説明

長手方向フィルム延伸装置

本装置(2)は、フィルム(5)がその上を通過すると共にプレス胴(13,21,26)と関連付けられた四つの延伸胴(6,7,8,9)を具備する。この四つの延伸胴(6,7,8,9)は、固定された回転軸(10)を有する第1の延伸胴(6)と、これに対してオフセットした固定された回転軸(12)を有する第2の延伸胴(7)と、そのポジションが調整可能である第3の延伸胴(8)と、固定された回転軸(25)を有する第4の延伸胴(9)を具備してなる。上記胴(6A9)は、第2の胴(7)と第3の胴(8)との間に第1の延伸ステージが形成され、これによって延伸胴距離(D)が好ましくは調整可能であり、かつ第3の胴(8)と第4の胴(9)との間に第2の延伸ステージが形成されるよう異なる速度で回転駆動される。本発明は合成フィルムの長手方向延伸に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成フィルム用の長手方向延伸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において使用される長手方向フィルム延伸装置は、(延伸されることになるフィルムの走行方向に関して)上流から下流に向かって以下のものを具備する。
・予熱ロールの群。その数および直径は、延伸されることになるフィルムが作られる材料に従い、このフィルムの厚みに従い、そして所望の生産速度に従って設定される。
・一連の胴を具備してなる延伸ユニット。増大していく、異なる速度で駆動される連続した胴間でフィルムを延伸するために、第1の胴は比較的低速で駆動され、そして次の胴はより高速で駆動される。
・熱安定化ユニット。このユニットの機能は、フィルムのその後の横方向延伸の前にこのフィルムの熱膨張および安定化を可能にすることである。
【0003】
上記タイプの長手方向延伸装置においては、予熱ロールおよび延伸胴、そして熱安定化ユニットのロールは、従来方式でボイラーからの熱流体の循環によって、ある温度に維持される。この高温オイルは、ロータリーシール型の装置によって上記ロールまたは胴の二重ジャケット内に導入される。
【0004】
さらに実際的には、そして本発明の対象により適した方法においては、上記胴はまた、「ヒートパイプ」型の装置の、すなわちその熱力学的特性が装置の作動温度の範囲内で気相および液相を示すように選ばれた流体で部分的に満たされた密閉真空気密チャンバーの、各胴の二重ジャケット内における存在によって温度調整されてもよい。
【0005】
上記胴内部への熱の供給はここでは抵抗電熱素子によって、放熱によってまたは熱風の循環によって実施され、その際、必要な熱エネルギーは、「ヒートパイプ」タイプの囲いを経て、それが含む液体のほとんど完全な蒸発によって、フィルムに伝達される。生成される蒸気は胴の低温部で凝縮して、胴を均一温度に保ち、そして加熱手段とフィルムとの間で熱を迅速に伝達する。
【0006】
上記装置には、エネルギーを節約し、良好な熱交換率を有し、そして良好に温度調整できるという利点があるだけでなく、またロータローシールのような装置を排除できるという利点を有する。このロータローシールは、それに固有のメンテナンスの問題は別にして、特に高速装置の場合には、まさにその構造によって、胴に対してかなりの減速トルクを作用させるという不具合がある。胴のジャーナル内でオイルが循環するのを可能とするため、これらのジャーナルは十分に大きなものでなければならず、これによって結果的に大きなサイズの転がり軸受が必要となり、この大きなサイズの転がり軸受それ自体が、かなりの抵抗トルクを作用させる、という事実によって、上記減速トルク作用は増大させられる。
【0007】
機械の主要部(これは延伸ユニットである)に関して、最も一般的に使用されている装置は、たとえば、独国特許第19622085号(BRUCKNER)または対応欧州特許第0 907 495号に、またはこれに代えて英国特許第1 174 313号に開示されるような、二重延伸ステージ装置と呼ばれるものである。二重延伸ステージは、長手方向延伸を受ける合成フィルムは同時に横方向に収縮しなければならないという自然な傾向によって必要になる。
【0008】
この横方向に収縮する傾向は、どうしても回避されなければならない。なぜなら、フィルムの横方向の収縮は、長手方向に延伸されている間、分子鎖の方向の均等性(素材の等方性)を乱すだけでなく、フィルム縁部の厚みの増大につながるという不都合がある。これは、フィルムの厚み断面を崩壊させると共に廃棄物量を著しく増大させる。なぜなら、その縁部(これは横方向延伸のために使用されるグリッパーによる把持領域としてその後に使用されることになる)は横方向延伸ステージの後に切り離して捨てる必要があるからである。
【0009】
横方向に収縮するこの現象を低減するため、フィルムの長手方向延伸は好ましくは二つの胴の間で異なる速度にてなされ、その間の接線距離は可能な限り短くなっている。こうした状況下での胴(その温度は適切な値に維持される)に対するフィルムの付着によって、フィルムが、横方向に収縮するその自然な傾向に対して屈するのが阻止される。このよく知られた構造は、フィルムが二つの胴間で異なる速度にて長手方向に延伸されることを可能にし、しかも低い生産速度に関して効果的に使用できる。
【0010】
対照的に、生産速度が、したがって延伸が速くなるとき(これは最新の機械でよく行われる)、二つの胴間の接線距離が維持されるという事実は、この短い距離にわたって、フィルムが受ける加速度(この加速度はすぐに延伸材料が耐えられる加速度を超える)を増大させる結果をもたらし、したがってフィルムの損傷につながる。この損傷を避けるため、二つの胴間の接線距離を増大させることができる。だが、これは直ちに望ましくない横方向収縮効果に帰着する。
【0011】
この不具合を軽減するため、既に説明したような二重延伸ステージ装置が提案されている。この装置では、延伸全体は、それぞれ延伸胴同士の間の可能な限り最短の接線距離を有する、二つの連続する延伸ステージへと分割される。ゆえに横方向の収縮が回避される。
【0012】
つまり、単一の延伸ステージでは過大な加速度につながるであろう全体的延伸比率は、二つのステージ間で分割され、それによって加速度が低減される。しかも、この際、フィルムが少しでも横方向に収縮する可能性はない。
【0013】
これが、いわゆる二重延伸ステージ装置が製造業で一般的に使用される理由である。この装置は概して一列になった六つの胴を有する。
【0014】
六つの胴を使用する必要性は次の事実に由来する。短い接線延伸距離を維持するために延伸胴の直径を小さくすることが必要であり、これは結果的にフィルムと各胴の表面との間の接触面積を小さくする。フィルムが延伸力の結果として延伸胴の上でスリップするのを抑止するのに十分なほど高くあるには、フィルムと胴との間の摩擦がこの領域では不十分なものとなるとき、先の胴と同期する第2の胴を設けることが必要となる。この第2の胴の目的は、延伸の前または後で、スリップを伴わずにフィルムを保持することである。
【0015】
生産速度が速くなったときに生じるさらなる問題は、次の事実に由来する。フィルムと胴の表面との間に、フィルムによって捕らえられる空気は、フィルムを胴の表面から分離させるエアクッションを形成するが、これによって延伸力に対するその抵抗が減殺される。その場合、フィルムは長手方向および横方向の両方に浮遊し始めるが、これは、延伸異常が長手方向に生じることを意味する。
【0016】
このエアクッションの生成を回避するため、プレス胴を配することが必要であるが、このプレス胴は、延伸胴の現在の直列配置においては不都合なことに、空気が侵入するポイントに配置できない。
【0017】
一列になった六つの胴を備えた、二重ステージ装置の他の不具合は、以下のような事実に見出される。各延伸胴そしてさらに付随する各プレス胴はフィルム表面を損傷しがちである。これは、現在要求されているパッケージングフィルムがますます繊細な表面(低い密封限界を有するかあるいはいわゆるバリア素材が存在する)を有することを考慮した場合、ますます不利である。これに対して、同時に、フィルム表面を欠陥のないものとすることに関する要求はますます厳しくなっている。
【0018】
最後に、胴の数を増やすことは(それが延伸胴またはプレス胴のいずれであっても)、これら胴およびその駆動装置の総体的コストを増大させる、ということは全く明白である。
【0019】
全く明白なことに、これらの不都合は、非常に多くの胴を含む複数の延伸ステージを有する、別な公知の延伸システム(たとえば仏国特許第1 450 585号およびオーストリア国特許第305609号参照)の場合にはさらに悪化する。
【特許文献1】独国特許第19622085号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 907 495号明細書
【特許文献3】英国特許第1 174 313号明細書
【特許文献4】仏国特許第1 450 585号明細書
【特許文献5】オーストリア国特許第305609号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上記不都合の全てを回避しようとするものであり、それゆえその目的は合成フィルムの高速度長手方向延伸を可能にするが、可能な限り延伸胴の数を削減すると共に、プレス胴の好適な幾何学的レイアウトによってエアクッションの生成を回避する、二つの延伸ステージを備えた装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的のため、本発明の対象である長手方向延伸装置は、二重延伸ステージ装置様式のものであって、延伸胴およびプレス要素、特に延伸胴と関係付けられたプレス胴を有し、装置は、延伸されるフィルムがその上を連続的に通過する四つの延伸胴を具備し、第1の延伸胴は特に回転軸が固定されたものであり、第2の延伸胴はその回転軸が第1の延伸胴の回転軸に対して前方および垂直方向にオフセットしており、第3の延伸胴はその回転軸が第2の延伸胴の回転軸に対して前方および垂直方向にオフセットしており、第4の延伸胴はその回転軸が第3の延伸胴の回転軸に対して前方および垂直方向にオフセットしており、装置はさらに、第2の胴と第3の胴との間に第1の延伸ステージを形成すると共に、第3の胴と第4の胴との間に第2の延伸ステージを形成するよう、延伸胴の全てまたはいくつかを、異なる速度で回転駆動させるための動力化された手段を具備し、こうしてフィルムの延伸が第3の胴の両側で生じる。
【0022】
ゆえに本発明は、(公知の装置に存在したような六つの胴ではなく)四つの延伸胴の群のみによって特徴付けられた長手方向フィルム延伸装置を提供する。この装置は、以下で詳述するように、フィルムの二重延伸を可能にしかつプレス胴または他のプレス要素の全ての最適な位置決めを可能にする、上記四つの胴からなる構成を備える。
【0023】
本発明の対象である長手方向延伸装置の好ましい実施形態において、第1の延伸胴および第2の延伸胴は固定されたそれぞれの回転軸を有し、一方、第3の延伸胴は、第1の延伸ステージにおいて延伸距離を調整するために位置調整可能な回転軸を有する。この目的のため、有利なことには、第3の延伸胴は可動カップリング上に設けられており、特にこれはドライブのフレームに対して連結されており、少なくとも一つのラムのような、可動カップリングを動かすための動力化された手段が、第1の延伸ステージにおいて延伸距離を調整するために設けられる。
【0024】
プレス胴のようなプレス要素が、少なくとも第2の延伸胴、第3の延伸胴および第4の延伸胴と関係付けられる場合、好ましくはここで、第3の延伸胴と関係付けられたプレス要素が、その調整動作にこの第3の延伸胴を随伴させるため上記可動カップリングによって支持されるよう構成される。
【0025】
第4の延伸胴に関して、これは、特に第2の延伸胴の回転軸と同じ高さに配置されたとき、固定回転軸を有してもよい。
【0026】
変形例に関して、第4の延伸胴は(第3のものと同様)、第3の胴と第4の胴とによって形成される第2のステージにおいて延伸距離を調整するためにも、たとえば他の可動カップリング上に設けられた位置調整可能な回転軸を有する。
【0027】
前記動力化された回転駆動手段は第1の延伸胴および第2の延伸胴を、同期的に、あるいは概ね同期的に、すなわち第2の胴をわずかに高い速度で駆動するよう設計される。これはフィルムのよりよい付着を可能とするためである。
【0028】
これら動力化された回転駆動手段は装置の四つの延伸胴を積極的に駆動してもよく、第3の延伸胴は第2の延伸胴の速度よりも高い速度で駆動されると共に第1の延伸ステージにおける延伸比率を規定し、かつ第4の延伸胴は第3の延伸胴の速度よりも高い速度で駆動されると共に第2の延伸ステージにおける延伸比率を規定する。
【0029】
一つの変形例では、動力化された回転駆動手段は第1の延伸胴、第2の延伸胴および第4の延伸胴のみを積極的に回転させるよう設計され、一方、第3の延伸胴は、第2の胴の速度と第4の胴の速度との間の速度でフィルムによって駆動されて回転する。
【0030】
プレス要素は全て、フィルムの接点において、あるいはこれら接点の近傍で、関係付けられた延伸胴に対して圧着させられるプレス胴からなっていてもよい。
【0031】
だが、動力化された回転駆動手段によって積極的に駆動されない第3の延伸胴の場合に特に適用される、ある変形例では、この第3の延伸胴と関係付けられたプレス要素が、好ましくはベルト型の静電式近接圧着システムからなるよう構成される。
【発明の効果】
【0032】
全体として、本発明の対象である 長手方向フィルム延伸装置は次の利点を有する。すなわち、本装置はフィルムの二重延伸を可能にするが、これは(現在の装置における六つの胴の代わりに)計四つの延伸胴でそれ自体満足に機能し、そしてこれによって、胴自体の配列およびそれを回転させるための手段の両方に関して、より簡単で、よりコンパクトで、より経済的な実施形態が得られる。
【0033】
延伸胴の特定の配列は、プレス胴の最適な位置決めを可能にする。特に、第2の延伸胴と関連付けられたプレス胴の位置決めは、不要なエアクッションの生成を回避する。第3の延伸胴が可動ギアの上に設けられる場合、同一の可動ギア上に関連付けられたプレス胴を取り付けることによって、このプレス胴が、第3のプレス胴の動きに「随伴」することが可能となる。これによって、上記プレス胴は、第1の延伸ステージに関して選ばれた延伸距離には関係なく、理想ポイントに配置されたままとなる。
【0034】
本発明に係る装置の他の利点は、それが非常に少数の胴を含むという単なる事実を別にして、延伸が、一つであってかつ同じ中間胴、すなわち第3の胴の両側でなされるという事実に由来する。ゆえに、驚いたことに、延伸の二つの段階はより高いフィルム張力を伴って実施される。これは、フィルムの横方向の位置安定性が非常に高いことを意味する。なぜならフィルムには、従来型延伸装置においてそうであるように、右から左へ、そして左から右へと交互に数センチメーターほど「浮動」する傾向がないからである。この「浮動」の排除は、その長手方向縁部を介してフィルムを把持するグリッパーを具備する装置によって(長手方向に延伸されてしまった)フィルムが横方向に延伸される必要がある機械の場合には極めて重要である。
【0035】
本発明の対象である装置は、第1の延伸ステージにおいて、およびことによると第2の延伸ステージにおいても、延伸距離を簡単に調整する可能性を提供する。
【0036】
本装置のさらなる利点は、延伸距離の調整が直線動作によってではなく、回動軸を中心とする可動ギアの回動によってなされ、可動ギアはラム、特に空気圧ラムによって回動させられるという事実に由来する。これによって、高速延伸中にフィルムが破断した場合の重要な安全要因を導入することが可能になる。
【0037】
そうした損傷が起きた場合に生じるのは、既に高温であるフィルムは胴に張り付く傾向を示しかつ胴の上に巻き付いて連続層になるということである。従来の直線型変位機械において、これは極めて急速に延伸胴の損傷につながることがある。対照的に、本発明の対象である装置においては、空気圧式ラムに上記張力を徐々に緩和するような特性を持たせることができ、延伸胴周りへのフィルムの不慮の巻き付きの結果として上記張力が過大になった場合、これによって機械を損傷のリスクから保護する。
【0038】
本発明は、例としてこの長手方向フィルム延伸装置の一実施形態を示す添付概略図を参照し、以下の説明を助けとしてより良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
各図において長手方向延伸装置は参照数字2によってその全体が指し示されている。この長手方向延伸装置2は予熱ロール3のセット(このセットは上流に配置される)と、下流に配置される熱安定化ユニット4との間に配置される。上流および下流の概念は、延伸されるフィルム5の走行方向(矢印で示す)に関連して使用される。
【0040】
長手方向延伸装置2自体は、上流から下流へと、四つの延伸胴6,7,8,9を具備し、プレス胴が以下で詳述するようにこれらの胴と関連付けられる。
【0041】
第1の延伸胴6は位置固定された回転軸10を有する胴であり、装置2のフレーム11に直接取り付けられている。この第1の胴6は、フィルム5と胴6との間の接点に圧着されるプレス胴(図示せず)を選択的に備える。
【0042】
第2の延伸胴7もまた位置固定された回転軸12を有する胴であり、装置2のフレーム11に直接取り付けられている。この第2の胴7の回転軸12は、第1の胴6の回転軸10に対して、前方およびさらに下方にオフセットしている。
【0043】
プレス胴13が第2の延伸胴7と関連付けられている。これは、その接触点が、フィルム5と第2の延伸胴7との間の接点に正確に位置するように位置合わせがされている。これは、エアクッションが上記ポイントに生じるのを防止するためである。プレス胴13はサポート14に取り付けられ、サポート14自体は、回動軸15を中心として回動するようフレーム11に取り付けられている。少なくとも一つのラム16(これはフレーム11とサポート14との間に配置されている)はこのサポート14の回動を制御し、これによってプレス胴13は第2の延伸胴7に近接するようあるいはさらにそれから離れるよう移動させられる。
【0044】
第1の二つの延伸胴6および7は、専用モーターすなわち伝動シャフトを備えたユニット型の減速機付きモーターからなる動力化された手段(図示せず)によって同期的にあるいは概ね同期的に回転駆動される。二つの胴6および7の間の僅かな速度差によって、上記胴に対してフィルム5がより良く密着することが可能になる、ということに留意されたい。
【0045】
第3の延伸胴8は、第2の延伸胴8の回転軸12の前方であってかつその上方に配置されたそれ自身の回転軸17を有する。この第3の胴9は、フレーム11上の回動軸19を中心として連結された可動カップリング18に取り付けられている。少なくとも一つのラム20(これはフレーム11と可動カップリング18との間に設けられている)は、第2の延伸胴7の回転軸12と第3の延伸胴8の回転軸17との間の距離を調整するために、したがって協同で二つの胴7および8(これは共同で第1の延伸ステージを形成する)間の延伸距離を調整するために、可動カップリング18を、その連結回動軸19を中心として回動させる。
【0046】
プレス胴21は第3の延伸胴8と関連付けられている。プレス胴21は、それ自体が回転軸23を中心として回転するよう可動カップリング18に取り付けられたサポート22に取り付けられている。少なくとも一つのラム24(これは可動カップリング18とサポート22との間に設けられている)は、プレス胴21をそれが第3の延伸胴8に近接するようあるいはさらにそれから離れるよう移動させるために、このサポート22を回動させる。
【0047】
ゆえに、プレス胴21は、可動カップリング18の調整された位置に関係なく、すなわち言い換えれば二つの胴7および8間の延伸距離に関係なく、第2の延伸胴7からやって来るフィルム5の接点上で正確にあるいはそれに極めて近接して第3の延伸胴8の上で保持される。
【0048】
第3の延伸胴8は、図示しない動力化された手段によって、第2の延伸胴7の速度よりも高く、しかも第1の延伸ステージに関して所望の長手方向延伸比率が得られるよう選定された速度で回転駆動される。
【0049】
図示の例では、第4の延伸胴9は位置固定された回転軸25を有する胴であり、装置2のフレーム11に直接取り付けられている。この第4の延伸胴9の回転軸25は、第3の胴の回転軸17に対して前方にそしてまた下方にオフセットしている。すなわち、ここでは、第4の胴9の回転軸25は、第2の胴7の回転軸12と同じ高さに存在する。
【0050】
プレス胴26は第4の延伸胴8と関連付けられているが、その接触点がまたフィルム5と第4の延伸胴9との間の接点に正確に一致するように位置合わせがなされている。プレス胴26は、それ自体が回転軸28を中心として回転するようフレーム11に取り付けられたサポート27に配置されている。少なくとも一つのラム29(これはフレーム11とサポート27との間に設けられる)は、プレス胴26をそれが第4の延伸胴9に近接するようあるいはさらにそれから離れるよう移動させるために、このサポート27の回動を制御する。
【0051】
この第4の(そして最後の)延伸胴9は、図示しない動力化された手段によって、第3の延伸胴8の速度よりも高く、しかも第2の延伸ステージ(ここでは最後の二つの胴8および9によって形成される)に関して所望の長手方向延伸比率が得られるよう選定された速度で回転駆動される。
【0052】
ゆえに、全体として、図示の長手方向延伸装置2は、二つの胴7および8からなる第1の延伸ステージと、二つの胴8および9からなる第2の延伸ステージとを具備してなる。
【0053】
この長手方向延伸装置2を使用するには、延伸されるフィルム5(これは予熱ロール3の群からやって来る)は、熱安定化ユニット4(ここでは本発明には含まれない他のプレス胴30および31が作動状態となる)に達する前に、第1の延伸胴6の上を、第2の延伸胴7の下を、第3の延伸胴8の上を、そして第4の延伸胴9の下を通過する。ラム16,24および29の作動によって、プレス胴13,21および26は、最初にフィルム5を装置2に供給することが可能となるよう、対応する延伸胴7,8および9から離れるよう移動できる。
【0054】
図1は、可動カップリング18がその降下ポジション(ラム20のロッドは引き込まれている)をとる運転ポジションにある長手方向延伸装置2を示しており、これによって第3の延伸胴8はその降下ポジションに配置されている。このために、(第1の延伸ステージにおける)延伸距離は最小であり、この距離の最小値はdで示される。
【0055】
対照的に、図2は、可動カップリング18がその上昇ポジション(ラム20のロッドは突出している)をとる運転ポジションにある長手方向延伸装置2を示しており、これによって第3の延伸胴8はその上昇ポジションに配置されている。このために、(第1の延伸ステージにおける)延伸距離は最大であり、この距離の最大値はDで示される。
【0056】
以下のものは、添付図面にて説明される本発明の範囲からの逸脱をなすものではない。
・上記手段と均等な手段を使用した場合。これは特に、第3の延伸胴8を支持する可動カップリング18の移動および位置決めのための手段に関し、それは空気圧式または液圧式ラムから、あるいは電動ネジジャッキから、あるいは位置調整モーターその他からなっていてもよい。ここで重要な特徴は、第2の延伸胴7と第3の延伸胴8との間の距離を、したがって第1の延伸ステージにおける延伸距離の調整である。
・ここでもまた第2の延伸ステージにおける延伸距離を調整できるようにするため、第4の延伸胴9および関係付けられたプレス胴26の取付けが固定ではなく、可動カップリング上に設けられた場合。
・四つの延伸胴6,7,8および9の全ての動力化された回転駆動部の代わりに、第1の胴6、第2の胴7および第4の胴9のみが動力化される場合。この場合、第3の胴8はその上を通過するフィルムによって回転駆動されることになる。その速度は、自動的に延伸を受けるフィルム5の速度に適合するようなり、そして上記第3の胴8はその存在によりフィルム5の横方向の収縮を防止する。この変形例において、抵抗トルクを付与するための「ヒートパイプ」型の胴の使用は特に有益である。
・特に後の変形例において、第3の延伸胴8と関係付けられたプレス胴21が、好ましくはベルト型の静電式近接圧着システムによって置き換えられる場合。これは、胴8にさらなる減速トルクを加えることなく、フィルム5を非駆動延伸胴8の上で幅方向にブロックすることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明による長手方向延伸装置を、第1のポジションにおいて示す側面図である。
【図2】図1に類似の側面図であるが、長手方向延伸装置の第2のポジションを示している。
【符号の説明】
【0058】
2 長手方向延伸装置
3 予熱ロール
4 熱安定化ユニット
5 フィルム
6〜9 延伸胴
10 回転軸
11 フレーム
12 回転軸
13 プレス胴
14 サポート
15 回動軸
16 ラム
17 回転軸
18 可動カップリング
19 回動軸
20 ラム
21 プレス胴
22 サポート
23 回転軸
24 ラム
25 回転軸
26 プレス胴
27 サポート
28 回転軸
29 ラム
30,31 プレス胴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重延伸ステージ装置様式の、合成フィルム用の長手方向延伸装置であって、
延伸胴およびプレス要素、特に前記延伸胴と関係付けられたプレス胴を有し、
装置は、延伸される前記フィルム(5)がその上を連続的に通過する四つの延伸胴(6,7,8,9)を具備し、第1の延伸胴(6)は特に回転軸(10)が固定されたものであり、第2の延伸胴(7)はその回転軸(12)が前記第1の延伸胴(6)の回転軸(10)に対して前方および垂直方向にオフセットしており、第3の延伸胴(8)はその回転軸(17)が前記第2の延伸胴(7)の回転軸(10)に対して前方および垂直方向にオフセットしており、第4の延伸胴(9)はその回転軸(25)が前記第3の延伸胴(8)の回転軸(17)に対して前方および垂直方向にオフセットしており、
装置(2)はさらに、前記第2の胴(7)と前記第3の胴(8)との間に第1の延伸ステージを形成すると共に、前記第3の胴(8)と前記第4の胴(9)との間に第2の延伸ステージを形成するよう、前記延伸胴(6,7,8,9)の全てまたはいくつかを、異なる速度で回転駆動させるための動力化された手段を具備し、前記フィルム(5)の延伸が、こうして前記第3の胴(8)の両側で生じることを特徴とする長手方向延伸装置。
【請求項2】
前記第1の延伸胴(6)および前記第2の延伸胴(7)は固定されたそれぞれの回転軸(10,12)を有し、前記第3の延伸胴(8)は、前記第2の延伸胴(7)と前記第3の延伸胴(8)との間に形成される第1の延伸ステージにおいて延伸距離(d,D)を調整するために位置調整可能な回転軸(17)を有することを特徴とする請求項1に記載の長手方向延伸装置。
【請求項3】
前記第3の延伸胴(8)は可動カップリング(18)上に設けられており、特に前記可動カップリング(18)は前記装置(2)のフレーム(11)に対して(19において)連結されており、少なくとも一つのラム(20)のような、前記可動カップリング(18)を動かすための動力化された手段が、前記第1の延伸ステージにおいて前記延伸距離(d、D)を調整するために設けられていることを特徴とする請求項2に記載の長手方向延伸装置。
【請求項4】
プレス胴(13,21,26)のようなプレス要素が、少なくとも前記第2の延伸胴(7)、前記第3の延伸胴(8)および前記第4の延伸胴(9)と関係付けられており、前記第3の延伸胴(8)と関係付けられた前記プレス要素(21)は、その調整動作にこの第3の延伸胴(8)が随伴するように、前記可動カップリング(18)によって支持されていることを特徴とする請求項3に記載の長手方向延伸装置。
【請求項5】
前記第4の延伸胴(9)は、特に前記第2の延伸胴(7)の前記回転軸(12)と同じ高さに配置された場合、固定回転軸(25)を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の長手方向延伸装置。
【請求項6】
前記第4の延伸胴(9)は、前記第3の胴(8)と前記第4の胴(9)とによって形成される前記第2の延伸ステージにおいて延伸距離を調整するため、たとえば可動カップリング上に設けられた位置調整可能な回転軸(25)を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の長手方向延伸装置。
【請求項7】
前記動力化された回転駆動手段は前記第1の延伸胴(6)および前記第2の延伸胴(7)を、同期的に、あるいは概ね同期的に、すなわち前記第2の胴(7)をわずかに高い速度で駆動するよう設計されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の長手方向延伸装置。
【請求項8】
前記動力化された回転駆動手段は四つの前記延伸胴(6,7,8,9)を積極的に駆動するよう設計され、前記第3の延伸胴(8)は前記第2の胴(7)の速度よりも高い速度で駆動されると共に前記第1の延伸ステージにおいて延伸比率を規定し、かつ前記第4の延伸胴(9)は前記第3の延伸胴(8)の速度よりも高い速度で駆動されると共に前記第2の延伸ステージにおいて延伸比率を規定することを特徴とする請求項7に記載の長手方向延伸装置。
【請求項9】
前記動力化された回転駆動手段は前記第1の延伸胴(6)、前記第2の延伸胴(7)および前記第4の延伸胴(9)のみを積極的に回転させるよう設計され、一方、前記第3の延伸胴(8)は、前記第2の胴(7)の速度と前記第4の胴(8)の速度との間の速度で前記フィルム(5)によって駆動されて回転することを特徴とする請求項7に記載の長手方向延伸装置。
【請求項10】
前記プレス要素は全て、前記フィルム(5)の接点において、あるいはこれら接点の近傍で、前記関係付けられた延伸胴(7,8,9)に対して押圧されるプレス胴(13,21,26)からなることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の長手方向延伸装置。
【請求項11】
前記第3の延伸胴(8)と関係付けられた前記プレス要素は、好ましくはベルト型の、静電式近接圧着システムからなることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の長手方向延伸装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−523151(P2006−523151A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505769(P2006−505769)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000795
【国際公開番号】WO2004/089604
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(500209055)ダルレ・マーシャント・テクノロジー・ソシエテ・アノニム (2)
【Fターム(参考)】