説明

長尺体積ホログラム層転写箔、これを用いた体積ホログラム積層体の製造方法、および体積ホログラム積層体

【課題】本発明は、被転写体の所定の位置に体積ホログラム層を連続的に転写することが可能な、長尺体積ホログラム層転写箔を提供する。
【解決手段】本発明は、基材と、上記基材上に形成され、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、を有し、長尺状に形成された長尺体積ホログラム層転写箔であって、長手方向に対して垂直方向の全幅の一部に、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された切れ込み部を有することを特徴とする、長尺体積ホログラム層転写箔を提供することにより、上記課題を解決するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連続的に体積ホログラム層を転写するために長尺状に形成された長尺体積ホログラム層転写箔、これを用いた体積ホログラム積層体の製造方法、および体積ホログラム積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホログラムは、波長の等しい二つの光(物体光と参照光)を干渉させることによって、物体光の波面が干渉縞として感光材料に記録されたものであり、干渉縞記録時の参照光と同一波長の光が当てられると干渉縞によって回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できるものである。ホログラムは、外観が美しく、複製が困難である等の利点を有することからセキュリティ用途等に多く使用されている。なかでもクレジットカードや、キャッシュカード等に代表されるプラスチックカードにおいては、主として複製防止および意匠性付与の観点からホログラム付カードが広く用いられるに至っている。
【0003】
このようなホログラムは、干渉縞の記録形態によっていくつかの種類に分類することができるが、代表的には表面レリーフ型ホログラムと体積型ホログラムとに分けることができる。ここで、上記表面レリーフ型ホログラムは、ホログラム層の表面に微細な凹凸パターンが賦型されることによりホログラムが記録されたものである。一方、上記体積型ホログラムは光の干渉によって生じる干渉縞が、屈折率の異なる縞として厚み方向に三次元的に描画されることによってホログラムが記録されたものである。なかでも、上記体積型ホログラムは材料の屈折率差によってホログラム像が記録されたものであるため、上記レリーフ型ホログラムに比べて複製することが困難であるという利点を有することから、有価証券やカード類の偽造防止手段としての用途が期待されている。
【0004】
また、意匠性の付与や偽造防止手段等としてホログラムを用いる場合において、ホログラムを有価証券やカード等に付与する方法としては、ホログラムを付与する対象に応じて種々の方法が知られている。このような方法としては、例えば、スリット状のホログラムを編み込む方法や、ホログラムを外部から視認可能なように媒体中に埋め込む方法が知られているが、一般的にはホログラムを所定の位置に貼付する方法が用いられている。なかでも、より簡便な方法として、任意の基材上にホログラムが形成されたホログラム層転写箔から、ホログラムを転写することによってホログラムを所定の位置に貼付する方法が広く用いられるに至っている。
【0005】
ここで、上記体積型ホログラムには屈折率の異なる複数の材料が用いられるのが一般的であり、通常は特定の光を照射することによって重合させることが可能な光重合性材料が用いられている。このため、体積型ホログラムが記録されたホログラム層は機械強度が大きくなる傾向があることが知られている。また、体積型ホログラムは、屈折率差が三次元的に配列されることによってホログラム像が記録されるものであるという性質上、ホログラムが形成される層の厚みが上記レリーフ型ホログラムと比較して厚くなる傾向にある。このため、体積型ホログラムは箔切れ性が乏しく、上述したホログラム層転写箔を用いて体積型ホログラムを転写する方法を用いることが困難であることが指摘されていた。
【0006】
このような状況において、特許文献1および2には体積型ホログラムが記録されたホログラム層の破断点伸度および破断強度を所定の値に調整することにより、体積型ホログラムについても上述したホログラム層転写箔を用いた転写方法を用いることを可能とした例が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平3−46687号公報
【特許文献2】特開2005−070064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ホログラムを用いた意匠性の付与や偽造防止は、その有用性に鑑みさらなる汎用性の向上が求められている。これに伴い、本発明者らは工業的生産過程において連続的に体積ホログラムを所定の位置に付与することを可能にするため、ホログラム層転写箔を長尺状に形成し、体積ホログラムを連続的に転写する方法を考案した。このような方法は連続的に体積ホログラムを転写できる方法として有用である。しかしながら、その一方でこのような方法では、従来、体積ホログラムでは実施することが困難であった、ホログラム層転写箔上に形成された体積ホログラムを部分的に転写させることが必要になる。このため、長尺に形成された体積ホログラム層転写箔においては、体積ホログラム層に対して、従来よりもさらに高い箔切れ性が求められるという課題が明らかとなった。
【0009】
本発明はこのような新たな課題を解決するためになされたものであり、被転写体の所定の位置に体積ホログラム層を連続的に転写することが可能な、長尺体積ホログラム層転写箔を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、基材と、上記基材上に形成され、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有し、長尺状に形成された長尺体積ホログラム層転写箔であって、長手方向に対して垂直方向の全幅の少なくとも一部に、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された切れ込み部を有することを特徴とする、長尺体積ホログラム層転写箔を提供する。
【0011】
本発明によれば、上記切れ込み部が上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成されていることにより、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、上記切れ込み部が形成された位置を始点として、上記基材を体積ホログラム層から剥離することにより、上記体積ホログラム層を容易に転写させることができる。
また、本発明によれば上記切れ込み部が、長手方向に対して垂直方向の全幅の少なくとも一部に形成されていることにより、上記切れ込み部をきっかけとして、上記体積ホログラム層を破断することができる。このため、例えば本発明の長尺体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層を転写することによって体積ホログラム積層体を転写する際に、体積ホログラム層を部分的に転写させる場合であっても体積ホログラム層の箔切れ不良が生じることを防止できる。このため、本発明によれば、被転写体への転写される体積ホログラム層の面積に関わらず、所定の面積の体積ホログラム層を連続的に転写することができる。
このようなことから、本発明によれば被転写体の所定の位置に体積ホログラムを連続的に転写することが可能な、長尺体積ホログラム層転写箔を得ることができる。
【0012】
本発明においては、上記切れ込み部が、長手方向に対して垂直方向の全幅に渡って形成されていることが好ましい。上記切れ込み部が、長手方向に対して垂直方向の全幅に渡って形成されていることにより、上記切れ込み部をきっかけとして、上記体積ホログラム層をより破断しやすくすることができるからである。
【0013】
本発明においては、上記切れ込み部が複線状に形成されていてもよい。上記切れ込み部が複線状に形成されることにより、例えば、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて、被転写体へ体積ホログラム層を転写する際に、被転写体を配置する位置精度にバラツキが生じたとしても、体積ホログラム層の転写性が損なわれることを防止できるからである。さらに、上記切れ込み部が複線状に形成されることにより、複線状の切れ込み部のうちの一部の切れ込み部が、被転写体に転写される。上記転写された切れ込み部によって、例えば、被転写体から体積ホログラム層を剥がそうとした場合、上記転写された切れ込み部が起点となって、体積ホログラム層が破壊されやすくなり、偽造防止の効果を得ることができるからである。
【0014】
また、本発明においては、上記切れ込み部が点線状に形成されていてもよい。これにより、例えば、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて、被転写体へ体積ホログラム層を転写する際に、被転写体を配置する位置精度にバラツキが生じたとしても、体積ホログラム層の転写性が損なわれることを防止できるからである。
【0015】
また本発明においては、上記体積ホログラム層と上記基材との間に剥離性保護層が形成されていることが好ましい。上記剥離性保護層が形成されていることにより、基材と体積ホログラム層との密着性を調整することができる結果、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層を転写させる際に、体積ホログラム層の基材からの剥離性を向上させることができるからである。
また、本発明の体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、上記剥離性保護層は体積ホログラム層と共に転写されることになるため、転写された体積ホログラム層を保護することができるからである。
【0016】
本発明においては、被転写体側に転写される部分である転写部の一部に、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された偽造防止切れ込み部前駆体を有することが好ましい。これにより、後述する体積ホログラム積層体の体積ホログラム層を剥がそうと試みた場合、上記体積ホログラム層を連続体として、剥がしにくくすることができる。具体的には、上記体積ホログラム層をそのまま剥がそうとした場合、偽造防止切れ込み部が起点となって破壊されやすくなる。したがって、上記体積ホログラム層を貼りかえることが困難となり、偽造防止の効果を得ることができる。
【0017】
本発明は、被転写体と、上記被転写体上に形成されたヒートシール層と、上記ヒートシール層上に形成された体積ホログラム層と、を有する体積ホログラム積層体であって、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された偽造防止切れ込み部を有することを特徴とする、体積ホログラム積層体を提供する。
【0018】
本発明によれば、上記体積ホログラム積層体が、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された偽造防止切れ込み部を有することにより、体積ホログラム積層体の被転写体から体積ホログラム層を貼り替えようと試みた際、偽造防止切れ込み部を起点として、体積ホログラム層が破壊されやすくなる。このため、偽造防止機能の高い体積ホログラム積層体を得ることができる。
【0019】
本発明は、上記本発明に係る長尺体積ホログラム層転写箔を用い、上記長尺体積ホログラム層転写箔のヒートシール層上に、上記長尺体積ホログラム層転写箔に形成された切れ込み部と重なるように被転写体を配置する被転写体配置工程と、少なくとも1辺が上記切れ込み部と重なるような形状に、上記ヒートシール層を加熱することによって、上記ヒートシール層の加熱された領域と上記被転写体とを接着する加熱接着工程と、上記長尺体積ホログラム層転写箔の上記切れ込み部が形成された位置を始点として、上記被転写体と接着された領域上に配置されている上記長尺体積ホログラム層転写箔の基材を剥離する基材剥離工程と、を有することを特徴とする体積ホログラム積層体の製造方法を提供する。
【0020】
本発明によれば長尺体積ホログラム層転写箔として、上記本発明の長尺体積ホログラム層転写箔が用いられ、上記加熱接着工程において少なくとも1辺が上記切れ込み部と重なるような形状に、上記ヒートシール層が加熱され、さらに、上記基材剥離工程において上記切れ込み部が形成された位置を始点として基材が剥離されることにより、転写に伴う体積ホログラム層の破断不良が生じることを防止することができる。
このため、本発明によれば被転写体の所定の位置に体積ホログラムを連続的に転写することによって、安定的に体積ホログラム積層体を製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔によれば、体積ホログラム層の転写不良が生じることを防止し、被転写体の所定の位置に体積ホログラム層を連続的に転写することができるという効果を奏する。また、本発明の体積ホログラム積層体によれば、優れた偽造防止効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は長尺体積ホログラム層転写箔と、体積ホログラム積層体と、長尺体積ホログラム層転写箔を用いた体積ホログラム積層体の製造方法とに関するものである。
以下、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔、体積ホログラム積層体および体積ホログラム積層体の製造方法について順に説明する。
【0023】
なお、本発明に用いられる「切れ込み部」「偽造防止切れ込み部前駆体」「偽造防止切れ込み部」は、以下に定義されるものとする。「切れ込み部」とは、本発明に用いられる長尺体積ホログラム層転写箔に施された切れ込みであり、上記長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、上記切れ込み部が形成された位置を始点として、上記基材を体積ホログラム層から剥離することにより、上記体積ホログラム層を容易に転写させるために用いられるものである。また、「偽造防止切れ込み部前駆体」とは、上記長尺体積ホログラム層転写箔に上記「切れ込み部」とは別に施された切れ込みであり、上記長尺体積ホログラム層転写箔が被転写体に転写される際、転写される部分である転写部の一部と共に転写されるものである。「偽造防止切れ込み部」とは、上記長尺体積ホログラム層転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体が有する切れ込みであり、上述した「切れ込み部」の一部または「偽造防止切れ込み部前駆体」が上記長尺体積ホログラム層転写箔と共に転写された場合に、当該「偽造防止切れ込み部」となるものである。
【0024】
A.長尺体積ホログラム層転写箔
まず、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔について説明する。上述したように本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は、基材と、上記基材上に形成され、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有し、長尺状に形成されたものであって、長手方向に対して垂直方向の全幅の少なくとも一部に、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された切れ込み部を有することを特徴とするものである。
【0025】
このような本発明の長尺体積ホログラム層転写箔について図を参照しながら説明する。図1は本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の一例を示す概略断面図である。図1(a)に例示するように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10は、基材1と、上記基材1上に形成され、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層2と、上記体積ホログラム層2上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層3とを有するものである。また、図1(a)に例示するように、本発明の長尺体積ホログラム積層体は長尺状に形成されたものである。
このような例において、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10は、上記ヒートシール層3を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層2の少なくとも一部が切断されるように切れ込み部4が形成されていることを有することを特徴とするものである。
ここで、図1(b)は、図1(a)におけるzの方向から正視した本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の概略図である。図1(b)に例示するように上記切れ込み部4は、長尺体積ホログラム層転写箔10の長手方向yに対して垂直方向xの全幅に渡って形成されているものである。
【0026】
本発明によれば、上記切れ込み部が上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部を切断するように形成されていることにより、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、上記切れ込み部が形成された位置を始点として、上記基材を体積ホログラム層から剥離することにより、上記体積ホログラム層を容易に転写させることができる。
また、本発明によれば上記切れ込み部が、長手方向に対して垂直方向の全幅の少なくとも一部に形成されていることにより、上記切れ込み部をきっかけとして上記体積ホログラム層を破断することができる。このため、例えば本発明の長尺体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層を転写することによって体積ホログラム積層体を転写する際に、体積ホログラム層を部分的に転写させる場合であっても体積ホログラム層の箔切れ不良が生じることを防止できる。したがって、本発明によれば、被転写体への転写される体積ホログラム層の面積に関わらず、所定の面積の体積ホログラム層を連続的に転写することができる。
このようなことから、本発明によれば被転写体の所定の位置に体積ホログラムを連続的に転写することが可能な、長尺体積ホログラム層転写箔を得ることができる。
【0027】
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は、少なくとも基材と、体積ホログラム層と、ヒートシール層とを有するものであり、必要に応じて「5.その他の層」の項で後述する層や「6.偽造防止切れ込み部前駆体」の項で後述する偽造防止切れ込み部前駆体が用いられてもよいものである。
以下、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔に用いられる各構成について順に説明する。
【0028】
1.切れ込み部
まず、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔に形成された切れ込み部について説明する。本発明における切れ込み部は、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の長手方向に対して垂直方向の全幅の少なくとも一部に、後述するヒートシール層を貫通し、かつ、後述する体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成されたものである。
以下、このような切れ込み部について詳細に説明する。
【0029】
(1)厚み方向の形成態様
まず、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の厚み方向に対して切れ込み部が形成されている態様について説明する。厚み方向を基準とした場合、本発明における切れ込み部は、後述するヒートシール層を貫通し、かつ、後述する体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成されたものである。
【0030】
本発明において切れ込み部が厚み方向に形成されている態様としては、後述するヒートシール層を貫通し、かつ、少なくとも体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成されている態様であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、少なくとも体積ホログラム層の1/3以上を切断するように形成されていることが好ましく、特に1/2以上を切断するように形成されていることが好ましい。切れ込み部がこのように形成されていることにより、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層を転写させて体積ホログラム積層体を製造する際に、体積ホログラム層の破断不良が生じることをより効果的に防止できるからである。
さらに本発明においては切れ込み部が体積ホログラム層を完全に切断するように形成されていることが最も好ましい。これにより本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、体積ホログラム層の切断不良が問題になることが無くなるからである。
【0031】
また、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔において後述する基材と体積ホログラム層との間に「5.その他の層」の項で後述する層(以下、この項において「その他の層」とする)が用いられている場合、切れ込み部は当該その他の層を切断するように形成されていてもよく、あるいは、切断しないように形成されていてもよい。切れ込み部が上記その他の層を切断するように形成されている場合、その態様としては少なくとも一部のみが切断されるように形成されている態様であってもよく、あるいは、完全に切断されるように形成されている態様であってもよい。
より具体的には、後述するように本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は、基材と体積ホログラム層との間に剥離性保護層が形成されていることが好ましいものであるが、このような場合において、切れ込み部が形成されている態様としては、剥離性保護層の少なくとも一部または全部が切断されている態様であってもよく、あるいは、剥離性保護層は全く切断されていない態様であってもよい。
【0032】
なお、本発明における切れ込み部は後述する基材の一部が切断されるように形成されていてもよいが、基材が切断されないように形成されていることが好ましい。本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は、連続的に体積ホログラム層を転写させることによって体積ホログラム積層体を製造するために好適に用いられるものであるため、上記基材の一部に切れ込み部が形成されていると、体積ホログラム層を転写させる際に基材が破断してしまい、体積ホログラム層の連続的な転写が困難になる可能性があるからである。
【0033】
(2)面内方向の形成態様
次に、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の面内方向に対して切れ込み部が形成されている態様について説明する。面内方向を基準とした場合、本発明における切れ込み部は、長尺体積ホログラム層転写箔の長手方向に対して垂直方向の全幅の少なくとも一部に形成されたものである。ここで、「長手方向に対して垂直方向」とは、厳密に垂直である場合の他、切れ込み部の機能を奏し得る範囲内で略垂直である場合も含むものとする。
【0034】
本発明において切れ込み部が面内方向に形成されている態様としては、長尺体積ホログラム層転写箔の長手方向に対して垂直方向の全幅の少なくとも一部に形成された態様であれば特に限定されるものではない。図2は、上記切れ込み部が形成された態様の一例を示す概略図である。上記切れ込み部が全幅の少なくとも一部に形成された態様としては、図2(a)に例示するように、本発明における長尺体積ホログラム層転写箔10において、切れ込み部4が、全幅の両端を含まずに形成された態様や、図2(b)に例示するように、切れ込み部4が全幅の両端のうち片方の端部から全幅の途中まで形成された態様、図2(c)に例示するように、切れ込み部4が全幅に渡って形成された態様を挙げることができる。本発明においては中でも、全幅に渡って形成された態様であることが好ましい。全幅に渡って形成された態様とすることにより、箔切れ不良を防止するためにより効果的であるからである。また、必要に応じてこれらの態様を組み合わせて用いることもできる。
【0035】
さらに、上記切れ込み部は、直線状に形成された態様であってもよく、あるいは、曲線状または屈曲線状に形成された態様であってもよい。本発明においてはこれらのいずれの態様であっても好適に用いることができるが、なかでも直線状に形成された態様であることが好ましい。切れ込み部が直線状に形成されていることにより、切れ込み部を所定の位置に形成することが容易になるからである。また、直線状に形成されていることにより、体積ホログラム層の破断不良が生じることをより効果的に防止することができるからである。
【0036】
切れ込み部が直線状に形成されている態様としては、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム層が転写される被転写体の形状等に応じて、体積ホログラム層を転写する際に、体積ホログラム層が破断される始点となるような態様であれば特に限定されるものではない。このような態様としては例えば、実線状に形成された態様や、点線状に形成された態様等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの態様であっても好適に用いることができる。また、必要に応じてこれらの態様を組み合わせて用いることもできる。
【0037】
切れ込み部が実線状あるいは点線状に形成されている場合は、本発明における切れ込み部は複線状に形成されていることが好ましい。これにより、例えば、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて、被転写体へ体積ホログラム層を転写する際に、被転写体を配置する位置精度にバラツキが生じたとしても、体積ホログラム層の転写性が損なわれることを防止できるからである。さらに、上記切れ込み部が複線状に形成されることにより、複線状の切れ込み部のうちの一部の切れ込み部が、転写の際、被転写体に転写され、「B.体積ホログラム積層体」の「3.偽造防止切れ込み部」の項で後述する偽造防止切れ込み部となる。これにより、例えば、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を転写して製造される体積ホログラム積層体は、上記偽造防止切れ込み部を有することになる。上記体積ホログラム積層体の被転写体から体積ホログラム層を剥がそうとした場合、上記偽造防止切れ込み部が起点となって、体積ホログラム層が破壊されやすくなり、偽造防止の効果を得ることが可能となる。なお、本発明において切れ込み部が「複線状に形成されている」とは、互いに平行な複数の直線状の切れ込み部が一組となって形成されている、または互いに略平行な複数の直線状の切れ込み部が一組となって形成されていることを意味するものである。
【0038】
ここで、本発明において切れ込み部が複線状に形成されていることにより、被転写体へ体積ホログラム層を転写する際に、被転写体を配置する位置精度にバラツキが生じたとしても、体積ホログラム層の転写性が損なわれることを防止できる理由について図を参照しながら具体的に説明する。図3は本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の好適な使用態様の一例を示す概略図である。図3(a)に例示するように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の好適な使用態様の一つとして、被転写体20を、被転写体20の端部が上記切れ込み部4に一致するように配置した後、体積ホログラム層(図示せず)を被転写体20へ転写する態様を挙げることができる。このとき、図3(a)に例示するように切れ込み部4が単線状に形成されていると、切れ込み部4と被転写体20の端部とを一致させるには高度の位置制御が要求されることになる。そして、被転写体20を配置する位置にバラツキが生じ、被転写体20の端部が上記切れ込み部4とずれた位置に配置されると、体積ホログラム層を転写する始点がずれてしまうため、体積ホログラム層の転写性が損なわれてしまうおそれがある。
しかしながら、図3(b)に例示するように、切れ込み部4が複線状に形成されていると、被転写体20が配置される位置にバラツキが生じたとしても、複線状に形成されたいずれかの切れ込み部4に被転写体20の端部が一致するように配置することができる。このため、被転写体を配置する位置精度にバラツキが生じたとしても、体積ホログラム層の転写性が損なわれることを防止できるのである。
【0039】
本発明において、切れ込み部が複線状に形成されている態様としては、例えば、複数の実線状の切れ込み部が一組となって形成されている態様や、複数の点線状の切れ込み部が一組となって形成されている態様や、実線状の切れ込み部と点線状の切れ込み部と一組となって形成されている態様等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの態様であっても好適に用いることができる。
【0040】
ここで、切れ込み部が複線状に形成されている態様が、複数の点線状の切れ込み部が一組となって形成されている態様である場合、被転写体へ体積ホログラム層を転写する際に、被転写体を配置する位置精度にバラツキが生じたとしても、体積ホログラム層の転写性が損なわれることをさらに防止できる。その理由について、図を参照しながら説明する。
図4は、上記切れ込み部が複数の点線状の切れ込み部が一組となって形成されている場合の利点を説明する概略図である。上述したように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の好適な使用態様の一つとして、被転写体の端部が上記切れ込み部に一致するように配置した後、体積ホログラム層を被転写体へ転写する態様を挙げることができる。このような態様においては、図4(a)に例示するように、被転写体20の端部が、切れ込み部4に対して斜めに配置されてしまった場合、実線状の切れ込み部4の場合は、体積ホログラム層を転写する際に切れ込み部4が形成されていない部位が破断されることになるため、体積ホログラム層の破断不良が生じてしまう可能性がある。
しかしながら、図4(b)に例示するように切れ込み部4が複数の点線状の切れ込み部が一組となって形成されている場合は、たとえ被転写体20の端部が、切れ込み部4に対して斜めに配置されてしまった場合であっても、隣接する切れ込み部4が互いに連結されることにより、体積ホログラム層を転写する際に切れ込み部4が形成されていない部位が破断されることを少なくすることができる。
このため、被転写体を配置する位置精度にバラツキが生じたとしても、体積ホログラム層の転写性が損なわれることを防止できるのである。
【0041】
ここで、切れ込み部が複線状に形成されている態様が、複数の点線状の切れ込み部が一組となって形成されている態様である場合、一組として形成されている個々の切れ込み部の点線のピッチはすべて同一であってもよく、あるいは、異なっていてもよい。
【0042】
なお、切れ込み部が複線状に形成されている場合、一組に形成される切れ込み部の数は特に限定されるものではなく、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム層を転写する被転写体の形状等に応じて、任意に決定することができる。また、切れ込み部が複線状に形成されている場合、一組に形成された切れ込み部内における複数の切れ込み部の間隔は、0.1mm〜2mmの範囲内であることが好ましい。
【0043】
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は長尺に形成されたものであるため、通常、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔には複数本の切れ込み部が形成されることになる。このとき、複数本の切れ込み部が形成されている態様としては特に限定されるものではなく、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム層が転写される被転写体の形状等に応じて任意の態様を用いることができる。
ここで、切れ込み部が複線状に形成されている場合、一組に形成された複数の切れ込み部をまとめて「一本」の切れ込み部と評価するものとする。
【0044】
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔に複数本の切れ込み部が形成された態様としては、例えば、図5(a)に例示するように被転写体20の、長尺体積ホログラム層転写箔10の長手方向に垂直な端部に、切れ込み部4が一致するように形成された態様や、図5(b)に例示するように上記互いに隣接する切れ込み部4の間隔が、被転写体20の、長尺体積ホログラム層転写箔10の長手方向に平行方向の幅よりも短くなるように形成された態様等を例示することができる。
本発明においては、これらのいずれの態様であっても好適に用いることができる。
【0045】
また、本発明に用いられる切れ込み部は、他の切れ込み部と組み合わされて形成されたものであってもよい。切れ込み部がこのような態様で形成された例としては、例えば、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の長手方向に対して平行方向に形成された平行切れ込み部と組み合わされた態様を挙げることができる。このような態様で切れ込み部が形成された例としては、例えば、図6に例示するように平行切れ込み部5が、被転写体20の、長尺体積ホログラム層転写箔10の長手方向yに平行な方向の端部に一致するように形成された態様を例示することができる。
【0046】
2.体積ホログラム層
次に本発明に用いられる体積ホログラム層について説明する。本発明に用いられる体積ホログラム層は、体積ホログラムが記録されたものであり、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、被転写体へ転写されるものである。
以下、このような体積ホログラム層について詳細に説明する。
【0047】
(1)構成材料
本発明に用いられる体積ホログラム層を構成する材料としては、体積ホログラムを記録することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に体積ホログラムに用いられる材料を任意に用いることができる。このような材料としては、例えば、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の体積ホログラム記録材料が挙げることできるが、なかでも本発明においては、(i)バインダー樹脂、光重合可能な化合物、光重合開始剤および増感色素を含有する第1の感光材料、または、(ii)カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系および光カチオン重合開始剤系を含有する第2の感光材料を好適に用いることができる。
以下、このような第1の感光材料および第2の感光材料について順に説明する。
【0048】
(i)第1の感光材料
まず、上記第1の感光材料について説明する。上述したように第1の感光材料はバインダー樹脂、光重合可能な化合物、光重合開始剤および増感色素を含有するものである。
【0049】
(バインダー樹脂)
上記バインダー樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、またはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、アクリル酸、アクリル酸エステル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体、またはそれらの混合物や、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物等を挙げることができる。ここで、体積ホログラム層を形成する際には、記録された体積ホログラムを安定化するために、加熱してモノマーを移動させる工程が実施される場合がある。このため、本発明に用いられるバインダー樹脂はガラス転移温度が比較的低く、モノマー移動が容易に移動できるものであることが好ましい。
【0050】
(光重合可能な化合物)
上記光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマーおよびそれらの混合物を用いることができる。具体例としては、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド化合物等を挙げることができる。
【0051】
ここで、上記不飽和カルボン酸のモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等を挙げることができる。また上記脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート等を挙げることができる。
【0052】
上記メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等を挙げることができる。また、上記イタコン酸エステルとしてはエチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート等を挙げることができる。また、上記クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等を挙げることができる。さらに上記イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等を挙げることができる。さらにまた、上記マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート、ペンタエリスリトールジマレエート、ソルビトールテトラマレエート等を挙げることができる。
【0053】
上記ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
また、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド等を挙げることができる。
【0054】
(光重合開始剤)
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えば、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等を挙げることができる。なかでも本発明に用いられる光重合開始剤は、記録された体積ホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるものが好ましい。例えば有機過酸化物系にあっては紫外線照射することにより容易に分解されるので好ましい。
【0055】
(増感色素)
本発明に用いられる増感色素としては、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン染料、ローダミン染料、チオピリリウム塩系色素、ピリリウムイオン系色素、ジフェニルヨードニウムイオン系色素等を挙げることができる。
【0056】
(ii)第2の感光材料
次に、本発明に用いられる第2の感光材料について説明する。上述したように第2の感光材料は、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、および、カチオン重合開始剤系を含有するものである。
【0057】
ここで、このような第2感光材料が用いられる場合、体積ホログラム層に体積ホログラムが記録する方法としては、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで、光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光とは別の波長の光を照射する方法が用いられることになる。
【0058】
(カチオン重合性化合物)
上記カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、室温で液状のものが好適に用いられる。このようなカチオン重合性化合物としては、例えば、ジグリセロールジエーテル、ペンタエリスリトールポリジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0059】
(ラジカル重合性化合物)
上記ラジカル重合性化合物としては、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、本発明に用いられるラジカル重合性化合物の平均屈折率は、上記カチオン重合性化合物の平均屈折率より大きいことが好ましく、なかでも0.02以上大きいことが好ましい。これは、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物との屈折率の差によって、体積ホログラムが形成されることによるものである。したがって、平均屈折率の差が上記値以下である場合には、屈折率変調が不十分となるからである。本発明に用いられるラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等を挙げることができる。
【0060】
(光ラジカル重合開始剤系)
本発明に用いられる光ラジカル重合開始剤系としては、体積ホログラムを記録する際に、第1露光によって活性ラジカルを生成し、該活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させることができるものであれば特に限定されるものではない。また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。このような光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明ホログラムとする場合には、シアニン系色素の使用が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、本発明における後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することでホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムを得ることができるからである。
【0061】
上記シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3´−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2´チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3´,9´−ジエチル−2,2´チアカルボシアニンベタイン、3,3´,9−トリエチル−2,2´−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3´−カルボキシメチル−2,2´−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3´,9−トリエチル−2,2´−(4,5,4´,5´−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−[[3−アリル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデン−2−チアゾリニリデン]メチル]3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1´,3,3,3´,3´−ヘキサメチル−2,2´−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3´−ジエチル−2,2´−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3´−カルボキシメチル−5´−クロロ−2,2´−キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ−5,5´−ジフェニル−9−エチル−3,3´−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
上記活性ラジカル発生化合物としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4´−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4´−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4´−ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウム、3,3´−ジニトロジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホン酸塩、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸塩などが例示される。又2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)ー1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4´−メトキシ−1´−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0063】
(光カチオン重合開始剤系)
本発明に用いられる光カチオン重合開始剤系としは、体積ホログラムが記録される際の第1露光に対しては低感光性で、第1露光と異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが用いられることが特に好ましい。このような光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、鉄アレン錯体類等が挙げられる。ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては上述した光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネートなどが挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0064】
(その他)
第2の感光材料には、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色料等を併用してもよい。バインダー樹脂は、ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物と相溶性のよいものであればよく、例えば塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖又は主鎖にカチオン重合性基等の反応性を有していてもよい。
【0065】
(2)その他
本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、所定の体積ホログラム層を形成することができる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上述した構成材料の種類に応じて適宜調整することができる。なかでも本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明においては体積ホログラム層の少なくとも一部を切断するように上記切れ込み部が形成されていることから、厚みに関わらず転写特性の良好な体積ホログラム層を得ることができる。
【0066】
3.ヒートシール層
次に本発明に用いられるヒートシール層について説明する。本発明に用いられるヒートシール層は熱可塑性樹脂を含有するものであり、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、体積ホログラム層と被転写体とを接着させる機能を有するものである。
以下、本発明に用いられるヒートシール層について詳細に説明する。
【0067】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層が転写される被転写体の種類に応じて、体積ホログラム層と被転写体とを接着できるものであれば特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの熱可塑性樹脂であっても好適に用いることができる。
【0068】
なお、本発明に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、あるいは、2種類以上であってもよい。
【0069】
本発明に用いられるヒートシール層には、上記熱可塑性樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。本発明に用いられる添加剤としては、例えば、分散剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
【0070】
本発明に用いられるヒートシール層の厚みは特に限定されるものではなく、体積ホログラム層転写箔の種類や、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム層が転写される被転写体の種類等によって適宜選択されるものであるが、通常、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、なかでも1μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。厚みが上記範囲よりも薄いと被転写体との接着性が不十分になってしまう可能性があるからである。また上記範囲よりも厚いと、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層を転写する際に、ヒートシール層を加熱する温度が高くなりすぎてしまい、基材等に損傷が生じてしまう可能性があるからである。
【0071】
なお、本発明に用いられるヒートシール層は、厚み方向を貫くように切れ込み部が、また、必要に応じて「6.偽造防止切れ込み部前駆体」の項で後述する偽造防止切れ込み部前駆体が形成されたものになる。
【0072】
4.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、上述した体積ホログラム層およびヒートシール層を支持する機能を有するものである。
【0073】
本発明に用いられる基材としては、上記体積ホログラム層およびヒートシール層を支持できるものであれば特に限定されるものではない。このような基材の具体例としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフッ化エチレン系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルム等を挙げることができる。
【0074】
また、本発明に用いられる基材の厚みは、本発明によって製造される体積ホログラム積層体の用途や種類等に応じて適宜選択されるものであるが、通常2μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmの範囲内とされる。
【0075】
5.その他の層
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は少なくとも上記基材、体積ホログラム層、およびヒートシール層を有し、上記切れ込み部が形成されたものであるが、本発明には必要に応じてこれら以外の他の層を用いることができる。本発明に用いられるその他の層は、特に限定されるものではなく、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて製造する体積ホログラム積層体の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に好適に用いられるその他の層としては、上記基材と上記体積ホログラム層との間に形成される剥離性保護層を挙げることができる。
【0076】
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔に剥離性保護層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図7は本発明の長尺体積ホログラム層転写箔に剥離性保護層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図7に例示するように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10’は、基材1と、体積ホログラム層2との間に剥離性保護層6が形成されていてもよい。
【0077】
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔に剥離性保護層が用いられることにより、次の2つの点において有利な効果が得られる。
まず第1に、上記剥離性保護層が用いられることにより、基材と体積ホログラム層とを接着力を任意の範囲に調整することができるため、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔から体積ホログラム層を転写させる際に、体積ホログラム層の基材からの剥離性を向上させることができる。
第2に、上記剥離性保護層が用いられることにより、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて被転写体に体積ホログラム層を転写した際に、体積ホログラム層の表面を剥離性保護層によって覆うことができるため、転写された体積ホログラム層を保護することができる。
【0078】
なお、図7においては、切れ込み部が剥離性保護層を切断するように形成されている例を挙げたが、本発明に剥離性保護層が用いられる態様はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、切れ込み部が剥離性保護層を切断しないように形成されていてもよい。
【0079】
本発明に用いられる剥離性保護層に用いられる材料としては、例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の1種または2種以上混合したもの等を挙げることができる。
【0080】
上記剥離性保護層以外に、本発明に用いられるその他の層としては、例えば、体積ホログラム層とヒートシール層との接着性、あるいは、体積ホログラム層と、上記剥離性保護層との接着性を向上させるために用いられるプライマー層を挙げることができる。このようなプライマー層としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニルあるいはアクリル酸等との共重合体、エポキシ樹脂等が用いられたものを挙げることができる。
【0081】
また本発明においては上記その他の層として、上記体積ホログラム層とヒートシール層との間にバリア層が形成されてもよい。体積ホログラム層に用いられる感光材料やヒートシール層に用いられる熱可塑樹脂の組み合わせによっては、経時的に体積ホログラム層から他の層への低分子量成分の移行が起こり、これに起因して体積ホログラム層に記録された体積ホログラムの再生波長が青側(短波長側)に移行してしまう場合があるが、バリア層を設けることによって、このような問題を解消することができるからである。
【0082】
バリア層に用いられる材料としては、所望のバリア性を発現できる材料であれば特に限定されるものではないが、通常、透明性有機樹脂材料が用いられる。本発明に用いられる透明性有機樹脂材料としては、例えば、無溶剤系の3官能以上、好ましくは6官能以上の、紫外線や電子線等の電離放射線に反応する電離放射線硬化性エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0083】
6.偽造防止切れ込み部前駆体
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は、必要に応じて、偽造防止切れ込み部前駆体を有していてもよい。本発明の長尺体積ホログラム層転写箔に用いられる偽造防止切れ込み部前駆体は、被転写体側に転写される部分である転写部の一部に、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成されることを特徴とするものである。また、本発明に用いられる偽造防止切れ込み部前駆体は、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔が被転写体に転写される際、転写される部分である転写部の一部(以下、転写部位とする)と共に転写され、後述する「B.体積ホログラム積層体」の「3.偽造防止切れ込み部」の項に記載した偽造防止切れ込み部となるものである。すなわち、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔が被転写体に転写されて製造される体積ホログラム積層体が偽造防止切れ込み部を有することになる。これにより、体積ホログラム積層体から体積ホログラム層を剥がそうとした場合、上記偽造防止切れ込み部を起点として、体積ホログラム層が破壊されやすくなり、偽造防止の効果を得ることができる。
以下、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔に偽造防止切れ込み部前駆体が用いられる場合について説明する。
【0084】
本発明における偽造防止切れ込み部前駆体は、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の転写に際して、被転写体側に転写される部分である転写部の一部に、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成されたものである。偽造防止切れ込み部前駆体を有することにより、後述する体積ホログラム積層体の体積ホログラム層を剥がそうと試みた場合、偽造防止切れ込み部(体積ホログラム層は、転写箔から剥がされているので、上記偽造防止切れ込み部前駆体は偽造防止切れ込み部となる。)により、連続体として、上記体積ホログラム層を剥がしにくくなる。具体的には、上記体積ホログラム層をそのまま剥がそうとした場合、偽造防止切れ込み部が起点となって破壊され、貼りかえることが困難になり、偽造防止の効果を得ることができる。
【0085】
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の偽造防止切れ込み部前駆体が形成されている態様について厚み方向と面内方向とに分けて説明する。
【0086】
厚み方向を基準とした場合、本発明における偽造防止切れ込み部前駆体は、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成されたものである。本発明において偽造防止切れ込み部前駆体が厚み方向に形成されている態様としては、転写の際、被転写体と接する側の上記ヒートシール層の表面を始点とし、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、少なくとも体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成されている態様であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、少なくとも体積ホログラム層の1/3以上を切断するように形成されていることが好ましく、特に1/2以上を切断するように形成されていることが好ましい。さらに本発明においては偽造防止切れ込み部前駆体が体積ホログラム層を完全に切断するように形成されていることが最も好ましい。偽造防止切れ込み部前駆体がこのように形成されていることにより、後述する体積ホログラム積層体の体積ホログラム層を剥がそうとする際に、偽造防止切れ込み部を起点として破壊され、偽造防止の効果を得ることができるからである。
【0087】
また、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔において上述した基材と体積ホログラム層との間にその他の層が用いられている場合、偽造防止切れ込み部前駆体は当該その他の層を切断するように形成されていてもよく、あるいは、切断しないように形成されていてもよい。偽造防止切れ込み部前駆体が上記その他の層を切断するように形成されている場合、その態様としては少なくとも一部のみが切断されるように形成されている態様であってもよく、あるいは、完全に切断されるように形成されている態様であってもよい。
より具体的には、上述したように本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は、基材と体積ホログラム層との間に剥離性保護層が形成されていることが好ましいものであるが、このような場合において、偽造防止切れ込み部前駆体が形成されている態様としては、剥離性保護層の少なくとも一部または全部が切断されている態様であってもよく、あるいは、剥離性保護層は全く切断されていない態様であってもよい。
【0088】
なお、本発明における偽造防止切れ込み部前駆体は上述した基材の一部が切断されるように形成されていてもよいが、基材が切断されないように形成されていることが好ましい。本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は、連続的に体積ホログラム層を転写させることによって体積ホログラム積層体を製造するために好適に用いられるものであるため、上記基材の一部に偽造防止切れ込み部前駆体が形成されていると、体積ホログラム層を転写させる際に基材が破断してしまい、体積ホログラム層の連続的な転写が困難になる可能性があるからである。
【0089】
次に、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の面内方向に対して偽造防止切れ込み部前駆体が形成されている態様について説明する。面内方向を基準とした場合、本発明における偽造防止切れ込み部前駆体は、後述する体積ホログラム積層体の体積ホログラム層を剥がそうとする際に、体積ホログラム層が切断されるような態様であれば特に限定されるものではない。したがって、図8(a)に例示されるように、偽造防止切れ込み部前駆体7が、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の全幅に渡って形成されている態様や、図8(b)に例示されるように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の長手方向であって、かつ切れ込み部4まで達しないように形成されている態様や、図8(c)に例示されるように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10において、転写部位の対角線の方向に、対角線の両端のうちの片方の端部を含むように形成されている態様等を挙げることができる。また、本発明において偽造防止切れ込み部前駆体が面内方向に形成されている位置としては、特に限定されるものではないが、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の転写部位の端部が好ましい。転写部位の端部に切れ込み部を有することにより、画像情報の視認性を害することなく、偽造防止の効果を得ることができるからである。
【0090】
また、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔には複数本の偽造防止切れ込み部前駆体が形成されていてもよい。このとき、複数本の偽造防止切れ込み部前駆体が形成されている態様としては特に限定されるものではなく、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を用いて体積ホログラム層が転写される被転写体の形状等に応じて任意の態様を用いることができる。例えば、図9(a)に例示されるように、2本の偽造防止切れ込み部前駆体7が、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の全幅方向に平行に並んでいる態様や、図9(b)に示されるように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の長手方向に平行に並んでいる態様や、図9(c)に示されるように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の転写部位の対角線の方向に向き合っている態様等を挙げることができる。また、3本の偽造防止切れ込み部前駆体を有する場合は、図10(a)に例示されるように、3本の偽造防止切れ込み部前駆体7が、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の全幅方向に平行に並んでいる態様や、図10(b)に例示されるように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の、2本が転写部位の対角線の方向にあって、かつ、1本が長手方向である態様や、図10(c)に例示されるように、三角形状の態様等を挙げることができる。さらに、4本の偽造防止切れ込み部前駆体を有する場合は、図11(a)に例示されるように、4本の偽造防止切れ込み部前駆体7が、転写部位の対角線の方向に4本が向き合っている態様、図11(b)に例示されるように、四角形状の態様等を挙げることができる。本発明においては、これらのいずれの態様であっても好適に用いることができる。
ここで、偽造防止切れ込み部前駆体が複線状に形成されている場合、一組に形成された複数の偽造防止切れ込み部前駆体をまとめて「一本」の偽造防止切れ込み部前駆体と評価するものとする。
【0091】
また、本発明に用いられる偽造防止切れ込み部前駆体は、他の切れ込み部と組み合わされて形成されたものであってもよい。偽造防止切れ込み部前駆体がこのような態様で形成された例としては、「1.切れ込み部(2)面内方向の形成態様」で上述したように、例えば、図6に示される本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の長手方向に対して平行方向に形成された平行切れ込み部5と組み合わされた態様を挙げることができる。
【0092】
さらに、上記偽造防止切れ込み部前駆体が形成される態様としては、直線状、曲線状または屈曲線状を挙げることができるが、上述した「1.切れ込み部(2)面内方向の形成態様」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0093】
上記偽造防止切れ込み部前駆体を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、後述される「8.長尺体積ホログラム層転写箔の製造方法」の項の上記切れ込み部を形成する方法と同様の方法によって形成することができる。
【0094】
7.長尺体積ホログラム層転写箔
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は長尺に形成されたものであるが、本発明における「長尺」とは、長手方向の距離と、長手方向に垂直な方向の距離との比(長手方向の距離/長手方向に垂直な方向の距離)が、5以上であることを意味するものとする。
【0095】
8.長尺体積ホログラム層転写箔の製造方法
本発明の長尺体積ホログラム層転写箔は、長尺の基材上に体積ホログラム層、ヒートシール層を順次積層した後、上記切れ込み部を形成することよって製造することができる。ここで、上記切れ込み部を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、任意の切断手段を用いて上記ヒートシール層側から切り込むことによって形成することができる。
【0096】
B.体積ホログラム積層体
次に、本発明の体積ホログラム積層体について説明する。本発明の体積ホログラム積層体は、被転写体と、上記被転写体上に形成されたヒートシール層と、上記ヒートシール層上に形成された体積ホログラム層と、を有する体積ホログラム積層体であって、上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された偽造防止切れ込み部を有することを特徴とするものである。
【0097】
このような本発明の体積ホログラム積層体について図を参照しながら説明する。図12は本発明の体積ホログラム積層体の一例を示す概略断面図である。図12(a)に例示するように、本発明の体積ホログラム積層体30は、被転写体20と、上記被転写体20上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層3と、上記ヒートシール層3上に形成され、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層2とを有するものである。
このような例において、本発明の体積ホログラム積層体30は、上記ヒートシール層3を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層2の少なくとも一部が切断されるように偽造防止切れ込み部8が形成されていることを特徴とするものである。
ここで、図12(b)は、図12(a)におけるzの方向から正視した本発明の体積ホログラム積層体30の概略図である。図12(b)に例示するように上記偽造防止切れ込み部8は、本発明の体積ホログラム積層体30の被転写体20から体積ホログラム層2を剥がそうとする際に、体積ホログラム層2が切断されるような態様で形成されているものである。
【0098】
本発明によれば、上記偽造防止切れ込み部が上記ヒートシール層を貫通し、かつ、上記体積ホログラム層の少なくとも一部を切断するように形成されていることにより、本発明の体積ホログラム積層体の被転写体から体積ホログラム層を剥がそうとする際に、体積ホログラム層が破断し、貼りかえることが困難となって、偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を得ることができる。
【0099】
本発明の体積ホログラム積層体は、少なくとも被転写体と、ヒートシール層と、体積ホログラム層と、偽造防止切れ込み部とを有するものであり、必要に応じて他の層が用いられても良いものである。
以下、本発明の体積ホログラム積層体に用いられる各構成について順に説明する。
【0100】
なお、本発明の体積ホログラム積層体に用いられるヒートシール層と、体積ホログラム層とは、上記「A.長尺体積ホログラム層転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0101】
1.被転写体
まず、本発明の体積ホログラム積層体に用いられる被転写体について説明する。本発明の体積ホログラム積層体に用いられる被転写体としては、上記ヒートシール層を介して体積ホログラム層と接着させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、本発明の体積ホログラム積層体の用途等に応じて任意に選択して用いることができる。このような被転写体としては、例えば、パスポート、冊子や商品券などに使われる紙やIDカードなどの各種カード、フィルム、布、金属、ガラス等を挙げることができる。
【0102】
2.その他の層
本発明の体積ホログラム積層体は少なくとも上記被転写体、体積ホログラム層およびヒートシール層を有するものであるが、本発明には必要に応じてこれら以外の他の層が形成されていてもよい。本発明の体積ホログラム積層体に用いられるその他の層としては特に限定されるものでなく、本発明の体積ホログラム積層体の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。中でも本発明に好適に用いられるものとしては、上記体積ホログラム層上に形成される剥離性保護層を挙げることができる。
【0103】
本発明の体積ホログラム積層体に剥離性保護層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図13は本発明の体積ホログラム積層体に剥離性保護層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図13に例示するように、本発明の体積ホログラム積層体30’は、体積ホログラム層2上に剥離性保護層6が形成されていてもよい。また、図13中の8および20は、図12に用いられている符号と同様のものを示す。
【0104】
なお、本発明の体積ホログラム積層体に用いられる剥離性保護層の詳細については、上記「A.長尺体積ホログラム層転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0105】
また、本発明の体積ホログラム積層体に用いられるその他の層としては、上記以外にも「A.長尺体積ホログラム層転写箔」の項で説明したプライマー層や、バリア層なども用いることができる。
【0106】
3.偽造防止切れ込み部
本発明の体積ホログラム積層体には、偽造防止切れ込み部が形成されていてもよい。本発明に用いられる偽造防止切れ込み部は、「A.長尺体積ホログラム層転写箔」の「6.偽造防止切れ込み部前駆体」の項で上述したとおり、上記偽造防止切れ込み部前駆体が、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔が被転写体に転写される際、転写部位と共に転写され、偽造防止切れ込み部となるものである。本発明の体積ホログラム積層体が、偽造防止切れ込み部を有することにより、体積ホログラム積層体の被転写体から体積ホログラム層を剥がそうとした場合、偽造防止切れ込み部を起点として、体積ホログラム層が破断されやすくなり、偽造防止の効果を得ることができる。
【0107】
さらに、「A.長尺体積ホログラム層転写箔」の「1.切れ込み部」の項で上述したとおり、上記切れ込み部が複線状に形成されることにより、複線状の切れ込み部のうちの一部の切れ込み部が、転写の際、被転写体に転写され、偽造防止切れ込み部となる。これにより、例えば、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔を転写して製造される体積ホログラム積層体は、上記偽造防止切れ込み部を有することになる。上記体積ホログラム積層体の被転写体から体積ホログラム層を剥がそうとした場合、上記偽造防止切れ込み部が起点となって、体積ホログラム層が破壊されやすくなり、偽造防止の効果を得ることが可能となる。
【0108】
ここで、上記切れ込み部が複線状に形成されている態様において、切れ込み部の一部が、被転写体に転写され、偽造防止切れ込み部となることについて図を用いて説明する。図14は本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の一例を示す概略図である。図14(a)に例示するように、本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の長手方向に対して垂直方向に3本の複線状の切れ込み部4と、1本の切れ込み部4’が形成されている。なお、切れ込み部4と切れ込み部4’は共に、上述した「A.長尺体積ホログラム層転写箔」の「1.切れ込み部」の項において説明される切れ込み部であるが、説明の便宜上、切れ込み部4、切れ込み部4’としているものである。複線状の切れ込み部4のうちの一本の切れ込み部および切れ込み部4’は、ヒートシール層3を加熱する際の、加熱領域の全幅方向の端部にそれぞれ形成されている。ここで、図14(b)は、図14(a)におけるzの方向から正視した本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10の概略図である。図14(b)に例示するように、上記複線状の切れ込み部4および切れ込み部4’は、長尺体積ホログラム層転写箔10の長手方向yに対して垂直方向xの全幅に渡って、かつ互いに平行に形成されているものである。また、被転写体20は、複線状の切れ込み部4のうち、加熱領域の全幅方向の端部と一致する位置に形成されている1本の切れ込み部と被転写体20の端部とが重なるように配置されている。図15は本発明の体積ホログラム積層体の一例を示す概略図である。図15(a)は、図14(a)における長尺体積ホログラム層転写箔10を被転写体20に転写して製造された体積ホログラム積層体30を示すものである。また、図15(b)は、図15(a)におけるzの方向から正視した体積ホログラム積層体30の概略図である。図14(a)における本発明の長尺体積ホログラム層転写箔10に複線状に形成された切れ込み部4のうちの2本が、被転写体20に転写され、図15(a)および図15(b)に例示されるように、偽造防止切れ込み部8となり、本発明の体積ホログラム積層体30において、偽造防止の効果を果たすことができる。なお、図14および図15中の1,2,3は図1に用いられている符号と同様のものを示す。また、本発明の偽造防止切れ込み部の詳細は「A.長尺体積ホログラム層転写箔」の「6.偽造防止切れ込み部前駆体」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0109】
4.体積ホログラム積層体
本発明の体積ホログラム積層体は、上記被転写体、ヒートシール層、体積ホログラム層を有するものであることから、上記被転写体に予め記録されていた諸情報に加え、体積ホログラムに基づく画像等の情報がさらに追加されたものになる。このような本発明の体積ホログラム積層体について、図を参照しながら具体的に説明する。図16は本発明の体積ホログラム積層体および本発明に用いられる被転写体の具体例を示す概略図である。図16(a)に例示するように、本発明に用いられる被転写体としては、予め顔画像情報、文字情報、および図画情報等のあらゆる情報が記録されたものを用いることができる。そして、図16(b)に例示するように本発明の体積ホログラム積層体は、上記図16(a)に例示した被転写体に、体積ホログラム転写箔が転写されることによってさらに情報が記録されたものになる。
【0110】
5.体積ホログラム積層体の製造方法
本発明の体積ホログラム積層体は、一般的に公知の方法によって製造することできる。本発明の体積ホログラム積層体の製造方法の具体例としては、例えば、後述する「C.体積ホログラム積層体の製造方法」の項で用いられる方法を用いて製造することができる。
【0111】
C.体積ホログラム積層体の製造方法
次に本発明の体積ホログラム積層体の製造方法について説明する。上述したように本発明の体積ホログラム積層体の製造方法は、上記本発明に係る長尺体積ホログラム層転写箔を用い、上記長尺体積ホログラム層転写箔のヒートシール層上に被転写体を、上記長尺体積ホログラム層転写箔に形成された切れ込み部と重なるように配置する被転写体配置工程と、少なくとも1辺が上記切れ込み部と重なるような形状に、上記ヒートシール層を加熱することによって、上記ヒートシール層の加熱された領域と上記被転写体とを接着する加熱接着工程と、上記長尺体積ホログラム層転写箔の上記切れ込み部が形成された位置を始点として、上記被転写体と接着された領域上に配置されている上記長尺体積ホログラム層の基材を剥離する基材剥離工程と、を有することを特徴とするものである。
【0112】
このような本発明の体積ホログラム積層体の製造方法について図を参照しながら説明する。図17は本発明の体積ホログラム積層体の製造方法の一例を示す概略図である。図17に例示するように本発明の体積ホログラム積層体の製造方法は、上記本発明に係る長尺体積ホログラム層転写箔10’を用い(図17(a))、当該長尺体積ホログラム層転写箔10’のヒートシール層3上に、被転写体20を上記切れ込み部4と重なるように配置する被転写体配置工程と(図17(b))、少なくとも1辺が上記長尺体積ホログラム層転写箔10’に形成された垂直切れ込み部4と重なるように、上記ヒートシール層3を加熱することによって、上記ヒートシール層3の加熱された領域と上記被転写体20を接着する加熱接着工程と(図17(c))、上記長尺体積ホログラム層転写箔10’の上記切れ込み部4が形成された位置を始点として、上記被転写体20と接着された領域上に配置されている上記長尺体積ホログラム層転写箔10’の基材1を剥離する基材剥離工程と(図17(d))、を有することにより、被転写体20上に、ヒートシール層3と体積ホログラム層2とがこの順で積層された体積ホログラム積層体30’’を製造するものである(図17(e))。
【0113】
ここで、図18は上記加熱接着工程を例示する概略図であり、図18(a)は、図18(b)におけるz’方向の正視図である。図18(a)に例示するように本発明においては、上記加熱接着工程において加熱される領域Aの形状が、少なくとも1辺が切れ込み部4と重なるような形状であることを特徴とするものでもある。
【0114】
本発明によれば長尺体積ホログラム層転写箔として、上記本発明の長尺体積ホログラム層転写箔が用いられ、上記加熱接着工程において少なくとも1辺が上記切れ込み部と重なるような形状に、上記ヒートシール層が加熱され、さらに、上記基材剥離工程において上記切れ込み部が形成された位置を始点として基材が剥離されることにより、転写に伴う体積ホログラム層の破断不良が生じることを防止することができる。
このため、本発明によれば被転写体の所定の位置に体積ホログラムを連続的に転写することによって、安定的に体積ホログラム積層体を製造することができる。
【0115】
本発明の体積ホログラム積層体の製造方法は、少なくとも上記被転写体配置工程と、加熱接着工程と、基材剥離工程とを有するものである。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
【0116】
1.被転写体配置工程
まず、本発明に用いられる被転写体配置工程について説明する。上述したように本工程は、上記本発明に係る長尺体積ホログラム層転写箔を用い、当該長尺体積ホログラム層転写箔のヒートシール層上に、被転写体を、上記長尺体積ホログラム層転写箔に形成された切れ込み部と重なるように配置する工程である。
【0117】
ここで、本工程に用いられる長尺体積ホログラム層転写箔については上記「A.長尺体積ホログラム層転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0118】
本工程に用いられる被転写体としては、上記長尺体積ホログラム層転写箔が備えるヒートシール層を介して上記転写箔と接着させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、本発明によって製造される体積ホログラム積層体の用途等に応じて任意に選択して用いることができる。本工程に用いられる被転写体としては、例えば、冊子や商品券などに使われる紙や各種カード、フィルム、布等を挙げることができる。
【0119】
本工程において被転写体が配置される位置としては、上記長尺体積ホログラム層転写箔のヒートシール層上であって、かつ、当該長尺体積ホログラム層転写箔に形成された切れ込み部と重なるような位置であれば特に限定されるものではない。ここで、本工程においては、上記切れ込み部が被転写体の端部と重なる場合も、本工程における「重なる」に含まれるものとする。
【0120】
本工程に用いられる長尺体積ホログラム層転写箔に複数の切れ込み部が形成されている場合、被転写体が配置される態様としては、例えば、図19(a)に例示するように少なくとも1本の切れ込み部と重なるような態様であってもよく、あるいは、図19(b)に例示するように2本の切れ込み部と重なるような態様であってもよい。
【0121】
また、本工程において被転写体が2本の切れ込み部と重なるように配置される態様としては、図20(a)に例示するような2本の切れ込み部が共に被転写体の端部に重ならないように配置される態様と、図20(b)に例示するような1本の切れ込み部が被転写体の端部に重なるように配置される態様と、図20(c)に例示するような2本の切れ込み部が被転写体の端部に重なるように配置される態様とを挙げることができる。本工程においてはこれらのいずれの態様であっても好適に用いることができる。
【0122】
また、本工程に用いられる長尺体積ホログラム層転写箔において切れ込み部が、平行切れ込み部と組み合わされて形成されている場合、本工程においては当該平行切れ込み部とも重なるように被転写体が配置されることが好ましい。このような場合について図を参照しながら説明する。図21に例示するように、本工程に用いられる長尺体積ホログラム層転写箔10において切れ込み部4が、平行切れ込み部5と組み合わされて形成されている場合、本工程においては切れ込み部4のみではなく、上記平行切れ込み部5とも重なるように被転写体20が配置されることが好ましい。
【0123】
平行切れ込み部と被転写体とが重なるように配置される態様としては、被転写体の端部と平行切れ込み部とが重なるように配置される態様であってもよく、あるいは、被転写体の端部と平行切れ込み部とが重ならないように配置される態様であってもよい。
【0124】
2.加熱接着工程
次に、本発明に用いられる加熱接着工程について説明する。上述したように本工程は、長尺体積ホログラム層転写箔のヒートシール層上に被転写体が配置された状態で、少なくとも1辺が上記長尺体積ホログラム層転写箔に形成された切れ込み部と重なるような形状に、上記ヒートシール層を加熱することによって、上記ヒートシール層の加熱された領域と上記被転写体とを接着する工程である。なお、本工程における「ヒートシール層を加熱する」とは、本発明に用いられる長尺体積ホログラム層転写箔を加熱することも含むものとする。
【0125】
本工程においてヒートシール層が加熱される態様としては、少なくとも1辺が上記長尺体積ホログラム層転写箔に形成された切れ込み部と重なるような形状に加熱される態様であれば特に限定されるものではない。このような形状としては特に限定されるものではなく、本発明によって製造される体積ホログラム積層体の用途等に応じて、任意に決定することができる。このような形状としては、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形や楕円形等を挙げることができる。
【0126】
本工程においてヒートシール層が加熱される形状について図を参照しながら説明する。図22および図23は、本工程においてヒートシール層が加熱される態様の一例を示す概略図である。図22は1辺が切れ込み部と重なるような形状に加熱される態様の一例を示す概略図である。また、図23は2辺が切れ込み部と重なるような形状に加熱される態様の一例を示す概略図である。これらの図に例示するように、本工程においてヒートシール層3が加熱される形状(図22および図23においてAで示す領域の形状)としては、少なくとも1辺が切れ込み部4と重なるような形状であれば特に限定されるものではない。
【0127】
なお、本発明においては上記図23(c)に示すような角丸の多角形も上記「多角形」に含まれるものとする。
【0128】
本工程においてはこれらのいずれの形状であっても好適に用いることができるが、なかでも被転写体が2本の切れ込み部と重なるように配置されている場合においては、本工程において2辺が切れ込み部と重なるような形状に、上記ヒートシール層が加熱されることが好ましい。
【0129】
本工程においてヒートシール層を加熱する手段としては、所望の領域のみを所定の温度に過熱できる方法であれば特に限定されるものではない。このようは方法としては、加熱ローラーを用いる方法や、熱プレス、ホットスタンプ等を挙げることができる。本工程においてはこれらのいずれの加熱手段であっても好適に用いることができる。
【0130】
3.基材剥離工程
次に、本発明に用いられる基材剥離工程について説明する。上述したように本工程は、上記長尺体積ホログラム層転写箔の上記切れ込み部が形成された位置を始点として、上記被転写体と接着された領域上に配置されている上記長尺体積ホログラム層の基材を剥離する工程である。
【0131】
本工程において基材を剥離する方法としては、上記被転写体と接着された領域のみの基材を剥離することができる方法であれば特に限定されるものではない。通常は、長尺体積ホログラム層転写箔を被転写体から物理的に引き離すことによって剥離する方法が用いられる。本工程においては、被転写体と接着された領域の端部と切れ込み部が形成された位置とが一致していることから、このような方法で剥離する場合であっても、体積ホログラム層の破断不良が生じることなく、良好な転写を実施することができる。
【0132】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0133】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様は以下の実施例に限定されるものではない。
【0134】
1.実施例1
(第1積層体)
第1のフィルムとしてPETフィルム(ルミラーT60(50μm):東レ(株)製)を準備し、ホログラム形成材料として、下記組成からなる体積ホログラム記録材料を、乾燥膜厚7μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面に表面離型処理PETフィルム(「SP−PET」50μm、トーセロ(株)製)をラミネートし、第1積層体を作製した。
【0135】
<体積ホログラム記録材料の組成>
・バインダー樹脂(ポリメチルメタクリレート系樹脂(分子量200,000))
50重量部
・3,9−ジエチル−3’−カルボキシルメチル−2,2’−チアカルボシアニン沃素塩 0.5重量部
・ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート 6重量部
・2,2−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン
80重量部
・1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル 80重量部
・フッ素系微粒子 8重量部
・溶剤(メチルイソブチルケトン/n−ブタノール=1/1(重量比)
200重量部
【0136】
(基材/保護層の第2積層体)
第2のフィルムとしてPETフィルム(ルミラーT60(50μm):東レ(株)製)を準備し、保護層として、下記組成からなる材料を、乾燥膜厚1μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
【0137】
<保護層形成用材料の組成>
・ポリメチルメタクリレート樹脂(分子量;35000) 97重量部
・ポリエチレンワックス(分子量;10000、平均粒径;5μm)
3重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比))
400重量部
【0138】
(体積ホログラムの記録)
第1のフィルム/体積ホログラム記録用材料の層/表面離型処理PETフィルムの積層体に波長;532nmのレーザー光を用いてリップマンホログラムを撮影し記録した。記録後、この積層体を100℃の雰囲気中で10分間加熱し、加熱後表面離型処理済PETフィルムを剥離して露出させた体積ホログラム記録用材料の層に、第2のフィルム/保護層の積層体の保護層側が接するようにして重ね、ニップした80℃の熱ローラー対の間を通過させて、第1のフィルム/体積ホログラム層/保護層/第2のフィルムの積層体を得た後、高圧水銀灯を用いて、全面に照射線量;2500mJ/cm2の紫外線を照射して、体積ホログラム記録用材料の層の定着を行った。
【0139】
(ヒートシール層の塗工)
上記で作製した第1のフィルム/体積ホログラム層/保護層/第2のフィルムの第1のフィルムを剥離し体積ホログラム層上に下記組成からなる材料を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
【0140】
<ヒートシール層形成用材料の組成>
・ポリエステル樹脂(バイロン550 TOYOBO製 Tg:−15℃ 分子量28000) 20重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)) 80重量部
【0141】
(切れ込み部の作製)
上記によって作製したホログラム転写箔のヒートシール面から抜き加工機(OPM−HL300−S 恩田製作所製)を用いフィルムの長尺方向に対して垂直方向全体に垂直切れ込みを入れた。垂直切れ込みの形態として、(1)フィルムの長尺方向に対して垂直方向全体に1本の切れ込み、(2)フィルムの長尺方向に対して垂直方向全体に0.3mm間隔で5本の切れ込み、(3)フィルムの長尺方向に対して垂直方向全体の1.5mm間に多数の破断した切れ込み、を入れたものを作製した。また、(4)5cmの正方形の切れ込みを入れたものを作製した。
【0142】
(熱転写)
上記(1)から(3)の切れ込みを入れた体積ホログラム転写箔について、カード製造用の市販の熱ラミネーターを用い、転写温度150℃、転写スピード1m/minで転写評価を行った。(1)はカード端と転写箔の切れ込み位置を重ねると切れ込み位置から転写箔が破断し、カードへ全面転写することができた。(2)(3)は切れ込みのある区間にカード端を重ねることで転写箔が破断し、カードへ全面転写することができた。上記(4)についてホットスタンプ機を用い転写温度150℃、圧力0.8MPaで塩化ビニルカードへ転写評価を行った。5cmの正方形の押し型を使用し、転写箔の切れ込み内をホットスタンプするときれいに5cmの正方形上に転写することが出来た。
【0143】
2.実施例2
ヒートシール層の塗工までは、実施例1と同様に作製し、ホログラム転写箔を作製した。
【0144】
(切れ込み部および偽造防止切れ込み部前駆体の作製)
上記によって作製したホログラム転写箔のヒートシール面から抜き加工機(OPM−HL300−S 恩田製作所製)を用いフィルムの長尺方向に対して垂直方向の一部に垂直切れ込みを入れた。垂直切れ込みの形態として、(1)フィルムの長尺方向に対して垂直方向に、全幅の両端から5mmを除いて、0.3mm間隔で5本の切れ込み、(2)(1)と同様の切れ込み部を施し、上記切れ込み部と同様の方法で、偽造防止切れ込み部前駆体を作製した。偽造防止切れ込み部前駆体の形態として、フィルムの長尺方向に対して垂直方向に、全幅の両端か5mmを除いて、切れ込み部から転写方向に15mmの位置に、1本の切れ込みを作製した。
【0145】
(熱転写)
上記(1)および(2)の切れ込みを入れた体積ホログラム転写箔について、カード製造用の市販の熱ラミネーターを用い、転写温度150℃、転写スピード1m/minで転写評価を行った。(1)はカード端と転写箔の切れ込み位置を重ねると切れ込み位置から転写箔が破断し、カードへ全面転写することができた。さらに、複線状の切れ込み部のうちの一部が、カードへ転写され、偽造防止切れ込み部となることが確認された。(2)も(1)と同様に、カード端と転写箔の切れ込み位置を重ねると切れ込み位置から転写箔が破断し、カードへ全面転写することができた。また、偽造防止切れ込み部前駆体がカードへ転写され、偽造防止切れ込み部となることが確認された。
【0146】
2.比較例
切れ込み部を形成しなかったこと以外は、実施例と同様の方法により、体積ホログラム転写箔を作製した。
【0147】
作製した体積ホログラム転写箔について、用紙転写用の市販の熱ラミネーターを用い、転写温度150℃、転写スピード1m/minで転写評価を行った。その結果、転写箔と用紙は接着したが、その後、転写箔が基材から剥がれず用紙と共に搬送されてしまい、プリンター内に詰まった。
また、ホットスタンプ機で転写温度150℃、圧力0.8MPaで塩化ビニルカードへ転写評価を行った。1cmの正方形の押し型を使用してホットスタンプを行ったところ、転写箔はカードへ転写したが、約1mmの転写箔のバリが発生し1cmの正方形状にきれいに転写することは出来なかった。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の一例を示す概略図である。
【図2】切れ込み部が形成されている態様の一例を示す概略図である。
【図3】切れ込み部が複線状に形成されていることの利点を説明する概略図である。
【図4】切れ込み部が点線の複線状に形成されていることの利点を説明する概略図である。
【図5】切れ込み部が形成されている態様の他の例を示す概略図である。
【図6】切れ込み部が形成されている態様の他の例を示す概略図である。
【図7】本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【図8】偽造防止切れ込み部前駆体が形成されている態様の一例を示す概略図である。
【図9】偽造防止切れ込み部前駆体が形成されている態様の他の例を示す概略図である。
【図10】偽造防止切れ込み部前駆体が形成されている態様の他の例を示す概略図である。
【図11】偽造防止切れ込み部前駆体が形成されている態様の他の例を示す概略図である。
【図12】本発明の体積ホログラム積層体の一例を示す概略断面図である。
【図13】本発明の体積ホログラム積層体の他の例を示す概略断面図である。
【図14】本発明の長尺体積ホログラム層転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【図15】本発明の体積ホログラム積層体の他の例を示す概略図である。
【図16】本発明に用いられる被転写体および本発明の体積ホログラム積層体の具体例を示す概略図である。
【図17】本発明の体積ホログラム積層体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図18】本発明における加熱接着工程の一例を示す概略図である。
【図19】本発明における被転写体配置工程の一例を示す概略図である。
【図20】本発明における被転写体配置工程の他の例を示す概略図である。
【図21】本発明における被転写体配置工程の他の例を示す概略図である。
【図22】本発明における加熱接着工程の一例を示す概略図である。
【図23】本発明における加熱接着工程の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0149】
1 … 基材
2 … 体積ホログラム層
3 … ヒートシール層
4 … 切れ込み部
5 … 平行切れ込み部
6 … 剥離性保護層
7 … 偽造防止切れ込み部前駆体
8 … 偽造防止切れ込み部
10,10’ … 長尺体積ホログラム層転写箔
20 … 被転写体
30,30’,30’’ … 体積ホログラム積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に形成され、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、前記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、を有し、長尺状に形成された長尺体積ホログラム層転写箔であって、
長手方向に対して垂直方向の全幅の少なくとも一部に、前記ヒートシール層を貫通し、かつ、前記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された切れ込み部を有することを特徴とする、長尺体積ホログラム層転写箔。
【請求項2】
前記切れ込み部が、長手方向に対して垂直方向の全幅に渡って形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の長尺体積ホログラム層転写箔。
【請求項3】
前記切れ込み部が、複線状に形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の長尺体積ホログラム層転写箔。
【請求項4】
前記切れ込み部が点線状に形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の長尺体積ホログラム層転写箔。
【請求項5】
前記体積ホログラム層と前記基材との間に剥離性保護層が形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の長尺体積ホログラム層転写箔。
【請求項6】
被転写体側に転写される部分である転写部の一部に、前記ヒートシール層を貫通し、かつ、前記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された偽造防止切れ込み部前駆体を有することを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の長尺体積ホログラム層転写箔。
【請求項7】
被転写体と、前記被転写体上に形成されたヒートシール層と、前記ヒートシール層上に形成された体積ホログラム層と、を有する体積ホログラム積層体であって、前記ヒートシール層を貫通し、かつ、前記体積ホログラム層の少なくとも一部が切断されるように形成された偽造防止切れ込み部を有することを特徴とする、体積ホログラム積層体。
【請求項8】
請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の長尺体積ホログラム層転写箔を用い、前記長尺体積ホログラム層転写箔のヒートシール層上に被転写体を、前記長尺体積ホログラム層転写箔に形成された切れ込み部と重なるように配置する被転写体配置工程と、
少なくとも1辺が前記切れ込み部と重なるような形状に、前記ヒートシール層を加熱することによって、前記ヒートシール層の加熱された領域と前記被転写体とを接着する加熱接着工程と、
前記長尺体積ホログラム層転写箔の前記切れ込み部が形成された位置を始点として、前記被転写体と接着された領域上に配置されている前記長尺体積ホログラム層転写箔の基材を剥離する基材剥離工程と、を有することを特徴とする、体積ホログラム積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−9105(P2009−9105A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123713(P2008−123713)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】