説明

長ピストン液圧機械

一層小さく一層軽量の液圧ポンプ/モータは、内部でピストンを往復運動させるそれぞれのシリンダの軸方向長さと実質上同じ長さの本体部分を有するピストンを具備する。円周方向で形成され、各シリンダの壁を半径方向に横断する複数のそれぞれの潤滑チャンネルは、その全体のストローク中に各それぞれのピストンの軸方向の円筒状部分により常に閉じられるように各々位置する。各潤滑チャンネルは、シリンダブロック内に全体的に位置しかつ流体「入力」通路にも流体「出力」通路にも接続されない単一の連続的な潤滑通路を形成するように、互いに相互接続され、各シリンダの弁端部から入るブローバイによってのみ補充される。各シリンダの開いた端部の近傍に各々位置する複数のシール部材はこの潤滑通路からのブローバイを実質上排除し、それによって容積効率を大幅に増大させる。結果としての改善された潤滑は、ユニークなバネ偏倚押え付け組立体と組み合わさって、ピストンの外端でのドッグボーンも通常の転頭運動のみを行う揺動体をも必要としない可変角度の斜板構成の使用を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリンダ内で往復運動する細長いピストンを有する液圧ポンプ/モータ機械に関し、特に、このようなピストンのヘッドとポンプ/モータの斜板との間の接触を維持しながらこのようなピストンを潤滑するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダブロック内に形成されたそれぞれのシリンダ内に装着され、駆動素子の回転軸線のまわりにおいて第1の半径方向の距離で円周方向に位置する往復運動ピストンを有する液圧ポンプ及びモータは周知であり、幅広く使用されている。これらのポンプ/モータ機械の多くは可変の変位能力を有し;これらは一般に2つの基本的なデザインのものであり;(a)ピストンが可変的に傾斜するが固定された斜板に対して回転シリンダブロック内で往復運動するか又は(b)ピストンが回転する(及び転頭運動する)ロータの表面上で摺動する回転しない(が転頭運動する)揺動体を含むように実質上分割された可変的に傾斜した回転する斜板に対して固定のシリンダブロック内で往復運動する。ここでは、本発明はこれら両方のデザインに適用できるが、後者の形式の機械における改善に特に適しており、ここではそのように説明する。
【0003】
固定のシリンダブロックを備えた液圧機械は、重い回転するシリンダブロックを支持し、保護しなければならない機械よりも一層軽量で一層小型に作ることができるが、斜板揺動体の装着及び支持は常に大きな問題となってきた。高圧/高速の使用に対しては、揺動体は変化する非円形経路を追従するように回転しないピストンと揺動体との間の相対運動を許容するような態様で支持しなければならない。また、このような固定のシリンダブロック式の機械は今まで各ピストンの一端を転頭運動するが回転しない揺動体の平坦な表面に相互接続するために「ドッグボーン」延長ロッド(即ち2つの球状端部を備えたロッド)を使用してきた。ドッグボーンの一方の球状の端部はピストンのヘッド端部内に枢着され、一方、他方の球状の端部は通常斜板揺動体に対して常に保持されねばならない枢着された通常の「シュー」素子により覆われる。上に述べたこれらの素子はこれらの機械の回転する斜板を作るコスト及び複雑さを大幅に増大させてしまう。
【0004】
ドッグボーンロッドはまた、時には各ピストンの一端を回転するシリンダブロックを有する液圧機械の傾斜した(しかし回転しない)斜板に相互接続するために使用される。しかし、より頻繁には、この後者の形式の機械はこのようなドッグボーンを省略し、代わりに、細長いピストンを使用し、各ピストンは斜板の回転しない平坦な表面に有効に接触する(これまた、枢着された通常のシュー素子により通常覆われる)一端に球状のヘッドを有する。このような細長いピストンは、各ピストンの軸方向の円筒状本体のかなりの部分がピストンの最大ストローク中さえも常にそのそれぞれのシリンダの壁により支持されたままとなるように、設計される。このような細長いピストンのためのこの付加的な支持は、ピストンがそのシリンダブロックと共に回転する際にそれが傾斜するが回転しない斜板上で摺動するときに、各球状のピストンヘッドの最小の横方向変位を保証するように設計される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、これらの細長いピストンは「ブローバイ」、即ち往復運動するピストンが駆動するか又は高圧流体により駆動されるときに各シリンダの壁と各ピストン本体の外周辺との間に押し込められる高圧流体の部分により主として潤滑される。公差がシリンダの壁とピストンの長い円筒状本体との間で十分な流体の流れを許容する場合にのみ、このようなブローバイは良好な潤滑を提供し、良好な潤滑を保証するのに十分なブローバイはしばしばポンプ又はモータ機械の容積効率に悪影響を与える。例えば、10立方インチの機械はブローバイのために毎分4ガロンほど多くの流体を使用することがある。一層小さな公差はしばしばブローバイを減少させるために使用することができるが、このような公差の減少は十分な潤滑の必要性により制限される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に開示する本発明は、同時に(a)ピストンの適当な潤滑及び(b)ピストンと斜板との間の接触を維持するために使用される装置の簡略化を保証しながら、このような細長いピストン機械の容積効率を改善することを目指す。
【0007】
本発明は2つの異なる液圧機械について開示される。両者は好ましい形式の固定のシリンダブロック及び回転/転頭運動する斜板を有する。〔しかし、当業者なら、機械の駆動素子と共に回転しないような回転シリンダブロック及び斜板を備えた液圧機械に本発明を同等に適用できることを認識できよう。〕各開示される機械はポンプ又はモータのいずれかとして作動できる。一方は、ピストンが常に最大の所定のストロークで運動するように、機械の駆動素子と共に常に回転している間に、駆動素子の軸線に関して所定の傾斜角度で固定される斜板を有する。他方の開示された機械の斜板は各方向において最大まで運動の範囲にわたってピストンのストロークを制御するために当業界で周知の方法により角度範囲全体にわたって変化できる傾斜を有する。
【0008】
各機械においては、各ピストンは細長く、その中でピストンが往復運動するそれぞれのシリンダの軸方向長さと好ましくは実質上同じ長さである軸方向の円筒状本体部分を有する。好ましくは、各ピストンはまた、通常に枢着されたシュー及び比較的単純な装置により機械の斜板の平坦な面に有効に摺動接触するように維持された球状のヘッド端部を有する。各円筒状本体部分の軸方向長さは常にピストンの球状の第1の端部の最小の横方向変位を保証するように選択される。それ故、各ピストンがその最大ストロークへ伸長したときでさえ、そのそれぞれのシリンダ内で依然として支持されているピストン本体のその部分は、それが斜板の回転/転頭運動する平坦な面に摺動接触しているときに、ピストンの伸長した球状の端部の最小の横方向変位を保証するのに十分である。
【0009】
本発明によれば、各機械のシリンダブロック内に形成された各シリンダは各シリンダの円筒状の壁に形成されたそれぞれの潤滑チャンネルを具備する。この潤滑チャンネルは、そのそれぞれのシリンダ内でのピストンの往復中常に、各潤滑チャンネルがその全体のストローク中にピストンの軸方向の円筒状本体により実質上閉じられたままとなるように、位置決めされる。好ましくは、各それぞれの潤滑チャンネルは円周方向に形成され、各シリンダを半径方向で横断する。
【0010】
また各機械の固定のシリンダブロック内に形成された複数の別の通路は上に述べた潤滑チャンネルの各々を相互接続する。すべての潤滑チャンネルの互いの相互接続はシリンダブロック内に単一の連続的な潤滑通路を形成する。この連続的な潤滑通路はシリンダブロック内に全体的に形成され、好ましくは各シリンダを横断し、シリンダが駆動素子の回転軸線のまわりでセンタリングされたときに実質上同じ半径方向の距離で円周方向においてセンタリングされる。
【0011】
:本発明の説明を容易にするため、各ピストンは軸方向の円筒状本体部分及び球状のヘッド端部を有するものとして述べられ、一方、各それぞれのシリンダは弁端部及び開いたヘッド部分を有し、このヘッド部分を越えて各ピストンの球状のヘッド端部が常に延びている。〕開示した好ましい実施の形態においては、すぐ上で述べた連続的な潤滑通路は流体「入力」通路にも流体「出力」通路にも接続されないが、代わりに、機械の作動中常にピストンの円筒状本体部分により実質上閉じられる。作動中、この潤滑通路は、各シリンダの弁端部で進入し、次いで各シリンダの壁と各駆動されるピストンの本体部分の外周辺との間を通過する高圧の初期のブローバイでほぼ即座に満たされる。このブローバイは常に連続的な潤滑通路内に高圧を有効に維持する。各シリンダの開いた端部の近傍に各々位置する複数のシール部材は各ピストンの本体部分と各それぞれのシリンダの開いたヘッド部分との間のブローバイを実質上排除するために比較的緊密なシールを提供し、それによって、シリンダの開いた端部を通しての潤滑通路からの最小のブローバイのみの逃避を許容する。
【0012】
それにも拘わらず、この閉じた連続的な潤滑通路内の潤滑流体は、ピストンが往復運動するときに、それぞれのシリンダの各々内の絶えず変化する圧力の結果として絶えず移動する。すなわち、各シリンダ内の圧力が各ピストンの帰還ストローク時に低い圧力に減少したとき、閉じている潤滑通路内の高圧流体は各シリンダの壁と各ピストンの本体の外周辺との間でこのような圧力の減少を体験している各シリンダの弁端部内へ再度押し込まれる。しかし、この補助的なブローバイは「損失」ではなく;すなわち、これはチャージポンプにより閉ループの液圧装置内へ補充されるべく油溜めへ戻らない。代わりに、この補助的なブローバイはチャージポンプの使用を必要とせずに閉ループへ直ちに戻され、閉じた連続的な潤滑通路は増大した圧力を体験している各シリンダの弁端部からの高圧ブローバイの同様の流れの進入により直ちに補充される。
【0013】
このすぐ上で述べた潤滑通路は、ブローバイを実質上減少させながら、ピストンの高速往復運動に対して適当な潤滑を提供する。本発明に従って作られた商業用の試作品の上出来な作動において、ブローバイは90%まで減少した。すなわち、匹敵する仕様の通常の商業的な液圧機械が体験するブローバイは毎分ほぼ4−5ガロンの範囲であり、一方、本発明の試作品が体験するブローバイは毎分0.5−0.7ガロンの範囲であり、それにより、本発明の液圧機械の容積効率を顕著に増大させる。
【0014】
上述のように、固定のシリンダブロック式の液圧機械は同様の仕様を有する通常の回転ブロック式の液圧機械よりも一層小さく一層軽量に作ることができる。細長いピストンの改善された潤滑の結果、開示された本発明は自動車用途にとって必要な高速/高圧仕様を満たすようにこれらの一層小さく一層軽量のデザインを使用することを可能にする。
【0015】
更に、本発明の開示された液圧機械の可変の回転する斜板のための大幅に簡略化された本発明の支持組立体に特別な注意が向けられる。ここに開示された本発明の支持組立体の各々は(a)各ピストンの外端と通常の回転/転頭運動する斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分との間に通常装着されたドッグボーンを省くが、(b)通常の回転/転頭運動する斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分をも省く。代わりに、通常のシューが各ピストンの球状のヘッドに直接装着され、ポンプのシリンダの弁端部に液圧圧力が存在しない場合に有効な摺動接触を維持するのに十分な最小のバネ偏倚により、斜板のロータ部分の平坦な面に対してそのような有効な摺動接触を維持する。
【0016】
2つの簡略化した支持機構が開示される:第1の簡略化された支持機構はポンプの駆動素子の回転軸線のまわりで円周方向に位置するコイルバネにより偏倚されたユニークな押え付け板組立体を有する。本発明の第2の支持機構は一層簡略であり、各ピストンの球状のヘッドに直接装着された通常のシューを有するにすぎず、最小の偏倚は複数のバネにより供給され、各バネは各それぞれのピストンの本体部分と各それぞれのシリンダの弁端部との間にそれぞれ位置する。第2の支持機構は第1のものよりも組立てが若干困難であるが、後者は著しく簡略で、一層軽量で、製造コストが一層安い。
【0017】
本発明により導入された重要な変更は同様の仕様を有する通常の機械よりも一層軽量で一層小型の液圧機械を提供するのみならず、更に、機械の重量及び寸法並びに製造コストを減少させかつ組立てを簡略化しながら、一層大きな容積効率を伴う機械を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を付加することのできる形式の液圧機械の作動は周知である。それ故、このような作動は詳細には説明しない。
液圧モータ
図1を参照すると、液圧モータ10は複数のシリンダ14(1つのみを示す)を備えた固定のシリンダブロック12を有し、それぞれの複数の対応するピストン16が、これらのシリンダ内で、ピストン16の引き戻し位置とピストン16´の伸長位置との間で往復運動する。各ピストンは細長い軸方向の円筒状本体部分22の一端でネック部20上に装着された球状のヘッド18を有し、この本体部分は、図示の好ましい実施の形態においては、各それぞれのシリンダ14の長さと実質上同じ長さである。
【0019】
各球状の端部18はロータ28の表面上に形成された平坦な面26上で摺動するそれぞれのシュー24内に嵌合し、ロータは駆動素子即ち機械のシャフト30に固定される。シャフト30はシリンダブロック12の中心におけるボア31内で軸受上に支持される。固定のロータ28の平坦な面26は駆動シャフト30の軸線32に対して所定の最大角度(例えば25°)で傾斜し、適当なスラスト軸受組立体35により支持される。
【0020】
シリンダブロック12の左端部上にキャップとしてボルト止めされたモジュラー弁組立体33はシリンダ14に対して出入りする流体の送給を規制する複数のスプール弁34(1つのみを示す)を有する。上述のように、開示された各機械はポンプとして又はモータとして作動することができる。好ましい実施の形態のこの説明のために、図1に示す固定の角度の斜板を持つ機械はモータとして作動する。それ故、駆動シャフト30の各1回転の第1の半分の間、入口36からの高圧流体はポート37を通って各それぞれのシリンダ14の弁端部へ入って、各それぞれのピストンをその引き戻し位置からその完全に伸長した位置へ駆動し;各1回転の第2の半分の間、一層低い圧力の流体は、各ピストンがその十分に引き戻された位置へ帰還するときに、ポート37及び流体出口39を通して各それぞれのシリンダから引き出される。
【0021】
当業界において周知の方法で、流体入口36及び出口39は好ましくは適当な「閉ループ」パイプを介して対応する液圧ポンプ(例えば図3に示し後に説明するポンプ110)に接続されて、流体圧力が平坦な面26に対して球状の端部18及びそれぞれのシュー24を常に偏倚するようにする。各それぞれのピストンの連続的な伸長及び引き戻しがロータ28を回転させ、それによりシャフト30を駆動する。平坦な面26は、入口36及び出口39を通して閉ループ内で循環している液圧流体の流量が比較的小さいときに、ピストン16が比較的ゆっくり往復運動して駆動シャフト30を比較的ゆっくり回転させるように、最大の傾斜角度で固定される。しかし、閉ループ内の流体循環の流量が増大したとき、ピストンの往復運動は対応的に増大し、駆動シャフト30の回転速度を増大させる。自動車の速度及び圧力(例えば、4000rpm又は4000psiまで)で作動するとき、ピストンの潤滑が危なくなり、ブローバイの損失も大幅に増大する。シリンダブロック12はこのような潤滑の要求に対処し、このようなブローバイ損失を減少させるように本発明により修正される。
【0022】
ここで図1、2の両方を参照すると、各シリンダ14の円筒状の壁はその中で円周方向に形成されたそれぞれの潤滑チャンネル40により半径方向で横断される。複数の通路42はすべての潤滑チャンネル40を相互接続して、シリンダブロック12内に連続的な潤滑通路を形成する。各それぞれの潤滑チャンネル40は、各ピストンの全体のストローク中、各それぞれのピストン16の軸方向の円筒状本体22により実質上閉じられる。すなわち、各円筒状本体22の外周辺は各それぞれの潤滑チャンネル40を常に囲む壁として作用する。従って、ピストン16が最大ストロークにわたって往復運動している場合でさえ、すべての潤滑チャンネル40を相互接続する連続的な潤滑通路は実質上閉じたままである。連続的な潤滑通路40、42は、流体チャンネル及び接続通路が明瞭のために誇張された図2の概略図から最も認識できるように、シリンダブロック12内で簡単に経済的に形成される。
【0023】
液圧モータ10の作動中、すべての相互接続した潤滑チャンネル40は、ポート37を通って各シリンダ14へ入り、シリンダの壁と各ピストン16の外周辺との間に押し込められる入口36からの高圧流体のブローバイによりほぼ即座に満たされる。各潤滑チャンネル40からの潤滑流体の損失は各シリンダ14の開いた端部の近傍に位置する取り巻きシール44により制限される。それにも拘わらず、潤滑チャンネル40のこの閉じた連続的な潤滑通路内の潤滑流体は、ピストンの運動及びピストンの往復運動時の駆動シャフト30の回転の各半サイクルにおいて変化する圧力に応答して、「補助的な」ブローバイの結果として、控えめではあるが連続的に流れる。各シリンダ14内の圧力が各ピストン16の帰還ストローク時に低い圧力に減少すると、どっちかといえば閉じている潤滑通路40、42内の一層高い圧力の流体は、各シリンダ14の壁と各ピストン16の本体部分22の外周辺との間で、このような圧力減少を体験している各シリンダ14の弁端部内へ再度推進される。
【0024】
しかし、シリンダ14内へ戻るこのすぐ上で述べた補助的なブローバイが「損失」でないという事実に当業者の注意が向けられる。代わりに、ブローバイはポンプ及びモータを相互接続する周知の液圧流体閉ループへ直ちに戻される。更に、この補助的なブローバイは油溜めへ戻らず、それ故、チャージポンプにより閉ループの液圧装置内へ補充されるべきものではない。最後に、閉じた連続的な潤滑通路40、42は増大した圧力を体験している各シリンダの弁端部からの高圧ブローバイの同様の流れの進入により直ちに補充される。
【0025】
上述のように、すべての潤滑チャンネル40を相互接続する閉じた連続的な潤滑通路から最小のブローバイ損失がある。すなわち、各シリンダ14の端部でシール44を通過するこの閉じた連続的な潤滑通路から漏洩する最小の流体流れが存在することがある。しかし、いかなるこのような最小ブローバイも各ピストン16の反対側端部のまわりから入るブローバイの同様の流れにより即座に補充される。
【0026】
すぐ上で述べた潤滑構成は著しく簡略なばかりでなく、これはまた製造及び作動のコストを更に減少させるために液圧機械におけるピストン/斜板境界面装置の同様の簡略化を許容する。
【0027】
液圧モータ10の説明を完成させるため、図1に示すピストン/斜板境界面装置は(a)通常のニードル及びスラスト軸受を使用して駆動シャフト30に装着されたロータ28及び(b)ロータ28の回転及び転頭運動する平坦な表面26に常に接触するようにピストンシュー24を維持するための単純なバネ偏倚押え付け組立体のみを有する。〔注:本発明の簡略化したピストン/斜板境界面組立体の2つの実施の形態は以下の別の文節で一層詳細に説明する。〕
図1に示すような本発明の押え付け組立体の第1の実施の形態はシャフト30のまわりに位置し、軸線32のまわりで円周方向にシリンダブロック12内に形成された適当な割れ目52内に収容されたコイルバネ50を有する。バネ50はこれまたシャフト30及び軸線32のまわりで円周方向に位置する押え付け素子54を偏倚する。押え付け素子54はそれぞれのピストン16のネック部20を各々取り囲む複数の開口を具備する。それぞれの特殊なワッシャ56は押え付け素子54と各ピストンシュー24との間に位置する。各ワッシャ56はロータ28の平坦な面26に常に接触するようにシューを維持するためにそれぞれのシュー24の外周辺に接触する延長部58を有する。
【0028】
潤滑及びピストン/斜板境界面の双方について顕著な簡略化を伴うすぐ上で述べた液圧モータは有効であり、製造が容易であり、作動が経済的である。
可変液圧ポンプ
本発明に係る液圧機械の第2の好ましい実施の形態を図3に示す。可変液圧ポンプ110は図1に示し上述した液圧モータ10のシリンダブロック12と同じ固定のモジュラーシリンダブロック112を有する。シリンダブロック112は複数のシリンダ114(1つのみを示す)を有し、これらのシリンダ内で、それぞれの複数の対応するピストン116がピストン116の引き戻し位置と可変の伸長位置(最大伸長はピストン116´の位置として示す)との間を往復運動する。各ピストンは細長い軸方向の円筒状本体部分122の一端でネック部120に装着された球状のヘッド118を有し、この本体部分は、図示の好ましい実施の形態においては、各それぞれのシリンダ114の長さと実質上同じ長さである。各球状のピストンヘッド118は、駆動素子、即ちシリンダブロック112の中心においてボア131内で軸受上に支持されたシャフト130、に枢着された後で詳細に説明するようなロータ128の表面上に形成された平坦な面126上を摺動するそれぞれのシュー124内に嵌合する。
【0029】
液圧モータ10に関して上で説明したものと同様の方法で、可変ポンプ110はまたモジュラーシリンダブロック112の左端にキャップとしてボルト止めされたモジュラー弁組立体133を具備し、同様に、シリンダ114に対して出入りする流体の送給を規制する複数のスプール弁134(1つのみを示す)を有する。
【0030】
上述のように、開示された機械の各々はポンプとして又はモータとして作動できる。この好ましい実施の形態の説明について、図3に示す可変角度斜板式の機械110はポンプとして作動しており、駆動シャフト130は原動機(図示せず)例えば車両のエンジンにより駆動される。それ故、駆動シャフト130の各1回転の半分の間、一層低い圧力の流体は、各ピストン116が伸長位置へ移動するときに、循環する液圧流体の「閉ループ」から入口136を通ってポート137内へ入り、各それぞれのシリンダ114内へ引き込まれる。各1回転の次の半分の間、その完全に引き戻された位置へ各それぞれのピストン116を戻す駆動が高圧流体をポート137から出口139を通して液圧閉ループ内へ導く。次いで、高圧流体は適当な閉ループパイプ(図示せず)を介して対応する液圧モータ例えば上述のモータ10へ送給され、当業界で周知の方法で送給されている高圧流体の容積(ガロン/分)に応じて変化する速度で、対応するモータのピストンを移動させる。
【0031】
モジュラーシリンダブロック112を再度参照すると、これは既に述べたシリンダブロック12と同じに構成される。すなわち、各シリンダ114の円筒状の壁はその中に円周方向で形成されたそれぞれの潤滑チャンネル40´により半径方向に横断される。複数の通路42´はシリンダブロック112内に連続的な潤滑通路を形成するようにすべての潤滑チャンネル40´を相互接続する。面2−2におけるシリンダブロック112の断面は図2のシリンダブロック12の断面図のように精確に見える。
【0032】
実際において、図1、2に示す液圧モータ10の装置を参照した本発明の連続的な潤滑通路40、42に関する上記の説明の殆どすべては、各シリンダ114の開いた端部の近傍に位置する取り巻きシール144による各潤滑チャンネル40´からの潤滑流体の損失の最小化を含む、図3に示す液圧ポンプ110のシリンダブロック112内の連続的な潤滑通路40´、42´の作動に等しく適用される。同様に、閉じた連続的な潤滑通路40´、42´内の潤滑流体の流れは、ピストンの運動及びピストンが往復運動するときに駆動シャフト130の回転の各半サイクルにおいて変化する圧力に応答する「補助的な」ブローバイ」の結果として、控えめではあるが連続的である。もちろん、ポンプ110とは異なり、各ピストン116が伸長位置へ動いているとき、一層低い流体圧力は各シリンダ114内に存在し、一方、シリンダの壁と各ピストン116の外周辺との間で強制送給される高圧流体の源は、各ピストン116が原動機(図示せず)による駆動シャフト130の回転によりその伸長位置からその完全に引き戻された位置へ駆動されているときに、生じる。
【0033】
しかし、再度、各シリンダ114内へ戻るようなすぐ上で述べたこの補助的なブローバイが「損失」でないという事実に当業者の特別な注意が向けられる。代わりに、ブローバイはポンプ及びモータを相互接続する周知の液圧流体閉ループへ直ちに戻される。すなわち、この補助的なブローバイは油溜めに戻らず、それ故、チャージポンプにより閉ループ液圧装置内へ補充されるべきものではない。また、各シリンダ114の端部でシール144を通って閉じた連続的な潤滑通路40´、42´から漏洩する最小の流体流れが存在することがあるが、いかなるこのような最小のブローバイも増大した圧力を体験している各ピストン116の反対側端部のまわりへ入るブローバイの同様の流れにより即座に補充される。
【0034】
上述の前文部分で説明したように、本発明は、(a)各ピストンの外端と通常の回転/転頭運動する斜板の転頭運動のみを行う揺動体(wobbler)との間に通常装着されたドッグボーンを省略し及び(b)揺動体自体のみならず斜板の回転/転頭運動するロータ部分へ回転する揺動体を装着するために従来必要であった装置をも省略することにより、機械の斜板装置を簡略化するのを許容する。
【0035】
ロータ128は軸線132に垂直な軸線129のまわりで駆動シャフト130に枢着される。それ故、ロータ128がシャフト130と共に回転している間、軸線130に関するその傾斜角度は0°(すなわち垂直)から±25°まで変化することができる。図3において、ロータ128は+25°で傾斜している。この可変な傾斜は次のように制御される:軸線129のまわりでのロータ128の枢動は、駆動シャフト130を取り囲み、それに関して軸方向に運動できる摺動カラー180の位置により決定される。駆動シャフト130上での軸方向におけるカラー180の運動が軸線129のまわりでロータ128を枢動させるように、制御リンク182がカラー130をロータ128に接続する。たとえば、カラー128が図3で右に動くと、ロータ128の傾斜は図示の+25°の傾斜から0°(すなわち垂直)に戻り次いで−25°までの連続体にわたって変化する。
【0036】
カラー180の軸方向の運動は、ヨーク186がヨーク制御アーム188の関節運動によりヨークシャフト190の軸線のまわりで回転するときに、ヨーク186のフィンガ184により制御される。ヨーク186はヨークアーム188の底部に接続された通常の線形サーボ機構(図示せず)により作動される。この好ましい実施の形態においては、ヨーク186の素子の残りがすべてモジュラー斜板ハウジング192内に包まれ、ヨークシャフト190がハウジング192に固定された軸受内に支持されるが、ヨーク制御アーム188はハウジング192の外部に位置する。
【0037】
制御リンク182と実質上同一で、カラー180に同様に接続されるがカラー180の精確に反対側の位置にあるシャドーリンク194により、斜板ロータ128が平衡されることにも留意されたい。
ピストンシュー押え付け組立体
流体圧力はピストン116をロータ128の方向に常に偏倚し、スラスト板198はその荷重を支持するために設けられる。しかし、自動車用途のために必要な作動速度(例えば4000rpm)においては、ピストンシュー124とロータ128の平坦な表面126との間の常時の接触を保証するために、付加的な偏倚荷重が必要である。通常のドッグボーンの本発明における省略、並びに、通常の揺動体及びその必要な装着組立体の省略により、本発明の可変液圧機械は2つの簡単なバネ偏倚押え付け組立体のいずれかを使用することによりこのような付加的な偏倚を提供することができ、一方の組立体は図1の液圧モータ10に関して既に上述したものと同様である。
(a)単一のバネ偏倚を伴う押え付け組立体
押え付け組立体のための本発明の第1の実施の形態の次の説明は図3を参照するために続けるが、ここではまた、(a)矢印の方向で見たときの図3の面4A−4Aにおける拡大図を示す図4A及び(b)明瞭のために部品を除去した状態での、図1に示すものと同じ拡大図を示す図4Bをも参照する。
【0038】
ポンプ110のための押え付け組立体は、シャフト130のまわりに位置し、軸線132のまわりで円周方向にシリンダブロック112内に形成された適当な割れ目152内に収容されたコイルバネ150を有する。コイルバネ150はこれまたシャフト130及び軸線132のまわりで円周方向に位置する押え付け素子154を偏倚する。押え付け素子154はそれぞれのピストン116のネック部120を各々取り囲む複数の円形開口160を具備する。複数の特殊なワッシャ156は押え付け素子154と各ピストンシュー124との間にそれぞれ位置する。各ワッシャ156はロータ128の平坦な面126に対してシューを常に接触維持させるためにそれぞれのシュー124の外周辺に接触する延長部158を有する。
【0039】
ロータ128の傾斜が機械の作動中に変化するときに、斜板及びピストンシュー押え付け組立体のすぐ上で述べた部品の位置は相対的に変化する。相対位置のこれらの変化はロータ128の種々の傾斜、即ち図4A及び図4Bにおける+25°、図5A及び図5Bにおける+15°、図6A及び図6Bにおける0°、並びに、図7A及び図7Bにおける−25°で示す。〔:当業者なら、各ピストンシュー124がロータ128の平坦な面126に接触するシュー124の平坦な表面上でセンタリングされた通常の圧力平衡空洞を有すること、及び、各それぞれのシューの空洞は、シュー/ロータ境界面に存在する流体圧力が各ピストン116のヘッドでの流体圧力と常に同等になることを保証するように、適当なシューチャンネル162及びピストンチャンネル164を介して接続されることを認識できよう。ピストンチャンネル164が各ピストン116の球状のヘッド118の中心を通過するので、チャンネル164の位置は押え付け組立体の種々の部品の相対運動の認識を容易にするために使用することができる。〕
図6A及び図6Bに示す0°の傾斜でのこれらの部品の相対位置を参照すると、(各ピストン116の各球状のヘッド118の中心での)各ピストンチャンネル164は押え付け素子154内の各それぞれの円形開口160に関して同じ半径方向の位置を有する。斜板ロータ128の他に示した傾斜についての図から分かるように、0°以外のすべての傾斜において、各ピストンチャンネル164の半径方向の相対位置は各開口160に対して異なり、各特殊なワッシャ156の相対位置も異なる。
【0040】
これらの図示の斜板の傾斜の各々において、9個の開口160の各々における異なる相対位置は、ロータ128がこれらの傾斜の各々において完全な1回転にわたって回転し、転頭運動するときに、それ自体常に変化することを認識しなければならない。例えば、図4Aに示す25°の傾斜において、ロータ128の各1回転中に、押え付け素子154の頂部での(即ち12:00時での)開口160のみを通して生じている運動を観察すべき場合は、頂部の開口160内に見える部品の相対位置は、他の8個の開口160の各々において示される相対位置に調和させるために連続的に変化する。
【0041】
すなわち、0°以外の傾斜において(例えば図7Aに示す−25°において)、各シュー124がロータ128の平坦な面126上でスリップするときに、同時にロータ128の各1回転中、各特殊なワッシャ156は押え付け素子154の表面上でスリップし;これらの部品の各々は他の8個の開口160の各々内で見ることのできる種々の位置の各々にわたってそれ自体の開口160に関して変化する。これらの相対運動は最大±25°であり;各々は斜板ロータ128の角度傾斜及び固定のシリンダブロック112内の各ピストン116の水平位置に従って寸法を変化させる(レムニスケート(帯)即ち「図形8個」を追跡するように思われる)周期的な経路を追従する。
【0042】
それ故、各それぞれのシュー124とロータ128の平坦な面126との間の適正な接触を保証するため、好ましい実施の形態においては、図4Aないし図7Aからの各図面における特殊なワッシャ156と各開口160のヘリとの相対位置から分かるように、ロータ128のすべての傾斜に対してロータ128の各1回転中開口160のヘリが各特殊なワッシャ156の表面の半分以上と常に接触維持するように、各開口160の境界に対して寸法が選択される。図面から分かるように、各開口160に対して、円形のヘリが好ましい。
【0043】
最後に、補強された熱可塑性樹脂材料を使用しての、各シュー124及びそのそれぞれの対応する特殊なワッシャ156の提案された製造に注意が向けられる。これらの対応する部品はまた単一の熱可塑性のシュー/ワッシャの組み合わせ体を形成するために組み合わせることができ、シュー部分は、各ピストン16´、22の球状のヘッド118のまわりに形成されるように、製造される。同様に、スラスト軸受組立体35のコスト及び複雑さは補強された熱可塑性樹脂の使用により大幅に減少させることができる。
(b)多重バネ偏倚を伴う押え付け組立体
本発明の押え付け組立体の第2の実施の形態は、組立てが僅かに一層困難であるが、著しく簡単で一層安い。この第2の実施の形態は、本発明に係る別の液圧機械210の単一のピストンの拡大部分断面図として図8に概略的に示す。ピストン216はシリンダ214内で固定のモジュラーシリンダブロック212内に位置し、後者はその中で円周方向に形成されたそれぞれの潤滑チャンネル40´´により半径方向で横断される。既に上で詳述した他の液圧機械に関連して説明したものと同じ方法で、潤滑チャンネル40´´はシリンダブロック212内に連続的な潤滑通路を形成する複数の通路により機械の他のシリンダ内の同様のチャンネルに相互接続され;そして、同様に、各潤滑チャンネル40´´からの潤滑流体の損失を最小化するために、取り巻きシール244が各シリンダ214の開いた端部の近傍に位置する。
【0044】
固定のシリンダブロック212と図1、3に開示したモジュラーシリンダブロックとの間の単なる違いは、固定のシリンダブロック212が大きな軸方向の円周コイルバネもこれを保持するための軸方向の円周割れ目も有しないことである。
【0045】
図示しないが、液圧機械210の固定のモジュラーシリンダブロック212は(図1に示すような)モジュラー固定角度斜板組立体又は(図3に示すような)モジュラー可変角度斜板組立体にいずれかに接続することができる;しかし、いずれの場合も、液圧機械210は一層簡単な押え付け組立体を提供する。特に、この実施の形態の押え付け組立体は唯一のそれぞれのコイルバネ250と組み合わせた各ピストン216のための唯一のそれぞれの通常のピストンシュー224を有し;コイルバネはまた各それぞれのピストン216に関連する。
【0046】
各ピストンシュー224はすぐ上で述べた第1の押え付け組立体において示された通常のシューと同様であり、同様に、上で説明したのと同様の方法で機械の斜板ロータ228の表面に形成された平坦な面226上で摺動するようにピストン216の球状のヘッド218に装着される。各コイルバネ250はそれぞれ各それぞれのシリンダ214の弁端部において液圧弁ポート237のまわりで円周方向に着座し、各それぞれのピストン216の本体部分内に位置する。
【0047】
再度、すぐ上で説明した方法で、各シュー224は、各ピストン216の水平位置及び軸線230に関するロータ228の傾斜に応じて寸法を変化させるレムニスケート運動でロータ228の平坦な面226上をスリップする。液圧機械210の通常の作動中、シュー224は液圧圧力により斜板の平坦な面226に対して接触維持される。それ故、コイルバネ250により提供されるバネ偏倚はほんの極小ではあるが、各それぞれのシリンダ214の弁端部において液圧圧力が存在しない場合に、各シュー224と平坦な面226との間の摺動接触を維持するには依然として十分である。
【0048】
バネ250のすぐ上で述べた最小の偏倚は組立てを容易にするのみならず、組立て中に遭遇したり磨耗により生じる小さなほこりや金属屑の取り込みを阻止するのにも十分であることが判明した。更に、この第2の実施の形態が極めて安価な部品だけでこの必要な機能を提供するという事実に特別な注意が再度向けられる。
【0049】
すぐ上で述べたポンプ/モータ及び先に述べた本発明の他の液圧機械はすべて、潤滑及び著しく簡単で製造が比較的安価なピストン/斜板境界面の双方を提供し、有効な作動に必要な部品の数を減少させかつ容積効率を増大させることにより、更なる経済性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ピストン/斜板の境界面でシリンダブロック内に組み込まれた本発明を示す、固定のシリンダブロック及び固定の傾斜角度を有する回転/転頭運動する斜板を備えた液圧機械の部分概略断面図である。
【図2】明瞭のために部品を省略した状態で、面2−2に沿って取った図1、3の液圧機械の固定のシリンダブロックの部分概略断面図である。
【図3】ピストン/斜板の境界面でシリンダブロック内に組み込まれた本発明をこれまた示す、固定のシリンダブロック及び可変の傾斜角度を有する回転/転頭運動する斜板を備えた液圧機械の部分概略断面図である。
【図4】図4A及び図4Bはピストンのヘッド端部、シュー及び特殊なワッシャの相対位置を示し、また斜板の平坦な面に対して各摺動シューを偏倚するバネ偏倚押え付け素子も示す、明瞭のために部品を省略した状態での、斜板が+25°で傾斜しているときの図1、3に開示された斜板及びピストンシュー押え付け組立体の部分概略断面図であって、図4Aの図は矢印の方向における図3の面4A−4Aにおいて取ったものであり、図4Bの図は図4Aの面4B−4Bにおいて取った図である。
【図5】図5A及び図5Bは斜板が3つの異なる傾斜の1つ即ち+15°で作動しているときの図4A及び図4Bに示す同じ部品を示す図である。
【図6】図6A及び図6Bは斜板が3つの異なる傾斜の1つ即ち0°で作動しているときの図4A及び図4Bに示す同じ部品を示す図である。
【図7】図7A及び図7Bは斜板が3つの異なる傾斜の1つ即ち−25°で作動しているときの図4A及び図4Bに示す同じ部品を示す図である。
【図8】図1、3に示すものと同様の別の液圧機械のための単一のシリンダ及びピストンのみの拡大部分概略断面図であるが、本発明のピストンシューのためのバネ偏倚押え付け組立体の更に簡略化された第2の実施の形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロック内に形成されたそれぞれのシリンダ内に往復運動自在に装着され、駆動素子の回転軸線のまわりにおいて第1の半径方向の距離で円周方向に位置する複数のピストンを有し、上記各ピストンが本体部分とヘッド端部とを有し、各それぞれのシリンダが弁端部と開いたヘッド部分とを有し、当該各ピストンの上記ヘッド端部が常に上記ヘッド部分を越えて延び、該ピストンがまた所定の最大値まで変化するストロークを有するような液圧機械において、改善が、
上記シリンダブロック内の上記各シリンダの円筒状の壁内に形成されたそれぞれの潤滑チャンネルを有し;
すべての上記潤滑チャンネルが上記シリンダブロック内で連続的な潤滑通路を形成するように相互接続され;
上記各それぞれの潤滑チャンネルが上記各ピストンの全体のストローク中に各それぞれのピストンの上記軸方向の円筒状本体により実質上閉じられ、それによって、上記連続的な潤滑通路を常に実質上閉じている;
ことを特徴とする液圧機械。
【請求項2】
上記閉じた連続的な潤滑通路が上記シリンダブロック内に全体的に形成され、上記各シリンダを横断し、シリンダが上記駆動素子の上記回転軸線のまわりでセンタリングされたときに、実質上同じ半径方向の距離で円周方向においてセンタリングされることを特徴とする請求項1に記載の液圧機械。
【請求項3】
上記各ピストンと各それぞれのシリンダの上記開いたヘッド部分との間のブローバイを実質上排除するために、当該各シリンダの当該開いたヘッド部分の付近に位置するシール部材を更に有することを特徴とする請求項1に記載の液圧機械。
【請求項4】
上記閉じた連続的な潤滑通路が各ピストンの上記本体部分と各それぞれのシリンダの上記弁端部との間のブローバイによってのみ補充されることを特徴とする請求項1に記載の液圧機械。
【請求項5】
上記閉じた連続的な潤滑通路内の潤滑流体の主要な移動が(a)ピストンの動き、(b)上記それぞれのシリンダ内の変化する流体圧力及び(c)上記各ピストンと各それぞれのシリンダの上記弁端部との間のブローバイのうちの少なくとも1つの結果であることを特徴とする請求項1に記載の液圧機械。
【請求項6】
循環する液圧流体の閉ループと組み合わさり、上記各ピストンと各それぞれのシリンダの上記弁端部との間の上記ブローバイが、チャージポンプの使用を必要とせずに、上記閉ループへ直ちに帰還されることを特徴とする請求項5に記載の液圧機械。
【請求項7】
平坦な面を備え、上記駆動素子の上記回転軸線に関して傾斜を有する斜板を更に有し、各ピストンの上記ヘッド端部が上記ピストンと上記斜板との間のすべての相対回転運動中に当該斜板の上記平坦な面との有効な摺動接触を維持し、当該ピストンの上記ストロークが該斜板の傾斜に従って決定され、各ピストンの上記本体部分が、当該ストローク中の常時の当該平坦な面との相対摺動接触時に該ピストンの上記ヘッド端部の最小の横方向変位を保証するために上記それぞれのシリンダ内で支持されるのに十分な軸方向の円筒長さを有することを特徴とする請求項1に記載の液圧機械。
【請求項8】
上記シリンダブロックがハウジング内に固定され、上記斜板が上記駆動素子と共に回転し、回転し転頭運動するロータを有し、上記平坦な面が上記ロータ上に位置することを特徴とする請求項7に記載の液圧機械。
【請求項9】
上記斜板の上記傾斜が可変であり、上記ピストンの上記ストロークが当該傾斜に従って上記所定の最大値まで変化することを特徴とする請求項8に記載の液圧機械。
【請求項10】
各ピストンが狭くなったネック部分により上記ピストン本体に接続された球状のヘッド端部を有し、上記機械が更に、
上記各それぞれのピストンの上記球状のヘッド端部に取付けられ、当該ピストンと上記平坦な面との間のすべての相対回転運動中に上記斜板の当該平坦な面との有効摺動接触を維持するそれぞれの摺動シューと;
上記シューを上記斜板の上記平坦な面の方へ偏倚するための押え付け組立体と;
を有することを特徴とする請求項7に記載の液圧機械。
【請求項11】
上記押え付け組立体が、
上記摺動シューの方へ偏倚され、複数のそれぞれの開口を有し、上記押え付け板内の上記各それぞれの開口の境界が各それぞれのピストンの上記狭くなったネック部分の付近に位置するような押え付け素子と;
上記押え付け板と各それぞれの摺動シューとの間で各ピストンの上記狭くなったネック部分のまわりに嵌合するそれぞれのワッシャであって、上記各それぞれのワッシャが当該各それぞれの摺動シューに円周方向で接触するために円筒状に整合する延長部を有するようなそれぞれのワッシャと;
を有し、
上記ワッシャは、上記ロータの上記平坦な面が上記駆動素子の上記回転軸線に関して傾斜したときに、上記摺動シューの変化する相対位置に応答して上記押さ付け板に関して運動するように、該押え付け板に摺動接触する;
ことを特徴とする請求項10に記載の液圧機械。
【請求項12】
上記押え付け板内の上記各それぞれの開口の上記境界が上記相対運動中常に上記各それぞれのワッシャの外周辺の半分以上にわたって接触するように設計されることを特徴とする請求項11に記載の液圧機械。
【請求項13】
上記機械が更に、上記ワッシャに対して上記押え付け板を偏倚するために、上記第1の半径方向の距離よりも小さな距離で上記駆動素子の上記回転軸線のまわりにおいて円周方向に位置するコイルバネを有することを特徴とする請求項11に記載の液圧機械。
【請求項14】
上記押え付け組立体が、
各それぞれのシリンダの上記弁端部において液圧圧力が存在しない場合に、上記各シューと上記斜板の上記平坦な面との間の上記有効な摺動接触を維持するのに十分な最小バネ偏倚のみを有することを特徴とする請求項10に記載の液圧機械。
【請求項15】
上記最小のバネ偏倚が複数のバネにより提供され、上記各バネが各それぞれのピストンの上記本体部分と各それぞれのシリンダの上記弁端部との間にそれぞれ位置することを特徴とする請求項10に記載の液圧機械。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2006−510833(P2006−510833A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−531484(P2004−531484)
【出願日】平成15年8月26日(2003.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/026707
【国際公開番号】WO2004/020827
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(501050955)トーヴェック・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】