記実施形態1乃至実施形態4における騒音防止効果は、いずれも制振材を貼着することにより、金属と金属の接触時に生じる振動エネルギーを制振材が熱エネルギーに変換し、吸収してしまうことで生じるものである。
また、制振材を貼着するだけなので、複雑な構造は必要なくコスト高とならない。さらに、制振材は貼着されるだけなので、振動を吸収するごく微小な動きしかなく、磨耗や経年変化が少ない。
【0052】
また、上記騒音防止効果は、金属同士の接触によって発生する騒音の内、「カチャカチャ」といったような耳障りな中〜高音域の音を中心に、制振材の作用で吸振・減衰が行なわれる。その結果、発生する音は低〜中音域中心の「コトコト」といった気にならない音が残る程度で、例えて言うならば、ハイヒール歩行音がゴム底運動靴の歩行音に変わったような感じとなる。これらの音質は小さいが重厚感のある音でドア等の高級感が増すとも言える。
【0053】
また、上記実施形態においては、制振材を貼着する替わりに、制振塗料を塗布してもよい。制振塗料であれば、凹凸がある箇所や、曲面状の箇所など制振材を貼着しにくい箇所にも対応することができる。
【0054】
また、上記実施形態においては、ケース部材11,31、ハンドルプレート20、引き手40、当接部51に制振材1〜5を貼着する替わりに、これらを二枚の金属板の間に制振材を狭着した制振鋼板により構成してもよい。制振鋼板であれば、鋼板があらかじめ制振構造となっており、従来とほぼ同じ工程で製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態1に係る錠を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】実施形態2に係るドア構造を示す正面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】実施形態3に係る錠を示す正面図であり、(a)は引き戸が開いた状態、(b)は引き戸が閉じた状態を示す。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】実施形態4に係る引き戸構造において、引き戸が開いた状態を示す正面図である。
【図8】図7のD−D断面図である。
【図9】実施形態4に係る引き戸構造において、引き戸が閉じた状態を示す正面図である。
【図10】図9のD−D断面図である。
【図11】実施形態4に係る引き戸構造において、引き戸を開くときの状態を示す正面図である。
【図12】図11のD−D断面図である。
【図13】実施形態4に係る引き手を示す背面図である。
【図14】実施形態4に係る操作ハンドルを示す斜視図である。
【図15】従来例に係るドアを示す正面図である。
【図16】従来例に係る錠を示す正面図である。
【図17】従来例に係る引き戸を示す正面図である。
【図18】従来例に係る錠を示す正面図であり、(a)は引き戸が開いた状態、(b)は引き戸が閉じた状態を示す。
【符号の説明】
【0056】
1 制振材
2 制振材
3 制振材
4 制振材
5 制振材
10 錠
11 ケース部材
12 ネジ
13 取付プレート
14 ラッチ
15 ドアハンドル
16 軸
20 ハンドルプレート
30 錠
31 ケース部材
32 ネジ
33 取付プレート
34 スライドボタン
35 フック
36 スライドプレート
40 引き手
41 開口部
42 ネジ
50 操作ハンドル
51 当接部
52 本体部
53 軸
100 ドア
200 引き戸
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアや引き戸(以下、「ドア等」という。)に使用される錠に関する。
【背景技術】
【0002】
ドア等は、開閉時に枠とドア等とが衝突して騒音を発生する。又、開閉動作として、ハンドルの回転、ラッチや鎌(フック)の出入、デッドボルトの出入、鍵の挿入・回転・引き抜き、がたつきによる擦れ音や油切れによる軋み等多くの騒音発生が考えられる。
これらの騒音の内、例えば適切な注油や調整によって、擦れ音や軋み音は軽減・消失し、開閉時の枠とドア等との衝突もドアクローザーやドア枠に設置されるクッション用パッキンの使用によって大幅に低減が可能である。
ところが、錠とハンドル周辺は、強度と耐久性の問題から大半は金属部品が使用されているため、ある程度の遊びの空間が必要であり、この空間が災いして、ハンドル操作時に「ガチャガチャ」といった耳障りな音が発生しがちである。金属同士の接触音は中〜高音域のため、音量自体は小さくてもよく聞こえるものである。
【0003】
例えば、ドアの場合、閉じた状態でドア枠に保持するために、ラッチが設けられた錠が使用されている。図15は、ラッチ14を有する錠10を取り付けたドア100を示す正面図であり、図16は、ドア100に取り付けられる錠10の正面図である。
【0004】
図16に示すように、錠10は、主としてラッチ駆動機構(図示しない)、ケース部材11、ラッチ14、及びドアハンドル15から構成されている。ラッチ駆動機構はケース部材11の中に格納されており、ドアハンドル15が軸16を介してラッチ駆動機構と接続されている。そして、ドアハンドル15を回動することによってラッチ駆動機構を介してラッチ14を左右方向に進退動させるようになっている。ドア100閉時において、ラッチ14はドア100の左側端部から突出して、ドア枠に設けたラッチ受けに係合するようになっている。また、ドアハンドル15とドア100の表面との間には、ドアハンドル15を支持するハンドルプレート20が設けられている。
【0005】
このような錠10においては、ラッチ14がラッチ受けに入る際に「カチャ」という音が必ず発生していた。通常は別に気にならなくても、例えば深夜のドア開閉時にはかなり大きな音として聞こえてしまう欠点があった。また、ドアハンドル15を回す音も気になるものであった。
【0006】
また、引き戸に取り付けられる錠には、フックが出没するようにしたものが使用されている。図17は、フック35を有する錠30を取り付けた引き戸200を示す正面図であり、図18は、引き戸200に取り付けられる錠30の正面図である。図18(a)は引き戸200が開いているときの錠30の状態を示しており、図18(b)は引き戸200が閉じているときの錠30の状態を示している。
【0007】
図18(a),(b)に示すように、錠30は、主としてフック駆動機構(図示しない)、ケース部材31、スライドボタン34、及びフック35から構成されている。フック駆動機構はケース部材31の中に格納されており、スライドボタン34及びフック35とそれぞれ接続されている。引き戸200が開いているときはスライドボタン34がケース部材31から突出している。そして、引き戸200を閉めて引き戸200の左側端部が柱や壁等に当接すると、スライドボタン34がケース部材31の中に押し込まれ、これに連動してフック35がケース部材31から突出するようになっている。このときフック35は、柱や壁等に設けたストライカに係合するようになっている。また、引き戸200の表面には、操作ハンドル50を設けた引き手40が取り付けられている。
【0008】
このような錠20においては、フック35がケース部材31から突出するときの音や、ストライカに係合するときに「カチャ」という音が必ず発生していた。通常は別に気にならなくても、例えば深夜のドア開閉時にはかなり大きな音として聞こえてしまう欠点があった。また、操作ハンドル50を操作する音も気になるものであった。
【0009】
上記の問題に対応するために、以下のとおり多くの提案がなされている。
特許文献1には、錠内部に緩衝材を使用してラッチ移動時の衝撃力を吸収する発明が記載されている。また、特許文献2には、錠内部に磁石を使用してラッチの衝突音を低減する発明が記載されている。さらに、特許文献3には、錠内部に高粘性物質を使用してラッチの衝突音を低減する発明が記載されている。
また、特許文献4には、貫通孔が設けられたカバープレートとドアとの間に遮音材を設けた発明が記載されている。
【特許文献1】特開2004−238972号公報
【特許文献2】特開平5−340149号公報
【特許文献3】特開平9−151653号公報
【特許文献4】特開2002−188373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記従来の方法においては、それぞれ以下のような問題点を有していた。
特許文献1乃至特許文献3に記載された錠は、騒音防止のため錠内部に複雑な構造を有するため、コスト高になってしまう。また、既存の錠の内部構造を変更することは困難であり、既存の製品に適用することはできない。
また、特許文献2に記載された錠のように粘性物質を用いた場合には、年数を経るうちに劣化して効果が低減してしまう。ゴム等の緩衝材を用いた場合も同様である。
さらに、特許文献4に記載された発明は、遮音材を用いて貫通孔から漏れる音を遮断するものであり、騒音の発生自体を抑制することはできない。
【0011】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、構造が簡単で既存製品にも適用可能であり、経年変化に強く確実な防音性能を発揮できるような錠、ドア構造、引き戸構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に係る発明の錠は、ドアハンドル(15)を回動することによってラッチ(14)を左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠(10)において、前記ラッチ駆動機構を格納するケース部材(11)の外側及び/又は内側に制振材(1)を貼着したことを特徴とする。
なお、制振材とは、外部から材料内に入ってきた振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収してしまう能力の大きい材料をいう。
【0013】
また、請求項2に係る発明のドア構造は、ドア(100)の左側端部に、ドアハンドル(15)を回動することによってラッチ(14)を左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠(10)が取り付けられるとともに、前記ドアハンドル(15)と前記ドア(100)の表面との間に、前記ドアハンドル(15)を支持するハンドルプレート(20)が設けられてなるドア構造において、前記ハンドルプレート(20)の裏面に制振材(2)を貼着したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る発明の錠は、左右方向に移動する引き戸(200)の左側端部に取り付けられ、フック(35)を左右方向に出没させるフック駆動機構を有する錠(30)において、前記フック駆動機構を格納するケース部材(31)の外側及び/又は内側に制振材(3)を貼着したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る発明の引き戸構造は、左右方向に移動する引き戸(200)の左側端部に、フック(35)を左右方向に出没させるフック駆動機構を有する錠(30)が取り付けられ、前記引き戸(200)の表面に、操作ハンドル(50)を有する引き手(40)が取り付けられるとともに、前記錠(30)には前記フック(35)の出没に連動するスライドプレート(36)が設けられており、前記操作ハンドル(50)には前記操作ハンドル(50)を操作したときに前記スライドプレート(36)に当接して前記フック(35)を没入させる当接部(51)が設けられてなる引き戸構造において、前記引き手(40)の裏面及び/又は前記当接部(51)に制振材(4,5)を貼着したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明において、前記制振材(1,2,3,4,5)は、鉛、ブチルゴム、アスファルト、及び鉄粉含有樹脂シートのうちいずれか一つからなる制振シートであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明において、前記制振材(1,2,3,4,5)の貼着に替えて、制振塗料を塗布したことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明において、前記制振材(1,2,3,4,5)の貼着に替えて、前記ケース部材(11,31)、前記ハンドルプレート(20)、前記引き手(40)及び前記当接部(51)のうちいずれか一つを、二枚の金属板の間に制振材を狭着した制振鋼板により構成したことを特徴とする。
【0019】
なお、括弧内の記号は、発明を実施するための最良の形態および図面に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、ラッチ駆動機構を格納するケース部材の外側及び/又は内側に制振材を貼着するので、ラッチの進退動による振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
また、ケース部材の外側に貼着する場合には錠の内部構造を変更する必要がなく、既存の製品にも容易に適用することができる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明によれば、ドアハンドルとドアの表面との間に設けられたハンドルプレートの裏面に制振材を貼着するので、ドアハンドルの回動による振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明によれば、フック駆動機構を格納するケース部材の外側及び/又は内側に制振材を貼着するので、フックの出没による振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
また、ケース部材の外側に貼着する場合には錠の内部構造を変更する必要がなく、既存の製品にも容易に適用することができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、操作ハンドルを有する引き手の裏面に制振材を貼着するので、操作ハンドルを操作したときの振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
また、錠にはフックの出没に連動するスライドプレートが設けられるとともに、操作ハンドルには操作時にスライドプレートと当接してフックを没入させる当接部が設けられており、その当接部に制振材を貼着するので、操作ハンドルを操作して当接部が当接したときの振動を制振材が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0024】
なお、請求項1乃至請求項4に記載の発明における騒音防止効果は、いずれも制振材を貼着することにより、金属と金属の接触時に生じる振動エネルギーを制振材が熱エネルギーに変換し、吸収してしまうことで生じるものである。
また、請求項1乃至請求項4に記載のいずれの発明においても、制振材を貼着するだけなので、複雑な構造は必要なくコスト高とならない。さらに、制振材は貼着されるだけなので、振動を吸収するごく微小な動きしかなく、磨耗や経年変化が少ない。
【0025】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、制振材として、鉛、ブチルゴム、アスファルト、及び鉄粉含有樹脂シートのうちいずれか一つからなる制振シートを用いるので、制振シートの裏面に接着剤を塗布したり、両面テープを用いたりして容易に貼着することができる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、制振材を貼着する替わりに、制振塗料を塗布するので、凹凸がある箇所や、曲面状の箇所など制振材を貼着しにくい箇所にも対応することができる。
【0027】
また、請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、ケース部材、ハンドルプレート、引き手、当接部に制振材を貼着する替わりに、これらを二枚の金属板の間に制振材を狭着した制振鋼板により構成するので、鋼板があらかじめ制振構造となっており、従来とほぼ同じ工程で製造が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態1に係る錠について説明する。
図1は、実施形態1に係る錠10を示す正面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。ただし、図2は錠10がドア100に取り付けられた状態を示したものである。
【0029】
図1に示すように、錠10は、主としてラッチ駆動機構(図示しない)、ケース部材11、ラッチ14、及びドアハンドル15から構成されている。ラッチ駆動機構はケース部材11の中に格納されており、ドアハンドル15が軸16を介してラッチ駆動機構と接続されている。そして、ドアハンドル15を回動することによってラッチ駆動機構を介してラッチ14を左右方向に進退動させるようになっている。ドア100閉時において、ラッチ14はドア100の左側端部から突出して、ドア枠に設けたラッチ受けに係合するようになっている。
なお、ケース部材11はネジ12によりネジ止めされ、錠10は取付プレート13によりドア100に固定される。
【0030】
一方、ケース部材11の外側には、制振材1が貼着されている。制振材1は、ケース部材11に隙間なく貼着する必要はなく、ネジや軸等の突起部分については省略してよい。
この制振材1は、外部から材料内に入ってきた振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収してしまう能力の大きい材料であれば特に限定されない。特に、鉛、ブチルゴム、アスファルト、鉄粉含有樹脂シート等の制振シートを用いるとよい。制振シートであれば、裏面に接着剤を塗布したり、両面テープを用いたりして容易に貼着することができる。
例えば、住友スリーエム株式会社製のSJ−5600シリーズ(クリアウレタンロールストック)や、SJ5800シリーズ(ウレタンロールストック)を用いることができる。以降に述べる制振材2乃至制振材5についても同様である。
【0031】
図2は、錠10がドア100に取り付けられた状態を示す断面図であり、ドアハンドル15とドア100の表面との間には、ドアハンドル15を支持するハンドルプレート20が設けられている。
実施形態1においては、図2に示すようにケース部材11の表裏面に制振材1を貼着してあるがいずれか一方のみでもよいし、上面、下面、側面に貼着してもよい。さらに、ケース部材11の内側に貼着したり、ケース部材11の外側と内側の両方に貼着してもよい。
【0032】
実施形態1に係る錠10によれば、ラッチ駆動機構を格納するケース部材11の外側に制振材1を貼着するので、ラッチ14の進退動による振動を制振材1が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0033】
また、ケース部材11の外側に貼着するので錠10の内部構造を変更する必要がなく、既存の製品にも容易に適用することができる。従って、既に防音効果のある従来の錠に制振材1を貼着することにより、一層の防音効果が発揮され、無音に近い錠を得る事ができる。
ケース部材11の内側に貼着する場合は、多少部品のサイズを変更する必要がある場合も考えられるが、外側に貼着する場合は、ドア100の取り付け穴を多少大きくする程度の部分的な改修で済む。
【0034】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態2に係るドア構造について説明する。
図3は、実施形態2に係るドア構造を示す正面図であり、図4は、図3のB−B断面図である。ドア100の外観は、従来例を示す図15と同様である。
【0035】
図3に示すように、実施形態2に係るドア構造においては、ドア100にドアハンドル15がハンドルプレート20に支持されて取り付けられている。ハンドルプレート20は、
ドアハンドル15とドア100の表面との間に設けられている。また、ドア100の左側端部からはラッチ14が出入するようになっている。
図4に示すように、ドアハンドル15は、実施形態1と同様にラッチ駆動機構(図示しない)を有する錠10と接続されており、ドア15の回動により、ラッチ14を左右方向に進退動させる点も実施形態1と同様である。
【0036】
一方、ハンドルプレート20の裏面には、制振材2が貼着されている。制振材2は、ハンドルプレート20の裏面に隙間なく貼着する必要はなく、ネジや軸等の突起部分については省略してよい。
なお、実施形態2においては、ドア100の表裏両面にハンドル15を取り付けた構成としているが、もちろんいずれか一方の面のみに取り付けた構成であってもよい。
【0037】
実施形態2に係るドア構造によれば、ドアハンドル15とドア100の表面との間に設けられたハンドルプレート20の裏面に制振材2を貼着するので、ドアハンドル15の回動による振動を制振材2が吸収して、騒音発生を防止することができる。
さらに、実施形態1における錠10への制振材1の貼着と、実施形態2におけるハンドルプレート20の裏面への制振材2の貼着を組み合わせれば、錠部分から発生する広範囲の音について防音効果があり、さらに、既に防音効果のある従来の錠との併用も可能なので、併用すれば極めて高度な防音処理が可能である。
【0038】
次に、図5及び図6を参照して、本発明の実施形態3に係る錠について説明する。
図5は、実施形態3に係る錠30を示す正面図である。錠30は、左右方向に移動する引き戸200の左側端部に取り付けられるものであり、図5(a)は引き戸200が開いているときの錠30の状態を示しており、図5(b)は引き戸200が閉じているときの状態を示している。また、図6は、図5のC−C断面図である。ただし、図6は錠30が引き戸200に取り付けられた状態を示したものである。
【0039】
図5(a),(b)に示すように、錠30は、主としてフック駆動機構(図示しない)、ケース部材31、スライドボタン34、及びフック35から構成されている。フック駆動機構はケース部材31の中に格納されており、スライドボタン34及びフック35とそれぞれ接続されている。引き戸200が開いているときはスライドボタン34がケース部材31から突出している。そして、引き戸200を閉めて引き戸200の左側端部が柱や壁等に当接すると、スライドボタン34がケース部材31の中に押し込まれ、これに連動してフック35がケース部材31から突出するようになっている。このときフック35は、柱や壁等に設けたストライカに係合するようになっている。
なお、ケース部材31はネジ32によりネジ止めされ、錠30は取付プレート33により引き戸200に固定される。
【0040】
一方、ケース部材31の外側には、制振材3が貼着されている。制振材3は、ケース部材31に隙間なく貼着する必要はなく、ネジや軸等の突起部分については省略してよい。
図6は、錠30が引き戸200に取り付けられた状態を示す断面図である。
実施形態3においては、図6に示すようにケース部材31の表裏面に制振材3を貼着してあるがいずれか一方のみでもよいし、上面、下面、側面に貼着してもよい。さらに、ケース部材31の内側に貼着したり、ケース部材31の外側と内側の両方に貼着してもよい。
【0041】
実施形態3に係る錠30によれば、フック駆動機構を格納するケース部材31の外側に制振材3を貼着するので、フック35の出没による振動を制振材3が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0042】
また、ケース部材31の外側に貼着するので錠30の内部構造を変更する必要がなく、既存の製品にも容易に適用することができる。従って、既に防音効果のある従来の錠に制振材3を貼着することにより、一層の防音効果が発揮され、無音に近い錠を得る事ができる。
ケース部材31の内側に貼着する場合は、多少部品のサイズを変更する必要がある場合も考えられるが、外側に貼着する場合は、引き戸200の取り付け穴を多少大きくする程度の部分的な改修で済む。
【0043】
次に、図7乃至図14を参照して、本発明の実施形態4に係る引き戸構造について説明する。実施形態4に係る引き戸構造は、引き戸200に錠を取り付けたものであり、その外観は、従来例を示す図17と同様である。
【0044】
最初に、図7、図8、図13、及び図14を参照して、引き戸200が開いているときの状態について説明する。なお、図8は図7のD−D断面図である。
図7及び図8に示すように、左右方向に移動する引き戸200には錠30が取り付けられている。引き戸200が開いているときには、スライドボタン34がケース部材31から突出している。また、ケース部材31の右側面(スライドボタン34の突出面と反対側)からはスライドプレート36が右方向に突出している。このスライドプレート36は、後述するようにフック36の出没に連動するようになっている。
【0045】
一方、引き戸200の表裏面には、引き手40が取り付けられており、引き手40に手を引っ掛けることにより、引き戸200を左右に移動できるようになっている。引き手40は、引き戸200の表裏面に埋設されて、凹部に手を引っ掛けることができるように、断面略U字形の矩形状の板材から形成されている。また、引き手40には、操作ハンドル50が軸53を介して取り付けられている。引き戸200を右方向(開く方向)に移動させるときには、操作ハンドル50に手を掛けて操作ハンドル50を軸53を中心に回転させるようになっている。
なお、実施形態4においては、引き戸200の表裏両面に引き手40を取り付けた構成としているが、もちろんいずれか一方の面のみに取り付けた構成であってもよい。
【0046】
また、図13に示すように、引き手40には、後述する操作ハンドル50の当接部51が通過可能な開口部41が設けられるとともに、裏面に制振材4が貼着されている。制振材4は、引き手40の裏面に隙間なく貼着する必要はなく、ネジ42等の突起部分については省略してよい。
また、図14に示すように、操作ハンドル50は、断面略L字形に屈曲した略半月形の本体部52と、本体部52の側端部中央に設けられた当接部51からなり、当接部51の表裏面には制振材5が貼着されている。なお、制振材5は、当接部51の表裏面のどちらか一方に貼着してもよい。
また、制振材4と制振材5のいずれか一方を用いてもよいが、両方を用いる方がより効果的である。
【0047】
次に、図9及び図10を参照して、引き戸200が閉じているときの状態について説明する。なお、図10は図9のD−D断面図である。
図9及び図10に示すように、引き戸200が閉じているときには、引き戸200の左側端部が柱や壁等に当接してスライドボタン34がケース部材31の中に押し込まれ、これに連動してフック35がケース部材31から左方向に突出している。そしてフック35が柱や壁等に設けたストライカに係合している。
また、フック35が左方向に突出するのに連動して、ケース部材31の右側面から突出するスライドプレート36が右方向にさらに突出し、操作ハンドル50の当接部51と当接する直前の位置まで移動している。
【0048】
次に、図11及び図12を参照して、引き戸200を開くときの動きについて説明する。なお、図12は図11のD−D断面図である。
図11及び図12に示すように、引き戸200が開くときには、引き戸200を開く方向(右方向)に移動させるために、引き手40の操作ハンドル50に手を引っ掛ける。このとき、操作ハンドル50は、軸53を中心に回転する。そして、この回転の動きに合わせて、操作ハンドル50の当接部51が、引き戸200閉時に突出したスライドプレート36をケース部材31の中に押し戻す。そうすると、スライドプレート36の動きに連動してフック35がケース部材31の中に入り込み、柱や壁等に設けられたストライカからはずれ、引き戸200を開く方向に移動させることが可能となる。
【0049】
実施形態4に係る引き戸構造によれば、操作ハンドル50を有する引き手40の裏面に制振材4を貼着するので、操作ハンドル50を操作したときの振動を制振材4が吸収して、騒音発生を防止することができる。
また、錠30にはフック35の出没に連動するスライドプレート36が設けられるとともに、操作ハンドル50には操作時にスライドプレート36と当接してフック35を没入させる当接部51が設けられており、その当接部51に制振材5を貼着するので、操作ハンドル50を操作して当接部51が当接したときの振動を制振材5が吸収して、騒音発生を防止することができる。
【0050】
とくに、引き戸200における、錠30及び引き手40を取り付ける部分は、引き戸200の左側端部、表面、裏面が貫通孔となっており、騒音が筒抜けになりやすいため、制振材4及び制振材5の貼着が非常に効果的である。
さらに、実施形態3における錠30への制振材3の貼着と、実施形態4における引き手40の裏面への制振材4、当接部51への制振材5の貼着を組み合わせれば、錠部分から発生する広範囲の音について防音効果があり、さらに、既に防音効果のある従来の錠との併用も可能なので、併用すれば極めて高度な防音処理が可能である。
【0051】
上記実施形態1乃至実施形態4における騒音防止効果は、いずれも制振材を貼着することにより、金属と金属の接触時に生じる振動エネルギーを制振材が熱エネルギーに変換し、吸収してしまうことで生じるものである。
また、制振材を貼着するだけなので、複雑な構造は必要なくコスト高とならない。さらに、制振材は貼着されるだけなので、振動を吸収するごく微小な動きしかなく、磨耗や経年変化が少ない。
【0052】
また、上記騒音防止効果は、金属同士の接触によって発生する騒音の内、「カチャカチャ」といったような耳障りな中〜高音域の音を中心に、制振材の作用で吸振・減衰が行なわれる。その結果、発生する音は低〜中音域中心の「コトコト」といった気にならない音が残る程度で、例えて言うならば、ハイヒール歩行音がゴム底運動靴の歩行音に変わったような感じとなる。これらの音質は小さいが重厚感のある音でドア等の高級感が増すとも言える。
【0053】
また、上記実施形態においては、制振材を貼着する替わりに、制振塗料を塗布してもよい。制振塗料であれば、凹凸がある箇所や、曲面状の箇所など制振材を貼着しにくい箇所にも対応することができる。
【0054】
また、上記実施形態においては、ケース部材11,31、ハンドルプレート20、引き手40、当接部51に制振材1〜5を貼着する替わりに、これらを二枚の金属板の間に制振材を狭着した制振鋼板により構成してもよい。制振鋼板であれば、鋼板があらかじめ制振構造となっており、従来とほぼ同じ工程で製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態1に係る錠を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】実施形態2に係るドア構造を示す正面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】実施形態3に係る錠を示す正面図であり、(a)は引き戸が開いた状態、(b)は引き戸が閉じた状態を示す。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】実施形態4に係る引き戸構造において、引き戸が開いた状態を示す正面図である。
【図8】図7のD−D断面図である。
【図9】実施形態4に係る引き戸構造において、引き戸が閉じた状態を示す正面図である。
【図10】図9のD−D断面図である。
【図11】実施形態4に係る引き戸構造において、引き戸を開くときの状態を示す正面図である。
【図12】図11のD−D断面図である。
【図13】実施形態4に係る引き手を示す背面図である。
【図14】実施形態4に係る操作ハンドルを示す斜視図である。
【図15】従来例に係るドアを示す正面図である。
【図16】従来例に係る錠を示す正面図である。
【図17】従来例に係る引き戸を示す正面図である。
【図18】従来例に係る錠を示す正面図であり、(a)は引き戸が開いた状態、(b)は引き戸が閉じた状態を示す。
【符号の説明】
【0056】
1 制振材
2 制振材
3 制振材
4 制振材
5 制振材
10 錠
11 ケース部材
12 ネジ
13 取付プレート
14 ラッチ
15 ドアハンドル
16 軸
20 ハンドルプレート
30 錠
31 ケース部材
32 ネジ
33 取付プレート
34 スライドボタン
35 フック
36 スライドプレート
40 引き手
41 開口部
42 ネジ
50 操作ハンドル
51 当接部
52 本体部
53 軸
100 ドア
200 引き戸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアハンドルを回動することによってラッチを左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠において、
前記ラッチ駆動機構を格納するケース部材の外側及び/又は内側に制振材を貼着したことを特徴とする錠。
【請求項2】
ドアの左側端部に、ドアハンドルを回動することによってラッチを左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠が取り付けられるとともに、前記ドアハンドルと前記ドアの表面との間に、前記ドアハンドルを支持するハンドルプレートが設けられてなるドア構造において、
前記ハンドルプレートの裏面に制振材を貼着したことを特徴とするドア構造。
【請求項3】
左右方向に移動する引き戸の左側端部に取り付けられ、フックを左右方向に出没させるフック駆動機構を有する錠において、
前記フック駆動機構を格納するケース部材の外側及び/又は内側に制振材を貼着したことを特徴とする錠。
【請求項4】
左右方向に移動する引き戸の左側端部に、フックを左右方向に出没させるフック駆動機構を有する錠が取り付けられ、前記引き戸の表面に、操作ハンドルを有する引き手が取り付けられるとともに、前記錠には前記フックの出没に連動するスライドプレートが設けられており、前記操作ハンドルには前記操作ハンドルを操作したときに前記スライドプレートに当接して前記フックを没入させる当接部が設けられてなる引き戸構造において、
前記引き手の裏面及び/又は前記当接部に制振材を貼着したことを特徴とする引き戸構造。
【請求項5】
前記制振材は、鉛、ブチルゴム、アスファルト、及び鉄粉含有樹脂シートのうちいずれか一つからなる制振シートであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の錠、ドア構造、及び引き戸構造。
【請求項6】
前記制振材の貼着に替えて、制振塗料を塗布したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の錠、ドア構造、及び引き戸構造。
【請求項7】
前記制振材の貼着に替えて、前記ケース部材、前記ハンドルプレート、前記引き手及び前記当接部のうちいずれか一つを、二枚の金属板の間に制振材を狭着した制振鋼板により構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の錠、ドア構造、及び引き戸構造。
【請求項1】
ドアハンドルを回動することによってラッチを左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠において、
前記ラッチ駆動機構を格納するケース部材の外側及び/又は内側に制振材を貼着したことを特徴とする錠。
【請求項2】
ドアの左側端部に、ドアハンドルを回動することによってラッチを左右方向に進退動させるラッチ駆動機構を有する錠が取り付けられるとともに、前記ドアハンドルと前記ドアの表面との間に、前記ドアハンドルを支持するハンドルプレートが設けられてなるドア構造において、
前記ハンドルプレートの裏面に制振材を貼着したことを特徴とするドア構造。
【請求項3】
左右方向に移動する引き戸の左側端部に取り付けられ、フックを左右方向に出没させるフック駆動機構を有する錠において、
前記フック駆動機構を格納するケース部材の外側及び/又は内側に制振材を貼着したことを特徴とする錠。
【請求項4】
左右方向に移動する引き戸の左側端部に、フックを左右方向に出没させるフック駆動機構を有する錠が取り付けられ、前記引き戸の表面に、操作ハンドルを有する引き手が取り付けられるとともに、前記錠には前記フックの出没に連動するスライドプレートが設けられており、前記操作ハンドルには前記操作ハンドルを操作したときに前記スライドプレートに当接して前記フックを没入させる当接部が設けられてなる引き戸構造において、
前記引き手の裏面及び/又は前記当接部に制振材を貼着したことを特徴とする引き戸構造。
【請求項5】
前記制振材は、鉛、ブチルゴム、アスファルト、及び鉄粉含有樹脂シートのうちいずれか一つからなる制振シートであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の錠、ドア構造、及び引き戸構造。
【請求項6】
前記制振材の貼着に替えて、制振塗料を塗布したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の錠、ドア構造、及び引き戸構造。
【請求項7】
前記制振材の貼着に替えて、前記ケース部材、前記ハンドルプレート、前記引き手及び前記当接部のうちいずれか一つを、二枚の金属板の間に制振材を狭着した制振鋼板により構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つに記載の錠、ドア構造、及び引き戸構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−23590(P2007−23590A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206512(P2005−206512)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)
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