説明

鍵盤楽器

【課題】 カバー体を装着したままで操作子群及び鍵盤の操作を損なわずに演奏できるようにすると共に、楽器本体を保護し、且つ、カバー体のデザインにより鍵盤楽器の装飾を容易に多様化させる。
【解決手段】 鍵盤楽器は、楽器本体10に、いずれも着脱自在な複数の後カバー30及び前カバー40のうち各1つ装着して成る。楽器本体10において、上面11には、鍵盤部16が設けられ、パネル面11aには、操作子群19が設けられる。後カバー30において、上板部31、後板部32には、それぞれ操作子群19、端子群18に対応する形状に切り欠いた切欠部31a、32aが形成される。後カバー30のみを装着した状態では、鍵盤部16が完全露出すると共に、後カバー30の切欠部31a、32aから操作子群19、端子群18も完全露出し、支障なく演奏することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面に鍵盤部及び操作子群が設けられた鍵盤楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、鍵盤楽器において、ケース等のカバー体を設けたものが知られている。上記特許文献1の鍵盤楽器においては、カバー体としてのキャリングケースで鍵盤楽器本体を覆い、鍵盤楽器の持ち運びを便利にしている。
【特許文献1】実開昭58−77399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の鍵盤楽器では、カバー体は、鍵盤楽器の持ち運び時に使用されるものであり、操作子群や鍵盤を含む鍵盤楽器全体を覆うものであるので、演奏時には取り外す必要がある。
【0004】
従って、例えば、上記鍵盤楽器本体が、専ら据え置きされて演奏に用いられる場合は、カバー体がない状態となるので、衝撃、外力等により損傷を受けたり、経年変化によりパネル面が変色、劣化したりしやすい。
【0005】
ところで、近年、鍵盤楽器のジャンルにおいても、各々のユーザが、他のユーザとは違った個性的なものを欲する傾向が強くなってきている。しかしながら、鍵盤楽器の本体は、多くの場合、樹脂製であり、本体自体での装飾の多様化はコスト面で難しい。そのため、色等を複数設けることでデザイン上の多機種化がなされているものの、あまり代わり映えがしないのが実情である。従って、鍵盤楽器の装飾を多様化させる観点では改善の余地があった。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、カバー体を装着したままで操作子群及び鍵盤の操作を損なわずに演奏することができると共に、楽器本体を保護することができ、且つ、カバー体のデザインにより鍵盤楽器の装飾を容易に多様化させることができる鍵盤楽器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の鍵盤楽器は、背面(12)、左右両側面(13、14)、及び、パネル面(11a)を提供する上面(11)を有する楽器本体(10)と、前記楽器本体の前記上面に設けられた鍵盤部(16)と、前記楽器本体の前記上面のうち前記パネル面に設けられた操作子群(19)と、前記楽器本体の前記背面、前記左右両側面、前記パネル面をそれぞれ被覆する背面被腹部(32)、側面被腹部(33、34)、パネル面被腹部(31)を有すると共に、前記パネル面被腹部に、前記操作子群に対応して開口する操作子群対応開口部(31a)が形成されたカバー体(30)とを有し、前記カバー体を前記楽器本体に被せたとき、前記鍵盤部が露出すると共に、前記パネル面被腹部の前記操作子群対応開口部から前記操作子群が露出するように構成されたことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記操作子群は、前記楽器本体の左右方向略中央部において、前記パネル面に集中配置される(請求項2)。
【0009】
上記目的を達成するために本発明の請求項3の鍵盤楽器は、背面、左右両側面、及び、パネル面を提供する上面を有する楽器本体と、前記楽器本体の前記上面に設けられた鍵盤部と、前記楽器本体の前記上面のうち前記パネル面に設けられた操作子群とを有し、前記楽器本体に被せるための複数のカバー体(30−1〜30−n)のうち選択された1つのカバー体を前記楽器本体に被せて構成される鍵盤楽器であって、前記複数のカバー体はいずれも、前記楽器本体の前記背面、前記左右両側面、前記パネル面をそれぞれ被覆する背面被腹部、側面被腹部、パネル面被腹部を有すると共に、前記パネル面被腹部に、前記操作子群に対応して開口する操作子群対応開口部が形成され、前記1つのカバー体を前記楽器本体に被せたとき、前記鍵盤部が露出すると共に、前記パネル面被腹部の前記操作子群対応開口部から前記操作子群が露出し、且つ、前記複数のカバー体は、それらの、色彩、明度、柄及び表面の凹凸の少なくとも1つを含む外観要素が互いに異なっていることを特徴とする。
【0010】
なお、上記括弧内の符号は例示である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る鍵盤楽器によれば、カバー体を装着したままで操作子群及び鍵盤の操作を損なわずに演奏することができると共に、楽器本体を保護することができ、且つ、カバー体のデザインにより鍵盤楽器の装飾を容易に多様化させることができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る鍵盤楽器によれば、操作子群の操作時において各操作子間の手の移動距離を短くして、操作子の操作を容易にすることができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る鍵盤楽器によれば、カバー体を装着したままで操作子群及び鍵盤の操作を損なわずに演奏することができると共に、楽器本体を保護することができ、且つ、カバー体のデザインにより鍵盤楽器の装飾を容易に多様化させることができる。また、カバー体の選択により鍵盤楽器の外観をユーザの好みのものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る鍵盤楽器の分解斜視図である。図2は、同鍵盤楽器の平面図である。本鍵盤楽器は、樹脂製の楽器本体10に、いずれも着脱自在な後カバー30及び前カバー40を各1つ装着して(被せて)成る(図2参照)。以降、本鍵盤楽器の奏者側を前方、奏者からみた右方を右方と呼称する。
【0016】
図1に示すように、後カバー30及び前カバー40は、それぞれ複数設けられ(30−1〜30−n、40−1〜40−n)、そのうち各1つが選択されて、楽器本体10に被せられる。後カバー30及び前カバー40は、いずれも、合成皮革等で一体に構成される。複数の後カバー30は、基本形状(後述)は同じであるが、色彩、明度、柄及び表面の凹凸の少なくとも1つを含む外観要素が互いに異なっている。複数の前カバー40についても同様で、基本形状は同じで、上記外観要素が互いに異なっている。
【0017】
後カバー30及び前カバー40の選択は、ユーザによってなされ、例えば、当該鍵盤楽器の購入時にユーザが各1つを選択する。あるいは、後カバー30及び前カバー40を、それぞれ数個、楽器本体10に付属させ、購入後において、ユーザが所望の後カバー30及び前カバー40を選択し、装着してもよい。この場合、ユーザは、装着する後カバー30、前カバー40を随時変更することができる。
【0018】
図1、図2に示すように、楽器本体10は、上面11、後面12、左側面13、右側面14、前面15及び不図示の底面を有して、略直方体状に構成される。上面11の一部はパネル面11aを提供する。すなわち、上面11には、鍵盤部16が設けられ、上面11のうち鍵盤部16より後方部分がパネル面11aとなっている。鍵盤部16の直後において、パネル面11aには、操作子群19(19(1)〜19(3))が設けられる。操作子群19は、本鍵盤楽器の左右方向における略中央に集中配置されている。これにより、操作子群19の操作時において、各操作子間の手の移動距離が短くて済み、操作子操作が容易になっている。なお、操作子群19には、表示部が含まれていてもよい。
【0019】
楽器本体10の後面12には、端子群18が設けられる(図1参照)。端子群18は、他の装置と接続したり、電源と接続したりするためのものであり、これらも、本鍵盤楽器の左右方向における略中央に集中配置されている。また、楽器本体10の左右両側部にはスピーカ部17(17L、17R)が設けられている。スピーカ部17L、17Rは、上面11から後面12にかけて設けられる。
【0020】
図3(a)は、後カバー30を裏側からみた斜視図、同図(b)は、前カバー40を裏側からみた斜視図である。
【0021】
図1〜図3に示すように、後カバー30は、基本形状として、楽器本体10の後半部をほぼ覆うような形状に構成され、装着時に楽器本体10のパネル面11a、後面12、左側面13及び右側面14とそれぞれ対向する上板部31、後板部32、左側板部33及び右側板部34を有する。上板部31、後板部32には、それぞれ操作子群19、端子群18に対応する形状に切り欠いた切欠部31a、32aが形成されている。また、上板部31から後板部32にかけて、スピーカ部17L、17Rに対応する部分には、多数の小孔で成るスピーカ対応部37(37L、37R)が形成されている。
【0022】
また、図3に示すように、上板部31の裏面には、複数の粘着部36(36(1)〜36(3))が設けられ、左側板部33、右側板部34の各裏面には、粘着部38(38(1)、38(2))が設けられ、後板部32の裏面には、複数の粘着部39(39(1)〜39(4))が設けられている。これら粘着部36、38、39は、例えば、透明なシリコンシート等の、樹脂及び合成皮革に対して強すぎない粘着性があり、且つ繰り返しの貼り/剥がしに適した材料で成り、上板部31、左側板部33、右側板部34、後板部32の各裏面に、容易に剥がれないように接着されている。
【0023】
一方、図1〜図3に示すように、前カバー40は、基本形状として、楽器本体10の前半部を主に覆うような形状に構成され、装着時に楽器本体10の上面11、左側面13、右側面14及び前面15とそれぞれ対向する上板部41、左側板部43、右側板部44及び前板部45を有する。上板部41は、鍵盤部16に対応する部分から後方に延びる延設部41aを有し、この延設部41aが、操作子群19に対応し、後カバー30の切欠部31aよりやや大きく形成されている。
【0024】
また、図3に示すように、上板部41の裏面には、複数の粘着部46(46(1)〜46(3))が設けられ、左側板部43、右側板部44の各裏面には、粘着部48(48(1)、48(2))が設けられ、前板部45の裏面には、複数の粘着部49(49(1)〜49(4))が設けられている。これら粘着部46、48、49の構成は、粘着部36等と同様である。
【0025】
粘着部36、38、39、48、49は、楽器本体10に対して貼着されるためのものであるが、粘着部46だけは、後カバー30に対して貼着されるためのものであり、後カバー30と前カバー40とのオーバーラップする範囲に配置される。なお、楽器本体10の、粘着部36、38、39、48、49に対向する部分、及び、後カバー30の上板部31の、粘着部46に対応する部分は、いずれも滑らかな平面状に形成され、貼着がされやすいようになっている。
【0026】
かかる構成において、選択した各1つの後カバー30及び前カバー40を楽器本体10に装着するには、まず、楽器本体10に上方から後カバー30を被せ、粘着部36、39を楽器本体10のパネル面11a、後面12に、粘着部38を楽器本体10の左側面13、右側面14に、それぞれ貼着する。その後、前カバー40を楽器本体10に上方から被せ、粘着部48を楽器本体10の左側面13、右側面14に、粘着部49を楽器本体10の前面15に、それぞれ貼着すると共に、粘着部46を後カバー30の上板部31の表面に貼着する。
【0027】
演奏するときは、前カバー40を外す必要があるが、後カバー30は装着したままでよい。すなわち、後カバー30のみを装着した状態では、鍵盤部16が完全露出すると共に、後カバー30の切欠部31a、32aから操作子群19、端子群18も完全露出する。従って、後カバー30を装着したままでも、操作子群19の各操作子の操作、端子群18の各端子の機能を全く損なうことなく演奏することができる。しかも、後カバー30で覆われる部分が、衝撃、外力等による損傷を受けにくく、特にパネル面11aにおいては、経年変化による変色、劣化が生じにくい。また、スピーカ部17の発音は、スピーカ対応部37を通して放音される。
【0028】
一方、収納時等、しばらく演奏しないときは、後カバー30及び前カバー40を共に装着した状態とする。前カバー40は、鍵盤部16を完全に覆うと共に、延設部41aが後カバー30の上板部31とオーバーラップして切欠部31aを覆うので、延設部41aにより操作子群19も完全に覆われる。これにより、衝撃、外力等から楽器本体10全体が保護されると共に、経年変化による楽器本体10の表面の変色、劣化が抑制される。
【0029】
本実施の形態によれば、後カバー30を装着した状態で、鍵盤部16、操作子群19、端子群18が露出するようにしたので、後カバー30を装着したままでも鍵盤操作及び操作子操作等を損なわずに演奏することができると共に、楽器本体10の後カバー30で覆われた部分を保護することができる。
【0030】
また、後カバー30及び前カバー40は、ユーザの所望により複数の種類の中から各1つ選択して楽器本体10に被せるようにしたので、後カバー30及び前カバー40の選択により鍵盤楽器の外観をユーザの好みのものにすることができる。従って、後カバー30及び前カバー40のデザインの種類を増やせば、鍵盤楽器の装飾も、低コストで容易に多様化させることができる。
【0031】
さらに、上記各粘着部は、シリコンシートとしたので、楽器本体10の表面、及び後カバー30の上板部31の表面には粘着剤を施さなくてよいことから、前カバー40を外した状態、乃至、後カバー30を外した状態で、鍵盤楽器の外観が損なわれない。しかも、上記各粘着部は透明であるので、取り外した後カバー30及び前カバー40を裏側からみた場合の見栄えもよい。
【0032】
なお、操作子群19を露出させることに限っていえば、切欠部31aは、穴として形成してもよい。ちなみに、本実施の形態では、操作子群19は、鍵盤部16の直後に配置され、鍵盤部16に近接しているので、後カバー30の装着状態において鍵盤部16及び操作子群19を共に露出させる上で、後カバー30の切欠部31aを、上記のように切り欠くことで形成でき、大穴等を設ける場合に比し、後カバー30の構成が簡単である。
【0033】
なお、上記各粘着部の配置及び数は、例示したものに限定されず、例えば、後カバー30及び前カバー40の縁に沿って全周に施してもよい。また、上記各粘着部の構成は、シリコンシート等の粘着剤に限定されず、ホック、マジックテープ(登録商標)等の物理的な接合手段を用いてもよい。
【0034】
以下、図4、図5を用いて本実施の形態の変形例を説明する。図4(a)、(b)、(c)は、本実施の形態の第1、第2、第3変形例に係る楽器本体及び後カバーの部分斜視図である。なお、前カバーについては、上記前カバー40と同様であるので、図示していない。
【0035】
第1変形例では、同図(a)に示すように、楽器本体10に相当する楽器本体110には、そのパネル面11aの左側部に、楽音効果制御用等のロータリー操作子111が設けられている。その他の構成は楽器本体10と同様である。一方、後カバー30に相当する後カバー130には、その上板部31において、ロータリー操作子111に対応する部分に、貫通穴131が設けられている。その他の構成は後カバー30と同様である。後カバー130を楽器本体110に被せたとき、貫通穴131からロータリー操作子111が完全露出して、演奏時におけるロータリー操作子111の操作が支障なく行えるようになっている。
【0036】
第2変形例では、同図(b)に示すように、楽器本体10に相当する楽器本体210には、その後面12に、スピーカ部17Lに相当するスピーカ部217Lが設けられている。その他の構成は楽器本体10と同様である。一方、後カバー30に相当する後カバー230には、その後板部32において、スピーカ部217Lに対応する部分に、スピーカ対応部37Lと同様の多数の小孔で成るスピーカ対応部237Lが設けられている。スピーカ部217Lの発音は、スピーカ対応部237Lを通して放音される。右側については図示はしないが、楽器本体210、後カバー230の右側部においても、スピーカ部217L、スピーカ対応部237Lと同様のものが左右対称位置に設けられている。
【0037】
第3変形例では、同図(c)に示すように、楽器本体10に相当する楽器本体310には、そのパネル面11aの左側部に、スピーカ部17Lに相当するスピーカ部317Lが設けられている。その他の構成は楽器本体10と同様である。一方、後カバー30に相当する後カバー330には、その上板部31において、スピーカ部317Lに対応する部分に、スピーカ対応部37Lと同様の多数の小孔で成るスピーカ対応部337Lが設けられている。スピーカ部317Lの発音は、スピーカ対応部337Lを通して放音される。右側については図示はしないが、楽器本体310、後カバー330の右側部においても、スピーカ部317L、スピーカ対応部337Lと同様のものが左右対称位置に設けられている。
【0038】
これら第1〜第3変形例によっても、上記図1〜図3で説明した本実施の形態と同様の効果を奏することができる。

なお、本実施の形態において、スピーカ対応部37、237、337は、多数の小孔で構成したが、これに限るものでなく、スピーカ部17、217、317に対応する形状の大穴で構成してもよい。
【0039】
図5は、本実施の形態の第4変形例に係る楽器本体及び後カバーの部分断面の模式図である。この第4変形例では、上記後カバー30に相当する後カバー50が分割2重構造となっている。後カバー50のその他の部分の構成は上記後カバー30と同様である。また、前カバーについては、上記前カバー40と同様である。
【0040】
図5に示すように、後カバー50は、いずれも上記後カバー30と同様の形状をした上層部51と下層部52とが重ねられて成る。すなわち、同図では、後部しか図示していないが、上層部51及び下層部52は、楽器本体10の後面12、左側面13及び右側面14のそれぞれ(図2参照)に沿って下方に折り曲げられ、上層部51の裏面または下層部52の表面の少なくとも一方に設けられた粘着部53によって、互いに繰り返しの貼り/剥がしが可能な接着状態とされている。粘着部53の構成は、上記粘着部36と同様であるが、上記した、マジックテープ(登録商標)等の物理的な接合手段であってもよい。
【0041】
このように、後カバー50を分割2重構造とすることで、上層部51のみを交換可能にすることができる。従って、例えば、上層部51が汚れた場合は、上層部51のみをメーカーから取り寄せて交換すれば、新品時と同じような外観に戻すことができ、楽器本体10に対するユーザの愛着を長く保てるようにすることができる。また、上層部51と下層部52とは、材質、質感等を同じにする必要はなく、例えば、下層部52は高級でない仕上げとし、上層部51だけを高級な仕上げとすることで、コストの上昇を抑えつつ高級感を得ることができる。
【0042】
第4変形例において、粘着部53のうち、例えば、下層部52の上面に位置するものについては、ボタン、ホック等の物理的な接合手段で構成し、その接合手段の輪郭が、上層部51の表側から視認されるようにすれば、その接合手段自体も装飾の一部とすることもできる。
【0043】
なお、本実施の形態において、後カバー30及び前カバー40は、合成皮革に限らず、他の材料で構成してもよいが、より大きい装飾的効果を得る観点からは、楽器本体10(樹脂)とは質感の異なる材料で構成するのが好ましい。
【0044】
なお、本実施の形態では、前カバー40を設けたが、カバー体として後カバー30のみを設けた構成を採用してもよい。この場合、装着状態のまま支障なく演奏可能にする観点からは、後カバー30は、楽器本体10の上面11に関しては、少なくとも鍵盤部16及び操作子群19が露出するように構成してもよく、例えば、パネル面11aだけでなく、上面11のうち鍵盤部16及び操作子群19が存在する領域以外のすべてを覆うように構成してもよい。また、この場合において、後カバー30の左側板部33、右側板部34が、それぞれ左側面13、右側面14の全面を覆うように構成してもよい。
【0045】
あるいは、後カバー30と前カバー40の双方を兼ねた一体のカバー体を設けてもよい。この場合、楽器本体10の上面11に関しては、このカバー体の装着時に少なくとも鍵盤部16及び操作子群19が露出するように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態に係る鍵盤楽器の分解斜視図である。
【図2】同鍵盤楽器の平面図である。
【図3】後カバーを裏側からみた斜視図(図(a))、前カバーを裏側からみた斜視図(図(b))である。
【図4】本実施の形態の第1、第2、第3変形例に係る楽器本体及び後カバーの部分斜視図(図(a)、(b)、(c))である。
【図5】本実施の形態の第4変形例に係る楽器本体及び後カバーの部分断面の模式図である。
【符号の説明】
【0047】
10 楽器本体、 11 上面、 12 後面(背面)、 13 左側面、 14 右側面、 11a パネル面、 16 鍵盤部、 19 操作子群、 30、30−1〜30−n 後カバー(カバー体)、 31 上板部(パネル面被腹部)、 31a 切欠部(操作子群対応開口部)、 32 後板部(背面被腹部)、 33 左側板部(側面被腹部)、 34 右側板部(側面被腹部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面、左右両側面、及び、パネル面を提供する上面を有する楽器本体と、
前記楽器本体の前記上面に設けられた鍵盤部と、
前記楽器本体の前記上面のうち前記パネル面に設けられた操作子群と、
前記楽器本体の前記背面、前記左右両側面、前記パネル面をそれぞれ被覆する背面被腹部、側面被腹部、パネル面被腹部を有すると共に、前記パネル面被腹部に、前記操作子群に対応して開口する操作子群対応開口部が形成されたカバー体とを有し、
前記カバー体を前記楽器本体に被せたとき、前記鍵盤部が露出すると共に、前記パネル面被腹部の前記操作子群対応開口部から前記操作子群が露出するように構成されたことを特徴とする鍵盤楽器。
【請求項2】
前記操作子群は、前記楽器本体の左右方向略中央部において、前記パネル面に集中配置されたことを特徴とする請求項1記載の鍵盤楽器。
【請求項3】
背面、左右両側面、及び、パネル面を提供する上面を有する楽器本体と、
前記楽器本体の前記上面に設けられた鍵盤部と、
前記楽器本体の前記上面のうち前記パネル面に設けられた操作子群とを有し、
前記楽器本体に被せるための複数のカバー体のうち選択された1つのカバー体を前記楽器本体に被せて構成される鍵盤楽器であって、
前記複数のカバー体はいずれも、前記楽器本体の前記背面、前記左右両側面、前記パネル面をそれぞれ被覆する背面被腹部、側面被腹部、パネル面被腹部を有すると共に、前記パネル面被腹部に、前記操作子群に対応して開口する操作子群対応開口部が形成され、前記1つのカバー体を前記楽器本体に被せたとき、前記鍵盤部が露出すると共に、前記パネル面被腹部の前記操作子群対応開口部から前記操作子群が露出し、且つ、前記複数のカバー体は、それらの、色彩、明度、柄及び表面の凹凸の少なくとも1つを含む外観要素が互いに異なっていることを特徴とする鍵盤楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−195057(P2006−195057A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5077(P2005−5077)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】