説明

錠剤計数監査装置

【課題】能率・稼働率の良い錠剤計数監査装置を安価に提供するため、分包紙の特質に基づいて既存の部品等を有効利用することによりコストアップを抑えながら分包紙の捻れ検出および捻れ解消を行えるようにする。
【解決手段】分包紙10にミシン目で区分されて連なる包みを撮像装置63で撮像してその中の剤数を自動確認する錠剤計数監査装置において、その撮像データに基づいてミシン目の傾きを検出する傾斜検出手段32と、その検出に基づいてその傾きを無くす方に分包紙10の移送方向を変える移送機構44〜46とを備える。また、包みに機械的作用を加えてその中の薬剤を散開させる散開機構51〜54を撮像位置65の上流に設け、移送機構41〜46には分包紙10の逆送も行えるものを採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分包された錠剤を包みから出すことなく撮像して数え上げる錠剤計数監査装置に関し、詳しくは、包みの連なった帯状の分包紙を移送して連続処理する錠剤計数監査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処方箋情報等に基づいて錠剤を次々と分包紙に区分封入して錠剤の包み(分包体)を連続形成する錠剤分包機に隣接して設置され、その調剤済み分包紙(分包帯)を受け取って順に各々の包みを撮像してその中の剤数を自動確認する錠剤計数監査装置が知られている(例えば特許文献1参照)。包みの中の剤数を自動計測するとともに、その計数結果を処方箋情報等と突き合わせて過不足の有無など正否を自動判別するのである。
【0003】
ところで、このような撮像に基づく錠剤計数では、同じ錠剤を分包した包みであっても包中の錠剤収容状態によって得られる画像が異なり、それが計数の正確さに影響するため、具体的には錠剤が分別不能に重なっていると数え漏れが生じるため、ディスプレイ等に画像表示を行って監査作業者による目視確認もできるようになっている。例えば処方剤数と計数結果とが異なるときには、アラームを発して表示画像の目視確認が促される。
【0004】
しかしながら、目視確認の頻度が高いと、錠剤計数監査装置による自動化の効果が減殺されてしまう。自動処理が中断されてスループットが低下するうえ、作業者に負担が掛かる。このため、包中での錠剤の重なりを積極的に無くすことが求められる。もっとも、製造原価ばかりか保守費も含めてコストアップは望ましくないので、複雑な機構や手法等の追加はなるべく避けたい。そこで、包中の錠剤を散開してから撮像する錠剤計数監査装置であって簡便なものが開発されている。
【0005】
すなわち、撮像に先だって包みを破ることなく包中の錠剤収容状態を分別可能な散開状態(積重や凝集を解消した状態)にする前処理手法をクランプ機構と加振機構とで簡便に具体化したものであり、分包紙等からなる包みを撮像してその中の剤数を自動確認する錠剤計数監査装置に、包みの端部を一時的に押さえるクランプ機構と、これにて押さえられている包みを振動させる加振機構と、その包みをクランプ機構および加振機構の作用位置に移送する移送機構とが組み込まれている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−206855号公報 (第1頁)
【特許文献2】特願2003−31871号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような錠剤計数監査装置では、撮像に基づく錠剤計数の性能が向上し、それに伴って分包紙を移送しながら計数監査を自動で連続して行うことが長時間に亘ってできるようになって、処理効率が向上している。
しかしながら、分包紙の連続移送距離が長くなったり、分包紙の移送速度が速くなったりすると、薬剤を分包した分包紙の特質が移送状態に及ぼす不所望な影響も強くなるため、更なる能率向上・稼働率向上を図るには別異の対策が必要となる。
【0008】
すなわち、分包時に薬剤が投入されると包みは膨らむが、薬剤の収まり具合が一定でないことから、包みの膨らみ方が確定せず、包みが厚み方向にも幅方向にも長さ方向にもいろいろ変形するので、分包紙は捻れたりうねったりする。そのため、例えその捻れが局所的には微妙なものであっても、移送距離や移送速度によっては、捻れの影響が積み上げられ増幅されて、ジャミングや位置ずれなどの移送不良・移送障害が発生する。そして、そのような不具合の発生頻度を下げて更なる能率向上・稼働率向上を図るには、移送状態を安定させる対策を講じることが肝要であり、その具体化には、撮像位置を通って移送される分包紙の捻れを解消する手段を導入することが考えられる。
【0009】
ところが、上述のように捻れ方は一定でないので、メカニカルガイドのような固定的な案内手段を追加した程度では、分包紙の捻れを十分には解消できない。そのため、分包紙の捻れ状態を検出して捻れ解消を積極的・能動的に行いたいが、柔らかくて変形しやすい分包紙の色々な捻れ状態を的確に検出できるような検出部材を単純に追加すると、改造は容易であっても、部材費の高騰に耐えられない。
そこで、分包紙の特質に基づいて既存の部品等を有効利用することによりコストアップを抑えながら分包紙の捻れ検出および捻れ解消を行えるようにすることが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の錠剤計数監査装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、分包紙にミシン目で区分されて連なる包みを撮像してその中の剤数を自動確認する錠剤計数監査装置において、その撮像データに基づいて前記ミシン目またはその等価物の傾きを検出する傾斜検出手段と、その検出に基づいて前記傾き(即ち前記ミシン目の傾き又は前記等価物の傾き)を無くす方に前記分包紙の移送方向を変える移送機構とを備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、「ミシン目の等価物」とは、分包紙の捻れに伴ってミシン目と一緒に傾くものであって、ミシン目と同様に包みの撮像データから画像抽出および傾斜検出を行えるものをいい、例えば、ミシン目と平行に印刷されたマーキングラインや、ミシン目の両端近傍に印刷されたマーキングライン、色や濃淡等の異なる領域境界であってミシン目と平行になっているところ等が挙げられる。また、その「傾き」は、分包紙が捻れずに真っ直ぐ安定移送されているときの状態を基準にして、計測される。
【0012】
また、本発明の錠剤計数監査装置は(解決手段2)、上記解決手段1の錠剤計数監査装置であって、前記包みに機械的作用を加えてその中の薬剤を散開させる散開機構が撮像位置の上流に設けられ、前記移送機構が前記分包紙の正送に加えて前記分包紙の逆送も行えるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明の錠剤計数監査装置にあっては(解決手段1)、分包紙には大抵ついているミシン目が分包紙の捻れに伴って傾くという特質と、包みを撮像するとその画像の端部領域にミシン目が映り込んで来るという特質とに基づき、包みの撮像データからミシン目の傾き又は等価な傾きを検出するとともに、その傾きに応じて分包紙の移送方向を変えて傾きが無くなるようにしたことにより、検出用のハードウェアを追加しなくても、ソフトウェア改造で、捻れ解消に必要な傾きが検出される。そのため、コストアップを抑えながら分包紙の捻れ検出および捻れ解消を行えることとなる。
したがって、この発明によれば、能率・稼働率の良い錠剤計数監査装置を安価に提供することができる。
【0014】
また、本発明の錠剤計数監査装置にあっては(解決手段2)、散開機構を撮像位置の上流に設けるとともに、移送機構を分包紙の逆送も可能なものにしたことにより、包中の錠剤収容状態を画像中で分別できないときには該当の包みを散開機構のところへ戻して前処理から再試行することができるので、分別能力・計数能力・監査能力が向上する。
もっとも、そのように分包紙を行きつ戻りつさせると、分包紙の変形が激しくなりがちで、それだけではジャミングや位置ずれなどの移送不良・移送障害の発生頻度は高くなってしまうが、本発明にあっては、分包紙の捻れ検出および捻れ解消による対策と組み合わせたことにより、能率・稼働率を落とすことなく計数の確度を高めることができる。
したがって、この発明によれば、能率・稼働率も性能も良い錠剤計数監査装置を安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
このような本発明の錠剤計数監査装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1,2により説明する。
図1〜5に示した実施例1は、上述した解決手段1,2(出願当初の請求項1,2)を総て具現化したものであり、図6に示した実施例2は、その変形例である。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、フレーム等の支持具や,ボルト等の締結具,ヒンジ等の連結具,電動モータ等の駆動源,カム等の伝動部材,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路における詳細回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0016】
本発明の錠剤計数監査装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、錠剤計数監査装置の機械的構造を示し、(a)が平面図、(b)が正面図である。図2は、移送機構の要部構造を示し、(a),(b)共に斜視図である。図3は、散開機構の要部構造を示す斜視図である。図4は、電子回路部の機能ブロック図である。
【0017】
この錠剤計数監査装置30は(図1参照)、分包紙10の長手方向に連なって区画形成された各々の包み11(分包体)を対象として計数監査を行うためのものであり(図5(a)参照)、大別して、分包紙10を引き込んで包み11を撮像するための移送散開撮像機構と(図1〜図3参照)、その動作制御に加えて包中剤数の自動確認を行うための電子回路部とを具えている(図1,図4参照)。
図示の場合(図1参照)、移送散開撮像機構は、筐体内で分包紙移送経路に沿って配設されおり、分包紙10を左側面の受入ガイド35から引き込んで右側面の送出ガイド36から排出するようになっている。
【0018】
また、電子回路部(図1参照)には、マイクロプロセッサシステム等のプログラマブルな演算制御装置が採用され、その本体部であるコントローラ32は、図示しない電源ユニット等と共に筐体内の電装部31に格納され、スイッチやキーを配設した操作パネル等の操作部34や液晶パネル等の表示部33などは、使い易い所たとえば筐体上段の前面に配設されている。
なお、包み11は(図5(a)〜(c)参照)、ミシン目13の入った端部12で前後(図では左右)に仕切られており、その両端部12の二辺ともう一辺とがヒートシールされ、残りの一辺が折り曲げられていて、中に錠剤14が収容されている。
【0019】
先ず、移送散開撮像機構について詳述すると、これは(図1参照)、移送部前段部41〜43と、印刷情報読取部61〜62と、散開処理部51〜54と、撮像部63〜64と、移送部後段部44〜46と、マーカー37とを具えており、これらは、受入ガイド35から送出ガイド36まで水平に延びている分包紙移送経路に臨んで上流から下流へ(図1では左から右へ)その順序で配置されている。なお、それらは図示しない適宜な支柱や枠板等で所定位置に支持されている。
【0020】
分包紙移送経路のうち散開処理部51〜54と移送部後段部44〜46との間で撮像部63〜64の臨むところが撮像ステージ65になっている。撮像部63〜64は、CCDカメラ等の撮像装置63とハロゲンランプ等の照明装置64とを具えていて、照明装置64で撮像ステージ65を照らし、その撮像ステージ65に移送されて来た分包紙10の包み11を撮像装置63で撮るようになっている。図示のものは反射型であるが透過型でも良い。
【0021】
分包紙移送経路のうち移送部前段部41〜43と散開処理部51〜54との間で印刷情報読取部61〜62の臨むところは読取ステージになっている。また、分包紙10の裏面には、錠剤の包み11毎に或いは分包直前の空の包み11等に、既定フォントのOCR(光学式文字読取)文字で、剤数などの情報が印刷されていることが多い。印刷情報読取部61〜62は、既定フォント対応のOCR61(文字読取装置)とハロゲンランプ等の照明装置62とを具えていて、照明装置62で読取ステージを照らし、そこに移送されて来た分包紙10の包み11の印刷情報をOCR61で読み取るようになっている。
【0022】
移送部前段部41〜43は(図1,図2(a)参照)、移送部後段部44〜46と共に移送機構をなすものであるが、分包紙移送経路の直ぐ脇(図1では後背側)に設置された第1移送機構41と、そこから分包紙移送経路の上面に突き出ているローラ42と、第1移送機構41から分包紙移送経路の下面に突き出ているローラ43とを具えていて、第1移送機構41のモータや駆動機構にてローラ42,43をそれぞれ軸芯中心で軸回転させることにより、分包紙10をローラ対42,43に挟んで移送するようになっている。分包紙10を受入ガイド35から送出ガイド36へ送る正送も、それとは逆向きに戻す逆送も、可能とするために、第1移送機構41はローラ対42,43の軸回転を双方向に行えるようになっている。ローラ42,43は、何れも、分包紙10の厚み変化の影響を受けないよう、変形しやすいスポンジ等でできている。
【0023】
移送部後段部44〜46も(図1,図2(b)参照)、分包紙移送経路の直ぐ脇(図1では後背側)に設置された第2移送機構44と、そこから分包紙移送経路の上面に突き出ているローラ45および下面に突き出ているローラ46とを具えていて、第2移送機構44のモータや駆動機構にてローラ45,46をそれぞれ軸芯中心で軸回転させることにより、分包紙10をローラ対45,46に挟んで移送するようになっている。ローラ対45,46が柔らかいスポンジ等からなり双方向の軸回転で正送も逆送も行えようになっていることも移送部前段部41〜43と同様であるが、移送部後段部44〜46は、分包紙10の移送方向を変化させることもできるようになっている。
【0024】
具体的には、ローラ対45,46が分包紙移送経路上で鉛直線を中心として揺動(双方向回転)するようになっている。すなわち、水平の軸芯でなく鉛直の仮想線を中心に水平面上でローラ対45,46が一緒にプロペラ風な運動を行うようになっている。揺動中心の鉛直線は分包紙移送経路の中央に位置するのが望ましいので、この例では、第2移送機構44の全部が又はそのうちローラ対45,46を支持している部分が、ローラ対45,46と一緒に揺動するようになっている。
【0025】
散開処理部51〜54は(図1,図3参照)、分包紙移送経路の直ぐ脇(図1では後背側)に設置された散開機構51と、そこから分包紙移送経路の上面に突き出ているブラシ52,53と、分包紙移送経路の下面に突き出ているブラシ54とを具えていて、散開機構51のモータや駆動機構にてブラシ群52〜54を運動させて分包紙10の包み11に機械的作用を加えるようになっている。ブラシ群52〜54の動きは、包み11中の錠剤14を速やかに散開させるためのものであり、例えば、ブラシ52は下降してから進行方向に掃くような動作を行い、ブラシ53は下降してから螺旋運動で掻き回すような動作を行うようになっている。
【0026】
次に、電子回路部およびそれで制御される駆動部について詳述する(図4参照)。コントローラ32は上述したようにマイクロプロセッサシステム等からなり、これには、上述した操作部34や表示部33の他、OCR61と撮像装置63も信号ケーブル等にて接続されていて、コントローラ32は、照明や読取のタイミングを制御するとともに、分包紙10から読み取った印刷情報を入力するようになっている。また、撮像装置63や照明装置64も信号ケーブル等にてコントローラ32に接続されており、コントローラ32は、照明や撮像のタイミングを制御するとともに、画像データを画像メモリに取り込むようになっている。分包紙10に不良印等を書くマーカー37もコントローラ32に接続されその制御下にある。
【0027】
さらに、コントローラ32には、各種センサの検出結果たとえば包み11の有無情報等を入力するセンサ入力回路71と、第1移送機構41に設けられローラ対42,43を回転させる第1移送モータ72の制御駆動回路と、散開機構51に設けられブラシ群52〜54を散開運動させる散開モータ73の制御駆動回路と、第2移送機構44に設けられローラ対45,46を軸回転させる第2移送モータ74の制御駆動回路と、やはり第2移送機構44に設けられているがローラ対45,46を軸回転でなく揺動させる方向調整モータ75の制御駆動回路とが、付設されている。
【0028】
コントローラ32には、撮像装置63から取り込んだ画像データを一時記憶しておくために画像メモリが設けられ、それと上述したような周辺回路等を用いて錠剤計数監査処理を遂行するために、幾つかのプログラムがインストールされている。すなわち、分包紙10の移送のため第1移送モータ72及び第2移送モータ74の制御等を行う移送制御ルーチンと、包み11中の錠剤14を散開させるために散開モータ73の制御を行う散開制御ルーチンと、画像メモリの画像データからミシン目13の部分像を抽出するミシン目抽出ルーチンと、その抽出結果からミシン目13の傾きを算出する傾斜検出ルーチンと、画像メモリの画像データから包中の錠剤14の部分像を抽出する剤像抽出ルーチンと、その抽出結果から包中の錠剤14の個数を数え上げる計数ルーチンと、その計数値が処方値に一致しているか否かの判別等を行う判定ルーチンと、撮像結果のモニタ表示や判別結果の確認表示などを行う表示ルーチンが、インストールされている。それらのルーチンでの処理のうち特徴的なものについては、次の動作説明で詳述する。
【0029】
この実施例1の錠剤計数監査装置について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図1は、錠剤計数監査装置30に分包紙10の供給ユニット21と収納バスケット23を添えたところの平面図および正面図である。図5は、動作説明用の平面図であり、(a)が多数の包みを区画列設した分包紙、(b)が散開前の錠剤を封入した包み、(c)が散開後の錠剤および包み、(d)が撮像データの一例、(e)が剤像領域のデータ例、(f)がミシン目領域のデータ例、(g)が方向調整を半分だけ行った包み、(h)が捻れを解消した包みを示している。
【0030】
計数監査対象の分包紙10は(図5(a)参照)、包み11の連なりであり、それぞれの包み11は端部12で区切られ一個以上の錠剤14を収容している。包み11の典型的なサイズは(図5(b),(c)参照)、幅(図では上下)が約70mmで、長さ(図では左右)が約80mmである。端部12の幅(図では左右に隣接する包み11の間)は、約10mmであり、そこには直線状・破線状のミシン目13が形成されている。錠剤14の典型例は、直径数mmの玉剤や、それより長いカプセル剤などであり、それらが混在することも多い。
【0031】
この錠剤計数監査装置30は、スタンドアローン型なので(図1参照)、錠剤計数監査装置30に分包紙10を供給するため、受入ガイド35側に供給ユニット21を添え、そのリール22に錠剤分包済みの分包紙10を巻いておく。また、錠剤計数監査装置30から排出された分包紙10を受け入れる収納バスケット23は、送出ガイド36側に添えて置かれる。そして、分包紙10の先端部が受入ガイド35及び移送機構41〜46にセットされると、分包紙10は、移送制御ルーチン制御下の移送機構41〜46によって包み11単位で間欠移送される。
【0032】
その間欠移送の度に、上流の読取ステージではそこに来た包み11の印刷情報がOCR61及び照明装置62にって読み取られ、中間の散開段ではそこに来た包み11に対し散開制御ルーチン制御下の処理部51〜54によって散開処理(前処理)が施され、下流の撮像ステージ65では包み11に対し撮像装置63及び照明装置64によって撮像が行われる。そのため、散開処理前には包み11内で錠剤14が重なっていた場合でも(図5(b)参照)、散開処理後は包み11内で錠剤14が散らばって重なりがなくなる(図5(c)参照)。
【0033】
撮像装置63で撮った画像データは(図5(d)参照)、表示部33にモニタ表示されるとともに、コントローラ32の画像メモリに記憶されて、ミシン目抽出ルーチン及び剤像抽出ルーチンの画像処理に供される。剤像抽出ルーチンの処理によって、錠剤14の画像である剤像を確実に含む剤像領域81が切り出され(図5(e)参照)、それにノイズ除去処理や剤像分割処理などが施される。剤像領域81の切出は、分包紙10の捻れ即ち包み11の進行方向からの傾きθが余程大きくなければ(図5(b)参照)、固定範囲の部分領域を対象として行われる。その剤像領域81から計数ルーチンによって剤像の塊数が数え上げられ、それが包み11の中の剤数とされる。
【0034】
この剤数は、判定ルーチンによって、OCR61の読取等で既知になっている処方値と比較され、一致していれば適正と判別され、不一致であれば不適切と判定される。その判定結果は、表示ルーチンによって、表示部33に表示される。また、その判定結果に応じて、適正であれば移送制御ルーチンによって分包紙10の正送が行われるのに対し、不適切であれば移送制御ルーチンによって分包紙10の逆送が行われて散開処理から再試行される。再試行しても不適切であれば、その旨の監査結果が表示部33に表示され、該当する包み11にはマーカー37で不良印等が書かれる。
【0035】
また、そのような錠剤計数処理と並行して、分包紙の捻れ検出と捻れ解消も行われる。すなわち、ミシン目抽出ルーチンの処理によって、画像メモリの画像データから、ミシン目13の画像を含むミシン目領域82が切り出され(図5(f)参照)、それにノイズ除去処理などが施される。ミシン目領域82の切出は、分包紙10の捻れ即ち包み11の進行方向からの傾きθが余程大きくなければ、固定範囲の部分領域を対象として行われる。そのミシン目領域82からミシン目の近似直線が最小自乗法など公知の手法で求められ、その近似直線の傾き成分がミシン目の傾きΘとされる。
【0036】
この傾きΘは、分包紙10の捻れに良く対応していて傾きθとほとんど同じになるので、移送制御ルーチンに引き渡されて、その傾きΘを無くす方に方向調整モータ75が動作する。その方向調整量は、理論上は傾きΘそのままでも良いが、ここでは安定性を重視して一包の送りで傾きΘの半分だけ即ちΘ/2だけに抑えているので、分包紙10の捻れがθ/2に半減する(図5(g)参照)。そして、新たな捻れ要因が加わらなければ、包み11の捻れは速やかに消滅する(図5(h)参照)。実際には、次々と捻れ要因が加わるが、それらが積み重なって大きくなることは無く、分包紙10の捻れは、長時間に亘って、高速移送の支障にならない程度の小さくな範囲に収まる。
【実施例2】
【0037】
本発明の錠剤計数監査装置の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図6は、(a)が錠剤計数監査装置の機械的構造を示す正面図、(b)が電子回路部の機能ブロック図である。
この錠剤計数監査装置が上述した実施例1のものと相違するのは、供給ユニット21に代えて錠剤分包機24が導入された点と、メインコントローラ90が追加された点である。
【0038】
メインコントローラ90は、パーソナルコンピュータ等からなり、これにはキーボード等の操作部91やディスプレイ等の表示部92などが付設されており、使い易いよう錠剤計数監査装置30脇で机上に置かれている。コントローラ32はローカルコントローラになっており、剤像抽出ルーチンと計数ルーチンと判定ルーチンと表示ルーチンと印刷情報読取部61〜62及び撮像部63〜64のインターフェイスとマーカー37の制御駆動回路がコントローラ32からメインコントローラ90に移設されている。
【0039】
両コントローラ90,32は動作指示や動作結果の伝達等のため信号ケーブル等にて交信可能に接続されている。メインコントローラ90は錠剤分包機24のコントローラとも信号ケーブル等にて交信可能に接続されている。
そして、メインコントローラ90の統合制御の下、錠剤分包機24で錠剤14を分包した分包紙10が、直ちに錠剤計数監査装置30に送り込まれて、自動の計数監査に供される。
【0040】
[その他]
上記実施例1では、散開機構がブラシ利用のものであったが、散開機構は、包み11に機械的作用を加えてその中の薬剤14を散開させるものであれば、他の構成であっても良く、例えば、振動部材で包み11に振動を作用させるものや、クランプ部材で包み11の両端を押さえて包み11を伸縮変形させるもの、バキュームを利用して包み11を一時的に膨らませるもの、それらを適宜組み合わせたもの等であっても良い。
上記実施例2では、メインコントローラ90(計数監査部)と錠剤計数監査装置30(移送散開撮像機構部)が一対一であったが、メインコントローラ90の処理能力が足りれば一台のメインコントローラ90に複数台の錠剤計数監査装置30を設置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例1について、錠剤計数監査装置の機械的構造を示し、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【図2】移送機構の要部構造を示し、(a),(b)共に斜視図である。
【図3】散開機構の要部構造を示す斜視図である。
【図4】電子回路部の機能ブロック図である。
【図5】動作説明用の平面図であり、(a)が多数の包みを区画列設した分包紙、(b)が散開前の錠剤を封入した包み、(c)が散開後の錠剤および包み、(d)が撮像データの一例、(e)が剤像領域のデータ例、(f)がミシン目領域のデータ例、(g)が方向調整を半分だけ行った包み、(h)が捻れを解消した包みを示している。
【図6】本発明の実施例2について、(a)が錠剤計数監査装置の機械的構造を示す正面図、(b)が電子回路部の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
10…分包紙、11…包み(計数対象分包体)、
12…端部、13…ミシン目、14…錠剤、
21…供給ユニット、22…リール、23…収納バスケット、
30…錠剤計数監査装置、
31…電装部、32…コントローラ、33…表示部、34…操作部、
35…受入ガイド、36…送出ガイド、37…マーカー、
41…第1移送機構、42,43…ローラ、
44…第2移送機構、45,46…ローラ、
51…散開機構、52,53,54…ブラシ、
61…OCR(文字読取装置)、62…照明装置、
63…撮像装置、64…照明装置、65…撮像ステージ、
71…センサ入力回路、72…第1移送モータ、73…散開モータ、
74…第2移送モータ、75…方向調整モータ、
81…剤像領域、82…ミシン目領域、
90…メインコントローラ、91…操作部、92…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分包紙にミシン目で区分されて連なる包みを撮像してその中の剤数を自動確認する錠剤計数監査装置において、その撮像データに基づいて前記ミシン目またはその等価物の傾きを検出する傾斜検出手段と、その検出に基づいて前記傾きを無くす方に前記分包紙の移送方向を変える移送機構とを備えたことを特徴とする錠剤計数監査装置。
【請求項2】
前記包みに機械的作用を加えてその中の薬剤を散開させる散開機構が撮像位置の上流に設けられ、前記移送機構が前記分包紙の逆送も行えるものであることを特徴とする請求項1記載の錠剤計数監査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−69618(P2006−69618A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255100(P2004−255100)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】