説明

鎖延長剤

本発明は、鎖延長剤、この調製方法及びヒト組織工学用のステント、スキャフォールド等の生物医学的用途のための生体適合性生体分解性ポリウレタン及びポリウレタン尿素の調製におけるこの使用に関する。鎖延長剤は式(I)の化合物を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鎖延長剤、この調製方法並びにステント、整形外科固定スキャフォールド及び組織工学用のスキャフォールド等の生物医学的用途のための生体適合性生体分解性ポリウレタン及びポリウレタン尿素の調製におけるこの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
生体分解性ポリウレタン及びポリウレタン尿素は、一般的に、ポリエステルポリオール、脂肪族ジイソシアネート及びジオール又はジアミン鎖延長剤を使用して形成される。ポリエステルポリオールは、ポリマーの「軟質」セグメントを形成し、一方、ジイソシアネート及び鎖延長剤は硬質セグメントを形成する。硬質セグメントは水素結合により順序付けられた領域を形成し、材料に高い機械的強度を与える。軟質セグメントはポリエステルポリオールで主として形成され、ポリマーに弾性を与える。ポリカプロラクトン、ポリグリコリド及びポリラクチド等のポリエステルポリオールは、生体分解性ポリウレタンで最も広く使用されているポリオールである。これらのポリマーの生体分解は、主として、ポリマーのエステル、ウレタン及び尿素結合の加水分解的分解により生起する。ポリウレタンの軟質セグメントは、硬質セグメントよりも著しく速く分解する。これは、主に、比較的容易に加水分解できるエステル結合の存在及び軟質セグメントの無定形性によるものである。生体分解性ポリウレタンの硬質セグメントは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ブタンジイソシアネート(BDI)、リシンジイソシアネートエチルエステル及びリシンジイソシアネートメチルエステル等のジイソシアネートから形成される。鎖延長剤は低分子量(一般的に、MW<400)ジオール又はジアミンである。例としては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、エチレンジアミン及び水が挙げられる。ジオール及びジイソシアネートは反応して、ポリウレタンの硬質セグメントにおいてウレタン結合を形成する。ジアミン鎖延長剤及び水は反応してウレタン結合を形成する。硬質セグメントにおけるウレタン又は尿素結合も、加水分解により分解するが、エステル結合よりは著しく遅い速度である。
【0003】
生体分解性ポリマーの設計で重要な考慮すべき点は、生体において1つ又は複数の分解経路、例えば、加水分解的又は酵素的分解等の影響を受けやすい骨格官能基を有するポリウレタンをもたらす前駆体の選択である。そのようなポリウレタンは分解して、生体再吸収されるか、体における廃棄物経路の1つにより体から放出される低分子量生成物になる。通常のジイソシアネート及び鎖延長剤、例えば、エチレングリコール又はエチレンジアミン等の使用は、ウレタン、尿素又はそのような官能基の組合せを伴う硬質セグメントを伴うポリウレタンをもたらす。これらの結合の分解速度はエステル結合に比べて比較的遅いので、ポリマーの分解は主に硬質セグメントを含むオリゴマーをもたらす。これは、特に、ポリウレタンが高い割合の硬質セグメント(長い硬質セグメント長)で形成される場合に大きな問題になる。したがって、硬質セグメントも、体からの迅速な放出のために低分子量化合物まで迅速に分解することが望ましい。これは、又、特定の用途に合わせた分解速度を伴う生体分解性ポリウレタンの設計のための形成の選択肢を広げる。
【0004】
生体適合性化合物、例えば、アミノ酸等に分解する鎖延長剤は、生体分解性ポリウレタンを形成するために使用されている。この鎖延長剤は、シクロヘキサンジメタノール及びフェニルアラニンを基としたジアミンであり、一般的に、鎖延長剤として検討するには分子量(MW 438)が高過ぎる。嵩高なベンジルペンダント基と組み合わせた高分子量は、分裂した硬質セグメントを伴うポリウレタンをもたらし、ポリウレタンにおいてそのような鎖延長剤を使用して達成することのできる性質の範囲を制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、骨格において1つ又は複数の加水分解性(分解性)官能基を有する鎖延長剤に関する。
【0006】
この鎖延長剤は、骨格において遊離基重合性官能基を場合により含むヒドロキシ酸又はジカルボン酸のエステルジオールに基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、式(I):
【化1】


式中、r、s、t、u及びvは、独立に、0又は1であり(但し、r、s、t、u及びvの少なくとも2つは1である)、
Xは、O、S又はNRであり(ここで、RはH又は場合により置換されたC1〜6アルキルである)、
及びRは、独立に、場合により置換されたC1〜20アルキレン及び場合により置換されたC2〜20アルケニレンから選択され、その両方とも場合により置換されたアリール又は場合により置換されたヘテロシクリルで場合により割り込まれていてもよく、
は、場合により置換されたC1〜20アルキレン及び場合により置換されたC2〜20アルケニレンから選択され、その両方とも場合により置換されたアリール又は場合により置換されたヘテロシクリルで場合により割り込まれていてもよい]の化合物を含む鎖延長剤が提供される。
【0008】
本発明の別の態様によれば、上で定義される鎖延長剤が提供され、但し、r及びsが1であり、t、u及びvが0であり、XがOであり、Rが(CHである場合、Rは、CH、CHCH又は(CH(GA−EG、LA−EG又はEG−4HB)ではない。
【0009】
式(I)で網羅される化合物の例は、以下の表で示される:
【表1】

【0010】
本発明は、また、鎖延長剤として、上で定義される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0011】
本発明は、更に、鎖延長剤として使用される場合の上で定義される式(I)の化合物を提供する。
【0012】
式(I)の化合物の幾つかは、それ自体新規であり、ε−カプロラクトン及びエチレングリコール二量体(CL−EG)等の本発明の一部を形成する。
【0013】
本発明は、また、式(II)又は(III):
【化2】


(式中、R及びnは上で定義されている通りである)の化合物と、式(IV)
HOROH (IV)
(式中、Rは上で定義されている通りである)の化合物とのエステル交換反応の工程を含む、上で定義される式(I)の化合物の調製方法を提供する。
【0014】
式(I)の化合物は、通常の鎖延長剤との組合せで使用することができることが認識される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、上で定義される式(I)の化合物及び通常の鎖延長剤を含む鎖延長剤組成物が提供される。
【0016】
鎖延長剤及び鎖延長剤組成物は、特に、生物医学的用途のための生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素の調製において有用である。
【0017】
本発明のなお更なる態様によれば、上で定義される鎖延長剤又は鎖延長剤組成物から形成されるセグメントを含む生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一実施形態では、生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、イソシアネート、ポリオール及び上で定義される鎖延長剤又は鎖延長剤組成物の反応生成物を含む。
【0019】
別の実施形態では、生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、また、イソシアネート及び上で定義される鎖延長剤又は鎖延長剤組成物だけを使用して調製されてもよい。本発明の鎖延長剤は、鎖延長剤及びポリオールの両方の二重官能性を有する。
【0020】
生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、冠動脈、血管又は心臓組織、創傷修復、形成若しくは美容外科、神経再生、脊髄盤修復若しくは増大又は整形外科又は組織工学用途のためのスキャフォールドとして特に有用である。
【0021】
したがって、本発明は、また、上で定義されるような、架橋又は線状ポリウレタン又はポリウレタン尿素を含む生体適合性生体分解性ポリマースキャフォールドを提供する。
【0022】
一実施形態では、スキャフォールドは、ステント;ステントコーティング;骨の代替物;骨の充填材;骨のセメント;半月板及び関節軟骨、腱靱帯及び結合組織を含めた軟質組織修復用のスクリュー、ピン、プレート若しくは脊椎ケージ又はダートアロー、ピン若しくは接着剤等の整形外科固定スキャフォールド或いは脊椎術又は脊柱術用充填材である。
【0023】
本発明は、更に、上で定義されるスキャフォールドから全体的に又は部分的に構成される医療装置又は組成物を提供する。
【0024】
鎖延長剤
用語「鎖延長剤」は、イシアネートに対して反応性である2つ以上の官能基を有し、400未満の分子量を有する低分子量化合物を意味する。
【0025】
本発明の鎖延長剤は、骨格に1つ又は複数の加水分解性(分解性)官能基を有する。用語「加水分解性(分解性)官能基」は、鎖延長剤の一部であってもよく、好ましくは、鎖延長剤から形成される生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素のin vivo分解において生体適合性及び生体再吸収性である任意の分子部分を意味する。
【0026】
本発明の鎖延長剤は、骨格に遊離基重合性官能基を場合により含むα−ヒドロキシ酸又はジカルボン酸のエステルジオールを基とする。これらの鎖延長剤が単独で又は通常の鎖延長剤との組合せで使用されてポリウレタン又はポリウレタン尿素を形成する場合、このポリウレタンは通常の鎖延長剤を基にしたものよりも速い速度で分解する。更に、ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、分解生成物の中でも最小水準のオリゴマー性硬質セグメント種を生じる軟質セグメントに比肩し得る速度で、本発明の鎖延長剤から形成される硬質セグメントの分解による低分子量化合物まで分解する。ジカルボン酸のエステルジオールを基にした鎖延長剤は、鎖延長剤骨格内に2つの加水分解性(分解性)官能基を備えて、硬質セグメント構造の更に速い分解を促進する。骨格における遊離基重合性官能基の存在は、また、硬質セグメントの架橋を促進する。これらの鎖延長剤を基としたポリウレタン又はポリウレタン尿素が製造され、次いで、架橋して改良された機械的性質を有するネットワーク構造を形成することができる。
【0027】
式(I)の好ましい鎖延長剤は、以下で示される式(Ia)及び(Ib)
【化3】


(式中、RからRは上で定義されている通りであり、好ましくは、場合により置換されたC1〜6アルキレン又は場合により置換されたC2〜6アルケニレンである)を有する。
【0028】
式(Ia)の化合物の一般的な例は次の通りである。
【化4】

【0029】
式(Ib)の化合物の一般的な例は次の通りである。
【化5】

【0030】
用語「C1〜20アルキレン」及び「C2〜20アルケニレン」は、それぞれ、用語「C1〜20アルキル」及び「C2〜20アルケニル」に対応する二価の基である。アルキレン又はアルケニレンを隣接炭素に結合する2つの結合は、二価基において同じ炭素原子又は異なる炭素原子に由来するものであってもよい。
【0031】
用語「C1〜20アルキル」は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分枝又は環状炭化水素基を意味する。そのようなアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0032】
用語「アルケニル」は、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子の、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分枝炭化水素基を意味する。アルケニル例としては、エテニル、プロペニル、アリル、プロペニル、ブテニル及び4−メチルブテニルが挙げられる。
【0033】
用語「アリール」は、ペンダント方法で一緒に結合してもよく又は融合してもよい1つ、2つ又は3つの環を含む炭素環式芳香族系を意味する。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン及びビフェニル等の芳香族基を包含する。
【0034】
用語「ヘテロシクリル」は、窒素、硫黄及び酸素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、飽和又は不飽和、単環又は多環式炭化水素基を意味する。
【0035】
好適なヘテロシクリル基としては、N−含有複素環式基、例えば、1〜4個の窒素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル又はテトラゾリル;1〜4個の窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ又はピペラジニル等;1〜5個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環式基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル又はテトラゾロピリダジニル等;酸素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピラニル又はフリル等;1〜2個の硫黄原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、チエニル等;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、オキサゾリル、イソオキサゾリル又はオキサジアゾリル等;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、モルホリニル等;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環式基、例えば、ベンゾオキサゾリル又はベンゾオキサジアゾリル等;1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、チアゾリル又はチアジアゾリル等;1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、チアゾリジニル等;及び1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環式基、例えば、ベンゾチアゾリル又はベンゾチアジアゾリル等が挙げられる。
【0036】
用語「場合により置換された」は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、ハロ、ハロC1〜6アルキル、ハロC2〜6アルケニル、ハロC2〜6アルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニルオキシ、C1〜6アリールオキシ、ベンジルオキシ、ハロC1〜6アルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロC1〜6アルキル、ニトロC2〜6アルケニル、ニトロC2〜6アルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6ジアルキルアミノ、C2〜6アルケニルアミノ、C2〜6アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アリールアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、C1〜6アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロヘテロシクリル、C1〜6アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、C1〜6アルキルチオ、ベンジルチオ、アシルチオ、燐含有基等から選択される1つ又は複数の基で更に置換されていてもよく又は置換されていなくてもよい基を意味する。
【0037】
方法
鎖延長剤は、式(II)のα−ヒドロキシ酸又はジカルボン酸ポリマーと、好ましくは過剰量で存在する式(III)のアルカンジオールとのエステル交換反応により調製されてもよい。α−ヒドロキシ酸の例としては、グリコール酸、L−乳酸、D,L−乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸及び5−ヒドロキシペンタン酸が挙げられる。ジカルボン酸の例としては、琥珀酸、フマル酸及びマレイン酸が挙げられる。アルカンジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール及びヘキサンジオールが挙げられる。この方法で調製された鎖延長剤は、次いで、分留、溶剤分別、クロマトグラフ分離、例えば、分離用ゲル浸透又は高性能液体クロマトグラフィー等の任意の適当な公知の方法を使用して精製されてもよい。
【0038】
鎖延長剤組成物
通常の鎖延長剤は好ましくは二官能であり、ジオール、ジチオール、ジアミン、アミノ酸又はジカルボン酸であってもよい。例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等のジオール;ブタンジアミン、エタノールアミン、グリシン及びリシン等のジアミン;並びにアルキルジチオール、即ち、エタン又はプロパンジチオール等のジチオールが挙げられる。
【0039】
ポリウレタン又はポリウレタン尿素
本発明の生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、好ましくは、イソシアネート、ポリオール及び上で定義される鎖延長剤又は鎖延長剤組成物を反応させることにより調製される。
【0040】
好ましくは、ポリウレタン又はポリウレタン尿素は熱可塑性であり、一般式:
【化6】


(式中、Rはイソシアネートからのものであり、Rは鎖延長剤からのものであり、Rは軟質セグメントポリオールからのものである)を有する。変数「q」は、硬質セグメントにおける繰返し単位の平均数を表す。変数「s」はポリマーの分子量に比例し、硬質セグメント繰返し単位及び軟質セグメントの両方を含む。
【0041】
本発明のポリウレタン又はポリウレタン尿素の調製に適したイソシアネートは、場合により置換された脂肪族、芳香族及びヒンダードイソシアネート又はイソチオシアネートからなる群から選択されるものである。好ましくは、イソシアネートはジイソシアネートである。
【0042】
例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及び次のものが挙げられる。
【化7】

【0043】
用語「ポリオール」は、イソシアネート基と反応してウレタン基を形成することのできる、少なくとも2つ以上の官能性ヒドロキシル基を有する分子を意味する。ポリオールの例としては、ジオール、トリオール及びマクロジオール(macrodiol)等のマクロマー(macromer)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、ポリオールは200〜5000、更に好ましくは200〜2000、なお更に好ましくは200〜1000の分子量を有する。ポリオールは、例えば、ヒドロキシル、チオール又はカルボン酸基を末端とすることもできる。
【0044】
ポリオールの構造は、好ましくは、
【化8】


(式中、h及び/又はkは0であることができ(二量体の場合は、例えば、h=0、j=1及びk=1である)、又はjと同じ整数であり、R及びRは、独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、(第一級及び第二級の両方)及びカルボキシアルキルから選択され、R及びRは水素であることはできないが、独立に、直鎖又は分枝アルキル、アルケニル、アミノアルキル、アルコキシ又はアリールであることができる)である。全体の構造の分子量は、好ましくは120〜400である。好ましいとは言えないが、分子量は2000までであることができ、まして好ましいとは言えないが、2000より上であることができる。好適な軟質セグメントの4つの例は次の通りである:
ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール、MW 400:ここで、Rは(CH−CH)であり、Rは(CHであり、R及びRは共にHであり、j=1及び(h+k)=2.96;
(グリコール酸−エチレングリコール)二量体:ここで、Rは(CH−CH)であり、Rは(CH)であり、R及びRは共にHであり、j=1及び(h+k)=1;
ポリ(エチレングリコール)、MW 400:ここで、h=0、k=0、j=13まで、Rは(CH−CH)であり、R及びRは共にHである;
ポリ(エチレングリコール)ビス(3−アミノプロピル)末端化(Aldrich):ここで、Rは(CH−CH)であり、R及びRは共に−(CHNHであり、j=34及び(h+k)=0。
【0045】
及びRのどちらか又は両方は、例えば、乳酸であるR’=(CHCHCH)の非線状構造を含むことができる。しかしながら、R及びRは、好ましくは、恐らく架橋を引き起こすOH及びNH等の基を含むべきではない。好適な化合物としては、以下のポリエステルポリオールが挙げられるがこれらに限定されない:
【化9】

【0046】
軟質セグメントとして作用してもよいその他のポリオールの例としては、ポリ−(4−ヒドロキシブチレート)ジオール(P4HBジオール)、ポリ−(3−ヒドロキシブチレート)ジオール(P3HBジオール)、ポリプロピレングリコール並びにPLGAジオール、P(LA/CL)ジオール及びP(3HB/4HB)ジオールを含むこれらの任意のコポリマーが挙げられる。
【0047】
ポリマースキャフォールド
2より多いヒドロキシル官能性を有するポリオールは、熱硬化性(架橋された)ポリマーを調製する場合に使用することができる。
【0048】
本発明によるポリウレタン又はポリウレタン尿素は、組織工学スキャフォールドとして使用することのできる多孔性及び非多孔性架橋又は線状ポリマーを形成することが分かった。また、本発明による或る種の生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、室温〜37℃の間でガラス転移を示すことが分かった。この性質は、生体内で、さもなければ37℃の生理学的温度にあるバイオリアクターにおけるスキャフォールド上のグループ細胞中で軟化し且つ弾性的にさえなるFDM装置(20℃で開始する)で硬質材料を押し出すのに使用することができる。これは、また、軟質組織用途にとって極めて有用な性質である。
【0049】
架橋及び線状形態の両方のポリマーは、種々の型のスキャフォールドを作るのに使用することができる。例えば、線状ポリマーは反応性押出し等の方法を使用して繊維組織を形成するために加工することができる。繊維組織は織ったり編んだりして、創傷修復等の用途で有用な膜を作ることができる。同様に、両方の形態のポリマーは、機械加工又は旋盤加工して、スクリュー、ピン、プレート及び脊椎ケージ等の整形外科固定スキャフォールドを形成することができる。そのような装置は、一般的に、ポリマーを固体又は多孔性ブロックとして圧縮成型することにより調製され、適当なスキャフォールド構造を形成するために機械加工される。
【0050】
ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、これらの物理的及び化学的特徴に対して、好ましくは、殺菌性を高めるためにガンマ放射線を使用して、危険を伴わずに殺菌することができる。
【0051】
ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、生体内での組織修復を助けるためにこれらの能力に対して選択される生物学的及び無機成分を導入してもよい。硬化した場合、本発明によるポリウレタン又はポリウレタン尿素は、多孔性で且つ相互侵入ポリマーネットワークを含むことにより生物学的及び無機成分の包含を可能とすることのできる生体分解性生体適合性スキャフォールドを形成する。これらの生物学的及び無機成分は、好ましくは、細胞、前駆細胞、成長因子、細胞成長を支持するその他の成分、薬剤、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ヒアルロン酸、非粒子リン酸三カルシウム及びヒドロキシアパタイト型充填剤、硫酸バリウム及び炭酸バリウムを含めた放射性不透明物質、フィブリン、コラーゲン及びトランスグルタミナーゼ系を含めた接着剤、シロキサン界面活性剤を含む界面活性剤、シリカ粒子、粉末シリカ、ポリウレタンにおいて細胞を播種するために使用されてもよい中空繊維、並びに例えば、ゼラチンビーズを含むその他のポロゲンからなる群から選択される。生物学的及び無機成分は、特に、細胞及び前駆細胞等の生きた添加剤の場合には必要に応じた量で存在してもよい。少なくとも20%w/wまでの量が許容されてもよい。
【0052】
スキャフォールドは、好ましくは、細胞、前駆細胞、成長因子、細胞成長を支持するその他の成分、薬剤、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ヒアルロン酸、非粒子リン酸三カルシウム及びヒドロキシアパタイト型充填剤、フィブリン、コラーゲン及びトランスグルタミナーゼ系を含めた接着剤、シロキサン界面活性剤を含む界面活性剤、シリカ粒子、粉末シリカ、ポリウレタン又はポリウレタン尿素において細胞を播種するために使用されてもよい中空繊維、並びに例えば、ゼラチンビーズを含むその他のポロゲンからなる群から望ましくは選択される生物学的及び無機成分を導入してもよい。生物学的及び無機成分は、特に、細胞及び前駆細胞等の生きた添加剤の場合には必要に応じた量で存在してもよい。少なくとも20%w/wまでの量が許容されてもよい。
【0053】
好ましくは、本発明のこの態様による硬化スキャフォールドは、0.05〜200MPaの範囲の圧縮強度を有する。スキャフォールドの圧縮強度は、その多孔性によって、及び添加された生物学的成分によって変動する。好ましくは、スキャフォールドは、100〜500ミクロン、更に好ましくは150〜300ミクロンのサイズ範囲の孔を有する。
【0054】
更に好ましくは、多孔性スキャフォールドは、生きた生物学的成分又は治療を受ける患者の組織修復過程を助けるために選択された薬剤と一緒に播種される。そこで選択される生物学的成分は、細胞、前駆細胞、成長因子及び細胞成長を支持するその他の成分であってもよい。好適な細胞としては、骨芽細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞又はその他の前駆細胞が挙げられてもよい。好適な薬剤は、対象の組織工学用途で助けとなる任意のものである。
【0055】
好ましくは、スキャフォールドは、冠状動脈性心臓病の治療において有用な生体分解性ステントである。本発明の別の態様では、本発明の生体分解性生体適合性ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、冠状動脈性心臓病の治療においてステントコーティングとして使用される。
【0056】
また、組織修復又は工学において、そのような治療を必要とする対象に、本発明による架橋又は線状の、生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素を含むスキャフォールドを挿入する工程を含む、本発明によるポリウレタン又はポリウレタン尿素の使用が提供される。
【0057】
本発明の説明では、文脈が別の言語又は必要な意味合いを求めている場合を除いて「含む(comprise)」或いは「包含する(comprises)」又は「含むこと(comprising)」等の変化の言葉は、包含的意味で、即ち、言及されている特徴の存在を特定化はするが、本発明の種々の実施形態における更なる特徴の存在又は付加を除外しないものとして使用される。
【0058】
実施例では、添付の図面に対して参照が行われる。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
グリコール酸−1,3−プロパンジオールエステルジオール(GA−1,3−PD)の調製
工程1−重縮合又は脱水−56.7gのグリコール酸を、磁気撹拌ビード、蒸留器頭部側腕及び流出水を集めるための冷却器を備えた大きな丸底フラスコ中で窒素ガス発生下で、水を除去するために、220℃で5時間加熱した。得られた生成物は、ポリグリコール酸(PGA)の白色固体ポリマーであった。
【0060】
工程2−エステル交換反応−おおよそ43gの白色固体PGAに、283.6gの1,3−プロパンジオールを添加し(5対1のモル比)、温度を、17時間30分のエステル交換反応のために200℃に設定した。グリコール酸エステルジオールを以下で概要説明する分別蒸留により精製した。
【0061】
工程3−分別蒸留による精製−次いで、二量体含有液体を、クーゲルロール(Kugelrohr)において50℃で、真空下(0.01〜0.001torr)で加熱して未反応1,3−プロパンジオールを除去し、次いで、温度を70℃まで上げて二量体を蒸留した。二量体画分を集め、次いで、存在する全ての1,3−プロパンジオールを除去するために二度目の蒸留を行った。GA−1,3−PDは、白色の幾分スラリー状の固体であった。合計で53gのGA−1,3−PD二量体であった(収率53%)。
【0062】
調製したエステルジオールの化学構造及び性質は、以下の表1に纏められる。
【表2】

【0063】
(実施例2)
ジカルボン酸エステルジオール鎖延長剤の調製
工程1−縮合−23.6gの琥珀酸(二酸)を、磁気撹拌ビード、蒸留器頭部側腕及び流出水を集めるための冷却器を備えた丸底フラスコ中で窒素ガス発生下で、170℃で20時間、248gのエチレングリコールと一緒に(1:10モル比)加熱した。
【0064】
工程2−分別蒸留による精製−次いで、工程1からの生成物を、クーゲルロールで真空下(0.01torr)で、40〜50℃で加熱してエチレングリコールを除去し、次いで、120℃まで上げて、EG−Suc−EG三量体を蒸留して無色の液体を得た。収量は22.7gであった(収率55.1%)。
【0065】
【表3】

【0066】
(実施例3)
実施例1及び2の鎖延長剤を使用してポリウレタンの調製
材料:ポリ(ε−カプロラクトン)、(PCL)、軟質セグメント(分子量426)を、90℃で、4時間、真空下(0.1torr)で乾燥した。HDI(Aldrich)(無色)は受取り次第使用した。無水状態に保たれたオクタン酸第一スズ(Aldrich)は、受取り次第使用した。鎖延長剤を合成し、蒸留し、次いで密閉して冷凍し、使用まで乾燥した。
【0067】
方法:PCL軟質セグメントジオール(35.000g)、鎖延長剤(21.311g)及びオクタン酸第一スズ(0.050g)の混合物を100mlの予備乾燥したポリピロピレンビーカーに量り入れ、アルミニウムホイルで覆い、実験室オーブンで窒素下で70℃に加熱した。HDI(43.689g)を別の湿気を除いた予備乾燥ポリプロピレンビーカーに量り入れ、また、70℃まで加熱した。次いで、HDIを、ジオール/EG/オクタン酸第一スズのビーカーに添加し、ゲル化が生起するまで手で撹拌し、この時点で熱粘稠混合物をTeflon(登録商標)被覆金属トレーに注入し、100℃で約18時間硬化させた。得られたポリマーは透明で無色であった。
【0068】
【表4】

【0069】
分解は、37℃で3ヶ月間、pH7.4のPBS緩衝液中で、1mm厚の溶融加圧試料で行った。
【0070】
分解方法は、ASTM国際標準F 1635によるものであった:手術による移植のためのポリ(L−乳酸)樹脂及び加工形態の体外分解試験のための標準試験方法(Standard Test Method for in vitro Degradation Testing of Poly(L−lactic Acid)Resin and Fabricated Form for Surgical Implants)。要するに、条件は次の通りであった:ポリマーは100〜200μm厚に溶融加圧し、ストリップは5mmx45mmで切り出し、緩衝液は0.1M PBS、pH7.4であり、温度は37℃であり、溶液:試料比は100:1〜300:1であり、0.1%アジ化ナトリウムを抗菌薬として添加し、サンプルは、全て50rpm撹拌培養器に入れ、材料当たり6個の試料、ジャー毎に試料1つのみ入れた。
【0071】
【表5】

【0072】
(実施例4)
CL−EG二量体の調製
ε−カプロラクトン(114.14g)及びエチレングリコール(310.35g)を丸底フラスコに添加し、試薬の損失を避けるために垂直冷却器を伴い一晩中190℃で加熱した。
【0073】
エチレングリコールをクーゲルロール(0.01〜0.001torr)において、40〜50℃で除去し、次いで、CL−EG二量体を100℃で蒸留した。CL−EG二量体を集め、これを再蒸留してエチレングリコールを除去し、120gのCL−EG二量体を得た。この二量体は無色低粘性液体であった。特徴付けはH NMRで行った(図4)。
【0074】
(実施例5)
CL−BDO二量体の調製
ε−カプロラクトン(79.83g)及び1,4−ブタンジオール(450.60g)を丸底フラスコに添加し、試薬の損失を避けるために垂直冷却器を伴い週末にかけて(約66時間)180℃で加熱した。
【0075】
1,4−ブタンジオールをクーゲルロール(0.01〜0.001torr)において、80℃で除去し、次いで、CL−BDO二量体を110℃で蒸留した。CL−BDO二量体を集め、再蒸留してBDOを除去し、63.75gのCL−BDO二量体を得た。この二量体は無色低粘性液体であった。特徴付けはH NMRで行った(図5)。
【0076】
(実施例6)
100℃での比較加水分解
表3の2つのポリマーについて、100℃での加水分解的分解を比較し、溶液中のアミン(ウレタンの加水分解による)濃度変化を測定する。おおよそ5gのポリマーを計量し、丸底フラスコに入れる。次いで、蒸留水を、サンプル対水比がおおよそ1:50(濃縮された分解生成物を得るために)である様にサンプルを含むフラスコに添加する。次いで、丸底フラスコを、130℃に設定された油浴に置き、垂直冷却器を伴って24時間還流する。分解生成物を集め、ニンヒドリン分析に掛ける。ニンヒドリン分析:ニンヒドリン試薬溶液はSigma社から、製品コード番号N7285で入手する。分析並びに標準曲線の作成に関しては製品情報シートのプロトコールに従う。
【0077】
(実施例7)
分解性鎖延長剤を導入する架橋ポリマーの調製
ELDIを伴うペンタエリスリトール(PE)のプレポリマー(2.0g)をガラスバイアル中に量り入れる。脱気し乾燥した表3の二量体0.461g(MW 120)をプレポリマーに添加する。混合物を、2−エチルヘキサン酸第一スズ触媒(0.002g、プレポリマーの合計量を基準にして0.1%)と一緒に、へらを使用して手で3分間撹拌し、真空下で5分間脱気する。粘稠混合物を2.5mlシリンジに取り、複数キャビティーTeflon金型の各円筒形キャビティー(6mm Dx12mm L)中に0.33gを懸濁させ、38℃で一晩中硬化させて円筒状のポリマーテスト試料を得る。二番目のポリマーは、5重量%のβ−リン酸三カルシウム(TCP、粒径5ミクロン)を導入して調製する。TCPは、反応体混合物に添加し、均一分散のために高速機械撹拌機を使用して撹拌する。
【0078】
硬化ポリマーサンプルを、Instron(Model 5568)を使用して、ASTM法F451−756による圧縮強度及び弾性率について試験する。
【0079】
(実施例8)
材料:ポリ(エチレングリコール)(PEG)(分子量 1000)を、90℃で、4時間、真空下(0.1torr)で乾燥する。HDI(Aldrich)は受取り次第使用する。無水状態に保たれたオクタン酸第一スズ(Aldrich)は、受取り次第使用する。鎖延長剤を、実施例1に記載の方法を使用して合成する。蒸留生成物を冷蔵及び乾燥条件下で使用まで密閉して保つ。
【0080】
方法:ポリマーを、実施例3に記載の方法を使用して調製する。ポリエチレングリコール(10.000g)、鎖延長剤(1.713g)、EG(1.330g)及びオクタン酸第一スズ(0.010g)の混合物を100mlの予備乾燥したポリプロピレンビーカーに量り入れ、アルミニウムホイルで覆い、実験室オーブンで窒素下で70℃に加熱する。HDI(7.862g)を別の湿気を除いた予備乾燥ポリプロピレンビーカーに量り入れ、70℃まで加熱する。次いで、HDIを、ビーカー中のポリオール/鎖延長剤混合物に添加し、手で3分間撹拌する。次いで、粘稠混合物をTeflon(登録商標)被覆金属トレーに注入し、窒素循環オーブン中で、100℃で約18時間硬化させる。
【0081】
本発明は明確さ及び理解を目的として或る程度詳しく記述されたが、本明細書で説明された実施形態及び方法に対する種々の変更及び変化は、本明細書に開示される発明の概念の範囲から逸脱することなく為すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】GA−1,3−PD、NaClプレートのIRスペクトルを示す図である。
【図2】重水素化DMSOにおけるGA−1,3−PDのH NMRスペクトルを示す図である。
【図3】重水素化DMSOにおけるGA−1,3−PDの13C NMRスペクトルを示す図である。
【図4】CL−EG二量体のH NMRスペクトルを示す図である。
【図5】CL−BDO二量体のH NMRスペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物を含む鎖延長剤:
【化1】


式中、r、s、t、u及びvは、独立に、0又は1であるが、但し、r、s、t、u及びvの少なくとも2つは1であり、
Xは、O、S又はNRであり、ここで、RはH又は置換されてもよいC1〜6アルキルであり、
及びRは、独立に、置換されてもよいC1〜20アルキレン及び置換されてもよいC2〜20アルケニレンから選択され、その両方とも置換されてもよいアリール又は置換されてもよいヘテロシクリルで中断されていてもよく、
は、置換されてもよいC1〜20アルキレン及び置換されてもよいC2〜20アルケニレンから選択され、その両方とも置換されてもよいアリール又は置換されてもよいヘテロシクリルで中断されていてもよい。
【請求項2】
r及びsが1であり、t、u及びvが0であり、XがOであり、Rが(CHである場合、Rは、CH、CHCH又は(CH(GA−EG、LA−EG又はEG−4HB)ではない、請求項1に記載の鎖延長剤。
【請求項3】
前記式(I)の化合物が、式(Ia)又は(Ib)を有する、請求項1に記載の鎖延長剤:
【化2】


式中、RからRは、請求項1で定義されている通りである。
【請求項4】
からRが、独立に、置換されてもよいC1〜6アルキレン及び置換されてもよいC2〜6アルケニレンから選択される、請求項3に記載の鎖延長剤。
【請求項5】
前記式(Ia)の化合物が、次の通りである、請求項3に記載の鎖延長剤。
【化3】

【請求項6】
前記式(Ib)の化合物が、次の通りである、請求項3に記載の鎖延長剤。
【化4】

【請求項7】
400未満の分子量を有する、請求項1に記載の鎖延長剤。
【請求項8】
鎖延長剤としての請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
鎖延長剤として使用される場合の請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
ε−カプロラクトン及びエチレングリコール二量体(CL−EG)である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の式(I)の化合物の調製方法であって、式(II)又は(III):
【化5】


式中、R及びnは請求項1で定義されている通りである、
の化合物と、式(IV):
HOROH (IV)
式中、Rは請求項1で定義されている通りである、
の化合物とのエステル交換反応の工程を含む、前記方法。
【請求項12】
請求項1に記載の式(I)の化合物及び他の鎖延長剤を含む鎖延長剤組成物。
【請求項13】
当該他の鎖延長剤が、ジオール、ジチオール、ジアミン、アミノ酸又はジカルボン酸である、請求項12に記載の鎖延長剤。
【請求項14】
請求項1に記載の鎖延長剤又は請求項12に記載の鎖延長剤組成物から形成されるセグメントを含む、生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項15】
イソシアネート、ポリオール及び請求項1に記載の鎖延長剤又は請求項12に記載の鎖延長剤組成物の反応生成物を含む、生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項16】
前記ポリウレタン又は前記ポリウレタン尿素が熱可塑性であり、一般式:
【化6】


式中、Rは前記イソシアネート由来であり、Rは前記鎖延長剤由来であり、Rは軟質セグメントポリオール由来であり、
「q」は、硬質セグメントにおける繰返し単位の平均数であり、
「s」は、ポリマーの分子量に比例し、硬質セグメントの繰返し単位及び軟質セグメントの両方を含む、
を有する、請求項15に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項17】
前記イソシアネートがジイソシアネートである、請求項14に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項18】
前記ポリオールが、ジオール、トリオール、テトロール、ヘキソール又はマクロジオールである、請求項15に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項19】
前記ポリオールが、ヒドロキシル、チオール又はカルボン酸基を末端とする、請求項15に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項20】
請求項15に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素であって、前記ポリオールが、
【化7】


式中、h及び/又はkは0であることができ(二量体の場合は、例えば、h=0、j=1及びk=1である)、又はjと同じ整数であり、R及びRは、独立に、水素、ヒドロキシル、アルキル、第一級又は第二級のアミノアルキル、及びカルボキシアルキルから選択され、R及びRは水素であることはできないが、独立に、直鎖又は分枝アルキル、アルケニル、アミノアルキル、アルコキシ又はアリールであることができる、
である、前記ポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項21】
請求項15に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素であって、前記ポリオールが、
ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール、MW 400:ここで、Rは(CH−CH)であり、Rは(CHであり、R及びRは共にHであり、j=1及び(h+k)=2.96;
(グリコール酸−エチレングリコール)二量体:ここで、Rは(CH−CH)であり、Rは(CH)であり、R及びRは共にHであり、j=1及び(h+k)=1;
ポリ(エチレングリコール)、MW 400:ここで、h=0、k=0、j=約13、Rは(CH−CH)であり、R及びRは共にHである;並びに
ポリ(エチレングリコール)ビス(3−アミノプロピル)末端化(Aldrich(登録商標)):ここで、Rは(CH−CH)であり、R及びRは共に−(CHNHであり、j=34及び(h+k)=0
からなる群から選択される、前記ポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項22】
前記ポリオールが、
【化8】


からなる群から選択される、請求項15に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項23】
前記ポリオールが、200〜5000、200〜2000又は200〜1000の分子量を有する、請求項15に記載のポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項24】
イソシアネート及び請求項1に記載の鎖延長剤又は請求項12に記載の鎖延長剤組成物の反応生成物を含む、生体適合性生体分解性ポリウレタン又はポリウレタン尿素。
【請求項25】
請求項15又は24に記載の架橋又は直鎖ポリウレタン又はポリウレタン尿素を含む、生体適合性生体分解性ポリマースキャフォールド。
【請求項26】
前記ポリウレタン又はポリウレタン尿素が生物学的及び無機成分を含む、請求項25に記載のスキャフォールド。
【請求項27】
0.05〜200MPaの圧縮強度を有する、請求項25に記載のスキャフォールド。
【請求項28】
冠動脈、動脈、血管又は心臓組織、創傷修復、形成若しくは美容外科、神経再生、脊髄盤修復若しくは増大又は整形外科又は組織工学用途で使用される、請求項25に記載のスキャフォールド。
【請求項29】
ステント、ステントコーティング、骨の代替物、骨の充填材、骨のセメント又は整形外科固定スキャフォールド或いは脊椎術又は脊柱術用充填材である、請求項25に記載のスキャフォールド。
【請求項30】
前記整形外科固定スキャフォールドが、スクリュー、ピン、プレート若しくは脊椎ケージ又は軟質組織修復用のダート、アロー、ピン若しくは接着剤である、請求項29に記載のスキャフォールド。
【請求項31】
請求項25に記載のスキャフォールドから全体的に又は部分的に構成される医療装置又は組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−508598(P2009−508598A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531485(P2008−531485)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001380
【国際公開番号】WO2007/033418
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(507333317)ポリィノボ バイオマテリアルズ ピーティワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】