説明

錠剤輸送装置

【課題】簡単かつ省スペースな構成で上方に向かって良好に錠剤を輸送することができる錠剤搬送装置を提供すること。
【解決手段】導入部8から流入部17に流入した錠剤を垂直上昇用エジェクタ10により吸引し、略鉛直上方に向かって輸送管4内に吐出させる。垂直上昇用エジェクタ10(の吐出部12)の外周に沿って形成された環状路31に、流入口24から周方向に沿って空気を流入させることにより、環状路31内に螺旋状の空気の流れが発生させ、その空気を吐出口34から輸送管4内に吐出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤を上方に向かって輸送するための錠剤輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤を輸送するための錠剤輸送装置として、無端状のベルトを備えたコンベアを用いて、ベルトの外周面により構成される載置面に錠剤を載せてベルトを回転させることにより錠剤を輸送することができるような装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、このような装置を用いて錠剤を上方に輸送しようとした場合、載置面を水平方向に対して傾斜させることとなるが、載置面の傾斜角度が大きすぎると載置面から錠剤が滑り落ちてしまうため、載置面の傾斜角度には制限がある。したがって、載置面が鉛直方向に対して傾斜した方向に延びるようにベルトを配置しなければならないので、水平方向における装置の設置スペースが大きくなり、装置が大型化してしまうという不具合がある。
【0003】
水平方向における装置の設置スペースを小さくするために、リフトを用いて錠剤を鉛直上方に向かって輸送するような構成も考えられるが、このような構成では、リフトを上下動させるための機構が高価であるため、装置の製造コストが高くなるという不具合がある。
【特許文献1】特開2001−170136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような不具合を解決するために、略鉛直方向に延びるように配置された輸送管内に鉛直上方に向かって空気を吐出し、その空気圧で錠剤を輸送(気力輸送)するような構成が考えられる。
しかし、このような構成では、輸送管の内壁面近傍で空気が減速されるため、輸送管内の中央部を通過する錠剤の速度の方が、輸送管内の内壁面近傍を通過する錠剤の速度よりも速くなる。したがって、輸送管内の内壁面近傍を通過する錠剤が、中央部を通過する錠剤に下方から衝突され、内壁面側に押し遣られるといった現象が生じる場合がある。この場合、錠剤同士の衝突と、内壁面側に押し遣られた錠剤の内壁面に対する衝突とが繰り返され、錠剤が破損してしまうという不具合がある。
【0005】
本発明の目的は、簡単かつ省スペースな構成で上方に向かって良好に錠剤を輸送することができる錠剤搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、錠剤輸送装置であって、略鉛直方向に延びるように配置され、錠剤を上方に向かって輸送するための輸送管と、前記輸送管の下部に配置され、前記輸送管内に上方に向かって略鉛直に空気を吐出する第1空気吐出手段と、前記輸送管の下部に配置され、前記輸送管内に上方に向かって軸線方向に沿った螺旋状に空気を吐出する第2空気吐出手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
このような構成によると、輸送管の内壁面近傍を通過する錠剤を、第2空気吐出手段から吐出される空気により軸線方向に沿った螺旋状に導き、第1空気吐出手段から略鉛直に吐出される空気に乗せて上方に押し上げることができる。これにより、輸送管の内壁面近傍を通過する錠剤が他の錠剤や内壁面に衝突するのを防止できるので、錠剤の損傷を防止しつつ、良好に錠剤を輸送することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第2空気吐出手段は、前記第1空気吐出手段の外周に沿って環状に配置された環状路と、前記環状路の下部にほぼ周方向に沿って空気を流入させる流入口と、前記環状路の上部から前記輸送管内に空気を吐出させる吐出口とを有していることを特徴としている。
このような構成によると、流入口から環状路に周方向に沿って流入する空気により、環状路内に螺旋状の空気の流れを発生させ、その空気を吐出口から輸送管内に吐出することができる。したがって、輸送管内に螺旋状の空気の流れを良好に発生させることができるので、より良好に錠剤を輸送することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記環状路には、前記流入口から流入した空気を上方に向かって軸線方向に沿った螺旋状に案内するための案内溝が形成されていることを特徴としている。
このような構成によると、流入口から環状路に流入した空気を案内溝で螺旋状に案内することにより、環状路内に螺旋状の空気の流れを良好に発生させることができる。これにより、輸送管内に螺旋状の空気の流れを良好に発生させることができるので、より良好に錠剤を輸送することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記環状路は、水平方向の断面積が前記吐出口に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されていることを特徴としている。
このような構成によると、環状路内を通って吐出口に向かう空気を圧縮して、吐出口から吐出される空気の流速を速くすることができる。したがって、第2空気吐出手段に供給する空気量が少なくても、吐出口から輸送管内に勢いよく螺旋状に空気を吐出して、輸送管内に螺旋状の空気の流れを良好に発生させ、良好に錠剤を輸送することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、前記輸送管の上部に配置され、前記輸送管内を上方に向かう空気の流れを、下方側に向かう流れに変更するための空気流れ変更手段と、前記空気流れ変更手段により流れが変更された後の空気を下方側に向かって排出する排出部とを備えることを特徴としている。
このような構成によると、輸送管内を上方に向かう空気の流れを、空気流れ変更手段で下方側に向かう流れに変更することにより、輸送管内を上方に向かって輸送される錠剤を下方側に良好に方向転換することができる。これにより、錠剤を輸送管から排出部に向かう内壁面に衝突させることなく、排出部から下方側に向かって排出させることができるので、錠剤の損傷を防止しつつ、より良好に錠剤を搬送することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の錠剤輸送装置によれば、簡単かつ省スペースな構成で上方に向かって良好に錠剤を輸送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の錠剤輸送装置の一実施形態を備えた錠剤重量管理装置を示す斜視図である。
図1において、錠剤重量管理装置は、打錠機で打錠されることにより成形された錠剤の重量を計測するための装置であって、本体ハウジング2内に、図示しない重量計測機構を備えている。重量計測機構は、揺動可能に設けられた捕集容器を備えた周知の構成であって、打錠された錠剤は、捕集容器内に捕集されて重量が計測された後、捕集容器が傾斜されることにより、本体ハウジング2内から排出される。本体ハウジング2内から排出された錠剤は、本体ハウジング2の側面下部に外側から取り付けられた錠剤輸送装置1内に流入する。錠剤輸送装置1は、本体ハウジング2の側方を下部から上方に向かって延び、その上端部が本体ハウジング2の上面よりも上方に位置している。
【0014】
錠剤輸送装置1は、本体ハウジング2の側面下部に外側から取り付けられた空気吐出装置3と、空気吐出装置3の上端部に略鉛直上方に向かって延びるように取り付けられた輸送管4と、輸送管4の上端部に取り付けられた分離シュート5とを備えている。輸送管4および分離シュート5は、それぞれ透明な樹脂(たとえば、アクリル樹脂)により形成されている。輸送管4は、長さが1m程度の円筒形状を有しており、内径が36mm程度、外径が40mm程度に形成されている。
【0015】
ただし、輸送管4および分離シュート5は、それぞれ、透明でなくてもよい。また、輸送管4および分離シュート5は、それぞれ、樹脂製のものに限らず、金属などの他の材料で形成されたものであってもよい。
図2は、図1に示す空気吐出装置3の側断面図である。図3は、図1に示す空気吐出装置3の平面図である。図4は、図1に示す空気吐出装置3の背面図である。
【0016】
図2〜図4に示すように、空気吐出装置3は、ケーシング6と、ケーシング6を本体ハウジング2の側面下部に外側から取り付けるための取付部7と、本体ハウジング2から排出される錠剤をケーシング6内に導入するための導入部8と、ケーシング6と輸送管4とを接続するための接続部9とを備えている。
ケーシング6は、略直方体形状であって、その下端部に後方に向かって突出するように取り付けられた取付部7を介して、本体ハウジング2に固定される。ケーシング6内には、下方から空気を吸引して上方へと吐出する第1空気吐出手段としての垂直上昇用エジェクタ10が備えられている。垂直上昇用エジェクタ10は、その下部に下方から空気を吸引する略円筒状の吸引部11が形成され、その上部に略鉛直上方に向かって空気を吐出する略円筒状の吐出部12が形成されている。吐出部12は、ケーシング6の上面から上方に向かって突出するように配置されている。垂直上昇用エジェクタ10は、一般に市販されている公知のエジェクタと同様の構成を有しているので、ここではその内部構成についての詳細な説明を省略することとする。
【0017】
導入部8は、外径が34mm程度の略円筒状であって、略鉛直方向に延びる鉛直部13と、この鉛直部13の下端から前方に向かって斜め下方に45°程度傾斜した傾斜部14とを有している。本体ハウジング2から排出された錠剤は、導入部8(鉛直部13)の上端面に形成された入口15から導入部8に流入した後、傾斜部14の内周面に沿って斜め下方へと滑り落ち、導入部8(傾斜部14)の下端面に形成された出口16からケーシング6内に流入する。ケーシング6内の下端部には、導入部8から錠剤が流入する空間(流入部17)が形成されていて、導入部8は、その出口16が流入部17内に臨むように取り付けられている。
【0018】
ケーシング6内に備えられた垂直上昇用エジェクタ10は、その吸引部11が上方から流入部17に臨むように配置されている。導入部8から流入部17に流入した錠剤は、垂直上昇用エジェクタ10が駆動されて吸引部11に負圧が生じることにより、吸引部11から垂直上昇用エジェクタ10内に吸引され、吐出部12から略鉛直上方に向かって吐出される。錠剤の質量は1錠当たり200mg程度であり、1分間に1600錠程度の錠剤が垂直上昇用エジェクタ10により輸送される。垂直上昇用エジェクタ10の吐出圧は、0.05〜0.10MPa程度であることが好ましい。
【0019】
接続部9は、ケーシング6に取り付けられる下接続部18と、この下接続部18の上端面から上方に向かって突出し、輸送管4を接続するための上接続部19とが一体的に形成された形状を有している。
下接続部18は、外径が95mm程度の略円筒状であって、平面視でケーシング6の上面から水平方向外側に張り出さないように配置されている。下接続部18は、その内部空間に垂直上昇用エジェクタ10の吐出部12を挿入するようにして、ケーシング6の上方から取り付けられる。下接続部18内に下方から挿入された垂直上昇用エジェクタ10の吐出部12は、その上端部が上接続部19内の下端部に臨んでいる。
【0020】
下接続部18の内周面には、その下端から上方に向かってほぼ同じ内径で延びる円筒面20と、この円筒面20の上端から上方に向かって内径が徐々に小さくなるように形成された円錐面21とが形成されている。円錐面21の上端は、下接続部18の上面から開口し、上接続部19内に連通している。
下接続部18の下部には、下接続部18の内周面(円筒面20)の接線方向に沿って延びる流入路22が形成されている。この流入路22は、下接続部18の外周面に形成された接続口23と、下接続部18の内周面(円筒面20)に形成された流入口24とを一直線状に接続している。流入口24は、内径が1〜4mm程度の開口により構成されている。接続口23には、一端がエアポンプなどの空気供給手段に接続されたホースの他端が接続され(図示せず)、空気供給手段から供給される空気が、接続口23および流入路22を介して、流入口24から下接続部18内に流入するようになっている。
【0021】
下接続部18内には、下方から挿入部材25が挿入されている。挿入部材25は、板状の固定部26と、固定部26の上面から上方に向かって突出する筒部27とが一体的に形成された形状を有している。固定部26の中央部には、垂直上昇用エジェクタ10の吐出部12の外径とほぼ同じ内径を有する開口28が形成されており、この開口28が筒部12の内周面に連続している。
【0022】
挿入部材25は、筒部27が下方から下接続部18内に挿入され、固定部26の上面が下接続部18の下面に対向した状態で配置される。この状態で、固定部26を上下方向に貫通するように形成された貫通孔29にビスなどの固定具(図示せず)が挿入されて下接続部18に固定されることにより、挿入部材25が下接続部18(接続部9)に固定される。
【0023】
挿入部材25が取り付けられた接続部9は、垂直上昇用エジェクタ10の吐出部12が挿入部材25の開口28および筒部27の内部空間を下方から貫通するように、上方から垂直上昇用エジェクタ10の吐出部12に被せられる。そして、固定部26を外周面から内周面まで水平方向に貫通するように形成されたねじ孔30にビスなどの固定具(図示せず)がねじ込まれて垂直上昇用エジェクタ10の吐出部12の外周面に係止されることにより、接続部9が挿入部材25およびエジェクタ10を介してケーシング6に固定される。
【0024】
挿入部材25の筒部27の外周面と下接続部18の内周面との間には、垂直上昇用エジェクタ10の吐出部12の外周に沿って環状の空間(環状路31)が形成されている。筒部27の外周面には、その下端から上方に向かってほぼ同じ外径で延びる円筒面32と、この円筒面32の上端から上方に向かって外径が徐々に小さくなるように形成された円錐面33とが形成されている。
【0025】
筒部27の円筒面32は、下接続部18の円筒面20および円錐面21の下部に間隔を隔てて対向している。筒部27の円錐面33は、下接続部18の円錐面21の上下方向中央部から上端の部分に間隔を隔てて対向している。筒部27の円錐面33は、鉛直方向に対して下接続部18の円錐面21よりも小さい角度で傾斜していて、筒部27の円錐面33の上端と下接続部18の円錐面21の上端との間には、1〜3mm程度の間隔が空けられることによりスリット状の吐出口34が形成されている。
【0026】
このような構成により、環状路31は、水平方向の断面積が吐出口34に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されている。流入口24から環状路31に流入する空気は、環状路31の下端部からほぼ周方向に沿って流入し、環状路31を通って上方へと導かれる。これにより、環状路31内に螺旋状の空気の流れ(渦流)が発生し、その空気が環状路31の上端部から吐出口34を介して吐出される。流入口24、環状路31および吐出口34は、第2空気吐出手段としての渦流用エジェクタ35を構成している。吐出口34から吐出される空気の吐出圧(渦流用エジェクタ35の吐出圧)は、0.05〜0.10MPa程度であることが好ましい。
【0027】
下接続部18の円筒面20には、上下方向に延びる軸線に沿って螺旋状に案内溝36が形成されている。案内溝36は、下接続部18の円筒面20に沿って周方向に1周程度形成されており、その下端部に流入口24が形成されている。したがって、流入口24から環状路31に流入した空気を案内溝36で螺旋状に案内することにより、環状路31内に螺旋状の空気の流れを良好に発生させることができる。
【0028】
上接続部19は、下接続部18よりも小さい外径(たとえば、55mm程度)を有する略円筒状に形成されている。上接続部19の内径は、輸送管4の外径と略一致しており、図2において二点鎖線で示すように、上接続部19内に輸送管4の下端部が上方から挿入される。上接続部19には、その外周面から内周面まで水平方向に貫通するように複数(たとえば、2つ)のねじ孔37が形成されており、これらのねじ孔37にビスなどの固定具(図示せず)がねじ込まれて輸送管4の外周面に係止されることにより、輸送管4が接続部9に固定される。
【0029】
上接続部19の内周面は、下接続部18の内周面の上端開口よりも大径であって、上接続部19の内周面と下接続部18の内周面との結合部には、水平方向に沿った円環状の段差面38が形成されている。上接続部19内に上方から挿入された輸送管4の下端面は、段差面38に当接し、下接続部18の上端開口と輸送管4内とが連通した状態となる。したがって、環状路31内を螺旋状に案内された空気を、吐出口34から輸送管4内に吐出することができる。
【0030】
この実施形態では、垂直上昇用エジェクタ10から輸送管4内に上方に向かって略鉛直に空気を吐出することができるとともに、吐出口34から輸送管4内に上方に向かって軸線方向に沿った螺旋状に空気を吐出することができる。したがって、流入部17から垂直上昇用エジェクタ10により吸引されて輸送管4内に吐出された錠剤のうち、輸送管4の内壁面近傍を通過する錠剤を、図1の点線F1で示すように、吐出口34から吐出される空気により軸線方向に沿った螺旋状に導き、垂直上昇用エジェクタ10から略鉛直に吐出される空気に乗せて上方に押し上げることができる。これにより、輸送管4の内壁面近傍を通過する錠剤が中央部を通過する他の錠剤や内壁面に衝突するのを防止できるので、良好に錠剤を輸送することができる。
【0031】
また、流入口24から環状路31に周方向に沿って流入する空気を案内溝36で螺旋状に案内することにより、環状路31内に螺旋状の空気の流れを良好に発生させ、その空気を吐出口34から輸送管4内に吐出することができる。したがって、輸送管4内に螺旋状の空気の流れを良好に発生させることができるので、より良好に錠剤を輸送することができる。
【0032】
さらに、環状路31は、水平方向の断面積が吐出口34に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されているので、環状路31内を通って吐出口34に向かう空気を圧縮して、吐出口34から吐出される空気の流速を速くすることができる。したがって、接続口23から流入路22を介して環状路31に供給する空気量が少なくても、吐出口34から輸送管4内に勢いよく螺旋状に空気を吐出して、輸送管4内に螺旋状の空気の流れを良好に発生させ、良好に錠剤を輸送することができる。この実施形態の構成によれば、接続口23から流入路22を介して環状路31に供給する空気量を100〜120L/min程度とすることができる。
【0033】
図5は、図1に示す分離シュート5の側断面図である。図6は、図1に示す分離シュート5の平面図である。
図5および図6に示すように、分離シュート5は、上下方向に沿って延びる筒状の連結部39と、上下方向に対して45°程度傾斜した方向に沿って延びる筒状の排出部40と、これらの連結部39および排出部40の各上端部を結合する結合部41とが一体的に形成された略く字形状を有している。
【0034】
連結部39は、その内径が輸送管4の外径と略一致しており、図5において二点鎖線で示すように、連結部39内に輸送管4の上端部が下方から挿入される。連結部39には、その外周面から内周面まで水平方向に貫通するように複数(たとえば、2つ)のねじ孔42が形成されており、これらのねじ孔42にビスなどの固定具(図示せず)がねじ込まれて輸送管4の外周面に係止されることにより、輸送管4が分離シュート5に固定される。
【0035】
結合部41の内面には、鉛直方向に対して排出部40に向かって45°程度傾斜した空気流れ変更手段としての傾斜面43が形成されていて、この傾斜面43の下端が連結部39の内周面に連続し、傾斜面43の上端が排出部40の内周面に連続するように形成されることにより、連結部39の上方に傾斜面43が対向している。
排出部40は、結合部41側から先端側(結合部41と反対側)に向かって徐々に先細りした形状に形成されていて、先端が連結部39の下端とほぼ同じ高さに位置している。排出部40の傾斜面43に連続する内面44は、傾斜面43に対して90°程度の角度をなしている。
【0036】
この実施形態では、輸送管4から分離シュート5に流入した空気は、連結部39を通って、傾斜面43に衝突することにより、その流れが下方側に向かう流れに変更され、排出部40から下方側に向かって排出される。このように、輸送管4内を上方に向かう空気の流れを下方側に向かう流れに変更することにより、輸送管4内を上方に向かって輸送される錠剤を下方側に良好に方向転換することができる。すなわち、輸送管4内を上昇する錠剤が結合部41の近傍で浮遊力限界に達するように、垂直上昇用エジェクタ10および渦流用エジェクタ35の吐出圧を調整すれば、矢印F2で示すように、錠剤を輸送管4から排出部40に向かう分離シュート5の内壁面(傾斜面43など)に衝突させることなく、排出部40から下方側に向かって排出させることができるので、錠剤の損傷を防止しつつ、より良好に錠剤を搬送することができる。
【0037】
傾斜面43と、この傾斜面43に連続して排出部40の先端まで延びる排出部40の内面44には、たとえばシリコーンなどで形成された弾性体45が貼り付けられている。このような構成によれば、錠剤が分離シュート5の内壁面に衝突した場合でも、弾性体45を介して内壁面に衝突するので、錠剤に対する衝撃が小さい。したがって、錠剤が分離シュート5の内壁面に衝突して破損してしまうのを防止できるので、より良好に錠剤を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の錠剤輸送装置を備えた錠剤重量管理装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す空気吐出装置の側断面図である。
【図3】図1に示す空気吐出装置の平面図である。
【図4】図1に示す空気吐出装置の背面図である。
【図5】図1に示す分離シュートの側断面図である。
【図6】図1に示す分離シュートの平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 錠剤輸送装置
4 輸送管
10 垂直上昇用エジェクタ
24 流入口
31 環状路
34 吐出口
36 案内溝
40 排出部
43 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略鉛直方向に延びるように配置され、錠剤を上方に向かって輸送するための輸送管と、
前記輸送管の下部に配置され、前記輸送管内に上方に向かって略鉛直に空気を吐出する第1空気吐出手段と、
前記輸送管の下部に配置され、前記輸送管内に上方に向かって軸線方向に沿った螺旋状に空気を吐出する第2空気吐出手段とを備えることを特徴とする、錠剤輸送装置。
【請求項2】
前記第2空気吐出手段は、
前記第1空気吐出手段の外周に沿って環状に配置された環状路と、
前記環状路の下部にほぼ周方向に沿って空気を流入させる流入口と、
前記環状路の上部から前記輸送管内に空気を吐出させる吐出口とを有していることを特徴とする、請求項1に記載の錠剤輸送装置。
【請求項3】
前記環状路には、前記流入口から流入した空気を上方に向かって軸線方向に沿った螺旋状に案内するための案内溝が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の錠剤輸送装置。
【請求項4】
前記環状路は、水平方向の断面積が前記吐出口に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の錠剤輸送装置。
【請求項5】
前記輸送管の上部に配置され、前記輸送管内を上方に向かう空気の流れを、下方側に向かう流れに変更するための空気流れ変更手段と、
前記空気流れ変更手段により流れが変更された後の空気を下方側に向かって排出する排出部とを備えることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の錠剤輸送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−193261(P2006−193261A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5504(P2005−5504)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】