説明

鎮痛作用を有する患部貼付剤とその使用方法

【課題】 人間の足の膝関節の痛みを緩和ないし消失することができ、また関節に溜った水分を充分に除去することができること。
【解決手段】びわの葉と桑の葉とよもぎの葉とどくだみの葉の各粉末と、塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封してなることを特徴とする鎮痛作用を有する患部貼付剤であって、この患部貼付剤の袋の裏面には懐炉を密着するとともに、該袋の表面を人体の患部に当てて、前記懐炉側よりサポーターや包帯等の保持部材で患部周辺を被覆保持して加温状態で使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、人間の足の膝関節の痛みを緩和すると共に、関節に溜った水分を除去することができる、鎮痛作用を有する患部貼付剤とその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上記の如き膝関節の痛みや水溜りの症状の治療には、消炎鎮痛剤や湿布薬等の鎮痛剤を使用するとか、溜った水分を注射器で抜くとかしていた。
【0003】
しかし、これらの鎮痛剤や水分除去方法では、充分な効果は得られていない。
また、発明者の知見した限りでは、上記症状に対する充分なものは見当たらなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の問題点を解決しようとするものであり、上記関節の痛みを緩和ないし消失することができ、また関節に溜った水分を充分に除去することができる、患部貼付剤とその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1の鎮痛作用を有する患部貼付剤は、びわの葉と桑の葉の各粉末と、塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封してなることを特徴とする。
【0006】
請求項2の鎮痛作用を有する患部貼付剤は、びわの葉と桑の葉とよもぎの葉とどくだみの葉の各粉末と、塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封してなることを特徴とする。
【0007】
請求項3の鎮痛作用を有する患部貼付剤は、請求項2において、前記混合物の混合比率は、びわの葉の粉末10〜18重量%、桑の葉の粉末3〜10重量%、よもぎの葉の粉末2〜4重量%、どくだみの葉の粉末2〜4重量%、塩化ナトリウム72〜78重量%からなるものが好適である。
【0008】
請求項4の鎮痛作用を有する患部貼付剤は、びわの葉と桑の葉とよもぎの葉とどくだみの葉の各粉末と、乾燥したくらげの粉末と、塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封してなることを特徴とする。
【0009】
請求項5の鎮痛作用を有する患部貼付剤の使用方法は、前記請求項1の患部貼付剤において、前記袋の裏面には懐炉を密着するとともに、該袋の表面を人体の患部に当てて、前記懐炉側よりサポーターや包帯等の保持部材で患部周辺を被覆保持して加温状態で使用することを特徴とする。
【0010】
請求項6の鎮痛作用を有する患部貼付剤の使用方法は、前記請求項2〜4の患部貼付剤において、前記袋の裏面には懐炉を密着するとともに、該袋の表面を人体の患部に当てて、前記懐炉側よりサポーターや包帯等の保持部材で患部周辺を被覆保持して加温状態で使用することを特徴とする。
【0011】
上記請求項1〜6において、びわの葉、桑の葉、よもぎの葉、どくだみの葉は、いずれも乾燥したものを用いるのが好適であるが、生のものでよい。
そして、これらの各葉を粉末とするには、配合比率に基く各葉の全部を粉砕器に収納して一緒に粉末とし、その後に混合器で混合することもできる。しかし、各葉の種類ごとに粉砕器に収納して粉末とした後で、配合比率に基づく各粉末を1つの混合器に収納して混合する方法でも良く、各葉の粉末化と混合方法は適宜選定できる。
【0012】
請求項4において、乾燥した越前くらげ等のくらげの粉末は、上記各葉の粉末と混合する。
【0013】
請求項5、6において「懐炉」とは、空気の存在下で発熱する発熱懐炉であって、使い捨てできる公知のものが好適である。
【0014】
請求項1〜6において、「塩化ナトリウム」は安価に入手できる市販の食塩が好適である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の鎮痛作用を有する患部貼付剤によれば、天然素材である、びわの葉と桑の葉の各粉末と、天然素材である塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封してなるから、これを適宜方法により足の膝の関節などの患部に貼付けて使用すると、関節等の患部の痛みが緩和ないし消失されると共に、関節に溜った水分が除去されて腫れが消えるなどの効果がある。
【0016】
請求項2の鎮痛作用を有する患部貼付剤によれば、請求項1の構成に加え、天然素材である、よもぎの葉とどくだみの葉の各粉末を付加してなる混合物であるから、請求項1より一層、優れた効果がある。
【0017】
請求項3の鎮痛作用を有する患部貼付剤によれば、請求項2の構成成分の混合比率を数値限定したものであるから、請求項2の場合に比べて、更に顕著な効果を有する。
【0018】
請求項4の鎮痛作用を有する患部貼付剤によれば、請求項2の構成に加え、乾燥したくらげの粉末を付加してなる混合物であるから、請求項2の効果に加え、くらげ粉末の成分により、人間の患部の軟骨を再生させる利点がある。
【0019】
請求項5の鎮痛作用を有する患部貼付剤の使用方法によれば、前記請求項1の患部貼付剤において、前記袋の裏面には懐炉を密着するとともに、該袋の表面を人体の患部に当てて、前記懐炉側よりサポーターや包帯等の保持部材で患部周辺を被覆保持して加温状態で使用するものであるから、素人でも患部に簡単に貼付でき、関節等の患部の痛みを緩和ないし消失することができ、さらに関節に溜った水分を除去できる効果がある。
【0020】
請求項6の鎮痛作用を有する患部貼付剤の使用方法によれば、請求項2〜4において、前記袋の裏面には懐炉を密着するとともに、該袋の表面を人体の患部に当てて、前記懐炉側よりサポーターや包帯等の保持部材で患部周辺を被覆保持して加温状態で使用するものであるから、請求項5より一層、優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る患部貼付剤の一部破断背面図である。
【図2】本発明に係る患部貼付剤の使用方法における患部貼付剤と懐炉との分解斜視図である。
【図3】図2で患部貼付剤と懐炉とを結合した状態の一部破断斜視図である。
【図4】患部貼付剤の使用例1を示した説明図である。
【図5】患部貼付剤の使用例2を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、天然素材である、少なくともびわの葉と桑の葉の各粉末と、天然素材である塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封した患部貼付剤(請求項1参照)とし、この構成成分と共に、よもぎの葉とどくだみの葉の各粉末を加えて製造した患部貼付剤(請求項2参照)も実施できる。さらに、請求項2の構成成分のほかに、乾燥した
くらげの粉末も加えて製造した患部貼付剤(請求項4参照)も実施できる。
そして、請求項1〜4の患部貼付剤の袋の裏面には懐炉を密着すると共に、該袋の表面を人体の患部に当てて保持部材で被覆保持して加温状態で使用する患部貼付剤の使用方法
(請求5、6参照)も提供するものである。
【実施例1】
【0023】
図1で、1は本発明に係る鎮痛作用を有する患部貼付剤であって、この患部貼付剤1は、少なくとも表面2aが通気性を有する紙製又は合成樹脂製等の薄いフィルムで封筒状の小袋に形成された袋2と、この袋2に充填して密封された、びわの葉と桑の葉とよもぎの葉とどくだみの葉の各粉末と、塩化ナトリウム(食塩)との混合物10とからなっている。そして、前記袋2の開放部は、前記混合物10が充填されてから封止して密封状態とされる。この場合、通常はヒートシール方式で密封されるが、ヒートシールできない素材の場合には接着剤などで結合すればよく、適宜方式で密封するとよい。
【0024】
前記袋2の表面2aと反対側の裏面2bには、後述する懐炉の熱をそのまま伝えるカバー5が貼付け又は接着してある。また、袋2の表面2aは通気性あるものとしてあるので、その無数の通気孔3側が患部接触面となり、接触された患部に混合物10の成分が作用する。
【0025】
この患部貼付剤の製造方法は、混合物10となる、びわの葉、桑の葉、よもぎの葉、どくだみの葉は、この実施例1では、いずれも乾燥したものを用いた。そして、これら各葉の粉末化と混合方法としては、この実施例1では、各葉の種類ごとに粉砕器で粉砕して粉末とした後で、所望の混合比率に基づき、各粉末を1つの混合器に収納するとともに、塩化ナトリウム(食塩)を所望の混合比率分だけ収納して混合する。
【0026】
前記各葉の各粉末と塩化ナトリウム(食塩)との混合物10を前記袋2に充填し密封することにより、患部貼付剤1が得られる。
【0027】
前記混合物の混合比率は、びわの葉の粉末10〜18重量%、桑の葉の粉末3〜10重量%、よもぎの葉の粉末2〜4重量%、どくだみの葉の粉末2〜4重量%、塩化ナトリウム72〜78重量%からなる方が好ましい。しかし、本発明はこれらの数値に限定されないものである。
【0028】
本発明者は、上記混合物の混合比率について、種々、製造例として実験したところ、次の製造例1・2が、本発明の前述した効果を得るのに優れたものであった。
【0029】
(製造例1)
びわの葉の粉末 3g=15重量%、
桑の葉の粉末 1.0g=5重量%
よもぎの葉の粉末 0.5g=2.5重量%
どくだみの葉の粉末 0.5g=2.5重量%
塩化ナトリウム(食塩) 15g=75重量%
以上合計20g
【0030】
(製造例2)
びわの葉の粉末 3g≒13.33重量%、
桑の葉の粉末 1.5g≒6.67重量%
よもぎの葉の粉末 0.5g≒2.22重量%
どくだみの葉の粉末 0.5g≒2.22重量%
塩化ナトリウム(食塩) 17g≒75.56重量%
以上合計22.5g
【実施例2】
【0031】
本発明の鎮痛作用を有する患部貼付剤の使用方法は、請求項1、2、3の患部貼付剤1において、前記袋2の裏面2bには懐炉20を密着するとともに、該袋2の表面2aを人体の患部に当てて、前記懐炉20側よりサポーターや包帯等の保持部材30で患部周辺を被覆保持して加温状態で使用することを特徴とする。
【0032】
すなわち、先ず、患部貼付剤1の袋2の裏面に設けたカバー5に対して、市販されている使い捨て懐炉等の懐炉2の表面に設けた剥離紙をはがして接着層を密着し、患部貼付剤1に懐炉20を接合する(図3参照)。次に、前記懐炉20つきの患部貼付剤1の表面2a側を、膝関節の患部に直接当てて、テープ31(図4参照)やサポーター32(図5参照)や包帯(図示せず)等の保持部材30で患部周辺を被覆保持する。貼付開始時から5〜6時間位経過すると、膝関節の症状にもよるが、関節の痛みが緩和されると共に、関節に溜った水分も除去される。
【0033】
懐炉の発熱時間が過ぎるとか、患部貼付剤1が水分吸収し過ぎた場合には、新しい懐炉と取り替えて使用する。なお、取り替えた古い患部貼付剤は乾燥して再利用することもできる。
【0034】
(試験例)
上記製造例1、2の患部貼付剤1を、縦9.5cm、横14cmの封筒状小袋2に充填密封し、このものを前述の如く懐炉20と密着するとともに、患部貼付剤1の袋2の表面を患部に当てて、保持部材30で保持して加温状態で使用する試験を行った。
【0035】
被試験者としては、足の膝関節痛の症状を有する20人を対象とした。症状にもよるが、軽症の人では1日で痛みが緩和した例もある。症状の重い人では5〜6月位に亘り使用すると、膝関節の痛みが緩和ないし消失すると共に、膝に溜った水分も完全に除去された。
【0036】
本発明では前述の効果があるが、その論理的根拠が確認されたわけではない。思うに、びわの葉、桑の葉、よもぎの葉、どくだみの葉は漢方等でも薬用とされていることから、これらの各葉の粉末と塩化ナトリウムの相乗作用により本発明の前記効果が得られたと考えられる。
【0037】
なお、前記懐炉は、空気の存在下で発熱するいわゆる使い捨て懐炉が好ましく、その一例として、例えば、鉄粉、水、活性炭、吸水性樹脂、食塩等からなるもの(桐灰化学株式会社の商品名「桐灰カイロはる」)が挙げられる。
【0038】
患部貼付剤の袋2の大きさは、患者の患部の大きさに応じて適宜大きさとすればよい。
【実施例3】
【0039】
実施例3として、びわの葉と桑の葉とよもぎの葉とどくだみの葉の各粉末と、乾燥したくらげの粉末と、塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封してなることを特徴とする鎮痛作用を有する患部貼付剤を実施できる。
【0040】
この場合の混合物の混合比率は、前記製造例1又は製造例2において、前記乾燥したくらげの粉末の重量はよもぎの葉の粉末と同一の方が好適である。しかし、この混合比率は適宜変更することができる。
【0041】
この実施例3のものによれば、くらげの成分が人間の患部の軟骨を再生させる利点がある。
【符号の説明】
【0042】
1 患部貼付剤
2 袋
2a 表面
2b 裏面
3 通気孔
5 カバー
10 混合物
20 懐炉
30 保持部材
31 テープ
32 サポーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
びわの葉と桑の葉の各粉末と、塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封してなることを特徴とする鎮痛作用を有する患部貼付剤。
【請求項2】
びわの葉と桑の葉とよもぎの葉とどくだみの葉の各粉末と、塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封してなることを特徴とする鎮痛作用を有する患部貼付剤。
【請求項3】
前記混合物の混合比率は、びわの葉の粉末10〜18重量%、桑の葉の粉末3〜10重量%、よもぎの葉の粉末2〜4重量%、どくだみの葉の粉末2〜4重量%、塩化ナトリウム72〜78重量%からなる請求項2に記載の鎮痛作用を有する患部貼付剤。
【請求項4】
びわの葉と桑の葉とよもぎの葉とどくだみの葉の各粉末と、乾燥したくらげの粉末と、塩化ナトリウムとの混合物を所要大きさの袋に充填し密封してなることを特徴とする鎮痛作用を有する患部貼付剤。
【請求項5】
前記請求項1の患部貼付剤において、前記袋の裏面には懐炉を密着するとともに、該袋の表面を人体の患部に当てて、前記懐炉側よりサポーターや包帯等の保持部材で患部周辺を被覆保持して加温状態で使用することを特徴とする鎮痛作用を有する患部貼付剤の使用方法。
【請求項6】
前記請求項2〜4の患部貼付剤において、前記袋の裏面には懐炉を密着するとともに、該袋の表面を人体の患部に当てて、前記懐炉側よりサポーターや包帯等の保持部材で患部周辺を被覆保持して加温状態で使用することを特徴とする鎮痛作用を有する患部貼付剤の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−209019(P2010−209019A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58297(P2009−58297)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(509071035)
【Fターム(参考)】